説明

複数開口の超音波アレイ位置合せ装置

画像をレンダリングするために、複数の探触子ヘッドを含み、探触子のすべての素子を使用することにより、超音波撮像探触子の有効開口を増加させることは、生成された画像の横方向解像度を大幅に改善することができる。画像をレンダリングするためには、素子のすべての相対的な位置を正確に知る必要がある。較正すべき探触子組立体が試験ブロックの上に配置され、且つ試験ブロックを介して超音波センサへと超音波パルスを送信する較正装置が述べられる。試験すべき探触子中の素子のいくつか又はすべてにより超音波パルスが送信されると、波形の到達した差分移動時間が正確に測定される。これらの測定から、探触子素子の相対的な位置が計算され、また探触子を位置合せすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、「ALIGNMENT AND FIXTURING OF A UNIVERSAL MULTIPLE APERTURE MEDICAL ULTRASOUND TRASDUCER(ユニバーサルな複数開口の医療用超音波振動子の位置合せ及び固定)」と題する2009年4月14日に出願された米国特許仮出願第61/169,200号の利益を主張し、それを参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本出願は、2006年2月6日出願の米国特許仮出願第60/765,887号に対する優先権を主張する2007年10月11日出願の米国特許出願第11/532,013号と、2006年10月25日出願の米国特許仮出願第60/862,951号に対する優先権を主張する2008年5月1日出願の米国特許出願第11/865,501号と、2007年5月25日出願の米国特許仮出願第60/940,261号と、2009年4月14日出願の第61/169,251号と、2009年4月14日出願の第61/169,221号とに関連し、そのすべてを参照により本明細書に組み込む。
【0003】
(引用による組込み)
本明細書で述べる出版物及び特許出願はすべて、その個々の出版物又は特許出願を具体的に且つ個々に引用により組み込まれることを指示した場合と同様に、引用により本明細書に組み込まれる。
【0004】
(発明の分野)
本発明は、一般に、医療で使用される撮像技法に関し、より詳細には、医療用超音波に関し、さらに詳細には、複数開口を使用して超音波画像を生成するための装置に関する。
【背景技術】
【0005】
(発明の背景)
超音波を体組織に照射するために、フェーズドアレイ又は成形された振動子により形成されたビームを検査すべき組織上で走査する。従来は、戻ってくるエコーを検出するために、同じ振動子又はアレイが使用される。この設計構成は、医療用に超音波撮像を使用する場合の最も顕著な限界の1つの中心となっている;すなわち、横方向解像度が劣ることである。理論的に、横方向解像度は、超音波探触子の開口を増すことにより改善され得るが、開口寸法を増加させることに含まれる実務的な問題により、開口は小さいままであり、横方向解像度も劣ったままであった。このような限界があるとしても、超音波撮像が非常に有用であることは疑問の余地がないが、さらに良好な解像度が得られればより一層有効なものになり得る。
【0006】
例えば、心臓病学における実務では、単一の開口寸法における限界は、肋骨間の空間(肋間隙)により決定される。腹部及び他で使用することが意図されたスキャナに関しては、開口寸法における限界はそれほど明確ではないが、それにもかかわらず、それは重大な限界となるものである。問題は、患者上で複数の別個の物理的な接触点(「占有域(footprints)」)で大規模な装置の素子の正確な位置を知ることが困難なことである。最適な性能のためには、分離されている送信及び受信素子のすべてが、同一の走査面内にあるべきである。さらに、各素子位置は、1/10波長(例えば、3MHzで0.03mm)以内で知られている必要がある。従来の超音波探触子を用いると、アレイの垂直方向の変位又は統合化(例えば、1.5D又は2D)にかかわらず、複数のアレイ間、又は複数の個々の素子間の位置合せ及び位置問題を解決する必要はなかった。本明細書に含まれる方法及び装置は、ユニバーサルな複数開口の超音波探触子に対するこれらの問題をどのように解決するかを教示する。
【0007】
2つ以上の個々のアレイの組合せを用いてユニバーサルな複数開口の探触子を構成し、且つ維持することにおいて、中心アレイのZ軸に対する各アレイの超音波ビームの変位に対して注意を払う必要がある。参照される変位軸又は回転軸は、X、Y、及びZである。Xは、長手方向アレイ軸に関して変化し、Yは、中心アレイ軸に関して変化するが、ねじりともよばれ、またZは、横断方向又は横方向アレイ軸に関して変化する。各アレイの変化を測定するための装置及び方法が開発され、実施されている。
【0008】
素子位置は、中心アレイZ軸からの変位と同様に重要である。あらゆる他の素子に対する各アレイ素子の位置的関係は、個々のアレイ内で、又はアレイ間で確立される必要がある。
【0009】
各アレイで使用される結晶タイプは無関係である。すなわち、任意の1次元、1.5次元、又は2次元結晶アレイ(1D、1.5D、2Dの圧電アレイなど)、及びCMUT(Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducers:静電容量型微細加工超音波振動子)のすべてのタイプが、マルチ開口構成で使用され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、マルチ開口の超音波探触子における振動子素子の位置を測定し、位置合せするためのシステムであって、複数の振動子素子を保持するように構成された位置合せ組立体と、試験ブロックと、複数の振動子素子の少なくとも1つから、試験ブロックを介して超音波パルスを受信するように構成された超音波センサと、超音波センサからのデータを評価し、振動子較正データを提供するように構成されたコントローラとを備えるシステムに関する。
【0011】
いくつかの実施態様では、試験ブロックは、公知の音速を有する液体で満たされたタンクを備える。他の実施態様では、試験ブロックは、公知の音速を有するゼラチン状の材料で満たされたタンクを備える。さらなる実施態様では、試験ブロックは、公知の音速を有する固体のブロックを備える。
【0012】
システムは、複数の振動子素子の少なくとも1つを励起して、超音波パルスを送信するように構成された信号発生器をさらに備えることができる。いくつかの実施態様では、信号発生器は、短い(広帯域の)パルスで複数の振動子素子を励起するように構成される。他の実施態様では、信号発生器は、スペクトラム拡散波形で複数の振動子素子を励起するように構成される。さらなる実施態様では、信号発生器は、チャープ波形で複数の振動子素子の少なくとも1つを励起するように構成される。
【0013】
一実施態様では、位置合せ組立体は、コントローラからの振動子較正データに基づいて、複数の振動子素子を自動的に位置合せするように構成された、自動化された位置合せ組立体を含む。位置合せ組立体は、例えば、少なくとも1つのステップモータ、及びステップモータコントローラを備えることができる。いくつかの実施態様では、ステップモータコントローラは、振動子素子を位置合せするために少なくとも1つのステップモータを駆動する。
【0014】
他の実施態様では、位置合せ組立体は、手動の位置合せ組立体を含む。手動の位置合せ組立体は、x、y、及びz軸における複数の振動子素子を操作するように構成された手動の制御機構を含むことができる。
【0015】
いくつかの実施態様では、コントローラは、超音波センサ上に配置された複数の受信振動子素子に対する相対的な経過時間を検出するように構成されたアルゴリズムを動作させる。他の実施態様では、コントローラは、複数の振動子素子の少なくとも1つから、超音波センサ上に配置された複数の受信振動子素子への完全な移動時間を計算するように構成されたアルゴリズムを動作させる。いくつかの実施態様では、コントローラは、振動子較正データに基づいて、複数の振動子素子の相対的な位置を計算するように構成されたアルゴリズムを動作させる。
【0016】
いくつかの実施態様では、システムは、振動子較正データを表示するように構成されたグラフィカルユーザインターフェースをさらに備える。
【0017】
他の実施態様では、位置合せ組立体は、複数の振動子素子を含む探触子を保持するように構成される。
【0018】
いくつかの実施態様では、超音波センサは、複数の受信振動子素子を含む。
【0019】
さらなる実施態様では、コントローラは、受信した超音波パルスをデジタル化し、記憶するように構成される。
【0020】
マルチ開口の超音波探触子における振動子素子の位置を測定し、且つ報告するためのシステムであって、複数の振動子素子と、複数の振動子素子を保持するように構成された較正組立体と、試験ブロックと、複数の振動子素子の少なくとも1つから、試験ブロックを介して超音波パルスを受信するように構成された超音波センサと、超音波センサからのデータを評価し、振動子較正データを提供するように構成されたコントローラとを備えるシステムがさらに提供される。
【0021】
いくつかの実施態様では、試験ブロックは、公知の音速を有する液体で満たされたタンクを備える。他の実施態様では、試験ブロックは、公知の音速を有するゼラチン状の材料で満たされたタンクを備える。さらなる実施態様では、試験ブロックは、公知の音速を有する固体のブロックを備える。
【0022】
いくつかの実施態様では、較正組立体は、コントローラからの振動子較正データに基づいて、複数の振動子素子の相対的な位置を自動的に決定するように構成される。
【0023】
一実施態様では、コントローラは、超音波センサ上に配置された複数の受信振動子素子に対する相対的な経過時間を検出するように構成されたアルゴリズムを動作させる。他の実施態様では、コントローラは、相対的な経過時間から、完全な移動時間を計算するように構成されたアルゴリズムを動作させる。さらなる実施態様では、コントローラは、振動子較正データに基づいて、複数の振動子素子の相対的な位置を計算するように構成されたアルゴリズムを動作させる。
【0024】
いくつかの実施態様では、システムは、振動子較正データを表示するように構成されたグラフィカルユーザインターフェースをさらに備える。
【0025】
他の実施態様では、システムは、マルチ開口の超音波探触子中に、振動子較正データを記録するように構成されたメモリをさらに備える。
【0026】
マルチ開口の超音波探触子における振動子素子の位置を測定し、且つ位置合せするための方法であって、位置合せ組立体に複数の振動子素子を取り付けること、複数の振動子素子の少なくとも1つから、試験ブロックを介して超音波パルスを送信すること、超音波センサを用いて超音波パルスを受信すること、及びコントローラで、超音波センサから受信した超音波パルスを評価して、振動子較正データを提供することを含む方法がさらに提供される。
【0027】
いくつかの実施態様では、方法は、振動子較正データに基づいて、複数の振動子素子を位置合せすることをさらに含む。
【0028】
他の実施態様では、該方法は、振動子較正データに基づいて、複数の振動子素子を自動的に位置合せすることを含む。他の実施態様では、該方法は、振動子較正データに基づいて、複数の振動子素子を手動で位置合せすることを含む。
【0029】
いくつかの実施態様では、コントローラは、超音波センサ上に配置された複数の受信振動子素子に対する相対的な経過時間を検出するように構成されたアルゴリズムを動作させる。他の実施態様では、コントローラは、振動子素子から、超音波センサ上に配置された受信振動子素子への完全な移動時間を計算するように構成されたアルゴリズムを動作させる。さらなる実施態様では、コントローラは、振動子較正データに基づいて、複数の振動子素子の相対的な位置を計算するように構成されたアルゴリズムを動作させる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図面において:
【0031】
【図1】2開口のシステムを示す図である。
【0032】
【図2】3開口システムを示す図である。
【0033】
【図3】主探触子に対して全方向性探触子を位置決めするための可能な装置を示す概略図である。
【0034】
【図4】機器を使用しない2つの探触子に対するリンク機構を示す概略図である。
【0035】
【図5】3つのアレイの複数開口の超音波振動子、及び関連するMAUI電子装置が、ホストの超音波機械と共に使用される送受信機能のブロック図である。この実施態様では、中心の探触子は送信だけに使用され、ホストの送信探触子の通常動作に類似している。
【0036】
【図5a】2つのアレイの複数開口の超音波振動子、及び関連するMAUI電子装置が、主として心臓分野に対して、アドオン器具を用いてホスト超音波機械へのアドオンとして使用される送受信機能のブロック図である。この場合、1つの探触子が送信だけに使用され、ホストの送信探触子の通常動作に類似しているが、他の探触子は、受信装置としてのみ動作する。
【0037】
【図6】複数開口の超音波振動子が、MAUI(Multiple Aperture Ultrasonic Imaging:複数開口の超音波撮像)装置だけと共に使用される、送受信機能のブロック図である。スタンドアロンのMAUI電子装置は、すべての開口のすべての素子を制御する。任意の素子を、送信器又は全方向性受信器として使用するか、又は送受信するフル開口若しくはサブアレイへとグループ化することができる。この図では、3つの開口のうちの中心開口である開口2から照射が行われる。
【0038】
【図6a】中心開口以外の、この図では3つのうちの開口3から行われる照射を示す図である。
【0039】
【図6b】複数開口の超音波振動子が、MAUI(Multiple Aperture Ultrasonic Imaging:複数開口の超音波撮像)装置のみと共に使用される、2開口が使用される様子を示す図である。この図では、照射は、2つのうちの開口2から生じている。
【0040】
【図6c】複数開口の超音波振動子が、MAUI(Multiple Aperture Ultrasonic Imaging:複数開口の超音波撮像)装置のみと共に使用される、2開口が使用される様子を示す図である。この図では、照射は、2つのうちの開口1から生じている。
【0041】
【図7a】6個の調整ねじ及びアレイが取り付けられた精密アレイキャリアの上面図である。
【0042】
【図7b】アレイ中心化ガスケットにより支持された精密アレイキャリアにおけるアレイの長手方向軸調整を示す側面図である。
【0043】
【図7c】アレイ中心化ガスケットにより支持された精密アレイキャリアにおけるアレイの横方向軸調整を示す端面図である。
【0044】
【図8a】精密アレイキャリアの上面図である。
【0045】
【図8b】精密アレイキャリアの側面(長手方向)図である。
【0046】
【図8c】精密アレイキャリアの端面(横方向)図である。
【0047】
【図9a】中心化ガスケットを定位置に備えた精密アレイキャリアの上面図である。
【0048】
【図9b】中心化ガスケットを定位置に備えた精密アレイキャリアの側面(長手方向)図である。
【0049】
【図9c】中心化ガスケットを定位置に備えた精密アレイキャリアの端面(横方向)図である。
【0050】
【図9d】中心化ガスケットを定位置に備えた精密アレイキャリアの底面図である。
【0051】
【図10a】反時計方向の回転軸調整中の精密アレイキャリアにおけるアレイの上面図である。
【0052】
【図10b】時計方向の回転軸調整中の精密アレイキャリアにおけるアレイの上面図である。
【0053】
【図11】組織と等価なファントム2182上に取り付けられ、且つ位置合せ中に送信及び受信を行う用意がある精密アレイキャリア2150の端面図である。
【0054】
【図12】ターゲット2167の端部が視認できる状態のファントム2182の側面図である。
【0055】
【図13a】アレイが取り付けられ(精密キャリアアレイ組立体になる)、精密振動子受容器内で位置合せされ、且つ音響ダンピング材で安定化されたキャリア組立体の上面図である。
【0056】
【図13b】アレイが取り付けられ(精密キャリアアレイ組立体になる)、精密振動子受容器内で位置合せされ、且つ音響ダンピング材で安定化された精密アレイキャリアの側面図である。
【0057】
【図13c】アレイが取り付けられ(精密キャリアアレイ組立体になる)、精密振動子受容器内で位置合せされ、且つ音響ダンピング材で安定化された精密キャリアアレイの端面図である。
【0058】
【図14a】アレイが取り付けられ、精密振動子ヘッド受容器内で位置合せされ、音響ダンピング材が設定され、且つ位置合せねじが取り外された、精密キャリアアレイの上面図である。
【0059】
【図14b】アレイが取り付けられ、精密振動子ヘッド受容器内で位置合せされ、音響ダンピング材が設定され、且つ位置合せねじが取り外された、精密キャリアアレイ組立体の側面図である。
【0060】
【図14c】アレイが取り付けられ、精密振動子ヘッド受容器内で位置合せされ、音響ダンピング材が設定され、且つ位置合せねじが取り外された、精密キャリアアレイの端面図である。
【0061】
【図15】精密振動子受容器、すなわちノーズピース、及び振動子ガイドの上部に置かれた3つの精密キャリアアレイ組立体を示す図である。
【0062】
【図16】精密振動子受容器、すなわちノーズピース、及び図16のように3つの精密キャリアアレイ組立体、並びにノーズピースの各振動子ガイドに位置する超音波振動子アレイを示す図である。
【0063】
【図17】3つの独立した探触子、及びそれらに取り付けられたアレイ若しくは振動子を用いた図である。この図は、位置的な呼称と、アレイ素子の番号付け規則とを表している。
【0064】
【図18A】3つの異なる軸の動作を制御する精密ステージ組立体及びセクションを示す図である。
【0065】
【図18B】精密ステージ組立体に対する制御機構を示す図である。
【0066】
【図19a】右軸及び左軸ハイドロフォン及び横方向ハイドロフォンを含む容器を示す図である。
【0067】
【図19b】側面から2つの軸のハイドロフォンを示し、且つ横方向ハイドロフォンの角度を付けた方向を示す図である。
【0068】
【図20】液で満たされたタンクの上部にあり、ハイドロフォン組立体の十分上にある精密ステージ組立体に取り付けられた探触子を表す図である。
【0069】
【図21a】距離差の全体的な距離への変換を開始するために使用される基本的な幾何形状の図である。
【0070】
【図21b】3つのハイドロフォンを用いて、アレイ素子の正確な位置を求めることができる距離差の全体的な距離への変換を開始するために使用される詳細な幾何形状の図である。
【0071】
【図22】複数開口の振動子へと搭載された後の3つの別個のアレイを含むノーズピースを示す図である。この図は、振動子特有の較正チップ、送信同期モジュール、及び探触子位置変位センサを含む。
【0072】
【図23a】試験中の複数アレイの素子の正確な位置を求めることができるように開発されたグラフィカルユーザインターフェース、すなわちGUIを表す図である。
【0073】
【図23b】横方向ハイドロフォンの中心にある超音波ビームが、左右のハイドロフォンの間の中心にあり、その結果がグラフィカルユーザインターフェース上に表示されている、試験中の素子のアレイを示す図である。
【0074】
【図23c】ビームは中心にあるが、アレイは中心の右にある試験中のアレイを示しており、その結果がグラフィカルユーザインターフェース上で表示されている図である。
【0075】
【図23d】物理的に中心軸上にあるが、そのビームは中心の左にある試験中のアレイを示しており、その結果がグラフィカルユーザインターフェース上で表示されている図である。
【0076】
【図24】自動的な精密ステージ組立体、及びその主要な構成要素を示す図である。
【0077】
【図25】3つのアレイと3つの精密位置合せステージ組立体とを用いる、試験中のそれらの物理的な配置を示す図である。
【0078】
【図26a】MAUIスタンドアロンシステムの側部に取り付けられたオンボード較正及び品質保証装置を示す図である。この図は、評価されるMAUI放射線探触子を示している。
【0079】
【図26b】MAUI心臓探触子を評価するオンボード較正及び品質保証装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0080】
(発明の詳細な説明)
MAUI(Multiple Aperture Ultrasound Imaging:複数開口の超音波撮像)探触子又は振動子は、医療の用途により変わる可能性がある。すなわち、一般的な放射線探触子は、患者の皮膚との別個の物理的な接触点を維持して、複数の物理的開口を可能にする複数の振動子を含むことができる。心臓探触子は、わずか2つの送信器及び受信器を含むことができ、探触子は、2つ以上の肋間隙の間に同時に適合する。探触子の腔内バージョンは、ワンド(wand)の長さに沿って送信及び受信振動子を配置することになるが、静脈内バージョンでは、振動子をカテーテルの遠位の長さ上に配置し、ほんの数ミリメートルだけ離間させることができる。すべての場合において、複数開口の超音波振動子の動作は、アレイの素子が特定の走査面内に位置合せされるように構成される場合に、大幅に高めることができる。
【0081】
本発明の一態様は、互いに位置合せされていない可能性のある複数の振動子を機能的に収容する複数開口の探触子を構成する問題を解決する。本解決策は、分離された素子、又は素子のアレイを既知の走査面内に位置合せすることを含む。分離とは、物理的な分離であり得るが、アレイの素子のいくつかのものが、2つの(送信又は受信)機能に対して共有されることのできる、単なる概念的な分離とすることもできる。物理的な分離は、探触子の容器の構成中に組み込まれているか、それとも分節されたリンク機構により適合されているかにかかわらず、体の湾曲に適合するために、又は非エコー源性組織若しくは構造(骨など)を回避するために、広い開口の場合にはやはり重要である。
【0082】
どの単一の全方向性受信素子(単一の結晶ペンシルアレイ(crystal pencil array)など)も、体の2次元セクションを再生するのに必要な情報を収集することができる。いくつかの実施態様では、超音波エネルギーのパルスは、特定の経路に沿って送信される;全方向性探触子により受信された信号は、メモリの1ラインに記録され得る。記録のためのプロセスが、セクタ走査におけるラインのすべてに対して完了したとき、画像を再構成するためにメモリを使用することができる。
【0083】
他の実施態様では、音響エネルギーが、可能な限り広い2次元スライスへと意図的に送信される。したがって、ビーム形成のすべては、受信アレイと関連付けられたソフトウェア又はファームウェアにより達成される必要がある。これを行うことはいくつかの利点がある:すなわち、1)送信パルスは、特定の深さに焦点を合わせる必要があり、他の深さではすべて幾分焦点がずれることになるので、送信時に厳密に焦点を合わせることは不可能であること、及び2)2次元スライスの全体を単一の送信パルスで照射できることである。
【0084】
全方向性の探触子は、体の表面、又は体中のほとんどどこにでも配置することができる:すなわち、複数の若しくは肋間の隙間、肋骨上切痕、胸骨下の窓部、腹部及び体の他の部分に沿った複数の開口部中で、腔内探触子上に、又はカテーテルの端部上に配置することができる。
【0085】
装置で使用される個々の振動子素子の構成は、複数開口システムにおける使用に限定されない。任意の1次元、1.5次元、又は2次元の結晶アレイ(1D、1.5D、2Dの圧電アレイなど)及びCMUT(静電容量型マイクロマシン化された超音波振動子)のすべてのタイプは、全体の解像度及び視野を改善するために、複数開口構成を使用することができる。
【0086】
振動子は、画像面上に、画像面から離れて、又は任意の組合せで配置することができる。画像面から離れて配置された場合、全方向性探触子の情報は、走査されるセクタの厚さを狭くするために使用することができる。2次元の走査データは、同じ走査面内から収集された場合、画像解像度及びスペックルノイズ低減を最もよく改善することができる。
【0087】
超音波撮像で横方向解像度を大幅に改善することは、複数の開口から探触子を用いることにより達成することができる。有効な大きい開口(いくつかのサブ開口の合計の開口)は、組織中の音速の変動を補償することにより実行可能になり得る。これは、増加した開口を破壊的にではなく、有効にするためのいくつかの方法の1つで達成することができる。
【0088】
最も簡単なマルチ開口システムは、図1で示すように、2つの開口からなる。1つの開口は、完全に送信素子110に対して使用し、他方は受信素子120に対して使用することができる。送信素子は、受信素子の間に点在させることができるが、或いはいくつかの素子を、送信と受信用の両方で使用することもできる。この例では、探触子は、撮像される組織130への2つの異なる見通し線を有する。すなわち、それらは、皮膚の表面140上に2つの別個の物理的開口を維持している。複数開口の超音波振動子は、皮膚の表面から使用することに限定されず、それらは、腔内及び静脈内探触子を含めた体の中、又は体の表面のどこでも使用することができる。送信/受信探触子110においては、個々の素子Tx1からTxnの位置は、3つの異なる軸で測定することができる。この図は、x軸150に対して直角をなす探触子を示しており、したがって、各素子は、異なる位置xと、y軸160上で同じ位置yを有することになる。しかし、探触子120における素子のy軸位置は、下方に角度が付けられているので異なるはずである。z軸170は、ページの前後方向にあり、素子が、走査面内にあるか外にあるかを決定するのに非常に重要である。
【0089】
図1を参照して、超音波送信素子T1,T2,...Tnを含む送信探触子110、及び超音波受信素子R1,R2,…Rmを含む受信探触子120は、検査される(ヒト又は動物などの)体の表面上に配置されていると考える。探触子は共に、同じ走査面に対して感度を有することができ、また各探触子の各素子の機械的な位置は、探触子のうちの1つなどの共通の基準に対して正確に知られている。一実施態様では、超音波画像は、送信素子(例えば、送信素子Tx1)を用いて、撮像すべき部位(例えば、心臓、器官、腫瘍、又は体の他の部分を通る面)全体を照射し、次いで、送信探触子の素子(例えば、Tx2,...Txn)を「移動(walking)し、送信素子のそれぞれを用いて、撮像すべき部位を照射することにより生成することができる。各送信素子から得られた画像は、個々には高解像度画像を提供するには十分ではない可能性があるが、すべての画像を組み合わせると、撮像すべき部位の高解像度画像を提供することができる。次いで、座標(i,j)で表される走査点に対して、特定の送信素子Txnから(i,j)における組織の要素130への合計距離「a」に、その点から特定の受信素子までの距離「b」を加えて計算することは簡単なことである。この情報を用いて、所与の軌跡に対するすべての点に対してエコー振幅をトレースすることにより、散乱位置及び振幅マップのレンダリングを開始することができる。
【0090】
他のマルチ開口システムが図2で示されており、3つの開口の振動子素子からなる。一概念では、中心開口210における素子は、送信用に使用することができ、次いで、左の開口220及び右の開口230における素子は、受信用に使用することができる。他の可能性は、すべての3つの開口における素子を、送信及び受信の両方で使用することもできるが、これらの条件下では、音速変動に対する補償がより複雑化されることになる。撮像すべき組織240の周囲に素子又はアレイを配置することにより、組織の上部に、単に、単一の探触子210を有するより、はるかに多くのデータが提供される。
【0091】
本明細書で述べる複数開口の超音波撮像法は、あらゆる素子の位置を知ることができるようにし、またこれらの位置を、探触子が取り付けられる任意の新しい装置に対して報告する探触子装置に依存する。図3及び4は、単一の全方向性探触子310又は410を、どのようにして主振動子(フェーズドアレイ又はその他のもの)に取り付けてデータを収集することができるか、或いは反対に、この場合は主探触子が受信器になるが、送信器として働くことができるかを示している。これらの実施態様では共に、全方向性探触子は、すでに走査面内で位置合せされている。したがって、x及びyの位置350だけが、計算されてプロセッサに送信される必要がある。良好な横方向集束のために、走査面の外に全方向性探触子を用いた探触子を構成することも可能である。
【0092】
全方向性探触子装置の態様は、照射探触子の送信振動子320及び420から離れて位置する別個の比較的無指向性の受信振動子310及び410からの戻りエコーを含み、無指向性の受信振動子は、照射探触子とは異なる音響ウィンドウ中に配置され得る。全方向性探触子は、この目的のために広い視野に対して感度を有するように設計することができる。
【0093】
全方向性探触子で検出されたエコーは、デジタル化され、別々に記憶されることができる。全方向性探触子(図3の310、及び図4の410)で検出されたエコーが、照射振動子からのあらゆるパルスに対して別々に記憶された場合、2次元画像の全体を、1つの全方向性探触子により受信された情報から形成できることは驚くべきことであることに留意されたい。さらなる画像の複製を、照射パルスの同じ組からのデータをさらなる全方向性探触子が収集することにより形成することができる。
【0094】
図5では、探触子全体が、共に組み立てられた場合、アドオン装置として使用される。それは、アドオン機器若しくはMAUI電子装置580と、任意のホスト超音波システム540との両方に接続される。中心アレイ510は、送信だけに使用することができる。アウトリガーアレイ(outrigger array)520及び530は、受信だけに使用することができ、ここでは皮膚の線550の上部に示されている。散乱体570から反射されたエネルギーは、したがって、アウトリガーアレイ520及び530により受信され得るだけである。アウトボードアレイ520及び530の角度付けは、角度α1560又はα2565として示されている。これらの角度は、異なる深さ又は視野に対して最適なビーム形成を達成するために変えることができる。α1及びα2は、アウトボードアレイに対して同じであることが多いが、そのようにする必要性はない。MAUI電子装置は、角度を解析し、非対称の構成に適合することができる。図5aは、右の振動子510が送信のために使用され、また他の振動子520が、受信のために使用されることを示している。
【0095】
図6は、探触子と共に使用される複数開口の超音波撮像システム(MAUI電子装置)640が、それ自体のオンボード送信器を備えるスタンドアロンのシステムである(すなわち、ホスト超音波システムが使用されない)ことを除き、図5とほぼ同様のものである。このシステムは、送信又は受信のために、任意の振動子610、620、又は630上で任意の素子を使用することができる。アウトボードアレイ(outboard array)610及び630の角度付けは、角度α660で示されている。この角度は、異なる深さ又は視野に対して最適なビーム形成を達成するために変えることができる。角度は、アウトボードアレイに対して同じであることが多い;しかし、そのようにする必要性はない。MAUI電子装置は、角度を解析し、非対称の構成に適合することになる。
【0096】
この図では、送信されるエネルギーは、開口2 620における素子、又は素子の小グループから生じたものであり、散乱体670からすべての開口中の他のすべての素子へと反射される。したがって、受信されたエネルギーの合計幅690は、開口1 610の最も外側の素子から、開口2 630の最も外側の素子まで広がる。図6aは、右のアレイ610が送信し、3つのアレイ610、620、及び630がすべて受信している様子を示している。図6bは、左のアレイ610上の素子が送信し、右のアレイ620上の素子が受信している様子を示している。送信だけに1つの振動子を使用することは、脂肪層における変動に起因する歪みがないという点で利点がある。スタンドアロンのシステムでは、送信及び/又は受信素子は、両方又はすべての3つの開口で混合され得る。
【0097】
図6bは、探触子と共に使用される複数開口の超音波撮像システム(MAUI電子装置)640が、それ自体のオンボード送信器を備えるスタンドアロンのシステムであることを除き、図5aとほぼ同様のものである。このシステムは、図6cで示されるように、送信又は受信のために、任意のアレイ610又は620上の任意の素子を使用することができる。図6b又は図6cで示すように、送信アレイは、2つの受信だけの振動子が寄与するようになるのと同様に、集合的な開口幅690に加えられるターゲットから離れた角度を提供する。
【0098】
本明細書で述べる実施態様は、ユニバーサルな複数開口の超音波振動子の適正な位置合せのための精密キャリアを含む。次に図7a〜7cを参照すると、振動子アレイ2161は、レンズ2162をそのままにして、それ自体の装置2161中にすでに「封入(potted)」され得る。封入手順は、そのレンズ及びケースに対して振動子アレイを安全に保護するために行われる従来からの方法である。封入手順が完了した後、より大きい複数開口の超音波振動子装置に対して可撓性のある回路、配線、及び取付けを行うことができる。本発明の利点は、位置合せ中に同じ振動子を使用する必要がないことである。異なる「容器(pots)」を備える異なる振動子は、位置合せキャリアの柔軟性のおかげで位置合せ装置の任意の位置で使用することができる。
【0099】
図8a〜8cは、複数開口の超音波振動子アレイに対する精密キャリア2150の実施態様の基本構造及び特徴の図を提供する。図8aは、6個の位置決めねじ2151を備える精密アレイキャリア2150の上面図を示している。図8bは、各側面に2つのねじが切られたねじ孔2180を有する精密アレイキャリア2150の側面図を示す。位置決めねじ2151が、ねじ切りされたねじ孔(例えば、図7bのねじ孔2155及び2156)に挿入されたとき、調整が行われて、「配置された(seated)」アレイに対して長手方向の訂正2159を行うことができる。図8cは、各端部に位置するねじ切りされたねじ孔2180を備えた精密キャリア2150の側面図を示す。位置決めねじがこれらのねじ切りされたねじ孔に挿入されたとき、「配置された」アレイに対して調整が行われて、(図7cで示すように)横方向訂正2160を行うことができる。
【0100】
図9a〜9dは、アレイ中心化ガスケット2152を取り付けた精密アレイキャリア2150を示す。図9aは、精密キャリア2150の上面図であり、アレイ中心化ガスケット2152が、レンズ2162が中心に位置するキャリアの底部に配置される。図9b〜9dは、それぞれ、キャリアの側面図、端面図、及び底面図を示している。キャリアのL字形の肩部2181上のアレイ中心化ガスケット2152が図7bで示されている。図9bでは、ガスケット2152は、L字形の肩部2181の上で、キャリアの全長に延びている。ガスケット2152は、L字形の肩部2181のコーナの周囲に延びて、キャリアの端部を覆っており、その様子が図9cで示されている。ガスケットは、レンズ2162の完全性を妨げることなく、操作中に、位置決め調整に対するアレイの平行移動時の中心化、及び枢動点を提供する。図9dは、レンズ2162、精密キャリアアレイの中心化ガスケット2152の底部、及び最終的にL字形の肩部2181の図を提供する。
【0101】
図7a〜7cに戻って参照すると、それぞれ、アレイ2161がその中に挿入された精密アレイキャリア2150の上面図、端面図、及び側面図が示されている。アレイ2161は、端から端まで、位置決めねじ2155及び2156により支持されている。アレイは、各側面から、位置決めねじ2153、2154、2157、2158により支持され、またアレイ中心化ガスケット2152により底部から支持され得る。図7bは、精密アレイキャリア2150中のアレイ2161が、アレイ中心化ガスケット2152により支持されており、長手方向調整の用意ができている様子を示している。交互に、位置決めねじ2155及び2156を締め付ける、又は緩めることにより、アレイ2161は、弧2159を介して調整されて長手方向軸エラーを訂正することが可能になる。図7cは、アレイ中心化ガスケット2152により支持され、横方向調整をする用意ができている精密アレイキャリア2150中のアレイ2161を示す。交互に、位置決めねじのペア2157、2158、及び2153、2154を調整することにより、横方向軸エラーに対して、アレイ2161を訂正することが可能になる。
【0102】
図10a及び10bは、アレイ2161が挿入された精密アレイキャリア2150の上面図を示す。矢印は、それぞれ、選択的なねじ調整による反時計方向、及び時計方向の回転調整を示している。図10aは、回転軸エラーを訂正するために、位置ねじ2153及び2158を締め付けるが、位置ねじ2154及び2157を緩めて、アレイ2161を反時計方向の弧2165でシフトする様子を示している。図10bは、回転軸エラーを訂正するために、位置ねじ2154及び2157を締め付けるが、位置ねじ2153及び2158を緩めて、アレイ2161を時計方向の弧2166でシフトする様子を示している。
【0103】
図11は、組織と等価なファントム又は試験ブロック2182上に取り付けられ、且つ位置合せ中に送信及び受信する用意のできた精密アレイキャリア2150の端面図を示している。「ファントム」とは、既知の空隙及び反射器をファントム内の既知の位置に配置した、ヒトの組織の特性に類似した音速特性を有する組織と等価な材料で満たされた構造のことである。このファントムの端面図は、側面から見た3つのターゲット2167を含む一実施態様を示す。これらのターゲットは、エコー源性であり、非常に反射性であり得るが、或いは無響性の反射の空隙でもあり得る。上部のターゲットは、ファントムの表面及びアレイキャリア2150の面から、所定の深さDに存在することができる。他のターゲットは、上部ターゲットから距離D1及びD2に間隔を空けて配置され得る。いくつかの実施態様では、所定の深さDは、上部ターゲットからアレイの面まで100mmとすることができる。他のターゲットは、例えば、10mmの距離のD1及びD2を有することができる。しかし、振動子アレイの所望の用途に応じて、ターゲット2167に対して任意の範囲の深さを使用することができる。直角をなすターゲット2167は、アレイの位置決めの長手方向調整中に支援するように働く。正しく位置決めされた場合、3つのターゲットは、アレイの前面に対して正確に直角であるように表示されることになり、さらに、各ターゲット2167は、他の上に等間隔に表示されることになる。
【0104】
図12は、ターゲット2167の端部を見ることのできるファントム2182の側面図を示している。送信及び受信が行われた後、キャリア2150中のアレイ2163に対して、横方向調整を行うことができる。正しい位置合せは、すべてのターゲットが、中心ターゲット2168の上及び下で見える場合に達成される。
【0105】
図13a〜13cは、アレイ2161が挿入され、且つ位置合せされた精密アレイキャリア2150を、それぞれ、上面図、側面図、及び端面図で示している。この段階では、音響ダンピング材2162が、アレイとキャリアの間の隙間に注入されて、アレイ2161の位置を安定化させることができる。図13bは、アレイ2161と精密アレイキャリア2150の間の間隙が音響ダンピング材2162で満たされた様子を示す精密アレイキャリア2150の側面図である。図13cは、音響ダンピング材2162で満たされた、アレイ2161と精密アレイキャリア2150の間の間隙を示している。
【0106】
図14a〜14cは、アレイ2161が挿入され、且つ位置合せされた状態の精密アレイキャリア2150を、それぞれ、上面図、側面図、及び端面図で示している。音響ダンピング材2162は硬化しており、6個の位置合せねじは取り除かれている。図14bは、アレイ2161が挿入され、且つ位置合せされた状態の精密アレイキャリア2150の側面図であり、音響ダンピング材2162は硬化し、また位置調整ねじは除かれている:この時点で、その取り込まれたアレイを有する精密アレイキャリア2150は、精密アレイキャリア組立体2163となる。
【0107】
図15は、構造支持体2164により囲まれた精密振動子受容器で構成されたマルチ開口の超音波探触子組立体2183を示している。構造支持体2164は、多くの硬質材料(例えば、金属又はプラスチック)から構成することができ、通常、図22で示す探触子2200などのより大きい構造へと組み込まれる。図15では、3つの精密キャリアアレイ組立体2163が、精密振動子受容器2166中に挿入される。
【0108】
図16は、それぞれが受容器に固定される精密アレイ組立体2163を備える精密振動子受容器2166を有するマルチ開口の探触子組立体2183を示しており、したがって、3つの振動子アレイを有するマルチ開口の超音波探触子2184の構成が完了する。
【0109】
図22は、アレイ1701、1702、及び1703をアレイ受容器中に嵌合させて、較正サイクルにかけられる用意ができた、完了した探触子2200を示す。
【0110】
マルチ開口の超音波探触子を構成し、且つ位置合せするための代替の装置及び方法を、次に論ずる。上記で述べたように、x、y、及びz軸周りにおける、照射/受信用探触子の超音波ビームの変位又は回転の変化を検出し、且つ訂正する必要がある。マルチ開口探触子を位置合せするためのMAUI位置合せ装置は、1つ以上の精密角度調整制御機構と、調整のために試験中の各アレイに関して6つの自由度を提供する精密ステージ組立体とを使用する。
【0111】
マルチ開口の撮像システムを作る上で大きな実務上の困難さの1つは、概略的に上記で述べたように、複数アレイの素子を正確に位置合せするという要件である。複数の探触子ヘッドを含めることにより、また画像をレンダリングするためにすべての探触子の素子を使用することにより、探触子システムの有効な開口を増加させることによって、画像の横方向解像度が大きく改善され得ることは十分理解されている。画像をレンダリングするためには、すべての素子の相対的な位置を正確に知る必要がある。任意選択で、探触子システムが位置及び回転調整を有する場合、すべての素子を、走査の同一面内にあるように、且つ走査の同一面内で送信又は受信するように位置決めするために表示が提供される。
【0112】
図17は、単一のケース中に組み立てられていないが、マルチ開口振動子として共に動作する3つの探触子1701、1702、及び1703を備える探触子システム1700を示している。これは、複数開口振動子の標準の実施態様ではないが、ここでは、アレイの位置合せを述べるのを助けるように働く。マルチ開口振動子は、任意の数の(2つ以上の)アレイ1710、1720、1730、或いは個々の素子からも構成することができる。実務的な理由で、探触子中のアレイは、多数の素子を用いて容易に製作することができ、またヘッド内で間隔をおいて配置された素子を十分制御することができる。各探触子の端部の素子を正確に位置決めできる場合、他の素子に関する位置も暗に示すことが可能である。したがって、素子の位置を見出す装置について述べるものとする。この装置は、アレイの内側又は外側にある独立した素子の正確な位置を決定することもできる;しかし、アレイは通常、直線的な形式で構成されるため、ここで論ずる実施態様は、端部の素子を特定するだけである。
【0113】
図17では、これらの端部素子は、0〜5までの素子番号で指定されており、0及び1は、アレイ1710の端部素子であり、2及び3は、アレイ1720の端部素子であり、また4及び5は、アレイ1730の端部素子である。後で述べるように、中間にある素子のいずれも、同様な方法で配置することができる。
【0114】
精密位置合せステージ組立体が、図18Aで示されている。組立体1801最も左の領域は、図17の1701など、単一の探触子の機械的な接続を可能にする。精密位置合せステージ組立体は、取り付けたアレイのx、y、及びz軸における位置を制御する3つの別個の機構1801、1802、及び1803を有する。いくつかの位置合せステージ組立体は、協調させて使用することができ、したがって、複数の探触子アレイは、個々に操作することができる。図18Bは、操作者が、制御機構1805、1806、1807、1808、及び軸受1809を用いることにより、任意の軸でアレイを操作できるようにする。精密ねじ1804、1805、1806、1807、及び1808は、調整することができ、また軸受1809は、回転して、位置合せプロセス中にアレイに対する1つ以上の軸に作用することができる。
【0115】
図25は、精密位置合せステージ2510、2520、及び2530に対して1列に取り付けられたアレイ1710、1720、及び1730を示す。アレイが一定の位置に設定されると、それらは、次いで、対象とする共通の点に向けて送信し、その衝突点を他のアレイと比較する。
【0116】
図20は、ここでは、タンク又は試験ブロック2012の上で、位置合せステージ組立体に取り付けられた、図17の探触子1701、1702、及び1703を示している。タンクは、液に対する音速が知られている限り、製作及び安全性への配慮に対して望ましい任意の液体、流体、ゲル状物質、固体、又は他の媒体2014で満たすことができる。タンクは、位置合せステージ組立体のための取付け位置を含むことができる。いくつかの実施態様では、図20で示すように、振動子素子を保持する複数の位置合せステージ組立体を、試験ブロック上に取り付けることができる。この位置から、任意のアレイの素子から超音波パルスを送信して、タンク2012の他端にある超音波センサ又はハイドロフォン2085に受信されるようにすることが可能である。
【0117】
次に、図19a〜19bを参照すると、多軸超音波センサ又はハイドロフォン2085を、試験中の単一アレイ又は複数アレイの各素子のX、Y、及びZ位置を検出するために使用することができる。多軸ハイドロフォン2085は、横方向ハイドロフォン2086、並びに右及び左ハイドロフォン2087及び2088を含むことができる。探触子1701、1702、及び1703が照射する共通のターゲットは、右ハイドロフォン2087上の素子2091、2092、及び2093である。左ハイドロフォン2088上では、素子2094、2095、及び2096がターゲットである。
【0118】
複数開口の探触子の位置合せ及び較正を行うための基本技法を、次に、図19a、19b、及び20を参照して述べることができる。探触子は、振動子素子のいずれかを励起して超音波パルスを送信するように構成された信号発生器に取り付けることができる。アレイ1710、1720、及び1730中の少なくとも1つの素子から、良好な自己相関特性を示す超音波信号(例えば、長い周波数スイープ、又は「チャープ」波形、短い(広帯域)パルス、スペクトラム拡散波形など)が送信される。送信された超音波信号は、試験ブロックを介して進み、受信用ハイドロフォン振動子素子2091、2092、2093、2094、2095、2096、及び横方向ハイドロフォン2086により受信され得る。試験素子それ自体が信号を歪ませるので、ハイドロフォンアレイによって受信された超音波信号若しくはパルスの検出が、試験素子に加えられた信号との相互相関によって十分正確に行われない可能性のあることに留意することが重要である。
【0119】
2つの革新的な技法が、相対的な時間の遅延、したがって、相対的な距離を見出すのに必要な精度を得るために使用される。第1の技法は、ハイドロフォンの1つの素子(例えば、2091)で受信された信号と、同じハイドロフォンの他の素子(例えば、2093)で受信された信号との間の相互相関を使用することである。相関のピークは、時間差を生じ、したがって、距離差を生ずることになる。
【0120】
第2の技法は、単なるサンプリング間隔よりも良好な時間解像度を得るために、受信した波形のサンプル間を補間することである。これらのタスクを共に達成するための最良の方法はおそらく、両方の信号のフーリエ変換を行い、はるかに大きい変換の高周波成分にゼロを使用することである。これらの大きな変換をFFT1及びFFT2と呼ぶ。次いで、(FFT1*(FFT2の複素共役))の逆変換のピークを見出す。
【0121】
第3の技法では、差分距離を合計距離に変換することが必要である。図21aの三角形bceを考える。ただし、点bは、位置を計算する必要のある素子の1つを表し、またc及びeは、水タンクの底部の既知の基準点である。三角測量により、長さd4及びd0を測定することが望ましく、d0とd4の間の差を知るだけでは十分ではない。タンクの底部に横方向ハイドロフォン(図19aの2086を参照されたい)を加えることにより、2つの三角形が得られ、それにより、d0及びd4を計算することができる。e、d、及びcを図19aのハイドロフォン2094、2095、及び2096、又は2091、2092、及び2093の位置とする。
【0122】
以下の解析のために、ハイドロフォン2094、2095、及び2096は、同一線上にあり、且つ2091、2092、及び2093により形成された線に対して平行な線上になければならない。2094と2095の間の距離はd1で指定され、2095と2096の間の距離はd3で指定される。d1及びd3は、正確に知る必要があり、これは、他の測定のための基準、すなわち「尺度(yardstick)」となる。2095は、2094と2096LNの間のほぼ中心にあるべきであるが、d1がd3と等しい必要はない。同様の要件が、R0、RC、及びRNにも適用される。
【0123】
d2を基準距離とし、測定された距離を次のように定義する:
d2m=d2-d2=0
d0m=d0-d2
d4m=d4-d2
【0124】
コサインの法則から
d42=d22+d32-2d3d2cosα
d02=d22+d12-2d1d2cos(π-α)=d22+d12+2d1d2cosα
cosα=(d42-d22-d32)/(-2d3d2)=(d02-d22-d12)/(2d1d2)
d42-d22-d32=-(d02-d22-d12)d3/d1
(d4m+d2)2-d22-d32+(d0m+d2)2d3/d1-d22d3/d1-d1d3=0
が得られる。
【0125】
項を結合し、また消去すると、この式は、
d2=(-d4m2+d32-dom2d3/d1+d1d3)/(2d4m+2d0md3/d1)
となり、その場合、d0=d0m+d2及びd4=d4m+d2である。
したがって、受信された差分時間から完全な測定値が得られる。
【0126】
2つの平行な「尺度」、又は右及び左のハイドロフォンが、図1のz軸に沿った位置を測定するために、タンクの底部に設けられ、図23bで示されている。図18bで示された様々な制御機構を用いて、すべての3つのアレイ1701、1702、及び1703からの探触子素子をすべて2つの尺度間の中間で1列に位置決めすることが目標となろう。
【0127】
次に、図21bを参照すると、M0 1206などの任意の探触子素子の位置の測定を考える。まず、右の尺度R0-RC-RN、2091,2092,2093を用いることを考える。素子M0 1206からチャープ信号を送信し、それをハイドロフォンのR0、RC、及びRN、2091、2092、及び2093で受信することにより、経路d0、d2、及びd4に沿った送信に対する差分時間を計算することができる。時間は、試験ブロックの媒体の超音波速度が知られている場合、距離に変換することができる。試験ブロックの媒体が水である場合、音速は、概略、
sos=1.40238742+5.03821344*TE/1000.-5.80539349*TE2/100000.+3.32000870*TE3/10000000.-1.44537900*TE4/1000000000.+2.99402365*TE5/1000000000000.(mm/μs)であり、式中、TEは摂氏による温度である。差分距離は、上記の導出に従って合計距離へと変換することができる。
【0128】
次に、三角法から、距離a=((d02-d42+(d1+d3)2)/(2(d1+d3))である。
x'軸に沿った位置は、d1-aである。
素子が、2つの尺度の間の中間にあると仮定すると、
y'軸に沿った位置は、sqrt((d02-a2-(zr/2)2))である。
【0129】
まず、この仮定の結果、かなりのエラーが生ずる可能性があるが、zを測定することにより、この仮定が満たされるまで、素子又は全体の探触子組立体の調整を行うことができる。
【0130】
再度、図21bを参照すると、左の尺度2094、2095、及び2096を用いて、x'及びy'に関して同様の計算を行うことができる;またその結果は、精度を高めるために平均化することができる。2つの尺度を有することに関する主な理由は、z軸を測定できることである;すなわち、図1で示す走査面内又は外の素子位置である。次いで、アレイ位置合せ装置は、それを表示することができ(図23a,2300を参照のこと)、したがって、手動で(図18b)、又は自動で(図24)訂正及び位置合せを行うことができる。z変数は、RC2092及びLC2095で受信されるパルスの到達時間差に比例する。探触子位置は、時間差がゼロに近くなるまで調整されるべきである。これが行われた場合、x及びyの測定値のすべてが正確になり、すべての素子の相対的な位置が知られることになる。
【0131】
最後に、コントローラ(コンピュータなど)は、走査し、且つ横方向ハイドロフォン2086上の最大信号強度を見出すことができ、さらに探触子素子に対する角度変位を記録することができる。
【0132】
複数開口のアレイ位置合せ装置を日々の較正器として使用するために、図22で示す実施態様など、複数開口の超音波振動子はすでに完全に組み立てられている。したがって、これらの測定のすべては、探触子組立体上の軸を基準にする必要がある。図22で示すマルチ開口の振動子探触子組立体2200では、中心アレイを中心に置いた新しい座標系(x,y)に対して、すべての測定を回転させ、且つ平行移動することは合理的であるはずである。適切な座標系は、探触子組立体が使用されることになる超音波撮像システムに依存することになる。マルチ開口探触子は、常駐する較正メモリ、又は以下で述べる、自動化された精密ステージ組立体から受信した較正データでプログラムされ得る較正(cal)チップ2201を有することができる。
【0133】
送信同期モジュール2202は較正に関係しないが、探触子が、送信するホストマシンとのアドオン装置として使用される場合に、パルスの開始を識別するために必要である。探触子変位センサ2203は、探触子の3次元運動を感知する加速度計又はジャイロスコープとすることができる。較正中、探触子が静止した状態にあるように、探触子はアレイ位置合せ装置に安全に取り付けられる必要がある。
【0134】
図23aを次に参照すると、所有権を有するグラフィカルユーザインターフェース、すなわちGUI2300は、素子アレイデータを実時間で視覚化することができ、x、y、及びz変動エラーを訂正できるようにする。2つの太い垂直線2001及び2003は、尺度R0-RC-RN(図19aから2091、2092、及び2093)、及びL0-LC-LN(図19aから2094、2095、及び2096)のz位置を表す。細い垂直線2302は、z=0の線であり、また探触子システムの各素子の望ましい位置である。垂直方向の位置はx座標である。
【0135】
2305、2306、2307、2308、2309、2310、及び2011など、小さな正方形のそれぞれは、x-z面における探触子素子の位置である。この例では、3つの探触子ヘッドの端部素子の位置を示している6個の小さな正方形がある。しかし、さらに多くの、又は少ない素子の位置をこのようにして表示することもできる。細い水平線2312、2313、2314、2315、2316、2317、及び2018は、多軸ハイドロフォン上で検出された各素子の指向性及び角度の広がりを表す。有用な角度の広がり測定は、最大強度の半分を超える、又はそれに等しい信号強度を記録する横方向ハイドロフォンアレイ上のハイドロフォン素子の数である。
【0136】
図23bは、z位置2305がz=0又はその近傍に正しく配置された探触子素子と、中心線上に位置するその指向性とを示している。それとは対照的に、図23cは、そのz位置2305が右のハイドロフォンの方向にずれている探触子素子を示している。その結果の表示は、中心線2302の右に小正方形2305を示している。この場合、素子位置はエラーであるが、素子の指向性は、水平線2132により表示上で示されるように中心線の上あり、中心線2302上で中心化されたままであることに留意されたい。
【0137】
最後に、図23dは、そのz2305の位置が、z=0、2302又はその近傍の位置にあり、探触子素子が正しく配置されている様子を示している。しかし、指向性2312は、この場合、位置合せ不良であり、中心線2302の左にシフトされた水平線で示されるように、左のハイドロフォンの方向にずれている。この場合、角度付けを調整して、指向性を中心線上に戻すことにより、指向性を訂正する必要がある。これは、例えば、図18bにおける制御機構1805及び1807を用いることにより達成することができる。したがって、この表示を用いると、素子位置及び指向性を同時にモニタすることができ、且つ共に位置合せすることが可能になる。
【0138】
精密位置合せステージ組立体(複数可)を用いて探触子の位置及び角度付けを調整することは、すべての小正方形、及びすべての水平線が、実行可能な限り近く、中心の垂直線上に位置合せされ、z軸で整列させることが保証されるまで継続するべきである。これが行われると、x及びy位置が、正確に計算されることになり、これらに関して、個別に繰り返す必要がなくなる。
【0139】
いくつかの製作上の形式では、アレイ2406は、図24のものなど、自動化された精密ステージ組立体中に搭載され得る。ここで、そのノーズピース内になお存在するアレイをさらに操作することができる。図24で、精密ステップモータ2403に適合された、自動化された精密ステージ組立体2406を見ることができる。ステップモータコントローラ2401は、コントローラ2402からの命令に応答して、試験中の振動子2405を駆動する。コントローラ2401は、ハイドロフォン組立体2404からのデータを評価し、振動子の訂正を計算する。コントローラ2402中に常駐する試験プログラムは、振動子特有の較正データを、試験中の振動子2405へと戻し、それをそのオンボード較正チップ2201に取り込むようにする。この自動的に取得された素子及びアレイ位置データは、MAUI探触子特有のものであり、探触子及びシステムの性能を最適化するために使用されることになる。
【0140】
アレイ位置合せシステムと共に精密ステージ組立体を用いることは、本システムの価値の一部に過ぎない。図26a及び26bは、超音波機械2600の制御ユニット2620に取り付けられたアレイ位置合せシステム2610を示している。破断部は、ハイドロフォン組立体2085が、液で満たされたシステム2610の底部に位置する様子を示している。図26aでは、MAUI汎用放射線探触子2630が、試験のためにシステムに取り付けられている。図26bでは、MAUI心臓探触子2640が、較正のためにシステムに取り付けられている。したがって、本システムの可搬性により、探触子の較正を、1日に複数回現場で行うことが可能になる。さらに、MAUIシステムは、サービス又は点検が必要になった場合、操作者に警告することになる。
【0141】
探触子を較正するために、MAUI電子装置は探触子中のアレイにテストパターンを送り、ハイドロフォン組立体2085に送信することができる。そのシーケンスの結果として、探触子の位置及びその指向性が報告されたとき、すべての素子の位置は、その探触子に特有のファイルへとダウンロードすることができる。各ファイルは、探触子較正チップ2201に記憶される。較正チップは、x、y、及びz軸における素子位置を、それが接続されるあらゆるMAUI電子装置へと報告し、したがって、異なるMAUI装置と使用する前に再較正することなく、複数開口の撮像を実施することができる。較正チップメモリはまた、探触子の性能及び信頼性を解析するために使用することもできる。
【0142】
送信及び受信素子のすべてが、同一面内で位置合せされている、又はz位置の調整を行わないように製作されている特別な場合では、簡単化した位置合せ装置を使用することができる。ハイドロフォンの2つの平行な「尺度」に代えて、単一の尺度を使用することもできる。この場合、探触子は、重り(plumb bob)又はクランプ装置を用いて、単一の尺度の上で中心化されることになる。その場合、x及びyの測定が、z=0及びzr=0であると仮定して、行われることになる。これは、zの値における精度は、x及びyの値における精度よりも、ビーム形成における重要性がかなり劣るので可能である。したがって、重りを用いた観察、又は探触子の機械加工された縁部にクランプする比較的粗い方法によりzを調整することは、x及びyに対する高精度の要求にかかわらず、受け入れることが可能である。明らかに、この簡単化された装置のコストは、かなり低減されるはずであり、探触子組立工場だけ使用されるのではなく、現場で使用することも可能な装置が得られる。
【0143】
本発明に関係するさらなる詳細に関して、材料及び製作技法は、関連する技術分野における当業者のレベルに含まれるものとして使用することができる。共通して、又は論理的に使用されるさらなる行為の点で、本発明の方法ベースの諸態様に関しても同様のことが言える。さらに、前述の発明性のあるバリエーションの任意選択の特徴は、独立して、或いは本明細書で述べた任意の1つ以上の特徴と組み合わせて述べられ、且つ特許請求できることが企図される。同様に、単数の項目への参照は、複数の同様の項目が存在する可能性を含む。より具体的には、本明細書で、且つ添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」、「前記」、及び「その(the)」は、コンテキストが明確にその他の形であることを指示しない限り、複数の指示対象を含む。特許請求の範囲は、任意選択の要素のいずれも排除するように記述できることをさらに留意されたい。したがって、この記述は、請求項の構成要件の記述と関連して、「単独で(solely)」、「に限って(only)」などの排他的な用語を使用するための、又は「否定的(negative)」な限定を使用するための先行するベースとして働くことが意図される。本明細書でその他の形で定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的、且つ科学的な用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般に理解される意味と同様の意味を有する。本発明の広さは、本明細書により限定されるべきではなく、特許請求の範囲で使用される用語の通常の意味によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチ開口の超音波探触子における振動子素子の位置を測定し、位置合せするためのシステムであって、
複数の振動子素子を保持するように構成された位置合せ組立体と、
試験ブロックと、
該複数の振動子素子の少なくとも1つから、該試験ブロックを介して超音波パルスを受信するように構成された超音波センサと、
該超音波センサからのデータを評価し、振動子較正データを提供するように構成されたコントローラと
を備える、前記システム。
【請求項2】
前記試験ブロックが、公知の音速を有する液体で満たされたタンクを備える、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記試験ブロックが、公知の音速を有するゼラチン状の材料で満たされたタンクを備える、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記試験ブロックが、公知の音速を有する固体のブロックを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の振動子素子の少なくとも1つを励起して、超音波パルスを送信するように構成された信号発生器をさらに備える、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記信号発生器が、短い(広帯域の)パルスで前記複数の振動子素子を励起するように構成される、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記信号発生器が、スペクトラム拡散波形で前記複数の振動子素子を励起するように構成される、請求項5記載のシステム。
【請求項8】
前記信号発生器が、チャープ波形で前記複数の振動子素子の少なくとも1つを励起するように構成される、請求項5記載のシステム。
【請求項9】
前記位置合せ組立体が、前記コントローラからの前記振動子較正データに基づいて、前記複数の振動子素子を自動的に位置合せするように構成された、自動化された位置合せ組立体を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記位置合せ組立体が、少なくとも1つのステップモータ、及びステップモータコントローラを備える、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記ステップモータコントローラが、前記振動子素子を位置合せするために前記少なくとも1つのステップモータを駆動する、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
前記位置合せ組立体が、手動の位置合せ組立体を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項13】
前記手動の位置合せ組立体が、x、y、及びz軸における前記複数の振動子素子を操作するように構成された手動の制御機構を含む、請求項12記載のシステム。
【請求項14】
前記コントローラが、前記超音波センサ上に配置された複数の受信振動子素子に対する相対的な経過時間を検出するように構成されたアルゴリズムを動作させる、請求項1記載のシステム。
【請求項15】
前記コントローラが、前記複数の振動子素子の少なくとも1つから、前記超音波センサ上に配置された複数の受信振動子素子への完全な移動時間を計算するように構成されたアルゴリズムを動作させる、請求項1記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラが、前記振動子較正データに基づいて、前記複数の振動子素子の相対的な位置を計算するように構成されたアルゴリズムを動作させる、請求項1記載のシステム。
【請求項17】
前記振動子較正データを表示するように構成されたグラフィカルユーザインターフェースをさらに備える、請求項1記載のシステム。
【請求項18】
前記位置合せ組立体が、前記複数の振動子素子を含む探触子を保持するように構成される、請求項1記載のシステム。
【請求項19】
前記超音波センサが、複数の受信振動子素子を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項20】
前記コントローラが、前記受信した超音波パルスをデジタル化し、記憶するように構成される、請求項1記載のシステム。
【請求項21】
マルチ開口の超音波探触子における振動子素子の位置を測定し、且つ報告するためのシステムであって、
複数の振動子素子と、
該複数の振動子素子を保持するように構成された較正組立体と、
試験ブロックと、
該複数の振動子素子の少なくとも1つから、該試験ブロックを介して超音波パルスを受信するように構成された超音波センサと、
該超音波センサからのデータを評価し、振動子較正データを提供するように構成されたコントローラと
を備える、前記システム。
【請求項22】
前記試験ブロックが、公知の音速を有する液体で満たされたタンクを備える、請求項21記載のシステム。
【請求項23】
前記試験ブロックが、公知の音速を有するゼラチン状の材料で満たされたタンクを備える、請求項21記載のシステム。
【請求項24】
前記試験ブロックが、公知の音速を有する固体のブロックを備える、請求項21記載のシステム。
【請求項25】
前記較正組立体が、前記コントローラからの前記振動子較正データに基づいて、前記複数の振動子素子の相対的な位置を自動的に決定するように構成される、請求項21記載のシステム。
【請求項26】
前記コントローラが、前記超音波センサ上に配置された複数の受信振動子素子に対する相対的な経過時間を検出するように構成されたアルゴリズムを動作させる、請求項21記載のシステム。
【請求項27】
前記コントローラが、前記相対的な経過時間から、完全な移動時間を計算するように構成されたアルゴリズムを動作させる、請求項26記載のシステム。
【請求項28】
前記コントローラが、前記振動子較正データに基づいて、前記複数の振動子素子の相対的な位置を計算するように構成されたアルゴリズムを動作させる、請求項26記載のシステム。
【請求項29】
前記振動子較正データを表示するように構成されたグラフィカルユーザインターフェースをさらに備える、請求項21記載のシステム。
【請求項30】
前記マルチ開口の超音波探触子中に、前記振動子較正データを記録するように構成されたメモリをさらに備える、請求項21記載のシステム。
【請求項31】
マルチ開口の超音波探触子における振動子素子の位置を測定し、且つ位置合せするための方法であって、
位置合せ組立体に複数の振動子素子を取り付けること、
該複数の振動子素子の少なくとも1つから、試験ブロックを介して超音波パルスを送信すること、
超音波センサを用いて該超音波パルスを受信すること、及び
コントローラで、該超音波センサからの該受信した超音波パルスを評価して、振動子較正データを提供すること
を含む、前記方法。
【請求項32】
前記振動子較正データに基づいて、前記複数の振動子素子を位置合せすることをさらに含む、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記振動子較正データに基づいて、前記複数の振動子素子を自動的に位置合せすることをさらに含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記振動子較正データに基づいて、前記複数の振動子素子を手動で位置合せすることをさらに含む、請求項32記載の方法。
【請求項35】
前記コントローラが、前記超音波センサ上に配置された複数の受信振動子素子に対する相対的な経過時間を検出するように構成されたアルゴリズムを動作させる、請求項32記載の方法。
【請求項36】
前記コントローラが、前記振動子素子から、前記超音波センサ上に配置された受信振動子素子への完全な移動時間を計算するように構成されたアルゴリズムを動作させる、請求項32記載の方法。
【請求項37】
前記コントローラが、前記振動子較正データに基づいて、前記複数の振動子素子の相対的な位置を計算するように構成されたアルゴリズムを動作させる、請求項32記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−5a】
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【図6−6a】
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【図6b−c】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図9d】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11】
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【図12】
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【図13a】
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【図13b】
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【図13c】
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【図14a】
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【図14b】
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【図14c】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19a−b】
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【図20】
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【図21a】
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【図21b】
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【図22】
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【図23a】
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【図23b】
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【図23c】
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【図23d】
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【図24】
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【図25】
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【図26a】
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【図26b】
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【公表番号】特表2012−523917(P2012−523917A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506167(P2012−506167)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/031067
【国際公開番号】WO2010/120907
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511032992)マウイ イマギング,インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】