説明

複合RFIDデータキャリア

【課題】複数の周波数による異なるデータの授受を可能にして、種々のデータ管理に1枚のカードで対応可能な複合RFIDデータキャリアを提供する。
【解決手段】基材12の所定の位置に固定され第一の周波数の電波により通信を行う第一のICチップ14と、ループ状のアンテナ部16とからなる第一のICチップモジュール18を有する。基材12の所定の位置に固定され第二の周波数の電波により通信を行う第二のICチップ24と、アンテナ部26とからなる第二のICチップモジュール28を備える。第一のICチップモジュール18のループ状のアンテナ部16から所定距離離隔させて、第二のICチップモジュール28のICチップ24が位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電波により非接触で各種データの送受信が行われる複合RFIDデータキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品や荷物等の物品に関する各種データの管理や、人や車の出入りにおける認証を行う方法として、データを記録したタグやIDカードを利用したものがある。この場合のデータの記録媒体としては、バーコードや二次元コード、磁気ストライプ等が一般的に用いられている。さらに、データを書き換え可能に記録した媒体として、近年RFID(Radio Frequency Identification)データキャリアを用いて、送受信機によりデータ授受及び書き換えを行うシステムがある。
【0003】
このRFIDデータキャリアを用いたシステムでは、RFIDデータキャリアの情報読み取り及び書き込みを行う読み取り書き込み装置を備え、コントローラで制御され所定の変調方式により情報が乗せられた電波をアンテナから送信し、RFIDデータキャリアに対し非接触で、各種データの読み書きを行う。データの読み書きは、RFIDデータキャリアのカードやタグを、読み取り書き込み装置にかざして行う。例えば、駐車場や建物の入口のゲート側近に取り付けた読み取り書き込み装置のアンテナに、RFIDデータキャリアをかざして、ゲートの施解錠を行う入退出管理に用いられている。
【0004】
RFIDデータキャリアの構造は、データが記録される記憶素子や送受信回路等を備えたIC部とアンテナ部を、合成樹脂などから成るカード状の基材に実装したものである。また、そのアンテナ部の形状は、認識距離の延長及び動作安定化のため、各種のパターン形状が知られている。
【0005】
また、特許文献1に開示されているように、複数の周波数の電波による複数の通信規格のRFIDデータキャリアも提案されている。この場合、ループ状の一方のアンテナのループ内に、他方の通信を行うアンテナと通信用ICチップを配置したRFIDデータキャリアも提案されている。
【特許文献1】特開2005−1900043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたアンテナ構造の場合、2種類の周波数の電波に対応して2種類のアンテナを1枚のカード内に収納したもので、13.56MHzの電波を用いるループアンテナの内側に、UHF帯の電波を送受信するアンテナが取り付けられている。このため、一方の周波数の電波によるデータの通信時に他方の周波数の電波を受けるアンテナが緩衝して、各々十分な通信距離が得られないことが多い。
【0007】
この発明は、上記従来技術の問題に鑑みて成されたもので、複数の周波数による異なるデータの授受を可能にして、複数のデータ管理を1枚のカードで対応可能な複合RFIDデータキャリアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
板状に形成された絶縁性の基材と、外部の読み取り書き込み装置からの電波によりデータの通信を行う通信回路およびデータを読み書き可能に記憶する記憶素子を有して前記基材に取り付けられたICチップと、このICチップに接続され前記基材に設けられた導電性のアンテナ部から成るRFIDデータキャリアであって、前記基材の所定の位置に固定され第一の周波数の電波により通信を行う第一のICチップとループ状の前記アンテナ部とからなる第一のICチップモジュールと、前記基材の所定の位置に固定され第二の周波数の電波により通信を行う第二のICチップとアンテナ部とからなる第二のICチップモジュールとを備え、前記第一のICチップモジュールのループ状の前記アンテナ部から所定距離離隔させて前記第二のICチップモジュールのICチップが位置した複合RFIDデータキャリアである。
【0009】
前記基材の一方の端縁部には、前記第二のICチップモジュールによる通信用電波の反射素子を備え、前記第二のICチップモジュールのアンテナ部と前記反射素子との間隔は、前記通信用電波の波長の約1/2の長さである。
【0010】
前記第二のICチップモジュールと前記第一のICチップモジュールとの間に導電体のアンテナグラウンドを設け、前記第二のICチップモジュールと前記アンテナグラウンドとの間隔は前記通信用電波の波長の約1/4の長さである。
【0011】
前記第二のICチップモジュールは、前記基材の長辺側にICチップを供え、前記ICチップから延びた端子にコ字状の一対のアンテナ部が接続され、前記各アンテナ部は、前記基材の短辺に沿って位置している。
【0012】
前記基材の表面または裏面には、磁気ストライプ、バーコードや二次元コード等の光学的読み取り用のコードデータ、文字及び顔写真等の画像のうち少なくとも一つの情報を備えているものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明の複合RFIDデータキャリアによれば、複数の周波数帯の電波を利用した異なる複数のICチップモジュールにより、複数のデータの授受を1枚のカードやタグに搭載した複数のアンテナとICチップにより、互いの干渉を押さえて効率的に行うことができる。これにより、複数のカードやタグを一つにまとめて、より使い易い管理システムを構築することができるものである。
【0014】
さらに、カード等の基材に、磁気ストライプやバーコード等のコードデータを記録したり、顔写真や文字等を設けることにより、さらに多機能なデータキャリアとして用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明のRFIDデータキャリアの第一実施形態について、図1〜図7を基にして説明する。この実施形態のRFIDデータキャリア10は、図1に示すように、矩形のISOカード規格の寸法に形成され、カード状に成形された基材12表面のほぼ中央部に、ICチップ14と導電性材料により形成されたループ状のアンテナ部16から成る第一のICチップモジュール18が実装されている。アンテナ部16は、基材12の表面の半分以下の占有面積であり、ICチップ14は自身のアンテナ部16の内側に位置している。さらに、基材12表面の図面左端には、第一のICチップモジュール18から所定距離離隔させて影響の少ない位置に、ICチップ24とその両側に接続された導電性材料のアンテナ部26から成る第二のICチップモジュール28が実装されている。アンテナ部26は、1ターンのループであり、基材12の短辺の長さより僅かに短い長さで往復した形状に形成されている。
【0016】
第一のICチップモジュール18は、使用周波数が13.56MHzであり、無線通信により信頼性の高いデータ通信が可能なRFIDモジュールであり、例えばソニー社のフェリカ(商標)として実用化されている。また、第二のICチップモジュール28は、使用周波数が2.45GHz帯のマイクロ波の電波を利用している。第一のICチップモジュール18の通信方式に比べ、通信距離が比較的広範囲に亘る。
【0017】
この実施形態のRFIDデータキャリア10は、図示しない外部の読み取り書き込み装置用のコントローラで制御されたマイクロ波の電波を、読み取り書き込み装置のアンテナから送受信し、その送信された電波をRFIDデータキャリア10のアンテナ部16,26で受信する。これにより、読み取り書き込み装置とRFIDデータキャリア10の第一のICチップモジュール18または第二のICチップモジュール28との間で、各種データの送受信が非接触で行われる。この実施形態の第二のICチップモジュール28の検知方向は、基材12の面に対して直角方向と、ICチップ24に接続したアンテナ部26の長手方向と直角方向であって基材12の面と平行な方向である。
【0018】
この実施形態のRFIDデーアキャリア10の基材12は、例えばISOカード規格の寸法で、約54×85.6×0.76mmの大きさであれば使用上好ましい。材質は、紙や合成樹脂などの絶縁性材料の板材から成り、基材12の素材としては、紙の他、ポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニール、アセテート、ポリカーボネート、アクリルなどの合成樹脂や、ベークライト、マイカレックス、ガラス、セラミックス、石、布、不織布などで、常温時に、カード状またはフィルム状で平板に形成可能なものが用いられている。そして、基材12の一方の面または片方ずつに、各アンテナ部16,26が設けられている。
【0019】
IC部14,24は、通信回路と記憶素子であるメモリが内蔵された薄型の集積回路チップから成る。メモリとしては、EEPROMやフラッシュメモリを用いることにより、電池レスタイプのデータキャリアとして使用することができる。
【0020】
また、この実施形態のRFIDデーアキャリア10は、図2に示すように、第二のICチップモジュール28と銅箔等の導電体からなら成る反射素子30により、第一のICチップモジュール18を挟むようにしても良い。この場合、第二のICチップモジュール28をと反射素子30とのあいだの距離は、使用する2.45GHz帯のマイクロ波の波長λ=122.5mmの約1/2の距離に設定する。
【0021】
さらに、この実施形態のRFIDデーアキャリア10は、図3に示すように、第一のICチップモジュール18を第二のICチップモジュール28とは反対側の、基材12の側縁部近傍に寄せた位置に配置し、第二のICチップモジュール28から、2.45GHz帯のマイクロ波の波長λ=122.5mmの約1/4の距離に銅箔等による導電体のアンテナグラウンド32を設けたものでも良い。
【0022】
さらに、この実施形態のRFIDデーアキャリア10は、図4に示すように、基材12の両端に導電体による反射素子30,34を設け、一方の反射素子34から2.45GHz帯のマイクロ波の波長λ=122.5mmの約1/4の距離に第二のICチップモジュール28を配置し、第一のICチップモジュール18は、反射素子30と一部が重なった配置としても良い。この時、第二のICチップモジュール28と反射素子30との距離は、約42mmに設定する。
【0023】
さらに、この実施形態のRFIDデーアキャリア10は、図5に示すように、図4の実施形態をさらに進めて、図4の状態から第一のICチップモジュール18を第二のICチップモジュール28と重ねるように配置しても良い。さらに、第一のICチップモジュール18のアンテナ部16の互いに対向するコイル部を一部折り返して、アンテナ部16の幅を狭くして占有面積を小さくしても良い。この場合、第一のICチップモジュール18のICチップ24が、第二のICチップモジュール28のコイル部の内側に位置しないようにする。第一のICチップモジュール18の折り方は、適宜の方法を選択しうるが、図6(a),(b)または図6(a),(c)に示すように、4辺のうちの一対の2辺を一部折り曲げて、幅を狭くするようにすればよい。
【0024】
さらに、この実施形態のRFIDデーアキャリア10は、図7に示すように、図3に示す配置で、第一のICチップモジュール18の一対の2辺を折り曲げて、占有面積を小さくしたものでも良い。
【0025】
この実施形態の各配置のRFIDデーアキャリア10の性能について以下に説明する。ここで、実験に使用した読み込み書き込み装置の送信電力は、300mWであり、読み込み書き込み装置のアンテナは、30×30×3cmのもので、直線偏波である。この装置により、各図のモジュールの配置について、基材面に対する測定方向と、測定可能な距離を表1に示す。
【表1】

【0026】
この実施形態の図1に示す配置によれば、第一のICチップモジュール18の感度は単独の場合と等しく、第二のICチップモジュール28については、基材12面に垂直な方向の感度が低下しているが、基材12面に平行な方向の感度は僅かながら大きくなっている。これにより、基材12面に平行な方向で第二のICチップモジュール28を用いるのであれば、第一、第二のICチップモジュール18,28を1枚のカードで単独の場合と同様の使い方で使い分けすることができ、好都合である。
【0027】
また、この実施形態の図2に示す配置によれば、第一のICチップモジュール18の感度は単独の場合と等しく、第二のICチップモジュール28については、基材12面に垂直な方向も水平な方向ともに感度が向上しており、第一、第二のICチップモジュール18,28を1枚のカードで単独の場合と同様の使い方で使い分けすることができ、極めて好都合である。
【0028】
また、この実施形態の図3に示す配置によれば、第一のICチップモジュール18の感度が単独の場合と等しく、第二のICチップモジュール28については、基材12面に垂直な方向には使えないが、基材12面に平行な方向の感度はかなり大きくなっている。これにより、第一のICチップモジュール18は基材12の面を読み取り書き込み装置に重ねる使い方で用い、第二のICチップモジュール28は、基材12の面に平行な方向に読み取り書き込み装置に対してカードを向けるような使い方をすることにより、確実なカードの使い分けと、使い勝手の向上を図ることができる。
【0029】
また、この実施形態の図4に示す配置によれば、第一のICチップモジュール18の感度が単独の場合より若干高く、第二のICチップモジュール28については、基材12面に平行な方向には使えないが、基材12面に垂直な方向の感度は単独の場合と比較しても僅かな低下に抑えられている。これにより、第一のICチップモジュール18は基材12の面を読み取り書き込み装置に重ねる使い方で、第二のICチップモジュール28は、読み取り書き込み装置に対して基材12の面に垂直な方向でカードを向けるような使い方をすることにより、確実なカードの使い分けと、使い勝手の向上を図ることができる。
【0030】
さらに、この実施形態の図5に示す配置によれば、読み取り書き込み装置に対して基材12の面を近接させて重ねる使用方法であれば使用可能であり、第二のICチップモジュール28については、基材12面に平行な方向には使えないが、基材12面に垂直な方向の感度は単独の場合と比較しても高くなっている。これにより、第一のICチップモジュール18は基材12の面を読み取り書き込み装置に重ねる使い方をし、第二のICチップモジュール28は、読み取り書き込み装置に対して基材12の面に垂直な方向でカードを向けるような使い方をすることにより、確実なカードの使い分けと、使い勝手の向上を図ることができる。
【0031】
さらに、この実施形態の図7に示す配置によれば、読み取り書き込み装置に対して基材12の面を近接させて重ねる使用方法であれば使用可能であり、第二のICチップモジュール28については、基材12面に垂直な方向には使えないが、基材12面に平行な方向の感度は単独の場合と比較して遙かに高くなっており、上記図3の使用方法と同様に使用することができる。
【0032】
この実施形態のRFIDデータキャリア10によれば、例えば第一のICチップモジュール18によりセキュリティを重視した個人認証や、個人認証により可能にする電子マネー等の出し入れに用いる。さらに、車に乗りながらの入退出管理システムなど、距離が必要な認証には、第二のICチップモジュール28を利用して管理することができる。これにより、これまで複数枚のカードを使い分けていたものを、1枚のカードまたはタグで認証して管理することができ、利用者の利便性が大幅に向上する。しかも、第一、二のICチップモジュール18,28の通信による感度の低下が抑えられ、良好な通信を可能にしている。
【0033】
次に、この発明の第二実施形態について、図8〜図13に基づいて説明する。ここで、上記実施形態と同様の部材は、同一の符号を付して説明を省略する。この実施形態は、絶縁材から成る板状に形成された矩形の基材12を用いたRFIDデータキャリア40についてのもので、このRFIDデータキャリア40は、この実施形態のRFIDデータキャリア40は、図8に示すように、例えば矩形のISOカード規格の寸法に形成され、カード状に成形された基材42表面のほぼ中央部で図面では上方寄りに、上記実施形態と同様のICチップ14と導電性材料により形成されたループ状のアンテナ部16から成る第一のICチップモジュール18が実装されている。アンテナ部16は、基材12の表面の半分以下の占有面積であり、ICチップ14がアンテナ部16の内側に位置している。さらに、基材12表面の図面下端側には、第一のICチップモジュール18から所定距離離隔させて影響の少ない位置に、ICチップ44とその両側に接続され導電性材料のアンテナ部46から成る第二のICチップモジュール48が実装されている。アンテナ部46は、櫛歯状に形成されている。
【0034】
第一のICチップモジュール18は、使用周波数が13.56MHzであり、無線通信により信頼性の高いデータ通信が可能なRFIDモジュールであり、第二のICチップモジュール44は、使用周波数が950MHz帯のUHF電波を利用する。
【0035】
この実施形態のRFIDデータキャリア40は、図示しない外部の読み取り書き込み装置用のコントローラで制御された電波を読み取り書き込み装置のアンテナから送信し、その送信された電波をRFIDデータキャリア40のアンテナ部16,46で受信することにより、読み取り書き込み装置とRFIDデータキャリア40の第一のICチップモジュール18または第二のICチップモジュール48との間で、各種データの送受信が非接触で行われる。
【0036】
この実施形態のRFIDデーアキャリア40の基材42は、例えばISOカード規格の寸法で、上記実施形態と同様に合成樹脂やその他絶縁材の中から適宜材質を選択しうる。そして、基材42の一方の面または片方ずつに、各アンテナ部16,46が設けられている。
【0037】
IC部14,44は、通信回路と記憶素子であるメモリが内蔵された薄型の集積回路チップから成る。メモリとしては、EEPROMやフラッシュメモリを用いることにより、電池レスタイプのデータキャリアとして使用することができる。
【0038】
また、この実施形態のRFIDデータキャリア40のアンテナとして、図9に示すような略コ字状に形成された一対の導電体から成るアンテナ部50を備えたものでも良い。このアンテナ部50は、L状の細幅部50aと、細幅部50aの一端から直角に延びた幅広部50bから成り、コ字状の両端部の幅広部50bは細幅部50aよりも短い。また、一対のアンテナ部50の細幅部50a同士が対向する部分の間に導電体の一対のリード部52が延びたICチップ56が設けられ、一対のリード部52はアンテナ部50の各細幅部50aの先端部に接続されている。リード部52と細幅部50aの接続部aは、図10に示すように、絶縁性接着剤55で接合されているもので、静電容量結合されている。そしてこのICチップ56とアンテナ部50により、第二のICチップモジュール58を構成している。
【0039】
アンテナ部50の内側には、図11に示すように、第一のICチップモジュール18が収容されている。この実施形態の第二のICチップモジュール58の検知方向は、基材42の面に対して直角方向と、ICチップ56が位置した辺と直角方向であって基材42の面と平行な方向である。
【0040】
さらに、この実施形態のRFIDデータキャリア40は、図12,図13に示すように、第一のICチップモジュール18のアンテナ部16の互いに対向するコイル部を一部折り返して、アンテナ部16の幅を狭くして占有面積を縮めても良い。
【0041】
次に、この実施形態の各配置のRFIDデータキャリア40の性能について以下に説明する。ここで、実験に使用した読み込み書き込み装置の送信電力は、1Wであり、読み込み書き込み装置のアンテナは、21×21×2.5cmのもので円偏波である。この装置により、各図のモジュールの配置について、基材面に対する測定方向と、測定可能な距離を表2に示す。
【表2】

【0042】
この実施形態の第一のICチップモジュール18の感度は、図8の配置及び図11の配置においては、単独の場合と全く変わらない。一方、図12、図13の配置の場合、第一のICチップモジュール18のアンテナ部16を折り曲げて、基材42に対する占有面積を小さいものにしたため、感度は落ちている。
【0043】
この実施形態のRFIDデータキャリア40によっても上記実施形態と同様の効果を得ることができ、より遠隔な位置の送受信機との通信にも対応することができる。
【0044】
なお、この発明のRFIDデータキャリアは上記実施形態に限定されるものではなく、図14に示すように、RFIDデータキャリア60に、基材12の表面には2次元バーコード62等の光学的読み取り用のコードデータや文字、個人の顔写真64等を印刷して表示し、裏面には、磁気ストライプ66を設けたものでも良い。磁気ストライプ66は、磁気テープを貼り付けたり、磁気記録用磁性体粉を塗布したりして形成する。さらに、バーコードやその他コード情報は、適宜既存のものを利用することができ、表面に凹凸や透孔を形成して情報を記録したものでも良い。これにより、複数種類の情報を1枚のカードに記録することができ、多機能なカードを有するカードを容易に形成することができる。これらのカードは、基材を構成する樹脂によりICチップをインサート成形して形成する。
【0045】
また、ICチップモジュールが搭載される基材はカードに限定されず、適宜の各種タグや、回路基板でも良く、例えば携帯電話やコンピュータに内蔵されるものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明の第一実施形態のRFIDデータキャリアの概略平面図である。
【図2】この実施形態のRFIDデータキャリアの変形例を示す平面図である。
【図3】この実施形態のRFIDデータキャリアの他の変形例を示す平面図である。
【図4】この実施形態のRFIDデータキャリアのさらに他の変形例を示す平面図である。
【図5】この実施形態のRFIDデータキャリアのさらに他の変形例を示す平面図である。
【図6】この実施形態のRFIDデータキャリアの第一のICチップモジュールの一部を折り曲げて使用する状態を示す平面図である。
【図7】この実施形態のRFIDデータキャリアのさらに他の変形例を示す平面図である。
【図8】この発明の第二実施形態のRFIDデータキャリアの概略平面図である。
【図9】この実施形態のRFIDデータキャリアに用いる第二のICチップモジュールを示す平面図である。
【図10】この実施形態のRFIDデータキャリアの第二のICチップモジュールの端子とアンテナ部との接続を示す部分拡大断面図である。
【図11】この実施形態のRFIDデータキャリアの他の変形例を示す平面図である。
【図12】この実施形態のRFIDデータキャリアのさらに他の変形例を示す平面図である。
【図13】この実施形態のRFIDデータキャリアのさらに他の変形例を示す平面図である。
【図14】この発明のRFIDデータキャリアの一実施例を示す正面図(a)と背面図(b)である。
【符号の説明】
【0047】
10,40 RFIDデータキャリア
12,42 基材
14,24,44,56ICチップ
16,26,46,50 アンテナ部
18,28,48,58 ICチップモジュール
30,34 反射素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状に形成された絶縁性の基材と、外部の読み取り書き込み装置からの電波によりデータの通信を行う通信回路およびデータを読み書き可能に記憶する記憶素子を有して前記基材に取り付けられたICチップと、このICチップに接続され前記基材に設けられた導電性のアンテナ部から成るRFIDデータキャリアにおいて、
前記基材の所定の位置に固定され第一の周波数の電波により通信を行う第一のICチップとループ状の前記アンテナ部とからなる第一のICチップモジュールと、前記基材の所定の位置に固定され第二の周波数の電波により通信を行う第二のICチップとアンテナ部とからなる第二のICチップモジュールとを備え、前記第一のICチップモジュールのループ状の前記アンテナ部から所定距離離隔させて前記第二のICチップモジュールのICチップが位置したことを特徴とする複合RFIDデータキャリア。
【請求項2】
前記基材の一方の端縁部には、前記第二のICチップモジュールによる通信用電波の反射素子を備え、前記第二のICチップモジュールのアンテナ部と前記反射素子との間隔は、前記通信用電波の波長の約1/2の長さであることを特徴とする請求項1記載の複合RFIDデータキャリア。
【請求項3】
前記第二のICチップモジュールと前記第一のICチップモジュールとの間に導電体のアンテナグラウンドを設け、前記第二のICチップモジュールと前記アンテナグラウンドとの間隔は前記通信用電波の波長の約1/4の長さであることを特徴とする請求項1記載の複合RFIDデータキャリア。
【請求項4】
前記第二のICチップモジュールは、前記基材の長辺側にICチップを供え、前記ICチップから延びた端子にコ字状の一対のアンテナ部が接続され、前記各アンテナ部は、前記基材の短辺に沿って位置していることを特徴とする請求項1記載の複合RFIDデータキャリア。
【請求項5】
前記基材の表面または裏面には、磁気ストライプ、光学的コードデータ、文字及び画像のうち少なくとも一つの情報を備えていることを特徴とする請求項1記載の複合RFIDデータキャリア。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−43167(P2009−43167A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209927(P2007−209927)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(594155528)日本エレクトロニクス・サービス株式会社 (5)
【Fターム(参考)】