複数相コンバータ用リアクトル
【課題】複数相コンバータ用リアクトルにおいて、小型でかつ部品点数を少なくできるとともに、低損失を有効に図れる構造を提供することである。
【解決手段】複数相コンバータ用リアクトルである2相コンバータ用リアクトル10は、コア12に巻装され、互いに磁気結合された複数相のコンバータコイル14,16を含む。コア12は、複数のコア材料を組み合わせることにより構成し、複数のコア材料は、コア12において、コンバータコイル14,16が巻装された部分の少なくとも一部を構成するコイル内部コア材料と、コンバータコイル14,16が巻装されていない部分を構成するコイル外部コア材料とを含む。コイル内部コア材料は、コイル外部コア材料に比べて、磁束密度上昇に対するコア損失の上昇度が低い、低損失コア材とする。
【解決手段】複数相コンバータ用リアクトルである2相コンバータ用リアクトル10は、コア12に巻装され、互いに磁気結合された複数相のコンバータコイル14,16を含む。コア12は、複数のコア材料を組み合わせることにより構成し、複数のコア材料は、コア12において、コンバータコイル14,16が巻装された部分の少なくとも一部を構成するコイル内部コア材料と、コンバータコイル14,16が巻装されていない部分を構成するコイル外部コア材料とを含む。コイル内部コア材料は、コイル外部コア材料に比べて、磁束密度上昇に対するコア損失の上昇度が低い、低損失コア材とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアと、コアに巻装され、互いに磁気結合された複数相のコンバータコイルとを含む複数相コンバータ用リアクトルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジンと走行用モータとを搭載し、エンジン及び走行用モータの一方または両方を主駆動源として使用するハイブリッド車両(HV)や、電気自動車(EV)、燃料電池車両等において電池電圧と、走行用モータに接続されたインバータの駆動電圧との最適化を図るために、昇圧コンバータ等の電圧変換器が使用されている。
【0003】
また、チョッパ方式の昇圧コンバータである昇圧チョッパの容量を1/Nにして、N個の昇圧チョッパを並列に接続し、駆動パルスの位相を2π/Nずつずらした構成は、N相の複数相コンバータである、マルチフェーズコンバータと呼ばれている。
【0004】
また、非特許文献1には、コンバータ用としてN相を使用する、すなわちマルチフェーズ化させることで、リアクトルの全容積を1/Nに減少させ、体積を小さくできる、すなわち小型化を図れるコンバータが記載されている。
【0005】
また、非特許文献2には、3本の脚を有するコアのうち、両側の2本の脚にコイルを設けることで、一体化させた、複数相磁気結合リアクトルが記載されている。この場合、中央の脚で生じる交流磁束リップルを減少でき、中央の脚でのコア損を減少でき、効率向上を図れるとされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】B.Eckardt他、「Automotive Powertrain DC/DC Converter with 25kw/dm3 by using SiC Diodes」、International Conference on Integrated Power Electronics Systems(CIPS) 2006
【非特許文献2】Pit-Leong Wong他、「Performance Improvements of Interleaving VRMs with Coupling Inductors」、IEEE Transactions on power electronics、VOL.16、No.4、JULY 2001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されたようなマルチフェーズコンバータに使用するための複数相のリアクトルにおいて、各相のリアクトル同士を磁気結合して一体化させ、複数相磁気結合リアクトルとした場合には、複数相のリアクトルを1つに一体化させることにより、部品点数を少なくして、低コスト化が可能となる。ただし、このような構造では、コア損失が過度に大きくなるという問題が生じる可能性がある。
【0008】
例えば、本発明者が行ったシミュレーションによると、互いにインダクタンスが同じで入力する電流を同じとした仕様で設計した場合の、2相磁気結合リアクトルと、単相リアクトルとを比較した場合に、条件により、2相磁気結合リアクトルの体積を単相リアクトルの体積に比べて約50から60%に低減できたが、2相磁気結合リアクトルのコア損失は、単相リアクトルのコア損失に比べて、約3倍と大きくなるという問題が生じることが分かった。
【0009】
すなわち、リアクトルでのコア損失Wは、リアクトルでの磁束密度の増加量ΔBが大きくなるのに従って大きくなる。一方、磁束密度の増加量ΔBは、磁束密度の基準値B1、電流値I1に対する、電流リップルの電流値I1からの振れ幅Irの割合(Ir/I1)を乗じることで求められる。この場合、ΔBは、次式で求められる。
ΔB=B1×(Ir/I1) ・・・(1)
【0010】
ここで、2相磁気結合リアクトルでは、単相リアクトルに対し、各相のリアクトルで電流値I1が1/2倍となるので、磁束密度の増加量ΔBが2倍となり、ΔBの増加に応じてコア損失Wが大きくなる。例えば、条件により、2相磁気結合リアクトルでは、単相リアクトルに比べてコア損失Wが約3倍と大きくなった。このようにコア損失Wが大きくなることは、リアクトルの性能低下に結びつく原因となるため、好ましくない。
【0011】
これに対して、2相磁気結合リアクトルで、コアの全体を薄型ケイ素鋼板、アモルファス材等の低損失コア材により構成することが考えられる。ただし、低損失コア材は高価であり、全体を低損失コア材とする場合、コストの大幅な増大を招く可能性がある。また、低損失コア材は、加工作業が困難という問題もある。例えば、ケイ素鋼板の積層構造により断面E形状や断面T形状のコアを製造する場合、打ち抜き可能や放電加工を行う必要があり、コストが高くなる。また、板材では、リアクトルを小型化可能な適切な3次元形状に加工することが困難であるという問題もある。また、アモルファス材によりコアを構成する場合も、高価であり、かつ、加工作業が困難という問題がある。
【0012】
一方、コアのうち、コイルを巻装した部分はコイルの内径以下にする必要があるが、それ以外では、コイルの外形に合わせることが可能であるため、磁束密度の変化量が、コイルを巻装した部分に比べて少ない。これらの事情から、本発明者は、最適な部分を最適な材料により構成することで、上記の問題解決を図れると考えた。非特許文献1,2には、このような問題を解消できる手段は開示されていない。
【0013】
本発明の目的は、複数相コンバータ用リアクトルにおいて、小型でかつ部品点数を少なくできるとともに、低損失を有効に図れる構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る複数相コンバータ用リアクトルは、コアと、コアに巻装され、互いに磁気結合された複数相のコンバータコイルとを含む複数相コンバータ用リアクトルであって、コアは、複数のコア材料を組み合わせることにより構成され、複数のコア材料は、コアにおいて、コンバータコイルが巻装された部分の少なくとも一部を構成するコイル内部コア材料と、コアにおいて、コンバータコイルが巻装されていない部分を構成するコイル外部コア材料とを含み、コイル内部コア材料は、コイル外部コア材料に比べて、磁束密度上昇に対するコア損失の上昇度が低い、低損失コア材である。
【0015】
本発明に係る複数相コンバータ用リアクトルによれば、複数相磁気結合リアクトルを1つの部品として構成できるので、小型でかつ部品点数を少なくできる。しかも、コアにおいて、コンバータコイルが巻装された部分の少なくとも一部を構成するコイル内部コア材料を、コンバータコイルが巻装されていない部分を構成するコイル外部コア材料よりも低損失のコア材とするので、磁束密度の変化量が大きいコイル内部コア材料を含む一部のコアだけを、低損失コア材料により構成し、コアの残りの部分を安価かつ加工しやすい材料により構成できる。このため、コストを過度に上昇させることなく、かつ、加工作業を容易に行え、しかも、互いに磁気結合したコンバータコイルを有する複数相コンバータ用リアクトルを構成するのにもかかわらず、低損失を図れる。
【0016】
また、本発明に係る複数相コンバータ用リアクトルにおいて、好ましくは、コアを、コイルを巻装する第1脚部と、コイルを巻装しない第2脚部とを含み、コイル内部コア材料により構成するコア部分である第1脚部の長さ方向に対し直交する平面に関する断面積は、コイル外部コア材料により構成するコア部分である第2脚部の長さ方向に対し直交する平面に関する断面積よりも小さくしている。
【0017】
上記構成によれば、コイル内部コア材料により構成する第1脚部にコイルを巻回するのにもかかわらず、リアクトル全体の容積を小さくでき、しかも、コイル内部での磁束密度の変化量が大きくなる場合でも、コイル内部コア材料を低損失コア材により構成するので、低損失を図れる。
【0018】
また、本発明に係る複数相コンバータ用リアクトルにおいて、好ましくは、コンバータコイルは、昇降圧用コイルであり、さらに、コアに巻装され、昇降圧用コイルと磁気結合する追加コイルを備え、追加コイルは、別の回路に接続可能としている。
【0019】
上記構成によれば、追加コイルと昇降圧用コイルとを介して、別の回路から昇降圧用コイルを接続した回路へ充電したり、昇降圧用コイルを接続した回路から別の回路へ放電することができる。しかも、このような充放電のために、昇降圧用コイルを使用できるので、必要となる新たな部品点数を少なくでき、過度にコストを高くすることがない。
【0020】
また、本発明に係る複数相コンバータ用リアクトルにおいて、好ましくは、コアは、互いにギャップ空間またはギャップ板を介して対向する2以上の脚要素を含む脚部を備え、追加コイルは、昇降圧用コイルの内側で、ギャップ空間またはギャップ板を除く脚部の外側に設けられている。
【0021】
上記構成によれば、ギャップ板またはギャップ空間によりコア内での磁束の飽和を生じにくくできるとともに、ギャップ板またはギャップ空間の周囲から磁束漏れが生じやすくなるのにもかかわらず、追加コイルに対する磁束の鎖交を生じにくくして、誘導加熱による発熱を有効に回避でき、効率向上を図れる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の複数相コンバータ用リアクトルによれば、小型でかつ部品点数を少なくできるとともに、低損失を有効に図れる構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る複数相コンバータ用リアクトルである、2相コンバータ用リアクトルを、一部を透視して示す斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】2相コンバータ用リアクトルの別の実施形態を、一部を透視して示す斜視図である。
【図4】図1のリアクトルを有する2相昇降圧コンバータを含む回路図である。
【図5】従来の磁気結合リアクトルの1例を構成するコアの概略を示す図である。
【図6】図5のコアにコイルを巻装した状態で、コアに流れる磁束の様子を説明するための略図である。
【図7A】図6を左右方向片側から他側に見て示す略図である。
【図7B】図1のリアクトルにおいて、従来構造に比べてコア材の厚みが増大する部分を説明するための、図7Aに対応する図である。
【図8】従来の充電発電システムの基本構成を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る2相コンバータ用リアクトルを含む充電発電機能付電源回路を示す図である。
【図10】図9の電源回路を構成するリアクトルを取り出して示す断面図である。
【図11】一部を省略して示す図10のB部拡大図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係る2相コンバータ用リアクトルを示す、図10に対応する断面図である。
【図13】一部を省略して示す図12のC部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて説明する。以下では、複数相コンバータ用リアクトルとして、2相コンバータ用リアクトルについて説明するが、複数相コンバータを構成するものであればよく、2相以外の複数相、例えば3相等であってもよい。
【0025】
また、以下では、複数相コンバータ用リアクトルが、ハイブリッド車両の駆動源として使用する回転電機である、走行用モータに接続されたインバータを駆動するための電気回路を構成する場合を説明する。ただし、複数相コンバータ用リアクトルを使用する回転電機は、電気自動車、燃料自動車等の、ハイブリッド車両以外を駆動するためのものでもよい。また、回転電機は、車両駆動以外の補機駆動用でもよい。また、回転電機を2個とし、2の回転電機に接続された2のインバータと、二次電池等の蓄電部との間にコンバータを設ける構成に本発明に係るリアクトルを使用することもできる。
【0026】
[第1の発明の実施の形態]
図1から図4は、本発明の第1の実施の形態を示している。複数相コンバータ用リアクトルであり、2相磁気結合リアクトルである、2相コンバータ用リアクトル10は、昇降圧用として使用するもので、コア12と、コア12に巻装された2相のコンバータコイル14,16と、複数のギャップ板18とを備える。
【0027】
図2に示すように、コア12は、それぞれ同一の磁性材であるコア材料により構成され、断面積を同じとした断面略T形状の2のT形部20,22と、別の磁性材である別のコア材料により構成される断面直線状の第1脚部であり、かつ脚要素である2のI形部24とを含む。各T形部20,22は、互いに向き合うように対向させており、それぞれの略直線状の基部26の互いに対向する側の面である内側面の中央部に、内側に突出する第2脚部である、中央脚部28を設けている。
【0028】
また、それぞれの基部26の内側面の中央脚部28に関して幅方向(図2の左右方向)両側に、内側に突出する2の端脚要素30を互いに平行に設けている。各T形部20,22を、互いに対向させた状態で、互いに対向する端脚要素30の間に、I形部24を、非磁性材製の断面矩形状のギャップ板18をそれぞれ介して結合している。なお、各T形部20,22及びI形部24を図示しない非磁性材製の部材で固定する等により、各T形部20,22とI形部24との間に、ギャップ板を設けず、隙間であるギャップ空間を介して対向させることもできる。
【0029】
また、中央脚部28、各端脚要素30、及びI形部24は、それぞれ長さ方向(図2の上下方向)に対し直交する平面に関する断面形状を略正方形等の矩形に形成している。また、各端脚要素30及び各I形部24の、長さ方向に対し直交する平面に関する断面積は互いに略同じとするが、中央脚部28の断面積よりも小さくしている。このために、各端脚要素30及びI形部24の厚さ方向(図1の上下方向、図2の裏表方向)寸法に対し、基部26及び中央脚部28の厚さ方向寸法を大きくするとともに、各端脚要素30及びI形部24の幅方向(図2の左右方向)寸法に対し、中央脚部28の幅方向寸法を大きくしている。
【0030】
また、各中央脚部28の先端同士は、隙間であるギャップ空間32を介して対向させている。なお、各中央脚部28の先端同士を、空間を介さず、非磁性材により構成するギャップ板を介して結合することもできる。
【0031】
コア12の幅方向両端にそれぞれ存在する、I形部24と、ギャップ板18と、脚要素30とを結合した直線状の部分により、2の端脚部34を構成している。各端脚部34の周囲にコンバータコイル14,16をそれぞれ巻装することにより、リアクトル10を構成している。各コンバータコイル14,16は、互いに一端同士を電気的に接続するとともに、互いに磁気結合している。
【0032】
また、コア12は、複数のコア材料である、「コイル内部コア材料」と、「第2コイル内部コア材料」と、「コイル外部コア材料」とを組み合わせることにより構成している。すなわち、コア12において、コンバータコイル14,16が巻装される部分の一部である、I形部24は、「コイル内部コア材料」により構成する。各T形部20,22のコンバータコイル14,16が巻装される部分である、各端脚要素30は、「第2コイル内部コア材料」により構成する。また、コア12のうち、コンバータコイル14,16が巻装されていない部分である、各T形部20,22の基部26及び中央脚部28は、「コイル外部コア材料」により構成する。
【0033】
「コイル内部材料」は、「コイル外部コア材料」に比べて、磁束密度上昇ΔBに対するコア損失Wの上昇度が低い、低損失コア材としている。例えば、「コイル外部コア材料」を、鉄を基材とする磁性粉末を加圧成形することにより構成するダストコア材とするとともに、「コイル内部材料」を、低損失コア材であるアモルファス、または低損失ケイ素鋼板の積層体とする。すなわち、磁束密度の上昇分ΔBを横軸にとり、コア損失Wを縦軸にとって種々のコア材料に関する損失曲線を考えた場合に、アモルファス等の低損失コア材は損失曲線の傾きが小さくなり、ダストコア材等の比較的高損失のコア材は、損失曲線の傾きが大きくなる。なお、本実施の形態では、各T形部20,22の全体を同じ材料であるダストコア材等の、低損失コア材よりも損失の高い材料により一体に構成している。すなわち、「第2コイル内部コア材料」と「コイル外部コア材料」とは同一の材料としている。
【0034】
このように構成するため、「コイル内部コア材料」により構成するI形部24の長さ方向に対し直交する平面に関する断面積S1は、「コイル外部コア材料」により構成する各T形部20,22の中央脚部28の長さ方向に対し直交する平面に関する断面積S2よりも小さくなっている(S1<S2)。また、各コンバータコイル14,16の外周面がコア12の厚さ方向両側面よりも厚さ方向外側に突出しないようにするとともに、コア12の幅方向両側面よりも幅方向外側に突出しないように、各部の寸法を規制している。図1に示すように、各T形部20,22の基部26及び中央脚部28は、厚さ方向に関して、コイル14,16の外周面と略一致する位置まで厚みを大きくした、複雑な3次元形状となっている。このため、基部26及び中央脚部28は、コイル通電時の磁束密度の変動幅ΔBを低下させ、コア損失Wを低減させるのに寄与する。また、各T形部20,22をダストコアにより構成した場合には、コア12の一部をこのような複雑な3次元形状とする場合でも、加工作業を容易に行えるとともに、リアクトル10の体積を小型化しやすくなる。
【0035】
これに対して、各コンバータコイル14,16内に配置され、各T形部20,22とギャップ板18を介して結合されたI形部24は、コンバータコイル14,16の内径で形状及び寸法が決定される柱状構造とならざるを得ず、断面積を大きくすることにより磁束密度変動幅ΔBを減少させることは難しい。このために、本実施の形態では、各I形部24を、アモルファス等の、ダストコア材よりも磁束密度上昇に対するコア損失の上昇度が低い、低損失コア材により構成することで、コンバータコイル14,16内での鉄損を、ダストコア材を用いた場合に比べて低く(例えば、1/2以下に低く)することができる。このため、基部26及び中央脚部28の厚みを増大させたことと相まって、コア12全体の鉄損を、コアの厚みを全体で同一とした場合に比べて、低く(例えば、1/2以下に低く)することができる。
【0036】
図3は、2相コンバータ用リアクトルの別の実施形態を、一部を透視して示す斜視図である。図3のリアクトル10では、図1のリアクトル10を構成する各T形部20a,22aにおいて、幅方向両端部に設けた各端脚要素30aの幅方向寸法及び厚さ方向寸法を、図1、図2に示した場合よりも大きくし、各端脚要素30aの長さ方向に対し直交する平面に関する断面積を、中央脚部28の長さ方向に対し直交する平面に関する断面積と略同じとしている。また、各T形部20a、22a同士で、中央脚部28が対向するように配置するとともに、対向する端脚要素30aの先端に、ギャップ板18(図2参照、図3では図示を省略する。)を介してI形部24を結合する。各I形部24の周囲にコンバータコイル14,16を巻装する。また、各T形部20a,22bを上記の「コイル外部コア材料」により構成し、各I形部24を上記の「コイル内部コア材料」により構成する。このように、ギャップ板18を除いて「コイル内部コア材料」により構成する部分のみにコイル14,16を巻装することもできる。
【0037】
また、上記の図1、図2の構成において、各端脚要素30,30a、各I形部24及び各ギャップ板18は、断面矩形状とする構成に限定するものではなく、断面円形等、他の形状とすることもできる。例えば、コアのうち、コイルを巻装する部分は、円柱状とすることもできる。
【0038】
このような本実施の形態のリアクトル10は、例えば図4に示すような2相昇降圧コンバータの回路に設けて使用することができる。図4は、図1のリアクトル10を有する2相昇降圧コンバータを含む回路図である。2相昇降圧コンバータ36は、例えば、ハイブリッド車両の駆動源として使用する回転電機である、図示しない走行用モータに接続されたインバータ38を駆動するための電源回路を構成する。電源回路は、直流電圧Vbを出力する蓄電部40と、インバータ38との間に、2相昇降圧コンバータ36を接続している。2相昇降圧コンバータ36は、磁気結合コイル部である、2相コンバータ用リアクトル10と、2相のアーム42,44とを含む。また、昇降圧コンバータ36の出力側とインバータ38との間にコンデンサC1を接続している。各相アーム42,44は、上側スイッチング素子46及び下側スイッチング素子48を直列に接続しており、各相アーム42,44を並列にインバータ38及びコンデンサC1に接続している。
【0039】
また、リアクトル10を構成する各コンバータコイル14,16の一端を、蓄電部40の正極側に接続している。各コンバータコイル14,16は、それぞれインダクタンスL1,L2を有する。また、1のコンバータコイル14の他端を1のアーム42の上側スイッチング素子46及び下側スイッチング素子48の中点に接続し、別のコンバータコイル16の他端を別のアーム44の上側スイッチング素子46及び下側スイッチング素子48の中点に接続している。各スイッチング素子46,48は、後述する図9を参照して示すように、トランジスタまたはIGBT等であり、それぞれダイオードを逆並列に接続している。なお、各スイッチング素子46,48のオンオフ動作は、図示しない制御部により制御される。
【0040】
また、インバータ38は、詳しい図示は省略するが、コンデンサC1両端に接続された正極母線50及び負極母線52間に供給される直流電力を、交流三相駆動電力に変換し、回転電機等の負荷に供給する機能と、回転電機から供給される交流三相回生電力を直流電力に変換し、昇降圧コンバータ36側に供給する機能とを有する。インバータ38は、それぞれ一端が正極母線50に接続され、他端が負極母線52に接続され、互いに並列に接続された図示しない3相アームを含む。各相アームは、互いに直列に接続された上アームスイッチング素子及び下アームスイッチング素子を有し、各スイッチング素子にダイオードを逆並列に接続し、各アームの中点を回転電機等の負荷に接続している。
【0041】
蓄電部40は、充放電可能な二次電池であり、例えば200Vから300Vの大きさの端子電圧Vbを有するリチウムイオン組電池、ニッケル水素組電池等とするが、キャパシタ等を用いることもできる。
【0042】
また、コンデンサC1は、インバータ38側の電圧変動を抑制する機能を有する。なお、蓄電部40と、リアクトル10の一端及び負極母線52との間に図示しないコンデンサを接続し、蓄電部40側の電圧変動を抑制することもできる。また、蓄電部40の正極側と負極側とに、それぞれ制御部により制御されるリレースイッチを設けることもできる。
【0043】
このような電源回路を用いて昇降圧コンバータ36を機能させる場合、各相アーム42,44の下側スイッチング素子48を、互いに180度位相をずらせた状態でスイッチングすることにより、スイッチングのオンデューティ比に応じて蓄電部40側の電圧を昇圧し、コンデンサC1両端間に供給することができる。また、各相アーム42,44の上側スイッチング素子46を、互いに180度位相をずらせた状態でスイッチングすることにより、スイッチングのオンデューティ比に応じてインバータ38側から入力される電圧を降圧し、蓄電部40側へ供給することができる。
【0044】
このような電源回路において、本実施の形態では、各相のコンバータコイル14,16同士を磁気結合し、一体化させているので、部品点数を削減できるとともに、小型化を図れる。しかも、コア12において、コンバータコイル14,16が巻装された部分の一部である、I形部24を構成するコイル内部コア材料を、コンバータコイル14,16が巻装されていない部分であるT形部20,20a、22,22aの中央脚部28及び基部26を構成するコイル外部コア材料よりも低損失のコア材としている。このため、磁束密度の変化量が大きいI形部24だけを低損失コア材料により構成し、コア12の残りの部分を安価かつ加工しやすい材料により構成できる。このため、コストを過度に上昇させることなく、かつ、加工作業を容易に行え、しかも、互いに磁気結合したコンバータコイル14,16を有する2相コンバータ用リアクトル10を構成するのにもかかわらず、低損失を図れる。
【0045】
また、コア12を、コイル14,16を巻装する端脚部34と、コイル14,16を巻装しない中央脚部28とを含み、コイル内部コア材料により構成する端脚部34であるI形部24の長さ方向に対し直交する平面に関する断面積は、コイル外部コア材料により構成する中央脚部28の長さ方向に対し直交する平面に関する断面積よりも小さくしている。このため、I形部24にコイル14,16を巻回するのにもかかわらず、リアクトル10全体の容積を小さくでき、しかも、コイル14,16内部での磁束密度の変化量が大きくなる場合でも、コイル内部コア材料をアモルファス等の低損失コア材により構成するので、低損失を図れる。この結果、小型でかつ部品点数を少なくできるとともに、低損失を有効に図れる構造を提供できる。
【0046】
これに対して、本実施の形態と異なり、例えば、リアクトルのコア全体の厚みを同一とし、コア全体を同一の材料であるダストコアにより構成し、コアの2の脚部に2相コイルを巻装し、互いに磁気結合させた構成である、2相磁気結合リアクトルの従来例も考えられる。ただし、本実施の形態では、このような2相磁気結合リアクトルの従来例に比べて、鉄損、すなわちコア損失を十分に小さくできる。なお、単相リアクトルの場合には、コア損失以外の損失がリアクトル損失を大きく占めるのに対し、本発明に係る複数相リアクトルの場合には、リアクトル損失に占めるコア損失の割合が大きく、本実施の形態のように、コア損失を低減することは有効である。
【0047】
このような本実施の形態による効果を確認するために、本発明者は、従来のハイブリッド車両で使用していた単相コイルを有する単相リアクトルと、上記の2相磁気結合リアクトルの従来例と、図1、図2に示した本実施の形態のリアクトルである、2相磁気結合リアクトルの実施例とを用いて、シミュレーションを行った。
【0048】
まず、2相磁気結合リアクトルの従来例を、図5、図6、図7Aを用いて説明する。図5は、従来の磁気結合リアクトルの1例を構成するコア54の概略を示す図である。図6は、図5のコア54にコンバータコイル14,16を巻装した状態で、コア54に流れる磁束の様子を説明するための略図である。図7Aは、図6を左右方向片側から他側に見て示す略図である。このような従来例のリアクトル56では、上記の図1、図2に示した実施の形態のリアクトル10を構成するコア12に対して、コア54を断面E形の2のE形部58,60を、互いに向き合うように配置することにより構成している。また、コア54の各部の厚さ方向(図5、図6の表裏方向、図7Aの上下方向)寸法を同一とし、コア54を同一の材料であるダストコアにより構成している。各E形部58,60は、基部と、基部に結合した3本の脚部とを含み、各E形部58,60同士で、各脚部を対向させている。また、各脚部のうち、幅方向(図5、図6の左右方向)両端の脚部に各相コイル14,16を巻装し、各相コイル14,16の一端を電気的に接続するとともに、互いに磁気結合している。なお、図6では、コア54の内部を通る環状の実線α1、α2により、各相コイル14,16から生じる独立磁束を示しており、コア54の内部を通る環状の破線βにより、各相コイル14,16から生じる磁束が干渉しあうことを表す干渉磁束を示している。また、図7Aに示すように、従来例のリアクトル56では、コア54の厚さ方向(図7Aの上下方向)両側面から厚さ方向外側に突出するように、コア54にコイル14,16が巻装されている。
【0049】
このような従来例の2相磁気結合リアクトル56と、従来例の単相リアクトルとを用いて、インダクタンスLを230μH近辺とし、リアクトルに100Aの電流を入力する、同一の仕様で設計した場合の、体格比と、コア損概算比と、コイル抵抗比とを2D−JMAGを用いてシミュレーションし比較した。表1は、このシミュレーション結果を示している。なお、2相磁気結合リアクトルでは、結合係数aが0.3である(a=0.3)としてシミュレーションした。
【0050】
【表1】
【0051】
表1から明らかなように、上記シミュレーションでは、同等の磁束密度で設計しているが、従来例の2相磁気結合リアクトル56は、単相リアクトルに比べて体積を50から60%の間に低減することができることが分かった。すなわち、概略的には、各相コイル14,16に流れる電流が、単相リアクトルの場合の電流Iに比べて1/2倍の電流I/2となる。このため、各相コイル14,16で蓄積するエネルギが1/4となり、全体の蓄積エネルギが単相リアクトルの場合に比べて1/2で済む。このため、リアクトル56の体格比を単相リアクトルの場合に比べて約1/2倍とすることができる。ただし、上記の「発明が解決しようとする課題」の欄で説明したように、従来例の2相磁気結合リアクトルの場合には、コア損失Wが単相リアクトルの場合に比べて大きくなる。このことは、表1のシミュレーション結果で、コア損概算比が単相リアクトルに比べて2.6倍と大きくなっていることからも分かる。
【0052】
これに対して、上記の図1、図2に示した構成である、実施例の2相磁気結合リアクトル(2相コンバータ用リアクトル10)で、同様にシミュレーションをした場合、図5、図6の従来例の2相磁気結合リアクトル56と同様に、体格比を、従来例の単相リアクトルの場合に比べて60%以下に小型化できることを確認できた。すなわち、本実施の形態では、コア12のコイル14,16を巻装していない部分の厚みを増大させており、リアクトル10の体積が増大することが懸念される。これに対して、図7Bは、図1のリアクトルにおいて、従来構造に比べてコア材の厚みが増大する部分を説明するための、図7Aに対応する図である。図7Bに示すように、本実施の形態では、コア12のコイル14,16を巻装していない部分の厚みが増加した場合でも、コイル14,16の外径とほぼ同じで、コア損失低減効果を十分に得られる。このため、図7Bのリアクトル10全体の外接直方体の体積を、図7Aの従来例のリアクトルの場合とほぼ同じとすることができ、実用上の問題は生じない。
【0053】
これに加えて、表1に示すように、実施例のリアクトル10の場合、コア損比が、従来例の単相リアクトルの場合に比べて1.3倍以下となり、従来例の2相磁気結合リアクトル56の2.6倍に比べて1/2以下と小さくできることを確認できた。これは、上記のようにコア12のコイル14,16を巻装していない部分の厚みを増大させたことと、コア12のコイル14,16を巻装した部分の少なくとも一部を低損失コア材により構成したことにより得られる効果である。
【0054】
上記の説明では、従来のハイブリッド車両に使用している構成と同様の仕様で比較した結果を説明したが、磁気結合型のリアクトルでは、コイル抵抗を下げることが容易に行えるので、電気自動車や、プラグインハイブリッド車両(PHV)等の大電流を流す仕様でも、従来構造に比べて体積を小さくするだけでなく、低損失を図ることが可能である。
【0055】
なお、上記の実施の形態では、コア12の一部の厚みを小さくする等により、他の部分と比べて断面積を小さくする場合を説明した。ただし、本発明は、このような構成に限定するものではなく、体格が多少悪化することが許容できれば、従来例の2相磁気結合リアクトルと同様に、コア全体の厚みを同じとした構成において、コイルを巻装した部分のコアを、コイルを巻装しない部分のコアに比べて低損失の低損失コア材により構成することもできる。
【0056】
[第2の発明の実施の形態]
次に、図9から図11を用いて、本発明に係る第2の実施の形態を説明する。まず、図8を用いて、従来構成における改良すべき点を説明する。図8は、従来の充電発電システムの基本構成を示す図である。図8に示す充電発電システムは、ハイブリッド車両や、電気自動車等の電動車両において、蓄電部40により、昇降圧コンバータ62及びインバータ38を介して、負荷であり、回転電機である走行用モータ64を駆動可能とするとともに、プラグ68に接続したAC100Vの外部の交流電源から、充電回生装置66を用いて、直流電源に変換した後、蓄電部40へ充電可能としている。例えば、外部の交流電源から蓄電部40へ充電する場合は、蓄電部40を含むモータ駆動回路から、図示しないリレースイッチの切断等により蓄電部40を切り離す。充電回生装置66は、外部充電器としての役目を果たす、交流直流変換部の機能と、発電部としての役目を果たす、直流交流変換部の機能とを有する。このような構成の場合、充電回生装置66を新たに付加する構成であるため、高コストであるという問題があった。
【0057】
これに対して、本実施の形態は、図9から図11に示すように構成している。図9は、本発明の第2の実施の形態に係る2相コンバータ用リアクトルを含む充電発電機能付電源回路を示す図である。図10は、図9の電源回路を構成するリアクトルを取り出して示す断面図である。図11は、一部を省略して示す図10のB部拡大図である。
【0058】
本実施の形態では、上記の問題を解決する手段として、2相昇圧コンバータ用リアクトルに、新たな追加コイル、及び追加コイルに接続する外部回路を、低コストで付加するようにしている。すなわち、図9に示す電源回路は、上記の図4に示した回路と同様に、蓄電部40とインバータ38との間に、コンデンサC1,C2と、2相昇降圧コンバータ36aとを設けるとともに、2相コンバータ用リアクトル10aの一端と、蓄電部40の正極側との間に第1リレースイッチSaを設けている。また、昇降圧コンバータ36aを構成する各相アーム42,44の正極母線50側と、蓄電部40との間を、第2リレースイッチSbを介して接続可能としている。各リレースイッチSa,Sbは、図示しない制御部により制御される。また、リアクトル10aを構成する各相のコンバータコイル14,16のそれぞれに、1次コイルである追加コイル70,72を付加し、各コンバータコイル14,16に2次巻線としての機能を持たせるようにしている。そして、図9に示す電源回路を、絶縁型の充電発電回路として機能させるようにしている。
【0059】
各追加コイル70,72は、例えば、充電スタンドまたは家庭において、外部交流電源から50Hzまたは60Hzの商用交流電力を取り出し可能な電源コンセントに接続可能なプラグ68と、フィルタ74と、AC/AC変換回路76とを有する外部回路78に接続している。各追加コイル70,72の一端は互いに接続し、各追加コイル70,72の他端は、AC/AC変換回路76の出力側の2端子に接続している。各追加コイル70,72は、各相のコンバータコイル14,16に磁気結合され、協働してトランス作用を行って交流電力を受け渡し可能としている。
【0060】
なお、フィルタ74は、プラグ68から供給される電力信号のノイズ成分を抑制するための素子であり、例えばリアクトル等により構成する。また、AC/AC変換回路76は、交流電力を振幅または周波数の異なる状態の適切な交流電力に変換する回路である。例えば、50Hzまたは60Hzの商用交流電力を、10kHzから300kHzの大きさの交流電力に変換する機能を有する。
【0061】
図9の回路では、例えば、次のように、昇降圧コンバータ36a側のIGBT等の半導体素子であるスイッチング素子46,48を制御する。すなわち、1次側である追加コイル70,72側に高周波の交流電圧を印加し、2次側の昇降圧コンバータ36aを構成するスイッチング素子46,48をすべてオフ状態とし、2次側出力電圧を、スイッチング素子46,48に並列に接続したダイオードのみで整流する。このために、外部交流電源から蓄電部40へ充電する場合には、プラグ68を外部交流電源に接続するとともに、第1リレースイッチSaをオフ、すなわち遮断するとともに、第2リレースイッチSbをオン、すなわち接続する。これにより、コンバータコイル14,16と追加コイル70,72との間で交流電力の受け渡しが行われる。すなわち、追加コイル70,72に交流電力が供給されることで、コンバータコイル14,16に誘起電力が発生し、この交流電力が昇降圧コンバータ36aを構成するダイオードによって整流され、直流電力が蓄電部40へ充電される。
【0062】
なお、蓄電部40の電力を昇降圧コンバータ36aで昇圧した後、インバータ38を介して走行用モータ64(図8参照)等の負荷に供給する場合や、走行用モータ64からの回生電力をインバータ38で直流電力に変換した後、昇降圧コンバータ36aで降圧し、蓄電部40に供給する場合には、第1リレースイッチSaをオンし、第2リレースイッチSbをオフした状態で、昇降圧コンバータ36a及びインバータ38のスイッチング素子をスイッチング動作させる。
【0063】
このような構成によれば、コンバータコイル14,16と追加コイル70,72とを用いて、1次側から2次側への電力伝達を達成することが可能となる。同様にして、例えば逆方向、すなわち、コンバータコイル14,16と追加コイル70,72とを用いて、昇降圧コンバータ36a側から追加コイル70,72側への電力伝達、すなわち発電も可能となる。この場合には、プラグ68を外部の蓄電部や負荷等に接続し、電力の供給を可能とする。なお、このようにトランスを用いた電力変換回路構成は、図9に示した回路以外にも種々の構成を採用できる。
【0064】
上記の図9に示した回路構成において、昇降圧コンバータ36aは、自動車の駆動時のみ昇圧等の機能を有するコンバータとして動作するが、プラグインハイブリッド車両の場合でも、その場合の走行用モータ64(図8参照)等の負荷に供給する電力は50kW程度と大きい。一方、外部回路78を用いた充電や発電は、自動車が停止している際に行い、その場合の外部交流電源から昇降圧コンバータ36a側へ供給される電力は、最大で6kW程度である。このため、充電や発電時に、電力の受け渡しのため、コンバータコイル14,16と追加コイル70,72とに同時に通電させても問題は生じない。
【0065】
次に、図10から図11を用いて、追加コイル70,72が付加された2相コンバータ用リアクトルの具体的構造について説明する。図10、図11に示す2相コンバータ用リアクトル10aでは、上記の図3に示したリアクトル10の構成において、コンバータコイル14,16の内側で、端脚部34を構成するI形部24の周囲に追加コイル70,72を巻装している。なお、図10、図11では、I形部24の断面積を中央脚部28の断面積よりも小さくしているが、端脚要素30aの断面積とは略同じとしている。ただし、各端脚要素30aの断面積よりもI形部24の断面積を小さくすることもできる。また、I形部24は、ギャップ板18を介して端脚要素30aに結合しているが、図示しない非磁性材製の部材に少なくとも一部を固定する等により、I形部24と端脚要素30aとを隙間であるギャップ空間を介して対向させることもできる。
【0066】
このように、本実施の形態のリアクトル10aでは、コンバータコイル14,16は、昇降圧用コイルであり、さらに、コア12に巻装され、コンバータコイル14,16と磁気結合する追加コイル70,72を備え、追加コイル70,72は、別の外部回路78(図9)に接続可能としている。
【0067】
また、コア12は、互いにギャップ板18またはギャップ空間を介して対向する2以上の脚要素である、I形部24と端脚要素30aとを含む端脚部34を備える。また、各追加コイル70,72は、コンバータコイル14,16の内側で、ギャップ板18またはギャップ空間を除く端脚部34の外側に設けられている。コンバータコイル14,16と追加コイル70,72との巻き数比は、例えば1:1とする。
【0068】
このような構成によれば、追加コイル70,72とコンバータコイル14,16とを介して、別の外部回路78(図9)から、コンバータコイル14,16を接続した回路へ充電したり、コンバータコイル14,16を接続した回路から外部回路へ放電、すなわち発電することができる。しかも、このような充放電のために、コンバータコイル14,16を使用できるので、必要となる新たな部品点数を少なくでき、過度にコストを高くすることがない。
【0069】
また、上記のようにコンバータコイル14,16の内側に追加コイル70,72を配置できる理由は、追加コイル70,72の断面積をコンバータコイル14,16の断面積に対して十分に小さく設定できることによる。例えば、追加コイル70,72とコンバータコイル14,16との電流容量を、具体例を用いて説明すると、コンバータコイル14,16では、例えば、200Vの蓄電部40で50kWの出力を得るために、250Aの電流を通電させる必要がある。このため、本実施の形態のように、コンバータコイル14,16を2相とする場合には、各相のコイルで、125Aの電流を流す必要がある。
【0070】
一方、AC100VまたはAC200Vの標準的な外部交流電源から蓄電部40へ充電する場合の充電電力は、1.5kWから6kW程度である。この電力を、図9に示したAC/AC変換回路76で高周波の交流電力に変換し、追加コイル70,72へ印加する。追加コイル70,72への印加電圧がAC200Vである場合、追加コイル70,72へ流れる電流は、充電電力が1.5kW時で7.5Aであり、充電電力が6kW時で30Aである。
【0071】
上記のように、例えば、追加コイル70,72とコンバータコイル14,16との巻き数比を1:1とし、1次側と2次側とで通電時の電圧降下を同じとする場合、追加コイル70,72に流れる最大電流は30Aで、各相のコンバータコイル14,16に流れる最大電流は125Aであるので、追加コイル70,72の銅等の導電体の断面積は、コンバータコイル14,16の銅等の導電体の断面積に比べて0.24倍(=30A/125A)と小さくできる。すなわち、付加する1次巻線である追加コイル70,72の導電体の体積は、コンバータコイル14,16の導電体の体積に対して0.24倍の体積でよいことが分かる。このため、同じ巻き数であれば、追加コイル70,72の断面積は、コンバータコイル14,16の断面積の1/3以下と十分に小さく設定できる。このように追加コイル70,72の断面積をコンバータコイル14,16の断面積に対して十分に小さく設定できるので、コンバータコイル14,16の内側に追加コイル70,72を配置することを容易に行える。
【0072】
また、本実施の形態では、コア12は、互いにギャップ板18またはギャップ空間を介して対向する2以上の脚要素である、I形部24と端脚要素30aとを含む端脚部34を備え、各追加コイル70,72は、コンバータコイル14,16の内側で、ギャップ板18またはギャップ空間を除く端脚部34の外側に設けられている。このため、ギャップ板18またはギャップ空間によりコア12内での磁束の飽和を生じにくくできるとともに、ギャップ板18またはギャップ空間の周囲から磁束漏れが生じやすくなるのにもかかわらず、追加コイル70,72に対する磁束の鎖交を生じにくくして、誘導加熱による発熱を有効に回避でき、効率向上を図れる。
【0073】
すなわち、リアクトル10aでは、図11のP1からP4の丸で囲んだ部分である、ギャップ板18(図10)またはギャップ空間の周囲に磁束が漏れやすい部分が存在する。このため、P1からP4の部分にコイルを配置した場合には、漏れ磁束による誘導加熱によりこのコイルが発熱しやすくなる。これに対して、本実施の形態では、図11のQ1からQ2の破線の丸で囲んだ部分である、I形部24の長さ方向中央部周囲に追加コイル70,72を配置して、ギャップ板18またはギャップ空間を除く端脚部34の外側に追加コイル70,72(図10)を設けている。このため、P1からP4の部分から、追加コイル70,72を大きく離しやすくなるので、追加コイル70,72への鎖交磁束による発熱を回避できる。
【0074】
なお、このような発熱を回避するための別の方法として、漏れ磁束自体を低減する手段の採用も考えられるが、この場合には、高コストとなるため、好ましくない。逆にいえば、本実施の形態では、低コストで追加コイル70,72への鎖交磁束による発熱を回避できる。また、上記のように追加コイル70,72の体積をコンバータコイル14,16の体積に対して例えば1/3以下に、十分に小さくできるため、上記のように、追加コイル70,72をI形部24の長さ方向中央部周囲に設けることを容易に行える。なお、設計によっては、コンバータコイル14,16をP1からP4の部分から少し離す必要がある場合が考えられるが、本実施の形態の優位性を損なうものではない。
【0075】
このように2相コンバータ用リアクトル10aの体積を増加することなく、あるいは、少しの増加のみで、充電または発電に必要となる1次巻線である追加コイル70,72を追加することが可能となる。その他の構成及び作用は、上記の図1から図2または図3に示した実施の形態と同様である。
【0076】
なお、図示は省略するが、複数相昇圧コンバータ用リアクトルを、2相ではなく、3相等とする場合でも、コンバータコイル14,16の内側の漏れ磁束の少ない部分に追加コイル70,72を設置することにより、同様の効果を得ることができる。
【0077】
[第3の発明の実施の形態]
図12から図13は、本発明に係る第3の実施の形態を示している。図12は、本発明の第3の実施の形態に係る2相コンバータ用リアクトルを示す、図10に対応する断面図である。図13は、一部を省略して示す、図12のC部拡大図である。
【0078】
本実施の形態の2相コンバータ用リアクトル10bでは、上記の図9から図11に示した第2の実施の形態において、コア12において、コンバータコイル14,16の幅方向両端部に設けた2の端脚部34を、断面E形に形成した2のE形部80,82の互いに対向する端脚要素30により構成している。また、各E形部80,82同士で、端脚要素30の先端同士をギャップ板18またはギャップ空間を介して対向させている。また、各端脚部34のうち、ギャップ板18を除いて、コンバータコイル14,16内側に設ける部分を低損失コア材である、コイル内部コア材料により構成し、コア12のうち、コンバータコイル14,16外側に設ける部分を高損失コア材である、コイル外部コア材料により構成している。
【0079】
このような構成では、図13に示すように、各端脚要素30の間の周囲である、図13のP5、P6の丸で囲んだ部分や、P7、P8の丸で囲んだ、端脚要素30と基部26との連結部となる角部の内側で、磁束漏れを生じやすい。このため、P5からP8の部分にコイルを配置した場合には、このコイルへの鎖交磁束による発熱を生じやすくなる。これに対して、本実施の形態では、Q3、Q4の破線の丸で囲んだ部分であり、P5からP8の部分から離れた各端脚要素30の周囲に追加コイル70,72(図12)を配置している。すなわち、図12に示すように、各コンバータコイル14,16の内側の、軸方向中央部を避けた、軸方向に離れた2個所に追加コイル70,72を配置している。また、同じコンバータコイル14,16内で、互いに離れた2の追加コイル70,72同士は、互いに図示しない導線等により電気的に直列に接続している。
【0080】
このような構成の場合も、上記の図9から図11に示した第2の実施の形態と同様に、追加コイル70,72に対する磁束の鎖交を生じにくくして、誘導加熱による発熱を有効に回避でき、効率向上を図れる。その他の構成及び作用は、上記の第2の実施の形態と同様である。
【0081】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0082】
10,10a,10b 2相コンバータ用リアクトル、12 コア、14,16 コンバータコイル、18 ギャップ板、20,20a、22,22a T形部、24 I形部、26 基部、28 中央脚部、30,30a 端脚要素、32 ギャップ空間、34 端脚部、36,36a 2相昇降圧コンバータ、38 インバータ、40 蓄電部、42,44 アーム、46 上側スイッチング素子、48 下側スイッチング素子、50 正極母線、52 負極母線、54 コア、56 リアクトル、58,60 E形部、62 昇降圧コンバータ、64 走行用モータ、66 充電回生装置、68 プラグ、70,72 追加コイル、74 フィルタ、76 AC/AC変換回路、78 外部回路、80,82 E形部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアと、コアに巻装され、互いに磁気結合された複数相のコンバータコイルとを含む複数相コンバータ用リアクトルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジンと走行用モータとを搭載し、エンジン及び走行用モータの一方または両方を主駆動源として使用するハイブリッド車両(HV)や、電気自動車(EV)、燃料電池車両等において電池電圧と、走行用モータに接続されたインバータの駆動電圧との最適化を図るために、昇圧コンバータ等の電圧変換器が使用されている。
【0003】
また、チョッパ方式の昇圧コンバータである昇圧チョッパの容量を1/Nにして、N個の昇圧チョッパを並列に接続し、駆動パルスの位相を2π/Nずつずらした構成は、N相の複数相コンバータである、マルチフェーズコンバータと呼ばれている。
【0004】
また、非特許文献1には、コンバータ用としてN相を使用する、すなわちマルチフェーズ化させることで、リアクトルの全容積を1/Nに減少させ、体積を小さくできる、すなわち小型化を図れるコンバータが記載されている。
【0005】
また、非特許文献2には、3本の脚を有するコアのうち、両側の2本の脚にコイルを設けることで、一体化させた、複数相磁気結合リアクトルが記載されている。この場合、中央の脚で生じる交流磁束リップルを減少でき、中央の脚でのコア損を減少でき、効率向上を図れるとされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】B.Eckardt他、「Automotive Powertrain DC/DC Converter with 25kw/dm3 by using SiC Diodes」、International Conference on Integrated Power Electronics Systems(CIPS) 2006
【非特許文献2】Pit-Leong Wong他、「Performance Improvements of Interleaving VRMs with Coupling Inductors」、IEEE Transactions on power electronics、VOL.16、No.4、JULY 2001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されたようなマルチフェーズコンバータに使用するための複数相のリアクトルにおいて、各相のリアクトル同士を磁気結合して一体化させ、複数相磁気結合リアクトルとした場合には、複数相のリアクトルを1つに一体化させることにより、部品点数を少なくして、低コスト化が可能となる。ただし、このような構造では、コア損失が過度に大きくなるという問題が生じる可能性がある。
【0008】
例えば、本発明者が行ったシミュレーションによると、互いにインダクタンスが同じで入力する電流を同じとした仕様で設計した場合の、2相磁気結合リアクトルと、単相リアクトルとを比較した場合に、条件により、2相磁気結合リアクトルの体積を単相リアクトルの体積に比べて約50から60%に低減できたが、2相磁気結合リアクトルのコア損失は、単相リアクトルのコア損失に比べて、約3倍と大きくなるという問題が生じることが分かった。
【0009】
すなわち、リアクトルでのコア損失Wは、リアクトルでの磁束密度の増加量ΔBが大きくなるのに従って大きくなる。一方、磁束密度の増加量ΔBは、磁束密度の基準値B1、電流値I1に対する、電流リップルの電流値I1からの振れ幅Irの割合(Ir/I1)を乗じることで求められる。この場合、ΔBは、次式で求められる。
ΔB=B1×(Ir/I1) ・・・(1)
【0010】
ここで、2相磁気結合リアクトルでは、単相リアクトルに対し、各相のリアクトルで電流値I1が1/2倍となるので、磁束密度の増加量ΔBが2倍となり、ΔBの増加に応じてコア損失Wが大きくなる。例えば、条件により、2相磁気結合リアクトルでは、単相リアクトルに比べてコア損失Wが約3倍と大きくなった。このようにコア損失Wが大きくなることは、リアクトルの性能低下に結びつく原因となるため、好ましくない。
【0011】
これに対して、2相磁気結合リアクトルで、コアの全体を薄型ケイ素鋼板、アモルファス材等の低損失コア材により構成することが考えられる。ただし、低損失コア材は高価であり、全体を低損失コア材とする場合、コストの大幅な増大を招く可能性がある。また、低損失コア材は、加工作業が困難という問題もある。例えば、ケイ素鋼板の積層構造により断面E形状や断面T形状のコアを製造する場合、打ち抜き可能や放電加工を行う必要があり、コストが高くなる。また、板材では、リアクトルを小型化可能な適切な3次元形状に加工することが困難であるという問題もある。また、アモルファス材によりコアを構成する場合も、高価であり、かつ、加工作業が困難という問題がある。
【0012】
一方、コアのうち、コイルを巻装した部分はコイルの内径以下にする必要があるが、それ以外では、コイルの外形に合わせることが可能であるため、磁束密度の変化量が、コイルを巻装した部分に比べて少ない。これらの事情から、本発明者は、最適な部分を最適な材料により構成することで、上記の問題解決を図れると考えた。非特許文献1,2には、このような問題を解消できる手段は開示されていない。
【0013】
本発明の目的は、複数相コンバータ用リアクトルにおいて、小型でかつ部品点数を少なくできるとともに、低損失を有効に図れる構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る複数相コンバータ用リアクトルは、コアと、コアに巻装され、互いに磁気結合された複数相のコンバータコイルとを含む複数相コンバータ用リアクトルであって、コアは、複数のコア材料を組み合わせることにより構成され、複数のコア材料は、コアにおいて、コンバータコイルが巻装された部分の少なくとも一部を構成するコイル内部コア材料と、コアにおいて、コンバータコイルが巻装されていない部分を構成するコイル外部コア材料とを含み、コイル内部コア材料は、コイル外部コア材料に比べて、磁束密度上昇に対するコア損失の上昇度が低い、低損失コア材である。
【0015】
本発明に係る複数相コンバータ用リアクトルによれば、複数相磁気結合リアクトルを1つの部品として構成できるので、小型でかつ部品点数を少なくできる。しかも、コアにおいて、コンバータコイルが巻装された部分の少なくとも一部を構成するコイル内部コア材料を、コンバータコイルが巻装されていない部分を構成するコイル外部コア材料よりも低損失のコア材とするので、磁束密度の変化量が大きいコイル内部コア材料を含む一部のコアだけを、低損失コア材料により構成し、コアの残りの部分を安価かつ加工しやすい材料により構成できる。このため、コストを過度に上昇させることなく、かつ、加工作業を容易に行え、しかも、互いに磁気結合したコンバータコイルを有する複数相コンバータ用リアクトルを構成するのにもかかわらず、低損失を図れる。
【0016】
また、本発明に係る複数相コンバータ用リアクトルにおいて、好ましくは、コアを、コイルを巻装する第1脚部と、コイルを巻装しない第2脚部とを含み、コイル内部コア材料により構成するコア部分である第1脚部の長さ方向に対し直交する平面に関する断面積は、コイル外部コア材料により構成するコア部分である第2脚部の長さ方向に対し直交する平面に関する断面積よりも小さくしている。
【0017】
上記構成によれば、コイル内部コア材料により構成する第1脚部にコイルを巻回するのにもかかわらず、リアクトル全体の容積を小さくでき、しかも、コイル内部での磁束密度の変化量が大きくなる場合でも、コイル内部コア材料を低損失コア材により構成するので、低損失を図れる。
【0018】
また、本発明に係る複数相コンバータ用リアクトルにおいて、好ましくは、コンバータコイルは、昇降圧用コイルであり、さらに、コアに巻装され、昇降圧用コイルと磁気結合する追加コイルを備え、追加コイルは、別の回路に接続可能としている。
【0019】
上記構成によれば、追加コイルと昇降圧用コイルとを介して、別の回路から昇降圧用コイルを接続した回路へ充電したり、昇降圧用コイルを接続した回路から別の回路へ放電することができる。しかも、このような充放電のために、昇降圧用コイルを使用できるので、必要となる新たな部品点数を少なくでき、過度にコストを高くすることがない。
【0020】
また、本発明に係る複数相コンバータ用リアクトルにおいて、好ましくは、コアは、互いにギャップ空間またはギャップ板を介して対向する2以上の脚要素を含む脚部を備え、追加コイルは、昇降圧用コイルの内側で、ギャップ空間またはギャップ板を除く脚部の外側に設けられている。
【0021】
上記構成によれば、ギャップ板またはギャップ空間によりコア内での磁束の飽和を生じにくくできるとともに、ギャップ板またはギャップ空間の周囲から磁束漏れが生じやすくなるのにもかかわらず、追加コイルに対する磁束の鎖交を生じにくくして、誘導加熱による発熱を有効に回避でき、効率向上を図れる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の複数相コンバータ用リアクトルによれば、小型でかつ部品点数を少なくできるとともに、低損失を有効に図れる構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る複数相コンバータ用リアクトルである、2相コンバータ用リアクトルを、一部を透視して示す斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】2相コンバータ用リアクトルの別の実施形態を、一部を透視して示す斜視図である。
【図4】図1のリアクトルを有する2相昇降圧コンバータを含む回路図である。
【図5】従来の磁気結合リアクトルの1例を構成するコアの概略を示す図である。
【図6】図5のコアにコイルを巻装した状態で、コアに流れる磁束の様子を説明するための略図である。
【図7A】図6を左右方向片側から他側に見て示す略図である。
【図7B】図1のリアクトルにおいて、従来構造に比べてコア材の厚みが増大する部分を説明するための、図7Aに対応する図である。
【図8】従来の充電発電システムの基本構成を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る2相コンバータ用リアクトルを含む充電発電機能付電源回路を示す図である。
【図10】図9の電源回路を構成するリアクトルを取り出して示す断面図である。
【図11】一部を省略して示す図10のB部拡大図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係る2相コンバータ用リアクトルを示す、図10に対応する断面図である。
【図13】一部を省略して示す図12のC部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて説明する。以下では、複数相コンバータ用リアクトルとして、2相コンバータ用リアクトルについて説明するが、複数相コンバータを構成するものであればよく、2相以外の複数相、例えば3相等であってもよい。
【0025】
また、以下では、複数相コンバータ用リアクトルが、ハイブリッド車両の駆動源として使用する回転電機である、走行用モータに接続されたインバータを駆動するための電気回路を構成する場合を説明する。ただし、複数相コンバータ用リアクトルを使用する回転電機は、電気自動車、燃料自動車等の、ハイブリッド車両以外を駆動するためのものでもよい。また、回転電機は、車両駆動以外の補機駆動用でもよい。また、回転電機を2個とし、2の回転電機に接続された2のインバータと、二次電池等の蓄電部との間にコンバータを設ける構成に本発明に係るリアクトルを使用することもできる。
【0026】
[第1の発明の実施の形態]
図1から図4は、本発明の第1の実施の形態を示している。複数相コンバータ用リアクトルであり、2相磁気結合リアクトルである、2相コンバータ用リアクトル10は、昇降圧用として使用するもので、コア12と、コア12に巻装された2相のコンバータコイル14,16と、複数のギャップ板18とを備える。
【0027】
図2に示すように、コア12は、それぞれ同一の磁性材であるコア材料により構成され、断面積を同じとした断面略T形状の2のT形部20,22と、別の磁性材である別のコア材料により構成される断面直線状の第1脚部であり、かつ脚要素である2のI形部24とを含む。各T形部20,22は、互いに向き合うように対向させており、それぞれの略直線状の基部26の互いに対向する側の面である内側面の中央部に、内側に突出する第2脚部である、中央脚部28を設けている。
【0028】
また、それぞれの基部26の内側面の中央脚部28に関して幅方向(図2の左右方向)両側に、内側に突出する2の端脚要素30を互いに平行に設けている。各T形部20,22を、互いに対向させた状態で、互いに対向する端脚要素30の間に、I形部24を、非磁性材製の断面矩形状のギャップ板18をそれぞれ介して結合している。なお、各T形部20,22及びI形部24を図示しない非磁性材製の部材で固定する等により、各T形部20,22とI形部24との間に、ギャップ板を設けず、隙間であるギャップ空間を介して対向させることもできる。
【0029】
また、中央脚部28、各端脚要素30、及びI形部24は、それぞれ長さ方向(図2の上下方向)に対し直交する平面に関する断面形状を略正方形等の矩形に形成している。また、各端脚要素30及び各I形部24の、長さ方向に対し直交する平面に関する断面積は互いに略同じとするが、中央脚部28の断面積よりも小さくしている。このために、各端脚要素30及びI形部24の厚さ方向(図1の上下方向、図2の裏表方向)寸法に対し、基部26及び中央脚部28の厚さ方向寸法を大きくするとともに、各端脚要素30及びI形部24の幅方向(図2の左右方向)寸法に対し、中央脚部28の幅方向寸法を大きくしている。
【0030】
また、各中央脚部28の先端同士は、隙間であるギャップ空間32を介して対向させている。なお、各中央脚部28の先端同士を、空間を介さず、非磁性材により構成するギャップ板を介して結合することもできる。
【0031】
コア12の幅方向両端にそれぞれ存在する、I形部24と、ギャップ板18と、脚要素30とを結合した直線状の部分により、2の端脚部34を構成している。各端脚部34の周囲にコンバータコイル14,16をそれぞれ巻装することにより、リアクトル10を構成している。各コンバータコイル14,16は、互いに一端同士を電気的に接続するとともに、互いに磁気結合している。
【0032】
また、コア12は、複数のコア材料である、「コイル内部コア材料」と、「第2コイル内部コア材料」と、「コイル外部コア材料」とを組み合わせることにより構成している。すなわち、コア12において、コンバータコイル14,16が巻装される部分の一部である、I形部24は、「コイル内部コア材料」により構成する。各T形部20,22のコンバータコイル14,16が巻装される部分である、各端脚要素30は、「第2コイル内部コア材料」により構成する。また、コア12のうち、コンバータコイル14,16が巻装されていない部分である、各T形部20,22の基部26及び中央脚部28は、「コイル外部コア材料」により構成する。
【0033】
「コイル内部材料」は、「コイル外部コア材料」に比べて、磁束密度上昇ΔBに対するコア損失Wの上昇度が低い、低損失コア材としている。例えば、「コイル外部コア材料」を、鉄を基材とする磁性粉末を加圧成形することにより構成するダストコア材とするとともに、「コイル内部材料」を、低損失コア材であるアモルファス、または低損失ケイ素鋼板の積層体とする。すなわち、磁束密度の上昇分ΔBを横軸にとり、コア損失Wを縦軸にとって種々のコア材料に関する損失曲線を考えた場合に、アモルファス等の低損失コア材は損失曲線の傾きが小さくなり、ダストコア材等の比較的高損失のコア材は、損失曲線の傾きが大きくなる。なお、本実施の形態では、各T形部20,22の全体を同じ材料であるダストコア材等の、低損失コア材よりも損失の高い材料により一体に構成している。すなわち、「第2コイル内部コア材料」と「コイル外部コア材料」とは同一の材料としている。
【0034】
このように構成するため、「コイル内部コア材料」により構成するI形部24の長さ方向に対し直交する平面に関する断面積S1は、「コイル外部コア材料」により構成する各T形部20,22の中央脚部28の長さ方向に対し直交する平面に関する断面積S2よりも小さくなっている(S1<S2)。また、各コンバータコイル14,16の外周面がコア12の厚さ方向両側面よりも厚さ方向外側に突出しないようにするとともに、コア12の幅方向両側面よりも幅方向外側に突出しないように、各部の寸法を規制している。図1に示すように、各T形部20,22の基部26及び中央脚部28は、厚さ方向に関して、コイル14,16の外周面と略一致する位置まで厚みを大きくした、複雑な3次元形状となっている。このため、基部26及び中央脚部28は、コイル通電時の磁束密度の変動幅ΔBを低下させ、コア損失Wを低減させるのに寄与する。また、各T形部20,22をダストコアにより構成した場合には、コア12の一部をこのような複雑な3次元形状とする場合でも、加工作業を容易に行えるとともに、リアクトル10の体積を小型化しやすくなる。
【0035】
これに対して、各コンバータコイル14,16内に配置され、各T形部20,22とギャップ板18を介して結合されたI形部24は、コンバータコイル14,16の内径で形状及び寸法が決定される柱状構造とならざるを得ず、断面積を大きくすることにより磁束密度変動幅ΔBを減少させることは難しい。このために、本実施の形態では、各I形部24を、アモルファス等の、ダストコア材よりも磁束密度上昇に対するコア損失の上昇度が低い、低損失コア材により構成することで、コンバータコイル14,16内での鉄損を、ダストコア材を用いた場合に比べて低く(例えば、1/2以下に低く)することができる。このため、基部26及び中央脚部28の厚みを増大させたことと相まって、コア12全体の鉄損を、コアの厚みを全体で同一とした場合に比べて、低く(例えば、1/2以下に低く)することができる。
【0036】
図3は、2相コンバータ用リアクトルの別の実施形態を、一部を透視して示す斜視図である。図3のリアクトル10では、図1のリアクトル10を構成する各T形部20a,22aにおいて、幅方向両端部に設けた各端脚要素30aの幅方向寸法及び厚さ方向寸法を、図1、図2に示した場合よりも大きくし、各端脚要素30aの長さ方向に対し直交する平面に関する断面積を、中央脚部28の長さ方向に対し直交する平面に関する断面積と略同じとしている。また、各T形部20a、22a同士で、中央脚部28が対向するように配置するとともに、対向する端脚要素30aの先端に、ギャップ板18(図2参照、図3では図示を省略する。)を介してI形部24を結合する。各I形部24の周囲にコンバータコイル14,16を巻装する。また、各T形部20a,22bを上記の「コイル外部コア材料」により構成し、各I形部24を上記の「コイル内部コア材料」により構成する。このように、ギャップ板18を除いて「コイル内部コア材料」により構成する部分のみにコイル14,16を巻装することもできる。
【0037】
また、上記の図1、図2の構成において、各端脚要素30,30a、各I形部24及び各ギャップ板18は、断面矩形状とする構成に限定するものではなく、断面円形等、他の形状とすることもできる。例えば、コアのうち、コイルを巻装する部分は、円柱状とすることもできる。
【0038】
このような本実施の形態のリアクトル10は、例えば図4に示すような2相昇降圧コンバータの回路に設けて使用することができる。図4は、図1のリアクトル10を有する2相昇降圧コンバータを含む回路図である。2相昇降圧コンバータ36は、例えば、ハイブリッド車両の駆動源として使用する回転電機である、図示しない走行用モータに接続されたインバータ38を駆動するための電源回路を構成する。電源回路は、直流電圧Vbを出力する蓄電部40と、インバータ38との間に、2相昇降圧コンバータ36を接続している。2相昇降圧コンバータ36は、磁気結合コイル部である、2相コンバータ用リアクトル10と、2相のアーム42,44とを含む。また、昇降圧コンバータ36の出力側とインバータ38との間にコンデンサC1を接続している。各相アーム42,44は、上側スイッチング素子46及び下側スイッチング素子48を直列に接続しており、各相アーム42,44を並列にインバータ38及びコンデンサC1に接続している。
【0039】
また、リアクトル10を構成する各コンバータコイル14,16の一端を、蓄電部40の正極側に接続している。各コンバータコイル14,16は、それぞれインダクタンスL1,L2を有する。また、1のコンバータコイル14の他端を1のアーム42の上側スイッチング素子46及び下側スイッチング素子48の中点に接続し、別のコンバータコイル16の他端を別のアーム44の上側スイッチング素子46及び下側スイッチング素子48の中点に接続している。各スイッチング素子46,48は、後述する図9を参照して示すように、トランジスタまたはIGBT等であり、それぞれダイオードを逆並列に接続している。なお、各スイッチング素子46,48のオンオフ動作は、図示しない制御部により制御される。
【0040】
また、インバータ38は、詳しい図示は省略するが、コンデンサC1両端に接続された正極母線50及び負極母線52間に供給される直流電力を、交流三相駆動電力に変換し、回転電機等の負荷に供給する機能と、回転電機から供給される交流三相回生電力を直流電力に変換し、昇降圧コンバータ36側に供給する機能とを有する。インバータ38は、それぞれ一端が正極母線50に接続され、他端が負極母線52に接続され、互いに並列に接続された図示しない3相アームを含む。各相アームは、互いに直列に接続された上アームスイッチング素子及び下アームスイッチング素子を有し、各スイッチング素子にダイオードを逆並列に接続し、各アームの中点を回転電機等の負荷に接続している。
【0041】
蓄電部40は、充放電可能な二次電池であり、例えば200Vから300Vの大きさの端子電圧Vbを有するリチウムイオン組電池、ニッケル水素組電池等とするが、キャパシタ等を用いることもできる。
【0042】
また、コンデンサC1は、インバータ38側の電圧変動を抑制する機能を有する。なお、蓄電部40と、リアクトル10の一端及び負極母線52との間に図示しないコンデンサを接続し、蓄電部40側の電圧変動を抑制することもできる。また、蓄電部40の正極側と負極側とに、それぞれ制御部により制御されるリレースイッチを設けることもできる。
【0043】
このような電源回路を用いて昇降圧コンバータ36を機能させる場合、各相アーム42,44の下側スイッチング素子48を、互いに180度位相をずらせた状態でスイッチングすることにより、スイッチングのオンデューティ比に応じて蓄電部40側の電圧を昇圧し、コンデンサC1両端間に供給することができる。また、各相アーム42,44の上側スイッチング素子46を、互いに180度位相をずらせた状態でスイッチングすることにより、スイッチングのオンデューティ比に応じてインバータ38側から入力される電圧を降圧し、蓄電部40側へ供給することができる。
【0044】
このような電源回路において、本実施の形態では、各相のコンバータコイル14,16同士を磁気結合し、一体化させているので、部品点数を削減できるとともに、小型化を図れる。しかも、コア12において、コンバータコイル14,16が巻装された部分の一部である、I形部24を構成するコイル内部コア材料を、コンバータコイル14,16が巻装されていない部分であるT形部20,20a、22,22aの中央脚部28及び基部26を構成するコイル外部コア材料よりも低損失のコア材としている。このため、磁束密度の変化量が大きいI形部24だけを低損失コア材料により構成し、コア12の残りの部分を安価かつ加工しやすい材料により構成できる。このため、コストを過度に上昇させることなく、かつ、加工作業を容易に行え、しかも、互いに磁気結合したコンバータコイル14,16を有する2相コンバータ用リアクトル10を構成するのにもかかわらず、低損失を図れる。
【0045】
また、コア12を、コイル14,16を巻装する端脚部34と、コイル14,16を巻装しない中央脚部28とを含み、コイル内部コア材料により構成する端脚部34であるI形部24の長さ方向に対し直交する平面に関する断面積は、コイル外部コア材料により構成する中央脚部28の長さ方向に対し直交する平面に関する断面積よりも小さくしている。このため、I形部24にコイル14,16を巻回するのにもかかわらず、リアクトル10全体の容積を小さくでき、しかも、コイル14,16内部での磁束密度の変化量が大きくなる場合でも、コイル内部コア材料をアモルファス等の低損失コア材により構成するので、低損失を図れる。この結果、小型でかつ部品点数を少なくできるとともに、低損失を有効に図れる構造を提供できる。
【0046】
これに対して、本実施の形態と異なり、例えば、リアクトルのコア全体の厚みを同一とし、コア全体を同一の材料であるダストコアにより構成し、コアの2の脚部に2相コイルを巻装し、互いに磁気結合させた構成である、2相磁気結合リアクトルの従来例も考えられる。ただし、本実施の形態では、このような2相磁気結合リアクトルの従来例に比べて、鉄損、すなわちコア損失を十分に小さくできる。なお、単相リアクトルの場合には、コア損失以外の損失がリアクトル損失を大きく占めるのに対し、本発明に係る複数相リアクトルの場合には、リアクトル損失に占めるコア損失の割合が大きく、本実施の形態のように、コア損失を低減することは有効である。
【0047】
このような本実施の形態による効果を確認するために、本発明者は、従来のハイブリッド車両で使用していた単相コイルを有する単相リアクトルと、上記の2相磁気結合リアクトルの従来例と、図1、図2に示した本実施の形態のリアクトルである、2相磁気結合リアクトルの実施例とを用いて、シミュレーションを行った。
【0048】
まず、2相磁気結合リアクトルの従来例を、図5、図6、図7Aを用いて説明する。図5は、従来の磁気結合リアクトルの1例を構成するコア54の概略を示す図である。図6は、図5のコア54にコンバータコイル14,16を巻装した状態で、コア54に流れる磁束の様子を説明するための略図である。図7Aは、図6を左右方向片側から他側に見て示す略図である。このような従来例のリアクトル56では、上記の図1、図2に示した実施の形態のリアクトル10を構成するコア12に対して、コア54を断面E形の2のE形部58,60を、互いに向き合うように配置することにより構成している。また、コア54の各部の厚さ方向(図5、図6の表裏方向、図7Aの上下方向)寸法を同一とし、コア54を同一の材料であるダストコアにより構成している。各E形部58,60は、基部と、基部に結合した3本の脚部とを含み、各E形部58,60同士で、各脚部を対向させている。また、各脚部のうち、幅方向(図5、図6の左右方向)両端の脚部に各相コイル14,16を巻装し、各相コイル14,16の一端を電気的に接続するとともに、互いに磁気結合している。なお、図6では、コア54の内部を通る環状の実線α1、α2により、各相コイル14,16から生じる独立磁束を示しており、コア54の内部を通る環状の破線βにより、各相コイル14,16から生じる磁束が干渉しあうことを表す干渉磁束を示している。また、図7Aに示すように、従来例のリアクトル56では、コア54の厚さ方向(図7Aの上下方向)両側面から厚さ方向外側に突出するように、コア54にコイル14,16が巻装されている。
【0049】
このような従来例の2相磁気結合リアクトル56と、従来例の単相リアクトルとを用いて、インダクタンスLを230μH近辺とし、リアクトルに100Aの電流を入力する、同一の仕様で設計した場合の、体格比と、コア損概算比と、コイル抵抗比とを2D−JMAGを用いてシミュレーションし比較した。表1は、このシミュレーション結果を示している。なお、2相磁気結合リアクトルでは、結合係数aが0.3である(a=0.3)としてシミュレーションした。
【0050】
【表1】
【0051】
表1から明らかなように、上記シミュレーションでは、同等の磁束密度で設計しているが、従来例の2相磁気結合リアクトル56は、単相リアクトルに比べて体積を50から60%の間に低減することができることが分かった。すなわち、概略的には、各相コイル14,16に流れる電流が、単相リアクトルの場合の電流Iに比べて1/2倍の電流I/2となる。このため、各相コイル14,16で蓄積するエネルギが1/4となり、全体の蓄積エネルギが単相リアクトルの場合に比べて1/2で済む。このため、リアクトル56の体格比を単相リアクトルの場合に比べて約1/2倍とすることができる。ただし、上記の「発明が解決しようとする課題」の欄で説明したように、従来例の2相磁気結合リアクトルの場合には、コア損失Wが単相リアクトルの場合に比べて大きくなる。このことは、表1のシミュレーション結果で、コア損概算比が単相リアクトルに比べて2.6倍と大きくなっていることからも分かる。
【0052】
これに対して、上記の図1、図2に示した構成である、実施例の2相磁気結合リアクトル(2相コンバータ用リアクトル10)で、同様にシミュレーションをした場合、図5、図6の従来例の2相磁気結合リアクトル56と同様に、体格比を、従来例の単相リアクトルの場合に比べて60%以下に小型化できることを確認できた。すなわち、本実施の形態では、コア12のコイル14,16を巻装していない部分の厚みを増大させており、リアクトル10の体積が増大することが懸念される。これに対して、図7Bは、図1のリアクトルにおいて、従来構造に比べてコア材の厚みが増大する部分を説明するための、図7Aに対応する図である。図7Bに示すように、本実施の形態では、コア12のコイル14,16を巻装していない部分の厚みが増加した場合でも、コイル14,16の外径とほぼ同じで、コア損失低減効果を十分に得られる。このため、図7Bのリアクトル10全体の外接直方体の体積を、図7Aの従来例のリアクトルの場合とほぼ同じとすることができ、実用上の問題は生じない。
【0053】
これに加えて、表1に示すように、実施例のリアクトル10の場合、コア損比が、従来例の単相リアクトルの場合に比べて1.3倍以下となり、従来例の2相磁気結合リアクトル56の2.6倍に比べて1/2以下と小さくできることを確認できた。これは、上記のようにコア12のコイル14,16を巻装していない部分の厚みを増大させたことと、コア12のコイル14,16を巻装した部分の少なくとも一部を低損失コア材により構成したことにより得られる効果である。
【0054】
上記の説明では、従来のハイブリッド車両に使用している構成と同様の仕様で比較した結果を説明したが、磁気結合型のリアクトルでは、コイル抵抗を下げることが容易に行えるので、電気自動車や、プラグインハイブリッド車両(PHV)等の大電流を流す仕様でも、従来構造に比べて体積を小さくするだけでなく、低損失を図ることが可能である。
【0055】
なお、上記の実施の形態では、コア12の一部の厚みを小さくする等により、他の部分と比べて断面積を小さくする場合を説明した。ただし、本発明は、このような構成に限定するものではなく、体格が多少悪化することが許容できれば、従来例の2相磁気結合リアクトルと同様に、コア全体の厚みを同じとした構成において、コイルを巻装した部分のコアを、コイルを巻装しない部分のコアに比べて低損失の低損失コア材により構成することもできる。
【0056】
[第2の発明の実施の形態]
次に、図9から図11を用いて、本発明に係る第2の実施の形態を説明する。まず、図8を用いて、従来構成における改良すべき点を説明する。図8は、従来の充電発電システムの基本構成を示す図である。図8に示す充電発電システムは、ハイブリッド車両や、電気自動車等の電動車両において、蓄電部40により、昇降圧コンバータ62及びインバータ38を介して、負荷であり、回転電機である走行用モータ64を駆動可能とするとともに、プラグ68に接続したAC100Vの外部の交流電源から、充電回生装置66を用いて、直流電源に変換した後、蓄電部40へ充電可能としている。例えば、外部の交流電源から蓄電部40へ充電する場合は、蓄電部40を含むモータ駆動回路から、図示しないリレースイッチの切断等により蓄電部40を切り離す。充電回生装置66は、外部充電器としての役目を果たす、交流直流変換部の機能と、発電部としての役目を果たす、直流交流変換部の機能とを有する。このような構成の場合、充電回生装置66を新たに付加する構成であるため、高コストであるという問題があった。
【0057】
これに対して、本実施の形態は、図9から図11に示すように構成している。図9は、本発明の第2の実施の形態に係る2相コンバータ用リアクトルを含む充電発電機能付電源回路を示す図である。図10は、図9の電源回路を構成するリアクトルを取り出して示す断面図である。図11は、一部を省略して示す図10のB部拡大図である。
【0058】
本実施の形態では、上記の問題を解決する手段として、2相昇圧コンバータ用リアクトルに、新たな追加コイル、及び追加コイルに接続する外部回路を、低コストで付加するようにしている。すなわち、図9に示す電源回路は、上記の図4に示した回路と同様に、蓄電部40とインバータ38との間に、コンデンサC1,C2と、2相昇降圧コンバータ36aとを設けるとともに、2相コンバータ用リアクトル10aの一端と、蓄電部40の正極側との間に第1リレースイッチSaを設けている。また、昇降圧コンバータ36aを構成する各相アーム42,44の正極母線50側と、蓄電部40との間を、第2リレースイッチSbを介して接続可能としている。各リレースイッチSa,Sbは、図示しない制御部により制御される。また、リアクトル10aを構成する各相のコンバータコイル14,16のそれぞれに、1次コイルである追加コイル70,72を付加し、各コンバータコイル14,16に2次巻線としての機能を持たせるようにしている。そして、図9に示す電源回路を、絶縁型の充電発電回路として機能させるようにしている。
【0059】
各追加コイル70,72は、例えば、充電スタンドまたは家庭において、外部交流電源から50Hzまたは60Hzの商用交流電力を取り出し可能な電源コンセントに接続可能なプラグ68と、フィルタ74と、AC/AC変換回路76とを有する外部回路78に接続している。各追加コイル70,72の一端は互いに接続し、各追加コイル70,72の他端は、AC/AC変換回路76の出力側の2端子に接続している。各追加コイル70,72は、各相のコンバータコイル14,16に磁気結合され、協働してトランス作用を行って交流電力を受け渡し可能としている。
【0060】
なお、フィルタ74は、プラグ68から供給される電力信号のノイズ成分を抑制するための素子であり、例えばリアクトル等により構成する。また、AC/AC変換回路76は、交流電力を振幅または周波数の異なる状態の適切な交流電力に変換する回路である。例えば、50Hzまたは60Hzの商用交流電力を、10kHzから300kHzの大きさの交流電力に変換する機能を有する。
【0061】
図9の回路では、例えば、次のように、昇降圧コンバータ36a側のIGBT等の半導体素子であるスイッチング素子46,48を制御する。すなわち、1次側である追加コイル70,72側に高周波の交流電圧を印加し、2次側の昇降圧コンバータ36aを構成するスイッチング素子46,48をすべてオフ状態とし、2次側出力電圧を、スイッチング素子46,48に並列に接続したダイオードのみで整流する。このために、外部交流電源から蓄電部40へ充電する場合には、プラグ68を外部交流電源に接続するとともに、第1リレースイッチSaをオフ、すなわち遮断するとともに、第2リレースイッチSbをオン、すなわち接続する。これにより、コンバータコイル14,16と追加コイル70,72との間で交流電力の受け渡しが行われる。すなわち、追加コイル70,72に交流電力が供給されることで、コンバータコイル14,16に誘起電力が発生し、この交流電力が昇降圧コンバータ36aを構成するダイオードによって整流され、直流電力が蓄電部40へ充電される。
【0062】
なお、蓄電部40の電力を昇降圧コンバータ36aで昇圧した後、インバータ38を介して走行用モータ64(図8参照)等の負荷に供給する場合や、走行用モータ64からの回生電力をインバータ38で直流電力に変換した後、昇降圧コンバータ36aで降圧し、蓄電部40に供給する場合には、第1リレースイッチSaをオンし、第2リレースイッチSbをオフした状態で、昇降圧コンバータ36a及びインバータ38のスイッチング素子をスイッチング動作させる。
【0063】
このような構成によれば、コンバータコイル14,16と追加コイル70,72とを用いて、1次側から2次側への電力伝達を達成することが可能となる。同様にして、例えば逆方向、すなわち、コンバータコイル14,16と追加コイル70,72とを用いて、昇降圧コンバータ36a側から追加コイル70,72側への電力伝達、すなわち発電も可能となる。この場合には、プラグ68を外部の蓄電部や負荷等に接続し、電力の供給を可能とする。なお、このようにトランスを用いた電力変換回路構成は、図9に示した回路以外にも種々の構成を採用できる。
【0064】
上記の図9に示した回路構成において、昇降圧コンバータ36aは、自動車の駆動時のみ昇圧等の機能を有するコンバータとして動作するが、プラグインハイブリッド車両の場合でも、その場合の走行用モータ64(図8参照)等の負荷に供給する電力は50kW程度と大きい。一方、外部回路78を用いた充電や発電は、自動車が停止している際に行い、その場合の外部交流電源から昇降圧コンバータ36a側へ供給される電力は、最大で6kW程度である。このため、充電や発電時に、電力の受け渡しのため、コンバータコイル14,16と追加コイル70,72とに同時に通電させても問題は生じない。
【0065】
次に、図10から図11を用いて、追加コイル70,72が付加された2相コンバータ用リアクトルの具体的構造について説明する。図10、図11に示す2相コンバータ用リアクトル10aでは、上記の図3に示したリアクトル10の構成において、コンバータコイル14,16の内側で、端脚部34を構成するI形部24の周囲に追加コイル70,72を巻装している。なお、図10、図11では、I形部24の断面積を中央脚部28の断面積よりも小さくしているが、端脚要素30aの断面積とは略同じとしている。ただし、各端脚要素30aの断面積よりもI形部24の断面積を小さくすることもできる。また、I形部24は、ギャップ板18を介して端脚要素30aに結合しているが、図示しない非磁性材製の部材に少なくとも一部を固定する等により、I形部24と端脚要素30aとを隙間であるギャップ空間を介して対向させることもできる。
【0066】
このように、本実施の形態のリアクトル10aでは、コンバータコイル14,16は、昇降圧用コイルであり、さらに、コア12に巻装され、コンバータコイル14,16と磁気結合する追加コイル70,72を備え、追加コイル70,72は、別の外部回路78(図9)に接続可能としている。
【0067】
また、コア12は、互いにギャップ板18またはギャップ空間を介して対向する2以上の脚要素である、I形部24と端脚要素30aとを含む端脚部34を備える。また、各追加コイル70,72は、コンバータコイル14,16の内側で、ギャップ板18またはギャップ空間を除く端脚部34の外側に設けられている。コンバータコイル14,16と追加コイル70,72との巻き数比は、例えば1:1とする。
【0068】
このような構成によれば、追加コイル70,72とコンバータコイル14,16とを介して、別の外部回路78(図9)から、コンバータコイル14,16を接続した回路へ充電したり、コンバータコイル14,16を接続した回路から外部回路へ放電、すなわち発電することができる。しかも、このような充放電のために、コンバータコイル14,16を使用できるので、必要となる新たな部品点数を少なくでき、過度にコストを高くすることがない。
【0069】
また、上記のようにコンバータコイル14,16の内側に追加コイル70,72を配置できる理由は、追加コイル70,72の断面積をコンバータコイル14,16の断面積に対して十分に小さく設定できることによる。例えば、追加コイル70,72とコンバータコイル14,16との電流容量を、具体例を用いて説明すると、コンバータコイル14,16では、例えば、200Vの蓄電部40で50kWの出力を得るために、250Aの電流を通電させる必要がある。このため、本実施の形態のように、コンバータコイル14,16を2相とする場合には、各相のコイルで、125Aの電流を流す必要がある。
【0070】
一方、AC100VまたはAC200Vの標準的な外部交流電源から蓄電部40へ充電する場合の充電電力は、1.5kWから6kW程度である。この電力を、図9に示したAC/AC変換回路76で高周波の交流電力に変換し、追加コイル70,72へ印加する。追加コイル70,72への印加電圧がAC200Vである場合、追加コイル70,72へ流れる電流は、充電電力が1.5kW時で7.5Aであり、充電電力が6kW時で30Aである。
【0071】
上記のように、例えば、追加コイル70,72とコンバータコイル14,16との巻き数比を1:1とし、1次側と2次側とで通電時の電圧降下を同じとする場合、追加コイル70,72に流れる最大電流は30Aで、各相のコンバータコイル14,16に流れる最大電流は125Aであるので、追加コイル70,72の銅等の導電体の断面積は、コンバータコイル14,16の銅等の導電体の断面積に比べて0.24倍(=30A/125A)と小さくできる。すなわち、付加する1次巻線である追加コイル70,72の導電体の体積は、コンバータコイル14,16の導電体の体積に対して0.24倍の体積でよいことが分かる。このため、同じ巻き数であれば、追加コイル70,72の断面積は、コンバータコイル14,16の断面積の1/3以下と十分に小さく設定できる。このように追加コイル70,72の断面積をコンバータコイル14,16の断面積に対して十分に小さく設定できるので、コンバータコイル14,16の内側に追加コイル70,72を配置することを容易に行える。
【0072】
また、本実施の形態では、コア12は、互いにギャップ板18またはギャップ空間を介して対向する2以上の脚要素である、I形部24と端脚要素30aとを含む端脚部34を備え、各追加コイル70,72は、コンバータコイル14,16の内側で、ギャップ板18またはギャップ空間を除く端脚部34の外側に設けられている。このため、ギャップ板18またはギャップ空間によりコア12内での磁束の飽和を生じにくくできるとともに、ギャップ板18またはギャップ空間の周囲から磁束漏れが生じやすくなるのにもかかわらず、追加コイル70,72に対する磁束の鎖交を生じにくくして、誘導加熱による発熱を有効に回避でき、効率向上を図れる。
【0073】
すなわち、リアクトル10aでは、図11のP1からP4の丸で囲んだ部分である、ギャップ板18(図10)またはギャップ空間の周囲に磁束が漏れやすい部分が存在する。このため、P1からP4の部分にコイルを配置した場合には、漏れ磁束による誘導加熱によりこのコイルが発熱しやすくなる。これに対して、本実施の形態では、図11のQ1からQ2の破線の丸で囲んだ部分である、I形部24の長さ方向中央部周囲に追加コイル70,72を配置して、ギャップ板18またはギャップ空間を除く端脚部34の外側に追加コイル70,72(図10)を設けている。このため、P1からP4の部分から、追加コイル70,72を大きく離しやすくなるので、追加コイル70,72への鎖交磁束による発熱を回避できる。
【0074】
なお、このような発熱を回避するための別の方法として、漏れ磁束自体を低減する手段の採用も考えられるが、この場合には、高コストとなるため、好ましくない。逆にいえば、本実施の形態では、低コストで追加コイル70,72への鎖交磁束による発熱を回避できる。また、上記のように追加コイル70,72の体積をコンバータコイル14,16の体積に対して例えば1/3以下に、十分に小さくできるため、上記のように、追加コイル70,72をI形部24の長さ方向中央部周囲に設けることを容易に行える。なお、設計によっては、コンバータコイル14,16をP1からP4の部分から少し離す必要がある場合が考えられるが、本実施の形態の優位性を損なうものではない。
【0075】
このように2相コンバータ用リアクトル10aの体積を増加することなく、あるいは、少しの増加のみで、充電または発電に必要となる1次巻線である追加コイル70,72を追加することが可能となる。その他の構成及び作用は、上記の図1から図2または図3に示した実施の形態と同様である。
【0076】
なお、図示は省略するが、複数相昇圧コンバータ用リアクトルを、2相ではなく、3相等とする場合でも、コンバータコイル14,16の内側の漏れ磁束の少ない部分に追加コイル70,72を設置することにより、同様の効果を得ることができる。
【0077】
[第3の発明の実施の形態]
図12から図13は、本発明に係る第3の実施の形態を示している。図12は、本発明の第3の実施の形態に係る2相コンバータ用リアクトルを示す、図10に対応する断面図である。図13は、一部を省略して示す、図12のC部拡大図である。
【0078】
本実施の形態の2相コンバータ用リアクトル10bでは、上記の図9から図11に示した第2の実施の形態において、コア12において、コンバータコイル14,16の幅方向両端部に設けた2の端脚部34を、断面E形に形成した2のE形部80,82の互いに対向する端脚要素30により構成している。また、各E形部80,82同士で、端脚要素30の先端同士をギャップ板18またはギャップ空間を介して対向させている。また、各端脚部34のうち、ギャップ板18を除いて、コンバータコイル14,16内側に設ける部分を低損失コア材である、コイル内部コア材料により構成し、コア12のうち、コンバータコイル14,16外側に設ける部分を高損失コア材である、コイル外部コア材料により構成している。
【0079】
このような構成では、図13に示すように、各端脚要素30の間の周囲である、図13のP5、P6の丸で囲んだ部分や、P7、P8の丸で囲んだ、端脚要素30と基部26との連結部となる角部の内側で、磁束漏れを生じやすい。このため、P5からP8の部分にコイルを配置した場合には、このコイルへの鎖交磁束による発熱を生じやすくなる。これに対して、本実施の形態では、Q3、Q4の破線の丸で囲んだ部分であり、P5からP8の部分から離れた各端脚要素30の周囲に追加コイル70,72(図12)を配置している。すなわち、図12に示すように、各コンバータコイル14,16の内側の、軸方向中央部を避けた、軸方向に離れた2個所に追加コイル70,72を配置している。また、同じコンバータコイル14,16内で、互いに離れた2の追加コイル70,72同士は、互いに図示しない導線等により電気的に直列に接続している。
【0080】
このような構成の場合も、上記の図9から図11に示した第2の実施の形態と同様に、追加コイル70,72に対する磁束の鎖交を生じにくくして、誘導加熱による発熱を有効に回避でき、効率向上を図れる。その他の構成及び作用は、上記の第2の実施の形態と同様である。
【0081】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0082】
10,10a,10b 2相コンバータ用リアクトル、12 コア、14,16 コンバータコイル、18 ギャップ板、20,20a、22,22a T形部、24 I形部、26 基部、28 中央脚部、30,30a 端脚要素、32 ギャップ空間、34 端脚部、36,36a 2相昇降圧コンバータ、38 インバータ、40 蓄電部、42,44 アーム、46 上側スイッチング素子、48 下側スイッチング素子、50 正極母線、52 負極母線、54 コア、56 リアクトル、58,60 E形部、62 昇降圧コンバータ、64 走行用モータ、66 充電回生装置、68 プラグ、70,72 追加コイル、74 フィルタ、76 AC/AC変換回路、78 外部回路、80,82 E形部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、コアに巻装され、互いに磁気結合された複数相のコンバータコイルとを含む複数相コンバータ用リアクトルであって、
コアは、複数のコア材料を組み合わせることにより構成され、
複数のコア材料は、コアにおいて、コンバータコイルが巻装された部分の少なくとも一部を構成するコイル内部コア材料と、コアにおいて、コンバータコイルが巻装されていない部分を構成するコイル外部コア材料とを含み、
コイル内部コア材料は、コイル外部コア材料に比べて、磁束密度上昇に対するコア損失の上昇度が低い、低損失コア材であることを特徴とする複数相コンバータ用リアクトル。
【請求項2】
請求項1に記載の複数相コンバータ用リアクトルにおいて、
コンバータコイルは、昇降圧用コイルであり、
さらに、コアに巻装され、昇降圧用コイルと磁気結合する追加コイルを備え、追加コイルは、別の回路に接続可能としていることを特徴とする複数相コンバータ用リアクトル。
【請求項3】
請求項2に記載の複数相コンバータ用リアクトルにおいて、
コアは、互いにギャップ空間またはギャップ板を介して対向する2以上の脚要素を含む脚部を備え、
追加コイルは、昇降圧用コイルの内側で、ギャップ空間またはギャップ板を除く脚部の外側に設けられていることを特徴とする複数相コンバータ用リアクトル。
【請求項1】
コアと、コアに巻装され、互いに磁気結合された複数相のコンバータコイルとを含む複数相コンバータ用リアクトルであって、
コアは、複数のコア材料を組み合わせることにより構成され、
複数のコア材料は、コアにおいて、コンバータコイルが巻装された部分の少なくとも一部を構成するコイル内部コア材料と、コアにおいて、コンバータコイルが巻装されていない部分を構成するコイル外部コア材料とを含み、
コイル内部コア材料は、コイル外部コア材料に比べて、磁束密度上昇に対するコア損失の上昇度が低い、低損失コア材であることを特徴とする複数相コンバータ用リアクトル。
【請求項2】
請求項1に記載の複数相コンバータ用リアクトルにおいて、
コンバータコイルは、昇降圧用コイルであり、
さらに、コアに巻装され、昇降圧用コイルと磁気結合する追加コイルを備え、追加コイルは、別の回路に接続可能としていることを特徴とする複数相コンバータ用リアクトル。
【請求項3】
請求項2に記載の複数相コンバータ用リアクトルにおいて、
コアは、互いにギャップ空間またはギャップ板を介して対向する2以上の脚要素を含む脚部を備え、
追加コイルは、昇降圧用コイルの内側で、ギャップ空間またはギャップ板を除く脚部の外側に設けられていることを特徴とする複数相コンバータ用リアクトル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−65453(P2012−65453A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207626(P2010−207626)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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