説明

角度検出センサおよびその角度検出センサを備えた吸入空気量制御装置

【課題】ロータのショートリング状コイル(プリント印刷導体)の寸法が長いため、ショートリング状コイルの抵抗が大きく、発生する誘導電流が十分に大きくできない。このため、ステータ側の検出コイルに誘導する電流が大きくできず、ステータの電磁コイルと検出コイルとの間の電磁誘導結合の変化が小さく、結果的に高精度の角度検出センサを提供できないという問題がある。
【解決手段】ロータ部には、励磁コイルに近接したロータ周辺部に回転方向に周期的にそれぞれ電気絶縁された第一の複数のショートリング状コイルと、前記第一の複数のショートリング状コイルと電気絶縁され、一部が前記第一の複数のショートリング状コイルに近接し且つ回転軸の周囲を取り囲むように第二のショートリング状コイルを配置した。
【効果】出力の増大が図られ高精度の角度検出センサを提供することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転軸の回転角度を非接触式で検出する角度検出センサに関し、また、その角度検出センサを備えた内燃機関の吸入空気量制御装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のステアリングホイールや内燃機関の吸入空気量制御装置(スロットルバルブとも呼ぶ)など回転角度を検出するこの種角度検出センサは、回転軸に取付けられたロータの回転によってステータに取付けた電磁コイルと検出コイルとの間の電磁誘導結合を変化させ、その電磁誘導結合の強さ(インダクタンス)の変化から回転角を検出するもので、例えば特許文献1,2および3などで知られている。
【0003】
【特許文献1】欧州特許 EP159191号公報
【特許文献2】米国特許 US6236199号公報
【特許文献3】特表2001−520368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術文献(特許文献1,2および3)に記載された角度検出センサにおいては、ロータのショートリング状コイル(プリント印刷導体)の寸法が長いため、ショートリング状コイルの抵抗が大きく、発生する誘導電流が十分に大きくできない。このため、ステータ側の検出コイルに誘導する電流が大きくできず、ステータの電磁コイルと検出コイルとの間の電磁誘導結合の変化が小さく、結果的に高精度の角度検出センサを提供できないという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、前記ショートリング状コイルの出力を十分に得て、感度不足による回転角の検出精度が劣化することのない、この種角度検出センサを得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、ステータ部の励磁コイルに近接配置されるロータ部に互いに電気絶縁された複数の第一ショートリング状コイルをロータの回転方向に特定の間隔で配置し、前記複数の第一ショートリング状コイルと電気絶縁され、かつ回転軸の周りに配置され、少なくとも一部が前記複数の第一ショートリング状コイルに近接する第二のショートリング状コイルを配置することにより達成される。
【発明の効果】
【0007】
以上のように構成された本発明によれば、ショートリング状コイルのコイル長が短くなりコイル抵抗が大幅に低減できる為、励磁界による渦電流効果(逆起電力)による各ショートリング状コイルに流れる電流の減少が抑えられ、キャンセル磁界が有効に働くことになる。その結果電磁誘導結合の強度の変化を大きくでき、検出コイルの出力が増大するので高精度の角度検出センサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明の実施例に関して図面を用いて説明する。まず最初に、特許文献2に記載された従来技術を、本発明の実施例と対比させて説明する。
【0009】
以下特許文献2の角度検出センサに関して説明する。角度検出センサとしての全体構成は、図11に示すような構成となっている。
【0010】
ステータ部は、プリント回路基板2の上面に形成された励磁コイルA5と複数の検出コイルA6と処理回路A7からなる。処理回路A7は励磁コイルA5に交流電流を流すための発振回路および複数の検出コイルA6の出力からロータの回転角を演算する演算処理回路からなる。
【0011】
ロータ部は、回転中心軸A10に対して回転する回転軸3の端面に、ステータ部と所定の間隔離間し回転中心軸が一致するように近接配置されたプリント回路基板A4からなる。プリント回路基板A4には、特許文献2のFig.6cに記載された1ターンのショートコイル形状A20(図18参照)が形成されている。
【0012】
図12に、ステータ部のコイルパターンの上面図を示す。検出コイルA6a,A6b,A6cは、励磁コイルA5の内側に回転方向に60度毎の周期で繰り返される6個の蛇行コイルからなり、各検出コイルA6a,A6b,A6cは夫々20度位相シフトされた構成となっている。
【0013】
各検出コイルA6a,A6b,A6cを、直線方向に模擬的に展開した構成を図13に示す。各検出コイルA6a,A6b,A6cは、出力端S1,S2,S3から始まって8の字コイルを形成するようにクロスしながら戻る1つの閉ループとなっている。各検出コイルの閉ループはクロス部を境にして位相が夫々逆になる6個のコイル領域の組み合わせからなる。6個のコイル領域は夫々同じコイル面積になっており、同相3個と逆相3個の夫々の同相および逆相の合計コイル面積は等しくなっている。
【0014】
このように上記検出コイルを構成することにより、電磁誘導結合ロータの影響が無い状態(ゼロ回転)では励磁コイルA5から発生する励磁界が上記の各検出コイルの閉ループを鎖交する磁束が同相および逆相にてキャンセルすることから出力端S1,S2,S3の出力(誘導起電圧)がゼロとなる。また、外部からの電磁誘導ノイズに関しても同様にキャンセルし影響を受けないことから外部ノイズに強い構成となっている。
【0015】
図18に、特許文献2のFig.6cに記載されたロータ部の1ターンのショートコイル形状A20を、図19に、特許文献2でのステータ部とロータ部の上面から見た位置関係を示した。図19では、ステータ側の各検出コイルA6a,A6b,A6cの内検出コイルA6aのみを示している。回転中心軸10の周りに1ターンのショートコイルA20が形成されたロータ部が回転する。
【0016】
励磁コイルA5には、処理回路A7内の発振回路からの高周波電流A11が反時計方向に流れ、励磁コイルA5内部には紙面裏側から表側に至る励磁界が発生する。これに対して、近接配置されたロータ部の1ターンのショートコイルA20には、励磁コイルA5の励磁界による渦電流効果による逆起電力が働き時計方向に電流A12aが流れる。従って、ショートコイルA20の内部領域では、励磁コイルA5の励磁界をキャンセルする方向に磁界が発生する。
【0017】
図19の様に、ステータ側の検出コイルA6aとロータ側のショートコイルA20が一部にて重なり合う状態では、検出コイルA6aの閉ループを鎖交する同相および逆相の磁束にアンバランスが生じて検出コイルA6aの出力端S1には出力(誘導起電圧)が発生する。出力は、検出コイルA6aの同相および逆相の閉ループとロータ側のショートコイルA20の重なり状態(ショートコイル領域を除いた同相と逆相の閉ループ面積差)により変化する。
【0018】
図14には、ステータ側の各検出コイルA6a,A6b,A6cの出力端S1,S2,S3の出力U1,U2,U3を示した。3相出力で、ロータの回転角に対して正弦波となり各出力は20度の位相が異なる。出力U1,U2,U3の出力値を処理回路A7にて比較することにより回転角60度の領域にて回転角を計測することが出来る。
【0019】
この様に構成された特許文献2の角度検出センサでは、次のような課題がある。
【0020】
図20および図21に、図19に示した特許文献2の角度検出センサのB−B′断面およびA−A′断面と磁束密度(B)分布を示した。図20のB−B′断面では、ロータ側のショートコイルA20が検出コイルA6aの領域から内側に位置していることから、ショートコイルA20によるキャンセル磁界A14は検出コイルA6aの領域には影響しない。検出コイルA6aに鎖交するのは励磁コイルA5からの励磁界A13のみとなる。
【0021】
一方、図21に示したA−A′断面では、ロータ側のショートコイルA20が検出コイルA6aの領域と重なっていることから、ショートコイルA20によるキャンセル磁界A14は検出コイルA6aの領域に発生する。励磁コイルA5からの励磁界A13とショートコイルA20によるキャンセル磁界A14の磁束密度(B)分布を図21の下方に示した。励磁界A13の磁束密度(B)分布が実線A15で、キャンセル磁界A14の磁束密度(B)分布が破線A16であり、方向はお互い逆であるが、強度の絶対値のみ示している。
【0022】
励磁界A13およびキャンセル磁界A14ともに励磁コイルA5から離れるのに従い磁界強度(磁束密度)が減少する。本来の理想は、キャンセル磁界A14が励磁界A13と一致して完全に励磁界A13をキャンセルすることにより、コイルの重なる領域での鎖交磁束が完全にゼロになり、検出コイルA6aからの同相と逆相の閉ループ面積差(出力)が最大化することである。しかし、特許文献2の従来例では、キャンセル磁界A14(破線A16)が弱まっている。
【0023】
これは、図19に示すように、1ターンのショートコイルA20がロータの周辺に引き回されることからコイル長が長くなりコイル抵抗が増大することにより、励磁界による渦電流効果(逆起電力)による電流A12aが減少するのが原因である。
【0024】
この様に、特許文献2の角度検出センサでは、前記検出コイルの出力が十分でなく感度不足による回転角の検出精度が劣化する問題がある。
【0025】
特許文献2では、図22(特許文献2のFig.6d)に示すようなロータ部のショートコイルの別実施例が記載されている。前記のショートコイルA20の内周に電気的に接続された円環状のショートコイルA21を形成した構成である。
【0026】
この様に構成したコイルでは、ショートコイルA20とショートコイルA21が並列接続されていることから、コイル抵抗は減少する。しかし、励磁コイルA5の励磁界による渦電流効果(逆起電力)によるキャンセル電流は、図22に示すようにA12cとA12dに分岐する。特に、出力に影響する検出コイル領域のショートコイルA20のキャンセル電流A12cは、ショートコイルA21に分岐した電流A12d分減少することからキャンセル効果が弱まり出力が減少する。
【実施例1】
【0027】
図11に本発明の回転角検出センサを示す。ステータ部は、図12および図13に示した特許文献2の従来例と同じ構成(同じ符号で示す)である。ロータ部は、回転中心軸A10に対して回転する回転軸A3の端面に、ステータ部と所定の間隔離間し回転中心が一致するように近接配置されたプリント回路基板A4からなる。
【0028】
プリント回路基板A4には、図10に示すコイルパターンが形成される。A8a,A8b,A8c,A8d,A8e,A8fが励磁コイルに近接したロータ周辺部に回転方向に周期的にそれぞれ電気絶縁された第一の複数のショートリング状コイルで、A9が第一の複数のショートリング状コイルと電気絶縁され、一部が第一の複数のショートリング状コイルに近接し且つ回転軸A10を包含する様に形成された第二のショートリング状コイルである。
【0029】
図15に、本発明のステータ部とロータ部の上面から見た位置関係を示した。図15では、ステータ側の各検出コイルA6a,A6b,A6cの内検出コイルA6aのみを示している。回転中心軸A10の周りに第一の複数のショートリング状コイルA8a,A8b,A8c,A8d,A8e,A8fと第二のショートリング状コイルA9が形成されたロータ部が回転する。
【0030】
励磁コイルA5には、処理回路A7内の発振回路からの高周波電流A11が反時計方向に流れ、励磁コイルA5の閉ループ内部には紙面裏側から表側に至る励磁界が発生する。これに対して、近接配置されたロータ部の第一の複数ショートリング状コイルA8a,A8b,A8c,A8d,A8e,A8fおよび第二のショートリング状コイルA9には、励磁コイルA5の励磁界による渦電流効果による逆起電力が働き時計方向に電流A12aおよびA12bが夫々のショートリング状コイルに流れる。従って、夫々のショートリング状コイルの閉ループ内部領域では、励磁コイルA5の励磁界をキャンセルする方向に磁界が発生する。
【0031】
図15の様に、ステータ側の検出コイルA6aとロータ側の第一の複数ショートリング状コイルA8a,A8b,A8c,A8d,A8e,A8fが一部にて重なり合う状態では、検出コイルA6aの閉ループを鎖交する磁束にアンバランスが生じて検出コイルA6aの出力端S1には誘導起電圧(出力)が発生する。出力は、検出コイルA6aの閉ループとロータ側のショートリング状コイルA8a,A8b,A8c,A8d,A8e,A8fの閉ループの重なり状態(ショートリング状コイル領域を除いた同相と逆相の閉ループ面積差)により変化する。
【0032】
図14に、ステータ側の各検出コイルA6a,A6b,A6cの出力端S1,S2,S3の出力U1,U2,U3を示した。3相出力で、ロータの回転角に対して正弦波となり各出力は20度の位相が異なる。出力U1,U2,U3の出力値を処理回路A7にて比較することにより回転角60度の領域にて回転角を計測することが出来る。
【0033】
図16に、図15に示した角度検出センサのC−C′断面と磁束密度(B)分布を示した。図15に示したC−C′断面では、ロータ側の第一のショートリング状コイルA8eが検出コイルA6aの領域と重なっていることから、ショートリング状コイルA8eによるキャンセル磁界A14は検出コイルA6aの閉ループ領域に発生する。
【0034】
励磁コイルA5からの励磁界A13とショートリング状コイルA8eよるキャンセル磁界A14の磁束密度(B)分布を図16の下方に示した。励磁界A13の磁束密度(B)分布が実線A15で、キャンセル磁界A14の磁束密度(B)分布が破線A17であり、方向は逆で強度の絶対値のみ示している。また、比較のために特許文献2の従来例におけるキャンセル磁界の磁束密度(B)分布を破線A16に示した。
【0035】
励磁界A13およびキャンセル磁界A14ともに励磁コイルA5から離れるのに従い磁界強度が減少する。本発明の実施例では、キャンセル磁界A14(破線A17参照)が励磁界A13(実線A15参照)と一致して完全に励磁界A13をキャンセルすることにより、コイルの重なる領域での鎖交磁束が完全にゼロになり、検出コイルA6aからの同相と逆相の閉ループ面積差(出力)が最大化する。一方、特許文献2の従来例におけるキャンセル磁界A14(破線A16参照)では、励磁界A13(実線A15参照)に対してが弱まって十分にキャンセル出来ないことが分かる。
【0036】
この様に本発明の効果の要因は、図15に示すように、第一の複数ショートリング状コイルA8a,A8b,A8c,A8d,A8e,A8fが励磁コイルA5に近接配置されているとともに、各ショートリング状コイルが小分割された閉ループとなることからコイル長が短くなりコイル抵抗が大幅に低減できる為である。コイル抵抗が小さくなることにより、励磁界による渦電流効果(逆起電力)による各ショートリング状コイルに流れる電流A12aの減少が抑えられ、キャンセル磁界A14(破線A17参照)が有効に働くことになる。
【0037】
また、図21に示す特許文献2の従来例では、キャンセル電流A12aがショートリング状コイル20の励磁コイルA5近傍の一端にのみ流れるが、これに対して、本実施例では、図16に示す様にショートリング状コイルA8eの励磁コイルA5近傍および折り返しコイル部の両端に流れることから更にキャンセル磁界A14(破線A17参照)が有効に働く。
【0038】
更には、第二のショートリング状コイルA9を第一の複数のショートリング状コイルと電気絶縁され、一部が第一の複数のショートリング状コイルに近接し且つ回転軸A10を包含する様に形成したことにより、第二のショートリング状コイルA9にもキャンセル電流A12bが流れる。励磁コイルからの距離が離れるに従いキャンセル磁界が減少する傾向にあるが、第二のショートリング状コイルA9を設置したことにより、特に、検出コイルA6aの中心軸側領域にてキャンセル磁界A18が発生し更にキャンセル効果が有効に得られる。
【0039】
この様に構成した本発明の実施例では、上記のように従来例に比較して電磁誘導結合ロータを最適化できることから、出力の増大が図られ高精度の角度検出センサを提供することが出来る。
【0040】
別の実施例として、図17は第一の複数のショートリング状コイルA8a,A8b,A8c,A8d,A8e,A8fと、第一の複数のショートリング状コイルと電気絶縁され、一部が第一の複数のショートリング状コイルに近接し且つ回転軸A10を包含する様に形成された第二のショートリング状コイル9を示した。
【0041】
効果としては、先の実施例と同じであるが、第一の複数のショートリング状コイルを更に励磁コイルA5側に配置した小面積の閉ループとし、第二のショートリング状コイル9を円環から蛇行した閉ループ形状とした。このため、小面積の閉ループとした第一のショートリング状コイルは更にコイル抵抗の低減が図られキャンセル効果が有効に得られる。また、第一の複数のショートリング状コイルと第二のショートリング状コイルの近接部は、電気絶縁を確保した上でできるだけ近接するように設定することにより、よりキャンセル効果が有効に得られる。
【0042】
ステータ部の励磁コイルと複数の検出コイルおよび前記ロータ部のショートリング状コイルがプリント基板回路によって構成されることにより、低コスト高精度の角度検出センサが提供できる。
【0043】
以上、本発明の実施例を説明したが、実施例では3個の検知コイルでの3相出力としたが、2個の検知コイルでの2相出力の構成としても本発明の効果に変わりが無い。また、各検知コイルの位相差を20度としたが、別の角度関係としてもよい。この様な様々な検知コイルに対応する、本発明のロータ部コイルパターンの数および配置を適用することは当該技術の技術者には容易に類推し得る。
【0044】
次に、本発明になる回転軸の角度検出センサを用いた内燃機関(一例としてディーゼルエンジン用)の吸入空気量制御装置(スロットルバルブ)に付いて詳細に説明する。
【0045】
図1,図2に基づき本発明が実施される回転角度検出装置の一例を説明する。
【0046】
図1に示すように、回転軸1Aの先端に樹脂成形体で構成される有低筒状(カップ状)のホルダ1Bが取付けられている。ホルダ1Bの先端面には絶縁材製の円板1Cが接着により固定される。ホルダ1Bの先端面には環状の窪み1Eが形成されており、この窪み1Eに接着剤が流し込まれ円板1Cがその上に載せられ、接着される。円板1Cの表面(接着面の反対側の面)には後述する励起導体1Dが印刷されている。
【0047】
ホルダ1Bの筒状部の周囲には軸方向に延びる溝と、軸方向に延びる凸条が交互に形成されており、回転体1Aの内周面にはホルダ1Bの周囲の溝と凸条に対して嵌め合い部1Kを構成するように凹凸部が形成されている。両者は嵌め合い面で、接着剤によって接着してもよい。かくして、嵌め合い部1Kはホルダ1Bの周り止めとなり、また位置決めとしても機能する。
【0048】
励起導体1Dは3本一組の放射状に延びる直線部分1D1と、互いに隣接する直線部分1D1の内周側と外周側を接続するように設けられた弧状部分1D2,1D3とから構成されている。直線部分1D1は互いに60度の間隔を置いて6箇所配置されている。その結果、図2に示すごとく3つの閉ループ型ショートリング状コイル(第一ショートリング)が、等間隔に配置される。
【0049】
この3つの、閉ループ型ショートリング状コイルの内周部には電気的に絶縁を保って環状のショートリング1D9(第二ショートリング状コイル)が設けられている。
【0050】
センサのケース2Aにはホルダ1Bの直径より少し大きい直径の円形の窓孔2Bが設けられている。窓孔2Bの周囲には小さな環状突起2Cが形成されている。ケース2Aには窓孔2Bの周囲に検出部を収納する空間を形成する壁部2Dが樹脂成形により形成されている。
【0051】
環状突起2Cと壁部2Dによって形成される凹部には接着剤2Eが流し込まれる。環状の窓孔2Bを閉塞するようにして、この接着剤2Eの上に、図3に示すような樹脂フィルム2Gが設置される。樹脂フィルム2Gの周囲にはいくつかの切込み2Gが設けてあり、この部分では接着剤が露出している。
【0052】
この樹脂フィルム2Fの上に、後述する励磁導体部3A,3a及び信号検出導体部3B,3bが印刷された固定基板3が設置され、樹脂フィルム2Fの周囲に露出した接着剤2Eによって、その周囲が樹脂フィルム2Fと共にケース2Aの底面部に固定される。
【0053】
フィルム2Fに設けた2つの角型の窓孔2Hは接着剤2Eと樹脂フィルム2F及び固定基板3との間にたまった気泡を抜くためのものである。樹脂フィルム2Fは少なくとも固定基板の裏面に印刷された励磁導体部3a,信号検出導体部3bを覆い隠す面積を持ち、さらに、接着剤が固定基板3と樹脂フィルム2Fの間から励磁導体部3a,信号検出導体部3bに流れ込まないようにその距離が管理されている。また、固定基板3に励磁導体部3aの周囲を囲うように溝を設け、この溝が樹脂フィルム2Fで覆われるように構成してもよい。このように構成すれば、仮に接着剤が固定基板3と樹脂フィルム2Fの間から進入しても、励磁導体部3aまで到達できなくなる。
【0054】
ケース2Aの収納空間は蓋板2Jで覆われており、蓋板2Jを接着剤でケース2に接着することで外気と遮断する。
【0055】
固定基板3にはケース2Aにモールド成型された端子3K1−3K4が電気的に接続されている。
【0056】
図1に示すように絶縁基板である固定基板3には、環状の励磁導体3Aが4本印刷されている。またその内側には放射状に延びる信号検出導体3Bが複数本印刷されている。固定基板3の裏側にもこれと同様の励磁導体3Aおよび信号検出導体3Bが印刷されており、表裏の励磁導体3Aおよび信号検出導体3Bがスルーホール3C−3Fによって繋がっている。
【0057】
この実施例では、120度位相がずれた3相の交流信号が信号検出導体3Bから得られるように構成されている。
【0058】
また、同じ非接触型の回転検出装置が2組形成され、相互の信号を比較することで、センサの異常を検出したり、異常時には相互にバックアップするよう構成されている。
【0059】
3L,3Mはマイクロコンピュータで、それぞれの非接触型の回転角度検出装置の駆動制御と信号処理機能を有する。
【0060】
端子3K1−3K4は1本が電源端子(例えば3K1)で、1本がグランド端子(例えば3K3)、残りの2本3K2,3K4がそれぞれの角度検出装置の信号出力端子として機能する。信号端子の間にグランド端子を配置することで信号端子同士がショートして両方の信号が同時に異常状態になるのを防ぐことができる。
【0061】
マイクロコンピュータ3L,3Mは電源端子3K1から励磁導体3Aに電流を供給し、信号検出導体3Bに発生する3相の交流電流波形を処理して、励起導体1Dが取付けられた円板1Cの回転位置を検出し、結果的に回転軸1Aの回転角度を検出する。
【0062】
以下実施例の非接触型のインダクタンス式回転角度検出装置の動作について説明する。
【0063】
マイクロコンピュータ3Mは基本的に図1の表裏に形成された第一回転角度検出装置を構成する導体パターン群3A,3Bを制御するものと考えてよい。
【0064】
一方マイクロコンピュータ3Lは基本的に図1の表裏に形成された第二回転角度検出装置を構成する導体パターン群3A,3Bを制御するものと考えてよい。それぞれのコンピュータ3L,3Mは電源端子3K1から励磁導体3Aに直流電流Iaを供給する。
【0065】
励磁導体3Aに直流電流Iaが流れると、この励磁導体3Aに対面する円板1Cの励起導体1Dを構成する閉ループ型の第一ショートリングの外周弧状導体1D3に電流Iaと逆向きの電流IAが励起される。この励起された電流IAは、励起導体IDの各閉ループ型ショートリング導体全体に矢印の方向に流れる。放射方向導体1D1に流れる電流IRはこの部分に対面する信号検出導体3Bの放射状導体部に電流IRに対して逆向きの電流Irを誘起する。この電流Irは交流電流となる。中心部に設けた環状の台にショートリング1D9は先の実施例の図10や図15の第二ショートリング状コイルA9と同じもので、その機能は同実施例で説明した通りである。
【0066】
放射状に等間隔で配置された表36本,裏36本の信号検出導体3Bによって第一回転角度検出装置用の3組の相(U,V,W層)パターンと、第二回転角度検出装置の3組の相(U,V,W層)パターンとが形成される。
【0067】
交流電流Irは円板1Cが特定の回転位置、例えばスタート位置(回転角度がゼロの位置)のときU,V,W層のそれぞれの層で120度位相がずれた交流電流となる。
【0068】
円板が回転するとこれら3相の交流電流の位相が相互にずれる。マイクロコンピュータ3L,3Mがこの位相のずれを検出し、位相のずれから、円板1Cがどれだけ回転したかを検出する。
【0069】
信号検出導体3Bからマイクロコンピュータ3L,3Mに入力される第一,第二回転角度検出装置信号の2つの信号電流は基本的には同じ値を示す。マイクロコンピュータ3L,3Mはその同じ信号電流を処理して、信号端子3K1−3K4からは互いに傾きが逆で変化量が等しい信号電圧を出力する。この信号は円板の回転角度に比例する信号である。この信号を受け取った外部装置は両信号を監視し、第一,第二回転角度検出装置が正常かどうかを判断する。どちらかが異常を示す場合には、残余の検出装置の信号を制御信号として用いる。
【0070】
次に上記非接触式の回転角度検出装置をディーゼルエンジン用のモータ駆動式絞り弁(スロットル弁)制御装置に適用した例を図4〜図9を参照して具体的に説明する。
【0071】
図4はその主要断面図であり、図5〜図9は詳細構造を説明する為の分解斜視図である。
【0072】
以下モータ駆動式の絞り弁制御装置の構成について説明する。
【0073】
アルミダイキャスト製の絞り弁組体(以下スロットルボディと呼ぶ)6には吸気通路1(以下ボアと呼ぶ)とモータ20収納用のモータハウジング20Aが一緒に成型されている。
【0074】
スロットルボディ6にはボア1の一つの直径線に沿って金属製の回転軸(以下スロットルシャフトと呼ぶ)3が配置されている。スロットルシャフト3の両端はボールベアリング9,10の内輪に嵌合固定されている。ボールベアリング9,10の外輪はスロットルボディ6に設けた軸受ボス部7,8に圧入固定されている。
【0075】
かくしてスロットルシャフト3はスロットルボディ6に対して回転可能に支持されている。スロットルシャフト3には金属材製の円板で構成される絞り弁(以下スロットル弁と呼ぶ)2がスロットルシャフト3に設けたスリットに差し込まれ、ねじ4,5でスロットルシャフト3に固定されている。
【0076】
かくして、スロットルシャフト3が回転するとスロットル弁2が回転し、結果的に吸気通路の断面積が変化してエンジンへの吸入空気流量が制御される。
【0077】
モータハウジング20Aはスロットルシャフト3とほぼ並行に形成されており、ブラシ式直流モータで構成されるモータ20がモータハウジング20A内に差込まれ、スロットルボディ6の側壁6Aにモータ20のブラケット20Bのフランジ部をねじ21でねじ止めすることで固定されている。
【0078】
軸受ボス部8の開口はキャップ11で封止されており、軸受ボス部9側はスロットルシャフト3と軸受ボス部9の内壁との間にシールリング12を配置して、シャフトシール部を構成し、機密を保つよう構成されている。
【0079】
これにより、軸受部からの空気の漏れ、あるいは軸受の潤滑用のグリースが外気中や、後述するセンサ室に漏れ出すのを防止している。
【0080】
モータ20の回転軸端部には歯数の最も少ない金属製のギア22が固定されている。このギア22が設けられた側のスロットルボディ側面部にはスロットルシャフト3を回転駆動するための減速歯車機構やばね機構が纏めて配置されている。そして、これら機構部は、スロットルボディ6の側面部に固定される樹脂材製のカバー(以下ギアカバーと呼ぶ)で覆われている。そして、このギアカバーで覆われた、いわゆるギア収納室30に図1乃至図3で説明したインダクタンス式の非接触型回転角度検出装置(以下スロットルセンサと呼ぶ)が設けられ、スロットルシャフト3の回転角度、結果的にはスロットル弁2の開度が検出される。
【0081】
上記した回転角度検出装置を適用したモータ駆動式の絞り弁制御装置では、シャフトシール12からギア収納室30に漏れる窒素や、水分のような化学物質や、グリースやギアの摩耗粉などの付着からスロットルセンサの特に信号検出導体や励磁導体を保護できる。
【0082】
ギア収納室30側のスロットルシャフト3の端部にはスロットルギア13が固定されている。スロットルギア13は金属プレート14と、この金属プレート14に樹脂成形された樹脂材製ギア部15とから構成されている。金属プレート14の中心部にはカップ状の凹部を備えられ、凹部の開放側端部にギア成型用のフランジ部を有する。このフランジ部に樹脂成形によって樹脂材製ギア部15がモールド成型されている。
【0083】
金属プレート14は凹部の中央に孔を有する。スロットルシャフト3の先端部の周囲にはねじ溝が刻まれている。金属プレート14の凹部の孔にスロットルシャフト3の先端を差込み、ねじ部にナット17を螺合することでスロットルシャフト3に金属プレート14を固定する。かくして、金属プレート14及び、そこに成形された樹脂材製ギア部15はスロットルシャフト3と一体に回転する。
【0084】
スロットルギア13の背面とスロットルボディ6の側面との間に弦巻ばねで形成されたリターンスプリング16が軸方向に圧縮された状態で挟持されている。その結果、スロットルシャフト3は常時、図4の右方向に予荷重が作用し、これにより、ボールベアリングのギャップによる軸方向のがたつきが抑制されている。
【0085】
リターンスプリング16の片側は軸受ボス7の周囲を取巻き、その先端がスロットルボディ6に形成された切欠きに係止され、端部は回転方向には回転できないように構成されている。他端は金属プレート14のカップ状部を取巻き、その先端が金属プレート14に形成された孔に係止され、こちらの端部も回転方向には回転できないように構成されている。
【0086】
本実施例はディーゼルの絞り弁制御装置に関するため、スロットル弁2のイニシャル位置、つまりモータ20の電源が切断されているときにスロットル弁2が初期位置として、与えられている開度位置は全開位置である。
【0087】
このため、リターンスプリング16はモータ20が通電されていないときスロットル弁2が全開位置を維持するよう回転方向に予荷重が与えられている。
【0088】
モータ20の回転軸に取付けられたギア22とスロットルシャフト3に固定されたギア25との間にはスロットルボディ6の側面に圧入固定された金属材製の軸24に回転可能に支持された中間ギア23が噛み合っている。中間ギア23はギア22と噛み合う大径ギア23Aとスロットルギア13と噛み合う小径ギア23Bとから構成されている。両ギアは樹脂成形により一体に成型される。これらギア22,23A,23B,15は2段の減速歯車機構を構成している。
【0089】
かくして、モータ20の回転はこの減速歯車機構を介してスロットルシャフト3に伝達される。
【0090】
これら減速機構やばね機構は樹脂材製のギアカバー25によって覆われている。ギアカバー25の開口端側周縁にはシール部材32を挿入する溝が形成されており、シール部材32がこの溝に装着された状態で、ギアカバー25をスロットルボディ6に被せると、シール部材32がスロットルボディ6の側面に形成されているギア収納室30の周囲のフレームの端面に密着してギア収納室30内を外気から遮蔽する。この状態でギアカバー25をスロットルボディ6に6本のねじ26で固定する。
【0091】
このように構成された減速歯車機構とこれを覆うギアカバーとの間に形成された回転角度検出装置すなわちスロットルセンサについて以下具体的に説明する。
【0092】
スロットルギア13のカップ状部の内周部に、樹脂ホルダ19の筒状部の外周が上記で説明した凹凸嵌め合い状態で固定される。樹脂ホルダ19の先端の平面部には導電板18が印刷された円板18Aが接着により取付けられている。
【0093】
したがって、モータ20が回転してスロットル弁2が回転すると、導電板18も一体に回転する。
【0094】
ギアカバー25にはスロットルセンサの固定基板27が導電板18に対面する位置にフィルム(以下薄肉樹脂板と呼ぶ)28を挟んで固定されている。
【0095】
このギア収納室30にセンサの電子部品を搭載した基板を配すると、ギア等機構部品の摩耗粉及びギア収納室30の空気の膨張圧縮による結露にさらされる。
【0096】
さらに、ディーゼルエンジンに電子制御スロットルボディを搭載することを考慮すると、SO2(二酸化硫黄)やS8(硫黄)等の硫黄系の化学物質がボア1から、軸受9,シールリング12部を通りギア収納室30へ流入し、硫化物によって固定基板27の導体が腐食する虞がある。
【0097】
そこで本実施例は前記課題を解決する為に、図4及び図5に示すようにギアカバー25に薄肉樹脂板28を設けて、基板搭載部空間31をギア収納室30と遮断する。
【0098】
その上に固定基板27を搭載し、基板搭載部空間31を樹脂カバー29で蓋をすることで、外気とも遮断し、固定基板27をギア収納室30及び外気に対し気密性を有する基板搭載部空間31に配することができ、上記課題を克服できる。
【0099】
また、ギア収納室30と基板搭載部空間31を薄肉樹脂板28で遮断することで、非接触式回転角度検出装置の精度に影響を及ぼす導電体18と固定基板27のクリアランスを必要以上に大きくしなくてもよい構造となるため、スラスト寸法に関連する部品の公差もラフにでき、結果として小型で安価な電子制御スロットルボディを提供することができる。
【0100】
ここで、リターンスプリング16は導電板18を薄肉樹脂板28の直近まで押し、そこで導電板18が軸方向に必要以上にがたつかないように保持する機能を奏する。これにより導電板18と固定基板27との小さなクリアランスが、長期的に維持できるので、非接触式回転角度検出装置の精度の維持が可能となる。
【0101】
接着剤による薄肉樹脂板28及び固定基板27の接合構造のベストモードは、図1〜図3で説明したものと同じである。
【0102】
図9にはギア収納室30の平面図が示されている。ギアカバー29が固定されるフレーム6Fによってギア収納室30は区画されている。フレーム6Fの内側にはギアカバー29をねじ止めするためのねじ孔が6箇所見える。6P1−6P3はギアカバー29の位置決め用の壁で、この3箇所の壁にギアカバー29の位置決め突起が係止されることで固定基板27の導体が回転側の導体と位置決めされ、要求される許容範囲内の信号を出力することができる。全開ストッパ13Aはスロットルギア13のイニシャル位置(つまり、全開位置)を機械的に決めるもので、スロットルボディの側壁に一体に形成された突起で構成されている。
【0103】
この突起にスロットルギア13の切欠き終端部が当接することで、スロットルシャフト3は全開位置を越えて回転できない。
【0104】
全閉ストッパ13Bはスロットルシャフト3の全閉位置を規制するもので、スロットルギア13の反対側の終端13Cが全閉位置において、全閉ストッパ13Bに衝突し、全閉位置以上にスロットルシャフト3が回転するのを阻止する。これにより、スロットルシャフト3の端部に固定した固定側の導体(励起導体18)の回転方向の位置の最大値が決定される。
【0105】
これらストッパの位置における、信号検出導体(図2の符号1Cで示されたものに対応する)の出力が全閉,全開値を示す。20Bはモータブラケットを、20Fはモータブラケット20Bのフランジ部を示す。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】インダクタンス式の非接触型回転角度検出装置の要部拡大断面図。
【図2】インダクタンス式の非接触型回転角度検出装置の主要部分解斜視図。
【図3】インダクタンス式の非接触型回転角度検出装置の主要部品拡大平面図。
【図4】ディーゼルエンジン車に用いるモータ駆動式の絞り弁制御装置の断面図。
【図5】ディーゼルエンジン車に用いるモータ駆動式の絞り弁制御装置のギアカバーの分解斜視図。
【図6】ディーゼルエンジン車に用いるモータ駆動式の絞り弁制御装置の外観斜視図。
【図7】ディーゼルエンジン車に用いるモータ駆動式の絞り弁制御装置のギアカバーをはずした斜視図。
【図8】ディーゼルエンジン車に用いるモータ駆動式の絞り弁制御装置のスロットルボディ側分解斜視図。
【図9】ディーゼルエンジン車に用いるモータ駆動式の絞り弁制御装置のギア収納室の平面図。
【図10】本発明の角度検出センサのロータ部コイルパターン平面図。
【図11】本発明の角度検出センサの組立図。
【図12】ステータ部のコイルパターンの平面図。
【図13】ステータ部のコイルパターンの模式平面図。
【図14】角度検出センサからの出力信号波形図。
【図15】本発明のロータ部とステータ部のコイルパターン平面図。
【図16】本発明の角度検出センサの効果説明図。
【図17】他の実施例であるロータ部コイルパターン平面図。
【図18】従来例のロータ部コイルパターン平面図。
【図19】従来例のロータ部とステータ部のコイルパターン平面図。
【図20】従来例の角度検出センサの説明図。
【図21】従来例の角度検出センサの説明図。
【図22】従来例のロータ部コイルパターン平面図。
【符号の説明】
【0107】
A1 角度検出センサ
A2 ステータ部プリント回路基板
A3 回転体
A4 プリント回路基板
A5 励磁コイル
A6,A6a,A6b,A6c 検出コイル
A7 処理回路
A8a,A8b,A8c,A8d,A8e,A8f 第一のショートリング状コイル
A9 第二のショートリング状コイル
A10 回転中心軸
A11 励磁コイル電流方向
A12a,A12b,A12c,A12d ショートリング状コイル電流方向
A13 励磁コイルの磁界方向
A14,A18 ショートリング状コイルの磁界方向
A15,A16,A17 磁束密度分布曲線
A20,A21 ショートリング状コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的な交流電圧が印加される励磁コイルと当該励磁コイル内の所定位置に配置された複数の検知コイルとを有するステータ部と、
前記ステータ部に対して相対的に回転する回転軸に取付けられ、前記ステータ部の励磁コイルと複数の検知コイルの近傍に非接触状態で配置され、前記ステータ部に対して相対的に回転することで前記コイル間の電磁誘導結合の強さを変化させるロータ部と、
前記電磁誘導結合の強さの変化に基づく前記複数の検知コイルの出力信号から前記ステータ部に対する前記ロータ部の相対的な回転角度を検出する処理回路からなる角度検出センサにおいて、
前記ロータ部には、
前記ステータ部の励磁コイルに近接配置されるロータ部に、互いに電気絶縁された複数の第一ショートリング状コイルをロータの回転方向に特定の間隔で配置し、
前記複数の第一ショートリング状コイルと電気的に絶縁され、少なくとも一部が前記複数の第一ショートリング状コイルに近接する唯一の第二ショートリング状コイルを前記回転軸の周りに配置した
ことを特徴とする角度検出センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の角度検出センサにおいて、前記ステータ部の励磁コイルと前記複数の検知コイルおよび前記ロータ部の前記ショートリング状コイルは、夫々プリント基板回路によって構成されたことを配置したことを特徴とする角度検出センサ。
【請求項3】
前記第一ショートリング状コイルが小分割された複数の閉ループ型ショートリング状コイル部で構成され、
前記唯一の第二ショートリング状コイルが前記第一ショートリング状コイルに配置され、環状若しくは凹凸部が交互に形成された閉ループ型のショートリング状コイル部で構成されていることを特徴とする角度検出センサ。
【請求項4】
前記第一ショートリング状コイルと第二ショートリング状コイルが形成された前記回転軸がスロットルボディに形成された吸気通路を横断しており、
前記回転軸には前記吸気通路内で、回転するスロットルバルブが固定されており、
前記スロットルバルブの回転によって前記吸気通路を流れる空気量が調節され、
前記ロータ部を覆うカバー部に前記ステータ部が設けられている
請求項1乃至3に記載された角度検出センサを備えた内燃機関の空気流量制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−309598(P2008−309598A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156954(P2007−156954)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】