説明

複数連式スクリュープレスの流量一定制御方法並びに流量一定制御装置

【課題】 変動する供給汚泥を、一定の供給圧と均等流量に制御する複数連式スクリュープレスの流量一定制御方法並びに流量一定制御装置を提供する。
【解決手段】 複数連式スクリュープレスにおいて、汚泥の性状変化に応じて変動するスラリー供給管(32)の供給圧(PS)を検知して、予め設定してある基準圧(PO)となるように複数列の外筒スクリーン(2a、2b・・・)の回転数(Ma、Mb)を同一の回転数で制御すると共に、スクリュープレス(1a、1b)の目詰まり状況に応じて変動するそれぞれの分岐供給管(33a、33b・・・)の凝集スラリーの流量(Q1、Q2)を検知して、均等流量になるように複数列のスクリュー軸(4a、4b)の回転数(Na、Nb)を個別の回転数で制御するもので、供給圧(PS)と凝集スラリーの流量(Q1、Q2)が安定し、脱水ケーキの含水率を均一な最適値に維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、下水混合生汚泥、下水消化汚泥、活性余剰汚泥等に凝集剤を添加して、外筒スクリーンとスクリュー軸を差速回転させながら凝集スラリーの固液分離を行なうスクリュープレスに関し、特に複数列のスクリュープレスを同時に制御する複数連式スクリュープレスの流量一定制御方法並びに流量一定制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、難ろ過性の有機物を含有する汚泥は、凝集剤を添加して懸濁物質のフロックを形成させて固液分離を行ない、脱水ケーキの含水率の低減を図っている。この難ろ過性の汚泥を濃縮・脱水させる装置としては、外筒スクリーンに内設したスクリュー軸を回転させ、目詰まりしやすいろ過面を再生しながら、濃縮・脱水するスクリュープレスは良く知られている。そして、回転可能に配設した外筒スクリーンの駆動機に負荷検知装置を設け、負荷検知により外筒を減速させて、過負荷を防止するスクリュープレスも、特許文献1に記載してあるように公知である。また、ろ過体の内部に回転可能にスクリューを設けたろ過装置に、供給圧力の検知手段と、スクリューのトルク検出手段と、スクリューの回転数の制御手段を設け、供給圧力とトルクの検出結果によりスクリューの回転数を制御して、処理物の含水率を一定とする制御装置も、特許文献2に記載してあるように公知である。
【特許文献1】特許第2500403号公報(段落番号0007乃至段落番号0009、図1)
【特許文献2】特許第3544070号公報(請求項4,図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のスクリュープレスは、粘性の少ないろ過性の良い汚泥に対しては、スクリュー軸の回転数を制御することにより、過負荷防止と、均一な含水率のケーキが得られるものであるが、難ろ過性の汚泥に対しては、ろ過室の容積を減少させて圧搾脱水すると、早期に外筒スクリーンのろ過面が目詰まりする。あるいは、急激に圧搾すると、汚泥がろ液とともに外筒スクリーンから排出され、ろ液が懸濁する恐れがある。また、汚泥の濃度や供給量を検知して、脱水ケーキの含水率やトルクを制御する装置にあっては、常時供給汚泥量や汚泥濃度の変化があり、スクリュー軸や外筒スクリーンに掛かる回転トルクが変動し、脱水ケーキの含水率を均一化させることが困難であった。この発明は、一つの凝集混和槽から複数のスクリュープレスに供給する凝集スラリーが、性状変化に対応して変動する供給圧と供給流量を、外筒スクリーンとスクリュー軸の回転数を制御して、凝集スラリーの一定の供給圧と均等流量に制御する複数連式スクリュープレスの流量一定制御方法並びに流量一定制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明に係る複数連式スクリュープレスの流量一定制御方法は、スラリー供給管から分岐した複数の分岐供給管を複数列のスクリュープレスに接続し、外筒スクリーンとスクリュー軸を差速回転させながら、凝集スラリーの固液分離を行なう複数列のスクリュープレスにおいて、汚泥性状に応じて変動するスラリー供給管の供給圧を検知し、予め設定してある基準圧となるように複数列の外筒スクリーンの回転数を同一の回転数で制御すると共に、スクリュープレスの目詰まりにより変動するそれぞれの分岐供給管の流量を検知して、均等流量になるように複数列のスクリュー軸の回転数を個別に制御するもので、汚泥の性状変化とスクリュープレスの目詰まり等の原液供給量のアンバランスに対応して、複数列のスクリュープレスの供給圧と供給流量が安定し、脱水ケーキの含水率のバラツキを防止して、含水率を均一な最適値に維持することができる。
【0005】
複数連式スクリュープレスの他の発明の流量一定制御方法は、汚泥性状に応じて変動するスラリー供給管の供給圧を検知して、予め設定してある基準圧となるように複数列のスクリュー軸の回転数を同一の回転数で制御すると共に、スクリュープレスの目詰まりにより変動するそれぞれの分岐供給管の流量を検知して、均等流量になるように複数列の外筒スクリーンの回転数を個別に制御してもよいもので、スクリュープレスの供給圧と供給流量を均等に制御して、脱水ケーキの含水率を均一に維持することができる。
【0006】
この発明に係る流量一定制御方法を実施するための複数連式スクリュープレスの流量一定制御装置は、外筒スクリーンとスクリュー羽根を巻き掛けたスクリュー軸でろ過室を形成し、外筒スクリーンに外筒駆動機とスクリュー軸にスクリュー駆動機を配設して、外筒スクリーンとスクリュー軸を差速回転させながら、凝集スラリーの固液分離を行なうスクリュープレスにおいて、スラリー供給管から分岐した複数の分岐供給管を複数列のスクリュープレスに接続し、スラリー供給管に設けた圧力計を、圧力制御器を介して外筒駆動機に接続し、凝集スラリーの供給圧が一定となるように外筒スクリーンの回転数を同一の回転数で制御すると共に、それぞれの分岐供給管に設けたスラリー流量計を、流量制御器を介してスクリュー駆動機に接続し、スクリュープレスに供給する凝集スラリーの流量が均等流量になるようにスクリュー軸の回転数を個別に制御するもので、汚泥の性状変化とスクリュープレスの目詰まり状況に応じて、凝集スラリーの供給圧と供給流量を均等にできるので、脱水ケーキの含水率を均一にして、含水率を最適値に維持することができる。そして、脱水汚泥がろ液とともに外筒スクリーンから排出される恐れもない。
【0007】
複数連式スクリュープレスの他の発明の流量一定制御装置は、スラリー供給管に設けた圧力計を、圧力制御器を介してスクリュー駆動機に接続し、汚泥の性状変化に応じて凝集スラリーの供給圧が一定となるように、スクリュー軸の回転数を同一の回転数で制御すると共に、それぞれの分岐供給管に設けたスラリー流量計を、流量制御器を介して外筒駆動機に接続し、スクリュープレスの目詰まり状況に応じて凝集スラリーの流量が均等流量になるように、外筒スクリーンの回転数を個別に制御してもよいもので、脱水ケーキの含水率を均一にして、最適値に維持できる。
【0008】
スクリュープレスの前段に設置する凝集混和槽に、定流量の原液供給ポンプと濃度計及び原液流量計を設けた原液供給管を連結すると共に、高分子供給ポンプ及び薬液流量計を設けた薬液供給管を原液供給管に接続し、原液供給管の汚泥の固形物量に応じて高分子供給ポンプの回転数を制御する固形物比例注入制御器を配設したもので、予め設定した薬注率の凝集剤を添加して汚泥を凝集混和槽に圧入するので、凝集剤を調節して薬品使用量を低減することができる。
【発明の効果】
【0009】
本願発明に係わる複数連式スクリュープレスの流量一定制御方法並びに流量一定制御装置は上記のように構成してあり、汚泥の性状変化による凝集スラリーの供給圧と供給量の変動に対応して、薬注率、外筒スクリーン及びスクリュー軸の回転数の3つのパラメータを組み合わせて制御するので、複数列のスクリュープレスの脱水ケーキの含水率を均一にすることができる。そして、汚泥の性状変化による凝集スラリーの供給圧と供給量の変動に対応して、外筒スクリーン又はスクリュー軸の回転数を同時に制御して、スクリュープレスへの供給圧力を一定に維持し、スクリュープレスの目詰まり状況に応じて、スクリュー軸又は外筒スクリーンの回転数を個別に制御して原液供給量を均等流量に維持するので、脱水ケーキの含水率を均一な最適値に維持することができ、薬品使用量も削減できる。脱水ケーキが安定するので、脱水後の処理工程の管理が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明に係る複数連式スクリュープレスの流量一定制御方法と流量一定制御装置を図面に基づき詳述すると、先ず、図1は流量一定制御装置に使用するスクリュープレスの一部縦断側面図であって、スクリュープレス1は、周部にろ過面を有する外筒スクリーン2にスクリュー羽根3を巻き掛けたスクリュー軸4が内設してある。スクリュー軸4は汚泥の供給側からケーキの排出側に向って拡大させてあり、外筒スクリーン2とスクリュー軸4との間のろ過室5を供給側から排出側に向って縮小させてある。図2はスクリュープレスの供給側の拡大図であって、外筒スクリーン2の供給側に嵌着した入口フランジ6にスプロケット7を外嵌し、フレーム8に載置した正逆転可能な外筒駆動機9に連動連結してある。スクリュー軸4に凝集スラリーの供給路11が設けてあり、ろ過室5の始端部に供給孔11aを開口して、スクリュー軸4に供給管10が連結してある。図3はスクリュープレスの排出側の拡大図であって、外筒スクリーン2の排出側に連結した回転板12をフレーム13に支架してあり、外筒スクリーン2に内設したスクリュー軸4にスクリュー駆動軸14が連結してある。ろ過室5の排出口5aに対設した背圧調整用のプレッサー15がフレーム13に配設した移動軸16に摺動自在に支架してある。図1に示すように、スクリュー軸4に連結したスクリュー駆動軸14はフレーム13の架台18に設けた軸受19に軸支してある。このスクリュー駆動軸14にスプロケット20が嵌着してあり、フレーム13に載置したスクリュー駆動機21に連動連結してある。
【0011】
図1に示すように、個別に配設した外筒スクリーン2の外筒駆動機9とスクリュー軸4のスクリュー駆動機21を作動させ、外筒スクリーン2とスクリュー軸4を逆方向に差速回転させながら、スクリュー軸4の供給路11からろ過室5に凝集スラリーを供給し、凝集スラリーをスクリュー羽根3で移送しながら外筒スクリーン2からろ液を分離する。プレッサー15でろ過室5の排出口5aの開口量を調節し、ろ過室5に背圧を加えながら固液分離を促進させて脱水ケーキを排出する。外筒スクリーン2とスクリュー軸4を逆方向に差速回転させることにより、相対的にスクリュー羽根3の回転数を高め、外筒スクリーン2のろ過面の摺接回数を増加させる。なお、外筒スクリーン2に沿って洗浄管22が配設してあり、外筒スクリーン2の下方にろ液トラフ23が配設してある。符号24は、スクリュープレス1の終端部に配設した脱水ケーキのケーキ受槽である。
【0012】
図4は複数連式スクリュープレスの流量一定制御装置の概略構成図であって、汚泥貯留槽25の汚泥を抜出す原液供給管26に定流量の原液供給ポンプSPと濃度計D及び原液流量計Fが配設してあり、汚泥の濃度と原汚泥流量Qsを測定するようにしてある。汚泥貯留槽25に併設した高分子溶解槽27に薬液供給管28が連結してあり、薬液供給管28に汚泥に凝集剤を供給する流量調整可能な高分子供給ポンプPPと凝集剤の添加量を測定する薬液流量計Fpを配設してある。薬液供給管28は原液流量計Fを配設した原液供給管26の後方に接続してある。原液供給管26に配設した濃度計D及び原液流量計Fと、薬液供給管28に配設した薬液流量計Fpが固形物比例注入制御器29に接続してあり、検出した汚泥の原液濃度と原汚泥流量Qsの検知信号を固形物比例注入制御器29に送信して、汚泥貯留槽25から定流量で抜出す原汚泥流量Qsの固形物量を算出し、高分子凝集剤の添加量の検知信号を固形物比例注入制御器29に送信して、予め設定してある汚泥の固形物量に応じて添加する高分子凝集剤の供給量と比較演算し、所定の凝集剤の添加率になるように高分子供給ポンプPPの回転数PPQを制御して、原液供給管26の原汚泥流量Qsに適切な添加率の高分子流量Qpを供給する
【0013】
図4に示すように、原液供給管26の後端が密閉状の凝集混和槽30の槽底に連結して
あり、高分子凝集剤を添加した汚泥を凝集混和槽30に底部から圧入し、撹拌機31で撹拌混合して凝集スラリーを生成させる。凝集混和槽30にタンク圧で凝集スラリーを抜出すスラリー供給管32が連結してあり、スラリー供給管32から分岐した複数の分岐供給管33a、33bを、それぞれスクリュープレス1a、1bに接続してあり、図2に示すスクリュープレス1の供給管10に凝集スラリーを供給する。なお、この発明の実施例では、スクリュープレス1a、1bを二台設置してあるが、必要に応じて複数列に増設できる。
【0014】
図4に示すように、凝集混和槽30から凝集スラリーを抜出すスラリー供給管32に圧力計PSoが配設してあり、供給圧力の検知信号を送信する圧力制御器35が圧力計PSoに接続してある。圧力制御器35で受信した凝集スラリーの供給圧PSと予め設定してある基準圧POと比較演算して、修正する回転数の指令信号を外筒駆動機9a、9bに伝達し、汚泥の性状変化に対応して変動する供給圧PSが基準圧POとなるように複数の外筒スクリーン2a、2bの回転数Ma、Mbを同時に同一の回転数で制御する。スラリー供給管32から分岐した分岐供給管33a、33bにスラリー流量計F1、F2が配設してあり、凝集スラリーの流量Q1、Q2の検知信号を送信する流量制御器36a、36bが、それぞれのスラリー流量計F1、F2に個別に接続してある。流量制御器36a、36bで受信した凝集スラリーの流量Q1、Q2と、予め設定してある凝集スラリーの均等供給流量{(Qs+Qp)/分岐供給管数}と比較演算し、修正する回転数の指令信号を個別にスクリュー駆動機21a、21bに送信し、スクリュープレス1a、1bの目詰まり状況に応じてスクリュー軸4a、4bの回転数Na、Nbを個別に制御して分岐供給管33a、33bの凝集スラリーの供給量を均等流量(Q1≒Q2)に調整する。脱水ケーキの含水率を一定に保つことができ、汚泥性状の変動に対応して、薬品使用量も削減できる。脱水ケーキが安定するので、脱水後の処理工程の管理も容易となる。
【0015】
図5は複数連式スクリュープレスの流量一定制御方法のフローチャートであって、先ず、
1:スクリュープレス1a、1bの運転を開始して、外筒スクリーン2a、2bとスクリュー軸4a、4bの差速回転を行う。
2:定量の原汚泥流量Qsに、所定の高分子流量Qpを添加して(Q=Qs+Qp)、凝集混和槽30で撹拌混合し、凝集スラリーをスクリュープレス1a、1bに供給する。
3:スクリュープレス1a、1bは、スクリュー駆動機21a、21bを初期設定の回転数Na、Nbで稼動する。
4:設定時間ごとに、圧力計PSoでスラリー供給管32の凝集スラリーの供給圧PSを計測し、その検知信号を圧力制御器35に送信する。
5:圧力制御器35で凝集スラリーの供給圧PSと予め設定してある基準圧POと比較演算する。
6:凝集スラリーの供給圧PSが基準圧POより大きい(PS>PO)時は、修正の指令信号を外筒駆動機9a、9bに伝達し、外筒駆動機9a、9bの回転数Ma、Mbを同時に同一の回転数に増加させて、基準圧(PS=PO)を維持させる。
7:凝集スラリーの供給圧PSが基準圧POより小さい(PS<PO)時は、外筒駆動機9a、9bの回転数Ma、Mbを減少させる。
汚泥の性状変化に対応して変動する供給圧PSが基準圧POとなるように外筒スクリーン2a、2bを同一の回転数で制御する。
8:次に、それぞれの分岐供給管33a、33bの凝集スラリーの流量Q1、Q2を計測し、その検知信号を個別の流量制御器36a、36bに送信する。
9:それぞれの分岐供給管33a、33bの凝集スラリーの流量Q1、Q2と、予め設定してある流量の設定値δと比較演算する。
10:凝集スラリーの流量Q1、Q2が設定値δより小さくなった{(Q1−Q/2)≦−δ、又は、(Q2−Q/2)≦−δ}時は、スクリュー軸4a、4bの回転数Na、Nbを個別に増加させる指令信号をスクリュー駆動機21a、21bに送信する。
11:凝集スラリーの流量Q1、Q2が設定値より大きくなった{(Q1−Q/2)>δ、又は、(Q2−Q/2)>δ}時は、スクリュー駆動軸21a、21bの回転数Na、Nbを個別に減少させる。
凝集スラリーの流量Q1、Q2が、常時設定値の許容範囲内{−δ≦(Q1−Q/2)≦δ、又は、−δ≦(Q2−Q/2)≦δ}になるように、スクリュープレス1a、1bの目詰まり状況に応じてスクリュー軸4a、4bの回転数Na、Nbを制御する。
【0016】
図6は複数連式スクリュープレスの流量一定制御装置の他の実施例の概略構成図であって、スラリー供給管32に配設した圧力計PSoが圧力制御器38を介してスクリュー駆動機21cに接続してある。凝集スラリーの供給圧を圧力制御器38で受信し、予め設定してある基準圧と比較演算して、修正する回転数の指令信号をスクリュー駆動機21cに伝達する。一台のスクリュー駆動機21cは、二連のスクリュー軸4a、4bに連動連結してあり、汚泥の性状変化に対応して変動する供給圧が基準圧となるように複数のスクリュー軸4a、4bを同時に同一の回転数で制御する。凝集スラリーの分岐供給管33a、33bに配設したスラリー流量計F1、F2が流量制御器39a、39bを介して外筒駆動機9a、9bに接続してある。凝集スラリーの流量Q1、Q2の検知信号を受信した流量制御器39a、39bが、予め設定してある凝集スラリーの均等供給流量{(Qs+Qp)/分岐供給管数}と比較演算し、修正する回転数の指令信号を個別に外筒駆動機9a、9bに送信し、スクリュープレス1a、1bの目詰まり状況に応じて外筒スクリーン2a、2bの回転数を制御して原液供給量を均等流量(Q1≒Q2)に調整する。この発明の複数連式スクリュープレスの流量一定制御装置でも、脱水ケーキの含水率を一定に保つことができ、汚泥性状の変動に対応して、薬品使用量も減らすことができる。そして、脱水ケーキが安定するので、脱水後の処理工程の管理も容易となる。
【0017】
図7は複数連式スクリュープレスの流量一定制御方法の他の実施例のフローチャートであって、先ず、
1:スクリュープレス1a、1bの運転を開始し、
2:定量の原汚泥流量Qsに、所定の高分子流量Qpを添加した凝集スラリーをスクリュープレス1a、1bに供給する。
3:スクリュープレス1a、1bは、スクリュー駆動機21cを初期設定の回転数Ncで稼動し、スクリュー軸4a、4bを同一の回転数で駆動する。
4:設定時間ごとに、スラリー供給管32の凝集スラリーの供給圧PSを計測して、その検知信号を圧力制御器38に送信する。
5:圧力制御器38で凝集スラリーの供給圧PSと、予め設定してある基準圧POと比較演算する。
6:凝集スラリーの供給圧PSが基準圧POより大きい(PS>PO)時は、修正の指令信号をスクリュー駆動機21cに伝達し、スクリュー軸4a、4bを同時に同一の回転数に増加させて、基準圧(PS=PO)に調整する。
7:凝集スラリーの供給圧PSが基準圧POより小さい(PS<PO)時は、スクリュー駆動機21cの回転数Ncを減少させる。
汚泥の性状変化に対応して変動する供給圧PSが基準圧POとなるようにスクリュー軸4a、4bを同一の回転数で制御する。
8:次に、それぞれの分岐供給管33a、33bの凝集スラリーの流量Q1、Q2を計測し、その検知信号を個別の流量制御器39a、39bに送信する。
9:それぞれの分岐供給管33a、33bの凝集スラリーの流量Q1、Q2と、予め設定してある流量の設定値δと比較演算する。
10:凝集スラリーの流量Q1、Q2が設定値δより小さくなった{(Q1−Q/2)≦−δ、又は、(Q2−Q)/2≦−δ)時は、外筒スクリーン2a、2bの回転数Ma、Mbを増加させる指令信号をそれぞれの外筒駆動機9a、9bに個別に送信する。
11:凝集スラリーの流量Q1、Q2が設定値より大きくなった{(Q1−Q/2)>δ、又は、(Q2−Q/2)>δ}時は、外筒スクリーン2a、2bの回転数Ma、Mbを個別に減少させる
凝集スラリーの流量Q1、Q2が、常時設定値の許容範囲内{−δ≦(Q1−Q/2)≦δ、又は、−δ≦(Q2−Q/2)≦δ}になるように、スクリュープレス1a、1bの目詰まり状況に応じて外筒スクリーン2a、2bの回転数Ma、Mbを個別に制御する。
【産業上の利用可能性】
【0018】
この発明に係わる複数連式スクリュープレスの流量一定制御方法と流量一定制御装置は、凝集スラリーの供給圧と供給量の変動に対応して、薬注率、外筒スクリーン及びスクリュー軸の回転数の3つのパラメータを組み合わせて制御するので、複数列のスクリュープレスの脱水ケーキの含水率を均一にすることができる。即ち、汚泥の性状変化に対応してスクリュープレスへの供給圧力が一定になるように外筒スクリーン又はスクリュー軸の回転数を同時に制御すると共に、スクリュープレスの目詰まりにより、脱水ケーキの含水率に差異が生じることを防止するため、スクリュー軸又は外筒スクリーンの回転数を個別に制御して汚泥の供給圧と供給量を均等にすることができる。そして、汚泥性状の変動に対応して、脱水ケーキの含水率を一定に保つことができ、薬品使用量も減らすことができる。脱水ケーキが安定するので、脱水後の処理工程の管理が容易となる。従って、複数列のスクリュープレスを同時に制御できるので、下水混合生汚泥、下水消化汚泥、活性余剰汚泥等の大容量の処理を必要とする処理場に好適なスクリュープレスとなるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明に係る複数連式の流量一定制御装置に使用するスクリュープレスの一部縦断側面図である。
【図2】同じく、スクリュープレスの供給側の拡大図である。
【図3】同じく、スクリュープレスの排出側の拡大図である。
【図4】複数連式スクリュープレスの流量一定制御装置の概略構成図である。
【図5】同じく、流量一定制御方法のフローチャートである。
【図6】同じく、流量一定制御装置の他の実施例の概略構成図である。
【図7】同じく、流量一定制御方法の他の実施例のフローチャートである。
【符号の説明】
【0020】
1、1a、1b スクリュープレス
2、2a、2b 外筒スクリーン
3 スクリュー羽根
4a、4b スクリュー軸
5 ろ過室
9、9a、9b 外筒駆動機
21 スクリュー駆動機
26 原液供給管
SP 原液供給ポンプ
D 濃度計
F 原液流量計
31 薬液供給管
PP 高分子供給ポンプ
FP 薬液流量計
29 固形物比例注入制御器
30 凝集混和槽
32 スラリー供給管
33a、33b 分岐供給管
PSo 圧力計
35、38 圧力制御器
F1、F2 スラリー流量計
36a、36b、39a、39b 流量制御器
Na、Nb、Nc スクリュー軸の回転数
Ma、Mb 外筒スクリーンの回転数
Q1、Q2 流量
PO 基準圧
PPQ 高分子供給ポンプの回転数
PS 供給圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝集スラリーのスラリー供給管(32)から分岐した複数の分岐供給管(33a、33b・・・)に複数列のスクリュープレス(1・・・)を接続し、外筒スクリーン(2・・・)とスクリュー軸(4・・・)を差速回転させながら、固液分離を行なう複数列のスクリュープレスにおいて、汚泥性状に応じて変動するスラリー供給管(32)の供給圧(PS)を検知し、予め設定してある基準圧(PO)となるように複数列の外筒スクリーン(2a、2b・・・)の回転数(Ma、Mb・・・)を同一の回転数で制御すると共に、スクリュープレス(1a、1b・・・)の目詰まりにより変動するそれぞれの分岐供給管(33a、33b・・・)の流量(Q1、Q2・・・)を検知して、均等流量(Q1≒Q2≒・・・)になるように複数列のスクリュー軸(4a、4b・・・)の回転数(Na、Nb・・・)を個別に制御し、脱水ケーキの含水率を均一にさせることを特徴とする複数連式スクリュープレスの流量一定制御方法。
【請求項2】
上記汚泥性状に応じて変動するスラリー供給管(32)の供給圧(PS)を検知して、予め設定してある基準圧(PO)となるように複数列のスクリュー軸(4a、4b・・・)の回転数(Nc・・・)を同一の回転数で制御すると共に、スクリュープレス(1a、1b・・・)の目詰まりにより変動するそれぞれの分岐供給管(33a、33b・・・)の流量(Q1、Q2・・・)を検知して、均等流量になるように複数列の外筒スクリーン(2a、2b・・・)の回転数(Ma、Mb・・・)を個別に制御し、脱水ケーキの含水率を均一にさせることを特徴とする請求項1に記載の複数連式スクリュープレスの流量一定制御方法。
【請求項3】
外筒スクリーン(2)とスクリュー羽根(3)を巻き掛けたスクリュー軸(4)でろ過室(5)を形成し、外筒スクリーン(2)に外筒駆動機(9)とスクリュー軸(4)にスクリュー駆動機(21)を配設して、外筒スクリーン(2)とスクリュー軸(4)を差速回転させながら、凝集スラリーの固液分離を行なうスクリュープレスにおいて、スラリー供給管(32)から分岐した複数の分岐供給管(33a、33b・・・)を複数列のスクリュープレス(1a、1b・・・)に接続し、スラリー供給管(32)に設けた圧力計(PSo)を、圧力制御器(35)を介して外筒駆動機(9a、9b・・・)に接続し、汚泥の性状変化に応じて凝集スラリーの供給圧(PS)が一定となるように外筒スクリーン(2a、2b・・・)の回転数(Ma、Mb・・・)を同一の回転数で制御すると共に、それぞれの分岐供給管(33a、33b・・・)に設けたスラリー流量計(F1、F2・・・)を、流量制御器(36a、36b・・・)を介してスクリュー駆動機(21a、21b・・・)に接続し、スクリュープレス(1a、1b・・・)の目詰まり状況に応じて凝集スラリーの流量(Q1、Q2・・・)が均等流量になるようにスクリュー軸(4a、4b・・・)の回転数(Na、Nb・・・)を個別に制御して、脱水ケーキの含水率を均一にさせることを特徴とする複数連式スクリュープレスの流量一定制御装置。
【請求項4】
上記スラリー供給管(32)に設けた圧力計(PSo)を、圧力制御器(38)を介してスクリュー駆動機(21c)に接続し、汚泥の性状変化に応じて凝集スラリーの供給圧(PS)が一定となるように、スクリュー軸(4a、4b・・・)の回転数(Nc・・・)を同一の回転数で制御すると共に、それぞれの分岐供給管(33a、33b・・・)に設けたスラリー流量計(F1、F2・・・)を、流量制御器(39a、39b・・・)を介して外筒駆動機(9a、9b)に接続し、スクリュープレス(1a、1b・・・)の目詰まり状況に応じて凝集スラリーの流量(Q1、Q2・・・)が均等流量になるように、外筒スクリーン(2a、2b・・・)の回転数(Ma、Mb・・・)を個別に制御して、脱水ケーキの含水率を均一にさせることを特徴とする請求項3に記載の複数連式スクリュープレスの流量一定制御装置。
【請求項5】
上記スクリュープレス(1)の前段に設置する凝集混和槽(30)に、定流量の原液供給ポンプ(SP)と濃度計(D)及び原液流量計(F)を設けた原液供給管(26)を連結すると共に、高分子供給ポンプ(PP)及び薬液流量計(Fp)を設けた薬液供給管(28)を原液供給管(26)に接続し、原液供給管(26)の汚泥の固形物量に応じて高分子供給ポンプ(PP)の回転数(PPQ)を制御する固形物比例注入制御器(29)を配設したことを特徴とする請求項3乃至4の何れか1項に記載の複数連式スクリュープレスの流量一定制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−188601(P2008−188601A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−22768(P2007−22768)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(000197746)株式会社石垣 (116)
【Fターム(参考)】