親環境性防汚剤
本発明はホンダワラから抽出した親環境性防汚剤に関し、更に詳しくは、環境に無害で、広範囲な汚損生物に対して防汚性を有し、自然から抽出することができるため既存の防汚性物質に比べて生産原価を節減することができ、TBTのような毒性防汚剤の使用により引き起こされていた海洋環境の汚染を効果的に防止することができる、ホンダワラから抽出した新規の防汚剤に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホンダワラから抽出した親環境性防汚剤に関し、更に詳しくは、環境に無害で、広範囲な汚損生物に対して防汚性を有し、自然から抽出することができるために既存の防汚性物質に比べて生産原価を節減することができ、TBTのような毒性防汚剤の使用により引き起こされていた海洋環境の汚染を効果的に防止することができる、ホンダワラから抽出した新規の防汚剤に関する。
【背景技術】
【0002】
防汚性物質とは、船舶の表面に海洋付着性物(微生物および動植物)が着生することを防止するために塗料と混合される物質を言う。着生とは、底生生物が人工または自然物体に付着、成長することを言う。底生生物が船舶の表面に付着すると摩擦力の増加をもたらし、船舶の速度の低下、腐食促進、そして、燃料使用の増加などにより、経済的損失が発生する。
【0003】
船底部分を6ヶ月間海水に露出させると、約150kg/m2の量の生物が底に付着することが知られている。また、大型船舶の場合、船体表面が着生生物の付着により0.1mm粗くなる度に、摩擦力が0.3〜1.0%増加することが報告されており、摩擦力の増加により船舶の速度は、約50%減少する。
【0004】
このような問題点を解決するために、トリブチルすず(以下、TBTと称す)のような有機すず化合物を防汚剤として頻繁に使用してきた。しかしながら、TBTは、海洋環境に悪影響を及ぼすという事実が明らかになったことで、UN傘下の国際海事機構(IMO)の海洋環境保護委員会(MEPC)では、有機すず化合物の危険性のため、船舶用防汚システムの規制決議を採択した。その結果、2003年1月1日から防汚剤として使用されてきたTBTの使用が全面禁止され、2008年には船舶からTBTを完全に除去しなければならないという規定が施行される。
【0005】
現在、有機すず化合物に代わって一般的に使用されている非すず系防汚物質は、大韓民国公開特許第2001−0099049号に開示されているように、亜酸化銅または亜鉛を含む。非すず系防汚剤は、海藻類である青海苔に対する防汚効果が不十分であるという技術的な問題点がある。また、亜酸化銅防汚剤は、海洋底質に蓄積され、環境に悪影響を及ぼすため、2006年〜2008年の間に使用が禁止されることが予想される。これに伴い、防汚効果が優秀であると同時に環境に無害な防汚剤の開発が急がれている。
【特許文献1】大韓民国公開特許第2001−0099049号
【特許文献2】大韓民国特許出願第95−15149号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明者は、前述した問題点を解決するために環境に無害で、卓越した防汚効果を有し、生産原価が安価である防汚剤の開発に対し研究した結果、ホンダワラから抽出された物質が卓越した防汚効果を有することを確認することで本発明を確認するに至った。
【0007】
従って、本発明の目的は、天然物質から抽出することにより生産原価が安価で、ホンダワラから抽出した親環境的な防汚剤を提供することである。
【0008】
また、本発明の別の目的は、ホンダワラから抽出した親環境的防汚塗料を提供することである。
【0009】
更に、本発明の別の目的は、ホンダワラから抽出した親環境的バイオサイド(biocide)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、一の観点においては、本発明は、ホンダワラ抽出物を有効成分として含有する防汚剤を提供する。
【0011】
また、別の観点においては、本発明は、ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、1−エイコサノール、1−ペンタデカノール、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジシクロヘキシル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、リノール酸メチルおよび6−ホルミル−3,4−デヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランからなる群から選択される、1または2またはそれを超える化合物が有効成分として含有された防汚剤を提供する。
【0012】
また、別の観点においては、本発明は、ホンダワラから抽出した防汚性を有する新規の6−ホルミル−3,4−ジヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピラン化合物、および、その製造方法を提供する。
【0013】
別の観点においては、本発明は、樹脂、溶剤、顔料、防汚性物質、および、その他添加剤とを具備する防汚塗料において、前記防汚性物質として、ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、1−エイコサノール、1−ペンタデカノール、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジシクロヘキシル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、リノール酸メチルおよび6−ホルミル−3,4−デヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランの中から選択される、1または2またはそれを超える化合物が混合されて使用される親環境性防汚塗料を提供する。
【0014】
また、前記ホンダワラ抽出物は、藻類抑制効果があるため、防汚剤だけでなくバイオサイドとしても使用が可能である。すなわち、これらの防汚剤とバイオサイドは、本発明の範囲内にある。
【0015】
以下より、本発明を更に詳細に示す。
【0016】
本発明は、ホンダワラから抽出した親環境性防汚剤に関し、更に詳しくは、環境に無害で、広範囲な汚損生物に対して防汚性を有し、自然から抽出することができるため、既存の防汚性物質に比べて生産原価が安価であり、TBTのような毒性防汚剤の使用により引き起こされていた海洋環境の汚染を効果的に防止することができる、ホンダワラから抽出した新規の防汚剤に関する。
【0017】
本発明者は、環境に無害な防汚塗料を開発するために多様な種類の海藻類と陸上植物に対して防汚性の試験を行った。海藻類は、韓国沿岸の日本海沿岸、太平洋海沿岸の数ヶ所の潮間帯に棲息する種と、潜水して採取した種を、分類して、同定して、陰干しし、そして、破砕機で粉砕し、粉末試料は、ガラス瓶に保管して必要の度に使用した。陸上植物は、韓国全土に棲息する陸上植物の中から2次代謝産物が防汚性を有する植物を採取し、分類、同定後、陰干しして破砕機で粉砕して抽出した。
【0018】
付着性海藻類に対する抽出物の付着防止効果は、代表的な付着性海藻類であるスジアオノリとアナアオサの胞子を利用して試験を行った。その試験を通して、多様な海藻類および陸上植物の中、ホンダワラの抽出物が、優れた防汚性を示した。
【0019】
本発明者は、多様な実験を通して、防汚性が優れたホンダワラの抽出物から防汚性を見せる物質が、ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、1−エイコサノール、1−ペンタデカノール、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジシクロヘキシル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、リノール酸メチルおよび6−ホルミル−3,4−デヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランであることが明らかになった。
【0020】
特に、本発明においては、フシスジモク(Sargassum confusum)から、新規のl6−ホロミル−3,4−デヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピラン化合物を発見した。この化合物は、フシスジモクの粉末をヘキサン、酢酸エチルまたはメタノールからなる群から選択された1種の溶媒で抽出した後、上層液のみを減圧濃縮して製造された。
【0021】
一方、防汚塗料は、通常、防汚性物質、樹脂、溶剤、顔料、その他添加剤等で構成され、防汚性を向上させるために、ブースターを添加することもできる。
【0022】
本発明の塗料は、前記防汚性物質を3〜40重量%、更に好ましくは、10〜30重量%含有する。その防汚性物質の量が、3重量%未満の場合には、防汚性が不足し、そして、その防汚性物質の量が、30重量%を超過する場合は、その他の組成成分との混合性、長期保管性などが低下する。
【0023】
本発明の防汚塗料に使用することのできる樹脂は、従来の防汚塗料に使用されていた全ての樹脂が使用される。その例としては、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂などのビニル系樹脂、ウレタン樹脂、塩化ゴム系樹脂、フタル酸樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂などの合成樹脂とロジンなどの天然樹脂を使用することができる。特に、アクリル樹脂を構成する成分の単量体の例としては、w−(N−イソチアゾロニル)アクリル酸アルキル、w−(N−イソチアゾロニル)メタクリル酸アルキル、w−(N−4−クロロイソチアゾロニル)アクリル酸アルキル、w−(N−4−クロロイソチアゾロニル)メタクリル酸アルキル、w−(N−5−クロロイソチアゾロニル)アクリル酸アルキル、w−(N−5−クロロイソチアゾロニル)メタクリル酸アルキル、w−(N−4,5−ジクロロイソチアゾロニル)アクリル酸アルキル、w−(N−4,5−ジクロロイソチアゾロニル)メタクリル酸アルキル、w−アクリル酸マレイミドアルキル、w−メタクリル酸マレイミドアルキル、w−2,3−アクリル酸マレイミドアルキル、w−2,3−メタクリル酸ジクロロマレイミドアルキル、w−マレイミドアルキルビニルエーテル、4−アクリル酸マレイミドアルキル、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、アクリル酸ヒドロキシルアルキル、アクリル酸アルコキシアルキル、アクリル酸フェノキシアルキル、w−(アセトアセトキシ)アルキルアクリレート、w−(アセトアセトキシ)アルキルアクリレート、w−(アセトアセトキシ)アルキルビニルエーテル、ビニルアセトアセトアセテート、N,N−アクリル酸ジアルキル、ビニルピリジン、ビニルピロリジン、4−ニトロフェニル−2−ビニルエチラート、2,4−アクリル酸ジニトロフェニル、2,4−メタクリル酸ジニトロフェニル、4−アクリル酸チオシアノフェニル、アクリル酸トリアルキルシリル、アクリル酸モノアルキルジフェニルシリル、アクリル酸ジクロロメチル、メタクリル酸クロロメチル、アクリル酸フェニルメチル、アクリル酸ジフェニルメチル、ジアクリル酸フェニルメチルメタ、アクリル酸トリアルキル亜鉛、メタクリル酸トリアルキル亜鉛、アクリル酸トリアリル亜鉛、メタクリル酸トリアリル亜鉛、アクリル酸トリアルキル銅、メタクリル酸トリアルキル銅、アクリル酸トリアリル銅、メタクリル酸トリアリル銅のような成分を含有する単量体を、1または2またはそれを超えるように含有する重合体である。この通常的な製造方法は、大韓民国特許出願第95−15149号に記載されている。この時、単量体の数平均分子量は、粘度、フィルム形成度および作業性において有利な1,500〜100,000が適当である。更に、合成樹脂と天然樹脂を併用することもできる。塗料中の樹脂含量は、2〜20重量%、好ましくは、5〜15重量%である。2重量%未満の場合には、塗料の付着性が低下し、そして、20重量%を超過する場合には、貯蔵性に問題が生じる。
【0024】
本発明の防汚塗料に使用される溶剤は、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのような炭化水素系、ケトン類溶剤および酢酸セロソルブなどであり、その使用量は、10〜30重量%が適切である。溶媒量が10重量%未満の場合には、粘度が非常に高くなり、溶媒量が30重量%を超過する場合には、塗膜に対する付着性および防汚性に問題が発生する。
【0025】
本発明の防汚塗料に使用される顔料としては、当業界において知られた多様な顔料を含む。例えば、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛などの金属酸化物と、有機顔料とを、単独または混合して使用する。前記顔料は、20〜40重量%内で使用することが好ましい。顔料が20重量%未満で使用される場合には、変色するという問題点があり、40重量%を超過する場合には、耐候性が低下するという問題点が発生する。
【0026】
塗料の防汚性を更に向上させる必要性がある場合、ブースターを使用することができる。その例としては、亜鉛ピリチオン、銅ピリチオン、リン酸ポリヘキサメチレングアンジン、2,4,5,6−テラクロロ−イソフタロニトリル、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1、1−ジメチル尿素、2−メチルチオ−4−テルブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン(2−methylthio−4−terbutylamino−6−cyclopropylamino−s−triazine)、エチレンビスジチオカルバミン酸亜鉛、エチレンビスジチオカルバミン酸マンガン、2−n−オクチル−4,5−ジクロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、3−ヨード−2−ブチルカルバミン酸プロピニル、ジヨードメチル−p−トリスルホン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロロプロピルアミノ−s−トリアジン、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、N−(フルオロジクロメチルチオ)−フタルイミド、N−ジクロロフルオロメチルチオ−N’,N’−ジメチル−N−p−トリルスルファミド、N,N−ジメチル−N’−フェニル−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛 、(2−ピリジルチオ−1−オキシド)銅、銀化合物を含む。これらの化合物は、1種、または、2以上の混合物として使用してもよい。そのブースターは、好ましくは、1〜7重量%、より好ましくは、2〜4重量%で使用される。そのブースターの量が、1重量%未満の場合には、防汚性の上昇効果が微々たるものであり、7重量%を超過する場合には、塗量の貯蔵安定性に問題が生じる。
【0027】
更に、本発明の塗料組成物は、多様な公知の添加剤を含有させることができる。添加剤の例としては、ポリアミドワックス、ベントナイトまたはポリエチレンワックスなどのような増粘剤を挙げることができる。これらの添加物は、好ましくは、1〜5重量%にて使用される。添加物の量が、5重量%を超過する場合は、粘度が非常に高くなってしまう。
【0028】
さらに、本発明によるホンダワラの抽出物、即ち、ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、1−エイコサノール、1−ペンタデカノール、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジシクロヘキシル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、リノール酸メチルおよび6−ホルミル−3,4−デヒドロ−2,8−デメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランの中から選択された1種以上の化合物は、藻類運動阻害活性を有するため、バイオサイドとしても使用が可能である。そのバイオサイドは、好ましくは、前記抽出物または化合物を有効成分として、バイオサイドの全重量に対して、0.1〜5重量%含有することができる。更に、前記有効成分の他に、バイオサイドは、界面活性剤、溶剤、イソチアゾロン系バイオサイドなども含有させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下より、本発明は、実施例によって更に詳しく説明される。しかしながら、本発明が、これらの実施例よって限定されるわけではないことは、当業者にとって明白である。
【実施例】
【0030】
(実施例1)試料採取および抽出
1)フシスジモクの抽出
フシスジモクを韓国の慶尚北道(Gyeongsangbuk-do)浦項(Pohang)(緯度36°経度129°30′)で採取し、その海藻から異物を除いた。そして、その海藻を洗浄し、陰干しした。抽出収率を高めるために、その陸上植物を、粉砕機を利用して粉末を作り、実験材料として使用した。ヘキサン10lに試料粉末1kgを添加して、24時間保管した後に抽出し、上層液のみを集めた。その抽出と、上層液の収集とを、3回反復し、そして、その上澄み液を共に混ぜ合わせ、37℃において減圧濃縮器を利用して1/10の体積に蒸発させた。その残留した材料を、0.22μmフィルターを介して濾過し、−20℃で保管して実験に使用した。
【0031】
有機溶媒に対する溶解度の確認
フシスジモクのヘキサン抽出物の有機溶媒に対する溶解度を確認するために、薄層クロマトグラフィー(TLC)(SIL G/U254、0.25mm layer with fluorescent indicator Machereynagel Co. 独)を利用して、ヘキサン、クロロホルム、塩化メチレン、酢酸エチル、エタノール、メタノールの溶解度を、UVランプ(UVGL-58、UV-254/366nm、UVP Inc. U.S.A)によって同定した(図1、2)。
【0032】
2)ホンダワラ類の抽出
生物由来の抽出物を対象にスジアオノリの胞子付着阻害効果の実験を行った。試料のメチルアルコール抽出物を、200μl/mlの濃度で付着阻害効果を実験した結果、ホンダワラ類(Sargassum sp.(139)、Sargassum sp.(365)、Sargassum sp.(383))の抽出物が、最も優れた胞子付着阻害効果を表した(表1a、1b)。
【0033】
【表1a】
【0034】
【表1b】
【0035】
(実施例2)フシスジモク抽出物の溶媒分画
シリカゲル(70〜230メッシュ)をヘキサンにおいてガラス管コラム(10cm×90cm、PTEE end plate付着)に充填した。その際、そのコラムは、試料の量に応じて、選択して使用し、シリカゲルの量は、試料量の50〜60倍にした。展開溶媒としては、ヘキサン、ヘキサン:酢酸エチル=95:5、ヘキサン:酢酸エチル=90:10、ヘキサン:酢酸エチル=85:15、ヘキサン:酢酸エチル=80:20、ヘキサン:酢酸エチル=70:30、ヘキサン:酢酸エチル=60:40、ヘキサン:酢酸エチル=50:50、酢酸エチル、酢酸エチル:メタノール=95:5、酢酸エチル:メタノール=90:10、酢酸エチル:メタノール=80:20とし、順番に5ml/minの流速で分取し、フシスジモク抽出物に対して実験を展開した。展開溶媒条件下で薄層クロマトグラフィーを行い、6個の分画(I〜VI)に分画した。
【0036】
【表2】
【0037】
分画(I〜VI)の汚損生物付着抑制効果は、代表的な付着海藻類の一つであるアナアオサを対象に実験を行った。アナアオサは江陵(Kangrung)近郊の鏡浦台(Kyongpodae)で採集した。その採取された海藻を実験室に運搬し、アナアオサのみを分類した。汚損生物を除去するために、超音波処理を1分間、3回繰り返し、そして、殺菌した海水できれいに洗浄した。その洗浄した藻を、1%ベタジンおよび2%trition X-100の混合溶液に、1分間沈置させて、簡単な滅菌処理後、半乾燥した。その半乾燥されたアナアオサを滅菌海水に入れ、80μmol m−2 s−1、20℃の培養器に入れて胞子放出を誘導した。
【0038】
準備したチューブに、10μlのジメチルスルホキシド(DMSO)を入れ、胞子が放出された海水を添加した。濃度別に500、1000、1500、2000、4000μl/mlでの胞子の運動性阻害効果を、顕微鏡(オリンパスCK-2)でX100の倍率で観察し、その結果を下記表3に表した。表3においては、胞子の運動性阻害効果が95%以上の場合は++++で、胞子の運動性阻害効果が95〜75%の場合は+++、75〜50%の場合は++で、50〜20%の場合は+で表し、胞子の運動性阻害効果が全くない場合は−で表した。各希釈濃度別の接種前に、海水内の胞子の運動状態を確認し、対照群と比較使用した。
【0039】
前記で分画された5個の分画(I〜VI)について、胞子の運動性阻害活性に対する試験をし、その結果を、下記表3に示した。表3において表される通り、分画IIIで強い活性を見せた。前記試験で活性の良かった分画IIIの2次シリカゲルコラムを実施した。この際、展開溶媒としては、ヘキサン、ヘキサン:酢酸エチル=95:5、ヘキサン:酢酸エチル=90:10、ヘキサン:酢酸エチル=85:15、ヘキサン:酢酸エチル=80:20、ヘキサン:酢酸エチル=70:30、ヘキサン:酢酸エチル=60:40、ヘキサン:酢酸エチル=50:50、酢酸エチル、酢酸エチル:メタノール=95:5、酢酸エチル:メタノール=90:10、酢酸エチル:メタノール=80:20とし、順番に3ml/minの流速で分取した。展開溶媒条件下で薄層クロマトグラフィーを行い、フシスジモクの8個の分画(A〜H)を対象に胞子運動性抑制活性実験を実施し、その結果を表4に示した。表4に表す通り、8個の分画全てが、強い活性を示した。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
(実施例3)フシスジモク抽出物の溶媒分画
シリカゲル(70〜230メッシュ)をヘキサン下でガラス管コラム(10cm×90cm、PTEE end plate付着)に充填した。その際、コラムは、試料の量に応じて選択して使用し、シリカゲルの量は、試料量の50〜60倍にした。展開溶媒としては、ヘキサン、ヘキサン:塩化メチレン=80:20、ヘキサン:塩化メチレン=60:40、ヘキサン:塩化メチレン=20:80、塩化メチレン、塩化メチレン:エタノール=80:20、塩化メチレン:エタノール=60:40、塩化メチレン:エタノール=40:60、塩化メチレン:エタノール=20:80、酢酸エチル、酢酸エチル:メタノール=90:10、酢酸エチル:メタノール=80:20、酢酸エチル:メタノール=70;30、酢酸エチル:メタノール=60:40、酢酸エチル:メタノール=50:50、メタノールとし、順番に10ml/minの流速で分取し、実施例2と同一の展開溶媒条件下で薄層クロマトグラフィーを行い、8個の分画(I〜VIII)に分画した。
【0043】
陸上植物と海藻類の抽出物の汚損生物の付着阻害効果は、代表的な軟性海藻類の一つであるアナアオサを対象にして試験を行った。アナアオサは、江陵(Kangrung)近郊の鏡浦台(Kyongpodae)で採集してた。その採取された海藻を実験室に運搬し、アナアオサのみを分類した。汚損生物を除去するために超音波処理を1分間、3回繰り返し、殺菌した海水できれいに洗浄した。そして、1%ベタジンおよび2%trition X-100の混合溶液に1分間沈置させて簡単な滅菌処理後、半乾燥した。
【0044】
半乾燥されたアナアオサを滅菌海水に入れ、80μmol m−2 s−1、20℃の培養器に入れて胞子放出を誘導した。
【0045】
準備したチューブに、10μlのジメチルスルホキシド(DMSO)を入れ、胞子が放出された海水を添加した。濃度別に125、250、500、1000、1500、2000、4000μg/mlでの胞子の運動性阻害効果を顕微鏡(オリンパスCK-2)でX100の倍率で観察し、その結果を下記表5に表した。胞子の運動性抑制が95%以上、即ち運動性が殆ど観察されない場合は++++で、胞子の運動性阻害効果が95〜75%の場合は+++、75〜50%の場合は++で、50〜20%の場合は+で、20%以下の場合は−で表した。
【0046】
【表5】
【0047】
表5に記載された通り、青海苔胞子の運動性に対する抑制活性テストの結果においては、4000(g/mlの濃度で、分画Vが最も強力な抑制活性を示した。
【0048】
分画Vを、ヘキサン:塩化メチレン:酢酸エチル(3:1:1)の混合溶媒において、Prep-TLC上で展開させ、5個の分画V−a、V−b、V−c、V−d、V−eに分画した。
【0049】
5個の各分画に対する胞子の運動性抑制効果をテストし、その結果を下記表6に示す。
【0050】
【表6】
【0051】
表6に記載された通り、青海苔胞子の運動性に対する抑制活性テストの結果においては、分画V−eが、250、500、1000、1500、2000、4000μg/mlで最も強力な活性を見せ、125μg/mlの濃度でも強い活性(+++)を表した。分画V−eは、有機溶媒(ヘキサン、酢酸エチル、メタノール)を使用して溶媒別に溶解度によって各3個の分画を得た。その3個の各分画について青海苔胞子の運動性抑制効果をテストし、その結果を下記表7に示す。
【0052】
【表7】
【0053】
表7に記載された通り、青海苔胞子の運動性に対する抑制活性テストの結果においては、溶解度によって分画された分画V−eでは、酢酸エチルの溶媒で溶出された分画が強い胞子の運動性抑制効果を表した。
【0054】
分画採取用高速液体クロマトグラフィー(Prep-HPLC)
分画V−eを酢酸エチル溶媒で分画した分画を分画採取用高速液体クロマトグラフィー C18逆相コラム(Microsorb、21.4mm×250mm)に適用し、80%メタノールと20%水の混合溶媒を使用して60分間、流速5ml/minで溶出させた。254nmでその溶出された分画の吸光度を測定し、各分画(K1〜K8)の分取を行った。その分取された8個の分画を、青海苔胞子の運動性に対する抑制活性効果についてテストし、その結果を下記表8に示す。その分取された8個の分画の生理活性検証を通して最も優れた胞子の運動性抑制活性を表した分画K7を、気体クロマトグラフィー/気体質量分光器(GC/MS)、高性能液体クロマトグラフィー/液体質量分光器(LC/MS)、核磁気共鳴スペクトル(NMR)を使用して物質構造分析の試料として使用した。
【0055】
【表8】
【0056】
高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)
生理活性物質の生理活性検証を通して優れた胞子の運動性抑制活性を表した分画K7またはPrep-HPLCにより分画された8個の分画を、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)C18逆相コラム(Microsorb、21.4mm×250mm、Cosmosil)に適用し、80%メタノールと20%水の混合溶媒を使用して60分間、1ml/minの流速で溶出させた。254nmで、その溶出された各分画の吸光度を測定して分取し、8個の分画を分析した。
【0057】
気体クロマトグラフィー質量測定スペクトル
HPLCから活性部分(メタノール濃度80%)のみを回収して乾燥させ、メタノールに溶かし、その溶液の1mgを気体クロマトグラフィー分析に使用した。気体クロマトグラフィーには、毛細管コラムであるHP−5(Hewlett-Packard、30cm×0.25mm×0.25μm)を使用し、移動相気体にはヘリウムを使用し、注入速度を0.6ml/minとし、分割注入法(1:50)を使用して分析した。コラム注入口の温度は230℃、コラムの初期温度は100℃とした。100℃の温度を2分間維持し、4℃/minの速度で150℃まで昇温させた。その後、3℃/minの速度で200℃まで、そのコラムを昇温させ、再び7℃/minの速度で250℃まで昇温させて、その温度にそのコラムを維持させた。その際、イオンソース(Ion source)の電子イオン化モード(electron ionization mode)にて、280℃で70eVを使用した(表9)。
【0058】
【表9】
【0059】
液体/気体クロマトグラフィー質量分析スペクトル(LC/GC MS)によって、分画V−e−K7の分子量を求め(図3、4)、その分画V−e−K7についてのGC−MSの分析結果は、以下のように、Rt:71.56min、分子イオン:M+ −342であった。
【0060】
(実施例3)ホンダワラ抽出物の溶媒の分画
特定ホンダワラ類(Sargassum sp.(139)、Sargassum sp.(365)、Sargassum sp.(383))の抽出物から青海苔の胞子に対する運動性抑制物質を探索するために、有機溶媒の分画を作った。
【0061】
海藻をヘキサン、メチルアルコール、そして、水を使用して各々抽出した。そのヘキサンとメチルアルコール抽出液を濾過し、その濾過液を30℃で減圧濃縮器を使用して濃縮した。その水抽出物は、凍結乾燥機を利用して凍結乾燥させた。
【0062】
各抽出物を生理活性についてテストし、その検証結果を下記表19に示した。青海苔胞子の運動性抑制活性検証結果においては、ヘキサン抽出物の場合、10,000μg/ml、7,500μg/mlそして、5,000μg/mlにて強力な抑制効果(95%以上の抑制:++++)、2,500μg/mlにて強い活性(95〜75%:+++)、1,250μg/mlにて中間活性(75%〜50%:++)を表した。
【0063】
メチルアルコール抽出物は、10,000μg/mlと75,000μg/mlとで強い活性(+++)を見せたが、1,250μg/mlでは活性を示さなかった。また、水抽出物は、10,000μg/mlおよび7,500(g/mlとで、中間活性(++)を、5,000(g/mlで、弱い活性(+)を示し、2,500(g/mlと1,250(g/mlとでは、活性を示さなかった。
【0064】
結果的に、ヘキサン抽出物で優れた効果が示され、この抽出物を防汚成分の分離および精製の試料として使用した。
【0065】
【表10】
【0066】
1次シリカゲルコラムクロマトグラフィー
シリカゲル(70〜230メッシュ)をヘキサン下で充填した。ヘキサン抽出物試料を適用し、ヘキサン(10)、ヘキサン:塩化メチレン(7.5:2.5)、ヘキサン:塩化メチレン(5:5)、ヘキサン:塩化メチレン(2.5:7.5)、塩化メチレン(10)、塩化メチレン:酢酸エチル(8:2)、塩化メチレン:酢酸エチル(6:4)、塩化メチレン:酢酸エチル(4:6)、塩化メチレン:酢酸エチル(2:8)、酢酸エチル(10)、酢酸エチル:メチルアルコール(9:1)、酢酸エチル:メチルアルコール(8:2)、酢酸エチル:メチルアルコール(7:3)、酢酸エチル:メチルアルコール(5:5)、メチルアルコール(10)を順番に、ヘキサンから塩化メチレンまで100ml、塩化メチレン:酢酸エチル(8:2)からメチルアルコールまでは300mlずつ、3ml/minの流速で溶出させた(表11)。
【0067】
【表11】
【0068】
その溶出液を、ヘキサン:塩化メチレン:酢酸エチル(3:1:1)の混合溶媒の条件下でTLCを行い、6個の分画に分画した。6個の分画(I〜VI)を対象に生理活性の検証を行い、その結果は表12の通りである。
【0069】
【表12】
【0070】
4,000(g/mlの濃度で分画Vが胞子の運動性に対する強力な活性(++++)を見せ、分画II、III、IVそしてVIでは強い活性(+++)を見せた。2,000(g/ml、1,500(g/mlで分画Vは強力な活性(++++)を示し、750(g/mlと250(g/mlではその活性が低下されたが、強い活性(+++)を維持した。結果的に、分画(I〜VI)のうち、活性が最も優れていた塩化メチレン:酢酸エチル(2:8)の範囲内の分画Vを2次シリカゲルコラムクロマトグラフィーを利用した防汚成分の分離および精製の試料として使用した。
【0071】
2次シリカゲルコラムクロマトグラフィー
シリカゲル(70〜230メッシュ)をヘキサン下で充填し、分画Vを試料として適用し、ヘキサン(10)、ヘキサン:塩化メチレン(9:1)、ヘキサン:塩化メチレン(8:2)、ヘキサン:塩化メチレン(7:3)、ヘキサン:塩化メチレン(6:4)、ヘキサン:塩化メチレン(5:5)、ヘキサン:塩化メチレン(4:6)、ヘキサン:塩化メチレン(3:7)、ヘキサン:塩化メチレン(2:8)、ヘキサン:塩化メチレン(1:9)、塩化メチレン(10)、塩化メチレン(metylene chloride):酢酸エチル(9:1)、塩化メチレン:酢酸エチル(8:2)、塩化メチレン:酢酸エチル(7:3)、塩化メチレン:酢酸エチル(6:4)、塩化メチレン:酢酸エチル(5:5)、塩化メチレン:酢酸エチル(4:6)、塩化メチレン:酢酸エチル(3:7)、塩化メチレン:酢酸エチル(2:8)、塩化メチレン:酢酸エチル(1:9)、酢酸エチル(10)、酢酸エチル:メチルアルコール(9:1)、酢酸エチル:メチルアルコール(8:2)、酢酸エチル:メチルアルコール(7:3)、酢酸エチル:メチルアルコール(6:4)、酢酸エチル:メチルアルコール(5:5)、メチルアルコール(10)を順番に、100mlずつ、3ml/minの流速で溶出させた後(表13)、各分画をヘキサン:塩化メチレン:酢酸エチル(3:1:1)の混合溶媒の条件下で、TLCにて確認し、6個の分画(VI−i〜VI−vi)を作った。その各分画に対するTLCダイアグラムを図5に、各分画についてのRf値を、表14に示す。その6個の分画を、胞子運動性に対する抑制活性についてテストし、その結果を表15に表す。
【0072】
【表13】
【0073】
【表14】
【0074】
【表15】
【0075】
その結果、分画V−iiiが最も優れた活性を示したため、この分画をPrep-TLCによる防汚成分の分離および精製の試料として使用した。
【0076】
2次シリカゲルコラムクロマトグラフィーを使用して有機溶媒の濃度勾配を実施して得た分画の生理活性試験を通して最も優れた活性を表す分画V−iiiを、ヘキサン:塩化メチレン:酢酸エチル(3:1:1)の混合溶媒を利用してPrep-TLC上で展開させ、3個の分画V−iii−a、V−iii−b、V−iii−cを各々分取した。
【0077】
各分画に対するTLCダイアグラムを図6に、各分画に対するRf値を表16に示す。青海苔胞子の運動性抑制効果を、下記表17に各々表示する。
【0078】
【表16】
【0079】
【表17】
【0080】
その結果、分画V−iii−aが希釈倍数の増加にも関わらず活性が持続されたため、Prep-HPLCを利用した防汚成分の分離および精製の試料として使用した。
【0081】
Prep-HPLC
Prep-TLCで分取した活性分画であるV−iii−aを、Prep-HPLC C18逆相コラム(microsorb、21.4×250mm)に適用した。その移動相は、60%アセトニトリルと40%水の混合溶媒を使用して120分間、流速20ml/minで溶出した。213nmで、その溶出した分画の吸光度を測定し、最高値を見せる6個の分画(K1〜K6)を分取した。
【0082】
Prep−TLCで分取した活性分画であるV−iii−aを、Prep−HPLCと分析用HPLCに適用して得たクロマトグラムは、図7に示され、Prep-HPLCを使用して分取した各分画(K1〜K6)の青海苔の胞子に対する運動性抑制活性試験結果は、表18に示される。
【0083】
【表18】
【0084】
その結果、その分取した6個の分画(K1〜K6)中、分画K4の青海苔胞子の運動性抑制効果が最も優れていた。
【0085】
(実施例3)フシスジモク由来の防汚性物質の確認
前記実施例2の分画A〜HのNMRを行い、防汚性物質を確認した。
【0086】
分画A〜Hに対する水素−NMRによる分析結果、分画Aはヘキサデカンとオクタデカンが結合された形態で、分画Bはエイコサン、分画Bは1−ペンタデカノール、分画Cは1−エイコサノール、分画Dは1−ペンタデカノール、分画Eはフタル酸ジブチル、分画Fはフタル酸ジオクチル、分画Gはフタル酸ジイソノニル、そして分画Hはフタル酸ジシクロヘキシルと判明した(図8〜14)。上記分画は、下記化学式の構造を有する。
【0087】
【化1】
【0088】
【化2】
【0089】
【化3】
【0090】
【化4】
【0091】
【化5】
【0092】
【化6】
【0093】
【化7】
【0094】
【化8】
【0095】
【化9】
【0096】
更に、前記実施例3の分画V−e−K7に対する水素−核磁気共鳴(1H NMR)スペクトルは、Bruker AC-200スペクトロメータ(500MHz)から得て、炭素−核磁気共鳴(13C NMR)スペクトルはBruker AC-800スペクトロメータ(800MHz)から得た(図15〜18および表19)。
【0097】
【表19】
【0098】
1H NMR(500MHz、CDCl3/TMS)スペクトルは5個の骨格が見られ、2個のメタ双(meta pairs)が芳香族陽子で連結されたδ6.52でペアを成す片方にまたペアを成しており、2個のオレフィン陽子δ6.35のペアを成す両側に3双の5.21を成し、4個のメチル陽子は各々の単一体としてδ1.63、1.67、2.06を成す。4個の分子のうち一つは、δ2.46であり、水素原子2個を含むベンゾピランの核(necleus)は、アリル位で(2.66の3双を成して作用する。
【0099】
また、単一体としての(9.30は、アルデヒド陽子を表し、(4.80は、広範囲にヒドロキシル陽子の位置を表し、D2Oと交換される。(1.25と2.14は、広範囲のメチル陽子の位置を表し、前記データは、混合物であるプレニル側鎖二重結合の一部分である14、15とジヒドロベンゾピランであることを表す。
【0100】
13C NMR(800MHz、CDCl3/TMS)スペクトルは、22個の炭素信号基(carbon signal)を表す。(195.68の信号(signal)は、アルデヒドを表し、オレフィン炭素は、(127.5、121.3、117.6と115.8により表され、単一体である(148.05と146.07は芳香核と2双のメタからなるアルデヒドを表す。これは、アルデヒドが側鎖であるということを提示することはできないが、芳香核であり、また、mass m/e 121の破片である。
【0101】
前記データを分析した結果、“2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2,8−ジメチル−2H−クロマン−6−オール”であると判明し、massによる部分的パターンを求めた(図19)。
【0102】
加えて、分画V−e−K7を赤外線吸収スペクトル(Fourier Infrared Spectrophotometer、Mattson、USA)KBrパレット法で測定した(CHO,Chong-Soo外、1987)。
【0103】
V−e−K7に対する赤外線分光スペクトルの分析結果(図14)は、v max(KBr)-3710,3669(-OH),2972,2933,2865(CH3,St),1680(=C=O,St),1597,1520そして1474cm−1(aromatic function)が得られた。その収集したデータを総合して分析した結果、フシスジモクから分離された防汚性物質は、下記化学式10のような構造を有する。
【0104】
【化10】
【0105】
(実施例8)ホンダワラ類由来の防汚性物質の確認
前記実施例4の分画K4を、GC−MS、LC−MSそしてNMRを利用した、物質構造分析の試料として使用した。
【0106】
分画K4のGC−MSの結果を、図21〜23に示し、NMRデータを図24〜26に示す。また、分画K4は、下記化学式11〜13の構造を有する。
【0107】
【化11】
【0108】
【化12】
【0109】
【化13】
【0110】
結論的に、防汚性が優れた特定のホンダワラ類(Sargass sp.(139、365、383))から分離、精製された新規の防汚物質は、脂肪酸であるパルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、リノール酸メチルであることが新たに明らかになった。
【0111】
(実施例7)安全性試験
ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、1−エイコサノール、1−ペンタデカノール、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジシクロヘキシルおよび6−ホロミル−3,4−ジヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランを、各々ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、水で希釈した。そして、その希釈液をマウス(群当り10匹)に各々10mg/kgを投与した。7日間観察したが、死亡するマウスはなかった。
【0112】
フタル酸メチルの物理的特性としては、以下のように、融点は32〜34℃、沸点は163〜164℃、密度は0.852である。マウスへの口腔毒性検査をこの化合物についてし、その結果、LD50>20mg/kgを示した。ウサギの目に刺激を与えた時、一時的な刺激現象があるだけであった。ヒトの皮膚を通して刺激を与えた時も、また、同様に非常に軽い刺激のみであった。水に対する毒性を検査するためにマスの一種であるブルーギル(Blugil)を試験した結果、LD50>1000ml/lであった。
【0113】
ステアリン酸メチルは、不透明な白色の結晶体で、融点は40〜42℃、沸点は181〜182℃である。その化合物は、吸入、摂取、皮膚吸収により有害であるが刺激は殆どない。すなわち、テスト結果では、LD50>17.2g/kgであった。
【0114】
リノール酸メチルの物理的特長は無色の液体で、融点が−35℃、沸点が192℃、密度が0.889である。
【0115】
(実施例8〜24)防汚塗料の製造
樹脂とロジンをキシレンと若干のメチルイソブチルケトンに完全に溶解させた。その溶液へ、顔料として酸化亜鉛および酸化鉄を添加し、サンドミルで2回分散させた。この混合物に、下記表20にて与えられる防汚性物質と増粘剤とを添加した。その結果得られる混合物を、高速攪拌器にて3500rpmで60分間攪拌した。そして、その残ったケトン類溶媒を添加して攪拌し、防汚塗料を製造した。
【0116】
【表20】
【0117】
(実施例25)ブースター添加塗料の製造
実施例13と同一の組成の混合物に、ブースターとしてピリチオン亜鉛を4重量部、添加し、防汚塗料を得た。ブースターの添加は、分散工程の前に行い、顔料と共に添加した。
【0118】
(実施例26)防汚性物質が混合された塗料の製造
実施例21と同様に製造するが、防汚性物質の半分をフタル酸ジオクチルに代替し、防汚塗料を製造した。
【0119】
(比較例1)
実施例13と同様に行うが、防汚性物質の含量を1重量部に変え、防汚塗料を得た。
【0120】
(比較例2)
実施例13と同様に行うが、防汚性物質の含量を1重量部に変え、防汚塗料を得た。
【0121】
(比較例3)
実施例19と同様に行うが、防汚性物質の含量を1重量部に変え、防汚塗料を得た。
【0122】
(試験例1)
KSD3501の圧延鋼板(300×300×3.2mm)にKSM5569法に従って製造した防汚塗料の試片を3枚ずつ準備し、タール/ビニル樹脂で防錆塗装をした。ここに、実施例5〜26および比較例1〜3により製造された防汚塗料を使用して、乾燥厚さが150μmとなるように、そのサンプルのそれぞれにスプレー塗装をした。
【0123】
その塗装されたパネルを相対湿度75%、25℃で1週間乾燥させ、そして、日本海において2M水深域に沈積させた。12ヶ月後にパネルを観察した。試料の上端から70mm降りた線、下端から30mm上がった線および左右両端から20mm内部の線の有効面積52,000mm2を基準に、3枚の試料の汚染面積の算術平均値を算出した。その算出された算術値を、5%の範囲で四捨五入し、その結果を下記表21に記載した。
【0124】
【表26】
【0125】
以上の結果から判るように、本発明の防汚塗料は、既存の有機スズ化合物を含む防汚塗料に比べて防汚性能が同等以上であることが分かる。
【0126】
(試験例2)
96−マルチウェルプレート(multi well plate)上に置かれたPAGSの濃度を、2倍連続希釈法によって希釈した液体培地に、104cfu/mlの微生物を接種した。その液体培地を30℃で48時間培養し、微生物の成長可否を濁度を基準に肉眼で判定する方法によりMICを測定した。そのテストにおいて使用した液体培地は、細菌については大腸菌群(Difco)である。その試験において使用した抗菌物質は、PAGS−1でありし、その結果を、下記表22に示す。
【0127】
(表22)微生物に対するPAGSのMIC値の測定データ
【産業上の利用可能性】
【0128】
上記から判るように、本発明によるホンダワラから抽出した親環境性防汚剤は、環境に無害であり、広範囲な対象生物に対して防汚性を有し、天然物から抽出するため、既存の防汚剤と比較して製造原価を相対的に減少させることができ、TBTのような毒性防汚剤の使用により引き起こされた海洋環境の汚染を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】図1は、フシスジモクのヘキサン抽出物の365nmでのTLCダイアグラムを示す。
【図2】図2は、フシスジモクのヘキサン抽出物の2454nmでのTLCダイアグラムを示す。
【図3】図3は、分画V−e−K7に対するHPLC分析結果を示す。
【図4】図4は、6−ホルミル−3,4−ジヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランのGC−Massスペクトルの分析結果を示す。
【図5】図5は、分画V−i〜V−viに対するTLCダイアグラムを示す。
【図6】図6は、分画V−iii−a〜V−iii−cに対するTLCダイアグラムを示す。
【図7】図7は、分画V−iii−aのHPLCクロマトグラムを示す。
【図8】図8は、実施例2の分画Aに対する1H NMRデータを示す。
【図9】図9は、実施例2の分画Bに対する1H NMRデータを示す。
【図10】図10は、実施例2の分画Cに対する1H NMRデータを示す。
【図11】図11は、実施例2の分画Dに対する1H NMRデータを示す。
【図12】図12は、実施例2の分画Eに対する1H NMRデータを示す。
【図13】図13は、実施例2の分画Fに対する1H NMRデータを示す。
【図14】図14は、実施例2の分画Gに対する1H NMRデータを示す。
【図15】図15は、6−ホルミル−3,4−ジヒドロ−2,8−デメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランの1H NMRスペクトルの分析結果を示す。
【図16】図16は、6−ホルミル−3,4−ジヒドロ−2,8−デメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランの1H NMRスペクトルの13C NMRスペクトルの分析結果を示す。
【図17】図17は、6−ホルミル−3,4−ジヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランの2次元のNMRスペクトルを示す。
【図18】図18は、6−ホルミル−3,4−ジヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランのHMBCの相関図を示す。
【図19】図19は、6−ホルミル−3,4−ジヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランの質量による部分的パターンの例示図を示す。
【図20】図20は、6−ホルミル−3,4−ジヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランのIRスペクトルの分析結果を示す。
【図21】図21は、実施例4の分画K4に対するGC−MSデータを示す。
【図22】図22は、図21と同一である。
【図23】図23は、図21と同一である。
【図24】図24は、実施例4の分画K4に対するNMRデータを示す。
【図25】図25は、図24と同一である。
【図26】図26は、図24と同一である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホンダワラから抽出した親環境性防汚剤に関し、更に詳しくは、環境に無害で、広範囲な汚損生物に対して防汚性を有し、自然から抽出することができるために既存の防汚性物質に比べて生産原価を節減することができ、TBTのような毒性防汚剤の使用により引き起こされていた海洋環境の汚染を効果的に防止することができる、ホンダワラから抽出した新規の防汚剤に関する。
【背景技術】
【0002】
防汚性物質とは、船舶の表面に海洋付着性物(微生物および動植物)が着生することを防止するために塗料と混合される物質を言う。着生とは、底生生物が人工または自然物体に付着、成長することを言う。底生生物が船舶の表面に付着すると摩擦力の増加をもたらし、船舶の速度の低下、腐食促進、そして、燃料使用の増加などにより、経済的損失が発生する。
【0003】
船底部分を6ヶ月間海水に露出させると、約150kg/m2の量の生物が底に付着することが知られている。また、大型船舶の場合、船体表面が着生生物の付着により0.1mm粗くなる度に、摩擦力が0.3〜1.0%増加することが報告されており、摩擦力の増加により船舶の速度は、約50%減少する。
【0004】
このような問題点を解決するために、トリブチルすず(以下、TBTと称す)のような有機すず化合物を防汚剤として頻繁に使用してきた。しかしながら、TBTは、海洋環境に悪影響を及ぼすという事実が明らかになったことで、UN傘下の国際海事機構(IMO)の海洋環境保護委員会(MEPC)では、有機すず化合物の危険性のため、船舶用防汚システムの規制決議を採択した。その結果、2003年1月1日から防汚剤として使用されてきたTBTの使用が全面禁止され、2008年には船舶からTBTを完全に除去しなければならないという規定が施行される。
【0005】
現在、有機すず化合物に代わって一般的に使用されている非すず系防汚物質は、大韓民国公開特許第2001−0099049号に開示されているように、亜酸化銅または亜鉛を含む。非すず系防汚剤は、海藻類である青海苔に対する防汚効果が不十分であるという技術的な問題点がある。また、亜酸化銅防汚剤は、海洋底質に蓄積され、環境に悪影響を及ぼすため、2006年〜2008年の間に使用が禁止されることが予想される。これに伴い、防汚効果が優秀であると同時に環境に無害な防汚剤の開発が急がれている。
【特許文献1】大韓民国公開特許第2001−0099049号
【特許文献2】大韓民国特許出願第95−15149号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明者は、前述した問題点を解決するために環境に無害で、卓越した防汚効果を有し、生産原価が安価である防汚剤の開発に対し研究した結果、ホンダワラから抽出された物質が卓越した防汚効果を有することを確認することで本発明を確認するに至った。
【0007】
従って、本発明の目的は、天然物質から抽出することにより生産原価が安価で、ホンダワラから抽出した親環境的な防汚剤を提供することである。
【0008】
また、本発明の別の目的は、ホンダワラから抽出した親環境的防汚塗料を提供することである。
【0009】
更に、本発明の別の目的は、ホンダワラから抽出した親環境的バイオサイド(biocide)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、一の観点においては、本発明は、ホンダワラ抽出物を有効成分として含有する防汚剤を提供する。
【0011】
また、別の観点においては、本発明は、ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、1−エイコサノール、1−ペンタデカノール、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジシクロヘキシル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、リノール酸メチルおよび6−ホルミル−3,4−デヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランからなる群から選択される、1または2またはそれを超える化合物が有効成分として含有された防汚剤を提供する。
【0012】
また、別の観点においては、本発明は、ホンダワラから抽出した防汚性を有する新規の6−ホルミル−3,4−ジヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピラン化合物、および、その製造方法を提供する。
【0013】
別の観点においては、本発明は、樹脂、溶剤、顔料、防汚性物質、および、その他添加剤とを具備する防汚塗料において、前記防汚性物質として、ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、1−エイコサノール、1−ペンタデカノール、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジシクロヘキシル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、リノール酸メチルおよび6−ホルミル−3,4−デヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランの中から選択される、1または2またはそれを超える化合物が混合されて使用される親環境性防汚塗料を提供する。
【0014】
また、前記ホンダワラ抽出物は、藻類抑制効果があるため、防汚剤だけでなくバイオサイドとしても使用が可能である。すなわち、これらの防汚剤とバイオサイドは、本発明の範囲内にある。
【0015】
以下より、本発明を更に詳細に示す。
【0016】
本発明は、ホンダワラから抽出した親環境性防汚剤に関し、更に詳しくは、環境に無害で、広範囲な汚損生物に対して防汚性を有し、自然から抽出することができるため、既存の防汚性物質に比べて生産原価が安価であり、TBTのような毒性防汚剤の使用により引き起こされていた海洋環境の汚染を効果的に防止することができる、ホンダワラから抽出した新規の防汚剤に関する。
【0017】
本発明者は、環境に無害な防汚塗料を開発するために多様な種類の海藻類と陸上植物に対して防汚性の試験を行った。海藻類は、韓国沿岸の日本海沿岸、太平洋海沿岸の数ヶ所の潮間帯に棲息する種と、潜水して採取した種を、分類して、同定して、陰干しし、そして、破砕機で粉砕し、粉末試料は、ガラス瓶に保管して必要の度に使用した。陸上植物は、韓国全土に棲息する陸上植物の中から2次代謝産物が防汚性を有する植物を採取し、分類、同定後、陰干しして破砕機で粉砕して抽出した。
【0018】
付着性海藻類に対する抽出物の付着防止効果は、代表的な付着性海藻類であるスジアオノリとアナアオサの胞子を利用して試験を行った。その試験を通して、多様な海藻類および陸上植物の中、ホンダワラの抽出物が、優れた防汚性を示した。
【0019】
本発明者は、多様な実験を通して、防汚性が優れたホンダワラの抽出物から防汚性を見せる物質が、ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、1−エイコサノール、1−ペンタデカノール、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジシクロヘキシル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、リノール酸メチルおよび6−ホルミル−3,4−デヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランであることが明らかになった。
【0020】
特に、本発明においては、フシスジモク(Sargassum confusum)から、新規のl6−ホロミル−3,4−デヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピラン化合物を発見した。この化合物は、フシスジモクの粉末をヘキサン、酢酸エチルまたはメタノールからなる群から選択された1種の溶媒で抽出した後、上層液のみを減圧濃縮して製造された。
【0021】
一方、防汚塗料は、通常、防汚性物質、樹脂、溶剤、顔料、その他添加剤等で構成され、防汚性を向上させるために、ブースターを添加することもできる。
【0022】
本発明の塗料は、前記防汚性物質を3〜40重量%、更に好ましくは、10〜30重量%含有する。その防汚性物質の量が、3重量%未満の場合には、防汚性が不足し、そして、その防汚性物質の量が、30重量%を超過する場合は、その他の組成成分との混合性、長期保管性などが低下する。
【0023】
本発明の防汚塗料に使用することのできる樹脂は、従来の防汚塗料に使用されていた全ての樹脂が使用される。その例としては、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂などのビニル系樹脂、ウレタン樹脂、塩化ゴム系樹脂、フタル酸樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂などの合成樹脂とロジンなどの天然樹脂を使用することができる。特に、アクリル樹脂を構成する成分の単量体の例としては、w−(N−イソチアゾロニル)アクリル酸アルキル、w−(N−イソチアゾロニル)メタクリル酸アルキル、w−(N−4−クロロイソチアゾロニル)アクリル酸アルキル、w−(N−4−クロロイソチアゾロニル)メタクリル酸アルキル、w−(N−5−クロロイソチアゾロニル)アクリル酸アルキル、w−(N−5−クロロイソチアゾロニル)メタクリル酸アルキル、w−(N−4,5−ジクロロイソチアゾロニル)アクリル酸アルキル、w−(N−4,5−ジクロロイソチアゾロニル)メタクリル酸アルキル、w−アクリル酸マレイミドアルキル、w−メタクリル酸マレイミドアルキル、w−2,3−アクリル酸マレイミドアルキル、w−2,3−メタクリル酸ジクロロマレイミドアルキル、w−マレイミドアルキルビニルエーテル、4−アクリル酸マレイミドアルキル、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、アクリル酸ヒドロキシルアルキル、アクリル酸アルコキシアルキル、アクリル酸フェノキシアルキル、w−(アセトアセトキシ)アルキルアクリレート、w−(アセトアセトキシ)アルキルアクリレート、w−(アセトアセトキシ)アルキルビニルエーテル、ビニルアセトアセトアセテート、N,N−アクリル酸ジアルキル、ビニルピリジン、ビニルピロリジン、4−ニトロフェニル−2−ビニルエチラート、2,4−アクリル酸ジニトロフェニル、2,4−メタクリル酸ジニトロフェニル、4−アクリル酸チオシアノフェニル、アクリル酸トリアルキルシリル、アクリル酸モノアルキルジフェニルシリル、アクリル酸ジクロロメチル、メタクリル酸クロロメチル、アクリル酸フェニルメチル、アクリル酸ジフェニルメチル、ジアクリル酸フェニルメチルメタ、アクリル酸トリアルキル亜鉛、メタクリル酸トリアルキル亜鉛、アクリル酸トリアリル亜鉛、メタクリル酸トリアリル亜鉛、アクリル酸トリアルキル銅、メタクリル酸トリアルキル銅、アクリル酸トリアリル銅、メタクリル酸トリアリル銅のような成分を含有する単量体を、1または2またはそれを超えるように含有する重合体である。この通常的な製造方法は、大韓民国特許出願第95−15149号に記載されている。この時、単量体の数平均分子量は、粘度、フィルム形成度および作業性において有利な1,500〜100,000が適当である。更に、合成樹脂と天然樹脂を併用することもできる。塗料中の樹脂含量は、2〜20重量%、好ましくは、5〜15重量%である。2重量%未満の場合には、塗料の付着性が低下し、そして、20重量%を超過する場合には、貯蔵性に問題が生じる。
【0024】
本発明の防汚塗料に使用される溶剤は、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのような炭化水素系、ケトン類溶剤および酢酸セロソルブなどであり、その使用量は、10〜30重量%が適切である。溶媒量が10重量%未満の場合には、粘度が非常に高くなり、溶媒量が30重量%を超過する場合には、塗膜に対する付着性および防汚性に問題が発生する。
【0025】
本発明の防汚塗料に使用される顔料としては、当業界において知られた多様な顔料を含む。例えば、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛などの金属酸化物と、有機顔料とを、単独または混合して使用する。前記顔料は、20〜40重量%内で使用することが好ましい。顔料が20重量%未満で使用される場合には、変色するという問題点があり、40重量%を超過する場合には、耐候性が低下するという問題点が発生する。
【0026】
塗料の防汚性を更に向上させる必要性がある場合、ブースターを使用することができる。その例としては、亜鉛ピリチオン、銅ピリチオン、リン酸ポリヘキサメチレングアンジン、2,4,5,6−テラクロロ−イソフタロニトリル、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1、1−ジメチル尿素、2−メチルチオ−4−テルブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン(2−methylthio−4−terbutylamino−6−cyclopropylamino−s−triazine)、エチレンビスジチオカルバミン酸亜鉛、エチレンビスジチオカルバミン酸マンガン、2−n−オクチル−4,5−ジクロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、3−ヨード−2−ブチルカルバミン酸プロピニル、ジヨードメチル−p−トリスルホン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロロプロピルアミノ−s−トリアジン、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、N−(フルオロジクロメチルチオ)−フタルイミド、N−ジクロロフルオロメチルチオ−N’,N’−ジメチル−N−p−トリルスルファミド、N,N−ジメチル−N’−フェニル−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛 、(2−ピリジルチオ−1−オキシド)銅、銀化合物を含む。これらの化合物は、1種、または、2以上の混合物として使用してもよい。そのブースターは、好ましくは、1〜7重量%、より好ましくは、2〜4重量%で使用される。そのブースターの量が、1重量%未満の場合には、防汚性の上昇効果が微々たるものであり、7重量%を超過する場合には、塗量の貯蔵安定性に問題が生じる。
【0027】
更に、本発明の塗料組成物は、多様な公知の添加剤を含有させることができる。添加剤の例としては、ポリアミドワックス、ベントナイトまたはポリエチレンワックスなどのような増粘剤を挙げることができる。これらの添加物は、好ましくは、1〜5重量%にて使用される。添加物の量が、5重量%を超過する場合は、粘度が非常に高くなってしまう。
【0028】
さらに、本発明によるホンダワラの抽出物、即ち、ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、1−エイコサノール、1−ペンタデカノール、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジシクロヘキシル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、リノール酸メチルおよび6−ホルミル−3,4−デヒドロ−2,8−デメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランの中から選択された1種以上の化合物は、藻類運動阻害活性を有するため、バイオサイドとしても使用が可能である。そのバイオサイドは、好ましくは、前記抽出物または化合物を有効成分として、バイオサイドの全重量に対して、0.1〜5重量%含有することができる。更に、前記有効成分の他に、バイオサイドは、界面活性剤、溶剤、イソチアゾロン系バイオサイドなども含有させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下より、本発明は、実施例によって更に詳しく説明される。しかしながら、本発明が、これらの実施例よって限定されるわけではないことは、当業者にとって明白である。
【実施例】
【0030】
(実施例1)試料採取および抽出
1)フシスジモクの抽出
フシスジモクを韓国の慶尚北道(Gyeongsangbuk-do)浦項(Pohang)(緯度36°経度129°30′)で採取し、その海藻から異物を除いた。そして、その海藻を洗浄し、陰干しした。抽出収率を高めるために、その陸上植物を、粉砕機を利用して粉末を作り、実験材料として使用した。ヘキサン10lに試料粉末1kgを添加して、24時間保管した後に抽出し、上層液のみを集めた。その抽出と、上層液の収集とを、3回反復し、そして、その上澄み液を共に混ぜ合わせ、37℃において減圧濃縮器を利用して1/10の体積に蒸発させた。その残留した材料を、0.22μmフィルターを介して濾過し、−20℃で保管して実験に使用した。
【0031】
有機溶媒に対する溶解度の確認
フシスジモクのヘキサン抽出物の有機溶媒に対する溶解度を確認するために、薄層クロマトグラフィー(TLC)(SIL G/U254、0.25mm layer with fluorescent indicator Machereynagel Co. 独)を利用して、ヘキサン、クロロホルム、塩化メチレン、酢酸エチル、エタノール、メタノールの溶解度を、UVランプ(UVGL-58、UV-254/366nm、UVP Inc. U.S.A)によって同定した(図1、2)。
【0032】
2)ホンダワラ類の抽出
生物由来の抽出物を対象にスジアオノリの胞子付着阻害効果の実験を行った。試料のメチルアルコール抽出物を、200μl/mlの濃度で付着阻害効果を実験した結果、ホンダワラ類(Sargassum sp.(139)、Sargassum sp.(365)、Sargassum sp.(383))の抽出物が、最も優れた胞子付着阻害効果を表した(表1a、1b)。
【0033】
【表1a】
【0034】
【表1b】
【0035】
(実施例2)フシスジモク抽出物の溶媒分画
シリカゲル(70〜230メッシュ)をヘキサンにおいてガラス管コラム(10cm×90cm、PTEE end plate付着)に充填した。その際、そのコラムは、試料の量に応じて、選択して使用し、シリカゲルの量は、試料量の50〜60倍にした。展開溶媒としては、ヘキサン、ヘキサン:酢酸エチル=95:5、ヘキサン:酢酸エチル=90:10、ヘキサン:酢酸エチル=85:15、ヘキサン:酢酸エチル=80:20、ヘキサン:酢酸エチル=70:30、ヘキサン:酢酸エチル=60:40、ヘキサン:酢酸エチル=50:50、酢酸エチル、酢酸エチル:メタノール=95:5、酢酸エチル:メタノール=90:10、酢酸エチル:メタノール=80:20とし、順番に5ml/minの流速で分取し、フシスジモク抽出物に対して実験を展開した。展開溶媒条件下で薄層クロマトグラフィーを行い、6個の分画(I〜VI)に分画した。
【0036】
【表2】
【0037】
分画(I〜VI)の汚損生物付着抑制効果は、代表的な付着海藻類の一つであるアナアオサを対象に実験を行った。アナアオサは江陵(Kangrung)近郊の鏡浦台(Kyongpodae)で採集した。その採取された海藻を実験室に運搬し、アナアオサのみを分類した。汚損生物を除去するために、超音波処理を1分間、3回繰り返し、そして、殺菌した海水できれいに洗浄した。その洗浄した藻を、1%ベタジンおよび2%trition X-100の混合溶液に、1分間沈置させて、簡単な滅菌処理後、半乾燥した。その半乾燥されたアナアオサを滅菌海水に入れ、80μmol m−2 s−1、20℃の培養器に入れて胞子放出を誘導した。
【0038】
準備したチューブに、10μlのジメチルスルホキシド(DMSO)を入れ、胞子が放出された海水を添加した。濃度別に500、1000、1500、2000、4000μl/mlでの胞子の運動性阻害効果を、顕微鏡(オリンパスCK-2)でX100の倍率で観察し、その結果を下記表3に表した。表3においては、胞子の運動性阻害効果が95%以上の場合は++++で、胞子の運動性阻害効果が95〜75%の場合は+++、75〜50%の場合は++で、50〜20%の場合は+で表し、胞子の運動性阻害効果が全くない場合は−で表した。各希釈濃度別の接種前に、海水内の胞子の運動状態を確認し、対照群と比較使用した。
【0039】
前記で分画された5個の分画(I〜VI)について、胞子の運動性阻害活性に対する試験をし、その結果を、下記表3に示した。表3において表される通り、分画IIIで強い活性を見せた。前記試験で活性の良かった分画IIIの2次シリカゲルコラムを実施した。この際、展開溶媒としては、ヘキサン、ヘキサン:酢酸エチル=95:5、ヘキサン:酢酸エチル=90:10、ヘキサン:酢酸エチル=85:15、ヘキサン:酢酸エチル=80:20、ヘキサン:酢酸エチル=70:30、ヘキサン:酢酸エチル=60:40、ヘキサン:酢酸エチル=50:50、酢酸エチル、酢酸エチル:メタノール=95:5、酢酸エチル:メタノール=90:10、酢酸エチル:メタノール=80:20とし、順番に3ml/minの流速で分取した。展開溶媒条件下で薄層クロマトグラフィーを行い、フシスジモクの8個の分画(A〜H)を対象に胞子運動性抑制活性実験を実施し、その結果を表4に示した。表4に表す通り、8個の分画全てが、強い活性を示した。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
(実施例3)フシスジモク抽出物の溶媒分画
シリカゲル(70〜230メッシュ)をヘキサン下でガラス管コラム(10cm×90cm、PTEE end plate付着)に充填した。その際、コラムは、試料の量に応じて選択して使用し、シリカゲルの量は、試料量の50〜60倍にした。展開溶媒としては、ヘキサン、ヘキサン:塩化メチレン=80:20、ヘキサン:塩化メチレン=60:40、ヘキサン:塩化メチレン=20:80、塩化メチレン、塩化メチレン:エタノール=80:20、塩化メチレン:エタノール=60:40、塩化メチレン:エタノール=40:60、塩化メチレン:エタノール=20:80、酢酸エチル、酢酸エチル:メタノール=90:10、酢酸エチル:メタノール=80:20、酢酸エチル:メタノール=70;30、酢酸エチル:メタノール=60:40、酢酸エチル:メタノール=50:50、メタノールとし、順番に10ml/minの流速で分取し、実施例2と同一の展開溶媒条件下で薄層クロマトグラフィーを行い、8個の分画(I〜VIII)に分画した。
【0043】
陸上植物と海藻類の抽出物の汚損生物の付着阻害効果は、代表的な軟性海藻類の一つであるアナアオサを対象にして試験を行った。アナアオサは、江陵(Kangrung)近郊の鏡浦台(Kyongpodae)で採集してた。その採取された海藻を実験室に運搬し、アナアオサのみを分類した。汚損生物を除去するために超音波処理を1分間、3回繰り返し、殺菌した海水できれいに洗浄した。そして、1%ベタジンおよび2%trition X-100の混合溶液に1分間沈置させて簡単な滅菌処理後、半乾燥した。
【0044】
半乾燥されたアナアオサを滅菌海水に入れ、80μmol m−2 s−1、20℃の培養器に入れて胞子放出を誘導した。
【0045】
準備したチューブに、10μlのジメチルスルホキシド(DMSO)を入れ、胞子が放出された海水を添加した。濃度別に125、250、500、1000、1500、2000、4000μg/mlでの胞子の運動性阻害効果を顕微鏡(オリンパスCK-2)でX100の倍率で観察し、その結果を下記表5に表した。胞子の運動性抑制が95%以上、即ち運動性が殆ど観察されない場合は++++で、胞子の運動性阻害効果が95〜75%の場合は+++、75〜50%の場合は++で、50〜20%の場合は+で、20%以下の場合は−で表した。
【0046】
【表5】
【0047】
表5に記載された通り、青海苔胞子の運動性に対する抑制活性テストの結果においては、4000(g/mlの濃度で、分画Vが最も強力な抑制活性を示した。
【0048】
分画Vを、ヘキサン:塩化メチレン:酢酸エチル(3:1:1)の混合溶媒において、Prep-TLC上で展開させ、5個の分画V−a、V−b、V−c、V−d、V−eに分画した。
【0049】
5個の各分画に対する胞子の運動性抑制効果をテストし、その結果を下記表6に示す。
【0050】
【表6】
【0051】
表6に記載された通り、青海苔胞子の運動性に対する抑制活性テストの結果においては、分画V−eが、250、500、1000、1500、2000、4000μg/mlで最も強力な活性を見せ、125μg/mlの濃度でも強い活性(+++)を表した。分画V−eは、有機溶媒(ヘキサン、酢酸エチル、メタノール)を使用して溶媒別に溶解度によって各3個の分画を得た。その3個の各分画について青海苔胞子の運動性抑制効果をテストし、その結果を下記表7に示す。
【0052】
【表7】
【0053】
表7に記載された通り、青海苔胞子の運動性に対する抑制活性テストの結果においては、溶解度によって分画された分画V−eでは、酢酸エチルの溶媒で溶出された分画が強い胞子の運動性抑制効果を表した。
【0054】
分画採取用高速液体クロマトグラフィー(Prep-HPLC)
分画V−eを酢酸エチル溶媒で分画した分画を分画採取用高速液体クロマトグラフィー C18逆相コラム(Microsorb、21.4mm×250mm)に適用し、80%メタノールと20%水の混合溶媒を使用して60分間、流速5ml/minで溶出させた。254nmでその溶出された分画の吸光度を測定し、各分画(K1〜K8)の分取を行った。その分取された8個の分画を、青海苔胞子の運動性に対する抑制活性効果についてテストし、その結果を下記表8に示す。その分取された8個の分画の生理活性検証を通して最も優れた胞子の運動性抑制活性を表した分画K7を、気体クロマトグラフィー/気体質量分光器(GC/MS)、高性能液体クロマトグラフィー/液体質量分光器(LC/MS)、核磁気共鳴スペクトル(NMR)を使用して物質構造分析の試料として使用した。
【0055】
【表8】
【0056】
高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)
生理活性物質の生理活性検証を通して優れた胞子の運動性抑制活性を表した分画K7またはPrep-HPLCにより分画された8個の分画を、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)C18逆相コラム(Microsorb、21.4mm×250mm、Cosmosil)に適用し、80%メタノールと20%水の混合溶媒を使用して60分間、1ml/minの流速で溶出させた。254nmで、その溶出された各分画の吸光度を測定して分取し、8個の分画を分析した。
【0057】
気体クロマトグラフィー質量測定スペクトル
HPLCから活性部分(メタノール濃度80%)のみを回収して乾燥させ、メタノールに溶かし、その溶液の1mgを気体クロマトグラフィー分析に使用した。気体クロマトグラフィーには、毛細管コラムであるHP−5(Hewlett-Packard、30cm×0.25mm×0.25μm)を使用し、移動相気体にはヘリウムを使用し、注入速度を0.6ml/minとし、分割注入法(1:50)を使用して分析した。コラム注入口の温度は230℃、コラムの初期温度は100℃とした。100℃の温度を2分間維持し、4℃/minの速度で150℃まで昇温させた。その後、3℃/minの速度で200℃まで、そのコラムを昇温させ、再び7℃/minの速度で250℃まで昇温させて、その温度にそのコラムを維持させた。その際、イオンソース(Ion source)の電子イオン化モード(electron ionization mode)にて、280℃で70eVを使用した(表9)。
【0058】
【表9】
【0059】
液体/気体クロマトグラフィー質量分析スペクトル(LC/GC MS)によって、分画V−e−K7の分子量を求め(図3、4)、その分画V−e−K7についてのGC−MSの分析結果は、以下のように、Rt:71.56min、分子イオン:M+ −342であった。
【0060】
(実施例3)ホンダワラ抽出物の溶媒の分画
特定ホンダワラ類(Sargassum sp.(139)、Sargassum sp.(365)、Sargassum sp.(383))の抽出物から青海苔の胞子に対する運動性抑制物質を探索するために、有機溶媒の分画を作った。
【0061】
海藻をヘキサン、メチルアルコール、そして、水を使用して各々抽出した。そのヘキサンとメチルアルコール抽出液を濾過し、その濾過液を30℃で減圧濃縮器を使用して濃縮した。その水抽出物は、凍結乾燥機を利用して凍結乾燥させた。
【0062】
各抽出物を生理活性についてテストし、その検証結果を下記表19に示した。青海苔胞子の運動性抑制活性検証結果においては、ヘキサン抽出物の場合、10,000μg/ml、7,500μg/mlそして、5,000μg/mlにて強力な抑制効果(95%以上の抑制:++++)、2,500μg/mlにて強い活性(95〜75%:+++)、1,250μg/mlにて中間活性(75%〜50%:++)を表した。
【0063】
メチルアルコール抽出物は、10,000μg/mlと75,000μg/mlとで強い活性(+++)を見せたが、1,250μg/mlでは活性を示さなかった。また、水抽出物は、10,000μg/mlおよび7,500(g/mlとで、中間活性(++)を、5,000(g/mlで、弱い活性(+)を示し、2,500(g/mlと1,250(g/mlとでは、活性を示さなかった。
【0064】
結果的に、ヘキサン抽出物で優れた効果が示され、この抽出物を防汚成分の分離および精製の試料として使用した。
【0065】
【表10】
【0066】
1次シリカゲルコラムクロマトグラフィー
シリカゲル(70〜230メッシュ)をヘキサン下で充填した。ヘキサン抽出物試料を適用し、ヘキサン(10)、ヘキサン:塩化メチレン(7.5:2.5)、ヘキサン:塩化メチレン(5:5)、ヘキサン:塩化メチレン(2.5:7.5)、塩化メチレン(10)、塩化メチレン:酢酸エチル(8:2)、塩化メチレン:酢酸エチル(6:4)、塩化メチレン:酢酸エチル(4:6)、塩化メチレン:酢酸エチル(2:8)、酢酸エチル(10)、酢酸エチル:メチルアルコール(9:1)、酢酸エチル:メチルアルコール(8:2)、酢酸エチル:メチルアルコール(7:3)、酢酸エチル:メチルアルコール(5:5)、メチルアルコール(10)を順番に、ヘキサンから塩化メチレンまで100ml、塩化メチレン:酢酸エチル(8:2)からメチルアルコールまでは300mlずつ、3ml/minの流速で溶出させた(表11)。
【0067】
【表11】
【0068】
その溶出液を、ヘキサン:塩化メチレン:酢酸エチル(3:1:1)の混合溶媒の条件下でTLCを行い、6個の分画に分画した。6個の分画(I〜VI)を対象に生理活性の検証を行い、その結果は表12の通りである。
【0069】
【表12】
【0070】
4,000(g/mlの濃度で分画Vが胞子の運動性に対する強力な活性(++++)を見せ、分画II、III、IVそしてVIでは強い活性(+++)を見せた。2,000(g/ml、1,500(g/mlで分画Vは強力な活性(++++)を示し、750(g/mlと250(g/mlではその活性が低下されたが、強い活性(+++)を維持した。結果的に、分画(I〜VI)のうち、活性が最も優れていた塩化メチレン:酢酸エチル(2:8)の範囲内の分画Vを2次シリカゲルコラムクロマトグラフィーを利用した防汚成分の分離および精製の試料として使用した。
【0071】
2次シリカゲルコラムクロマトグラフィー
シリカゲル(70〜230メッシュ)をヘキサン下で充填し、分画Vを試料として適用し、ヘキサン(10)、ヘキサン:塩化メチレン(9:1)、ヘキサン:塩化メチレン(8:2)、ヘキサン:塩化メチレン(7:3)、ヘキサン:塩化メチレン(6:4)、ヘキサン:塩化メチレン(5:5)、ヘキサン:塩化メチレン(4:6)、ヘキサン:塩化メチレン(3:7)、ヘキサン:塩化メチレン(2:8)、ヘキサン:塩化メチレン(1:9)、塩化メチレン(10)、塩化メチレン(metylene chloride):酢酸エチル(9:1)、塩化メチレン:酢酸エチル(8:2)、塩化メチレン:酢酸エチル(7:3)、塩化メチレン:酢酸エチル(6:4)、塩化メチレン:酢酸エチル(5:5)、塩化メチレン:酢酸エチル(4:6)、塩化メチレン:酢酸エチル(3:7)、塩化メチレン:酢酸エチル(2:8)、塩化メチレン:酢酸エチル(1:9)、酢酸エチル(10)、酢酸エチル:メチルアルコール(9:1)、酢酸エチル:メチルアルコール(8:2)、酢酸エチル:メチルアルコール(7:3)、酢酸エチル:メチルアルコール(6:4)、酢酸エチル:メチルアルコール(5:5)、メチルアルコール(10)を順番に、100mlずつ、3ml/minの流速で溶出させた後(表13)、各分画をヘキサン:塩化メチレン:酢酸エチル(3:1:1)の混合溶媒の条件下で、TLCにて確認し、6個の分画(VI−i〜VI−vi)を作った。その各分画に対するTLCダイアグラムを図5に、各分画についてのRf値を、表14に示す。その6個の分画を、胞子運動性に対する抑制活性についてテストし、その結果を表15に表す。
【0072】
【表13】
【0073】
【表14】
【0074】
【表15】
【0075】
その結果、分画V−iiiが最も優れた活性を示したため、この分画をPrep-TLCによる防汚成分の分離および精製の試料として使用した。
【0076】
2次シリカゲルコラムクロマトグラフィーを使用して有機溶媒の濃度勾配を実施して得た分画の生理活性試験を通して最も優れた活性を表す分画V−iiiを、ヘキサン:塩化メチレン:酢酸エチル(3:1:1)の混合溶媒を利用してPrep-TLC上で展開させ、3個の分画V−iii−a、V−iii−b、V−iii−cを各々分取した。
【0077】
各分画に対するTLCダイアグラムを図6に、各分画に対するRf値を表16に示す。青海苔胞子の運動性抑制効果を、下記表17に各々表示する。
【0078】
【表16】
【0079】
【表17】
【0080】
その結果、分画V−iii−aが希釈倍数の増加にも関わらず活性が持続されたため、Prep-HPLCを利用した防汚成分の分離および精製の試料として使用した。
【0081】
Prep-HPLC
Prep-TLCで分取した活性分画であるV−iii−aを、Prep-HPLC C18逆相コラム(microsorb、21.4×250mm)に適用した。その移動相は、60%アセトニトリルと40%水の混合溶媒を使用して120分間、流速20ml/minで溶出した。213nmで、その溶出した分画の吸光度を測定し、最高値を見せる6個の分画(K1〜K6)を分取した。
【0082】
Prep−TLCで分取した活性分画であるV−iii−aを、Prep−HPLCと分析用HPLCに適用して得たクロマトグラムは、図7に示され、Prep-HPLCを使用して分取した各分画(K1〜K6)の青海苔の胞子に対する運動性抑制活性試験結果は、表18に示される。
【0083】
【表18】
【0084】
その結果、その分取した6個の分画(K1〜K6)中、分画K4の青海苔胞子の運動性抑制効果が最も優れていた。
【0085】
(実施例3)フシスジモク由来の防汚性物質の確認
前記実施例2の分画A〜HのNMRを行い、防汚性物質を確認した。
【0086】
分画A〜Hに対する水素−NMRによる分析結果、分画Aはヘキサデカンとオクタデカンが結合された形態で、分画Bはエイコサン、分画Bは1−ペンタデカノール、分画Cは1−エイコサノール、分画Dは1−ペンタデカノール、分画Eはフタル酸ジブチル、分画Fはフタル酸ジオクチル、分画Gはフタル酸ジイソノニル、そして分画Hはフタル酸ジシクロヘキシルと判明した(図8〜14)。上記分画は、下記化学式の構造を有する。
【0087】
【化1】
【0088】
【化2】
【0089】
【化3】
【0090】
【化4】
【0091】
【化5】
【0092】
【化6】
【0093】
【化7】
【0094】
【化8】
【0095】
【化9】
【0096】
更に、前記実施例3の分画V−e−K7に対する水素−核磁気共鳴(1H NMR)スペクトルは、Bruker AC-200スペクトロメータ(500MHz)から得て、炭素−核磁気共鳴(13C NMR)スペクトルはBruker AC-800スペクトロメータ(800MHz)から得た(図15〜18および表19)。
【0097】
【表19】
【0098】
1H NMR(500MHz、CDCl3/TMS)スペクトルは5個の骨格が見られ、2個のメタ双(meta pairs)が芳香族陽子で連結されたδ6.52でペアを成す片方にまたペアを成しており、2個のオレフィン陽子δ6.35のペアを成す両側に3双の5.21を成し、4個のメチル陽子は各々の単一体としてδ1.63、1.67、2.06を成す。4個の分子のうち一つは、δ2.46であり、水素原子2個を含むベンゾピランの核(necleus)は、アリル位で(2.66の3双を成して作用する。
【0099】
また、単一体としての(9.30は、アルデヒド陽子を表し、(4.80は、広範囲にヒドロキシル陽子の位置を表し、D2Oと交換される。(1.25と2.14は、広範囲のメチル陽子の位置を表し、前記データは、混合物であるプレニル側鎖二重結合の一部分である14、15とジヒドロベンゾピランであることを表す。
【0100】
13C NMR(800MHz、CDCl3/TMS)スペクトルは、22個の炭素信号基(carbon signal)を表す。(195.68の信号(signal)は、アルデヒドを表し、オレフィン炭素は、(127.5、121.3、117.6と115.8により表され、単一体である(148.05と146.07は芳香核と2双のメタからなるアルデヒドを表す。これは、アルデヒドが側鎖であるということを提示することはできないが、芳香核であり、また、mass m/e 121の破片である。
【0101】
前記データを分析した結果、“2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2,8−ジメチル−2H−クロマン−6−オール”であると判明し、massによる部分的パターンを求めた(図19)。
【0102】
加えて、分画V−e−K7を赤外線吸収スペクトル(Fourier Infrared Spectrophotometer、Mattson、USA)KBrパレット法で測定した(CHO,Chong-Soo外、1987)。
【0103】
V−e−K7に対する赤外線分光スペクトルの分析結果(図14)は、v max(KBr)-3710,3669(-OH),2972,2933,2865(CH3,St),1680(=C=O,St),1597,1520そして1474cm−1(aromatic function)が得られた。その収集したデータを総合して分析した結果、フシスジモクから分離された防汚性物質は、下記化学式10のような構造を有する。
【0104】
【化10】
【0105】
(実施例8)ホンダワラ類由来の防汚性物質の確認
前記実施例4の分画K4を、GC−MS、LC−MSそしてNMRを利用した、物質構造分析の試料として使用した。
【0106】
分画K4のGC−MSの結果を、図21〜23に示し、NMRデータを図24〜26に示す。また、分画K4は、下記化学式11〜13の構造を有する。
【0107】
【化11】
【0108】
【化12】
【0109】
【化13】
【0110】
結論的に、防汚性が優れた特定のホンダワラ類(Sargass sp.(139、365、383))から分離、精製された新規の防汚物質は、脂肪酸であるパルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、リノール酸メチルであることが新たに明らかになった。
【0111】
(実施例7)安全性試験
ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、1−エイコサノール、1−ペンタデカノール、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジシクロヘキシルおよび6−ホロミル−3,4−ジヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランを、各々ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、水で希釈した。そして、その希釈液をマウス(群当り10匹)に各々10mg/kgを投与した。7日間観察したが、死亡するマウスはなかった。
【0112】
フタル酸メチルの物理的特性としては、以下のように、融点は32〜34℃、沸点は163〜164℃、密度は0.852である。マウスへの口腔毒性検査をこの化合物についてし、その結果、LD50>20mg/kgを示した。ウサギの目に刺激を与えた時、一時的な刺激現象があるだけであった。ヒトの皮膚を通して刺激を与えた時も、また、同様に非常に軽い刺激のみであった。水に対する毒性を検査するためにマスの一種であるブルーギル(Blugil)を試験した結果、LD50>1000ml/lであった。
【0113】
ステアリン酸メチルは、不透明な白色の結晶体で、融点は40〜42℃、沸点は181〜182℃である。その化合物は、吸入、摂取、皮膚吸収により有害であるが刺激は殆どない。すなわち、テスト結果では、LD50>17.2g/kgであった。
【0114】
リノール酸メチルの物理的特長は無色の液体で、融点が−35℃、沸点が192℃、密度が0.889である。
【0115】
(実施例8〜24)防汚塗料の製造
樹脂とロジンをキシレンと若干のメチルイソブチルケトンに完全に溶解させた。その溶液へ、顔料として酸化亜鉛および酸化鉄を添加し、サンドミルで2回分散させた。この混合物に、下記表20にて与えられる防汚性物質と増粘剤とを添加した。その結果得られる混合物を、高速攪拌器にて3500rpmで60分間攪拌した。そして、その残ったケトン類溶媒を添加して攪拌し、防汚塗料を製造した。
【0116】
【表20】
【0117】
(実施例25)ブースター添加塗料の製造
実施例13と同一の組成の混合物に、ブースターとしてピリチオン亜鉛を4重量部、添加し、防汚塗料を得た。ブースターの添加は、分散工程の前に行い、顔料と共に添加した。
【0118】
(実施例26)防汚性物質が混合された塗料の製造
実施例21と同様に製造するが、防汚性物質の半分をフタル酸ジオクチルに代替し、防汚塗料を製造した。
【0119】
(比較例1)
実施例13と同様に行うが、防汚性物質の含量を1重量部に変え、防汚塗料を得た。
【0120】
(比較例2)
実施例13と同様に行うが、防汚性物質の含量を1重量部に変え、防汚塗料を得た。
【0121】
(比較例3)
実施例19と同様に行うが、防汚性物質の含量を1重量部に変え、防汚塗料を得た。
【0122】
(試験例1)
KSD3501の圧延鋼板(300×300×3.2mm)にKSM5569法に従って製造した防汚塗料の試片を3枚ずつ準備し、タール/ビニル樹脂で防錆塗装をした。ここに、実施例5〜26および比較例1〜3により製造された防汚塗料を使用して、乾燥厚さが150μmとなるように、そのサンプルのそれぞれにスプレー塗装をした。
【0123】
その塗装されたパネルを相対湿度75%、25℃で1週間乾燥させ、そして、日本海において2M水深域に沈積させた。12ヶ月後にパネルを観察した。試料の上端から70mm降りた線、下端から30mm上がった線および左右両端から20mm内部の線の有効面積52,000mm2を基準に、3枚の試料の汚染面積の算術平均値を算出した。その算出された算術値を、5%の範囲で四捨五入し、その結果を下記表21に記載した。
【0124】
【表26】
【0125】
以上の結果から判るように、本発明の防汚塗料は、既存の有機スズ化合物を含む防汚塗料に比べて防汚性能が同等以上であることが分かる。
【0126】
(試験例2)
96−マルチウェルプレート(multi well plate)上に置かれたPAGSの濃度を、2倍連続希釈法によって希釈した液体培地に、104cfu/mlの微生物を接種した。その液体培地を30℃で48時間培養し、微生物の成長可否を濁度を基準に肉眼で判定する方法によりMICを測定した。そのテストにおいて使用した液体培地は、細菌については大腸菌群(Difco)である。その試験において使用した抗菌物質は、PAGS−1でありし、その結果を、下記表22に示す。
【0127】
(表22)微生物に対するPAGSのMIC値の測定データ
【産業上の利用可能性】
【0128】
上記から判るように、本発明によるホンダワラから抽出した親環境性防汚剤は、環境に無害であり、広範囲な対象生物に対して防汚性を有し、天然物から抽出するため、既存の防汚剤と比較して製造原価を相対的に減少させることができ、TBTのような毒性防汚剤の使用により引き起こされた海洋環境の汚染を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】図1は、フシスジモクのヘキサン抽出物の365nmでのTLCダイアグラムを示す。
【図2】図2は、フシスジモクのヘキサン抽出物の2454nmでのTLCダイアグラムを示す。
【図3】図3は、分画V−e−K7に対するHPLC分析結果を示す。
【図4】図4は、6−ホルミル−3,4−ジヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランのGC−Massスペクトルの分析結果を示す。
【図5】図5は、分画V−i〜V−viに対するTLCダイアグラムを示す。
【図6】図6は、分画V−iii−a〜V−iii−cに対するTLCダイアグラムを示す。
【図7】図7は、分画V−iii−aのHPLCクロマトグラムを示す。
【図8】図8は、実施例2の分画Aに対する1H NMRデータを示す。
【図9】図9は、実施例2の分画Bに対する1H NMRデータを示す。
【図10】図10は、実施例2の分画Cに対する1H NMRデータを示す。
【図11】図11は、実施例2の分画Dに対する1H NMRデータを示す。
【図12】図12は、実施例2の分画Eに対する1H NMRデータを示す。
【図13】図13は、実施例2の分画Fに対する1H NMRデータを示す。
【図14】図14は、実施例2の分画Gに対する1H NMRデータを示す。
【図15】図15は、6−ホルミル−3,4−ジヒドロ−2,8−デメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランの1H NMRスペクトルの分析結果を示す。
【図16】図16は、6−ホルミル−3,4−ジヒドロ−2,8−デメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランの1H NMRスペクトルの13C NMRスペクトルの分析結果を示す。
【図17】図17は、6−ホルミル−3,4−ジヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランの2次元のNMRスペクトルを示す。
【図18】図18は、6−ホルミル−3,4−ジヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランのHMBCの相関図を示す。
【図19】図19は、6−ホルミル−3,4−ジヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランの質量による部分的パターンの例示図を示す。
【図20】図20は、6−ホルミル−3,4−ジヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランのIRスペクトルの分析結果を示す。
【図21】図21は、実施例4の分画K4に対するGC−MSデータを示す。
【図22】図22は、図21と同一である。
【図23】図23は、図21と同一である。
【図24】図24は、実施例4の分画K4に対するNMRデータを示す。
【図25】図25は、図24と同一である。
【図26】図26は、図24と同一である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホンダワラ抽出物を有効成分として含有する防汚剤。
【請求項2】
前記ホンダワラ抽出物は、ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、1−エイコサノール、1−ペンタデカノール、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジシクロヘキシル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、リノール酸メチル、および6−ホルミル−3,4−デヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランからなる群から選択される、1または2またはそれを超える化合物を含有する、請求項1記載の防汚剤。
【請求項3】
前記ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、1−エイコサノール、1−ペンタデカノール、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジシクロヘキシル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、リノール酸メチル、および6−ホルミル−3,4−デヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランからなる群から選択される、1または2またはそれを超える化合物は、ホンダワラから分離される、請求項2記載の防汚塗料。
【請求項4】
パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、およびリノール酸メチルからなる群から選択される1または2またはそれを超える化合物は、ホンダワラ類から分離される、請求項2記載の防汚塗料。
【請求項5】
ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、1−エイコサノール、および1−ペンタデカノールからなる群から選択される、15個の炭素を有する、1または2またはそれを超える線形の炭化水素化合物、
フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジシクロヘキシル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、および、リノール酸メチルからなる群から選択される、1または2またはそれを超えるエステル化合物、
6−ホルミル−3,4−デヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピラン化合物
からなる群から選択される、1または2またはそれを超える化合物を有効成分として含有する防汚剤。
【請求項6】
防汚性を有するl6−ホルミル−3,4−デヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピラン化合物。
【請求項7】
海藻類であるフシスジモクを粉砕してフシスジモクの粉末を作る段階と、
フシスジモクの粉末をヘキサン、酢酸エチルおよびメタノールからなる群から選択される1種の溶媒で抽出し、上層液を集める段階と、
集めた上層液を減圧濃縮する段階と
を具備する、l6−ホルミル−3,4−デヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピラン化合物を製造する方法。
【請求項8】
樹脂、溶媒、顔料、防汚性物質、および、その他添加物とを具備する防汚塗料において、前記防汚性物質が、ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、1−エイコサノール、1−ペンタデカノール、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジシクロヘキシル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、リノール酸メチル、および6−ホルミル−3,4−デヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランからなる群から選択される、1または2またはそれを超える化合物が混合されて使用される親環境性防汚塗料。
【請求項9】
前記樹脂の含量は、防汚塗料の全重量に対して2〜20重量%である、請求項8記載の親環境性防汚塗料。
【請求項10】
前記溶媒の含量は、防汚塗料の全重量に対して10〜30重量%である、請求項8記載の親環境性防汚塗料。
【請求項11】
前記顔料の含量は、防汚塗料の全重量に対して20〜40重量%である、請求項8記載の親環境性防汚塗料。
【請求項12】
前記防汚性物質の含量は、防汚塗料の全重量に対して3〜40重量%である、請求項8記載の親環境性防汚塗料。
【請求項13】
防汚性能向上のために添加されるブースターとして、亜鉛ピリチオン、銅ピリチオン、リン酸ポリヘキサメチレングアンジン、2,4,5,6−テトラクロロ−イソフタロニトリル、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1、1−ジメチル尿素、2−メチルチオ−4−テルブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン(2−methylthio−4−terbutylamino−6−cyclopropylamino−s−triazine)、エチレンビスジチオカルバミン酸亜鉛、エチレンビスジチオカルバミン酸マンガン、2−n−オクチル−4,5−ジクロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、3−ヨード−2−ブチルカルバミン酸プロピニル、ジヨードメチル−p−トリスルホン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド、N−ジクロロフルオロメチルチオ−N’,N’−ジメチル−N−p−トリルスルファミド、N,N−ジメチル−N’−フェニル−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛 、(2−ピリジルチオ−1−オキシド)銅、銀化合物からなる群から選ばれる、1または2またはそれを超えるものであって、その使用量が1〜7重量%である、請求項8記載の防汚塗料。
【請求項14】
前記その他添加物の含量は、防汚塗料の全重量に対して1〜5重量%である、請求項8に記載の防汚塗料。
【請求項15】
ホンダワラ抽出物を有効成分として含有するバイオサイド。
【請求項16】
前記ホンダワラ抽出物は、ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、1−エイコサノール、1−ペンタデカノール、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジシクロヘキシル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、リノール酸メチル、および6−ホルミル−3,4−デヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランからなる群から選択される、1または2またはそれを超える化合物を、有効成分として含有する、請求項15記載のバイオサイド。
【請求項1】
ホンダワラ抽出物を有効成分として含有する防汚剤。
【請求項2】
前記ホンダワラ抽出物は、ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、1−エイコサノール、1−ペンタデカノール、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジシクロヘキシル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、リノール酸メチル、および6−ホルミル−3,4−デヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランからなる群から選択される、1または2またはそれを超える化合物を含有する、請求項1記載の防汚剤。
【請求項3】
前記ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、1−エイコサノール、1−ペンタデカノール、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジシクロヘキシル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、リノール酸メチル、および6−ホルミル−3,4−デヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランからなる群から選択される、1または2またはそれを超える化合物は、ホンダワラから分離される、請求項2記載の防汚塗料。
【請求項4】
パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、およびリノール酸メチルからなる群から選択される1または2またはそれを超える化合物は、ホンダワラ類から分離される、請求項2記載の防汚塗料。
【請求項5】
ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、1−エイコサノール、および1−ペンタデカノールからなる群から選択される、15個の炭素を有する、1または2またはそれを超える線形の炭化水素化合物、
フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジシクロヘキシル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、および、リノール酸メチルからなる群から選択される、1または2またはそれを超えるエステル化合物、
6−ホルミル−3,4−デヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピラン化合物
からなる群から選択される、1または2またはそれを超える化合物を有効成分として含有する防汚剤。
【請求項6】
防汚性を有するl6−ホルミル−3,4−デヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピラン化合物。
【請求項7】
海藻類であるフシスジモクを粉砕してフシスジモクの粉末を作る段階と、
フシスジモクの粉末をヘキサン、酢酸エチルおよびメタノールからなる群から選択される1種の溶媒で抽出し、上層液を集める段階と、
集めた上層液を減圧濃縮する段階と
を具備する、l6−ホルミル−3,4−デヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピラン化合物を製造する方法。
【請求項8】
樹脂、溶媒、顔料、防汚性物質、および、その他添加物とを具備する防汚塗料において、前記防汚性物質が、ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、1−エイコサノール、1−ペンタデカノール、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジシクロヘキシル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、リノール酸メチル、および6−ホルミル−3,4−デヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランからなる群から選択される、1または2またはそれを超える化合物が混合されて使用される親環境性防汚塗料。
【請求項9】
前記樹脂の含量は、防汚塗料の全重量に対して2〜20重量%である、請求項8記載の親環境性防汚塗料。
【請求項10】
前記溶媒の含量は、防汚塗料の全重量に対して10〜30重量%である、請求項8記載の親環境性防汚塗料。
【請求項11】
前記顔料の含量は、防汚塗料の全重量に対して20〜40重量%である、請求項8記載の親環境性防汚塗料。
【請求項12】
前記防汚性物質の含量は、防汚塗料の全重量に対して3〜40重量%である、請求項8記載の親環境性防汚塗料。
【請求項13】
防汚性能向上のために添加されるブースターとして、亜鉛ピリチオン、銅ピリチオン、リン酸ポリヘキサメチレングアンジン、2,4,5,6−テトラクロロ−イソフタロニトリル、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1、1−ジメチル尿素、2−メチルチオ−4−テルブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン(2−methylthio−4−terbutylamino−6−cyclopropylamino−s−triazine)、エチレンビスジチオカルバミン酸亜鉛、エチレンビスジチオカルバミン酸マンガン、2−n−オクチル−4,5−ジクロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、3−ヨード−2−ブチルカルバミン酸プロピニル、ジヨードメチル−p−トリスルホン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド、N−ジクロロフルオロメチルチオ−N’,N’−ジメチル−N−p−トリルスルファミド、N,N−ジメチル−N’−フェニル−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛 、(2−ピリジルチオ−1−オキシド)銅、銀化合物からなる群から選ばれる、1または2またはそれを超えるものであって、その使用量が1〜7重量%である、請求項8記載の防汚塗料。
【請求項14】
前記その他添加物の含量は、防汚塗料の全重量に対して1〜5重量%である、請求項8に記載の防汚塗料。
【請求項15】
ホンダワラ抽出物を有効成分として含有するバイオサイド。
【請求項16】
前記ホンダワラ抽出物は、ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、1−エイコサノール、1−ペンタデカノール、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジシクロヘキシル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、リノール酸メチル、および6−ホルミル−3,4−デヒドロ−2,8−ジメチル−2−(3’,6’−ジエニル−8’−ヒドロキシ−4’−メチルノナン)−2H−1−ベンゾピランからなる群から選択される、1または2またはそれを超える化合物を、有効成分として含有する、請求項15記載のバイオサイド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
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【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
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【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公表番号】特表2008−502769(P2008−502769A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516377(P2007−516377)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【国際出願番号】PCT/KR2005/001503
【国際公開番号】WO2005/123851
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(506419168)
【氏名又は名称原語表記】SHIN, Hyun Woung
【住所又は居所原語表記】102−804 Sanga Apt., Sinchang−Myeon, Asan−si, Chungcheongnam−do 336−774 Korea
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【国際出願番号】PCT/KR2005/001503
【国際公開番号】WO2005/123851
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(506419168)
【氏名又は名称原語表記】SHIN, Hyun Woung
【住所又は居所原語表記】102−804 Sanga Apt., Sinchang−Myeon, Asan−si, Chungcheongnam−do 336−774 Korea
【Fターム(参考)】
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