説明

親水性ポリウレタン−ポリ尿素分散体

本発明は、新規親水性ポリウレタンプレポリマーおよびそれらのポリウレタン-ポリ尿素(PUR)水性分散体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規親水性ポリウレタンプレポリマーおよびそれらのポリウレタン-ポリ尿素(PU)水性分散体に関する。
【背景技術】
【0002】
基材の被覆において、溶媒媒介結合剤は、ますます、水性の環境に優しい系に取って代わられている。増大する役割は、優れた特性のため、特にポリウレタン-ポリ尿素分散体に基づく結合剤が担っている。
【0003】
多くの領域において、いわゆる後架橋性PU分散体が使用されている。これらの系の架橋機構は、イソシアネート反応性基と組み合わせた、ブロックトイソシアネート基に基づく。
【0004】
イソシアネート基の一時的保護のためのポリイソシアネートのブロッキングは、長く知られた作業方法であり、例えば、Houben Weyl、Methoden der organischen Chemie XIV/2、61〜70頁に記載されている。ブロックトポリイソシアネートを含んでなる硬化性組成物は、例えば、ポリウレタンラッカーにおいて使用されている。
【0005】
原理上適当なブロッキング剤の総説は、例えば、Wicksら、Progress in Organic Coatings、1975年、3巻、73〜79頁、1981年、9巻、3〜28頁および1999年、36巻、148〜172頁に見出される。
【0006】
ブロックトイソシアネート基を含有するポリウレタン分散体の製造は、文献、例えば独国特許公開DE-A 195 48 030に記載されている。
【0007】
先行技術の後架橋性ポリウレタン分散体を使用する場合の欠点は、脱ブロッキングおよび架橋後、ブロッキング剤の特定の画分は、得られる被覆フィルム中にモノマーとして残留し、その品質に悪影響を与えることである。一成分被覆フィルムの品質、例えば、耐スクラッチ性および酸安定性は、残留するブロッキング剤のために、二成分(2K)ポリウレタン被覆物の品質とは比較にならない(例えば、T. Engbert、E. Koenig、E. Juergens、Farbe & Lack、Curt R. Vincentz Verlag、ハノーバー10/1995)。
【0008】
この種の系は、90〜120℃の範囲において、鎖延長を伴って製造され、その結果、水系におけるこのような架橋は、分散体粒子の不安定化を伴ってのみ起こり得る。NCOプレポリマーを延長するおよび架橋する先行技術の方法は、イソシアネート官能性プレポリマーと、イソシアネート反応性成分の反応によって起こる。水性媒体内で、制御できないおよび再現性に乏しい水とイソシアネート基の反応が存在し、この反応は、より反応性のイソシアネートを使用すると、なおさら顕著になる。したがって、アミンによる鎖延長は、再現が困難であり、同一組成を有する反応混合物の場合でさえも、異なるpH値を有する分散体を導き得る。
【0009】
アセトン方法による分散体の製造において、反応性芳香族ジイソシアネートを使用することもできる。しかしながら、その方法では、その後に、面倒な第二の反応工程において、蒸留によって除去されなければならない、比較的多量のアセトンを使用することが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、先行技術からの既知の欠点を有しない、ポリウレタン水性分散体に容易に加工できる、新規親水性ポリウレタンプレポリマーを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ここで、活性化環状ケトンの親構造、特にシクロペンタノン-2-カルボキシエチルエステルの親構造を有するCH酸性化合物を使用して、排出生成物を含有せず、制御されたアミン鎖延長を水相で実施することを可能にする、親水性ポリウレタンプレポリマーを製造することができることが見出された。
【0012】
本発明は、式(I):
【0013】
【化1】

【0014】
〔式中、
およびRは、互いに独立して、H、C〜C20-(シクロ)アルキル基、C〜C24-アリール基、C〜C20-(シクロ)アルキルエステルまたはアミド基、C〜C24-アリールエステルまたはアミド基、1〜24個の炭素原子を有する混合脂肪族/芳香族基であるか、あるいは、これらは4〜8員環の部分であり得、および
Xは、電子求引性基であり、
nは、0〜5の整数である。〕
で示される構造単位と、
400〜6000の平均分子量範囲のポリマーポリオールの構造単位と
を有するポリマー骨格を含んでなり、
該ポリマー骨格は、イオン性または潜在的イオン性および/または非イオン的親水性化基を有する、親水性ポリウレタン(PU)プレポリマーを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の目的に関して、潜在的イオン性基は、イオン性基を形成し得る基である。
【0016】
同様に、本発明により、一般構造単位(II):
【0017】
【化2】

【0018】
〔式中、
およびRは、互いに独立して、H、C〜C20-(シクロ)アルキル基、C〜C24-アリール基、C〜C20-(シクロ)アルキルエステルまたはアミド基、C〜C24-アリールエステルまたはアミド基、1〜24個の炭素原子を有する混合脂肪族/芳香族基であるか、あるいは、これらは4〜8員環の部分であり得、
Xは、電子求引性基であり、
Zは、OH、ORまたはNRを示し、ここで
は、C〜C20-(シクロ)アルキル基、C〜C18-アルケニル基、C〜C-シクロアルケニル基、C〜C18-アルキニル基、C〜C24-アリール基、C〜C20-(シクロ)アルキルエステルまたはアミド基、C〜C24-アリールエステルまたはアミド基、C〜C12-ヘテロシクロアルキル基であり、これらは非置換であるか、またはNO、アミノ、シアノ、カルボキシル、エステル、ケトまたはアルデヒド基で置換され得、
/Rは、互いに独立して、H、C〜C20-(シクロ)アルキル基、C〜C18-アルケニル基、C〜C-シクロアルケニル基、C〜C18-アルキニル基、C〜C24-アリール基、C〜C20-(シクロ)アルキルエステルまたはアミド基、C〜C24-アリールエステルまたはアミド基、C〜C12-ヘテロシクロアルキル基であり、これらは非置換であるか、またはNO、アミノ、シアノ、カルボキシル、エステル、ケトまたはアルデヒド基で置換され得、ならびにRおよびRは、窒素原子と一緒になって、C〜C12-シクロアルキルまたはO、SまたはN原子を含有するC〜C13-ヘテロシクロアルキル基を形成し得る。〕
および/または一般構造単位(III):
【0019】
【化3】

【0020】
〔式中、
、RおよびXは、上記と同義であり、
Z’は、架橋酸素原子または架橋第二級もしくは第三級窒素原子を示し、および
nは、0〜5の整数である。〕
を含んでなるポリウレタン-ポリ尿素水性分散体が提供される。
【0021】
さらに、本発明は、本発明の親水性ポリウレタンプレポリマーの製造方法であって、
触媒の存在下、および、必要に応じてイソシアネート不活性有機溶媒の存在下、
A1)脂肪族的に、脂環族的に、芳香脂肪族的におよび/または芳香族的に結合したイソシアネート基を有する、少なくとも一つのポリイソシアネートを、
A2)400〜6000の平均分子量範囲のポリマーポリオールと、
A3)必要に応じて、400までの分子量範囲の、1〜4個の水酸基を有する、一以上の多価アルコールと、
A4)NCO反応性基を有する、少なくとも一つのイオン性および/または潜在的イオン性および/または非イオン性親水性化合物と、
A5)一般式(IV):
【0022】
【化4】

【0023】
〔式中、
Xは、電子求引性基であり、
およびRは、互いに独立して、H、C〜C20-(シクロ)アルキル基、C〜C24-アリール基、C〜C20-(シクロ)アルキルエステルまたはアミド基、C〜C24-アリールエステルまたはアミド基、1〜24個の炭素原子を有する混合脂肪族/芳香族基であるか、あるいは、これらは4〜8員環の部分であり得、
nは、0〜5の整数である。〕
で示される、少なくとも一つのCH酸性環状ケトンと、
A6)必要に応じて、400までの分子量範囲の、1〜4個のアミノ基を有する、一以上の脂肪族(脂環族)モノアミンもしくはポリアミンまたはアミノアルコールと
を反応させることを含み、
イソシアネート反応性基に対するイソシアネート基のモル比は0.5〜3、好適には0.95〜2、より好適には1.00〜1.8である、
ことを特徴とする、方法を提供する。
【0024】
本発明のポリウレタンプレポリマーは、好適には、10〜40重量%のA1)、30〜85重量%のA2)、0〜15重量%のA3)、1〜40重量%のA4)、0.1〜40重量%のA5)、および0.1〜15重量%のA6)を含有する。成分の合計は、100重量%である。
【0025】
本発明のポリウレタンプレポリマーは、より好適には、10〜30重量%のA1)、30〜80重量%のA2)、0〜12.5重量%のA3)、1〜35重量%のA4)、1〜30重量%のA5)、および0.5〜15重量%のA6)を含有する。成分の合計は、100重量%である。
【0026】
本発明のポリウレタンプレポリマーは、非常に好適には、15〜30重量%のA1)、30〜70重量%のA2)、0〜10重量%のA3)、1〜30重量%のA4)、5〜25重量%のA5)、および0.5〜10重量%のA6)を含有する。成分の合計は、100重量%である。
【0027】
同様に、本発明によって、ポリウレタン-ポリ尿素水性分散体の製造方法であって、式(I):
【0028】
【化5】

【0029】
〔式中、
およびRは、互いに独立して、H、C〜C20-(シクロ)アルキル基、C〜C24-アリール基、C〜C20-(シクロ)アルキルエステルまたはアミド基、C〜C24-アリールエステルまたはアミド基、1〜24個の炭素原子を有する混合脂肪族/芳香族基であるか、あるいは、これらは4〜8員環の部分であり得、および
Xは、電子求引性基であり、
nは、0〜5の整数である。〕
で示される構造単位と、
400〜6000の平均分子量範囲のポリマーポリオールの構造単位と
を有するポリマー骨格を含んでなり、
該ポリマー骨格は、イオン性または潜在的イオン性および/または非イオン的親水性化基を有する
PUプレポリマーを、水相に移し、および
イオン性または潜在的イオン性基の場合、これらを予めまたは同時に部分的にまたは完全に中和し、分散操作の前または後にアミン成分(A4)および/または(A6)による鎖延長を行うことを特徴とする、方法が提供される。
【0030】
本発明のPU分散体の固形分は、10〜70重量%の範囲を変動し得る。本発明のPU分散体は、好適には20〜60重量%、より好適には25〜50重量%の固形分を含有する。組成物全体中の有機溶媒の画分は、好適には15重量%未満、より好適には10重量%未満および非常に好適には5重量%未満である。
【0031】
分散体の組成は、アミン成分(A4)および/または(A6)による鎖延長が、PUプレポリマーの製造段階または水相中の分散体の製造段階において起こるか否かに関わらず、本発明のPUプレポリマーについて規定された組成物に対応する。
【0032】
適当なジイソシアネート(A1)は、原理上、脂肪族的に、脂環族的に、芳香脂肪族的に、および/または芳香族的に結合したイソシアネート基を有する分子量範囲140〜400のものであり、例えば、1,4-ジイソシアナトブタン、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,3-および1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3-および1,4-ビス-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、1-イソシアナト-1-メチル-4(3)イソシアナトメチルシクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン、1,3-および1,4-ビス(2-イソシアナトプロパ-2-イル)ベンゼン(TMXDI)、2,4-および2,6-ジイソシアナトトルエン(TDI)、2,4’-および4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5-ジイソシアナトナフタレンまたはこのようなジイソシアネートの任意の所望の混合物などである。好適には、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-ビス-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,4-および2,6-ジイソシアナトトルエン(TDI)、2,4’-および4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタンが挙げられる。特に好適には、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)および2,4-および2,6-ジイソシアナトトルエン(TDI)が挙げられる。
【0033】
また、比例的に、簡単な脂肪族、脂環族、芳香脂肪族および/または芳香族ジイソシアネートを変性することによって製造可能なポリイソシアネートA1)、例えば、J. Prakt. Chem. 336(1994)、185〜200頁に記載されているような、例えば少なくとも二つのジイソシアネートから構成され、ウレトジオン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有するポリイソシアネートなどを使用することができる。
【0034】
分子量範囲400〜6000のポリマーポリオールA2)は、少なくとも1.6〜4個のOH官能性を有する、ポリウレタンについて既に長い間使用されてきたような慣例のもの、例えば、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリラクトン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリアセタール、ポリオレフィンおよびポリシロキサンなどである。好適には、分子量範囲600〜2500の、1.8〜3、より好適には1.9〜2.1のOH官能価を有するポリオールが挙げられる。特に好適なポリオールは、ポリエステル-、ポリエーテル-およびポリカーボネート-ポリオールである。
【0035】
適当なヒドロキシル含有ポリカーボネートは、炭酸誘導体(例えば、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはホスゲン)とジオールを反応させることにより得られる。適当なこのようなジオールの例としては、エチレングリコール、1,2-および1,3-プロパンジオール、1,3-および1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAばかりでなく、ラクトン変性ジオールも挙げられる。ジオール成分は、好適には40〜100重量%のヘキサンジオール、好適には1,6-ヘキサンジオールおよび/またはヘキサンジオール誘導体、好適には末端OH基に加えてエーテル基またはエステル基を有するものを含有する。
【0036】
ヒドロキシルポリカーボネートは、直鎖状であるべきである。しかしながら、それらは、適切であれば、多官能性成分(特に低分子量ポリオール)の組み込みにより容易に分枝され得る。この目的に適当なものとして、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ヘキサン-1,2,6-トリオール、ブタン-1,2,4-トリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、およびソルビトール、メチルグリコシド、1,3,4,6-ジアンヒドロヘキシトールが挙げられる。
【0037】
適当なポリエーテルポリオールは、ポリウレタン化学において自体既知のポリテトラメチレングリコールポリエーテルであり、これは、例えば、カチオン性開環によるテトラヒドロフランの重合によって、製造され得る。
【0038】
さらに適当なポリエーテルポリオールは、ポリエーテル、例えば、スチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エチレンオキシドまたはエピクロロヒドリン、特にプロピレンオキシドからの出発分子を使用して製造されたポリオールなどである。A2)として適当なポリアルキレンオキシドポリエーテルは、30mol%未満のエチレンオキシド単位から構成される。
【0039】
適当なポリエステルポリオールの例としては、多価アルコール、好適には二価アルコールおよび必要に応じてさらに三価アルコールと、多塩基カルボン酸、好適には二塩基カルボン酸との反応生成物が挙げられる。また、遊離のポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物または対応する低級アルコールのポリカルボン酸エステルまたはそれらの混合物を使用してポリエステルを製造することもできる。ポリカルボン酸は、事実上脂肪族、脂環族、芳香族および/またはヘテロ環であり得、そして適切であるならば、例えばハロゲン原子によって置換され得、および/または非置換であり得る。
【0040】
成分A3)は、400までの分子量のモノ-、ジ-、トリ-および/またはテトラ-ヒドロキシ-官能性物質、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、異性体ヘキサントリオール、またはペンタエリスリトールなど、または、これらの化合物の混合物を含んでなる。
【0041】
好適な成分A3)の例は、
a)アルカンジオール、例えば、エタンジオール、1,2-および1,3-プロパンジオール、1,4-および2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,3-ジメチルプロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、
b)エーテルジオール、例えば、ジエチレンジグリコール、トリエチレングリコールまたはヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、
c)一般式(V)および(VI):
【0042】
【化6】

【0043】
〔式中、
Rは、互いに独立して、1〜10個の炭素原子、好適には2〜6個の炭素原子を有する、直鎖または分枝状の(シクロ-)アルキレンまたはアリーレン基である〕
で示されるエステルジオール、例えば、δ-ヒドロキシブチル-ε-ヒドロキシカプロン酸エステル、ω-ヒドロキシヘキシル-γ-ヒドロキシ酪酸エステル、アジピン酸(β-ヒドロキシエチル)エステルまたはテレフタル酸ビス(β-ヒドロキシエチル)エステルである。
【0044】
適当な成分A4)は、イソシアネート反応性基を有するイオン性または潜在的イオン性および/または非イオン性親水性化合物である。
【0045】
非イオン性親水性化合物A4)は、例えば、適当な出発分子をアルコキシル化することによって慣習的に得られるような一分子当たり平均して5〜70個、好適には7〜55個のエチレンオキシド単位を含有する一価ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールである(例えば、Ullmanns Encyclopaudie der technischen Chemie、第4版、第19巻、Verlag Chemie、ワインハイム、31〜38頁)。適当な出発分子の例としては、飽和モノアルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、異性体ペンタノール、ヘキサノール、オクタノールおよびノナノール、n-デカノール、n-ドデカノール、n-テトラデカノール、n-ヘキサデカノール、n-オクタデカノール、シクロヘキサノール、異性体メチルシクロヘキサノールまたはヒドロキシメチルシクロヘキサン、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンまたはテトラヒドロフルフリルアルコールが挙げられる。同様に、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノブチルエーテルなど;不飽和アルコール、例えばアリルアルコール、1,1-ジメチルアリルアルコールまたはオレイルアルコール、芳香族アルコール、例えばフェノール、異性体クレゾールまたはメトキシフェノール、芳香脂肪族アルコール、例えばベンジルアルコール、アニシルアルコールまたはシンナミルアルコール;第二級モノアミン、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ビス(2-エチルヘキシル)アミン、N-メチル-およびN-エチルシクロヘキシルアミンまたはジシクロヘキシルアミンならびにヘテロ環式第二級アミン、例えばモルホリン、ピロリジン、ピペリジンまたは1H-ピラゾールは、適当である。
【0046】
好適な出発分子は、飽和モノアルコールおよびジエチレングリコールモノアルキルエーテルである。特に好適には、出発分子としてジエチレングリコールモノブチルエーテルを使用することが挙げられる。
【0047】
アルコキシル化反応に適当なアルキレンオキシドは、特に、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドである。これらは、アルコキシル化反応において、順々に、あるいは混合物の状態のいずれかで使用され得る。
【0048】
ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールは、直鎖ポリエチレンオキシドポリエーテル、またはアルキレンオキシド単位の少なくとも30mol%、好適には少なくとも40mol%が、エチレンオキシド単位から構成される混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルのいずれかである。好適な非イオン性親水性化合物A4)は、少なくとも40mol%のエチレンオキシド単位および60mol%以下のプロピレンオキシド単位を含有する一官能性混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルである。
【0049】
非イオン性化合物に加えて、またはその代わりに使用され得る適当なイオン性または潜在的イオン性成分A4)は、例えば、モノ-およびジヒドロキシカルボン酸、モノ-およびジアミノカルボン酸、モノ-およびジヒドロキシスルホン酸、モノ-およびジアミノスルホン酸、およびモノ-およびジヒドロキシホスホン酸またはモノ-およびジアミノホスホン酸およびそれらの塩、例えばジメチロールプロピオン酸、ヒドロキシ-ピバリン酸、N-(2-アミノエチル)-β-アラニン、2-(2-アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸、エチレンジアミン-プロピル-または-ブチルスルホン酸、1,2-または1,3-プロピレンジアミン-β-エチル-スルホン酸、リジン、3,5-ジアミノ安息香酸、欧州特許公開EP-A 0 916 647の実施例1の親水性化剤、およびそれらのアルカリ金属塩および/またはアンモニウム塩である;亜硫酸水素ナトリウムのブタ-2-エン-1,4-ジオール付加物、ポリエーテルスルホネート、2-ブテンジオールおよびNaHSOのプロポキシル化付加物(例えば、独国特許公開DE-A 2 446 440、5〜9頁、式I〜III)、ならびにカチオン性基に変換され得る構造単位(例えば、N-メチルジエタノールアミン)は、親水性合成成分として使用される。さらに、例えば、国際公開WO 01/88006に記載されるようなCAPS(シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸)を成分A4)としてを使用することも可能である。
【0050】
好適なイオン性または潜在的イオン性化合物A4)は、カルボキシルまたはカルボキシレートおよび/またはスルホネート基および/またはアンモニウム基を有するものである。特に好適なイオン性化合物A4)は、イオン性または潜在的イオン性基としてスルホネート基および/またはカルボキシレート基を含有するもの、例えば、2-(2-アミノエチルアミノ)-エタンスルホン酸の塩、ジメチロールプロピオン酸の塩、および欧州特許公開EP-A 0 916 647の実施例1の親水性化剤の塩である。
【0051】
適当な成分A5)は、一般式(IV):
【0052】
【化7】

【0053】
〔式中、
Xは、電子求引性基であり、
およびRは、互いに独立して、H、C〜C20-(シクロ)アルキル基、C〜C24-アリール基、C〜C20-(シクロ)アルキルエステルまたはアミド基、C〜C24-アリールエステルまたはアミド基、1〜24個の炭素原子を有する混合脂肪族/芳香族基であるか、あるいは、これらは4〜8員環の部分であり得、
nは、0〜5の整数である。〕
で示されるCH酸性環状ケトンである。
【0054】
電子求引性基Xは、α-水素のCH酸性を導く任意の置換基であり得る。このような基の可能性のある例としては、エステル基、スルホキシド基、スルホン基、ニトロ基、ホスホネート基、ニトリル基、イソニトリル基またはカルボニル基が挙げられる。好適には、ニトリルおよびエステル基、特に好適にはメチルカルボキシレートおよびエチルカルボキシレート基が挙げられる。
【0055】
また、その環が必要に応じて、ヘテロ原子(例えば、酸素、硫黄または窒素原子)を含有する一般式(IV)で示される化合物も適当である。これに関して、好適には、ラクトンの構造パターンが挙げられる。
【0056】
式(IV)で示される活性化環系は、好適には5(n=1)および6(n=2)の環の大きさを有する。
【0057】
一般式(IV)で示される好適な化合物は、シクロペンタノン-2-カルボキシメチルエステルおよび-カルボキシエチルエステル、シクロペンタノン-2-カルボニトリル、シクロヘキサノン-2-カルボキシメチルエステルおよび-カルボキシエチルエステルまたはシクロペンタノン-2-カルボニルメタンである。好適には、シクロペンタノン-2-カルボキシメチルエステルおよび-カルボキシエチルエステル、ならびにシクロヘキサノン-2-カルボキシメチルエステルおよび-カルボキシエチルエステルが挙げられる。シクロペンタノン系は、アジピン酸ジメチルまたはアジピン酸ジエチルのディークマン縮合によって技術的に容易に得られる。シクロヘキサノン-2-カルボキシメチルエステルは、サリチル酸メチルを水素化することによって製造され得る。
【0058】
もちろん、これらのCH酸性ケトンの互いの混合物および/または他のブロッキング剤との混合物を使用することもできる。適当なさらなるブロッキング剤の例は、アルコール、ラクタム、オキシム、マロネート、アセト酢酸アルキル、トリアゾール、フェノール、イミダゾール、ピラゾール、およびアミン、例えば、ブタノンオキシム、ジイソプロピルアミン、1,2,4-トリアゾール、ジメチル-1,2,4-トリアゾール、イミダゾール、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセトンオキシム、3,5-ジメチルピラゾール、ε-カプロラクタム、N-メチル-、N-エチル-、N-(イソ)プロピル-、N-n-ブチル-、N-イソ-ブチル-、N-tert-ブチル-ベンジルアミンまたは1,1-ジメチルベンジルアミン、N-アルキル-N-1,1-ジメチルメチルフェニルアミン、ベンジルアミンの活性化二重結合を有する化合物(例えばマロネート)の付加物、N,N-ジメチルアミノプロピルベンジルアミン、および第三級アミノ基および/またはジベンジルアミンを含有する他の置換または非置換のベンジルアミン、またはこれらのブロッキング剤の任意の所望の混合物である。
【0059】
好適には、ブロッキング剤A5)として、シクロペンタノン-2-カルボキシメチルエステル、シクロペンタノン-2-カルボキシエチルエステル、およびシクロヘキサノン-2-カルボキシメチルエステルを使用することが挙げられる。特に好適なブロッキング剤A5)は、シクロペンタノン-2-カルボキシエチルエステルである。
【0060】
さらに、適当な成分A6)としては、イソシアネート反応性成分、例えば、モノ-、ジ-、トリ-、および/またはテトラ-アミノ-官能性物質、ならびに400までの分子量のアミノアルコール、例えばエチレンジアミン、1,2-および1,3-ジアミノプロパン、1,3-、1,4-および1,6-ジアミノヘキサン、1,3-ジアミノ-2,2-ジメチルプロパン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノエチルシクロヘキサン(IPDA)、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4-および2,6-ジアミノ-1-メチルシクロヘキサン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン、1,4-ビス-(2-アミノプロパ-2-イル)シクロヘキサン、ポリアミン、例えばエチレンジアミン、1,2-および1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンの異性体混合物、2-メチルペンタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,3-および1,4-キシリレンジアミン、α,α,α’,α’-テトラメチル-1,3-および-1,4-キシリレンジアミンおよび4,4-ジアミノジシクロヘキシルメタン、アミノエタノール、ジエタノールアミンまたはこれらの化合物の混合物が挙げられる。また、本発明の目的に適当なジアミンとしては、ヒドラジン、水和ヒドラジン、および置換ヒドラジン、例えばN-メチルヒドラジン、N,N’-ジメチルヒドラジンおよびそれらの同族体、ならびにアジピン酸、β-メチルアジピン酸、セバシン酸、ヒドロアクリル酸およびテレフタル酸の酸ジヒドラジド、セミカルバジド-アルキレンヒドラジド、例えばβ-セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド(例えば、独国特許公開DE-A 17 70 591)、例えば、セミカルバジドアルキレン-カルバジンエステル、例えば2-セミカルバジドエチル-カルバジンエステル(例えば、独国特許公開DE-A 19 18 504)または他のアミノセミカルバジド化合物、例えばβ-アミノエチルセミカルバジドカーボネート(例えば、独国特許公開DE-A 19 02 931)などが挙げられる。
【0061】
本発明のポリウレタンプレポリマーを製造するため、幾つかのまたは全ての第一級または第二級アミノ基を含有しない成分A1)〜A5)を反応器に充填し、適切であれば、この最初の充填物を、水混和性であるが、イソシアネート不活性の溶媒で希釈し、しかしながら、好適には溶媒なしで、次いで、該混合物を、比較的高温、好適には40〜140℃の範囲、より好適には40〜90℃の範囲で加熱することが通常である。
【0062】
好適には、ポリウレタン鎖の製造において、NCOプレポリマーを形成するための成分A5)は、好適には、A1)〜A4)の反応完了後に、触媒の存在下、反応混合物に添加される。
【0063】
本発明の方法において、成分A5)とイソシアネート基の反応のための適当な触媒は、例えば、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩基、粉末炭酸ナトリウム(ソーダ)などである。また、使用される環状ケトンに応じて、リン酸三ナトリウムまたはDABCO(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)を用いることもできる。同様に、第二遷移群の金属の炭酸塩が適当である。好適には、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムを使用することが挙げられる。あるいは、環状ケトンは、亜鉛塩触媒の存在下、イソシアネートと反応し得る。特に好適には、2-エチルヘキサン酸亜鉛または亜鉛アセチルアセトネートとの反応が挙げられる。
【0064】
0.05〜10重量%、好適には0.1〜3重量%の触媒が、本発明のPUプレポリマーの製造方法に添加される。特に好適には、0.2〜1重量%の触媒が添加される。
【0065】
大気圧下、または高められた圧力下、例えば、添加される任意の溶媒(例えば、アセトンなど)の沸点の気圧を超える圧力下、反応を実施することができる。
【0066】
適当な溶媒の例は、アセトン、ブタノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルおよび1-メチル-2-ピロリドンであり、これらは、製造の開始時ばかりでなく、適切であれば、幾分遅く添加され得る。好適には、アセトン、ブタノンおよび1-メチル-2-ピロリドンが挙げられる。
【0067】
本発明のポリウレタン-ポリ尿素分散体の製造において、イソシアネート付加反応を促進することで既知の触媒、例えば、トリエチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、スズジオクトアートまたはジブチルスズジラウレートは、最初の充填物に含有されるか、または後に計量供給され得る。好適には、ジブチルスズジラウレートが挙げられる。
【0068】
その後、適切であれば反応の開始時に添加されない、第一級または第二級アミノ基を含有しない成分A1)〜A5)を、計量供給する。ポリウレタンプレポリマーの製造において、イソシアネート反応性基に対するイソシアネート基のモル比は、0.90〜3、好適には0.95〜2、より好適には1.00〜1.8である。成分A1)とA2)〜A5)との反応は、第一級または第二級アミノ基を含有しないA2)〜A5)の最初の充填物画分のイソシアネート反応性基の総量に基づいて、部分的または完全に、好適には完全に行われる。反応の程度を、通常、反応混合物のNCO含量を追跡することによってモニターする。これは、採取した試料を、分光学的に測定(例えば、赤外スペクトルまたは近赤外スペクトル、屈折率の決定)するか、または化学的に分析(例えば、滴定)するかのいずれかによって行い得る。適切であれば、その段階にまで存在するイソシアネート基は、アミン成分A4)および/またはA6)と完全にまたは部分的に反応し得る。
【0069】
本発明のポリウレタンプレポリマーの本発明のPU分散体への変換は、先行技術から既知の全ての方法、例えば、乳化剤/剪断力、アセトン、プレポリマー混合、溶解乳化、ケチミンおよび固体自然分散方法またはそれらから派生した方法によって行うことができる。これらの方法は、Methoden der organischen Chemie(Houben-Weyl、第4版の補遺、第E20巻、H. BartlおよびJ. Falbe、シュトゥットガルト、ニューヨーク、Thieme、1987年、1671〜1682頁)に編集されている。好適には、溶解乳化、プレポリマー混合、およびアセトン方法が挙げられる。
【0070】
本発明のポリウレタンプレポリマー中の構造単位(I)は、水性媒体中で鎖延長を行うことを可能にする。したがって、本発明のPUプレポリマーの製造において、非常に反応性のポリイソシアネート、例えば、芳香族ポリイソシアネートおよび/または1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートでさえも使用され得る。次いで、この場合、溶解乳化またはプレポリマー混合方法の条件下で、分散体を製造することができる。
【0071】
ポリウレタン-ポリ尿素分散体の製造に関して、出発分子において行われない場合、塩は、A1)〜A5)からの本発明のPUプレポリマーの製造の後または間、アニオン的におよび/またはカチオン的に分散する基の全てまたは幾つかから形成される。アニオン性基の場合、これは、塩基、例えばアンモニア、炭酸アンモニウムまたは炭酸水素アンモニウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化カリウムまたは炭酸ナトリウム、好適にはトリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンまたはジイソプロピルエチルアミンを使用することで行われる。使用される塩基のモル量は、アニオン性基の中和度によって定められる。アニオン性基の中和度は、50%と120%の間、好適には60%と100%の間である。カチオン性基の場合、硫酸ジメチル、リン酸またはコハク酸が用いられる。エーテル基を有する非イオン性親水性化化合物A4)のみが使用される場合、中和工程は省略される。また、予め中和剤を含有する分散水によって、中和は分散と同時に行われ得る。
【0072】
任意の残留イソシアネート基および式(I)で示される基は、アミン成分A4)および/またはA6)との反応によって、完全にまたは部分的に反応する。この鎖延長は、分散前の溶媒中か、分散後の水中のいずれかで行われ得る。アミン成分A4)が存在する場合、鎖延長は、好適には、分散前に行われる。
【0073】
アミン成分A4)および/またはアミン成分A6)は、有機溶媒および/または水で希釈して反応混合物中に添加され得る。70〜95重量%の溶媒および/または水で使用することが好適である。二以上のアミン成分が存在する場合、反応は、任意の順序で継続的に、または混合物の添加によって同時に行い得る。
【0074】
本発明のポリウレタン-ポリ尿素分散体を製造する目的で、本発明のポリウレタンプレポリマーは、適切であれば、強い剪断力、例えば、激しい攪拌などと共に、分散水中に導入されるか、あるいは、反対に、分散水がプレポリマー中に攪拌混合される。その後、予め均質相の状態が生じていない場合、プレポリマー中に存在する任意のイソシアネート基および式(I)で示される基と、鎖延長剤A4)および/またはA6)との反応によって、モル質量は増加される。使用されるポリアミンA6)の量は、未だ存在する未反応イソシアネート基、および式(I)で示される基の量に依存する。好適には、イソシアネート基のモル量の50〜100%、より好適には75〜95%、および適切であれば、式(I)に相当する基の10〜100%がポリアミンA6)と反応する。
【0075】
所望の場合、有機溶媒は、蒸留により除去され得る。分散体は、10〜70重量%、より好適には20〜60重量%の固形分を有する。
【0076】
最後に、本発明は、被覆物を製造する方法であって、本発明のポリウレタン分散体を、単独で、あるいは、硬化剤および/または、例えば結合剤、サイズ剤または被覆組成物として分散形態で存在する水分散性、乳化性または溶解性ポリマーと組み合わせて使用することを特徴とする、方法も提供する。
【0077】
分散形態の水に溶解性、乳化性または分散性のポリマーは、例えば、エポキシド基を有するか、有しないポリエステルポリマー、ポリウレタン、アクリルポリマー、ビニルポリマー(例えば、ポリ酢酸ビニル)、ポリウレタン分散体、ポリアクリレート分散体、ポリウレタン-ポリアクリレートハイブリット分散体、ポリビニルエーテルおよび/またはポリビニルエステル分散体、ポリスチレンおよび/またはポリアクリロニトリル分散体である。これらは、混合物でも、および、例えば、さらなるブロックトポリイソシアネートおよびアミノ架橋性樹脂(例えば、メラミン樹脂など)と組み合わせても使用され得る。当該樹脂の固形分は、好適には10〜100重量%、より好適には30〜100重量%である。
【0078】
本発明のポリウレタン分散体は、単独で、あるいは、さらなる水性結合剤、硬化剤または接着剤と組み合わせて、任意の所望の方法によって、例えば、適切な装置(例えば、スプレー塗布機またはローラー塗布機など)を用いて、適当な基材へ塗布され得る。適当な基材は、例えば、金属、木、ガラス、ガラス繊維、炭素繊維、石材、セラミック鉱物、コンクリート、多種多様な任意の硬質および軟質プラスチック、織および不織繊維製品、革、紙、硬質繊維、わら、および瀝青からなる群から選択される。また、これらは、適切であれば、被覆の前に、従来のように下塗りされ得る。好適な基材は、プラスチック、ガラス繊維、炭素繊維、金属、繊維製品および革である。
【0079】
本発明のPUプレポリマーばかりでなく、それらから製造可能なポリウレタン-ポリ尿素分散体は、ラッカー、サイズ剤または接着剤の製造に使用され得る。
【0080】
本発明は、本発明のポリウレタン分散体を含んでなる被覆組成物を提供する。
さらに、本発明は、本発明のPU分散体を含んでなる被覆組成物で被覆された基材を提供する。
【実施例】
【0081】
使用製品:
ポリオール1:OH価263mgKOH/gおよび平均分子量426を有する、プロピレンオキシドに基づく二官能性ポリエーテル(ポリエーテルスルホネート、Bayer Espania、S. A.、バルセロナ、ES);
ポリオール2:分子量1700g/mol、OH価66およびヘキサンジオールとネオペンチルグリコールとの重量比約1.6〜1を有する、アジピン酸、1,6-ヘキサンジオールおよびネオペンチルグリコールから形成されたポリエステル;
ポリオール3:アジピン酸および1,6-ヘキサンジオールに基づくポリエステル:OH価47mgKOH/g固体、分子量2387g/mol;
ポリオール4:平均分子量2250およびOH価25を有する、n-ブタノールから出発して製造された、エチレンオキシド/プロピレンオキシド(約85:15)に基づく一官能性ポリエーテル;
ポリオール5:OH-N=56のヘキサンジオールポリカーボネートジオール(Desmophen(登録商標)2020、Bayer AG、レーバークーゼン、独国);
ポリオール6:OH-N=56のポリプロピレンオキシドジオール(Desmophen(登録商標)3600、Bayer AG、レーバークーゼン、独国);
ポリオール7:OH-N=200のポリプロピレンオキシドジオール(Desmophen(登録商標)L400、Bayer AG、レーバークーゼン、独国);
ポリオール8:OH-N=56のポリプロピレンオキシドトリオール(Baygal(登録商標)70RE30、Bayer AG、レーバークーゼン、独国);
【0082】
ポリイソシアネート1:1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)(Desmodur(登録商標)I、Bayer AG、レーバークーゼン、独国);
ポリイソシアネート2:1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(Desmodur(登録商標)H、Bayer AG、レーバークーゼン、独国);
ポリイソシアネート3:4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(Desmodur(登録商標)W、Bayer AG、レーバークーゼン、独国);
ポリイソシアネート4:4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(Desmodur(登録商標)44M、Bayer AG、レーバークーゼン、独国);
ポリイソシアネート5:2,4-トリレンジイソシアネート(Desmodur(登録商標)T 100、Bayer AG、レーバークーゼン、独国);
【0083】
アミン1:アルキルアミン(Imprafix(登録商標)VP LS 2330、Bayer AG、レーバークーゼン、独国);
アミン2:45%濃度の2-(2-アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸のナトリウム塩の水溶液(AAS溶液、Bayer AG、レーバークーゼン、独国);
【0084】
平均粒度(APS)を、DIN ISO 13320-1にしたがって、レーザー相関分光法によって、Malvern Zetamaster 1000を使用して決定した。
【0085】
実施例1
環流冷却器を有する三口フラスコ(500ml)中、29.84gのポリオール3、8.71gのポリオール1および8.41gの1,6-ヘキサンジオールを溶融し、そして溶融物を110℃で1時間脱水した。次いで、80℃にて、22.54gのN-メチルピロリドン(NMP)を添加し、そして25.82gのポリイソシアネート5を、冷却しながら、一定の温度(80℃)で、30分間に渡って滴下した。続いて約10分間攪拌した後、NCO含量は、理論値3.88%の1/10未満に低下した。該混合物を50℃に冷却した。その後、0.073gの2-エチルヘキサン酸亜鉛を攪拌しながら添加し、そして13.76gのシクロペンタノン-2-カルボキシエチルエステル(156.2g/mol)を添加した。該混合物を、滴定によってNCO基がもはや検出できなくなるまで、攪拌しながら70℃で放置した(約3時間)。その後、40℃に加温した217.79gの水を、激しく攪拌しながら10分間に渡って該樹脂溶液に添加した(これは70℃の温度であった)。5分後、10gの水、1.05gの1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンおよび0.75gの水和ヒドラジン(50g/mol)からなる鎖延長溶液を、5分間に渡って分散体に添加した。30℃に冷却後、分散体をSeitz T5500 filterを通して濾過した。
APS(平均粒度)=122nm。
【0086】
実施例2
環流冷却器を有する三口フラスコ(500ml)中、29.84gのポリオール3、8.71gのポリオール1および8.41gの1,6-ヘキサンジオールを溶融し、そして溶融物を110℃で1時間脱水した。80℃にて22.54gのNMPを添加し、そして25.82gのポリイソシアネート5を一定の温度にてゆっくりと滴下した。発熱反応が生じた。約30分後、滴下を終えた。続いて、さらに10分間攪拌した後、NCO含量は、理論値3.88%の1/10未満に低下した。該混合物を50℃に冷却した。その後、0.073gの2-エチルヘキサン酸亜鉛を攪拌しながら添加し、そして13.76gのシクロペンタノン-2-カルボキシエチルエステル(156.2g/mol)を添加した。該混合物を、NCO含量がもはや検出できなくなるまで、攪拌しながら70℃に放置した(約3時間)。その後、217.79gの40℃に加温した水を、激しく攪拌しながら、10分間に渡って該樹脂溶液に添加した(これは70℃の温度であった)。5分後、10mlの水、0.63gの1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンおよび0.50gの水和ヒドラジンからなる鎖延長溶液を、該分散体に添加した。30℃に冷却後、該分散体をSeitz T5500 filterを通して濾過した。
APS=146nm。
【0087】
実施例3
環流冷却器を有する三口フラスコ(500ml)中、34.61gのポリオール3、7.84gのポリオール1および8.41gの1,6-ヘキサンジオールを溶融し、そして溶融物を110℃で1時間脱水した。80℃にて22.54gのNMPを添加し、そして24.27gのポリイソシアネートを滴下した。発熱反応が生じた。約30分後、滴下を終えた。続いて、さらに10分間攪拌した後、NCO含量は、理論値2.97%の1/10未満に低下した。該混合物を50℃に冷却した。その後、0.075gの2-エチルヘキサン酸亜鉛を攪拌しながら添加し、そして11.01gのシクロペンタノン-2-カルボキシエチルエステル(156.2g/mol)を添加した。該混合物を、NCO基の反応が完結するまで、攪拌しながら70℃に約3時間放置した。次いで、激しく攪拌しながら、217.79gの水(約40℃)を該樹脂に添加することによって、分散を行った。5分後、10mlの水および3.16gの1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンおよび0.60gの水和ヒドラジン(50g/mol)から構成される鎖延長溶液を用いて、延長を行った。30℃に冷却後、該分散体を、Seitz T5500 filterを通して濾過した。
APS=103nm。
【0088】
実施例4
環流冷却器を有する三口フラスコ(500ml)中、34.61gのポリオール3、7.84gのポリオール1および8.41gの1,6-ヘキサンジオールを溶融し、そして溶融物を110℃で1時間脱水した。80℃にて、22.54gのNMPを添加し、そして24.27gのポリイソシアネート5を滴下した。発熱反応が生じた。約30分後、滴下を終えた。続いて、さらに10分間攪拌した後、NCO含量は、理論値2.97%の1/10未満に低下した。該混合物を50℃に冷却した。その後、0.075gの2-エチルヘキサン酸亜鉛を攪拌しながら添加し、そして11.01gのシクロペンタノン-2-カルボキシエチルエステル(156.2g/mol)を添加した。該混合物を、NCO基がもはや検出されなくなるまで、攪拌しながら70℃に約3時間放置した。次いで、217.79gの加温した水(約40℃)を用いて、分散を行った。その後、10mlの水、2.38gの1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンおよび0.50gの水和ヒドラジン(50g/mol)から構成される鎖延長溶液を用いて、延長を行った。30℃に冷却後、該分散体を、Seitz T5500 filterを通して濾過した。
APS=115nm。
【0089】
実施例1〜4は、プレポリマー混合方法による、芳香族ポリウレタン分散体の直接的な製造を示す。
【0090】
実施例5
環流冷却器を有する三口フラスコ(500ml)中、34.61gのポリオール3、7.84gのポリオール1および8.41gの1,6-ヘキサンジオールを溶融し、そして溶融物を110℃で1時間脱水した。80℃にて、24.43gのNMPを添加し、そして30.97gのポリイソシアネート1を30分間に渡って滴下した。生じた発熱を冷却によって放散させた。続いて約14時間攪拌した後、NCO含量は、理論値2.77%の1/10未満に低下した。該混合物を50℃に冷却し、0.082gの2-エチルヘキサン酸亜鉛を攪拌しながら添加し、次いで10.93gのシクロペンタノン-2-カルボキシエチルエステル(156.2g/mol)を添加した。該混合物を、NCOが検出できなくなるまで70℃にて約16時間攪拌した。その後、234.44gの加温した水(40℃)を用いて、分散させた。5分後、10mlの水、3.14gの1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(116g/mol)および0.60g(0.024当量)の水和ヒドラジン(50g/mol)から構成される鎖延長溶液を用いて、延長を行った。30℃に冷却後、該分散体を、Seitz T5500 filterを通して濾過した。
APS=104nm。
【0091】
実施例6
環流冷却器を有する三口フラスコ(500ml)中、34.61gのポリオール3、7.84gのポリオール1および8.41gの1,6-ヘキサンジオールを溶融し、そして溶融物を110℃で1時間脱水した。80℃にて、24.43gのNMPを添加し、そして30.97gのポリイソシアネート1を、30分間に渡って滴下した。生じた発熱を冷却によって放散させた。続いて約14時間攪拌した後、NCO含量は、理論値2.77%の1/10未満に低下した。該混合物を50℃に冷却し、そして0.082gの2-エチルヘキサン酸亜鉛を攪拌し、次いで10.93gのシクロペンタノン-2-カルボキシエチルエステル(156.2g/mol)を添加した。該混合物を、NCOがもはや検出できなくなるまで、70℃で攪拌した(約16時間)。次いで、234.44gの40℃に加温した水を、激しく攪拌しながら、5分間で該樹脂に添加した。その後、10mlの水、2.40gの1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンおよび0.50gの水和ヒドラジン(50g/mol)から構成される鎖延長溶液を用いて、延長を行った。30℃に冷却後、該分散体を、Seitz T5500 filterを通して濾過した。
APS=102nm。
【0092】
実施例7
環流冷却器を有する三口フラスコ(500ml)中、34.61gのポリオール3、7.84gのポリオール1(212g/mol)および8.41gの1,6-ヘキサンジオールを溶融し、そして溶融物を110℃で1時間脱水した。80℃にて、24.43gのNMPを添加し、そして38.91gのポリイソシアネート3を30分間に渡って滴下した。続いて約72時間攪拌した後、NCO含量は、理論値3.24%未満に低下した。該混合物を50℃に冷却し、そして0.09gの2-エチルヘキサン酸亜鉛を攪拌しながら添加し、次いで、13.75gのシクロペンタノン-2-カルボキシエチルエステルを添加した。該混合物を、NCOがもはや検出できなくなるまで、70℃にて約30時間攪拌した。次いで、251.98gの40℃に加温した水を、激しく攪拌しながら5分間に渡って添加した。その後、10mlの水、3.95gの1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンおよび0.75gの水和ヒドラジン(50g/mol)から構成される鎖延長溶液を用いて、延長を行った。30℃に冷却後、分散体を、Seitz T5500 filterを通して濾過した。
APS=120nm。
【0093】
実施例8
環流冷却器を有する三口フラスコ(500ml)中、34.61gのポリオール3、7.84gのポリオール1および8.41gの1,6-ヘキサンジオールを溶融し、そして溶融物を110℃で1時間脱水した。80℃にて、24.43gのNMPを添加し、そして38.91gのポリイソシアネート3を、30分間に渡って滴下した。続いて約72時間攪拌した後、NCO含量は、理論値3.24%の1/10未満に低下した。該混合物を50℃に冷却し、そして0.09gの2-エチルヘキサン酸亜鉛を攪拌しながら添加し、次いで13.75gのシクロペンタノン-2-カルボキシエチルエステル(156.2g/mol)を添加した。該混合物を、NCO非含有が達成されるまで70℃で約30時間攪拌した。次いで、251.98gの40℃に加温した水を、激しく攪拌しながら添加した。その後、10mlの水、2.41gの1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンおよび0.51gの水和ヒドラジン(50g/mol)から構成される鎖延長溶液を5分間に渡って添加して、延長を行った。30℃に冷却後、該分散体を、Seitz T5500 filterを通して濾過した。
APS=116nm。
【0094】
実施例9
内部温度計および滴下漏斗を備えた四口フラスコ(1l)に、100℃にて、50.1gのポリオール3を、4.6gのDMPA(ジメチロールプロピオン酸、Perstorp Chemicals GmbH、アルンスベルク、独国)および14.1gの1,6-ヘキサンジオールと一緒に充填した。この最初の充填物を、5mbar未満の圧力下で1時間脱水した。その後、該装置を窒素で覆い、窒素雰囲気を反応期間を通じて維持した。反応混合物を、33.0gのNMP(N-メチルピロリドン)と混合し、そして85℃に加熱した。55.4gのポリイソシアネート1をこの混合物に添加した。該溶液のNCO値がわずかに3.90%未満に低下するまで、85℃にて、攪拌を続けた(反応時間約3時間)。得られたプレポリマーを65℃に冷却し、次いで0.151gの2-エチルヘキサン酸亜鉛をそれに添加した。次いで、23.2gのシクロペンタノン-2-カルボキシエチルエステル(156.2g/mol)を、反応温度が70℃を超えないように慎重に滴下した。該混合物を、NCO値がゼロになるまで70℃で攪拌し、その時点で、3.5gのトリエチルアミンを添加した。続いて10分間攪拌した後、該混合物を、207.9gの予め40℃に加温した水を添加することによって分散させた。該分散体を均質になるまで攪拌し、次いで3.5gの1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンおよび0.9gの水和ヒドラジン(当量50g/mol)の10%濃度の水溶液を、30分間に渡って滴下した。30℃に冷却後、該分散体を、Seitz T5500 filterを通して濾過した。
APS=211nm
【0095】
実施例10
263.5gのポリオール2および65.7gのポリオール1を四口フラスコに充填し、そしてこの最初の充填物を100℃にて、減圧下、1時間脱水した。165.4gのN-メチルピロリドンおよび62.9gのネオペンチルグリコールを、脱水した混合物に添加した。得られた混合物を、70℃にて均質化し、60℃に冷却し、そして206.4gのポリイソシアネート2と迅速に混合した。反応熱を利用して、該混合物を、理論上のNCO含量3.6%に達するまで80℃で攪拌した。次いで、50℃に冷却し、0.7gの亜鉛アセチルアセトネートを添加し、そして該混合物を5分間均質化した。その後、50℃にて、103.6gのシクロペンタノン-2-カルボキシエチルエステルを添加し、そして該混合物を、NCOがもはや検出できなくなるまで、65℃で攪拌した。750gの該樹脂溶融物を、激しく攪拌しながら、5分間に渡って、870gの40℃に加温した水に添加した。得られた微細分散体を混合温度にて5分間攪拌した後、2.2gのエチレンジアミン、4.3gの1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンおよび58.5gの水からなる水溶液を添加することによって、鎖延長を行った。アミンの添加の過程において、粒度の増加が観察された。2時間後、該分散体を室温に冷却し、濾過した。
APS:280nm
pH(10%濃度水溶液):6.6
粘度:52mPas
【0096】
実施例10は、安定性ポリウレタン分散体が、プレポリマー混合方法または逆のプレポリマー混合方法によって、1,6-ジイソシアナトヘキサンに基づく親水性化プレポリマーから直接的に製造され得ることを示す。
【0097】
実施例11
2000.0gのポリオール5、1200.0gのポリオール8および300.0gのポリオール4を、120℃、15mbarにて、1時間脱水した。90℃にて、744.0gのポリイソシアネート1を添加した。該混合物を、一定のイソシアネート含量3.3%が達成するまで、90〜100℃にて攪拌した。反応混合物を50℃に冷却し、そして250.0gのシクロペンタノン-2-カルボキシエチルエステルおよび5.0gのZn(2-エチル-)ヘキサノエートを添加した。6時間後、反応生成物を4000.0gのアセトンを用いて希釈し、そして40℃に冷却した。
【0098】
5分間に渡って、1molのアクリル酸と1molの1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミン)との付加生成物の30%濃度溶液(650.0g)と、次いで、400.0gの水中の71.0gのトリエチルアミンを添加した。アミン溶液の添加完了の15分後、7250.0gの脱イオン水を激しく攪拌しながら添加した。減圧下、アセトンを、液相温度40〜50℃にて留去した。
39.5重量%の固形分、pH=6.5および16秒のフロータイム(DIN 53 211に従う、4mmノズル)を有する微細分散体を得た。
【0099】
実施例12
800.0gのポリオール6、1100.0gのポリオール5、1100.0gのポリオール8および225.0gのポリオール4を、120℃、15mbarにて1時間脱水した。65℃にて、765.0gのポリイソシアネート4を添加した。該混合物を、一定のイソシアネート含量2.9%に達するまで、75〜85℃にて攪拌した。反応混合物を5000gのアセトンで希釈し、そして40℃に冷却した。235.0gのシクロペンタノン-2-カルボキシエチルエステルおよび5.0gのZn(2-エチル-)ヘキサノエートを該溶液に添加した。40〜50℃にて3時間後、反応生成物を、1molのアクリル酸と1molの1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミン)との付加生成物の30%濃度溶液(570.0g)と5分間に渡って混合した。その後、400.0gの水中の41.0gのトリエチルアミンを添加した。アミン溶液の添加完了の15分後、5150.0gの脱イオン水を激しく攪拌しながら添加した。減圧下、アセトンを、液相温度40〜50℃にて留去した。
44.5重量%の固形分、pH=6.9および55秒のフロータイム(DIN 53 211に従う、4mmノズル)を有する微細分散体を得た。
【0100】
実施例13
275.4gのポリオール2および12.2gのポリオール4を、120℃、15mbarにて1時間脱水した。65℃にて、31.0gのポリイソシアネート2および41.0gのポリイソシアネート1を添加した。該混合物を、一定のイソシアネート含量4.3%に達するまで、105℃にて攪拌した。反応混合物を、374.2gのアセトンで希釈し、そして50℃に冷却した。その後、4.5gの水和ヒドラジン、9.2gのイソホロンジアミンおよび79.8gのアセトンの溶液を、10分間に渡って計量供給した。5分間に渡って11.4gのアミン2を添加した後、攪拌を5分間続け、次いで、0.4gの2-エチルヘキサン酸亜鉛および27.8gのシクロペンタノン-2-カルボキシエチルエステルを添加した。続いて5分間攪拌した後、598.9gの脱イオン水を激しく攪拌しながら添加した。減圧下、アセトンを、液相温度40〜50℃にて留去した。
40.0重量%の固形分およびpH6.4を有する微細分散体を得た。
【0101】
実施例11〜13は、アセトン中のポリウレタン分散体に対する方法の適用性を示す。
【0102】
実施例14
126.9gのポリオール6、25.2gのポリオール7および85.1gのポリオール4を、120℃、15mbarにて、1時間脱水した。70℃にて、98.6gのポリイソシアネート3を添加した。該混合物を、100℃にて45分間攪拌した。65℃に冷却した後、5.1gのトリメチロールプロパン、0.25gの2-エチルヘキサン酸亜鉛および20.3gのシクロペンタノン-2-カルボキシエチルエステルを、一定のイソシアネート含量2.7%に達するまで、添加した。その後、反応混合物を60℃に冷却し、517.4gの脱イオン水を10分間に渡って添加することによって分散させた。1.7gの水和ヒドラジン、11.4gのイソホロンジアミンおよび175.9gの脱イオン水の溶液を2分間に渡って添加することによって、鎖延長を行った。
続いて、3時間攪拌した後、33.2重量%の固形分およびpH=5.51を有する微細分散体を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

〔式中、
およびRは、互いに独立して、H、C〜C20-(シクロ)アルキル基、C〜C24-アリール基、C〜C20-(シクロ)アルキルエステルまたはアミド基、C〜C24-アリールエステルまたはアミド基、1〜24個の炭素原子を有する混合脂肪族/芳香族基であるか、あるいは、これらは4〜8員環の部分であり得、および
Xは、電子求引性基であり、
nは、0〜5の整数である。〕
で示される構造単位と、
400〜6000の平均分子量範囲のポリマーポリオールの構造単位と
を有するポリマー骨格を含んでなり、
該ポリマー骨格は、イオン性または潜在的イオン性および/または非イオン的親水性化基を有する、親水性ポリウレタン(PU)プレポリマー。
【請求項2】
一般構造単位(II):
【化2】

〔式中、
およびRは、互いに独立して、H、C〜C20-(シクロ)アルキル基、C〜C24-アリール基、C〜C20-(シクロ)アルキルエステルまたはアミド基、C〜C24-アリールエステルまたはアミド基、1〜24個の炭素原子を有する混合脂肪族/芳香族基であるか、あるいは、これらは4〜8員環の部分であり得、
Xは、電子求引性基であり、
Zは、OH、ORまたはNRを示し、ここで
は、C〜C20-(シクロ)アルキル基、C〜C18-アルケニル基、C〜C-シクロアルケニル基、C〜C18-アルキニル基、C〜C24-アリール基、C〜C20-(シクロ)アルキルエステルまたはアミド基、C〜C24-アリールエステルまたはアミド基、C〜C12-ヘテロシクロアルキル基であり、これらは非置換であるか、またはNO、アミノ、シアノ、カルボキシル、エステル、ケトまたはアルデヒド基で置換され得、
/Rは、互いに独立して、H、C〜C20-(シクロ)アルキル基、C〜C18-アルケニル基、C〜C-シクロアルケニル基、C〜C18-アルキニル基、C〜C24-アリール基、C〜C20-(シクロ)アルキルエステルまたはアミド基、C〜C24-アリールエステルまたはアミド基、C〜C12-ヘテロシクロアルキル基であり、これらは非置換であるか、またはNO、アミノ、シアノ、カルボキシル、エステル、ケトまたはアルデヒド基で置換され得、ならびにRおよびRは、窒素原子と一緒になって、C〜C12-シクロアルキルまたはO、SまたはN原子を含有するC〜C13-ヘテロシクロアルキル基を形成し得る。〕
および/または一般構造単位(III):
【化3】

〔式中、
、RおよびXは、上記と同義であり、
Z’は、架橋酸素原子または架橋第二級もしくは第三級窒素原子を示し、および
nは、0〜5の整数である。〕
を含んでなる、ポリウレタン-ポリ尿素水性分散体。
【請求項3】
請求項1に記載の水分散性または水溶性ポリウレタンプレポリマーの製造方法であって、
触媒の存在下、および、必要に応じてイソシアネート不活性有機溶媒の存在下、
A1)脂肪族的に、脂環族的に、芳香脂肪族的におよび/または芳香族的に結合したイソシアネート基を有する、少なくとも一つのポリイソシアネートを、
A2)400〜6000の平均分子量範囲のポリマーポリオールと、
A3)必要に応じて、400までの分子量範囲の、1〜4個の水酸基を有する、一以上の多価アルコールと、
A4)NCO反応性基を有する、少なくとも一つのイオン性および/または潜在的イオン性および/または非イオン性親水性化合物と、
A5)一般式(IV):
【化4】

〔式中、
Xは、電子求引性基であり、
およびRは、互いに独立して、H、C〜C20-(シクロ)アルキル基、C〜C24-アリール基、C〜C20-(シクロ)アルキルエステルまたはアミド基、C〜C24-アリールエステルまたはアミド基、1〜24個の炭素原子を有する混合脂肪族/芳香族基であるか、あるいは、これらは4〜8員環の部分であり得、
nは、0〜5の整数である。〕
で示される、少なくとも一つのCH酸性環状ケトンと、
A6)必要に応じて、400までの分子量範囲の、1〜4個のアミノ基を有する、一以上の脂肪族(脂環族)モノアミンもしくはポリアミンまたはアミノアルコールと
を反応させることを含み、
イソシアネート反応性基に対するイソシアネート基のモル比は0.5〜3である、
ことを特徴とする、方法。
【請求項4】
ポリマーポリオール(A2)は、ポリエステル-、ポリエーテル-またはポリカーボネート-ポリオールであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ポリエーテルポリオールは、30mol%未満のエチレンオキシド単位から構成されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ポリウレタン-ポリ尿素水性分散体の製造方法であって、式(I):
【化5】

〔式中、
およびRは、互いに独立して、H、C〜C20-(シクロ)アルキル基、C〜C24-アリール基、C〜C20-(シクロ)アルキルエステルまたはアミド基、C〜C24-アリールエステルまたはアミド基、1〜24個の炭素原子を有する混合脂肪族/芳香族基であるか、あるいは、これらは4〜8員環の部分であり得、および
Xは、電子求引性基であり、
nは、0〜5の整数である。〕
で示される構造単位と、
400〜6000の平均分子量範囲のポリマーポリオールの構造単位と
を有するポリマー骨格を含んでなり、
該ポリマー骨格は、イオン性または潜在的イオン性および/または非イオン的親水性化基を有する、
PUプレポリマーを、水相に移し、および
イオン性または潜在的イオン性基の場合、これらを予めまたは同時に部分的にまたは完全に中和し、分散操作の前または後にアミン成分(A4)および/または(A6)による鎖延長を行うことを特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項2に記載のポリウレタン-ポリ尿素水性分散体を、単独でまたは硬化剤および/または水に溶解可能、乳化可能または分散可能なポリマーと組み合わせて分散形態で使用することを特徴とする、被覆物の製造方法。
【請求項8】
請求項2に記載のポリウレタン-ポリ尿素分散体を含んでなる、被覆組成物。
【請求項9】
請求項2に記載のポリウレタン-ポリ尿素分散体を含んでなる被覆組成物で被覆された基材。
【請求項10】
ラッカー、サイズ剤または接着剤を製造するための請求項1に記載のポリウレタンプレポリマーの使用。
【請求項11】
ラッカー、サイズ剤または接着剤を製造するための請求項2に記載のポリウレタン-ポリ尿素水性分散体の使用。

【公表番号】特表2006−510783(P2006−510783A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−562695(P2004−562695)
【出願日】平成15年12月6日(2003.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013815
【国際公開番号】WO2004/058846
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】