説明

複雑性が増大した生理活性アセンブリーを生成するための方法および組成物ならびに使用

本発明は、一定の組成を有し、多官能性および/または結合特異性を有することができる生理活性アセンブリーを製造および使用するための方法と組成に関する。特定の実施態様では、生理活性アセンブリーは、二量体化およびドッキングドメイン(DDD)とアンカードメイン(AD)との間の特異的な結合相互作用を活用するdock−and−lock(DNL)法を用いて形成される。種々の実施態様では、1種類以上のエフェクターがDDDまたはAD配列と結合することができる。相補的なADまたはDDD配列は、生理活性アセンブリーのコアを形成し、特異的なDDD/AD相互作用によってアセンブリーを形成させるアダプターモジュールと結合できる。このようアセンブリーは、疾患、病原体の感染、または他の病状または獣医学的状態の治療、検出、および/または診断のための広範なエフェクターと結合することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2006年3月24日出願の国際出願PCT/US/第2006/010762号、および2006年3月29日出願の国際出願PCT/US/第2006/012084号の一部継続出願であり、2006年3月24日出願の米国特許出願第11/389,358号、および2006年3月28日出願の米国特許出願第11/391,584号の一部継続出願であり、米国特許法第119条(e)の規定により、2005年10月19日出願の米国仮特許出願第60/728,292号、2005年12月16日出願の米国仮特許出願第60/751,196号、および2006年3月14日出願の米国仮特許出願第60/782,332号に基づく優先権の主張を伴い、引用されたそれぞれの文献のすべての内容は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
発明の分野
本発明の種々の実施態様は、多価、多重、および/または多官能性アセンブリーを製造および使用するための方法および組成物に関する。該アセンブリーには、特に、癌、自己免疫疾患、心血管疾患、代謝性疾患、アルツハイマー病等の神経疾患を含む変性疾患、および移植臓器拒絶等が挙げられるがこれらに限定されない、感染、疾患、および他の健康に関連する状態の治療、検知、および/または診断の分野で、幅広い用途における使用が見出されている。
【0003】
発明の背景
複数組の標的およびエフェクター部位をともに組み込んだ人工薬剤は、より強力な結合を与え、より高い有効性が得られるため、非常に望ましい。標的ドメインおよびエフェクタードメインの両者を含む融合タンパク質の作製には、組換え技術が通常用いられるが、同一のまたは異なる単量体成分を含む多量体構造は、共役化学を慎重に適用することによってのみ得ることができる。
【0004】
組換え技術によって得られる薬剤については、高い製造コスト、低い発現収率、血清中での不安定性、凝集体の形成またはサブユニットの解離等に至る溶液中での不安定性、複数の生成物形態の存在に起因するバッチ組成の不確定性、副生成物の混入、立体的要因またはコンホメーションの変化に起因する機能活性または親和性/結合性の低下等の問題が生じる可能性がある。種々の化学的架橋法により得られる薬剤については、高い製造コストおよび精製した生成物の不均一性が、2つの大きな制約である。
【0005】
したがって、一定の組成、一定の純度で、親和性を変化させることなく、かつ過度の精製を要することなく高収率で製造することが可能な、多重特異性または多重官能性を有する多価構造の一般的な製造法に対する需要が依然として存在する。さらに、該構造は、インビボでの適用のために、血清中で十分に安定でなければならない。構築が容易で、および/または比較的高純度で容易に得られる、多重特異性または多重官能性を有する安定な多価構造に対する需要も存在する。
【0006】
要約
本発明は、インビボおよびインビトロでの用途に好適な、高い錯形成能を有する生理活性アセンブリーを生成するための基盤技術を開示する。組立体は、2005年10月19日出願の米国仮特許出願第60/728,292号、2005年12月16日出願の米国仮特許出願第60/751,196号、2006年3月14日出願の米国仮特許第20/782,332号、および2006年3月28日出願の米国特許出願第11/389,358号(それぞれの文献のすべての内容は参照により本明細書に援用される)において議論されているとともに、最近報告がなされた(Rossiら、Proc Natl Acad Sci USA, 2006, 103: 6841-6846)Dock and Lock(DNL)法に基づく戦略を用いて少なくとも2つの異なるタンパク質または非タンパク質の位置特異的な結合によって形成されている。
【0007】
生理活性アセンブリーの使用法としては、検出、診断、および/または疾患もしくは他の関連する病状の治療が挙げられる。該疾患としては、癌、過形成、糖尿病網膜症、黄斑変性、炎症性大腸炎、クローン病、 潰瘍性大腸炎、全身性リウマチ、糖尿病、サルコイドーシス、ぜんそく、浮腫、肺高血圧、乾癬、角膜移植拒絶反応、血管新生緑内障、遺伝性出血性毛細血管拡張症、心筋血管新生、プラーク血管新生、再狭窄、 血管障害後の内膜新生、毛細血管拡張症、血友病性関節症、血管線維腫、慢性炎症に関連する線維症、肺線維症、アミロイドーシス、アルツハイマー病、 臓器移植拒否反応、深部静脈血栓症、または創部肉芽形成が挙げられるがこれらに限定されない。
【0008】
特定の実施態様では、開示された方法および組成物は、急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シドナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、若年性糖尿病、ヘノッホ−シェンライン紫斑病、溶連菌感染後腎炎、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgA腎症、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓血管炎、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症、硬皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ウェゲナー肉芽腫、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄ろう、巨細胞性動脈炎/多発性筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、乾癬、および繊維性肺胞炎等の自己免疫疾患の治療に用いることができる。
【0009】
ある実施態様では、生理活性アセンブリーは、癌の治療に用いることができる。任意の種類の腫瘍および任意の種類の腫瘍抗原を標的とすることができることが予測される。標的とすることができるタイプの腫瘍の例としては、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、胆道癌、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃癌、頭頸部癌、ホジキンソンリンパ腫、肺癌、甲状腺髄様癌、非ホジキンソンリンパ腫、多発性骨髄腫、腎臓癌、卵巣癌、膵臓癌、メラノーマ、肝臓癌、前立腺癌、神経膠腫および他の脳腫瘍、ならびに脊髄腫瘍、および膀胱癌が挙げられる。
【0010】
標的とすることができる腫瘍関連抗原としては、炭酸脱水酵素IX、A3、A33抗体特異性抗原、BrE3抗原、CD1、CD1a、CD3、CD5、CD15、CD16、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD45、CD74、CD79a、CD80、HLA−DR、NCA95、NCA90、HCGおよびそのサブユニット、CEA(CEACAM5)、CEACAM6、CSAp、EGFR、EGP−1、EGP−2、Ep−CAM、Ba733、HER2/neu、低酸素誘導因子(HIF)、KC4−抗原、KS−1抗原、KS1−4、Le−Y、マクロファージ阻害因子(MIF)、MAGE、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、MUC16、PAM−4−抗原、PSA、PSMA、RS5、S100、TAG−72、p53、テネイシン、IL−6、IL−8、インスリン成長因子−1(IGF−1)、Tn抗原、Thomsen-Friedenreich抗原、腫瘍壊死抗原、VEGF、胎盤成長因子(PlGF)、17−1A抗原、血管形成マーカー(ED−Bフィブロネクチン等)、癌遺伝子マーカー(bcl−2等)、癌遺伝子産物、および他の腫瘍関連抗原が挙げられるがこれらに限定されない。腫瘍関連抗原に関する最近の報告としては、Mizukami ら、(2005, Nature Med. 11 :992-97)、Hatfieldら、(2005, Curr. Cancer Drug Targets 5:229-48)、Vallbohmerら、(2005, J. Clin. Oncol. 23:3536-44)、およびRenら、(2005, Ann. Surg. 242:55-63)による報告が挙げられ、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0011】
他の実施態様では、生理活性アセンブリーは、細菌、ウイルス、真菌類、または単細胞寄生生物等の病原体による感染症の治療に用いることができる。治療することができる真菌類の例としては、小胞子菌(Microsporum)、白癬菌(Trichophyton)、表皮菌(Epidermophyton)、スポロトリックス・シェンキー(Sporothrix schenckii)、クリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、コクシジオイデス・イミティス(Coccidioides immitis)、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、ブラストミセス・デルマチチジス(Blastomyces dermatitidis)またはカンジダ菌(Candida albican)が挙げられる。ウイルスの例としては、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、ヒトパピローマウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、センダイウイルス、ネコ白血病ウイルス、レオウイルス、ポリオウイルス、ヒト血清パルボ様ウイルス、シミアンウイルス40、呼吸器合胞体ウイルス、マウス乳癌ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、デング熱ウイルス、風疹ウイルス、はしかウイルス、アデノウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、エプスタイン−バーウイルス、ネズミ白血病ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、シンドビスウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、またはブルータングウイルスが挙げられる。細菌の例としては、炭疽菌(Bacillus anthracis)、B群連鎖球菌(Streptococcus agalactiae)、レジオネラ菌(Legionella pneumophilia)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、大腸菌(Escherichia coli)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)、肺炎球菌(Pneumococcus spp.)、インフルエンザ桿菌B(Hemophilus influenzae B)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、ライム病スピロヘータ(Lyme disease spirochetes)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、ハンセン菌(Mycobacterium leprae)、ウシ流産菌(Brucella abortus)、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、またはマイコプラズマ(Mycoplasma)が挙げられる。寄生生物の例としては、ランブル繊毛虫(Giardia lamblia)、ジアルジア属(Giardia spp.)、ニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii)、トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)、クリプトスポリジウム(Cryptospordium spp.)、アカントアメーバ属(Acanthamoeba spp.)、ネグレリア属(Naegleria spp.)、リーシュマニア属(Leishmania spp.)、大腸バランチジウム(Balantidium coli)、エバンス・トリパノソーマ(Trypanosoma evansi)、トリパノソーマ属(Trypanosoma spp.)、二核アメーバ(Dientamoeba fragilis)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、トリコモナス属(Trichmonas spp.)、エントアメーバ属(Entamoeba spp.)、二核アメーバ属(Dientamoeba spp.)、バベシア属(Babesia spp.)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、イソスポラ属(Isospora spp.)、トキソプラズマ属(Toxoplasma spp.)、エンテロシトゾーン属(Enterocytozoon spp.)、ニューモシスティス属(Pneumocystis spp.)、およびバランチジウム属(Balantidium spp.)が挙げられる。
【0012】
制限されないが、種々の実施態様では、細菌毒素、植物毒素、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ(RNase)、DNaseI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、緑膿菌外毒素(Pseudomonas exotoxin)、 緑膿菌内毒素(Pseudomonas endotoxin)、ランピルナーゼ(Rap)、Rap(N69Q)、PE38、dgA、DT390、PLC、tPA、サイトカイン、成長因子、可溶性受容体成分、サーファクタントタンパク質D、IL−4、sIL−4R、sIL−13R、VEGF121、TPO、EPO、血栓溶解剤、酵素、蛍光タンパク質、sTNFα−R、アビマー、scFv、dsFv、またはナノボディー等のペプチド治療薬または診断薬のうち1種類以上を生理活性アセンブリーに結合させ、または組み込んでもよい。
【0013】
ある実施態様では、抗血管新生剤が生理活性アセンブリーの一部をなし、または生理活性アセンブリーに結合していてもよい。用いられる抗血管新生剤の例としては、アンジオスタチン、バキュロスタチン、カンスタチン、マスピン、抗−VEGF抗体またはペプチド、抗胎盤成長因子抗体またはペプチド、抗Flk−1抗体、抗Flt−1抗体またはペプチド、ラミニンペプチド、フィブロネクチンペプチド、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、組織メタロプロテイナーゼ阻害剤、インターフェロン、インターロイキン12、IP−10、Gro−β、トロンボスポンジン、2−メトキシエストラジオール、プロリフェリンに関連するタンパク質、カルボキサミドトリアゾール、CM101、マリマスタット、ペントサンポリサルフェート、アンジオポエチン2、インターフェロンα、ハービマイシンA、PNU145156E、16Kプロラクチン断片、リノマイド、サリドマイド、ペントキシフェリン、ゲニステイン、TNP−470、エンドスタチン、バクリタキセル、アクリン(accutin)、アンジオスタチン、シドフォビル(cidofovir)、ビンスリスチン、ブレオマイシン、AGM−1470、血小板因子4、またはミノサイクリンが挙げられる。
【0014】
さらに他の実施態様では、アプリジン、アザリビン、アナストロゾール、アザシチジン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブリオスタチン−1、ブスルファン、カリケアマイシン、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、カルムスチン、セレブレックス、クロラムブシル、シスプラチン、イリノテカン(CPT−11)、SN−38、カルボプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ドセタキセル、ダクチノマイシン、ダウノマイシングルクロニド、ダウノルビシン、デキサメタゾン、ジエチルスチルベストロール、ドキソルビシン、2−ピロリノドキソルビシン(2P−DOX)、シアノモルホリノドキソルビシン、ドキソルビシングルクロニド、エピルビシングルクロニド、エチニルエストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エトポシドグルクロニド、リン酸エトポシド、フロクスウリジン(FUdR)、3’,5’−O−ジオレオイルFudR(FUdR−dO)、フルダラビン、フルタミド、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、ジェムシタビン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ヒドロキシ尿素、イダラビシン、イフォスファミド、L−アスパラギナーゼ、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、酢酸メドロプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキセート、ミトキサントロン、ミスラマイシン、ミトマイシン、ミトタン、酪酸フェニル、プレドニソン、プロカルバジン、パクリタキセル、ペントスタチン、PSI−341、セムスチン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、タクサネス、タキソール、プロピオン酸テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、テニポシド、トポテカン、ウラシルマスタード、ベルケイド、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンスリスチン、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、オンコナーゼ、rapLR1、DNase I、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、緑膿菌外毒素、緑膿菌内毒素、アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはこれらの組み合わせ等の治療剤のうち1種類以上を、生理活性アセンブリーに結合させ、または組み込んでもよい。
【0015】
種々の実施態様では、診断薬、治療薬、化学療法剤、放射性同位元素、イメージング剤、抗血管新生剤、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、医薬、プロドラッグ、酵素、結合分子、細胞表面受容体に対するリガンド、キレート化剤、免疫調節剤、オリゴヌクレオチド、干渉RNA、アプタマー、ホルモン、光標識、色素、ペプチド、毒素、造影剤、常磁性標識、超音波標識、アポトーシス促進剤、リポソーム、ナノ粒子、またはこれらの組み合わせ等のエフェクターのうち1種類以上を、生理活性アセンブリーに結合させてもよい。
【0016】
種々の実施態様は、生理活性アセンブリー、および異常細胞のアポトーシスを誘導するのに有用な、その使用法に関するものであってよい。より詳細については、そのすべての内容が参照により本明細書に援用される、米国特許出願公開第20050079184号に記載されている。該構造は、CD2、CD3、CD8、CD10、CD21、CD23、CD24、CD25、CD30、CD33、CD37、CD38、CD40、CD48、CD52、CD55、CD59、CD70、CD74、CD80、CD86、CD138、CD147、HLA−DR、CEA、CSAp、CA−125、TAG−72、EFGR、HER2、HER3、HER4、IGF−1R、c−Met、PDGFR、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、MUC16、TNFR1、TNFR2、NGFR、Fas(CD95)、DR3、DR4、DR5、DR6、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、テナシン、PSMA、PSA、炭酸脱水酵素DC、およびIL−6からなる群より選択される抗原に対する親和性を有する、抗体または抗体の断片等の、第1のおよび/または第2の結合基を有していてよい。より具体的な実施態様では、アポトーシスを誘導するのに有用な生理活性アセンブリーは、モノクローナル抗体、Fab断片、キメラ抗体、ヒト化抗体、もしくはヒト抗体または断片を含んでいてよい。好ましい実施態様では、生理活性アセンブリーは、抗CD74抗体×抗CD20抗体、抗CD74抗体×抗CD22抗体、抗CD22抗体×抗CD20抗体、抗CD20抗体×抗HLA−DR抗体、抗CD19抗体×抗CD20抗体、抗CD19抗体×抗CD22抗体、抗CD20抗体×抗CD80抗体、抗CD2抗体×抗CD25抗体、抗CD8抗体×抗CD25抗体、および抗CD2抗体×抗CD147抗体の組み合わせを有していてよい。より好ましい実施態様では、キメラ抗体、ヒト化抗体、もしくはヒト抗体または抗体断片は、LL2(抗CD22抗体)、LL1(抗CD74抗体)、およびA20(抗CD20抗体)の可変ドメインから誘導されるものであってよい。
【0017】
ある実施態様では、当技術分野では周知の治療効果を有するタンパク質またはペプチドをADまたはDDD配列に結合させ、本発明の方法および組成物において、エフェクターとして用いることができる。該治療効果を有するタンパク質またはペプチドとして多くのものが知られており、例えば、2005年11月2日出願の米国特許出願公開第20060084794号「Albumin fusion proteins」に記載されており、そのすべての内容は参照により本明細書に援用される。米国特許出願公開第20060084794号の表1には、治療効果を有する有用なタンパク質またはペプチドの種々の公知の例が、名称の例、特許の参照番号、および好ましい表示とともに列挙されており、特に、そのすべての内容は参照により本明細書に援用される。治療効果を有する有用な他のタンパク質またはペプチドは、例えば、米国特許第6,309,633号に記載されており、そのすべての内容は参照により本明細書に援用される。副腎皮質刺激ホルモン、エビラチド、アンジオテンシン、アンジオテンシンII、アスパラギナーゼ、心房性ナトリウム利尿ペプチド、心房性ナトリウム利尿ペプチド、バシトラシン、β−エンドルフィン、血液凝固因子VII、VIII、およびIX、血液胸腺因子、骨形態形成因子、骨形態形成因子、ブラジキニン、セルレイン、カルシトニン遺伝子に関連するポリペプチド、カルシトニン、CCK-8, 細胞成長因子、EGF、TGF−α、TGF−β、酸性FGF、塩基性FGF、ケモカイン、コレシストキニン、コレシストキニン−8、コレシストキニン−パンクレオザイミ、コリスチン、コロニー刺激因子、GMCSF、MCSF、コルチコトロピン放出因子、サイトカイン、デスモプレシン、ジペプチド、ジスムターゼ、ダイノルフィン、エレドイシン、エンドルフィン、エンドセリン、エンドセリン−アンタゴニストペプチド、エンドセリン、エンケファリン、上皮成長因子、エリスロポエチン、小胞刺激ホルモン、ガラニン、胃抑制ポリペプチド、胃液放出ポリペプチド、ガストリン、G−CSF、グルカゴン、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、ゴナドトロピン、グラミシジン、グラミシジン類、成長因子、成長ホルモン放出因子、成長ホルモン、h−ANPホルモン放出ホルモン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ヒト絨毛性ゴナドトロピンβ鎖、ヒト胎盤性ラクトーゲン、インスリン、インスリン様成長因子、IGF−I、IGF−II、インターフェロン、インターロイキン、腸管ポリペプチド、カリクレイン、キョートルフィン、ルリベリン、黄体形成ホルモン、黄体形成ホルモン放出ホルモン、塩化リゾチーム、メラニン細胞刺激ホルモン、メラニン細胞刺激ホルモン、メリチン、モチリン、ムラミル、ムラミルジペプチド、神経成長因子、神経栄養因子、NT−3、NT−4、CNTF、GDNF、BDNF、神経ペプチドY、ニューロテンシン、オキシトシン、パンクレアスタチン、パンクレアチンポリペプチド、パンクレオジミン、甲状腺ホルモン、ペンタガストリン、ポリペプチドYY、下垂体アデニルシクラーゼ活性化ポリペプチド、血小板由来増殖因子、ポリミキシンB、プロラクチン、タンパク質合成刺激ポリペプチド、PTHに関連するタンパク質、リラクシン、レニン、セクレチン、血清胸腺因子、ソマトメジン、ソマトスタチン、物質P、超酸化物、スーパーオキシドジスムターゼ、タフトシン、テトラガストリン、トロンボポエチン、胸腺体液因子、チモポエチン、チモシン、チモスティムリン、甲状腺ホルモン放出ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、チロトロピン放出ホルモン(TRH)、トリプシン、タフトシン、腫瘍成長因子、腫瘍壊死因子、チロキジン、ウロガストリン、ウロキナーゼ、血管活性腸管ポリペプチド、バソプレッシン、および機能的に同等なもの等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
具体的な実施態様の説明
特許公報、特許出願、記事、書籍、および論文を含むが、これらに限定されないで、本出願で引用した文献すべてまたは文献の一部は、明示的にすべての内容が参照により本明細書に援用される。
【0019】
定義
本明細書で用いる場合、 「a」または「an」は、1つまたは2つ以上の物を意味していてよい。
【0020】
本明細書で用いる場合、「および(and)」および「または(or)」は、ともに、連言的または選言的の両者の意味に用いることができる。すなわち、いずれの用語も、特に断らない限り、「および/または」と等価であると理解される。
【0021】
本明細書記載の場合、抗体とは、全長の免疫グロブリン分子(IgG抗体等)(天然のもの、または通常の免疫グロブリン遺伝子断片の組換えプロセスにより形成するもの)、または抗体断片等の、免疫グロブリン分子の免疫活性(特異的結合)部位もしくはアナログを意味する。
【0022】
抗体断片は、F(ab)、F(ab’)2、Fab、Fv、sFv等の抗体の一部分である。構造に関わりなく、抗体断片は、正常な抗体によって認識されるものと同一の抗原と結合する。「抗体断片」という用語には、特定の抗原と結合してアセンブリーを形成することにより抗体としての挙動を示す、任意の合成または遺伝子組換えタンパク質が含まれる。例えば、抗体断片は、重鎖および軽鎖の可変ドメインからなる「Fv」断片等の可変ドメイン、軽鎖と重鎖とがペプチドリンカー(「scFvタンパク質」)よって接続された組換え単鎖ポリペプチド分子、および超可変ドメインを模倣したアミノ酸残基からなる最小認識ユニット(CDR)よりなる単離された断片を含んでいる。
【0023】
エフェクターは、選択された結果をもたらす原子、分子、または化合物である。エフェクターとしては、治療薬および/または診断薬を挙げることができる。
【0024】
治療薬は、疾患の治療に有用な原子、分子、または化合物である。治療剤の例としては、抗体、抗体断片、医薬、毒素、酵素、ヌクレアーゼ、ホルモン、免疫調節剤、アンチセンスオリゴヌクレオチド、短鎖干渉RNA(siRNA)、アプタマー、キレート化剤、ホウ素化合物、光活性剤、色素、および放射性同位元素が挙げられる。治療剤の他の例および使用法については、米国特許出願公開第20050002945号、20040018557号、20030148409号、および20050014207号に記載されており、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0025】
診断薬は、インビトロまたはインビボでの試験による疾患の診断に有用な原子、分子、または化合物である。有用な診断薬の例としては、放射性同位元素、(ビオチン−ストレプトアビジン錯体に基づくもの等の)色素、造影剤、蛍光化合物または分子、および磁気共鳴イメージング(MRI)用の増感剤(常磁性イオン等)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
免疫抱合体は、結合性分子(抗体成分等)と、原子、分子、または(担体、治療薬、または診断薬等との)高次構造との抱合体である。
【0027】
裸の抗体とは、他の薬剤と結合していない抗体である。
【0028】
担体は、治療薬または診断薬と会合して、これらの薬剤の細胞への送達を増大させることのできる原子、分子、または高次構造である。担体としては、タンパク質、ペプチド、脂質(高次構造を形成することができる両親媒性の脂質等)、多糖(デキストラン等)、またはミセル、リポソーム、もしくはナノ粒子等の他の高次構造が挙げられる。
【0029】
本明細書で用いる場合、抗体融合タンパク質とは、同一または異なる種が結合している、2つ以上の同一または異なるscFvまたは抗体断片組換えにより製造された抗原結合性分子を意味する。融合タンパク質の価数は、1つの抗原またはエピトープに含まれる結合手または部位の数(1価、2価、3価、または多価)を示す。抗体融合タンパク質の多価性とは、抗体融合タンパク質が抗原との結合の際に、複数の相互作用を利用することができ、それゆえに抗原との結合の強さを増大させることを意味する。特異性は、抗体融合タンパク質と結合することができる抗原またはエピトープの数(単一特異性、二重特異性、三重特異性、多重特異性)を示す。これらの定義を用いると、天然抗体(IgG等)は、2本の結合手を有しているので2価であるが、1つのエピトープと結合するので、単一特異性である。単一特異性の多価融合タンパク質は、エピトープに対する2つ以上の結合手を有しているが、該エピトープの1つのみと結合し、例えば、同一の抗原と結合する2つの結合部位を有するダイアボディーである。融合タンパク質は、単一の抗体成分、多価性または多重特異性を有する異なる抗体成分の組み合わせ、または複数の同一抗原成分を含んでいてよい。融合タンパク質は、さらに、抗体または抗体断片、および治療薬を含んでいてよい。融合タンパク質に好適な該治療薬の例は、免疫調節剤(「免疫調節剤融合タンパク質」)、および毒素(「抗体−毒素融合タンパク質」)等である。1つの好ましい毒素は、リボヌクレアーゼ(RNase)、好ましくは組換えRNaseを含んでいる。
【0030】
投与された量が生理学的に効果を有する場合、抗体もしくは免疫抱合体製剤、または本明細書記載の組成物は、「治療効果を有する量」投与されたという。その存在が、投与を受けた哺乳動物の生理に検出可能な変化をもたらす場合、薬剤は生理学的に有効である。特に、その存在が、抗腫瘍反応を引き起し、または自己免疫疾患状態の兆候または症状を緩和させる場合、抗体製剤は生理学的に有効である。生理学的に重要な効果は、投与を受けた哺乳動物において、標的細胞の変性、成長阻害、または死をもたらす体液性免疫応答および/または細胞免疫応答を喚起することであってもよい。
【0031】
DNLに基づく生理活性アセンブリー
本発明のある実施態様は、Dock−and−Lock(DNL)法に基づく位置特異的な結合戦略を用いて形成された生理活性アセンブリーに関するものであってよい。DNL法では、互いに特異的に結合する性質を有することが見出されているα−へリックスペプチドを利用する。α−へリックスペプチドは、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)の調節(R)サブユニット中の二量体化およびドッキングドメイン(DDD)、および種々のA−キナーゼアンカータンパク質(AKAP)のアンカードメイン(AD)である。個々のペプチドを、対象となる物質に、組換えにより融合または化学的に結合させると、これらのへリックスは、2つの修飾された物質を「ドッキング」させて準安定的な構造を形成し、これらのヘリックスに導入されたシステイン残基より形成されるジスルフィド結合によって「ロック」され、安定な複合体を形成するための、優れたリンカーモジュールを与える。PKA中で、2種類のRサブユニット(RIおよびRII)が同定され、それぞれαおよびβアイソフォームを有している。Rサブユニットは、安定な二量体としてのみ単離されており、AKAPは、Rサブユニットの二量体とのみ結合するため、DNL法のユニークな特徴は、DDDに由来するペプチドを有する物質が常にホモ二量体を形成し、最終複合体には、その物質が2組存在する点である。
【0032】
相互作用する2組のDDDおよびADペプチドは、リンカーモジュールとして特に興味深い。第1の組は、ヒトRIIaの44個のアミノ末端残基に由来するDDD2(図1A、配列番号1)と、RIIaへの選択的結合のために最適化された合成タンパク質であるAKAP−ZS(Altoら、Proc Natl Acad Sci USA, 2003, 100: 4445-4450)に由来するAD2(図1B、配列番号2)とからなる。第2の組は、ヒトRIa(Leonら、J Biol Chem, 1997, 272: 28431-28437)のペプチド断片(12〜61番目の残基)に由来するDDD3(図1C、配列番号3)またはDDD3C(図1D、配列番号4)と、RIaと特異的に結合するD−AKAP2の変異ペプチドであるPV−38(Burns-Hamuro ら、Proc Natl Acad Sci USA, 2003, 100: 4072- 4077)に由来するAD3(図1E、配列番号5)とからなる。
【0033】
ある実施態様では、一方がRIIαのDDD(例えば、AD2がDDD2)と選択的に結合し、他方がRIαのDDD(例えば、AD3がDDD3C)と選択的に結合する、2つの明確に異なるADペプチドを含むタイプaアダプターモジュール(Ma)と以後、呼ばれる生体物質を製造し、それを用いて一方が、RIIαのDDDに結合する各単量体サブユニットを有するホモ二量体(Xと表記)からなり、他方がRIαのDDDに結合する各単量体サブユニットを有する異なるホモ二量体(Yと表記)からなる、今後、周辺モジュールと呼ばれる他の2つの生体物質との複合体を形成させ、その結果、図2に示すように、5種類の成分を含むアセンブリーX(Ma)Yを形成することになる。
【0034】
他の実施態様では、一方(例えば、DDD2)がAD2と選択的に反応し、他方(例えば、DDD3C)がAD3と選択的に反応する、2つの別個のDDDペプチドを含むタイプbのアダプターモジュール(Mb)と今後、呼ばれる生体物質を、以後(Mb)と呼ばれるホモ二量体として製造し、それを用いて一方は、AD2に結合した単量体サブユニット(Xと表記される)からなり、他方は、AD3に結合した別の単量体サブユニット(Yと表記される)をからなる2つの周辺モジュールとの複合体を形成させ、その結果、図3に示すように、4つの成分を含むアセンブリーX(Mb)Yを形成することになる。
【0035】
さらに他の実施態様では、AD2およびDDD3の両者を含む、今後、タイプcのアダプターモジュール(Mc)と呼ばれる生体物質を、以後(Mc)と呼ばれるホモ二量体として製造し、それを用いてそれぞれが、DDD2に結合した各単量体サブユニットを有するホモ二量体(Xと表記)からなる2つの同一の周辺モジュールとの複合体を形成させ、その結果、図4に示すように、6つの成分を含むアセンブリーX(Mc)を形成することになる。
【0036】
さらなる実施態様では、AD2およびDDD3C(タイプcのようにDDD3の代わりに)の両方を含むタイプdのアダプターモジュール(Md)と今後、呼ばれる生体物質を、以後(Md)と呼ばれるホモ二量体として製造し、それを用いて2つが、DDD2に結合した各単量体サブユニットを有する同一のホモ二量体(Xと表記)で、第3のものは、AD3に結合した単量体サブユニット(Yと表記される)からなる、3つの周辺モジュールとの複合体を形成させ、その結果、図5に示すように、7つの成分を含むアセンブリーX(Md)YXを形成することになる。
【0037】
ある実施態様では、本発明により製造される生理活性アセンブリーは、該修飾によって得ることができる機能を追加するために、さらにエフェクターおよび担体と結合していてよい。さらに、生理活性アセンブリーは、DNAまたはRNA、または免疫刺激性のCpGモチーフを含む合成オリゴヌクレオチド(ODN)(Klinman, Nat Rev Immunol, 2004, 4: 1-10; Krieg, Nat Rev Drug Discov, 2006, 5: 471-484)と結合可能な成分を含むように構成されていてよい。
【0038】
本発明の方法および組成物により、選択したアダプターモジュールのタイプおよびアダプターモジュールに結合させた周辺モジュールの種類に応じて広範な用途を有する、多数の生理活性アセンブリーを製造することができる。アダプターモジュールとして特に興味深い生理活性物質としては、ヒトIgG1のFcドメイン、ヒト血清アルブミン(HSA)、種々の熱ショックタンパク質(HSP)、生体発光タンパク質、ヒトトランスフェリン(hTf)、およびヒトプロタミンが挙げられる。周辺モジュールとして作用させるために誘導することができる生理活性物質としては、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、可溶性受容体、抗体断片、蛍光タンパク質、l−ペプチド、d−ペプチド、非天然アミノ酸を含むペプチド、ペプトイド、模倣ペプチド、DNA配列、合成CpGODN、短鎖干渉RNA、ヒトプロタミン1、プロタミンより誘導されるDNA結合性ペプチド、タンパク質変換ドメイン、核局在化シグナル、経皮吸収または膜浸透を増大させるペプチド、DNAおよびRNAアプタマー、ペプチドアプタマー、コレラ毒素サブユニットB単量体、酵素、ポリエチレングリコール、ナノ粒子、薬剤含有ポリマー、キレート、量子ドット、およびナノボディー、エビボディー、アンキリン反復タンパク質、トランスボディー、アンチカリン、マイクロボディー、アドネクチンドメイン抗体、アフィボディー、マキシボディー、テトラネクチン、アフィリン分子、iMabs、およびMonobody(Heyら、Trends Biotechnol, 2005, 23: 514-522; Binz ら、Nat Biotechnol, 2005, 23: 1257-1268)等の種々の構造体に基づく結合性タンパク質が挙げられる。タイプa、b、c、およびdのアダプターモジュールに基づくアセンブリーのうち選択されたものの具体的な組成物を、それぞれ、表1、2、3、および4に示す。
【0039】
HSPに基づくアダプターモジュール
十分に特性化された分子からなるサブユニットワクチンは、優れた安全性プロファイルおよび製造が容易であるため、非常で有望であるが、免疫源性が低く、安定性が不十分であることがネックになっており、改良された送達用ビヒクル、および効率が高いが毒性を有しない助剤の開発により改善され得る。本発明の組成物および方法は、(1)特定の抗原性分子を含み、(2)免疫応答を増大させるための組み込み型の助剤を含み、(3)抗原に特異的なT細胞免疫を誘導することができるサブユニットワクチンの生成に適用することができる。
【0040】
1つの手法は、タンパク質またはペプチドである標的抗原および免疫促進剤に由来する周辺モジュールを結合させて、HSPに基づくタイプaアダプターモジュールを生成することであり、その結果、直接免疫またはエクスビボでの樹状細胞のプライミングのためのタンパク質またはペプチドをベースとしたワクチンを得ることになり、HC−IおよびMHC−IIの両者による抗原提示を実現する(Srivastava, Nat Rev Immunol, 2002, 2: 185-194)。あるいは、HSPに基づくアプタマーモジュールを、DNA結合性タンパク質、例えば、ヒトプロタミン(Song ら、Nat Biotechnol, 2005, 23: 709-717)、またはクラスター化したアルギニン残基を含む、RRRRRRGGRRRRRR(配列番号10)(Brewerら、J Biol Chem, 2003, 278: 42403-42406)等のDNA結合性ペプチド、および抗体断片等の標的分子に由来する周辺モジュールと結合させて、標的遺伝子、あるいは標的遺伝子および免疫促進剤の両者をコード化するプラスミドと複合化させることにより、標的特異的なDNAワクチンとして有用な多官能性のアセンブリーを得る。さらに、HSPは、種々の抗原性ペプチドと非共有的に会合する能力を有しているため(米国特許第5,935,576号、および米国特許第5,750,119号)、該ワクチンによるより広範な保護のために、スペクトルを拡大することができる可能性を有している。実施例1では、HSPに基づくタイプaのアダプターモジュールの生成および使用について記載している。
【0041】
ヒトプロタミンに基づくアダプターモジュール
ヒトプロタミンに基づく生理活性アセンブリーは、DNAワクチン、siRNAおよび特定の細胞に対する治療効果を遺伝子の送達に特に有用である。抗gp120Fab抗体およびヒトプロタミン1(hP1)からなる融合タンパク質(F105−P)が、緑膿菌外毒素Aをコード化するプラスミド(Chenら、Gene Ther, 1995, 2: 116-123)、またはsiRNAの、HIV感染細胞またはHIVエンベロープを発現した腫瘍細胞への送達に効果的であることが示されている(Song ら、Nat Biotechnol, 2005, 23: 709-717)。標的に特異的に結合するタンパク質等の異なる生体物質に由来する周辺モジュールを結合させるために、hP1に基づくタイプbのアダプターモジュールを生成することができ、このようにして得られるアセンブリーは、複合化によりhP1に結合するプラスミド、siRNAの標的特異的な送達に用いることができる。あるいは、標的に特異的に結合するタンパク質等の同一の生体物質に由来する周辺モジュールを結合させるためにhP1に基づくタイプcのアダプターモジュールを生成することができ、このようにして得られる4組の標的に特異的に結合するタンパク質を有するアセンブリーは、複合化によりhP1に結合するプラスミド、siRNAの標的特異的な送達に用いることができる。さらなる実施態様では、2種類の異なる生体物質に由来する周辺モジュールを結合させるために、hP1に基づくタイプdのアダプターモジュールを生成することができ、このようにして得られる4組の単一の物質および1組の他の物質を含むアセンブリーは、複合化によりhP1に結合するプラスミド、siRNAの標的特異的な送達に用いることができる。実施例2および3では、それぞれ、hP1に基づくタイプbおよびタイプcのアダプターモジュールの生成および使用について記載されている。
【0042】
ヒト免疫グロブリンのFcドメインに基づくアダプターモジュール
ヒトIgGのFcドメインを含む融合タンパク質は、Fcドメインの固有の性質によって多くの利点を有している。例えば、肺および小腸上皮に発現した新生児受容体(FcRn)へのFcドメインの結合は、粘膜関門を通したFc融合タンパク質の輸送を促進し(Spiekermannら、J Exp Med, 2002, 196: 303-310)、肺または口腔への送達を可能にする(Dumontら、J Aerosol Med, 2005, 18: 294-303; Bitontiら、Proc Natl Acad Sci USA, 2004, 101: 9763-9768; Lowら、Hum Reprod, 2005, 20: 1805-1813)。また、連続して血管内皮に発現したFcRnへのpH依性のFcの結合は、IgG抗体またはFcを含む融合タンパク質の血清中での半減期を増大させる。FcRnに対し、より高い親和性を有するIgGまたはFcドメインの変異体が、該改変された構築物の血清中での半減期を大幅に増大させることが示された(Hintonら、J Immunol, 2006, 176: 346-356; Hintonら、J Biol Chem, 2004, 279: 6213-6216)。一方、FcRnに対し、対応する野生型よりも低い親和性を有するIgGまたはFcドメインの変異体は、より短い血清中での半減期を示した(Kenanova ら、Cancer Res, 2005, 65: 622-631)。Fcドメインを含む生体物質の薬物動態を調節することができる能力は、ドラッグデザインにとって非常に魅力的である。Fcドメインに基づくタイプb、c、およびdのアダプターモジュールの生成および使用の概略を、それぞれ実施例4、5、および6に示す。DDD3−CH2−CH3−AD2およびDDD3C−CH2−CH3−AD2に対する発現ベクターの構築に関する詳細な説明を、実施例7に記載している。
【0043】
生理活性アセンブリーの抱合体
上述の生理活性アセンブリーに、他の残基をさらに抱合させてもよい。例えば、医薬、毒素、放射性化合物、酵素、ホルモン、細胞毒性タンパク質、キレート、サイトカイン、および他の活性剤を、生理活性アセンブリーに抱合させることができる。例えば、アミン、カルボキシル、チオール、またはヒドロキシル基を側鎖に含むアミノ酸残基への共有結合を介して抱合させることができる。例えば、ジイソシアネート、ジイソチオシアネート、ビス(ヒドロキシコハク酸イミド)、エステル、カルボジイミド、マレイミド−ヒドロキシコハク酸イミドエステル、グルタルアルデヒド等の種々のリンカーを、この目的に用いることができる。薬剤の生理活性アセンブリーへの抱合は、好ましくは、未修飾の構造に含まれる個々のサブユニットの活性に影響を与えない。結合は、異なる周辺モジュール、および生理活性アセンブリーの調製のために用いられる得られる抱合体毎に別個に行うことができる。さらに、細胞毒性剤を、まずポリマー担体に結合させ、次いで生理活性アセンブリーに抱合させてもよい。この方法に関しては、Ryserら、Proc. Natl. Acad. Sd. USA, 75:3867-3870, 1978; 米国特許第4,699,784号、および米国特許第4,046,722号を参照されたい。それぞれは参照により本明細書に援用される。後述するように、1種類以上のエフェクターを担体残基に結合させてもよく、次いで、例えば、担体残基に特異的に結合するモノクローナル抗体またはその断片に組み込むことにより、生理活性アセンブリーを標的としてもよい。標的とされた細胞、組織、または病原体に局在化した生理活性アセンブリーへのエフェクター分子の送達への担体残基の使用例については、以下の予備標的化の項で述べる。
【0044】
本明細書記載の抱合体は、当技術分野では周知の種々の方法を用いて調製することができる。例えば、生理活性アセンブリーを、131Iによって放射線標識でき、得られる抱合体がリポソームを形成できるように、生理活性アセンブリーは脂質に抱合されうる。リポソームは、1種類以上の治療薬(FUdR−dO等の薬剤)または診断薬を含んでいてよい。あるいは、担体以外に、生理活性アセンブリーは(例えば、チロシン残基上で)131Iおよび(例えば、リジンのε−アミノ基上で)薬剤に抱合され、担体は、他の治療薬または診断薬を含んでいてよい。治療薬および診断薬は、生理活性アセンブリーの1つ以上のサブユニットと共有結合していてよい。
【0045】
リポソームおよびミセルの形成は公知である。例えば、WrobelおよびCollins, Biochimica et Biophysica Acta (1995), 1235: 296-304; Lundbergら、J. Pharm. Pharmacol. (1999), 51 :1099-1105; Lundbergら、Int. J. Pharm. (2000), 205:101-108; Lundberg, J. Pharm. Sci. (1994), 83:72-75; Xuら、Molec. Cancer Ther. (2002), 1:337-346; Torchilinら、Proc. Nat'l. Acad. Sci., U.S.A. (2003), 100:6039-6044、米国特許第5,565,215号、米国特許第6,379,698号、および米国特許出願公開第2003/0082154号を参照されたい。
【0046】
ポリマー、シリカ、または金属から形成され、薬剤の送達またはイメージングに有用なナノ粒子またはナノカプセルについても文献に記載されており、例えば、Westら、Applications of Nanotechnology to Biotechnology (2000), 11 :215-217米国特許第5,620,708号、米国特許第5,702,727号、および米国特許第6,530,944号を参照されたい。治療薬または診断薬に対する標的担体を形成するための抗体または結合分子とリポソームとの複合化については、文献に記載されており、例えば、Bendas, Biodrugs (2001), 15:215-224; Xuら、MoI. Cancer Ther (2002), 1:337- 346; Torchilinら、Proc. Nat'l. Acad. Sci. U.S. A (2003), 100:6039-6044; Ballyら、J. Liposome Res.(1998), 8:299-335; Lundberg, Int. J. Pharm. (1994), 109:73-81; Lundberg, J. Pharm. Pharmacol. (1997), 49:16-21; Lundberg, Anti-cancer Drug Design (1998), 13: 453- 461を参照されたい。また、米国特許第6,306,393号、米国特許出願公開第10/350,096号、米国特許出願公開第09/590,284号、および1999年6月9日出願の米国仮特許出願第60/138,284号を参照されたい。なお、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0047】
生理活性集合物の抱合体を形成するために、広範な診断薬および治療薬を有利に用いることができ、または生理活性アセンブリーの認識部位に結合するハプテンに結合できる。診断薬としては、放射性同位元素、MRI用の増感剤または超音波イメージング用の造影剤、および蛍光化合物が挙げられる。多くの好適なイメージング剤が、これらをタンパク質またはペプチドに結合させる方法とともに知られている(例えば、米国特許第5,021,236号および第4,472,509号を参照されたい。なお、それぞれは参照により本明細書に援用される)。ある結合方法は、例えば、タンパク質またはペプチドに結合した、DTPA等の有機キレート化剤を用いる金属キレート錯体の使用を含んでいる(米国特許第4,472,509号を参照されたい)。
【0048】
生理活性アセンブリーに放射性金属または常磁性イオンを導入するためには、まず、放射性金属または常磁性イオンと結合する複数個のキレート基が結合した担体と反応させる必要がある。該担体は、ポリリジン、多糖、または、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ポルフィリン、ポリアミン、クラウンエーテル、ビスチオセミカルバゾン、ポリオキシム等のこうした目的に有用であることが知られているキレート基を結合させることのできるペンダント基を有する高分子物質誘導体、または誘導可能な高分子物質であってよい。凝集および免疫活性の低下を最小限にするような標準的化学反応を用いて、キレートを含む担体は、生理活性アセンブリーと結合する。
【0049】
該抱合体を調製するための他の方法および試薬については、米国特許第4,824,659号に開示されており、そのすべての内容は参照により本明細書に援用される。本特に有用な金属−キレートの組み合わせとしては、通常、エネルギー範囲が60〜4000keVである診断用同位元素とともに用いられる2−ベンジル−DTPAおよびそのモノメチルおよびシクロヘキシルアナログである。いくつかの有用な診断用核としては、124I、18F、52Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、86Y、89Zr、94Tc、94mTc、99mTc、または111Inが挙げられる。マンガン、鉄およびガドリニウム等の非放射活性の金属との同様のキレート錯体は、本明細書記載の生理活性アセンブリーおよび担体とともに用いられた場合、MRIに有用である。NOTA、DOTAおよびTETA等の大環状キレートは、多くの金属および放射性金属、特に、それぞれ、ガリウム、イットリウムおよび銅の放射性核とともに用いる場合に有用である。該金属−キレート錯体は、対象となる金属に対して環の大きさを調整することにより、非常に安定化することができる。223Raに対する大環状ポリエーテル等の、他の環状キレートを用いてもよい。
【0050】
治療薬としては、例えば、ビンカアルカロイド、アントラサイクリン、エピドフィロトキシン、タキサン、代謝拮抗剤、アルキル化剤、抗生物質、Cox−2阻害剤、抗有糸分裂剤、抗血管新生剤およびアポトーシス促進剤、特にドキソルビシン、メトトレキセート、タキソール、CPT−11、SN−38、カンプトテカン、これらのおよび別種の抗癌剤の他の形態等の化学療法剤が挙げられる。好適な化学療法剤は、REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES, 19th Ed. (Mack Publishing Co. 1995)、および GOODMAN AND GILMAN'S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS, 7th Ed. (MacMillan Publishing Co. 1985)、ならびにこれらの改訂版に記載されている。実験薬等の他の好適な化学療法剤は、当業者に周知であり、当技術分野では周知の方法を用いて、本明細書記載の生理活性アセンブリーに抱合することができる。
【0051】
他の種類の治療薬は、α粒子(212Pb、212Bi、213Bi、211At、223Ra、225Ac等)、β粒子(32P、33P、47Sc、67Cu、67Ga、89Sr、90Y、111Ag、125I、131I、142Pr、153Sm、161Tb、166Ho、166Dy、177Lu、186Re、188Re、189Re等)またはオージェ電子(111In、125I、67Ga、191Os、193mPt、195mPt、195mHg等)を放出する放射性核を含んでいる。診断薬について記載の方法を用いて、1種類以上の放射性核で生理活性アセンブリーを標識化することができる。
【0052】
エフェクターとして有用な治療効果を有するタンパク質またはペプチドは、米国特許第6,309,633号(参照により本明細書に援用される)に記載されており、例えば、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、副腎皮質刺激ホルモン誘導体(エビラチド等)、アンジオテンシン、アンジオテンシンII、アスパラギナーゼ、心房性ナトリウム利尿ペプチド、心房性ナトリウム利尿ペプチド、バシトラシン、β−エンドルフィン、血液凝固因子VII、VIII、およびIX、血液胸腺因子(FTS)、血液凝固因子誘導体(米国特許第4,229,438号を参照されたい)、ボンペジン、骨形態形成因子(BMP)、骨形態形成タンパク質、ブラジキニン、セルレイン、カルシトニン遺伝子に関連するポリペプチド(CGRP)、カルシトニン、CCK−8、細胞成長因子(EGF、TGF−α、TGF−β、PDGF、酸性FGF、塩基性FGF等)、セルレイン、ケモカイン、コレシストキニン、コレシストキニン−8、コレシストキニン−パンクレオザイミン(CCK−PZ)、コリスチン、コロニー刺激因子(CSF、GCSF、GMCSF、MCSF等)、コルチコトロピン放出因子(CRF)、サイトカイン、デスモプレシン、ダイノルフィン、ジペプチド、ジスムターゼ、ダイノルフィン、エレドイシン、エンドルフィン、エンドセリン、エンドセリン−アンタゴニストペプチド(欧州特許出願公開第436189号、457195号、および第496452号、ならびに特開平3−94692号公報および特開平3−130299号公報を参照されたい)、エンドセリン類、エンケファリン、エンケファリン誘導体(米国特許第4,277,394号および欧州特許出願公開第31567号を参照されたい)、上皮成長因子(EGF)、エリスロポエチン(EPO)、小胞刺激ホルモン(FSH)、ガラニン、胃抑制ポリペプチド、胃液放出ポリペプチド、(GRP)、ガストリン、G−CSF、グルカゴン、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオ−ペルオキシダーゼ、ゴナドトロピン(ヒト絨毛性ゴナドトロピンおよびそのα、βサブユニット等)、グラミシジン、グラミシジン類、成長因子(EGF)、成長ホルモン放出因子(GRF)、成長ホルモン、ホルモン放出ホルモン(LHRH)、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(h−ANP)、ヒト胎盤性ラクトーゲン、インスリン、インスリン様成長因子(IGF−I、IGF−II)、インターフェロン、インターフェロン涙(α−、β−、およびγ−インターフェロン等)、インターロイキン(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、および12等)、腸管ポリペプチド(VIP)、カリクレイン、キョートルフィン、ルリベリン、黄体形成ホルモン(LH)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)、塩化リゾチーム、メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)、メラニン細胞刺激ホルモン、メリチン、モチリン、ムラミル、ムラミルジペプチド、神経成長因子(NGF)、神経栄養因子(NT−3、NT−4、CNTF、GDNF、BDNF等)、神経ペプチドY、ニューロテンシン、オキシトシン、パンクレアスタチン、パンクレアチンポリペプチド、パンクレオジミン、甲状腺ホルモン(PTH)、ペンタガストリン、ポリペプチドYY、下垂体アデニルシクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAPs)、血小板由来増殖因子、ポリミキシンB、プロラクチン、タンパク質合成刺激ポリペプチド、PTHに関連するタンパク質、リラクシン、レニン、セクレチン、血清胸腺因子、ソマトメジン、ソマトスタチン誘導体(サンドスタチン、米国特許第4,087,390号、第4,093,574号、第4,100,117号、および第4,253,998号を参照されたい)、物質P、超酸化物、スーパーオキシドジスムターゼ、タフトシン、テトラガストリン、トロンボポエチン(TPO)、胸腺体液因子(THF)、チモポエチン、チモシン、チモスティムリン、甲状腺ホルモン放出ホルモン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、チロトロピン放出ホルモン(TRH)、トリプシン、タフトシン、腫瘍成長因子(TGF−α)、腫瘍壊死因子(TNF)、チロキジン、ウロガストリン、ウロキナーゼ、血管活性腸管ポリペプチド、バソプレッシン、および該ポリペプチドと機能的に同等なものが挙げられる。
【0053】
検出可能な標識(蛍光分子等)を含む好適なペプチド、または細胞毒性剤(放射性ヨウ素等)は、生理活性アセンブリーと共有結合できたり、非共有結合できたり、あるいは他の方法で結合できる。例えば、光活性剤または色素を生理活性アセンブリーに導入することにより、治療に有用な抱合体を得ることができる。病巣に適当な光を照射することにより、病巣を検出および治療するために、蛍光色素および他の発色団、または可視光に感受性を有するポルフィリン等の色素等の蛍光組成物が用いられている。治療では、該方法は、光照射、光線療法、または光線力学療法と呼ばれている。Joriら(編)、PHOTODYNAMIC THERAPY OF TUMORS AND OTHER DISEASES (Libreria Progetto 1985)、van den Bergh, Chem. Britain (1986), 22:430を参照されたい。さらに、光線療法を行うために、モノクローナル抗体を光活性色素と結合させた。Mewら、J. Immunol. (1983),130:1473、同上、Cancer Res. (1985), 45:4380、Oseroff ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1986), 83:8744、同上、Photochem. Photobiol. (1987), 46:83、Hasan ら、Prog. Clin. Biol. Res. (1989), 288:471、Tatsuta ら、Lasers Surg. Med. (1989), 9:422; Pelegrin ら、Cancer (1991), 67:2529.を参照されたい。内視鏡の応用も考えられる。内視鏡的な検出および治療方法は、米国特許第4,932,412号、米国特許第5,525,338号、米国特許第5,716,595号、米国特許第5,736,119号、米国特許第5,922,302号、米国特許第6,096,289号、および米国特許第6,387,350号に記載されており、そのすべての内容は参照により本明細書に援用される。
【0054】
ある実施態様では、本明細書に開示された新規な組成物および方法は、治療のためのRNAiの標的化遺伝子導入に有用である。導入手段は、ヒトプロタミン(約50のアミノ酸残基のペプチド)と融合し、内在化した抗体結合ドメインを有する生理活性アセンブリーであってよい。例としては、両者ともに、インビボでの使用のために、RNAi等と安定なDNAまたはRNA複合体を形成することができるヒトプロタミン1(hP1)および/またはプロタミン2(hP2)が挙げられる(Nat Biotechnol. 23: 709-717, 2005、Gene Therapy. 13: 194-195, 2006)。多価複合体は、標的細胞への結合および内在化を促進し、非共有的に結合したRNAiは、エンドソームの内部で解離し、細胞質中へ放出される。RNAiの送達以外に、これらの組成物は、治療効果を有する遺伝子またはDNAワクチンの標的化遺伝子導入にも有用である。他の用途としては、機能的にはRNAiのタンパク質アナログである細胞内発現抗体の製造への本技術の応用がある。
【0055】
ペプチドの投与
本発明の方法および/または組成物に関する種々の実施態様は、被験体に投与するための、1種類以上のペプチドをベースとする生理活性アセンブリーに関する。投与は、経口、経鼻、口腔、吸入、直腸、経膣、局所、同所、皮内、皮下、筋内、腹腔内、動脈内、髄腔内、または静脈内注入等が挙げられるが、これらに限定されずに、当技術分野では周知の任意の方法を用いて行うことができる。
【0056】
被験体に経口投与する未修飾のペプチドは、消化器内で分解するおそれがあり、配列および構造によっては、腸管の内層からの吸収性が低い場合がある。しかし、ペプチドを化学修飾して、内在性の酵素による分解のおそれを低減させ、消化管からの吸収性を増大させる方法がよく知られている(例えば、Blondelle ら、1995, Biophys. J. 69:604- 11、Ecker and Crooke, 1995, Biotechnology 13:351-69、Goodman and Ro, 1995, BURGER'S MEDICINAL CHEMISTRY AND DRUG DISCOVERY, VOL. I, Wollf(編著). John Wiley & Sons、Goodman and Shao, 1996, Pure & Appl. Chem. 68:1303-08を参照されたい)。D−アミノ酸を含むペプチド、ペプチドの構造を模倣した有機分子よりなる模倣ペプチド。またはビニルペプトイド等のペプトイド等の、ペプチドアナログのライブラリーを調製する方法も文献に記載されており、被験体への経口投与に有用な、ペプチドに基づく生理活性アセンブリーの構築に用いることができる。
【0057】
ある実施態様では、標準的なペプチド結合を、CH−NH、CH−S、CH−CH、CH=CH、CO−CH、CHOH−CH等の1種類以上の他の結合と置換してよい。ペプチド模倣体を調製する方法はよく知られている(例えば、Hruby, 1982, Life Sci 31:189-99、Holladay ら、1983, Tetrahedron Lett. 24:4401- 04、Jennings-White ら、1982, Tetrahedron Lett. 23:2533、Almquiest ら、1980, J. Med. Chem. 23:1392-98、Hudson ら、1979, Int. J. Pept. Res. 14:177-185、Spatola ら、1986, Life Sci 38:1243-49、米国特許第5,169,862号、第5,539,085号、第5,576,423号、第5,051,448号、第5,559,103号を参照されたい。なお、それぞれは参照により本明細書に援用される)。ペプチド模倣体は、それらペプチドの類似体に比べて、インビトロでの安定性および/あるいは吸収性が向上している可能性がある。
【0058】
あるいは、エキソペプチダーゼ活性を阻害するためのN−末端および/またはC−末端のキャッピングを用いて、ペプチドを投与することができる。例えば、C−末端は、アミドペプチドを用いてキャッピングすることができ、N−末端は、ペプチドのアセチル化によってキャッピングすることができる。エキソペプチダーゼをブロックするために、例えば、環状アミド、ジスルフィド、エーテル、スルフィド等の形成により、ペプチドを環化してもよい。
【0059】
ペプチドの安定化は、特に、エンドペプチダーゼが作用することが知られている位置の天然のL−アミノ酸をD−アミノ酸に置換することによって行うことができる。エンドペプチダーゼが結合および分解する配列は当技術分野では周知であり、D−アミノ酸を導入したペプチドの製造方法および使用方法は、文献に記載されている(例えば、McBrideらによる、2004年6月14日出願の米国特許出願公開第20050025709号を参照されたい。なお、それぞれは参照により本明細書に援用される)。ある実施態様では、ペプチドおよび/またはタンパク質は、タンパク分解酵素および/またはペプチダーゼの阻害剤とともに調剤し、経口投与することができる。
【0060】
治療効果を有するペプチドを経口投与するための他の方法は、Mehtaによって開示されている(「Oral delivery and recombinant production of peptide hormones」 June 2004, BioPharm International)。ペプチドは、腸内でのタンパク分解酵素活性を調節し、腸壁を通したペプチドの輸送を増大させる腸溶コーティングがなされた固形の剤型として投与される。この手法を用いると、完全なペプチドの相対バイオアベイラビリティは、投与量の1〜10%となる。コール酸ナトリウムおよびタンパク分解酵素阻害剤を用いた腸溶性マイクロカプセルを使用して、イヌにインスリンを投与することができた(Ziv ら、1994, J. Bone Miner. Res. 18 (Suppl. 2):792-94)。ペプチドの経口投与は、透過促進剤および腸溶コーティングとしてアシルカルニチンを用いて行った(Eudragit L30D-55, Rohm Pharma Polymers社、Mehta, 2004を参照されたい)。経口投与されるペプチドに用いられる賦形剤は、通常、1種類以上の腸内プロテアーゼ/ペプチダーゼ阻害剤を、界面活性剤またはペプチドの溶解性または吸収を促進するための他の薬剤を含んでおり、腸溶コーティングがなされたカプセルまたは錠剤の内部に封入してもよい(Mehta, 2004)。カプセルが腸内で溶解後に、腸を酸性化し、腸内プロテアーゼ活性を阻害するために、有機酸をカプセル内に含んでいてよい。ペプチドを経口投与するための他の方法は、ポリエチレングリコール(PEG)をベースとする両親媒性オリゴマーと抱合化し、吸収を増大させ、酵素分解を抑制する方法である(Soltero and Ekwuribe, 2001, Pharm. Technol. 6:110)。
【0061】
さらに他の実施態様では、IgG1のFcドメイン等の特定のタンパク質と複合化することによって、経口および吸入投与のために修飾することができる(実施例3〜7を参照されたい)。ペプチド−Fcドメイン抱合化の調製および使用方法については、例えば、Low ら、(2005, Hum. Reprod. 20:1805-13)および Dumontら、(2005, J. Aerosol. Med. 18:294-303)等に開示されており、それぞれは参照により本明細書に援用される。Lowら(2005)は、CHO細胞中での組換え発現を用いた、FSHのαおよびβサブユニットの、一本鎖体またはヘテロダイマー体のIgG1のFcドメインとの複合化について開示している。Fcドメイン共役ペプチドは、新生児Fc受容体に媒介される輸送系を介して、肺または腸の上皮細胞に吸収される。Fcドメイン共役ペプチドは、インビボで、野生型ペプチドよりも高い安定性および吸収性を示した。ヘテロダイマー抱合体は、一本鎖体よりもさらに高い活性を示すことが見出された。
【0062】
タンパク質およびペプチド
種々のポリペプチドおよびタンパク質を、本発明の方法および組成物の範囲内で用いることができる。ある実施態様では、タンパク質は、抗体または抗原結合部位を含む抗体断片を含んでいてよい。本明細書で用いる場合、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドは、通常、アミノ酸数が200よりも大きく、遺伝子から翻訳された全長配列以下のものをタンパク質、アミノ酸数が100よりも大きいものをポリペプチド、および/またはアミノ酸数が約3〜約100のものをペプチドというが、これらに限定されない。便宜上、本明細書では、「タンパク質」、「ポリペプチド」、および「ペプチド」という用語は、交換可能に用いられる。したがって、「タンパク質またはペプチド」という用語には、天然に存在するタンパク質中に見られる20種類の通常アミノ酸の少なくとも1つ、または修飾アミノ酸または異常アミノ酸の少なくとも1つを含むアミノ酸配列が含まれる。
【0063】
本明細書で用いる場合、「アミノ酸残基」とは、任意の天然に存在するアミノ酸、任意のアミノ酸誘導体、または当技術分野では周知の任意のアミノ酸模倣体を意味する。ある実施態様では、タンパク質の残基またはペプチドは、アミノ酸残基の配列に挿入された非アミノ酸を含まない連続的なものであり、他の実施態様では、配列は1つ以上の非アミノ酸残基を含んでいてよい。特定の実施態様では、タンパク質またはペプチドの配列に、1つ以上の非アミノ酸残基が挿入されている。
【0064】
したがって、「タンパク質またはペプチド」という用語には、天然に存在するタンパク質中に見られる20種類の通常アミノ酸の少なくとも1つ、または修飾アミノ酸または異常アミノ酸の少なくとも1つを含むアミノ酸配列が含まれるが、以下に示すものに限定されない。
【表2】

【0065】
タンパク質またはペプチドは、標準的な分子生物学的手法により、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドの発現、天然物からのタンパク質またはペプチドの単離、またはタンパク質またはペプチドの化学合成等の、当業者に公知の任意の手法を用いて製造することができる。種々の遺伝子に対応するヌクレオチド、ならびにタンパク質、ポリペプチドおよびペプチド配列がすでに開示されており、当業者に公知のコンピュータデータベースを用いて見つけることができる。該データベースの1つに、全米バイオテクノロジー情報センターのGenBank、およびGenPeptデータベース(www.ncbi.nlm.nih.gov/)がある。本明細書記載の手法、または当業者に公知の手法を用いて、既知の遺伝子のコードドメインを増幅および/または発現させることができる。あるいは、種々の市販のタンパク質、ポリペプチド、およびペプチドが当業者に公知である。
【0066】
模倣ペプチド
ポリペプチドの調製の方法に関する他の実施態様では、ペプチド模倣体を用いる。模倣体は、タンパク質の二次構造の要素を模倣する、ペプチドを含む分子である。例えば、BIOTECHNOLOGYAND PHARMACY、Pezzutoら編、Chapman and Hall, New York (1993)中の、Johnsonら、「Peptide Turn Mimetics」を参照されたい。なお、それぞれは参照により本明細書に援用される。ペプチド模倣体を用いる根拠は、抗体および抗原のペプチド骨格等のタンパク質のペプチド骨格は、主に、分子相互作用を促進するようにアミノ酸側鎖を配列させるために存在しているという点にある。ペプチド模倣体では、天然の分子と同様な分子相互作用が可能であることが期待される。
【0067】
融合タンパク質
種々の実施態様は、融合タンパク質に関するものである。これらの分子は、通常、N−またはC−末端で第2のポリペプチドまたはタンパク質の全部または一部分に結合した、ペプチドの全部または大部分を有している。融合タンパク質を生成させる方法は当業者に周知である。該タンパク質は、例えば、二官能性架橋剤を用いた化学的結合により、全融合タンパク質のデノボ合成により、または第1のタンパク質またはペプチドをコード化するDNA配列を第2のタンパク質またはペプチドをコード化するDNA配列に結合させ、次いで全融合タンパク質を発現させることにより製造することができる。
【0068】
合成ペプチド
タンパク質またはペプチドは、従来の手法を用いて、全部または一部を、溶液中または固体担体上で合成することができる。種々の自動合成器が市販されており、既知の手順にしたがって使用することができる。例えば、Stewart and Young, (1984, Solid Phase Peptide Synthesis, 2d. ed., Pierce Chemical Co.)、Tamら、(1983, J. Am. Chem. Soc, 105:6442)、Merrifield、(1986, Science, 232: 341- 347)、およびBarany and Merrifield (1979, The Peptides, Gross and Meienhofer, eds., Academic Press, New York, pp. 1-284)を参照されたい。通常約6から、最大35〜50アミノ酸よりなる短いペプチド配列は、これらの方法を用いて容易に合成することができる。あるいは、対象となるペプチドをコード化するヌクレオチド配列を発現ベクター中に挿入し、適当な細胞中に形質転換またはトランスフェクトし、発現に適した条件下で培養する組換えDNA技術を用いることができる。
【0069】
抗体
種々の実施態様は、標的に対する抗体に関する。本明細書で用いる場合、「抗体」という用語は、抗原結合部位を有する任意の抗体様の分子を意味し、Fab’、Fab、F(ab’)、単一ドメイン抗体(DAB)、Fv、scFv(単鎖Fv)等の抗体断片が含まれる。抗体をベースとする種々の組成物および断片の調製および使用のための手法は当技術分野では周知である。抗体を調製および評価するための手段についても当技術分野では周知である(例えば、Harlowe and Lane, 1988, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratoryを参照されたい)。有用な抗体は、多くの販売元より市販されている。例えば、種々の抗体分泌性ハイブリドーマ系列は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC、米国バージニア州マナッサス)より入手可能である。腫瘍関連抗原が含まれるがこれらに限定されない、種々の疾患標的に対する多数の抗体が、ATCCに寄託されており、本発明の方法および組成物に用いるために入手可能である(例えば、米国特許第
【表3】



を参照されたい。それぞれは、抗体分泌性ハイブリドーマ系列および抗体またはその断片に関連する抗原に対するATCC寄託番号に関して、参照により本明細書に援用される)。これらは単なる例示であり、他の広範な抗体分泌性ハイブリドーマが当技術分野では周知である。対象となる、選択された疾患に関連する標的に対する抗体に関する、ATCC、PubMed、および/または米国特許商標庁のデータベースを検索するだけで、ほとんどすべての疾患に関連する抗原に対する抗体分泌性ハイブリドーマが得られることを当業者であれば認識するであろう。
【0070】
抗体断片の製造
本発明の方法および/または組成物に関するいくつかの実施態様は、抗体断片に関する。該抗体断片は、従来の方法を用いて、全抗体をペプシンまたはパパインで消化することにより得ることができる。例えば、抗体断片は、ペプシンを用いた抗体の酵素分解により製造することができ、F(ab’)断片が得られる。チオール還元剤を用い、次いで、場合によってはジスルフィド結合の開裂によって生じるスルフヒドリル基をブロックすることにより、この断片をさらに分解することができる。あるいは、パパインnを用いた酵素分解により、2つの1価Fab断片および1つのFc断片が得られる。抗体断片の製造法は、例えば、米国特許第4,036,945号、米国特許第4,331,647号、Nisonoffら、 1960, Arch. Biochem. Biophys., 89:230; Porter, 1959, Biochem. J., 73:119、Edelmanら、1967, METHODS IN ENZYMOLOGY, page 422 (Academic Press)、およびColigan ら、(編)、1991, CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY, (John Wiley & Sons)に開示されている。
【0071】
無傷抗体によって認識される抗原に断片が結合する限り、1価の重鎖−軽鎖断片を形成するための重鎖の分離、断片のさらなる断片化、または他の酵素的、化学的、もしくは遺伝学的手法等の、抗体を切断する他の方法を用いてもよい。例えば、Fv断片は、VH鎖およびVL鎖の会合体を含んでいる。Inbarらが、1972, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA, 69:2659に記載しているように、この会合が非共有的であってよい。あるいは、可変ドメイン鎖が、分子間ジスルフィド結合、またはグルタルアルデヒド等の化合物による架橋によって結合していてよい。Sandhu, 1992, Crit. Rev. Biotech., 12:437を参照されたい。
【0072】
好ましくは、Fv断片は、ペプチドリンカーによって接続されたVHおよびVL鎖を有している。これらの一本鎖の抗原結合タンパク質(sFv)は、VH鎖およびVL鎖をコード化するDNA配列を含み、オリゴヌクレオチドリンカー配列によって接続された構造遺伝子を構築することによって調製する。構造遺伝子は、発現ベクター中に挿入され、次いで、大腸菌等の適当な細胞中に導入される。組換え宿主細胞は、2つの可変ドメインを架橋するリンカーペプチドを有する単一のポリペプチド鎖を合成する。sFvを製造する方法は当技術分野では周知である。Whitlowら、1991, Methods: A Companion to Methods in Enzymology 2:97、Birdら、1988, Science, 242:423、米国特許第4,946,778号、Pack ら、1993, Bio/Technology, 11:1271、およびSandhu, 1992, Crit. Rev. Biotech., 12:437を参照されたい。
【0073】
抗体断片の他の形態は、単一の相補性決定ドメイン(CDR)に対するペプチドコーディングである。CDRペプチド(「最小認識単位」)は、対象となる抗体のCDRをコード化する遺伝子を構築することによって得る。該遺伝子は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を用いて、抗体産生細胞のRNA由来の可変ドメインを合成することによって得る。Larrick ら、1991, Methods: A Companion to Methods in Enzymology 2:106; Ritterら、(編), 1995, MONOCLONAL ANTIBODIES: PRODUCTION, ENGINEERING AND CLINICAL APPLICATION, pages 166-179 (Cambridge University Press)、Birchら、(編), 1995, MONOCLONAL ANTIBODIES: PRINCIPLES AND APPLICATIONS, pages 137-185 (Wiley-Liss, Inc.)を参照されたい。抗体分泌性ハイブリドーマ系列が公開されている場合、抗原−抗体特異性をコードしているCDR配列を得て、キメラ抗体またはヒト化抗体に導入し、用いることができる。
【0074】
キメラ抗体およびヒト化抗体
キメラ抗体は、ヒト抗体の可変ドメインが、例えば、マウスの相補性決定ドメイン(CDR)等のマウスの可変ドメインに置換されたものである。キメラ抗体は、被験体に投与した場合に、低い免疫源性および高い安定性を示す。キメラ抗体を構築する方法は、当技術分野では周知である(例えば、Leungら、1994, Hybridoma 13:469)。
【0075】
キメラモノクローナル抗体は、マウス免疫グロブリンの重鎖および軽鎖可変ドメインのマウスCDRを、ヒト抗体の対応する可変ドメインに導入することによりヒト化することができる。キメラモノクローナル抗体中のマウスフレームワークドメイン(FR)も、ヒトのFR配列と置換される。ヒト化モノクローナル抗体の安定性および抗原特異性を保持するために、1つ以上のヒトFR残基を、マウスの対応する残基に置換することができる。ヒト化モノクローナル抗体を、患者の治療に用いることができる。CDR配列を選択的に改変することによっても、標的に対するヒト化抗体の親和性を増大させることができる(国際公開第00/29584号)。ヒト化モノクローナル抗体を製造するための手法は、当技術分野では周知である(例えば、Jonesら、1986, Nature, 321:522、Riechmannら、Nature, 1988, 332:323、Verhoeyenら、1988, Science, 239:1534、Carterら、1992, Proc. Nat'l Acad. Sci. USA, 89:4285、Sandhu, Crit. Rev. Biotech., 1992, 12:437、Tempestら、1991, Biotechnology 9:266、Singerら、J. Immunol., 1993, 150:2844を参照されたい)。
【0076】
他の実施態様は、非ヒト霊長類抗体に関する。ヒヒから治療に有用な抗体を得るための一般的手法は、例えば、Goldenbergら、国際公開第91/11465号(1991年)、およびLosmanら、Int. J. Cancer 46: 310 (1990)に記載されている。
【0077】
ヒト抗体
コンビナトリアル法またはヒト免疫グロブリンの遺伝子座を形質転換したトランスジェニック動物を用いて完全ヒト抗体を製造する方法は、当技術分野では周知である(例えば、Mancini ら、2004, New Microbiol. 27:315-28; Conrad and Scheller, 2005, Comb. Chem. High Throughput Screen. 8:117-26; Brekke and Loset, 2003, Curr. Opin. Phamacol. 3:544-50を参照されたい。なお、それぞれは参照により本明細書に援用される)。該完全ヒト抗体は、キメラ抗体またはヒト化抗体よりも副作用が低く、インビボで、基本的にヒト抗体として機能することが期待される。ある実施態様では、本発明の方法および手順を、該手法により製造されるヒト抗体に用いることができる。
【0078】
ある変形例では、ヒト化抗体の製造にファージ提示法を用いることができる(例えば、Dantas-Barbosaら、2005, Genet. MoI. Res. 4:126-40を参照されたい。なお、その内容は参照により本明細書に援用される)。ヒト化抗体は、正常なヒトまたは癌等の特定の病的状態を示すヒトから生成することができる(Dantas-Barbosaら、2005)。疾患にかかったヒトからヒト抗体を構築することの利点は、液性抗体レパートリーを、疾患に関連する抗原に対する抗体に偏らせることができる点にある。
【0079】
この方法の非限定的な一例では、Dantes-Barbosaら(2005年)は、骨肉腫の患者よりヒトFab抗体断片のファージ提示ライブラリーを構築した。通常、全RNAは、循環血液中のリンパ球(Id)より得られた。組換えFabを、μ、γ、およびK鎖抗体レパートリーからクローニングし、ファージ提示ライブラリー(Id)に挿入した。RNAをcDNAに変換し、免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の配列に特異的なプライマーを用いたFabのcDNAライブラリーの作成に使用した(Marksら、1991, J. MoI. Biol. 222:581-97を参照されたい。なお、その内容は参照により本明細書に援用される)。ライブラリーの構築は、Andris-Widhopfらの方法にしたがって行った (2000, In: Phage Display Laboratory Manual, Barbasら(編)、1st edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY 中のpp. 9.1〜9.22。なお、その内容は参照により本明細書に援用される)。最終的に得られたFab断片を、制限エンドヌクレアーゼで消化し、バクテリオファージゲノムに挿入して、ファージ提示ライブラリーを作製した。当技術分野では周知のように、通常のファージ提示法により、該ライブラリーをスクリーニングすることができる。この手法は単なる例示であり、ファージ提示法によりヒト抗体を製造およびスクリーニングするための任意の公知の方法を用いることができることを、当業者であれば認識するであろう。
【0080】
他の変形例では、通常の免疫化手順を用いて、ほとんどすべての免疫標的に対する抗体の産生に、ヒト抗体を産生するように遺伝的に改変したトランスジェニック動物を用いることができる。該系の非限定的な例として、Abgenix社(米国カリフォルニア州フレモント)のXenoMouse(登録商標)がある(例えば、Greenら、1999, J. Immunol. Methods 231:11-23を参照されたい。なお、その内容は参照により本明細書に援用される)。XenoMouse(登録商標)および同様の動物では、他のマウスの免疫系は完全に保たれているが、マウス抗体遺伝子は不活性化されており、機能的にヒト抗体遺伝子で置換されている。
【0081】
The XenoMouse(登録商標)を、可変ドメインの大部分を含むヒトIgHおよびIgκ遺伝子座の一部を、アクセサリー遺伝子および調節遺伝子とともに含む、生殖細胞系に構成されたYAC(酵母人工染色体)で形質転換した。ヒト可変ドメインレパートリーを用いて、抗体産生能を有するB細胞を生成することができ、公知の手法を用いてハイブリドーマにすることもできる。標的抗原で免疫したXenoMouse(登録商標)は、通常の免疫応答によってヒト抗体を産生するが、上述の通常の手法を用いて回収および/または製造することができる。XenoMouse(登録商標)について種々の変異体を得ることができ、それぞれが異なるクラスの抗体を産生することができる。該ヒト抗体を、化学的な架橋または他の公知の方法によって他の分子に結合させることができる。トランスジェニック法により作製されたヒト抗体は、通常のヒト抗体の薬物動態特性を保持しつつ、治療能力を有することが示されている(Greenら、1999年)。当業者であれば、本発明の組成物および方法がXenoMouse(登録商標)系に限定されず、ヒト抗体を産生するように改変された任意のトランスジェニック動物を用いることができることを認識するであろう。
【0082】
前標的化
二特異性の生理活性アセンブリーを用いるための戦略の1つとして、二特異性アセンブリーを投与後にエフェクター分子を投与する前標的法が挙げられる。二特異性アセンブリーは、エフェクター、ハプテン、または担体に対する結合部位を含んでおり、病変組織に局在化して、病変組織へのエフェクターの局在化の特異性を向上させる(米国特許出願公開第2005002945号)。エフェクター分子は、二特異性アセンブリーよりもはるかに速く循環系から排出されるので、前標的法を用いる場合には、通常の組織とエフェクター分子との接触は、エフェクター分子を疾患を標的とする抗体に直接結合させた場合よりも減少する。
【0083】
前標的法は、検出または治療薬における、標的対バックグラウンド比を増大させるために開発された。前標的法の例、およびビオチン/アビジン比によるアプローチについては、例えば、Goodwin ら、米国特許第4,863,713号、Goodwinら、J. Nucl. Med. 29:226, 1988、Hnatowichら、J. Nucl. Med. 28:1294, 1987、Oehr ら、J. Nucl. Med. 29:728, 1988、Klibanovら、J. Nucl. Med. 29:1951, 1988、Sinitsynら、J. Nucl. Med. 30:66, 1989、Kalofonosら、J. Nucl. Med. 31:1791, 1990、Schechterら、Int. J. Cancer 48:167, 1991、Paganelliら、Cancer Res. 51:5960, 1991、Paganelliら、Nucl. Med. Commun. 12:211, 1991、米国特許第5,256,395号、Stickneyら、Cancer Res. 51:6650, 1991、Yuanら、Cancer Res. 51:3119, 1991、米国特許第6,077,499号、米国特許出願第09/597,580号、米国特許出願第10/361,026号、米国特許出願第09/337,756号、米国特許出願第09/823,746号、米国特許出願第10/116,116号、米国特許出願第09/382,186号、米国特許出願第10/150,654号、米国特許第6,090,381号、米国特許第6,472,511号、米国特許出願第10/114,315号、米国仮特許出願第60/386,411号、米国仮特許出願第60/345,641号、米国仮特許出願第60/3328,835号、米国仮特許出願第60/426,379号、米国特許出願第09/823,746号、米国特許出願第09/337,756号、および米国仮特許出願第60/342,103号を参照されたい。なお、それぞれの文献は参照により本明細書に援用される。
【0084】
ある実施態様では、二特異性アセンブリーおよび標的化可能なコンストラクトは、例えば、米国特許第6,126,916号、第6,077,499号、第6,010,680号、第5,776,095号、第5,776,094号、第5,776,093号、第5,772,981号、第5,753,206号、第5,746,996号、第5,697,902号、第5,328,679号、第5,128,119号、第5,101,827号、および第4,735,210号記載の方法に基づく、正常組織または病変組織の標的および/またはイメージングに有用である。他の方法は、1999年6月22日出願の米国特許出願第09/337,756号、および2001年4月3日出願の米国特許出願第09/823,746号に記載されている。なお、それぞれの内容は参照により本明細書に援用される。
【0085】
アプタマー
ある実施態様では、生理活性アセンブリー形成の前躯体は、アプタマーを含んでいてよい。アプタマーの構築および結合特性の評価方法は、当技術分野では周知である。例えば、該手法は、米国特許第5,582,981号、第5,595,877号、および第5,637,459号に記載されている。なお、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0086】
アプタマーは、合成、組換え、および精製法等の任意の公知の方法を用いて調製することができ、単独で、または同一の標的に対する特異性を有する他のリガンドとともに用いることができる。一般的に、特異的な結合を起こすためには、最低約3つのヌクレオチド、好ましくは5つ以上のヌクレオチドが必要である。10、20、30、または40ヌクレオチドよりなるアプタマーが好ましいが、10塩基よりも短い配列のアプタマーも可能である。
【0087】
アプタマーは、結合特異性を示す配列を含んでいる必要があるが、隣接ドメインおよび他の誘導体と結合していてよい。好ましい実施態様では、アプタマーの結合配列は、プライマー結合配列と隣接して、PCRまたは他の増幅法によるアプタマーの増幅を促進することができる。他の実施態様では、隣接配列は、アプタマーの基材への固定化を促進するために、残基を優先的に認識または結合する特異性配列を含んでいてよい。
【0088】
アプタマーは、通常のDNAまたはRNA分子と同様に単離、配列決定、および/または増幅もしくは合成することができる。あるいは、対象となるアプタマーは、改変されたオリゴマーを含んでいてよい。通常アプタマーに存在するヒドロキシル基を、ホスホン酸基、リン酸基で置換、通常の保護基で保護、または他のヌクレオチドへの結合をさらに形成するために活性化することができ、また、固体担体に結合させることができる。1つ以上のリン酸ジエステル結合を、P(O)S、P(O)NR、P(O)R、P(O)OR、CO、またはCNRで置換されたP(O)O[式中、RはHまたはアルキル(1〜20C)で、Rはアルキル(1〜20C)である]等の他の結合基で置換することができ、さらに、この基は、OまたはSを介して、隣接するヌクレオチドと結合することができる。オリゴマー中の結合は、必ずしもすべて同一である必要はない。
【0089】
対象となる特定の標的に結合するアプタマーの調製およびスクリーニング方法はよく知られており、例えば、米国特許第5,475,096号、および米国特許第5,270,163号を参照されたい。なお、それぞれは参照により本明細書に援用される。手法は、通常、候補アプタマーの混合物から選択すること、段階的に結合を反復し、結合したアプタマーを結合していないものから分離すること、および増幅することを含んでいる。混合物中には、最も高い親和性を有するアプタマーに対応する配列が少数しか存在しないため(1分子のアプタマーのみである可能性もある)、混合物中のアプタマーのうち十分な量(約5〜50%)が分離後にも残っているようにするために、分離基準を設定することが通常望ましい。サイクルごとに、標的に対して高い親和性を有するアプタマーが濃縮される。標的に対する高い親和性および特異性を有するアプタマーを精製するために、選択および濃縮サイクルを3〜6回反復することができる。
【0090】
アビマー
ある実施態様では、本明細書記載の周辺モジュールおよび/またはアセンブリーは、1種類以上のアビマー配列を含んでいてよい。アビマーは、種々の標的に対する親和性および特異性において抗体にいくらか類似した、結合タンパク質の一種である。これらは、ヒト細胞外受容体ドメインより、インビトロでのエキソンのシャッフリングおよびファージの提示により開発された(Silvermanら、2005, Nat. Biotechnol. 23:1493-94、Silvermanら、2006, Nat. Biotechnol. 24:220)。得られる多重ドメインタンパク質は、単一のエピトープを有する結合タンパク質よりも高い親和性(ナノモル以下になる場合もある)および特異性を示す複数の独立した結合ドメインを含んでいてよい。(Id)。種々の実施態様では、アビマーは、例えば、本発明の方法および組成物で用いるために、DDDおよび/またはAD配列と結合していてよい。アビマーの構築および使用に関する詳細な方法は、例えば、米国特許出願公開第20040175756号、第20050048512号、第20050053973号、第20050089932号、および第20050221384号に開示されており、各実施例は、参照により本明細書に援用される。
【0091】
病変組織の検出、診断、およびイメージング方法
タンパク質に基づくインビトロでの診断
本発明は、インビトロおよび/またはインビボで、疾患に関連する抗原の存在について生体サンプルをスクリーニングするための生理活性アセンブリーの使用を目的とする。典型的な免疫分析では、抗体、融合タンパク質、またはこれらの断片を含む生理活性アセンブリーを、液相中、または後述するように固体担体に結合した状態で用いることができ、好ましい実施態様では、特にインビボへ投与され、抗体またはその断片がヒト化されている。抗体またはその断片が完全ヒト抗体またはその断片であることも好ましい。よりさらに好ましくは、融合タンパク質は、ヒト化または完全ヒト抗体を含んでいる。特定の遺伝子の発現レベルの決定について広範な手法が知られており、免疫分析、RT−PCR、mRNA精製、および/またはcDNAの調製および遺伝子発現分析チップへのハイブリダイゼーション等の任意の公知の方法を用いて、個々の被験体および/または組織における発現レベルの決定を行うことができることを、当業者は認識する。有用なインビトロでの分析の典型例としては、RIA、ELISA、サンドイッチELISA、ウェスタンブロット法、スロットブロット法、ドットブロット法等が挙げられる。該手法は、完全抗体を用いて開発されたが、抗体、抗体断片または他の結合残基を導入した生理活性アセンブリーを用いることができる。
【0092】
抗体、融合タンパク質、抗体断片、および/または他の結合残基を導入した生理活性アセンブリーを、組織学的検体から調製した組織断面における標的抗原の検出に用いることができる。該インサイチュ(in situ)検出を、抗原の存在の決定、および検体組織における抗原の分布の決定に用いることができる。インサイチュ検出は、検出可能な標識を有するアセンブリーを、凍結またはパラフィン包埋した組織断面に塗布することにより行うことができる。インサイチュ検出の一般的な手法は、当業者に周知である。例えば、MAMMALIAN DEVELOPMENT: A PRACTICAL APPROACH 113-38 Monk(編) (IRL Press 1987)中のPonder, 「Cell Marking Techniques and Their Application」、およびColigan のpages 5.8.1-5.8.8を参照されたい。
【0093】
例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光標識、色素、発色団、化学発光標識、生体発光標識、または常磁性標識等の任意の適当なマーカー残基を用いて、生理活性アセンブリーに検出可能な標識を行うことができる。
【0094】
マーカー残基は、γ線量計、またはβ線シンチレーションカウンター、またはオートラジオグラフィー等の手段によって検出される放射性同位元素であってよい。好ましい実施態様では、診断用抱合体は、γ線、β線、または陽電子放出性の同位元素である。マーカー残基とは、所定の条件下でシグナルを発生する単一の分子を意味する。マーカー残基の例としては、放射性同位元素、酵素、蛍光標識、色素、発色団、化学発光標識、生体発光標識、および常磁性標識が挙げられる。マーカー残基の生理活性アセンブリーへの結合は、当技術分野では周知の標準的方法を用いて行うことができる。これに関する通常の方法は、Kennedyら、Clin. Chim. Acta 70: 1 (1976)、Schursら、Clin. Chim. Acta 81: 1 (1977)、Shihら、Infl J. Cancer 46: 1101 (1990)に記載されている。
【0095】
インビボでの診断
標識ペプチドまたはMAbによる診断用イメージングについてはよく知られている。例えば、免疫シンチグラフィー法では、リガンドまたは抗体を、γ線放射性の放射性同位元素で標識化し、患者の体内に導入する。γ線カメラを用いて、γ線放射性の放射性同位元素の位置および分布を検出する。例えば、Srivastava(編)、RADIOLABELED MONOCLONAL ANTIBODIES FOR IMAGING AND THERAPY (Plenum Press 1988), REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES, 18th Edition、Gennaroら、(編), pp. 624-652 (Mack Publishing Co., 1990)所収のChase、「Medical Applications of Radioisotopes」、およびBIOTECHNOLOGY AND PHARMACY 227-49, Pezzuto ら、(編) (Chapman & Hall 1993)所収のBrown、「Clinical Use of Monoclonal Antibodies」を参照されたい。18F、68Ga、64Cu、および124I等の、511keVのエネルギーを有するもの等の、陽電子放出性の放射性同位元素(PET同位元素)を用いることも好ましい。該イメージングは、生理活性アセンブリーの直接標識化により、またはGoldenberg ら、「Antibody Pre-targeting Advances Cancer Radioimmunodetection and Radioimmunotherapy」 ( J Clin Oncol 2006;24:823-834)記載の前標的イメージング法により行うことができる。米国特許出願公開第20050002945号、第20040018557号、第20030148409号、および第20050014207も参照されたい。なお、それぞれは参照により本明細書に援用される。
【0096】
患者に送達される放射線量は、最小の半減期、最小の体内保持時間、検出および正確な測定が可能な最小量の最良の組み合わせのための同位元素の選択によって、できるだけ低い値に保たれる。診断用イメージングに好適な放射性同位元素としては、99mTcおよび111Inが挙げられる。
【0097】
生理活性アセンブリー、またはそれらに結合するハプテンまたは担体は、常磁性イオンおよびインビボでの診断のための種々の放射性造影剤によっても標識化することもできる。磁気共鳴イメージングのために特に有用な造影剤は、ガドリニウム、マンガン、ジスプロシウム、ランタン、または鉄イオンを含んでいる。他の造影剤は、クロム、銅、コバルト、ニッケル、レニウム、ユーロピウム、テルビウム、ホルミウム、またはネオジムが挙げられる。リガンド、抗体およびその断片を、超音波造影剤/増強剤と複合化することもできる。例えば、1つの超音波造影剤は、ヒト化IgGまたはその断片を含むリポソームである。超音波イメージング剤が、ガス充填されたリポソームであることも好ましい。
【0098】
イメージング剤および放射性同位元素
多くの好適なイメージング剤が、これらをタンパク質またはペプチドに結合する方法とともに公知である(例えば、米国特許第5,021,236号、および第4,472,509号を参照されたい。なお、両者ともに参照により本明細書に援用される)。ある結合方法は、例えば、タンパク質またはペプチドに結合したDTPA等の有機キレート化剤等を用いる金属キレート錯体の使用を含んでいる(米国特許第4,472,509号)。タンパク質またはペプチドを、グルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸塩等のカップリング剤の存在下で酵素と反応させてもよい。フルオレセインマーカーとの抱合体は、これらのカップリング剤の存在下で、またはイオチオシアネートとの反応により調製することができる。
【0099】
用いることができる可能性を有する常磁性イオンの非限定的な例としては、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)、およびエルビウム(III)が挙げられ、ガドリニウムが特に好ましい。X線イメージング等の他の状況において有用なイオンとしては、ランタン(III)、金(III)、鉛(II)、および特にビスマス(III)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
イメージング剤または治療薬として用いることができる可能性を有する放射性同位元素としては、アスタチン、炭素14、クロム51、塩素36、コバルト57、コバルト58、銅62、銅64、銅67、Eu152、フッ素18、ガリウム67、ガリウム68、水素、ヨウ素123、ヨウ素124、ヨウ素125、ヨウ素131、インジウム111、鉄52、鉄59、ルテチウム177、リン32、リン33、レニウム186、レニウム188、Sc47、セレン75、銀111、硫黄35、テクネチウム94m、テクネチウム99m、イットリウム86、およびイットリウム90、およびジルコニウム89が挙げられる。I125は、ある実施態様で用いるのに好ましい場合が多く、テクネチウム99mおよびインジウム111も、エネルギーが低く、長期間の検出に適しているため、好ましい場合が多い。
【0101】
放射性標識タンパク質またはペプチドは、当技術分野では周知の方法を用いて製造することができる。例えば、これらをヨウ化ナトリウムまたはカリウムおよび次亜塩素酸ナトリウム等の化学酸化剤、またはラクトパーオキシダーゼ等の酵素酸化剤と接触させることによりヨウ素化することができる。タンパク質またはペプチドは、例えば、過テクネチウム酸をスズ(II)溶液で還元し、還元されたテクネチウムをSephadexカラム上でキレート化し、ペプチドをこのカラムに通すリガンド交換法により、または、例えば、過テクネチウム酸、SnCl等の還元剤、フタル酸ナトリウムカリウム溶液等の緩衝溶液、およびペプチドをインキュベートする直接標識法により、テクネチウム99mで標識化することができる。金属イオンとして存在する放射性同位元素をペプチドに結合させるのに用いられることが多い中間官能基としては、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、DOTA、NOTA、ポルフィリンキレート化剤、およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が挙げられる。ローダミン、イソチオシアン酸フルオレセイン等の蛍光標識の使用も意図される。
【0102】
ある実施態様では、タンパク質またはペプチドは、発色物質と接触すると着色した生成物を生じる二次結合リガンドまたは酵素(酵素タグ等)と結合していてよい。好適な酵素としては、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼ、(西洋ワサビ)ヒドロペルオキシダーゼ、およびグルコースオキシダーゼが挙げられる。好ましい二次結合リガンドは、ビオチンおよびアビジンまたはストレプトアビジン化合物である。該標識の使用は当業者に周知であり、例えば、米国特許第3,817,837号、 第3,850,752号、 第3,939,350号、 第3,996,345号、 第4,277,437号、 第4,275,149 号および第 4,366,241号に記載されており、それぞれは参照により本明細書に援用される。これらの蛍光標識は、インビトロでの使用のために好ましいが、インビボ、特に内視鏡または血管内検出法での用途にも有用である。
【0103】
他の実施態様では、リガンド、抗体、または他のタンパク質またはペプチドは、蛍光マーカーで標識されていてよい。光検出可能な標識の非限定的な例には、Alexa 350、Alexa 430、AMCA、アミノアクリジン、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665、BODIPY-FL、BODIPY-R6G、BODIPY-TMR、BODIPY-TRX、5−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン、5−カルボキシ−2’,4’,5’,7’−テトラクロロ−ジメトキシフルオレセイン、5−カルボキシフルオレセイン、5−カルボキシローダミン、6−カルボキシローダミン、6−カルボキシテトラメチルアミノ、カスケードブルー、Cy2、Cy3、Cy5、6−FAM、ダンシルクロリド、フルオレセイン、HEX、6−JOE、NBD(7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール)、オレゴングリーン488、オレゴングリーン500、オレゴングリーン514、パシフィックブルー、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、クレジルファストバイオレット、クレジルブルーバイオレット、ブリリアントクレジルブルー、パラ−アミノ安息香酸、エリスロシン、フタロシアニン、アゾメチン、シアニン、キサンチン、スクシニルフルオレセイン、希土類金属クリプテート錯体、ユーロピウムトリスビピリジンジアミン、ユーロピウムクリプテートまたはキレート錯体、ジアミン、ジシアニン、La Jolla blue色素、アロピコシアニン、アロコシアニンB、フィコシアニンC、フィコシアニンR、チアミン、フィコエリスロシアニン、フィコエリスリンR、REG、ローダミングリーン、イソチオシアン酸ローダミン、ローダミンレッド、ROX、TAMRA、TET、TRIT(テトラメチルローダミンイソチオール)、テトラメチルローダミン、Edans、およびテキサスレッドが含まれる。これらのものおよび他の発光標識は、Molecular Probes社(米国オレゴン州ユージーン)、およびEMD Biosciences社(米国カリフォルニア州サンディエゴ)等の商業的供給源より入手可能である。
【0104】
有用な化学発光標識化合物としては、ルミノール、イソルミノール、芳香族アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩およびシュウ酸エステル、またはルシフェリン、ルシフェラーゼ、およびエクオリン等の生体発光化合物が挙げられる。診断用抱合体を、例えば、腫瘍または疾患の術中、内視鏡、または血管内診断に用いることができる。
【0105】
種々の実施態様では、有用な標識は、金属ナノ粒子を含んでいてよい。ナノ粒子の調製方法は既知である(例えば、米国特許第6,054,495号、第6,127,120号、第6,149,868号、Lee and Meisel, J. Phys. Chem. 86:3391-3395, 1982を参照されたい)。ナノ粒子は、商業的供給源(例えば、Nanoprobes Inc.、米国ニューヨーク州ヤバンク、Polysciences, Inc.、米国ペンシルベニア州ウォリントン)より市販もされている。Nanoprobes Inc.(米国ニューヨーク州ヤバンク)より市販のNanogold(登録商標)等の、修飾ナノ粒子が市販されている。タンパク質またはペプチドとの抱合化に有用な官能基化されたナノ粒子が市販されている。
【0106】
治療薬
医薬組成物
ある実施態様では、生理活性アセンブリーおよび/または1種類以上の治療薬を、癌に罹った被験体等の被験体に投与することができる。該薬剤を、医薬組成物の形態で投与することができる。通常、これは、ヒトまたは動物に有害である不純物をほぼ含まない組成物の調製を伴う。医薬組成物を、例えば、経口、または血管内等の非経口等の種々の経路で被験体に投与することができることは、当業者に公知である。
【0107】
ある実施態様では、有効量の治療薬を被験体に投与しなければならない。「有効量」とは、望ましい効果が得られる薬剤の量である。有効量は、例えば、薬剤の有効性および目的とする効果に依存する。例えば、黄斑変性または子宮内膜症等の過形成症状の治療のためには、固形癌の縮小もしくは消去、または転移の予防もしくは軽減を目的とする癌の治療の場合と比べて、抗血管新生剤の投与量を少なくする必要がある。特定の目的に対する特定の薬剤の有効量は、当業者に周知の方法を用いて決定することができる。
【0108】
化学療法剤
ある実施態様では、化学療法剤を投与ことができる。抗癌作用を有する化学療法剤としては、5−フルオロウラシル、ブレオマイシン、ブスルファン、カンプトテシン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン(CDDP)、シクロホスファミド、ダクチノマイシン、 ダウノルビシン、ドキソルビシン、エストロゲン受容体結合剤、エトポシド(VP16、)ファルネシル−タンパク質転移酵素阻害剤、ジェムシタビン、イフォスファミド、メクロレタミン、メルファラン、メトトレキセート、マイトマイシン、ナベルビン、ニトロソ尿素、プリコマイシン、プロカルバジン、ラロキシフェン、タモキシフェン、タキソール、テマゾロミド(DTICの水溶液剤)、トランスプラティナム、ビンブラスチンおよびメトトレキセート、ビンクリスチン、または上述のものの任意のアナログまたは誘導変異体が挙げられるが、これらに限定されない。感染性微生物に有用な化学療法剤としては、アシクロビル、アルベンダゾール、アマンタジン、アミカシン、アモキシシリン、アンフォテリシンB、アンピシリン、アズトレオナム、アジスロマイシン、バシトラシン、バクトリム、バトラフェン(登録商標)、ビフォナゾールカルベニシリン、カスポファンジン、セファクロル、セファゾリン、セファロスポリン、セフェピム、セフトリアキソン、セフォタキシム、クロラムフェニコール、シドフォビル、シプロ(登録商標)、クラリスロマイシン、クラブラン酸、クロトリマゾール、クロキサシリン、ドキシサイクリン、エコナゾール、エリスロサイクリン、エリスロマイシン、フラジル、フルコナゾール、フルシトシン、フォスカネット、フラゾリドン、ガンシクロビル、ゲンタマイシン、イミペネム、イソニアジド、イトラコナゾール、カナマイシン、ケトコナゾール、リンコマイシン、リネゾリド、メロペネム、ミコナゾール、ミノサイクリン、ナフチフィン、ナリジクス酸、ネオマイシン、ネチルマイシン、ニトロフラントイン、ナイスタチン、オセルタミビル、オキサシリン、パロモマイシン、ペニシリン、ペンタミジン、ピペラシリン−タゾバクタム、リファブチン、リファンピンリマンタジン、ストレプトマイシン、スルファメトキサゾール、スルファサラジン、テトラサイクリン、チオコナゾール、トブラマイシン、トルシクレート、トルナフテート、トリメトプリム、スルファメトキサゾール、バラシクロビル、バンコマイシン、ザナミル、およびジスロマイシンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
化学療法剤および投与法、用量等は当業者に周知である(例えば、「Physicians Desk Reference」、Goodman & Gilman著「The Pharmacological Basis of Therapeutics」および「Remington's Pharmaceutical Sciences」を参照されたい。なお、その内容は関連する箇所の参照により本明細書に援用される)。治療を行う被験体の症状に応じて、用量の若干の変動が必然的に生じる。投与の責任者は、いかなる場合にも、個々の被験体に対して適当な用量を決定する。
【0110】
ホルモン
コルチコステロイドホルモンは、他の化学療法剤の有効性を増大させることができるので、多くの場合、これらは併用療法に使用する。プレドミソンおよびデキサメタゾンは、コルチコステロイドホルモンの例である。カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、メトキシプロゲステロン、および酢酸メゲストロール等のプロゲスチンは、子宮内膜癌および乳癌に使用する。ジエチルスチルベストロールおよびエチニルエストラジオール等のエストロゲンは、前立腺癌等の癌に使用する。タモキシフェン等の抗エストロゲンは、乳癌等の癌に使用する。プロピオン酸テストステロンおよびフルオキシメステロン等のアンドロゲンも、乳癌の治療に使用する。
【0111】
血管形成阻害剤
ある実施態様では、アンジオスタチン、バキュロスタチン、カンスタチン、マスピン、抗−VEGF等の血管形成阻害剤、抗体、抗−PIGFペプチドおよび抗体、抗血管増殖因子、抗Flk−1抗体、抗Flt−1抗体およびペプチド、ラミニンペプチド、フィブロネクチンペプチド、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、組織メタロプロテイナーゼ阻害剤、インターフェロン、インターロイキン12、IP−10、Gro−β、トロンボスポンジン、2−メトキシエストラジオール、増殖関連タンパク質、カルボキシアミドトリアゾール、CM101、マリマスタット、ペントサンポリサルフェート、アンジオポエチン−2、インターフェロンα、ハービマイシンA、PNU145156E、16Kプロラクチン断片、リノマイド、サリドマイド、ペントキシフィリン、ゲニステイン、TNP−470、エンドスタチン、パクリタキセル、アクチン(accutin)、アンジオスタチン、シドフォビル、ビンクリスチン、ブレオマイシン、AGM−1470、血小板因子4、またはミノサイクリンが有用である。
【0112】
免疫調節剤
本明細書で用いる場合、「免疫調節剤」という用語には、インターロイキン、コロニー刺激因子、インターフェロン(インターフェロンα、β、およびγ等)、および「S1因子」と呼ばれる幹細胞増殖因子等の、サイトカイン、幹細胞増殖因子、リンホトキシン、および造血因子が含まれる。が含まれる。好適な免疫調節剤残基としては、IL−2、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、IL−21、インターフェロンγ、TNF−αが含まれる。
【0113】
「サイトカイン」という用語は、ある細胞集団から放出され、他の細胞で細胞間伝達物質として作用するタンパク質またはペプチドの総称である。本明細書で広義に用いる場合、サイトカインの例としては、リンホカイン、モノカイン、成長因子、および従来のポリペプチドホルモンが挙げられる。サイトカインは、ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン等の成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、チロキシン、インスリン、プロインスリン、リラクシン、プロリラクシン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)等の糖タンパク質ホルモン、 肝臓成長因子、プロスタグランジン、線維芽細胞増殖因子、プロラクチン、胎盤性ラクトーゲン、OBタンパク質、腫瘍壊死因子−αおよび−β、ミュラー管抑制物質、マウスゴナドトロピンに関連するペプチド、インヒビチン、アクチビン、血管内皮成長因子、インテグリン、トロンボポエチン(TPO)、NGF−β等の神経成長因子、血小板成長因子、TGF−αおよびTGF−β等の形質転換成長因子(TGF)、インスリン様成長因子−Iおよび−II、エリスロポエチン(EPO)、骨誘導因子、インターフェロンα、β、およびγ等のインターフェロン、マクロファージ−CSF(M−CSF)、顆粒球−マクロファージ−CSF(GM−CSF)、顆粒球−CSF(G−CSF)等のコロニー刺激因子(CSF)、IL−1、IL−1α、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IL−21等のインターロイキン(IL)、LIF、G−CSF、GM−CSF、M−CSF3、EPO、kit−リガンドまたはFLT−3、アンジオスタチン、トロンボスポンジン、エンドスタチン、腫瘍壊死因子、およびLTのいずれかである。本明細書で用いる場合、サイトカインという用語には、天然由来のものまたは組換え細胞株由来のもの、および天然配列のサイトカインと同等の生理活性を示すものが含まれる。
【0114】
ケモカインは、通常、免疫エフェクター細胞をケモカイン発現部位に集める化学誘因物質として作用する。ケモカインとしては、RANTES、MCAF、MIP1−α、MIP1−β、およびIP−10が挙げられるが、これらに限定されない。ある種のサイトカインが化学誘因作用を有することが知られており、ケモカインとしても分類されうることを、当業者ならば認識するであろう。同様に、免疫調節剤およびサイトカインという用語は、それぞれの構成要素が重複する。
【0115】
放射線治療および放射免疫治療
ある実施態様では、ペプチドおよび/またはタンパク質は、放射線核種治療または放射免疫治療に有用である(例えば、Govindanら、2005, Technology in Cancer Research & Treatment, 4:375-91、Sharkey and Goldenberg, 2005, J. Nucl. Med. 46:115S-127S、Goldenbergら、(J Clin Oncol 2006; 24:823-834)、「Antibody Pre-targeting Advances Cancer Radioimmunodetection and Radioimmunotherapy」を参照されたい。なお、それぞれは参照により本明細書に援用される)。具体的な実施態様では、生理活性アセンブリーを、有用な放射性同位元素で直接標識化し、被験体に投与することができる。他の実施態様では、病変組織において発現量が増大した部位に局在化する二重特異性の生理活性アセンブリーを投与した後に、放射性同位元素で標識し、注入する、ハプテン性のペプチドまたはリガンドを用いて、前述の前標的法で放射性同位元素を投与することができる。
【0116】
病変組織の治療に有用な放射性同位元素としては、111In、177Lu、212Bi、213Bi、211At、62Cu、67Cu、90Y、125I、131I、32P、33P、47Sc、111Ag、67Ga、142Pr、153Sm、161Tb、166Dy、166Ho、186Re、188Re、189Re、212Pb、223Ra、225Ac、59Fe、75Se、77As、89Sr、99Mo、105Rh、109Pd、143Pr、149Pm、169Er、194Ir、198Au、199Au、および211Pbが挙げられるが、これらに限定されない。治療用の放射性同位元素は、好ましくは20〜6,000keV、オージェ電子放出体については、好ましくは60〜200keV、β線放出体については、好ましくは100〜2,500keV、α線放出体については、好ましくは4,000〜6,000keVの崩壊エネルギーを有する。有用なβ粒子放出核の最大崩壊エネルギーは、好ましくは20〜5,000keV、より好ましくは100〜4,000keV、最も好ましくは500〜2,500keVである。ほぼすべてがオージェ電子の放出を伴って崩壊する放射性核種も好ましい。例えば、Co−58、Ga−67、Br−80m、Tc−99m、Rh−103m、Pt−109、In−111、Sb−119、1−125、Ho−161、Os−189m、およびIr−192である。有用なβ粒子放出核種の崩壊エネルギーは、好ましくは<1,000keV、より好ましくは<100keV、最も好ましくは<70keVである。ほぼすべてがα粒子の放出を伴って崩壊する放射性核種も好ましい。該放射性核種の例としてはDy−152、At−2115、Bi−212、Ra−223、Rn−219、Po−215、Bi−211、Ac−225、Fr−221、At−217、Bi−213、およびFm−255、が挙げられるが、これらに限定されない。有用なα粒子放出核種の崩壊エネルギーは、好ましくは2,000〜10,000keV、より好ましくは3,000〜8,000keV、最も好ましくは4,000〜7,000keVである。
【0117】
例えば、61.5時間の半減期を有し、β粒子およびγ線の天然供給源であるため、放射免疫治療 ではより有望な放射性同位元素の1つであると考えられている67Cuを、キレート化剤であるp−ブロモアセトアミドベンジルテトラエテルアミン四酢酸(TETA)を用いて、タンパク質またはペプチドに抱合できる。あるいは、高エネルギーのβ粒子を放出する90Yを、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)を用いて、ペプチド、抗体、融合タンパク質、またはこれらの断片に結合できる。
【0118】
可能性のある他の放射性同位元素としては、11C、13N、15O、75Br、198Au、224Ac、126I、133I、77Br、113mIn、95Ru、97Ru、103Ru、105Ru、107Hg、203Hg、121mTe、122mTe、125mTe、165Tm、167Tm、168Tm、197Pt、109Pd、105Rh、142Pr、143Pr、161Tb、166Ho、199Au、57Co、58Co、51Cr、59Fe、75Se、201Tl、225Ac、76Br、169Yb等が挙げられる。
【0119】
他の実施態様では、放射性増感剤を用いることができる。放射性増感剤を加えると、効率を増大させることができる。放射性増感剤は、D. M. Goldenberg(編)、CANCER THERAPY WITH RADIOLABELED ANTIBODIES, CRC Press (1995)に記載されており、そのすべての内容は参照により本明細書に援用される。
【0120】
熱中性子線活性化治療のためのホウ素付加体を含む(boron addend-loaded)担体を有するペプチド、抗体、抗体断片、または融合タンパク質は、同様に作用する。しかし、熱中性子線の照射を行う前に、標的に結合していない免疫抱合体が排出されるまで待つのが有利である。リガンドに結合する抗体を用いると、排出を速めることができる。一般原理に関する記載については、米国特許第4,624,846号を参照されたい。例えば、例えば、カルボラン等のホウ素付加体を、抗体に結合させることができる。当技術分野では周知であるように、ペンダント側鎖にカルボキシル基を有するカルボランを調製することができる。アミノデキストラン等の担体へのカルボランの結合は、カルボランのカルボキシル基を活性化し、担体上のアミンと縮合させることにより行うことができる。次いで、中間抱合体を、抗体と抱合化する。抱合体を投与後、ホウ素付加体は、熱中性子線の照射により活性化され、α崩壊により、毒性が高く短距離の効果をもたらす放射活性原子種に変換される。
【0121】
キット
種々の実施態様は、患者の病変組織の治療または診断に適した成分を含むキットに関してもよい。通常のキットは、少なくとも1種類の生理活性アセンブリーを含んでいる。投与成分を含む組成物が、経口投与等の消化管を介する送達用に調剤化されていない場合、キット成分を何らかの他経路で送達することができる器具が付属していてよい。非経口投与に用いるための器具の一種としては、組成物を被験体の体内に注射するための注射器がある。吸入器を用いることもできる。
【0122】
キット成分は、ひとまとめに収納されていてもよく、2つ以上の別の容器に分けて収納されていてもよい。ある実施態様では、容器は、再構成に適した、滅菌、凍結乾燥された組成物の製剤を含むバイアルであってよい。キットは、他の薬剤の再構成および/または希釈に適した、1種類以上の緩衝溶液を含んでいてもよい。用いることができる他の容器としては、パウチ、トレイ、箱、チューブ等が挙げられるが、これらに限定されない。キットの成分は、容器中に収納され、殺菌された状態に保たれる。他に含めることができる要素は、使用者に対する使用上の注意である。
【実施例】
【0123】
説明のために以下の実施例を示すが、本発明に係る特許請求の範囲を限定するものではない。
実施例1 熱ショックタンパク質、AD2、およびAD3を含む融合タンパク質(タイプaのアダプターモジュール)の生成および使用
【0124】
AD2およびAD3が、それぞれ、HSP70またはgp96等の熱ショックタンパク質のアミノおよびカルボキシル末端に結合した融合タンパク質は、一方はDDD2に結合したホモダイマー(X)を含み、もう一方はDDD3Cに結合したホモダイマー(Y)を含む2つの周辺モジュールと、ドッキング(dock)後に固定(lock)し、X(Ma)からなる複合体を形成することができる。2つの周辺モジュールについての選択の1つは、ヒトCD22のIg様ドメイン1および2とヒトCD20の細胞外ドメインであり、HSPに基づくアダプターモジュールと抱合化させると、B細胞リンパ腫の治療ワクチンとして有用である。2つの周辺モジュールについての他の選択は、CEACAM5のN−A1およびA3−Bドメインであり、HSPに基づくアダプターモジュールと抱合化させると、CEA発現癌の治療ワクチンとして有用である。2つの周辺モジュールは、hLL1 FabドメインおよびHER2の細胞外ドメインであってもよく、HSPに基づくアダプターモジュールと抱合化させると、HER2を過剰発現する癌に対する治療ワクチンとして有用である。
【0125】
上述のとおり、CEACAM5のN−A1およびA3−Bドメインに安定に結合したAD2−HSP70−AD3を含むワクチンを製造し、生理食塩水または他の生理学的に許容される溶液で調剤後、直腸結腸癌切除後の患者に投与した。治療ワクチンを、週1回、最低4週間、用量100〜5000μg、好ましい用量としては500μgで投与した。注射経路は皮下であったが、注射の場所は毎回変え、同じ場所への注射は、1回または複数回の間隔を空けて繰り返した。例えば、最初の注射は、左大腿部、2回目の注射は右大腿部、3回目の注射は左腕、4回目の注射は右腕、5回目の注射は左大腿部、6回目の注射は右腕、等という様にした。4週間の注射の第1サイクルの終了後に、さらに週2回注射を2回、その後は月1回注射の処方を行った。抗癌性免疫応答の誘導へのワクチンの効果は、(1)細胞免疫の評価としての遅延型過敏、(2)細胞溶解性T細胞のインビトロでの活性、(3)体液性CEAのレベル、(4)CTスキャン等のイメージング法を用いる腫瘍サイズの変化、および(5)CEA発現癌に関連する他のバイオマーカーの測定により評価した。
【0126】
実施例2 CEACAM5のN−A1およびA3−Bドメインに安定に結合したAD2−HSP70−AD3を含むワクチンによる直腸結腸癌の治療
患者DNは、直径4cmの左大腸癌の切除を受けた62歳の男性で、T2N1M0と診断され、術後化学療法を拒絶され、実験ワクチンの投与を受けた。患者は、CEACAM5のN−A1およびA3−Bドメインに安定に結合したAD2−HSP70−AD3の生理食塩水溶液を含むワクチンを、用量500μgで4週間、次いで同用量の週2回注射を2回、その後は同用量の月1回注射の投与を受けた。最初の注射を左腕に、2回目を右腕に、3回目を右大腿部に、4回目を左大腿部に受けた。その後、これらの位置への注射を繰り返し行った。副作用の緩和のために、患者は、タイレノールおよび抗ヒスタミン剤の前投与を受けた。
【0127】
投与の間、注射部位へのグレード1または2の紅斑および掻痒が、4回目の投与後に息切れが記録されたが、いずれも4時間以内に消失した。3、6、12ヶ月後に、診断用イメージング検査(CT、および12ヶ月後に1回FDG−PET検査)、および血清CEA分析等の追跡調査を行ったが、何ら異常は検出されなかった。2年後の追跡調査では、患者は疾患に罹っておらず、この実験ワクチンの投与により積極的化学療法による副作用を回避できたと考えられる。
【0128】
実施例3 DDD2−hP1−DDD3C(タイプbのアダプターモジュール)の生成および使用
DDD2およびDDD3Cが、それぞれ、hP1のアミノおよびカルボキシル末端に融合したポリペプチドは、自己会合して、ジスルフィド結合を介して結合したhP1のホモダイマーからなる構造を形成し、チオールを含む試薬で還元すると、一方はAD2で誘導体化した物質(X)を含み、もう一方はAD3で誘導体化した物質(Y)を含む2つの周辺モジュールと、さらにドッキングおよび固定し、X(hP1)Yからなる複合体を形成する。好適なXおよびYの選択としては、受容体結合性リガンド、抗体断片、および免疫刺激分子が挙げられる。例えば、2つの周辺モジュールのうち一方が抗hTfR(ヒトトランスフェリン受容体)Fabドメインに基づき、もう一方が抗hIR(ヒトインスリン受容体)Fabドメインに基づくX(hP1)Yのコンストラクトを、脳腫瘍の治療のために、血液脳関門(BBB)を通し、さらにグリオーマ細胞に、治療効果を有するsiRNAまたは遺伝子を運搬するのに用いることができる(Zhangら、Clin Cancer Res, 2004, 10: 3667-3677)。
【0129】
実施例4 DDD3−hP1-AD2(タイプcのアダプターモジュール)の生成および使用
DDD3およびAD2が、それぞれ、hP1のアミノおよびカルボキシル末端に融合したポリペプチドは、自己会合して、hP1のホモダイマーからなる構造を形成し、DDD2と結合した2つの同一の周辺モジュール(X)とドッキングおよび固定し、X(hP1)Xからなる複合体を形成する。X(hP1)Xのコンストラクトにとって特に有望な分野の1つは、脳疾患の遺伝子治療のための、脳血液関門を通した非ウイルス性ベクターの送達である。例えば、周辺モジュールが抗hTfRFabドメインに基づくX(hP1)Xのコンストラクトは、パーキンソン病の治療のために、チロシンヒドロキシラーゼの遺伝子をコード化するDNAベクターを、BBBを通して運搬するために用いることができる(Pardridge, NeuroRx(登録商標), 2005, 2: 129-138)。
【0130】
実施例5 DDD2−CH2−CH3−DDD3C(タイプbのアダプターモジュール)の生成および使用
DDD2およびDDD3Cが、それぞれ、ヒトIgG1のCH2およびCH3ドメインのアミノおよびカルボキシル末端に融合したポリペプチドは、自己会合して、ジスルフィド結合を介して結合した2つのFcサブユニットからなる構造を形成し、チオールを含む試薬で還元すると、一方はAD2で誘導体化した物質(X)を含み、もう一方はAD3で誘導体化した物質(Y)を含む2つの周辺モジュールと、さらにドッキングおよび固定し、X(Fc)Yからなる複合体を形成する。ADに結合した2つの物質が、それぞれ、異なる特異性を有するFabドメインから誘導される場合、得られるアセンブリーは、完全なFcドメインを含むIgG様の二特異性抗体である。
【0131】
実施例6 DDD2−CH2−CH3−AD2(タイプcのアダプターモジュール)の生成および使用
DDD3およびAD2が、それぞれ、ヒトIgG1のCH2およびCH3ドメインのアミノおよびカルボキシル末端に融合したポリペプチドは、自己会合して、Fcドメインを含む構造を形成し、DDD2と結合した2つの同一の周辺モジュール(X)とドッキングおよび固定し、X(Fc)Xからなる複合体を形成する。
【0132】
実施例7 DDD3C−CH2−CH3−AD2(タイプdのアダプターモジュール)を含むポリペプチドの生成および使用
DDD3CおよびAD2が、それぞれ、ヒトIgG1のCH2およびCH3ドメインのアミノおよびカルボキシル末端に融合したポリペプチドは、自己会合して、ジスルフィド結合を介して結合した2つのFcサブユニットからなる構造を形成し、チオールを含む試薬で一方のFcサブユニットを還元し、2つはDDD3Cと結合した同一の周辺モジュール(X)を含み、3つ目はAD3と結合した物質(Y)である3つの周辺モジュールと、さらにドッキングおよび固定し、X(Fc)YXからなる複合体を形成する。
【0133】
実施例8 DDD3−CH2−CH3−AD2およびDDD3C−CH2−CH3−AD2の分子改変
DDD3およびDDD3C配列を生成するために、ヒトRIa cDNAクローン(Invitrogen社製IMAGE clone #5531156)をテンプレートとして用いた2つのPCR反応を行った。両者の反応には、オリゴヌクレオチドRI BgIII rightを、3’PCRプライマーとして用いた。DDD3およびDDD3Cについては、それぞれ、RI BspHI left、およびRI-C BspHI leftを、5’PCRプライマーとして用いた。
【表4】

【0134】
pdHL2ベクターをテンプレートとして、FcドメインBgIII leftおよびFcドメインBam-RcoRI rightをプライマーとして用い、Fcドメイン(CH2およびCH3ドメイン)を増幅した。
【表5】

【0135】
アンプリマーの各々を、pGemT PCRクローニングベクター中でクローニングした。BgIIIおよびEcoRI制限酵素を用いて、Fc挿入断片をpGemTから切り出し、SV3シャトルベクターの同一の部位にクローニングし、中間クローンFc−SV3を生成する。
【0136】
その後、BspHIおよびBgIIIを用いて、挿入されたDDD3およびDDD3CをpGemTから切り出し、Ncol(BspHIに適合性を有する末端)およびBgIIIで消化したFc−SV3と結合させ、シャトルベクターDDD3−Fc−SV3およびDDD3C−Fc−SV3を、それぞれ生成させた。最後に、XbalおよびBamHIを用いて発現カセットをSV3シャトルベクターから切り出し、h679−AD2−pdHL2ベクターを、XbalおよびBamHIを用いて消化することにより調製したAD2−pdHL2ベクターと結合させた。
【0137】
DDD3−Fc−AD2のアミノ酸配列を図6に示す。DDD3−Fc−AD2の配列は、DDD3C−Fc−AD2の5つのアミノ末端側残基、すなわちMSCGGが、MSに置換されている以外は同一である。
【0138】
両者の発現ベクターを、ともにsp/EEE細胞にトランスフェクションする。捕捉用のタンパク質−Aをコーティングしたプレートおよび検出用のHRP抱合タンパク質を用いたELISA法により陽性クローンをスクリーニングする。タンパク質−Aアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製を行う。
【0139】
実施例9 脳由来神経栄養因子(BDNF)に結合したDDD3C−CH2−CH3−AD2およびヒトトランスフェリンレセプター(hTfR)に対するモノクローナル抗体を含む薬剤による限局性の一過性脳虚血の治療
発作症状の発現から1時間以内に、DDD3C−Fc−AD2モジュールに安定に結合した4つのBDNF−DDD2モジュールおよび1つの抗hTfRFab−AD3モジュールを含む複合体10mgの生理食塩水溶液を、患者TFに血管内投与する。適時の治療により、MRIによって示されるように、全半球の梗塞部分の体積が減少し、四肢の部分麻痺、言語障害、および錯乱の症状が、他の介護および抗凝固療法を受けている48時間以内の間に顕著に改善する。
【表6】


【表7】




【表8】


【表9】

【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】生理活性アセンブリーの形成に有用な、DDD2(配列番号1)、AD2(配列番号2)、DDD3(配列番号3)、DDD3C(配列番号4)、およびAD3(配列番号5).等のペプチド配列の例を示す。生理活性アセンブリーを形成するための該配列の組成および使用法を以下に論じる。
【図2】例えば、それぞれ1分子のAD2およびAD3に結合したタイプaのアダプターモジュール(Ma)に基づく、X(Ma)Y生理活性アセンブリーの概略図を示す。AD2およびAD3は、例えば、DDD2およびDDD3に対する結合部位として作用する。これらの二量体化およびドッキングドメインは、次いで、種々のエフェクターまたは結合分子(XおよびY)に結合していてよい。結果として、2つの異なるホモ二量体を含むヘテロ四量体となる。
【図3】例えば、それぞれ1分子のDDD2およびDDD3に結合したタイプbのアダプターモジュール(Mb)に基づく、X(Mb)Y生理活性アセンブリーの概略図を示す。適当なアンカードメイン、例えば、2種類の異なるエフェクターに結合するAD2およびAD3を加えることにより、二量体化およびX(Mb)Yアセンブリーの形成が起こる。
【図4】例えば、それぞれ1分子のDDD3およびAD2に結合したタイプcのアダプターモジュール(Mc)に基づく、X(Mc)生理活性アセンブリーの概略図を示す。異なるMc分子に結合したDDD3配列の二量体化により、それぞれ、例えば、エフェクターに結合したDDD2を有するホモ二量体の結合のための2つのアンカー部位(AD2)が提供される。結果として、4つのエフェクターXを含むホモ四量体となる。
【図5】タイプdのアダプターモジュール(Md)に基づく、X(Md)YX生理活性アセンブリーの概略図を示す。図4に示したアセンブリーとの違いは、エフェクターYと結合したAD3アンカードメインと結合できるように、DDD3C二量体化およびドッキングドメインが用いられていることである。
【図6】DDD3C(配列番号4)、第1のリンカー(配列番号6)、CH2(配列番号7)、CH3(配列番号8)、第2のリンカー(配列番号9)、およびAD2(配列番号2)を有する、DDD3C−CH2−CH3−AD2コンストラクト(実施例7参照)の完全アミノ酸配列の例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1つ以上のアダプターモジュールと;
b)該1つ以上のアダプターモジュールに結合した1つ以上のアンカードメイン(AD)、および/または二量体化ドッキングドメイン(DDD)とを有し;
該各アンカードメインが、それぞれ2つの二量体化およびドッキングドメインに結合している生理活性アセンブリー。
【請求項2】
前記アダプターモジュールが、タイプa(Ma)、タイプb(Mb)、タイプc(Mc)またはタイプd(Md)のアダプターモジュールである、請求項1記載のアセンブリー。
【請求項3】
前記アセンブリーに結合した1つ以上のエフェクター部分をさらに有する、請求項2記載のアセンブリー。
【請求項4】
前記アンカードメインが、AD2(配列番号2)またはAD3(配列番号5)からなる群より選択される、請求項1記載のアセンブリー。
【請求項5】
前記二量体化およびドッキングドメインが、DDD2(配列番号1)、DDD3(配列番号3)およびDDD3C(配列番号4)からなる群より選択される、請求項1記載のアセンブリー。
【請求項6】
前記生理活性アセンブリーが、X−AD2−(Ma)−AD3−Yの組成を有し、式中、Xは、DDD2に結合した1つ以上のエフェクター残基を表し、Yは、DDD3Cに結合した1つ以上のエフェクター残基を表す、請求項3記載のアセンブリー。
【請求項7】
前記生理活性アセンブリーが、X−(DDD2−Mb−DDD3C)−Yの組成を有し、式中、Xは、AD2に結合した1つ以上のエフェクター残基を表し、Yは、AD3に結合した1つ以上のエフェクター残基を表す、請求項3記載のアセンブリー。
【請求項8】
前記生理活性アセンブリーが、X−(AD2−Mc−DDD3)−Xの組成を有し、式中、Xは、DDD2に結合した1つ以上のエフェクター残基を表す、請求項3記載のアセンブリー。
【請求項9】
前記生理活性アセンブリーが、X−(AD2−Md−DDD3C)−Yの組成を有し、式中、Xは、DDD2に結合した1つ以上のエフェクター残基を表し、Yは、AD3に結合した1つ以上のエフェクター残基を表す、請求項3記載のアセンブリー。
【請求項10】
前記生理活性アセンブリーが、DDD3C−CH2−CH3−AD2を有し、CH2は配列番号7のアミノ酸配列を有し、CH3は配列番号8のアミノ酸配列を有する、請求項1記載のアセンブリー。
【請求項11】
前記アダプターモジュールが、HSP70、αマクログロブリン、HSA、FcおよびhP1からなる群より選択される、請求項2記載のアセンブリー。
【請求項12】
前記アダプターモジュールが、熱ショックタンパク質、ヒトプロタミンまたはヒト抗体のFc断片である、請求項2記載のアセンブリー。
【請求項13】
前記エフェクター残基が、アプタマー、アビマー、抗体、抗体断片、モノクローナル抗体、モノクローナル抗体断片、キメラ抗体、キメラ抗体断片、ヒト化抗体、ヒト化抗体断片、Fd断片、Fab断片、F(ab)断片、Fab’断片、F(ab’)断片、Fv、scFv、dsFv、sFv、ダイアボディーおよびトリアボディーからなる群より選択される、請求項3記載のアセンブリー。
【請求項14】
前記アセンブリーの成分が共有結合または非共有結合している、請求項1記載のアセンブリー。
【請求項15】
前記アセンブリーの少なくとも2つの成分がジスルフィド結合によって共有結合している、請求項14記載のアセンブリー。
【請求項16】
前記エフェクターが、タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣体、ポリヌクレオチド、RNAi、オリゴ糖、天然または合成高分子物質、ナノ粒子、量子ドット、有機化合物または無機化合物を有する、請求項3記載のアセンブリー。
【請求項17】
前記Fab断片が、hMN−14、L19、hA20、hLL2、L243、hCC49、7E3、hLL1、hPAM4、hRS7、rH1、L49、抗CD14、抗CD111、Humira(登録商標)、REMICADE(登録商標)、Xolair(登録商標)、Synagis(登録商標)およびhMN−15のFab断片からなる群より選択される、請求項13記載のアセンブリー。
【請求項18】
前記エフェクターが、細菌毒素、植物毒素、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ(RNase)、DNaseI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、緑膿菌外毒素(Pseudomonas exotoxin)、 緑膿菌内毒素(Pseudomonas endotoxin)、ランピルナーゼ(Rap)、Rap(N69Q)、PE38、dgA、DT390、PLC、tPA、サイトカイン、成長因子、可溶性受容体成分、サーファクタントタンパク質D、IL−4、sIL−4R、sIL−13R、VEGF121、TPO、EPO、血栓溶解剤、酵素、蛍光タンパク質、sTNFα−Rおよびナノボディーからなる群より選択されるタンパク質を含む、請求項16記載のアセンブリー。
【請求項19】
前記エフェクターが、炭酸脱水酵素IX、αフェトプロテイン、A3、A33抗体特異性抗原、Bα733、BrE3抗原、CA125、CD1、CD1a、CD3、CD5、CD15、CD16、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD33、CD38、CD45、CD74、CD79a、CD80、CD138、大腸特異的抗原−p(CSAp)、CEA(CEACAM5)、CEACAM6、CSAp、EGFR、EGP−1、EGP−2、Ep−CAM、Flt−1、Flt−3、葉酸受容体、HLA−DR、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)およびそのサブユニット、HER2/neu、低酸素誘導因子(HIF−1)、Ia、IL−2、IL−6、IL−8、インスリン成長因子−1(IGF−1)、KC4−抗原、KS−1−抗原、KS1−4、Le−Y、マクロファージ阻害因子(MIF)、MAGE、MUCl、MUC2、MUC3、MUC4、MUC16、NCA66、NCA95、NCA90、PAM4抗体特異的抗原、胎盤成長因子、p53、前立腺酸性フォスファターゼ、PSA、PSMA、RS5、S100、TAC、TAG−72、テネイシン、TRAIL受容体、Tn抗原、Thomsen-Friedenreich抗原、腫瘍壊死抗原、VEGF、ED−Bフィブロネクチン、17−1A抗原、血管形成マーカー、癌遺伝子マーカーまたは癌遺伝子産物に対して、少なくとも1つの結合部位を有する、請求項13記載のアセンブリー。
【請求項20】
前記エフェクターが、診断薬、治療薬、化学療法剤、放射性同位元素、イメージング剤、抗血管新生剤、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、医薬、プロドラッグ、酵素、結合分子、アプタマー、細胞表面受容体に対するリガンド、キレート化剤、免疫調節剤、オリゴヌクレオチド、干渉RNA、ホルモン、光検出可能標識、色素、ペプチド、毒素、造影剤、常磁性標識、超音波標識、アポトーシス促進剤、リポソーム、ナノ粒子またはこれらの組み合わせである、請求項3記載のアセンブリー。
【請求項21】
前記抗血管新生剤が、アンジオスタチン、バキュロスタチン、カンスタチン、マスピン、抗−VEGF抗体またはペプチド、抗胎盤成長因子抗体またはペプチド、抗Flk−1抗体、抗Flt−1抗体またはペプチド、ラミニンペプチド、フィブロネクチンペプチド、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、組織メタロプロテイナーゼ阻害剤、インターフェロン、インターロイキン12、IP−10、Gro−β、トロンボスポンジン、2−メトキシエストラジオール、プロリフェリンに関連するタンパク質、カルボキサミドトリアゾール、CM101、マリマスタット、ペントサンポリサルフェート、アンジオポエチン2、インターフェロンα、ハービマイシンA、PNU145156E、16Kプロラクチン断片、リノマイド、サリドマイド、ペントキシフェリン、ゲニステイン、TNP−470、エンドスタチン、パクリタキセル、アクチン、アンジオスタチン、シドフォビル(cidofovir)、ビンスリスチン、ブレオマイシン、AGM−1470、血小板因子4またはミノサイクリンである、請求項20記載のアセンブリー。
【請求項22】
前記治療薬が、アブリン、アマンタジン、アモキシシリン、アンフォテリシンB、アンピシリン、アプリジン、アザリビン、アナストロゾール、アザシチジン、アズトレオナム、アジスロマイシン、バシトラシン、バクトリム、バトラフェン(登録商標)、ビフォナゾール、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブリオスタチン−1、ブスルファン、カリケアマイシン、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、カルベニシリン、カスポファンジン、カルムスチン、セファクロル、セファゾリン、セファロスポリン、セファピム、セフトリアキソン、セフォタキシム、セレブレックス、クロラムブシル、クロラムフェンコール、シプロ(登録商標)、シスプラチン、イリノテカン(CPT−11)、SN−38、カルボプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ドセタキセル、ダクチノマイシン、ダウノマイシングルクロニド、ダウノルビシン、デキサメタゾン、ジエチルスチルベストロール、ジフテリア毒素、DNase I、ドキソルビシン、2−ピロリノドキソルビシン(2P−DOX)、ドキシサイクリン、シアノモルホリノドキソルビシン、ドキソルビシングルクロニド、エピルビシングルクロニド、エチニルエストラジオール、エストラムスチン、エストロゲン受容体結合剤、エトポシド、エトポシドグルクロニド、リン酸エトポシド、エリスロサイクリン、エリスロマイシン、フラギル、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、フロクスウリジン(FUdR)、3’,5’−O−ジオレオイルFudR(FUdR−dO)、フルダラビン、フルタミド、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、ガンシクロビル、ゲンタマイシン、ゲロニン、ジェムシタビン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ヒドロキシ尿素、イダラビシン、イフォスファミド、イソニアジド、イトラコナゾール、カナマイシン、ケトコナゾール、L−アスパラギナーゼ、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、酢酸メドロプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキセート、ミトキサントロン、ミスラマイシン、ミトマイシン、ミトタン、ミノサイクリン、ナフチフィン、ナリジクス酸、ネオマイシン、ナバルビン、ニトロソ尿素、ナイスタチン、オンコナーゼ、オキサシリン、パロモマイシン、ペニシリン、ペンタミジン、ピペラシリン−タゾバクタム、酪酸フェニル、プレドニソン、プロカルバジン、パクリタキセル、ペントスタチン、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、PSI−341、緑膿菌外毒素、緑膿菌内毒素、ラロキシフェン、rapLR1、リボヌクレアーゼ、リシン、セムスチン、リファブチン、リファンピン、リマンタジン、ストレプトマイシン、スルファメタゾール、スルファサラジン、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、ストレプトゾシン、タモキシフェン、タクサネス、タキソール、プロピオン酸テストステロン、テトラサイクリン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、テニポシド、トポテカン、トランスプラチナ、トリメトプリム、スルファメトキサゾール、ウラシルマスタード、バラシクロビル、バンコマイシン、ベルケイド、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンスリスチン、ザナミル、ジスロマイシン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、干渉RNA、またはこれらの組み合わせである、請求項20記載のアセンブリー。
【請求項23】
前記治療薬または診断薬が、
【表1】


からなる群より選択される、請求項20記載のアセンブリー。
【請求項24】
前記イメージング剤が、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)、エルビウム(III)、ランタン(III)、金(III)、鉛(II)およびビスマス(III)からなる群より選択される、請求項20記載のアセンブリー。
【請求項25】
前記光により検出可能な標識が、Alexa 350、Alexa 430、AMCA、アミノアクリジン、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665、BODIPY-FL、BODIPY-R6G、BODIPY-TMR、BODIPY- TRX、5−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン、5−カルボキシ−2’,4’,5’,7’−テトラクロロフルオレセイン、5−カルボキシフルオレセイン、5−カルボキシローダミン、6−カルボキシローダミン、6−カルボキシテトラメチルアミノ、カスケードブルー、Cy2、Cy3、Cy5、6−FAM、ダンシルクロリド、フルオレセイン、HEX、6−JOE、NBD(7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール)、オレゴングリーン488、オレゴングリーン500、オレゴングリーン514、パシフィックブルー、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、クレジルファストバイオレット、クレジルブルーバイオレット、ブリリアントクレジルブルー、パラ−アミノ安息香酸、エリスロシン、フタロシアニン、アゾメチン、シアニン、キサンチン、スクシニルフルオレセイン、希土類金属クリプテート、ユーロピウムトリスビピリジンジアミン、ユーロピウムクリプテートまたはキレート、ジアミン、ジシアニン、La Jolla blue色素、アロピコシアニン、アロコシアニンB、フィコシアニンC、フィコシアニンR、チアミン、フィコエリスロシアニン、フィコエリスリンR、REG、ローダミングリーン、イソチオシアン酸ローダミン、ローダミンレッド、ROX、TAMRA、TET、TRIT(テトラメチルローダミンイソチオール)、テトラメチルローダミンおよびテキサスレッドからなる群より選択される、請求項20記載のアセンブリー。
【請求項26】
少なくとも1つのエフェクター残基が、担体またはハプテンに対する結合部位を有する、請求項13記載のアセンブリー。
【請求項27】
前記担体またはハプテンが、少なくとも1種類の診断薬または治療薬を含む、請求項26記載のアセンブリー。
【請求項28】
前記1つ以上のエフェクターが、N−A1−B1、A3−B3、抗CD2 Fab、抗CD3 Fab、抗CD16 Fab、抗CD 19 Fab、抗CD20 Fab、抗CD22 Fab、抗CD64 Fab、抗CD74 Fab、抗CD89 Fab、抗CD205 Fab、抗CD209 Fab、抗hTfR Fab、抗HER2 Fab、抗HER3 Fab、抗EGFR Fab、抗IGF−1R Fab、抗VEGF Fab、抗VEGFR1 Fab、抗VEGFR2 Fab、抗VEGFR3 Fab、抗P1GF Fab、抗MUC1 Fab、抗hIR Fab、BDNF、神経ペプチド、プロタミン/DNAに基づくワクチン、プロタミン/siRNA、可溶性腫瘍壊死因子受容体(sTNFR)およびAβ12−28Pからなる群より選択される、請求項3記載のアセンブリー。
【請求項29】
第1のエフェクターが、疾患または病状を伴う任意の細胞表面抗原に対して親和性を有し、第2のエフェクターが、サイトカイン、成長因子、カルボキシペプチダーゼG2、ペニシリンアミダーゼ、β−ラクタマーゼ、サイトカインデアミナーゼ、ニトロレダクターゼ、β−ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)または種々の改変アナログ、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ストレプトアビジン、リボヌクレアーゼ、細菌毒素、植物毒素、およびサーファクタントタンパク質Dからなる群より選択される、請求項3記載のアセンブリー。
【請求項30】
a)請求項3記載の生理活性アセンブリーを得ること;および
b)該生理活性アセンブリーを、病状を有する被験体に投与することを含む方法であって、該生理活性アセンブリーが、該病状に対して治療効果を有する、
方法。
【請求項31】
前記病状が、癌、過形成、アミロイドーシス、アルツハイマー病、自己免疫疾患、糖尿病網膜症、若年性糖尿病、遅発性糖尿病、黄斑変性、炎症性大腸炎、クローン病、 潰瘍性大腸炎、全身性リウマチ、サルコイドーシス、ぜんそく、浮腫、肺高血圧、乾癬、角膜移植拒絶反応、血管新生緑内障、遺伝性出血性毛細血管拡張症、心筋血管新生、プラーク血管新生、再狭窄、 血管障害後の内膜新生、毛細血管拡張症、血友病性関節症、血管線維腫、慢性炎症に関連する線維症、肺線維症、臓器移植拒否反応、深部静脈血栓症または創部肉芽形成である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記病状が癌であり、少なくとも1つのエフェクターが、炭酸脱水酵素IX、αフェトプロテイン、A3、A33抗体特異性抗原、BA733、BrE3抗原、CA125、CD1、CD1a、CD3、CD5、CD15、CD16、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD33、CD38、CD45、CD74、CD79a、CD80、CD138、大腸特異的抗原−p(CSAp)、CEA(CEACAM5)、CEACAM6、EGFR、EGP−1、EGP−2、Ep−CAM、Flt−1、Flt−3、葉酸受容体、G250抗原、HLA−DR、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)およびそのサブユニット、HER2/neu、低酸素誘導因子(HIF−I)、Ia、IL−2、IL−6、IL−8、インスリン成長因子−1(IGF−1)、KC4−抗原、KS−I抗原、KS1−4、Le−Y、マクロファージ遊走阻害因子(MIF)、MAGE、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、MUC16、NCA66、NCA95、NCA90、PAM4抗体特異的抗原、胎盤成長因子、p53、前立腺酸性フォスファターゼ、PSA、PSMA、RS5、S100、TAC、TAG−72、テネイシン、TRAIL受容体、Tn抗原、Thomsen-Friedenreich抗原、腫瘍壊死抗原、VEGF、ED−Bフィブロネクチン、17−1A抗原、血管形成マーカー、癌遺伝子マーカーまたは癌遺伝子産物からなる群より選択される腫瘍関連抗原に対する結合親和性を有する、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記腫瘍が、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、腎細胞癌、胆道癌、脳腫瘍、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃癌、頭頸部癌、ホジキンソンリンパ腫、肺癌、甲状腺髄様癌、非ホジキンソンリンパ腫、卵巣癌、睾丸癌、膵臓癌、神経膠腫および他の脳腫瘍、肉腫、肝臓癌、前立腺癌、メラノーマまたは膀胱癌である、請求項32記載の方法。
【請求項34】
1種類以上の抗癌剤を前記アセンブリーとともに投与することからなる、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記治療が、化学療法剤の投与、サイトカイン、放射線療法、免疫療法、放射線免疫療法、局所温熱療法、レーザー照射、抗血管新生剤、または外科的切除からなる、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記生理活性アセンブリーが、疾患または他の病状に関連する抗原に対して結合親和性を有する第1のエフェクターと、担体またはハプテンに対して結合親和性を有する第2のエフェクターとを有する、請求項30記載の方法。
【請求項37】
請求項36記載の方法であって、さらに、
c)場合により、循環している生理活性アセンブリーを除去するための除去剤を投与すること;および
d)前記担体またはハプテンを前記被験体に投与することを含み;該担体またはハプテンが、1つ以上の治療薬および/または診断薬と結合している、
方法。
【請求項38】
前記担体またはハプテンが、抗血管新生剤、化学療法剤、サイトカイン、医薬、プロドラッグ、毒素、干渉RNA、アプタマー、酵素、オリゴヌクレオチド、放射性同位元素、免疫調節剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗寄生生物剤、ホルモン、結合分子、脂質、ポリマー、ミセル、リポソーム、ナノ粒子、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される薬剤に結合している、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記病状が真菌類により起こる、請求項30の方法。
【請求項40】
前記真菌類が、小胞子菌(Microsporum)、白癬菌(Trichophyton)、表皮菌(Epidermophyton)、スポロトリックス・シェンキー(Sporothrix schenckii)、クリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、コクシジオイデス・イミティス(Coccidioides immitis)、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、ブラストミセス・デルマチチジス(Blastomyces dermatitidis)またはカンジダ菌(Candida albican)である請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記病状がウイルスにより起こる、請求項30の方法。
【請求項42】
前記ウイルスが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、ヒトパピローマウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、センダイウイルス、ネコ白血病ウイルス、レオウイルス、ポリオウイルス、ヒト血清パルボ様ウイルス、シミアンウイルス40、呼吸器合胞体ウイルス、マウス乳癌ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、デング熱ウイルス、風疹ウイルス、はしかウイルス、アデノウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、エプスタイン−バーウイルス、マウス白血病ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、シンドビスウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、またはブルータングウイルスである請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記病状が細菌により起こる、請求項30の方法。
【請求項44】
前記細菌が、炭疽菌(Bacillus anthracis)、B群連鎖球菌(Streptococcus agalactiae)、レジオネラ菌(Legionella pneumophilia)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、大腸菌(Escherichia coli)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)、肺炎球菌(Pneumococcus spp.)、インフルエンザ桿菌B(Hemophilus influenzae B)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、ライム病スピロヘータ(Lyme disease spirochetes)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、ハンセン菌(Mycobacterium leprae)、ウシ流産菌(Brucella abortus)、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、またはマイコプラズマ(Mycoplasma)である請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記病状が単細胞寄生生物により起こる、請求項30の方法。
【請求項46】
前記寄生生物が、ランブル繊毛虫(Giardia lamblia)、ジアルジア属(Giardia spp.)、ニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii)、トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)、クリプトスポリジウム(Cryptospordium spp.)、アカントアメーバ属(Acanthamoeba spp.)、ネグレリア属(Naegleria spp.)、リーシュマニア属(Leishmania spp.)、大腸バランチジウム(Balantidium coli)、エバンス・トリパノソーマ(Trypanosoma evansi)、トリパノソーマ属(Trypanosoma spp.)、二核アメーバ(Dientamoeba fragilis)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、トリコモナス属(Trichmonas spp.)、エントアメーバ属(Entamoeba spp.)、二核アメーバ属(Dientamoeba spp.)、バベシア属(Babesia spp.)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、イソスポラ属(Isospora spp.)、トキソプラズマ属(Toxoplasma spp.)、エンテロシトゾーン属(Enterocytozoon spp.)、ニューモシスティス属(Pneumocystis spp.)、またはバランチジウム属(Balantidium spp.)である、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記病状が自己免疫疾患により起こる、請求項30の方法。
【請求項48】
前記自己免疫疾患が、急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シドナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、若年性糖尿病、ヘノッホ−シェンライン紫斑病、溶連菌感染後腎炎、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgA腎症、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓血管炎、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症(グレーブス病)、硬皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ウェゲナー肉芽腫、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄ろう、巨細胞性動脈炎/多発性筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、乾癬、または繊維性肺胞炎である、請求項に47記載の方法。
【請求項49】
前記病状が心筋梗塞、虚血性心疾患、アテローム斑、移植片拒絶、アルツハイマー病、顆粒球、単核球、リンパ細胞またはマクロファージの増大に起因するアトピー性組織または炎症である、請求項に30の方法。
【請求項50】
病状を診断する方法であって、
a)第1のエフェクター部分が、病状に関連する標的分子、組成物、凝集物、細胞、抗原、または組織に結合し、第2のエフェクター部分が、診断用ハプテンに結合した、請求項3記載の生理活性アセンブリーを得ること;
b)病状を有することが疑われる被験体に該アセンブリーを投与すること;
c)同一の被験体に該第2のエフェクターと結合した診断用ハプテンを投与すること;および
d)該第2のエフェクターに結合した該ハプテンの存在を検出すること;
を含み、病状に伴う組織への該ハプテンの局在化が、該被験体における該病状の徴候である、方法。
【請求項51】
前記ハプテンが磁気共鳴イメージング(MRI)造影剤と結合しており、局在化した該ハプテンがMRIによって検出される、請求項50記載の方法。
【請求項52】
前記MRI造影剤が、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)またはエルビウム(III)である、請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記ハプテンが超音波イメージング増強剤と結合しており、局在化した該ハプテンが超音波イメージングによって検出される、請求項50記載の方法。
【請求項54】
前記治療または検出のために、内視鏡的処置を行うことをさらに含む、請求項30または請求項50記載の方法。
【請求項55】
前記生理活性アセンブリーが、抗CD74抗体×抗CD20抗体、抗CD74抗体×抗CD22抗体、抗CD22抗体×抗CD20抗体、抗CD20抗体×抗HLA−DR抗体、抗CD19抗体×抗CD20抗体、抗CD20抗体×抗CD80抗体、抗CD2抗体×抗CD25抗体、抗CD8抗体×抗CD25抗体、および抗CD2抗体×抗CD147抗体からなる群より選択される抗体または抗体断片の組み合わせを含む、請求項30記載の方法。
【請求項56】
a)少なくとも2つのADおよび/またはDDD配列と結合したアダプターモジュールを得ること;
b)前記アダプターモジュールと結合した該ADおよび/またはDDD配列と相補的なDDDおよび/またはAD配列と結合した、少なくとも1つのエフェクターを得ること;および
c)前記相補的なADおよびDDD配列を、前記生理活性アセンブリーを形成する条件下で曝露させることを含む
生理活性アセンブリーの製造方法。
【請求項57】
前記相補的なDDD/AD配列が、DDD2/AD2またはDDD3C/AD3である、請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記エフェクターが、腫瘍関連抗原、癌遺伝子タンパク質、成長因子、または細胞表面受容体に結合するタンパク質である、請求項16記載のアセンブリー。
【請求項59】
前記ペプチドが、EGFR、VEGFR、P1GF、またはFlt−1に結合する、請求項58記載のアセンブリー。
【請求項60】
前記ペプチドが、BP1 SHRYRLAIQLHASDSSSCV(配列番号16)、BP2 QDDHLTTGR(配列番号17)、またはBP4 RMPYSEHSAPLG(配列番号18)である、請求項59記載のアセンブリー。
【請求項61】
前記サイトカインが、ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、チロキシン、インスリン、プロインスリン、リラクシン、プロリラクシン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)、 肝臓成長因子、プロスタグランジン、線維芽細胞増殖因子、プロラクチン、胎盤性ラクトーゲン、OBタンパク質、腫瘍壊死因子−α、腫瘍壊死因子−β、ミュラー管抑制物質、マウスゴナドトロピンに関連するペプチド、インヒビチン、アクチビン、血管内皮成長因子、インテグリン、トロンボポエチン(TPO)、神経成長因子(NGF)、NGF−β、血小板成長因子、形質転換成長因子(TGF)、TGF−α、TGF−β、インスリン様成長因子−I、インスリン様成長因子−II、エリスロポエチン(EPO)、骨誘導因子、インターフェロン、インターフェロン−α、インターフェロン−β、およびインターフェロン−γ、コロニー刺激因子(CSF)、マクロファージ−CSF(M−CSF)、顆粒球−マクロファージ−CSF(GM−CSF)、顆粒球−CSF(G−CSF)、インターロイキン(IL)、IL−1、IL−1α、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IL−21、LIF、kit−リガンド、FLT−3、アンジオスタチン、トロンボスポンジン、エンドスタチン、腫瘍壊死因子、およびLTからなる群より選択される、請求項20記載の方法。
【請求項62】
前記ケモカインが、RANTES、MCAF、MIP1−α、MIP1−β、およびIP−10からなる群より選択される、請求項20記載の方法。
【請求項63】
前記エフェクター部分が、副腎皮質刺激ホルモン、エビラチド、アンジオテンシン、アンジオテンシンII、アスパラギナーゼ、心房性ナトリウム利尿ペプチド、心房性ナトリウム利尿ペプチド、バシトラシン、β−エンドルフィン、血液凝固因子VII、VIII、およびIX、血液胸腺因子、骨形態形成因子、骨形態形成タンパク質、ブラジキニン、セルレイン、カルシトニン遺伝子に関連するポリペプチド、カルシトニン、CCK−8、細胞成長因子、EGF、酸性FGF、塩基性FGF、ケモカイン、コレシストキニン、コレシストキニン−8、コレシストキニン−パンクレオザイミン、コリスチン、コロニー刺激因子、コルチコトロピン放出因子、デスモプレシン、ジペプチド、ジスムターゼ、ダイノルフィン、エレドイシン、エンドルフィン、エンドセリン、エンドセリン−アンタゴニストペプチド、エンドセリン、エンケファリン、上皮成長因子、エリスロポエチン、小胞刺激ホルモン、ガラニン、胃抑制ポリペプチド、胃液放出ポリペプチド、ガストリン、グルカゴン、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオペルオキシダーゼ、ゴナドトロピン、グラミシジン、グラミシジン類、成長因子、成長ホルモン放出因子、成長ホルモン、h−ANP、ホルモン放出ホルモン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ヒト絨毛性ゴナドトロピンβ鎖、ヒト胎盤性ラクトーゲン、インスリン、インスリン様成長因子、IGF−I、IGF−II、インターフェロン、インターロイキン、腸管ポリペプチド、カリクレイン、キョートルフィン、ルリベリン、黄体形成ホルモン、黄体形成ホルモン放出ホルモン、塩化リゾチーム、メラニン細胞刺激ホルモン、メラニン細胞刺激ホルモン、メリチン、モチリン、ムラミル、ムラミルジペプチド、神経成長因子、神経栄養因子、NT−3、NT−4、CNTF、GDNF、BDNF、神経ペプチドY、ニューロテンシン、オキシトシン、パンクレアスタチン、パンクレアチンポリペプチド、パンクレオジミン、甲状腺ホルモン、ペンタガストリン、ポリペプチドYY、下垂体アデニルシクラーゼ活性化ポリペプチド、血小板由来増殖因子、ポリミキシンB、プロラクチン、タンパク質合成刺激ポリペプチド、PTHに関連するタンパク質、リラクシン、レニン、セクレチン、血清胸腺因子、ソマトメジン、ソマトスタチン、物質P、超酸化物、スーパーオキシドジスムターゼ、タフトシン、テトラガストリン、胸腺体液因子、チモシン、チモスティムリン、甲状腺ホルモン放出ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、チロトロピン放出ホルモン(TRH)、トリプシン、タフトシン、腫瘍成長因子、腫瘍壊死因子、チロキジン、ウロガストリン、ウロキナーゼ、血管活性腸管ポリペプチド、バソプレッシン、および機能的に同等なものからなる群より選択される、請求項20記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−517337(P2009−517337A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536564(P2008−536564)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/025499
【国際公開番号】WO2007/046893
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(507332251)アイビーシー・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】IBC PHARMACEUTICALS,INC.
【Fターム(参考)】