説明

複数のガス流間のガス流量を制御する方法

本発明は、連結部を通る1つ以上の流入流と1つ以上の流出流との間で、連結部を通るガス流量を制御する方法及び装置に関する。本方法は、流入質量流量測定値の総計を流出質量流量測定値の総計と比較して、バイアス成分を加算して、バイアス質量流量不均衡値を供給することにより得られるバイアス質量流量不均衡値を使用する。流入流及び流出流(12、14、16、18、20)のうちの少なくとも1つの流量は、バイアス質量流量不均衡値をゼロに向けて移動させるように調整される。更に、連結部圧力測定値(PC)が供給され、連結部圧力測定値(PC)は、圧力設定点(PSP)からの連結部圧力測定値(PC)の変化に応答して、圧力設定点(PSP)からの連結部圧力測定値(PC)の変化を軽減するようにバイアス成分を調整するために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排他的ではないが特に、ガス流(flow)が蒸気(水蒸気を意味する)又は炭化水素流(stream)である場合、1つ以上の流入流と1つ以上の流出流との間の連結部を通してガス流量(flow)を制御する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス(gaseous)流の多数の供給装置が存在し、ガス流の消費装置等の多数の使用装置が存在する集成装置には、多くの場合、共通ヘッダーを通して供給装置と使用装置との間の流入流及び流出流を制御するシステムがある。
【0003】
Honeywell s.r.o,PragueのHoneywell Prague Laboratoryによる「Honeywell Unified Energy Solutions Portfolio Reduces Operational Costs and Maximises Profit of Power and Heat Production」という表題の刊行物には、「マスター圧力制御器(MPC)を一連の蒸気生成制御装置の上に有する従来の蒸気生成制御装置が記載されている。マスター圧力制御器は、変化する蒸気需要の下、ヘッダー圧力を要求される動作範囲内に保ち、ボイラーを調整して制御するための制御出力−総計熱入力を供給する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この制御方法に伴う問題は、MPCが、ヘッダー圧力が変更された後でしか動作できないことである。ヘッダー圧力は積分動作として働くため、MPCによる動作は、比較的遅く、主に比例動作でしかあり得ない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、連結部を通して1つ以上の流入流と1つ以上の流出流との間のガス流量(flow)を制御する方法であって、
(a)少なくとも1つの流入流の質量流量(flow)を測定して(detarmine)、1つ以上の流入質量流量測定値を供給する工程と、
(b)少なくとも1つの流出流の質量流量を測定して、1つ以上の流出質量流量測定値を供給する工程と、
(c)工程(a)の全ての流入質量流量測定値の総計を工程(b)の全ての流出質量流量測定値の総計と比較し、バイアス成分を加算して、バイアス質量流量不均衡値を供給することにより、バイアス質量流量不均衡値を供給する工程と、
(d)連結部(22)におけるガス圧を示す数量を測定して、連結部圧力測定値(maasurement)(PC)を供給する工程と、
(e)流入流及び流出流(12、14、16、18、20)のうちの少なくとも1つの流量(flow)を調整して、バイアス質量流量不均衡値をゼロに向けて移動させる工程と、
(f)圧力設定点(PSP)からの連結部圧力測定値(PC)の変化に応答して、バイアス質量流量値のバイアス成分を調整して、圧力設定点(PSP)からの連結部圧力測定値(PC)の変化を軽減する工程と、
を少なくとも含む該方法を提供する。
【0006】
好ましい実施形態では、工程(a)〜(f)は複数回繰り返され、更に好ましくは、工程(a)〜(f)が繰り返されて、バイアス質量流量不均衡値をゼロに保持し、一定の連結部圧力測定値を供給する。
【0007】
本発明は、連結部を通して1つ以上の流入流と1つ以上の流出流との間のガス流量を制御する装置であって、
流入流のそれぞれ1つの流量を表す1つ以上の流入質量流量測定値の1つをそれぞれ供給できる1つ以上の流入流量測定器と、
流出流のそれぞれ1つの流量を表す1つ以上の流出質量流量測定値の1つをそれぞれ供給できる1つ以上の流出流量測定器と、
連結部におけるガスの圧力を示す数量を測定して、連結部圧力測定値を供給することが可能な1つ以上の圧力測定器と、
流入流及び流出流のうちの少なくとも1つの流量を調整する1つ以上の流量(flow)調整器と、
流入流量(flow)測定器の流入質量流量測定値の総計を流出流量測定器の流出質量流量測定値の総計と比較し、バイアス成分を加算して、バイアス質量流量不均衡値を供給することにより、バイアス質量流量不均衡値を供給し、連結部圧力測定値を受信し、流入流及び流出流のうちの少なくとも1つの流量を調整して、バイアス質量流量不均衡値をゼロに向けて移動させるように、1つ以上の流量(flow)調整器に命令し、圧力設定点(PSP)と比べた連結部圧力測定値(PC)の変化に応答して、バイアス質量流量不均衡値のバイアス成分を調整して、圧力設定点(PSP)と比べた連結部圧力測定値(PC)の変化を軽減するための制御器と、
を少なくとも備える装置も提供する。
【0008】
これより、本発明の実施形態及び実施例について、単なる例として、非限定的な添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ここに開示した少なくとも1つの実施形態による制御システムの第1の概略図である。
【図2】ここに開示した第2の実施形態による制御システムの第2の概略図である。
【図3】ここに開示した第3の実施形態による制御システムの第3の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
説明の目的で、ライン並びにライン内で運ばれる流れ(stream)に単一の参照番号を割り当て、流れの圧力/流量並びにその圧力/流量の測定に単一の参照を割り当てる。
【0011】
ここに開示する方法は、全ての流入流(又はその部分集合)の流量の総計又は合計と全ての流出流(又はその部分集合)の流量の集計との比較に基づいて、連結部を通る、一般に1つ以上のガス流供給装置からの1つ以上の流入流と、一般に1つ以上のガス流使用装置への1つ以上の流出流との間のガス流量の更に正確な制御を提供する。当分野では、流入流及び流出流のそれぞれの質量流量測定値を測定できるような、流れ(stream)の流量(flow)の測定又は流の流量の推定から質量流量を測定する方法が周知である。
【0012】
流量の変化は、圧力測定値の変化よりも高速で発生するため、圧力変化を監視するよりも、質量流量のあらゆる変化を監視することにより、更に素早いフィードバックを得ることができ、それにより、流量の変化を補償する更に素早い調整が可能である。このようにして、一定の質量流量の供給を試みるという目標が、一層容易に達成され維持される。
【0013】
例えば、連結部での一定圧力の測定は、質量均衡が達成されることの更に正確な指標を供給する。したがって、連結部での圧力と一緒に流入流及び流出流の流量を測定することにより、連結部において合計流入流と合計流出流との質量流量が等しいか否かを素早く正確に判断することが可能である。
【0014】
全ての流入流と全ての流出流との質量流量が均衡しているか否かの判断は、連結部での流れ(stream)の全ての流入質量流量測定値の総計と全ての流出質量流量測定値の総計とを比較して、質量流量不均衡値を供給することにより実行される。
【0015】
例えば、質量流量不均衡値は、連結部における全ての流出流からの質量流量測定値の合計を、全ての流入流からの質量流量測定値の合計から減算することにより計算することができる。この実施形態では、全ての流入流の総計質量流量測定が、全ての流出流の総計質量流量測定を超える場合、正の質量流量不均衡値が生じる。同様に、全ての流入流の総計質量流量測定が、全ての流出流の総計質量流量測定よりも小さい場合、負の質量流量不均衡値が生じる。全ての流れの総計流入質量流量測定値と総計流出質量流量測定値が等しい場合、質量流量不均衡値はゼロになる。
【0016】
更なる変数であるバイアス成分が、質量流量不均衡値に加算されて、バイアス質量流量不均衡値を供給する。バイアス成分は、質量流量測定値の不正確さを補償する。例えば、質量流量測定値は、実際の質量流量値と測定誤差とを組み合わせたものとして解釈することができる。バイアス成分は、これら測定誤差を考慮し、これら測定誤差をバイアス質量流量不均衡値に含める。バイアス成分は、流量(flow)測定器のタイプ及び数、ガスの組成等の本方法及び本装置が使用される特定のシステムの特性に依存する。バイアス成分はまず、連結部圧力測定値が一定である場合連結部での均衡した質量流量条件下で計算することができる。
【0017】
バイアス成分は、連結部圧力設定点からの連結部圧力測定値の変化に応答して調整されて、それら圧力変化を軽減するか、又は新しい圧力設定点に適応する。設定点は、特定のシステムに対して使用装置により定義される設定点入力であることができる。例えば、連結部圧力設定点からの連結部圧力測定値の変化は、連結部圧力設定点から連結部圧力測定値を減算することにより計算することができる。
【0018】
連結部圧力測定値は、連結部内のガスの質量が変化した場合に変化する。連結部内のガスの質量は、全ての流入流の総計質量流量と全ての流出流の総計質量流量とが異なる場合に変化する。したがって、連結部圧力測定値の変化は、連結部での質量流量不均衡の指標である。
【0019】
したがって、圧力測定は、流れ(stream)流量(flows)から質量流量測定値を測定することと比較して、連結部での質量流量不均衡値を測定する更に正確な方法である。この理由は、他の全てが等しい場合、連結部圧力の変化は連結部内のガスの質量変化に正比例するためである。
【0020】
質量流量不均衡値に加算されるバイアス成分は、圧力設定点からの連結部圧力測定値の変化に応答して調整されて、連結部圧力の変化を軽減させ、又はシステムを新しい設定点に変化させることができる。したがって、バイアス質量流量不均衡値は、測定される流入質量流量測定値と流出質量流量測定値との均衡を示す、質量流量不均衡値がゼロである場合であっても変化できる。これは、流量測定が連結部で質量流量均衡があることを示唆するが、測定誤差により、これが事実ではない状況において生じ得る。連結部圧力測定値の変化に応答して、バイアス成分の値を変更することにより、バイアスされた質量流量不均衡値は変更される。バイアス質量流量不均衡値の変更に応答して、流入流又は流出流のうちの少なくとも一方の流量が調整される。このようにして、連結部圧力測定値の変化は、流入流及び流出流のうちの1つ以上の流量に影響を及すことができ、したがって、測定の精度が増大する。
【0021】
例えば、固定された連結部圧力設定点の場合、連結部圧力が増大しつつある場合、これは、連結部内へのガスの質量流量が連結部外へのガスの質量流量を超えることを意味する。したがって、バイアス成分は、1つもしくは複数の流入流の流量が低減し、及び/又は1つもしくは複数の流出流の流量が増大するように、バイアス質量流量不均衡値を変更するように調整されて、この連結部の圧力変化を軽減する。同様にして、連結部圧力が低減しつつある場合、バイアス成分は、流入流の流量が増大し、及び/又は流出流の流量が低減されるようにバイアス質量流量不均衡値を変更するように調整されて、この連結部の圧力変化を軽減する。
【0022】
したがって、連結部に質量流量不均衡がある場合、連結部圧力測定値ひいてはバイアス成分が、任意に質量流量不均衡値と共に変更されることになるため、バイアス質量流量不均衡値は非ゼロである。非ゼロのバイアス質量流量不均衡値は、連結部に対する流入流及び流出流のうちの少なくとも一方の流量が調整されて、連結部での質量流量不均衡を低減するために、バイアス質量流量不均衡値をゼロに向けて動かす。これら工程は、連結部での質量流量均衡が達成されたことを示す、バイアス質量流量不均衡値がゼロになるまで繰り返すことができる。流入流及び流出流のうちの1つ以上の流量の更なる変化は、連結部に新たな質量流量不均衡を生じさせ、流入流量(flows)と流出流量との総計の変更及び続く連結部圧力測定値の変化に繋がり、結果として、非ゼロのバイアス質量流量不均衡値になる。ここに開示した方法及び装置は、この場合、連結部での質量均衡を回復するように機能することになる。
【0023】
したがって、連結部圧力測定に、連結部でのガス圧の実際の測定を必要とせず、例えば、連結部と圧力連通する分岐部内のガス圧等の連結部内の圧力を示すいかなる数量のいかなる種類の測定であってもよいことは当業者には理解されよう。
【0024】
同様に、必ずしも上述したように質量流量不均衡に別個の数を供給する必要がないことが理解されよう。流量調整は主として、バイアス質量流量不均衡値をゼロに向けて移動させるように制御されるため、バイアス質量流量不均衡の値で十分であるはずである。
【0025】
更に、必ずしも流量を測定する必要がないことが当業者には理解されよう。流量の測定(determination)は、推定を使用して行ってもよい。一例として、生成装置からの流量を推定する一方法は、生成装置が最大、半分、又はゼロ等の既知の生産能力で動作中の場合、特定の生成装置の仕様又は経験値を使用して推定により流量を測定することができる。
【0026】
更に、必ずしも流入流又は流出流のそれぞれの流量(flow)を測定する必要がないことが当業者には理解されよう。例えば、問題を生じさせるのに十分なだけ変化できる流れのみの測定で十分であり得る。測定しなかった流量は、バイアス成分の部分をなす。したがって、ここに記載した制御方法及び装置は、流入流流量の部分集合のみを測定(determine)し、流出流流量を特定しないことにより、又はその逆により、又は両方により実施できる。しかし、実際に各流入流量及び/又は各流出流量を測定する場合、柔軟性が更に高いという利点を提供できる。
【0027】
図1は、連結部22を通る2つの流入流12、14と3つの流出流16、18、20との間のガス流量を制御するシステムを示す。本発明は、流入流及び流出流の数により限定されず、又は流入流及び流出流の相対比もしくは数により限定されない。
【0028】
本発明では、連結部は、1つ以上の流入流と1つ以上の流出流との間の結合のいかなる好適な相互連絡、継ぎ手、介在(inter?location)、空間、又は領域であってもよい。連結部の一例は、1つ以上の流入流及び1つ以上の流出流を運ぶラインの断面よりも大きな断面であってよく、1つ以上の流入流を集めると共に、続けて1つ以上の流出流に分割又は分配するための容積を供給できる場所であるマニホールド又はヘッダーである。
【0029】
任意に、連結部は、流入流(flow)と流出流との間でガス容積を一時的に保持又は貯蔵可能な容積又は場所も供給できる。
【0030】
更に任意に、連結部は、2つ以上の流入流の少なくとも幾らかを、1つ以上の各流出流に供給する前に混合することができる。
【0031】
連結部は、1つの流入流と1つの流出流との間、1つの流入流と少なくとも2つの流出流、又は少なくとも2つの流入流と1つの流出流との間の接続又は継ぎ手であってもよい。このような連結部としては、ある長さのパイプライン、T継ぎ手、又は当分野において既知の他の単純な流継ぎ手もしくは流れ分流器が挙げられる。
【0032】
本発明は、連結部のサイズ、性質、設計、又はタイプにより限定されない。
【0033】
流入流及び流出流のガスは、超臨界相でガスのみの物質及びガス/液体の組み合わせ等の1つ以上の微量の他の相を含むガスを含め、ラインに沿って流れることが可能ないかなるガスであってもよい。
【0034】
一実施形態では、1つ以上の各流入流のガスは、蒸気、燃料ガス、1つ以上の炭化水素、窒素、及び水素を含む群から選択される1つ以上である。1つ以上の炭化水素は、メタン、エタン、プロパン、ブタン類、ペンタン類、及び重炭化水素類、及びそれらのいずれかの組み合わせを含む。
【0035】
一例は、天然ガス層又は油層から得ることができる天然ガスである。代替として、天然ガス流は、フィッシャー−トロプシュ法等の合成供給源も含む別の供給源から得てもよい。
【0036】
1つ以上の各流入流は、図1において全体的に「8」と記した1つ以上のガス流供給装置により供給できる。2つ以上の流入流を同じガス流供給装置により直接又は間接的に供給できる。2つ以上の流入流は、同じガスであるが、それら同じガスを温度及び圧力等の異なる物理的条件で、及び/又は異なるモル比又は成分比で、及び/又は異なる性質(燃料ガスの発熱量等)で供給できる。このような流れの連結部は、流出流に供給する前に、このような違いの少なくとも幾らかの等化を行うことができる。
【0037】
ガス流供給装置の例としては、ボイラー、(廃)熱回収ユニット、並びに未精製ガス処理装置及び原油処理装置等の炭化水素処理ユニットを含む群から選択される1つ以上が挙げられる。
【0038】
例えば、流入流が蒸気である場合、ボイラーから直接供給することができる。蒸気は、タービン等の廃熱エネルギーを生み出すいずれかの好適な装置、ユニット、又は機器から廃熱を回収する熱回収ユニットから直接供給することもできる。ガス供給装置である炭化水素処理ユニットは、燃料ガス等の1つ以上の炭化水素類を流入流として供給できる。
【0039】
本発明は、ガス供給装置の性質により限定されず、ガス供給装置の多くは当分野において既知である。
【0040】
1つ以上の各流出流は、図1において全体的に「10」で記される1つ以上のガス流使用装置に供給できる。ガス流使用装置の例としては、ボイラー、タービン、及び排出(export)ガスを含む群から選択される1つ以上が挙げられる。
【0041】
例えば、蒸気である流出流の適した使用装置は、蒸気タービンである。燃料ガスである流出流の適した使用装置は、ボイラーである。一般に定義された仕様を有するメタンである流出流の好適な使用装置は、ここでは一般に「排出ガス」として定義した排出ガスライン、ガス供給ライン、又はガス分配網であってよい。
【0042】
図1は、第1の供給装置P1から供給される第1の流入流12及び第2の供給装置P2により供給される第2の流入流14を示す。第1及び第2の流入流12、14は、ガス流量を当分野において既知のヘッダー又はマニホールド22等の連結部22に供給する。連結部22から、第1の使用装置U1への第1の流出流16、第2の使用装置U2への第2の流出流18、及び第3の使用装置U3への第3の流出流20が供給される。好ましくは、第1及び第2の流入流12、14の性質が異なる(組成、流量及び/又は物理的パラメータ等)場合、第1、第2、及び第3の流出流16、18、20への供給前に、第1及び第2の流入流12、14の性質が少なくとも幾らか等化される。
【0043】
単なる例として、第1及び第2のガス流供給装置P1及びP2が廃熱回収ユニットであり、それらから供給されるガスが蒸気である場合、連結部は、使用装置U1、U2、及びU3としての第1、第2、及び第3の蒸気タービンへの均等又は不均等な分配を組織することができる。不均等な分配は、異なる容積流量を必要とする1つ以上のガス流使用装置10に基づき得る。
【0044】
本発明は、各流入流12、14の流量を測定して、各流入質量流量測定値を供給する工程を含む。流れ流量(stream flows)の監視により、質量流量を測定することができる。質量流量は流れ流量に比例し、当分野において既知の方法により流れ流量から計算することができる。ガス流の流量測定は、当分野において既知の流量測定器のようないずれかの好適な装置、ユニット、又は機器により実行することができる。流量測定器の非限定的な例としては、オリフィス板、ベンチュリ管、流量ノズル、面積流量計、パイロット管、熱量流量計、タービン流量計、コリオリ流量計、超音波ドップラー流量計、及び渦流量計が挙げられる。
【0045】
図1は、第1の流入流12の流量を測定して、第1の流入質量流量測定FP1を供給する第1の流量測定器FP1を示し、第1の流入質量流量測定FP1は制御器XCに供給することができる。同様に、図1は、第2の流入流14の流量を測定して、第2の流入質量流量測定FP2を制御器XCに供給する第2の流量測定器FP2を示す。
【0046】
同様に、図1は、3つの流出流16、18、20の流量を測定して、3つの流出質量流量測定値をそれぞれ供給する3つの流出流量測定器FU1、FU2、及びFU3も示し、3つの流出流量測定器FU1、FU2、及びFU3もまた、制御器XCに供給される。図1は、波線の信号路に沿って制御器XCに渡されている5つの流量測定を示す。
【0047】
制御器XCは、全ての流入流12、14からの流入質量流量測定値を総計し、全ての流出流16、18、20からの流出質量流量測定値を総計し、これら測定を比較して、連結部22での質量流量不均衡値を供給することが可能である。
【0048】
連結部圧力測定値PCが制御器XCに供給される。連結部圧力設定点PSPも制御器SCに入力される。圧力設定点PSPは、オペレータにより入力することができる。次に、制御器XCは、圧力設定点PSPからの連結部圧力測定値PCの変化を計算することができる。
【0049】
本発明では、質量流量不均衡値は、2つの総計の差、例えば、流入質量流量の総計から流出質量流量の総計を減算したものである。
【0050】
連結部圧力測定値の使用は、有利なことに、時間の経過に伴う連結部22内のガスの圧力変化を計算する能力を供与する。特に時間の経過に伴う連結部22におけるガスの圧力を測定することにより、使用装置は、連結部22内のガス質量の変化を認識し、流入流及び流出流のうちの1つ以上の流量を調整することで、特に連結部圧力設定点からの連結部圧力のいかなる変化にも適応する。これは、バイアス成分を質量流量不均衡値に加算して、バイアス質量流量不均衡値を供給することにより行われる。連結部圧力測定値が連結部圧力測定値設定点から変化した場合、バイアス成分は、圧力変化を軽減するように、又はシステムが別の連結部圧力設定点に変更できるように、調整される。バイアス成分の調整により、バイアス質量流量不均衡値が変更される。バイアス質量流量不均衡値が非ゼロである場合、流入流及び流出流のうちの少なくとも1つの流量は、バイアス質量流量不均衡値をゼロに向けて移動させるように調整される。連結部圧力測定値(PC)の変化は流量の変化よりも遅く発生するが、圧力測定のほうが、質量流量不均衡を測定する更に正確な方法である。
【0051】
一定の連結部圧力測定値が観察される場合、総計流入流と総計流出流との質量均衡が達成されている。すなわち、バイアス質量流量不均衡値はゼロである。したがって、連結部22での圧力が変化しつつあるか否かのみに関わらず、連結部22での圧力の絶対値を測定する必要はない。
【0052】
したがって、連結部圧力設定点PSPからの連結部圧力測定値PCの変化は、バイアス成分の変更に繋がり、そしてこれは、バイアス質量流量不均衡値の変更に繋がる。これにより、バイアス質量流量不均衡値が非ゼロの場合、制御器XCはバイアス質量流量不均衡値をゼロに向けて移動させるため、流れ12、14、16、18、20のうちの少なくとも1つの流量が変更される。
【0053】
連結部圧力設定点PSPが変化しない場合、一定の連結部圧力測定値PCは、バイアス成分を変更に繋がらず、バイアス質量流量不均衡値は変更されないままである。バイアス質量流量不均衡値がゼロの場合、制御器XCは、システムが均衡状態又は均衡状況にあり、したがって、流入流及び流出流のいずれの流量調整も必要ないと判断する。
【0054】
流れ流量の測定のいかなるエラーも(測定によるか、又は推定によるかに関わりなく)、質量流量測定値が実際の質量流量に対応し得ないような、流入質量流量測定値及び/又は流出質量流量測定値の誤差に繋がり得る。例えば、質量流量測定値は、実際の質量流量測定値と関連する測定誤差との組み合わせとして解釈され得る。バイアス成分は、質量流量測定値のこのような誤差を補償する。したがって、質量流量不均衡値が非ゼロである場合であっても、バイアス成分があらゆる測定誤差を考慮し、ゼロ値を生成するようにバイアス質量流量不均衡値を調整することができるため、均衡状態を発生させることができる。
【0055】
全ての流入質量流量測定値の総計が全ての流出質量流量測定値に等しいため、質量流量不均衡値がゼロであり、質量流量測定の均衡が示されるが、圧力設定点PSPからの連結部圧力測定値PCが時間の経過に伴って変化する状況も発生できる。圧力設定点PSPが一定の場合、これは、実際の質量均衡が連結部22において流入流12、14と流出流14、16、18との間で達成されていないように、連結部でのガスの質量が一定ではない状況を示す。連結部圧力測定値PCが一定の圧力設定点PSPから変化する場合、圧力変化を軽減するために、バイアス成分値が調整されることになる。したがって、バイアス質量流量不均衡値は非ゼロであり、一定の連結部圧力測定値PCが達成されることにより示されるように、質量が均衡するまで、流れ12、14、16、18、20のうちの少なくとも1つの流量が調整される。
【0056】
圧力設定点PSPが変更された場合、圧力設定点に対する連結部圧力測定値、すなわち圧力設定点と連結部圧力設定との差が変化し、バイアス成分の調整が行われる。このバイアス成分の変更は、流入流及び流出流のうちの少なくとも1つの流量の調整に繋がり、システムを新しい連結部圧力設定点に移させる。
【0057】
例えば、連結部圧力設定点が増大した場合、新しい連結部圧力設定点PSPと連結部圧力測定値PCとの差の変更、例えば増大に応答して、バイアス成分が調整されることになる。バイアス成分の調整は、バイアス質量流量不均衡値の変更に繋がり、流入流のうちの1つ以上の質量流量の増大及び流出流のうちの1つ以上の質量流量の低減のうちの一方又は両方に繋がり、バイアス質量流量不均衡値をゼロに向けて移動させ、それにより、システムを新しい更に高い連結部圧力設定点に移させる。
【0058】
同様に、連結部圧力設定点が低減された場合、新しい連結部圧力設定点PSPと連結部圧力測定値PCとの差の変更、例えば負の値までもの低減に応答して、バイアス成分は調整される。バイアス成分の調整は、バイアス質量流量不均衡値の変更に繋がり、流入流のうちの1つ以上の質量流量の低減及び流出流のうちの1つ以上の質量流量の増大のうちの一方又は両方に繋がり、バイアス質量流量不均衡値をゼロに向けて移動させ、それにより、システムを新しいより低い連結部圧力設定点に移させる。
【0059】
一実施形態では、ある時間期間にわたって、好ましくは少なくとも30秒間、更に好ましくは少なくとも30分間、更に好ましくは少なくとも12時間、更に更に好ましくは少なくとも3日間にわたって連結部圧力測定値を一定の値に維持することが目的である。これは、圧力設定点PSPが一定の場合に可能である。
【0060】
図1は、流入流のうちの1つ及び/又は流出流のうちの1つの調整の2つの非限定的な例を示す。第1の例では、制御器XCは、第3の流出流ライン20内の第1の弁32等の好適度流量制御機構の信号線26に沿っての動作を介して、第3の流出流20の流量を調整するように構成される。
【0061】
第2の例では、制御器XCは、前記ライン14内の第2の弁34等の適した制御機構の信号線28に沿った動作を介して、第2の流入流14の流量を調整することが可能である。
【0062】
一実施形態では、バイアス質量流量不均衡値を低減する調整は、1つのみの流出流に対して、好ましくは、他の流出流の流量と比較して流量の変更及び/又は調整を一層容易に行うことが可能な流出流に対して実行できる。
【0063】
例えば、タービン等のガス流使用装置は、タービンの一定の動作を維持するために、ガス流量が最低ガス流量未満に変更すべきではない、又は特定の範囲内に維持すべきであるような、通常動作するために最低ガス流量を必要とできる。このようなタービンへの流出流に沿った蒸気又は燃料ガスの流量の調整は、例えば、排出ガスへのメタンの流量の調整と比較して、好ましくない場合がある。
【0064】
圧力設定点PSPからの連結部圧力測定値PCの変化、1つ以上の流入ガス流量流12、14の総計、及び/又は1つ以上の流出ガス流量流16、18、20の総計を考慮することにより、全ての流入質量流量の総計から、連結部22からの全ての流出質量流量の総計を減算したもの及びバイアス成分をゼロに低減しようとすることができる方法が提供される。
【0065】
ガス流量の変化は、多くの理由により、通常はガス流供給装置8及び/又はガス流使用装置10のうちの1つ以上の動作のばらつきにより生じ得る。一例は、ガス流流量の供給が、熱回収ユニットに関連付けられた装置、ユニット、又は機器により生み出される熱量に従って変化できる熱回収ユニットである。別の例は、1つ以上の層、ガス井、坑口装置からの天然ガス等の炭化水素流の供給装置である。
【0066】
1つ以上の各流入流の流量及び1つ以上の各流出流の流量を測定することにより、ほぼ瞬時の高速制御を行い、連結部22を通るガス流量を均衡させることが有利である。これは、連結部22を通るガス流量の質量を均等させる方法を提供し、また1つ以上の各ガス供給装置の生産と1つ以上の各ガス使用装置による消費とを均衡させる方法も提供することができる。
【0067】
流入流及び/又は流出流のうちの1つ以上のガス流量変化の小さな変化を制御するのと同様に、流入流及び/又は流出流のうちの1つ以上の大きな変化又は変化への高速対応も可能である。
【0068】
例えば、ボイラーが「トリップ」するか、その他の様式で急速に低下もしくは動作停止するか、又は別の大きな動作不具合を有する場合、例えば、第1の流入流12のガス流量が急速に低下できる。第1の流量測定器FP1からの流入流12の流入流量測定の変化により、これにすぐに気付くことができ、制御器XCは、1つ以上の各流出流の1つ以上の流量を即座に調整して、第1の流入流12の流量を低下させることにより、連結部22において作成されたバイアス流量不均衡値をゼロに向けて移動させる。
【0069】
同様に、流出流16、18、20のうちの1つ以上を全体的に実質的に低減及び/又は停止させる必要があり得、したがって、流出流16、18、20の流量測定が流出流量測定の総計に影響する。バイアス流量不均衡値をゼロに向けて低減させるために、制御器XCは、1つもしくは複数の他の各流出流及び/又は流入流のうちの1つもしくは複数の流量を即座に調整することができる。
【0070】
流入流のうちの1つもしくは複数及び/又は流出流のうちの1つもしくは複数の流量を調整する際に起こり得る変化に当業者ならば認識している。図1は、制御器XCによる流入流及び流出流のそれぞれの流量を別個に、及び/又は調整もしくは関連して調整できるようにする、各流入流12、14及び各流出流16、18、20の弁等の流量調整手段32,34、36を示す。
【0071】
連結部22における圧力も測定され、バイアス質量流量不均衡値をゼロに向けて低減させるために、流入流及び流出流12、14、16、18、20のうちの少なくとも1つの流量の調整の計算に影響する。図1は、連結部圧力測定値を供給するための圧力測定器PCによる連結部22でのガス圧の測定を示し、連結部圧力測定値は制御器XCに供給することができる。
【0072】
連結部圧力測定値の使用は、有利なことに、時間の経過に伴う連結部22内のガス圧の変化を計算し、圧力設定点が一定の場合、連結部圧力測定値の変化を使用して、圧力変化を軽減するようにバイアス成分を調整する能力を供与する。バイアス成分の調整は、バイアス質量流量不均衡値を変化させることができ、これは、上述したように、通常、流量測定の変化に基づく更に素早い調整と組み合わせて、時間の経過に伴う流入流及び流出流のうちの1つ以上の流量の変更に繋がり得る。
【0073】
全てとは言えないにしても大半のガスが、特に大きな容積内で低圧の場合に容易に圧縮される能力を有し、1つもしくは複数の流入流から流入するか、又は1つもしくは複数の流出流に流出するガスの流量に少なくとも大きくは影響せずに、このような容積内のガス質量を増大させることができる。圧力設定点が一定の場合、特に時間の経過に伴って連結部22でのガス圧を測定することにより、使用装置は、連結部22でのガス質量の変化を認識し、バイアス質量流量不均衡値のバイアス成分を変更することにより、流入流及び流出流のうちの1つ以上の流量を調整して、連結部のいかなる圧力変化にも対応することができる。
【0074】
したがって、ここで使用される方法は、素早い流量測定及び時間の経過に伴う、通常はより遅い圧力測定の両方に基づいて1つ以上の流入流及び流出流12、14、16、18、20の流量の調整を見て、連結部22を通るガス流量のはるかに正確な質量均衡を供給することができる。一定の連結部圧力測定値が観察される場合、流入流の総計と流出流の総計との質量ガス均衡が達成されている。すなわち、バイアス質量流量不均衡値はゼロである。
【0075】
例えば、或るガス供給装置8が利用不可能になった場合、ガス流使用装置10が必要とするガス装入(load)のその分担(share)は、残りのガス供給装置8が即座に引き継ぐことができる。これは、特定のガス流供給装置8の全装入であることもあれば、又はガス流供給装置10がカスケードから取り出された場合には増分装入であることもある。このような制御は、単なる全体圧力測定及び全体圧力制御よりも本質的に素早く、したがって、更に正確な個々の流量測定及び流量制御に基づいて実行される。
【0076】
個々の流量制御の他に圧力測定を使用することにより、ここで使用される流量(flow)のモデル及び制御の正確性を支援するためのフィードバックメカニズムが提供される。
【0077】
P1等の流量測定装置は、流入流12、14のうちの少なくとも1つのガス流量の直接測定を提供する。次に、このガス流量を使用して質量流量を計算し、全ての入力流にわたって総計して、流入質量流量測定値を供給することができる。
【0078】
追加及び/又は代替として、ガス供給装置8への流れの流量を測定することにより、ガス供給装置8からの流入流のうちの1つ以上の流量を測定することが可能である。
【0079】
例えば、ガス供給装置P2がボイラーである場合、適した燃料流量測定器FP3により、燃料ライン24に沿ったガス供給装置P2への燃料流量の測定を行うことができる。流量測定は、相対測定値を制御器XCに供給することが可能であり、相対測定値を使用して、ガス供給装置P2からの対応するガス流量を測定又は予測し(例えば、発熱量に基づいて)、ひいては、燃料ライン24を通る燃料流量の計算に基づいて、供給装置P2から生じることになる第2の流入ライン14に沿った予想ガス質量流量測定値を予測又は測定することができる。
【0080】
図1は、制御器XCが、信号線30を通しての好適な弁38への信号により、燃料ライン24の流量を調整することができる更なる実施形態を示し、燃料流量のこの調整は、ガス供給装置P2からの第2の流入流14の相対流量を調整することになり、それにより、流入流の流量を間接的に調整することにより第2の流入流14のガス流量を制御するシステムを提供する。
【0081】
これは、例えば、蒸気ボイラーのトリップが、幾つかの状況において、停止前に測定される蒸気生成に短期間の増大を生み出できる場合に特に有利であり得る。この増大は、増大しつつあると見られる流量測定を提供する(ボイラーへの燃料の測定が来るべきガス流量の低減を示すのに対して)。これは、蒸気ボイラーの蒸気ドラム内の圧力が低いことから、短期間で蒸気生成が増大する間に、蒸気ドラムが平衡に戻るため発生する。したがって、蒸気ボイラーからの流入流の流量測定を使用して、流入流の過大評価が得られ、次に、この過大評価により、その他の流入流及び/又は流出流のうちの1つ以上の調整が不要となり得る。したがって、追加及び/又は代替として、正確な流量測定として、蒸気ボイラーへの流体流の流量を測定し(提供中の燃料ガスの低下、ひいては連結部22への流入ラインに沿った蒸気流量の低下の見込みを示すことがある)、次に、制御器XCがこれを理解しなければならないことが有利かも知れない。
【0082】
図1は、連結部を通る1つ以上の流入流から1つ以上の流出流までのガス流量の質量均衡を制御可能な様々な実施形態を示す。
【0083】
図2は、第2の実施形態によるガス流量を制御するシステムの種々の集成装置を示す。
【0084】
図2では、第1のガス流供給装置FG1が、メタン等の燃料ガスの第1の流入流42を供給し、この流量は、第1の流量測定器FFG1により測定することができ、第1の弁42aにより制御することができる。
【0085】
図2は、第2の流入流44に沿った燃料ガスFG2の第2のソースである第2のガス流供給装置FG2を示し、その流量は、第2の弁44aにより制御することができ、第2の流量測定器FFG2により測定することができる。
【0086】
流入流42、44は、当分野において既知の燃料ガスマニホールド等の連結部22に集められ、燃料ガスを3つの流出流46、48、50に供給し、流出流は燃料ガスを、例えば、第1のボイラーB1、第2のボイラーB2、及び第1のガスタービンT1のそれぞれに渡す。連結部22は、燃料ガスを第4の流出流52にも供給して、図2において「EG」と記される排出ガスを供給する。
【0087】
図2は、流量測定器FFG1、FFG2、FB1、FB2、FT1、及びFEG並びに流入流42、44及び流出流46、48、50、及び52のそれぞれの各弁42a、44a、46a、48a、50a、及び52aを示す。流量測定器は、上述したようにして各流の流量測定値を制御器XCに供給し(単に明確さのために図2に示されてない信号線に沿って)、制御器XCは、各弁を別個に、あるいは調整し、統合し、及び/又は関連して制御することが可能である。
【0088】
図2は、連結部22内のガス圧の圧力測定PCも示し、圧力測定値を制御器XCに中継することができる。圧力設定点PSPも制御器XCに入力することができる。
【0089】
図2の特定の特徴は、連結部22のバイアス質量流量不均衡値をゼロに移動させるように、排出ガス流出流52の流量を調整することである。このようにして、流出流46、48、及び50に沿った燃料ガス流量の変化を回避するか、又は非常に必要とされない限り少なくとも最小限に抑えて、圧力設定点PSPが一定の場合、第1及び第2のボイラーB1、B2並びに第1の蒸気タービンT1への燃料ガス流量を可能な限り一定に維持することができる。したがって、燃料ガスの第1の流入流42及び/又は第2の流入流44の流量のいかなる変化にも、その維持又は一定性が、少なくとも本例では、第1及び第2のボイラーB1、B2並びに第1の蒸気タービンT1に対する流量要件ほどは厳しくない排出ガスEGの流量を調整することにより対応することができ、その間、第1及び第2のボイラーB1及びB2からの流出並びに第1の蒸気タービンT1からの流出を可能な限り維持することができる。
【0090】
更に、例えば、下流の電力需要の低減に続き、第1及び第2のボイラーB1、B2並びに第1の蒸気タービンT1のうちの1つ以上の流出を低減し、及び/又は停止させる場合、制御器XCからの信号線54に沿って弁52aを動作させて、第4の流出流52の流量を調整することにより、第1及び第2の流入流42、44からの連続ガス流量の高速で容易な適応を提供することができる。
【0091】
したがって、ここに開示した方法及び装置が、ガスの性質並びに流入流及び流出流のうちの1つ以上に沿ったガス流量の変更率又は変化率に関わりなく、連結部での質量均衡を通してガス流量のいかなる変化に対しても柔軟性を提供することが更に利点である。
【0092】
ガス流供給装置及びガス流使用装置のうちの1つ以上での所望の変化又は制御された変化に基づいて、流入流及び/又は流出流のうちの1つ以上の変化を行い得ることが、ここに開示した方法及び装置の別の利点である。例えば、ガス流のガス流生成装置及び/又はガス流使用装置のうちの1つ以上に対してメンテナンスを実行することが望まれる場合、ガス流使用装置及び/又はガス流供給装置のうちの1つからのガス流量又はそれらのうちの1つへのガス流量がないこと、及び/又はガス流量の低減を考慮して、連結部22を通るガス流量の変化を調整することができる。
【0093】
同様に、もう1つのガス流供給装置及びガス流使用装置がある場合、流入流の流動(flow)の開始及び/又はガス使用装置への流動の開始は、その他の流入流及び/又は流出流の調整により適応することができる。
【0094】
流量測定と弁等の流量制御器との間での測定及び信号の動作及び提供は、当業者に既知であり、図1及び図2に示される制御器XC等の中央制御器を使用して実施してもよく、又はなしで実施してもよい。
【0095】
図3は、第3の実施形態によるガス流量を制御するシステムを示す。
【0096】
図3では坑口装置62が、天然ガス等の炭化水素流の供給源であり、これは入力流64を供給する。入力流64は連結部66を通って渡され、本実施形態では、図3に示される連結部66は、炭化水素流を坑口装置62と炭化水素処理設備70等の続く炭化水素流使用装置との間で搬送する或る長さのパイプラインであってよい。
【0097】
適した炭化水素処理設備70は、通常は炭化水素流の仕様を変更することを目的とする1つ以上の処理プラント又は処理ユニットを含み得る。これは、酸性ガス除去ユニット(AGRU)内での酸性ガス除去、例えば、液化天然ガス工場内での炭化水素流の冷却、好ましくは液化、及び/又は液ガス化工場等の炭化水素流を使用しての重質製品流の供給等の炭化水素流の1つ以上の処理を含み得る。
【0098】
炭化水素処理設備70は、坑口装置62に近くてもよいが、一般には、坑口装置62から幾らかの距離のところにあり、坑口装置62での、又は坑口装置62の近傍での炭化水素流64の流量変化が、炭化水素処理設備70での、又は炭化水素処理設備70の近傍でのガス流量の変化と同じではない場合がある。坑口装置62及び炭化水素処理設備70は、当分野において既知のいかなる陸上/海上の設備であってもよい。
【0099】
本実施形態によれば、流入流64の流量を、坑口装置62にあるか、その近傍にある流量測定器FHC1により測定し、第1の流量測定値を第1の信号線72に沿って制御器XCに供給することができる。その一方で、炭化水素処理設備70にあるか、又はその近傍にある流出流68の流量を第2の流量測定器FHC2により測定することができ、第2の流量測定器FHC2は、流量測定値を第2の信号線74に沿って制御器XCに供給することができる。更に、連結部66での炭化水素流の圧力も、ガス圧測定PCにより供給して、線76に沿って連結部圧力測定値を供給することができる。連結部圧力設定点PSPも制御器XCに供給することができる。
【0100】
制御器XCにおいて、FHC1からの流入流量測定値とFHC2からの流出流量測定値と比較して、それらの質量流量不均衡値を提供する。バイアス成分が質量流量不均衡値に加算されて、バイアス質量流量不均衡値が得られる。バイアス成分は、圧力設定点PSPからの連結部圧力測定値PCの変更に応答して、このような圧力変化を軽減するように調整される。バイアス質量流量不均衡値がゼロよりも大きいか、又は小さい場合、任意に第1及び第2の流量測定器FHC1、FHC2を通る各信号を介して、流入流64のライン内の第1の弁78及び/又は流出流68のライン内の第2の弁80の制御により、流入流64又は流出流68の流量の調整を行うことができる。
【0101】
圧力測定器PCからの圧力測定値は、流入流64と流出流68との間で炭化水素流を搬送するパイプラインに沿った連結部66での任意の圧力変化の指標を提供し、パイプラインに沿った時間の経過に伴う圧力変化の任意の傾向の指標を提供する。圧力が経時変化している場合、バイアス成分が、圧力設定点PSPからの連結部圧力測定値の変更に応答して、これら変化を軽減するように調整されるため、バイアス質量流量不均衡値も変化する。これにより、バイアス質量流量不均衡値が変更される。バイアス質量流量不均衡値の変更に応答して、流入流の実際の総計流量と流出流の実際の総計流量との均衡を示す一定の連結部圧力測定値が達成されるまで、流入流及び流出流のうちの一方又は両方の流量を調整することができる。
【0102】
パイプラインが数km長等のように長いか、又は非常に長い場合、連結部圧力測定値のいかなる変化も、ガスの漏出もしくは浸出又は詰まりの指標となることが可能で、さもなければ、流量測定器FHC1及びFHC2での入力流64及び流出流68の流量が一定又は維持されているように見える場合には測定できないかも知れない。
【0103】
任意に、入力流64を、1つ以上の他の坑口装置又は他の炭化水素ソースからの1つ以上の他の流入流64a及び64bと組み合わせできる。このような全ての流入流及び/又は流入流源は、流量測定前に単一の流入流として供給してもよく、及び/又はそれぞれの流量測定値を有する複数の流入流として供給してもよい。
【0104】
上述した方法及び装置の一実施態様では、利用可能な流量測定が信頼できないことが分かったため、実際の測定値よりもむしろ、流入流のうちの幾つかの流量の固定された推定が使用された。推定では、生成装置がトリップした場合にゼロ流量を想定し、生成装置が通常動作している場合には最大流量を想定した。このような推定に基づく流入流量の測定でもやはり、ガス流量を連結部に供給している機器が「トリップ」した場合、殆どの恩恵が得られる。例えば、ボイラー「A」の形態の特定の生成装置が、通常動作中には80tphの蒸気を生成し、トリップした場合には0tphであると推定された。トリップした場合、制御器XCはそれに応答して、他の生成装置からの流入流量を調整して、80tphを総計流入流量に追加する。トリップ時、ボイラー「A」が実際には91tphを生成していた場合、これは、第1の応答において、制御器がその他の流入流に完全に十分に追加するようには流量を調整せず、流入流量と流出流量とを均衡させるために有するべきうちの僅か約90%であったことを意味する。この場合、連結部内の圧力は、設定点からゆっくりと低減し、制御器にバイアス値を調整させて(バイアス値の調整により、バイアス質量流量不均衡値がゼロから離れて移動した結果、更なる流量調整に繋がる)、推定の不正確性により生じる誤差を軽減する。
【0105】
添付の特許請求の範囲から逸脱せずに、本発明は多くの様々な方法で実施できることを当業者ならば理解しよう。
【符号の説明】
【0106】
P1 第1のガス流供給装置
P2 第2のガス流供給装置
U1 第1のガス流使用装置
U2 第2のガス流使用装置
U3 第3のガス流使用装置
P1 第1の流入流量測定器
P2 第2の流入流量測定器
U1 第1の流出流量測定器
U2 第2の流出流量測定器
U3 第3の流出流量測定器
XC 制御器
PC 連結部圧力測定器
PSP 連結部圧力設定点
10 ガス流使用装置
12 第1の流入流
14 第2の流入流
16 第1の流出流
18 第2の流出流
20 第3の流出流
22 連結部(ヘッダー又はマニホールド)
32 流量調整器、流量調整手段又は弁
34 流量調整器、流量調整手段又は弁
36 流量調整器、流量調整手段又は弁
38 流量調整器、流量調整手段又は弁
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0107】
【非特許文献1】Honeywell s.r.o,PragueのHoneywell Prague Laboratoryによる「Honeywell Unified Energy Solutions Portfolio Reduces Operational Costs and Maximises Profit of Power and Heat Production」

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結部(22)を通して1つ以上の流入流(12、14)と1つ以上の流出流(16、18、20)との間のガス流量を制御する方法であって、
(a)少なくとも1つの前記流入流(12、14)の質量流量を測定して、1つ以上の流入質量流量測定値を供給する工程と、
(b)少なくとも1つの前記流出流(16、18、20)の質量流量を測定して、1つ以上の流出質量流量測定値を供給する工程と、
(c)工程(a)の全ての前記流入質量流量測定値の総計を工程(b)の全ての前記流出質量流量測定値の総計と比較し、バイアス成分を加算して、バイアス質量流量不均衡値を供給することにより、前記バイアス質量流量不均衡値を供給する工程と、
(d)前記連結部(22)におけるガス圧を示す数量を測定して、連結部圧力測定値(PC)を供給する工程と、
(e)前記流入流及び前記流出流(12、14、16、18、20)のうちの少なくとも1つの流量を調整して、前記バイアス質量流量不均衡値をゼロに向けて移動させる工程と、
(f)圧力設定点(PSP)からの前記連結部圧力測定値(PC)の変化に応答して、前記バイアス質量流量値の前記バイアス成分を調整して、前記圧力設定点(PSP)からの前記連結部圧力測定値(PC)の変化を軽減する工程と、
を少なくとも含む該方法。
【請求項2】
前記バイアス質量流量不均衡値が、(全ての流入質量流量測定値の合計)−(全ての流出質量流量測定値の合計)+バイアス成分である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の各流入流(12、14)は、水蒸気、燃料ガス、1つ以上の炭化水素類、窒素、及び水素を含む群から選択される1つ以上である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも2つの流入流(12、14)を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも2つの流出流(16、18、20)を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記連結部(22)がマニホールドである請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上の各入力流(12、14)は各ガス流供給装置(8)により供給され、前記1つ以上の各流出流(14、16、18)はガス流使用装置(10)に供給される請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記流入流のうちの少なくとも1つは、ボイラー(B1)、熱回収ユニット、炭化水素ソース、及び炭化水素処理ユニットを含む群から選択される1つ以上であるガス流供給装置(8)から供給される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記流出流のうちの少なくとも1つは、ボイラー(B1)、タービン(T1)、排出ガス(EG)、及び炭化水素処理ユニット(HPC)を含む群から選択される1つ以上であるガス流使用装置(10)に供給される請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記質量流量の測定が、前記流入流(12、14)のうちの少なくとも1つのガス流量の直接的な測定(FP1、FP2)を含む請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記質量流量の測定が、前記流入流(12、14)のうちの少なくとも1つのガス流量の間接的な測定(FP1、FP2)を含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記質量流量の測定が、少なくとも1つのガス流供給装置(8)への流体流(24)の流量(FP3)の測定を含み、前記ガス流供給装置(8)からの少なくとも1つの流入流からの流量の測定値を供給する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
1つの流出流(20)の流量を直接調整することを含む請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの流入流(14)の流量を間接的に調整することを含む請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
流入流(64)が坑口装置(62)により供給され、少なくとも1つの流出流(68)が炭化水素処理設備(70)に供給される請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
連結部(22)を通して1つ以上の流入流(12、14)と1つ以上の流出流(16、18、20)との間のガス流量を制御する装置であって、
前記流入流(12、14)のそれぞれ1つの流量を表す1つ以上の流入質量流量測定値の1つをそれぞれ供給できる1つ以上の流入流量測定器(FP1、FP2)と、
前記流出流(16、18、20)のそれぞれ1つの流量を表す1つ以上の流出質量流量測定値の1つをそれぞれ供給できる1つ以上の流出流量測定器(FU1、FU2、FU3)と、
前記連結部(22)におけるガスの圧力を示す数量を測定して、連結部圧力測定値(PC)を供給することが可能な1つ以上の圧力測定器(PC)と、
前記流入流及び前記流出流(12、14、16、18、20)のうちの少なくとも1つの流量を調整する1つ以上の流量調整器(32、34、36、38)と、
前記流入流量測定器(FP1、FP2)の前記流入質量流量測定値の総計を前記流出流量測定器(FU1、FU2、FU3)の前記流出質量流量測定値の総計と比較し、バイアス成分を加算して、バイアス質量流量不均衡値を供給することにより、前記バイアス質量流量不均衡値を供給し、前記連結部圧力測定値(PC)を受信し、前記流入流及び前記流出流(12、14、16、18、20)のうちの少なくとも1つの流量を調整して、前記バイアス質量流量不均衡値をゼロに向けて移動させるように、1つ以上の前記流量調整器(32、34、36、38)に命令し、圧力設定点(PSP)からの前記連結部圧力測定値(PC)の変化に応答して、前記バイアス質量流量不均衡値の前記バイアス成分を調整して、前記圧力設定点(PSP)からの前記連結部圧力測定値(PC)の変化を軽減するための制御器(XC)と、
を少なくとも備える該装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−530755(P2011−530755A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522509(P2011−522509)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060432
【国際公開番号】WO2010/018191
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(390023685)シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ (411)
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】