説明

視聴率演算システム、検出装置、および演算装置

【課題】視聴率演算システムにおいて、一時的にサーバと通信装置とが通信できない状態になったとしても通信が復旧すれば直ちに視聴率を演算できる技術を提供する。
【解決手段】視聴率演算システムにおいて、各クライアントは、放送受信部が放送番組を受信しているときに、放送受信部が選択した放送局の情報、および放送番組を受信している時刻の情報を含む受信情報をサーバに対して繰り返し送信する。そして、サーバは、各クライアントから送信された受信情報を受信し(S210)、受信した各受信情報を予め設定された時間範囲毎に分別することによって、時間範囲毎かつ放送局毎に視聴率を演算し、この演算結果を視聴率情報としてデータベースに格納する(S220)。このような視聴率演算システムでは、各クライアントが放送番組の受信中に受信情報を繰り返し送信するので、サーバは受信できた受信情報だけを利用して視聴率を演算すればよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の受信装置によって何れの放送番組が受信されたかを集計することによって視聴率を演算する視聴率演算システム、並びにこのシステムを構成する検出装置および演算装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の視聴率演算システムとして、複数の放送チャンネルから1つの放送チャンネルを選択して放送番組を受信する受信装置が、この受信装置が何れの放送チャンネルを選択したかを検出する検出装置と一体に構成されたものが知られている。このシステムにおいて検出装置は、受信装置が放送番組の視聴を開始したとき、受信する放送番組を変更したとき、および放送番組の視聴を終了したときに、受信装置が選択したチャンネルの情報をサーバ(演算装置)に送信し、この情報に基づいてサーバが視聴率を集計するよう構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−244731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記システムでは、各受信装置によって視聴されているチャンネルが何れのチャンネルであるかといった視聴状態をサーバが常に把握しておく必要がある。このため、一時的にサーバと通信装置とが通信できない状態になり、この間に受信装置による視聴状態が変化すると、通信が復旧したとしても各受信装置の視聴状態を把握できなくなる虞がある。よってこの場合には、視聴率を演算することができなくなる虞がある。
【0005】
そこで、このような問題点を鑑み、複数の受信装置によって何れの放送番組が受信されたかを集計することによって視聴率を演算する視聴率演算システムにおいて、一時的にサーバと通信装置とが通信できない状態になったとしても通信が復旧すれば直ちに視聴率を演算できる技術を提供することを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために成された視聴率演算システムは、複数の放送局のうちの少なくとも1つを選択し、選択した放送局から送信される放送番組を受信する受信装置に対応して配置され、対応する受信装置が何れの放送局からの放送番組を受信したかを検出する複数の検出装置と、各検出装置による検出結果に基づいて視聴率を演算する演算装置と、を備えた視聴率演算システムである。各検出装置において受信情報送信手段は、受信装置が放送番組を受信しているときに、受信装置が選択した放送局の情報、および放送番組を受信している時刻の情報を含む受信情報を演算装置に対して繰り返し送信する。そして、演算装置の受信情報受信手段は、各検出装置から送信された受信情報を受信し、視聴率演算手段は、受信した各受信情報を予め設定された時間範囲毎に分別し、時間範囲毎かつ放送局毎に視聴率を演算し、この演算結果を視聴率情報として演算結果記録手段に格納する(請求項1)。
【0007】
このような視聴率演算システムによれば、各検出装置が受信装置による放送番組の受信中に受信情報を繰り返し送信するので、演算装置は受信できた受信情報だけを利用して視聴率を演算すればよい。つまり、演算装置は、検出装置が放送番組の受信を終了した場合等、受信情報が受信できなくなった場合であっても、何れの検出装置からの受信情報が途絶したかを考慮することなく視聴率を演算することができる。従って、演算装置は、検出装置が現在何れの放送番組を受信しているかを把握する必要がないため、一時的にサーバと通信装置とが通信できない状態になったとしても通信が復旧すれば直ちに視聴率を演算することができる。
【0008】
なお、「視聴率」は、「受信情報の取得数や登録されたユーザ数に対する各放送局の放送番組が受信された割合」等を演算することによって求めることができる。また、受信装置と検出装置とは一体に構成されていてもよい。
【0009】
ところで、上記視聴率情報演算システムにおいては、演算装置は、視聴率情報の少なくとも一部を検出装置に対して送信する視聴率情報送信手段、を備え、各検出装置は、視聴率情報を受信する視聴率情報受信手段、を備えていてもよい(請求項2)。
【0010】
このような視聴率演算システムによれば、検出装置が視聴率情報を取得することができる。なお、視聴率情報送信手段は、視聴率情報を放送電波や通信線等によって検出装置に提供するようにすればよい。また、検出装置は、受信装置に対して取得した視聴率情報を送信してもよいし、演算装置が受信装置に視聴率情報を直接送信してもよい。
【0011】
加えて、上記視聴率演算システムにおいて、各検出装置は、視聴率情報を演算装置に要求する視聴率情報要求手段、を備えていてもよい。この場合、演算装置の視聴率情報送信手段は、各検出装置からの要求に応じて要求元の検出装置に視聴率情報を送信するようにすればよい(請求項3)。
【0012】
このような視聴率演算システムによれば、演算装置は検出装置からの要求があったときに視聴率情報を送信すればよいので、演算装置は必要な情報のみを送信することができる。よって演算装置は送信する視聴率情報の送信回数を削減することができる。
【0013】
さらに、上記視聴率演算システムにおいて、各検出装置の視聴率情報要求手段は、受信情報送信手段が送信する受信情報とともに、視聴率情報の要求を送信し、演算装置の視聴率情報送信手段は、検出装置から受信情報を受信すると、受信情報を受信した応答として視聴率情報の少なくとも一部を要求元の検出装置に対して送信するようにしてもよい(請求項4)。
【0014】
このような視聴率演算システムによれば、検出装置と演算装置とが1回ずつ情報を送信するだけで受信情報および視聴率情報のやりとりをすることができる。よって、検出装置および演算装置が通信のために行う処理を簡素化することができるとともに、検出装置と演算装置との間の通信量を減少させることができる。
【0015】
また、上記視聴率演算システムにおいて、演算装置の視聴率情報送信手段は、検出装置から受信情報を受信すると、視聴率演算手段がこの受信情報に基づく視聴率を演算する前に、既に演算結果記録手段に格納されている視聴率情報の少なくとも一部を送信するようにしてもよい(請求項5)。
【0016】
このような視聴率演算システムによれば、受信情報を取得した直後に視聴率の情報を提供することができる。よって、検出装置に視聴率情報を早期に提供することができる。
さらに、上記視聴率演算システムにおいて、各検出装置の視聴率情報要求手段は、視聴率情報を演算装置に要求する際に、1または複数の放送局を特定するための放送局特定情報を送信し、演算装置の視聴率情報送信手段は、放送局特定情報によって指定された放送局に関する視聴率情報を送信するようにしてもよい(請求項6)。
【0017】
このような視聴率情報提供システムによれば、各検出装置は、必要な視聴率情報を特定して演算装置に送信させることができる。
さらに、上記視聴率情報提供システムにおいて、演算装置は、各検出装置が次に受信情報を送信すべきタイミングを示すタイミング情報を生成するタイミング情報生成手段、を備えていてもよい。この場合、演算装置の視聴率情報送信手段は、視聴率情報とともに、タイミング情報を検出装置に送信し、各検出装置の視聴率情報受信手段は、視聴率情報とともに、タイミング情報を受信し、各検出装置の受信情報送信手段は、受信したタイミング情報に基づくタイミングで次に受信情報を送信するようにすればよい(請求項7)。
【0018】
このような視聴率情報提供システムによれば、演算装置は次に検出装置が受信情報を送信すべきタイミングを指示することができる。
加えて、上記視聴率情報提供システムにおいて、演算装置のタイミング情報生成手段は、各検出装置が受信情報を送信するタイミングが分散するようにタイミング情報を設定するようにしてもよい(請求項8)
このような視聴率情報提供システムによれば、各検出装置と演算装置とが情報をやりとりする時期が重複し難くすることができるので、演算装置の処理負荷を軽減することができる。
【0019】
また、上記目的を達成するために成された演算装置は、請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の視聴率演算システムを構成する演算装置として構成されていることを特徴とする(請求項9)。また、上記目的を達成するために成された検出装置は、請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の視聴率演算システムを構成する検出装置として構成されていることを特徴とする(請求項10)。
【0020】
このような演算装置や検出装置によれば、少なくとも請求項1と同様の効果を享受することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明が適用された視聴率演算システム1の概略構成を示すブロック図である。
【図2】クライアント処理を示すフローチャートである。
【図3】電子番組表に視聴率を表示させる表示例を示す参考図である。
【図4】サーバ処理を示すフローチャート(a)、およびサーバ処理のうちの送受信処理を示すフローチャート(b)である。
【図5】サーバ処理のうちの視聴率情報生成処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明にかかる実施の形態を図面と共に説明する。
[本実施形態の構成]
図1は本発明が適用された視聴率演算システム1の概略構成を示すブロック図である。視聴率演算システム1は、サーバ10(演算装置)と、複数のクライアント20(検出装置)と、がインターネット網5等のネットワークを介して通信可能に接続されて構成されている。
【0023】
また、各クライアント20には、放送受信部30(受信装置)が接続されている。なお、放送受信部30はクライアント20と一体に構成されていてもよい。
放送受信部30は、複数の放送局(放送チャンネル)のうちの少なくとも1つを選択し、選択した放送局から送信される放送番組を受信する周知のテレビ受像器としての機能を備えている。放送受信部30が放送番組を受信する構成としては、放送電波をアンテナ等を介して受信するようにしてもよいし、ケーブルテレビ局やインターネット網5等を介して放送信号を受信するようにしてもよい。
【0024】
サーバ10は、周知のサーバ装置としての機能を備えているとともに、各クライアント20から送信された受信情報(放送受信部30が何れの放送局からの放送番組を受信したかを示す情報)に基づいて視聴率を演算する機能を備えている。詳細には、図1に示すように、サーバ10は、制御部11と、データベース12(演算結果記録手段)と、通信部13とを備えている。
【0025】
制御部11は、CPU、ROM、RAM等を備えた周知のマイクロコンピュータとして構成されており、ROMに格納されたプログラムや、RAMにロードされたプログラムやパラメータに基づいて所定の処理を実行する。
【0026】
データベース12は、例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリとして構成されている。データベース12には、後述するサーバ処理において、各クライアント20から受信した受信情報や、視聴率の演算結果等が記録される。
【0027】
通信部13は、インターネット網5に対するインタフェースとして機能し、制御部11からの指令に応じてデータを所定のプロトコルで送受信する。
次に、各クライアント20は、サーバ10と通信可能な端末装置(例えば、パーソナルコンピュータや携帯電話機、或いはテレビ受像器等)として構成されている。また、クライアント20は、図1に示すように、処理部21と、通信部22と、記憶部23と、操作部24と、表示部25とを備えている。
【0028】
処理部21は、サーバ10における制御部11と同様に、CPU、ROM、RAM等を備えた周知のマイクロコンピュータとして構成されており、ROMに格納されたプログラムや、RAMにロードされたプログラムやパラメータに基づいて所定の処理を実行する。また、処理部21は、放送受信部30に接続されており、放送受信部30が何れの放送局からの放送番組を受信しているかについての情報を把握することができるように設定されている。
【0029】
通信部22は、サーバ10における通信部13と同様に、インターネット網5に対するインタフェースとして機能し、処理部21からの指令に応じてデータを所定のプロトコルで送受信する。記憶部23は、サーバ10におけるデータベース12と同様に、例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリとして構成されている。
【0030】
操作部24は、例えばキーボードやマウス等のユーザからの操作を受け付けるユーザインタフェースとして構成されている。処理部21は、操作部24が操作されたことを検出することによってユーザからの指令を認識する。
【0031】
表示部25は、周知のディスプレイとして構成されている。表示部25は、処理部21からの指令に応じた画像を表示させる。
[本実施形態の処理]
このような視聴率演算システム1において実施される、サーバ10から各クライアント20に視聴率に関する情報を提供する処理について、図2以下の図面を用いて説明する。図2はクライアント20の処理部21が実行するクライアント処理を示すフローチャートである。
【0032】
クライアント処理は、例えば、クライアント20の電源が投入されると開始され、その後、繰り返し実行される処理である。詳細には、図2に示すように、まず、放送受信部30が放送番組の視聴を開始したか否かを判定する(S110)。放送受信部30が視聴を開始していなければ(S110:NO)、S110の処理を繰り返す。
【0033】
また、放送受信部30が視聴を開始していれば(S110:YES)、受信情報を送信する(S120:受信情報送信手段、視聴率情報要求手段)。ここで、受信情報には、放送受信部30が放送番組を受信した地域を特定するための情報、放送受信部30が受信した放送局が提供するサービスを特定するための情報(放送局ID)、および放送番組を受信している時刻(現在時刻)の情報(タイムスタンプ)を含む。
【0034】
なお、放送番組を受信している時刻については、クライアント20の内部時計に基づいて特定され、この内部時計の時刻は、例えば定期的にNTPサーバやGPS衛星から現在時刻の情報を取得することによって補正される。
【0035】
さらに、受信情報には、放送番組を受信したユーザを特定するためのユーザID、受信情報収集の主体となる組織を特定するためのカスタマーID、視聴率を送受信するコマンドを特定するためのクエリIDを含む。なお、受信情報には、クライアント20や放送受信部30に関する製品番号や型番等の情報を含むようにしてもよい。
【0036】
また、受信情報を送信する際には、放送局特定情報についても送信する。ここで、放送局特定情報とは、サーバ10から取得する視聴率情報の範囲を特定するための情報である。この放送局特定情報としては、ユーザが操作部24を操作することによって、例えば、current:現在受信している放送局についての視聴率のみ、List:全ての放送局の視聴率、Area:同一放送地域(同一の放送局からの放送電波を受信可能な地域)に含まれる放送局の視聴率、のうちの何れか1つが指定されているものとする。
【0037】
続いて、予め設定された規定時間(例えば1秒間)以内にサーバ10から視聴率情報を受信することができたか否かを判定する(S130:視聴率情報受信手段、S140)。規定時間以内については視聴率情報を受信できるまで待機し(S130:NO、S140:NO)、規定時間以内に視聴率情報を受信できなければ(S130:NO、S140:YES)、後述するS160の処理に移行する。
【0038】
また、視聴率情報を受信できれば(S130:YES)、受信した視聴率情報(データ)を記憶部23に記録する(S150)。
ここで、視聴率情報には、少なくとも現在放送受信部30が受信している放送番組についてのリアルタイムな(正確には数秒程度前の)視聴率の情報および視聴率を集計した時間範囲を示す時間帯情報が含まれている。視聴率情報に同一放送地域に含まれる放送局の視聴率を含む場合には、過去における視聴率(過去にクライアント20が取得し、記憶部23に記録された視聴率情報)および別途取得する番組予約率の情報とともに、記憶部23に記録された最新の(リアルタイムな)視聴率情報を例えば図3に示すように表示部25等に表示させることができる。
【0039】
なお、図3に示す例では、放送局と時刻とをマトリクス状に表示させた電子番組表に、視聴率情報や番組予約率の情報を合成して表示させるようにしている。
次に、図2に戻り、S150の処理に続いて、通知時間を設定する(S160)。ここで、S150の処理にて受信した視聴率情報には、次にクライアント20が受信情報をサーバ10に送信すべきタイミングを示す通知時間の情報(タイミング情報)が含まれており、この通知時間後の時刻に受信情報を送信するよう設定する。
【0040】
続いて、通知時間が経過したか否か(通知する時刻になったか否か)を判定する(S170)。通知時間が経過していれば(S170:YES)、S120の処理に戻り、受信情報を送信する。また、通知時間が経過していなければ(S170:NO)、放送受信部30が放送番組の視聴を終了したか否かを判定する(S180)。
【0041】
視聴を終了していなければ(S180:NO)、S170の処理に戻る。また、視聴を終了していれば(S180:YES)、クライアント処理を終了する。
次に、サーバ10の制御部11が実行する処理について図4および図5を用いて説明する。図4(a)はサーバ処理を示すフローチャート、図4(b)はサーバ処理のうちの送受信処理を示すフローチャート、図5はサーバ処理のうちの視聴率情報生成処理を示すフローチャートである。
【0042】
サーバ処理は、例えばサーバ10の電源が投入されると開始され、その後繰り返し実行される処理であって、図4(a)に示すように、送受信処理(S210)および視聴率情報生成処理(S220:視聴率演算手段)を順に実施し、これらの処理が終了すると処理を終了する。
【0043】
送受信処理は、図5に示すように、まず、各クライアント20から送信された受信情報があればこの受信情報を受信しておき、受信情報を受信したか否かを判定する(S310:受信情報受信手段)。受信情報を受信していなければ(S310:NO)、送受信処理を終了する。
【0044】
また、受信情報を受信していれば(S310:YES)、受信情報に含まれる地域および放送局ID毎にタイムスタンプを分別してデータベース12に保存する(S320)。この際には、ユーザID毎にタイムスタンプを分別しておいてもよい。
【0045】
なお、サーバ10の処理負荷を軽減させるためには、受信した受信情報の全てを保存する必要はなく、例えば、地域の人口密度や世帯数等を考慮し、地域の人口密度や世帯数等が多くなればなるほど、多くの受信情報を間引きするようにしてもよい。また、本処理で受信情報の全てを保存した場合には、視聴率情報生成処理の際に、受信情報を間引きしてもよい。
【0046】
続いて、放送局特定情報における視聴率情報の要求範囲を判定する(S330)。要求範囲がcurrentであれば(S330:現在の放送局)、現在視聴されている視聴率情報をデータベース12から抽出する(S340)。また、要求範囲がAreaであれば(S330:地域内放送局)、同一放送地域に含まれる放送局についての視聴率情報をデータベース12から抽出する(S350)。
【0047】
また、要求範囲がListであれば(S330:全ての放送局)、全ての放送局の視聴率情報をデータベース12から抽出する(S360)。なお、S340〜S360の処理にて抽出される視聴率情報は、現在データベース12に記録されている最新の視聴率情報であるが、今回の送受信処理にて取得した受信情報が反映された視聴率情報ではない。つまり、本処理にて抽出される視聴率情報は、前回の視聴率情報生成処理においてデータベース12に記録された視聴率情報である。
【0048】
続いて、次にクライアント20が受信情報をサーバ10に送信すべきタイミングを示す通知時間を演算する(S370:タイミング情報生成手段)。ここで、この処理では、次に各クライアント20が受信情報を送信するタイミングが分散するように、例えば、ユーザIDやその他のID、或いは乱数に基づいて通信時刻を設定し、この時刻までの時間が通知時間として設定される。また、この通知時間は、所定のサンプリング間隔(視聴率を算出する周期)内に1度、クライアント20が受信情報を送信できるように設定される。
【0049】
次いで、視聴率情報および通知時間の情報を、受信情報を送信したクライアント20に送信し(S380:視聴率情報送信手段)、送受信処理を終了する。
次に、視聴率情報生成処理は、図4(b)に示すように、まず、視聴率情報生成タイミングになったか否かを判定する(S410)。視聴率情報生成タイミングとは、例えば、5秒毎に1回程度に設定されていればよく、現在の放送番組おけるコマーシャル放送の最低時間が15秒であることを考慮すると、少なくとも7.5秒に1回に設定されていればよい。
【0050】
視聴率情報生成タイミングになっていなければ(S410:NO)、視聴率情報生成処理を終了する。また、視聴率情報生成タイミングになっていれば(S410:YES)、地域および放送局ID毎に、かつ所定の時間間隔毎にタイムスタンプの数をカウントする(S420)。なお、ここでいう時間間隔は、視聴率情報生成タイミングと同じ時間間隔に設定されていればよい。また、S420の処理は、送受信処理のS320の処理の際に実施されていてもよい。
【0051】
そして、視聴率を算出する(S430)。この処理では、ある地域である放送局におけるタイムスタンプの数を、この時間間隔内におけるタイムスタンプの全数で除することによって演算してもよいし(番組独占率)、ある地域である放送局におけるタイムスタンプの数を、その地域において登録されたユーザの全数で除することによって演算してもよい(狭義の視聴率)。また、演算された値に所定の補正係数を乗算するようにしてもよいし、この地域内の全ての放送局に対する視聴数の総数を、この地域のユーザ数で除した値を利用して演算してもよい。
【0052】
このような演算は、放送局ID毎や地域毎等で実施される。
このようにして演算された数値は、視聴率情報としてデータベース12に格納される(S440)。この際、視聴率情報を生成した時刻をデータベース12内に格納してもよい。
【0053】
このような処理が終了すると、視聴率情報生成処理を終了する。視聴率情報生成処理においてデータベース12に格納された視聴率情報は、次回以降に実施される送受信処理(S210)において各クライアント20に送信される。
【0054】
[本実施形態による効果]
以上のように詳述した視聴率演算システム1において、各クライアント20の処理部21は、クライアント処理にて、放送受信部30が放送番組を受信しているときに、放送受信部30が選択した放送局の情報、および放送番組を受信している時刻の情報を含む受信情報をサーバ10に対して繰り返し送信する。そして、サーバ10の制御部11は、サーバ処理にて、各クライアント20から送信された受信情報を受信し、受信した各受信情報を予め設定された時間範囲毎に分別し、時間範囲毎かつ放送局毎に視聴率を演算し、この演算結果を視聴率情報として地域を特定するための情報とともにデータベース12に格納する。
【0055】
このような視聴率演算システム1によれば、各クライアント20が放送番組の受信中に受信情報を繰り返し送信するので、サーバ10は受信できた受信情報だけを利用して視聴率を演算すればよい。つまり、サーバ10は、クライアント20が放送番組の受信を終了した場合等、受信情報が受信できなくなった場合であっても、何れのクライアント20からの受信情報が途絶したかを考慮することなく視聴率を演算することができる。従って、サーバ10は、クライアント20が現在どの放送番組を受信しているかを把握する必要がないため、視聴率を演算する際の処理を簡素化することができる。
【0056】
また、視聴率情報演算システムにおいて、サーバ10の制御部11は、視聴率情報の少なくとも一部をクライアント20に対して送信する。そして、各クライアント20は、視聴率情報を受信する。
【0057】
このような視聴率演算システム1によれば、クライアント20が視聴率情報を取得することができる。
加えて、視聴率演算システム1において、各クライアント20の処理部21は、視聴率情報をサーバ10に要求する。そして、サーバ10の制御部11は、各クライアント20からの要求に応じて要求元のクライアント20に視聴率情報を送信する。
【0058】
このような視聴率演算システム1によれば、サーバ10はクライアント20からの要求があったときに視聴率情報を送信すればよいので、サーバ10から送信される情報量を削減することができる。
【0059】
さらに、視聴率演算システム1において、クライアント20の処理部21は、受信情報とともに視聴率情報の要求を送信し、サーバ10の制御部11は、クライアント20から受信情報を受信すると、受信情報を受信した応答として視聴率情報の少なくとも一部を要求元のクライアント20に対して送信する。
【0060】
このような視聴率演算システム1によれば、クライアント20とサーバ10とが1回ずつ情報を送信するだけで受信情報および視聴率情報のやりとりをすることができる。よって、クライアント20およびサーバ10が通信のために行う処理を簡素化することができるとともに、クライアント20とサーバ10との間の通信量を減少させることができる。
【0061】
また、視聴率演算システム1において、サーバ10の制御部11は、クライアント20から受信情報を受信すると、この受信情報に基づく視聴率を演算する前に、既にデータベース12に格納されている視聴率情報の少なくとも一部を送信する。
【0062】
このような視聴率演算システム1によれば、受信情報を取得した直後に視聴率の情報を提供することができる。よって、クライアント20に視聴率情報を早期に提供することができる。
【0063】
さらに、視聴率演算システム1において、クライアント20の処理部21は、視聴率情報をサーバ10に要求する際に、1または複数の放送局を特定するための放送局特定情報を送信し、サーバ10の制御部11は、放送局特定情報によって指定された放送局に関する視聴率情報を送信する。
【0064】
このような視聴率演算システム1によれば、各クライアント20は、必要な視聴率情報を特定してサーバ10に送信させることができる。
さらに、視聴率演算システム1において、サーバ10の制御部11は、各クライアント20が次に受信情報を送信すべきタイミングを示すタイミング情報を生成し、視聴率情報とともに、タイミング情報をクライアント20に送信する。そして、クライアント20の処理部21は、視聴率情報とともに、タイミング情報を受信し、受信したタイミング情報に基づくタイミングで次に受信情報を送信する。
【0065】
このような視聴率演算システム1によれば、サーバ10は次にクライアント20が受信情報を送信すべきタイミングを指示することができる。
加えて、視聴率演算システム1において、サーバ10の制御部11は、各クライアント20が受信情報を送信するタイミングが分散するようにタイミング情報を設定する。
【0066】
このような視聴率演算システム1によれば、各クライアント20とサーバ10とが情報をやりとりする時期が重複し難くすることができるので、サーバ10の処理負荷を軽減することができる。
【0067】
なお、本発明の実施の形態は、上記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【符号の説明】
【0068】
1…視聴率演算システム、5…インターネット網、10…サーバ、11…制御部、12…データベース、13…通信部、20…クライアント、21…処理部、22…通信部、23…記憶部、24…操作部、25…表示部、30…放送受信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の放送局のうちの少なくとも1つを選択し、選択した放送局から送信される放送番組を受信する受信装置に対応して配置され、前記対応する受信装置が何れの放送局からの放送番組を受信したかを検出する複数の検出装置と、
前記各検出装置による検出結果に基づいて視聴率を演算する演算装置と、
を備えた視聴率演算システムであって、
前記各検出装置は、
前記受信装置が放送番組を受信しているときに、前記受信装置が選択した放送局の情報、および放送番組を受信している時刻の情報を含む受信情報を前記演算装置に対して繰り返し送信する受信情報送信手段、を備え、
前記演算装置は、
前記各検出装置から送信された受信情報を受信する受信情報受信手段と、
前記受信した各受信情報を予め設定された時間範囲毎に分別し、時間範囲毎かつ放送局毎に視聴率を演算し、この演算結果を視聴率情報として演算結果記録手段に格納する視聴率演算手段と、を備えたこと
を特徴とする視聴率演算システム。
【請求項2】
請求項1に記載の視聴率演算システムにおいて、
前記演算装置は、前記視聴率情報の少なくとも一部を前記検出装置に対して送信する視聴率情報送信手段、を備え、
前記各検出装置は、前記視聴率情報を受信する視聴率情報受信手段、を備えたこと
を特徴とする視聴率演算システム。
【請求項3】
請求項2に記載の視聴率演算システムにおいて、
前記各検出装置は、前記視聴率情報を前記演算装置に要求する視聴率情報要求手段、を備え、
前記演算装置の視聴率情報送信手段は、前記各検出装置からの要求に応じて要求元の検出装置に前記視聴率情報を送信すること
を特徴とする視聴率演算システム。
【請求項4】
請求項3に記載の視聴率情報提供装置において、
前記各検出装置の視聴率情報要求手段は、前記受信情報送信手段が送信する受信情報とともに、視聴率情報の要求を送信し、
前記演算装置の視聴率情報送信手段は、前記検出装置から前記受信情報を受信すると、受信情報を受信した応答として前記視聴率情報の少なくとも一部を前記要求元の検出装置に対して送信すること
を特徴とする視聴率演算システム。
【請求項5】
請求項4に記載の視聴率演算システムにおいて、
前記演算装置の視聴率情報送信手段は、前記検出装置から前記受信情報を受信すると、前記視聴率演算手段がこの受信情報に基づく視聴率を演算する前に、既に前記演算結果記録手段に格納されている視聴率情報の少なくとも一部を送信すること
を特徴とする視聴率演算システム。
【請求項6】
請求項3〜請求項5の何れか1項に記載の視聴率演算システムにおいて、
前記各検出装置の視聴率情報要求手段は、前記視聴率情報を前記演算装置に要求する際に、1または複数の放送局を特定するための放送局特定情報を送信し、
前記演算装置の視聴率情報送信手段は、前記放送局特定情報によって指定された放送局に関する視聴率情報を送信すること
を特徴とする視聴率演算システム。
【請求項7】
請求項2〜請求項6の何れか1項に記載の視聴率演算システムにおいて、
前記演算装置は、前記各検出装置が次に受信情報を送信すべきタイミングを示すタイミング情報を生成するタイミング情報生成手段、を備え、
前記演算装置の視聴率情報送信手段は、前記視聴率情報とともに、前記タイミング情報を前記検出装置に送信し、
前記各検出装置の視聴率情報受信手段は、前記視聴率情報とともに、前記タイミング情報を受信し、
前記各検出装置の受信情報送信手段は、前記受信したタイミング情報に基づくタイミングで前記受信情報を送信すること
を特徴とする視聴率演算システム。
【請求項8】
請求項7に記載の視聴率演算システムにおいて、
前記演算装置のタイミング情報生成手段は、前記各検出装置が受信情報を送信するタイミングが分散するように前記タイミング情報を設定すること
を特徴とする視聴率演算システム。
【請求項9】
複数のユーザにそれぞれ所持され、複数の放送局からそれぞれ送信される放送番組のうちの少なくとも1つを選択して受信可能な複数の検出装置と、
前記各検出装置が受信した放送番組に基づいて視聴率を演算する演算装置と、
を備えた視聴率演算システムを構成する演算装置であって、
当該演算装置は、請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の視聴率演算システムを構成する演算装置として構成されていること
を特徴とする演算装置。
【請求項10】
複数のユーザにそれぞれ所持され、複数の放送局からそれぞれ送信される放送番組のうちの少なくとも1つを選択して受信可能な複数の検出装置と、
前記各検出装置が受信した放送番組に基づいて視聴率を演算する演算装置と、
を備えた視聴率演算システムを構成する検出装置であって、
当該演算装置は、請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の視聴率演算システムを構成する検出装置として構成されていること
を特徴とする検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−250288(P2011−250288A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123010(P2010−123010)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(591275481)株式会社アイ・オー・データ機器 (98)
【出願人】(398067904)株式会社ビーマップ (5)
【出願人】(310012029)株式会社エム・データ (1)
【Fターム(参考)】