説明

角速度検出装置及び電子機器

【課題】振動漏れ成分に起因する角速度信号の温度変動を高次の温度補償回路を用いずに補償可能な角速度検出装置及び電子機器を提供すること。
【解決手段】角速度検出装置1は、角速度成分と振動漏れ成分とを含む信号を発生させる振動子(ジャイロセンサー素子100)と、駆動信号を生成して振動子に供給する駆動回路20と、振動子が発生させる信号から角速度成分を抽出し、当該角速度成分の大きさに応じた角速度信号36aを生成する角速度信号生成部(同期検波回路350及び積分回路360)と、振動子が発生させる信号から振動漏れ成分を抽出し、当該振動漏れ成分の大きさに応じた振動漏れ信号36bを生成する振動漏れ信号生成部(同期検波回路352及び積分回路362)と、角速度信号36aの温度特性を補正するように、角速度信号36aに振動漏れ信号36bを所与の比率で加算又は減算する加減算部(加減算回路370)と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角速度検出装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、角速度検出装置を搭載し、検出した角速度に基づいて所定の制御を行う様々な電子機器やシステムが広く利用されている。例えば、自動車の走行制御システムでは、検出された角速度に基づいて自動車の横滑りを防止したり横転を検知する処理が行なわれている。
【0003】
これらの電子機器やシステムでは、角速度検出装置が故障すると誤った制御が行われるので、故障している場合には警告ランプを点灯する等の対策が行われており、角速度検出装置の故障診断を行うための種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1では、角速度検出装置の振動子からの出力信号には角速度成分とともに振動子の励振振動に基づく自己振動成分(振動漏れ成分)が含まれていることに着目し、振動子の出力信号から振動漏れ成分を抽出してその振幅を監視することで故障の有無を判定する手法が開示されている。また、特許文献2では、振動子の振動エネルギーがアンバランスになるようにバランスチューニングすることで、確実に自己振動成分を発生させて故障診断を行う手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−171257号公報
【特許文献2】特開2010−107416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、角速度成分の抽出回路では振動漏れ成分をまったく抽出しないのが理想ではあるが、実際には回路製造上のばらつきなどにより、同期検波クロックの位相ズレが発生し、抽出される角速度信号(ジャイロ信号)に振動漏れ成分が入り込んでしまう。そのため、特に特許文献2のように故意に振動漏れ成分を大きくすると、振動漏れ成分の温度特性の影響を大きく受けて角速度信号の温度特性が悪化してしまうという問題がある。振動漏れ成分の温度特性が1次関数や2次関数であれば、小規模な温度補償回路にて補正することも可能であるが、実際には高次関数で表現される温度特性を示し、それを高次の関数回路で温度補正しようとすると回路規模が大きくなってしまう。
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、振動漏れ成分に起因する角速度信号の温度変動を高次の温度補償回路を用いずに補償可能な角速度検出装置及び電子機器を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、角速度の大きさに応じた角速度成分と前記駆動信号に基づく振動の振動漏れ成分とを含む信号を発生させる振動子と、前記駆動信号を生成して前記振動子に供給する駆動部と、前記振動子が発生させる信号から前記角速度成分を抽出し、当該角速度成分の大きさに応じた角速度信号を生成する角速度信号生成部と、前記振動子が発生させる信号から前記振動漏れ成分を抽出し、当該振動漏れ成分の大きさに応じた振動漏れ信号を生成する振動漏れ信号生成部と、前記角速度信号の温度特性を補正するように、前記角速度信号に前記振動漏れ信号を所与の比率で加算又は減算する加減算部と、を含む、角速度検出装置である。
【0008】
角速度信号生成部は、例えば、駆動信号に同期した第1の検波信号に基づいて、振動子が発生させる信号から角速度成分を抽出するようにしてもよい。また、振動漏れ信号生成部は、例えば、駆動信号に同期し、かつ、第1の検波信号と位相が異なる第2の検波信号に基づいて、振動子が発生させる信号から振動漏れ成分を抽出するようにしてもよい。
【0009】
本発明によれば、角速度信号の温度特性と振動漏れ信号の温度特性の間に相関があることを前提として、角速度信号に振動漏れ信号を所与の比率で加算又は減算することで角速度信号の温度特性を補正することができる。従って、振動漏れ成分に起因する角速度信号の温度変動を高次の温度補償回路を用いずに補償することができる。
【0010】
(2)この角速度検出装置は、前記加減算部に入力される前記角速度信号の温度特性の1次成分を第1の値に近づけるように調整する第1の1次温度調整部と、前記加減算部に入力される前記振動漏れ信号の温度特性の1次成分を第2の値に近づけるように調整する第2の1次温度調整部とを含むようにしてもよい。
【0011】
角速度信号の温度特性と振動漏れ信号の温度特性の関係に応じて、第1の値と第2の値として、加減算部での加算又は減算により角速度信号の温度特性が補正されるような2つの値を選択すればよい。例えば、角速度信号の温度特性カーブと振動漏れ信号の温度特性カーブが同じ向きである場合は、第1の値と第2の値として同じ値を選択し、加減算部で角速度信号から振動漏れ信号を所与の比率で減算するようにしてもよい。逆に、角速度信号の温度特性カーブと振動漏れ信号の温度特性カーブが反対向きである場合は、第1の値と第2の値として符号が異なり同じ絶対値の2つの値をそれぞれ選択し、加減算部で角速度信号に振動漏れ信号を所与の比率で加算するようにしてもよい。
【0012】
このようにすれば、角速度信号の温度特性の1次成分と振動漏れ信号の温度特性の1次成分に大きな差があるような場合でも、角速度信号の温度補償を行うことができる。
【0013】
(3)この角速度検出装置は、前記加減算部に入力される前記角速度信号の温度特性の1次成分と前記加減算部に入力される前記振動漏れ信号の温度特性の1次成分の一方を他方に近づけるように調整する1次温度調整部を含むようにしてもよい。
【0014】
このようにすれば、角速度信号の温度特性の1次成分と振動漏れ信号の温度特性の1次成分に大きな差があるような場合でも、角速度信号の温度補償を行うことができる。
【0015】
(4)この角速度検出装置は、前記加減算部により加算又は減算された信号の温度特性の1次成分を補正する1次温度補正部を含むようにしてもよい。
【0016】
このようにすれば、角速度信号の温度特性の1次成分と振動漏れ信号の温度特性の1次成分に大きな差があるような場合でも、角速度信号の温度補償をより精度良く行うことができる。
【0017】
(5)この角速度検出装置は、前記振動漏れ信号に基づく信号を外部に出力する端子を含むようにしてもよい。
【0018】
振動漏れ信号に基づく信号は、振動漏れ信号そのものであってもいいし、振動漏れ信号に対して増幅等の所定の処理を施した信号も含まれる。
【0019】
振動漏れ成分の振幅が角速度によらずに一定であることを前提として、振動漏れ信号に基づく信号を監視することで角速度検出装置の故障の有無を外部から認識することができる。
【0020】
(6)この角速度検出装置は、前記振動漏れ信号に基づいて、当該角速度検出装置の故障の有無を判定する故障判定部を含むようにしてもよい。
【0021】
このようにすれば、当該角速度検出装置が自己の故障の有無を認識することができる。また、故障判定部の判定結果の信号を外部に出力すれば、故障判定部の出力信号を監視することで当該角速度検出装置の故障の有無を外部から直接的に認識することができる。
【0022】
(7)この角速度検出装置において、前記加減算部は、入力信号の極性を反転する反転増幅器と、前期反転増幅器をバイパスするか否かを選択するスイッチ回路と、前記反転増幅器と直列に配置され、可変に設定可能な利得で入力信号を増幅又は減衰させる可変利得増幅器と、を含み、前記反転増幅器及び前記スイッチ回路により、前記振動漏れ信号の極性を反転して前記角速度信号に加算するか否かを選択し、前記可変利得増幅器により、前記角速度信号に加算する前記振動漏れ信号の比率を選択するようにしてもよい。
【0023】
このようにすれば、スイッチ回路の接続設定により振動漏れ信号の極性を反転するか否かを選択することができるとともに、可変利得増幅器の利得設定により振動漏れ信号を所望のレベルに増幅又は減衰させることができる。従って、振動漏れ信号の温度特性のレベルや極性にばらつきがあっても、角速度信号の温度特性またはその極性を反転した温度特性に近づけることができる。これにより、角速度信号の温度補償を実現することができる。
【0024】
(8)本発明は、上記のいずれかの角速度検出装置を含む、電子機器である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態の角速度検出装置の構成例を示す図。
【図2】ジャイロセンサー素子の振動片の平面図。
【図3】ジャイロセンサー素子の動作について説明するための図。
【図4】ジャイロセンサー素子の動作について説明するための図。
【図5】角速度検出原理について説明するための波形図。
【図6】振動漏れ検出原理について説明するための波形図。
【図7】角速度信号の温度特性と振動漏れ信号の温度特性の一例を示す図。
【図8】角速度信号の温度特性と振動漏れ信号の温度特性の一例を示す図。
【図9】加減算回路の構成例を示す図。
【図10】第1実施形態における角速度信号の温度特性を補正する例を示す図。
【図11】第1実施形態における角速度信号の温度特性を補正する例を示す図。
【図12】角速度信号の温度特性と振動漏れ信号の温度特性の一例を示す図。
【図13】第2実施形態の角速度検出装置の構成例を示す図。
【図14】1次温度調整回路の構成例を示す図。
【図15】第2実施形態における角速度信号の温度特性を補正する例を示す図。
【図16】第3実施形態の角速度検出装置の構成例を示す図。
【図17】第3実施形態における角速度信号の温度特性を補正する例を示す図。
【図18】第4実施形態の角速度検出装置の構成例を示す図。
【図19】第4実施形態における角速度信号の温度特性を補正する例を示す図。
【図20】電子機器の機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0027】
1.角速度検出装置
1−1.第1実施形態
図1は、第1実施形態の角速度検出装置の構成例を示す図である。
【0028】
第1実施形態の角速度検出装置1は、ジャイロセンサー素子100と角速度検出用IC10を含んで構成されている。
【0029】
ジャイロセンサー素子100(振動子の一例)は、駆動電極と検出電極が配置された振動片が不図示のパッケージに封止されて構成されている。一般的に、振動片のインピーダンスをできるだけ小さくして発振効率を高めるためにパッケージ内の気密性が確保されている。
【0030】
ジャイロセンサー素子100の振動片は、例えば、水晶(SiO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)等の圧電単結晶やジルコン酸チタン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスなどの圧電性材料を用いて構成してもよいし、シリコン半導体の表面の一部に、駆動電極に挟まれた酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)等の圧電薄膜を配置した構造であってもよい。
【0031】
本実施形態では、ジャイロセンサー素子100は、T型の2つの駆動振動腕を有するいわゆるダブルT型の振動片により構成される。ただし、ジャイロセンサー素子100の振動片は、例えば、音叉型であってもよいし、三角柱、四角柱、円柱状等の形状の音片型であってもよい。
【0032】
図2は、本実施形態のジャイロセンサー素子100の振動片の平面図である。
【0033】
本実施形態のジャイロセンサー素子100は、Zカットの水晶基板により形成されたダブルT型の振動片を有する。水晶を材料とする振動片は、温度変化に対する共振周波数の変動が極めて小さいので、角速度の検出精度を高めることができるという利点がある。なお、図2におけるX軸、Y軸、Z軸は水晶の軸を示す。
【0034】
図2に示すように、ジャイロセンサー素子100の振動片は、2つの駆動用基部104a、104bからそれぞれ駆動振動腕101a、101bが+Y軸方向及び−Y軸方向に延出している。駆動振動腕101aの側面及び上面にはそれぞれ駆動電極112及び113が形成されており、駆動振動腕101bの側面及び上面にはそれぞれ駆動電極113及び112が形成されている。駆動電極112、113は、それぞれ、図1に示した角速度検出用IC10の外部出力端子11、外部入力端子12を介して駆動回路20に接続される。
【0035】
駆動用基部104a、104bは、それぞれ−X軸方向と+X軸方向に延びる連結腕105a、105bを介して矩形状の検出用基部107に接続されている。
【0036】
検出振動腕102は、検出用基部107から+Y軸方向及び−Y軸方向に延出している。検出振動腕102の上面には検出電極114及び115が形成されており、検出振動腕102の側面には共通電極116が形成されている。検出電極114、115は、それぞれ、図1に示した角速度検出用IC10の外部入力端子13、14を介して検出回路30に接続される。また、共通電極116は接地される。
【0037】
駆動振動腕101a、101bの駆動電極112と駆動電極113との間に駆動信号として交流電圧が与えられると、図3に示すように、駆動振動腕101a、101bは逆圧電効果によって矢印Bのように、2本の駆動振動腕101a、101bの先端が互いに接近と離間を繰り返す屈曲振動(励振振動)をする。
【0038】
この状態で、ジャイロセンサー素子100の振動片にZ軸を回転軸とした角速度が加わると、駆動振動腕101a、101bは、矢印Bの屈曲振動の方向とZ軸の両方に垂直な方向にコリオリの力を得る。その結果、図4に示すように、連結腕105a、105bは矢印Cで示すような振動をする。そして、検出振動腕102は、連結腕105a、105bの振動(矢印C)に連動して矢印Dのように屈曲振動をする。このコリオリ力に伴う検出振動腕102の屈曲振動と駆動振動腕101a、101bの屈曲振動(励振振動)とは位相が90°ずれている。
【0039】
ところで、駆動振動腕101a、101bが屈曲振動(励振振動)をするときの振動エネルギーの大きさ又は振動の振幅の大きさが2本の駆動振動腕101a、101bで等しければ、駆動振動腕101a、101bの振動エネルギーのバランスがとれており、ジャイロセンサー素子100に角速度がかかっていない状態では検出振動腕102は屈曲振動しない。ところが、2つの駆動振動腕101a、101bの振動エネルギーのバランスがくずれると、ジャイロセンサー素子100に角速度がかかっていない状態でも検出振動腕102に屈曲振動が発生する。この屈曲振動は漏れ振動と呼ばれ、コリオリ力に基づく振動と同様に矢印Dの屈曲振動であるが、駆動信号とは同位相である。
【0040】
そして、圧電効果によってこれらの屈曲振動に基づいた交流電荷が、検出振動腕102の検出電極114、115に発生する。ここで、コリオリ力に基づいて発生する交流電荷は、コリオリ力の大きさ(言い換えれば、ジャイロセンサー素子100に加わる角速度の大きさ)に応じて変化する。一方、漏れ振動に基づいて発生する交流電荷は、ジャイロセンサー素子100に加わる角速度の大きさに関係せず一定である。
【0041】
なお、駆動振動腕101a、101bの先端には、駆動振動腕101a、101bよりも幅の広い矩形状の錘部103が形成されている。駆動振動腕101a、101bの先端に錘部103を形成することにより、コリオリ力を大きくするとともに、所望の共振周波数を比較的短い振動腕で得ることができる。同様に、検出振動腕102の先端には、検出振動腕102よりも幅の広い錘部106が形成されている。検出振動腕102の先端に錘部106を形成することにより、検出電極114、115に発生する交流電荷を大きくすることができる。
【0042】
以上のようにして、ジャイロセンサー素子100は、Z軸を検出軸としてコリオリ力に基づく交流電荷(角速度成分)と、励振振動の漏れ振動に基づく交流電荷(振動漏れ成分)とを検出電極114、115を介して出力する。
【0043】
ところで、ジャイロセンサー素子100に加わるコリオリ力Fは次式(1)で計算される。
【0044】
【数1】

【0045】
式(1)において、mは等価質量、vは振動速度、Ωは角速度である。式(1)によると、角速度Ωが一定であっても、等価質量m又は振動速度vが変化すればコリオリ力もそれらに伴って変化する。すなわち、等価質量m又は振動速度vが変化することにより角速度の検出感度が変化することになる。ジャイロセンサー素子100の振動片が何らかの故障によって振動状態が変化すると、駆動振動の等価質量m又は振動速度vが変化するので、検出感度が変化することになる。また同時に、漏れ振動の状態も変化するので振動漏れ成分の大きさも変化する。すなわち、振動漏れ成分の大きさと角速度の検出感度の間には相関があり、振動漏れ成分の大きさを監視することで、ジャイロセンサー素子100の故障の有無を判定することができる。
【0046】
そこで、本実施形態では、駆動振動腕101a、101bの振動エネルギーのバランスがわずかに崩れるようにして所望のレベルの振動漏れ成分を積極的に発生させるようにしている。特に、本実施形態では、ジャイロセンサー素子100はダブルT型の振動片を用いて構成されているため、レーザー加工等により、駆動振動腕101aの先端の錘部103と駆動振動腕101bの先端の錘部103の質量に差をつけることで、駆動振動腕101aの屈曲振動と駆動振動腕101bの屈曲振動をアンバランスにすることが容易にできる。
【0047】
図1に戻り、角速度検出用IC10は、駆動回路20、検出回路30、基準電源回路40、メモリー50を含んで構成されている。
【0048】
駆動回路20は、I/V変換回路(電流電圧変換回路)210、AC増幅回路220及び振幅調整回路230を含んで構成されている。
【0049】
ジャイロセンサー素子100の振動片に流れた駆動電流は、I/V変換回路210によって交流電圧信号に変換される。
【0050】
I/V変換回路210から出力された交流電圧信号は、AC増幅回路220及び振幅調整回路230に入力される。AC増幅回路220は、入力された交流電圧信号を増幅し、所定の電圧値でクリップさせて方形波電圧信号22を出力する。振幅調整回路230は、I/V変換回路210が出力する交流電圧信号のレベルに応じて、方形波電圧信号22の振幅を変化させ、駆動電流が一定に保持するようにAC増幅回路220を制御する。
【0051】
方形波電圧信号22は、外部出力端子11を介してジャイロセンサー素子100の振動片の駆動電極112に供給される。このように、ジャイロセンサー素子100は図3に示すような所定の駆動振動を継続して励振している。また、駆動電流を一定に保つことにより、ジャイロセンサー素子100の駆動振動腕101a、101bは一定の振動速度を得ることができる。そのため、コリオリ力を発生させる元となる振動速度は一定となり、感度をより安定にすることができる。
【0052】
検出回路30は、チャージアンプ310,312、差動増幅回路320、AC増幅回路330、移相回路340、同期検波回路350,352、積分回路360,362、加減算回路370、DC増幅回路380,382を含んで構成されている。
【0053】
チャージアンプ310には、外部入力端子13を介してジャイロセンサー素子100の振動片の検出電極114から角速度成分と振動漏れ成分を含む交流電荷が入力される。
【0054】
同様に、チャージアンプ312には、外部入力端子14を介してジャイロセンサー素子100の振動片の検出電極115から角速度成分と振動漏れ成分を含む交流電荷が入力される。
【0055】
このチャージアンプ310及び312は、それぞれ入力された交流電荷を基準電圧Vrefを基準とした交流電圧信号に変換する。なお、基準電圧Vrefは、基準電源回路40により、電源入力端子15から入力された外部電源に基づいて生成される。
【0056】
差動増幅回路320は、チャージアンプ310の出力信号とチャージアンプ312の出力信号を差動増幅する。差動増幅回路320は、同相成分を消去し、逆相成分を加算増幅するためのものである。
【0057】
AC増幅回路330は、差動増幅回路330の出力信号を増幅する。このAC増幅回路330の出力信号には角速度成分と振動漏れ成分が含まれており、被検波信号33として同期検波回路350と352に入力される。
【0058】
同期検波回路350は、被検波信号33に対して方形波電圧信号22を検波信号として同期検波を行う。同期検波回路350は、例えば、方形波電圧信号22の電圧レベルが基準電圧Vrefよりも高い時は被検波信号33を選択し、方形波電圧信号22の電圧レベルが基準電圧Vrefよりも低い時は被検波信号33を基準電圧Vrefに対して反転した信号を選択するスイッチ回路として構成することができる。
【0059】
同期検波回路352は、被検波信号33に対して、位相回路340で方形波電圧信号22を90°位相を遅らせた方形波電圧信号34を検波信号として同期検波を行う。同期検波回路352は、例えば、方形波電圧信号34の電圧レベルが基準電圧Vrefよりも高い時は被検波信号33を選択し、方形波電圧信号34の電圧レベルが基準電圧Vrefよりも低い時は被検波信号33を基準電圧Vrefに対して反転した信号を選択するスイッチ回路として構成することができる。
【0060】
同期検波回路350の出力信号は、積分回路360で直流電圧信号に平滑化され、角速度信号36aとして加減算回路370に入力される。
【0061】
同期検波回路352の出力信号は、積分回路362で直流電圧信号に平滑化され、振動漏れ信号36bとして加減算回路370とDC増幅回路382に入力される。
【0062】
加減算回路370は、角速度信号36aに振動漏れ信号36bをあらかじめ設定された比率で加算又は減算する。
【0063】
DC増幅回路380は、加減算回路370により温度特性が補正された角速度信号37を所望のレベルになるように増幅又は減衰し、角速度信号38aとして外部出力端子16を介して外部に出力する。そして、外部装置(不図示)は、この角速度信号38aをモニターすることで角速度の情報を得ることができる。
【0064】
DC増幅回路382は、振動漏れ信号36bを所望のレベルになるように増幅又は減衰し、振動漏れ信号38bとして外部出力端子17を介して外部に出力する。そして、外部装置(不図示)は、この振動漏れ信号38bを監視することで、ジャイロセンサー素子100の故障や断線等の故障の有無を判定することができる。
【0065】
また、角速度検出用IC10に角速度検出装置1の故障判定を行う故障判定回路60を組み込んでもよい。故障判定回路60は、振動漏れ信号36bに基づいて角速度検出装置1の故障の有無を判定し、故障判定信号62を外部出力端子18を介して外部に出力する。故障判定回路60は、例えば、振動漏れ信号36bの振幅が所定範囲内にあれば正常(故障なし)と判定し、所定範囲内になければ故障ありと判定するようにしてもよい。なお、振動漏れ信号36bの振幅はサンプル毎にばらつくので、故障判定の基準値をメモリー50に記憶させておいてもよい。
【0066】
なお、駆動回路20は、本発明における駆動部として機能する。また、同期検波回路350と積分回路360による構成は、本発明における角速度信号生成部として機能する。ただし、同期検波回路350とその出力信号をそれぞれ本発明における角速度信号生成部と角速度信号に対応させてもよい。また、同期検波回路352と積分回路362による構成は、本発明における振動漏れ信号生成部として機能する。ただし、同期検波回路352とその出力信号をそれぞれ本発明における振動漏れ信号生成部と振動漏れ信号に対応させてもよい。また、加減算回路370は、本発明における加減算部として機能する。また、故障判定回路60は、本発明における故障判定部として機能する。
【0067】
次に、図1に示した角速度検出装置の角速度検出原理について、図5の波形図を用いて説明する。図5は、図1のA点〜J点における信号波形の一例を示す図であり、横軸は時間、縦軸は電圧を表す。
【0068】
ジャイロセンサー素子100の振動片が振動している状態では、I/V変換回路210の出力(A点)には、ジャイロセンサー素子100の振動片の駆動電極113からフィードバックされた電流が変換された一定周波数の交流電圧が発生している。すなわち、I/V変換回路210の出力(A点)には、一定周波数の正弦波電圧信号が発生している。
【0069】
そして、AC増幅回路220の出力(B点)には、I/V変換回路210の出力信号(A点の信号)が増幅された、振幅が一定値Vの方形波電圧信号22が発生する。
【0070】
ジャイロセンサー素子100に角速度が加わると、ジャイロセンサー素子100の振動片の検出電極114、115に発生する信号には角速度成分と振動漏れ成分が含まれる。この角速度成分の大きさはコリオリ力の大きさに応じて変化する。一方、振動漏れ成分は角速度の大きさによらず一定の大きさである。ただし、図5では、角速度の検出原理を説明することが目的であるため、角速度成分のみに着目した信号波形を示しており、以下の説明においても角速度成分のみに着目して説明する。
【0071】
ジャイロセンサー素子100の振動片の検出電極114及び115に発生した信号の角速度成分(交流電荷)は、それぞれチャージアンプ310及び312により、交流電圧信号に変換される。その結果、チャージアンプ310及び312の出力(C点及びD点)には、AC増幅回路220の出力信号(B点の信号)と同じ周波数の正弦波電圧信号が発生する。ここで、チャージアンプ310の出力信号(C点の信号)の位相は、AC増幅回路220の出力信号(B点の信号)と同位相である。また、チャージアンプ312の出力信号(D点の信号)の位相は、チャージアンプ310の出力信号(C点の信号)に対して逆位相である(180°ずれている)。
【0072】
チャージアンプ310及び312の出力信号(C点の信号及びD点の信号)は差動増幅回路320により差動増幅され、AC増幅回路330の出力(E点)には、チャージアンプ310の出力(C点)に発生する正弦波電圧信号と同じ周波数で同位相の正弦波電圧信号が発生する。AC増幅回路330の出力(E点)に発生するこの正弦波電圧信号は、ジャイロセンサー素子100の検出電極114、115に発生する信号の角速度成分を増幅した信号である。
【0073】
AC増幅回路330の出力信号(E点の信号)は、同期検波回路350により方形波電圧信号22に基づいて同期検波される。ここで、AC増幅回路330の出力信号(E点の信号)と方形波電圧信号22(B点の信号)は同位相であるので、同期検波回路350の出力信号(G点の信号)は、AC増幅回路330の出力信号(E点の信号)が全波整流された信号となる。その結果、積分回路360の出力(H点)には、角速度の大きさに応じた電圧値Vの直流電圧信号(角速度信号36a)が発生する。
【0074】
一方、移相回路340の出力(F点)には、方形波電圧信号22(B点の信号)に対して90°位相が遅れた方形波電圧信号34が発生し、AC増幅回路330の出力信号(E点の信号)は、同期検波回路352により方形波電圧信号34に基づいて同期検波される。ここで、AC増幅回路330の出力信号(E点の信号)と方形波電圧信号34(F点の信号)は90°位相がずれているので、同期検波回路352の出力信号(I点の信号)において、基準電圧Vrefよりも高い電圧の積分量と基準電圧Vrefよりも低い電圧の積分量が等しくなる。その結果、角速度成分はキャンセルされ、積分回路362の出力(J点)には基準電圧Vrefの直流電圧信号が発生する。
【0075】
なお、角速度検出装置1に図5と逆方向の角速度が加わった場合には、チャージアンプ310の出力信号(C点の信号)及びチャージアンプ312の出力信号(D点の信号)がともに基準電圧Vrefを中心として反転した波形になる。その結果、角速度信号36a(H点の信号)は、図5とは逆に基準電圧Vrefよりも低い電圧の信号になる。角速度信号36aは、その電圧値がコリオリ力の大きさ(角速度の大きさ)に比例し、その極性が回転方向により決まるので、角速度信号36aに基づいて角速度検出装置1に加えられた角速度を計算することができる。
【0076】
次に、図1に示した角速度検出装置の振動漏れ検出原理について、図6の波形図を用いて説明する。図6は、図1のA点〜J点における信号波形の一例を示す図であり、横軸は時間、縦軸は電圧を表す。
【0077】
図6において、A点、B点、F点の各信号波形は図5と同じであり、その説明を省略する。また、図6では、振動漏れの検出原理を説明することが目的であるため、振動漏れ成分のみに着目した信号波形を示しており、以下の説明においても振動漏れ成分のみに着目して説明する。
【0078】
ジャイロセンサー素子100の振動片の検出電極114及び115に発生した信号の振動漏れ成分(交流電荷)は、それぞれチャージアンプ310及び312により、交流電圧信号に変換される。その結果、チャージアンプ310及び312の出力(C点及びD点)には、AC増幅回路220の出力信号(B点の信号)と同じ周波数の正弦波電圧信号が発生する。ここで、チャージアンプ310の出力信号(C点の信号)の位相は、AC増幅回路220の出力信号(B点の信号)に対して90°ずれている。また、チャージアンプ312の出力信号(D点の信号)の位相は、チャージアンプ310の出力信号(C点の信号)に対して逆位相である(180°ずれている)。
【0079】
チャージアンプ310及び312の出力信号(C点の信号及びD点の信号)は差動増幅回路320により差動増幅され、AC増幅回路330の出力(E点)には、チャージアンプ310の出力(C点)に発生する正弦波電圧信号と同じ周波数で同位相の正弦波電圧信号が発生する。AC増幅回路330の出力(E点)に発生するこの正弦波電圧信号は、ジャイロセンサー素子100の検出電極114、115に発生する信号の振動漏れ成分を増幅した信号である。
【0080】
AC増幅回路330の出力信号(E点の信号)は、同期検波回路350により方形波電圧信号22に基づいて同期検波される。ここで、AC増幅回路330の出力信号(E点の信号)と方形波電圧信号22(B点の信号)は90°位相がずれているので、同期検波回路350の出力信号(G点の信号)において、基準電圧Vrefよりも高い電圧の積分量と基準電圧Vrefよりも低い電圧の積分量が等しくなる。その結果、振動漏れ成分はキャンセルされ、積分回路360の出力(H点)には基準電圧Vrefの直流電圧信号が発生する。
【0081】
一方、AC増幅回路330の出力信号(E点の信号)は、同期検波回路352により方形波電圧信号34に基づいて同期検波される。ここで、AC増幅回路330の出力信号(E点の信号)と方形波電圧信号34(F点の信号)は同位相であるので、同期検波回路352の出力信号(I点の信号)は、AC増幅回路330の出力信号(E点の信号)が全波整流された信号となる。その結果、積分回路362の出力(J点)には、振動漏れ成分の大きさに応じた電圧値Vの直流電圧信号(振動漏れ信号36b)が発生する。
【0082】
そして、振動漏れ信号36bの電圧値は振動漏れ成分の大きさに比例するが、故障がなければ振動漏れ成分の大きさは一定なので、振動漏れ信号36bを監視することで角速度検出装置1の故障の有無を判定することができる。
【0083】
図5及び図6では、駆動振動腕101a、101bの振動エネルギーのバランスがとれており、かつ、移相回路340で正確に90°だけ位相が遅れるものとして理想的な検出原理を説明したが、実際にはこの振動エネルギーのバランスはジャイロセンサー素子毎にばらつきがあり、移相回路340で遅れる位相もIC毎にばらつきがある。その結果、同期検波回路350で振動漏れ成分が検波されてしまい、角速度信号36aはその分だけオフセットを持つことになる。オフセットが温度によらず一定であれば、不図示のオフセット調整回路(0点調整回路)により補正することができる。ところが、角速度信号36aの温度特性は平坦でないため、本実施形態の角速度検出装置1では、積分回路360の後段に加減算回路370を設けて、角速度信号36aの温度特性を補正している。具体的には、角速度信号36aの温度特性と振動漏れ信号36bの温度特性に相関があることに着目し、加減算回路370において、振動漏れ信号36bを用いて角速度信号36aの温度特性を補正している。
【0084】
図7(A)〜図7(C)及び図8(A)〜図8(C)は、角速度検出装置1の6つのサンプルについて、角速度検出装置1が静止している(角速度が加わっていない)時の角速度信号36aの温度特性と振動漏れ信号36bの温度特性の一例を示す図である。各図において、横軸は時間、縦軸は電圧を表す。また、各図において、実線は角速度信号36aの温度特性を示し、破線は振動漏れ信号36bの温度特性を示す。
【0085】
図7(A)、図7(B)、図7(C)の3つのサンプルでは、角速度信号36aの温度特性カーブと振動漏れ信号36bの温度特性カーブが似ている。一方、図8(A)、図8(B)、図8(C)の3つのサンプルでは、振動漏れ信号36bの電圧値を基準電圧Vrefを基準に反転すれば、角速度信号36aの温度特性カーブと振動漏れ信号36bの温度特性カーブは似ている。ただし、2つのカーブの電圧差はサンプル間でばらつきがあることもわかる。そこで、このような角速度信号36aの温度特性と振動漏れ信号36bの温度特性との類似性を考慮すると、振動漏れ信号36bを用いることで角速度信号36aの温度特性を補正することができる。
【0086】
図9は、角速度信号36aの温度補正をすることができる加減算回路370の構成例を示す図である。図9に示すように、加減算回路370は、例えば、スイッチ回路372、反転増幅器374、可変利得増幅器376、加算器378を用いて構成することができる。
【0087】
スイッチ回路372は、選択信号52に応じて、振動漏れ信号36bを反転増幅器374と可変利得増幅器376のいずれに入力するかを選択する。例えば、あらかじめメモリ50にスイッチ設定用のビットを記憶しておき、このビットを選択信号52としてスイッチ回路372に供給するようにしてもよい。振動漏れ信号36bが反転増幅器374に入力されると、反転増幅器374で振動漏れ信号36bの極性が反転されて(電圧値が基準電圧Vrefを基準に反転されて)可変利得増幅器376に入力される。すなわち、スイッチ回路372は、反転増幅器374をバイパスするか否かを選択するものであり、スイッチ回路372を切り替えることで、振動漏れ信号36bをそのまま可変利得増幅器376に入力するか、振動漏れ信号36bを極性を反転して可変利得増幅器376に入力するかを選択できるようになっている。
【0088】
可変利得増幅器376は、選択信号54に応じた利得(ゲイン)で入力信号を増幅又は減衰させる反転増幅器である。例えば、あらかじめメモリ50に利得設定用のデータを記憶しておき、このデータの各ビットを選択信号54として可変利得増幅器376に供給するようにしてもよい。
【0089】
加算器378は、角速度信号36aと可変利得増幅器376の出力信号を加算して角速度信号37を生成する。
【0090】
加減算回路370を図9に示す構成にした場合、角速度信号36aの温度特性と振動漏れ信号36bの温度特性が図7(A)〜図7(C)のように似ていれば、スイッチ回路372が反転増幅器374をバイパスするように選択信号52を設定し、かつ、選択信号54の設定によって可変利得増幅器376の利得として適切な値を選択することで、角速度信号37の温度特性を平坦に近づけることができる。例えば、角速度信号36a(図1のH点の信号)の温度特性と振動漏れ信号36b(図1のJ点の信号)の温度特性がそれぞれ図10(A)と図10(B)に示すようなものであったとする。この時、振動漏れ信号36bは、そのまま可変利得増幅器376に入力されて極性が反転されるので、可変利得増幅器376の出力信号(図9のK点の出力信号)の温度特性は図10(C)に示すようなものになる。よって、加算器378により角速度信号36a(図1のH点の信号)に可変利得増幅器376の出力信号(図9のK点の出力信号)を加算して得られる角速度信号37(図1及び図9のL点の出力信号)の温度特性は、図10(D)に示すように、平坦に近いものとなる。
【0091】
一方、角速度信号36aの温度特性と振動漏れ信号36bの温度特性が、例えば、図8(A)〜図8(C)のようであれば、スイッチ回路372が反転増幅器374をバイパスしないように選択信号52を設定し、かつ、選択信号54の設定によって可変利得増幅器376の利得として適切な値を選択することで、角速度信号37の温度特性を平坦に近づけることができる。例えば、角速度信号36a(図1のH点の信号)の温度特性と振動漏れ信号36b(図1のJ点の信号)の温度特性がそれぞれ図11(A)と図11(B)に示すようなものであったとする。この時、振動漏れ信号36bは、反転増幅器374で極性が反転され、さらに可変利得増幅器376で極性が反転されるので、可変利得増幅器376の出力信号(図9のK点の出力信号)の温度特性は、図11(C)に示すようなものになる。よって、加算器378により角速度信号36a(図1のH点の信号)に可変利得増幅器376の出力信号(図9のK点の出力信号)を加算して得られる角速度信号37(図1及び図9のL点の出力信号)の温度特性は、図11(D)に示すように、平坦に近いものとなる。
【0092】
以上に説明したように、第1実施形態の角速度検出装置によれば、角速度信号36aの温度特性と振動漏れ信号36bの温度特性が似たようなカーブを描く場合は、振動漏れ信号36bの極性を反転して所与の比率で角速度信号36aに加算することで、角速度信号37の温度特性カーブを平坦に近づけることができる。また、角速度信号36aの温度特性と振動漏れ信号36bの温度特性が反対向きのカーブを描く場合は、振動漏れ信号36bの極性を反転せずに所与の比率で角速度信号36aに加算することで、角速度信号37の温度特性カーブを平坦に近づけることができる。さらに、角速度信号36aの温度特性と振動漏れ信号36bの温度特性が湾曲具合の異なるカーブを描く場合でも、可変利得増幅器376の利得(ゲイン)を調整できるようにしておくことで、角速度信号37の温度特性カーブが最も平坦になる最適な利得を選ぶことが可能となる。
【0093】
すなわち、第1実施形態の角速度検出装置によれば、振動子の振動漏れ成分に起因する角速度信号の温度変動を高次の温度補償回路を用いずに補償することができる。
【0094】
なお、図9の構成に対して、スイッチ回路372と反転増幅器374を可変利得増幅器376の後段に移動するように変形してもよいし、可変利得増幅器376を非反転増幅器にしてスイッチ回路372に入力する選択信号52の論理を図9の場合と逆にするように変形してもよい。また、図1において、同期検波回路350の出力信号と同期検波回路352の出力信号が加減算回路370に入力され、加減算回路370の後段に積分回路360を配置する構成に変形してもよい。
【0095】
1−2.第2実施形態
図7(A)〜図7(C)及び図8(A)〜図8(C)の例では、角速度信号36aの温度特性と振動漏れ信号36bの温度特性がかなり似ているが、これらとは傾向の異なる別の温度特性の例を図12に示す。図12において、横軸は時間、縦軸は電圧を表す。また、図12において、実線は角速度信号36aの温度特性を示し、破線は振動漏れ信号36bの温度特性を示す。
【0096】
図12のサンプルでは、角速度信号36aの温度特性と振動漏れ信号36bの温度特性の2次成分や3次成分にはあまり大きな差はないが1次成分に大きな差がある。そのため、このサンプルでは、角速度信号36aと振動漏れ信号36bを加減算回路370に入力しても角速度信号37の温度特性が平坦にならない。そこで、図1の構成に対して、角速度信号36aの温度特性の1次成分と振動漏れ信号36bの温度特性の1次成分が同じ値に近づくように調整してから加減算回路370に入力して加算又は減算することが有効であると考えられる。
【0097】
図13は、第2実施形態の角速度検出装置の構成例を示す図である。図13において、図1と同じ構成には同じ符号を付しており、その説明を省略する。
【0098】
第2実施形態の角速度検出装置1では、図1の構成に1次温度調整回路390と392が付加されている。また、温度センサー70が付加されている。なお、温度センサー70は、角速度検出用IC10の外部に付加してもよい。
【0099】
温度センサー70は、温度に対して線形な電圧値を有する温度検出信号72を出力する。この温度検出信号72は1次温度調整回路390と392に入力される。
【0100】
1次温度調整回路390は、温度検出信号72を用いて、角速度信号36aの温度特性の1次成分が第1の値に近づくように調整する。また、1次温度調整回路392は、温度検出信号72を用いて、振動漏れ信号36bの温度特性の1次成分が第2の値に近づくように調整する。第1の値と第2の値は同じ値であってもよい。例えば、第1の値と第2の値としてともに0を選択すれば、1次温度調整回路390と392は、それぞれ角速度信号36aと振動漏れ信号36bの各温度特性の1次成分をキャンセルする1次温度補正回路として機能する。ただし、第1の値と第2の値として0以外を選択してもよい。
【0101】
1次温度調整回路390,392は同じ構成の回路で実現することができる。図14は、1次温度調整回路390(392)の構成例を示す図である。図14に示すように、1次温度調整回路390(392)は、例えば、スイッチ回路394、反転増幅器395、可変利得増幅器396、加算器397を用いて構成することができる。
【0102】
スイッチ回路394は、選択信号56に応じて、温度検出信号72を反転増幅器395と可変利得増幅器396のいずれに入力するかを選択する。例えば、あらかじめメモリ50にスイッチ設定用のビットを記憶しておき、このビットを選択信号56としてスイッチ回路394に供給するようにしてもよい。温度検出信号72が反転増幅器395に入力されると、反転増幅器395で温度検出信号72の極性が反転されて可変利得増幅器396に入力される。すなわち、スイッチ回路394は、反転増幅器395をバイパスするか否かを選択するものであり、スイッチ回路394を切り替えることで、温度検出信号72をそのまま可変利得増幅器396に入力するか、温度検出信号72を極性を反転して可変利得増幅器396に入力するかを選択できるようになっている。
【0103】
可変利得増幅器396は、選択信号58に応じた利得(ゲイン)で入力信号を増幅又は減衰させる反転増幅器である。例えば、あらかじめメモリ50に利得設定用のデータを記憶しておき、このデータの各ビットを選択信号58として可変利得増幅器396に供給するようにしてもよい。
【0104】
加算器397は、角速度信号36a又は振動漏れ信号36bと可変利得増幅器396の出力信号を加算して角速度信号39a又は振動漏れ信号39bを生成する。
【0105】
そして、角速度信号39aと振動漏れ信号39bが、例えば図9に示した構成の加減算回路370に入力されて、温度特性が補正された角速度信号37が生成される。
【0106】
なお、1次温度調整回路390と392は、それぞれ本発明における第1の1次温度調整部と第2の1次温度調整部として機能する。
【0107】
1次温度調整回路390(392)を図14に示す構成にした場合、角速度信号36a(振動漏れ信号36b)の温度特性の傾き(1次成分)の極性(正又は負)が温度検出信号72の温度に対する傾きの極性(正又は負)と同じであれば、スイッチ回路394が反転増幅器395をバイパスするように選択信号56を設定する。一方、角速度信号36a(振動漏れ信号36b)の温度特性の傾き(1次成分)の極性(正又は負)が温度検出信号72の温度に対する傾きの極性(正又は負)と逆であれば、スイッチ回路394が反転増幅器395をバイパスしないように選択信号56を設定する。そして、選択信号58の設定によって可変利得増幅器396の利得として適切な値を選択することで、角速度信号39a(振動漏れ信号39b)の温度特性の1次成分を第1の値(第2の値)に近づけることができる。
【0108】
例えば、角速度信号36a(図13のH点の信号)の温度特性と振動漏れ信号36b(図13のJ点の信号)の温度特性がそれぞれ図15(A)と図15(B)の実線に示すようなものであったとする。また、温度検出信号72(図13のZ点の信号)が図15(C)に示すように温度に対して負の傾きを持っているとする。この時、角速度信号36aの温度特性の1次成分(図15(A)の破線)が正なので、温度検出信号72は、1次温度調整回路390の可変利得増幅器396と可変利得増幅器396を介して加算器397に入力される。これにより、角速度信号39a(図13のM点の信号)の温度特性は図15(D)のようになり、その1次成分(図15(D)の破線)が第1の値(例えば0)に調整される。一方、振動漏れ信号36bの温度特性の1次成分(図15(B)の破線)が負なので、温度検出信号72は、1次温度調整回路392の可変利得増幅器396を介して加算器397に入力される。これにより、振動漏れ信号39b(図13のN点の信号)の温度特性は図15(E)のようになり、その1次成分(図15(E)の破線)が第2の値(例えば0)に調整される。そして、角速度信号39a(図13のM点の信号)と振動漏れ信号39b(図13のN点の信号)が加減算回路370に入力されて、角速度信号37(図13のL点の信号)の温度特性は、図15(F)に示すように、平坦に近いものとなる。
【0109】
以上に説明したように、第2実施形態の角速度検出装置によれば、角速度信号36aの温度特性の1次成分と振動漏れ信号36bの温度特性の1次成分に差がある場合でも、1次温度調整回路390と392により両方の1次成分の値が近づくように(理想的には一致するように)調整してから、加減算回路370による角速度信号の温度補正を行うことができる。従って、第1実施形態と比較して、角速度信号36aの温度特性の1次成分と振動漏れ信号36bの温度特性のより多様な組み合わせに対しても補正が可能となる。
【0110】
なお、図14の構成に対して、スイッチ回路394と反転増幅器395を可変利得増幅器396の後段に移動するように変形してもよいし、可変利得増幅器396を非反転増幅器にしてスイッチ回路394に入力する選択信号56の論理を図14の場合と逆にするように変形してもよい。また、図13において、1次温度調整回路390を同期検波回路350と積分回路360の間に配置する構成に変形してもよい。同様に、1次温度調整回路392を同期検波回路352と積分回路362の間に配置する構成に変形してもよい。
【0111】
1−3.第3実施形態
図16は、第3実施形態の角速度検出装置の構成例を示す図である。図16において、図13と同じ構成には同じ符号を付しており、その説明を省略する。
【0112】
第3実施形態の角速度検出装置1では、図13の構成から1次温度調整回路390が削除されている。その代わり、1次温度調整回路392は、温度検出信号72に基づいて、振動漏れ信号36bの温度特性の1次成分を角速度信号36aの温度特性の1次成分に近づけるように調整する。この1次温度調整回路392は、図14と同様に構成することができる。なお、1次温度調整回路392は、本発明における1次温度調整部として機能する。
【0113】
角速度信号36a(図16のH点の信号)の温度特性と振動漏れ信号36b(図16のJ点の信号)の温度特性が、例えば、それぞれ図17(A)と図17(B)の実線に示すようなものであったとする。また、温度検出信号72(図16のZ点の信号)が図17(C)に示すように温度に対して負の傾きを持っているとする。この時、例えば、温度検出信号72を可変利得増幅器396を介して加算器397に入力することで温度検出信号72の極性を反転させてから加算器397で振動漏れ信号36bと加算する。これにより、振動漏れ信号39b(図16のN点の信号)の温度特性は図17(D)のようになり、その1次成分(図17(D)の破線)を角速度信号36a(図16のH点の信号)の温度特性の1次成分(図17(A)の破線)に近づけることができる。そして、角速度信号36a(図16のH点の信号)と振動漏れ信号39b(図16のN点の信号)が加減算回路370に入力されて、角速度信号37(図16のL点の信号)の温度特性は、図17(E)に示すように、平坦に近いものとなる。
【0114】
以上に説明したように、第3実施形態の角速度検出装置によれば、角速度信号36aの温度特性の1次成分と振動漏れ信号36bの温度特性の1次成分に差がある場合でも、1次温度調整回路392により振動漏れ信号39bの温度特性の1次成分が角速度信号36aの温度特性の1次成分に近づくように(理想的には一致するように)調整してから、加減算回路370による角速度信号の温度補正を行うことができる。従って、第1実施形態と比較して、角速度信号36aの温度特性の1次成分と振動漏れ信号36bの温度特性のより多様な組み合わせに対しても補正が可能となる。
【0115】
なお、図16において、1次温度調整回路392を同期検波回路352と積分回路362の間に配置する構成に変形してもよい。また、図16の構成に対して、1次温度調整回路392を積分回路360と加減算回路370の間や同期検波回路350と積分回路360の間に移動して配置し、角速度信号の温度特性の1次成分を振動漏れ信号の温度特性の1次成分に近づけるように変形してもよい。
【0116】
1−4.第4実施形態
図18は、第4実施形態の角速度検出装置の構成例を示す図である。図18において、図13と同じ構成には同じ符号を付しており、その説明を省略する。
【0117】
第4実施形態の角速度検出装置1では、図13の構成に対して、1次温度調整回路390と392が削除され、加減算回路370の後段に1次温度補正回路398が付加されている。1次温度補正回路398は、温度検出信号72に基づいて、角速度信号37の温度特性の1次成分を補正する。この1次温度補正回路398は、図14と同様に構成することができる。なお、1次温度補正回路398は、本発明における1次温度補正部として機能する。
【0118】
角速度信号36a(図18のH点の信号)の温度特性と振動漏れ信号36b(図18のJ点の信号)の温度特性が、例えば、それぞれ図19(A)と図19(B)の実線に示すようなものであったとする。また、温度検出信号72(図18のZ点の信号)が図19(C)に示すように温度に対して負の傾きを持っているとする。この時、例えば、振動漏れ信号36bを反転増幅器374をバイパスさせて可変利得増幅器376に入力することで、可変利得増幅器376の出力信号(図9のK点の出力信号)の温度特性は、図19(D)に示すように、振動漏れ信号36bの温度特性(図19(B))の極性を反転し、かつ、可変利得増幅器376の利得に応じて増幅又は減衰したものになる。よって、加算器378により角速度信号36aに可変利得増幅器376の出力信号を加算して得られる角速度信号37(図1及び図9のL点の出力信号)の温度特性は、図19(E)に示すように、2次以上の成分がほぼキャンセルされ、1次成分が残ったものとなる。そして、1次温度補正回路398により角速度信号37の温度特性の1次成分が補正された角速度信号39c(図18のO点の信号)の温度特性は、図19(F)に示すように、平坦に近いものとなる。
【0119】
以上に説明したように、第4実施形態の角速度検出装置によれば、角速度信号36aの温度特性の1次成分と振動漏れ信号36bの温度特性の1次成分に差がある場合でも、加減算回路370による温度補正で補正しきれずに残る角速度信号の温度特性の1次成分を1次温度補正回路398により補正することができる。従って、第1実施形態と比較して、角速度信号36aの温度特性の1次成分と振動漏れ信号36bの温度特性のより多様な組み合わせに対しても補正が可能となる。
【0120】
2.電子機器
図20は、本実施形態の電子機器の構成例を示す機能ブロック図である。本実施形態の電子機器500は、角速度検出装置600、CPU700、操作部710、表示部720、ROM(Read Only Memory)730、RAM(Random Access Memory)740、通信部750を含んで構成されている。なお、本実施形態の電子機器は、図20の構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
【0121】
角速度検出装置600は、角速度に応じた電圧の角速度信号を生成し、CPU700に出力する。また、角速度検出装置600は、振動子の励振振動に伴う振動漏れの大きさに応じた電圧の振動漏れ信号を生成し、CPU700に出力するようにしてもよい。
【0122】
CPU700は、ROM730に記憶されているプログラムに従って、各種の計算処理や制御処理を行う。具体的には、CPU700は、角速度検出装置600を制御したり、角速度検出装置600から角速度信号などを受け取って各種の計算処理をする。また、CPU700は、操作部710からの操作信号に応じた各種の処理、表示部720に各種の情報を表示させるための表示信号を送信する処理、外部とデータ通信を行うために通信部750を制御する処理等を行う。
【0123】
操作部710は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、ユーザーによる操作に応じた操作信号をCPU700に出力する。
【0124】
表示部720は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成される表示装置であり、CPU700から入力される表示信号に基づいて各種の情報を表示する。
【0125】
ROM730は、CPU700が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムや、ナビゲーション機能等を実現するための各種プログラムやデータ等を記憶している。
【0126】
RAM740は、CPU700の作業領域として用いられ、ROM730から読み出されたプログラムやデータ、操作部710から入力されたデータ、CPU700が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶する。
【0127】
通信部750は、CPU700と外部装置との間のデータ通信を成立させるための各種制御を行う。
【0128】
角速度検出装置600として本実施形態の角速度検出装置を電子機器500に組み込むことにより、比較的精度の高い処理を低コストで実現することができる。
【0129】
なお、電子機器600としては角速度検出装置を用いた種々の電子機器が考えられ、例えば、車両の横滑り防止装置や横転検出装置、携帯電話機、ナビゲーション装置、マウス等のポインティングデバイス、デジタルカメラ、ゲームコントローラー等が挙げられる。
【0130】
なお、本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0131】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0132】
1 角速度検出装置、10 角速度検出用IC、11,16〜18 外部出力端子、12〜15 外部入力端子、20 駆動回路、22 方形波電圧信号、30 検出回路、33 被検波信号、34 方形波電圧信号、36a,37,38a,39a,39c 角速度信号、36b,38b,39b 振動漏れ信号、40 基準電源回路、50 メモリー、52,54,56,58 選択信号、60 故障判定回路、62 故障判定信号、70 温度センサー、72 温度検出信号、100 ジャイロセンサー素子、101a〜101b 駆動振動腕、102 検出振動腕、103 錘部、104a〜104b 駆動用基部、105a〜105b 連結腕、106 錘部、107 検出用基部、112〜113 駆動電極、114〜115 検出電極、116 共通電極、210 I/V変換回路(電流電圧変換回路)、220 AC増幅回路、230 振幅調整回路、310,312 チャージアンプ、320 差動増幅回路、330 AC増幅回路、340 移相回路、350,352 同期検波回路、360,362 積分回路、370 加減算回路、372 スイッチ回路、374 反転増幅器、376 可変利得増幅器、378 加算器、380,382 DC増幅回路、390,392 1次温度調整回路、394 スイッチ回路、395 反転増幅器、396 可変利得増幅器、397 加算器、398 1次温度補正回路、500 電子機器、600 角速度検出装置、700 CPU、710 操作部、720 表示部、730 ROM、740 RAM、750 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
角速度の大きさに応じた角速度成分と駆動信号に基づく振動の振動漏れ成分とを含む信号を発生させる振動子と、
前記駆動信号を生成して前記振動子に供給する駆動部と、
前記振動子が発生させる信号から前記角速度成分を抽出し、当該角速度成分の大きさに応じた角速度信号を生成する角速度信号生成部と、
前記振動子が発生させる信号から前記振動漏れ成分を抽出し、当該振動漏れ成分の大きさに応じた振動漏れ信号を生成する振動漏れ信号生成部と、
前記角速度信号の温度特性を補正するように、前記角速度信号に前記振動漏れ信号を所与の比率で加算又は減算する加減算部と、を含む、角速度検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記加減算部に入力される前記角速度信号の温度特性の1次成分を第1の値に近づけるように調整する第1の1次温度調整部と、
前記加減算部に入力される前記振動漏れ信号の温度特性の1次成分を第2の値に近づけるように調整する第2の1次温度調整部とを含む、角速度検出装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記加減算部に入力される前記角速度信号の温度特性の1次成分と前記加減算部に入力される前記振動漏れ信号の温度特性の1次成分の一方を他方に近づけるように調整する1次温度調整部を含む、角速度検出装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記加減算部により加算又は減算された信号の温度特性の1次成分を補正する1次温度補正部を含む、角速度検出装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記振動漏れ信号に基づく信号を外部に出力する端子を含む、角速度検出装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記振動漏れ信号に基づいて、当該角速度検出装置の故障の有無を判定する故障判定部を含む、角速度検出装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記加減算部は、
入力信号の極性を反転する反転増幅器と、前期反転増幅器をバイパスするか否かを選択するスイッチ回路と、前記反転増幅器と直列に配置され、可変に設定可能な利得で入力信号を増幅又は減衰させる可変利得増幅器と、を含み、前記反転増幅器及び前記スイッチ回路により、前記振動漏れ信号の極性を反転して前記角速度信号に加算するか否かを選択し、前記可変利得増幅器により、前記角速度信号に加算する前記振動漏れ信号の比率を選択する、角速度検出装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の角速度検出装置を含む、電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate