説明

計測システム、移動体装着端末及びデータ処理装置

【課題】 大規模なゲート等の設置を必要とせずに、競走馬に意識させずに設置でき、高速で駆ける競走馬のハロンタイムを確実に自動取得できる計測システム、移動体装着端末及びデータ処理装置を提供する。
【解決手段】 計測システムは、無線中継装置、移動体装着端末及びデータ処理装置を具備する。無線中継装置は、無線通信を行うための無線エリアを形成する。移動体装着端末は、無線エリア内を移動する移動体に装着され、GPSユニット及び無線ユニットを備える。GPSユニットは、移動体の位置情報及び位置情報を取得したときの時刻情報をGPSにより取得する。無線ユニットは、位置情報及び時刻情報を無線信号に変換し、無線信号を無線中継装置へ送信する。データ処理装置は、無線中継装置を介して移動体装着端末からの無線信号を受信し、位置情報及び時刻情報に基づき、移動体が無線エリア内において予め設定された距離を移動するのにかかる時間を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、GPS(Global Positioning System)機能を用いて移動体が所定の距離を移動する時間を計測する計測システムと、このシステムに用いられる移動体装着端末及びデータ処理装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
競走馬の調教時において、ハロン毎(1ハロン:約200m)に要した時間はハロンタイムと呼ばれ、ハロンタイムの取得は競走馬の現状の能力および育成状況の把握と、適正な運動強度でのトレーニング実施に有効である。
【0003】
大規模な競走馬の調教場であるトレーニングセンターの一部の施設においては、前記ハロンタイムのデータ取得を自動で行うシステム(調教場自動計測システム(以下、ALISと記す))が導入されている。このALISの設置においては、競走馬が意識せず(怖がらず)、かつ、高速で駆ける競走馬のハロンタイムを確実に自動取得する必要がある。
【0004】
例えば、既導入のALISの場合は、競走馬毎にバーコードを付帯し、このバーコードを読み取るバーコード読取機をハロン毎(200m間隔)に設置する。そして、ハロンを通過した競走馬の時刻を計測することによりハロンタイムを取得している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−296493号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】http://www.smt-inc.co.jp/inspection_system/pdfdata/keiba.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ALISにおいては、前述の通り、競走馬がそのバーコード読取機の設置を意識しない程度の大規模なゲートを設置する必要がある。また、バーコード読取機は、競走馬に付帯したバーコードと離れた位置に設置されるため、高速で駆ける競走馬のハロンタイムを読み取れないといった計測ミスも生じている。
【0008】
更に、大規模なゲートの設置は高額な経費を要する上に、ゲートに設置されたバーコード読取機は高所に設置されるためメンテナンス費用も高額となる。
【0009】
このように、計測システムの設置を競走馬が意識せず(怖がらず)、かつ、高速で駆ける競走馬のハロンタイムを確実に自動取得できるシステムにおいて、大規模なゲート等の設置を必要としない計測システムが必要とされている。
【0010】
そこで、目的は、大規模なゲート等の設置を必要とせずに、競走馬に意識させずに設置でき、高速で駆ける競走馬のハロンタイムを確実に自動取得できる計測システムと、このシステムに用いられる移動体装着端末及びデータ処理装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態によれば、計測システムは、無線中継装置、移動体装着端末及びデータ処理装置を具備する。無線中継装置は、無線通信を行うための無線エリアを形成する。移動体装着端末は、前記無線エリア内を移動する移動体に装着され、GPSユニット及び無線ユニットを備える。GPSユニットは、前記移動体の位置情報及び前記位置情報を取得したときの時刻情報をGPSにより取得する。無線ユニットは、前記位置情報及び時刻情報を無線信号に変換し、前記無線信号を前記無線中継装置へ送信する。データ処理装置は、前記無線中継装置を介して前記移動体装着端末からの無線信号を受信し、前記位置情報及び時刻情報に基づき、前記移動体が前記無線エリア内において予め設定された距離を移動するのにかかる時間を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係る計測システムの機能構成を示すブロック図である。
【図2】図1の制御部の機能構成を示すブロック図である。
【図3】図1のデータ処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】図1の計測システムがGPS測位部での取得周期を切り替える際のシーケンス図である。
【図5】図1の計測システムの機能構成のその他の例を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態に係わる計測システムの機能構成を示すブロック図である。
【図7】図6の制御部の機能構成を示すブロック図である。
【図8】図6のデータ処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図9】図6の計測システムがGPS測位部での取得周期を切り替える際のシーケンス図である。
【図10】図6の計測システムの機能構成のその他の例を示すブロック図である。
【図11】図6の移動体装着端末の動作のその他の例を示す図である。
【図12】図6の計測システムの機能構成のその他の例を示すブロック図である。
【図13】図12のデータ処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る計測システムの機能構成を示すブロック図である。図1に示す計測システムは、無線中継装置10、移動体装着端末20、データ処理装置30、DGPS(Differential Global Positioning System)受信機40及び通信機50を具備する。本実施形態では、計測システムにより、競走馬が予め設定された一定距離を通過する時間を計測する例を説明する。以下では、一定距離を1ハロン(約200m)とし、一定距離である1ハロンを通過する時間をハロンタイムと称する。
【0015】
無線中継装置10は、例えば、IEEE802.11a/b/gに準拠した無線LAN中継装置であり、無線通信可能な無線エリアを形成する。無線中継装置10は、ハロンタイムを計測する計測コース全域が無線エリアに含まれるように、一つ又は複数配置される。
【0016】
移動体装着端末20は、無線エリア内を移動する移動体に装着される。なお、図1では、移動体装着端末20は一つしか示されていないが、移動体装着端末20は、無線エリア内に存在する移動体毎に装着される。つまり、移動体装着端末20は、無線エリア内に複数存在する場合もあり得る。また、本実施形態では、競走馬と乗員とを併せて移動体として捉え、移動体装着端末は、競走馬と乗員とのいずれに装着させても構わない。
【0017】
移動体装着端末20は、GPS(Global Positioning System)ユニット21及び無線ユニット22を備える。
【0018】
GPSユニット21は、メモリ211、GPS測位部212、インタフェース部213及び制御部214を備える。
【0019】
メモリ211は、GPS測位部212により情報を取得する際の第1の取得周期f1と、第2の取得周期f2とを予め記録する。ここで、f1<f2とする。
【0020】
GPS測位部212は、複数の人工衛星からの電波を受信して移動体の現在位置座標を計測する。このとき、GPS測位部212は、メモリ211に記録される第1及び第2の取得周期のうち、制御部214からの指示に応じた取得周期で移動体の位置情報を取得する。GPS測位部212は、取得した位置情報と、この位置情報を取得した時刻情報とをインタフェース部213を介して無線ユニット22へ出力する。
【0021】
インタフェース部213は、無線ユニット22とのインタフェースである。インタフェース部213は、GPS測位部212からの位置情報及び時刻情報を無線ユニット22へ出力する。また、インタフェース部213は、無線ユニット22からの信号を制御部214へ出力する。
【0022】
制御部214は、無線ユニット22からの周期制御信号に基づいて、メモリ211に記録される第1及び第2の取得周期のうちいずれかに従って移動体の位置情報を取得するように、GPS測位部212に対して指示を出す。なお、周期制御信号については後述する。
【0023】
無線ユニット22は、メモリ221、インタフェース部222、通信処理部223、通信部224及び制御部225を備える。
【0024】
メモリ221は、移動体装着端末20を識別するために割り当てられた識別ID番号を予め記録する。また、メモリ221は、計測エリアのエリアデータを予め記録する。また、メモリ221は、移動体の個別情報を予め記録する。ここで、個別情報とは、例えば、馬名及び競走馬毎に割り付けられた固有番号等をいう。
【0025】
インタフェース部222は、GPSユニット21からの位置情報及び時刻情報を受け取る。また、インタフェース部222は、制御部225からの周期制御信号をGPSユニット21へ出力する。
【0026】
通信処理部223は、GPSユニット21からの位置情報及び時刻情報と、メモリ221に記録される識別ID及び個別情報とを受け取り、これらを通信形式に応じた変調方式で変調する。通信処理部223は、変調信号を通信部224へ出力する。
【0027】
また、通信処理部223は、通信部224で受信される無線信号を通信形式に応じた復調形式によって復調する。通信処理部223は、復調信号を制御部225へ出力する。
【0028】
通信部224は、通信処理部223からの変調信号の周波数を無線周波数帯へ変換し、電力を増幅し、無線信号として外部へ送信する。このとき、通信部224は、位置情報及び時刻情報を取得する周期である第1又は第2の取得周期f1,f2と一致させて無線信号を送信しても良いし、f1及びf2よりも長い周期の送信周期で無線信号を送信しても良い。f1及びf2よりも長い周期の送信周期で無線信号を送信する場合、位置情報及び時刻情報は、メモリ221に保持されることとなる。
【0029】
また、通信部224は、外部から伝送される無線信号を受信する。通信部224は、受信した無線信号の周波数を中間周波数帯へ変換し、通信処理部223へ出力する。
【0030】
また、通信部224は、制御部225からの制御により無線信号の送信のオン/オフが制御される。
【0031】
制御部225は、例えばCPU(Central Processing Unit)を備えたもので、図2に示す機能を有する。すなわち、制御部225は、通信制御部2251、周期制御部2252及びエリア判断部2253を有する。
【0032】
通信制御部2251は、インタフェース部222を介してGPSユニット21から位置情報及び時刻情報が入力された場合、メモリ221から識別ID及び個別情報を読み出し、GPSユニット21からの位置情報及び時刻情報と共に、識別ID及び個別情報を通信処理部223へ出力する。
【0033】
周期制御部2252は、通信処理部223から復調信号を受け取り、この復調信号が後述する精測開始指示を含むか、後述する精測終了指示を含むかを判断する。受け取った復調信号が精測開始指示を含む場合、周期制御部2252は、第2の取得周期f2によりGPS測位を実施する旨の周期制御信号をGPSユニット21へ出力する。また、受け取った復調信号が精測終了指示を含む場合、周期制御部2252は、第1の取得周期f1によりGPS測位を実施する旨の周期制御信号をGPSユニット21へ出力する。
【0034】
エリア判断部2253は、GPSユニット21から位置情報を受け取った場合、この位置情報と、メモリ221に記録されるエリアデータとを比較し、移動体が計測エリア内に存在するか否かを判断する。位置情報がエリアデータ内に存在しない場合、エリア判断部2253は、通信部224に対して無線信号の送信動作をオフとするように制御する。また、位置情報がエリアデータ内にある場合、エリア判断部2253は、通信部224に対して無線信号の送信動作をオンとするように制御する。
【0035】
図1に示す通信機50は、無線中継装置10を介して移動体装着端末20からの無線信号を受信する。通信機50は、移動体装着端末20からの無線信号を中間周波数帯のIF信号に変換し、IF信号を通信方式に応じた復調方式で復調する。通信機50は、復調信号をデータ処理装置30へ出力する。ここで、復調信号には、位置情報、時刻情報、識別ID及び個別情報が含まれる。
【0036】
データ処理装置30は、通信機50からの復調信号を受信すると共に、DGPS受信機40により取得されたDGPSデータを受信する。図3は、第1の実施形態に係るデータ処理装置30の機能構成を示すブロック図である。図3に示すデータ処理装置30は、DGPS測位処理部31、フィルタ処理部32、判断部33、ハロンタイム演算処理部34及び順位取得部35を備える。
【0037】
DGPS測位処理部31は、復調信号に含まれる位置情報及び時刻情報と、DGPS受信機40からのDGPSデータとを用いて、DGPS処理を行う。ここで、DGPS処理とは、予め、正確な位置のわかっている場所に固定されたDGPS受信機40で受信された位置情報から、その誤差成分を算出し、移動体装着端末20から得られた位置情報との相対位置関係より、移動体装着端末20から得られた位置情報に含まれる誤差成分を取り除くための位置更正処理である。DGPS処理後の位置情報には、ランダム成分の観測誤差が重畳されている。DGPS測位処理部31は、DGPS処理後の位置情報と、時刻情報とをフィルタ処理部32へ出力する。
【0038】
フィルタ処理部32は、時間サンプリングされた連続する位置情報にフィルタ処理を施す。これにより、フィルタ処理部32は、観測誤差を軽減した位置情報(以下、平滑位置と記す)と共に、平滑化した移動速度(以下、平滑速度と記す)を算出する。フィルタ処理部32は、算出した平滑速度を判断部33へ出力する。また、フィルタ処理部32は、算出した平滑位置、平滑速度及び時刻情報をハロンタイム演算処理部34及び順位取得部35へ出力する。
【0039】
ここで、フィルタ処理とは、目標を追尾するレーダ装置等でよく用いられる処理である。例えば、目標の位置を観測値として、目標速度を逐次算出しながら、観測誤差を低減した平滑値を求めると共に、目標の予測値を算出するα−βフィルタ、及び、等速直線運動や等加速度運動といった目標の運動モデルを設定し、観測値から平滑値や予測値を算出するカルマンフィルタ等が一般的に用いられている。
【0040】
以下に、計算負荷の少ないフィルタ処理の計算方法の例を示す。一般に、フィルタ係数(α,β)は、観測回数Nや観測誤差の状況により最適化を測る。なお、以下の数式において、XmNは観測位置、XSNは平滑位置、X’SNは平滑速度、XPNは予測位置、Tは観測時刻を示す。
【0041】
N=0のとき
S0=Xm0
X’S0=0
p1=XS0
N≧1のとき
SN=XpN+α(XmN−XpN
X’SN=X’SN−1+β(XmN−XpN)/(T−TN−1
pN+1=XSN+X’SN(TN+1−T
N≧K(ただし、Kは平滑位置、平滑速度が安定する十分に大きな値とする。)のとき
X’SNによる速度判定を開始
判断部33には、精測開始速度Vs1と、精測終了速度Ve1とが予め設定されている。なお、Vs1>Ve1である。判断部33は、フィルタ処理部32からの平滑速度と、復調信号に含まれる識別IDとを受け取る。判断部33は、平滑速度と、精測開始速度Vs1及び精測終了速度Ve1とを比較する。平滑速度>Vs1となった場合、判断部33は、識別IDにより識別される移動体装着端末20に対して精測開始信号を生成する。精測開始信号は、通信機50で変調され、無線信号として、無線中継装置10を介して、移動体装着端末20へ送信される。
【0042】
平滑速度<Ve1となった場合、判断部33は、識別IDにより識別される移動体装着端末20に対して精測終了信号を生成する。精測終了信号は、通信機50で変調され、無線信号として、無線中継装置10を介して、移動体装着端末20へ送信される。
【0043】
ハロンタイム演算処理部34は、フィルタ処理部32からの平滑速度、平滑位置及び時刻情報と、通信機50からの復調信号に含まれる識別ID及び個別情報とを受け取る。ハロンタイム演算処理部34は、平滑速度、平滑位置及び時刻情報に基づいて、予め設定されたそれぞれのハロンの開始点と終了点を通過する時刻を算出し、その時間差をハロンタイムとして算出する。ハロンタイム演算処理部34は、識別IDにより識別される移動体のハロンタイムを移動体毎に算出し、算出したハロンタイムと、識別ID及び個別情報とを後段へ出力する。
【0044】
順位取得部35は、フィルタ処理部32からの平滑速度、平滑位置及び時刻情報と、通信機50からの復調信号に含まれる識別ID及び個別情報とを受け取る。順位取得部35は、平滑速度、平滑位置、時刻情報及び識別IDに基づいて、無線エリア内において予め設定された地点を通過する際の各移動体の順位を取得する。順位取得部35は、取得した順位と、識別ID及び個別情報とを後段へ出力する。
【0045】
後段には例えば、ディスプレイ(図示せず)が設けられており、ハロンタイム及び順位は、このディスプレイに識別ID及び個別情報と対応付けられて表示されるようにしても良い。
【0046】
次に、以上のように構成された計測システムにおいてGPSユニット21による取得周期の切替動作を詳細に説明する。
【0047】
図4は、第1の実施形態に係る計測システムがGPS測位部212での取得周期を切り替える際のシーケンス図の一例を示す。
【0048】
無線エリア内には、計測コースが1つ以上含まれている。競走馬が無線エリア内に入ることにより、無線ユニット22と無線中継装置10との間で無線通信が開始される。この無線通信の開始を起点とし、GPSユニット21に対して、GPS測位の開始指示を行うことにより、GPS測位部212において、GPS測位を開始する。GPS測位部212は、位置情報及び時刻情報を第1の取得周期f1で取得する(シーケンスS41)。取得された位置情報及び時刻情報は、無線信号に変換され、無線中継装置10を介してデータ処理装置30へ送信される(シーケンスS42)。
【0049】
データ処理装置30は、受信した無線信号に含まれる位置情報及び時刻情報から平滑速度Vを算出する(シーケンスS43)。データ処理装置30は、判断部33により、平滑速度Vと、精測開始速度Vs1及び精測終了速度Ve1とを比較する(シーケンスS44)。判断部33によりV>Vs1と判断されるまで、GPSユニット21は、第1の取得周期f1で位置情報及び時刻情報を取得し、これらが変換された無線信号をデータ処理装置30へ送信する(シーケンスS45)。
【0050】
データ処理装置30で算出した平滑速度Vが、V>Vs1となった場合(シーケンスS46,S47)、データ処理装置30は、該当する移動体装着端末20に対して、精測開始信号を送信する(シーケンスS48)。
【0051】
周期制御部2252は、データ処理装置30からの精測開始信号を受信すると、第2の取得周期f2によりGPS測位を実施する旨の周期制御信号をGPSユニット21へ出力する(シーケンスS49)。制御部214は、周期制御部2252からの周期制御信号を受けると、メモリ211から第2の取得周期f2を読み出し、第2の取得周期f2によりGPS測位をするようにGPS測位部212を制御する(シーケンスS410)。
【0052】
GPS測位部212は、第2の取得周期f2に従ってGPS測位を実行し、位置情報及び時刻情報を取得する(シーケンスS411)。取得された位置情報及び時刻情報は、無線信号に変換され、無線中継装置10を介してデータ処理装置30へ送信される(シーケンスS412)。
【0053】
データ処理装置30は、受信した無線信号に含まれる位置情報及び時刻情報から平滑速度Vを算出する(シーケンスS413)。データ処理装置30は、判断部33により、平滑速度Vと、精測開始速度Vs1及び精測終了速度Ve1とを比較する(シーケンスS414)。判断部33によりV<Ve1と判断されるまで、GPSユニット21は、第2の取得周期f2で位置情報及び時刻情報を取得し、これらが変換された無線信号をデータ処理装置30へ送信する(シーケンスS415)。
【0054】
データ処理装置30で算出した平滑速度Vが、V<Ve1となった場合(シーケンスS416,S417)、データ処理装置30は、該当する移動体装着端末20に対して、精測終了信号を送信する(シーケンスS418)。
【0055】
周期制御部2252は、データ処理装置30からの精測終了信号を受信すると、第1の取得周期f1によりGPS測位を実施する旨の周期制御信号をGPSユニット21へ出力する(シーケンスS419)。制御部214は、周期制御部2252からの周期制御信号を受けると、メモリ211から第1の取得周期f1を読み出し、第1の取得周期f1によりGPS測位をするようにGPS測位部212を制御する(シーケンスS420)。
【0056】
GPS測位部212は、第1の取得周期f1に従ってGPS測位を実行し、位置情報及び時刻情報を取得する(シーケンスS421)。
【0057】
以上のように、第1の実施形態では、無線中継装置10により、計測エリアを含むように無線エリアを形成する。そして、移動体装着端末20は、GPS測位により取得した位置情報及び時刻情報を無線LANを用いてデータ処理装置30へ送信するようにしている。これにより、大規模なゲートを設置せずとも、競走馬を怖がらせずに、競走馬の位置情報及び時刻情報をデータ処理装置30へ伝えることが可能となる。
【0058】
また、第1の実施形態では、競走馬の平滑速度に応じてGPSユニット21によるGPS測位の周期を切り替えるようにしている。これにより、競走馬が高速(速度Vs1以上)で移動する場合には取得周期を上げることが可能であり、高精度にハロンタイムを計測することが可能である。
【0059】
また、第1の実施形態では、データ処理装置30において、移動体装着端末20からの位置情報及び時刻情報に対してフィルタ処理を行うようにしている。これにより、異なる取得周期でGPS測位を実施した場合であっても、平滑速度及び平滑位置を算出することが可能となる。また、無線LAN通信において、データ通信品質が悪い環境下においてGPSデータが間欠される場合においても、平滑速度、平滑位置を算出することが可能となる。
【0060】
また、第1の実施形態では、GPS測位により取得した位置情報が、予め有しているエリアデータ内にない場合は、通信部224による無線信号の送信をオフとするようにしている。これにより、省電力化を図ることが可能となる。さらに、GPS測位により取得した位置情報が予め有しているエリアデータ内にない場合は、無線ユニット22の制御部225から出力する周期制御信号を制御し、平滑速度の値に関らずGPS測位の周期をf1に固定することにより、省電力化を図れることは言うまでもない。
【0061】
また、第1の実施形態では、無線ユニット22のメモリ221に識別IDを予め記録させるようにしている。これにより、無線エリア内に移動体装着端末20が複数存在する場合であっても、それぞれ識別することが可能となる。
【0062】
また、第1の実施形態では、無線ユニット22のメモリ221に移動体の個別情報を予め記録させるようにしている。これにより、算出したハロンタイムと並列させて競走馬の個別情報を表示することが可能となる。
【0063】
したがって、第1の実施形態に係る計測システムによれば、大規模なゲート等の設置を必要とせずに、競走馬に意識させずに設置でき、高速で駆ける競走馬のハロンタイムを確実に自動取得できる。
【0064】
なお、第1の実施形態に係る計測システムの構成は、図1に限定される訳ではない。例えば、計測システムは、図5に示すように、振動型発電機60をさらに具備していても構わない。
【0065】
振動型発電機60を競走馬に付帯し、移動体装着端末20へ接続させる。振動型発電機60は、競走馬の歩容により、上下、左右に振動することにより発電する。振動型発電機60は、振動により発生した電力を移動体装着端末20へ供給する。GPSユニット21及び無線ユニット22は、振動型発電機60から供給される電力により駆動される。これにより、移動体装着端末20の充電等によるメンテナンスの頻度を下げることが可能となる。
【0066】
また、図5に示すように、心拍数計70を競走馬に装着させるようにしても構わない。心拍数計70は、計測した心拍数データを、有線又はブルートゥース(登録商標)等の無線により、無線ユニット22へ出力する。無線ユニット22は、心拍数データを、位置情報及び時刻情報と共に無線信号に変換し、無線中継装置10を介してデータ処理装置30へ出力する。データ処理装置30は、記録された平滑速度と心拍数の相関を算出し、V200(心拍数が200BPM(Beats Per Minute)に達する速度)等の評価指数を自動算出する。ここで、V200のデータは競走馬の心肺機能の能力評価を行うために用いられる。このように、V200を容易に測定できるため、継続的なV200の計測により、調教効果の評価を行うことができる。
【0067】
また、図5に示すように、情報収集装置80を競走馬に装着させるようにしても構わない。情報収集装置80とは、例えば、カメラ、マイク、加速度センサ、圧力センサ及び温度センサ等である。
【0068】
情報収集装置80の一例としてカメラを競走馬に装着させた場合、例えば、位置情報を精測する際にカメラを駆動させる。そして、撮像した動画を無線信号に含めて送信するようにする。こうすることにより、移動中の迫力ある動画を自動的に取得することが可能となる。
【0069】
情報収集装置80の一例としてマイクを競走馬に装着させた場合、例えば、位置情報を精測する際にマイクを駆動させる。そして、録音した音声を無線信号に含めて送信するようにする。こうすることにより、臨場感溢れる音声を自動的に取得することが可能となる。
【0070】
情報収集装置80の一例として加速度センサを競走馬に装着させた場合、競走馬の歩容により加速度センサからの出力変動が得られるため、GPSデータから得られる移動距離と加速度センサの出力から、競走馬の一完歩の幅を算出することができる。
【0071】
情報収集装置80の一例として圧力センサを競走馬の蹄に装着させた場合、蹄にかかる圧力と馬場や速度との関係を求めることができる。
【0072】
また、第1の実施形態では、周期制御部2252は、無線中継装置10を介して伝送される精測開始/終了指示に従い、第1及び第2の取得周期f1,f2を切り替える旨の周期制御信号をGPSユニット21へ出力するようにしている。しかしながら、これに限定される訳ではない。例えば、周期制御部2252は、GPSユニット21からの位置情報に基づいて第1及び第2の取得周期f1,f2を切り替える旨の周期制御信号をGPSユニット21へ出力するようにしても構わない。なお、周期制御部2252が、精測開始/終了指示に応じて取得周期制御を行う機能と、エリアによる取得周期制御を行う機能との両方を備える場合は、例えば、精測開始指示を受け、かつ、位置情報が所定のエリア内である場合に精測を開始させるようにする。
【0073】
この場合、周期制御部2252は、例えば以下の処理を行う。
【0074】
第1の処理として、周期制御部2252は、GPSユニット21から位置情報を受け取った場合、この位置情報と、メモリ221に記録されるエリアデータとを比較し、移動体が計測エリア内に存在するか否かを判断する。位置情報がエリアデータ内に存在しない場合、周期制御部2252は、第1の取得周期f1によりGPS測位を実施する旨の周期制御信号をGPSユニット21へ出力する。また、位置情報がエリアデータ内にある場合、周期制御部2252は、第2の取得周期f2によりGPS測位を実施する旨の周期制御信号をGPSユニット21へ出力する。
【0075】
また、第2の処理では、メモリ221に、第1及び第2のエリアデータが予め記録されている。ここで、第1のエリアデータとは、エリア判断部2253が通信部224の送信動作をオン/オフ制御する際に用いるデータである。第2のエリアデータとは、第1のエリアデータに含まれる一部のエリアである。周期制御部2252は、GPSユニット21から位置情報を受け取った場合、この位置情報と、メモリ221に記録される第2のエリアデータとを比較し、移動体が第2のエリアデータ内に存在するか否かを判断する。位置情報が第2のエリアデータ内に存在しない場合、周期制御部2252は、第1の取得周期f1によりGPS測位を実施する旨の周期制御信号をGPSユニット21へ出力する。また、位置情報が第2のエリアデータ内にある場合、周期制御部2252は、第2の取得周期f2によりGPS測位を実施する旨の周期制御信号をGPSユニット21へ出力する。
【0076】
また、第1の実施形態では、判断部33は、フィルタ処理部32からの平滑速度と、精測開始速度Vs1及び精測終了速度Ve1を比較して、精測開始信号又は精測終了信号を生成する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定される訳ではない。例えば、判断部33は、フィルタ処理部32からの平滑位置に基づいて精測開始/終了信号を生成するようにしても構わない。なお、判断部33が、速度により精測開始/終了信号を生成する機能と、エリアにより精測開始/終了信号を生成する機能との両方を備える場合は、例えば、精測開始速度Vs1を超え、かつ、平滑位置が所定のエリアに位置する場合に精測開始信号を生成するようにする。
【0077】
この場合、判断部33は、例えば以下の処理を行う。
【0078】
第1の処理として、判断部33は、フィルタ処理部32から平滑位置を受け取った場合、この平滑位置と、予め設定されたエリアデータとを比較し、移動体が計測エリア内に存在するか否かを判断する。平滑位置がエリアデータ内に存在しない場合、判断部33は、精測終了信号を生成する。また、平滑位置がエリアデータ内にある場合、判断部33は、精測開始信号を生成する。
【0079】
また、第2の処理では、判断部33は、第1及び第2のエリアデータが予め設定されている。ここで、第1のエリアデータとは、計測エリアを含むエリアであり、第2のエリアデータとは、第1のエリアデータに含まれる一部のエリアである。判断部33は、フィルタ処理部32から平滑位置を受け取った場合、この平滑位置と、第2のエリアデータとを比較し、移動体が第2のエリアデータ内に存在するか否かを判断する。平滑位置が第2のエリアデータ内に存在しない場合、判断部33は、精測終了信号を生成する。また、平滑位置が第2のエリアデータ内にある場合、判断部33は、精測開始信号を生成する。
【0080】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係わる計測システムの機能構成を示すブロック図である。図6において図1と共通する部分には同じ符号を付して示し、ここでは異なる部分についてのみ説明する。
【0081】
図6に示す計測システムは、無線中継装置10、移動体装着端末90、データ処理装置100、DGPS(Differential Global Positioning System)受信機40及び通信機50を具備する。
【0082】
移動体装着端末90は、GPS(Global Positioning System)ユニット21及び無線ユニット91を備える。
【0083】
GPSユニット21は、メモリ211、GPS測位部212、インタフェース部213及び制御部214を備える。
【0084】
制御部214は、無線ユニット91からの周期制御信号に基づいて、メモリ211に記録される第1及び第2の取得周期のうちいずれかに従って移動体の位置情報を取得するように、GPS測位部212に対して指示を出す。
【0085】
無線ユニット91は、メモリ911、インタフェース部912、フィルタ処理部913、通信処理部914、通信部915及び制御部916を備える。
【0086】
メモリ911は、移動体装着端末90を識別するために割り当てられた識別ID番号を予め記録する。また、メモリ911は、計測エリアのエリアデータを予め記録する。また、メモリ911は、移動体の個別情報を予め記録する。ここで、個別情報とは、例えば、馬名及び競走馬毎に割り付けられた固有番号等をいう。また、メモリ911は、精測開始速度Vs1、精測終了速度Ve1、通信開始速度Vs0及び通信終了速度Ve0を予め記録する。なお、Vs1>Ve1>Vs0>Ve0である。
【0087】
インタフェース部912は、GPSユニット21からの位置情報及び時刻情報を受け取る。また、インタフェース部912は、制御部916からの周期制御信号をGPSユニット21へ出力する。
【0088】
フィルタ処理部913は、時間サンプリングされた連続する位置情報にフィルタ処理を施す。これにより、フィルタ処理部913は、観測誤差を軽減した位置情報(以下、平滑位置と記す)と共に、平滑化した移動速度(以下、平滑速度と記す)を算出する。なお、フィルタ処理についての詳細は、第1の実施形態におけるフィルタ処理部32と同様である。フィルタ処理部913は、算出した平滑速度及び平滑位置を制御部916へ出力する。
【0089】
通信処理部914は、GPSユニット21からの位置情報及び時刻情報と、メモリ911に記録される識別ID及び個別情報とを受け取り、これらを通信形式に応じた変調方式で変調する。通信処理部914は、変調信号を通信部915へ出力する。
【0090】
また、通信処理部914は、通信部915で受信される無線信号を通信形式に応じた復調形式によって復調する。通信処理部914は、復調信号を制御部916へ出力する。
【0091】
通信部915は、通信処理部914からの変調信号の周波数を無線周波数帯へ変換し、電力を増幅し、無線信号として外部へ送信する。このとき、通信部915は、位置情報及び時刻情報を取得する周期である第1又は第2の取得周期f1,f2と一致させて無線信号を送信しても良いし、f1及びf2よりも長い周期の送信周期で無線信号を送信しても良い。f1及びf2よりも長い周期の送信周期で無線信号を送信する場合、位置情報及び時刻情報は、メモリ911に保持されることとなる。
【0092】
また、通信部915は、外部から伝送される無線信号を受信する。通信部915は、受信した無線信号の周波数を中間周波数帯へ変換し、通信処理部914へ出力する。
【0093】
また、通信部915は、制御部916からの制御により無線信号の送信のオン/オフが制御される。
【0094】
制御部916は、例えばCPU(Central Processing Unit)を備えたもので、図7に示す機能を有する。すなわち、制御部916は、通信制御部9161、周期制御部9162、速度判断部9163及びエリア判断部9164を有する。
【0095】
通信制御部9161は、インタフェース部912を介してGPSユニット21から位置情報及び時刻情報が入力された場合、メモリ911から識別ID及び個別情報を読み出し、GPSユニット21からの位置情報及び時刻情報と共に、識別ID及び個別情報を通信処理部914へ出力する。
【0096】
周期制御部9162は、フィルタ処理部913から平滑速度を受けると、メモリ911から精測開始速度Vs1及び精測終了速度Ve1を読み出す。周期制御部9162は、フィルタ処理部913からの平滑速度と、精測開始速度Vs1及び精測終了速度Ve1とを比較する。平滑速度>Vs1となった場合、周期制御部9162は、第2の取得周期f2によりGPS測位を実施する旨の周期制御信号をGPSユニット21へ出力する。平滑速度<Ve1となった場合、周期制御部9162は、第1の取得周期f1によりGPS測位を実施する旨の周期制御信号をGPSユニット21へ出力する。
【0097】
速度判断部9163は、フィルタ処理部913から平滑速度を受けると、メモリ911から通信開始速度Vs0及び通信終了速度Ve0を読み出す。速度判断部9163は、フィルタ処理部913からの平滑速度と、通信開始速度Vs0及び通信終了速度Ve0とを比較する。速度判断部9163は、平滑速度>Vs0となった時点から、通信部915に対して無線信号の送信動作をオンとするように制御する。また、速度判断部9163は、通信を開始している期間において、平滑速度<Ve0となった時点で、通信部915に対して無線信号の送信動作をオフとするように制御する。
【0098】
エリア判断部9164は、フィルタ処理部913から平滑位置情報を受け取った場合、この平滑位置情報と、メモリ911に記録されるエリアデータとを比較し、移動体が計測エリア内に存在するか否かを判断する。平滑位置情報がエリアデータ内に存在しない場合、エリア判断部9164は、通信部915に対して無線信号の送信動作をオフとするように制御する。また、平滑位置情報がエリアデータ内にある場合、エリア判断部9164は、通信部915に対して無線信号の送信動作をオンとするように制御する。
【0099】
例えば、通信部915は、速度判断部9163とエリア判断部9164とが共に無線信号の送信動作がオンとなる条件が成立したときのみ、送信動作をオンとする。これにより、より省電力化を図ることができる。
【0100】
図6のデータ処理装置100は、通信機50から復調信号を受信すると共に、DGPS受信機40により取得されたDGPSデータを受信する。ここで、復調信号には、位置情報、時刻情報、識別ID及び個別情報が含まれる。図8は、第2の実施形態に係るデータ処理装置100の機能構成を示すブロック図である。図8に示すデータ処理装置100は、DGPS測位処理部101、ハロンタイム演算処理部102、順位取得部103及びフィルタ処理部104を備える。
【0101】
DGPS測位処理部101は、復調信号に含まれる位置情報及び時刻情報と、DGPS受信機40からのDGPSデータとを用いて、DGPS処理を行う。ここで、DGPS処理とは、予め、正確な位置のわかっている場所に固定されたDGPS受信機40で受信された位置情報から、その誤差成分を算出し、移動体装着端末90から得られた位置情報との相対位置関係より、移動体装着端末90から得られた位置情報に含まれる誤差成分を取り除くための位置更正処理である。DGPS処理後の位置情報には、ランダム成分の観測誤差が重畳されている。DGPS測位処理部101は、DGPS処理後の位置情報と、時刻情報とをフィルタ処理部104へ出力する。フィルタ処理部104は、観測誤差を軽減した平滑位置及び平滑速度を算出し、平滑位置、平滑速度及び時刻情報をハロンタイム演算処理部102及び順位取得部103へ出力する。なお、フィルタ処理部104での演算は第1の実施形態に示すフィルタ処理部32と同様である。
【0102】
ハロンタイム演算処理部102は、フィルタ処理部104からの平滑速度、平滑位置及び時刻情報と、通信機50からの復調信号に含まれる識別ID及び個別情報とを受け取る。ハロンタイム演算処理部102は、平滑速度、平滑位置及び時刻情報に基づいて、予め設定されたそれぞれのハロンの開始点と終了点を通過する時刻を算出し、その時間差をハロンタイムとして算出する。ハロンタイム演算処理部34は、識別IDにより識別される移動体のハロンタイムを移動体毎に算出し、算出したハロンタイムと、識別ID及び個別情報とを後段へ出力する。
【0103】
順位取得部103は、フィルタ処理部104からの平滑速度、平滑位置及び時刻情報と、通信機50からの復調信号に含まれる識別ID及び個別情報とを受け取る。順位取得部103は、平滑速度、平滑位置、時刻情報及び識別IDに基づいて、無線エリア内において予め設定された地点を通過する際の各移動体の順位を取得する。順位取得部103は、取得した順位と、識別ID及び個別情報とを後段へ出力する。
【0104】
後段には例えば、ディスプレイ(図示せず)が設けられており、ハロンタイム及び順位は、このディスプレイに識別ID及び個別情報と対応付けられて表示されるようにしても良い。
【0105】
次に、以上のように構成された計測システムにおいてGPSユニット21による取得周期の切替動作を詳細に説明する。
【0106】
図9は、第2の実施形態に係る計測システムがGPS測位部212での取得周期を切り替える際のシーケンス図の一例を示す。
【0107】
無線エリア内には、計測コースが1つ以上含まれている。競走馬が無線エリア内に入ることにより、無線ユニット91と無線中継装置10との間で無線通信が開始される。この無線通信の開始を起点とし、GPSユニット21に対して、GPS測位の開始指示を行うことにより、GPS測位部212において、GPS測位を開始する。GPS測位部212は、位置情報及び時刻情報を第1の取得周期f1で取得する(シーケンスS91)。取得された位置情報及び時刻情報は、制御部916を介してフィルタ処理部913へ出力される(シーケンスS92)。
【0108】
フィルタ処理部913は、位置情報及び時刻情報から平滑速度Vを算出する(シーケンスS93)。フィルタ処理部913は、算出した平滑速度Vを周期制御部9162へ出力する(シーケンスS94)。周期制御部9162は、平滑速度Vと、精測開始速度Vs1及び精測終了速度Ve1とを比較する(シーケンスS95)。周期制御部9162によりV>Vs1と判断されるまで、GPSユニット21は、第1の取得周期f1で位置情報及び時刻情報を取得し、これらをフィルタ処理部913へ出力する(シーケンスS96)。
【0109】
平滑速度Vが、V>Vs1となった場合(シーケンスS97〜S99)、周期制御部9162は、第2の取得周期f2によりGPS測位を実施する旨の周期制御信号をGPSユニット21へ出力する(シーケンスS910)。制御部214は、周期制御部9162からの周期制御信号を受けると、メモリ211から第2の取得周期f2を読み出し、第2の取得周期f2によりGPS測位をするようにGPS測位部212を制御する(シーケンスS911)。
【0110】
GPS測位部212は、第2の取得周期f2に従ってGPS測位を実行し、位置情報及び時刻情報を取得する(シーケンスS912)。取得された位置情報及び時刻情報は、制御部916を介してフィルタ処理部913へ出力される(シーケンスS913)。
【0111】
フィルタ処理部913は、位置情報及び時刻情報から平滑速度Vを算出する(シーケンスS914)。フィルタ処理部913は、算出した平滑速度Vを周期制御部9162へ出力する(シーケンスS915)。周期制御部9162は、平滑速度Vと、精測開始速度Vs1及び精測終了速度Ve1とを比較する(シーケンスS916)。周期制御部9162によりV<Ve1と判断されるまで、GPSユニット21は、第2の取得周期f2で位置情報及び時刻情報を取得し、これらをフィルタ処理部913へ出力する(シーケンスS917)。
【0112】
平滑速度Vが、V<Ve1となった場合(シーケンスS918〜S920)、周期制御部9162は、第1の取得周期f1によりGPS測位を実施する旨の周期制御信号をGPSユニット21へ出力する(シーケンスS921)。制御部214は、周期制御部9162からの周期制御信号を受けると、メモリ211から第1の取得周期f1を読み出し、第1の取得周期f1によりGPS測位をするようにGPS測位部212を制御する(シーケンスS922)。
【0113】
GPS測位部212は、第1の取得周期f1に従ってGPS測位を実行し、位置情報及び時刻情報を取得する(シーケンスS923)。
【0114】
以上のように、第2の実施形態では、無線中継装置10により、計測エリアを含むように無線エリアを形成する。そして、移動体装着端末90は、GPS測位により取得した位置情報及び時刻情報を無線LANを用いてデータ処理装置100へ送信するようにしている。これにより、大規模なゲートを設置せずとも、競走馬を怖がらせずに、競走馬の位置情報及び時刻情報をデータ処理装置100へ伝えることが可能となる。
【0115】
また、第2の実施形態では、無線ユニット91内で競走馬の平滑速度を算出し、算出した平滑速度に応じてGPSユニット21によるGPS測位の周期を切り替えるようにしている。これにより、競走馬が高速(速度Vs1以上)で移動する場合には取得周期を上げることが可能であり、高精度にハロンタイムを計測することが可能である。
【0116】
また、第2の実施形態では、無線ユニット91内で算出された平滑速度に応じて、通信部915からの無線信号の送信をオン/オフするようにしている。これにより、例えば、競走馬が立ち止まっている等により移動していない場合には、無線信号の送信を行わないため、システム内の省電力化を図ることが可能となる。
【0117】
また、第2の実施形態では、無線ユニット91内で、GPSユニット21からの位置情報及び時刻情報に対してフィルタ処理を行うようにしている。これにより、異なる取得周期でGPS測位を実施した場合であっても、平滑速度及び平滑位置を算出することが可能となる。また、無線LAN通信において、データ通信品質が悪い環境下においてGPSデータが間欠される場合においても、平滑速度、平滑位置を算出することが可能となる。
【0118】
また、第2の実施形態では、GPS測位により取得した位置情報が、予め有しているエリアデータ内にない場合は、通信部915による無線信号の送信をオフとするようにしている。これにより、システム内の省電力化を図ることが可能となる。さらに、GPS測位により取得した位置情報が予め有しているエリアデータ内にない場合は、無線ユニット91の制御部916から出力する周期制御信号を制御し、平滑速度の値に関らずGPS測位の周期をf1に固定することにより、省電力化を図れることは言うまでもない。
【0119】
また、第2の実施形態では、無線ユニット91のメモリ911に識別IDを予め記録させるようにしている。これにより、無線エリア内に移動体装着端末90が複数存在する場合であっても、それぞれ識別することが可能となる。
【0120】
また、第2の実施形態では、無線ユニット91のメモリ911に移動体の個別情報を予め記録させるようにしている。これにより、算出したハロンタイムと並列させて競走馬の個別情報を表示することが可能となる。
【0121】
したがって、第2の実施形態に係る計測システムによれば、大規模なゲート等の設置を必要とせずに、競走馬に意識させずに設置でき、高速で駆ける競走馬のハロンタイムを確実に自動取得できる。
【0122】
なお、第2の実施形態に係る計測システムの構成は、図6に限定される訳ではない。例えば、計測システムは、第1の実施形態での図5と同様に、図10に示すように、振動型発電機60、心拍数計70及び情報収集装置80をさらに具備していても構わない。
【0123】
また、第2の実施形態では、GPSユニットのメモリ211に第1の取得周期f1及び第2の取得周期f2(f1<f2)を予め記録し、無線ユニット91のメモリ911に精測開始速度Vs1、精測終了速度Ve1、通信開始速度Vs0及び通信終了速度Ve0(Vs1>Ve1>Vs0>Ve0)が予め記録される場合を例に説明した。この場合、移動体の平滑速度に従って、周期制御部9162によりGPS測位の周期が制御され、速度判断部9163により通信部915からの無線信号の送信動作がオン/オフ制御される。しかしながら、これに限定される訳ではない。例えば、メモリ211に第0乃至第2の取得周期f0〜f2(f0<f1<f2)を予め記録させる。そして、移動体装着端末90は、周期制御部9162及び速度判断部9163により、図11に示すように、動作しても構わない。
【0124】
すなわち、周期制御部9162は、フィルタ処理部913から平滑速度を受けると、メモリ911から通信開始速度Vs0及び精測開始速度Vs1を読み出す。周期制御部9162は、フィルタ処理部913からの平滑速度と、通信開始速度Vs0及び精測開始速度Vs1とを比較する。平滑速度≦Vs0である場合、周期制御部9162は、第0の取得周期f0によりGPS測位を実施する旨の周期制御信号をGPSユニット21へ出力する。Vs0<平滑速度≦Vs1となった場合、周期制御部9162は、第1の取得周期f1によりGPS測位を実施する旨の周期制御信号をGPSユニット21へ出力する。平滑速度>Vs1となった場合、周期制御部9162は、第2の取得周期f2によりGPS測位を実施する旨の周期制御信号をGPSユニット21へ出力する。また、速度判断部9163は、フィルタ処理部913から平滑速度を受けると、メモリ911から通信開始速度Vs0を読み出す。速度判断部9163は、フィルタ処理部913からの平滑速度と、通信開始速度Vs0とを比較する。速度判断部9163は、平滑速度>Vs0となった時点から、通信部915に対して無線信号の送信動作をオンとするように制御する。
【0125】
また、第2の実施形態では、フィルタ処理部913で算出された平滑速度及び平滑位置を制御部916へ出力する例を説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、移動体装着端末90は、フィルタ処理部913で算出された平滑速度及び平滑位置と、GPSユニット21からの時刻情報とを、通信処理部914及び通信部915を介して無線信号として出力しても構わない。これにより、データ処理装置100でフィルタ処理を行う必要がなくなる。ただし、平滑位置を用いてDGPS処理を行うと誤差が大きくなるため、DGPS処理を行わなくても十分な位置精度が得られるシステムにおいて主に適用できる。この場合、データ処理装置100では、DGPS測位処理部も不要となる。すなわち、この場合、計測システムは図12に示す構成となり、データ処理装置100は図13に示す構成となる。
【0126】
また、第2の実施形態では、周期制御部9162は、フィルタ処理部913からの平滑速度と、精測開始速度Vs1及び精測終了速度Ve1とを比較し、第1及び第2の取得周期f1,f2を切り替える旨の周期制御信号をGPSユニット21へ出力するようにしている。しかしながら、これに限定される訳ではない。例えば、周期制御部9162は、フィルタ処理部913からの平滑位置に基づいて第1及び第2の取得周期f1,f2を切り替える旨の周期制御信号をGPSユニット21へ出力するようにしても構わない。なお、周期制御部9162が、速度による取得周期制御を行う機能と、エリアによる取得周期制御を行う機能との両方を備える場合は、例えば、精測開始速度Vs1を超え、かつ、平滑位置が所定のエリアに位置する場合に精測を開始させるようにする。
【0127】
この場合、周期制御部9162は、例えば以下の処理を行う。
【0128】
第1の処理として、周期制御部9162は、フィルタ処理部913から平滑位置を受け取った場合、この平滑位置と、メモリ911に記録されるエリアデータとを比較し、移動体が計測エリア内に存在するか否かを判断する。平滑位置がエリアデータ内に存在しない場合、周期制御部9162は、第1の取得周期f1によりGPS測位を実施する旨の周期制御信号をGPSユニット21へ出力する。また、平滑位置がエリアデータ内にある場合、周期制御部9162は、第2の取得周期f2によりGPS測位を実施する旨の周期制御信号をGPSユニット21へ出力する。
【0129】
また、第2の処理では、メモリ911に、第1及び第2のエリアデータが予め記録されている。ここで、第1のエリアデータとは、エリア判断部9164が通信部915の送信動作をオン/オフ制御する際に用いるデータである。第2のエリアデータとは、第1のエリアデータに含まれる一部のエリアである。周期制御部9162は、フィルタ処理部913から平滑位置を受け取った場合、この平滑位置と、メモリ911に記録される第2のエリアデータとを比較し、移動体が第2のエリアデータ内に存在するか否かを判断する。平滑位置が第2のエリアデータ内に存在しない場合、周期制御部9162は、第1の取得周期f1によりGPS測位を実施する旨の周期制御信号をGPSユニット21へ出力する。また、平滑位置が第2のエリアデータ内にある場合、周期制御部9162は、第2の取得周期f2によりGPS測位を実施する旨の周期制御信号をGPSユニット21へ出力する。
【0130】
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態では、識別IDが無線ユニット22,91のメモリ221,911に予め記録される場合を説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、GPSユニット21のメモリ211に識別IDが予め記録され、位置情報及び時刻情報と共に無線ユニット22,91へ出力されるようにしても構わない。
【0131】
また、上記各実施形態では、個別情報が無線ユニット22,91のメモリ221,911に予め記録される場合を説明したが、例えば、データ処理装置30,100に識別IDと対応したデータベースとして記録させても良い。この場合は、複数の競走馬に個別に装着される移動体装着端末のデータ更新を行わず、データ処理装置内のデータベースを一括してデータ更新することができる。
【0132】
また、上記各実施形態では、DGPS受信機40を備え、DGPS測位処理部31,101でDGPS処理を行う場合を説明したが、DGPS受信機40は必ずしも必須であるという訳ではない。
【0133】
また、上記各実施形態では、精測開始速度Vs1、精測終了速度Ve1、通信開始速度Vs0及び通信終了速度Ve0を予め記録し、これらと平滑速度Vとを比較する場合について説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、精測開始速度Vs1及び精測終了速度Ve1を精測閾値速度Vsh1とするようにしても構わない。このとき、判断部33又は周期制御部9162は、精測閾値速度Vsh1を超えるか否かにより、取得周期を切り替えるか否かを判断する。また、例えば、通信開始速度Vs0及び通信終了速度Ve0を通信閾値速度Vsh0とするようにしても構わない。このとき、速度判断部9163は、通信閾値速度Vsh0を超えるか否かにより、通信部915からの無線信号の送信のオン/オフを制御する。
【0134】
また、上記各実施形態では、競走馬が無線エリア内に入ることによりGPS測位を開始する例を説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、無線ユニット22,91に加速度センサを搭載させ、振動の有無を感知し、振動が検出されたときからGPS測位を開始し、一定期間振動が検出されないときはGPS測位を行わないようにしても良い。この場合、GPS測位の開始と、無線ユニットのオン/オフ制御を同時に行うことも可能となり、さらなる省電力化を図ることができる。
【0135】
また、上記各実施形態では、GPS測位部212は、位置情報及び時刻情報を取得する場合を例に説明したが、GPS測位部212は、複数の衛星から受信する衛星電波のドップラ周波数より、速度情報を算出しても構わない。また、GPS測位部212は、取得した位置情報及び時刻情報から速度情報を算出しても構わない。
【0136】
このとき、制御部225,916は、メモリ221,911に予め記録される速度データと、GPS測位部212からの速度情報とを比較し、周期制御部2252,9162により、GPSユニット21の取得周期を制御してもよい。また、制御部225は速度判断部2254をさらに備え、制御部225,916は、メモリ221,911に予め記録される速度データと、GPS測位部212からの速度情報とを比較し、速度判断部2254,9163により、通信部224,915からの無線信号の送信動作のオン/オフを制御してもよい。
【0137】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0138】
10…無線中継装置
20,90…移動体装着端末
21…GPSユニット
211…メモリ
212…GPS測位部
213…インタフェース部
214…制御部
22,91…無線ユニット
221,911…メモリ
222,912…インタフェース部
913…フィルタ処理部
223,914…通信処理部
224,915…通信部
225,916…制御部
2251,9161…通信制御部
2252,9162…周期制御部
2254,9163…速度判断部
2253,9164…エリア判断部
30,100…データ処理装置
31,101…DGPS測位処理部
32,104…フィルタ処理部
33…判断部
34,102…ハロンタイム演算処理部
35,103…順位取得部
40…DGPS受信機
50…通信機
60…振動型発電機
70…心拍数計
80…情報収集装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を行うための無線エリアを形成する少なくとも一つの無線中継装置と、
前記無線エリア内を移動する移動体に装着される移動体装着端末であって、
前記移動体の位置情報及び前記位置情報を取得したときの時刻情報をGPS(Global Positioning System)により取得するGPSユニットと、
前記位置情報及び時刻情報を無線信号に変換し、前記無線信号を前記無線中継装置へ送信する無線ユニットと
を備える移動体装着端末と、
前記無線中継装置を介して前記移動体装着端末からの無線信号を受信し、前記位置情報及び時刻情報に基づき、前記移動体が前記無線エリア内において予め設定された距離を移動するのにかかる時間を算出するデータ処理装置と
を具備することを特徴とする計測システム。
【請求項2】
DGPS(Differential GPS)データを取得するDGPS受信機をさらに具備し、
前記データ処理装置は、前記DGPSデータを用いて、前記位置情報の更正を行うことを特徴とする請求項1記載の計測システム。
【請求項3】
前記移動体に装着され、前記移動体が移動する際に生じる振動から得られるエネルギーを電力に変換する振動型発電機をさらに具備し、
前記GPSユニット及び前記無線ユニットは、前記電力により駆動されることを特徴とする請求項1又は2に記載の計測システム。
【請求項4】
前記移動体が生体である場合、
前記移動体の心拍数を計測する心拍数計をさらに具備し、
前記無線ユニットは、前記心拍数計で計測された前記心拍数を、前記位置情報及び前記時刻情報と共に無線信号に変換することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の計測システム。
【請求項5】
前記移動体に関する各種情報諸元を収集する情報収集装置をさらに具備し、
前記無線ユニットは、前記情報諸元を、前記位置情報及び前記時刻情報と共に無線信号に変換することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の計測システム。
【請求項6】
無線中継装置により形成される無線エリア内の移動体が、前記無線エリア内において予め設定された距離を移動するのにかかる時間を計測する計測システムで用いられ、前記移動体に装着される移動体装着端末において、
前記移動体の位置情報及び前記位置情報を取得したときの時刻情報をGPS(Global Positioning System)により取得するGPSユニットと、
前記位置情報及び前記時刻情報を無線信号に変換し、前記無線信号を前記無線中継装置へ送信する無線ユニットと
を具備することを特徴とする移動体装着端末。
【請求項7】
前記無線ユニットは、
前記GPSユニットから前記位置情報及び前記時刻情報を受け取るインタフェース部と、
前記位置情報及び前記時刻情報を、予め設定された通信形式に応じた変調信号に変換する通信処理部と、
前記変調信号を前記無線信号として前記無線中継装置へ送信する通信部と
を備えることを特徴とする請求項6記載の移動体装着端末。
【請求項8】
前記GPSユニットは、
第1の取得周期と、前記第1の取得周期よりも高い第2の取得周期とを予め記録する記録部と、
前記第1及び第2の取得周期のうちいずれかを選択し、前記選択した取得周期で前記位置情報及び前記時刻情報をGPSにより取得するGPS測位部と
を備え、
前記無線ユニットは、
前記無線中継装置を介して、前記移動体の移動速度に応じて精測の開始を指示する精測開始信号を受けた場合、前記第2の取得周期を選択するように前記GPSユニットに指示を出し、前記移動体の移動速度に応じて精測の終了を指示する精測終了信号を受けた場合、前記第1の取得周期を選択するように前記GPSユニットに指示を出す周期制御部をさらに備えることを特徴とする請求項7記載の移動体装着端末。
【請求項9】
前記GPSユニットは、
第1の取得周期と、前記第1の取得周期よりも高い第2の取得周期とを予め記録する記録部と、
前記第1及び第2の取得周期のうちいずれかを選択し、前記選択した取得周期で前記位置情報、前記時刻情報及び前記移動体の速度情報をGPSにより取得するGPS測位部と
を備え、
前記無線ユニットは、
前記速度情報を予め設定された速度と比較することで、精測を開始するか、又は、精測を終了するかを判断し、開始する場合、前記第2の取得周期を選択するように前記GPSユニットに対して指示を出し、終了する場合、前記第1の取得周期を選択するように前記GPSユニットに対して指示を出す周期制御部をさらに備えることを特徴とする請求項7記載の移動体装着端末。
【請求項10】
前記GPSユニットは、
第1の取得周期と、前記第1の取得周期よりも高い第2の取得周期とを予め記録する記録部と、
前記第1及び第2の取得周期のうちいずれかを選択し、前記選択した取得周期で前記位置情報及び前記時刻情報をGPSにより取得するGPS測位部と
を備え、
前記無線ユニットは、
前記位置情報に基づいて、前記移動体が予め設定されたエリア内に存在するか否かを判断し、前記エリア内である場合、前記第2の取得周期を選択するように前記GPSユニットに対して指示を出し、前記エリア外である場合、前記第1の取得周期を選択するように前記GPSユニットに対して指示を出す周期制御部をさらに備えることを特徴とする請求項7記載の移動体装着端末。
【請求項11】
前記無線ユニットは、前記位置情報に基づいて、前記移動体が予め設定されたエリア内に存在するか否かを判断し、前記エリア内である場合、前記無線信号の送信をオンにするように前記通信部を制御し、前記エリア外である場合、前記無線信号の送信をオフにするように前記通信部を制御するエリア判断部をさらに備えることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の移動体装着端末。
【請求項12】
前記GPS測位部は、前記移動体の速度情報をさらにGPSにより取得し、
前記無線ユニットは、前記速度情報を予め設定された速度と比較することで、前記通信部からの前記無線信号の送信動作をオンにするかオフにするかを制御する速度判断部をさらに備えることを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載の移動体装着端末。
【請求項13】
前記GPSユニットは、
第1の取得周期と、前記第1の取得周期よりも高い第2の取得周期とを予め記録する記録部と、
前記第1及び第2の取得周期のうちいずれかを選択し、前記選択した取得周期で前記位置情報及び前記時刻情報をGPSにより取得するGPS測位部と
を備え、
前記無線ユニットは、
前記GPSユニットからの前記位置情報及び前記時刻情報に対してフィルタ処理を行い、前記移動体の平滑速度を算出するフィルタ処理部と、
前記平滑速度を予め設定された速度と比較することで、精測を開始するか、又は、精測を終了するかを判断し、開始する場合、前記第2の取得周期を選択するように前記GPSユニットに対して指示を出し、終了する場合、前記第1の取得周期を選択するように前記GPSユニットに対して指示を出す周期制御部と
をさらに備えることを特徴とする請求項7記載の移動体装着端末。
【請求項14】
前記GPSユニットは、
第1の取得周期と、前記第1の取得周期よりも高い第2の取得周期とを予め記録する記録部と、
前記第1及び第2の取得周期のうちいずれかを選択し、前記選択した取得周期で前記位置情報及び前記時刻情報をGPSにより取得するGPS測位部と
を備え、
前記無線ユニットは、
前記GPSユニットからの前記位置情報及び前記時刻情報に対してフィルタ処理を行い、前記移動体の平滑位置を算出するフィルタ処理部と、
前記平滑位置に基づいて、前記移動体が予め設定されたエリア内に存在するか否かを判断し、前記エリア内である場合、前記第2の取得周期を選択するように前記GPSユニットに対して指示を出し、前記エリア外である場合、前記第1の取得周期を選択するように前記GPSユニットに対して指示を出す周期制御部をさらに備えることを特徴とする請求項7記載の移動体装着端末。
【請求項15】
前記フィルタ処理部は、前記GPSユニットからの前記位置情報及び前記時刻情報に対してフィルタ処理を行い、前記移動体の平滑速度をさらに算出し、
前記無線ユニットは、
前記平滑速度を予め設定された速度と比較することで、前記通信部からの前記無線信号の送信動作をオンにするかオフにするかを制御する速度判断部をさらに備えることを特徴とする請求項13又は14に記載の移動体装着端末。
【請求項16】
前記フィルタ処理部は、前記GPSユニットからの前記位置情報及び前記時刻情報に対してフィルタ処理を行い、前記移動体の平滑位置をさらに算出し、
前記無線ユニットは、前記平滑位置に基づいて、前記移動体が予め設定されたエリア内に存在するか否かを判断し、前記エリア内である場合、前記無線信号の送信をオンにするように前記通信部を制御し、前記エリア外である場合、前記無線信号の送信をオフにするように前記通信部を制御するエリア判断部をさらに備えることを特徴とする請求項13乃至15のいずれかに記載の移動体装着端末。
【請求項17】
前記GPS測位部は、前記移動体の速度情報をさらにGPSにより取得し、
前記無線ユニットは、前記速度情報を予め設定された速度と比較することで、前記通信部からの前記無線信号の送信動作をオンにするかオフにするかを制御する速度判断部をさらに備えることを特徴とする請求項13乃至16のいずれかに記載の移動体装着端末。
【請求項18】
前記フィルタ処理部は、前記GPSユニットからの前記位置情報及び前記時刻情報に対してフィルタ処理を行い、前記移動体の平滑位置及び平滑速度を算出し、
前記通信処理部は、前記平滑位置、前記平滑速度及び前記時刻情報を、予め設定された通信形式に応じた変調信号に変換することを特徴とする請求項13乃至17のいずれかに記載の移動体装着端末。
【請求項19】
前記GPSユニットには、移動体装着端末を識別するための識別番号が割り当てられ、
前記GPSユニットは、前記取得した位置情報及び時刻情報と共に、前記識別番号を前記無線ユニットへ出力し、
前記無線ユニットは、前記位置情報及び前記時刻情報に加え、前記識別番号を無線信号に変換することを特徴とする請求項6乃至18のいずれかに記載の移動体装着端末。
【請求項20】
前記無線ユニットには、移動体装着端末を識別するための識別番号が割り当てられ、
前記無線ユニットは、前記位置情報及び前記時刻情報に加え、前記識別番号を無線信号に変換することを特徴とする請求項6乃至18のいずれかに記載の移動体装着端末。
【請求項21】
前記無線ユニットには、移動体名及び移動体毎に割り付けられた固有番号を含む個別情報が予め記録されることを特徴とする請求項19又は20記載の移動体装着端末。
【請求項22】
無線中継装置により形成される無線エリア内の移動体の位置情報及びこの位置情報を取得したときの時刻情報を、前記移動体に装着される移動体装着端末のGPS処理により取得する計測システムで用いられるデータ処理装置において、
前記移動体装着端末で取得された前記位置情報及び前記時刻情報を、前記無線中継装置を介して受信し、前記位置情報及び前記時刻情報に対してフィルタ処理を行うことで、前記移動体の平滑位置及び平滑速度を算出するフィルタ処理部と、
前記平滑位置、前記平滑速度及び前記時刻情報に基づいて、前記移動体が前記無線エリア内において予め設定された距離を移動するのにかかる時間を算出する第1の演算処理部と
を具備することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項23】
前記フィルタ処理部からの前記平滑速度を予め設定された速度と比較することで、精測を開始するか、又は、精測を終了するかを判断し、開始する場合、精測開始信号を前記移動体装着端末へ送信し、終了する場合、精測終了信号を前記移動体装着端末へ送信する判断部をさらに具備することを特徴とする請求項22記載のデータ処理装置。
【請求項24】
前記判断部は、前記平滑位置に基づいて、前記移動体が予め設定されたエリア内に存在するか否かを判断し、前記エリア内である場合、精測開始信号を前記移動体装着端末へ送信し、前記エリア外である場合、精測終了信号を前記移動体装着端末へ送信することを特徴とする請求項23記載のデータ処理装置。
【請求項25】
DGPS(Differential GPS)データを取得するDGPS受信機と接続し、
前記DGPSデータを用いて、前記移動体装着端末からの前記位置情報の更正を行うDGPS測位処理部をさらに具備することを特徴とする請求項22乃至24のいずれかに記載のデータ処理装置。
【請求項26】
前記移動体装着端末を装着する移動体が前記無線エリア内に複数存在し、各移動体装着端末が識別IDを有している場合、
前記平滑位置、前記平滑速度及び前記時刻情報に基づいて、前記複数の移動体が前記無線エリア内において予め設定された地点を通過する際の順位を取得する第2の演算処理部をさらに具備することを特徴とする請求項22乃至25のいずれかに記載のデータ処理装置。
【請求項27】
前記移動体装着端末が識別IDを有する場合、
移動体名及び移動体毎に割り付けられた固有番号を含む個別情報を、前記識別IDと対応付けて予め記録し、前記位置情報及び前記時刻情報と共に識別IDが受信された場合、受信した識別IDと対応する個別情報を出力するデータベースをさらに具備することを特徴とする請求項22乃至26のいずれかに記載のデータ処理装置。
【請求項28】
無線中継装置により形成される無線エリア内の移動体の位置情報及びこの位置情報を取得したときの時刻情報を、前記移動体に装着される移動体装着端末のGPS処理により取得する計測システムで用いられるデータ処理装置において、
前記移動体装着端末で前記位置情報及び前記時刻情報に基づいて算出された平滑位置及び平滑速度と、前記時刻情報とを、前記無線中継装置を介して受信し、前記平滑位置、前記平滑速度及び前記時刻情報に基づいて、前記移動体が前記無線エリア内において予め設定された距離を移動するのにかかる時間を算出する第1の演算処理部と
を具備することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項29】
前記移動体装着端末を装着する移動体が前記無線エリア内に複数存在し、各移動体装着端末が識別IDを有している場合、
前記平滑位置、前記平滑速度及び前記時刻情報に基づいて、前記複数の移動体が前記無線エリア内において予め設定された地点を通過する際の順位を取得する第2の演算処理部をさらに具備することを特徴とする請求項28記載のデータ処理装置。
【請求項30】
前記移動体装着端末が識別IDを有する場合、
移動体名及び移動体毎に割り付けられた固有番号を含む個別情報を、前記識別IDと対応付けて予め記録し、前記平滑位置、平滑速度及び前記時刻情報と共に識別IDが受信された場合、受信した識別IDと対応する個別情報を出力するデータベースをさらに具備することを特徴とする請求項28又は29に記載のデータ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−181160(P2012−181160A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45738(P2011−45738)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】