説明

視野角制御部を有する表示装置

【課題】 構成部品点数や製造工程を減らして、透過性に優れた薄型の視野角制御部を有する表示装置を、低い製造コストで提供する。
【解決手段】
第1の板状部材4と第2の板状部材12との間に、透光部14aと遮光部14bとを有するルーバー層14が設けられた視野角制御部4と、第2の板状部材12と、第2の板状部材12のルーバー層14が設けられない面側に形成された電極層22と、第1及び第2の板状部材10、12と異なる第3の板状部材20と、該電極層22と該第3の板状部材20との間に配置された帯電粒子を含む表示層24と、を含む表示パネル部6と、を備えた視野角制御部を有する表示装置2を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示面に表示された画像を斜めの方向から視認不能にする視野角制御が可能な表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示が可能な表示装置が普及しており、このような表示装置では、例えば、銀行のATMで用いる場合のように、表示された機密情報が他人に見られるのを防ぐため、表示された画像を斜めの方向から視認不能にする視野角制御が可能な表示装置の需要が高まっている。
【0003】
この視野角制御が可能な表示装置を実現するため、例えば、複数のルーバーが備えられた市販の視野角制御シートを、表示パネルの表示面側に配置することが考えられる。この場合、表示パネルと視野角制御シートとの間に存在する空気層により、光学界面が増加して、光学性能が低下する問題が生じる。これに対処するため、表示パネルと視野角制御シートとの間に空気層が存在しないように、両製品を互いに接着した視野角制御シートを有する表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−196027号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された発明では、接着剤で表示パネルの表示面に視野角制御シートが貼り付けられており、これにより、表示パネルと視野角制御シートとの間に空気層が形成されるのを防いで、光学性能の低下を防止している。
特許文献1に記載の発明では、確かに、光学界面の増加を防止することはできるが、その基本構造は、各々が単独の製品である表示パネルと視野角制御シートとを重ね合わせただけなので、表示装置全体の厚みが増し、構成部品点数が増加する。また、光が透過する部品点数の増加や接着層の存在により、表示装置全体としての光の透過率が低下して、光学的性能が低下する。更に、構成部品点数の増加により、材料費が上昇するだけでなく、製造工程も増えるので、表示装置の製造コストが上昇する問題も生じる。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記の問題を解決して、構成部品点数や製造工程を減らして、透過性に優れた薄型の視野角制御部を有する表示装置を、低い製造コストで提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る表示装置の実施態様は、第1の板状部材と第2の板状部材との間に、透光部と遮光部とを有するルーバー層が設けられた視野角制御部と、前記第2の板状部材と、前記第2の板状部材の前記ルーバー層が設けられない面側に形成された電極層と、前記第1及び第2の板状部材と異なる第3の板状部材と、該電極層と該第3の板状部材との間に配置された帯電粒子を含む表示層と、を含む表示パネル部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本実施態様によれば、視野角制御部及び表示パネル部が、その構成部材として、第2の板状部材を共用しており、また、接着剤を用いた貼り合わせも行なっていないので、表示装置の薄型化が図れる。また、光が透過する部品点数を削減できるので、表示装置全体の光の透過性を向上することができる。更に、構成部品点数を削減できるので、材料費を低減できる共に、製造工程も削減でき、表示装置の製造コストを低減できる
【0008】
本発明の請求項2に係る視野角制御部を有する表示装置の実施態様は、更に、前記視野角制御部及び前記表示パネル部において、その厚み方向と直交する縦横寸法が略同一であることを特徴とする。
【0009】
本実施態様によれば、視野角制御部及び表示パネル部の縦横寸法を略同一にできるので、その製造効率を向上させることができる。つまり、フィルムの製造時において、大きなサイズでコーティングや貼り合わせをしてから適当なサイズにカットすることができるので、全面にコーティングまたは貼り合せが可能であり、プロセスの連続化、製造効率の向上を図ることができる。
また、表示面と視野角制御可能な面とを効率よく活用することができ、効率よく空間を利用したコンパクトな視野角制御可能な表示装置を実現できる。
【0010】
本発明の請求項3に係る視野角制御部を有する表示装置の実施態様は、更に、前記第3の板状部材に各画素領域または複数の画素領域に対応した個別電極が設けられ、隣接する前記個別電極の間の隙間領域の位置が、前記ルーバー層の前記遮光部の位置と一致することを特徴とする。
【0011】
本実施態様によれば、個別電極の間の隙間領域をルーバー層の遮光部でカバーすることにより、表示不十分な領域を隠すことができるので、表示品位の向上が図れる。また、個別電極が存在する画素領域とルーバー層の透光部との重なりを最大限にすることによって、光利用効率を向上させることができる。
【0012】
本発明の請求項4に係る視野角制御部を有する表示装置の実施態様は、更に、前記第2の板状部材の前記ルーバー部材が取り付けられない面と前記電極層との間に、更に各色のフィルタ領域の間にブラックマトリックス領域が配置されたカラーフィルタ層が形成され、前記ブラックマトリックス領域の位置が、前記ルーバー層の前記遮光部の位置に一致することを特徴とする。
【0013】
本実施態様によれば、カラーフィルタ層のブラックマトリックス領域をルーバー層の遮光部でカバーすることにより、表示不十分な領域を隠すことができるので、表示品位の向上が図れる。また、カラーフィルタ層のフィルタ領域とルーバー層の透光部との重なりを最大限にすることによって、光利用効率を向上させることができる。
【0014】
本発明の請求項5に係る視野角制御部を有する表示装置の実施態様は、更に、前記ルーバー層の前記遮光部の幅寸法が、前記隙間領域の幅寸法または前記ブラックマトリックス領域の幅寸法以上であることを特徴とする。
【0015】
本実施態様によれば、ルーバー層の遮光部の幅寸法が、個別電極の間の隙間領域、またはカラーフィルタ層のブラックマトリックス領域の幅寸法以上なので、表示不十分な領域である隙間領域またはブラックマトリックス領域を、遮光部で確実に隠すことができるので、確実に表示品位の向上が図れる。
【0016】
本発明の請求項6に係る視野角制御部を有する表示装置の実施態様は、更に、前記第2の板状部材と前記第3の板状部材との間の距離が200μm以下であることを特徴とする。
【0017】
本実施態様によれば、第2の板状部材と第3の板状部材との間の距離を200μm以下にとることによって、視野角制御部を、隙間領域またはブラックマトリックス領域の近傍に配置することができる。従って、表示面に対して斜めに進む光に対しても、表示不十分な領域である隙間領域またはブラックマトリックス領域を、遮光部で確実に隠すことができるので、確実に表示品位の向上が図れる。
【0018】
本発明の請求項7に係る視野角制御部を有する表示装置の実施態様は、更に、前記第2の板状部材の前記ルーバー層が設けられない面と前記電極層との間に、更に紫外線除去層及び/または防水層が形成されることを特徴とする。
【0019】
ここで、「紫外線除去層及び/または防水層が形成される」には、紫外線除去層のみが形成される場合、防水層のみが形成される場合、並びに、紫外線除去層及び防水層の両層が形成される場合が含まれる。
本実施態様によれば、紫外線除去層を形成することにより、表示パネル部の内部に配置された各部材が紫外線にさらされるのを防ぐことができ、防水層を形成することにより、表示パネル部の内部に配置された各部材が水に濡れるのを防ぐことができるので、表示装置の故障、不具合の発生を未然に防ぐことができる。また、紫外線除去層や防水層を、第2の板状部材に直接形成できるので、表示装置の薄型化に貢献し、光の透過性の低下を防止することができる。
【0020】
本発明の請求項8に係る視野角制御部を有する表示装置の実施態様は、更に、前記第1の板状部材と、前記第1の板状部材の前記ルーバー層が設けられない面に形成されたタッチパネル用の第1の電極層と、片側の面にタッチパネル用の第2の電極層が形成され、該タッチパネル用の第2の電極層が所定の間隔をあけて前記タッチパネル用の第1の電極層に対向するように配置された第4の板状部材と、を含むタッチパネル部を更に備えたことを特徴とする。
【0021】
本実施態様によれば、視野角制御部に加えてタッチパネル部も有する表示装置において、構成部品点数を削減し、薄型化を図ることができ、また、光が透過する部品点数を削減できるので、表示装置全体の光の透過性を向上することができる。更に、構成部品点数を削減による材料費の低減と共に、製造工程も削減でき、表示装置の製造コストを低減できる
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明に係る視野角制御部を有する表示装置によれば、従来に比べて構成部品点数や製造工程を減らして、光の透過性に優れた薄型の視野角制御部を有する表示装置を、低い製造コストで提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明に係る視野角制御部を有する表示装置の実施形態、及びその製造方法の実施形態について、以下に図面を用いながら詳細に説明する。
(本発明に係る視野角制御部を有する表示装置の1つの実施形態の説明)
始めに、図1を用いて、本発明に係る視野角制御部を有する表示装置の1つ実施形態の構造を説明する。ここで、図1は、本発明に係る視野角制御部を有する表示装置の構造を模式的に示す断面図であり、図面の上側を表示面側とし、図面の下側を背面側とする。
【0024】
図1に示すように、表示装置2は、第1のフィルム(第1の板状部材)10と第2のフィルム(第2の板状部材)12との間に、透光部14aと遮光部14bとを有するルーバー層14(拡大図参照)が設けられた視野角制御部4を備えている。更に、その背面側には、第2のフィルム12と、第2のフィルム12のルーバー層14が設けられない面側に形成された表示用の電極層22と、第3のフィルム(第3の板状部材)20と、電極層22と第3のフィルム20との間に配置された表示層24とから主に構成される表示パネル部6を備える。つまり、本実施形態では、視野角制御部4と表示パネル部6とが、第2のフィルム12を共用している。
【0025】
本実施形態では、更に、第2のフィルム12と表示用の電極層22との間に、紫外線除去層28及び防水層30が形成されている。つまり、表示装置の製造においては、第2のフィルム12の表面に、始めに、紫外線除去層28を積層し、次に、防水層30を積層し、その上に、表示用の電極層22を積層している。ただし、これに限られるものではなく、防水層30及び紫外線除去層28は、任意の順番で積層することができる。
この紫外線除去層28を形成することにより、表示パネル部6の内部に配置された各部材(例えば、後述する表示層24のカプセル24a等)が紫外線にさらされるのを防ぐことができ、防水層30を形成することにより、表示パネル部6の内部に配置された各部材(例えば、電極層や配線等)が水に濡れるのを防ぐことができるので、表示装置2の故障、不具合の発生を未然に防ぐことができる。
【0026】
また、第3のフィルム20の表示層24が存在する表示側の面に、各画素領域に対応した個別電極26が設けられている。ただし、この個別電極26は、複数の画素領域に対応して設けることもできるし、第3のフィルム20の背面側の面(表示層24が存在する面の反対側の面)に設けることもできる。
本実施形態では、表示層24に、帯電粒子が収納された複数のカプセル24aが配置されており、電気泳動式の表示パネルを構成している。ただし、本発明に係る表示パネルは、カプセルを有する場合に限られるものではなく、例えば、表示層24に、溶媒(液体)中に帯電粒子が含有された表示媒体が封入された湿式の電気泳動式表示パネルや、気体中に帯電粒子が封入された乾式の電気泳動式表示パネルを用いることもできる。
【0027】
以上のように、第2のフィルム12に設けられた表示用の電極層22は、電気泳動式表示パネルの共通電極として用いられ、個別電極26と電極層22との間に所定の電界を形成することによって、表示層24のカプセル24a内の帯電粒子を移動させて、表示を切り替えることができる。なお、画像表示に関する更に詳細な説明は、後述する。
【0028】
本実施形態では、表示層24により表示された画像は、視野角制御部4のルーバー層14に備えられた遮光部14bにより、斜めからは視認できないようになっている。このため、遮光部14bは、実用上十分な遮光性を有しており、具体的には、例えば、OD(Optical Density)値で1以上の光学濃度を例示することができる。
また、表示層24により表示された画像を正面から視認可能な状態にするため、上記の遮光部14bを除き、表示層24より表示面側に配置された各部材は、透明な材料から構成されている。具体的には、第1のフィルム10、ルーバー層14の透光部14a、第2のフィルム12、紫外線除去層28、防水層30、及び表示用の電極層22が、透明な材料から構成されている。ただし、必ずしも透明である必要はなく、表示層24に示された画像が表示面側から視認可能な程度の透光性を有するのであれば、所定の着色がなされていてもよい。
【0029】
視野角制御部4及び表示パネル部6は、共に、概略矩形の平面形状を有し、概略同一の縦横寸法を有している。これにより、表示面と視野角制御可能な面とを効率よく活用することができ、効率よく空間を利用したコンパクトな表示装置2を実現できる。
次に、表示装置2を構成する視野角制御部4及び表示パネル部6の更に詳細な説明を行なう。
【0030】
<視野角制御部4の説明>
視野角制御部4では、第1のフィルム10と第2のフィルム12との間に、透光部14aと遮光部14bとを有するルーバー層14が配置された構成を有する。
第1のフィルム10及び第2のフィルム12の材料としては、ポリエチレンテフタレート(PET)系樹脂、ポリカーボネイト(PC)系樹脂、ポリブチレンテフタレート(PBT)系樹脂、ナイロン系樹脂、プロポリプレン(PP)系樹脂、フッ素(PFA/FEP)系樹脂、ポリオリフィン系樹脂を始めとするあらゆる樹脂を用いることができ、これらの樹脂の混合物を用いることもできる。
【0031】
また、ルーバー層14は、例えば、セルロース系樹脂やシリコン系樹脂から構成することができ、透光部14aは透明な樹脂材料からなり、遮光部14bは、カーボンブラック等の吸光材料やアルミナ等の反射材量が添加された所定のOD値を有する樹脂材料からなる。
【0032】
この視野角制御部4の厚み寸法としては、例えば、第1のフィルム10、第2のフィルム12の厚みとして、100〜300μmを例示することができる。また、ルーバー層14は、100μm前後のピッチにおいて100〜300μmの厚み寸法を例示することができる。ただし、これらの寸法はあくまで一例であって、本発明においては、その他の任意の寸法を採用することができる。なお、ルーバー層14の透光部14a及び遮光部14の幅寸法については、追って説明する。
【0033】
<表示パネル部6の説明>
表示パネル部6では、第2のフィルム12を視野角制御部4と共用し、第2のフィルム12上に形成された紫外線除去層28の材料としては、ベンゾトリアゾール系樹脂、ベンゾフェノン系樹脂等を例示することができ、更にその上に形成された防水層30の材料としては、フッ素化樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂等を例示することができる。また、更にその上に形成された表示用の電極層22の材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)を例示することができるが、これに限られるものではない。
紫外線除去層28、防水層30、及び電極層22は、例えば、蒸着によって第2のフィルム12上に形成することができるが、これに限られるものではなく、スパッタリング、イオンプレーティングを始めとするその他の任意のコーティング手段を用いることができる。
【0034】
第3のフィルム20は、背面基板と称する場合もあり、第1及び第2のフィルム10、12と同様な樹脂材料から構成することもできるし、更に強い剛性を要する場合には、ガラス材料を用いることもできる。また、第3のフィルム20は、必ずしも透光性を有する必要はなく、任意の光学濃度の材料を用いることができる。第3のフィルム20上に形成された個別電極26は、銅、銀等の金属材料から構成され、例えば、蒸着によって第3のフィルム20上に形成することができる。
【0035】
また、図示されていないが、各個別電極26は、第3のフィルム20に設けられたTFT(薄膜トランジスタ:Thin Film Transistor)に電気的に接続されており、本実施形態では、共通電極として機能する電極層22と共に、アクティブマトリックス駆動方式の画像表示制御を行なうことができる。ただし、これに限られるものではなく、第2のフィルム12及び第3のフィルム20に、互いに直交するストライプ状の電極22、26を形成して、パッシブマトリックス駆動方式の画像表示制御を行なうこともできる。
【0036】
<画像の表示方法>
次に、図5を用いて、表示パネル部6の表示層24における画像の表示方法について説明する。
図5は、表示パネル部6の表示層24の部分を拡大して模式的に示した断面図である。表示層24に配置されたカブセル24aの中には、溶媒中に正に帯電した黒色の帯電粒子50と負に帯電した白色の帯電粒子52とが含有された表示媒体が封入されている。ただし、カブセル24aの中に溶媒が存在しない乾式の場合も考えられる。
【0037】
図5(a)に示すように、共通電極として機能する電極膜22の電位を基準電位として、個別電極26に所定の電圧を印加して第3のフィルム20側を正にし、十分に電界を発生させた場合、各カプセル24aの中で、正に帯電した黒色の帯電粒子50が第2のフィルム12側(表示面側)に分布し、負に帯電した白色の帯電粒子52が第3のフィルム20側(背面側)に分布する。階調は、黒色の帯電粒子50及び白色の帯電粒子52のカプセル24a内での平均分布によって決定するので、この場合には、表示面側から見ると黒色に視認できるため黒表示となる。
また、図5(b)に示すように、電極膜22の電位を基準電位として、個別電極26に所定の電圧を印加して第3のフィルム20側を負にし、十分に電界を発生させた場合、負に帯電した白色の帯電粒子52が基板(表示基板)2の近傍に分布し、正に帯電した黒色の帯電粒子50が第3のフィルム20側(背面側)に分布する。階調は、黒色の帯電粒子50及び白色の帯電粒子52のカプセル24a内での平均分布によって決定するので、この場合には、表示面側から見ると白色に視認することができるため白表示となる。
【0038】
また、図5(c)に示すように、電極膜22の電位を基準電位として、個別電極26に印加する電圧の大きさや印加時間を調節して、黒色の帯電粒子50及び白色の帯電粒子52を、カプセル24aの中間位置に位置させると、表示面側からは黒色の帯電粒子50及び白色の帯電粒子52の両方が視認できるため、階調はグレーとなる。この場合、帯電粒子50、52の分布の度合いを変えることによって、任意の濃さのグレーを表示することができる。
以上のように、画像データに基づいて、各画素ごとに階調を制御することによって、所望の画像を表示パネル部6に表示することができる。なお、帯電粒子が収納されたカプセル24aを用いることによって、表示面を湾曲させても鮮明な表示を維持することができる。
【0039】
この表示パネル部6の厚み寸法としては、例えば、第2のフィルム12の厚みとして、100〜300μmを例示することができ、個別電極26の厚み寸法として、数10nm〜数100nmを例示することができ、表示層24の厚み寸法(概略カプセル24aの外径に一致)として、50μm前後を例示することができ、第3のフィルム20の厚み寸法として、100〜500μmを例示することができる。なお、第3のフィルム20をガラス材料で構成する場合には、500〜1200μm程度の厚み寸法を例示することができる。ただし、これらの寸法はあくまで一例であって、本発明においては、その他の任意の寸法を採用することができる。
【0040】
(従来例と比較した本実施形態の説明)
次に、図2に示す従来の視野角制御シートを有する表示装置と比較しながら、図1に示す本発明の実施形態の特徴を説明する。
<従来例の説明>
図2は、従来の視野角制御シートを有する表示装置の1つの実施例の構造を模式的に示す断面図であり、図面の上側を表示面側とし、図面の下側を背面側とする。
従来の視野角制御シートを有する表示装置102は、それ単体で個別の製品として流通可能な視野角制御シート104と、紫外線除去/防水基板150と、表示パネル106とが、両面粘着テープ160、162によって貼り合わされた構造を有する。
【0041】
視野角制御シート104は、フィルム110とフィルム112との間に、透光部114aと遮光部114bとを有するルーバー層114(拡大図参照)が設けられた構造を有する。また、紫外線除去/防水基板150には、フィルム152に紫外線除去層122と、防水層130が形成された構造を有する。
表示パネル106は、共通電極として機能する電極層122が形成されたフィルム154と、個別電極126が形成された背面基板120との間に、表示層124が配置された構成を有する。また、表示層124には、帯電粒子が収納された複数のカプセル124aが配置されている。
【0042】
以上のような構成の視野角制御シート104と紫外線除去/防水基板150とが、両面粘着テープ160で貼り合わされ、更に、紫外線除去/防水基板150と表示パネル106とが、両面粘着テープ154で貼り合わされて、一体的な表示装置102を構成している。
【0043】
<本実施形態と従来例との比較>
次に、図1に示す本発明の1つの実施形態と、図2に示す従来例を比較すると、図1に示す実施形態では、以下のような特徴がある。
上記のように、本実施形態では、第2のフィルム12が、視野角制御部4にも表示パネル部6にも共用して用いられ、更に、この第2のフィルム12に紫外線除去層28と防水層30とが直接形成されている。よって、本実施形態には、従来例のフィルム152、154に相当するフィルム部材が存在せず、部材の貼り付けを行なう両面粘着テープ160、162も存在しない。
【0044】
従って、本実施形態では、従来に比べて、表示装置2の厚みを薄くすることができ、構成部品点数を削減することができる。また、光が透過する部品点数が減るので、表示装置2全体として、光の透過性を向上させることができる。また、構成部品点数を削減できるので、後述するように製造工程も削減でき、製造コストを低減することもできる。
本実施形態では、視野角制御部4及び表示パネル部6は、概略同一の縦横寸法を有することができるので、その製造効率を向上させることができる。つまり、従来のように、異なる大きさのままで一体化しようとすると、構成層を非連続にコーティングまたは成膜する必要があり、専用の冶具または設備が必要となるが、本実施形態では、フィルムの製造時において、大きなサイズでコーティングや貼り合わせをしてから適当なサイズにカットすることができるので、全面にコーティングまたは貼り合せが可能であり、プロセスの連続化、製造効率の向上を図ることができる。
また、表示面と視野角制御可能な面とを効率よく活用することができ、効率よく空間を利用したコンパクトな視野角制御可能な表示装置を実現できる。
【0045】
(本発明に係る視野角制御部を有する表示装置のその他の実施形態の説明)
次に、図3を用いて、本発明に係る視野角制御部を有する表示装置のその他の実施形態の構造を説明する。ここで、図3は、本発明に係る視野角制御部を有する表示装置の構造を模式的に示す断面図であり、図面の上側を表示面側とし、図面の下側を背面側とする。
【0046】
図3に示すように、本実施形態では、視野角制御部4及び表示パネル部6の表示面側に、更にタッチパネル部8が配置されており、タッチパネル機能を備えた視野角制御部を有する表示装置2を構成している。
この表示装置2では、視野角制御部4を構成する表示面側の第1のフィルム10が、タッチパネル部8の構成部材にもなっており、タッチパネル部8は、第1のフィルム10と、第1のフィルム10のルーバー層14が設けられない面に形成されたタッチパネル用の電極層44と、第4のフィルム(第4の板状部材)40と、第4のフィルム40の片側の面に形成されたタッチパネル用の電極層42と、スペーサ46とから構成される。第1のフィルム10と第4のフィルム40との間に挿入されたスペーサ46により、電極層42及び電極層46が所定の間隔を隔てて互いに対向するように配置されている。
【0047】
本実施形態の視野角制御部4及び表示パネル部6は、基本的に上述の図1に示す実施形態と同様であり、詳細な説明は省略する。次に、本実施形態のタッチパネル部8の更に詳細な説明を行なう。
【0048】
<タッチパネル部8の説明>
タッチパネル部8では、第4のフィルム40及び第1のフィルム10の間であって両パネルの周囲領域に、スペーサ46が挿入されている。これにより、第4のフィルム40に形成された電極層42と、第1のフィルム10に形成された電極層44とが、所定の間隔をあけて、互いに対向するように配置されている。なお、スペーサ46は、透光性を有する材料で構成することもできるし、表示装置2の表示領域から外れている場合には、透光性を有さない材料で構成することもできる。
【0049】
ここで、第4のフィルム40、及びスペーサ46の材料としては、第1のフィルム10と同様な樹脂材料を用いることができる。なお、スペーサ46としては、予め両面に接着層が設けられた両面粘着テープを用いることもできる。
また、透明電極である電極層42、44の材料としては、ITOを例示することができるが、これに限られるものではない。電極層40、42は、例えば、蒸着によって第4及び第2のフィルム40、12上に形成することができる。
【0050】
以上のような構成のタッチパネル部8は、所謂抵抗膜方式のタッチパネルとして機能することができる。更に詳細に述べれば、電極層42及び電極層44のどちらか一方に所定の電圧をかけておく。そして、表示面側の第4のフィルム40に触れない状態では、スペーサ46によって電極層42と電極層44とは所定の間隔があいているので、電極間で電流は流れない。また、人の指や専用のペン等により表示面側から第4のフィルム40を押圧すると、第4のフィルム40が背面側に撓んで、電極層42と電極層44とが接触して電流が流れる。このときの、電極層42及び電極層44の抵抗による分圧比を測定することによって、押圧された位置を検出することができる。
【0051】
このタッチパネル部8の厚み寸法としては、例えば、第4のフィルム40、第1のフィルム10の厚みとして、150〜300μmを例示することができ、電極層42、44の各厚み寸法として、20nm前後を例示することができ、スペーサ46の厚み寸法として、50〜150μmを例示することができる。ただし、これらの寸法はあくまで一例であって、本発明においては、その他の任意の寸法を採用することができる。
【0052】
(従来例と比較した本実施形態の説明)
次に、図4に示す従来のタッチパネル及び視野角制御シートを有する表示装置と比較しながら、図3に示す本実施形態の特徴を説明する。
<従来例の説明>
図4は、従来のタッチパネル及び視野角制御シートを有する表示装置の1つの実施例の構造を模式的に示す断面図であり、図面の上側を表示面側とし、図面の下側を背面側とする。
従来のタッチパネル及び視野角制御シートを有する表示装置102は、それ単体で個別の製品として流通可能なタッチパネル108と、視野角制御シート104と、紫外線除去/防水基板150と、表示パネル106とが、両面粘着テープ164、160、162によって貼り合わされた構造を有する。
【0053】
タッチパネル108は、片側の面に電極層142が形成された透明フィルム140と、片側の面に電極層144が形成された透明フィルム148とが、間に挿入されたスペーサ146により、電極層142及び電極層144が所定の間隔を隔てて互いに対向するように配置された構造を有する。
視野角制御シート104は、透明フィルム110と透明フィルム112との間に、透光部114aと遮光部114bとを有するルーバー層114(拡大図参照)が設けられた構造を有する。また、紫外線除去/防水基板150には、透明フィルム152に紫外線除去層128と、防水層130が形成された構造を有する。
表示パネル106は、共通電極として機能する電極層122が形成された透明フィルム154と、個別電極126が形成された背面基板120との間に、表示層124が配置された構成を有する。また、表示層124には、帯電粒子が収納された複数のカプセル124aが配置されている。
【0054】
以上のような構成のタッチパネル108と視野角制御シート104とが、両面粘着テープ164で貼り合わされ、視野角制御シート104と紫外線除去/防水基板150とが、両面粘着テープ160で貼り合わされ、更に、紫外線除去/防水基板150と表示パネル106とが、両面粘着テープ154で貼り合わされて、一体的な表示装置102を構成している。
【0055】
<本実施形態と従来例との比較>
次に、図3に示す実施形態と、図4に示す従来例を比較すると、図3に示す実施形態では、以下のような特徴がある。
上記のように、図3に示す実施形態では、第1のフィルム10が、タッチパネル部8にも視野角制御部4にも共用して用いられ、第2のフィルム12が、視野角制御部4にも表示パネル部6にも共用して用いられ、更に、この第2のフィルム12に紫外線除去層28と防水層30とが直接形成されている。よって、本実施形態には、従来例のフィルム148、152、154に相当するフィルム部材が存在せず、部材の貼り付けを行なう両面粘着テープ164、160、162も存在しない。
【0056】
従って、本実施形態では、従来に比べて、表示装置2の厚みを薄くすることができ、構成部品点数を削減することができる。また、光が透過する部品点数が減るので、表示装置2全体として、光の透過性を向上させることができる。また、構成部品点数を削減できるので、後述するように製造工程も削減でき、製造コストを低減することもできる。
本実施形態では、タッチパネル部8、視野角制御部4、及び表示パネル部6は、概略同一の縦横寸法を有することができるので、その製造効率を向上させることができる。つまり、従来のように、異なる大きさのままで一体化しようとすると、各構成層を非連続にコーティングまたは成膜する必要があり、専用の冶具または設備が必要となるが、本実施形態では、フィルムの製造時において、大きなサイズでコーティングや貼り合わせをしてから適当なサイズにカットすることができるので、全面にコーティングまたは貼り合せが可能であり、プロセスの連続化、製造効率の向上を図ることができる。
また、従来に比べて、表示面、タッチパネル作動面、及び視野角制御可能な面を効率よく活用することができ、効率よく空間を利用したコンパクトな表示装置2を実現できる。
【0057】
(視野角制御部の透光部、遮光部の好ましい配置についての説明)
次に、図6及び図7を用いて、視野角制御部4のルーバー層14の透光部14a及び遮光部14bの好ましい配置について説明する。なお。図6、7では、紫外線除去層28及び防水層は図示されていない。
図6、7に示すように、隣接する個別電極26の間に、個別電極が存在しない隙間領域54が存在する(隙間領域54はゲート/ソース用の配線領域となる)。この隙間領域に位置するカプセル24aにおいては、個別電極26が存在する領域に位置するカプセル24aに比べて、帯電粒子50、52が十分に移動するだけの電界が形成されない。このため、隙間領域54に位置するカプセル24aでは、十分に意図した表示を行なうことができない。
【0058】
ここで、図6、7は、一例として、電極膜22の電位を基準電位として、第3のフィルム20側を正にして、正に帯電した黒色の帯電粒子50が第2のフィルム12側(表示面側)に分布させ、負に帯電した白色の帯電粒子52が第3のフィルム20側(背面側)に分布させて、黒表示させたところを示す。
この場合、隙間領域54に位置するカプセル24aにおいては、黒色の帯電粒子50及び白色の帯電粒子5の移動が十分に行なわれず、十分な黒表示を実現できない。このため、隙間領域54に位置する表示が不十分なカプセル24aを表示面側から視認した場合には、表示品位が低下する問題が生じる。
【0059】
これに対処するため、図6に示す実施形態では、隙間領域54の位置と、ルーバー層14の遮光部14bの位置とが一致するようになっている。更に、遮光部14bの幅寸法W1が、隙間領域54の幅寸法W2以上になっている。
以上のような配置及び寸法により、個別電極26の間の隙間領域54を、ルーバー層14の遮光部14bで確実にカバーすることができるので、表示不十分な領域を隠すことができ、表示品位の向上を図ることができる。また、個別電極26が存在する画素領域とルーバー層14の透光部14aとの重なりを最大限にすることができるので、光利用効率を向上させることができる。
【0060】
図7に示す実施形態では、表示用の電極22と第2のフィルム12との間に、各色のフィルタ領域の間にブラックマトリックス領域62が配置されたカラーフィルタ層60が形成されている。
本実施形態では、ブラックマトリックス領域62の位置と、ルーバー層14の遮光部14bの位置とが一致するようになっている。更に、遮光部14bの幅寸法W1が、ブラックマトリックス領域62の幅寸法W3以上になっている。
以上のような配置及び寸法により、ブラックマトリックス領域62を、ルーバー層14の遮光部14bで確実にカバーすることができるので、表示がなされない領域を隠すことができ、表示品位の向上を図ることができる。また、カラーフィルタが存在するフィルタ領域とルーバー層14の透光部14aとの重なりを最大限にすることができるので、光利用効率を向上することができる。
【0061】
なお、図7に示す実施形態では、ブラックマトリックス領域62だけでなく、個別電極26の間の隙間領域54もルーバー層14の遮光部14bでカバーされているが、これに限られるものではなく、ブラックマトリックス領域62または隙間領域54のどちらか一方が遮光部14bでカバーされている場合も、本発明に含まれる。
【0062】
表示品位向上を図るためには、表示面に対して垂直に進む光だけでなく、斜めに進む光に対しても、遮光部14bにより、隙間領域54またはブラックマトリックス領域62をカバーする必要がある。そのためには、視野角制御部4を、隙間領域54またはブラックマトリックス領域62から近い位置に配置することが有効である。
カラーフィルタ層60については、図7に示すように、視野角制御部4に隣接して形成することは比較的容易である。
【0063】
一方、隙間領域54と視野角制御部4との間には表示層24存在するため、視野角制御部4を隙間領域54の近傍に配置することは、カラーフィルタ層60に比べて困難である。
そこで、斜めに進む光に対しても、隙間領域54を遮光部14bで十分カバーできるようにするためには、隙間領域54と遮光部14bとの間の距離、つまり第2のフィルム12と第3のフィルム20との間の距離を所定値以下にする必要がある。具体的には、第2のフィルム12と第3のフィルム20との間の距離を、200μm以下にすることが好ましく、100μm以下にすることが更に好ましい。
【0064】
(本発明に係る視野角制御部を有する表示装置の製造方法の実施形態の説明)
次に、図8を用いて、本発明に係る視野角制御部を有する表示装置の製造方法の1つの実施形態の説明を行なう。本実施形態では、一例として、タッチパネル部8及び視野角制御部4を有する(図3参照)の製造方法を示す。図8は、表示装置2の製造方法の各製造工程を模式的に示す断面図である。
【0065】
(a)被膜形成工程1
図8(a)に示すように、透明な樹脂材料からなる第1のフィルム10の一方の面に、蒸着により、ITOからなるタッチパネル用の電極層44を形成する被膜形成工程1を行なう。
なお、本実施形態では、下記の工程を含め、蒸着を用いて被膜(例えば、電極層、紫外線除去層、防水層)を形成しているが、これに限られるものではなく、スパッタリング、イオンプレーティングを始めとするその他の任意のコーティング手段を適用することができる。
【0066】
(b)被膜形成工程2
図8(b)に示すように、透明な樹脂材料からなる第2のフィルム12の一方の面に、蒸着により、順に、ベンゾトリアゾール系樹脂等からなる紫外線除去層28、 フッ素化樹脂等からなる防水層30、及びITO等からなる表示用の電極層22を形成する被膜形成工程2を行なう。ただし、これに限られるものではなく、紫外線除去層28及び防水層30は、任意の順番で積層することができる。
【0067】
(c)ルーバー層形成工程
図8(c)に示すように、透明材料からなる透光部14aと、所定のOD値を有する遮光部14bとからなるルーバー層14を形成するルーバー層形成工程を行なう。
更に詳細に述べれば、始めに、透光部と遮光部とを何層にも貼り合せ、それを貼り合せ面と垂直な方向にカットする。次に、カットした部材と、上下フィルムとを貼り合せることにより、ルーバー層14を形成する。
【0068】
(d)視野角制御部形成工程
上記の(a)被膜形成工程1、(b)被膜形成工程2、及び(c)ルーバー層形成工程を終了した後、図8(d)に示すように、第1のフィルム10の電極層44が形成されていない面と、第2のフィルム12の紫外線除去層28、防水層30、及び電極層22が形成されていない面との間に、ルーバー層14を挿入して接合して、視野角制御部4を形成する視野角制御部形成工程を行なう。
【0069】
(e)電極形成工程
図8(e)に示すように、樹脂材料またはガラス材料からなる第3のフィルム20の一方の面に、蒸着により、金属材料からなる個別電極26を形成する電極形成工程を行なう。また、図示されていないが、必要に応じて、第3のフィルム20のもう一方の面に、各個別電極26と電気的に繋がったTFTや配線を形成する。なお、隙間領域54は配線部(ゲートライン/ソースライン)として用いられる。
【0070】
(f)表示パネル部形成工程
上記の(d)視野角制御部形成工程、及び(e)電極形成工程を終了した後、図8(f)に示すように、第2のフィルム12に形成された表示用の電極層22と、第3のフィルム20に形成された個別電極26との間に、帯電粒子が収納された複数のカプセル24aを配置し、外側をシリコン材料からなる外枠部材56で囲って、表示パネル部6を形成する表示パネル部形成工程を行なう。
【0071】
(g)被膜形成工程3
図8(g)に示すように、透明な樹脂材料からなる第4のフィルム40の一方の面に、蒸着により、ITOからなるタッチパネル用の電極層40を形成する被膜形成工程3を行なう。
【0072】
(h)タッチパネル部形成工程
上記の(f)表示パネル部形成工程、及び(g)被膜形成工程3を終了した後、図8(h)に示すように、第4のフィルム40に形成されたタッチパネル用の電極層42と、視野角制御部4の第1のフィルム10に形成されたタッチパネル用の電極層44とが対向するように配置し、両フィルムの周囲領域にスペーサ46を配置して、両電極層42、44が所定の間隔をあけて対向配置されたタッチパネル部8を形成するタッチパネル部形成工程を行なう。
【0073】
以上の(a)〜(h)に示す工程により、タッチパネル及び視野角制御部を有する表示装置2を製造することができる。なお、(e)電極形成工程は、(f)表示パネル形成工程が開始される前であれば、任意のタイミングで実施することができ、(g)被膜形成工程3は、(h)タッチパネル部形成工程を開始する前であれば、任意のタイミングで実施することができる。
本実施形態では、視野角制御部4、表示パネル部6、タッチパネル部8の順に形成しているが、表示パネル部6及びタッチパネル部8を形成する順番を逆転することもできる。また、タッチパネル部8、視野角制御部4、表示パネル部6の順に形成したり、表示パネル部6、視野角制御部4、タッチパネル部8の順に形成することもできる。
【0074】
なお、タッチパネル部8を備えない視野角制御部を有する表示装置2(図1参照)を製造する場合には、上記の(a)被膜形成工程1、(g)被膜形成工程3、及び(h)タッチパネル部形成工程を省略することで実現できる。
【0075】
<本実施形態と従来例との比較>
図8に示す製造方法の実施形態と、図4に示すような従来の表示装置の製造方法とを比較すると、図8に示す実施形態では、以下のような特徴がある。
従来のタッチパネル及び視野角制御シートを有する表示装置を製造するには、まず、単体で製品として流通可能なタッチパネル108と、視野角制御シート104と、紫外線除去/防水基板150と、表示パネル106とを、個々に製造する必要がある。そして、両面粘着テープ164を用いて、タッチパネル108と視野角制御シート104とを貼り合わせ、両面粘着テープ160を用いて、視野角制御シート104と紫外線除去/防水基板150とを貼り合わせ、更に、両面粘着テープ162を用いて、紫外線除去/防水基板150と表示パネル106とを貼り合わせる必要がある。
【0076】
一方、本実施形態においては、製造を要する部品点数が、従来よりも削減でき(例えば、図4に示すフィルム148、152、154、両面粘着テープ164、160、162を削除可能)、これに応じて、各製造工程を削減することができる。従って、本実施形態では、従来に比べて、材料費及び作業工数を削減することができるので、タッチパネルを有する表示装置2の製造コストを低減することができる。
【0077】
(本発明に係るその他の実施形態の説明)
本発明の視野角制御部を有する表示装置、及びその製造方法の実施形態は、上記の実施形態に限られるものではなく、その他の様々な実施形態が本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の視野角制御部を有する表示装置の1つの実施形態の構造を模式的に示す断面図である。
【図2】従来の視野角制御シートを有する表示装置の一例の構造を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明のタッチパネル部及び視野角制御部を有する表示装置の1つの実施形態の構造を模式的に示す断面図である。
【図4】従来のタッチパネル及び視野角制御シートを有する表示装置の一例の構造を模式的に示す断面図である。
【図5】帯電粒子が収納されたカプセルを用いた画像の表示方法を模式的に示す図である。
【図6】ルーバー層の遮光部(透光部)及び個別電極の間の隙間領域の好ましい配置を模式意的に示す断面図である。
【図7】ルーバー層の遮光部(透光部)及びカラーフィルタのブラックマトリックス領域の好ましい配置を模式意的に示す断面図である。
【図8】本発明のタッチパネル部及び視野角制御部を有する表示装置の製造方法の実施形態の各製造工程を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0079】
2 表示装置
4 視野角制御部
6 表示パネル部
8 タッチパネル部
10 第1のフィルム(第1の板状部材)
12 第2のフィルム(第2の板状部材)
14 ルーバー層
14a 透光部
14b 遮光部
20 第3のフィルム(第3の板状部材)
22 表示用の電極層
24 表示層
24a カプセル
26 個別電極
28 紫外線除去層
30 防水層
40 第4のフィルム(第4の板状部材)
42 タッチパネル用の電極層
44 タッチパネル用の電極層
46 スペーサ
50 黒色の帯電粒子
52 白色の帯電粒子
54 隙間領域
56 外枠部材
60 カラーフィルタ
62 ブラックマトリックス領域
102 表示装置
104 視野角制御シート
106 表示パネル
108 タッチパネル
110 透明フィルム
112 透明フィルム
114 ルーバー層
120 背面基板
124 表示層
124a カプセル
126 個別電極
128 紫外線除去層
130 防水層
140 透明フィルム
142 タッチパネル用の電極層
144 タッチパネル用の電極層
146 スペーサ
148 透明フィルム
150 紫外線除去/防水基板
152 透明フィルム
154 透明フィルム
160、162、164 両面粘着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の板状部材と第2の板状部材との間に、透光部と遮光部とを有するルーバー層が設けられた視野角制御部と、
前記第2の板状部材と、前記第2の板状部材の前記ルーバー層が設けられない面側に形成された電極層と、前記第1及び第2の板状部材と異なる第3の板状部材と、該電極層と該第3の板状部材との間に配置された帯電粒子を含む表示層と、を含む表示パネル部と、
を備えたことを特徴とする視野角制御部を有する表示装置。
【請求項2】
前記視野角制御部及び前記表示パネル部において、その厚み方向と直交する縦横寸法が略同一であることを特徴とする請求項1に記載の視野角制御部を有する表示装置。
【請求項3】
前記第3の板状部材に各画素領域または複数の画素領域に対応した個別電極が設けられ、隣接する前記個別電極の間の隙間領域の位置が、前記ルーバー層の前記遮光部の位置と一致することを特徴とする請求項1または2に記載の視野角制御部を有する表示装置。
【請求項4】
前記第2の板状部材の前記ルーバー部材が取り付けられない面と前記電極層との間に、更に各色のフィルタ領域の間にブラックマトリックス領域が配置されたカラーフィルタ層が形成され、前記ブラックマトリックス領域の位置が、前記ルーバー層の前記遮光部の位置に一致することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の視野角制御部を有する表示装置。
【請求項5】
前記ルーバー層の前記遮光部の幅寸法が、前記隙間領域の幅寸法または前記ブラックマトリックス領域の幅寸法以上であることを特徴とする請求項3または4に記載の視野角制御部を有する表示装置。
【請求項6】
前記第2の板状部材と前記第3の板状部材との間の距離が200μm以下であることを特徴とする請求項3から5の何れか1項に記載の視野角制御層を備えた視野角制御部を有する表示装置。
【請求項7】
前記第2の板状部材の前記ルーバー層が設けられない面と前記電極層との間に、更に紫外線除去層及び/または防水層が形成されることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の視野角制御部を有する表示装置。
【請求項8】
前記第1の板状部材と、
前記第1の板状部材の前記ルーバー層が設けられない面に形成されたタッチパネル用の第1の電極層と、
片側の面にタッチパネル用の第2の電極層が形成され、該タッチパネル用の第2の電極層が所定の間隔をあけて前記タッチパネル用の第1の電極層に対向するように配置された第4の板状部材と、
を含むタッチパネル部を更に備えたことを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の視野角制御部を有する表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−39090(P2010−39090A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200366(P2008−200366)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】