説明

計測装置及び計測方法

【課題】各試料処理装置の試料台に載置された複数の試料と各計測結果との対応関係を明確化することが可能な計測装置及び計測方法を提供する。
【解決手段】計測装置は、ステージ上に載置される複数のウエハを計測する。複数のウエハに対するステージ上の載置位置と、各ウエハを特定するための計測ID、装置ID及び位置IDとを対応付けて記憶部に記憶する。記憶部に記憶したウエハに対する載置位置を参照して複数の試料を計測する。計測結果を各ウエハに対応する計測ID、装置ID及び位置IDに対応付けて記憶する。記憶した各ウエハの計測結果と、計測結果に対応する計測ID、装置ID及び位置IDとを対応付けて表示部に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料台上に載置される複数の試料の特性を計測する計測装置及び計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光または電子線を用いて試料の特性を計測する計測装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の計測装置は、一の試料上の複数点について計測を行う。また半導体ウエハ等の試料については、複数の試料を搬送ロボットにより試料台に載置し、一度に計測を行う試みがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−257475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の計測装置は試料台上に載置された一つの試料に対する計測を行うものであり、多くの試料を効率よく計測することができないという問題があった。また開発段階にあっては様々な寸法の試料について検証を繰り返す必要がある。例えば、化合物半導体または半導体ウエハの場合、2インチ、3インチ、6インチ、8インチ等、様々な検証用の寸法が存在するため、量産用装置の如く一の寸法についてのみ搬送が可能なロボットを用いた搬送が出来ないという問題もある。さらに、複数の寸法の試料が載置されるため、試料台に載置された試料と計測結果との対応関係が不明確になるという問題もあった。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、試料の寸法に応じて複数の保持部を作動させることにより、寸法の異なる試料を効率よく計測することが可能な計測装置及び計測方法を提供することにある。また本発明の他の目的は、試料処理装置の試料台に載置された複数の試料と各計測結果との対応関係を明確化することが可能な計測装置及び計測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示する計測装置は、試料台上に載置される複数の試料の特性を計測する計測装置において、複数の試料に対する試料台上の載置位置と、各試料を特定するための試料識別情報とを対応付けて記憶した記憶部と、前記記憶部に記憶した試料に対する載置位置を参照して複数の試料を計測する計測部と、該計測部による計測結果を各試料に対応する試料識別情報に対応付けて記憶する記憶処理部と、前記記憶処理部により記憶した各試料の計測結果と、該計測結果に対応する試料識別情報とを対応付けて表示部に表示する表示処理部とを備えることを特徴とする。
【0007】
本願に開示する計測装置は、試料の寸法を受け付ける受け付け部を備え、前記記憶部は、寸法毎に複数の試料に対する試料台上の載置位置と、寸法毎に各試料を特定するための試料識別情報とを対応付けて記憶しており、前記計測部は、前記受け付け部により受け付けた試料の寸法に対応する各試料の載置位置を参照し、複数の試料を計測することを特徴とする。
【0008】
本願に開示する計測装置は、前記試料を保持すべく作動する保持部と、試料の複数の寸法毎に前記保持部を特定するための保持部識別情報を記憶した記憶部から、前記受け付け部により受け付けた寸法に対応する保持部識別情報を読み出す読み出し部と、複数の保持部の内、前記読み出し部により読み出された保持部識別情報に対応する保持部を作動させる情報を出力する出力部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本願に開示する計測方法は、試料台上に載置される複数の試料の特性を計測装置により計測する計測方法において、複数の試料に対する試料台上の載置位置と、各試料を特定するための試料識別情報とを対応付けて記憶した記憶部に記憶した試料に対する載置位置を参照して、複数の試料を計測し、計測結果を各試料に対応する試料識別情報に対応付けて前記記憶部に記憶し、記憶した各試料の計測結果と、該計測結果に対応する試料識別情報とを対応付けて表示部に表示することを特徴とする。
【0010】
本願に開示する計測装置は、試料台上に載置される複数の試料の特性を計測する計測装置において、試料の寸法を受け付ける受け付け部と、前記試料を保持すべく作動する複数の保持部と、試料の複数の寸法毎に保持部を特定するための保持部識別情報を記憶した記憶部から、前記受け付け部により受け付けた寸法に対応する保持部識別情報を読み出す読み出し部と、複数の保持部の内、前記読み出し部により読み出された保持部識別情報に対応する保持部を作動させる情報を出力する出力部とを備えることを特徴とする。
【0011】
本願に開示する計測装置は、前記記憶部は、試料の複数の寸法毎に保持部識別情報と、寸法毎に各試料を特定するための試料識別情報とを記憶しており、前記保持部により保持された複数の試料を計測する計測部と、該計測部による各試料の計測結果を試料識別情報と共に記憶する記憶処理部とを備えることを特徴とする。
【0012】
本願に開示する計測装置は、前記記憶処理部により記憶した各試料の計測結果と、該計測結果に対応する試料識別情報とを対応付けて表示部に表示する表示処理部を備えることを特徴とする。
【0013】
本願に開示する計測装置は、前記受け付け部は、複数の異なる寸法を受け付け、前記読み出し部は、前記受け付け部により受け付けた複数の異なる寸法に応じて保持部識別情報を記憶した記憶部から、前記受け付け部により受け付けた複数の異なる寸法に対応する保持部識別情報を読み出すことを特徴とする。
【0014】
本願に開示する計測方法は、試料台上に載置される複数の試料の特性を計測装置により計測する計測方法において、試料の寸法を入力部から受け付け、試料の複数の寸法毎に、前記試料を保持すべく作動する複数の保持部を特定するための保持部識別情報を記憶した記憶部から、受け付けた寸法に対応する保持部識別情報を読み出し、複数の保持部の内、読み出された保持部識別情報に対応する保持部を作動させることを特徴とする。
【0015】
本願にあっては、受け付け部は、試料の寸法を受け付ける。複数の保持部は試料を保持すべく作動する。記憶部は、試料の複数の寸法毎に保持部を特定するための保持部識別情報を記憶している。読み出し部は、受け付けた寸法に対応する保持部識別情報を読み出す。出力部は、複数の保持部の内、読み出された保持部識別情報に対応する保持部を作動させる情報を出力する。
【発明の効果】
【0016】
当該計測装置の一観点によれば、複数の試料が試料台に載置された場合でも、表示部にて対応する試料を容易に特定することが可能となる。
【0017】
当該計測装置の一観点によれば、異なる寸法の試料を計測することが必要な場合でも、表示部にて寸法に応じた試料の特定が可能となる。
【0018】
量産前における試料の特性計測に際しては、様々な寸法の試料を順次投入する必要があり搬送ロボットでは寸法の変更に対応できないところ、当該計測装置の一観点によれば、保持部を制御することにより様々なサイズの試料を柔軟に計測することが可能となる。
【0019】
当該計測装置の一観点によれば、様々な大きさの試料を計測する場合でも、適切な位置に試料を配置することができ、効率よく計測することが可能となる。従って、特殊な搬送ロボットを設けることなく、様々な寸法の試料を状況に応じて計測することが可能となる。
【0020】
当該計測装置の一観点によれば、複数の試料が試料台上に分散配置された場合でも、各試料に対応した計測結果を得ることが可能となる。
【0021】
当該計測装置の一観点によれば、試料台上に分散配置された複数の試料と、各試料の計測との対応を、表示部にて視認することが可能となる。また複数の試料処理装置により処理された複数の試料と、計測装置における各試料に対する計測結果を明確に対応付けることが可能となる。
【0022】
当該計測装置の一観点によれば、試料台上に異なる寸法の試料が載置された場合でも、各試料を適切な位置にて保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】試料台に分散配置された保持部を示す説明図である。
【図2】計測装置のハードウェア群を示すブロック図である。
【図3】ステージ及び保持部の断面を示す模式的断面図である。
【図4】保持部ファイルのレコードレイアウトを示す説明図である。
【図5】結果ファイルのレコードレイアウトを示す説明図である。
【図6】結果表示イメージを示す説明図である。
【図7】画像ファイルのレコードレイアウトを示す説明図である。
【図8】他の成膜装置に係る結果表示イメージを示す説明図である。
【図9】保持部の制御手順を示すフローチャートである。
【図10】計測結果の表示処理手順を示すフローチャートである。
【図11】計測結果の表示処理手順を示すフローチャートである。
【図12】ステージに分散配置された保持部を示す平面図である。
【図13】ステージ及び保持部の断面を示す模式的断面図である。
【図14】ステージに分散配置された保持部を示す平面図である。
【図15】ステージ及び保持部の断面を示す模式的断面図である。
【図16】ステージに分散配置された保持部及び保持位置表示部を示す平面図である。
【図17】ステージ、保持部及び保持位置表示部の断面を示す模式的断面図である。
【図18】保持部ファイルのレコードレイアウトを示す説明図である。
【図19】保持及び点灯制御の手順を示すフローチャートである。
【図20】実施の形態4に係る分光エリプソメータのハードウェア群を示すブロック図である。
【図21】組み合わせ入力画面のイメージを示す説明図である。
【図22】保持部ファイルのレコードレイアウトを示す説明図である。
【図23】保持部の作動処理の手順を示すフローチャートである。
【図24】実施の形態4に係る結果ファイルのレコードレイアウトを示す説明図である。
【図25】結果表示のイメージを示す説明図である。
【図26】他の成膜装置に係る結果表示イメージを示す説明図である。
【図27】結果表示の処理手順を示すフローチャートである。
【図28】実施の形態5に係る分光エリプソメータのハードウェア群を示すブロック図である。
【図29】ステージを示す平面図である。
【図30】載置ファイルのレコードレイアウトを示す説明図である。
【図31】計測処理の手順を示すフローチャートである。
【図32】実施の形態6に係るX線分析装置のハードウェアを示すブロック図である。
【図33】載置ファイルのレコードレイアウトを示す説明図である。
【図34】ステージの平面図である。
【図35】結果ファイルのレコードレイアウトを示す説明図である。
【図36】結果表示イメージを示す説明図である。
【図37】他の成膜装置に係る結果表示イメージを示す説明図である。
【図38】計測処理の手順を示すフローチャートである。
【図39】計測処理の手順を示すフローチャートである。
【図40】実施の形態7に係る計測装置のハードウェアを示すブロック図である。
【図41】実施の形態7に係る保持部ファイルのレコードレイアウトを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は試料台に分散配置された保持部を示す説明図である。計測装置は試料台2(以下、ステージ2という)に載置された複数の試料3を計測する。試料3は例えば半導体ウエハ、化合物半導体、エピウエハまたはLED(Light Emitting Diode)のウエハ等である。以下ではウエハ3を半導体ウエハ(以下、ウエハ3という)であるものとして説明する。ウエハ3は、2インチ、3インチ、4インチ、6インチ、8インチ、または12インチ等、様々な寸法(以下、サイズという)が存在する。計測装置は様々なサイズのウエハ3を計測すべく、サイズを受け付ける。本実施形態では説明を容易にするために2インチ及び3インチのウエハ3を用いた例を挙げて説明する。なお、本実施形態で述べる数値は一例でありこれに限るものではない。
【0025】
計測装置はウエハ3のサイズを受け付けた場合、サイズに応じた保持部20を作動させる。図1Aは2インチのウエハ3を保持する場合の説明図である。図1Bは3インチのウエハ3を保持する場合の説明図である。ステージ2には上下方向に昇降可能な保持部20、20、20、・・・が分散配置されている。保持部20はオフ状態の場合、保持部20の頭部がステージ2の平面とほぼ一致する高さ、または、ステージ2の平面より下側に位置している。保持部20はオン状態の場合、ステージ2の平面から所定長突出する。
【0026】
保持部20は、2インチ用の保持部26、26、26、・・・(以下、場合により20で代表する)と、3インチ用の保持部28、28、28、・・・(以下、場合により20で代表する)とを含む。なお、本実施形態では説明を容易にするために2種類の保持部20を例に挙げて説明するがこれに限るものではない。さらに4インチ用の保持部20、6インチ用の保持部20を併せて設けても良い。
【0027】
計測装置はウエハ3のサイズとして2インチを受け付けた場合、オフ状態にある保持部26、26、26、・・・を作動しオン状態とする。これにより図1Aに示す如く、保持部26、26、26、・・・が突出する。この場合、3インチ用の保持部28は作動せずオフ状態のままである。4つの保持部26、26、26、26一組は所定半径をもつ円周上に配置される。ユーザは2インチウエハ3を、4つの保持部26、26、26、26の案内に従い、ステージ2上に載置する。本実施形態では4つの保持部26、26、26、26を一組とするが、これに限るものではない。少なくとも1つ以上の保持部26を一組とすれば良い。また図1Aの例では4組の保持部26が突出しているが、組数も適宜設計に応じて定めればよい。
【0028】
一方、計測装置はウエハ3のサイズとして3インチを受け付けた場合、オフ状態にある保持部28、28、28、・・・を作動しオン状態とする。これにより図1Bに示す如く、保持部28、28、28、・・・が突出する。この場合、2インチ用の保持部26は作動せずオフ状態のままである。4つの保持部28、28、28、28一組は所定半径をもつ円周上に配置される。ユーザは2インチウエハ3を、4つの保持部26、26、26、26の案内に従い、ステージ2上に載置する。以下詳細を説明する。
【0029】
図2は計測装置のハードウェア群を示すブロック図である。計測装置は、光、レーザ光または電子線等を用いた計測装置であり、例えば分光エリプソメータ、フォトルミネッセンス計測装置、ラマン分光装置、ポラリメータ、干渉計、走査電子顕微鏡、X線分析装置、電子線マイクロアナライザ、またはこれら計測装置を組み合わせた計測装置等が用いられる。なお、複数の計測装置を組み合わせた装置の場合、計測は同時に行うほか、各計測装置順に行っても良い。本実施形態では分光エリプソメータ1を用いた例を挙げて説明する。また、分光エリプソメータ1は、ウエハ処理装置内部またはウエハ処理装置の外部に設けても良い。本実施形態においては、ウエハ処理装置外部に設ける例を挙げて説明する。また本実施形態においては試料処理装置として、CVD(chemical vapor deposition)装置、PVD(physical vapor deposition)装置、スピンコータ等の成膜装置、エッチング装置、露光装置、洗浄装置または研磨装置等の半導体製造装置を用いる例を挙げて説明する。また以下では、一例として2つの成膜装置70A及び70Bにより成膜された後のウエハ3を計測する例を挙げて説明する。成膜装置70Aは例えば2インチまたは6インチのウエハ3に対する成膜を行う。成膜装置70Bは例えば2インチのウエハ3に対する成膜を行う。ユーザは分光エリプソメータ1を用いて、成膜装置70A及び70B(以下、場合により70で代表する)にて成膜されたサイズの異なる成膜後のウエハ3の計測を行う。以下では、成膜装置70を特定するための識別情報を装置IDといい、成膜装置70Aの装置IDを「A」、成膜装置70Bの装置IDを「B」とする。なお、成膜装置70の数は2つに限るものではない。
【0030】
分光エリプソメータ1はキセノンランプ80、光照射器81、ステージ2、光取得器5、分光器7、データ取込機8、モータ制御機9、昇降制御部16、及び、コンピュータ10等を含んで構成される。分光エリプソメータ1は、ステージ2上に載置された複数のウエハ3を計測する。図2では一つのウエハ3のみを示している。なお、ウエハ3の上側には、シリコン酸化膜(SiO2 )等が積層されていても良い。さらに、当該シリコン酸化膜の上側にアモルファスシリコン膜、ポリシリコン膜またはシリコン窒化膜(Si34)等が積層されていても良い。分光エリプソメータ1は、ウエハ3に偏光した光を照射すると共に、ウエハ3で反射した光を取得して反射光の偏光状態を測定し、測定結果とウエハ3に応じたモデルとに基づきウエハ3の各膜層の特性を解析する。なおウエハ3以外に、化合物半導体基板、単層または多層のエピ膜、絶縁体膜、サファイヤ基板、または、ガラス基板等を基板としても良い。
【0031】
分光エリプソメータ1は、一対の光照射器81及び光取得器5を備える測定器を含む測定解析系の部分と、駆動系の部分とに大別される。分光エリプソメータ1は測定解析系の部分として、キセノンランプ80及び光照射器81を、第1光ファイバケーブル15aで接続する。分光エリプソメータ1は、ステージ2上に載置したウエハ3へ偏光した状態の光を照射すると共に、ウエハ3で反射した光を光取得器5で取り込む。光取得器5は第2光ファイバケーブル15bを介して分光器7に接続されており、分光器7は波長毎に測定を行って測定結果をアナログ信号としてデータ取込機8へ伝送する。データ取込機8は、アナログ信号を所要値に変換してコンピュータ10へ伝送する。コンピュータ10は解析を行う。
【0032】
分光エリプソメータ1は駆動系部分として、ステージ2、光照射器81、光取得器5及び分光器7に第1モータM1〜第6モータM6を夫々設けている。第1モータM1〜第6モータM6の駆動をコンピュータ10に接続したモータ制御機9で制御することで、ステージ2、光照射器81、光取得器5及び分光器7を測定に応じた適切な位置、姿勢に変更する。モータ制御機9は、コンピュータ10から出力される指示に基づき第1モータM1〜第6モータM6の駆動制御を行う。
【0033】
キセノンランプ80は光源であり、複数の波長成分を含む白色光を発生し、発生した白色光を光照射器81へ第1光ファイバケーブル15aを介して送る。光照射器81は半円弧状のレール6上に配置され、内部には偏光子81aを有しており、白色光を偏光子81aで偏光し、偏光状態の光をウエハ3へ照射する。また、光照射器81は、第4モータM4が駆動されることでレール6に沿って移動し、照射する光のステージ2のステージ面の垂線Hに対する角度(入射角度φ)を調整可能にしている。
【0034】
ステージ2は移動レール部(図示せず)に摺動可能に配置されており、第1モータM1〜第3モータM3の駆動によりステージ2を図2中のX軸方向、Y軸方向(図1の紙面に直交する方向)及び高さ方向となるZ方向へ夫々移動可能にしている。ステージ2の移動により、ウエハ3へ光を入射させる箇所を適宜変更し、ウエハ3の面分析を行う。なお、本実施の形態においては、ステージ2をX軸方向及びY軸方向に動かす例を挙げて説明するがこれに限るものではない。例えばステージ2を固定し、光照射器81及び光取得器5を動かし、照射位置をX軸方向及びY軸方向に移動させるようにしても良い。その他、ステージ2と、光照射器81及び光取得器5との双方を、X軸方向及びY軸方向に移動させるようにしても良い。また、ステージ2のウエハ3を載置するステージ面は、光の反射を防止するため黒色にされている。
【0035】
光取得器5はウエハ3で反射した光を取得し、取得した光の偏光状態を測定する。光取得器5は、光照射器81と同様にレール6上に配置されており、PEM(Photo Elastic Modulator:光弾性変調器)5a及び検光子(Analyzer)5bを内蔵し、ウエハ3で反射された光を、PEM5aを介して検光子5bへ導いている。光取得器5は、第5モータM5の駆動によりレール6に沿って移動可能である。光取得器5は、光照射器81の移動に連動して反射角度φと入射角度φとが同角度になるように、モータ制御機9で制御されている。なお、光取得器5に内蔵されたPEM5aは、取り込んだ光を所要周波数(例えば50kHz)で位相変調することにより直線偏光から楕円偏光を得ている。また、検光子5bは、PEM5aで位相変調された各種偏光の中から選択的に偏光を取得して測定する。
【0036】
分光器7は、反射ミラー、回折格子、フォトマルチプライヤー(PMT:光電子倍増管)及び制御ユニット等を内蔵し、光取得器5から第2光ファイバケーブル15bを通じて送られた光を反射ミラーで反射して回折格子へ導いている。回折格子は第6モータM6により角度を変更し出射する光の波長を可変する。分光器7の内部へ進んだ光はPMTで増幅され、光の量が少ない場合でも、測定された信号(光)を安定化させる。また、制御ユニットは測定された波長に応じたアナログ信号を生成してデータ取込機8へ送出する処理を行う。
【0037】
データ取込機8は、分光器7からの信号に基づき反射光の偏光状態(p偏光、s偏光)の振幅比Ψ及び位相差Δを波長毎に算出し、算出した結果をコンピュータ10へ送出する。なお、振幅比Ψ及び位相差Δは、p偏光の振幅反射係数Rp及びs偏光の振幅反射係数Rsに対し以下の数式(1)の関係が成立する。
Rp/Rs=tanΨ・exp(i・Δ)・・・(1)
但し、iは虚数単位である(以下同様)。また、Rp/Rsは偏光変化量ρという。
【0038】
また、コンピュータ10は、データ取込機8で得られた偏光状態の振幅比Ψ及び位相差Δと、試料に応じたモデルとに基づきウエハ3の解析を行うと共に、ステージ2の移動等に対する制御を行う。コンピュータ10は、CPU11(Central Processing Unit)、表示部14、入力部13、記憶部15、及びRAM12(Random Access Memory)等を含む。CPU11は、バスを介してコンピュータ10のハードウェア各部と接続されている。CPU11はハードウェアを制御すると共に、記憶部15に格納された各種プログラムに従って、種々のソフトウェア処理を実行する。
【0039】
RAM12は半導体素子等であり、CPU11の指示に従い必要な情報の書き込み及び読み出しを行う。表示部14は例えば液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ等である。入力部13はキーボード及びマウス、または、タッチパネル等の入力デバイスである。入力部13から入力されたウエハ3のサイズ等の情報はCPU11へ出力される。記憶部15は例えばハードディスクまたは大容量メモリであり、解析用のコンピュータプログラム、及びステージ2の移動制御用のコンピュータプログラム等の各種プログラムを予め記憶する。また記憶部15は、表示部14へ表示するための各種メニュー画像のデータ、ウエハ3に係る既知のデータ、複数のモデル、モデルの作成に利用される複数の分散式、作成されたモデル、各種試料に応じたリファレンスデータ、及び干渉縞に関連した比較処理に用いる基準値等を記憶する。
【0040】
記憶部15は、その他、保持部ファイル151、結果ファイル(以下、DBという)152及び画像ファイル155等を格納している。なお、これらのファイルは、図示しないDBサーバ等に記憶しても良い。この場合、CPU11はDBサーバから必要な情報に対する読み出し、または、書き込み処理を行う。CPU11はステージ2を、モータ制御機9を介して制御し、ウエハ3、3、3、・・・の膜厚または光学定数等を計測する。
【0041】
コンピュータ10のCPU11は、測定された振幅比Ψ及び位相差Δから、ウエハ3の周囲雰囲気等の複素屈折率を既知とした場合に、記憶部15に予め記憶されているモデリングプログラムを用いる。複素屈折率Nは、解析する膜層の屈折率n及び消衰係数kとした場合、以下の光学式で表した数式(2)の関係が成立する。
N=n−ik・・・(2)
【0042】
また、入射角度をφ、光照射器81が照射する光の波長をλとした場合、データ取込機8から出力されるエリプソメータで測定された振幅比Ψ及び位相差Δは、膜厚d、屈折率n及び消衰係数kに対して以下の数式(3)の関係が成立する。
(d,n,k)=F(ρ)=F(Ψ(λ,φ),Δ(λ,φ))・・・(3)
【0043】
コンピュータ10のCPU11は、解析する各層の膜厚、及び複数のパラメータを有する複素誘電率の波長依存性を示す分散式を用いて、記憶したモデルから理論的な演算で得られるモデルスペクトル(ΨM (λi )、ΔM (λi))(偏光状態)と、データ取込機8から出力される測定結果に係る測定スペクトル(ΨE (λi )、ΔE(λi ))(偏光状態)との差が最小になるように膜厚、分散式のパラメータ等を変化させる処理(フィッティング)を行う。なお、適用される分散式の一例を下記の数式(4)に示す。なお、分散式はあくまで一例であってこれに限るものではない。
【0044】
【数1】

【0045】
数式(4)において左辺のεは複素誘電率を示し、ε、εs は誘電率を示し、Γ0 、ΓD 、γj は粘性力に対する比例係数(damping factor)を示し、ωoj、ωt 、ωp は固有角振動数(oscillator frequency, transverse frequency, plasma frequency)を示す。なお、εは高周波における誘電率(high frequency dielectric constant)であり、εs は低周波における誘電率(static dielectric constant)であり、fj =(εSj−ε)である。また、複素誘電率ε(ε(λ)に相当)、及び複素屈折率N(N(λ)に相当)は、下記の数式(5)の関係が成立する。
ε(λ)=N2 (λ)・・・(5)
【0046】
フィッティングについて説明する。ウエハ3を測定した場合でT個の測定データ対をExp(i=1,2,・・・,T)、T個のモデルの計算データ対をMod(i=1,2,・・・,T)としたときに測定誤差は正規分布すると考えて標準偏差をσi とした際の最小二乗法に係る平均二乗誤差χ2 は下記の数式(6)で求められる。なお、Pはパラメータの数である。平均二乗誤差χ2の値が小さいときは、測定結果と作成したモデルの一致度が大きいことを意味するため、複数のモデルを比較する場合、平均二乗誤差χ2 の値が最も小さいものがベストモデルに相当する。
【0047】
【数2】

【0048】
上述したコンピュータ10のCPU11が行う試料解析に係る一連の処理は、記憶部15に記憶された解析用のコンピュータプログラムに規定されている。本実施の形態に係る分光エリプソメータ1は、ウエハ3における複数の予め作成されているモデルの構造を記憶部15のモデルファイルに記憶している。これらのモデルの構造が、記憶部15に記憶されるコンピュータプログラム(モデリングプログラム)が規定する処理に基づき読み出されて解析に用いられる。
【0049】
図3はステージ2及び保持部20の断面を示す模式的断面図である。一部が中空のステージ2内部には長手方向を鉛直方向とする保持部20、20、20、・・・が設置されている。保持部20は第1保持部21及び第2保持部22を含む。第1保持部21はステージ2内部に埋め込まれている。第2保持部22は第1保持部21に支持されており、オン状態(作動時)で、開口部24から一部がステージ2上から突出する。突出量は例えば、ウエハ3の厚さ以上とすれば良い。なお、ウエハ3の厚みよりも低い位置に突出させても良い。第2保持部22はオフ状態で、ステージ2内部に下降する。なお、オフ状態では第2保持部22の頭部がステージ2と同一面上に位置するよう制御すればよい。
【0050】
第1保持部21は例えば円筒であり、第2保持部22は例えば当該円筒の内径より小さい外形を有する円柱であればよい。円柱は円筒の内部に進退することができる。なお、本実施形態では保持部20を、円筒と円柱との組み合わせであるものとして説明するがこれに限るものではない。例えば中空の四角柱と、当該中空の四角柱に進退することができる四角柱であっても良い。その他、多角柱、断面視がL字型、または断面視が弧状の柱を用いても良い。また、ウエハ3の保持を容易にすべく、オン状態にステージ2から突出する第2保持部22の外周面に溝を形成、または、樹脂をコーティングしても良い。
【0051】
保持部20はギア及びモータを有する昇降機構23により上下方向に移動する。各保持部20は、保持部20を特定するための保持部識別情報(以下、保持部IDという)により特定することができ、CPU11は保持部20を作動させる場合、当該保持部20に対応する保持部ID及びオン状態の情報を昇降制御部16へ出力する。出力部としての昇降制御部16は昇降機構23へオン状態またはオフ状態の情報を出力する。昇降機構23はオン状態の情報を受け付けた場合、第2保持部22を上昇させる。昇降機構23はオフ状態の情報を受け付けた場合、第2保持部22を下降させる。なお、本実施形態では保持部20の一例として、筒部及び円柱により構成される保持部20を示したがこれに限るものではない。筒部は複数であっても良い。また、保持部20として螺子を用いても良い。この場合、ステージ2に螺子溝を形成し、螺子を回転させる昇降機構23により螺子を上昇または下降させても良い。
【0052】
図4は保持部ファイル151のレコードレイアウトを示す説明図である。保持部ファイル151は保持部IDフィールド、ウエハサイズフィールド、保持座標フィールド、計測IDフィールド、中心座標フィールド及び計測領域フィールド等を含む。保持部IDフィールドには、各保持部20を特定するための識別情報が記憶されている。ウエハサイズフィールドにはウエハ3のサイズが保持部IDに対応付けて記憶されている。保持座標フィールドには保持部IDに対応付けて、座標が記憶されている。
【0053】
ウエハ3の載置位置として、中心座標フィールドには、ウエハ3の中心座標が記憶されており、また計測領域フィールドにはウエハ3を計測する座標が複数記憶されている。計測IDフィールドには、保持部ID、及び、載置位置である中心座標または計測領域に対応付けて、ステージ2上に載置されるウエハ3の計測位置を特定するための識別情報(以下、計測IDという)が記憶されている。例えば、計測IDが「1」で特定される場所には、2インチのウエハ3に関し保持部IDが「211」、「212」、「213」、「214」で特定される4つの保持部20が対応付けられている。CPU11はオン状態の情報を昇降制御部16へ出力する。昇降制御部16は上述した4つの保持部20を上昇させる。保持部20により囲まれるステージ上の領域にはユーザが計測IDを容易に特定できるよう計測IDを予め記載しておいてもよい。ユーザは2インチのウエハ3を4つの保持部20内に載置する。このウエハ3は計測ID「1」となる。
【0054】
同様に、他の2インチのウエハ3を載置すべく、保持部IDが「221」、「222」、「223」及び「224」の4つの保持部20が上昇する。これら4つの保持部20に保持されるウエハ3は計測IDが「2」となる。CPU11は計測ID「1」で特定されるウエハ3を計測する場合、計測IDに対応する中心座標を読み出す。CPU11はステージ2を中心座標へ移動させ、計測領域フィールドに記憶した座標を参照し計測を行う。なお、本実施形態では、中心座標を記憶する例を挙げて説明するがこれに限るものではない。計測領域内の座標の内、予め初期位置となる初期座標を記憶しておいても良い。
【0055】
同様に3インチのウエハ3の場合、保持部IDが「311」、「312」、「313」及び「314」で特定される保持部20が上昇する。なお、本実施形態では説明を容易にするために、2インチの保持部20と、3インチの保持部20とを別々としたが、一部の保持部20を相互に共用しても良い。CPU11はウエハ3の計測結果を計測ID及び座標に対応付けて結果ファイル152に記憶する。
【0056】
図5は結果ファイル152のレコードレイアウトを示す説明図である。結果ファイル152は装置IDフィールド、位置IDフィールド、計測IDフィールド、座標フィールド、膜厚フィールド及び光学定数フィールド等を含む。装置IDフィールドには計測対象となるウエハ3に対する成膜を行った成膜装置70の装置IDが記憶されている。位置IDフィールドには装置IDに対応付けて、成膜装置70におけるウエハ3の配置位置を特定するための識別情報(以下、位置IDという)が記憶されている。ユーザは計測前に、入力部13から計測IDに対応付けて装置ID及び位置IDを入力する。CPU11は入力部13から入力された装置ID及び位置IDを結果ファイル152に記憶する。なお、本実施形態では計測ID「1」に対し、装置ID「A」及び位置ID「1」が記憶されており、計測ID「2」に対し、装置ID「A」及び位置ID「2」が記憶されている例を挙げて説明する。同様に、計測ID「3」に対し、装置ID「B」及び位置ID「3」が記憶されており、計測ID「4」に対し、装置ID「B」及び位置ID「4」が記憶されているものとする。
【0057】
計測IDフィールドには装置ID及び位置IDに対応付けて、ステージ2上に載置されるウエハ3の計測位置を特定するための計測IDが記憶されている。このように各ウエハ3を特定するための試料識別情報は成膜装置70を特定するための装置ID、成膜装置70内のウエハ3の配置位置を特定するための位置ID、並びに、ウエハ3の計測位置を特定するための計測IDにより構成される。例えば、計測ID「4」、装置ID「B」、位置ID「4」でウエハ3を特定する場合、ウエハ3がステージ2の計測ID「4」で特定される位置に載置され、分光エリプソメータ1にて計測ID「4」にて計測結果が算出される。そして、当該算出結果は装置ID「B」の成膜装置70Bの位置ID「4」にて成膜されたウエハ3であることが特定される。なお、位置IDは一例であり、数値に替えて「上」、「右」等を用いても良い。また本実施形態においては、試料識別情報は装置ID、位置ID及び計測IDの3つを用いる例を挙げて説明するがこれに限るものではない。成膜装置70における位置の特定が不要の場合、試料識別情報は装置ID及び計測IDの2つとすれば良い。また、一つの成膜装置70にて成膜されたサイズの異なるウエハ3を計測する場合、または、同一サイズのウエハ3を計測する場合は、試料識別情報として計測IDのみを用いればよい。
【0058】
本実施形態では説明を容易にするために、計測IDが「1」、「2」、「3」、及び「4」で特定される4つのウエハ3を計測する例を挙げて説明する。座標フィールドには計測IDに対応付けて計測した際の座標が記憶されている。本実施形態では計測項目として、膜厚及び光学定数を例に挙げて説明する。なお、計測項目は一例であり、計測装置の種類に応じて適宜の計測項目とすればよい。例えば、座標に対応付けて試料上の結晶化度、応力または内部の元素情報等を計測項目としても良い。
【0059】
膜厚フィールドには、第1計測項目としてのウエハ3の膜厚が、座標に対応付けて記憶されている。また光学定数フィールドには、第2計測項目としてのウエハ3の光学定数(屈折率、消衰係数)が、座標に対応付けて記憶されている。なお、本実施形態で述べた保持部ファイル151及び結果ファイル152のデータレイアウトは一例であり、これに限るものではない。データ間の関係が維持されていれば、設計に応じて適宜の記憶形態を採用すれば良い。また、保持部ファイル151及び結果ファイル152はコンピュータ10内の記憶部15に記憶する以外に、外部のデータベースサーバ(図示せず)に記憶しても良い。結果ファイル152はウエハ3上に成膜された各層の膜厚及び光学定数を記憶している。本実施形態においては、ウエハ3上に2層が形成されており、図5では第1層の計測結果を表示している。なお、ウエハ3上に成膜される層は1層であっても良く、また3層以上であっても良い。
【0060】
図6は結果表示イメージを示す説明図である。CPU11は結果ファイル152の計測結果に基づき、計測結果を表示画面に記述する。表示画面は第1表示部141及び第2表示部142を含む。図6の第1表示部141には装置ID「A」に対する表示結果を表示している。CPU11は、結果ファイル152に記憶した装置ID、位置ID、計測ID、座標、膜厚及び光学定数を読み出し、第2表示部142に記述する。
【0061】
図7は画像ファイル155のレコードレイアウトを示す説明図である。画像ファイル155は装置IDフィールド、画像データフィールド、位置IDフィールド及び描画位置情報フィールド等を含む。画像データフィールドには装置IDに対応付けて成膜装置70のウエハの配置位置を示す画像データが記憶されている。図6の例は成膜装置70Aのウエハ3の配置位置を示している。2インチのウエハ3を模式的に示す円が4つ表示される。さらに4つの円の外側に6インチのウエハ3を模式的に示す円が1つ表示される。描画位置情報フィールドには、位置IDに対応する円の情報が記憶されている。例えば、位置ID「1」には、図6の12時位置に存在する2インチのウエハ3を模式的に示す小円が対応付けられている。また位置ID「2」には、図6の3時位置に存在する2インチのウエハ3を模式的に示す小円が対応付けられている。さらに位置ID「5」には6インチのウエハ3を模式的に示す大円が対応付けられている。
【0062】
CPU11は装置IDに対応する画像データを画像ファイル155から読み出し、第1表示部141に表示する。CPU11は結果ファイル152を参照し、装置ID、位置ID及び計測IDに対応する各座標の膜厚を読み出す。CPU11は画像ファイル155から位置IDに対応する描画位置情報を読み出す。CPU11は描画位置情報で特定されるウエハ3を模式的に示す円内に、読み出した各座標の膜厚の色変化を表示する。なお、色は膜厚最大値の色及び膜厚最小値の色を予め記憶部15に記憶しておき、膜厚に応じて対応する色をカラーまたは白黒で表示すればよい。CPU11は位置ID及び描画位置情報を参照し、色表示した膜厚に関連付けて、対応する計測ID、装置ID及び位置IDを表示する。
【0063】
図6の例では、装置ID「A」、位置ID「1」、計測ID「1」で特定されるウエハ3の膜厚に係る濃淡、及び、装置ID「A」、位置ID「2」、計測ID「2」で特定されるウエハ3の膜厚に係る濃淡が表示されている。
【0064】
これにより、各ウエハ3の状態を容易に把握できる。また、装置ID及び位置IDが併せて表示されることから、計測結果に問題のある成膜装置70及び該当するウエハ3を特定でき、早期に成膜装置70に対するフィードバックが可能となる。第1表示部141の下部には膜厚ボタン143及び光学定数ボタン144が表示されている。これらのボタンは計測項目を切り替えるためのボタンである。
【0065】
ユーザは膜厚の結果表示を希望する場合、膜厚ボタン143をクリックする。ユーザは光学定数の結果表示を希望する場合、光学定数ボタン144をクリックする。CPU11は膜厚ボタン143がクリックされた場合、結果ファイル152から座標及び膜厚を読み出し、図6に示すコンター図を表示する。CPU11は光学定数ボタン144がクリックされた場合、操作入力を受け付ける。CPU11は、結果ファイル152から座標及び光学定数を読み出す。なお、光学定数は屈折率または消衰係数のいずれかを選択して読み出せばよい。以下では屈折率を読み出すものとして説明する。
【0066】
CPU11は装置IDに対応する画像データを画像ファイル155から読み出し、第1表示部141に表示する。CPU11は結果ファイル152を参照し、装置ID、位置ID及び計測IDに対応する各座標の屈折率を読み出す。CPU11は画像ファイル155から位置IDに対応する描画位置情報を読み出す。CPU11は描画位置情報で特定されるウエハ3を模式的に示す円内に、読み出した各座標の屈折率の色変化を表示する。なお、色は屈折率最大値の色及び屈折率最小値の色を予め記憶部15に記憶しておき、屈折率に応じて対応する色をカラーまたは白黒で表示すればよい。
【0067】
図8は他の成膜装置70に係る結果表示イメージを示す説明図である。CPU11は結果ファイル152の計測結果に基づき、計測結果を表示画面に記述する。表示画面は第1表示部141及び第2表示部142を含む。図8の第1表示部141には装置ID「B」に対する表示結果を表示している。CPU11は、結果ファイル152に記憶した装置ID、位置ID、計測ID、座標、膜厚及び光学定数を読み出し、第2表示部142に記述する。
【0068】
CPU11は装置IDに対応する画像データを画像ファイル155から読み出し、第1表示部141に表示する。CPU11は結果ファイル152を参照し、装置ID、位置ID及び計測IDに対応する各座標の膜厚を読み出す。CPU11は画像ファイル155から位置IDに対応する描画位置情報を読み出す。CPU11は描画位置情報で特定されるウエハ3を模式的に示す円内に、読み出した各座標の膜厚の色変化を表示する。
【0069】
CPU11は位置ID及び描画位置情報を参照し、色表示した膜厚に関連付けて、対応する計測ID、装置ID及び位置IDを表示する。図8の例では、装置ID「B」、位置ID「3」、計測ID「3」で特定されるウエハ3の膜厚に係る濃淡、及び、装置ID「B」、位置ID「4」、計測ID「4」で特定されるウエハ3の膜厚に係る濃淡が表示されている。なお、本実施形態においては、第2表示部142において装置ID「A」及び「B」の双方の結果を表示しているがこれに限るものではない。いずれか一方のみを表示するようにしても良い。
【0070】
図9は保持部20の制御手順を示すフローチャートである。ユーザは入力部13から計測を希望するウエハ3のサイズを入力する。CPU11は入力部13により入力されたウエハ3のサイズを受け付ける(ステップS71)。CPU11は入力されたサイズに対応する保持部IDを保持部ファイル151から読み出す(ステップS72)。CPU11は読み出した保持部ID及びオン状態の情報を昇降制御部16へ出力する(ステップS73)。昇降制御部16は保持部IDに対応する昇降機構23を制御し、保持部IDに対応する保持部20を上昇させる(ステップS74)。
【0071】
これにより、ステージ2上には複数のウエハ3を載置するにあたり目印となる保持部20が上昇する。ユーザはウエハ3を円周状に形成される保持部20、20、20、20の内部に、ウエハ3を載置する。CPU11は計測IDに対応する装置ID及び位置IDを入力部13から受け付ける(ステップS741)。CPU11は計測IDに対応する装置ID及び位置IDを結果ファイル152に記憶する(ステップS742)。なお、装置IDが一つの場合、ステップS741及びS742の処理は省略しても良い。そして後述する計測処理を行う。ユーザは計測を終了する場合、入力部13から計測終了情報を入力する。CPU11は入力部13から計測終了情報を受け付けたか否かを判断する(ステップS75)。CPU11は計測終了情報を受け付けていないと判断した場合(ステップS75でNO)、計測終了情報を受け付けるまで待機する。
【0072】
CPU11は計測終了情報を受け付けたと判断した場合(ステップS75でYES)、CPU11は記憶部15に記憶した警告情報を読み出し、読み出した警告情報を出力する(ステップS751)。この警告情報は保持部20の下降前にウエハ3を取り除くべき旨の情報である。例えば、CPU11は、「保持部が下降しますので、全てのウエハ3を回収して下さい。」等のテキスト文を読み出し、表示部14に表示しても良い。その他CPU11は図示しないスピーカにより音声または警告音を出力しても良い。これにより、保持部20の下降に伴うウエハ3の損傷を未然に防止できる。ユーザは警告情報に対する確認を示す情報を、入力部13から入力する。CPU11は、入力部13から確認を示す情報を受け付けた場合、読み出した保持部ID及びオフ状態の情報を昇降制御部16へ出力する(ステップS76)。昇降制御部16は保持部IDに対応する昇降機構23を制御し、保持部IDに対応する保持部20を下降させる(ステップS77)。なお、下降時は全ての保持部IDに対応する昇降機構23にオフ状態の情報を出力しても良い。
【0073】
図10及び図11は計測結果の表示処理手順を示すフローチャートである。CPU11は入力されたサイズに対応する計測IDを保持部ファイル151から読み出す(ステップS81)。CPU11は保持部ファイル151から計測IDに対応する計測領域を読み出す(ステップS82)。CPU11は読み出した計測領域内で計測を開始する(ステップS83)。なお、測定は中心座標のみであっても良いし、ユーザが入力部13から指定した座標に対して行っても良い。
【0074】
CPU11は計測後、装置ID、位置ID、計測ID、座標、膜厚及び光学定数を対応付けて結果ファイル152に記憶する(ステップS84)。CPU11はステップS81で読み出した全ての計測IDに対する処理を終了したか否かを判断する(ステップS85)。CPU11は全ての計測IDに対して処理を終了していないと判断した場合(ステップS85でNO)、処理をステップS82へ戻し、他の計測IDに係るウエハ3の測定を行う。これにより、装置ID、位置ID及び計測IDに対応付けて測定結果が結果ファイル152に記憶される。
【0075】
CPU11は全ての計測IDに対する処理が終了したと判断した場合(ステップS85でYES)、ステップS860へ移行し、表示処理を実行する。CPU11は表示を希望する装置IDの入力を入力部13から受け付ける(ステップS860)。CPU11は画像ファイル155から装置IDに対応する画像データを読み出し、表示部14に表示する(ステップS86)。CPU11は結果ファイル152から装置ID、位置ID、計測ID、座標、膜厚及び光学定数を読み出す(ステップS87)。CPU11は第2表示部142に、装置ID、位置ID、計測ID、座標、膜厚及び光学定数を記述する(ステップS88)。CPU11は画像ファイル155から装置IDに対応する位置ID及び描画位置情報を読み出す(ステップS89)。
【0076】
CPU11は膜厚ボタン143が操作されたか否かを判断する(ステップS93)。CPU11は膜厚ボタン143が操作されたと判断した場合(ステップS93でYES)、ステップS94へ移行する。
【0077】
CPU11は結果ファイル152からステップS860で受け付けた装置ID、位置ID、計測IDに対応する各座標の膜厚を読み出す(ステップS94)。CPU11は各座標の膜厚に対応する色を決定する(ステップS95)。CPU11は、ステップS89で読み出した位置IDに対応する描画位置情報を参照し、当該描画位置情報で特定されるウエハ3を模式的に示す円内に、ステップS95で決定した各座標の膜厚の色を表示する(ステップS96)。CPU11は、色表示の処理を、全ての位置IDに対して行う。なお、本実施形態においては、各計測IDについて座標別に膜厚を表示したがこれに限るものではない。CPU11は、各座標の膜厚(または光学定数)の平均値を求め、第2表示部142に表示しても良い。またCPU11は、平均値に対応する色を、ウエハ3を模式的に示す円内に表示しても良い。さらにCPU11は予め定めた閾値より大きい平均値を有する膜厚または光学定数に係る、装置ID、位置ID及び計測IDの情報と共に異常を示す情報を表示部14または図示しない音声出力部へ出力しても良い。
【0078】
CPU11は膜厚ボタン143が操作されなかったと判断した場合(ステップS93でNO)、ステップS97へ移行する。CPU11は結果ファイル152からステップS860で受け付けた装置ID、位置ID、計測IDに対応する各座標の光学定数を読み出す(ステップS97)。CPU11は各座標の光学定数に対応する色を決定する(ステップS98)。CPU11は、ステップS89で読み出した位置IDに対応する描画位置情報を参照し、当該描画位置情報で特定されるウエハ3を模式的に示す円内に、ステップS98で決定した各座標の膜厚の色を表示する(ステップS99)。CPU11は、色表示の処理を、ステップS860で受け付けた装置IDに対応する全ての位置IDに対して行う。CPU11は、ステップS89で読み出した位置IDに対応する描画位置情報を参照し、当該描画位置情報で特定されるウエハ3を模式的に示す円の付近に、対応する計測ID、装置ID及び位置IDを表示する(ステップS910)。CPU11は当該表示処理を全ての位置IDに対して行う。CPU11は異なる装置IDを受け付けた場合、ステップS86以降の処理を同様に行う。なお、他の層についても同様の処理を行えばよい。これにより、異なる成膜装置70で成膜されたウエハ3を特定した上で計測及び評価することが可能となる。
【0079】
実施の形態2
実施の形態2は他の保持部20の形態に関する。図12はステージ2に分散配置された保持部20を示す平面図である。図13はステージ2及び保持部20の断面を示す模式的断面図である。ウエハ3の保持は本実施形態の如く、吸引により行っても良い。図12には一例として、2インチのウエハ3を吸引する保持部26、26、26、26を示している。保持部20は対応するウエハ3の外周よりも内側に複数配置される。なお、保持部20は対応するウエハ3の外周上の複数箇所に配置してもよい。保持部26、26、26、26のさらに外側には、3インチのウエハ3に対応する保持部28、28、28、28が複数配置される。
【0080】
吸引装置である保持部20はポンプ等の吸引部32及び吸引管31を含む。吸引管31は一端がステージ2上で開口している。吸引管31の他端はステージ2下部に向かって伸びている。吸引管31の他端は吸引部32に接続されている。吸引制御部16は各保持部20、20、・・・に接続されている。保持部20は吸引制御部16からオン状態の情報を受け付けた場合、吸引部32を作動させる。吸引部32は吸引管31の一端であるステージ2上の開口部24から空気を吸入する。保持部20は吸引制御部16からオフ状態の情報を受け付けた場合、吸引部32の作動を停止する。
【0081】
保持部20は段差を形成することにより、ウエハ3を保持しても良い。図14はステージ2に分散配置された保持部20を示す平面図である。図15はステージ2及び保持部20の断面を示す模式的断面図である。ウエハ3の保持は本実施形態の如く、段差を形成することにより行っても良い。図14には、2インチ用のウエハ3を保持する保持部26及び3インチ用のウエハ3を保持する保持部28を示している。保持部20はウエハ3の外形より大きい外形を有し、昇降制御部16の制御に従い昇降する。保持部20は昇降装置36、38、及び、昇降ステージ366、368を備える。
【0082】
昇降装置36はモータ及びギアを含み、昇降ステージ366を上昇または下降させる。昇降ステージ366は2インチ用のウエハ3を保持する。昇降ステージ366は、2インチのウエハ3の外径よりも大きい外径を有する円板である。昇降装置36は、昇降制御部16からオン状態の情報を受け付けた場合、昇降ステージ366を下降させる。昇降装置36は、昇降制御部16からオフ状態の情報を受け付けた場合、昇降ステージ366を上昇させる。昇降ステージ366はオフ状態の場合、上面の高さがステージ2の面と同一となる高さに位置する。
【0083】
昇降装置38は、昇降ステージ368を上昇または下降させる。昇降ステージ368は3インチ用のウエハ3を保持する。昇降ステージ368は、3インチのウエハ3の外径よりも大きい外径を有する円板である。昇降装置38は、昇降制御部16からオン状態の情報を受け付けた場合、昇降ステージ368を下降させる。昇降装置38は、昇降制御部16からオフ状態の情報を受け付けた場合、昇降ステージ368を上昇させる。昇降ステージ368はオフ状態の場合、上面の高さがステージ2の面と同一となる高さに位置する。
【0084】
保持部ファイル151には、サイズに対応付けて、作動させる保持部20の保持部IDが記憶されている。CPU11はサイズが2インチの場合、保持部ファイル151を参照し、昇降装置36に対応する保持部IDを読み出し、読み出した保持部ID及びオン状態の情報を昇降制御部16へ出力する。昇降制御部16は2インチ用のウエハ3の保持を行うべく、昇降ステージ366を下降させる。CPU11はサイズが3インチの場合、保持部ファイル151を参照し、昇降装置36及び昇降装置38に対応する保持部IDを読み出し、読み出した保持部ID及びオン状態の情報を昇降制御部16へ出力する。昇降制御部16は3インチ用のウエハ3の保持を行うべく、昇降ステージ366及び368を下降させる。なお、本実施形態では2種類のサイズのウエハ3を保持する例を挙げたがこれに限るものではない。さらに大きな径、または小さな径をもつウエハ3を保持しても良い。
【0085】
本実施の形態2は以上の如きであり、その他は実施の形態1と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0086】
実施の形態3
実施の形態3は保持部20の位置を表示する形態に関する。保持部20の位置を視認できるよう保持部20の近傍に保持位置表示部37、37、・・・を設けても良い。図16はステージ2に分散配置された保持部20及び保持位置表示部37を示す平面図である。図17はステージ2、保持部20及び保持位置表示部37の断面を示す模式的断面図である。ウエハ3の保持は実施形態2の如く、吸引により行う。保持位置表示部37は発光素子であり、例えばLED、LD(Laser Diode)または有機EL素子が用いられる。本実施形態ではLEDを用いる例を挙げて説明する。以下では保持位置表示部37をLED37という。
【0087】
LED37、37、37,37は保持部20、20、20、20の近傍に環状に配置される。例えば、環状の保持部20から外周側へ所定距離(例えば0.5cmから3cm)の位置に配置すればよい。図16の例では、保持部20の外径、ウエハ3の外径、LED37の外径の順で大きくなるよう4つのLED37、37、37、37を配置している。なお、LED37の配置位置は一例であり、これに限るものではない。図16では2インチ用のウエハ3を保持する4つの保持部26に対応させて、4つのLED376を配置している。また3インチ用のウエハ3を保持する4つの保持部28に対応させて、4つのLED378を配置している。
【0088】
図17に示すように、LED37は発光面がステージ2の上方向を臨む方向に設置されている。LED37はウエハ3の載置の妨げとならないよう、上面がステージ2と同一平面またはステージ2の下側に位置している。LED37はLED制御部371及び吸引制御部16に接続されている。LED制御部371はLED37の点灯制御を行う。LED制御部371は、吸引制御部16からオン状態の情報を受け付けた場合、吸引部32と同じく、LED37を点灯させる。LED制御部371は、吸引制御部16からオフ状態の情報を受け付けた場合、LED37を消灯させる。吸引部32は吸引管31に個別に対応して設けるほか、図17に示す如く、複数の吸引管31と、一の吸引部32とをグループ化してもよい。吸引制御部16はオン情報を吸引部32へ出力する。この場合、吸引部32は吸引管31、31により吸引を行う。
【0089】
図18は保持部ファイル151のレコードレイアウトを示す説明図である。さらに、LEDIDフィールドが設けられている。LEDIDフィールドには、ウエハ3のサイズ及び保持部IDに対応付けて、LED37を特定するためのIDが記憶されている。CPU11はLED37を点灯する場合、当該LED37に対応するLEDID及びオン状態の情報を吸引制御部16へ出力する。例えばウエハ3のサイズが2インチの場合、CPU11は、2インチのウエハ3に対応する保持部ID及びLEDIDを読み出し、吸引制御部16へ出力する。吸引制御部16はオン状態の情報を対応するLEDIDを有するLED37のLED制御部371へ出力する。LED制御部371は接続されたLED37を点灯させる。
【0090】
図19は保持及び点灯制御の手順を示すフローチャートである。ユーザは入力部13から計測を希望するウエハ3のサイズを入力する。CPU11は入力部13により入力されたウエハ3のサイズを受け付ける(ステップS171)。CPU11は入力されたサイズに対応する保持部IDを保持部ファイル151から読み出す(ステップS172)。CPU11は入力されたサイズに対応するLEDIDを、保持部ファイル151から読み出す(ステップS173)。
【0091】
CPU11は読み出した保持部ID、LEDID及びオン状態の情報を吸引制御部16へ出力する(ステップS174)。吸引制御部16はLEDIDに対応するLED37を点灯させる(ステップS175)。具体的には吸引制御部16はLEDIDにより特定されるLED制御部371へオン状態の情報を出力する。LED制御部371は接続されたLED37を点灯させる。吸引制御部16は保持部IDに対応する保持部20により吸引する(ステップS176)。具体的には、吸引制御部16は保持部IDにより特定される吸引部32へオン状態の情報を出力する。吸引部32は吸引管31を介して開口部24から吸引を開始する。
【0092】
これにより、ユーザは、LED37を目印として、ウエハ3を保持部20上に載置することができる。ウエハ3は保持部20の吸引により保持される。そして計測処理を行う。ユーザは計測を終了する場合、入力部13から計測終了情報を入力する。CPU11は入力部13から計測終了情報を受け付けたか否かを判断する(ステップS177)。CPU11は計測終了情報を受け付けていないと判断した場合(ステップS177でNO)、計測終了情報を受け付けるまで待機する。
【0093】
CPU11は計測終了情報を受け付けたと判断した場合(ステップS177でYES)、読み出した保持部ID、LEDID及びオフ状態の情報を吸引制御部16へ出力する(ステップS178)。吸引制御部16は保持部IDに対応する吸引部32を制御し、吸引を停止する(ステップS179)。吸引制御部16はLEDIDに対応するLED制御部371へオフ状態の情報を出力する。LED制御部371はLEDIDに対応するLED37を消灯する(ステップS1710)。これにより、ユーザはLED37を目印として適切な位置にウエハ3を載置することが可能となる。
【0094】
本実施の形態3は以上の如きであり、その他は実施の形態1及び2と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0095】
実施の形態4
実施の形態4は複数の異なるサイズのウエハ3を計測する形態に関する。図20は実施の形態4に係る分光エリプソメータ1のハードウェア群を示すブロック図である。記憶部15にはさらに組み合わせファイル153が設けられている。CPU11は組み合わせ入力画面を記憶部15から読み出す。図21は組み合わせ入力画面147のイメージを示す説明図である。組み合わせ入力画面147は、サイズの異なる複数のウエハ3の組み合わせを入力するための画面である。具体的には、2以上のサイズの異なるウエハ3と、各ウエハ3の枚数とを入力する。
【0096】
図21の例では、組み合わせIDに対応付けて、チェックボックス145、及び、2以上のサイズの異なるウエハ3と各ウエハ3の枚数との組み合わせが列記されている。例えば組み合わせIDが「C01」の場合、2インチのウエハ3「5枚」と、3インチのウエハ3「2枚」との2種類計7枚が、ステージ2に載置され計測される。また、組み合わせIDが「C03」の場合、2インチのウエハ3「3枚」と、3インチのウエハ3「1枚」と、6インチのウエハ3「1枚」との3種類計5枚が、ステージ2に載置され計測される。
【0097】
ユーザは入力部13から希望する組み合わせを、チェックボックス145をクリックすることにより選択する。CPU11は入力部13を介して組み合わせを受け付ける。なお、本実施形態では組み合わせを選択する例を挙げて説明したがこれに限るものではない。ユーザに入力部13から希望するウエハ3の複数のサイズと、各枚数とを入力させても良い。この場合、ウエハ3のサイズと枚数との各組み合わせに対応する組み合わせIDを、保持部ファイル151に記憶しておけばよい。CPU11はOKボタン146が入力された場合、組み合わせIDを決定する。本実施形態では一例として組み合わせID「C01」が選択されたものとする。また本実施形態において成膜装置70Aは例えば2インチまたは6インチのウエハ3に対する成膜を行う。成膜装置70Bは例えば3インチのウエハ3に対する成膜を行う。
【0098】
図22は保持部ファイル151のレコードレイアウトを示す説明図である。さらに組み合わせIDフィールドが設けられている。組み合わせIDフィールドには、ウエハ3の複数のサイズと、各ウエハ3の枚数との組み合わせを特定するための組み合わせIDが記憶されている。保持部ファイル151は組み合わせIDに対応付けて、作動させる保持部IDが記憶されている。図22の例では組み合わせIDが「C01」のレコードの一部が示されている。組み合わせIDが「C01」の場合、2インチのウエハ3が5枚、3インチのウエハ3が2枚である。保持部ファイル151には、2インチのウエハ3を保持するための保持部IDが「211」〜「214」の保持部20が、計測ID「1」として記憶されている。保持部ファイル151には、2枚目の2インチのウエハ3を保持するための保持部IDが「221」〜「224」の保持部20が、計測ID「2」として記憶されている。同様に3枚目から5枚目までの保持部IDが記憶されている。
【0099】
保持部ファイル151には、3インチのウエハ3を保持するための保持部IDが「311」〜「314」の保持部20が、計測ID「6」として記憶されている。同様にもう1枚のウエハ3を保持するための保持部20の保持部IDが記憶されている。CPU11は組み合わせID及び保持部IDを参照し、対応する保持部20を作動させる。
【0100】
図23は保持部20の作動処理の手順を示すフローチャートである。CPU11は記憶部15から組み合わせ入力画面147を読み出す(ステップS211)。CPU11はチェックボックス145に対する入力部13からのクリックを受け付けることにより、組み合わせの選択を受け付ける(ステップS212)。CPU11はチェックボックス145の選択と、OKボタン146の入力とを受け付けることにより、複数の異なるサイズ及び各サイズの枚数を受け付ける(ステップS213)。
【0101】
CPU11は受け付けた組み合わせに対応する組み合わせIDに基づき、保持部ファイル151から、対応する保持部IDを読み出す(ステップS214)。CPU11はオン状態の情報を出力することにより、読み出した保持部IDに対応する保持部20を作動させる(ステップS215)。CPU11は入力部13から組み合わせIDの計測IDに対応する装置ID及び位置IDを受け付ける(ステップS216)。なお、組み合わせIDの計測IDに対応する装置ID及び位置IDの入力を容易にすべく、CPU11は、表示部14に選択された組み合わせIDの計測IDと、計測ID毎に装置ID及び位置IDを入力するための画面を表示しても良い。この場合、CPU11は、記憶部15に記憶した画面を読み出して表示し、計測ID毎に入力された装置ID及び位置IDを受け付ける。CPU11は計測IDに対応付けて装置ID及び位置IDを結果ファイル152に記憶する(ステップS217)。異なる成膜装置70にてそれぞれ成膜される場合もあることから、例えば、2インチのウエハ3に対しては装置ID「A」、3インチのウエハ3に対しては装置ID「B」を記憶する。なお、本実施形態においては、装置IDを入力する例を挙げて説明するが、予め記憶部15にウエハ3のサイズに対応する装置IDを記憶しておいても良い。
【0102】
図24は実施の形態4に係る結果ファイル152のレコードレイアウトを示す説明図である。結果ファイル152は装置IDフィールド、位置IDフィールド、計測IDフィールド、座標フィールド、膜厚フィールド及び光学定数フィールド等を含む。装置IDフィールド及び位置IDフィールドには、計測IDに対応付けて入力部13から入力された装置ID及び位置IDが記憶されている。図22及び図24の例(一部図示せず)では、2インチのウエハ3の5枚は、装置IDが「A」である。また位置ID「1」と計測ID「1」、位置ID「2」と計測ID「2」、位置ID「3」と計測ID「3」、位置ID「4」と計測ID「4」、位置ID「5」と計測ID「5」が記憶されている。一方、3インチのウエハ3の2枚は、装置IDが「B」である。また位置ID「1」と計測ID「6」、位置ID「2」と計測ID「7」が記憶されている。
【0103】
CPU11はステージに載置された各ウエハ3に対し計測を行い、装置ID、位置ID、計測ID及び座標に対応付けて膜厚及び光学定数を結果ファイル152に記憶する。
【0104】
図25は結果表示イメージを示す説明図である。CPU11は結果ファイル152の計測結果に基づき、計測結果を表示画面に記述する。表示画面は第1表示部141及び第2表示部142を含む。図25の第1表示部141には装置ID「A」に対する表示結果を表示している。CPU11は、結果ファイル152に記憶した装置ID、位置ID、計測ID、座標、膜厚及び光学定数を読み出し、第2表示部142に記述する。画像ファイル155には成膜装置70A、及び、成膜装置70Bのウエハ3の配置状態を示す画像データが実施の形態1と同様に記憶されている。
【0105】
CPU11は装置IDに対応する画像データを画像ファイル155から読み出し、第1表示部141に表示する。CPU11は結果ファイル152を参照し、装置ID、位置ID及び計測IDに対応する各座標の膜厚を読み出す。CPU11は画像ファイル155から位置IDに対応する描画位置情報を読み出す。CPU11は描画位置情報で特定されるウエハ3を模式的に示す円内に、読み出した各座標の膜厚の色変化を表示する。CPU11は位置ID及び描画位置情報を参照し、色表示した膜厚に関連付けて、対応する計測ID、装置ID及び位置IDを表示する。
【0106】
図25の例では、装置ID「A」、位置ID「1」、計測ID「1」で特定される2インチのウエハ3の膜厚に係る濃淡、及び、装置ID「A」、位置ID「2」、計測ID「2」で特定される2インチのウエハ3の膜厚に係る濃淡が表示されている。
【0107】
図26は他の成膜装置70に係る結果表示イメージを示す説明図である。CPU11は結果ファイル152の計測結果に基づき、計測結果を表示画面に記述する。表示画面は第1表示部141及び第2表示部142を含む。図26の第1表示部141には装置ID「A」に対する表示結果を表示している。CPU11は、結果ファイル152に記憶した装置ID、位置ID、計測ID、座標、膜厚及び光学定数を読み出し、第2表示部142に記述する。
【0108】
CPU11は装置IDに対応する画像データを画像ファイル155から読み出し、第1表示部141に表示する。CPU11は結果ファイル152を参照し、装置ID、位置ID及び計測IDに対応する各座標の膜厚を読み出す。CPU11は画像ファイル155から位置IDに対応する描画位置情報を読み出す。CPU11は描画位置情報で特定されるウエハ3を模式的に示す円内に、読み出した各座標の膜厚の色変化を表示する。
【0109】
CPU11は位置ID及び描画位置情報を参照し、色表示した膜厚に関連付けて、対応する計測ID、装置ID及び位置IDを表示する。図26の例では、装置ID「B」、位置ID「1」、計測ID「6」で特定される3インチのウエハ3の膜厚に係る濃淡、及び、装置ID「B」、位置ID「2」、計測ID「7」で特定されるウエハ3の膜厚に係る濃淡が表示されている。
【0110】
図27は結果表示の処理手順を示すフローチャートである。CPU11はステップS214における組み合わせIDに対応する計測IDを保持部ファイル151から読み出す(ステップS241)。CPU11は計測IDに対応する装置ID及び位置IDを入力部13から受け付ける(ステップS2410)。CPU11は計測IDに対応する装置ID及び位置IDを結果ファイル152に記憶する(ステップS2411)。CPU11は計測IDの計測領域を保持部ファイル151から読み出す(ステップS242)。CPU11は計測領域内で計測を開始する(ステップS243)。CPU11は結果ファイル152に装置ID、位置ID、計測ID、座標、膜厚及び光学定数を記憶する(ステップS244)。CPU11は全ての計測IDに対する処理を終了したか否かを判断する(ステップS245)。
【0111】
CPU11は全ての計測IDに対する処理を終了していないと判断した場合(ステップS245でNO)、処理をステップS242へ戻す。続いて、未計測のウエハ3に対する計測処理を行う。以上の処理を繰り返すことにより異なる成膜装置70A、70Bで成膜された異なるサイズに対する計測処理が実行される。
【0112】
CPU11は全ての計測IDに対する処理を終了したと判断した場合(ステップS245でYES)、表示部14への結果表示を希望する装置IDの入力を受け付ける(ステップS2450)。以降の処理はステップS86以降の処理と同様であるので詳細な説明は省略する。これにより、各成膜装置70で成膜された様々なウエハ3のサイズの組み合わせに対しても迅速に計測を行うことが可能となる。
【0113】
本実施の形態4は以上の如きであり、その他は実施の形態1乃至3と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0114】
実施の形態5
図28は実施の形態5に係る分光エリプソメータ1のハードウェア群を示すブロック図である。記憶部15には保持部ファイル151に代えて載置ファイル154が設けられている。図29はステージ2を示す平面図である。ステージ2上には、異なるサイズのウエハ3を載置する際の目印となるマーク50が記載されている。マーク50は、実線で示すマーク52、点線で示すマーク53、一点鎖線で示すマーク56を含む。マーク52は2インチのウエハ3を載置する際の目印となるものである。図29の例では、計36枚の2インチウエハ3を載置することができる。
【0115】
マーク53は3インチのウエハ3を載置する際の目印となるものである。図29の例では、計16枚のウエハ3を載置することができる。また4つのマーク52により、4インチのウエハ3を載置する際の目印とすることもできる。図29の例では、計9枚のウエハ3を載置することができる。マーク56は6インチのウエハ3を載置する際の目印となるものである。図29の例では、計4枚のウエハ3を載置することができる。なお、マーク56に代えて、9つのマーク52を目印にしても良い。その他、マーク50はウエハ3の形状に合わせて円形のものを表示するようにしても良い。本実施形態においては白黒で示したが、各マーク50をカラーで表示しても良い。またマーク52で囲まれる2インチ用の載置位置に計測ID「1」〜「36」を表示しても良い。同様に、マーク53で囲まれる3インチ用の載置位置に計測ID「1」〜「16」を表示しても良く、マーク56で囲まれる6インチ用の載置位置に計測ID「1」〜「6」を表示しても良い。
【0116】
図30は載置ファイル154のレコードレイアウトを示す説明図である。載置ファイル154は、ウエハサイズフィールド、計測IDフィールド、中心座標フィールド及び計測領域フィールドを含む。載置ファイル154はウエハ3のサイズに対応づけて計測IDを記憶している。中心座標フィールドには計測対象として載置されたウエハ3の中心座標が、計測IDに対応付けて載置位置として記憶されている。また、計測領域フィールドには、計測対象のウエハ3を測定する領域が載置位置として記憶されている。例えば計測領域には中心座標を中心として測定すべき半径、または、複数の座標が記憶されている。CPU11は載置ファイル154の中心座標及び計測領域を参照し、計測を行う。CPU11は計測後図6に示す表示画面を、表示部14に表示する。
【0117】
図31は計測処理の手順を示すフローチャートである。CPU11は入力部13からサイズの入力を受け付ける(ステップS250)。ユーザは、入力したサイズに対応するマーク50を参照し、複数のウエハ3をステージ2に載置する。CPU11は入力されたサイズに対応する計測IDを載置ファイル154から読み出す(ステップS251)。CPU11は計測IDに対応する装置ID及び位置IDの入力を入力部13から受け付ける(ステップS2511)。CPU11は受け付けた装置ID及び位置IDを、計測IDに対応付けて結果ファイル152に記憶する(ステップS2512)。CPU11は載置ファイル154から計測IDに対応する計測領域を読み出す(ステップS252)。CPU11は読み出した計測領域内で計測を開始する(ステップS253)。なお、測定は中心座標のみであっても良いし、ユーザが入力部13から指定した座標に対して行っても良い。
【0118】
CPU11は計測後、装置ID、位置ID、計測ID、座標、膜厚及び光学定数を対応付けて結果ファイル152に記憶する(ステップS254)。CPU11はステップS251で読み出した全ての計測IDに対する処理を終了したか否かを判断する(ステップS255)。CPU11は全ての計測IDに対して処理を終了していないと判断した場合(ステップS255でNO)、処理をステップS252へ戻し、他の計測IDに係るウエハ3の測定を行う。これにより、計測IDに対応付けて測定結果が結果ファイル152に記憶される。
【0119】
CPU11は全ての計測IDに対する処理が終了したと判断した場合(ステップS255でYES)、ステップS256へ移行する。CPU11は入力部13から表示を希望する装置IDを受け付ける(ステップS256)。以降の表示処理はステップS86以降と同様であるので詳細な説明は省略する。これにより、ステージ2上に複数のウエハ3が載置された場合でも、複数のウエハ3に対する計測結果を成膜装置70別に視認することが可能となる。なお、記憶部15に保持部ファイル151を設け、マーク50の代わりに上述の実施形態で述べた保持部20を作動させても良い。
【0120】
本実施の形態5は以上の如きであり、その他は実施の形態1乃至4と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0121】
実施の形態6
実施の形態6は計測装置としてX線分析装置を用いた例に関する。以下では計測装置をX線分析装置1という。図32は実施の形態6に係るX線分析装置1のハードウェアを示すブロック図である。X線分析装置1は、SEM(Scanning Electron Microscope)とEDS(Energy Dispersive X-ray Spectrometer)とを組み合わせた装置を一例として用いる。X線分析装置1は、上述の実施形態で述べたコンピュータ10、ステージ2上に載置された複数のウエハ3に電子線(放射線ビーム)を照射する電子銃61と、電子線の方向を定める電子線走査コイル62と、電子銃61及び電子線走査コイル62の動作を制御するSEM駆動部65とを備えている。
【0122】
記憶部15には載置ファイル154が記憶されている。図33は載置ファイル154のレコードレイアウトを示す説明図である。載置ファイル154はウエハサイズフィールド、計測IDフィールド及び計測領域フィールド等を含む。ウエハサイズフィールドには計測対象となるウエハ3のサイズが記憶されている。計測IDフィールドには計測IDがウエハサイズに対応付けて記憶されている。本実施形態ではウエハサイズが2インチの場合、ウエハ3を6枚ステージ2に載置することができる。この場合、計測IDは「1」〜「6」である。またウエハサイズが3インチの場合、ウエハ3を4枚ステージ2に載置することができる。この場合、計測IDは「1」〜「4」である。
【0123】
計測領域フィールドにはウエハサイズ及び計測IDに対応付けて、載置位置として各ウエハ3に対する計測領域が記憶されている。具体的にはX線の照射位置を示す座標群が記憶されている。ユーザはステージ2上にウエハ3を載置する。図34はステージ2の平面図である。ステージ2上にはサイズの異なるウエハ3の載置を容易にすべく、マーク50が記されている。図34の例では、2インチ用のウエハ3を6枚載置すべく、6つの円で示すマーク56が実線で記載されている。また、各マーク56の円内には、計測ID「1)〜「6」が記載されている。さらに、3インチ用のウエハ3を4枚載置すべく、4つの円で示すマーク58が点線で記載されている。また、各マーク58の円内には、計測ID「1)〜「4」が記載されている。なお、他のサイズに係る円は説明を容易にするために記載を省略している。本実施形態では、ユーザは、3インチのウエハ3を4枚載置したものとして説明する。また各実施形態において、必ずしも全てのマーク56内にウエハ3を載置する必要はない。ウエハ3を載置しない場合、ユーザは入力部13から載置しない旨の情報とウエハ3を載置していない計測IDを入力する。CPU11は載置しない旨の情報及び計測IDを入力部13から受け付ける。CPU11は載置しない旨の情報を受け付けた場合、入力された計測ID及びウエハサイズを参照し、載置ファイル154から対応する計測領域を読み出す。CPU11は読み出した計測領域については計測を省略する。
【0124】
ユーザは入力部13からウエハ3のサイズを入力する。また各ウエハ3が異なる成膜装置70にて成膜された場合、入力部13から計測IDに対応付けて装置ID及び位置IDを入力する。CPU11はウエハ3のサイズに対応する計測ID及び座標を読み出しSEM駆動部65へ出力する。SEM駆動部65は電子銃61及び電子線走査コイル62を制御し、各座標に対する照射を行う。電子検出器63はウエハ3への照射により発生した反射電子または2次電子を検出し、反射電子または2次電子のカウント数に応じた信号(以下、強度という)をデジタルデータにてCPU11へ出力する。CPU11は装置ID、位置ID、計測ID及び座標に対応付けて強度を結果ファイル152に記憶する。一のウエハ3についての計測を終えた場合、CPU11は他のウエハ3の計測ID及び座標を読み出し、SEM駆動部65へ出力する。これにより、複数のウエハ3に対する計測が実行される。なお、他のウエハ3を計測する場合、電子銃61及び電子線走査コイル62をステージ2に対して移動させても良い。その他、ステージ2を図示しないモータにより移動させても良い。
【0125】
X線分析装置1は、ウエハ3に電子線が照射されることによってウエハ3から発生する特性X線を検出するX線検出器66を備える。X線検出器66はマルチチャネルアナライザ(以下、MCAという)67に接続されている。X線検出器66は、検出素子としてSi素子等の半導体検出素子を用いている。X線検出器66は、検出した特性X線のエネルギーに比例した電流値のパルス電流を発生し、発生したパルス電流をMCA67へ入力する。MCA67は、X線検出器66からのパルス電流を電流値に応じて選別し、各電流値のパルス電流をカウントする。このMCA67の処理により、特性X線のエネルギーとカウント数との関係、即ち特性X線のスペクトルが得られる。
【0126】
MCA67は特性X線のスペクトルをCPU11へ出力する。CPU11は記憶部15に予め記憶されたプログラムに従い、元素の同定及び各元素の含有量の算出を行う。具体的には、元素毎に特性X線の標準データを記録したデータベースを予め記憶部15に記憶しておく。CPU11は、データベース中の特性X線の標準データと、得られた特性X線のスペクトルとを比較し、特性X線のスペクトルに含まれるピークに対応するエネルギー値に基づいて、各粒子に含まれる元素を同定する。またCPU11は、各元素に対応するピークのカウント数に基づいて、各粒子に含有される各元素の含有量を質量%で算出する。CPU11は装置ID、位置ID、計測ID及び座標に対応付けて元素名及び各元素の含有量を結果ファイル152に記憶する。一のウエハ3についての計測を終えた場合、CPU11は他のウエハ3の計測ID及び座標を読み出し、SEM駆動部65へ出力する。他のウエハ3についても同様に、装置ID、位置ID、計測ID及び座標に対応付けて元素名及び各元素の含有量を結果ファイル152に記憶する。
【0127】
図35は結果ファイル152のレコードレイアウトを示す説明図である。結果ファイルは装置IDフィールド、位置IDフィールド、計測IDフィールド、座標フィールド、強度フィールド、元素名フィールド及び各元素の含有量フィールドを含む。装置IDフィールド及び位置IDフィールドには、計測対象となる各ウエハ3の計測IDに対応付けて成膜装置70の装置ID及び当該成膜装置70における対応ウエハ3の配置位置を示す位置IDが記憶されている。計測IDフィールドには計測対象となった計測IDが装置ID及び位置IDに対応付けて記憶され、座標フィールドには計測IDに対応付けて計測した座標が記憶されている。強度フィールドには、計測ID及び座標に対応付けて強度が記憶されている。元素名フィールドには、計測ID及び座標に対応付けて当該座標に存在する元素名が記憶されている。各元素の含有量フィールドには、計測ID及び座標に対応付けて各元素の含有量が記憶されている。なお、元素量フィールドの単位は%である。
【0128】
CPU11は計測終了後、結果ファイル152の記憶内容に基づき、表示部14に各ウエハ3の計測結果を表示する。図36は結果表示イメージを示す説明図である。CPU11は結果ファイル152の計測結果に基づき、計測結果を表示画面に記述する。表示画面は第1表示部141及び第2表示部142を含む。図36の第1表示部141には装置ID「A」に対する表示結果を表示している。CPU11は、結果ファイル152に記憶した装置ID、位置ID、計測ID、座標、膜厚及び光学定数を読み出し、第2表示部142に記述する。
【0129】
CPU11は装置IDに対応する画像データを画像ファイル155から読み出し、第1表示部141に表示する。CPU11は結果ファイル152を参照し、装置ID、位置ID及び計測IDに対応する各座標の膜厚を読み出す。CPU11は画像ファイル155から位置IDに対応する描画位置情報を読み出す。CPU11は描画位置情報で特定されるウエハ3を模式的に示す円内に、読み出した各座標の膜厚の色変化を表示する。CPU11は位置ID及び描画位置情報を参照し、色表示した膜厚に関連付けて、対応する計測ID、装置ID及び位置IDを表示する。
【0130】
図36の例では、装置ID「A」、位置ID「1」、計測ID「1」で特定されるウエハ3の膜厚に係る濃淡、及び、装置ID「A」、位置ID「2」、計測ID「2」で特定されるウエハ3の膜厚に係る濃淡が表示されている。
【0131】
図37は他の成膜装置70に係る結果表示イメージを示す説明図である。図37の第1表示部141には装置ID「B」に対する表示結果を表示している。CPU11は、結果ファイル152に記憶した装置ID、位置ID、計測ID、座標、膜厚及び光学定数を読み出し、第2表示部142に記述する。図37の例では、装置ID「B」、位置ID「3」、計測ID「3」で特定されるウエハ3の膜厚に係る濃淡、及び、装置ID「B」、位置ID「4」、計測ID「4」で特定されるウエハ3の膜厚に係る濃淡が表示されている。
【0132】
図38及び図39は計測処理の手順を示すフローチャートである。CPU11はウエハ3のサイズを入力部13から受け付ける(ステップS311)。CPU11は載置ファイル154から受け付けたウエハ3のサイズに対応する計測ID及び座標を読み出す(ステップS312)。CPU11は入力部13から計測IDに対応する装置ID及び位置IDの入力を受け付ける(ステップS3121)。CPU11は結果ファイル152に装置ID及び位置IDを、計測IDに対応付けて記憶する(ステップS3122)。CPU11は計測ID及び座標をSEM駆動部65へ出力する(ステップS313)。CPU11はSEM駆動部65、電子検出器63、X線検出器66及びMCA67を同期させ、計測を開始する(ステップS314)。CPU11は計測IDが「1」のものから順番に計測を行う。
【0133】
CPU11は電子検出器63から出力される強度に基づき、装置ID、位置ID、計測ID及び座標に対応付けて強度を、結果ファイル152に記憶する(ステップS315)。CPU11はMCA67から出力される特性X線スペクトルを、装置ID、位置ID、計測ID及び座標に対応付けてRAM12に記憶する(ステップS316)。CPU11は特性X線スペクトルに基づき、元素名及び元素の含有量を算出する(ステップS317)。CPU11は装置ID、位置ID、計測ID及び座標に対応付けて元素名及び元素の含有量を結果ファイル152に記憶する(ステップS318)。以上の処理を計測領域である座標群に対して繰り返し行うことにより、一のウエハ3に対する処理が終了する。
【0134】
CPU11は全ての計測IDに対して上述して計測処理を終了したか否かを判断する(ステップS319)。CPU11は全ての計測IDに対して計測処理を終了していないと判断した場合(ステップS319でNO)、処理をステップS311へ戻す。CPU11は未計測の計測ID及び座標を読み出し、以上の処理を繰り返し実行する。CPU11は全ての計測IDに対し計測処理を終了したと判断した場合(ステップS319でYES)、ステップS321へ移行する。CPU11は入力部13から表示を希望する装置IDの入力を受け付ける(ステップS321)。以降の処理はステップS86以降と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0135】
本実施の形態6は以上の如きであり、その他は実施の形態1乃至5と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0136】
実施の形態7
実施の形態7はフォトルミネッセンスを用いた計測装置に関する。図40は実施の形態7に係る計測装置のハードウェアを示すブロック図である。上述した実施の形態で述べた構成の他、光源71、分光器72、CCD(Charge-Coupled Device)検出器73、ミラー75及びビームスプリッタ76等を含む。光源71は所定のピッチで、励起光または照射光パルスを発射する。照射光パルスはミラー75及びビームスプリッタ76を介してステージ2上のウエハ3に照射される。
【0137】
ステージ2上に載置される複数のウエハ3は保持部20(図示せず)により保持される。本実施の形態では、実施の形態2等で述べた吸引制御部16による吸引により、ウエハ3を保持する例を挙げて説明する。ステージ2上には他の実施の形態で述べた如くマーク50が記されている。ユーザはサイズに応じて記されたマーク50を参照し、ウエハ3をステージ2上に載置する。ユーザは入力部13からウエハ3のサイズを入力する。CPU11は入力されたサイズを受け付ける。
【0138】
CPU11は保持部ファイル151を参照し、サイズに対応する保持部IDを吸引制御部16へ出力する。図41は実施の形態7に係る保持部ファイル151のレコードレイアウトを示す説明図である。保持部ファイル151は保持部IDフィールド、ウエハサイズフィールド、及び計測IDフィールド等を含む。ウエハサイズフィールドには、ウエハ3のサイズが記憶されている。計測IDフィールドにはウエハサイズに対応する計測IDが記憶されている。保持部IDフィールドには、ウエハ3のサイズに対応付けて作動する保持部20を特定するための保持部IDが記憶されている。吸引制御部16は出力された保持部IDを参照し、保持部IDに対応する保持部20により、ウエハ3を吸引する。
【0139】
載置ファイル154には、実施の形態6で述べた如く、ウエハサイズに対応付けて計測ID及び載置位置としての計測領域の座標が記憶されている。CPU11は載置ファイル154の計測IDに対応する計測領域の座標を参照し、ステージ2を移動させ、各ウエハ3の計測を行う。モータ制御機9はCPU11の指示のもと、モータMを制御し、ステージ2を平面方向へ移動させる。なおステージ2の移動は、平面視において縦方向、または、横方向に限るものではない。ステージ2をステージ2の下部に設けられるターンテーブル(図示せず)により回転させても良い。ウエハ3にて反射した反射光は、ビームスプリッタ76により反射され、分光器72へ入射する。分光器72により分光された光はCCD検出器73へ入射する。CCD検出器73は発光強度に応じた信号をCPU11へ出力する。CPU11はスペクトル信号がCCD検出器73から出力された場合、計測ID、座標及びスペクトルを対応付けて結果ファイル152に記憶する。すなわちCPU11は、所定の波長(ピーク)をモニタし、その波長を持つCCD検出器73上のピクセルを特定する。そしてCPU11は特定したピクセルを識別可能な状態で、画面上に2次元表示する。これによりウエハ3の特性を2次元的に評価することができる。各ウエハ3に対する計測結果の表示処理は上述した実施形態で述べたとおりであるので詳細な説明は省略する。なお、本実施形態においては、フォトルミネッセンス測定の場合を例として挙げたが、ラマン散乱光の測定を行っても良い。
【0140】
本実施の形態7は以上の如きであり、その他は実施の形態1乃至5と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0141】
1 分光エリプソメータ
2 ステージ
3 ウエハ
5 光取得器
6 レール
7 分光器
8 データ取込機
9 モータ制御機
10 コンピュータ
11 CPU
13 入力部
14 表示部
15 記憶部
16 昇降制御部、吸引制御部
20、26、28 保持部
21 第1保持部
22 第2保持部
23 昇降機構
24 開口部
31 吸引管
32 吸引部
36、38 昇降装置
37、376、378 LED
50、56、58 マーク
61 電子銃
62 電子線走査コイル
63 電子検出器
65 SEM制御部
66 X線検出器
67 MCA
70 成膜装置
71 光源
72 分光器
73 CCD検出器
75 ミラー
76 ビームスプリッタ
80 キセノンランプ
81 光照射器
141 第1表示部
142 第2表示部
143 膜厚ボタン
144 光学定数ボタン
145 チェックボックス
146 OKボタン
147 組み合わせ入力画面
151 保持部ファイル
152 結果ファイル
153 組み合わせファイル
154 載置ファイル
155 画像ファイル
366、368 昇降ステージ
371 LED制御部
M1〜M6 第1モータ〜第6モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料台上に載置される複数の試料の特性を計測する計測装置において、
複数の試料に対する試料台上の載置位置と、各試料を特定するための試料識別情報とを対応付けて記憶した記憶部と、
前記記憶部に記憶した試料に対する載置位置を参照して複数の試料を計測する計測部と、
該計測部による計測結果を各試料に対応する試料識別情報に対応付けて記憶する記憶処理部と、
前記記憶処理部により記憶した各試料の計測結果と、該計測結果に対応する試料識別情報とを対応付けて表示部に表示する表示処理部と
を備える計測装置。
【請求項2】
試料の寸法を受け付ける受け付け部を備え、
前記記憶部は、
寸法毎に複数の試料に対する試料台上の載置位置と、寸法毎に各試料を特定するための試料識別情報とを対応付けて記憶しており、
前記計測部は、
前記受け付け部により受け付けた試料の寸法に対応する各試料の載置位置を参照し、複数の試料を計測する
請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記試料を保持すべく作動する保持部と、
試料の複数の寸法毎に前記保持部を特定するための保持部識別情報を記憶した記憶部から、前記受け付け部により受け付けた寸法に対応する保持部識別情報を読み出す読み出し部と、
複数の保持部の内、前記読み出し部により読み出された保持部識別情報に対応する保持部を作動させる情報を出力する出力部と
を備える請求項1または2に記載の計測装置。
【請求項4】
試料台上に載置される複数の試料の特性を計測装置により計測する計測方法において、
複数の試料に対する試料台上の載置位置と、各試料を特定するための試料識別情報とを対応付けて記憶した記憶部に記憶した試料に対する載置位置を参照して、複数の試料を計測し、
計測結果を各試料に対応する試料識別情報に対応付けて前記記憶部に記憶し、
記憶した各試料の計測結果と、該計測結果に対応する試料識別情報とを対応付けて表示部に表示する
計測方法。
【請求項5】
試料台上に載置される複数の試料の特性を計測する計測装置において、
試料の寸法を受け付ける受け付け部と、
前記試料を保持すべく作動する複数の保持部と、
試料の複数の寸法毎に保持部を特定するための保持部識別情報を記憶した記憶部から、前記受け付け部により受け付けた寸法に対応する保持部識別情報を読み出す読み出し部と、
複数の保持部の内、前記読み出し部により読み出された保持部識別情報に対応する保持部を作動させる情報を出力する出力部と
を備える計測装置。
【請求項6】
前記記憶部は、
試料の複数の寸法毎に保持部識別情報と、寸法毎に各試料を特定するための試料識別情報とを記憶しており、
前記保持部により保持された複数の試料を計測する計測部と、
該計測部による各試料の計測結果を試料識別情報と共に記憶する記憶処理部と
を備える請求項5に記載の計測装置。
【請求項7】
前記記憶処理部により記憶した各試料の計測結果と、該計測結果に対応する試料識別情報とを対応付けて表示部に表示する表示処理部
を備える請求項6に記載の計測装置。
【請求項8】
前記受け付け部は、
複数の異なる寸法を受け付け、
前記読み出し部は、
前記受け付け部により受け付けた複数の異なる寸法に応じて保持部識別情報を記憶した記憶部から、前記受け付け部により受け付けた複数の異なる寸法に対応する保持部識別情報を読み出す
請求項5から7のいずれか一つに記載の計測装置。
【請求項9】
試料台上に載置される複数の試料の特性を計測装置により計測する計測方法において、
試料の寸法を入力部から受け付け、
試料の複数の寸法毎に、前記試料を保持すべく作動する複数の保持部を特定するための保持部識別情報を記憶した記憶部から、受け付けた寸法に対応する保持部識別情報を読み出し、
複数の保持部の内、読み出された保持部識別情報に対応する保持部を作動させる
計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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