説明

触媒および窒素酸化物の還元方法

【課題】 選択的触媒還元(SCR)触媒を提供する。
【解決手段】 ZSM−5ゼオライトのスラリーをきん青石モノリス上に塗布し、ついで、鉄塩をこのゼオライト上に昇華させ、このモノリスをか焼(calcination)した後、硝酸マンガンおよび硝酸セリウムの水溶液に浸漬し、あるいは硝酸マンガンおよび硝酸セリウムの別の溶液で同様に処理することにより選択的触媒還元(SCR)触媒を製造する。鉄、マンガンおよびセリウムを含むこの担持触媒は4部のNOおよび1部のNOを含む窒素酸化物、約1当量のアンモニアおよび過剰の酸素を含む供給ガスを113℃の温度で80%減少させた。この変換は、147℃の温度で94%に向上した。NOは検出されなかった(検出限界:0.6%NO)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概略的に窒素酸化物の減少に係わり、特に、鉄、セリウム、マンガンを含浸させたゼオライト触媒を使用する窒素酸化物の選択的触媒還元(SCR)に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(NO)は、大気中に排出された場合には、スモッグおよび他の好ましくない環境作用を生じさせる主な原因物質となる。NOは酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(NO)並びにこれらのガスを含む混合物を表すのに一般的に使用されている記号である。NOは燃焼プロセスの高温域内で形成される。内燃エンジン、石炭又はガス燃焼炉、オイル燃焼炉、ボイラーおよび焼却炉は全てNOの発生源である。燃焼によりもたらされる排ガス中のNOの濃度は通常、低いが、工業及び/又は高人口密度地域で排出されるその合計量によって問題が生じることになる。NOは更に、種々の化学的プロセス、例えば硝酸の製造、有機化学物質のニトロ化、アジピン酸の製造、使用済み核燃料棒の再処理の際にも生じることになる。
【0003】
一般に、富燃料燃焼混合物は、貧(lean)燃料−空気混合物(すなわち、燃料を完全に燃焼させるのに要する理論量より多い空気が提供される混合物)がもたらすNO含有排ガスよりも少ないNOを含む排ガスを生じさせる。貧燃料−空気混合物はガス状酸素を含む排ガスを生じさせる。
【0004】
米国環境保護局は、移動および固定発生源からのNOレベルの減少を求めている。“ライト・デユーティ”移動源、例えば軽トラックおよび自動車などについては、NOの発生が、ほぼ0.8グラム/マイルの現行レベルより低い、0.07グラム/マイルを越えないことが要請されている。これは現在の技術に対し90%以上のNOの減少要請を表すものである。この減少の幾つかは車両設計の進化並びに燃焼技術の進化により履行されるが、この減少の殆どはNOの発生制御の進化からもたらされるものであり、その場合、NO還元触媒が中心技術となる。同様の減少が重量ジーゼルトラックについても近い将来要求されるであろう。従って、貧(lean)燃焼エンジン並びに低い動作温度(150−250℃)からのNOの極めて高い還元を達成することができる新規な技術についての必要性が存在する。
【0005】
NOガスは酸素元素および窒素元素への分解に関して熱力学的に不安定であるが、貧NOの還元を経済的に可能にするため、広い温度範囲において十分に高い割合でこの分解を生じさせるような簡単、かつ、経済的な方法又は触媒について従来、何らの報告もなされていない。しかし、アンモニアなどの還元剤の排ガスへの添加が適当な条件下においてNOの窒素元素および蒸気への変換を生じさせることが発見された。
【0006】
工業燃料ガスを通常、約200℃ないし600℃の範囲の温度、アンモニアの存在下で触媒と接触させ、燃料ガス中のNOを還元させる方法が、NOの選択的触媒還元(SCR)のための方法として一般に知られている。ここで、“選択的触媒還元”又は“SCR”と云うときは、NOおよびNHの混合物を酸素の存在下、高温で触媒的に反応するよう誘導させる方法を意図するものである。
【特許文献1】米国特許No.4,220,632
【特許文献2】米国特許No.4,778,665
【特許文献3】米国特許No.5,520,895
【特許文献4】米国特許No.6,514,470
【特許文献5】米国特許No.4,127,691
【特許文献6】米国特許No.3,885,977
【非特許文献1】Chem.Communications、(2003)、pp.848−849、(Gongshin QiおよびRalph T.Yang)
【非特許文献2】Catalyst Letters、 vol.87, nos.1−2(2003年4月)、pp.67−71、(Gongshin Qi、Ralph T.YangおよびRamsay Chang)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
貧燃焼エンジン技術を実行するためには、触媒式コンバータの開発が貧燃焼エンジンのために必要となる。このコンバータに使用される触媒は広い温度範囲に亘って活性でなければならず(通常、150−500℃の範囲であり、あるいは好ましくは更に広い範囲)、NOの窒素元素(N)および水(HO)への変換に対し非常に高い活性を示すものでなければならず、エンジンから触媒式コンバータへ送られるガス中のNOおよびNOの広い範囲のものと反応するものでなければならず、硫黄耐性を有しNOを生じさせないか、若しくはせいぜい数ppm生じさせるに過ぎないものでなければならない。このような目標を意図して、排ガス流からNOを除去できる貧燃焼触媒(すなわち、脱NO触媒)が強く求められ、世界中の多くの研究の焦点となっている。
【0008】
貧燃焼用途についての殆どの触媒は、その満足な作動温度がやや狭い領域に限定されることで特徴付けられる。具体的には、それらの触媒は、NOが発生する温度に必ずしも適合しない狭い温度範囲でのみNOを効果的に変換するに過ぎない。より良好な触媒材料として、金属置換ゼオライト触媒、例えばCu−ZSM−5、Fe−ZSM−5を含むもの、並びにゼオライト構造に金属イオンを置換させた様々なゼオライトからなる関連触媒が知られている。これらの材料は、従来のプラチナベースの脱NO触媒より或る面ではすぐれているが、最良作動温度が通常、余りにも高すぎ(400℃以上)、更に、多くの実際の用途に対し余りにも狭過ぎる(有効温度幅が僅かほぼ100℃に過ぎない)。このような“卑金属”(非貴金属)ゼオライト触媒が、Pt又は他の貴金属(例えば、Pt,Pd,Rh,Ir)含有触媒に勝る1つの有意な利点は、貴金属含有触媒がNに加えておびただしい量のNOを貧燃焼条件下で生成させることが知られていることである。NOの発生については未だに規制はないが、NOが強力な温室ガスであるから、これは非常に望ましくない副産物であり、従って、技術的に有用な触媒はNOを生成させるとしても、その量は極めて少ないものでなければならない。
【0009】
アンモニアの存在下でのNOのSCRの機構は、NO還元の最も高い速度を達成するために、供給流中のNOに対するNOの比がほぼ1:1であることを要求されることが認められている。この比が1を超えたり、1未満であると、NO還元速度がかなり遅くなってしまう。燃焼プロセスが非常に高いNO/NO比を有するNO混合物を生じさせるものであるから(すなわち、エンジンは殆どがNOのものを発生させる)、NOの還元のためのプロセスはNOの或る部分をNOに酸化させる方法を含むものでなければならない。すなわち、NOのほぼ半分を変換させ、NO/NO比が1:1となるようにする。
【0010】
自動車用の排ガス制御システムは、NO還元触媒の上流側に酸化触媒を設けて未燃焼炭化水素を酸化させるようにしたものとなるであろう。この酸化触媒はNOの或る部分(恐らく、20ないし30%まで)を約150℃の温度でNOに酸化させるものとなるが、NO還元の最も早い速度を達成するのに必要な50%とはならない。殆どのNO触媒は低温でNOをNOに酸化させることができないから、これらの触媒は、有利なNO/NO比混合物を発生させるべく、炭化水素酸化触媒を補助することができない。従って、これらの触媒は低温(殆どがNOである供給ガスの場合、300℃未満)では殆ど効果を示さない。
【0011】
SCR触媒の低温活性を改善させるための方策は、NOをNOに酸化させることができる非貴金属含有触媒を更に設け、最も高い速度のNO還元が実現できるようにすることである。これは本発明で採用されている方策である。
【0012】
更に、内燃エンジンは冷間でのエンジン始動の際に未燃焼炭化水素を多量に発生させる。事実、エンジン始動の最初の数分間で放出される炭化水素の総量の大部分は未燃焼炭化水素によるものである。冷間でのエンジン始動後の炭化水素の放出は特別の問題を生じさせる。なぜならば、その時点において、排ガスおよび触媒式コンバータの温度は、一般的に従来の触媒によるガス状汚染物質の変換を行うのに十分に高いものでないからである。現行の触媒式コンバータシステムにおける触媒は一般に常温では効果的ではなく、それらが効果的であるためには高温(しばしば300℃ないし400℃の範囲)に達していなければならない。この最初の時間帯において、未燃焼炭化水素は触媒に吸着し、その活性を更に縮小させる。事実、或る条件下では、この吸着した炭化水素が炭素質堆積物を形成し、この堆積物を酸化作用により除去するには高温でなければならない。それは触媒の不可逆的損傷につながることになる。従って、低温での炭化水素の堆積を回避することができる触媒、より好ましくは未燃焼炭化水素を低温で酸化することができる触媒の開発が強く望まれている。
【0013】
SCR法は、未使用のアンモニア還元剤が外気に放出される可能性を伴っている。アンモニアは規定された毒性物質であるから、アンモニアについては厳しい放出基準が存在する。従って、広温度範囲SCR法についての1つの望ましい要件は、エンジンに対する負荷のためプロセス温度が急激に上昇するような厳しい過渡的条件下でもアンモニアが外気に逃げ出さない、又はたとえ逃げても極めて少量であることである。言い換えれば、触媒的NO還元法はアンモニアを全て消費するものであるか、あるいは、触媒が余分なアンモニアを全て酸化により消費してしまうものであるかでなければならない。後者の場合は、余分なアンモニアの酸化が更なるNOの形成をもたらすものでなく、アンモニアの正味酸化によりNを生じさせる酸化プロセス(いわゆる、選択的触媒酸化プロセス)であれば特に有利となる。
【0014】
アンモニアを用いたNOのSCRのためのゼオライトベース触媒の様々なものについて以下に説明する。活性が認められたこれらの触媒の多くは、粉体又は凝縮された粉体の形でテストされている。これらの触媒のテストにおいて、触媒床を通過する流れは気体の1時間当りの空間速度(GHSV)として与えられている。このGHSVは、1時間当り通過した排ガスの量を触媒床の体積で割ったものであり、このガス種が触媒床を離れる前に、このガス種が触媒と反応しなけれならない滞留時間又は反応時間に関係する。触媒量はできるだけ小さいことが一般に望まれており、有用な触媒は高GHSVで大きい活性を有するものでなければならない。燃焼プロセスにおいて、このGHSVは一般に、約20,000h−1ないし約200,000h−1の範囲である。相対的な流れの速度がGHSVとして与えられているとき、1つの触媒の活性について他の触媒のものと比較する場合の1つの困難な点は、凝縮された粉状触媒を、モノリス(monolith)上に支持された触媒と比較しようとする場合である。粉状触媒の場合は、その設定量を素直に測定することができる。しかし、触媒が市販のきん青石(cordierite)ハネカム支持体などのモノリス上に担持されている場合は、その触媒量はそのハネカムの量として与えられることになる。ここで問題は、ハネカム体に担持されている触媒の量は非常に小さいことである。すなわち、このハネカム触媒の量の殆どは空乏であり、ハネカム自体の量である。このことにより、粉体触媒と、モノリス担持触媒との間で、触媒活性を単純に比較することは非常に困難である。粉体触媒と、モノリス担持触媒との間の活性についての大まかな比較のために一般に使用されている経験則は、粉体触媒のGHSVを約4倍にすること、あるいは逆に、モノリス担持触媒のテスト結果のGHSVを約4で割ることである。例えば、もし、粉体触媒が30,000h−1GHSVで或る程度の活性を有することが報告されたとすると、それはモノリス担持触媒でのほぼ7,500h−1GHSVと比較することができる。反対に、もし、モノリス担持触媒が30,000h−1GHSVで或る程度の活性を有することが報告されたとすると、それは粉体触媒でのほぼ120,000h−1GHSVと比較することができる。
【0015】
アンモニアを用いた窒素酸化物のSCRについてのゼオライトベース触媒の使用はよく確立されている。米国特許No.4,220,632(文献1)(発明者:D.R.Penceら;“抗酸アルミノシリケート分子篩触媒およびアンモニアを用いた窒素酸化物の還元”、ここに参照として組み込まれるものとする)には、気孔サイズが約3−10オングストロームの水素又はナトリウム型のゼオライト触媒の存在下でアンモニアを還元剤として使用した、排ガス(化石燃料の火力発電所より生じる堆積ガス又はその他の工業プラントのオフガス流)中の有害窒素酸化物の触媒的還元が開示されている。
【0016】
米国特許No.4,778,665(文献2)(発明者:Krishnamurthyら;“排ガス中のNOの縮小”、ここに参照として組み込まれるものとする)には、NOで汚染された工業排ガスの前処理のためのSCR法が記載されており、この場合、触媒は、拘束指数が1−12で、アルミナに対するシリカの比が少なくとも50である中間気孔サイズゼオライトを含むものである。これらのゼオライトはZSM−5タイプゼオライトと呼ばれることがある。このゼオライトは好ましくは水素型であり、1%程度までのプラチナ族金属を含む。この文献2によれば、ゼオライトZSM−5の水素型(HZSM−5)は温度約400℃ないし約500℃の間の温度でSCR反応に対し触媒作用を及ぼすとされている。約400℃未満の温度では、HZSM−5は、ガス流からの窒素酸化物の除去作用がかなり減少する。これらの触媒は10,000h−1未満の空間速度で凝縮粉体を押出してテストされたものである。
【0017】
米国特許No.5,520,895(文献3)(1996年5月28日特許、発明者:S.B.Sharmaら;“鉄含浸ゼオライトを使用する窒素酸化物の還元のための方法”、ここに参照として組み込まれるものとする)には、排ガス中のNOのSCRのための触媒として含浸ゼオライトを使用する方法が記載されている。この方法で使用されている触媒は中間気孔サイズゼオライト粉を含み、このゼオライト粉が水溶性鉄塩又は鉄塩先駆物質との接触により少なくとも0.4重量%の鉄分を担持させたものであり、更に、この触媒にはチタニア、ジルコニア、シリカなどのバインダーが含まれている。この含浸ゼオライトは焼成され、約400−850℃の温度で熱水処理されて触媒として形成されている。この触媒は排ガスを触媒上に送る前に、温度700℃で7時間、100%スチームを使用してエージングした場合、NOの80%を超えて無害な化合物に変換できるとされている。これらの触媒は粉体として12,000h−1の空間速度でテストされたものである。
【0018】
米国特許No.6,514,470(文献4)(発明者:K.C.Ottら;“貧燃焼エンジン排ガス縮小のための触媒”、ここに参照として組み込まれるものとする)には、排ガス中の窒素酸化物の触媒的還元が記載されており、この場合、還元物質と、少量の金属を含むアルミニウム−シリケートタイプの触媒とが使用されている。排ガス中の窒素酸化物は、約200℃ないし約400℃の範囲内の温度で少なくとも60%還元されている。この文献4および本願発明で使用されている“炭化水素”の用語は炭化水素だけでなく、酸素化炭化水素(アルコール、ケトンなど)などの炭化水素の部分的酸化物をも包含することを意味している。この文献4に開示されている実施例中には炭化水素が還元剤として使用されているが、アンモニアも使用することができるとされている。しかし、アンモニアを還元剤として使用したときのデータは提供されていない。
【0019】
Chem.Communications、(2003)、pp.848−849、“NHを用いた低温NO還元のためのすぐれた触媒”(Gongshin QiおよびRalph T.Yang)(非特許文献1)(ここに参照として組み込まれるものとする)には、Mn−Ce混合酸化物粉触媒を使用するSCR法が報告されており、42,000h−1の空間速度(粉体として)、温度100−150℃でほぼ100%のNO変換を達成することができること、並びに、SOおよび水はこの触媒の活性に対し僅かな影響を及ぼすに過ぎないことが記載されている。この触媒活性は触媒中のMnの相対量に左右され、かつ、触媒を製造するのに使用される焼成温度にも左右されるとしている。
【0020】
Catalyst Letters、 vol.87, nos.1−2(2003年4月)、pp.67−71、“USY−担持酸化マンガン系触媒上でNHを用いたNOの低温SCR”(Gongshin Qi、Ralph T.YangおよびRamsay Chang)(非特許文献2)(ここに参照として組み込まれるものとする)には、USY(超安定(すなわち、高Si/Al)Yゼオライト)に担持された酸化マンガン、マンガン−セリウム酸化物および鉄−鉄酸化物を用い、アンモニアと過剰の酸素とによるNOのSCRが報告されている。すなわち、MnO/USYが80−180℃の温度での高い活性と、窒素に対する高い選択性を有すること、および酸化鉄および酸化セリウムの添加によりNOの変換が増大することが見出されている。14%のセリウムと、6%のマンガンを超安定Yゼオライトに含浸させた触媒は、温度180℃、粉体触媒として30,000h−1の気体の1時間当りの空間速度(GHSV)でNOのほぼ100%変換を達成している。報告された唯一の生産物は、150℃未満の温度でN(NOを伴わない)であった。
【0021】
NOのSCRについての更に良好な性能を示す触媒についての要望、特に、高い空間速度で約200℃未満の温度でNOを還元させる触媒についての要望、特に一体化ハネカム支持体上に担持させた場合にこのように良好な性能を示す触媒についての必要性は依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
従って、本発明の目的は、アンモニアの存在下でNOの選択的触媒還元を行うための触媒であって、200℃未満の温度においてモノリス担持触媒としてテストしたとき30,000h−1より大きい空間速度、あるいは粉体としてテストしたとき120,000h−1より大きい空間速度で良好な変換を生じさせる触媒を提供することである。
【0023】
本発明の更なる目的、利点および新規な特徴は、一部は以下に記載する通りであり、更に一部は以下の記載の検証により又は本発明の実施により当業者にとって明らかなものとなるであろう。本発明の目的および利点は、添付の請求の範囲に具体的に指摘された手段およびその組み合わせにより実現、取得することができよう。
【0024】
本発明の目的に従って、ここに具体的、広範に記載したように、本発明は窒素酸化物の選択的触媒還元のための方法を包含するものである。すなわち、この方法は、窒素酸化物、アンモニアおよび酸素を含む排ガス流を、窒素酸化物を触媒的に還元するのに効果的な条件下で触媒と接触させ、それによりNOの発生を約0.6%未満に抑制するものである。この触媒は、鉄とイオン交換され、効果的SCR機能を持たせ、マンガンおよびセリウムを含浸させ、NOをNOに低温酸化させると共に未燃焼炭化水素を低温酸化させるのに有効な機能を持たせた中間気孔サイズゼオライトからなるものである。このような二重の機能を組合わせた本発明の触媒を“ハイブリッド触媒”と呼ぶことにする。なぜならば、これらはSCR触媒と、有効なNO酸化触媒とのハイブリッドであるからである。
【0025】
本発明は更に、アンモニアの存在下で窒素酸化物の選択的触媒還元を行うのに有効な担持触媒を包含するものである。この触媒はモノリス上に担持されたものであり、鉄と置換させ、マンガンおよびセリウムを含浸させたZSM−5ゼオライトを含むものである。
【0026】
本発明は、窒素酸化物、アンモニアおよび酸素を含む排ガス流中の窒素酸化物を触媒的に還元するための方法を包含する。この方法は、排ガス流を、窒素酸化物を触媒的に還元させるのに効果的な条件下でFe−ZSM−5触媒と接触させ、その後、第2の触媒と接触させることを含む。この第2の触媒の例としては、鉄とイオン交換させ、マンガンおよびセリウムを含浸させた中間気孔サイズゼオライトが含まれる。
【0027】
本発明は更に、貧NOトラップの低温性能を改善する方法を包含する。この方法は、貧NOトラップの上流に触媒を配置することを含む。この触媒は鉄、セリウムおよびマンガンを含浸させた中間気孔サイズゼオライトである。この触媒をNOおよび酸素と接触させたとき、NOをNOに実質的に酸化させ、NOリッチの流れを生じさせ、貧NOトラップの低温性能を改善させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本明細書の一部を構成する図面を参照して本発明の具体例を説明するが、これら図面は発明の詳細な説明と共に本発明の原理を説明するものである。
【0029】
本発明は、広範な温度範囲において、アンモニアおよび過剰の酸素の存在下でのNOの選択的触媒還元(SCR)に関するものである。本発明は、NOおよびNOのガス混合物をNに変換させることが示されている触媒を包含するものである。一例としてモノリス担持中間気孔サイズゼオライトで少量の鉄、マンガンおよびセリウムでイオン交換したものを包含する触媒は、約200℃ないし約400℃の温度範囲、アンモニアの存在下でのNO変換に対し高い活性を示す触媒であることが実証され、200℃未満の温度で驚くべき活性を示した。このことは、現行の燃焼エンジンが、効率がよくなっていて、排ガス温度が200℃未満の範囲に下がりつつあるから、極めて望ましいことである。更に、従来の触媒が効果的な触媒活性を示すのに必要な十分に加熱される前に生じる“冷間始動”条件下での排ガスに対し、これらの低温での活性は好ましいものである。
【0030】
脱NO触媒が現在測定されている基準は、触媒に供給されるガスの20%が二酸化窒素(NO)であるとき、200℃の温度で60%を超える変換を達成するものは、最良の市販の触媒より良好な性能を示すものとされる。本発明の触媒は200℃の温度でNO/NOの4:1ガス混合物に対し60%を超える変換を示すため、この基準に適合するものである。
【0031】
本発明の触媒システムに処理できる排ガスは、自動車のエンジン(例えば、ジーゼルエンジン)での燃料の燃焼から生じるもの、ガスタービンから生じるもの、酸素リッチ混合物(貧燃焼条件)を使用するエンジンから生じるもの、発電所から生じるものが含まれる。“排ガス”の用語は、工業的プロセス又は操作において形成される全ての廃ガスであって、通常、更なる処理を伴い又は伴うことなく大気中に排出されるものを意味する。この“排ガス”には、内燃エンジンにより生成されるガスが含まれる。このようなガスの組成は、それを生じさせる特定のプロセス又は操作により変化し、依存するものである。化石燃料の燃焼において形成される場合、それは一般に、窒素、水蒸気、二酸化炭素を含む。更に、それにより少量のNOが含まれる。それらの燃料は、例えば、天然ガス、ガソリン、LPG、灯油、重油、石炭である。硫黄を含む燃料は通常、1種又はそれ以上の硫黄酸化物を含む排ガスを生じさせる。富燃料−空気混合物は一般に、存在するとしても極めて僅かな遊離酸素と共に、いくらかの一酸化炭素、炭化水素(ここで、“炭化水素”とは、先に述べたように、炭化水素並びに部分的に酸化した炭化水素の双方を包含することを意味する)および水素を含む排ガスを生じさせる。貧燃料−空気混合物、つまり、燃料を完全に燃焼させるのに必要な理論量よりも多く空気を含むもの、は酸素を含む排ガスを生じさせる。他の工業的プロセス、例えばニトロ化、ウラン回収、硝酸塩を含む固体塩のか焼(calcination)などは、化石燃料の燃焼から生じるものとは異なった組成物を有する排ガスを生じさせる。これらは例えば、実質的に水蒸気を含まず、非常に高い濃度の窒素又は他の物質を含むことがある。
【0032】
アンモニアの存在下でNOおよびNOを窒素に変換させる過程は、一般に以下の式(1)、(2)、(3)に従ってなされるものと信じられている。
【0033】
2NO+4NH+O→3N+6HO (1)
4NO+4NH+O→4N+6HO (2)
2NO+2NO+4NH→4N+6HO (3)
【0034】
アンモニアを用いた還元により得られる最も高いNO変換速度は、NOに対するNOの比が1のとき(式3)である。NO成分としてNOが僅かで、殆どがNOである排ガス流から式3の‘急速’SCRプロセスによる高速変換させるためには、十分なNOを最初に酸化させNOに変換させ、それによりNOに対するNOの比を1に近づけるようにしなければならない。
【0035】
本発明は、ほぼ理論量のアンモニアを含む排ガスを処理するのに有効である。このアンモニアは排ガス中に存在するものでも、排ガスに添加したもの、上流のプロセスにより生成されたもの(例えば、尿素の分解により)でもよい。“ほぼ理論量”とは、上述の式(1)、(2)、(3)に示されているアンモニアのモル量の約0.75ないし1.25倍を意味する。
【0036】
本発明の触媒およびプロセスのテストにおいて、模造排ガス混合物が使用された。このような模造排ガス混合物も種々変化させて使用可能なことは当業者にとって容易に理解されるであろう。
【0037】
本発明の触媒システムにおいて、排ガスは通常、約50℃ないし約1000℃又はそれ以上の温度で処理される。例えば、約100℃ないし約900℃の範囲、例えば、約100℃ないし約600℃の範囲、例えば、約120℃ないし約600℃の範囲、例えば、約120℃ないし約400℃の範囲で、気体の1時間当りの空間速度(GHSV、1時間当りの触媒の一定量当りの標準温度および圧力(STP)でのガス量に関係する)を所望の変換を与えるよう調整した状態で、排ガス処理が行われる。このGHSVは約1,000ないし約500,000h−1の範囲内で選択される。例えば、約2,500ないし約250,000h−1の範囲、例えば、約5,000ないし約150,000h−1の範囲、例えば、約10,000ないし約100,000h−1の範囲で調製される。
【0038】
本発明のプロセスは大気圧以下ないし過圧の範囲で操作することができる。例えば、約5psiaないし約500psiaの範囲、好ましくは約10psiaないし約50psiaの範囲、すなわち、大気圧近傍又は大気圧より若干高い圧力下で操作する。
【0039】
触媒上に向けられるガス混合物は、上述の式(1)、(2)で示される酸素を少なくとも理論量含むもの、又はNOの半分をNOに変換させ‘急速’SCR反応(式3)による変換を行うのに十分な酸素を含むものでなければならない。この理論量より過剰の酸素量も好ましい。本発明の方法によれば、酸素源(例えば空気)は排ガスと共に触媒に向けて送られる。排ガス中に十分な酸素が存在しない場合は、酸素源(例えば空気)を排ガス中に添加することができる。もし、十分な量の酸素が排ガス中に存在する場合は、空気を排ガス中に添加する必要はない。
【0040】
適当な変換を単純な静止固定床触媒で容易に達成することができる。この固定床は本発明の触媒であり、この触媒は、少量の鉄、マンガンおよびセリウムを含浸させたZSM−5タイプのゼオライトである。この触媒床は単独で、又は他の種類の触媒床との組合わせ(例えば二重床)で使用することができる。本発明の触媒床は他の触媒床(FeZSM−5触媒床)との組合わせで使用し、例えば、燃焼エンジンについての広範な操作条件に亘って、単一の触媒床よりも良好な総体的性能を示すことができる二重床を提供するようにしてもよい。
【0041】
排ガスが触媒に到達する前に、適当な混合を行い、触媒による変換のための均一なガス混合物を形成するようにしてもよい。この場合の混合機としては、例えば、じゃま板、円盤、セラミック円盤、静止混合機又はこれらの組合わせを含む適当な構成のものを使用することができる。この混合装置はガス流路と一体的なものでもよい。
【0042】
本発明で有用な触媒は通常、活性物質と、支持体とを含む。適当な担体としては、きん青石、窒化物、炭化物、ホウ化物、金属間物質、ムライト、アルミナ、天然又は合成ゼオライト、リチウム・アルミナシリケート、チタニア、長石、溶融又は不定形シリカ、クレイ、アルミン酸塩、ジルコニア、スピネル、フェライトタイプステンレス鋼又はオーステナイトタイプステンレス鋼を含むアルミニウムの金属モノリス、これらの組合わせを挙げることができる。典型的な基材が米国特許No.4,127,691(文献5)および米国特許No.3,885,977(文献6)(ここに参照として組み込まれるものとする)に開示されている。これらの触媒は、触媒的反応の間に触媒が無害な状態に維持されるような任意の方法で、基材と組み合わされる。
【0043】
本発明で有用な触媒は、中間気孔サイズゼオライトを含み、これは天然のゼオライトであっても、あるいは合成結晶質ゼオライトであってもよい。好ましくは、これらのゼオライトは、アルミナに対するシリカの率が少なくとも50である中間気孔サイズゼオライトからなるものである。その例としては、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−12、ZSM−21、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−38、ZSM−48を挙げることができる。好ましいゼオライトはZSM−5である。
【0044】
本発明の触媒の1具体例として、これはゼオライトを鉄とイオン交換し、ついで、マンガンおよびセリウムを鉄ゼオライトに段階的に含浸させる。これらの製品は製造の間、種々の段階でテストされる。第1に、ZSM−5のスラリーをきん青石モノリス(支持体)本体上に塗布させる。このスラリー塗布モノリスをついで約450−500℃の温度で乾燥させる。この乾燥工程の後、塩化第二鉄(FeCl)をZSM−5処理きん青石上に昇華させる。その後、その製品を約500℃の温度で焼成する。この物質は図1および図2に“FeZSM−5”として略記されている。この製品の活性は、約1当量のアンモニアおよび過剰の酸素ガスの存在下で、窒素酸化物の2つの異なるガス混合物(NO/NOの1:1混合物およびNO/NOの4:1混合物)を用いてNOの選択的触媒還元(SCR)を行うことにより判定された。これら1:1混合物および4:1混合物の双方についての変換データがそれぞれ図1に記載されている。この図1は、30,000h−1のGHSVで100℃ないし400℃の温度におけるNO変換率を温度の関数として示すグラフ図である。白抜きのダイヤ形記号で示す曲線は、1:1混合物についての変換データを示すものである。三角印の曲線は4:1混合物についての変換データを示すものである。図1に示すように、ZSM−5上にFeClを昇華させることにより製造されたこの物質は、200℃で4:1NO/NOのガス流からNOを約65%変換させる。
【0045】
セリウムは、触媒を硝酸セリウムの水溶液中に浸漬させることにより鉄ゼオライト触媒に添加させた。乾燥およびか焼工程により、硝酸セリウムはセリウム酸化物(CeO)に変換された。この触媒の活性が測定され、それが出発物質である鉄触媒と比較して有意な差がないことが見出された。これらのデータは、図3のグラフに示されている。
【0046】
上述のようにして製造された鉄およびセリウム含有触媒をマンガン(II)硝酸塩の水溶液中に浸漬させ、ついで、乾燥、か焼させた。この乾燥およびか焼工程は、硝酸マンガンの少なくとも一部をマンガン酸化物(MnO)並びに恐らくセリウム・マンガン混合酸化物に変換させるものと思われる。この触媒の活性は約1当量のアンモニアおよび過剰の酸素ガスの存在下で、NO/NOの4:1混合物を含むガス混合物を用いてNOの選択的触媒還元(SCR)を行うことにより判定された。これらの変換データは、図1に示されている(黒丸)。図3に示すように、セリウム酸化物との組合わせでMnOを添加することにより、低温でのNO/NOの4:1混合物の変換改善から実証されているように、有能な酸化剤として作用し触媒の性能を改善させた。
【0047】
本発明の触媒の性能を上記非特許文献2の論文中にGonsin Qiらにより記述されている粉状触媒のものと比較した。このQiらの粉状触媒は、超安定(すなわち、高Si/Al)Yゼオライト中に含浸させた14%のセリウムと、6%のマンガンとから構成されたものであり、そこに開示されている実験条件下、温度180℃でNOの変換をほぼ100%まで促進させたと報告している。この粉状触媒は、100%のNOの供給ガスおよび30,000GHSVの空間速度、150℃の温度で濡らしたとき、80%の変換を達成させた。120,000GHSVの空間速度、150℃の温度および4:1NO/NOのガス組成で55%の変換を達成させた。これは興味深い触媒であり、NOの大部分をNOに酸化させ、これらの変換速度を達成させたものと思われる。120,000GHSVでのNO酸化について、これらの結果は白金のものと極めて似ている。図1および図2に示すように、Qi,YangおよびChangのCeO/MnO/Y触媒は、FeZSM−5よりも更に良好な低温性能を有する。しかし、図1および図2に示すように、本発明の触媒、Ce/MnO/FeZSM−5は、実施的に更に良好な低温性能を有するものである。
【0048】
本発明の他の態様は“二重床”触媒システムに関するものである。これらの新規な触媒は高温でのアンモニア酸化のためには活性が強過ぎるが、すぐれた低温性能を有するため、より広範な操作範囲を実現させるための1つの解決策は、高温ですぐれた性能を示すFeZSM−5のような“高温触媒”を本発明のハイブリッド触媒床の先方に配置させることである。高温では、高温触媒が高効率でNOを窒素に変換させる。しかし、低温では、“高温触媒”は、4:1NO/NOのガス供給で、温度200℃ではNOを僅か約60%変換できるに過ぎない。ハイブリッド触媒は残りのNOの大部分を効果的に変換させ、約150℃の広範な温度範囲に亘って90%を超える変換を達成することができる。この二重機能触媒床は、150℃ないし450℃を超える温度、すなわち500℃までもの広範な温度範囲に亘ってNOの変換を可能にするものである。
以下の実施例は、本発明の操作可能性を説明するものである。
実施例1
【0049】
きん青石モノリス上に担持されたFeZSM−5の製造:
きん青石モノリスの円筒体(10mm(直径)x12mm(長さ)、1インチ平方当り400の気泡)をゼオライト粉の水性スラリーに浸漬させ、110℃で乾燥させることによりH−ZSM−5(ZEOLYST INTERNATIONAL)ゼオライトをモノリス上に塗布した。約20ないし24重量%のゼオライトコーティングを達成するためには、前記塗布および後の乾燥処理のサイクルを数回、繰り返す必要があった。ついで、この塗布したモノリスを約500℃の温度でか焼した。揮発性鉄成分としてFeClを用いた公知の気相交換法により鉄をゼオライトの気孔内に交換させた。1片のZSM−5塗布きん青石モノリスを、無水FeClのボートから下流側のボート内に配置させた。これらのボートは、乾燥窒素ガスでパージングさせた石英装置内に収容した。この石英装置を300℃ないし325℃の間の温度に加熱し、FeClの昇華を開始させた。このゼオライト−塗布モノリスの色を黄色ないしオレンジ色に変化させた後、前記装置を乾燥窒素雰囲気内で冷却させ、その結果得られたモノリスを約500℃の温度で周囲空気内でか焼させ、触媒を得た。この触媒を以下、Fe−ZSM−5/モノリスと称する。この触媒は、ゼオライトコーティングの重量に基づいて、ほぼ7重量%のFeOの増加を示した。
実施例2
【0050】
FeZSM−5/モノリス触媒のテスト:
実施例1で得たFe−ZSM−5/モノリスを、NO変換活性およびNO酸化活性についてテストした。NO変換活性を測定するため、Fe−ZSM−5/モノリスを10mm径の石英反応管内に配置させた。反応ガス(He中、NO、NO、NHおよびO)をマスフローコントローラを用いて350ppmの総NO、350ppmNHおよび12%Oを有するガス混合物を生成させ、シリンジポンプおよび蒸発機を用いてスチームを5%これに添加した。NO:NOは1:1又は4:1とした。空間速度は30,000h−1又は60,000h−1とした。製品および反応体(NO、NO、NOおよびNH)を、2m又は10m路長を有する加熱セルを備えたフーリエ変換赤外(FT−IR)分光分析器を用いて分析した。窒素は、ガスクロマトグラフィを用いて測定した。この反応装置の操作は自動化させたものである。触媒性能データは500℃ないし120℃の温度範囲に亘って得た。このデータは図1に要約されている。
NO酸化活性を判定するため、He中の190ppmのNOおよび12%のOのブレンドガスを反応器に供給し、総NOに対するNOの量をFT−IRを用いて測定した。NO酸化テストの結果を図2に示す。
実施例3
【0051】
MnO/Y触媒の製造:
上記非特許文献1に報告されている触媒に匹敵するゼオライトY触媒上に担持されたMnOを初期湿り度含浸により製造した。ゼオライトY(ZEOLYST(登録商標))の6gサンプルに約3ccの5モル硝酸マンガン溶液を含浸させ、ほぼ10ないし15重量%のMnを有する触媒を製造した。この触媒を約120℃の温度で乾燥させ、ついで、500℃の温度でか焼した。
実施例4
【0052】
MnO/Y触媒のテスト:
実施例3で得たMnO/Y触媒を、実施例2と同様にして、NO変換についてテストした。この触媒は粉砕したきん青石1.5cc中に希釈させた粉体としてテストした。モノリス触媒からの結果と他の触媒の結果との比較を適正に行うため、120,000h−1のGHSV(活性触媒粉の量に基づいて)を選択した。4:1NO/NO条件での結果を図1に示す。NO変換実験と同じGHSVで、温度の関数として、この触媒のNO酸化活性を実施例2に記載したのと同様にして判定した。得られたデータを図2に示す。
実施例5
【0053】
MnO/Y触媒の製造およびテスト:
上記非特許文献1に報告されている触媒に匹敵するCe,MnOを担持させたゼオライトY触媒を初期湿り度含浸により製造した。すなわち、ゼオライトYの粉体サンプルをCeおよびMn硝酸塩の水溶液に浸漬し、6wt%Mn,14wt%Ceの触媒を得た。この初期湿り度含浸を行ったのち、この触媒を約120℃の温度で一晩、乾燥させ、ついで、500℃の温度でか焼した。この製品としてのCe,MnO/Y触媒のNO変換を実施例2に記載したのと同様にしてテストした。このCe,MnO/Y触媒を、粉砕したきん青石1.5cc中に50/50の割合で希釈させた。モノリス触媒からの結果と他の触媒の結果との比較を適正に行うため、120,000h−1のGHSV(活性触媒粉の量に基づいて)を選択した。4:1NO/NO条件での結果を図1に示す。
NO変換実験と同じGHSVで、温度の関数として、この触媒のNO酸化活性を実施例2に記載したのと同様にして判定した。得られたデータを図2に示す。
実施例6
【0054】
CeO−Fe−ZSM−5/モノリス触媒の製造:
実施例1で得たFe−ZSM−5/モノリス触媒を4M硝酸セリウム水溶液内にて浸漬、塗布した。過剰の溶液を振るい落とし、得られた触媒を約120℃の温度で乾燥させた。この触媒をついで、約500℃の温度でか焼した。得られた製品はCeO−Fe−ZSM−5/モノリス触媒であった。
実施例7
【0055】
CeO−Fe−ZSM−5/モノリス触媒のテスト:
CeO−Fe−ZSM−5/モノリス触媒のNO変換を実施例2に記載したのと同様にしてテストした。すなわち、CeO−Fe−ZSM−5/モノリス触媒粉を、粉砕したきん青石1.5cc中に50/50の割合で希釈させた。モノリス触媒からの結果と他の触媒の結果との比較を適正に行うため、120,000h−1のGHSVを選択した。4:1NO/NO条件での結果を図3に示す。
実施例8
【0056】
CeO−Fe−ZSM−5/モノリス触媒の製造:
実施例6で得たCeO−Fe−ZSM−5/モノリス触媒を4M硝酸セリウム水溶液内にて浸漬を2回繰り返すことにより含浸を行った。得られた触媒を実施例6と同様にして乾燥、か焼させた。
実施例9
【0057】
CeO−Fe−ZSM−5モノリス触媒のテスト:
実施例8(更なる含浸/か焼処理)のCeO−Fe−ZSM−5/モノリス触媒のNO変換を実施例2に記載したのと同じ条件でテストした。このテストから得られたデータは実施例7で与えられた触媒についてのデータと殆ど差異はなかった。これらのデータを図3にプロットした。
実施例10
【0058】
Mn,CeO−Fe−ZSM−5モノリス触媒の製造:
実施例7で得たCeO−Fe−ZSM−5/モノリス触媒を1モル硝酸マンガン水溶液内にて浸漬、塗布し、Mnを含浸させた。過剰の溶液を振るい落とし、得られた触媒を約120℃の温度で乾燥させた。この触媒をついで、約500℃の温度でか焼した。得られた製品はMn,CeO−Fe−ZSM−5触媒であった。
実施例11
【0059】
Mn,CeO−Fe−ZSM−5モノリス触媒のテスト:
実施例10に記載したようにして製造されたMn,CeO−Fe−ZSM−5/モノリス触媒のNO変換を実施例2に記載したのと同じ条件でテストした。これらのデータを図1に示す。
この触媒のNO酸化機能を、190ppmのNOを使用して、実施例2に記載したのと同様にしてテストした。これらのデータを図3に示す。
実施例12
【0060】
Mn,CeO−Fe−ZSM−5モノリス触媒の製造:
CeおよびMnの量の関係を検討するため、一連の触媒を製造し、NO変換およびNO酸化に対する触媒活性への影響を調べた。きん青石モノリス(直径10mm、長さ12mm、1インチ平方当り400の気泡)の5個にNH−ZSM−5の水性スラリーを塗布した。平均ゼオライト添加量は34重量%であった。これら触媒を乾燥し、か焼し、実施例1と同様にFeClで処理した。これらの同様にして製造した5個のFe−ZSM−5/モノリス触媒を、以下のようにして硝酸セリウムおよび硝酸マンガンの水溶液中に浸漬、塗布することによりCeおよびMnの様々な量を以って含浸させた。
【0061】
触媒Aは、2モルの硝酸セリウムおよび2モルの硝酸マンガンの溶液中にモノリスを浸漬塗付することにより製造した。
触媒Bは、1モルの硝酸セリウムおよび1モルの硝酸マンガンの溶液中にモノリスを浸漬塗付することにより製造した。
触媒Cは、0.5モルの硝酸セリウムおよび0.5モルの硝酸マンガンの溶液中にモノリスを浸漬塗付することにより製造した。
触媒Dは、1モルの硝酸マンガンおよび0.5モルの硝酸セリウムの溶液中にモノリスを浸漬塗付することにより製造した。
触媒Eは、0.5モルの硝酸マンガンおよび1モルの硝酸セリウムの溶液中にモノリスを浸漬塗付することにより製造した。
各モノリスの浸漬塗付を行ったのち、過剰の溶液を各モノリス片から除去し、5個の全ての触媒を前述のように乾燥し、か焼した。
実施例13
【0062】
Mn,CeO−Fe−ZSM−5モノリス触媒のテスト:
実施例12で得た触媒A−EによるNO変換およびNO酸化を実施例2に記載した方法でテストした。これら触媒のNO変換およびNO変換を図4aおよび図4bに示す。
実施例14
【0063】
Mn,CeO−Fe−ZSM−5モノリス触媒の製造:
実施例12で得た触媒Aに硝酸マンガンおよび硝酸セリウムの2モル溶液を含浸させ、乾燥し、か焼することにより触媒Fを得た。この触媒Fについて、NO変換およびNO変換を測定した。その後、この触媒Fに硝酸マンガンおよび硝酸セリウムの溶液を再度、含浸させ、乾燥し、か焼することにより触媒Gを得た。これら触媒Fおよび触媒GについてのNO変換およびNO変換の結果を図4aおよび図4bに示す。
実施例15
【0064】
Mn,CeO−Fe−ZSM−5モノリス触媒を用いたアンモニアの酸化:
触媒Fを用い、Mn,CeO−Fe−ZSM−5モノリス触媒を使用した場合のアンモニアを酸化させ、それにより過剰の又は未消費のアンモニア(アンモニア‘スリップ’と呼ばれることもある)の大気への損失を抑制する能力を実証した。すなわち、触媒Fを10mm径の石英反応器内に配置させた。He中に希釈させた約500ppmのNHおよび12%のOを含むガス混合物を5%のスチームと共に反応器に供給した。アンモニアの変換を、FT−IRおよびガスクロマトグラフィ(GC)によりモニターし、Nの検出を行った。約300℃の温度で、アンモニアを完全に変換することができた。Nに対する選択性は約80%であり、NOに対する選択性は約20%であった。
実施例16
【0065】
炭化水素毒性に対するMn,CeO−Fe−ZSM−5モノリス触媒の抵抗:
触媒Fを用い、炭化水素毒性に対するMn,CeO−Fe−ZSM−5モノリス触媒の抵抗を実証した。触媒を177℃の温度に維持しつつ、4:1のNO/NO比および実施例2に記載した条件下で、95%のNO変換を達成した。4分間隔で射出させた10マイクロリットルの液体トルエンの4パルス列を気化させ、触媒床の上流に移送させた。各パルスの後、NO変換の急激な減少が認められ、約10点下落したが、次いで急速に90%以上に回復した。このトルエンの4パルス後においては、NO変換が90%より高くなり、3時間未満で95%変換に回復した。
実施例17
【0066】
SOを用いたエージングに対するCe,MnOFe−ZSM−5/モノリス触媒の安定性:
実施例10で得たCe,MnOFe−ZSM−5/モノリス触媒のSOエージングに対する安定性をテストした。空気中の45ppmのSO(殆どがSO)のスチームとの混合物を、触媒の温度を約350℃に維持しながら、15時間に亘って触媒上に流した。ついで、この触媒を僅かながら約500℃の温度に加熱し、4:1のNO/NO混合物におけるNO変換を実施例2に述べたようにしてテストした。得られたデータを図5にプロットして示した。NO変換についての曲線の形状は変化したが、約200℃の温度では80%を超えて維持され、約275℃ないし約475℃の温度範囲では90%を超えていた。
実施例18
【0067】
二重床触媒:
広範な温度ウィンドウプロセスを提供するため、二重床触媒を製造した。すなわち、実施例1で記載した方法で製造した10mm(径)x12mm(長さ)のFe−ZSM−5/モノリス触媒より下流側に、実施例14,15,16からの触媒Fを配置させた。触媒床の量を倍にしたことを考慮して流れを倍にした(すなわち、この二重床についてのGHSVは30,000h−1とした)以外は、この二重床触媒を実施例2と同様にしてテストした。温度の関数としてのNO変換を図6に示す。
実施例19
【0068】
二重床触媒:
実施例1で記載した方法で製造した10mm(径)x5.4mm(長さ)のFe−ZSM−5/モノリス触媒を、触媒F(実施例18からの触媒)の上流側に配置させ、二重床触媒を製造した。流量は、30,000h−1の総GHSVが得られるように調整した。NO変換テストの結果を図6に示す。
実施例20
【0069】
炭化水素毒性に対する二重床触媒の安定性:
実施例19で得た二重床触媒を、温度160℃で、標準4:1のNO/NO比でのNO変換に曝した。NO変換はトルエンの導入前では85%で一定であった。トルエン蒸気は100ppmの濃度で導入させた。その後の2時間については、NO変換に変化は認められなかった。ついで、トルエンの濃度を1000ppmに増大させた。その後の2時間については、NO変換は徐々に降下し、約65%に減少した。1000ppmのトルエンを供給流に依然として存在させた状態で、触媒床を約250℃に加熱したところ、NO変換は約85%に上昇し、安定に維持された。トルエンを供給流から除気、触媒床を250−300℃の温度に僅か加熱したとき、全ての触媒活性が回復した。
【0070】
貧NOトラップは、貧燃焼エンジンからのNO変換のためのアプローチである。これらのトラップは吸着剤でNOを吸着し、ついで、この吸着したNOをNに反応させるようにして操作される。このアプローチは、より高い温度でNOを減少させる別の方法を提供するものであるが、このトラップが効果的になるためにはNOをNOに変換させる必要がある。このNOのNOへの変換は、望ましい操作温度である低温、特に約100℃ないし約250℃の範囲においては困難である。本発明の1つの態様は、広範な温度範囲、特に250℃未満の温度においてNOをNOへ触媒的酸化させ、それにより貧NOトラップをより効果的に稼動するようにする有能な触媒に関するものである。MnおよびCeを含有する本発明の触媒の能力、すなわち、低温でNOをNOへ触媒的酸化させる能力により、ガス中のNOの量を増加させ貧NOトラップをより効果的に稼動させることができ、従って、NOとして捕捉されるNOの量を増大させることができる。マンガンおよびセリウムを含有する本発明の触媒は従って、低温触媒であり、貧NOトラップ触媒の上流に配置させたとき、このトラップ装置の低温効率を改善させることができる。
【0071】
以上の本発明の記載は、説明を目的とするものであり、本発明を全て網羅するものでもなく、また、本発明を開示した形態そのものに制限することを意図するものでもない。以上の記載に照らして、多くの変更、改良も明らかであろう。例えば、鉄をゼオライト構造に昇華により組み込むようにしたが、鉄はイオン交換手法により同じく組み込むことも可能である。
【0072】
上記実施例は本発明の原理および実際の適用を最もよく説明するために選択され、記述されたものであり、それにより当業者が様々な例において本発明を最もよく利用できるようにし、かつ、特定の実施に適するよう種々改善できるようにしたものである。本発明の範囲は、添付した特許請求の範囲により規定されるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】30,000h−1(モノリス)の気体の1時間当りの空間速度(GHSV)での温度の関数としてのNO変換を%で示すグラフ図であって、以下の触媒およびNO組成物について100℃ないし400℃の温度におけるNO変換率を示している:FeZSM−5/MnO、4:1NO/NO(黒丸);FeZSM−5/CeO/MnO、4:1NO/NO(黒四角);Yゼオライト上に担持させた粉状触媒MnO、120,000h−1(白丸);Yゼオライト上に担持させたCe/MnO、4:1NO/NO(黒ダイヤ形);FeZSM−5、4:1NO/NO(黒三角);FeZSM−5、1:1NO/NO(白ダイヤ形)。
【図2】以下の触媒および条件について約100℃ないし500℃の温度範囲において、温度の関数としての(NO/(NO+NO))%を示すグラフ図である:モノリス担持FeZSM−5/MnO、30,000h−1(白丸);本発明のモノリス担持触媒FeZSM−5/CeO/MnO、30,000h−1(白抜き四角形);モノリス担持Pt,30Kの空間速度(黒ダイヤ形);Yゼオライトに担持させた粉体触媒CeO/MnO、120,000h−1(黒い四角);Yゼオライトに担持させた粉体触媒MnO、120,000h−1(黒い三角);粉体触媒MnZSM−5、30K GHSV(x印)。350℃までの最も上の曲線はNOを酸素で酸化させNOを生成させるため(白丸)の平衡曲線である。図2は本発明の触媒が、アンモニアの存在下でSCRによるNOの高い変換速度を達成するのに要求されるところの低温でのNOのNOへの酸化のためのすぐれた触媒であること示している。
【図3】以下の触媒および条件について約100℃ないし400℃の温度範囲において、温度の関数としてのNO変換%を示すグラフ図である:FeZSM−5(白丸);Ceを最初に含浸した後のCeO/FeZSM−5(白い四角形);Ceの2回目の含浸の後のCeO/FeZSM−5(黒い四角形); MnO/CeO/FeZSM−5(白い三角形)。セリウムの含浸は、硝酸セリウムの水溶液に鉄ゼオライトを浸漬し、ついで乾燥、焼成し、硝酸セリウムをセリウム酸化物(CeO)に変換させることにより行った。図3に示すように、セリウムの含浸前後でのこの触媒の活性に有意な差異は認められなかった。しかし、セリウム酸化物にMnOを組合わせて使用することにより低温(約250℃未満)での触媒の性能が改善された。
【図4a】触媒A,B,C,D,EについてNO変換の結果を示すグラフ図であって、これら触媒はモノリスを触媒溶液で塗布し、後に乾燥、焼成したものである。具体的には、触媒Aは2モル硝酸セリウムおよび2モル硝酸マンガンの溶液内にモノリスを浸漬塗付することにより製造された。触媒Bは1モル硝酸セリウムおよび1モル硝酸マンガンの溶液内にモノリスを浸漬塗付することにより製造された。触媒Cは0.5モル硝酸セリウムおよび0.5モル硝酸マンガンの溶液内にモノリスを浸漬塗付することにより製造された。触媒Dは1モル硝酸マンガンおよび0.5モル硝酸セリウムの溶液内にモノリスを浸漬塗付することにより製造された。触媒Eは0.5モル硝酸マンガンおよび1モル硝酸セリウムの溶液内にモノリスを浸漬塗付することにより製造された。また、触媒Aに硝酸セリウムおよび硝酸マンガンの2モル水溶液を再度含浸させ、後に乾燥、焼成することにより触媒Fが製造された。触媒Fに硝酸セリウムおよび硝酸マンガンの溶液を再度含浸させ、後に乾燥、焼成することにより触媒Gが製造された。この触媒FおよびGについてのNO変換の結果もここに示す。
【図4b】触媒A,B,C,D,EについてNO変換の結果を示すグラフ図であって、これら触媒はモノリスを触媒溶液で塗布し、後に乾燥、焼成したものである。具体的には、触媒Aは2モル硝酸セリウムおよび2モル硝酸マンガンの溶液内にモノリスを浸漬塗付することにより製造された。触媒Bは1モル硝酸セリウムおよび1モル硝酸マンガンの溶液内にモノリスを浸漬塗付することにより製造された。触媒Cは0.5モル硝酸セリウムおよび0.5モル硝酸マンガンの溶液内にモノリスを浸漬塗付することにより製造された。触媒Dは1モル硝酸マンガンおよび0.5モル硝酸セリウムの溶液内にモノリスを浸漬塗付することにより製造された。触媒Eは0.5モル硝酸マンガンおよび1モル硝酸セリウムの溶液内にモノリスを浸漬塗付することにより製造された。また、触媒Aに硝酸セリウムおよび硝酸マンガンの2モル水溶液を再度含浸させ、後に乾燥、焼成することにより触媒Fが製造された。この触媒FについてのNO変換の結果もここに示す。
【図5】三酸化硫黄(SO)を使用したエージングに対する本発明のCe,MnOFe−ZSM−5/モノリス触媒の安定性についての結果を示す線図。
【図6】本発明の二重床触媒について、温度を関数としたNO変換の結果を示す線図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素酸化物、アンモニアおよび酸素を含む排ガス流中の窒素酸化物を選択的に触媒還元するための方法であって、窒素酸化物を触媒的に還元するのに効果的な条件下で排ガス流を触媒と接触させ、それによりNOの残留を約0.6%以下に抑制するもので、該触媒が、鉄とイオン交換され、マンガンおよびセリウムを含浸させた中間気孔サイズゼオライトからなることを特徴とする方法。
【請求項2】
該触媒が、約4部のNOおよび約1部のNOを含むガス混合物中の窒素酸化物を約113℃の温度で約80%減少させ、約147℃の温度で約94%減少させるべく十分な触媒活性を有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記中間気孔サイズゼオライトが、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−12、ZSM−21、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−38、ZSM−48、ZSM−57およびZSM−58からなる群から選択されるものである請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記中間気孔サイズゼオライトがZSM−5である請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記中間気孔サイズゼオライトがモノリス上に担持されたものである請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記中間気孔サイズゼオライトがきん青石上に担持されたものである請求項1記載の方法。
【請求項7】
アンモニアの存在下で窒素酸化物を選択的に触媒還元するのに有効な担持触媒であって、触媒がモノリス上に担持され、かつ、鉄とイオン交換され、マンガンおよびセリウムを含浸させたZSM−5からなることを特徴とする担時触媒。
【請求項8】
前記モノリスがきん青石からなる請求項7記載の担持触媒。
【請求項9】
窒素酸化物、アンモニアおよび酸素を含む排ガス流中の窒素酸化物を触媒還元するための方法であって、窒素酸化物を触媒的に還元するのに効果的な条件下で排ガス流をFe−ZSM−5からなる第1の触媒と接触させ、その後、鉄とイオン交換され、マンガンおよびセリウムを含浸させた中間気孔サイズゼオライトからなる第2の触媒と接触させることを特徴とする方法。
【請求項10】
排ガスが酸素を含み、窒素酸化物が約4:1の比のNOおよびNOを含むとき、該第2の触媒が、NOおよびNOの4:1混合物中の窒素酸化物を約113℃の温度で約80%減少させ、約147℃の温度で約94%減少させるべく十分な触媒活性を有する請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記中間気孔サイズゼオライトが、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−12、ZSM−21、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−38、ZSM−48、ZSM−57およびZSM−58からなる群から選択されるものである請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記中間気孔サイズゼオライトがZSM−5である請求項9記載の方法。
【請求項13】
前記Fe−ZSM−5および前記第2の触媒がモノリス上に担持されたものである請求項9記載の方法。
【請求項14】
窒素酸化物を選択的に触媒還元するのに有効な担持触媒であって、中間気孔サイズゼオライトを鉄でイオン交換させ、セリウムおよびマンガンを含浸させたものであり、該イオン交換の後、約450℃ないし約500℃の温度範囲でか焼(calcination)させたものであり、セリウムの含浸がセリウムを含む水溶液に前記ゼオライトを曝し、ついで乾燥、か焼させることからなり、マンガンの含浸がマンガン(II)を含む水溶液に前記ゼオライトを曝し、ついで乾燥、か焼させることからなることを特徴とする触媒。
【請求項15】
前記中間気孔サイズゼオライトが、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−12、ZSM−21、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−38、ZSM−48、ZSM−57およびZSM−58からなる群から選択されるものである請求項14記載の触媒。
【請求項16】
前記中間気孔サイズゼオライトがZSM−5である請求項14記載の触媒。
【請求項17】
Fe−ZSM−5を含む第1の触媒部分と、鉄でイオン交換され、マンガンおよびセリウムを含浸させた中間気孔サイズゼオライトを含む第2の触媒部分とを具備してなることを特徴とする二重床触媒システム。
【請求項18】
貧NOトラップの低温性能を改善する方法であって、貧NOトラップの上流に、鉄、セリウムおよびマンガンを含浸させた中間気孔サイズゼオライトを有する触媒を配置し、ついで、該触媒をNOおよび酸素と接触させ、それによりNOをNOに実質的に酸化させ、NOリッチの流れを生じさせ、貧NOトラップの低温性能を改善させることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−508090(P2008−508090A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523702(P2007−523702)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/026372
【国際公開番号】WO2006/031297
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(507229308)ロス アラモス ナショナル セキュリティ,エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】