説明

視覚表示装置

【課題】 周囲の全方位から立体観察することが可能な観察装置や、見る角度や個々別人よって異なる観察像を表示可能な表示装置に適した視覚表示装置を提供する。
【解決手段】 中心軸1に同心に回転対称な主光学系2が配置され、中心軸1に同心な円周上に複数の同一構成の副光学系3が並列して配置され、主光学系2を挟んで、各副光学系3の反対側に、中心軸1に同心に回転対称な第3光学系4が配置され、各副光学系3、主光学系2及び第3光学系4により構成される合成光学系の射出瞳5が第3光学系4の主光学系2側とは反対側であって中心軸1に対して対応する副光学系3とは反対側に位置し、各副光学系3の主光学系2とは反対側に表示面16が配置され、各合成光学系による表示面16の虚像が中心軸1近傍に結像され、各合成光学系の射出瞳5が中心軸1に同心に略連続的に形成され、表示面16は中心軸1に垂直な共通の平面上に回転対称に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚表示装置に関し、特に、周囲の全方位から眼鏡等を用いることなく立体観察することが可能な観察装置や、見る角度や個々別人によって異なる観察像を表示可能な表示装置に適した視覚表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、視野角制限フィルターを備えたスクリーンを中心軸の周りで回転させながら、例えば1つの物体を360°周辺方向から見た映像をそのスクリーン上に投影することにより、任意の方向から観察する場合に見る方向により観察画像が変化し、立体表示が可能な表示装置が特許文献1〜3において知られている。
【特許文献1】特開2005−221690号公報
【特許文献2】特開2006−10852号公報
【特許文献3】特開2006−11367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1〜3において知られている従来例の場合、視野角制限フィルターを備えたスクリーンを機械的に回転させる機構が必要であり、また、特定の方向から見る場合にその方向において観察可能な画像を断続的にしか見ることができない。さらに、表示素子やスクリーン面を回転させることなく、また、眼鏡等を用いることなく裸眼で立体視が可能で、さらに、周辺の360°どの方向からでも観察することが可能な表示装置は存在しなかった。
【0004】
本発明は従来技術のこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、機械的な複雑な回転機構や眼鏡等を用いなくても、周囲の全方位から立体観察することが可能な観察装置や、見る角度や個々別人よって異なる観察像を表示可能な表示装置に適した視覚表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、中心軸に同心に回転対称な主光学系が配置され、前記中心軸に同心な円周上に複数の同一構成の副光学系が並列して配置され、さらに、前記主光学系を挟んで、前記各副光学系の反対側に、前記中心軸に同心に回転対称な第3光学系が配置され、前記各副光学系、前記主光学系及び前記第3光学系により構成される合成光学系の射出瞳が前記第3光学系の前記主光学系側とは反対側であって前記中心軸に対して対応する前記副光学系とは反対側に位置し、前記各副光学系の前記主光学系とは反対側に表示面が配置され、前記各合成光学系による前記表示面の虚像が前記中心軸近傍に結像され、かつ、前記各合成光学系の前記射出瞳が前記中心軸に同心に略連続的に形成され、前記表示面は前記中心軸に垂直な共通の平面上に回転対称に配置されることを特徴とする。
【0006】
また、前記各副光学系と前記主光学系との組み合わせによる前記表示面の中間像が前記中心軸近傍に重層して投影されることを特徴とする。
【0007】
また、前記第3光学系は前記重層され投影された前記中間像を360°全方位に向けて画角を変換する変換作用を有し、前記重層されて投影される前記中間像は画角変換後正立した前記虚像になるように回転して重層されていることを特徴とする。
【0008】
また、前記表示面各々は、複数の異なる映像を表示することを特徴とする。
【0009】
また、前記複数の異なる映像は、同一物体について複数の視点から撮影された映像であることを特徴とする。
【0010】
また、前記表示面各々は、各副光学系と対応して配置された複数の表示素子の表示面であることを特徴とする。
【0011】
また、前記表示面各々は、各副光学系と対応して一つの表示素子を各領域に区分した表示面であることを特徴とする。
【0012】
また、前記第3光学系の少なくとも1つの面は、回転対称軸を含む縦断面と回転対称軸と直交する横断面での曲率が異なることを特徴とする。
【0013】
また、前記合成光学系の中心軸と直交する方向の半径をRsとするとき、
10<Rs ・・・(1)
なる条件を満足することを特徴とする。
【0014】
また、前記第3光学系の少なくとも1つの面は、対称面を持たない任意形状の曲線を回転対称軸の周りで回転させて形成される回転対称な形状を有することを特徴とする。
【0015】
また、前記第3光学系の少なくとも1つの面は、奇数次項を含む任意形状の曲線を回転対称軸の周りで回転させて形成される回転対称な形状を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上の本発明の視覚表示装置においては、機械的に複雑な回転機構や眼鏡等を用いなくても、周辺から観察したときに視差のある画像を観察することにより立体像を観察することが可能な視覚表示装置を提供することができる。また、見る角度や見る方向によって異なる観察像を表示可能な視覚表示装置を提供することができる。さらに、表示面が、共通な平面上に形成されるので、表示素子の虚像が中心軸近傍に結像され、虚像の位置を移動させるフォーカス機構が直線移動の構造でできると共に、表示面の組立が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、実施例に基づいて本発明の視覚表示装置について説明する。
【0018】
本発明の視覚表示装置の基本原理は、図1に示すように、中心軸1に同心に回転対称な主光学系2が配置され、中心軸1に同心な円周上に複数の同一構成の副光学系3が並列して配置され、さらに、主光学系2を挟んで副光学系3の反対側に中心軸1に同心に回転対称な第3光学系4が配置され、各副光学系3、主光学系2及び第3光学系4により構成される合成光学系の射出瞳5が第3光学系4の主光学系2側とは反対側であって中心軸1に対して対応する副光学系3とは反対側に位置し、各副光学系3の主光学系2とは反対側に表示面16が配置され、各合成光学系による虚像8が中心軸1近傍に結像され、かつ、各合成光学系の射出瞳5が中心軸1に同心に略連続的に形成され、表示面16は、中心軸1に垂直の共通な平面上に回転対称に配置されものである。
【0019】
中心軸1に対してその周囲から中心軸1方向を観察する光学系の場合、従来の回転対称で像面が中心軸1に直交する光学系では、光線を大きく屈曲させる必要があり、周辺からの観察像の歪みが大きく発生してしまい、比較的大きな観察領域をとることはできなかった。
【0020】
一方、特許文献1〜3に開示されているスクリーンに投影する方法では、スクリーンを回転させる必要があった。
【0021】
そこで、本発明では、中心軸周辺のどの方向からも拡大光学系として機能する光学系を、回転対称軸(中心軸)を上下方向として配置し、観察方向は回転対称軸と略垂直な水平方向の全方位から観察可能なようにすることが最大の特徴である。
【0022】
このような構成により、回転対称軸を上下方向として、水平方向のどの方向からでも拡大観察光学系(視覚表示装置)として機能させることに成功したものである。
【0023】
以下、図面を参照して説明する。図10は、後記する本発明の実施例1の視覚表示装置の光学系の中心軸に沿ってとった断面図であり、図11はその光学系内の光路を示す中心軸に沿う方向に見た平面図であり、図12は図10の主要部の拡大図であり、図13は図11の主要部の拡大図である。なお、図10及び図12においては、一部の副光学系3、表示素子6しか図示していない。
【0024】
以下、これら図10〜図13を参照して、本発明の視覚表示装置を説明する。
【0025】
本発明の視覚表示装置の光学系は、中心軸1に同心で回転対称な主光学系2が配置される。この主光学系2は、この実施例の場合、両凸レンズを用いているが、正パワーを持った単体のレンズに限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよく、要件としては、中心軸1に向かって進む光束に正のパワーを与え、かつ、中心軸1に対して回転対称な形状を持っていることである。
【0026】
そして、特に図13から明らかなように、中心軸1に同心な円周上に複数の同一構成の副光学系3が並列して配置される。この副光学系3も、単体のレンズに限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよい。また、各副光学系3の主光学系2とは反対側に、表示素子6からなる表示面16が中心軸1と垂直な共通な平面上に配置されている。そして、表示素子6の中間像7が各副光学系3と主光学系2との組み合わせによって結像される。
【0027】
また、主光学系2を挟んで副光学系3の反対側に中心軸1に同心で回転対称な第3光学系4が配置される。この第3光学系4も、単体の屈折体に限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよい。
【0028】
さらに、各合成光学系の射出瞳5が中心軸1に同心に並列配置される。各射出瞳5の大きさとしては、並列配置されたときにその円周上に略連続的に繋がるようにする。
【0029】
このような構成であるので、観察者はその眼を何れかの射出瞳5位置近傍に持って行くと、合成光学系(副光学系3、主光学系2及び第3光学系4)の副光学系3と主光学系2との組み合わせによって表示素子6の中間像7が中心軸1近傍に結像され、その中間像7の虚像8が第3光学系4によって中心軸1近傍に結像され観察することができる。そして、副光学系3、主光学系2及び第3光学系4からなる合成光学系は、中心軸1を中心としてその周りに一定角度毎に配置されているのに等しいため、中心軸1を上下方向として設定すると、中心軸1の周囲の360°のどの方向から観察しても、観察者の眼が位置する射出瞳5と中心軸1を挟んで反対側の表示素子6の虚像8を観察することができる。
【0030】
本発明では、表示面16は中心軸1に垂直な共通な平面上に配置されているため、表示素子6の虚像8は中心軸1近傍に結像され、虚像8の位置を移動させるフォーカス機構が直線移動の構造でできると共に、表示素子の組立が容易になる。
【0031】
さらに、複数の同一の副光学系3を同心に並列に配置して、中心軸1に同心に略連続的に射出瞳5が並列されることにより、広い観察領域を形成することができる。並列の連続して投影された射出瞳5により、拡散板等を用いることなく、広い観察領域を確保することが可能となる。さらに、表示素子6の像は副光学系3と主光学系2との組み合わせにより中心軸1近傍に中間像7として拡大投影される。観察者は、この投影された中間像7を、第3光学系4を通して観察することになり、大きい虚像8を観察することが可能となる。
【0032】
さらに、虚像8を中心軸1近傍に配置するようにすると、少なくとも合成光学系により投影された虚像8の輻輳と両眼の輻輳点とを一致させることが可能となり、融像しやすい立体表示が可能となる。
【0033】
さらに好ましくは、表示素子6各々には同一物体について複数の視点から撮影された映像を表示するようにすることが望ましい。すなわち、図2に示すように、物体100についての視差画像は、全周360°を例えば16分割する場合には、22.5°毎に物体100を回転させてカメラ101で撮影された静止画でもよいし、CG等で作成した3次元物体を同様に22.5°毎に視点を回転させた生成した動画でもよい。さらに、16台のカメラを中心点に向けて設置した撮像装置からの動画でもよい。
【0034】
このようにして作成した16視点の静止画や動画は、図3に物体100についての16個の画像を並べて示すように、16視点の映像となる。このような映像を個々の表示素子6を並べて形成される全体の表示面16に、図4に示すように、撮影された角度順に同心となるように表示する。
【0035】
このような視差画像を中心軸の周りで撮影された角度順に各表示素子6に配置すると、図5に示すように、隣接した射出瞳5に観察者の左右の眼球EL、ERが位置するとき、左右の眼球EL、ERに両眼視差像の虚像8が見えることになり、撮影した物体100の立体像が見えることになる。
【0036】
ここで、観察位置での射出瞳5と観察者の左右の眼球EL、ERの位置については、図6に示すように、少なくとも、眼幅の標準が65mmなので、本発明の視覚表示装置の光学系50の投影された射出瞳5も65mm間隔となることが望ましい。また、射出瞳5の形状は、図5に示すような正方形に限らず、楕円や長方形でも可能である。
【0037】
また、図6に示すように、観察位置を明視の距離30cmとすると、標準眼幅65mmであるから、本発明の視覚表示装置の光学系50の1つの合成光学系による観察領域は、12.37°以上あることが好ましい。さらに、観察者Eが頭を動かした場合は、図7に示すように、順次隣の合成光学系による観察領域へ移っていって、やがて360°の全方位からの立体映像を観察することが可能となる。また、機械的に光学系50を回転させて全方位の立体映像を観察をすることも可能であるし、各表示素子6の表示映像を電子的に切り替えて全方位からの立体映像を観察するようにすることも可能である。
【0038】
なお、各表示素子6に配置する画像として上記のような視差画像を角度順に配置したものに限定されず、例えば、ある角度を境にして全く別の画像とすることで、見る角度や個々別人よって異なる像が観察可能になる。
【0039】
また、各射出瞳5は、連続的に配置されることが好ましいが、これに限らず、図8に示すように、各射出瞳5が多少離れていても、視差画像を中心軸の周りで撮影された角度順に各射出瞳5に配置すると、隣接した射出瞳5に観察者の左右の眼球EL、ERが位置するとき、左右の眼球EL、ERに両眼視差像の虚像8が見えることになり、撮影した物体100の立体像が見えることは同様である。
【0040】
以上の本発明の視覚表示装置の第3光学系4及び虚像8の位置関係を示すイメージを図9の模式図に示す。
【0041】
また、好ましくは、副光学系3と主光学系2との組み合わせによる表示面16の中間像7が中心軸1近傍に重層して投影されることで、視覚表示装置の外径に対して比較的大きな虚像を表示することができる。
【0042】
さらに好ましくは、第3光学系4は重層され投影された虚像を360°全方位に向けて画角を変換する変換作用を有し、重層されて投影される虚像は画角変換後正立した虚像になるように回転して重層されているので、画角変換作用により回転対称軸に対して任意の角度の全周から観察することが可能となる。
【0043】
また、表示面16各々には、複数の異なる映像を表示するので、同一領域にでも見る角度により異なる映像を表示することができる。
【0044】
また、好ましくは、複数の異なる映像は、同一物体について複数の視点から撮影された映像であるので、立体観察をすることができる。
【0045】
さらに好ましくは、表示面16各々を各副光学系3と対応して配置された複数の表示素子6の表示面16とするので、特殊な表示素子6を新たに製作することなく、汎用の平面表示素子6により表示面16を区分することで、各々の表示素子6を構成することが可能となり、安価に装置を構成することが可能となる。
【0046】
また、表示面16各々を各副光学系3と対応して一つの表示素子6を各領域に区分した表示面16とするので、一つの表示素子6により表示面16を形成することが可能となり、簡単な構造で構成することが可能となる。

また、第3光学系4の少なくとも1つの面は、回転対称軸(中心軸)1を含む縦断面と回転対称軸1と直交する横断面での曲率が異なるように構成されていることが望ましい。本発明の光学系においては、副光学系3は、中心軸1に対して同心な円周上に複数並列に配置される。そのため、主光学系2に対して副光学系3は偏心して配置されることになり、偏心収差が発生する。これを少なくするためには、第3光学系4の少なくとも1つの面は、回転対称軸(中心軸)1を含む縦断面と回転対称軸1と直交する横断面での曲率が異なるように構成することにより、この偏心収差を補正することが可能となる。
【0047】
また、好ましくは、合成光学系の中心軸1を直交する方向の半径をRsをするとき、10<Rsなる条件を満足することが望ましい。下限を超えると観察像が小さくなってしまい、臨場感のある観察をすることが困難になってしまう。
【0048】
さらに好ましくは、第3光学系4の少なくとも1つの面は、対称面を持たない任意形状の曲線を回転対称軸1の周りで回転させて形成される回転対称な形状を有することにより、さらに偏心収差、例えば偏心により発生するコマ収差を補正することが可能となる。
【0049】
さらに好ましくは、第3光学系4の少なくとも1つの面は、奇数次項を含む任意形状の曲線を回転対称軸1の周りで回転させて形成される回転対称な形状を有することにより、さらに自由度の高い収差補正を行うことが可能となり、収差補正上好ましい。
【0050】
なお、以下に説明する実施例1及び実施例2の光学系のRsは次の通りである。ただし、Rsは光学系の中心軸に直交する方向の半径を示す。
【0051】
実施例 1
Rs(mm) 32.00
実施例 2
Rs(mm) 30.00
上記Rsは、
10<Rs ・・・(1)
なる条件を満足することが望ましい。さらに好ましくは、
20<Rs ・・・(1−1)
なる条件を満足することが望ましい。下限を超えると観察像が小さくなってしまい、臨場感のある観察をすることが困難になってしまう。
【0052】
ところで、本発明の視覚表示装置においては、副光学系3各々に対応して表示素子6が配置されるが、各表示素子6を並列させた全体の表示面16は、上記のように、平面状になる。これを1個の表示素子6で構成してもよいし、複数の平面表示素子6を回転対称に配置して構成してもよい。
【0053】
以下に、本発明の視覚表示装置の光学系の実施例1及び実施例2を説明する。これら光学系の構成パラメータは後記する。これら実施例等の構成パラメータは、例えば図12、図13に示すように、虚像8のできる面を物体面8とし、虚像8と共役な面を表示面6である像面6とし、射出瞳5を通り物体面8に向かう光線が、第3光学系4の光学面41,42と、主光学系2の光学面21、22と、副光学系3の光学面31、32とを順に経て表示素子6及び表示面16に至る逆光線追跡の結果に基づくものである。
【0054】
座標系は、逆光線追跡において、例えば図12に示すように、物体面8の中心(中心軸1上に位置する。)を偏心光学系の偏心光学面の原点とし、中心軸1の表示素子6と反対側の方向をY軸正方向とし、図12の紙面内をY−Z平面とする。そして、図12の右側の表示素子6の方向をZ軸正方向とし、Y軸、Z軸と右手直交座標系を構成する軸をX軸正方向とする。
【0055】
偏心面については、その面が定義される座標系の上記光学系の原点の中心からの偏心量(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向をそれぞれX,Y,Z)と、光学系の原点に定義される座標系のX軸、Y軸、Z軸それぞれを中心とする各面を定義する座標系の傾き角(それぞれα,β,γ(°))とが与えられている。その場合、αとβの正はそれぞれの軸の正方向に対して反時計回りを、γの正はZ軸の正方向に対して時計回りを意味する。なお、面の中心軸のα,β,γの回転のさせ方は、各面を定義する座標系を光学系の原点に定義される座標系のまずX軸の回りで反時計回りにα回転させ、次に、その回転した新たな座標系のY軸の回りで反時計回りにβ回転させ、次いで、その回転した別の新たな座標系のZ軸の回りで時計回りにγ回転させるものである。
【0056】
また、各実施例の光学系を構成する光学作用面の中、特定の面とそれに続く面が共軸光学系を構成する場合には面間隔が与えられており、その他、面の曲率半径、媒質の屈折率、アッベ数が慣用法に従って与えられている。なお、実施例1の6面以降の面及び実施例2の10面以降の面は、中心軸1に対してそれぞれの偏心(6)で定義される値だけ平行移動されている。
【0057】
なお、拡張回転自由曲面は、以下の定義で与えられる回転対称面である。
【0058】
まず、Y−Z座標面上で原点を通る下記の曲線(d)が定められる。
【0059】
Z=(Y2 /RY)/[1+{1−(C1 +1)Y2 /RY2 1 /2
+C2 Y+C3 2 +C4 3 +C5 4 +C6 5 +C7 6
+・・・・+C2120+・・・・+Cn+1 n +・・・
・・・(d)
次いで、この曲線(d)をX軸正方向を向いて左回りを正として角度θ(°)回転した曲線F(Y)が定められる。この曲線F(Y)もY−Z座標面上で原点を通る。
【0060】
その曲線F(Y)をZ正方向に距離R(負のときはZ負方向)だけ平行移動し、その後にY軸の周りでその平行移動した曲線を回転させてできる回転対称面を拡張回転自由曲面とする。
【0061】
その結果、拡張回転自由曲面はY−Z面内で自由曲面(自由曲線)になり、X−Z面内で半径|R|の円になる。
【0062】
この定義からY軸が拡張回転自由曲面の軸(回転対称軸)となる。
【0063】
ここで、RYはY−Z断面での球面項の曲率半径、C1 は円錐定数、C2 、C3 、C4 、C5 …はそれぞれ1次、2次、3次、4次…の非球面係数である。
【0064】
なお、Y軸に平行な軸を中心軸に持つ円錐面は拡張回転自由曲面の1つとして与えられ、RY=∞,C1 ,C2 ,C3 ,C4 ,C5 ,…=0とし、θ=(円錐面の傾き角)、R=(X−Z面内での底面の半径)として与えられる。
【0065】
また、後記の構成パラメータ中にデータの記載されていない非球面に関する項は0である。屈折率、アッベ数については、d線(波長587.56nm)に対するものを表記してある。長さの単位はmmである。各面の偏心は、上記のように、基準面からの偏心量で表わす。
【0066】
実施例1の視覚表示装置の光学系の中心軸1に沿ってとった断面図を図10に、その光学系内の光路を示す中心軸1に沿う方向に見た平面図を図11に、図10の主要部の拡大図を図12に、図11の主要部の拡大図を図13に示す。ただし図示を簡単にするため主光学系の図示は省略する。なお、図10及び図12においては、一部の副光学系3、表示素子6しか図示していない。また、この実施例の光学系全体の横収差図を図14に示す。この横収差図において、中央に示された角度は、(水平方向画角、垂直方向の画角)を示し、その画角におけるY方向(メリジオナル方向)とX方向(サジタル方向)の横収差を示す。なお、マイナスの画角は、水平方向画角については、Y軸正方向を向いて右回りの角度、垂直方向画角については、X軸正方向を向いて右回りの角度を意味する。以下、同じ。
【0067】
本実施例1は、中心軸1に同心で回転対称な主光学系2が配置される。この主光学系2は、この実施例の場合、両凸レンズを用いているが、正パワーを持った単体のレンズに限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよく、要件としては、中心軸1に向かって進む光束に正のパワーを与え、かつ、中心軸1に対して回転対称な形状を持っていることである。
【0068】
そして、特に図13から明らかなように、中心軸1に同心な円周上に複数の同一構成の副光学系3が並列して配置される。この各副光学系3も、単体のレンズに限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよい。
【0069】
また、各副光学系3の主光学系2とは反対側に、表示素子6からなる表示面16が中心軸1と垂直な共通な平面上に配置されている。そして、表示素子6の中間像7が各副光学系3と主光学系2との組み合わせによって中心軸1近傍に重層して投影される。
【0070】
また、主光学系2を挟んで副光学系3の反対側に中心軸1に同心で回転対称な第3光学系4が配置される。この第3光学系4も、単体の屈折体に限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよい。
【0071】
さらに、各合成光学系の射出瞳5が中心軸1に同心に並列配置される。各射出瞳5の大きさとしては、並列配置されたときにその円周上に略連続的に繋がるようにする。
【0072】
このような構成であるので、観察者はその眼を何れかの射出瞳5位置近傍に持って行くと、合成光学系(副光学系3、主光学系2及び第3光学系4)の副光学系3と主光学系2との組み合わせによって表示素子6の中間像7が中心軸1近傍に重層して投影され、その中間像7各々は第3光学系4によって360°全方位に向けて画角変換され、中心軸1近傍に画角変換後正立した虚像として結像され観察することができる。そして、副光学系3、主光学系2及び第3光学系4からなる合成光学系は、中心軸1を中心としてその周りに一定角度毎に配置されているのに等しいため、中心軸1を上下方向として設定すると、中心軸1の周囲の360°のどの方向から観察しても、観察者の眼が位置する射出瞳5と中心軸1を挟んで反対側の表示素子6の虚像8を観察することができる。
【0073】
なお、この実施例において、表示面16は大きい平面としており、これを1個の表示素子6で構成してもよいが、22個の平面表示素子6を回転対称に並列に配置して構成してもよい。
【0074】
この実施例1の仕様は、
射出瞳径 φ60mm
表示面の大きさ X4.67mm×Y6.03mm
像の大きさ □10mm×10mm
である。
【0075】
次に、実施例1の表示素子6を円筒上に配置するようにした変形例1の視覚表示装置の光学系の主要部の中心軸1に沿ってとった断面図を図15に、その主要部の光学系内の光路を示す中心軸1に沿う方向に見た平面図を図16に示す。ただし図示を簡単にするため主光学系の図示は省略する。また、円筒上に配置した表示面及び表示素子6のイメージを図17に示す。なお、図15及び図16においては、一部の副光学系3、表示素子6しか図示しておらず、また、射出瞳5(図13)は欄外になるため、図示は省く。さらに、この変形例1の光学系全体の横収差図は省略する。
【0076】
本変形例1は、中心軸1に同心で回転対称な主光学系2が配置される。この主光学系2は、この実施例の場合、両凸レンズを用いているが、正パワーを持った単体のレンズに限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよく、要件としては、中心軸1に向かって進む光束に正のパワーを与え、かつ、中心軸1に対して回転対称な形状を持っていることである。
【0077】
本変形例1では、図17に示すように、表示素子6を円筒状に配置して表示面16とし、その内側に中心軸に同心な両凸レンズ3aを22個並列に円筒状に配置し、その両凸レンズ3aと主光学系2との間に平面鏡3bを配置し、各両凸レンズ3aと各平面鏡3bとにより副光学系3を形成したものである。したがって、平面鏡3bは、中心軸1に同心な頂角90°の二十二角錐面上に配置される。そして、表示素子6の中間像7が各副光学系3と主光学系2との組み合わせによって中心軸1近傍に重層して投影される。
【0078】
また、主光学系2を挟んで副光学系3の反対側に中心軸1に同心で回転対称な第3光学系4が配置される。この第3光学系4も、単体の屈折体に限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよい。
【0079】
さらに、各合成光学系の射出瞳5が中心軸1に同心に並列配置される。各射出瞳5の大きさとしては、並列配置されたときにその円周上に略連続的に繋がるようにする。
【0080】
このような構成であるので、観察者はその眼を何れかの射出瞳5位置近傍に持って行くと、合成光学系(副光学系3、主光学系2及び第3光学系4)の副光学系3と主光学系2との組み合わせによって表示素子6の中間像7が中心軸1近傍に重層して投影され、その中間像7各々は第3光学系4によって360°全方位に向けて画角変換され、中心軸1近傍に画角変換後正立した虚像として結像され観察することができる。そして、副光学系3、主光学系2及び第3光学系4からなる合成光学系は、中心軸1を中心としてその周りに一定角度毎に配置されているのに等しいため、中心軸1を上下方向として設定すると、中心軸1の周囲の360°のどの方向から観察しても、観察者の眼が位置する射出瞳5と中心軸1を挟んで反対側の表示素子6の虚像8を観察することができる。
【0081】
なお、この変形例において、表示面16は円筒面の内面としており、これを1個の表示素子6で構成してもよいが、22個の平面表示素子6を二十二角柱の各側面に回転対称に配置して構成してもよい。
【0082】
次に、実施例2の視覚表示装置の光学系の主要部の中心軸1に沿ってとった断面図を図18に、その主要部の光学系内の光路を示す中心軸1に沿う方向に見た平面図を図19に示す。ただし図示を簡単にするため主光学系の図示は省略する。なお、射出瞳5は欄外になるため、図示は省く。この実施例の光学系全体の横収差図を図20に示す。
【0083】
本実施例は、主光学系2を、逆追跡の順に、中心軸1に同心な両凹負レンズ2L1、両凸正レンズ2L2及び両凸正レンズ2L3の順で構成した例であり、光線は各レンズで屈折され、主光学系2外に出る。そして、主光学系2の両凸正レンズ2L3に面して、中心軸1に同心な円周上に30個の同一構成の副光学系3が並列配置されている。
【0084】
副光学系3は、中心軸に対して偏心配置のレンズ群からなり、中心軸1に同心な円周上に並列配置されている。各副光学系3は、逆追跡の順に、凹面を表示素子6側に向けた負メニスカスレンズ3L1と両凸正レンズ3L2との接合レンズ、及び、両凸正レンズ3L2と表示素子6側に凸面を向けた負メニスカスレンズ3L4との接合レンズからなる。
【0085】
また、各副光学系3の主光学系2とは反対側に、表示素子6からなる表示面16が中心軸1と垂直な共通な平面上に配置されている。そして、表示素子6の中間像7が各副光学系3と主光学系2との組み合わせによって重層して投影される。
【0086】
第3光学系4は、中心軸1に同心に回転対称に配置され、第1自由曲面41及び第2自由曲面42を有する断面略三角プリズム形状の屈折体である。
【0087】
さらに、各合成光学系の射出瞳5が中心軸1に同心に並列配置される。各射出瞳5の大きさとしては、並列配置されたときにその円周上に略連続的に繋がるようにする。
【0088】
このような構成であるので、観察者はその眼を何れかの射出瞳5位置近傍に持って行くと、合成光学系(副光学系3、主光学系2及び第3光学系4)の副光学系3と主光学系2との組み合わせによって表示素子6の中間像7が中心軸1近傍に重層して投影され、その中間像7各々は第3光学系4によって360°全方位に向けて画角変換され、中心軸1近傍に画角変換後正立した虚像として結像され観察することができる。そして、副光学系3、主光学系2及び第3光学系4からなる合成光学系は、中心軸1を中心としてその周りに一定角度毎に配置されているのに等しいため、中心軸1を上下方向として設定すると、中心軸1の周囲の360°のどの方向から観察しても、観察者の眼が位置する射出瞳5と中心軸1を挟んで反対側の表示素子6の虚像8を観察することができる。
【0089】
なお、この実施例において、表示面16は大きい平面としており、これを1個の表示素子6で構成してもよいが、22個の平面表示素子6を回転対称に並列に配置して構成してもよい。
【0090】
この実施例2の仕様は、
射出瞳径 φ60mm
表示面の大きさ X3.87mm×Y6.42mm
像の大きさ □10mm×10mm
以下に、上記実施例1及び実施例2の構成パラメータを示す。なお、以下の表中の“ERFS”は拡張回転自由曲面を示す。
実施例1
面番号 曲率半径 面間隔 偏心 屈折率 アッベ数
物体面 ∞ (1)
1 ∞(瞳面) (2)
2 ERFS[1] (3) 1.5163 64.1
3 ERFS[2] (4)
4 389.66 10.00 (5) 1.8830 40.7
5 -35.83 46.63
6 18.78 3.00 (6) 1.8830 40.7
7 -22.90 11.94
像 面 ∞
ERFS[1]
RY 38.05
θ -65.32
R -24.59
4 -1.6653 ×10-4
ERFS[2]
RY 19.37
θ -33.64
R -20.99
4 -2.7966 ×10-4
偏心[1]
X 0.00 Y 0.00 Z 0.00
α -45.00 β 0.00 γ 0.00
偏心[2]
X 0.00 Y 212.13 Z -212.13
α -45.00 β 0.00 γ 0.00
偏心[3]
X 0.00 Y 24.59 Z 0.00
α 0.00 β 0.00 γ 0.00
偏心[4]
X 0.00 Y 19.97 Z 0.00
α 0.00 β 0.00 γ 0.00
偏心[5]
X 0.00 Y -33.30 Z 0.00
α -90.00 β 0.00 γ 0.00
偏心[6]
X 0.00 Y 0.00 Z 18.04
α 0.00 β 0.00 γ 0.00
実施例2
面番号 曲率半径 面間隔 偏心 屈折率 アッベ数
物体面 ∞ (1)
1 ∞(瞳面) (2)
2 ERFS[1] (3) 1.5163 64.1
3 ERFS[2] (4)
4 -117.07 3.00 (5) 1.4940 66.6
5 22.21 1.00
6 24.43 9.35 1.4875 70.4
7 -31.78 1.00
8 69.27 5.73 1.4875 70.4
9 -35.93 44.68
10 23.63 1.00 (6) 1.7552 27.6
11 8.93 8.21 1.6099 55.9
12 -14.09 1.00
13 12.69 9.52 1.7518 31.2
14 -10.00 1.00 1.7493 27.8
15 -84.18 3.00
像 面 ∞
ERFS[1]
RY 37.29
θ -73.29
R -21.29
4 2.8026 ×10-13
ERFS[2]
RY -18.22
θ -20.57
R -14.31
4 4.1927 ×10-13
偏心(1)
X 0.00 Y 0.00 Z 0.00
α -28.89 β 0.00 γ 0.00
偏心(2)
X 0.00 Y 150.00 Z -259.81
α -30.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(3)
X 0.00 Y 12.29 Z 0.00
α 0.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(4)
X 0.00 Y 4.95 Z 0.00
α 0.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(5)
X 0.00 Y -14.12 Z 0.00
α -90.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(6)
X 0.00 Y 0.00 Z 18.75
α 0.00 β 0.00 γ 0.00
図21(a)は、図10〜図14に示した実施例1の第3光学系4の一例としての回転対称プリズム体40の代わりに、そのプリズム面を中心軸1の周りで回転対称なフレネルプリズム面とした回転対称フレネルプリズム体45を使用して、観察方向を略水平方向にした実施例1の変形例を示す図である。その回転対称フレネルプリズム体45の中心軸1を含む断面の形状は、図21(b)に示すようになっている。ただし、図21(b)は図21(a)のA部の拡大断面図である。
【0091】
以上のような回転対称フレネルプリズム体45を本発明の視覚表示装置の光学系に使用することにより、付加する光学素子を薄くすることが可能となり、軽量化のために好ましいものである。
【0092】
図22は、中間像7の結像面に中心軸1に対して回転対称な拡散板25を配置したものを示す。また、図23(a)は、拡散板25の斜視図、図23(b)は、拡散板25の断面図を示す。拡散板25は、半径方向のみ拡散する回転対称なレンチキュラーシート等を適用し、拡散角をコントロールして重層投影された映像がクロストークを起こさないようにすることが重要である。このように、副光学系3の瞳を小さくしておいて、拡散板25で瞳を拡大することにより、副光学系3の収差補正上の負担を少なくすることができる。
【0093】
なお、本発明の視覚表示装置の以上のような光学系において、中心軸1の周りで回転対称な光学系(主光学系2+副光学系3+第3光学系4)はそのまま用いることにより、光学系の周辺の360°の全ての方向から表示面(表示素子)16の表示素子6の虚像8を観察できるが、その光学系を、中心軸1を含む断面で切断して2分の1、3分の1、3分の2等にすることにより、中心軸1の周りの180°、120°、240°等の角度範囲で虚像8を観察できるようにしてももちろんよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の基本原理を示す図である。
【図2】本発明の視覚表示装置の光学系の表示面に配置する視差画像の撮影方法を説明するための図である。
【図3】図2の撮影方法で撮影された視差画像の例を示す図である。
【図4】共通な平面上の全体の表示面への視差画像の表示のさせ方を示す図である。
【図5】本発明の視覚表示装置の光学系の隣接した射出瞳に観察者の左右の眼球を位置させる様子を示す図である。
【図6】観察者の左右の眼球の眼幅と本発明の視覚表示装置の光学系の隣接した射出瞳の間隔とを示す図である。
【図7】観察者が頭を動かした場合に順次隣の合成光学系による観察領域へ移っていく様子を示す図である。
【図8】各表示素子が少し離れている場合の図5に対応する図である。
【図9】本発明の視覚表示装置の虚像のイメージを示す模式図である。
【図10】本発明の実施例1の視覚表示装置の光学系の中心軸に沿ってとった断面図である。
【図11】図10の光学系内の光路を示す中心軸に沿う方向に見た平面図である。
【図12】図10の主要部の拡大図である。
【図13】図11の主要部の拡大図である。
【図14】実施例1の光学系全体の横収差図である。
【図15】変形例1の視覚表示装置の光学系の主要部の中心軸に沿ってとった断面図である。
【図16】図15の主要部の光学系内の光路を示す中心軸に沿う方向に見た平面図である。
【図17】変形例としての円筒状の全体の表示面への視差画像の表示のさせ方を示す図である。
【図18】本発明の実施例2の視覚表示装置の光学系の主要部の中心軸に沿ってとった断面図である。
【図19】図18の主要部の光学系内の光路を示す中心軸に沿う方向に見た平面図である。
【図20】実施例2の光学系全体の横収差図である。
【図21】第3の光学系として回転対称フレネルプリズム体を使用する実施例の図12に対応する図である。
【図22】拡散板を使用する実施例の図12に対応する図である。
【図23】拡散板の構造を示す図である。
【符号の説明】
【0095】
1…中心軸
2…主光学系
21、22…主光学系の光学面
2L1…両凹負レンズ
2L2…両凸正レンズ
2L3…両凸正レンズ
25…拡散板
3…副光学系
31、32…副光学系の光学面
3a…両凸レンズ
3b…平面鏡
3L1…凹面を表示面側に向けた負メニスカスレンズ
3L2…両凸正レンズ
3L3…両凸正レンズ
3L4…凸面を表示面側に向けた負メニスカスレンズ
4…第3光学系
40…回転対称プリズム体
41…第1自由曲面
42…第2自由曲面
45…回転対称フレネルプリズム体
5…射出瞳
6…表示素子(像面)
16…表示面
7…中間像
8…虚像(物体面)
50…視覚表示装置の光学系(本発明)
100…物体
101…カメラ
EL、ER…眼球
E…観察者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸に同心に回転対称な主光学系が配置され、前記中心軸に同心な円周上に複数の同一構成の副光学系が並列して配置され、さらに、前記主光学系を挟んで、前記各副光学系の反対側に、前記中心軸に同心に回転対称な第3光学系が配置され、前記各副光学系、前記主光学系及び前記第3光学系により構成される合成光学系の射出瞳が前記第3光学系の前記主光学系側とは反対側であって前記中心軸に対して対応する前記副光学系とは反対側に位置し、前記各副光学系の前記主光学系とは反対側に表示面が配置され、前記各合成光学系による前記表示面の虚像が前記中心軸近傍に結像され、かつ、前記各合成光学系の前記射出瞳が前記中心軸に同心に略連続的に形成され、前記表示面は前記中心軸に垂直な共通の平面上に回転対称に配置されることを特徴とする視覚表示装置。
【請求項2】
前記各副光学系と前記主光学系との組み合わせによる前記表示面の中間像が前記中心軸近傍に重層して投影されることを特徴とする請求項1に記載の視覚表示装置。
【請求項3】
前記第3光学系は前記重層され投影された前記中間像を360°全方位に向けて画角を変換する変換作用を有し、前記重層されて投影される前記中間像各々は画角変換後正立した前記虚像になるように回転して重層されていることを特徴とする請求項2に記載の視覚表示装置。
【請求項4】
前記表示面各々は、複数の異なる映像を表示することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の視覚表示装置。
【請求項5】
前記複数の異なる映像は、同一物体について複数の視点から撮影された映像であることを特徴とする請求項4に記載の視覚表示装置。
【請求項6】
前記表示面各々は、各副光学系と対応して配置された複数の表示素子の表示面であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の視覚表示装置。
【請求項7】
前記表示面各々は、各副光学系と対応して一つの表示素子を各領域に区分した表示面であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の視覚表示装置。
【請求項8】
前記第3光学系の少なくとも1つの面は、回転対称軸を含む縦断面と回転対称軸と直交する横断面での曲率が異なることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の視覚表示装置。
【請求項9】
前記合成光学系の中心軸と直交する方向の半径をRsとするとき、
10<Rs ・・・(1)
なる条件を満足することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の視覚表示装置。
【請求項10】
前記第3光学系の少なくとも1つの面は、対称面を持たない任意形状の曲線を回転対称軸の周りで回転させて形成される回転対称な形状を有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の視覚表示装置。
【請求項11】
前記第3光学系の少なくとも1つの面は、奇数次項を含む任意形状の曲線を回転対称軸の周りで回転させて形成される回転対称な形状を有することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の視覚表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2008−76799(P2008−76799A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−256837(P2006−256837)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】