説明

複数の無線通信システムを使用する同時通信のための方法および装置

【課題】無線ローカルエリアネットワークと広域ネットワークの同時通信のための無線通信方法、装置、およびシステムを提供する。
【解決手段】移動局130は、広域ネットワーク100を介して第1の通信セッションの第1の制御信号を受信することと、第1の無線ローカルエリアネットワーク110を介して第1の通信セッションのデータ信号を受信する。移動局は、広域ネットワークまたは第1の無線ローカルエリアネットワークを介して第2の通信セッションの音声信号を更に受信する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
米国特許法第119条のもとでの優先権の主張
本特許出願は、2005年8月10日に出願され、本発明の譲受人に譲渡され、参照によって本明細書に明示的に取り入れられる仮出願第60/707,210号(“METHOD AND APPARATUS FOR SIMULTANEOUS COMMUNICATION UTILIZING MULTIPLE WIRELESS COMMUNICATION SYSTEMS”)に対して優先権を主張している。
【0002】
本開示は、無線通信方法および装置に関する。より具体的には、本開示は、複数の無線通信システムを使用する同時通信のための方法および装置に関する。
【発明の背景】
【0003】
無線通信デバイスは、通常、許可を受けた(licensed)無線周波数(radio frequency, RF)帯域か、または許可を受けていない(unlicensed)RF帯域かの何れかにおいて動作する。広域ネットワーク(wide area network, WAN)のプロバイダは、通常、許可(license)を取得して、複数の許可を受けたRF帯域の1つ以上において無線通信システムを操作する。これらのシステムは、周波数チャネルの共通の帯域に対する移動局による多元接続(multiple access)を可能にする方法を使用している。これらのシステムは、通常、許可を受けたRF帯域において動作する。他のシステムは、許可を受けていないRF帯域において動作する。許可を受けたRF帯域において動作するシステムは、許可を受けた周波数およびチャネルにおける送信を制御する。これは、オペレータがデータの信頼性を保証すること、とくに、制御チャネルおよびリンクの維持および設定に使用される情報を制御することを可能にする。許可を受けていないRF帯域において動作するシステムは、この制御を行わず、異なるユーザおよびサービスプロバイダによる調整のとれていない(uncoordinated)送信の結果として、データ送信エラーが生じ得る。
【0004】
WANの1つのアクセス技術(access technique)は、周波数分割多元接続(frequency division multiple access, FDMA)であり、これは、RF帯域内の異なる周波数チャネルに移動局を割り当てることによって、多元接続を可能にする。これらのシステムの幾つかは、周波数ホッピングを使用し、データは、意図された移動局へ、およびそこから送信され、一方で周波数チャネルを周期的に変える。周期的なチャネル周波数ホッピングは、一定の時間間隔、例えば、フレームで行われる。調整のとれた周波数ホッピングシステムは、所定のホッピングパターン、またはホップセット(hop-set)を使用する。なお、ホップセットは全移動局間で調整をとられ、2つ以上の移動局へ、およびそれらからの信号が同じ周波数チャネル上に同時に現れないことを保証する。調整のとれていない周波数ホッピングは、移動局間でホップセットの調整をとらず、同時の信号送信が同じ周波数上に周期的に現れることになる。このような同時通信はチャネル衝突(channel collision)と呼ばれる。チャネル衝突中に発生するデータ受信エラーは、データ衝突(data collision)と呼ばれる。このタイプのシステム内における調整のとれていない周波数ホッピングは、チャネル衝突およびその結果のデータ衝突が発生し得るので、通常は使用されない。FCCは、1つのタイプのサービスによるスペクトルの集合(spectrum aggregation)を回避するために、産業、科学、および医療(Industrial Scientific and Medical, ISM)の帯域内における調整のとれた周波数ホッピングを禁止した。例えば、ブルートゥースおよび802.11の無線ローカル エリア ネットワーク(Wireless Local Area Network, WLAN)のようなシステムは、ISM帯域内で動作する。
【0005】
WANの別のタイプは、符号分割多元接続(code division multiple access, CDMA)システム、グローバル システム フォー コミュニケーションズ(Global System for Communications, GSM(登録商標))、または広域CDMA(Wide Area CDMA, WCDMA)システムである。これらのシステムは、ユーザを区別するために異なる符号を使用し、異なる移動局ユーザの信号間の衝突を防ぐ多元接続を可能にしている。
【0006】
802.11のWLANのようなシステムは、許可を受けたRF帯域内で動作するシステムと比較すると、通常は非常に高いデータレートをもつ。しかしながら、802.11のWLANにおけるデータおよび制御信号に関する衝突の可能性は、WANと比較すると、より高い。
【0007】
改良された無線通信デバイスに対する需要の増加とともに、異なる移動局の信号間の衝突を防ぎ、一方で高データレートの転送を可能にする方法および装置が、当技術において必要とされ続けている。
【発明の概要】
【0008】
移動局の無線通信方法は、広域ネットワークを介して第1の通信セッションの第1の制御信号を受信することと、第1の無線ローカル エリア ネットワークを介して第1の通信セッションのデータ信号を受信することとを含み得る。移動局は、広域ネットワークまたは第1の無線ローカル エリア ネットワークを介して第2の通信セッションの音声信号をさらに受信し得る。1つの実施形態では、移動局は、第1の無線ローカル エリア ネットワークを介して第1の通信セッションの第2の制御信号をさらに受信し得る。別の実施形態では、無線通信方法は、第2の無線通信ローカル エリア ネットワークを介して第2の通信セッションの音声信号を受信することをさらに含み得る。広域ネットワークは、第1の無線ローカル エリア ネットワークから第2の無線通信ローカル エリア ネットワークへの移動局のハンドオフ動作を行う。
【0009】
広域ネットワークの基地局における無線通信方法が開示される。広域ネットワークの基地局において、無線ローカル エリア ネットワークと移動局との間の通信セッションの第1の制御信号が受信される。次に、広域ネットワークの基地局は、無線ローカル エリアネットワークと移動局との間の通信セッションの第2の制御信号を送信する。第2の制御信号は、ネットワーク管理システムに送信され得る。その後で、ネットワーク管理システムは、第2の制御信号に応答するコマンドを無線ローカル エリア ネットワークへ送信する。1つの実施形態において、第1または第2の制御信号は、無線ローカル エリア ネットワークと移動局との間で送信電力、コードレート、または帯域幅を調節するのに使用される。
【0010】
移動局は、広域ネットワークおよび無線ローカル エリア ネットワークと同時通信ができる。移動局は、通信セッション中の無線ローカル エリア ネットワークからの制御情報を処理するように構成された第1の制御ユニットと、通信セッション中の広域ネットワークからの制御情報を処理する第2の制御ユニットと、シグナリングおよびパケット処理を行うように構成された処理デバイスと、位置特定情報(position location information)を与えるように構成されたGPSデバイスとをもち得る。第2の制御ユニットは、広域ネットワークから制御および音声信号を受信するように構成され得る。第1の制御ユニットは、無線ローカル エリア ネットワークから制御、データ、および音声信号を受信するように構成され得る。
【0011】
1つの実施形態は、1つ以上のプロセッサによって行われ得る命令を具現する機械読み出し可能媒体を与える。機械読み出し可能媒体は、広域ネットワークを介して受信された第1の通信セッションの第1の制御信号を処理する命令と、第1の無線ローカル エリアネットワークを介して受信された第1の通信セッションのデータ信号を処理する命令とを含み得る。機械読み出し可能媒体は、広域ネットワーク、第1の無線ローカル エリア ネットワーク、および/または第2の無線通信ローカル エリア ネットワークを介して受信された第2の通信セッションの音声信号を処理する命令を含み得る。機械読み出し可能媒体は、第1の無線ローカル エリア ネットワークを介して受信された第1の通信セッションの第2の制御信号を処理する命令をさらに含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】1つ以上の実施形態にしたがってWANネットワークとWLANとを統合するネットワーク システム アーキテクチャを示す図。
【図2】1つ以上の実施形態にしたがって複数の無線通信システムと通信するように構成された移動局を示す図。
【図3】1つ以上の実施形態にしたがって移動局の通信方法を示すフローチャート。
【図4】1つ以上の実施形態にしたがってマルチメディアデータ(例えば、画像、音楽、またはビデオコンテンツ)を移動局へダウンロードする通信方法を示すフローチャート。
【図5】1つ以上の実施形態にしたがって移動局のハンドオーバ通信方法を示すフローチャート。
【図6】1つ以上の実施形態にしたがって移動局の復号器のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、1つ以上の実施形態にしたがって、広域ネットワーク(wide area network, WAN)100と、1つ以上の無線ローカル エリア ネットワーク(wireless local area network, WLAN)110とを有するネットワーク システム アーキテクチャを示す。ネットワーク100および110は、ネットワーク管理システム120によって管理され得る。WAN100は、基地局サブシステム(Base Station Subsystem, BSS)140と迂回中継サブシステム(Backhaul Subsystem, BHS)150とを含み得るが、BSS140と有線ネットワークとの間の他の通信が使用されることもある。WLAN110は、ネットワーク管理システム120の制御の下でゲートウェイ190を介してWAN100に連結される無線移動センタ(Wireless Mobile Center, WMC)160、移動トランザクションサーバ(Mobile Transaction Server, MTS)170、およびWLAN無線機(radio)180を含み得る。
【0014】
BSS140は、移動局(Mobile Station, MS)130とWAN100との間のトラフィックおよびシグナリングを処理することを担当し得る。BSS140は、ベース トランシーバ ステーション(Base Transceiver Station, BTS)144と基地局制御装置(Base Station Controller, BSC)148とを含み得る。BTS144は、異なる無線周波数において動作可能な1つ以上の無線トランシーバをもち得る。BTS144は、通信を選択的に暗号化および解読する装置をさらに含み得る。さらに、BSC148は、制御、データ通信設備(facility)、および多重化/デマルチプレックス装置を含み、これは基地局装置の全体的な動作の調整をとるように構成され、無線通信リンクを制御することを含む。BSC148は、その制御下に複数のBTS144をもち得る。
【0015】
BHS150は、交換局、電源、警報監視装置、およびネットワークデータベースを備えた移動交換局(Mobile Switching Center, MSC)154を含み得るトランスポートシステムであり得る。ネットワークデータベースは、CDMA2000無線通信システムのホームロケーション レジスタ認証局(Home Location Register Authentication Center, HLR/AC)、またはGSM無線通信システムにおいて使用されるホーム ロケーション レジスタ(Home Location Register, HLR)を含み、ローミングサービスの支援を含むサービスの認可を検査し、呼の特徴(call feature)を処理し、または通信システムに応じた認証(authentication)、認可(authorization)、および会計(accounting)のための任意の他のデータベースおよびシステムを含み得る。HLR/ACまたはHLRは、モバイル アプリケーション パート(Mobile Application Part, MAP)のトランザクションおよびメッセージを受信および処理することによって、WLAN110へのアクセスを試みているユーザを認証または認可するのにさらに使用され得る。
【0016】
WLAN無線機180は、移動局(MS)130からWLAN110へのデータ、音声(パケット化された音声、またはボイス オーバ インターネット プロトコルを含み得る)、および幾つかの制御信号の転送を可能にするアクセスポイントであり得る。WMC160は、複数のWLAN無線機180および複数のMS130に関する情報を記憶し得る。記憶される情報は、GPS位置特定情報(location information)を含み得る。ILR195は、MS130のマッピングアドレスおよびWLANのアクセスポイント180の対応するマッピングアドレスの収納場所(repository)であり得る。MTSは、モバイルネットワーク100および110のためのインターフェースとして働き得る。ゲートウェイ190は、ネットワーク管理システム120をMTS170を介してMSC154と連結するルータであり得る。
【0017】
デュアルモードまたはマルチモードの形式のMS130を使用して、2つ以上の異なる無線通信プロトコル、例えば、CDMAプロトコルと他のローカルのエリア技術(例えば、WLAN110)において動作することができる。MS130は、WAN100およびWLAN110に対するユーザインターフェースとして働き、加入者識別情報、例えば、CDMA2000の加入識別(M−ID)を含み得る。これは、WAN100およびWLAN110を含む異なる技術の異なる受信可能範囲エリアにおいてユーザがローミングすることを可能にする情報およびユーザの識別を確認する認証アルゴリズムを含む。
【0018】
MS130は、WAN100およびWLAN110と同時通信を行うための1つ以上のアルゴリズムをさらに含み得る。1つの実施形態において、この同時通信は、WAN100を介して制御信号を、WLAN110を介してデータを送信し得る。別の実施形態において、同時通信は、WAN100を介して制御信号および音声信号、例えば、ディジタル、アナログ、およびボイス オーバ インターネット プロトコルを、WLAN110を介してデータを送信し得る。別の実施形態において、同時通信は、WAN100を介して幾つかの制御信号、例えば、呼設定および緊急信号を、WLAN110を介してデータ、音声、および幾つかの制御信号を送信し得る。また別の実施形態において、WAN100およびWLAN110を介して送信される信号の異なる組合せは、WAN100またはWLAN110上の使用可能な資源、例えば、ローディング、並びに他のユーザ定義パラメータ、例えば、ユーザアクセシビリティおよびコストパラメータに基づいて判断され得る。
【0019】
WLAN110とのセッションを開始するために、MS130は、それがWAN100と通信セッションを設定中であり得るので、HLR/ACまたはHLRにアクセスし得る。ネットワーク管理システム120は、識別情報、例えば、キー、トークン、または他の識別子を、ゲートウェイ190およびMTS170を介して、WLAN110に送信し、WLAN110とユーザの通信を認可し得る。別の実施形態において、識別情報は、WAN100を介して、エアーインターフェースを使用して、MS130に送信され、MS130は、エアーインターフェースによって、WLAN110に情報を送信する。
【0020】
通信がMS130、WAN100、およびWLAN110間で設定されると、メッセージは、通信セッション中に、MS130とWAN100との間でエアーインターフェースを介して、またはMS130とWLAN110との間でエアーインターフェースを介して送信することができる。1つの実施形態において、セッションの制御メッセージはWLAN110を介して送信され、データはWAN100を介して送信され得る。MS130からWAN100を介して送信される制御信号と、MS130へ送信される制御信号に基づくフィードバックとは、BSC148またはMSC154において処理され、次に、動作パラメータを変更するために、ネットワーク管理システム120またはWLAN無線機180に与えられ得る。例えば、MS130へ/から送信される制御信号を使用して、動作パラメータ、例えば、コードレート、帯域幅、電力レベル、等を増加または低減することができる。
【0021】
図2は、1つ以上の実施形態にしたがって、無線通信システムと通信するように構成されたMS130を示す。無線通信システムは、コアネットワーク200、WAN100、およびWLAN110を含み得る。コアネットワーク200は、WAN100およびWLAN110に接続する任意のネットワーク(例えば、IS−41コアネットワーク、GPRS IPコアネットワーク、発展型(Evolved)GSMコアネットワーク、IPネットワーク、例えば、インターネット)であり得る。これは、切り換え機能を実行し、MS130の通信アクセスを管理することができる。
【0022】
実施形態において、WAN100は、コアネットワーク200の一体部分(integral part)であり得る。同様に、WLAN110も、コアネットワーク200の一体部分であり得る。別の実施形態において、WAN100およびWLAN110は、コアネットワーク200を介して通信する独立したネットワークであり得る。
【0023】
MS130は、WAN100、または種々のローカル エリア ネットワーク、例えば、WLAN110と通信することができ得る。MS130は、WLAN通信デバイス210、セルラネットワーク通信デバイス220、および処理デバイス230を含み得る。MS130は、GPSデバイス240をさらに有し、位置特定機能を可能にし得る。
【0024】
WLAN通信デバイス210は、802.11媒体アクセス制御(Medium Access Control, MAC)層、802.11物理(Physical, PHY)層、例えば、802.11a、802.11b、802.11g、または802.11n、および無線機を含み得る。MAC層は、共有無線チャネルへのアクセスの調整をとり、無線媒体による通信を向上するプロトコルを使用することによって、802.11のステーション間の通信を管理し、維持し得る。PHY層は、802.11のフレームのキャリアの感知、送信、および受信のタスクを行うことができ、一方で、無線機は変調された波形を約2.4または5.0GHzの無線周波数に変換する。
【0025】
セルラネットワーク通信デバイス220は、CDMAのようなセルラモデムと、無線機とを含み得る。セルラモデムは、ビットを波形にマップし、一方で、無線機は、波形をWAN100との通信のためのPCS周波数に変換する。一方で、処理デバイス230は、シグナリングおよびパケット処理を行うマイクロプロセッサであり得る。
【0026】
動作において、コアネットワーク200は、WAN100の基地局、例えば、BSS140を介して、MS130と通信し得る。通信機能の一部として、コアネットワーク200は、WLAN110とコアネットワーク200との間の通信も与え得る。
【0027】
図3は、1つ以上の実施形態にしたがって、MS130の通信方法を示すフローチャートである。1つの実施形態において、ユーザは、WLAN110のようなローカル アクセスネットワークのみから、またはWLAN110およびWAN100の両者から通信を受信することを選択することができる。MS130は、WLAN110のサービスへ通信を切り換えるか、またはWAN100のサービスに加えて、WLAN110のサービスを使用するように構成され得る(300)。MS130は、WAN制御チャネルを使用し、WAN100に、その近くで動作しているWLAN110との通信を設定する要求を送り得る(305)。MS130のGPSデバイス240は、位置特定情報(location information)、例えば、座標を、WAN100の基地局、例えば、BSS140に与え得る(310)。MS130は、WLAN110との通信を設定する要求を、BSS140を介して、通常はコアネットワーク200へ、またはMSC154へ送り得る(315)。
【0028】
幾つかの態様において、MSC154は、ゲートウェイ190または他のネットワークインターフェイスを介して、MTS170へ要求を送信し得る。次に、MTS170は、ネットワーク管理システム120に照会を送り得る。ネットワーク管理システム120は、全ての位置(location)、および任意の特定の位置に関する登録されたWLAN110のデータベースをもち得る。MS130からWLAN110との通信を設定する要求を受信すると、ネットワーク管理システム120は、WLAN110と通信するための要求認可情報(required authorization information)を抽出し、MTS170、ゲートウェイ190、MSC154、およびBSS140を介してMS130にその情報を送り返し得る。他のネットワーキング技術およびインターフェースが使用され得ること、並びに使用されたネットワーキング技術およびインターフェースは、図3に関連して記載されたプロセス、機能、および他のアプローチと無関係であることに注意すべきである。
【0029】
MS130は、この認可情報を受信する(320)。要求認可情報は、WLANサービスセット識別子(Service Set Identifier, SSID)、WLANの動作チャネル(例えば、2.4GHzのチャネルおよびチャネル番号、または5GHzの帯域およびチャネル番号)、支援されている特徴(例えば、QoS、セキュリティ、等)、そのエリア内の全ての使用可能なネットワークの帯域幅の使用(使用可能な帯域幅の割合)を含み得る。ネットワーク管理システム120は、WMC160から、そのエリア内のWLAN110ネットワークのGPS位置特定情報をさらに抽出する。
【0030】
次に、MS130は、認可情報を使用し、そのエリア内の特定のWLAN110ネットワークに加わることを選択することによって、WLAN110との通信を設定し得る(325)。WLAN110は、WLAN無線機180を介してMS130と通信する。
【0031】
選択されたWLAN110ネットワークは、他のセキュリティ関連情報、例えば、WEPキーまたはWPA−Pre共有キーを認証のために要求し得る。この情報は、WAN制御チャネル上でMS130によっても要求および受信され、WAN100によってBSS140、MSC154、ゲートウェイ190、MTS170、ネットワーク管理システム120、およびWMC160を介して与えられ得る。
【0032】
1つの実施形態において、WLAN110は、ディジタル権利管理(Digital Rights Management, DRM)を使用して、追加のデータ、例えば、画像、音楽、またはビデオコンテンツを与えるのに使用することができる。DRMは、画像、音楽、またはビデオコンテンツに伴う使用制限の記述、階層化(layering)、解析、評価、取引、監視、認証、および施行を処理することができる。DRMの交換は、セキュリティ保護されたチャネル、例えば、セルラチャネル上で行われ得る。
【0033】
図4は、1つ以上の実施形態にしたがって、MS130に画像、音楽、またはビデオコンテンツをダウンロードする通信方法を示すフローチャートである。MS130がWLAN110との通信を設定した(400)後で、ユーザは、画像、音楽、またはビデオコンテンツのダウンロードを選択することができる(405)。
【0034】
1つの実施形態において、画像、音楽、またはビデオコンテンツのダウンロードには、DRMおよびアクセス料金が必要であり得る。コンテンツプロバイダは、これらのトランザクションにWLANチャネルを使用し、これは、そのときに追加入力、例えば、クレジットカード情報および認証情報をユーザに提供してもらう必要があり得る。コンテンツが部分的に与えられるときは、新しい部分をMS130にダウンロードすることが要求されるたびに、ユーザはこの情報を提供し得る。
【0035】
ダウンロードする画像、音楽、またはビデオコンテンツを選択すると、MS130は、WAN制御チャネルを使用して、WAN100に要求を送り得る(410)。ダウンロードする要求は、その画像、音楽、またはビデオコンテンツをダウンロードするのに必要な制御情報、例えば、ディジタル権利およびキーを取得するために、コンテンツプロバイダに送信され得る(415)。ダウンロードする要求にアクセス料金が必要であるとき、ユーザは、支払い情報、例えば、クレジットカード情報を、WAN制御チャネルを介して、コンテンツプロバイダにセキュリティ上安全に(securely)与え得る(420)。次に、コンテンツプロバイダは、画像、音楽、またはビデオコンテンツをダウンロードするために認可情報をMS130に送り返し得る(425)。
【0036】
別の実施形態において、MS130はWLAN110のサービスを使用して、音声呼を設定して与え、一方でWAN100との接続を維持し続けることができる。WAN制御チャネルは、WAN制御メッセージおよびシグナリングを受信するのに使用され得る。
【0037】
図5は、1つ以上の実施形態にしたがって、MS130のハンドオーバ通信方法を示すフローチャートである。MS130が、第1のWLAN110との通信を設定した(500)後で、ユーザがMS130をもって動き回り、自分の位置(position)を変えることがある(505)。このために、ユーザが第1のWLAN110の受信可能範囲エリアから出て、第2のWLAN110の新しい受信可能範囲エリアへ移動すると、MS130は第1のWLAN110との接続を切断(loose)し得る。
【0038】
MS130は、GPSデバイス240からWAN100に位置情報(position information)を送り続け得る(510)。WAN100は、この情報を使用して、アクセスすることができる他の可能なWLAN110ネットワークの位置を特定し得る(515)。WAN100は、他の可能なWLAN110ネットワークの位置を特定するその照会結果と、関連する認可情報とをMS130に送り返し得る(520)。
【0039】
第2のWLAN110は、ユーザの選好(preference)、帯域幅の性能、価格、速度、サービス アベイラビリティ(service availability)、および使用可能な受信可能領域に基づいて選択され得る(525)。これは、ユーザへのプッシュ通信によって与えられ得る。例えば、コアネットワーク200は、MS130の近くのWLAN110を識別し得る。コアネットワーク200は、MS130にWLAN110の価格および速度情報を送り得る。価格および速度情報に基づいて、MS130のユーザは、WLAN110の使用が望ましいかどうかを判断することができる。ユーザの選好は、予め決定することができるか、またはWLAN110のサービスのアベイラビリティの通知に対して選択することができる。
【0040】
ユーザが第2のWLAN110のサービスを承認すると、ユーザは、第2のWLAN110を介してデータ、音声、および/または幾つかの制御信号を受信することができ、一方で他の制御信号がWAN100を介して送信される。WAN100は、第1のWLAN110から第2のWLAN110へのMS130のハンドオーバを助け得る。使用可能なWLAN110のネットワークがないときは、呼は、代りにWAN100に転送され得る(530)。
【0041】
1つの実施形態において、ユーザは、MS130がWLAN110から情報を受信することを、とくにそれを要求することなく可能にするWLAN110の特徴(feature)をオンにすることができる。WLAN通信デバイス210およびセルラネットワーク通信デバイス220は、MS130の位置における異なるWLAN110のサービスのアベイラビリティに関する情報を与え得る。MS130は、それが通信することができる使用可能なWLAN110ネットワークに基づいて情報を生成することができる。
【0042】
図6は、1つ以上の実施形態にしたがうMS130の復号器600のブロック図である。復号器600は、処理デバイス230の一部であり、図3の方法を実施するのに使用され得る。復号器600は、処理デバイス230および/またはGPSデバイス240に連結され得る。復号器600は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、またはその任意の組合せによって実施され得る。復号器600は、第1の制御モジュール610および第2の制御モジュール615をもつマスタ制御モジュール605を含み得る。第1の制御モジュール610は、通信セッション中にWLAN110からの制御情報を受信および/または処理するのに使用され得る。第2の制御モジュール615は、通信セッション中にWAN100からの制御情報を受信および/または処理するのに使用され得る。
【0043】
第1の制御モジュール610は、802.11のMAC層および802.11のPHY層にしたがって動作するように構成され得る。第1の制御モジュール610は、WLAN無線機180に連結され得る。第2の制御モジュール615は、WAN制御装置(図示されていない)において実施され得る。第1の制御モジュール610のように、第2の制御モジュールは、無線機に連結され得る。
【0044】
当業者は、本明細書に開示されている実施形態に関連して説明された種々の例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムが、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両者の組合せとして実施され得ることが分かるであろう。ハードウェアおよびソフトウェアのこの互換性を示すために、種々の例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムが、それらの機能に関して上述で概ね説明された。このような機能がハードウェアとして実施されるか、またはソフトウェアとして実施されるかは、システム全体に課された個々の応用および設計の制約に依存する。熟練した技能をもつ者は、説明された機能を種々のやり方で各個々の応用に対して実施し得るが、そのような実施の決定は、本開示の範囲からの逸脱を招くものとして解釈されるべきではない。
【0045】
本明細書において開示された実施形態に関連して説明された種々の例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用処理デバイス、ディジタル信号処理デバイス(digital signal processing device, DSP)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit, ASIC)、フィールド プログラマブル ゲート アレイ(field programmable gate array, FPGA)または他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートなゲートまたはトランジスタ論理、ディスクリートなハードウェア構成要素、あるいは本明細書に説明されている機能を実行するように設計された任意の組合せで実施または実行され得る。汎用処理デバイスは、マイクロプロセシング デバイス(microprocessing device)であってもよいが、その代わりに、処理デバイスは、任意の従来の処理デバイス、処理デバイス、マイクロプロセシング デバイス、または状態機械であってもよい。処理デバイスは、コンピューティングデバイスの組合せ、例えば、DSPとマイクロプロセシング デバイスとの組合せ、複数のマイクロプロセシング デバイス、DSPのコアと関連する1つ以上のマイクロプロセシング デバイス、または任意の他のこのような構成としても実施され得る。
【0046】
本明細書に開示されている実施形態に関連して説明された方法またはアルゴリズムは、ハードウェア、ソフトウェア、またはその組合せにおいて直接的に具現され得る。ソフトウェアでは、方法またはアルゴリズムは、処理デバイスによって実行され得る1つ以上の命令において具現され得る。命令は、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、取り外し可能ディスク、CD−ROM、または当技術において知られている記憶媒体の任意の他の形態に存在し得る。例示的な記憶媒体は処理デバイスに接続され、処理デバイスは記憶媒体から情報を読み出し、そこへ情報を書き込むことができる。その代りに、記憶媒体は、処理デバイスと一体構成であってもよい。処理デバイスおよび記憶媒体は、ASICに存在し得る。ASICは、ユーザ端末に存在し得る。その代りに、処理デバイスおよび記憶媒体は、ディスクリートな構成要素としてユーザ端末に存在し得る。
【0047】
開示された実施形態のこれまでの説明は、当業者が本開示を作成または使用できるようにするために与えられている。これらの実施形態に対する種々の変更は、当業者に容易に明らかになり、本明細書に定義されている一般的な原理は、本開示の意図および範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用され得る。したがって、本開示は、本明細書に示されている実施形態に制限されることを意図されず、本明細書に開示されている原理および斬新な特徴に矛盾しない最も幅広い範囲にしたがうことを意図されている。
【符号の説明】
【0048】
100・・・広域ネットワーク(WAN)、110・・・無線ローカル エリア ネットワーク(WLAN)、120・・・ネットワーク管理システム、130・・・移動局(MS)、140・・・基地局サブシステム(BSS)、144・・・ベース トランシーバ ステーション(BTS)、148・・・基地局制御装置(BSC)、150・・・迂回中継サブシステム(BHS)、154・・・移動交換局(MSC)、160・・・無線移動センタ(WMC)、170・・・移動トランザクションサーバ(MTS)、180・・・無線機、190・・・ゲートウェイ、195・・・ILR、210・・・WLAN通信デバイス、220・・・セルラネットワーク通信デバイス、230・・・制御デバイス、240・・・GPSデバイス、600・・・復号器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局の無線通信方法であって、
広域ネットワークを介して第1の通信セッションの第1の制御信号を受信することと、
第1の無線ローカル エリア ネットワークを介して第1の通信セッションのデータ信号を受信することとを含む無線通信方法。
【請求項2】
広域ネットワークを介して第2の通信セッションの音声信号を受信することをさらに含む請求項1記載の無線通信方法。
【請求項3】
第1の無線ローカル エリア ネットワークを介して第2の通信セッションの音声信号を受信することをさらに含む請求項1記載の無線通信方法。
【請求項4】
第1の無線ローカル エリア ネットワークを介して第1の通信セッションの第2の制御信号を受信することをさらに含む請求項1記載の無線通信方法。
【請求項5】
第2の無線通信ローカル エリア ネットワークを介して第2の通信セッションの音声信号を受信することをさらに含む請求項1記載の無線通信方法。
【請求項6】
広域ネットワークは、第1の無線ローカル エリア ネットワークから第2の無線通信ローカル エリア ネットワークへの移動局のハンドオフ動作を行う請求項5記載の無線通信方法。
【請求項7】
広域ネットワークの基地局において、無線ローカル エリア ネットワークと移動局との間の通信セッションの第1の制御信号を受信することと、
広域ネットワークの基地局から、無線ローカル エリア ネットワークと移動局との間の通信セッションの第2の制御信号を送信することとを含む無線通信方法。
【請求項8】
送信することは、第2の制御信号をコアネットワークを介して無線ローカル エリア ネットワークに送信することを含む請求項7記載の無線通信方法。
【請求項9】
送信することは、第2の制御信号をネットワーク管理システムに送信することと、第2の制御信号に応答するコマンドをネットワーク管理システムから無線ローカル エリア ネットワークに送信することとを含む請求項7記載の無線通信方法。
【請求項10】
第1の制御信号は、無線ローカル エリア ネットワークと移動局との間で送信電力を調節するのに使用される請求項7記載の無線通信方法。
【請求項11】
第1の制御信号は、無線ローカル エリア ネットワークと移動局との間で送信コードレートを調節するのに使用される請求項7記載の無線通信方法。
【請求項12】
第1の制御信号は、無線ローカル エリア ネットワークと移動局との間で送信帯域幅を調節するのに使用される請求項7記載の無線通信方法。
【請求項13】
無線ローカル エリア ネットワークと広域ネットワークの同時通信を行うことができる移動局であって、
通信セッション中に無線ローカル エリア ネットワークからの制御情報を処理するように構成された第1の制御ユニットと、
通信セッション中に広域ネットワークからの制御情報を処理する第2の制御ユニットとを含む移動局。
【請求項14】
第1の制御ユニットは、802.11のMAC層と802.11のPHY層とにしたがって動作するように構成されている請求項13記載の移動局。
【請求項15】
第1の制御ユニットと連結された無線機をさらに含む請求項13記載の移動局。
【請求項16】
第2の制御ユニットは、WAN制御装置を含む請求項13記載の移動局。
【請求項17】
第2の制御ユニットと連結された無線機をさらに含む請求項13記載の移動局。
【請求項18】
シグナリングおよびパケット処理を行うように構成された処理デバイスと、
位置特定情報を与えるように構成されたGPSデバイスとをさらに含む請求項13記載の移動局。
【請求項19】
第2の制御ユニットは、広域ネットワークから制御信号を受信する請求項13記載の移動局。
【請求項20】
第1の制御ユニットは、無線ローカル エリア ネットワークから制御信号を受信する請求項13記載の移動局。
【請求項21】
制御情報は、無線ローカル エリア ネットワークと移動局との間で、帯域幅、コードレート、および電力レベルを含むグループから選択される動作パラメータを調節するのに使用される請求項13記載の移動局。
【請求項22】
無線ローカル エリア ネットワークと広域ネットワークの同時通信を行うことができる移動局であって、
通信セッション中に無線ローカル エリア ネットワークからの制御情報を処理する第1の手段と、
通信セッション中に広域ネットワークからの制御情報を処理する第2の手段とを含む移動局。
【請求項23】
第1の手段は、802.11のMAC層と802.11のPHY層とにしたがって動作するように構成されている請求項22記載の移動局。
【請求項24】
第1の手段と連結された無線機をさらに含む請求項22記載の移動局。
【請求項25】
第2の手段は、WAN制御装置を含む請求項22記載の移動局。
【請求項26】
第2の手段と連結された無線機をさらに含む請求項22記載の移動局。
【請求項27】
シグナリングおよびパケット処理を行うように構成された第3の手段と、
位置特定情報を与える第4の手段とをさらに含む請求項22記載の移動局。
【請求項28】
第2の手段は、広域ネットワークから制御信号を受信する請求項22記載の移動局。
【請求項29】
第1の手段は、無線ローカル エリア ネットワークから制御信号を受信する請求項22記載の移動局。
【請求項30】
制御情報は、無線ローカル エリア ネットワークと移動局の間で、帯域幅、コードレート、および電力レベルを含むグループから選択される動作パラメータを調節するのに使用される請求項22記載の移動局。
【請求項31】
1つ以上のプロセッサによって行われ得る命令を具現する機械読み出し可能媒体であって、
広域ネットワークを介して受信された第1の通信セッションの第1の制御信号を処理する命令と、
第1の無線ローカル エリア ネットワークを介して受信される第1の無線通信セッションのデータ信号を処理する命令とを含む機械読み出し可能媒体。
【請求項32】
広域ネットワークを介して受信された第2の通信セッションの音声信号を処理する命令をさらに含む請求項31記載の機械読み出し可能媒体。
【請求項33】
第1の無線ローカル エリア ネットワークを介して受信された第2の通信セッションの音声信号を処理する命令をさらに含む請求項31記載の機械読み出し可能媒体。
【請求項34】
第1の無線ローカル エリア ネットワークを介して受信された第1の通信セッションの第2の制御信号を処理する命令をさらに含む請求項31記載の機械読み出し可能媒体。
【請求項35】
第2の無線通信ローカル エリア ネットワークを介して受信された第2の通信セッションの音声信号を処理する命令をさらに含む請求項31記載の機械読み出し可能媒体。
【請求項36】
広域ネットワークは、第1の無線ローカル エリア ネットワークから第2の無線通信ローカル エリア ネットワークへの移動局のハンドオフ動作を行う請求項35記載の機械読み出し可能媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−147452(P2012−147452A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−40110(P2012−40110)
【出願日】平成24年2月27日(2012.2.27)
【分割の表示】特願2008−526237(P2008−526237)の分割
【原出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】