説明

計測選別装置

【課題】従来の計測選別装置では、トレイと排出手段とが接触状態で相対的に移動して、次々と乗り換えなければならなかった点を解決して、処理速度を上げ、また衝撃音の発生を防止する。
【解決手段】多数の被選別体Sの計測値を計測する計測器と被選別体Sを載置するトレイTを備えた循環コンベアCと計測器から発信された信号に基づいて処理信号を出力する制御部とを備え、コンベア側部に計量別の収納部を配置し、各収納部に対応した位置に排出手段を設けた計測選別装置において、コンベアCに固着されたトレイTは受け皿3を備え、突き上げ作動杆8の上部には受け皿を支持する作動板5、突き上げ作動杆8の下部には係止板13が設けられており、係止板13を回動させ係合を外すソレノイド19が係止板13の下方に取り付けられた排出手段を構成する計測選別装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の物品、例えば果実、農産物あるいは水産物をそれらの重量、形状、糖度計を敷設した計測値に応じて等級分けするようにした計測選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の被選別体の重量を測定する重量計と被選別体を載置するトレイを備えたコンベアと前記重量計から発信された信号に基づいて処理信号を出力する制御部とを備えた重量選別装置は、従来より知られている。(例えば特許文献1参照)
【0003】
この装置を図5および図6により説明すると、多数の被選別体Sの全体重量を測定するとともに物品の取り上げ前後の重量変化に基づいて取り上げた物品の重量を算出する重量計02と、この重量計02から取り上げた物品を載せるトレイ04を備えたコンベア01と、このコンベア01によりトレイ04に載せられたまま移動する物品の形態を検出する画像処理部03と、上記重量計02から供給されるデータに基づいて各トレイ04毎に被選別体の等級を判断するとともに等級に応じて処理信号を出力する制御部(図示せず)とから構成され、重量計02は多数の物品の個々の重量を計量し、計量データを制御部に入力し、制御部からの信号に対応して、コンベア01上の特定のトレイ04が収納部側へ倒れることにより、トレイ04上に載置されている被選別体Sが、スロープ05を通過した後、その重量に応じた所定の収納部へ収納されるように作動するようになっている。
【0004】
搬送状態にあるトレイ04は、図6に示すように、支点Pを支点としてローラ08を介してスライダー07と接触することにより倒れないように支持されている。
選択した被選別体を排出するには、ソレノイド06を作動させ、スライダー07を引き込むことにより、ローラ08との接触と解除してトレイ04を転倒させる。
【0005】
そのためには、排出させる部分以外のトレイ04のローラ08は、走行状態において各スライダー07と常に接触していなければならないため、ローラ08を次々と乗り換えなければならない。
したがって、ローラ08とスライダー07とが接触状態にあり、かつ、各スライダー07の継ぎ目を通過する時に振動が発生するために、コンベアの速度を上げることができない。
【0006】
また、トレイ04を転倒させるために、重心Gを支点Pよりトレイの先端位置としなければならないために、片持ち状態で突き出して支持されるので、トレイが撓み被選別体が落下する危険性がある。
【特許文献1】特開2000−117198号公報
【0007】
他の従来例を図7、図8に示す。
前記の従来例と同様に、コンベア001上の特定のトレイ004が収納部側へ倒れることにより、トレイ004上に載置されている被選別体Sが、その重量に応じた所定の収納部005へ収納されるように作動するようになっている。
【0008】
選択した被選別体Sを排出するには、ソレノイド006を作動させ、支点Pに設けられているスプリングに抗して支持板007を支点Pを支点として回動させることにより、トレイ004の底板を下方に傾動させて被選別体Sを排出する。
【0009】
支持板007は、T字形をしており、前記の従来例のスライダー07と同様にトレイ004と接触状態で相対的に移動するので、トレイ004が、各支持板007の継ぎ目を通過する時に振動が発生するために、コンベアの速度を上げることができなかった。
したがって、処理速度は、1時間当たりの3000〜6000個であった。
また、元の位置に復帰させるのは、スプリングの復帰作用によっているため、衝撃音が発生した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記した従来の計測選別装置では、トレイと排出手段とが接触状態で相対的に移動して、次々と乗り換えなければならなかった点を解決して、処理速度を上げることを課題としている。
また、衝撃音の発生を防止することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記の課題を解決するために、計測選別装置として、多数の被選別体の計測値を計測する計測器と被選別体を載置するトレイを備えた循環コンベアと前記重量計から発信された信号に基づいて処理信号を出力する制御部とを備え、コンベア側部に計測値別の収納部を配置し、各収納部に対応した位置に排出手段を設けた計測選別装置において、コンベアに固着されたトレイは、被選別体を支持し回動自在に支持された受け皿を備え、該受け皿の裏面にはヒンジを介して作動板が取り付けられており、作動板は、突き上げ作動杆を備え、該突き上げ作動杆の基端部を支持する係止板が、コンベアに固着されたブラケットに回動自在に支持されて設けられており、該係止板を突き上げて回動させ、突き上げ作動杆の基端部と係止板との係合を外すソレノイドが係止板の下方にフレームに固着されて設けられていることにより排出手段を構成していることを特徴とする計測選別装置を採用する。
【0012】
前記係止板13は、その後端部が屈曲された前記突き上げ作動杆8の基端部9の受け部材14に形成され、ヒンジ11を介して前記係止板13と阻止板12とが回動自在に支持されている計測選別装置を採用する。
【0013】
前記突き上げ作動杆8の基端部9方向である被選別体Sの荷重方向に対して前記ヒンジ11は前記ブラケット1側に設けられている計測選別装置を採用する。
【0014】
前記排出手段は、前記ソレノイド19が前記係止板13を突き上げて回動させ、前記突き上げ作動杆8の基端部9が前記ヒンジ11の中心点より前記ブラケット1の窓20側に移動し、前記突き上げ作動杆8の基端部9と前記係止板13との係合を外す計測選別装置を採用する。
【0015】
前記の計測選別装置に、さらに、係止板の前方下部に、ねじ部材により取着され係止板の回動作用を助ける重り底板を具え、該ねじ部材の先端は、係止板から突出しており、その突出長さを調節することにより、突き上げ作動杆との接触状態を変えて作動状態を調整する構成とされている計測選別装置を採用する。
【0016】
さらに、係止板の後端部に突き上げ作動杆の基端部の曲率半径に対応した屈曲部を設けたことを計測選別装置を採用する。
【発明の効果】
【0017】
図5及び図6に示す従来例では、ローラ08とスライダー07とが接触状態で相対的に移動するように構成され、図7に示す従来例では、トレイ004が支持板007と接触状態で相対的に移動するように構成されているので、スライダー07、支持板007が、ローラ08、支持板007を次々と乗り換えなければならず、継ぎ目を通過する時に振動が発生するために、コンベアの速度を上げることができなかった。
【0018】
これに対して、本願発明においては、被選別体(S)を支持する受け板を回動させる手段が全てトレイ(T)側に設けられ、接触状態で相対的に移動することがないので、1時間当たりの3000〜6000個であった処理速度を11000〜13000個にすることができる。
【0019】
本願発明は、被選別体(S)を支持する受け皿(3)が、支持板(7)により支持されているので、不安定な状態で支持されている従来例のものと比較して、大きな被選別体を支承することができ、カボチャ等の重量物の選別も可能である。
【0020】
本願発明は、また、従来の装置のように受け皿を直ちに復帰させる必要がないので、走行速度を上げ選別操作を迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明について、実施例を挙げて図面を参照して説明する。
搬送処理装置は、図1及び図2に示すように、チェン(C)にトレイ(T)が多数連結されたチェンコンベアを本体部分とするものである。
【0022】
チェンコンベアは、図2に示すように、両端部を旋回部分として循環するように構成されており、トレイ(T)がチェン(C)の片側に10〜20個等間隔で連結されている。
一端に設けた計測器(図示せず)により被選別体(S)を計測し、計測データを制御装置(図示せず)へ出力する。
計測の終了した被選別体(S)は、循環するトレイ(T)に次々と乗せられて移動し、制御装置からの信号により計測量に応じて所定の収納部(図示せず)に排出されることにより選別されるように構成されている。
【0023】
トレイ(T)の被選別体支持及び排出手段の構成は、図3及び図4に示すとおりである。
チェン(C)には、所定の間隔を置いて複数のブラケット(1)が前面に取り付けられている。
ブラケット(1)の上部前面には、トレイ(T)の基板(2)がチェン(C)に略垂直に取り付けられている。
【0024】
基板(2)下端部には、被選別体(S)を支持する受け皿(3)が、ヒンジ(4)を介して回動自在に支持されている。
受け皿(3)の裏面には、作動板(5)が、ヒンジ(6)を介して回動自在に取り付けられている。
作動板(5)は、ヒンジ(6)部分から屈曲しており、前部を受け皿(3)と接触する支持板(7)とし、その表面にはフエルト、スポンジ等からなる緩衝材(R1)が貼着されており、後部を突き上げ作動杆(8)に構成している。
突き上げ作動杆(8)の先端部には、断面円形の基端部(9)が設けられ、作動杆(8)の中間部分には、ブラケット(1)に当接するL型ストッパー(10)が設けられている。
【0025】
ブラケット(1)の下部前面には、ヒンジ(11)を介して阻止板(12)と係止板(13)とが回動自在に支持されている。
係止板(13)の後端部は屈曲されており、突き上げ作動杆(8)の基端部(9)の受け部材(14)となっている。係止板(13)の後端部の受け部材(14)は、ヒンジ(11)の中心点より阻止板(12)側にあり、突き上げ作動杆(8)の基端部(9)方向である被選別体(S)の荷重方向に対してヒンジ(11)は前記ブラケット(1)側に設けられているので、被選別体(S)の荷重を阻止板(12)で受け止めているため、振動等により突き上げ作動杆(8)が係止板(13)から滑脱しないようになっており、トレイ(T)は回動することなくコンベアに搬送される。
【0026】
該受け部材(14)の屈曲角度と突き上げ作動杆(8)の基端部(9)の曲率半径は、適宜選択することにより、被選別体(S)の大きさ及び重さの変化に対応することができる。また突き上げ作動杆(8)の基端部(9)を円形にすることにより、係止板(13)と受け部材(14)にかかる被選別体(S)の重量負荷を回転運動に代えて摩擦を減少させ、ヒンジ(11)の中心点よりブラケット(1)側にスムースに移動させる。
【0027】
係止板(13)の前方下部にはねじ部材(15)により底板(16)が取着されている。
ねじ部材(15)の先端は、係止板(13)から突出しており、その突出長さを調節することにより、突き上げ作動杆(8)をブラケット(1)側に押し込む作用をなし、突き上げ作動杆(8)との接触状態を変えて作動状態を調整することができる。
【0028】
計測選別装置のフレーム(17)には、各収納部に対応する位置に作動ローラ(18)を備えたソレノイド(19)が設けられており、該作動ローラ(18)は、底板(16)を突き上げる作用をする。
底板(16)は、係止板(13)の回動作用を付勢する重り及びソレノイド(19)の作動ローラ(18)を受ける作用をする。
【0029】
阻止板(12)は、一端を係止板(13)とは所定の角度をもって取り付けられており、他端をブラケット(1)と接触して係止板(13)を所定の位置に維持する作用をする。
ブラケット(1)の係止板(13)との接触部分には、フエルト、スポンジ等からなる緩衝材(R2)が貼着されている。
【0030】
ブラケット(1)の中間部分には、作動時に突き上げ作動杆(8)が突出することができる窓(20)が開口している。
【0031】
つぎに、計測選別装置の作動状態を説明する。
循環するトレイ(T)に乗せられた被選別体(S)が、その計測量に応じて所定の収納部の前に到達すると、制御装置からの信号によりソレノイド(19)が作動する。
図4に示すように、ソレノイドの作動ローラ(18)により底板(16)を突き上げると、ねじ部材(15)の先端が突き上げ作動杆(8)を押し上げ、底板(16)を上方へ突き上げて係止板(13)がヒンジ(11)の周りに回動することにより、突き上げ作動杆(8)の基端部(9)がヒンジ(11)の中心点よりブラケット(1)の窓(20)側に移動し、突き上げ作動杆(8)の基端部(9)が、係止板(13)の受け部材(14)から外れ、被選別体(S)を支持する受け皿(3)が下方に回動して被選別体(S)を所定の収納部に排出する。
【0032】
受け皿(3)は、直ぐには上方に復帰させず下方に回動したままで走行し、コンベアの折り返し部に設けられている作動杆復帰手段(21)(図2)により突き上げ作動杆(8)を押し上げることにより復帰させる。
このように、受け皿(3)を回動させる手段が全てトレイ(T)側に設けられているので、従来の装置のように受け皿(3)を直ちに復帰させる必要がないので、走行速度を上げ選別操作を迅速に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本願発明は、多数の物品、例えば果実、その他の農産物あるいは水産物をそれらの計測値、例えば重量、形状、品質(糖度)に応じて等級分けするようにした計測選別装置として利用する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本願発明の計測選別装置の正面図である。
【図2】本願発明の計測選別装置の平面図である。
【図3】本願発明の計測選別装置の被選別体を支持している状態の側面図である。
【図4】本願発明の計測選別装置の被選別体を排出している状態の側面図である。
【図5】従来の計測選別装置の全体図である。
【図6】従来の計測選別装置の排出状態図である。
【図7】他の従来の計測選別装置の排出状態図である。
【図8】他の従来の計測選別装置の側面図である。
【符号の説明】
【0035】
S 被選別体
C チェン
T トレイ
1 ブラケット
2 基板
3 受け皿
4 ヒンジ
5 作動板
6 ヒンジ
7 支持板
8 突き上げ作動杆
9 基端部
10 ストッパー
11 ヒンジ
12 阻止板
13 係止板
14 受け部材
15 ねじ部材
16 底板
17 フレーム
18 作動ローラ
19 ソレノイド
20 窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の被選別体Sの計測値を計測する計測器と被選別体Sを載置するトレイTを備えた循環コンベアCと前記計測器から発信された信号に基づいて処理信号を出力する制御部とを備え、前記コンベア側部に計測値別の収納部を配置し、各収納部に対応した位置に排出手段を設けた計測選別装置において、
前記コンベアCに固着されたトレイTは、被選別体Sを支持し回動自在に支持された受け皿3を備え、該受け皿3の裏面にはヒンジ4を介して作動板5が取り付けられており、
該作動板5は、突き上げ作動杆8を備え、該突き上げ作動杆8の基端部9を支持する係止板13が、前記コンベアCに取り付けられたブラケット1に回動自在に支持されて設けられており、
前記係止板13を突き上げて回動させ、前記突き上げ作動杆8の基端部9と前記係止板13との係合を外すソレノイド19が前記係止板13の下方にフレーム17に取り付けられて設けられていることにより排出手段を構成していることを特徴とする計測選別装置。
【請求項2】
前記係止板13は、その後端部が屈曲された前記突き上げ作動杆8の基端部9の受け部材14に形成され、ヒンジ11を介して前記係止板13と阻止板12とが回動自在に支持されていることを特徴とする請求項1記載の計測選別装置。
【請求項3】
前記突き上げ作動杆8の基端部9方向である被選別体Sの荷重方向に対して前記ヒンジ11は前記ブラケット1側に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の計測選別装置。
【請求項4】
前記排出手段は、前記ソレノイド19が前記係止板13を突き上げて回動させ、前記突き上げ作動杆8の基端部9が前記ヒンジ11の中心点より前記ブラケット1の窓20側に移動し、前記突き上げ作動杆8の基端部9と前記係止板13との係合を外すことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の計測選別装置。
【請求項5】
前記係止板13の前方下部に、ねじ部材15により取着され前記係止板13の回動作用を付勢する重り底板16を備え、前記ねじ部材15の先端は、前記係止板13から突出しており、その突出長さを調節することにより、前記突き上げ作動杆8との接触状態を変更して作動状態を調整する構成とされていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の計測選別装置。
【請求項6】
前記係止板13の後端部に前記突き上げ作動杆8の基端部9の曲率半径に対応した屈曲された受け部材14を設けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の計測選別装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−18233(P2009−18233A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−181362(P2007−181362)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(502319682)株式会社エトバス (4)
【Fターム(参考)】