複数のモジュール収容ベイを備えたシールドケージ
【解決手段】電子モジュール用電磁障害(EMI)シールドケージは、導電性の下側パネル、該下側パネルと電気的に結合する導電性の後側パネル、前記下側パネルと電気的に結合する導電性の細長いカバー、及び、前記下側パネル、後側パネル及び細長いカバーと電気的かつ機械的に結合する第1及び第2の側壁を含む。前記下側パネル、後側パネルの少なくとも1つと電気的に結合する複数の接地脚並びに第1及び第2の側壁は、基準電位へのEMI信号に電気的な経路を提供する。下側、上側及び側壁を取囲む導電性の圧縮可能なガスケットは、EMI抑制機能を高める。上側及び下側にタブを係合するガスケットは、該ガスケットとパネルとの間の電気的接続を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電子モジュールを電磁障害から遮蔽(へい)するために使用されるシールドケージに関し、より詳細には、複数のモジュールを収容するシールドケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術においては、電磁障害(EMI)からの遮蔽を必要とする電子回路は、EMI信号を抑制するシートメタルシャーシ又はハウジング内に取付けられることが多い。従来技術のEMIシールドケージは、ある程度はEMIを抑制するが、シャーシ前面パネルを適切に接地することができる手段ではなかった。シャーシ部品の嵌(は)め合いが緩いと電気的接触は不十分になる。EMIの電力レベルと周波数によって異なるが、シャーシ部品の嵌め合いが緩い場合は、通常、EMIシールドが不十分になる。
【0003】
この問題を解決するために、当該技術分野では、回路基板に取付けられる金属製シールドケージが開発されてきた。そのような公知のケージでは、1個のシールドケージは、1枚のメタルシートあるいは2枚のシートメタル片から構成される。ルータやサーバ等に使用される電子部品を遮蔽するためには、1個のモジュール又は装置に対して1個のシールドケージを設けなければならない。そのようなモジュールは、幅方向に離間された状態で回路基板上に配設されるため、この構成では大きなスペースが必要となる。このモジュールは、SFP(small form-factor pluggable )構造を有する場合があり、また、光学的トランシーバや電気アダプタ等を含む場合がある。このトランシーバ構成においては、装置は、光データ信号を受取ってそれを電気信号に変換した後、該電気信号を、一般に回路基板上に回路として配置された電気的インターフェイスに送る。装置回路基板に取付けられ接地によってEMI遮蔽されたケージが設けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、回路基板の接地回路に確実に接地された複数のモジュールあるいは電子アダプタを収容した金属シールドケージを提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明の一般的な目的は、複数の電子モジュール又はアダプタを収容し、ケージが複数の別々の箇所で回路基板上の接地回路に接続されているシールドケージを提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、導電性材料で形成されベースプレートを含む複数ベイシールドケージを提供することであり、前記ベースプレートは、ケージの側面を画定する少なくとも1対の外部壁と、該外部壁の中間に配設されケージの内部を少なくとも2個のモジュール収容レセプタクルに分割する少なくとも1枚の内部壁とを備え、前記ケージは、ベースの外部側壁間を上方から閉じるカバー部材を更に含む。
【0007】
本発明の更に他の目的は、複数のモジュール収容ベイを有するシールドケージであって、該ケージは、下側壁を有する基部とその周囲に立つ少なくとも2枚の側壁と、互いに離間して基部に接合され協働して側壁を画定する複数の別個の内部壁部材と、複数のモジュール収容ベイとを備え、前記ケージはベイを上から閉じるカバー部を更に含み、前記内部壁部材は基部及びカバー部に接合されてケージの構造を形成し、前記内部壁部材から、該内部壁部材を回路基板上の接地回路に接続するための接地脚が垂下し、それにより各モジュールベイ間で接地するための少なくとも1個の接続が提供されるシールドケージを提供することである。
【0008】
本発明の更に他の目的は、改善された構造を有するシールドケージを提供することであり、該シールドケージは、複数の電子モジュールを収容するための複数のベイを有し、前記ケージは、導電性材料で形成されたベースと導電性材料で形成されたカバーとを有し、このベース及びカバーは、係合されるとその間にレセプタクルを構成し、ベースは更に、カバーと電気接触するように延在してベースとカバーとの間に導電経路を確立する部材と、レセプタクルを複数のレセプタクルにさらに分割するためにベースとカバーの両方と係合する複数の内部壁部材とを含み、該内部壁は、ケージのカバーと係合する係合部材と、支持回路基板に接続するための係合部材及び接地ピンを備え、内部壁部材の接地ピンは、ケージのベースに沿って接地するための経路を短くする。
【0009】
本発明は、これらの目的を、平坦(たん)なベースプレートと、該プレートを回路基板に取付ける接地ピンとが一体形成された構造によって達成する。前記接地ピンは、真っ直ぐなピンでも変形可能な取付ピンでもよく、ベースの両縁に沿って形成されることが好ましい。導電性カバー部材はベースと係合してこれら2個の部材間に導電経路が形成される。複数の内部壁部材が提供され、該内部壁部材の下縁に沿って一体の接地ピンが並んで延在している。この接地ピンは、ベースの穴に収容され、ケージが取付けられた回路基板上の接地回路と接触する。内部壁の接地ピンは、ベースの接地経路の距離を短くする働きをする。
【0010】
本発明のこれら及びその他の目的、特徴及び利点は、以下の詳しい説明を検討することにより明白に理解されよう。
【0011】
この詳しい説明において、添付図面をしばしば参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、1以上の電子モジュールを収容するための電磁障害(EMI)シールドケージ100の斜視図である。電子モジュールは、通常、回路基板34上の回路と他の電子装置との間の接続を提供するために使用される。これらは一般に、データ伝送サーバやルータに使用される。そのようなモジュールは、例えば、小さい回路基板を用いて、該回路基板に取付けられ、ケージ100の後部内に保持されたカードエッジコネクタと嵌(かん)合するアダプタや、光ファイバケーブルによって送られた光信号を電気信号に変換し回路基板34上の回路によって送る光トランシーバを含む。モジュールあるいはアダプタは、回路基板34に取付けられた個別のベイ又はレセプタクルに差込まれるが、ベイは、装置の外部と連通する(好ましくは、装置のパネル28を通って連通する)開口部を備える。これら金属ケージ100は、モジュールを外部の電磁波から遮蔽し、モジュールから出る電磁波を閉込めるために使用される。
【0013】
図示されるシールドケージ100は実質的に長方形であるが、他の形状を使用してもよいと理解されよう。シールドケージ100は、一般に、シートメタルで形成された導電性パネルで構成され、該パネルは、下側パネル12、後側パネル16、カバーすなわち上側パネル18並びに側面パネル20及び22を含み、これらはすべてケージ100の「外側」パネル又は壁と考えることができる。好ましい実施形態においては、これら外側パネル12、16、18、20及び22は、穴の空いたシートメタルと穴のないシートメタルのいずれからも製造することができ経済的である。穴の空いたシートメタルを用いた場合、ケージ100内における空気の移動はより多くなるが、EMI遮蔽の減少を犠牲にする可能性がある。代替的実施形態においては、導電性下側パネル12は、シールドケージ100を取付ける回路基板34の上面に、例えば、銅から成る導電体層によって設けることができる。
【0014】
図示される好ましい実施形態においては、外側パネルの一部、すなわち、下側パネル12は、ケージの基部を画定することができ、一方、上側又はカバーパネル18、側壁20及び22並びに後側壁16は協働してケージのカバー部を画定することができる。説明のために2個の部品から成るケージを示すが、外側パネルが一緒に1枚のシートメタル片から形成されてもよいと理解されよう。シートメタル製造の技術分野における当業者であれば、単一の適切な大きさのシートメタルパネルを曲げることによって様々な外側パネルを容易に形成することができると理解するであろう。また、様々な同様の代替実施形態においては、1以上の個別に打抜かれたパネルから様々な外側パネル12、16、18、20及び22を形成し、ケージ100に組立てることができる。
【0015】
図1から分かるように、ケージ100を構成するパネル12、16、18、20及び22は、図1に内部電子モジュール空間24として示す容積を取囲み、この空間にはケージの開口26からアクセス可能であり、シールドケージ100内に覆われたコネクタ(図示せず)に電子モジュールを組込む際に電子モジュールをこの開口26から挿入することができる。コネクタは、一般に、回路基板の領域125に取付けられ、回路基板と結合して該回路基板上の信号トレース126と接続する。下側パネル12の奥行きD1は、コネクタ自体及びコネクタと組合された回路基板トレース126と干渉しないように、上側パネル16の奥行きD2よりも浅いことが好ましい。
【0016】
導電性下側パネル12、後側パネル16、カバー18、側壁20及び22は、電子モジュール空間24内に1以上の電子装置を取囲むように互いに電気的かつ機械的に結合されている。これにより、電子装置がケージ100の外側からの電磁障害信号から遮蔽されるだけでなく、空間24内の電子モジュールから生じその電子モジュールから他のモジュールに向かって送られる可能性があるEMI信号を電子モジュール空間24内に閉込める。したがって、下側パネル12、後側パネル16、カバー18、側壁20及び22がすべて互いに電気的に結合され、ケージ100が支持された回路基板34上あるいは回路基板内34の導電接地経路によって接地電位に接続されることが重要である。
【0017】
図1から分かるように、ケージ100は、装置の前面パネル28と組合せられるとともに位置合せされており、前面パネル28には開口30が形成されており、該開口30を通して電子モジュールをケージ100の内部空間、すなわち、ベイ24に挿入することができる。前面パネル28は、一般に導電性であり、EMI抑制機能を高めることができ、また、ラベルを貼(はり)付けるための基台を提供することができる。図1に示されるように、前面パネル28は、開口30が下側パネル12、カバー18並びに第1及び第2の側壁20及び22の一部を包むあるいは取囲むような大きさ及び形状を有している。図示の実施形態では、前面パネルが、上側パネル18、側面パネル20及び22並びに下側パネル12の周りに配置されるので、通常、前面パネル28の開口30の寸法は、前面パネル28とケージ100の外側パネルとを密に機械的に結合させたり、電気的に接続させたりすることができないようなものである。
【0018】
図1には図示されていないが、導電性の圧縮可能なガスケットがカバー28の後ろに配置されており、これにより、前面パネル28と外側パネルとの間の改善された電気接続が提供される。圧縮可能なガスケット32は導電性材料で形成される。好ましい実施形態においては、圧縮可能なガスケット32は、小径ワイヤを編んだものから成り、容易に曲げることができ、外側パネルの表面の凹凸や不完全さがあっても外側パネルに沿わせることができる程度の剛性を有する。他の実施形態においては、ガスケットは、外側面などを金属めっきすることによって選択的に全体を金属被覆した層から成るフォームラバー等の圧縮可能で柔軟な可塑性物質で形成されてもよい。圧縮可能なガスケット32は、装置前面パネル28の後側面29とシールドケージ100の外周部の両方に、下側パネル12、側面パネル20及び22並びに上側パネル18を介して接触しており、これにより、それらパネル同士は実質的に連続して電気的に接続される。導電性の圧縮可能なガスケット32は、回路基板の接地回路に接地されたケージ100の各パネルに前面パネル28を接地することによってEMI遮蔽を提供するのを助ける。
【0019】
図2はEMIシールドケージ100の部品の分解図である。図2により分かりやすく示すように、導電性ガスケット32は、前面パネル30の後ろ、かつ、実質的に剛性の導電性ガスケット裏当て部材40の前に配置されている。ガスケット32が圧縮可能なので、ガスケット裏当て部材40は、好ましくは、平坦であり、ガスケット32を上側パネル18、側壁20及び22並びに下側パネル12の外側において装置前面パネル後側面29とケージ100との間で圧縮するのを支援する大きさ及び形状を有している。この点において、ガスケットの厚さD3は圧縮されないものであり、好ましくは、前面パネル後側面29とケージ100の係合タブ36との間の厚さより大きい。
【0020】
図2で分かるように、ガスケット裏当て部材、すなわち、支持板40はいくつかの凹部41を有し、該凹部41は、ケージ部品の一部として形成されたいくつかの「L」字形のガスケット係合タブ36を収容するようにガスケット裏当て部材40に形成される。ガスケット係合タブ36は、好ましくは、ケージ100の上部と下部とを打抜き形成することによって形成される。L字形係合タブ36は、後部36aと締付部36bを含む。該締付部36bは裏当て部材40と、好ましくはその凹部41において係合して裏当て部材40をケージ100上の所定の位置に保持し、後部36aは、裏当て部材40を所定の位置に維持するとともに、裏当て部材がケージ外側を更に後方に移動するのを防止する止め面を提供する。この点において、係合タブ後部36aと前面パネル後側面29との間の距離D4(図10)は、ガスケット40の厚さD3より小さく、ケージとパネルとを組立てたときにガスケット40が圧縮されるように選択されることが好ましい。図面に示したように、ケージ100の前端を前面パネル開口30内の所定の位置に保持するためにキャップ27を利用することができる。
【0021】
さらに、ガスケット裏当て部材40がガスケット32に対して押されたとき、ケージ100の上側パネルと下側パネルの各パネルから突出するいくつかのガスケット係合タブ36が、裏当て部材40を超えてガスケット32(図9)の中(又は上)に達し、それにより、係合タブ36は、導電性ガスケット32と機械的かつ電気的に接触する。したがって、係合タブ36とガスケット32との間の機械的かつ電気的接触によって、前面パネル30と外側パネル12、16、18、20及び22との間に電気的連続性が提供される。厚さD3及びD4が異なるため、ケージ組立体が前面パネル28に対して押されたときにガスケットが圧縮され、前面パネル開口30におけるケージ100周辺において導電接触が確実になる。
【0022】
図3は、内部壁42を含むEMIシールドケージ100の分解図を示し、内部壁42の配置と形状によって次のような利点を提供する。すなわち、上側パネル及び下側パネルの剛性が高まる、上側パネルと下側パネルとの間におけるガスケットによる電気的かつ機械的な接続を向上させる、複数の接地脚として機能することによって、これを介して回路基板34の接地あるいは基準電位まで導電経路長が短くなるという利点が提供される。図3には3枚の内部壁42を示したが、ケージ100の代替的実施形態においては、任意の数の内部壁を後述するように構成し配置することができる。
【0023】
図3においては、ケージ100の3枚の内部側壁42は、上側パネル18と下側パネル12の両方に対して実質的に垂直に向けられ、ケージ100の内部に第1及び第2のモジュール空間あるいはベイを画定しており、前記空間内に電子モジュールを取付けてEMI吸収から守ることができる(また、そのEMI伝達を低減することができる)。壁42は、各壁42の上側と下側に形成され配設された複数の内部壁係合タブ50によって直交する(上下)向きに維持されることが好ましい。内部壁42は更に好ましくは、いくつかのより長い接地脚52によって向きが維持され、接地脚52は下側パネル12の孔(あな)を貫通して、好ましくはケージ100が取付けられるとともに接地される回路基板の中まで延在するのに十分な長さである。接地脚52は「針の目」型の変形可能なピンとして示されている。
【0024】
内部側壁42の内部壁係合タブ50は、上側カバー18と下側パネル12とに配設された相手側スロット、すなわち、相補的スロット51から突出するような大きさ及び形状を有している。そのようなタブ50は、上側パネル及び下側パネルに対する固定と電気的結合のために内部壁42に設けられているが、当然ながら、上側パネル18及び下側パネル12が十分な長さを有しタブ51を挿入するために必要な相補的スロット51を備えていれば、外部側壁20及び22も係合タブ50を備えることができ、該タブ50によって側壁20及び22を上側パネル及び/又は下側パネルに接合することができる。
【0025】
「相補的」という点において、内部壁係合タブ50が過度の遊びなしにスロットに嵌ることが好ましく、スロット51はそのような幅及び長さを有するものである。係合タブ50がこれらパネルのスロット51から突出する場合、係合タブ50を所定の位置にピーニング、スエージング、ローレット加工、はんだ付、ろう付、溶接あるいは接着することができ、これにより、内部壁42を下側パネル12と同様にカバー18に機械的かつ電気的に接合する。当業者は、内部壁係合タブ50の上側と下側だけにピーニング、スエージング、ローレット加工してもよいことを理解するであろう。ピーニング、スエージング、ローレット加工の他に、内部壁係合タブ50をはんだ付、ろう付、溶接あるいは導電性接着材を使って接着してもよく、これらはすべてピーニングあるいはローレット加工した係合タブの同等な実施形態であると考えられる。図面にはこのような係合タブ50が7個示されており、ケージの長手方向に互いに離間しており、係合タブ50の一部又はすべてが、内部側壁42の上縁と下縁に沿って互いに位置合せされていてもよい。
【0026】
内部壁42は更に、各壁42の下側にいくつかの接地脚52を含むことが好ましい。同様に、各側壁20及び22もその下側にいくつかの接地脚52を有し、該接地脚52は、ケージ100の金属製部品から、一般に、ケージ100が取付けられる回路基板上又は回路基板内の接地あるいは基準電位まで電流が流れる経路を提供する。カードケージ100の下側領域の全体に亘(わた)って近接して規則的に離間されたいくつかの接地脚52を使用し、該接地脚52を回路基板34の基準電位に電気的に接合することによって、内部空間24内の電子モジュールに対するEMIが接地又は基準電位により迅速に送られ、これにより、EMI抑制機能が改善される。
【0027】
図4は、図2に示される切断線4−4から見たEMI抑制ケージ100の図である。EMIシールドケージ100は、前述の接地脚52によって回路基板34上の導電経路、すなわち、「トレース」に機械的かつ電気的に取付けられているが、接地脚52は、図4には図示されていない。
【0028】
図4において、上側カバー18と側壁20及び22とを接合する角部19における丸みは、上側カバー18を形成する単一のメタルシートを曲げて側壁20及び22を形成したために形成されたものである。ガスケット係合締付部36bは、カバー18の上から所定の距離Hだけ突出したものとして示されている。同様に、下側係合タブ36のガスケット係合タブ締付部36bも下側パネル12から同じ距離Hだけ下に突出している。ガスケット係合タブ締付部が上側カバー18から上に、あるいは、下側パネル12から下に突出する高さHだけ、ガスケット係合タブ36は導電性の圧縮可能なガスケット32を圧縮し及び/又はガスケット32内に延在することができ、これにより、該ガスケット32とケージの導電性の外側パネル及び内部壁との間に電気経路が提供される。
【0029】
図5は、組立てた状態のEMIシールドケージ100の他の斜視図である。この図では、内部壁42と、接地脚52と、上側パネル18より上と下側パネル12より下に突出する内部壁係合タブ50の使用とをより明瞭に示すために、前面パネル30を取除き左前角部を切取った状態を示している。図5から分かるように、各内部壁42は中空の第1及び第2のモジュール収容レセプタクル41、43を画定しており、その中にデータ通信トランシーバ等の電子モジュールを組込み、EMI信号から保護することができる、あるいは、電子モジュール自体のEMI信号を抑制することができる。好ましい実施形態においては、図5から分かるように、ガスケット係合タブ36は、上側カバー18を形成するシートメタルから打抜くことによって形成される。ケージ100を取付ける回路基板や他の基板への接続を可能にするために、数本の接地脚52がケージ100の下側から延在している。図3、5及び6に示した脚は、はんだ付用の稠密(ちょうみつ)な中実な脚として示されているが、図7に示した接地脚は、貫通孔(こう)をめっきして取付けるための穴の空いた変形可能なピンとして示されている。
【0030】
はんだ脚を回路基板上の導電体に取付けて、良好な接続を実現するいくつかの方法がある。係合タブ50のように、はんだ脚は、いくつかの方法で回路基板のコネクタ(あるいは他の基板)に取付けることができ、その方法としては、ピーニング、ローレット加工、スエージング、はんだ付及びろう付が挙げられる。
【0031】
図6は、図2の切断線6−6に沿ったケージ100の他の図であり、側壁20及び22並びに内部壁42を示す。各電子モジュール空間24の背面部、すなわち、後部にはモジュール接触要素として知られている圧縮取付タブ60が設けられている。該圧縮取付タブ60は、金属カバー18を打抜くことによって形成され、電子モジュール空間24内に取付けられた電子モジュールに付勢力を提供する。この付勢力は、モジュールが接続されるモジュール空間24内のコネクタへの結合を促進するようにケージレセプタクル内に挿入されたモジュールの位置を維持するために使用することができる。
【0032】
図7は、内部壁42のうちの1枚の側面を示し、内部壁42を上面パネル18及び下面パネル12に対して直角に維持するとともに改善された接地接続を提供する内部壁係合タブ50と変形可能な接地脚52とを示す。接地脚52は、壁42の下縁から延在し、EMIシールドケージ100を電気的かつ機械的に取付ける(図7には示していないが、図6に符号34で示す)回路基板の接地電位に壁42を電気的に結合するための構造、すなわち、「手段」を提供する。好ましい実施形態では、壁42の上縁と下側に沿って壁係合タブ50が設けられているが、代替的の実施形態においては、上側だけに係合タブ50を使用し、下側にははんだ脚52だけを用いる。壁係合タブは、上側カバー18と下側パネル12のスロット51を貫通して延在するのに十分な高さのものであり、その高さ分がピーニング、スエージング、ローレット加工、はんだ付、ろう付、溶接あるいは接着を行うことができる材料となって、壁係合タブ50が上側パネル18と下側パネル12に電気的に接続される。機械技術分野における当業者であれば、壁係合タブ50をピーニング、スエージングあるいはローレット加工することによって、壁42と上側カバー18及び下側パネル12との間の機械的接続と同様に電気的接続が提供されることを理解することができるであろう。
【0033】
内部側壁42上の接地脚52は、遮蔽及び短絡の問題のために短い接地経路を提供するということが重要である。図示されるような接地脚52が内部側壁42に設けられていないと、ケージ100に設けられた接地脚は外部側壁20及び22の2個だけとなる。図11Aに「Z」で示された中央ベイ内のモジュールに短絡が生じると、接地経路は、図にZ1として示す短絡位置から外部側壁までの距離に亘って延在することになり、この距離は、少なくともケージ下側パネル12の幅の半分とほぼ等しい。内部側壁42に接地脚を追加すると、この距離がかなり短くなる。図11Bに示されように、Zで短絡が生じた場合、内部壁の近くの接地脚までの接地経路はZ2で示され、距離Z1よりかなり短い。
【0034】
図8は、電子モジュール空間24の背面部、すなわち、後部と圧縮タブ60とを示す。該圧縮タブ60は、カバー18を打抜くことによって形成されることが好ましい。圧縮タブ60は、空間24に組込まれる回路基板又はトランシーバモジュールに対して下向きの力61を提供するように大きさ及び位置が決められている。下向きの力61は、電子モジュール空間24内のモジュールとコネクタ(図示せず)との間の電気的接触を維持するように作用する。
【0035】
図9は、EMIシールドケージ100の外側パネルと電気的接触及び機械的接触した状態の導電性の圧縮可能なガスケット32の断面図を示す。前述の平坦なガスケット裏当て部材40が、ガスケット係合タブ36と圧縮可能なガスケット32との間に配置されていることが分かる。ガスケット係合タブ36とガスケット32との間の物理的接触は、ガスケットとカバー18、下側12及び側面(図9には示されていない)との間の電気接触を改善する。
【0036】
図10は、EMIシールドケージ100に取付けられた前面カバー28と、電子モジュール空間24に組込む電子モジュールが通る前面開口30とを示す。ガスケット係合タブ36と係合する導電性の圧縮可能なガスケット32によって、前面パネル28と金属導電性パネルとの間に確実な電気的接触を提供することができる。
【0037】
このEMIシールドケージ構造の重要な特徴は、ガスケット係合タブ36に対応して内部壁42が配置されていることである。ガスケット32が圧縮可能なので、前面パネル28をケージ100に取付けてガスケット32を圧縮することによって、ガスケット係合タブ36に力がかかる。換言すると、圧縮可能なガスケット32は、ガスケット係合タブ36をガスケット32から遠ざかる方向に回転させて上側パネル18と下側パネル12とを変形あるいは湾曲させる傾向がある。上側パネル及び下側パネルの厚さとガスケット32の硬さによって異なるが、上側パネルと下側パネルとが大きく曲がってしまうことがある。
【0038】
したがって、圧縮ガスケット40が前面パネル28と係合タブ36とに対して押されるあるいは付勢されたときに圧縮ガスケット40が引き起こす変形あるいは湾曲に対抗して上側パネル18及び下側パネル12を補強あるいは強化するために、前述の側壁42は、ガスケット係合タブ36の下又は上に位置決めあるいは配置される。言い換えると、内部壁42は、係合タブ36間に配置されていることによって、上側パネル18と下側パネル12とに曲げ剛性を提供し、圧縮性発泡材32が係合タブ36と前面パネル28との間で圧縮されたときに上側パネル18と下側パネル12に加わる力に対抗できるように上側パネル18と下側パネル12とを補強する。図2、3、4及び5から分かるように、(1枚又は複数枚の)内部壁42は、圧縮可能な導電性ガスケット32がガスケット係合タブ36に与える力に対して上側パネルと下側パネルを補強するために、ガスケット係合タブ36の直ぐ下に配置される。
【0039】
壁係合タブ52を上側パネル18と下側パネル12とに電気的に接合することによって、内部壁42は、上側パネル18と下側パネル12とに対して実質的に垂直の向きに維持され、上側パネルと下側パネルに更に高い曲げ剛性を提供することができる。ガスケット係合タブ42の下方の内部壁42によって上側パネル18と下側パネル12とを補強することにより、パネルの厚さとケージ100の重さとを通常必要な厚さ及び重さよりも大幅に低減することができる。
【0040】
好ましい実施形態において、導電性の圧縮可能なガスケット40は、導電性材料を処理あるいは含浸した圧縮可能な発泡材で形成される。一実施形態においては、ガスケット40は材料を連続した輪であり、代替的実施形態においては、ガスケットは線状の材料をケージ100の周囲に巻付け、好ましくは、上側パネル18、側面パネル20及び22、下側パネル12、前面パネル28並びに係合タブ36と電気的に接触させたものとすることができる。また、ガスケットを所定の位置に保持するためにガスケットの内側面に接着材層を貼付けてもよい。圧縮可能で導電性のガスケット材料を用い、いくつかの接地脚52を用いることによって、従来技術に優る接地及びEMIシールドを達成する。
【0041】
以上のことから、導電性前面パネル28と導電性パネルで構成されたモジュールシールドケージとの間に導電性ガスケット材料を使用することによって、EMI抑制が改善されることは明らかである。内部壁42を適切に配置することによって、圧縮可能なガスケット40によって生じる曲げモーメントに耐えることができ、ケージ100の各パネルとその前面パネル28との間の電気的接触を更に改善することができる。接地脚52を均一に分散又は配置することによって、回路基板内の接地電位までの経路を最短にすることができ、EMI抑制を更に改善することができる。
【0042】
電子モジュール容積24内に電子データ通信トランシーバや双方向無線等の電子モジュールを配置すると、該モジュールからのEMIが抑制されるとともに、外部EMI発生源からこれらモジュールを隔離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の原理に従って構成され、回路基板上、かつ、電子装置のパネル開口内の所定の位置に配置された状態で示されたケージ組立体の部分断面斜視図である。
【図2】EMIシールドケージのパネル、前面EMI制御ガスケット組立体及びパネルを示す分解図である。
【図3】図1の組立体全体の分解図である。
【図4】図2の線4−4に沿ったケージ組立体の正面図である。
【図5】図1のシールドケージの部分断面斜視図であり、内部壁がケージのカバーと下側(ベース)を貫通して延在する状態を分かりやすく示すために一部を取除いて示す。
【図6】回路基板へのケージの接続状態を示すために切断線6−6に沿って切断された図1のケージの断面図であり、回路基板上の所定の位置に取付けられた状態を示す。
【図7】図1のケージ組立体の内部壁のうちの1枚の側面図である。
【図8】線8−8に沿って切断した図5のケージ組立体の後側壁の部分断面図であり、ケージカバーの後側に形成されたモジュール接点要素を示す。
【図9】切断線9−9に沿って切断した図2のケージ組立体の前端の部分断面図であり、EMI制御ガスケットがケージの前端の所定の位置に取付けられ保持された状態を示す。
【図10】パネルを貫通し図1の線10−10に沿って切断された以外は図9と同様の図である。
【図11A】本発明のケージ内の接地経路の関係を示す図である。
【図11B】本発明のケージ内の接地経路の関係を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電子モジュールを電磁障害から遮蔽(へい)するために使用されるシールドケージに関し、より詳細には、複数のモジュールを収容するシールドケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術においては、電磁障害(EMI)からの遮蔽を必要とする電子回路は、EMI信号を抑制するシートメタルシャーシ又はハウジング内に取付けられることが多い。従来技術のEMIシールドケージは、ある程度はEMIを抑制するが、シャーシ前面パネルを適切に接地することができる手段ではなかった。シャーシ部品の嵌(は)め合いが緩いと電気的接触は不十分になる。EMIの電力レベルと周波数によって異なるが、シャーシ部品の嵌め合いが緩い場合は、通常、EMIシールドが不十分になる。
【0003】
この問題を解決するために、当該技術分野では、回路基板に取付けられる金属製シールドケージが開発されてきた。そのような公知のケージでは、1個のシールドケージは、1枚のメタルシートあるいは2枚のシートメタル片から構成される。ルータやサーバ等に使用される電子部品を遮蔽するためには、1個のモジュール又は装置に対して1個のシールドケージを設けなければならない。そのようなモジュールは、幅方向に離間された状態で回路基板上に配設されるため、この構成では大きなスペースが必要となる。このモジュールは、SFP(small form-factor pluggable )構造を有する場合があり、また、光学的トランシーバや電気アダプタ等を含む場合がある。このトランシーバ構成においては、装置は、光データ信号を受取ってそれを電気信号に変換した後、該電気信号を、一般に回路基板上に回路として配置された電気的インターフェイスに送る。装置回路基板に取付けられ接地によってEMI遮蔽されたケージが設けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、回路基板の接地回路に確実に接地された複数のモジュールあるいは電子アダプタを収容した金属シールドケージを提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明の一般的な目的は、複数の電子モジュール又はアダプタを収容し、ケージが複数の別々の箇所で回路基板上の接地回路に接続されているシールドケージを提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、導電性材料で形成されベースプレートを含む複数ベイシールドケージを提供することであり、前記ベースプレートは、ケージの側面を画定する少なくとも1対の外部壁と、該外部壁の中間に配設されケージの内部を少なくとも2個のモジュール収容レセプタクルに分割する少なくとも1枚の内部壁とを備え、前記ケージは、ベースの外部側壁間を上方から閉じるカバー部材を更に含む。
【0007】
本発明の更に他の目的は、複数のモジュール収容ベイを有するシールドケージであって、該ケージは、下側壁を有する基部とその周囲に立つ少なくとも2枚の側壁と、互いに離間して基部に接合され協働して側壁を画定する複数の別個の内部壁部材と、複数のモジュール収容ベイとを備え、前記ケージはベイを上から閉じるカバー部を更に含み、前記内部壁部材は基部及びカバー部に接合されてケージの構造を形成し、前記内部壁部材から、該内部壁部材を回路基板上の接地回路に接続するための接地脚が垂下し、それにより各モジュールベイ間で接地するための少なくとも1個の接続が提供されるシールドケージを提供することである。
【0008】
本発明の更に他の目的は、改善された構造を有するシールドケージを提供することであり、該シールドケージは、複数の電子モジュールを収容するための複数のベイを有し、前記ケージは、導電性材料で形成されたベースと導電性材料で形成されたカバーとを有し、このベース及びカバーは、係合されるとその間にレセプタクルを構成し、ベースは更に、カバーと電気接触するように延在してベースとカバーとの間に導電経路を確立する部材と、レセプタクルを複数のレセプタクルにさらに分割するためにベースとカバーの両方と係合する複数の内部壁部材とを含み、該内部壁は、ケージのカバーと係合する係合部材と、支持回路基板に接続するための係合部材及び接地ピンを備え、内部壁部材の接地ピンは、ケージのベースに沿って接地するための経路を短くする。
【0009】
本発明は、これらの目的を、平坦(たん)なベースプレートと、該プレートを回路基板に取付ける接地ピンとが一体形成された構造によって達成する。前記接地ピンは、真っ直ぐなピンでも変形可能な取付ピンでもよく、ベースの両縁に沿って形成されることが好ましい。導電性カバー部材はベースと係合してこれら2個の部材間に導電経路が形成される。複数の内部壁部材が提供され、該内部壁部材の下縁に沿って一体の接地ピンが並んで延在している。この接地ピンは、ベースの穴に収容され、ケージが取付けられた回路基板上の接地回路と接触する。内部壁の接地ピンは、ベースの接地経路の距離を短くする働きをする。
【0010】
本発明のこれら及びその他の目的、特徴及び利点は、以下の詳しい説明を検討することにより明白に理解されよう。
【0011】
この詳しい説明において、添付図面をしばしば参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、1以上の電子モジュールを収容するための電磁障害(EMI)シールドケージ100の斜視図である。電子モジュールは、通常、回路基板34上の回路と他の電子装置との間の接続を提供するために使用される。これらは一般に、データ伝送サーバやルータに使用される。そのようなモジュールは、例えば、小さい回路基板を用いて、該回路基板に取付けられ、ケージ100の後部内に保持されたカードエッジコネクタと嵌(かん)合するアダプタや、光ファイバケーブルによって送られた光信号を電気信号に変換し回路基板34上の回路によって送る光トランシーバを含む。モジュールあるいはアダプタは、回路基板34に取付けられた個別のベイ又はレセプタクルに差込まれるが、ベイは、装置の外部と連通する(好ましくは、装置のパネル28を通って連通する)開口部を備える。これら金属ケージ100は、モジュールを外部の電磁波から遮蔽し、モジュールから出る電磁波を閉込めるために使用される。
【0013】
図示されるシールドケージ100は実質的に長方形であるが、他の形状を使用してもよいと理解されよう。シールドケージ100は、一般に、シートメタルで形成された導電性パネルで構成され、該パネルは、下側パネル12、後側パネル16、カバーすなわち上側パネル18並びに側面パネル20及び22を含み、これらはすべてケージ100の「外側」パネル又は壁と考えることができる。好ましい実施形態においては、これら外側パネル12、16、18、20及び22は、穴の空いたシートメタルと穴のないシートメタルのいずれからも製造することができ経済的である。穴の空いたシートメタルを用いた場合、ケージ100内における空気の移動はより多くなるが、EMI遮蔽の減少を犠牲にする可能性がある。代替的実施形態においては、導電性下側パネル12は、シールドケージ100を取付ける回路基板34の上面に、例えば、銅から成る導電体層によって設けることができる。
【0014】
図示される好ましい実施形態においては、外側パネルの一部、すなわち、下側パネル12は、ケージの基部を画定することができ、一方、上側又はカバーパネル18、側壁20及び22並びに後側壁16は協働してケージのカバー部を画定することができる。説明のために2個の部品から成るケージを示すが、外側パネルが一緒に1枚のシートメタル片から形成されてもよいと理解されよう。シートメタル製造の技術分野における当業者であれば、単一の適切な大きさのシートメタルパネルを曲げることによって様々な外側パネルを容易に形成することができると理解するであろう。また、様々な同様の代替実施形態においては、1以上の個別に打抜かれたパネルから様々な外側パネル12、16、18、20及び22を形成し、ケージ100に組立てることができる。
【0015】
図1から分かるように、ケージ100を構成するパネル12、16、18、20及び22は、図1に内部電子モジュール空間24として示す容積を取囲み、この空間にはケージの開口26からアクセス可能であり、シールドケージ100内に覆われたコネクタ(図示せず)に電子モジュールを組込む際に電子モジュールをこの開口26から挿入することができる。コネクタは、一般に、回路基板の領域125に取付けられ、回路基板と結合して該回路基板上の信号トレース126と接続する。下側パネル12の奥行きD1は、コネクタ自体及びコネクタと組合された回路基板トレース126と干渉しないように、上側パネル16の奥行きD2よりも浅いことが好ましい。
【0016】
導電性下側パネル12、後側パネル16、カバー18、側壁20及び22は、電子モジュール空間24内に1以上の電子装置を取囲むように互いに電気的かつ機械的に結合されている。これにより、電子装置がケージ100の外側からの電磁障害信号から遮蔽されるだけでなく、空間24内の電子モジュールから生じその電子モジュールから他のモジュールに向かって送られる可能性があるEMI信号を電子モジュール空間24内に閉込める。したがって、下側パネル12、後側パネル16、カバー18、側壁20及び22がすべて互いに電気的に結合され、ケージ100が支持された回路基板34上あるいは回路基板内34の導電接地経路によって接地電位に接続されることが重要である。
【0017】
図1から分かるように、ケージ100は、装置の前面パネル28と組合せられるとともに位置合せされており、前面パネル28には開口30が形成されており、該開口30を通して電子モジュールをケージ100の内部空間、すなわち、ベイ24に挿入することができる。前面パネル28は、一般に導電性であり、EMI抑制機能を高めることができ、また、ラベルを貼(はり)付けるための基台を提供することができる。図1に示されるように、前面パネル28は、開口30が下側パネル12、カバー18並びに第1及び第2の側壁20及び22の一部を包むあるいは取囲むような大きさ及び形状を有している。図示の実施形態では、前面パネルが、上側パネル18、側面パネル20及び22並びに下側パネル12の周りに配置されるので、通常、前面パネル28の開口30の寸法は、前面パネル28とケージ100の外側パネルとを密に機械的に結合させたり、電気的に接続させたりすることができないようなものである。
【0018】
図1には図示されていないが、導電性の圧縮可能なガスケットがカバー28の後ろに配置されており、これにより、前面パネル28と外側パネルとの間の改善された電気接続が提供される。圧縮可能なガスケット32は導電性材料で形成される。好ましい実施形態においては、圧縮可能なガスケット32は、小径ワイヤを編んだものから成り、容易に曲げることができ、外側パネルの表面の凹凸や不完全さがあっても外側パネルに沿わせることができる程度の剛性を有する。他の実施形態においては、ガスケットは、外側面などを金属めっきすることによって選択的に全体を金属被覆した層から成るフォームラバー等の圧縮可能で柔軟な可塑性物質で形成されてもよい。圧縮可能なガスケット32は、装置前面パネル28の後側面29とシールドケージ100の外周部の両方に、下側パネル12、側面パネル20及び22並びに上側パネル18を介して接触しており、これにより、それらパネル同士は実質的に連続して電気的に接続される。導電性の圧縮可能なガスケット32は、回路基板の接地回路に接地されたケージ100の各パネルに前面パネル28を接地することによってEMI遮蔽を提供するのを助ける。
【0019】
図2はEMIシールドケージ100の部品の分解図である。図2により分かりやすく示すように、導電性ガスケット32は、前面パネル30の後ろ、かつ、実質的に剛性の導電性ガスケット裏当て部材40の前に配置されている。ガスケット32が圧縮可能なので、ガスケット裏当て部材40は、好ましくは、平坦であり、ガスケット32を上側パネル18、側壁20及び22並びに下側パネル12の外側において装置前面パネル後側面29とケージ100との間で圧縮するのを支援する大きさ及び形状を有している。この点において、ガスケットの厚さD3は圧縮されないものであり、好ましくは、前面パネル後側面29とケージ100の係合タブ36との間の厚さより大きい。
【0020】
図2で分かるように、ガスケット裏当て部材、すなわち、支持板40はいくつかの凹部41を有し、該凹部41は、ケージ部品の一部として形成されたいくつかの「L」字形のガスケット係合タブ36を収容するようにガスケット裏当て部材40に形成される。ガスケット係合タブ36は、好ましくは、ケージ100の上部と下部とを打抜き形成することによって形成される。L字形係合タブ36は、後部36aと締付部36bを含む。該締付部36bは裏当て部材40と、好ましくはその凹部41において係合して裏当て部材40をケージ100上の所定の位置に保持し、後部36aは、裏当て部材40を所定の位置に維持するとともに、裏当て部材がケージ外側を更に後方に移動するのを防止する止め面を提供する。この点において、係合タブ後部36aと前面パネル後側面29との間の距離D4(図10)は、ガスケット40の厚さD3より小さく、ケージとパネルとを組立てたときにガスケット40が圧縮されるように選択されることが好ましい。図面に示したように、ケージ100の前端を前面パネル開口30内の所定の位置に保持するためにキャップ27を利用することができる。
【0021】
さらに、ガスケット裏当て部材40がガスケット32に対して押されたとき、ケージ100の上側パネルと下側パネルの各パネルから突出するいくつかのガスケット係合タブ36が、裏当て部材40を超えてガスケット32(図9)の中(又は上)に達し、それにより、係合タブ36は、導電性ガスケット32と機械的かつ電気的に接触する。したがって、係合タブ36とガスケット32との間の機械的かつ電気的接触によって、前面パネル30と外側パネル12、16、18、20及び22との間に電気的連続性が提供される。厚さD3及びD4が異なるため、ケージ組立体が前面パネル28に対して押されたときにガスケットが圧縮され、前面パネル開口30におけるケージ100周辺において導電接触が確実になる。
【0022】
図3は、内部壁42を含むEMIシールドケージ100の分解図を示し、内部壁42の配置と形状によって次のような利点を提供する。すなわち、上側パネル及び下側パネルの剛性が高まる、上側パネルと下側パネルとの間におけるガスケットによる電気的かつ機械的な接続を向上させる、複数の接地脚として機能することによって、これを介して回路基板34の接地あるいは基準電位まで導電経路長が短くなるという利点が提供される。図3には3枚の内部壁42を示したが、ケージ100の代替的実施形態においては、任意の数の内部壁を後述するように構成し配置することができる。
【0023】
図3においては、ケージ100の3枚の内部側壁42は、上側パネル18と下側パネル12の両方に対して実質的に垂直に向けられ、ケージ100の内部に第1及び第2のモジュール空間あるいはベイを画定しており、前記空間内に電子モジュールを取付けてEMI吸収から守ることができる(また、そのEMI伝達を低減することができる)。壁42は、各壁42の上側と下側に形成され配設された複数の内部壁係合タブ50によって直交する(上下)向きに維持されることが好ましい。内部壁42は更に好ましくは、いくつかのより長い接地脚52によって向きが維持され、接地脚52は下側パネル12の孔(あな)を貫通して、好ましくはケージ100が取付けられるとともに接地される回路基板の中まで延在するのに十分な長さである。接地脚52は「針の目」型の変形可能なピンとして示されている。
【0024】
内部側壁42の内部壁係合タブ50は、上側カバー18と下側パネル12とに配設された相手側スロット、すなわち、相補的スロット51から突出するような大きさ及び形状を有している。そのようなタブ50は、上側パネル及び下側パネルに対する固定と電気的結合のために内部壁42に設けられているが、当然ながら、上側パネル18及び下側パネル12が十分な長さを有しタブ51を挿入するために必要な相補的スロット51を備えていれば、外部側壁20及び22も係合タブ50を備えることができ、該タブ50によって側壁20及び22を上側パネル及び/又は下側パネルに接合することができる。
【0025】
「相補的」という点において、内部壁係合タブ50が過度の遊びなしにスロットに嵌ることが好ましく、スロット51はそのような幅及び長さを有するものである。係合タブ50がこれらパネルのスロット51から突出する場合、係合タブ50を所定の位置にピーニング、スエージング、ローレット加工、はんだ付、ろう付、溶接あるいは接着することができ、これにより、内部壁42を下側パネル12と同様にカバー18に機械的かつ電気的に接合する。当業者は、内部壁係合タブ50の上側と下側だけにピーニング、スエージング、ローレット加工してもよいことを理解するであろう。ピーニング、スエージング、ローレット加工の他に、内部壁係合タブ50をはんだ付、ろう付、溶接あるいは導電性接着材を使って接着してもよく、これらはすべてピーニングあるいはローレット加工した係合タブの同等な実施形態であると考えられる。図面にはこのような係合タブ50が7個示されており、ケージの長手方向に互いに離間しており、係合タブ50の一部又はすべてが、内部側壁42の上縁と下縁に沿って互いに位置合せされていてもよい。
【0026】
内部壁42は更に、各壁42の下側にいくつかの接地脚52を含むことが好ましい。同様に、各側壁20及び22もその下側にいくつかの接地脚52を有し、該接地脚52は、ケージ100の金属製部品から、一般に、ケージ100が取付けられる回路基板上又は回路基板内の接地あるいは基準電位まで電流が流れる経路を提供する。カードケージ100の下側領域の全体に亘(わた)って近接して規則的に離間されたいくつかの接地脚52を使用し、該接地脚52を回路基板34の基準電位に電気的に接合することによって、内部空間24内の電子モジュールに対するEMIが接地又は基準電位により迅速に送られ、これにより、EMI抑制機能が改善される。
【0027】
図4は、図2に示される切断線4−4から見たEMI抑制ケージ100の図である。EMIシールドケージ100は、前述の接地脚52によって回路基板34上の導電経路、すなわち、「トレース」に機械的かつ電気的に取付けられているが、接地脚52は、図4には図示されていない。
【0028】
図4において、上側カバー18と側壁20及び22とを接合する角部19における丸みは、上側カバー18を形成する単一のメタルシートを曲げて側壁20及び22を形成したために形成されたものである。ガスケット係合締付部36bは、カバー18の上から所定の距離Hだけ突出したものとして示されている。同様に、下側係合タブ36のガスケット係合タブ締付部36bも下側パネル12から同じ距離Hだけ下に突出している。ガスケット係合タブ締付部が上側カバー18から上に、あるいは、下側パネル12から下に突出する高さHだけ、ガスケット係合タブ36は導電性の圧縮可能なガスケット32を圧縮し及び/又はガスケット32内に延在することができ、これにより、該ガスケット32とケージの導電性の外側パネル及び内部壁との間に電気経路が提供される。
【0029】
図5は、組立てた状態のEMIシールドケージ100の他の斜視図である。この図では、内部壁42と、接地脚52と、上側パネル18より上と下側パネル12より下に突出する内部壁係合タブ50の使用とをより明瞭に示すために、前面パネル30を取除き左前角部を切取った状態を示している。図5から分かるように、各内部壁42は中空の第1及び第2のモジュール収容レセプタクル41、43を画定しており、その中にデータ通信トランシーバ等の電子モジュールを組込み、EMI信号から保護することができる、あるいは、電子モジュール自体のEMI信号を抑制することができる。好ましい実施形態においては、図5から分かるように、ガスケット係合タブ36は、上側カバー18を形成するシートメタルから打抜くことによって形成される。ケージ100を取付ける回路基板や他の基板への接続を可能にするために、数本の接地脚52がケージ100の下側から延在している。図3、5及び6に示した脚は、はんだ付用の稠密(ちょうみつ)な中実な脚として示されているが、図7に示した接地脚は、貫通孔(こう)をめっきして取付けるための穴の空いた変形可能なピンとして示されている。
【0030】
はんだ脚を回路基板上の導電体に取付けて、良好な接続を実現するいくつかの方法がある。係合タブ50のように、はんだ脚は、いくつかの方法で回路基板のコネクタ(あるいは他の基板)に取付けることができ、その方法としては、ピーニング、ローレット加工、スエージング、はんだ付及びろう付が挙げられる。
【0031】
図6は、図2の切断線6−6に沿ったケージ100の他の図であり、側壁20及び22並びに内部壁42を示す。各電子モジュール空間24の背面部、すなわち、後部にはモジュール接触要素として知られている圧縮取付タブ60が設けられている。該圧縮取付タブ60は、金属カバー18を打抜くことによって形成され、電子モジュール空間24内に取付けられた電子モジュールに付勢力を提供する。この付勢力は、モジュールが接続されるモジュール空間24内のコネクタへの結合を促進するようにケージレセプタクル内に挿入されたモジュールの位置を維持するために使用することができる。
【0032】
図7は、内部壁42のうちの1枚の側面を示し、内部壁42を上面パネル18及び下面パネル12に対して直角に維持するとともに改善された接地接続を提供する内部壁係合タブ50と変形可能な接地脚52とを示す。接地脚52は、壁42の下縁から延在し、EMIシールドケージ100を電気的かつ機械的に取付ける(図7には示していないが、図6に符号34で示す)回路基板の接地電位に壁42を電気的に結合するための構造、すなわち、「手段」を提供する。好ましい実施形態では、壁42の上縁と下側に沿って壁係合タブ50が設けられているが、代替的の実施形態においては、上側だけに係合タブ50を使用し、下側にははんだ脚52だけを用いる。壁係合タブは、上側カバー18と下側パネル12のスロット51を貫通して延在するのに十分な高さのものであり、その高さ分がピーニング、スエージング、ローレット加工、はんだ付、ろう付、溶接あるいは接着を行うことができる材料となって、壁係合タブ50が上側パネル18と下側パネル12に電気的に接続される。機械技術分野における当業者であれば、壁係合タブ50をピーニング、スエージングあるいはローレット加工することによって、壁42と上側カバー18及び下側パネル12との間の機械的接続と同様に電気的接続が提供されることを理解することができるであろう。
【0033】
内部側壁42上の接地脚52は、遮蔽及び短絡の問題のために短い接地経路を提供するということが重要である。図示されるような接地脚52が内部側壁42に設けられていないと、ケージ100に設けられた接地脚は外部側壁20及び22の2個だけとなる。図11Aに「Z」で示された中央ベイ内のモジュールに短絡が生じると、接地経路は、図にZ1として示す短絡位置から外部側壁までの距離に亘って延在することになり、この距離は、少なくともケージ下側パネル12の幅の半分とほぼ等しい。内部側壁42に接地脚を追加すると、この距離がかなり短くなる。図11Bに示されように、Zで短絡が生じた場合、内部壁の近くの接地脚までの接地経路はZ2で示され、距離Z1よりかなり短い。
【0034】
図8は、電子モジュール空間24の背面部、すなわち、後部と圧縮タブ60とを示す。該圧縮タブ60は、カバー18を打抜くことによって形成されることが好ましい。圧縮タブ60は、空間24に組込まれる回路基板又はトランシーバモジュールに対して下向きの力61を提供するように大きさ及び位置が決められている。下向きの力61は、電子モジュール空間24内のモジュールとコネクタ(図示せず)との間の電気的接触を維持するように作用する。
【0035】
図9は、EMIシールドケージ100の外側パネルと電気的接触及び機械的接触した状態の導電性の圧縮可能なガスケット32の断面図を示す。前述の平坦なガスケット裏当て部材40が、ガスケット係合タブ36と圧縮可能なガスケット32との間に配置されていることが分かる。ガスケット係合タブ36とガスケット32との間の物理的接触は、ガスケットとカバー18、下側12及び側面(図9には示されていない)との間の電気接触を改善する。
【0036】
図10は、EMIシールドケージ100に取付けられた前面カバー28と、電子モジュール空間24に組込む電子モジュールが通る前面開口30とを示す。ガスケット係合タブ36と係合する導電性の圧縮可能なガスケット32によって、前面パネル28と金属導電性パネルとの間に確実な電気的接触を提供することができる。
【0037】
このEMIシールドケージ構造の重要な特徴は、ガスケット係合タブ36に対応して内部壁42が配置されていることである。ガスケット32が圧縮可能なので、前面パネル28をケージ100に取付けてガスケット32を圧縮することによって、ガスケット係合タブ36に力がかかる。換言すると、圧縮可能なガスケット32は、ガスケット係合タブ36をガスケット32から遠ざかる方向に回転させて上側パネル18と下側パネル12とを変形あるいは湾曲させる傾向がある。上側パネル及び下側パネルの厚さとガスケット32の硬さによって異なるが、上側パネルと下側パネルとが大きく曲がってしまうことがある。
【0038】
したがって、圧縮ガスケット40が前面パネル28と係合タブ36とに対して押されるあるいは付勢されたときに圧縮ガスケット40が引き起こす変形あるいは湾曲に対抗して上側パネル18及び下側パネル12を補強あるいは強化するために、前述の側壁42は、ガスケット係合タブ36の下又は上に位置決めあるいは配置される。言い換えると、内部壁42は、係合タブ36間に配置されていることによって、上側パネル18と下側パネル12とに曲げ剛性を提供し、圧縮性発泡材32が係合タブ36と前面パネル28との間で圧縮されたときに上側パネル18と下側パネル12に加わる力に対抗できるように上側パネル18と下側パネル12とを補強する。図2、3、4及び5から分かるように、(1枚又は複数枚の)内部壁42は、圧縮可能な導電性ガスケット32がガスケット係合タブ36に与える力に対して上側パネルと下側パネルを補強するために、ガスケット係合タブ36の直ぐ下に配置される。
【0039】
壁係合タブ52を上側パネル18と下側パネル12とに電気的に接合することによって、内部壁42は、上側パネル18と下側パネル12とに対して実質的に垂直の向きに維持され、上側パネルと下側パネルに更に高い曲げ剛性を提供することができる。ガスケット係合タブ42の下方の内部壁42によって上側パネル18と下側パネル12とを補強することにより、パネルの厚さとケージ100の重さとを通常必要な厚さ及び重さよりも大幅に低減することができる。
【0040】
好ましい実施形態において、導電性の圧縮可能なガスケット40は、導電性材料を処理あるいは含浸した圧縮可能な発泡材で形成される。一実施形態においては、ガスケット40は材料を連続した輪であり、代替的実施形態においては、ガスケットは線状の材料をケージ100の周囲に巻付け、好ましくは、上側パネル18、側面パネル20及び22、下側パネル12、前面パネル28並びに係合タブ36と電気的に接触させたものとすることができる。また、ガスケットを所定の位置に保持するためにガスケットの内側面に接着材層を貼付けてもよい。圧縮可能で導電性のガスケット材料を用い、いくつかの接地脚52を用いることによって、従来技術に優る接地及びEMIシールドを達成する。
【0041】
以上のことから、導電性前面パネル28と導電性パネルで構成されたモジュールシールドケージとの間に導電性ガスケット材料を使用することによって、EMI抑制が改善されることは明らかである。内部壁42を適切に配置することによって、圧縮可能なガスケット40によって生じる曲げモーメントに耐えることができ、ケージ100の各パネルとその前面パネル28との間の電気的接触を更に改善することができる。接地脚52を均一に分散又は配置することによって、回路基板内の接地電位までの経路を最短にすることができ、EMI抑制を更に改善することができる。
【0042】
電子モジュール容積24内に電子データ通信トランシーバや双方向無線等の電子モジュールを配置すると、該モジュールからのEMIが抑制されるとともに、外部EMI発生源からこれらモジュールを隔離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の原理に従って構成され、回路基板上、かつ、電子装置のパネル開口内の所定の位置に配置された状態で示されたケージ組立体の部分断面斜視図である。
【図2】EMIシールドケージのパネル、前面EMI制御ガスケット組立体及びパネルを示す分解図である。
【図3】図1の組立体全体の分解図である。
【図4】図2の線4−4に沿ったケージ組立体の正面図である。
【図5】図1のシールドケージの部分断面斜視図であり、内部壁がケージのカバーと下側(ベース)を貫通して延在する状態を分かりやすく示すために一部を取除いて示す。
【図6】回路基板へのケージの接続状態を示すために切断線6−6に沿って切断された図1のケージの断面図であり、回路基板上の所定の位置に取付けられた状態を示す。
【図7】図1のケージ組立体の内部壁のうちの1枚の側面図である。
【図8】線8−8に沿って切断した図5のケージ組立体の後側壁の部分断面図であり、ケージカバーの後側に形成されたモジュール接点要素を示す。
【図9】切断線9−9に沿って切断した図2のケージ組立体の前端の部分断面図であり、EMI制御ガスケットがケージの前端の所定の位置に取付けられ保持された状態を示す。
【図10】パネルを貫通し図1の線10−10に沿って切断された以外は図9と同様の図である。
【図11A】本発明のケージ内の接地経路の関係を示す図である。
【図11B】本発明のケージ内の接地経路の関係を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子モジュール用電磁障害(EMI)シールドケージであって、
回路基板に取付ける下側部材と、
前記下側部材に電気的に結合された導電性カバー部材と、
前記下側部材及びカバー部材に電気的に結合された第1及び第2の導電性外部側壁であって、各々から少なくとも1つの垂下している外部接地脚を含む第1及び第2の外部側壁と、
前記下側部材とカバー部材に電気的に結合された少なくとも1つの内部壁とを有し、該内部壁は、垂下して前記下側部材内に配設された対応する開口を貫通し、前記回路基板上の接地回路に接続される少なくとも1つの内部接地脚を含み、
前記下側部材、外部側壁及び内部壁並びにカバー部材が、電子モジュールを収容するための前記ケージの少なくとも2つの別個の隣合った内部キャビティを画定し、それぞれの内部キャビティが、前記ケージの外部と連通し電子モジュールが通過することができる別個の開口を含むシールドケージ。
【請求項2】
前記外部側壁及び内部壁は、それぞれ、垂下する複数の接地脚を含む、請求項1に記載のシールドケージ。
【請求項3】
前記内部接地脚及び外部接地脚は変形可能なピンを含む、請求項2に記載のシールドケージ。
【請求項4】
前記内部接地脚及び外部接地脚は針の目型の変形可能なピンを含む、請求項3に記載のシールドケージ。
【請求項5】
前記外部接地脚は前記側壁に沿って長手方向に互いに離間される、請求項2に記載のシールドケージ。
【請求項6】
前記内部壁は該内部壁に配設された複数の係合タブを含み、該係合タブが、前記導電性下側部材及び前記導電性の細長いカバーの少なくとも1つと機械的かつ電気的に係合する大きさ及び形状を備える、請求項1に記載のシールドケージ。
【請求項7】
前記内部壁係合タブは、ピーニング、スエージング、ローレット加工、はんだ付、ろう付、溶接及び接着のうちの少なくとも1つによって上側部材に機械的かつ電気的に結合される、請求項6に記載のシールドケージ。
【請求項8】
前記内部壁係合タブは、ピーニング、スエージング、ローレット加工、はんだ付、ろう付、溶接及び接着のうちの少なくとも1つによって前記下側部材に機械的かつ電気的に結合される、請求項7に記載のシールドケージ。
【請求項9】
前記内部接地脚は前記内部壁に沿って長手方向に互いに離間される、請求項2に記載のシールドケージ。
【請求項10】
前記内部壁は、前記下側部材及びカバー部材に対して実質的に垂直に向けられ、前記カバー部材及び下側部材の曲げ剛性を高める、請求項1に記載のシールドケージ。
【請求項11】
回路基板上の回路に接続された複数の電子モジュールを遮蔽するための複数ベイシールドケージであって、
回路基板に取付けるための第1の接地ピンが一体形成された導電性の平坦なベースプレートと、
該ベースプレートと係合しこれと協働して複数の電子モジュールを挿入することができる導電性の中空のレセプタクルを形成する導電性カバー部材と、
複数の内部壁部材とを有し、
該内部壁部材は、一体的に形成されて該内部壁部材の下縁に沿って延在する第2の接地ピンを備え、該第2の接地ピンは内部壁部材の下縁に沿って離間され、かつ、前記ベースプレート内に配設された対応する開口を貫通し、前記内部壁部材が複数の係合タブを更に含み、該係合タブが、前記内部壁部材を前記ベースプレート及びカバー部材に電気的かつ機械的に相互接続するために前記ベースプレート及びカバー部材に形成された開口内に収容され、前記第2の接地ピンが前記ベースプレートの周囲において接地経路を画定する複数ベイシールドケージ。
【請求項12】
前記第1及び第2の接地ピンは、真っ直ぐなピンと変形可能な取付ピンとから実質的になるグループから選択される、請求項11に記載のシールドケージ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子モジュール用電磁障害(EMI)シールドケージ(100)であって、
回路基板(34)に取付ける下側部材(12)と、
前記下側部材(12)に電気的に結合された導電性カバー部材(18)と、
前記下側部材及びカバー部材(12、18)に電気的に結合された第1及び第2の導電性外部側壁(20、22)であって、各々から少なくとも1つの垂下している外部接地脚(52)を含む第1及び第2の外部側壁(20、22)とを有し、
前記シールドケージ(100)は、前記下側部材及びカバー部材(12、18)に電気的に結合された少なくとも1つの内部壁(42)を更に含み、該内部壁(42)は、垂下して前記下側部材(12)内に配設された対応する開口を貫通し、前記回路基板(34)上の接地回路に接続される少なくとも1つの内部接地脚(52)を含み、前記下側部材(12)、外部側壁(20、22)及び内部壁(42)及びカバー部材(18)が、電子モジュールを収容するための前記シールドケージ(100)の少なくとも2つの別個の隣合った内部キャビティ(24)を画定し、それぞれの内部キャビティが、前記シールドケージ(100)の外部と連通し電子モジュールが通過することができる別個の開口を含むことを特徴とするシールドケージ(100)。
【請求項2】
前記外部側壁(20、22)及び内部壁(42)は、それぞれ、垂下する複数の接地脚(52)を含む、請求項1に記載のシールドケージ。
【請求項3】
前記内部接地脚及び外部接地脚(52)は変形可能なピンを含む、請求項2に記載のシールドケージ。
【請求項4】
前記内部接地脚及び外部接地脚(52)は針の目型の変形可能なピンを含む、請求項3に記載のシールドケージ。
【請求項5】
前記外部接地脚(52)は前記側壁(20、22)に沿って長手方向に互いに離間される、請求項2に記載のシールドケージ。
【請求項6】
前記内部壁(42)は該内部壁に配設された複数の係合タブ(50)を含み、該係合タブ(50)が、前記導電性下側部材(12)及び前記導電性カバー部材(18)の少なくとも1つと機械的かつ電気的に係合する大きさ及び形状を備える、請求項1に記載のシールドケージ。
【請求項7】
前記内部壁係合タブ(50)は、ピーニング、スエージング、ローレット加工、はんだ付、ろう付、溶接及び接着のうちの少なくとも1つによって前記カバー部材(12)に機械的かつ電気的に結合される、請求項6に記載のシールドケージ。
【請求項8】
前記内部壁係合タブ(50)は、ピーニング、スエージング、ローレット加工、はんだ付、ろう付、溶接及び接着のうちの少なくとも1つによって前記下側部材(18)に機械的かつ電気的に結合される、請求項7に記載のシールドケージ。
【請求項9】
前記内部接地脚(52)は前記内部壁(42)に沿って長手方向に互いに離間される、請求項2に記載のシールドケージ。
【請求項10】
前記内部壁(42)は、前記下側部材及びカバー部材(12、18)に対して実質的に垂直に向けられ、前記カバー部材及び下側部材(12、18)の曲げ剛性を高める、請求項1に記載のシールドケージ。
【請求項11】
前記内部接地脚及び外部接地脚(52)は真っ直ぐなピンを含む、請求項2に記載のシールドケージ。
【請求項12】
前記内部接地脚及び外部接地脚(52)は真っ直ぐなピンと変形可能な取付ピンとを含む、請求項2に記載のシールドケージ。
【請求項1】
電子モジュール用電磁障害(EMI)シールドケージであって、
回路基板に取付ける下側部材と、
前記下側部材に電気的に結合された導電性カバー部材と、
前記下側部材及びカバー部材に電気的に結合された第1及び第2の導電性外部側壁であって、各々から少なくとも1つの垂下している外部接地脚を含む第1及び第2の外部側壁と、
前記下側部材とカバー部材に電気的に結合された少なくとも1つの内部壁とを有し、該内部壁は、垂下して前記下側部材内に配設された対応する開口を貫通し、前記回路基板上の接地回路に接続される少なくとも1つの内部接地脚を含み、
前記下側部材、外部側壁及び内部壁並びにカバー部材が、電子モジュールを収容するための前記ケージの少なくとも2つの別個の隣合った内部キャビティを画定し、それぞれの内部キャビティが、前記ケージの外部と連通し電子モジュールが通過することができる別個の開口を含むシールドケージ。
【請求項2】
前記外部側壁及び内部壁は、それぞれ、垂下する複数の接地脚を含む、請求項1に記載のシールドケージ。
【請求項3】
前記内部接地脚及び外部接地脚は変形可能なピンを含む、請求項2に記載のシールドケージ。
【請求項4】
前記内部接地脚及び外部接地脚は針の目型の変形可能なピンを含む、請求項3に記載のシールドケージ。
【請求項5】
前記外部接地脚は前記側壁に沿って長手方向に互いに離間される、請求項2に記載のシールドケージ。
【請求項6】
前記内部壁は該内部壁に配設された複数の係合タブを含み、該係合タブが、前記導電性下側部材及び前記導電性の細長いカバーの少なくとも1つと機械的かつ電気的に係合する大きさ及び形状を備える、請求項1に記載のシールドケージ。
【請求項7】
前記内部壁係合タブは、ピーニング、スエージング、ローレット加工、はんだ付、ろう付、溶接及び接着のうちの少なくとも1つによって上側部材に機械的かつ電気的に結合される、請求項6に記載のシールドケージ。
【請求項8】
前記内部壁係合タブは、ピーニング、スエージング、ローレット加工、はんだ付、ろう付、溶接及び接着のうちの少なくとも1つによって前記下側部材に機械的かつ電気的に結合される、請求項7に記載のシールドケージ。
【請求項9】
前記内部接地脚は前記内部壁に沿って長手方向に互いに離間される、請求項2に記載のシールドケージ。
【請求項10】
前記内部壁は、前記下側部材及びカバー部材に対して実質的に垂直に向けられ、前記カバー部材及び下側部材の曲げ剛性を高める、請求項1に記載のシールドケージ。
【請求項11】
回路基板上の回路に接続された複数の電子モジュールを遮蔽するための複数ベイシールドケージであって、
回路基板に取付けるための第1の接地ピンが一体形成された導電性の平坦なベースプレートと、
該ベースプレートと係合しこれと協働して複数の電子モジュールを挿入することができる導電性の中空のレセプタクルを形成する導電性カバー部材と、
複数の内部壁部材とを有し、
該内部壁部材は、一体的に形成されて該内部壁部材の下縁に沿って延在する第2の接地ピンを備え、該第2の接地ピンは内部壁部材の下縁に沿って離間され、かつ、前記ベースプレート内に配設された対応する開口を貫通し、前記内部壁部材が複数の係合タブを更に含み、該係合タブが、前記内部壁部材を前記ベースプレート及びカバー部材に電気的かつ機械的に相互接続するために前記ベースプレート及びカバー部材に形成された開口内に収容され、前記第2の接地ピンが前記ベースプレートの周囲において接地経路を画定する複数ベイシールドケージ。
【請求項12】
前記第1及び第2の接地ピンは、真っ直ぐなピンと変形可能な取付ピンとから実質的になるグループから選択される、請求項11に記載のシールドケージ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子モジュール用電磁障害(EMI)シールドケージ(100)であって、
回路基板(34)に取付ける下側部材(12)と、
前記下側部材(12)に電気的に結合された導電性カバー部材(18)と、
前記下側部材及びカバー部材(12、18)に電気的に結合された第1及び第2の導電性外部側壁(20、22)であって、各々から少なくとも1つの垂下している外部接地脚(52)を含む第1及び第2の外部側壁(20、22)とを有し、
前記シールドケージ(100)は、前記下側部材及びカバー部材(12、18)に電気的に結合された少なくとも1つの内部壁(42)を更に含み、該内部壁(42)は、垂下して前記下側部材(12)内に配設された対応する開口を貫通し、前記回路基板(34)上の接地回路に接続される少なくとも1つの内部接地脚(52)を含み、前記下側部材(12)、外部側壁(20、22)及び内部壁(42)及びカバー部材(18)が、電子モジュールを収容するための前記シールドケージ(100)の少なくとも2つの別個の隣合った内部キャビティ(24)を画定し、それぞれの内部キャビティが、前記シールドケージ(100)の外部と連通し電子モジュールが通過することができる別個の開口を含むことを特徴とするシールドケージ(100)。
【請求項2】
前記外部側壁(20、22)及び内部壁(42)は、それぞれ、垂下する複数の接地脚(52)を含む、請求項1に記載のシールドケージ。
【請求項3】
前記内部接地脚及び外部接地脚(52)は変形可能なピンを含む、請求項2に記載のシールドケージ。
【請求項4】
前記内部接地脚及び外部接地脚(52)は針の目型の変形可能なピンを含む、請求項3に記載のシールドケージ。
【請求項5】
前記外部接地脚(52)は前記側壁(20、22)に沿って長手方向に互いに離間される、請求項2に記載のシールドケージ。
【請求項6】
前記内部壁(42)は該内部壁に配設された複数の係合タブ(50)を含み、該係合タブ(50)が、前記導電性下側部材(12)及び前記導電性カバー部材(18)の少なくとも1つと機械的かつ電気的に係合する大きさ及び形状を備える、請求項1に記載のシールドケージ。
【請求項7】
前記内部壁係合タブ(50)は、ピーニング、スエージング、ローレット加工、はんだ付、ろう付、溶接及び接着のうちの少なくとも1つによって前記カバー部材(12)に機械的かつ電気的に結合される、請求項6に記載のシールドケージ。
【請求項8】
前記内部壁係合タブ(50)は、ピーニング、スエージング、ローレット加工、はんだ付、ろう付、溶接及び接着のうちの少なくとも1つによって前記下側部材(18)に機械的かつ電気的に結合される、請求項7に記載のシールドケージ。
【請求項9】
前記内部接地脚(52)は前記内部壁(42)に沿って長手方向に互いに離間される、請求項2に記載のシールドケージ。
【請求項10】
前記内部壁(42)は、前記下側部材及びカバー部材(12、18)に対して実質的に垂直に向けられ、前記カバー部材及び下側部材(12、18)の曲げ剛性を高める、請求項1に記載のシールドケージ。
【請求項11】
前記内部接地脚及び外部接地脚(52)は真っ直ぐなピンを含む、請求項2に記載のシールドケージ。
【請求項12】
前記内部接地脚及び外部接地脚(52)は真っ直ぐなピンと変形可能な取付ピンとを含む、請求項2に記載のシールドケージ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2006−522485(P2006−522485A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509407(P2006−509407)
【出願日】平成16年3月30日(2004.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/009494
【国際公開番号】WO2004/088381
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(591043064)モレックス インコーポレーテッド (441)
【氏名又は名称原語表記】MOLEX INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年3月30日(2004.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/009494
【国際公開番号】WO2004/088381
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(591043064)モレックス インコーポレーテッド (441)
【氏名又は名称原語表記】MOLEX INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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