説明

視線誘導標及び視線誘導標取付金具

【課題】形成に係る作業が簡便で、支柱上面が傾斜面であっても後付けが可能である視線誘導標及び視線誘導標取付金具を提供する。
【解決手段】取付金具10の傾斜板部12を傾斜面3に取り付けて反射体を設けることで、簡便に形成できるが、本体の傾斜板部12が傾斜面3に沿わされ、反射体が設けられた支持体を二体の本体の挟持部11間に挟着部21を用いて挟着することで反射体を設けることができ、支柱上面が傾斜面3であっても後付けが可能となり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防護柵等の支柱に取り付けられる視線誘導標及び視線誘導標取付金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
防護柵等の支柱に取り付けられる視線誘導標としては、例えば、支柱パイプ(2)とこの支柱パイプの上端に取付けられた反射器(3)とから構成され、支柱パイプ(2)は、支柱パイプ本体(2A)とこの支柱パイプ本体の上端に取付けられたキャップ(2B)とからなり、かつ、当該キャップの外周縁(2B1)は支柱パイプ本体(2A)の側壁より外方に突出され、反射器(3)は上方に位置する反射体(4)とこの反射体の下面に一体に連結された取付金具(5)とから構成され、取付金具(5)の下面に下方に向け垂下された法面側壁部(5B1)には内方に向け締付けネジ(5B11)が進退自在にねじ込まれていると共に、取付金具(5)の下面に垂下された車道側壁部(5B2)の下面にはキャップの外周縁に係脱する突片(5B21)が連設されている視線誘導標が開示されている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】実願平3−84868号のCD−ROM(実開平5−30217号)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のような従来の視線誘導標では、支柱のキャップを外して新たに反射器が取り付けられたキャップを取り付けるものであり、形成に係る作業が繁雑となるものであった。また近年景観に配慮した防護柵として多数設置されつつある支柱上面が歩道側に傾斜された傾斜面となされた防護柵に対して後付けが可能なものは従来開示されていない。
【0005】
本発明は上記の如き課題に鑑みてなされたものであり、形成に係る作業が簡便で、支柱上面が傾斜面であっても後付けが可能である視線誘導標及び視線誘導標取付金具を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。すなわち、本発明に係る視線誘導標は、支柱上端付近に設けられた傾斜面の両側端縁に張り出して設けられたフランジ部に取り付けられた取付金具に反射体が設けられたものであって、該取付金具は、傾斜板部、係止部及び挟持部とを有する本体と、反射体が設けられた反射体取付部と挟着部とを有する支持体とを備え、本体は二体が用いられ、該本体の各々の傾斜板部が前記傾斜面に沿わされて係止部が前記フランジ部に係止されると共に、本体の挟持部間に挟着部が挟着されて固定されていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明に係る視線誘導標によれば、取付金具を傾斜面に取り付けて反射体を設けることで簡便に形成できるが、本体の傾斜板部が傾斜面に沿わされ、反射体が設けられた支持体を二体の本体の挟持部間に挟着部を用いて挟着することで反射体を設けることができ、支柱上面が傾斜面であっても後付けが可能となり得る。
【0008】
また本発明に係る視線誘導標取付金具は、傾斜面の両側端縁に張り出して設けられたフランジ部に取り付けられた取付金具に反射体が設けられ、傾斜板部、係止部及び挟持部とを有する本体と、反射体が設けられた反射体取付部と挟着部とを有する支持体とを備え、該本体を二体用いて各々の傾斜板部が支柱上端付近に設けられた傾斜面に沿わされて係止部が傾斜面両側端縁に張り出して設けられたフランジ部に係止されると共に、本体の挟持部間に挟着部が挟着されて固定されるようになされていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る視線誘導標取付金具によれば、傾斜面に取り付けて反射体を設けることで簡便に形成できるが、本体の傾斜板部が傾斜面に沿わされ、反射体が設けられた支持体を二体の本体の挟持部間に挟着部を用いて挟着することで反射体を設けることができ、支柱上面が傾斜面であっても後付けが可能となり得る。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る視線誘導標によれば、取付金具を傾斜面に取り付けて反射体を設けることで簡便に形成できるが、本体の傾斜板部が傾斜面に沿わされ、反射体が設けられた支持体を二体の本体の挟持部間に挟着部を用いて挟着することで反射体を設けることができ、支柱上面が傾斜面であっても後付けが可能となり得る。
【0011】
また本発明に係る視線誘導標取付金具によれば、傾斜面に取り付けて反射体を設けることで簡便に形成できるが、本体の傾斜板部が傾斜面に沿わされ、反射体が設けられた支持体を二体の本体の挟持部間に挟着部を用いて挟着することで反射体を設けることができ、支柱上面が傾斜面であっても後付けが可能となり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る最良の実施の形態について、図面に基づき以下に具体的に説明する。
【0013】
図1〜図4は、本発明に係る視線誘導標の実施の一形態を示すもので、図1は取付金具の本体を示す説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。本体1は亜鉛鉄板を折り曲げて形成されたものであり、挟着部11に対し傾斜板部12は折り曲げられて形成されているが、折り曲げ部分は挟着部11の面と傾斜板部12の面とが直角になされると共に、水平に対して傾斜面と略同一の角度となされることで、傾斜板部12が傾斜面に沿わされた際に挟持部が鉛直となるようになされている。傾斜板部12の先端は更に鈎状に折り曲げられて係止部13が形成されている。また挟着部11を貫通して、上方ボルト孔14及び下方ボルト孔15がそれぞれ一体設けられている。
【0014】
図2は支持体を示すものであり、(a)は正面図、(b)は平面図である。支持体2は、ホームベース形状の挟着部21の上縁に矩形の切欠き211が設けられ、この切欠き211に円筒状の反射体取付部22が嵌着されると共に、反射体取付部22の外側面と切欠き211の内側面とが溶接により固着される。挟着部21は逆ホームベース形状となされていることで切欠き211内側面の長さを長くして溶接面積の拡大が図られている。挟着部21の下端付近中央には、ボルトが挿通可能な挿通孔23が一体貫通して設けられている。
【0015】
図3は取付金具の形成を示す正面図である。本体1は二体が用いられるが、二体の本体1A及び1Bは左右対称の形状となされている。本体1A及び1Bの挟持部11が平行になされると共に、挟持部11間に支持体2の挟着部21が位置され、本田1A及び1Bに設けられた上方ボルト孔14と、挟着部21に設けられた挿通孔23にボルトB1が挿通され、ワッシャーW1を介してボルトB1にナットN1が螺着されて緊結される。
【0016】
図4は、形成後の取付金具を示すものであり、(a)は背面図、(b)は平面図である。挟持部11間に挟着された挟着部21は、ナットNが緊結されると共に、反射体取付部22の下縁が挟持部11の上縁と接するようになされていることで、上方ボルト孔14及び挿通孔23に挿通されたボルトBが一本であっても反射体取付部22の前後方向への回動が抑止されて反射体取付部22のぐらつきの発生が防止されるようになされている。更に、本体1A及び1Bの下方ボルト孔15にもボルトB2が挿通されてワッシャーW2を介してナットN2が緊結される。支持体2の挟着部21は、前後方向については挟持部11の幅と略同一となされて接触面積が大きくなるようになされているが、上下方向については挟持部11の上端付近にのみ位置されるようになされていることで、上方ボルト孔15付近及びその下方の挟持部11間は隙間Sとなされている。かかる隙間Sが設けられていることで、係止部13間に位置された傾斜面3を、上方ボルト孔15に挿通されたボルトB2に螺着されたナットN2の締め込み具合により隙間Sの量を調整することが可能となり、傾斜面3の幅にバラツキがあっても二体の係止部13により傾斜面3を挟み付けるようにできる。
【0017】
図5は、本発明に係わる視線誘導標の、実施の一形態を示すもので、取付金具への反射体の取付を示す側面図である。反射体20は、合成樹脂製の駆体202に円形のプリズム反射体201が嵌着されて取り付けられ、駆体202の下方には一体に取付部203が設けられ、取付部203には反射体取付部22が挿通可能な円筒状の中空部204が設けられると共に、外側面から貫通してねじ山が備えられたビス孔205が等間隔で三体設けられている。取付金具10への反射体20の取り付けは、中空部204に反射体取付部22が挿通されて取付部203が反射体取付部22に嵌着された状態で、ビス孔205に螺着された押しビスB3が締め込まれて、押しビスB3の先端が反射体取付部22の外側面を押圧することで行われる。また逆ホームベース形状となされた挟着部21上縁により中空部204へ反射体取付部22が挿通されすぎるのを抑制し、反射体20を常時一定の高さに取り付けることが可能となされている。
【0018】
取付金具10は、主として防護柵の支柱等に取り付けられるものであり、ある程度の強度が必要となることから、鉄鋼、アルミニウム、ステンレス、チタン、亜鉛等の金属材料を用いて形成するのが好ましく、上記実施形態の如くこれらの板状体を折り曲げて形成するのが簡便であるが、これらの金属材料のダイカスト品、鋳物等を用いることもできる。更に、全く金属材料に限定されるものではなく、必要とされる強度が低いものであれば合成樹脂等を用いて射出成形等により形成してもよい。
【0019】
反射体20は、プリズム反射体に限定されるものではなく、基材にガラスビーズを埋設した反射シートを駆体202に貼着する等、その他適宜の再帰反射体を用いてもよく、鏡面体等を用いてもよい。また取付金具10と反射体20とが別体のものにも限定されず、例えば反射体取付部22を上方に延長し反射シートを貼着して反射体20を形成する等、取付金具10と一体に反射体20を形成するようにしてもよい。
【0020】
図6は、本発明に係わる視線誘導標の、支柱への取り付け状態の一例を示すもので、(a)は側面図、(b)は背面図である。支柱30は、地表から間隔をおいて立設され、防護柵を形成するものであり、本体301の上端にキャップ302が設けられ、キャップ302の上面が背後に向けて約45゜に傾斜された傾斜面3となされ、傾斜面3の両側縁は張り出されたフランジ部4となされたものである。キャップ302の下端付近には、帯状反射体Rが巻回されて取り付けられている。キャップ302の前面側には、傾斜面3と連続した上面を有するブラケットK1が取り付けられ、ブラケットK1に最上段の横梁P1が挿通されて固定されている。横梁P1の下方には更に下段の横梁P2が継手金具K2を用いて支柱30の本体301に固定されている。
【0021】
このフランジ部4に対し、両側から別々に本体1A及び1Bの係止部13を係止し、係止した状態で上述の如く取付金具10の形成を行う。形成後の取付金具10の反射体取付部22に対して反射体20を取り付けて固定することで支柱30の傾斜面3上に視線誘導標が形成される。本体1A及び1Bの傾斜板部12の傾斜が傾斜面3の傾斜角度と略同一となされていることで、傾斜面3に傾斜板部12が沿わされると反射体取付部22が、ひいては反射体20が鉛直に取り付けられるようになされる。
【0022】
図7は、本発明に係わる視線誘導標の、変形の一例を示す側面図である。反射体20は、縦長の矩形のプリズム反射体201を備えると共に、駆体202の下端に下方に開口した中空部204が設けられ、この中空部204に反射体取付部22が差し込まれて反射体20が取り付けられている。反射体20は単なる差し込みのみならず、接着手段を用いたり、駆体202の側方から螺着したビスの先端により反射体取付部22の外側面を押圧したり等して更に強固に固定するようにしておくのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る視線誘導標の、実施の一形態における取付金具の本体を示す説明図である。
【図2】本発明に係る視線誘導標の、実施の一形態における取付金具の支持体を示す説明図である。
【図3】本発明に係る視線誘導標の、実施の一形態における取付金具の形成を示す正面図である。
【図4】本発明に係る視線誘導標の、実施の一形態における取付金具を示す正面図である。
【図5】本発明に係る視線誘導標の、実施の一形態における取付金具への反射体の取り付けを示す側面図である。
【図6】本発明に係る視線誘導標の、防護柵への取り付け状態を示す説明図である。
【図7】本発明に係る視線誘導標の、防護柵への取り付け状態の変形の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 本体
11 挟持部
12 傾斜板部
13 係止部
2 支持体
21 挟着部
22 反射体取付部
3 傾斜面
4 フランジ部
10 取付金具
20 反射体
30 支柱


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱上端付近に設けられた傾斜面の両側端縁に張り出して設けられたフランジ部に取り付けられた取付金具に反射体が設けられたものであって、該取付金具は、傾斜板部、係止部及び挟持部とを有する本体と、反射体が設けられた反射体取付部と挟着部とを有する支持体とを備え、本体は二体が用いられ、該本体の各々の傾斜板部が前記傾斜面に沿わされて係止部が前記フランジ部に係止されると共に、本体の挟持部間に挟着部が挟着されて固定されていることを特徴とする視線誘導標。
【請求項2】
傾斜面の両側端縁に張り出して設けられたフランジ部に取り付けられた取付金具に反射体が設けられ、傾斜板部、係止部及び挟持部とを有する本体と、反射体が設けられた反射体取付部と挟着部とを有する支持体とを備え、該本体を二体用いて各々の傾斜板部が支柱上端付近に設けられた傾斜面に沿わされて係止部が傾斜面両側端縁に張り出して設けられたフランジ部に係止されると共に、本体の挟持部間に挟着部が挟着されて固定されるようになされていることを特徴とする視線誘導標取付金具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−190269(P2008−190269A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27517(P2007−27517)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】