説明

規制通知システム及び移動機

【課題】 移動機のユーザに対して規制理由を通知すると共に、規制理由の通知による移動体通信網への負荷が発生することを防止する。
【解決手段】 規制通知システム10は、移動体通信網20に含まれ、当該移動体通信網20における規制に係る規制理由を移動機70に通知するシステムであって、アクセス網制御装置30を含む。アクセス網制御装置30は、規制理由を示す規制理由コードを取得する規制理由取得部311と、取得された規制理由コードを報知情報に含める通知用情報生成部331と、規制理由コードが含められた報知情報を送信する通知用情報送信部332と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信網に含まれ、当該移動体通信網における規制に係る規制理由を移動機に通知する規制通知システム、及び当該移動機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動通信システムが何らかの原因で輻輳しており、かつ無線区間おいて移動機からの無線接続の禁止等の規制を行っている場合、移動機のユーザは、移動機から出力されるビジートーンや「しばらくお待ちください」との表示や音声により、移動機が移動体通信網に接続できないことを知ることができた。また、例えば、下記の特許文献1には、基地局から規制理由通知用の特定の無線回線に接続するように制御し規制理由を示す情報を移動機に音声伝達することにより、移動機のユーザに移動体通信網に接続できない理由を通知する技術が記載されている。
【特許文献1】特開平10−173592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、移動機において、ビジートーンや「しばらくお待ちください」等の表示や音声が出力された場合、ユーザはなぜ規制されているのかを知りえないため、発信する操作を繰り返すことが一般的である。規制率が100%でない場合、規制が行われている間は、発信できる時間帯が間欠的に存在する。発信できない時間帯に発信する操作を繰り返すことにより、発信できる時間帯に突入したときに発信できる確率は高くなるが、同時に多くの発信動作が行われていると輻輳を助長し、より一層規制率を高める措置にならざるを得ない。規制率を高めるということは発信できない時間帯に対して、発信できる時間帯を短くすることになるため、発信操作を同様に繰り返していれば発信できる時間帯にはより一層の発信動作が集中し、さらに規制率を高めるという悪循環に陥ることがある。発信したいというユーザ欲求が沈静化しない限り、移動体通信網に移動機から多くの発信が行われ、規制を解除した後に再び輻輳に陥るケースがある。規制率を高め、ユーザの発信欲求を削ぎ沈静化を期待することもできるが、これはネガティブな考え方であり、ユーザクレームを助長する。規制理由をユーザに通知することで理解を促進し、安定した発信動作につなげることが、健全なネットワーク運用方法である。
【0004】
また、特許文献1に記載の技術では、なぜ規制されているのかを移動機のユーザが知ることができるが、そのために移動機から移動体通信網に対する発信等が行われる必要があるため、上記と同様に移動体通信網に移動機から多くの発信が行われるおそれがある。また、本技術においては、通信回線を設定しなければならないため、通話回線の設定処理で輻輳となりえる。
【0005】
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、移動機のユーザに対して規制理由を通知すると共に、規制理由の通知による移動体通信網への負荷が発生することを防止することができる規制通知システム及び移動機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係る規制通知システムは、移動体通信網に含まれ、当該移動体通信網における規制に係る規制理由を移動機に通知する規制通知システムであって、規制理由を示す情報を取得する規制理由取得手段と、規制理由取得手段により取得された規制理由を示す情報を、移動体通信網における報知情報に含める通知用情報生成手段と、通知用情報生成手段により、規制理由を示す情報が含められた報知情報を送信する通知用情報送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る規制通知システムでは、報知情報に規制理由を示す情報が含められて送信される。従って、移動機は、報知情報を受信することによって規制理由を示す情報を取得することができるので、規制理由を示す情報を取得するために移動体通信網に対する発信等を行う必要がない。従って、本発明に係る規制通知システムによれば、移動機のユーザに対して規制理由を通知すると共に、規制時の移動機からの無駄な発信を防止して、規制理由の通知による移動体通信網への負荷が発生することを防止することができる。
【0008】
規制理由取得手段は、規制が行われる際に規制理由を検出することにより当該規制理由を示す情報を取得することが望ましい。また、規制理由取得手段は、規制理由を示す情報を受信することにより当該規制理由を示す情報を取得することが望ましい。この構成によれば、規制理由を示す情報を確実に取得することができ、確実に本発明を実施することができる。
【0009】
規制理由取得手段は、規制が行われる際に規制理由の検出、及び規制理由を示す情報の受信ができなかった場合、予め設定した情報を、当該規制理由を示す情報とすることが望ましい。この構成によれば、規制理由の検出、及び規制理由を示す情報の受信ができなかった場合であっても、規制が行われる際に移動機に対して何らかの通知を行うことができる。
【0010】
規制通知システムは、規制理由取得手段により規制理由を示す情報が複数取得された場合に、通知用情報生成手段により報知情報に含められる規制理由を示す情報を、当該規制理由を示す情報の優先度に基づいて決定する決定手段を更に備えることが望ましい。この構成によれば、複数の規制が行われている場合であっても、適切な規制理由を通知することができる。
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明に係る移動機は、移動体通信網における規制に係る規制理由を示す情報を含む報知情報を受信する通知用情報受信手段と、通知用情報受信手段により受信された報知情報に含まれる規制理由を示す情報に応じて、当該規制理由を通知する出力を行う出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る移動機では、報知情報を受信することによって規制理由を示す情報が取得されるため、規制理由を示す情報を取得するために移動体通信網に対する発信等を行う必要がない。従って、本発明に係る移動機によれば、移動機のユーザに対して規制理由を通知すると共に、規制時の移動機からの無駄な発信を防止して、規制理由の通知による移動体通信網への負荷が発生することを防止することができる。
【0013】
出力手段は、自機に対して移動体通信網への発信操作が行われた場合に、規制理由を通知する出力を行うことが望ましい。この構成によれば、適切なタイミングで、ユーザに対して規制理由を通知することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、移動機のユーザに対して規制理由を通知すると共に、規制時の移動機からの無駄な発信を防止して、規制理由の通知による移動体通信網への負荷が発生することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面と共に本発明に係る規制通知システムの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1に本発明に係る規制通知システム10及び移動機70を示す。規制通知システム10は、移動体通信網20に含まれ、当該移動体通信網20における規制に係る規制理由を移動機70に通知するシステムである。ここでいう移動体通信網20における規制とは、移動機70に対して、移動体通信網20への発信(接続)を禁止したり、あるいは移動体通信網20上の機能を制限したりすることである。この規制は、移動体通信網20が輻輳した場合や、移動体通信網20を構成する装置が故障した場合、当該装置に対して工事が行われる場合等に行われる。また、規制は、より詳細には後述するが、移動体通信網20を構成する装置により自発的に行われることもあるし、移動体通信網20の管理者により行われることもある。なお、上記の規制は、回線交換通信やパケット通信等の通信の種類毎に行われてもよい。規制通知システム10は、アクセス網制御装置30と、コア網制御装置40とを含んで構成されている。
【0017】
移動体通信網20は、移動機70の接続対象であり、移動機70と共に移動通信システムを構成している。移動体通信網20は、アクセス網制御装置30と、コア網制御装置40と、監視制御装置50と、入出力装置60とを含んで構成されている。これらの各構成要素が動作することによって、移動体通信網20としての機能が実現される。
【0018】
アクセス網制御装置30は、移動体通信網20と移動機70との間の無線接続機能を、アクセス網として提供する装置である。なお、図1においては、アクセス網制御装置30は、1つの装置として描かれているが、複数の装置によって構成されていてもよい。具体的には、アクセス網制御装置30は、移動機70との無線接続を確立する(即ち、無線区間を司る)基地局、及び基地局を制御する基地局制御装置とを含む。移動体通信網20における規制の原因の一つは、アクセス網制御装置30の輻輳、故障及び工事である。
【0019】
ここで、(アクセス網制御装置30に含まれる)基地局からは、移動体通信網20における報知情報(報知信号、パイロット情報)が送信されている。報知情報は、基地局から自身(セル)の存在を移動機70に検知させるために所定の間隔で送信されており、移動機70はチャネルをサーチしていくことで当該報知情報を受信することができる。即ち、報知情報は、移動機70から基地局(移動体通信網20)に対する発信等を行うことなく受信される。
【0020】
図1に示すようにアクセス網制御装置30は、アクセス網規制制御部31と、報知候補規制理由コード保持部32と、規制報知情報処理部33と、アクセス網自律規制判断部34とを含んで構成される。
【0021】
アクセス網規制制御部31は、アクセス網における規制を制御する手段である。具体的には、アクセス網規制制御部31は、コア網制御装置40、監視制御装置50、又はアクセス網自律規制判断部34から、アクセス網における規制指示を受け付けて、当該規制指示に基づいて規制を行う。なお、当該規制は、アクセス網制御装置30により提供されるアクセス網全体に対して行われるものであってもよいし、当該アクセス網の一部に対して行われるものであってもよい。また、ここで、上記の規制指示には、実施されている規制を解除するものも含む。アクセス網規制制御部31は、規制指示を規制報知情報処理部33に出力する。また、図1に示すように、アクセス網規制制御部31は、本発明に係る機能として、規制理由取得部311と、決定部312とを備える。
【0022】
規制理由取得部311は、アクセス網規制制御部31により行われる規制に係る規制理由を示す情報を取得する規制理由取得手段である。具体的には、規制理由取得部311は、コア網制御装置40、監視制御装置50、又はアクセス網自律規制判断部34から規制指示を受け付ける際に併せて、規制理由を示す情報を受信する。
【0023】
規制理由取得部311は、コア網制御装置40及び監視制御装置50からは、規制理由を示す情報として規制理由コードを受信する。規制理由コードは、例えば、数字列により構成されており、移動通信システムにおいて予めどの規制理由コードがどの規制理由に対応するか設定されている。また、この規制理由コードは、移動機に対して通知される規制理由を示す情報である。なお、コア網制御装置40及び監視制御装置50からアクセス網規制制御部31に対して規制指示だけが行われて規制理由コードが送信されない場合や、送信された規制理由コードが無効なものである場合がある。その場合、規制理由取得部311は、報知候補規制理由コード保持部32に格納された、予め設定した規制理由コードを取得して汎用的な規制理由として取得する。
【0024】
また、規制理由取得部311は、アクセス網自律規制判断部34からは、規制理由を示す情報として、アクセス網制御装置30内において設定された情報(独自理由コード)を受信する。規制理由取得部311は、独自理由コードを受信した場合は、報知候補規制理由コード保持部32に格納された、当該独自理由コードに対応した規制理由コードを取得する。規制理由取得部311は、取得した規制理由を示す情報である規制理由コードを決定部312に出力する。
【0025】
決定部312は、規制理由取得部311により取得された規制理由コードから、規制報知情報処理部33によって移動機70に報知される(報知情報に含められる)規制理由コードを決定する決定手段である。決定部312は、規制理由取得部311によって規制理由コードが複数取得された場合に、予め設定された規制理由コードの優先度に基づいて、報知される規制理由コードを決定する。具体的には、決定部312は、予め記憶したフローに従って、上記の決定を行う。より詳細には後述する。決定部312は、決定した規制理由コードを含む規制理由コードを、後述するように報知候補規制理由コード保持部32に出力する。また、また、決定部312は、決定した規制理由コードを規制報知情報処理部33に出力する。
【0026】
報知候補規制理由コード保持部32は、規制理由コードに関する情報を保持及び管理する手段である。報知候補規制理由コード保持部32に保持される情報の一つは、規制理由取得部311により取得された規制理由コードを示す情報である。この情報は、図2に示すように、規制理由コードを通知した装置(取得元の装置)を示す情報に、規制理由コードを対応付けて格納するテーブル32aに格納される。図2のテーブル32aの1行目のデータは、監視制御装置50から、規制理由コード“04”が通知されたことを示している。この情報は、決定部312から入力される。
【0027】
報知候補規制理由コード保持部32に保持されるもう一つの情報は、規制理由取得部311が規制理由コードを特定するための情報である。この情報は、図3に示すようなテーブル32bに格納される。当該情報は、具体的には、規制理由コードに、アクセス網自律規制判断部34から通知された独自理由コード(図3のテーブル32bにおける右側の列のデータ)を対応付けた情報である。図3のテーブル32bでは、上3行のデータがこの情報に対応する。図3のテーブル32bの1行目のデータは、独自理由コード“故障A”が、規制理由コード“01”に対応することを示している。
【0028】
また、テーブル32bに格納される情報には、具体的には、コア網制御装置40及び監視制御装置50からアクセス網規制制御部31に対して規制指示だけが行われて規制理由コードが送信されない場合や、送信された規制理由コードが無効なものである場合に、規制理由取得部311により取得される規制理由コードが含まれる。図3のテーブル32bでは、4行目のデータがこの情報に対応する。図3のテーブル32bの4行目のデータは、コア網制御装置40及び監視制御装置50から規制理由コードが送信されない場合等に規制理由取得部311により取得される規制理由コードが“03”であることを示している。テーブル32bに格納される情報は、予め移動体通信網20の管理者等により予め入力されている。あるいは、後述するように外部の装置から設定されることとしてもよい。
【0029】
規制報知情報処理部33は、アクセス網規制制御部31から規制指示及び規制指示に係る規制理由コードを入力して、当該規制指示に係る規制を行うために、報知情報に移動機70に対する規制指示を含める。また、図1に示すように、規制報知情報処理部33は、本発明に係る機能として、通知用情報生成部331と、通知用情報送信部332とを備える。
【0030】
通知用情報生成部331は、アクセス網規制制御部31から入力された規制理由コードを報知情報に含める報知用情報生成手段である。規制理由コードを報知情報に含める処理は、例えば、当該報知情報を送信する基地局により行われる。なお、規制理由コードを含める報知情報は、規制指示が含まれる報知情報と同じものであっても、別のものであってもよい。通知用情報生成部331は、規制理由コードを含めた報知情報を通知用情報送信部332に出力する。
【0031】
通知用情報送信部332は、通知用情報生成部331から入力された、規制理由コードを含んだ報知情報を送信する通知用情報送信手段である。この送信は、具体的には、基地局により行われる。
【0032】
アクセス網自律規制判断部34は、アクセス網を監視し、アクセス網において規制を行う必要があるか否かを自立的に判断する手段である。アクセス網自律規制判断部34は、装置に故障が発生していることやアクセス網に輻輳が発生していることを検出して、検出内容に応じた規制を行うようにアクセス網規制制御部31に規制指示を行う。この際、「故障」、「輻輳」等の当該規制に係る規制理由を示す独自理由コードも、規制指示と併せてアクセス網規制制御部31に通知する。即ち、アクセス網自律規制判断部34は、アクセス網における規制が行われる際に規制理由を検出する規制理由取得手段の一機能である。
【0033】
以上のアクセス網制御装置30の各機能的構成要素31〜34は、基地局あるいは基地局制御装置の何れかに含まれる。どのように機能配備を行うかはネットワーク効率性における判断になる。
【0034】
コア網制御装置40は、アクセス網制御装置30に接続されており、移動体通信網20の核となる(有線)ネットワーク(コア網)を制御する装置である。なお、コア網制御装置40は、移動体通信網20におけるアクセス網制御装置30の上位装置である。また、図1においては、コア網制御装置40は、1つの装置として描かれているが、複数の装置によって構成されていてもよい。具体的には、コア網制御装置40は、移動機70間の通信接続を確立させる交換機等を含む。移動体通信網20における規制の原因の一つは、コア網制御装置40の輻輳、故障及び工事である。
【0035】
図1に示すようにコア網制御装置40は、コア網規制制御部41と、通知候補規制理由コード保持部42と、規制通知情報処理部43と、コア網自律規制判断部44とを含んで構成される。
【0036】
コア網規制制御部41は、コア網における規制を制御する手段である。具体的には、コア網規制制御部41は、監視制御装置50、又はコア網自律規制判断部44から、コア網における規制指示を受け付けて、当該規制指示に基づいて規制を行う。なお、当該規制は、コア網制御装置40により提供されるコア網全体に対して行われるものであってもよいし、当該コア網の一部に対して行われるものであってもよい。コア網規制制御部41は、規制指示を規制通知情報処理部43に出力する。
【0037】
また、コア網規制制御部41は、規制に係る規制理由を示す情報を取得することとしてもよい。また、取得した規制理由コードから、アクセス網制御装置30の規制通知情報処理部33によって移動機70に報知される(報知情報に含められる)規制理由コードを決定することとしてもよい。具体的には、コア網規制制御部41は、上述した規制理由取得部311及び決定部312に対応した機能を有していてもよい。即ち、コア網規制制御部41は、規制理由取得手段及びコア網規制制御手段として機能してもよい。その場合、コア網規制制御部41から規制通知情報処理部43に規制指示と共に当該規制指示に係る規制理由コードが出力される。
【0038】
通知候補規制理由コード保持部42は、規制理由コードに関する情報を保持及び管理する手段である。コア網規制制御部41に保持される情報は、規制理由取得手段及びコア網規制制御手段として機能する場合に利用される。通知候補規制理由コード保持部42は、上述した報知候補規制理由コード保持部32により保持される情報と同様の情報を保持する。
【0039】
規制通知情報処理部43は、コア網規制制御部41から入力された規制指示をアクセス網制御装置30に送信する手段である。コア網規制制御部41から当該規制指示に係る規制理由コードが入力されていた場合は、規制理由コードについても併せて送信する。なお、規制指示と規制理由コードとは、別々の情報により送信されてもよい。
【0040】
コア網自律規制判断部44は、コア網を監視し、コア網において規制を行う必要があるか否かを自立的に判断する手段である。コア網自律規制判断部44は、装置に故障が発生していることやコア網に輻輳が発生していることを検出して、検出内容に応じた規制を行うようにコア網規制制御部41に規制指示を行う。この際、「故障」、「輻輳」等の当該規制に係る規制理由を示す独自理由コードも、規制指示と併せてコア網規制制御部41に通知する。即ち、コア網自律規制判断部44は、コア網における規制が行われる際に規制理由を検出する規制理由取得手段の一機能である。
【0041】
監視制御装置50は、アクセス網制御装置30及びコア網制御装置40に対して、規制指示を送信する装置である。監視制御装置50は、アクセス網制御装置30及びコア網制御装置40それぞれと接続されており、情報の送受信を行えるようになっている。監視制御装置50は、アクセス網制御装置30に対して規制指示を送信するために、アクセス網規制指示部51を備えている。アクセス網規制指示部51は、入出力装置60から規制指示を受け付けて、当該規制指示をアクセス網制御装置30に送信する。また、アクセス網規制指示部51は、入出力装置60から規制指示と共に当該規制指示に係る規制理由コードが入力された場合は、当該規制理由コードも受け付けて当該規制理由コードをアクセス網制御装置30に送信する。その際、アクセス網規制指示部51は、送信した当該規制理由コードを、監視制御装置50が備えるアクセス網候補規制理由コード保持部52に記憶させておく。なお、アクセス網制御装置30への送信は、規制指示と当該規制指示に係る規制理由コードとが同一のデータとして行われてもよいし、別々のデータとして行われてもよい。
【0042】
また、監視制御装置50は、コア網制御装置40に対して規制指示を送信するために、コア網規制指示部53を備えている。コア網規制指示部53は、入出力装置60から規制指示を受け付けて、当該規制指示をコア網制御装置40に送信する。また、コア網規制指示部53は、入出力装置60から規制指示と共に当該規制指示に係る規制理由コードが入力された場合は、当該規制理由コードも受け付けて当該規制理由コードをコア網制御装置40に送信する。その際、コア網規制指示部53は、送信した当該規制理由コードを、監視制御装置50が備えるコア網候補規制理由コード保持部54に記憶させておく。なお、コア網制御装置40への送信は、規制指示と当該規制指示に係る規制理由コードとが同一のデータとして行われてもよいし、別々のデータとして行われてもよい。
【0043】
入出力装置60は、移動体通信網20の管理者等からの移動体通信網20における規制指示を行う入力を受け付けて、監視制御装置50に送信する装置である。入出力装置60は、監視制御装置50と接続されており、情報の送受信を行えるようになっている。また、入出力装置60は、アクセス網規制指示入出力部61と、コア網規制指示入出力部62とを備えて構成されている。
【0044】
アクセス網規制指示入出力部61は、移動体通信網20の管理者等の操作によるアクセス網に対する規制指示を行う入力を受け付けて、監視制御装置50(のアクセス網規制指示部51)に送信する。コア網規制指示入出力部62は、移動体通信網20の管理者等の操作によるコア網に対する規制指示を行う入力を受け付けて、監視制御装置50(のコア網規制指示部53)に送信する。移動体通信網20の管理者等は、管理用の端末等に出力される管理情報等で移動体通信網20を監視しておき、規制の必要があると判断した場合、上記の入力を行う。
【0045】
移動体通信網20に含まれる各装置30,40,50,60は、図4に示すように、CPU(Central Processing Unit)201、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)202及びROM(ReadOnly Memory)203、通信を行うための通信モジュール204、並びにハードディスク等の補助記憶装置205等のハードウェアを備えるコンピュータとして構成される。これらの構成要素が動作することにより、上述した各装置30,40,50,60の機能が発揮される。
【0046】
移動機70は、ユーザにより用いられて、移動体通信網20に接続して移動体通信を行うための装置であり、具体的には例えば、携帯電話機等である。移動機70は、通信機能制御部71と、規制報知情報保持部72と、規制理由コード言語変換部73と、出力部74と、発信操作部75と、規制理由コード言語変換データ書替部76と、外部インターフェイス部77と、通信部78とを備えて構成される。
【0047】
通信機能制御部71は、移動体通信網20との間の通信を制御すると共に、当該通信を行うための機能を制御する手段である。具体的には、通信機能制御部71は、移動体通信網20のアクセス網制御装置30に含まれる基地局から、移動体通信網20における規制に係る規制指示、及び当該規制に係る規制理由コードを含む報知情報を受信する通知用情報受信手段である。通信機能制御部71は、受信した規制指示(報知情報)を規制報知情報保持部72に保持させて、規制報知情報保持部72に格納されている規制指示に応じた機能制御を行う。例えば、規制が移動体通信網20への発信を禁止するものであった場合、通信機能制御部71は、発信操作部75から移動体通信網20への発信要求の入力があったときに、規制報知情報保持部72に上記の規制を行う規制指示が保持されていれば、発信を禁止する機能制御を行う。
【0048】
また、通信機能制御部71は、受信された報知情報に含まれる規制理由コードに応じて、規制理由を通知する出力を行う出力手段の一機能である。具体的には、通信機能制御部71は、規制理由コード言語変換部73に対して、規制理由コードを、出力部74から出力される規制理由を示す情報に変換する変換指示を行う。続いて、通信機能制御部71は、当該変換指示に応じて規制理由コード言語変換部73から規制理由を示す情報を取得し、出力部74に出力する。出力部74から出力される規制理由を示す情報は、例えば、「アクセス網制御装置に故障が発生しています」等の、ユーザが認識できるようにコード等でなく文章等(人的言語)である。出力部74から出力される規制理由を示す情報の取得及び出力は、移動機70に対して移動体通信網20への発信操作が行われた場合に行われることが望ましい。
【0049】
規制報知情報保持部72は、通信機能制御部71によって受信された規制指示(報知情報)を保持する手段である。規制報知情報保持部72による保持内容は、上記のように必要に応じて通信機能制御部71により参照される。
【0050】
規制理由コード言語変換部73は、通信機能制御部71から、規制理由コードを、出力部74から出力される規制理由を示す情報に変換する変換指示を受け付けて、規制理由コードに応じた上記の規制理由を示す情報を通信機能制御部71に出力する。即ち、規制理由コード言語変換部73は、上記の出力手段の一機能である。規制理由コード言語変換部73は、規制理由コードと上記の規制理由を示す情報とを対応付けて予め保持した規制理由コード言語変換データ保持部731を備える。規制理由コード言語変換部73は、通信機能制御部71から変換指示を受け付けたときに、規制理由コード言語変換データ保持部731を参照して、規制理由コードに応じた上記の規制理由を示す情報を取得する。
【0051】
出力部74は、通信機能制御部71から入力される上記の規制理由を示す情報を出力する出力手段の一機能である。この出力は、ユーザに認識できる形で行われる。具体的には例えば、移動機70が備えるディスプレイにより表示出力することとしてもよいし、移動機70が備えるスピーカーにより音声出力することとしてもよい。上記の両方の機能(表示出力、音声出力)を有している場合、何れか一方を出力するのか、両方を出力するのかを予めユーザにより設定されることとしてもよい。出力部74の出力により、ユーザは、どのような理由で移動体通信網20における規制が行われることを知ることができる。
【0052】
発信操作部75は、ユーザからの、移動体通信網20への発信操作を受け付ける手段である。発信操作部75は、受け付けた発信操作を、通信機能制御部71に入力する。
【0053】
規制理由コード言語変換データ書替部76は、規制理由コード言語変換データ保持部731が保持した、互いに対応付けられた規制理由コードと上記の規制理由を示す情報とを書き替える手段である。このような書き換えが行われることにより、移動体通信網20において通信事業者が意図する規制理由コードに対応する、移動機70において出力される規制理由を示す情報を最新に保つことができる。書き換えのための情報は外部インターフェイス部77又は通信部78から入力される。
【0054】
外部インターフェイス部77は、規制理由コード言語変換データ書替部76に保持される情報を書き替えるための情報を外部から入力する手段である。外部インターフェイス部77は、例えば、通信事業者がユーザサービスを提供する店舗等において、有線により外部装置と接続されて、外部装置から上記の情報が入力される。外部インターフェイス部77は、入力した情報を規制理由コード言語変換データ書替部76に出力する。
【0055】
通信部78は、規制理由コード言語変換データ書替部76に保持される情報を書き替えるための情報を外部から入力する別の手段である。具体的には、通信部78は、外部装置であるコード変換データ蓄積装置80から、当該装置に蓄積されたコード変換データ81を、通信網90を介してダウンロードする。なお、通信網90は、移動体通信網20と同じ通信網であってもよいし、別の通信網であってもよい。なお、通信部78の機能は、移動機70のバグ改修等を遠隔で実施できるように提供される機能を利用することとしてもよい。通信部78は、入力した情報を規制理由コード言語変換データ書替部76に出力する。なお、規制理由コード言語変換データ書替部76に保持される情報を書き替えるための情報を外部から入力する手段として、外部インターフェイス部77及び通信部78の一方のみを備える構成であってもよい。
【0056】
移動機70は、図5に示すように、CPU701、RAM702、ROM703、操作部704、無線通信部705、ディスプレイ706及びアンテナ707等のハードウェアにより構成されている。これらの構成要素が動作することにより、上述した移動機70の機能が発揮される。
【0057】
引き続いて、図6のシーケンス図を用いて、本実施形態に係る規制通知システム10であるアクセス網制御装置30によって実行される処理を説明する。この処理は、移動機70に対して規制指示を行うと共に規制に係る規制理由を移動機70に通知する(規制理由コードを送信する)処理である。
【0058】
まず、コア網制御装置40からアクセス網制御装置30に対して規制指示が行われた場合について説明する。コア網制御装置40からアクセス網制御装置30に対して規制指示が行われると、アクセス網制御装置30では、アクセス網規制制御部31によって、当該規制指示が受け付けられる(S01)。また、この際、コア網制御装置40から当該規制指示の規制に係る規制理由コードがアクセス網制御装置30に送信されていた場合、アクセス網規制制御部31の規制理由取得部311によって、当該規制理由コードが受信される。コア網制御装置40から当該規制指示の規制に係る規制理由コードがアクセス網制御装置30に送信されていない場合、規制理由取得部311によって、報知候補規制理由コード保持部32に格納された、予め設定した規制理由コード(図3のテーブル32bの4行目のデータ)が取得される。取得された規制理由コードは、決定部312に出力される。
【0059】
続いて、決定部312から報知候補規制理由コード保持部32に対して、それまでの処理により規制理由取得部311により取得された規制理由コード(図2のテーブル32aに格納された情報)の取得要求が行われる(S02)。当該取得要求に応じて、報知候補規制理由コード保持部32から、保持されていた規制理由コードが決定部312に出力される(S03)。続いて、決定部312によって、報知情報により移動機70に通知(報知)される規制理由コードが決定される(S04)。なお、S02〜S04の処理については、図7のフローチャートを用いて、より詳細に後述する。
【0060】
続いて、決定部312によって決定された規制理由コードを含む規制理由コードが、決定部312から報知候補規制理由コード保持部32に出力される(S05)。続いて、決定部312によって決定された規制理由コード及び規制指示が、決定部312から規制報知情報処理部33に出力される(S06)。
【0061】
続いて、規制報知情報処理部33の通知用情報生成部331によって、アクセス網規制制御部31から入力された規制理由コードが報知情報に含められて、報知情報が生成される(S07)。また、規制指示が含まれる報知情報が生成される。生成された報知情報は、通知用情報送信部332に出力される。続いて、通知用情報送信部332によって、報知情報が送信される(S08)。報知情報は、当該報知情報を送信する基地局のセル内に位置する移動機70により受信される。なお、報知情報の生成及び送信(S07,S08)は、所定の間隔で継続的に行われ、それらの報知情報には、S06で規制報知情報処理部33に入力された規制理由コード及び規制指示が含められる。
【0062】
次に、入出力装置60からの規制指示を受け付けた監視制御装置50からアクセス網制御装置30に対して規制指示が行われた場合について説明する。監視制御装置50からアクセス網制御装置30に対して規制指示が行われると、アクセス網制御装置30では、アクセス網規制制御部31によって、当該規制指示が受け付けられる(S11)。また、この際、監視制御装置50から当該規制指示の規制に係る規制理由コードがアクセス網制御装置30に送信されていた場合、アクセス網規制制御部31の規制理由取得部311によって、当該規制理由コードが受信される。監視制御装置50から当該規制指示の規制に係る規制理由コードがアクセス網制御装置30に送信されていない場合、規制理由取得部311によって、報知候補規制理由コード保持部32に格納された、予め設定した規制理由コード(図3のテーブル32bの4行目のデータ)が取得される。取得された規制理由コードは、決定部312に出力される。
【0063】
続いて、決定部312から報知候補規制理由コード保持部32に対して、それまでの処理により規制理由取得部311により取得された規制理由コード(図2のテーブル32aに格納された情報)の取得要求が行われる(S12)。当該取得要求に応じて、報知候補規制理由コード保持部32から、保持されていた規制理由コードが決定部312に出力される(S13)。続いて、決定部312によって、報知情報により移動機70に通知(報知)される規制理由コードが決定される(S14)。なお、S12〜S14の処理については、図7のフローチャートを用いて、より詳細に後述する。
【0064】
続いて、決定部312によって決定された規制理由コードを含む規制理由コードが、決定部312から報知候補規制理由コード保持部32に出力される(S15)。続いて、決定部312によって決定された規制理由コード及び規制指示が、決定部312から規制報知情報処理部33に出力される(S16)。
【0065】
続いて、規制報知情報処理部33の通知用情報生成部331によって、アクセス網規制制御部31から入力された規制理由コードが報知情報に含められて、報知情報が生成される(S17)。また、規制指示が含まれる報知情報が生成される。生成された報知情報は、通知用情報送信部332に出力される。続いて、通知用情報送信部332によって、報知情報が送信される(S18)。報知情報は、当該報知情報を送信する基地局のセル内に位置する移動機70により受信される。なお、報知情報の生成及び送信(S17,S18)は、所定の間隔で継続的に行われ、それらの報知情報には、S16で規制報知情報処理部33に入力された規制理由コード及び規制指示が含められる。
【0066】
次に、アクセス網自律規制判断部34によりアクセス網において規制を行うことが必要であると判断されて、アクセス網規制制御部31に対して規制指示が行われた場合について説明する。アクセス網自律規制判断部34からアクセス網規制制御部31に対して規制指示が行われると、アクセス網制御装置30では、アクセス網規制制御部31によって、当該規制指示が受け付けられる(S21)。また、この規制指示と併せて、規制理由を示す独自理由コードが、アクセス網自律規制判断部34からアクセス網規制制御部31に通知される。アクセス網規制制御部31の規制理由取得部311によって、当該規制理由を示す独自理由コードが受信される。続いて、規制理由取得部311によって、報知候補規制理由コード保持部32に格納された、予め独自理由コードに対応する規制理由コード(図3のテーブル32bの1〜3行目のデータ)が取得される。取得された規制理由コードは、決定部312に出力される。
【0067】
続いて、決定部312から報知候補規制理由コード保持部32に対して、それまでの処理により規制理由取得部311により取得された規制理由コード(図2のテーブル32aに格納された情報)の取得要求が行われる(S22)。当該取得要求に応じて、報知候補規制理由コード保持部32から、保持されていた規制理由コードが決定部312に出力される(S23)。続いて、決定部312によって、報知情報により移動機70に通知(報知)される規制理由コードが決定される(S24)。なお、S22〜S24の処理については、図7のフローチャートを用いて、より詳細に後述する。
【0068】
続いて、決定部312によって決定された規制理由コードを含む規制理由コードが、決定部312から報知候補規制理由コード保持部32に出力される(S25)。続いて、決定部312によって決定された規制理由コード及び規制指示が、決定部312から規制報知情報処理部33に出力される(S26)。
【0069】
続いて、規制報知情報処理部33の通知用情報生成部331によって、アクセス網規制制御部31から入力された規制理由コードが報知情報に含められて、報知情報が生成される(S27)。また、規制指示が含まれる報知情報が生成される。生成された報知情報は、通知用情報送信部332に出力される。続いて、通知用情報送信部332によって、報知情報が送信される(S28)。報知情報は、当該報知情報を送信する基地局のセル内に位置する移動機70により受信される。なお、報知情報の生成及び送信(S27,S28)は、所定の間隔で継続的に行われ、それらの報知情報には、S26で規制報知情報処理部33に入力された規制理由コード及び規制指示が含められる。以上が、本実施形態に係る規制通知システム10であるアクセス網制御装置30によって実行される処理である。
【0070】
引き続いて、決定部312による移動機70に通知する規制理由コードの決定の処理(S02〜S04,S12〜S14,S22〜S24)について、図7のフローチャートを用いてより詳細に説明する。
【0071】
まず、決定部312では、入力された規制指示に併せて、規制理由コードを受け付ける(S31)。続いて、報知候補規制理由コード保持部32に格納されている、それまでの処理により規制理由取得部311により取得された規制理由コード(図2のテーブル32aに格納された情報)を取得する(S32、S02,S03に対応する)。続いて、S31において受け付けられた規制理由コードを用いて、S32で取得された規制理由コードを上書きする(S33、S33以降はS04に対応する)。
【0072】
具体的には、S31において受け付けられた規制理由コードに対応する通知元装置と同じ通知元のデータが、S32で取得された規制理由コードに含まれる場合は、当該データをS31による受け付けられた規制理由コードで上書きする。例えば、S31による受け付けられた規制理由コードが「監視制御装置」からのものであり、規制理由コードが“02”であり、また、S32で取得された規制理由コードが図2のテーブル32aで示されるものであったとすると、「監視制御装置」からの規制理由コードは“04”から“02”に上書きされる。以降の処理は、S31において受け付けられた規制理由コードにより上書きされた、S32で取得された規制理由コードに基づいて行われる。図6におけるS06、S16、S26において、決定部312から報知候補規制理由コード保持部32に出力される規制理由コードは、上記のS31において受け付けられた規制理由コードにより上書きされたS32で取得された規制理由コードである。
【0073】
続いて、上記の規制理由コードに、「監視制御装置」からのものが含まれるかが判断される(図7におけるS34)。上記の規制理由コードに「監視制御装置」からのものが含まれると判断された場合は、「監視制御装置」からの規制理由コードを移動機70に通知する規制理由コードとして(S35)、規制理由コードが決定される(S36)。これは、監視制御装置50からの規制指示は、最も優先度が高いものだからである。
【0074】
S34において、上記の規制理由コードに「監視制御装置」からのものが含まれないと判断された場合は、続いて、上記の規制理由コードに、「コア網制御装置」からのものが含まれるかが判断される(S37)。上記の規制理由コードに「コア網制御装置」からのものが含まれると判断された場合は、続いて、上記の規制理由コードに、「アクセス網自律規制判断部」からのものが含まれるかが判断される(S38)。上記の規制理由コードに「アクセス網自律規制判断部」からのものが含まれないと判断された場合は、「コア網制御装置」からの規制理由コードを移動機70に通知する規制理由コードとして(S39)、規制理由コードが決定される(S36)。
【0075】
S38において、上記の規制理由コードに「アクセス網自律規制判断部」からのものが含まれると判断された場合は、続いて、当該「アクセス網自律規制判断部」から規制理由コードが、(輻輳等に係るものではなく)故障に係るものであるか否かが判断される(S40)。図3のテーブル32bの例では、「アクセス網自律規制判断部」から規制理由コードが、“01”又は“02”であるか否かが判断される。「アクセス網自律規制判断部」から規制理由コードが、(輻輳等に係るものではなく)故障に係るものであると判断された場合は、「アクセス網自律規制判断部」からの規制理由コードを移動機70に通知する規制理由コードとして(S41)、規制理由コードが決定される(S36)。これは、コア網制御装置40からの規制指示は、アクセス網自律規制判断部34からの規制指示よりも原則として優先度が高いが、アクセス網自律規制判断部34により故障が検出された場合は、コア網制御装置40からの規制指示よりも優先度が高いからである。
【0076】
S37において、上記の規制理由コードに「コア網制御装置」からのものが含まれないと判断された場合は、続いて、上記の規制理由コードに、「アクセス網自律規制判断部」からのものが含まれるかが判断される(S42)。上記の規制理由コードに「アクセス網自律規制判断部」からのものが含まれると判断された場合は、「アクセス網自律規制判断部」からの規制理由コードを移動機70に通知する規制理由コードとして(S41)、規制理由コードが決定される(S36)。
【0077】
S42において、上記の規制理由コードに「アクセス網自律規制判断部」からのものが含まれないと判断された場合は、何れの装置からも規制指示がないため、移動機70に通知する規制理由コードは無いものとして(S43)、規制理由コードが決定される(S36)。これは、規制を解除する規制指示があった場合等に発生する。以上が、決定部312による移動機70に通知する規制理由コードの決定の処理である。
【0078】
引き続いて、アクセス網制御装置30の報知候補規制理由コード保持部32において、図3に示すテーブル32bに格納される情報を書き替える(設定する)処理を図8のシーケンス図を用いて説明する。この情報は、規制指示がなされた際に規制理由コードを特定するために用いられるものである。
【0079】
上記の情報の書き換えには、監視制御装置50からアクセス網制御装置30に送信される擬似規制指示によって行われる。擬似規制指示の送信は、入出力装置60において管理者等の操作が行われること等により行われる。まず、監視制御装置50からアクセス網制御装置30に、擬似規制指示及び書き換え対象となる規制理由コードを含む情報が送信される(S51)。図8に示すように、書き換え対象となる規制理由コードを含む情報は、例えば、独自理由コード(“輻輳C”)と規制理由コード(“04”)とが対応付けられたものである。
【0080】
続いて、アクセス網制御装置30では、アクセス網規制制御部31によって、当該擬似規制指示及び書き換え対象となる規制理由コードを含む情報が受信される(S52)。続いて、アクセス網規制制御部31から報知候補規制理由コード保持部32に対して、書き換え対象となるテーブル32bに格納された情報の取得要求が行われる(S53)。当該取得要求に応じて、報知候補規制理由コード保持部32から、当該取得要求に係る情報がアクセス網規制制御部31に対して出力される(S54)。
【0081】
続いて、報知候補規制理由コード保持部32から出力された情報が、S52において受信された書き換え対象となる規制理由コードを含む情報によって書き換えられる(S55)。図8に示す例では、独自理由コード“輻輳C”に対応する規制理由コードが、“04”に書き替えられる。書き替えられた情報は、アクセス網規制制御部31から報知候補規制理由コード保持部32に入力されて、報知候補規制理由コード保持部32によりテーブル32bにより保持される(S56)。以上により、図3に示すテーブル32bに格納される情報の書き換えが終了する。
【0082】
次に、書き替えられるデータが上記とは別の例を示す。まず、監視制御装置50からアクセス網制御装置30に、擬似規制指示及び書き換え対象となる規制理由コードを含む情報が送信される(S61)。図8に示すように、書き換え対象となる規制理由コードを含む情報は、例えば、規制理由コード(“04”)のみである。これは、アクセス網規制制御部31に対して規制指示だけが行われて規制理由コードが送信されない場合等に規制理由コードとする予め設定した情報を書き替える場合の情報である。
【0083】
続いて、アクセス網制御装置30では、アクセス網規制制御部31によって、当該擬似規制指示及び書き換え対象となる規制理由コードを含む情報が受信される(S62)。続いて、アクセス網規制制御部31から報知候補規制理由コード保持部32に対して、書き換え対象となるテーブル32bに格納された情報の取得要求が行われる(S63)。当該取得要求に応じて、報知候補規制理由コード保持部32から、当該取得要求に係る情報がアクセス網規制制御部31に対して出力される(S64)。
【0084】
続いて、報知候補規制理由コード保持部32から出力された情報が、S62において受信された書き換え対象となる規制理由コードを含む情報によって書き換えられる(S65)。図8に示す例では、アクセス網規制制御部31に対して規制指示だけが行われて規制理由コードが送信されない場合等に規制理由コードとする予め設定した情報が、“04”に書き替えられる(図3のテーブル32aにおける4行目のデータ)。書き替えられた情報は、アクセス網規制制御部31から報知候補規制理由コード保持部32に入力されて、報知候補規制理由コード保持部32によりテーブル32bにより保持される(S66)。図3のテーブル32bの情報が、図8に示す処理により書き替えられたテーブル32bを図9に示す。
【0085】
上記の処理により、規制理由コードに関する設定内容が変更される。なお、本処理では、テーブル32bに保持される情報が、外部の装置から設定されることとしているが、例えば、移動体通信網20の管理者等によりアクセス網制御装置30に対して直接、入力が行われて、上記の設定内容の変更が行われてもよい。
【0086】
なお、上述した説明においては、アクセス網制御装置30を中心とした説明であるが、コア網制御装置40においても上述した処理と同様の処理が行われる。但し、規制通知情報処理部43においては、報知情報は生成されず、規制指示と規制理由コードとがアクセス網制御装置30に送信される。
【0087】
引き続いて、図10のシーケンス図を用いて、移動体通信網20において規制が行われ、本実施形態に係る規制通知システム10から規制理由の通知が行われる際の、本実施形態に係る移動機70よって実行される処理を説明する。
【0088】
移動機70では、通信機能制御部71によって、アクセス網制御装置30から報知情報が受信される(S71)。この報知情報には、上述したように規制指示及び規制理由コードが含まれている。受信された報知情報は、通信機能制御部71から規制報知情報保持部72に入力され(S72)、規制報知情報保持部72に保持される(S73)。
【0089】
その後、ユーザ等によって発信操作部75に対する発信操作が行われる(S74)と、以下の処理が行われる。まず、通信機能制御部71によって発信操作が行われたことが検出される。続いて、通信機能制御部71から規制報知情報保持部72に対して、保持される情報の取得要求が行われる(S75)。当該取得要求に応じて、規制報知情報保持部72から通信機能制御部71に、保持される情報が出力される(S76)。通信機能制御部71によって、通信機能制御部71に保持される情報に規制指示が含まれているかどうかが判断されて、規制指示に係る機能制御が行われる。具体的には例えば、発信動作が中止される(S77)。
【0090】
続いて、通信機能制御部71から規制理由コード言語変換部73に対して、通信機能制御部71に保持される情報に含まれる規制理由コードと共に、当該規制理由コードを出力部74から出力される規制理由を示す情報に変換する変換指示が行われる(S78)。続いて、変換指示を受け付けた規制理由コード言語変換部73によって、規制理由コード言語変換データ保持部731に保持された、変換指示に係る規制理由コードに対応する規制理由を示す情報が取得される(S79)。取得された規制理由を示す情報は、規制理由コード言語変換データ保持部731から通信機能制御部71に、変換指示に対する応答として出力される(S80)。
【0091】
通信機能制御部71に入力された規制理由を示す情報は、出力部74に出力されて、出力部74によって出力(例えば画面出力)される(S81)。出力部74の出力により、ユーザは、どのような理由で移動体通信網20における規制が行われることを知ることができる。以上が、本実施形態に係る移動機70よって実行される処理である。
【0092】
本実施形態によれば、報知情報に、規制理由を示す情報として規制理由コードが含められて移動機70に通知される。従って、移動機70は、報知情報を受信することによって規制理由を示す情報を取得することができるので、規制理由を示す情報を取得するために移動体通信網20に対する発信等を行う必要がない。従って、本実施形態によれば、移動機70のユーザに対して規制理由を通知すると共に、規制時の移動機70からの無駄な発信を防止して、規制理由の通知による移動体通信網20への負荷が発生することを防止することができる。言い換えれば、本実施形態によれば、より適切に移動機のユーザに対して規制理由を通知して、無駄な発信を防止することができる。より具体的には、ユーザが規制理由を知ることにより無闇な再発信(最呼)を控えるため、規制を実施しなくてはならない場合の移動体通信網20の早期安定化が期待できる。
【0093】
更により具体的には、地震等の災害の場合は、音声通信呼よりもパケット通信呼の方が繋がりやすい(通信が確立されやすい)という傾向がある。この場合の規制理由において、安否確認はパケット通信を利用するように促し、該当の安否確認のURLを表示させることもできる。
【0094】
また、本実施形態で述べたように、規制通知システム10において、規制理由コードを取得することとすれば、規制理由コードを確実に取得することができ、確実に本発明を実施することができる。また、規制理由の検出、及び規制理由コードの受信ができなかった場合であっても、規制が行われる際に移動機70に対して何らかの通知を行うことができる。
【0095】
更に、本実施形態のように同じタイミングで規制理由コードが取得された場合(規制が重複する場合に)、図7のフローチャートで示したように優先度に応じて、通知する規制理由コードを決定するとすれば、複数の規制が行われている場合であっても、適切な規制理由を通知することができる。
【0096】
また、本実施形態の移動機70のように、発信操作が行われたことをトリガとして、出力部74による出力を行うこととすれば、適切なタイミングで、ユーザに対して規制理由を通知することができる。また、報知情報を受信したタイミングで、出力部74による出力を行うこととしてもよい。
【0097】
なお、本実施形態では、規制通知システム10にはコア網制御装置40が含まれる構成となっているが、必ずしもコア網制御装置40が含まれている必要はない。また、規制理由取得部311は、コア網制御装置40、監視制御装置50及びアクセス網自律規制判断部34の何れかから(あるいは、それらの何れかからの規制指示から)規制理由コードを取得することとしていたが、それらのうちの何れか一つあるいは二つのみから規制理由コードを取得する構成となっていてもよい。また、移動機70においても通信部78等は必ずしも備えられている必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施形態に係る規制通知システム及び移動機の機能構成を示す図である。
【図2】報知候補規制理由コード保持部により保持される情報を格納するテーブルの例を示した図である。
【図3】報知候補規制理由コード保持部により保持される情報を格納するテーブルの例を示した図である。
【図4】規制通知システムを構成する装置のハードウェア構成を示す図である。
【図5】規制通知システムを構成する装置のハードウェア構成を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る規制通知システムにより実行される処理を示すシーケンス図である。
【図7】アクセス網機能制御部により実行される、規制理由コードを決定する処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係る規制通知システムにより実行される処理を示すシーケンス図である。
【図9】処理の結果、報知候補規制理由コード保持部により保持される情報を格納するテーブルの例を示した図である。
【図10】本発明の実施形態に係る移動機により実行される処理を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0099】
10…規制通知システム、20…移動体通信網、30…アクセス網制御装置、31…アクセス網規制制御部、311…規制理由取得部、312…決定部、32…報知候補規制理由コード保持部、33…規制報知情報処理部、331…通知用情報生成部、332…通知用情報送信部、34…アクセス網自律規制判断部、40…コア網制御装置、41…コア網規制制御部、42…通知候補規制理由コード保持部、43…規制通知情報処理部、44…コア網自律規制判断部、50…監視制御装置、51…アクセス網規制指示部、52…アクセス網候補規制理由コード保持部、53…コア網規制指示部、54…コア網候補規制理由コード保持部、60…入出力装置、61…アクセス網規制指示入出力部、62…コア網規制指示入出力部、201…CPU、202…RAM、203…ROM、204…通信モジュール、205…補助記憶装置、70…移動機、71…通信機能制御部、72…規制報知情報保持部、73…規制理由コード言語変換部、731…規制理由コード言語変換データ保持部、74…出力部、75…発信操作部、76…規制理由コード言語変換データ書替部、77…外部インターフェイス部、78…通信部、701…CPU、702…RAM、703…ROM、704…操作部、705…無線通信部、706…ディスプレイ、707…アンテナ、80…コード変換データ蓄積装置、81…コード変換データ、90…通信網。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体通信網に含まれ、当該移動体通信網における規制に係る規制理由を移動機に通知する規制通知システムであって、
前記規制理由を示す情報を取得する規制理由取得手段と、
前記規制理由取得手段により取得された前記規制理由を示す情報を、前記移動体通信網における報知情報に含める通知用情報生成手段と、
前記通知用情報生成手段により、前記規制理由を示す情報が含められた報知情報を送信する通知用情報送信手段と、
を備える規制通知システム。
【請求項2】
前記規制理由取得手段は、前記規制が行われる際に前記規制理由を検出することにより当該規制理由を示す情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の規制通知システム。
【請求項3】
前記規制理由取得手段は、前記規制理由を示す情報を受信することにより当該規制理由を示す情報を取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の規制通知システム。
【請求項4】
前記規制理由取得手段は、前記規制が行われる際に前記規制理由の検出、及び前記規制理由を示す情報の受信ができなかった場合、予め設定した情報を、当該規制理由を示す情報とすることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の規制通知システム。
【請求項5】
前記規制理由取得手段により前記規制理由を示す情報が複数取得された場合に、前記通知用情報生成手段により前記報知情報に含められる規制理由を示す情報を、当該規制理由を示す情報の優先度に基づいて決定する決定手段を更に備える請求項1〜3の何れか一項に記載の規制通知システム。
【請求項6】
移動体通信網における規制に係る規制理由を示す情報を含む報知情報を受信する通知用情報受信手段と、
前記通知用情報受信手段により受信された報知情報に含まれる規制理由を示す情報に応じて、当該規制理由を通知する出力を行う出力手段と、
を備える移動機。
【請求項7】
前記出力手段は、自機に対して前記移動体通信網への発信操作が行われた場合に、前記規制理由を通知する出力を行うことを特徴とする請求項6に記載の移動機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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