説明

複数の送信電源供給器から提供される電源を制御する超音波システム

【課題】複数の電源供給器から供給される電源を制御する超音波システムを提供すること。
【解決手段】本発明における超音波システムは、超音波信号を対象体に送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信する超音波プローブと、前記超音波プローブに印加される送信パルスを形成するために、複数の診断モードに応じて互いに異なる電圧レベルの電源を供給する電源供給部と、前記超音波プローブおよび前記電源供給部に連結され、超音波信号の送信区間に前記電源供給部から提供される前記電源を一定の第1電圧レベルで供給し、前記超音波信号の送信休止区間に前記第1電圧レベルの電源を所定の波形に基づいて第2電圧レベルの電源に変換する送信部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波システムに関し、特に、複数の送信電源供給器から供給される電源を制御する超音波システムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波システムは、無侵襲および非破壊特性を有しており、生体内部の情報を得るために医療分野で広く用いられている。超音波システムは、対象体を直接切開して観察する外科手術の必要がなく、対象体の内部組織を高解像度の映像で医師に提供することができるため、医療分野で非常に重要なものとして用いられている。
【0003】
超音波システムは、超音波プローブを用いて超音波信号を対象体に送信し、対象体から反射される超音波信号(即ち、超音波エコー信号)を受信し、その超音波エコー信号に基づいて超音波映像を形成する。
【0004】
一方、超音波システムは、超音波映像を形成する診断モードに応じて、異なる電源を供給する複数の電源供給器を備える。送信部は、複数の電源供給器のそれぞれに連結される複数の送信パルサーを備えて、超音波映像モードに応じて送信パルスを形成する。これによって、超音波システムの大きさだけでなく費用が増加するといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−237280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、複数の電源供給器から互いに異なる電圧レベルで提供される電源を、超音波信号の送信休止区間に所定の波形に基づいて電源の電圧レベルを増加または減少させて電源を制御する超音波システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における超音波システムは、超音波信号を対象体に送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信する超音波プローブと、前記超音波プローブに印加される送信パルスを形成するために、複数の診断モードに応じて互いに異なる電圧レベルの電源を供給する電源供給部と、前記超音波プローブおよび前記電源供給部に連結され、前記超音波信号の送信区間に前記電源供給部から提供される前記電源を一定の第1電圧レベルで供給し、前記超音波信号の送信休止区間に前記第1電圧レベルの電源を所定の波形に基づいて第2電圧レベルの電源に変換する送信部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、互いに異なる電圧レベルの電源を供給する複数の電源供給器のそれぞれに送信部を備える必要がなく、超音波システムの大きさおよび費用を減少させるだけでなく携帯型の超音波システム(HCU)で効果的に適用することができる。
【0009】
また、本発明は、電圧レベルの変換によるノイズの発生を最小化することができて、より高画質の超音波映像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例における超音波システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例における送信部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例における所定波形の一例を示す例示図である。
【図4】本発明の実施例における所定波形の他の例を示す例示図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施例による超音波システムの構成を示すブロック図である。図1を参照すると、超音波システム100は、超音波プローブ110、電源(power)供給部120、送信部130、受信部140、プロセッサ150およびディスプレイ部160を備える。
【0013】
超音波プローブ110は、電気的信号と超音波信号を相互変換する複数の電気音響変換素子(transducer element:以下単に変換素子と呼ぶ)(図示せず)を備える。超音波プローブ110は、超音波信号を対象体に送信し、対象体から反射される超音波信号(即ち、超音波エコー信号)に応答して電気的信号である受信信号を出力する。受信信号は、アナログ信号である。超音波プローブ110は、曲線型(curved probe)、リニアプローブ(linear probe)などを含む。
【0014】
電源供給部120は、超音波システム100の複数の診断モードのそれぞれに必要な送信パルス信号を生成するための複数の電圧レベルの電源(power)を供給する。送信パルスは、超音波プローブ110に提供される。本実施例において、電源供給部120は、複数の診断モードに対応する超音波映像を得るための複数の電圧レベルの電源をそれぞれ供給する複数の電源(power)供給器を備える。超音波映像は、Bモード(brightness mode)映像、パルスドップラ(pulse Doppler)映像、CW(continuous wave)ドップラ映像、ドップラスペクトル(spectral Doppler)映像、カラードップラ(color Doppler)映像、3次元映像、弾性映像などを含む。
【0015】
一例として、電源供給部120は、図2に示すように、第1超音波映像(Bモード映像、3次元映像または弾性映像)を得るための第1電圧レベル(例えば、80V)の電源を供給する第1電源供給器121および第2超音波映像(カラードップラ映像またはパルスドップラ映像)を得るために、第1電圧レベルとは異なる第2電圧レベル(例えば、60V)の電源を供給する第2電源供給器122を備える。
【0016】
前述した例では、電源供給部120が2つの電源供給器121、122を備えるものとして説明したが、必ずしもこれに限定されず、必要に応じて電源供給器の数および各電源の電圧レベルを調節することができる。
【0017】
送信部130は、変換素子および集束点を考慮して、超音波映像を得るための送信パルスを形成する。送信パルスは、超音波プローブ110に提供される。また、送信部130は、電源供給部120の電源供給を制御する。
【0018】
図2は、本発明の実施例における送信部の構成を示すブロック図である。図2を参照すると、送信部130は、スイッチング部210、電源(power)制御部220および送信パルス形成部230を備える。
【0019】
スイッチング部210は、診断モードに応じて電源供給部120に備えた複数の電源供給器のいずれか1つを選択する動作を行う。即ち、スイッチング部210は、診断モードに応じて電源供給部120の複数の電源供給器から提供される電源(power)のいずれか1つを電源制御部220に伝達するように動作する。本実施例において、スイッチング部210は、複数の電源供給器(第1電源供給器121、第2電源供給器122)のいずれか1つを選択的に電源制御部220と連結させるスイッチ(図示せず)と、スイッチの動作を制御するスイッチング制御部(図示せず)とを備える。
【0020】
PW(pulse wave)超音波システムは、超音波信号の送信区間と超音波エコー信号の受信区間とに区分して動作することができる。即ち、超音波信号の送信区間は、超音波エコー信号を受信しない受信休止区間であり、超音波エコー信号の受信区間は、超音波信号を送信しない送信休止区間である。
【0021】
電源制御部220には、超音波信号の送信区間に電源供給部120から供給される電源の電圧レベルが一定に供給される。また、一実施例において、電源制御部220は、超音波信号の送信休止区間に診断モードに応じて決定される次の送信区間に対応する電源が電源供給部120からスイッチング部210を通じて提供されると、所定の波形に沿って電源供給部120から送信パルス形成部230に提供される電源の電圧レベルを増加または減少させて出力する。
【0022】
送信パルス形成部230は、電源制御部220から提供される電源(電力)を用いて超音波映像を得るための送信パルスを形成する。送信パルス形成部230は、複数の送信パルス(図示せず)および送信パルスドライブ(図示せず)を備える。
【0023】
以下、添付した図面を参照して送信部130の動作を説明する。
【0024】
一例として、診断モードがBモード映像とカラードップラ映像とを同時に提供するBCデュアルモードの場合、図3に示すように、超音波信号の送信区間1〜10(ms)にスイッチング部210により第1電源供給部121から第1電源(power)(例えば、80V)が提供されると、電源制御部220は、第1電源を一定の電圧レベルで送信パルス形成部230に供給する。従って、送信パルス形成部230は、電源制御部220から一定の電圧レベルで提供される第1電源を用いてBモード映像を得るための第1送信パルスを形成する。
【0025】
続いて、電源制御部220は、図3に示すように、超音波信号の送信休止区間10〜100(ms)に電源の電圧レベルを予め設定された傾きに沿って減少させる所定の波形に基づいて、第1電源供給器121から提供される第1電源の電圧レベルを次の送信区間に対応する電圧レベルに減少させる。従って、電圧レベルが急激に変わる供給電源によりノイズが発生することを防止することができる。
【0026】
続いて、図3に示すように、超音波信号の送信区間100〜110(ms)にスイッチング部210により第2電源供給部122から第2電源(power)(例えば、60V)が提供されると、電源制御部220は、第2電源を一定の電圧レベルで送信パルス形成部230に供給する。従って、送信パルス形成部230は、電源制御部220から一定の電圧レベルの第2電源を用いてカラードップラ映像を得るための第2送信パルスを形成する。
【0027】
続いて、電源制御部220は、図3に示すように、超音波信号の送信休止区間110〜200(ms)に電源供給部120から供給される電源の電圧レベルを予め設定された傾きに沿って増加させる所定の波形に基づいて、第2電源供給器122から提供される第2電源の電圧レベルを次の送信区間に対応する電圧レベルに増加させる。従って、急激に変わる供給電源によりノイズが発生することを防止することができる。
【0028】
他の例として、診断モードがBモード映像とカラードップラ映像を同時に提供するBCデュアルモードの場合、図4に示すように、超音波信号の送信区間1〜10(ms)にスイッチング部210により第1電源供給部121から第1電源(例えば、80V)が提供されると、電源制御部220は、第1電源を一定の電圧レベルで送信パルス形成部230に供給する。従って、送信パルス形成部230は、電源制御部220から一定の電圧レベルで提供される第1電源を用いてBモード映像を得るための第1送信パルスを形成する。
【0029】
続いて、電源制御部220は、図4に示すように、超音波信号の送信休止区間10〜100(ms)に第1電源のレベルを所定の波形、例えばコサイン波形形態で減少させる所定の波形に基づいて、第1電源供給器121から提供される第1電源を減少させる。従って、急激に変わる供給電源によりノイズが発生することを防止することができる。
【0030】
続いて、図4に示すように、超音波信号の送信区間100〜110(ms)にスイッチング部210により第2電源供給部122から第2電源(例えば、60V)が提供されると、電源制御部220は、第2電源の電圧レベルを一定の電圧レベルで送信パルス形成部230に供給する。従って、送信パルス形成部230は、電源制御部220から一定の電圧レベルで提供される第2電源を用いてカラードップラ映像を得るための第2送信パルスを形成する。
【0031】
続いて、電源制御部220は、図4に示すように、超音波信号の送信休止区間110〜200(ms)に電源のレベルを所定の波形、例えばコサイン波形形態に増加させる所定の波形に基づいて、第2電源供給器122から提供される第2電源の電圧レベルを次の送信区間に対応する電圧レベルに増加させる。従って、急激に変わる供給電源によりノイズが発生することを防止することができる。
【0032】
前述した例では、診断モードがBCデュアルモードであるものとして説明したが、必ずしもこれに限定されず、当業者ならば必要に応じて診断モードが変更されるのが十分に分かるはずである。
【0033】
再び図1を参照すると、受信部140は、超音波プローブ110から提供される受信信号をアナログデジタル変換する。また、受信部140は、変換素子および集束点を考慮して、デジタル変換された信号を受信集束させて受信集束信号を形成する。
【0034】
プロセッサ150は、受信部140から提供される受信集束信号を用いて、超音波映像に対応する超音波データを形成する。超音波データは、RF(radio frequency)データまたはIQ(in−phase/quadrature)データを含む。しかし、超音波データは、必ずしもこれに限定されない。また、プロセッサ150は、超音波データを用いて超音波映像を形成する。超音波映像は、スキャン変換(scan conversion)またはレンダリング(rendering)を用いて形成される。
【0035】
ディスプレイ部160は、プロセッサ150で形成された超音波映像を表示する。ディスプレイ部160は、CRT(cathode ray tube)、LCD(liquid crystal display)、OLED(organic light emitting diodes)などを含む。
【0036】
本発明は、望ましい実施例によって説明および例示をしたが、当業者であれば添付した特許請求の範囲の事項および範疇を逸脱することなく、様々な変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0037】
100 超音波システム
110 超音波プローブ
120 電源供給部
121 第1電源供給器
122 第2電源供給器
130 送信部
140 受信部
150 プロセッサ
160 ディスプレイ部
210 スイッチング部
220 電源制御部
230 送信パルス形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波信号を対象体に送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信する超音波プローブと、
前記超音波プローブに印加される送信パルスを形成するために、複数の診断モードに応じて互いに異なる電圧レベルの電源を供給する電源供給部と、
前記超音波プローブおよび前記電源供給部に連結され、前記超音波信号の送信区間に前記電源供給部から提供される前記電源を一定の第1電圧レベルで供給し、前記超音波信号の送信休止区間に前記第1電圧レベルの電源を所定の波形に基づいて第2電圧レベルの電源に変換する送信部と
を備えることを特徴とする超音波システム。
【請求項2】
前記送信部は、前記送信休止区間に前記所定の波形の傾きに沿って前記第1電圧レベルを前記第2電圧レベルに変換することを特徴とする請求項1に記載の超音波システム。
【請求項3】
前記所定の波形は、コサイン形態の波形であることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波システム。
【請求項4】
前記電源供給部は、前記送信部に前記電源を供給する複数の電源供給器を有し、
前記送信部は、
前記複数の電源供給器のいずれか1つの電源供給器に連結するスイッチング部と、
前記送信区間に前記スイッチング部に連結された前記電源供給器から提供される前記電源を一定に供給し、前記送信休止区間に前記所定の波形に基づいて前記電源を増加または減少させる電源制御部と
を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の超音波システム。
【請求項5】
前記複数の電源供給器は、
前記第1電圧レベルの電源を前記供給部に供給する第1電源供給器と、
前記第2電圧レベルの電源を前記供給部に供給する第2電源供給器と
を備えることを特徴とする請求項4に記載の超音波システム。
【請求項6】
前記超音波エコー信号に基づいて超音波データを形成し、該超音波データを用いて超音波映像を形成するプロセッサをさらに備え、
前記超音波映像は、Bモード映像を含む第1超音波映像と、カラードップラ映像を含む第2超音波映像とを含み、
前記第1電圧レベルの電源は、前記第1超音波映像を得るための電源であり、
前記第2電圧レベルの電源は、前記第2超音波映像を得るため電源であることを特徴とする請求項5に記載の超音波システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−130699(P2012−130699A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−278368(P2011−278368)
【出願日】平成23年12月20日(2011.12.20)
【出願人】(597096909)三星メディソン株式会社 (269)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG MEDISON CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】114 Yangdukwon−ri,Nam−myun,Hongchun−gun,Kangwon−do 250−870,Republic of Korea
【Fターム(参考)】