説明

複数層の個人特定情報および/または個別化情報を含むポリマー層複合体の製造方法

本発明は、ポリマー層複合体の製造方法、ならびに特にセキュリティ書類および/または有価書類として形成されるポリマー層複合体に関する。この方法は、基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)として複数ポリマー層(6〜9)を調製する工程と、少なくとも1つの基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)に第1の個人特定情報および/または個別化情報(31)を印刷する工程と、基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)を積層して基層積層体(18)にする工程と、基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)をラミネートしてポリマー層複合体(116〜119)にする工程とを含んでおり、第1の個人特定情報および/または個別化情報(31)は、それぞれ第1の個人特定情報および/または個別化情報(31)の部分情報を含む、少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)に分解され、第1の個人特定情報および/または個別化情報(31)の印刷は、少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)が少なくとも2つの異なる基層表面(101、102)に位置を合わせて印刷されることによって行われ、その結果、印刷された分解版(36〜39、116〜119)はポリマー層複合体において正確に見当合せされて重なり、それらが全体として第1の個人特定情報および/または個別化情報を再現し、基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)は、少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)によって印刷される基層表面(101、102)が基層積層体(18)の内側表面になるように積層される。本発明はさらに、前記方法に従って製造されたポリマー層複合体にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの第1の個人特定情報および/または個別化情報が印刷技術により保存されている、複数の基層から成るポリマー層複合体の製造方法ならびにそのようなポリマー層複合体に関する。本発明は、さらに、セキュリティ書類および/もしくは有価書類の製造におけるそのような方法またはポリマー層複合体の使用、ならびに/またはそのようなポリマー層複合体のセキュリティ書類および/もしくは有価書類としての使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
最新のセキュリティ書類および/もしくは有価書類は、ポリマー層複合体として形成され、またはそのようなものから製造され、またはそのようなものを含んでいる。セキュリティ書類および/または有価書類は、通例、セキュリティ書類および/または有価書類を個人および/または個人グループ、対象物および/または団体に関係付けることを可能にする個人特定情報および/または個別化情報を含んでいる。個別化情報には、例えば通しナンバー、発行官庁名を含めることができる。さらに、個人特定情報および/または個別化情報は、セキュリティ標識でもある。セキュリティ標識とは、有価書類および/またはセキュリティ書類のコピーおよび/または偽造および/または模倣を防止する、または少なくとも困難にさせる、セキュリティ書類および/または有価書類の標識である。
【0003】
個人特定情報とは、個人を関係付けできる情報を含むものと見なされる。それには、例えば、旅券写真、指紋などの画像情報、または名前、住所、居住地、生年月日など英数字文字列を含めることができる。
【0004】
セキュリティ書類および/または有価書類としては、代表例を挙げるに止める。例えば、身分証明書、パスポート、IDカード、通行許可証、ビザ、納税印紙、切符、運転免許証、車検証、紙幣、小切手、郵便切手、クレジットカード、キャッシュカード、任意のICカードおよび貼付ラベル(例えば製品保証書)がある。
【0005】
従来技術から、有価書類および/またはセキュリティ書類の様々な製造方法が知られている。例えば、米国特許第6022429号明細書(特許文献1)、米国特許第6264296号明細書(特許文献2)、米国特許第6685312号明細書(特許文献3)、米国特許第6932527号明細書(特許文献4)、米国特許第6979141号明細書(特許文献5)および米国特許第7037013号明細書(特許文献6)には、中間製品にインクジェット印刷を施し、これを、機械的および/または化学的損傷、ならびに改ざんに対する保護としての保護塗装または保護フィルムで保護するという方法が記載されている。この方法により、個人特定情報および/または個別化情報が、セキュリティ書類および/または有価書類中に印刷技術によりカラーで保存される。しかし、得られるセキュリティ書類および/または有価書類は、改ざんに対して比較的低い安全性しか有していない。印刷された情報は全体的に比較的表面近くに印刷され、塗装または保護フィルムからなる保護層は、殆どの場合中間製品カードと一体的な材料結合を形成しないため、解離および/または除去することができるからである。その後の印刷物の改ざんが可能である。
【0006】
独国特許第4134539号(特許文献7)から、カラー画像情報を有する記録媒体、特に有価カードまたは証明カード、およびその製造方法が知られている。画像情報は明暗部分とカラー部分とに分解される。視覚的印象を決定する明暗成分は、高解像度で記録媒体に取り込まれる。この成分にカラー画像情報が一致するように重ね合わされて、一体的な全体的印象が生じる。偽造に対する安全性を確保するために、画像情報の一部分が偽造に対して安全な形でカード構造に取り込まれる。例えば、明暗情報が、印刷された挿入体の上に置かれた透明フィルムに、レーザエングレービングによって取り込まれる、実施形態が記載されている。このフィルム上に付着されたインク受容層、または透明フィルム自体にカラー部分が印刷される。別の実施形態では、挿入体に画像情報のカラー部分が電子写真法で付与される。続いて、定着されたカラートナー像の上に薄い透明カバーフィルムが載せられ、このカバーフィルムに画像情報の明暗部分がレーザ描画(英語でLaserengraving、レーザエングレービング)によって焼き付けられる。さらなる実施形態では、例えばインクジェット印刷など従来の方法を用いて挿入体に白黒情報が付与され、次の工程で、移行性インクを受容するのに適した実質上透明な樹脂フィルムで挿入体が覆われる。このカラー像部分は、移行性インクによりカバー層の深部に取り込まれる。このとき、カバーフィルムにまずカラー像情報を印刷することができる。熱作用の下でカラーインクは、UV放射によってカバー層の架橋が開始されるまで被覆層の内部へと移動し、この架橋により、それ以上の移動が停止される。さらに別の実施形態では、カラー情報がまずカバー層に取り込まれ、続いてこれに明暗情報が従来の印刷方法で付与される。情報の一部は使用したフィルムの下または中に配置されるが、このフィルムは挿入体と一体的な結合を形成していないので、偽造のためにそれを除去および/または置き換えできるという問題が新たに発生する。その上、上記の一連の実施形態では、情報の一部が表面に直接付与されるので、偽造および/または改ざんが極めて容易に行われ得る。
【0007】
米国特許第7005003号明細書(特許文献8)、欧州特許第0131145号明細書(特許文献9)、米国特許第5734800号明細書(特許文献10)および米国特許第6765693号明細書(特許文献11)には、異なる色分解版を用いて有彩色画像を印刷する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6022429号明細書
【特許文献2】米国特許第6264296号明細書
【特許文献3】米国特許第6685312号明細書
【特許文献4】米国特許第6932527号明細書
【特許文献5】米国特許第6979141号明細書
【特許文献6】米国特許第7037013号明細書
【特許文献7】独国特許第4134539号明細書
【特許文献8】米国特許第7005003号明細書
【特許文献9】欧州特許第0131145号明細書
【特許文献10】米国特許第5734800号明細書
【特許文献11】米国特許第6765693号明細書
【特許文献12】独国特許第3832396.6号明細書
【特許文献13】米国特許第3028365号明細書
【特許文献14】米国特許第2999835号明細書
【特許文献15】米国特許第3148172号明細書
【特許文献16】米国特許第3275601号明細書
【特許文献17】米国特許第2991273号明細書
【特許文献18】米国特許第3271367号明細書
【特許文献19】米国特許第3062781号明細書
【特許文献20】米国特許第2970131号明細書
【特許文献21】米国特許第2999846号明細書
【特許文献22】独国特許第1570703号明細書
【特許文献23】独国特許第2063050号明細書
【特許文献24】独国特許第2063052号明細書
【特許文献25】独国特許第2211956号明細書
【特許文献26】仏国特許第1561518号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「Ullmann's Encyclopaedia of Industrial Chemistry」、Wiley出版社、電子版(2006)
【非特許文献2】H. Schnell、「Chemistry and Physics of Polycarbonates」、Interscience Publishers、ニューヨーク(1964)
【非特許文献3】「Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry」、電子版2007、Wiley出版社
【非特許文献4】van Renesse、「Optical document security」、第3巻、Artech House、2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の技術的課題は、少なくとも1つの第1の個人特定情報および/または個別化情報が印刷技術によってポリマー層複合体に保存されており、または保存され、その結果、第1の個人特定情報および/または個別化情報が改ざんおよび/または偽造に対して、および/またはそのようなポリマー層複合体が模倣に対して、従来技術から公知のポリマー層複合体系よりもよく保護され、したがって、特に、それらの情報が、有価書類および/もしくはセキュリティ書類として、または有価書類および/もしくはセキュリティ書類の構成部分として、またはそのような有価書類および/もしくはセキュリティ書類の製造方法の一部として使用できるようになっている、ポリマー層複合体の製造方法およびそのようなポリマー層複合体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、少なくとも1つの第1の個人特定情報および/または個別化情報が印刷技術によって保存される、複数の基層から成るポリマー層複合体の製造方法を提案する。この方法は、以下の工程、すなわち、基層としての複数ポリマー層を調製する工程と、少なくとも1つの基層上に第1の個人特定情報および/または個別化情報を印刷する工程と、基層を積層して基層積層体にする工程と、基層をラミネートしてポリマー層複合体にする工程とを含んでいる。その際、本発明によれば、第1の個人特定情報および/または個別化情報は、それぞれ第1の個人特定情報および/または個別化情報の部分情報を含む、少なくとも2つの分解版(druckauszug)に分解され、第1の個人特定情報および/または個別化情報の印刷は、少なくとも2つの分解版が少なくとも2つの異なる基層表面に位置を合わせて印刷され、その結果、印刷された分解版がポリマー層複合体において正確に見当合せされて重なり、それらが全体として第1の個人特定情報および/または個別化情報を再現するようにすることによって行われ、その際に基層は、少なくとも2つの分解版によって印刷される基層表面が基層積層体の内側表面になるように積層される。したがって、本発明によれば、複数の基層を積層して作製され、その中に少なくとも1つの第1の個人特定情報および/または個別化情報が印刷技術によって保存されているポリマー層複合体が得られる。その場合、基層はポリマー層であり、第1の個人特定情報および/または個別化情報は、それぞれ第1の個人特定情報および/または個別化情報の部分情報を含む、少なくとも2つの分解版に分解され、この少なくとも2つの分解版は、印刷された分解版が、ポリマー層複合体において正確に見当合せされて重なり、それらが全体として第1の個人特定情報および/もしくは個別化情報を再現するように、互に離れた少なくとも2つの平面内に印刷され、または互に離れた少なくとも2つの平面内に配置される。その場合、少なくとも2つの分解版によって印刷される平面、または少なくとも2つの分解版が配置される平面は、内側の平面に配置される。したがって、得られるポリマー層複合体は複合体中に組み込まれた第1の個人特定情報を含んでいる。この情報は互に離れた少なくとも2つの平面内に、全体として第1の個人特定情報を再現するように保存される。この場合は、情報部分を少なくとも2つの平面内で操作しなければならないので、従来技術による第1の個別化情報および/または個人特定情報のポリマー層複合体内部への付与に比べて、偽造に対する安全性の向上が達成される。
【0012】
第1の個人特定情報および/または個別化情報は、有彩色または多色で形成することが好ましい。これは、第1の個人特定情報が単一の印刷インクでは再現できないことを意味している。情報が観察者に少なくとも2つの色印象を呼び起こす場合、その情報は多色と見なされる。その場合、明度差は異なる色印象とはならない。3種を越える色印象を呼び起こす情報は有彩色と見なされ、そのうちの少なくとも1つの色印象が、色空間に広がる原色の加法混色(ルミネセンス発光色)または減法混色(いわゆる不透明色)によって呼び起こされる、または呼び起こされ得ることが好ましい。この場合、黒およびグレースケールは、色とは見なされない。第1の個人特定情報および/または個別化情報が、有彩色または多色の人間の顔面像を含んでいることが特に好ましい。少なくとも2つの分解版をそれぞれ有色にすることによって、改ざんに対する安全性が高まる。これらはモノクローム、すなわち単色であっても、および/または多色であってもよい。好ましい一実施形態では、少なくとも2つの分解版が、n色表色系、特に3色表色系またはn色/黒表色系、特に3色/黒表色系の単色の色分解版を含んでいる。この場合、作製に使用される印刷カラーインクより多くの色度値を含む有彩色または多色の情報を表現できる公知のあらゆるn色表色系が提案される。例えばイエロー、マジェンタ、シアンの3色表色系を用いると、人間が色を知覚する場合の減色効果を利用して人間の知覚可能な色空間の大部分を作り出すことができる。ただし、3色より多い色、または3色より多い色+黒色、例えば6色+黒色から成る表色系を使用することもできる。
【0013】
本発明の一実施形態では、少なくとも2つの分解版 mが、それぞれ異なる基層表面に印刷される単色の色分解版を含んでいる。ただし、mは、通常は、使用する表色系の色の数を表す数字nと一致する整数である。しかし、第1の個人特定情報および/または個別化情報をより多数の単色の分解版に分解し、それによって表色系の幾つかの色またはすべての色について、それぞれ第1の個人特定情報および/または個別化情報の部分情報を含む単色の分解版が2つずつ存在するようにすることも考えられる。1つの色に対するこの複数の単色分解版は、当然のことながら、第1の個人特定情報および/または個別化情報のうちのそれぞれ異なる部分情報を含むことができる。
【0014】
分解版のうちの2つ、または少なくとも2つの分解版を同じ基層の向い合う表面に正確に見当合せして印刷する実施形態では、少なくとも2つの分解版を正確に見当合せして位置合わせすることが特に容易に実現できる。その場合、印刷される分解版は表面を見ると互に鏡面対称である。これは、第1の個別化情報および/または個人特定情報がそこから知覚できるようになっている基層集積体の上側に向いた基層表面に印刷される分解版が、非鏡面対称に印刷されることを意味している。この場合、分解版は、基層を下側から見たとき、同じ基層の下面に鏡面対称に印刷される。上側から見ると、その少なくとも2つの分解版は互に補完し合って第1の個人特定情報および/または個別化情報に完全に合致するものとなる。
【0015】
第1の個人特定情報および/または個別化情報が正しく知覚できるようにするために、個々の分解版の間、およびその上に配置される基層は、透明に、あるいは透明でなくても少なくとも半透明に形成されることが理解される。これらの基層はすべて透明であることが好ましい。
【0016】
基層が、又は、それぞれ第1の個人特定情報および/または個別化情報の部分情報を含む少なくとも2つの分解版が印刷されている少なくとも2つの基層表面間にある基層の少なくとも1つが半透明の場合には、ポリマー層複合体全体において、少なくとも、第1の個項目別および/または個人特定情報が保存されている領域が半透明であれば、つまり不透明でなければ非常に好ましい。このようにして、逆光で見ると情報全体が現われる個人特定情報および/または個別化透視記録を作成することができる。
【0017】
したがって、一実施形態では、ポリマー層はすべて、少なくとも、基層表面の1つが分解版の1つによって印刷される領域では、または少なくとも、ポリマー層複合体の中のその上若しくはその下に配置されている基層の1つが分解版の1つによって印刷されているまたは印刷される領域では、透明および/または半透明なポリマー層として形成される。その場合、少なくとも1つのポリマー層が、好ましくは、少なくとも2つの分解版のうちの2つの間に配置されている、まさに1つのポリマー層が、半透明ポリマー層として形成される。残りのポリマー層はすべて透明であることが好ましい。
【0018】
別の実施形態では、少なくとも2つの分解版のうちの少なくとも2つが異なる基層の基層表面に印刷される。
【0019】
重ねて配置されている基層の下面に印刷する場合に必要になることであるが、例えば1つまたは複数の分解版の反射を回避するために、一実施形態においては、この少なくとも2つの分解版のすべてを異なる基層の基層表面に印刷することが好ましい。
【0020】
印刷された別々の分解版が、作製されたポリマー層複合体においても異なる平面上に配置されるのを確保するために、本発明の一実施形態では、それぞれ少なくとも2つの分解版の1つによって印刷された基層表面が基層積層体中で互に直接的に隣接しないように、複数の基層が積層される。
【0021】
少なくとも2つの分解版が同じ基層の異なる基層表面に印刷されない場合は、基層は、好ましくは積層時に互に位置合わせされ、したがって、この少なくとも2つの分解版は基層集積体内で正確に見当合せされて互いに重ねて配置される。これには、基層が実質上同じポリマーから形成されているか、またはラミネート時の個々の基層の材料接合による結合の際に少なくとも同じ膨張特性および/もしくは収縮特性を示すことが前提になる。
【0022】
ポリマー層の材料としては、原則的には、セキュリティ書類および/または有価書類の分野で通常使用されるすべての材料が使用できる。ポリマー層は、PC(ポリカーボネート、特にビスフェノールAポリカーボネート)、PET(ポリエチレングリコールテレフタレート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、TPU(熱可塑性ポリウレタンエラストマー)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PI(ポリイミドまたはポリトランスイソプレン)、ABS(アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)およびこれらのポリマーのコポリマーを含む群からの、同一のまたは異なるポリマー材料をベースとして形成することができる。PC材料の使用が好ましいが、その場合、必ずしも必須ではないが例えば、いわゆる低T材も、特に、分解版が印刷されるポリマー層および/または印刷された単一もしくは複数のポリマー層と結合しているポリマー層用に、しかもインクジェット印刷の側に使用することができる。低T材とは、そのガラス転移温度が140℃未満のポリマーである。
【0023】
ポリマー層は充填材入りでまたは充填材なしで使用することができる。充填材入りのポリマー層は特に、これは染料でも顔料でもよい着色剤、またはその他の充填材を含む。ポリマー層は染料で着色しても、無色のままでもよく、後者の場合は透明でも半透明でもよい。
【0024】
その際、基本ポリマーが結合対象であるポリマー層の少なくとも1つと同じまたは異なる、相互に反応性の基を含んでいることが好ましい。その場合、200℃未満のラミネート温度で第1ポリマー層の反応性の基が、相互に反応および/または第2ポリマー層の反応性の基と反応する。それにより、ラミネートされた層間の緊密な結合を損なうことなく、ラミネート温度を引き下げることができる。反応性の基を有する相互に異なるポリマー層の場合、これらの異なるポリマー層は、それぞれの反応性基相互の反応および共有化学結合の形成により、もはや容易には層剥離を起こし得ないからである。なぜならば、ポリマー層間に反応性結合が、いわば反応性の積層体が生じるからである。さらに、ラミネーション温度が低くなるので、カラー印刷インクの変化、特に変色を防止することが可能になる。なお、少なくとも1つのポリマー層のガラス転移温度Tが、熱によるラミネーションの前に140℃未満(または120℃未満、または100℃未満)であり、このポリマー層のガラス転移温度が、ポリマー層の基本ポリマーの反応性の基相互の反応によって熱によるラミネーションの後には熱によるラミネーションの前のガラス転移温度より少なくとも5℃、好ましくは、少なくとも20℃高くなることが好ましい。この場合、ラミネートされる層相互間で反応性結合生じるだけでなく、むしろ、層内および層間でのポリマーの架橋結合によって分子量が増大しそれに伴ってガラス転移温度の上昇も起こる。このため、層剥離、分離がさらに困難になる。というのは特に、改ざんを試みる場合、高い層剥離温度が必要とされるので、例えばインクが不可逆的な損傷を受ける恐れがあり、したがって記録が破壊されるからである。そのようなポリマー材料を使用する場合のラミネーション温度は、好ましくは180℃未満、より好ましくは150℃未満である。適当な反応性基の選択は、ポリマー化学分野の当業者には問題なく可能である。反応性の基の例は、−CN、−OCN、−NCO、−NC、−SH、−S、−Tos、−SCN、−NCS、−H、エポキシ(−CHOCH)、−NH、−NN、−NN−R、−OH、−COOH、−CHO、−COOR、−Hal(−F、−Cl、−Br、−I)、−Me−Hal(Me=少なくとも2価の金属、例えばMg)、−Si(OR)、SiHal、−CH=CHおよび−CORを含む群から選択されたものである。ただし、Rは反応性のまたは非反応性の任意の基でよく、例えば、それぞれ分枝鎖または直鎖で、飽和または不飽和の、場合によっては置換された、−H、−Hal、C〜C20−アルキル、C〜C20−アリール、C〜C20−アラルキル、または1つもしくは複数の同種または異種のヘテロ原子N、OまたはSを含む対応する複素環である。他の反応性基も、もちろん可能である。ディールス・アルダー(Diels−Alder)反応または複分解の反応物質がこれに属する。反応性基は基礎ポリマーに直接結合しても、スペーサ基を介して基本ポリマーと結合してもよい。スペーサ基としては、ポリマー化学分野の当業者に公知であるすべてのスペーサ基が対象になる。その際、スペーサ基は、弾性を付与するオリゴマーまたはポリマーでもよく、それによってセキュリティ書類および/または有価書類の破損の危険が低くなる。弾性を付与するそのようなスペーサ基は当業者に公知なので、ここではこれ以上詳しく立ち入ることはしない。単に例として、それぞれ分枝鎖もしくは直鎖で、飽和もしくは不飽和の、場合によっては置換された、−(CH−、−(CH−CH−O)−、−(SiR−O)−、−(C−、−(C10−、C〜C−アルキル、C〜C(n+3)−アリール、C〜C(n+4)−アラルキル(ただし、n=1〜20、好ましくは1〜10)、または1つもしくは複数の同種または異種のヘテロ原子O、NもしくはSを含む対応する複素環を含む群から選択されるスペーサ基を挙げておく。その他の反応性基または可能な改変手段については、文献「Ullmann's Encyclopaedia of Industrial Chemistry」、Wiley出版社発行、電子版(2006)(非特許文献1)を参照されたい。本実施形態の枠内において、基本ポリマーの概念は、実施されるラミネーション条件のもとで反応性基を担持しないポリマー構造を意味している。これは、ホモポリマーでもコポリマーでもよい。上記ポリマーから改変されたポリマーも含まれる。
【0025】
ポリマー層として、少なくとも一部はポリカーボネート(PC)層、好ましくはPC層だけを調製するのが有利である。個人特定情報および/または個別化情報を含むポリマー層結合系、特に、合成樹脂材料(ポリマー)のポリマー層から形成されるまたは形成されている一体的なポリマー層結合系は、セキュリティ書類および/または有価書類として非常に有効に使用することができる。したがって、好ましい一実施形態では、ポリマー層複合体がセキュリティ書類または有価書類として形成される。
【0026】
したがって、一実施形態においては、その他関連する公知のセキュリティ要素および/またはセキュリティ標識が、基層の上および/または中に設置され、および/または取り込まれる。セキュリティ要素および/またはセキュリティ標識は、自明のとおり、ラミネーション前に基層積層体の基層間に取り込むこともできる。同様に、ラミネーション完了後のポリマー層複合体の上または中に、例えばレーザエングレービングなどによって付与することも可能である。
【0027】
さらに、ラミネーションの前に、ポリマー層積層体中にさらに、ラミネーション後にはもはや隣接する基層および/またはさらなる隣接する基層から破損させることなく剥がすことができない性質をもつ非ポリマー材料、特に紙から成る、別の単一または複数の基層を挿入することも可能である。紙層をポリマー層複合体に上記のように埋め込み可能にするためには、例えば紙ベースのこの別の基層に穿孔および/または凹部を設け、ラミネーションの際に紙ベースで形成されたこの別の基層に隣接するポリマー基層がそこを通して互に結合できるようにするのが有利である。
【0028】
他のセキュリティ要素および/またはセキュリティ標識の例として、組み込まれた回折構造、ホログラム、エンボス加工、波縞模様またはアイリスプリントなどの特殊な印刷要素の付与、特定の色の使用、レーザエングレービングの投入などが挙げられる。従来技術で公知のすべてのセキュリティ標識がさらに利用できることは当業者には明白である。
【0029】
他のセキュリティ要素として、単一または複数の電子回路および/またはマイクロチップをポリマー層複合体に取り込むことができる。その場合、電子回路は、インダクタンス、容量、電気抵抗、ダイオード、トランジスタ、記憶素子、表示素子などの個々の構成部品、またはこれらの素子を幾つか組み合わせてまたは相互接続して発振器、増幅器、マイクロコントローラもしくはディスプレーとしたものでよい。集積回路として構成するのが有利であることが実証されている。これらの電子回路および/またはマイクロチップは、しばしば無接触で読み出しおよび/または書き込みができるように形成される。電子回路および/またはマイクロチップの交換または操作を防止しそれらから保護するために、一実施形態においては、インレイ層と呼ばれる基層の第1表面に、またはインレイ層内の1つもしくは複数の凹部に、1つもしくは複数の電子回路および/または1つのマイクロチップを設置または導入し、続いて、この第1表面上に、少なくとも2つある分解版の1つを印刷する。このような場合、マイクロチップおよび/または1つまたは複数の電子回路の交換および/または除去する度に、第1の個人特定情報および/または個別化情報にも変化が生じ、したがって観察者はそれに容易に気付くことができる。
【0030】
別の実施形態では、分解版の1つを印刷するとき、透明または半透明な回折セキュリティ要素が少なくとも一部は直接印刷される。一変形形態においては、既に分解版の1つによって印刷され、続いてもう一方の分解版によって少なくとも部分的に直接上に印刷されたる基層に、回折セキュリティ要素、例えばホログラムを付与する。回折セキュリティ要素は、それによりセキュリティ書類の改ざんの一つとしての交換に対して最適に保護される。したがって、回折素子の導入は、1つまたは複数の基層表面に対する印刷の前および/または後および/または最中に行うことができる。したがって、回折素子は、少なくとも2つの分解版のうちの少なくとも1つに、直接的印刷を含めて、少なくとも部分的に平坦に隣接することによって、改ざん過程での気付かれない交換に対して保護される。
【0031】
幾つかの実施形態においては、第1の個別化情報および/または個人特定情報の他に、少なくとも1つの第2の個人特定情報および/または個別化情報が、ポリマー層複合体、つまり有価書類および/またはセキュリティ書類に取り込まれる。そうするために、一実施形態では、第2の個人特定情報および/または個別化情報が複数のさらなる分解版に分解された後、個人特定情報および/または個別化情報がポリマー層複合体の表面に再現されるとともに、その複数のさらなる分解版がポリマー複合体において正確に見当合せされて重なり、これらが全体として、第2の個人特定情報および/または個別化情報をポリマー層複合体の上側と向き合う下側に再現するように、その複数のさらなる分解版が複数基層の複数基層表面に印刷され、それらの基層が基層積層体へと積層される。
【0032】
第1の個人特定情報の付与は、単一工程または複工程、特に2工程で、ロール状に準備されたポリマー層またはシート状に準備されたポリマー層に対して行うことができる。個別基層の位置合わせは光学的制御法によって監視することができる。特に基体シート状の基層を積層する場合には機械式突き合わせマークの使用も可能である。
【0033】
本発明の一実施形態では、複数の基層に複数の第1の個人特定情報および/または個別化情報を印刷し、ポリマー層複合体から複数のセキュリティ書類および/または有価書類を、好ましくは切断または打ち抜きによって分離する。
【0034】
基層表面を異なる分解版で印刷するには、デジタル印刷法によって行う。特に、少なくとも2つの分解版を、転写印刷法、昇華印刷法、拡散/転写法、再転写法、または特に好ましくはインク噴射印刷法(インクジェット印刷法)および/またはそれらの組合せによって印刷する。
【0035】
特にポリカーボネート基層に対するインクジェット印刷には、原則として、当分野で常用されるすべてのインクが使用できる。好ましいのは、A)ポリカーボネート誘導体を含有するバインダ0.1〜20重量%、B)好ましくは有機の溶剤または溶剤混合物30〜99.9%、C)着色剤または着色剤混合物0〜10重量%(乾燥質量に対する重量%)、D)機能性材料または機能性材料混合物0〜10重量%、E)添加剤および/もしくは助剤、またはそのような物質の混合物0〜30重量%を含み、インクジェット印刷インクとして成分A)〜E)の合計が常に100重量%である調合品の使用である。そのようなポリカーボネート誘導体は、ポリカーボネート材料、特に、ビスフェノールAをベースとするポリカーボネート、例えばMakrofol(登録商標)フィルムと高い相容性がある。使用されるポリカーボネート誘導体は、その上、高温に安定で、200℃までまたはそれ以上の典型的なラミネーション温度で決して変色せず、そのため前述の低T材の使用も必要でない。詳しく言えば、ポリカーボネート誘導体は、式(I)の官能性カーボネート構造単位を含むことができる。
【0036】
【化1】



式中、
およびRは、互に独立に、水素、ハロゲン、好ましくは塩素または臭素、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、好ましくはフェニル、C〜C12アラルキル、好ましくはフェニル−C〜Cアルキル、特にベンジルであり、
mは4〜7の整数、好ましくは4または5であり、RおよびRは、各Xに対して個別に選択可能であり、互に独立に、水素またはC〜Cアルキルであり、Xは炭素であり、nは、少なくとも1個のX原子においてRおよびRが同時にアルキルを意味するという条件で、20より大きい整数を意味する。1〜2個のX原子において、特に1個のX原子においてのみRおよびRが同時にアルキルであることが好ましい。RおよびRは、特に、メチルでよい。ジフェニル置換されたC原子(C1)に対してα位のX原子はジアルキル置換されていなくてよい。C1に対してβ位のX原子はアルキルで二置換されていてよい。m=4または5が好ましい。ポリカーボネート誘導体は、例えば、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキサン−1,1−ジイル)ジフェノール、4,4’−(3,3−ジメチルシクロヘキサン−1,1−ジイル)ジフェノールまたは4,4’−(2,4,4−トリメチルシクロペンタン−1,1−ジイル)ジフェノールのようなモノマーをベースとして形成することができる。このようなポリカーボネート誘導体は、例えば、独国特許第3832396.6号明細書(特許文献12)によれば、式(Ia)のジフェノールから製造することができ、その開示の全体を本明細書の開示に取り入れる。式(Ia)のジフェノールを1種使用してホモポリカーボネートを形成することも、式(Ia)のジフェノールを複数種使用してコポリカーボネートを形成することもできる(残基、基およびパラメータの意味は式Iの場合と同様)。
【0037】
【化2】

【0038】
その上、式(Ia)のジフェノールを、他のジフェノール、例えば式(Ib)
HO−Z−OH (Ib)
のジフェノールと混合使用して、熱可塑性の高分子芳香族ポリカーボネート誘導体を製造することができる。
【0039】
式(Ib)で表される他の適切なジフェノールは、式中Zが、6〜30個のC原子をもち、1つまたは複数の芳香核を含んでいてよく、置換されていてもよい、芳香族残基、式(Ia)の残基として脂肪族残基または他の脂環式残基を、または架橋体としてヘテロ原子を含んでいてもよい、芳香族残基であるものである。式(Ib)で表されるジフェノールの例としては、ヒドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシジフェニル、ビ(ヒドロキシフェニル)−アルカン、ビス−(ヒドロキシフェニル)−シクロアルカン、ビス−(ヒドロキシフェニル)−スルフィド、ビス−(ヒドロキシフェニル)−エーテル、ビス−(ヒドロキシフェニル)−ケトン、ビス−(ヒドロキシフェニル)−スルホン、ビス−(ヒドロキシフェニル)−スルホキシド、α、α’−ビス−(ヒドロキシフェニル)−ジイソプロピルベンゼンおよび核アルキル化、核ハロゲン化されたこれらの化合物がある。これらのジフェノールおよび他の適切なジフェノールについては、例えば、米国特許第3028365号明細書(特許文献13)、第2999835号明細書(特許文献14)、第3148172号明細書(特許文献15)、第3275601号明細書(特許文献16)、第2991273号明細書(特許文献17)、第3271367号明細書(特許文献18)、第3062781号明細書(特許文献19)、第2970131号明細書(特許文献20)、第2999846号明細書(特許文献21)、独国特許第1570703号明細書(特許文献22)、第2063050号明細書(特許文献23)、第2063052号明細書(特許文献24)、第2211956号明細書(特許文献25)、仏国特許第1561518号明細書(特許文献26)およびモノグラフ、H. Schnell、「Chemistry and Physics of Polycarbonates」、Interscience Publishers、ニューヨーク(1964)(非特許文献2)に記載されており、それらの全体を本出願の開示に取り入れる。好ましいその他のジフェノールは、例えば4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、α、α−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−メタン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−スルホン、2,4−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、α、α−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ビス−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンおよび2,2−ビス−(3,5−ジブロム−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンである。式(Ib)のジフェノールで特に好ましいのは、例えば2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジブロム−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンおよび1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサンである。とりわけ、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンが好ましい。この他のジフェノールは単独、混合のいずれででも使用することができる。式(Ia)のジフェノールと、必要に応じて併用される式(Ib)の他のジフェノールとのモル比は、100モル%(Ia):0モル%(Ib)〜2モル%(Ia):98モル%(Ib)、好ましくは100モル%(Ia):0モル%(Ib)〜10モル%(Ia):90モル%(Ib)、特に好ましくは100モル%(Ia):0モル%(Ib)〜30モル%(Ia):70モル%(Ib)の範囲にすべきである。式(Ia)のジフェノール単独からなる、場合によってはそれを他のジフェノールと組み合わせてなる高分子ポリカーボネート誘導体は、公知のポリカーボネート製造方法によって製造することができる。その場合、様々なジフェノールはランダムにもブロック状にも結合させることができる。使用されるポリカーボネート誘導体は、それ自体公知のように分枝していてもよい。分枝が望まれる場合には、公知の方法により、わずかな量、好ましくは0.05〜2.0モル%の量(ジフェノール使用量に対する値)の3官能性またはそれ以上の官能性の化合物、特に3個またはそれ以上のフェノール性ヒドロキシ基をもつ化合物と縮合させることによってそれを達成することができる。3個またはそれ以上のフェノール・ヒドロキシ基をもつ分岐剤を幾つか挙げると、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−へプタン−2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−へプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゼン、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、2,2−ビス−[4,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキシル]−プロパン、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル−イソプロピル)−フェノール、2,6−イス−(2−ヒドロキシ−5−メチル−ベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−プロパン、へキサ−[4−(4−ヒドロキシフェニル−イソプロピル)−フェニル]−オルトテレフタル酸エステル、テトラ−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、テトラ−[4−(4−ヒドロキシフェニル−イソプロピル)フェノキシ]−メタンおよび1,4−ビス−[4’,4”−ジヒドロキシトリフェニル)−メチル]−ベンゼンがある。他の3官能性化合物を幾つか挙げると、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、塩化シアヌリルおよび3,3−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールがある。ポリカーボネート誘導体の分子量制御はそれ自体公知であるが、そのための連鎖停止剤としては、単官能化合物が常用濃度で用いられる。適した化合物は、例えばフェノール、tert−ブチルフェノールまたは他のアルキル置換されたフェノールである。分子量の制御には、特に、式(Ic)の少量のフェノールが適している。
【0040】
【化3】



式中、Rは分枝したCおよび/またはCアルキル残基を表している。アルキル残基R中でCH−プロトンの占める割合が47〜89%、CH−およびCH−プロトンの割合が53〜11%であることが好ましい。また、RはOH基に対してo位および/またはp位にあることが好ましく、オルト成分の上限は20%であるのが特に好ましい。連鎖停止剤は、一般には、ジフェノールの使用量に対して0.5〜10モル%、好ましくは1.5〜8モル%の量で使用される。ポリカーボネート誘導体は、好ましくは、相界面法(H. Schnell、「Chemistry and Physics of Polycarbonates」、Polymer Reviews、第IX巻、33ページ以降参照、Interscience出版社、1964)(非特許文献2)に従って、それ自体公知の方式で製造することができる。この場合、式(Ia)のジフェノールを水性アルカリ相に溶かす。他のジフェノールとのコポリカーボネートの製造には、式(Ia)のジフェノールと他のジフェノール、例えば式(Ib)のジフェノールとの混合物が使用される。分子量の制御には、例えば式(Ic)の連鎖停止剤を使用することができる。次に、不活性の、好ましくはポリカーボネートを溶解する有機相の存在下で、ホスゲンにより界面縮合法に従って変換を行う。反応温度は0℃〜40℃である。必要に応じて併用される分岐剤(好ましくは0.05〜2.0モル%)は、ジフェノールと共に水性アルカリ相に投入しても、ホスゲン化の前に有機溶剤に溶かして添加してもよい。式(Ia)のジフェノールおよび必要に応じて使用される別のジフェノール(Ib)のほかに、それらのモノ−および/またはビス−クロロ炭酸エステルも一緒に使用することができる。その場合これらは有機溶剤に溶かして添加する。連鎖停止剤および分岐剤の量は、式(Ia)および場合によっては式(Ib)に対応するジフェノラート残基の分子量に依存する。クロロ炭酸エステル併用の場合、公知のようにホスゲンの量を相応に減らすことができる。連鎖停止剤にも、必要な場合には分岐剤およびクロロ炭酸エステルにも適している有機溶剤は、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン、および特に塩化メチレンとクロロベンゼンとの混合物である。必要な場合には、使用する連鎖停止剤と分岐剤とを同じ溶剤に溶かすことができる。界面重縮合のための有機相としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンおよび塩化メチレンとクロロベンゼンの混合物が使用される。水性アルカリ相としては、例えばNaOH溶液が使用される。相界面法によるポリカーボネート誘導体の製造は、通常どおり第三アミン、特にトリブチルアミンまたはトリエチルアミンなどの脂肪族第三アミンのような触媒によって触媒させることができる。触媒は、使用されるジフェノールのモルに対して0.05〜10モル%の量で使用することができる。触媒は、ホスゲン化の開始前に添加しても、その最中またはその後に添加してもよい。ポリカーボネート誘導体は、公知の方法に従って均質相で、いわゆる「ピリジン法」で製造することも、ホスゲンの代わりに例えば炭酸ジフェニルを使用して公知の溶融エステル交換法によって製造することもできる。ポリカーボネート誘導体は、線状でも分枝状でもよく、式(Ia)をベースとするホモポリカーボネートまたはコポリカーボネートである。他のジフェノール、特に式(Ib)のジフェノールを含む任意の組成により、ポリカーボネートの特性を好ましいように変えることができる。このようなコポリカーボネートの場合、ポリカーボネート誘導体に含まれる式(Ia)のジフェノールは、ジフェノール単位の総量100モル%に対して100モル%〜2モル%、好ましくは100モル%〜10モル%、特に好ましくは100モル%〜30モル%の量である。ポリカーボネート誘導体は、式(Ib)ベースのモノマー単位M1、好ましくはビスフェノールAと、ジェミナル二置換されたジヒドロキシジフェニルシクロアルカン、好ましくは4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロへキサン−1,1−ジイル)ジフェノールをベースとするモノマー単位M2とを含む、特にそれらから成るコポリマーとすることができる。その場合のモル比M2/M1は、好ましくは0.3超、特に好ましくは0.4超、例えば0.5超である。ポリカーボネート誘導体の平均分子量(重量平均)は少なくとも10,000、好ましくは20,000〜30,000であるのが好ましい。
【0041】
成分Bは、原則として、実質上有機性または水性でよい。実質上水性とは、成分B)の20重量%までは有機溶剤であってもよいという意味である。実質上有機性とは、5重量%までの水が成分B)に含まれていてもよいという意味である。成分Bは、液状の脂肪族、環状脂肪族および/または芳香族炭化水素、液状の有機エステルおよび/またはこれら物質の混合物を含んでいるか、またはそれらより成っていることが好ましい。使用される有機溶剤は、ハロゲンを含まない有機溶剤が好ましい。使用の対象になるのは、特に、メシチレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、クメン、溶剤ナフサ、トルエン、キシレンなどの脂肪族、環状脂肪族、芳香族炭化水素、および酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピル、3−エトキシプロピオン酸エチルなどの(有機)エステルである。好ましいのは、メシチレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、クメン、溶剤ナフサ、トルエン、キシレン、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、酢酸メトキシプロピル、3−エトキシプロピオン酸エチルである。特に好ましいのは、メシチレン(1,3,5−トリメチルベンゼン)、1,2,4−トリメチルベンゼン、クメン(2−フェニルプロパン)、溶剤ナフサ、3−エトキシプロピオン酸エチルである。適切な溶剤混合物は、例えばL1)メシチレン0〜10重量%、好ましくは1〜5重量%、特に好ましくは2〜3重量%、L2)1−メトキシ−2−プロパノール酢酸エステル10〜50重量%、好ましくは25〜50重量%、特に好ましくは30〜40重量%、L3)1,2,4−トリメチルベンゼン0〜20重量%、好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは7〜15重量%、L4)3−エトキシプロピオン酸エチル10〜50重量%、好ましくは25〜50重量%、特に好ましくは30〜40重量%、L5)クメン0〜10重量%、好ましくは0.01〜2重量%、特に好ましくは0.05〜0.5重量%、およびL6)溶剤ナフサ0〜80重量%、好ましくは1〜40重量%、特に好ましくは15〜25重量%を含み、成分L1)〜L6)の総和は常に100重量%である。ポリカーボネート誘導体は、典型的には、少なくとも10,000、好ましくは20,000〜300,000の平均分子量(重量平均)を有している。
【0042】
この調合品は具体的には、A)バインダ(ジェミナル二置換されたジヒドロキシジフェニルシクロアルカンをベースとするポリカーボネート誘導体を含む)0.1〜10重量%、特に0.5〜5重量%、B)有機溶剤または有機溶剤混合物40〜99.9重量%、特に45〜99.5重量%、C)着色剤または着色剤混合物0.1〜6重量%、特に0.5〜4重量%、D)機能性材料または機能性材料混合物0.001〜6重量%、特に0.1〜4重量%、E)添加剤および/もしくは助剤またはそれら物質の混合物0.1〜30重量%、特に1〜20重量%を含むことができる。
【0043】
成分Cとしては、着色剤が使用される限り、原則的に任意の着色剤または着色剤混合物が対象になる。着色剤とは色を付与するすべての物質を指す。これは、染料(染料の概説は、Ullmannの百科事典「Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry」、電子版2007、Wiley出版社、項目「Dyes, General Survey」にある)(非特許文献3)も顔料(有機顔料および無機顔料の概説は、Ullmannの百科事典「Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry」、電子版2007、Wiley出版社、章「Pigments, Organic」または「Pigments, Inorganic」にある)(非特許文献3)も対象になり得ることを意味している。染料は成分Bの溶剤中に可溶であるか、または(安定に)分散もしくは懸濁可能であるべきである。さらに、着色剤は160℃およびそれを越える温度で5分超のあいだ安定である、特に色が安定であるのが有利である。着色剤は、加工条件のもとで所定の再現可能な変色を行わせ、相応に選択することも可能である。顔料は、温度安定性であるほか、特に細かい粒径分布状態になければならない。インクジェット印刷では、これは粒径が1.0μmを越えてはならないことを意味している。そうでないと印刷ヘッドが詰まる結果になるからである。通例ではナノスケールの固形顔料および溶解染料が有効であることが実証されている。着色剤はカチオン性、アニオン性または中性でもよい。インクジェット印刷に使用できる着色剤は、単なる例として挙げると、ブリリアントブラック C.I.28440、クロモーゲンブラック C.I.14645、ダイレクトディープブラックE C.I.30235、ファーストブラックソールトB C.I.37245、ファーストブラックソールトK C.I.37190、スーダンブラックHB C.I.26150、ナフトールブラック C.I.20470、Bayscript(登録商標)ブラック、リキッド、C.I.ベーシックブラック11、C.I.ベーシックブルー154、Cartasol(登録商標) Tuerkis K−ZLリキッド、Cartasol(登録商標) Tuerkis K−RLリキッド(C.I.ベーシックブルー140)、CartasolBlau K5Rリキッドである。そのほか、例えば市販染料Hostafine(登録商標)ブラックTSリキッド(販売元:Clariant社/独国)、Bayscript(登録商標)ブラック、リキッド(C.I.混合物、販売元:Bayer社/独国)、Cartasol(登録商標)ブラック MGリキッド(C.I.ベーシックブラック11、Clariant社/独国の登録商標)、Flexonylschwarz(登録商標)PR100(E C.I.30235、販売元:Hoechst社)、Rhodamin B、Cartasol(登録商標)オレンジK3GL、Cartasol(登録商標)イエロー K4GL、Cartasol(登録商標)KGLまたはCartasol(登録商標)レッド K−3Bが適している。さらに、可溶性着色剤としてアンスラキノン染料、アゾ染料、キノフタロン染料、クマリン染料、メチン染料、ペリノン染料および/またはピラゾール染料が、例えば商品名Macrolex(登録商標)で入手でき使用できる。その他の適切な着色剤は、「Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry」、電子版2007、Wiley出版社、章「Colorants Used in Ink Jet Inks」(非特許文献3)に記載されている。可溶性良好な着色剤は、印刷層のマトリックスまたはバインダへの融合性が至極良好である。着色剤は、染料もしくは顔料として直接添加しても、染料と顔料にさらに他のバインダを加えた混合物をペーストとして添加することができる。この追加のバインダは調合品中の他の成分と化学的に相容性でなければならない。このようなペーストを着色剤として使用する限り、成分Bの量は、ペーストに含まれるその他の成分を除いた着色剤の量を指す。ペーストに含まれる他の成分は成分Eに含めるべきである。いわゆる有彩色顔料をシアン/マジェンタ/イエロー階調色として、好ましくは(カーボン)ブラックも使用すると、全色調の表現が可能となる。
【0044】
成分Dは、技術的補助手段を利用して人間の目で直接に、または適当な検出器の使用によって認識できる物質を含んでいる。これは、有価書類およびセキュリティ書類の保護に使用される、当業者に公知の材料(van Renesse、「Optical document security」、第3巻、Artech House、2005を参照のこと)(非特許文献4)を意味している。それには、例えば光発光体、電界発光体、反ストークス発光体、蛍光体などの発光物質(有機または無機の染料または顔料)、さらには、磁化可能な材料、光音響的に応答可能な材料または圧電材料が挙げられる。そのほか、ラマン活性材料またはラマン活性強化材料およびいわゆるバーコード材料も使用できる。この場合も好ましい判定基準として、成分Cに関する説明のように、成分B中における溶解性、または着色系の場合は1μm未満の粒径、および160℃を超える温度に対する温度安定性が有効である。機能性材料は直接添加しても、ペースト状にして、すなわち成分Eを形成する別のバインダとの混合物に、または成分Aとして使用されるバインダに添加してもよい。
【0045】
成分Eは、インクジェット印刷用インクの場合、通例、消泡剤、調節剤、湿潤剤、界面活性剤、流動化剤、乾燥剤、触媒、(光)安定剤、保存剤、殺生物剤、界面活性剤、粘度調整用有機ポリマー、緩衝剤系などの調整された物質を含んでいる。調節剤としては、当分野で常用される調節塩が挙げられる。その例は乳酸ナトリウムである。殺生物剤としては、インクに使用される市販のすべての保存剤が対象になる。その例はProxel(登録商標)GXLおよびParmetol(登録商標)A26である。界面活性剤としては、インクに使用される市販のすべての界面活性剤が対象になる。好ましいのは両性または非イオン性の界面活性剤である。しかし、当然のことながら、染料の特性を変化させない特定のアニオン性またはカチオン性の界面活性剤の使用も可能である。適切な界面活性剤の例は、ベタイン、エトキシル化ジオールなどである。例えば製品シリーズSurfynol(登録商標)およびTergitol(登録商標)がある。界面活性剤の量は、特にインクジェット印刷に使用する場合、例えば、インクの表面張力が25℃で測定して10〜60mN/m、好ましくは20〜45mN/mになるように選択される。pH値を2.5〜8.5の範囲、好ましくは5〜8の範囲に安定化させる緩衝剤系を使用することができる。適切な緩衝剤系は、酢酸リチウム、ホウ酸塩緩衝剤、トリエタノールアミンまたは酢酸/酢酸ナトリウムである。緩衝剤系は、特に、実質上水性である成分Bの場合に使用の対象になる。インクの粘度調整には(場合によっては水溶性の)ポリマーを使用することができる。これには、通常のインク調製に適したすべてのポリマーが対象になる。その例として、特に平均分子量3,000〜7,000の水溶性澱粉、特に平均分子量25,000〜250,000のポリビニルピロリドン、特に平均分子量10,000〜20,000のポリビニルアルコール、特に平均分子量1,000〜8,000のキサンタンゴム、カルボキシメチルセルロース、酸化エチレン/酸化プロピレン・ブロックコポリマーがある。最後に挙げたブロックコポリマーの例としては、製品シリーズPluronic(登録商標)がある。殺生物剤の使用量は、インク総量に対して0〜0.5重量%、好ましくは0.1〜0.3重量%の範囲とすることができる。界面活性剤の使用量は、インク総量に対して0〜0.2重量%の範囲とすることができる。調節剤の使用量は、インク総量に対して0〜1重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%の範囲とすることができる。助剤には、例えば酢酸、ギ酸またはn−メチル−ピロリドンなどのその他の成分、または使用される染料溶液もしくは染料ペーストから成るその他のポリマーも挙げられる。成分Eとして適している物質に関しては、補足資料として、例えば「Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry」、電子版2007、Wiley出版社、章「Paints and Coatings」、項目「Paint Additives」(非特許文献3)が参考になる。
【0046】
本発明に基づくポリマー層複合体ならびに/または有価書類および/もしくはセキュリティ書類の特徴は、それに対応する、本発明に基づく製造方法の特徴と同じ利点を有している。第1の個人特定情報および/または個別化情報、および必要に応じて加えられる1つまたは複数の第2の個人特定情報および/または個別化情報が、ポリマー層複合体または有価書類および/またはセキュリティ書類の様々な平面内に分布することが、偽造に対して非常に高い安全性をもたらすセキュリティ標識を提供する。模造に対しても高い安全性が確保される。なぜなら、有彩色情報がポリマー層複合体、つまり有価書類および/またはセキュリティ書類の様々な平面内に分布している場合は、例えば顔面カラー像を含む第1の個人特定情報および/または個別化情報の正確に見当合せされた高解像度の印刷が、高い技術コストをかけないと実現できないからである。ポリカーボネートをベースとして製造されたインクおよび同じくポリカーボネートをベースとして製造された基層を使用した場合、ラミネーション後に、製造に用いられた基層と基層の境目がもはや認められない一体的構成体が得られる。そのとき、印刷されたインクも一体的構成体、すなわち一体型ポリマー層複合体に完全に融合している。このため、別のインクおよび/またはカラー印刷インクの使用時に見られるような層剥離の危険なしに、第1の個人特定情報および/または個別化情報の広い面にわたる印刷を行うことができる。特に、有価書類および/またはセキュリティ書類の真正性を判定するための破壊式試験方法では、そのように形成されたセキュリティ標識が高い信頼度で認識することができる。ポリマー層複合体、つまり有価書類および/またはセキュリティ書類の表面からの個々の分解版の距離を決定する非破壊式試験方法も同様に、この新規セキュリティ標識の検証に使用することができる。第1の情報部分を印刷層にフルカラーで付与し、黒色の情報部分をレーザエングレービングによって追加する方法に比べ、本発明は、第1の個人特定情報および/または個別化情報の印刷技術による、例えばインクジェット印刷による高解像度での付与が、様々な基層表面に対して実施でき、それも均一で簡単な、非常によく制御された印刷技術によって実施可能であるという利点を有している。したがって、本方法ではレーザエングレービングの追加付与は必要でないが、追加のセキュリティ標識としては、もちろん実施可能である。このように、製造方法が全体的に簡易化されている。
【0047】
本発明によれば、さらに、第1情報の適切な分解により三次元の光学効果が実現できる。
【0048】
以下では、図面を参照しながら好ましい実施形態について詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】ポリマー層複合体として形成されたセキュリティ書類および/または有価書類の製造装置を示した概略図である。
【図2】ポリマー層複合体として形成されたセキュリティ書類および/または有価書類の構造を示した概略図である。
【図3】ポリマー層複合体として形成されたセキュリティ書類および/または有価書類の製造について説明するための別の概略図である。
【図4】個人化された、さらなる多層ポリマー層複合体の別の概略図である。
【図5】第1および第2の個人特定情報および/または個別化情報を含むポリマー層複合体として形成されたセキュリティ書類および/または有価書類の構造を示した概略図である。
【図6】ポリマー層複合体として形成された、集積チップを含むさらなるセキュリティ書類および/または有価書類の概略図である。
【図7】回折素子が組み込まれたポリマー層複合体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1により、ポリマー層複合体として形成された有価書類および/またはセキュリティ書類の製造方法を例示によって説明する。図1にはポリマー層複合体の製造装置が示されている。本装置は複数のロールを有し、それに、ポリマーフィルム、好ましくはポリカーボネートフィルムが巻き付けられている。ポリマー層複合体の製造には、基層として少なくとも3層のポリマー層が必要である。それらはロール2〜4上に配置されている。それに加え、任意選択で、1層または複数層、特に1〜12層、より好ましくは2〜10層、最も好ましくは4〜6層のポリマー層をロールに装着することができる。基材として利用可能な追加のこれらポリマー層は、破線で描かれたロール5の上を通っているように図示されている。ロール2〜5に配置され送り出されるポリマー層6〜9は5μm〜350μmの厚さ、好ましくは50μm〜150μmの厚さを有している。個々のポリマー層6〜9はすべて同じ厚さでも、異なる厚さでもよい。
【0051】
第1の個人特定情報は、好ましくはコンピュータとして形成されている制御ユニット10に、例えばコンピュータ・データレコードの形式で供給される。第1の個人特定情報および/または個別化情報は、例えば顔のカラー写真(証明書写真)および姓、名、誕生日、住所、出生地、町名、家屋番号、郵便番号などの個人情報を含むことができる。制御ユニット10は、第1の個人特定情報および/または個別化情報を、それぞれ第1の個人特定情報および/または個別化情報の部分情報を含む少なくとも2つの分解版に分解するように構成されている。例えば顔のカラー写真から、シアン/マジェンタ/イエローの色空間または色体系における3つの単色色分解版が作製される。それに加え、黒および/またはグレイの画像構成部分のために第4の色分解版を作製することもできる。例えば単色色分解版と同じである、または2つの単色色分解版の組合せである、少なくとも2つの色分解版が印刷ユニット11〜14に伝達される。これらの印刷ユニット11〜14はデジタル印刷ユニットとして形成されており、それは、それらがデジタル印刷方法を実施することを意味している。
【0052】
印刷ユニット11〜14はインクジェット印刷ユニットとして形成されることが好ましい。幾つかの実施形態では、異なる印刷ユニット11〜14がそれぞれ異なるデジタル印刷方法で印刷することもできる。
【0053】
ロール2〜4から3つのポリマー層6〜8だけが送り出される実施形態では、印刷ユニット11および12を通じて、例えば2つの分解版がポリマー層7の対向する表面上に正確に見当合せされて印刷される。これは、例えば第1の個人特定情報および/または個別化情報用のイエローおよびマジェンタの単色色分解版の統合物である分解版が、ポリマー層7によって構成される基層の表側15、すなわち、上側の基層表面に、印刷ユニット11によって印刷されることを意味している。ポリマー層7によって構成される基層の裏側16(下側の基層表面)には、黒の色分解版とシアンの色分解版の統合物である第2の分解版が、第1分解版に対して正確に見当合せされて印刷ユニット12により印刷される。
【0054】
別の実施形態では、印刷ユニット11〜14はそれぞれ、3色+黒表色系の各単色色分解版を印刷することができる。その場合、黒の色分解版も単色色分解版と見なされる。これは、印刷ユニット13および14が、ポリマー層9上に2種類の異なる分解版をそれぞれ正確に見当合せして同様に印刷することを意味している。このような場合、ポリマー層7と9との間にさらに別の透明ポリマー層を挿入して(図示せず)、印刷ユニット12および13によって印刷された分解版が完成したポリマー層複合体において互に離れるようにするのが有利である。しかし、これは必ずしも必要ではない。別の実施形態では、外側の基層(ポリマー層)の内側の基層表面も印刷されるようにすることができる。
【0055】
ポリマー層6〜8または6〜9は、転向ロール17を通って送られ、ポリマー層積層体または基層積層体18として合一化される。個別ポリマー層6〜9の積層または合一化は、少なくとも、最低2つの分解版が異なる基層またはポリマー層6〜9に印刷されていて、これらがラミネーション時に同じ膨張特性および/または収縮特性を示す場合に、個々の分解版、すなわち、印刷される分解版が基層積層体18において互に正確に見当合せされて配置されるように行われる。
【0056】
続いて、基層またはポリマー層6〜8または6〜9が複合体として接合される。この接合は、好ましくは熱間/冷間プレス機19を通して実施されるラミネーション加工法によって行われる。互に結合された基層またはポリマー層6〜8または6〜9は、例えば型抜き器として形成され、セキュリティ書類および/または有価書類21としてのポリマー層複合体を例えば型抜きおよび/または切断する、単位分割ユニット20に送られる。
【0057】
ここでは製造方法を極めて簡略に述べていることが当業者には理解されよう。当然のことながら、セキュリティ書類および/または有価書類に追加のセキュリティ要素および/またはセキュリティ標識を組み込むために用意された別の方法工程および装置部品を挿入および/または追加することが可能である。例えばレーザエングレービングを施し、および/またはさらなる層、好ましくは感光性の現像済みポリマー層の形態のホログラムをラミネーション加工前に付加することができる。例えば、従来のオフセット印刷により波縞模様を、またはスクリーン印刷により光学変化性インク(OVI)を、または発光色などを塗布するために、特に、さらに別の非デジタルの印刷法を適用することができる。必要な場合には、これらの印刷インク用にUV固定などの乾燥ステーションが用意される。
【0058】
図1により説明した製造過程では、個々の基層はロールに装着されたポリマー層の形態で供給される。本方法の別の実施形態では、個々のポリマー層または基層をシートの形態で印刷および/または積層することができる。正確な見当合せは、積層された個別シートに対し、いわゆる3点合せ装置によって行うことが好ましい。個々のポリマー層が接合されて複合体になるラミネーション工程の前に、互いに隣接する基層の個々の境界層において1箇所または数箇所で局所的に、例えば超音波による接合および/またはレーザビームの狙いを定めた照射によって接着を行うことができる。他の接合法、例えば加熱チェンバによる方法も、もちろん適用することができる。シートが製造対象のポリマー層複合体に正確に見当合わせされている場合は、単位分割過程を省くことができる。
【0059】
図2には、ポリマー層複合体として形成された有価書類および/またはセキュリティ書類21の構造が改めて模式的に示されている。ここでは、見やすくするために、個々の基層22、23、24が互に間隔を置いて描かれている。完成した有価書類および/またはセキュリティ書類21では、これらの層が、材料接合によって好ましくは一体に結合している。基層23の上側表面25は、イエローおよびマジェンタの単色色分解版を含む分解版で印刷されている。それに対応して、基層23の下側表面26はシアンおよび黒の単色色分解版を含む第2の分解版で印刷されている。両方の分解版の印刷された個人特定部分情報および/または個別化部分情報を改ざんおよび/または偽造から保護するために、外側に基層22および24が設けられている。完成したポリマー層複合体では、両方の分解版がセキュリティ書類および/もしくは有価書類21の異なる平面に配置され、または刷り込まれている。
【0060】
図3a〜3cにより、別の実施形態によれば、顔のカラー写真を含む第1情報がどのようにしてポリマー層複合体に取り込まれるかを例示によって説明する。図3aには、顔を表す第1情報31が模式的に描かれている。顔写真の個々の構成部分には、文字により、それぞれこの構成部分を表す対応色が割り当てられる。輪郭32は黒(s)、鼻33はイエロー(g)、口34はマジェンタ(m)、目35はシアン(c)の各色である。
【0061】
個々の色分解版、すなわち、模式的に描かれた顔写真の個々の要素はそれぞれ、図3bに示されるように、異なる基層41〜44のそれぞれ表側に印刷される個々の分解版36〜39を表している。それに加え、最も下に配置された基層40には、例えば波縞模様46を含む背景モチーフが印刷されている。印刷された個々の基層41〜44は、正確に見当合せされて基層積層体として重ね合わされる。それに加えて、基層41〜44と同様に透明に形成されたもう1つの基層45が基層44の上に配置される。図3cには、ラミネーション加工により個々の基層40〜45がポリマー層複合体として接合された後の最終状態におけるセキュリティ書類47の上面図が描かれている。個々の分解版が全体として図3aに描かれているような第1情報を再現していることがよく見て取れる。
【0062】
別の実施形態でも図3a〜3cの場合と同様に、分解版がそれぞれ、観察者の現実の対象物の画像点のうちの深部領域または遠隔領域の画像点を含むように、三次元対象物の結像を含む第1情報が分解版に分解される。すなわち、分解版の1つに、第1遠隔領域で観察者の最も近くにある対象物の輪郭で結像する三次元対象物の画像点が割り当てられる。それに隣接する遠隔領域にある対象物の輪郭および表面を表す画像点が、別の分解版に割り当てられる。最も遠く離れた対象物の点で結像する画像点も1つの分解版に割り当てられるまで、同様に操作が続けられる。当業者には自明のことであるが、遠隔領域は、所望の然るべき数の分解版が得られるように選択される。好ましくは2〜9、特に好ましくは3〜5の分解版を使用する。分解版は、基層表面上に、好ましくは有彩色で、すなわち1分解版につき複数の色でそれぞれ異なる基層表面に印刷され、観察者から最も近くにある対象物の点で結像する画像点を含む分解版が一番下の基層表面に印刷され、かつ観察者から最も遠く離れた対象物の点を表す分解版が一番上の被印刷基層表面に印刷されるように積層される。分解版は、形成された基層積層体または基層複合体の観察される上側表面を基準として、描かれた対象物点の距離に関していわば「反転」させて基層複合体に取り込まれる。そうすることで、三次元対象物が層複合体から現われ出るような効果が達成される。その原因は、人間の脳が、少なくとも1つの既知の対象物、例えば顔を反転させて戻すことにある。鼻を最も下の基層表面に、口と目をこの順序で、その上に配置された基層表面に、耳を最も上の基層表面に印刷すれば、観察者には最も上の印刷された基層表面から顔が前へ浮かび出てくるように見えよう。
【0063】
図4には図3bと同様の図が描かれている。第1基層51には、マイクロチップ53が結合されたアンテナ構造52が印刷されている。この第1基層51には、アンテナ構造を印刷し、マイクロチップ53を装着した後に、顔写真を含む第1情報の第1分解版54(例えば黒)が印刷される。ポリマー層複合体中でその上に配置される基層55〜57は、第1情報、すなわち顔の画像のそれぞれの部分情報を含む別の分解版58〜60(例えばシアン、マジェンタ、イエロー)で印刷される。上述の実施形態では、基層55〜57は、対応する分解版58〜60がその中に印刷されるそれぞれ透明な領域61を含むように形成されている。この実施形態では、基層55〜57の残りの面領域62は全面印刷されている。この印刷は非デジタル印刷法、例えば平版印刷(オフセット)または間接凸版印刷(レターセット)によっても行うことができる。別の印刷インクを使用する場合に生じる恐れのある層剥離を回避するために、好ましくは、上記調合品と同じまたは類似のポリカーボネートベースのインクを使用する。
【0064】
ラミネーション加工の前に、第1基層51および残りの基層55〜57は、透明基層63と共に正確に見当合せされて積層され、ポリマー層複合体として結合される。それに加え、好ましくは不透明に形成されている第1基層の下に別の基層が配置され、その基層表面上に、好ましくは第1の個人特定情報および/または個別化情報とは異なる、例えば第2の、好ましくはやはり有彩色の、個人特定情報および/または個別化情報が、それぞれ第2の個人特定情報および/または個別化情報の部分情報を含む複数のさらなる分解版に分解されて印刷される。
【0065】
図5および6には、ポリマー層複合体として形成された有価書類および/またはセキュリティ書類のさらに別の構造が模式的に示されている。図5には、それぞれがポリマー層、例えばすべてポリカーボネート層である9層の基層72〜80から作製されているポリマー層複合体を含む、有価書類および/またはセキュリティ書類71が示されている。中央の基層76は不透明に形成され、必要な場合にはその上面81にも下面82にも、好ましくは全面に印刷されている。基層73および75は、それぞれ対応する上面と下面に、第1の個人特定情報および/または個別化情報用の4種の異なる分解版の1つで印刷され、その際に個々の分解版に印刷された色が、シアンにはc、マジェンタにはm、イエローにはg、黒にはsの文字で示されている。上記と同様に、基層77および79はその上面および下面に、第2の個人特定情報および/または個別化情報を含む異なる分解版で印刷されている。個々の色は、同様に対応する文字で識別されている。後に付記された数字はそれぞれ、当該の層が第1情報(1)の部分情報を含むか、それとも第2情報(2)の部分情報を含むかを示している。設けられた中間スペースは、製造方法を改めて分かり易く図解するためにだけ挿入されたものである。完成状態では、元来存在していた基層の連結移行部はもはや観察し得ない。ただ、分解版だけが、接合前にかつて基層表面がどこに存在していたかを示している。
【0066】
図5に示されているのと同様に、図6は、ポリマー層複合体である有価書類および/またはセキュリティ書類の別の実施形態を示している。この実施形態の有価書類および/またはセキュリティ書類91の場合、中央の基層93に電子回路92が組み込まれている。図5に基づく有価書類および/またはセキュリティ書類71の構造と同様に、基層93の上方に配置されている基層94〜97のうちの基層94および96は、それらの基層表面上に個人特定情報および/または個別化第1情報が分解版によって印刷されている。基層93の下方には別の3つの基層98〜100が配置されている。この実施形態では、第2の個人特定情報および/または個別化情報を表す、例えばマジェンタなどの単色色分解版の形態の第1分解版が電子回路92に直接、および基層の下側表面101に印刷されている。基層99は、その表面がシアンの単色色分解版および別のイエローの単色色分解版によって印刷されている。基層99の下側表面102はイエローの単色色分解版に加えて黒の分解版でも印刷することができる。
【0067】
図7には、ポリマー層複合体として形成されたセキュリティ書類110の別の実施形態が切断図として模式的に示されている。ポリマー層複合体は透明な基層111〜114を含んでいる。まず第1の個人特定情報および/または個別化情報の分解版、例えば黒の分解版116が、一番下の基層111に、印刷される。その上に、続いて回折性のセキュリティ要素115(例えば、透明なKinegram(登録商標))が配置される。次に、回折性のセキュリティ要素115の上に第1の個人特定情報および/または個別化情報を含む別の分解版、例えばマジェンタ色の分解版117が直接印刷され、したがって回折性のセキュリティ要素115は少なくとも部分的には印刷されている。第1の個人特定情報および/または個別化情報を含むさらに別の分解版118(例えばイエロー)および119(例えばシアン)が、例えば基層112および113の上に印刷される。基層111〜113は、図7に示されているように、保護層として機能する一番上の基層114と一緒に、位置合わせされて積層され、熱間/冷間プレス機でのラミネーション加工により接合されてポリマー層複合体になる。回折性のセキュリティ要素115は不正な交換および/または改ざんに対してより安全に保護される。
【0068】
別の実施形態では、基層表面の1つに回折素子が装着され、その後にこの基層表面が分解版の1つにより印刷される。
【0069】
さらに別の実施形態では、まず回折素子が基層表面の上または中に装着され、続いて、当該基層表面が少なくとも2つある分解版の1つで印刷される。回折素子は、例えば熱エンボス加工により組み込むことができる。
【0070】
どちらも少なくとも2つの分解版のうちの1つで印刷されている2つの基層表面の間に回折素子が配置される実施形態も同様に有利である。
【0071】
前述の実施形態では第1情報の色分解版として様々な分解版について説明した。しかし、さらに、例えば個人の特定および/または個別化のための英数字文字列または模様、画像などを含むこともできる第1情報を、別の方式で分解版に分解して、個々の分解版を多色または有彩色にすることもできる。もちろん形式的には、それらの分解版は複数の単色「下位色分解版」に分解することができ、それらすべてが同じ基層表面上に、好ましくは1作業工程で印刷される。
【0072】
上述の実施形態では個々の分解版は、好ましくは、インクジェット方式で印刷される。
【0073】
基層とは、好ましくは、ポリカーボネートベースのポリマー層である。インクとしては、好ましくは、同様にポリカーボネートをベースとして調製された液状組成物が使用される。これにより、高度に安定で、特に改ざんに対して抵抗性のある一体型のポリマー層複合体を作製することができる。
【0074】
以下では、本発明に従って使用されるポリカーボネート誘導体の製造、インクジェット印刷インクの製造に適した液状組成物の製造、および本発明に従って使用できるインクジェット印刷インクの製造についてそれぞれ例を挙げる。
【0075】
例1 本発明に従って使用できるポリカーボネート誘導体の製造
ビスフェノールA(2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン149.0g(0.65モル)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン107.9g(0.35モル)、KOH336.6g(6モル)および水2700gを不活性ガス雰囲気中において撹拌下で溶解させる。次に、塩化メチレン2500ml中にフェノール1.88gを溶かした溶液を添加する。良く撹拌した溶液に、pH13〜14および温度21〜25℃でホスゲン198g(2モル)を投入する。その後エチルピペリジン1mlを添加し、さらに45分撹拌する。ビスフェノールを含まない水相を分離し、有機相をリン酸で酸性化した後、水による中性洗浄を行い、溶剤を除去する。
【0076】
ポリカーボネート誘導体の相対溶液粘度は1.263であった。ガラス転移温度は183℃であった(DSC測定)。
【0077】
例2 インクジェット印刷インクの製造に適した液状組成物の調製
例1で得られたポリカーボネート誘導体17.5重量部と表1の溶剤混合物82.5重量部とから幾つかの液状組成物を調製した。
【0078】
【表1】

【0079】
室温での粘度が800mPa.sである無色の高粘性溶液が得られた。
【0080】
例3 本発明に従って使用可能なインクジェット印刷インクの調製
例2で得られたポリカーボネート溶液10gと例2の溶剤混合物32.5gとを50ml容のねじ込みキャップ式広口ガラス容器に入れ、マグネチックスターラーで均質化した(4%PC溶液)。20℃での粘度が5.02mPa.sの無色で低粘性の溶液が得られた。
【0081】
得られたポリカーボネート溶液に、さらに約2%のピグメントブラック28を混ぜ入れた。ポリカーボネートフィルムに黒/白の画像が印刷できるインクが得られる。他の顔料または染料を当量添加することにより、対応する単色および/または有色のインクを調製することができる。
【0082】
ピクセルパターンで印刷されたポリカーボネート製の基層がその上に配置されたポリカーボネート製の基層と結合される接合工程では、インクで印刷されたピクセルパターンの解像度の変化は殆ど生じない。これは、ピクセルパターンがラミネーション加工後も殆んど同じ解像度を維持していることを意味している。
【0083】
因みに、複合体の光学検査では普通なら認められる相界面が全く見られなかった。この複合体は、層剥離に対しても極めて抵抗性のある一体型ブロックの形態を呈した。
【符号の説明】
【0084】
1 ポリマー層複合体の製造装置
2 ロール
3 ロール
4 ロール
5 ロール
6 ポリマー層
7 ポリマー層
8 ポリマー層
9 ポリマー層
10 制御ユニット
11 印刷ユニット
12 印刷ユニット
13 印刷ユニット
14 印刷ユニット
15 上面
16 下面
17 転向ロール
18 基層積層体
19 熱間/冷間プレス機
20 単位分割ユニット
21 セキュリティ書類および/または有価書類
22 基層
23 基層
24 基層
25 基層上側表面
26 基層下側表面
31 第1情報
32 輪郭
33 鼻
34 口
35 目
36 分解版
37 分解版
38 分解版
39 分解版
40 基層
41 基層
42 基層
43 基層
44 基層
45 基層
46 波縞模様
47 セキュリティ書類
51 第1基層
52 アンテナ構造
53 マイクロチップ
54 第1分解版
55 基層
56 基層
57 基層
58 他の分解版
59 他の分解版
60 他の分解版
61 透明領域
62 他の面領域
63 透明基層
71 有価書類および/またはセキュリティ書類
72 基層
73 基層
74 基層
75 基層
76 基層
77 基層
78 基層
79 基層
80 基層
81 上面
82 下面
91 有価書類および/またはセキュリティ書類
92 電子回路
93 基層
94 基層
95 基層
96 基層
97 基層
98 基層
99 基層
100 基層
101 基層表面
102 基層表面
110 セキュリティ書類
111 基層
112 基層
113 基層
114 基層
115 回折性セキュリティ書類
116 分解版
117 分解版
118 分解版
119 分解版

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)から成り、少なくとも1つの第1の個人特定情報および/または個別化情報(31)が印刷技術によって中に保存される、ポリマー層複合体の製造方法であって、
前記基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)として複数のポリマー層(6〜9)を調製する工程と、
少なくとも1つの基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)上に前記第1の個人特定情報および/または個別化情報(31)を印刷する工程と、
前記基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)を積層して基層積層体(18)にする工程と、
前記基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)をラミネートして前記ポリマー層複合体にする工程とを含む方法において、
前記第1の個人特定情報および/または個別化情報(31)が、それぞれ前記第1の個人特定情報および/または個別化情報(31)の部分情報を含む、少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)に分解されること、および
前記第1の個人特定情報および/または個別化情報(31)の印刷が、前記少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)を少なくとも2つの異なる基層表面(101、102)上に位置を合わせて印刷することによって行われ、その結果、印刷された前記分解版(36〜39、116〜119)が、前記ポリマー層複合体において正確に見当合せされて重なり、それらが全体として前記第1の個人特定情報および/または個別化情報を再現するようになり、その際に、前記基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)が、前記少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)によって印刷される基層表面(101、102)が前記基層積層体(18)の内側表面になるように積層されること
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の個人特定情報および/または個別化情報(31)が、有彩色もしくは多色であり、またはそのように形成され、特に人間の有彩色または多色の顔面像を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)が、n色表色系、特に3色表色系またはn色+黒表色系、特に3色+黒表色系の単色色分解版を含んでいることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)がm個の単色色分解版を含んでおり、前記色分解版が、それぞれ異なる基層表面(101、102)に印刷されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)のうちの2つが、同じ基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)の向い合う表面に正確に見当合せされて印刷され、印刷された前記分解版(36〜39、116〜119)が、表面から見たとき互に鏡面対称であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)のうちの少なくとも2つが、異なる基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)の基層表面(101、102)に印刷されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)の1つによって印刷された前記基層表面(101、102)が、前記基層積層体(18)中で互に直接に隣接しないように、前記複数の基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)が積層されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)が積層時に互に位置合せされ、その結果、前記少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)が前記基層積層体(18)中で正確に見当合せされて互いに重なって配置されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
ポリマー層(6〜9)として、ポリカーボネート層(PC層)が調製されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
ポリマー層(6〜9)として、様々なポリマー材料、特にポリカーボネート(PC)系および熱可塑性エラストマー(TPE)系のポリマー層が調製されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマー層(6〜9)がすべて、少なくとも、前記基層表面の1つが前記分解版(36〜39、116〜119)の1つによって印刷される領域において、または少なくとも、前記ポリマー層複合体の中またはその上またはその下に配置されている前記基層の1つが前記分解版(36〜39、116〜119)の1つによって印刷されたまたは印刷される領域において、透明および/または半透明なポリマー層として形成され、少なくとも1つのポリマー層が、好ましくは、前記少なくとも2つの分解版のうちの2つの間に配置されているただ1つのポリマー層が、半透明ポリマー層として形成されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
別のセキュリティ要素および/またはセキュリティ標識が、前記基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)の上および/または中に設置され、および/または導入されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
ラミネーションの前に、前記基層積層体(18)中にさらに、ラミネーション後にはもはや隣接する基層および/またはさらなる隣接する基層から破損されずには剥がすことのできない性質をもつ非ポリマー材料、特に紙から成る、単一または複数の別の基層が挿入されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
インレイ層と呼ばれる基層の第1表面に、または1つもしくは複数の凹部に、1つもしくは複数の電子回路(92)および/または1つのマイクロチップ(53)が設置または導入され、続いて、前記第1表面上に少なくとも2つある前記分解版(36〜39、116〜119)の1つが印刷されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの回折素子が、前記少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)の1つに少なくとも部分的に平坦に隣接して、前記ポリマー層複合体に取り込まれ、その際に、好ましくは、前記基層表面の1つに配置された後に、前記少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)の1つの少なくとも一部分によって、少なくとも部分的に直接印刷されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
前記ポリマー層複合体が、セキュリティ書類または有価書類(21、47、71、91、110)として形成されることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
前記複数の基層上に、複数の第1の個人特定情報および/または個別化情報(31)が印刷され、前記ポリマー層複合体から複数のセキュリティ書類または有価書類(21、47、71、91、110)が分離形成されること、好ましくは、切断または型抜きされることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
第2の個人特定情報および/または個別化情報が複数のさらなる分解版に分解され、そして、前記複数のさらなる分解版が、前記複数の基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)の複数の基層表面(101、102)に印刷され、前記基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)が基層積層体(18)に積層されることで、前記個人特定情報および/または個別化情報(31)が前記ポリマー層複合体の表面に再現されるとともに、前記さらなる分解版が前記ポリマー複合体において正確に見当合せされて重なり、それらが全体として前記第2の個人特定情報および/または個別化情報を前記ポリマー層複合体の上側と向き合う下側に再現するようになることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一つに記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)がデジタル印刷法、特に転写印刷法または昇華印刷法または拡散/転写法または再転写法、または特に好ましくはインク噴射印刷法(インクジェット印刷法)によって印刷されることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一つに記載の方法。
【請求項20】
印刷インクとして、
A)ポリカーボネート誘導体を含有するバインダを0.1〜20重量%、
B)好ましくは有機の溶剤または溶剤混合物を30〜99.9%、
C)着色剤または着色剤混合物を0〜10重量%(乾燥質量での値)、
D)機能性材料または機能性材料混合物を0〜10重量%、
E)添加剤および/もしくは助剤、またはそのような物質の混合物を0〜30重量%
含み、
成分A)〜E)の合計が常に100重量%である調合品が使用されることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一つに記載の方法。
【請求項21】
複数の基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)のラミネーションによって作製され、その中に少なくとも1つの第1の個人特定情報および/または個別化情報(31)が印刷技術によって保存され、前記基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)がポリマー層(6〜9)であるポリマー層複合体において、
前記第1の個人特定情報および/または個別化情報が、それぞれ前記第1の個人特定情報および/または個別化情報の部分情報(31)を含む、少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)に分解されていること、および
印刷された前記分解版(36〜39、116〜119)が、前記ポリマー層複合体において正確に見当合せされて重なり、それらが全体として前記第1の個人特定情報および/または個別化情報(31)を再現するように、前記少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)が、互に離れた少なくとも2つの平面内に印刷され、または前記少なくとも2つの分解版が、印刷後に、互に離れた少なくとも2つの平面内に配置され、その際に、前記少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)によって印刷される平面、または前記少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)が配置される平面が、内側の平面であることを特徴とするポリマー層複合体。
【請求項22】
前記第1の個人特定情報および/または個別化情報(31)が、有彩色または多色であり、特に人間の有彩色または多色の顔面像を含んでいることを特徴とする、請求項21に記載のポリマー層複合体。
【請求項23】
前記少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)が、n色表色系、特に3色表色系またはn色+黒表色系、特に3色+黒表色系の単色色分解版を含んでいることを特徴とする、請求項21または22に記載のポリマー層複合体。
【請求項24】
前記少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)が、n個の単色色分解版を含んでいることを特徴とする、請求項21〜23のいずれか一つに記載のポリマー層複合体。
【請求項25】
前記少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)のうちの2つが、同じ基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)の向い合う表面に正確に見当合せされて印刷され、印刷される前記分解版(36〜39、116〜119)が表面から見て互に鏡面対称であることを特徴とする、請求項21〜24のいずれか一つに記載のポリマー層複合体。
【請求項26】
前記少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)のうちの少なくとも2つが、異なる基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)の表面に印刷されることを特徴とする、請求項21〜25のいずれか一つに記載のポリマー層複合体。
【請求項27】
前記少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)のすべてが、互に離れた平面に印刷され、または互に離れた平面に配置されることを特徴とする、請求項21〜26のいずれか一つに記載のポリマー層複合体。
【請求項28】
前記ポリマー層(6〜9)がポリカーボネート層(PC層)であることを特徴とする、請求項21〜27のいずれか一つに記載のポリマー層複合体。
【請求項29】
前記ポリマー層(6〜9)が、様々なポリマー材料、特にポリカーボネート(PC)系および熱可塑性エラストマー(TPE)系のポリマー層であることを特徴とする、請求項21〜28のいずれか一つに記載のポリマー層複合体。
【請求項30】
前記ポリマー層(6〜9)がすべて、少なくとも、前記基層表面の1つが分解版(36〜39、116〜119)の1つによって印刷される領域において、または少なくとも、前記ポリマー層複合体の中のその上もしくはその下に配置される基層の1つが前記分解版(36〜39、116〜119)の1つによって印刷される領域において、透明および/もしくは半透明であり、少なくとも1つのポリマー層が、好ましくは、前記少なくとも2つの分解版のうちの2つの間に配置されている、まさにその1つのポリマー層が半透明であることを特徴とする、請求項21〜29のいずれか一つに記載のポリマー層複合体。
【請求項31】
別のセキュリティ要素および/もしくはセキュリティ標識が前記基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)の上および/もしくは中に設置および/または導入されることを特徴とする、請求項21〜30のいずれか一つに記載のポリマー層複合体。
【請求項32】
隣接する基層および/またはさらなる隣接する基層から破損されずには剥がすことのできない非ポリマー材料、特に紙から成る、単一または複数の別の基層が使用されることを特徴とする、請求項21〜31のいずれか一つに記載のポリマー層複合体。
【請求項33】
内部に配置されたインレイ層の上に、または1つもしくは複数の凹部に、1つもしくは複数の電子回路(92)および/または1つのマイクロチップ(53)が設置または導入されており、前記少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)の1つが、前記1つもしくは複数の電子回路(92)および/または前記マイクロチップ(53)に印刷されていることを特徴とする、請求項21〜32のいずれか一つに記載のポリマー層複合体。
【請求項34】
少なくとも1つの回折素子が、前記少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)の1つに少なくとも部分的に平坦に隣接して、前記ポリマー層複合体に導入され、好ましくは前記基層表面の1つに配置された後に、前記少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)のうちの1つの少なくとも一部分によって、少なくとも部分的に直接印刷されることを特徴とする、請求項21〜33のいずれか一つに記載のポリマー層複合体。
【請求項35】
セキュリティ書類または有価書類(21、47、71、91、110)であることを特徴とする、請求項21〜34のいずれか一つに記載のポリマー層複合体。
【請求項36】
複数の第1の個人特定情報および/または個別化情報(31)が、空間的に互に離れて配置または印刷されることを特徴とする、請求項21〜35のいずれか一つに記載のポリマー層複合体。
【請求項37】
前記少なくとも2つの平面が、前記複数の基層(22〜24、41〜45、72〜80、93〜100、111〜114)の表面(101、102)と対応することを特徴とする、請求項21〜36のいずれか一つに記載のポリマー層複合体。
【請求項38】
前記少なくとも2つの分解版(36〜39、116〜119)が、デジタル印刷法、特に、転写印刷法または昇華印刷法または拡散/転写法または再転写法、または特に好ましくはインク噴射印刷法(インクジェット印刷法)によって印刷されることを特徴とする、請求項21〜37のいずれか一つに記載のポリマー層複合体。
【請求項39】
前記少なくとも2つの分解版および/または前記複数のさらなる分解版が、
A)ポリカーボネート誘導体を含有するバインダを0.1〜20重量%、
B)好ましくは有機の溶剤または溶剤混合物を30〜99.9%、
C)着色剤または着色剤混合物を0〜10重量%(乾燥質量での値)、
D)機能性材料または機能性材料混合物を0〜10重量%、
E)添加剤および/または助剤、またはそのような物質の混合物を0〜30重量%
含み、成分A)〜E)の合計が常に100重量%である調合品から製造され、ラミネーション法でポリマー層と結合されてポリマー層複合体になることを特徴とする、請求項21〜38のいずれか一つに記載のポリマー層複合体。
【請求項40】
第2の個人特定情報および/または個別化情報(31)が複数のさらなる分解版に分解され、前記複数のさらなる分解版が、互に離れた複数の平面内に、前記個人特定情報および/または個別化情報が前記ポリマー複合体の表面に再現されるとともに、前記さらなる分解版がポリマー複合体において正確に見当合せされて重なり、それらが全体として前記第2の個人特定情報および/または個別化情報を前記ポリマー複合体の上側と向き合う下側に再現するように、印刷または配置されることを特徴とする、請求項21〜39のいずれか一つに記載のポリマー層複合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−502813(P2011−502813A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531466(P2010−531466)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/EP2008/009333
【国際公開番号】WO2009/056351
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(510058829)ブンデスドルッケライ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (10)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】