計量キャップ及び計量キャップの製造方法
【課題】計量用の表示の視認性が良く、製造性に優れた計量キャップ及び計量キャップの製造方法を提供する。
【解決手段】キャップ本体41を裏返しにした状態でライン上に配置し、このキャップ本体41の計量部にシュリンクフィルム81を遊嵌して、各レベル線91〜93が設けられたシュリンクフィルム81で計量部54を包囲する。シュリンクフィルム81を、その下縁94が計量部54とキャップ本体41の周壁42とを連設する連設面61に当接した状態で支持し、計量部54に対するシュリンクフィルム81の位置を定める。シュリンクフィルム81が設けられたキャップ本体41をシュリンクトンネルを通過させ、計量部54を包囲したシュリンクフィルム81を加熱して縮径し、計量部54の外周部に固定する。
【解決手段】キャップ本体41を裏返しにした状態でライン上に配置し、このキャップ本体41の計量部にシュリンクフィルム81を遊嵌して、各レベル線91〜93が設けられたシュリンクフィルム81で計量部54を包囲する。シュリンクフィルム81を、その下縁94が計量部54とキャップ本体41の周壁42とを連設する連設面61に当接した状態で支持し、計量部54に対するシュリンクフィルム81の位置を定める。シュリンクフィルム81が設けられたキャップ本体41をシュリンクトンネルを通過させ、計量部54を包囲したシュリンクフィルム81を加熱して縮径し、計量部54の外周部に固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量を行うことができる計量キャップ及び計量キャップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗剤等の容器には、計量キャップが設けられている。
【0003】
この計量キャップとしては、容器体の口部に外嵌するキャップ本体の周壁の内側に、有底円筒状の計量部が設けられたものが知られている。
【0004】
この計量キャップには、前記計量部の壁面に線状の段部と目盛が成型金型によって凹設されており、この目盛を目安にして前記計量部に洗剤を収容することで、適量の洗剤を使用できるように構成されている。
【0005】
このような計量キャップは、透明に形成されており、前記目盛が見にくいという問題があった。
【0006】
このため、前記計量部の外周面に目盛を印刷する方法が考案されたが、前記周壁の内側に位置する前記計量部の部位に目盛を印刷することができないとうい問題があった。
【0007】
そこで、計量キャップを、外側を構成する外側部材と、計量部を構成する内側部材との二部材で構成し、該内側部材に予め黒色の目盛を印刷しておく。そして、前記外側部材に前記内側部材を組み付けて接着することで、該内側部材が構成する計量部に黒色の目盛が形成された計量キャップを製造する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【0008】
この計量キャップでは、目盛の視認性は改善されるが、キャップを構成する為の二種類の構成部材の管理が必要となってしまう。
【0009】
これを解消する為に、目盛が印刷されたラベルを計量キャップにインサート成型する技術が知られている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2005−112370号公報
【特許文献2】特開2000−142741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来の計量キャップにあっては、目盛が印刷されたラベルを成型金型の正確な位置にセットしなければならず、苦労を要した。
【0011】
また、前記計量部は曲率が大きいため、インサート成型では、前記計量部の一部に設けることは可能であるが、計量部の全周に亘ってレベル線を設ける場合、しわになってしまい困難であった。
【0012】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、計量用の表示の視認性が良く、製造性に優れた計量キャップ及び計量キャップの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の計量キャップにあっては、キャップ本体の周壁の内側に有底筒状の計量部が設けられた計量キャップにおいて、計量用の表示が設けられたフィルムで前記計量部を包囲した状態で当該フィルムを前記計量部に固定した。
【0014】
すなわち、この計量キャップは、キャップ本体の周壁の内側に設けられた計量部にフィルムが固定されており、このフィルムに、計量用の表示が設けられている。
【0015】
このため、前記フィルムへの前記表示の形成に自由度があり、例えば視認性の高い黒色で計量用の表示を印刷することができる。これにより、視認性の高い表示が前記計量部に設けられる。
【0016】
また、前記表示は、前記フィルムに設けられており、キャップ本体成型後に前記計量部に設けられる。
【0017】
また、本発明の請求項2の計量キャップにおいては、キャップ本体の周壁の内側に有底筒状の計量部が設けられた計量キャップにおいて、計量用の表示が設けられたシュリンクフィルムで前記計量部を包囲した状態で当該シュリンクフィルムを縮径して前記計量部に固定した。
【0018】
すなわち、この計量キャップは、キャップ本体の周壁の内側に設けられた計量部に、シュリンクフィルムが固定されており、このシュリンクフィルムに、計量用の表示が設けられている。
【0019】
このため、前記シュリンクフィルムへの前記表示の形成に自由度があり、例えば視認性の高い黒色で計量用の表示を印刷することができる。これにより、視認性の高い表示が前記計量部に設けられる。
【0020】
また、前記表示は、前記シュリンクフィルムに設けられており、キャップ本体成型後に前記計量部に設けられる。
【0021】
さらに、請求項3の計量キャップでは、計量用の表示が前記計量部の全周に亘って設けられている。
【0022】
すなわち、前記計量部には、その全周に亘って前記フィルム又は前記シュリンクフィルムが設けられることによって、計量用の表示が前記計量部の全周に亘って設けられる。
【0023】
そして、本発明の請求項4の計量キャップの製造方法にあっては、キャップ本体の周壁の内側に有底筒状の計量部が設けられた計量キャップの製造方法において、計量用の表示が設けられたシュリンクフィルムで前記計量部を包囲するとともに、当該シュリンクフィルムの一端を前記計量部と前記周壁とを連設する連設面に当接して位置決めするセット工程と、前記計量部を包囲した前記シュリンクフィルムを加熱して縮径し前記計量部に固定する固定工程と、を備えている。
【0024】
すなわち、計量キャップを製造する際には、計量用の表示が設けられたシュリンクフィルムで計量部を包囲し、前記シュリンクフィルムを前記計量部の外周部に配置する。このとき、前記シュリンクフィルムの一端を、前記計量部と前記周壁とを連設する連設面に当接することで、当該シュリンクフィルムを位置決めする。
【0025】
これにより、前記計量部に対する前記シュリンクフィルムの位置が定められ、該シュリンクフィルムに設けられた計量用の表示と前記計量部との位置関係が一定に保たれる。
【0026】
そして、前記計量部を包囲した前記シュリンクフィルムを加熱して縮径することによって、当該シュリンクフィルムを前記計量部に固定することができる。
【0027】
また、請求項5の計量キャップの製造方法においては、前記シュリンクフィルムは、予め周方向に延伸され加熱時に周方向に縮小する素材からなる。
【0028】
すなわち、前記シュリンクフィルムは、予め周方向に延伸され、加熱時に周方向に縮小する素材で構成されている。
【0029】
このため、前記シュリンクフィルムを加熱した際に、当該シュリンクフィルムを縮径して前記計量部に固定することができる。
【0030】
一方、前記シュリンクフィルムは、縦方向への縮みは抑制される。このため、前記計量部に対する前記シュリンクフィルムの表示の高さ位置の変位を、加熱前と加熱後で小さくすることができる。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように本発明の請求項1の計量キャップにあっては、計量部に固定されるフィルムに、例えば視認性の高い黒色で計量用の表示を印刷して設ける等することができるため、成形時に計量部の壁面に目盛等を凹設する従来と比較して、前記計量部に設けられた表示の視認性を高めることができる。
【0032】
また、このフィルムを前記計量部に固定して、前記フィルムの表示を前記計量部に設けるため、キャップ本体の周壁で覆われた前記計量部の部位にも前記表示を設けることができる。
【0033】
さらに、計量キャップを、外側部材と、目盛が印刷された内側部材の二部材で構成し、製造時に両構成部材を接着して固定する従来と比較して、両構成部材の組み付け作業や接着作業が不要となるとともに、キャップ本体を構成する二種類の構成部材の管理も不要となる。
【0034】
そして、目盛が印刷されたラベルを計量キャップにインサート成型する場合のように、ラベルを成型金型の正確な位置にセットするといった手間が不要となり、製造容易性を高めることができる。
【0035】
したがって、計量用の表示の視認性が良く、製造性に優れた計量キャップを提供することができる。
【0036】
そして、本発明の請求項2の計量キャップにあっては、計量部に固定されるシュリンクフィルムに、例えば視認性の高い黒色で計量用の表示を印刷して設ける等することができるため、成形時に計量部の壁面に目盛等を凹設する従来と比較して、前記計量部に設けられた表示の視認性を高めることができる。
【0037】
また、このシュリンクフィルムを前記計量部に固定して、前記シュリンクフィルムの表示を前記計量部に設けるため、キャップ本体の周壁で覆われた前記計量部の部位にも前記表示を設けることができる。
【0038】
さらに、計量キャップを、外側部材と、目盛が印刷された内側部材の二部材で構成し、製造時に両構成部材を接着して固定する従来と比較して、両構成部材の組み付け作業や接着作業が不要となるとともに、キャップ本体を構成する二種類の構成部材の管理も不要となる。
【0039】
そして、目盛が印刷されたラベルを計量キャップにインサート成型する場合のように、ラベルを成型金型の正確な位置にセットするといった手間が不要となり、製造容易性を高めることができる。
【0040】
したがって、計量用の表示の視認性が良く、製造性に優れた計量キャップを提供することができる。
【0041】
さらに、請求項3の計量キャップでは、前記計量部の全周に前記フィルム又は前記シュリンクフィルムを設けることによって、計量用の表示を前記計量部の全周に亘って設けることができる。
【0042】
このため、曲率の大きな計量部に表示をインサート成型で設ける場合、皺の発生を防止する為に計量用の表示を前記計量部の一部にしか設けることができなかった従来と比較して、曲率の大きな計量部であっても前記表示を全周に亘って不具合無く設けることができる。
【0043】
そして、本発明の請求項4の計量キャップの製造方法にあっては、計量用の表示が設けられたシュリンクフィルムで計量部を包囲し、該シュリンクフィルムを加熱して縮径することによって、当該シュリンクフィルムを前記計量部に固定することができる。
【0044】
このため、前述と同様に、前記計量部に固定される前記シュリンクフィルムに、例えば視認性の高い黒色で計量用の表示を予め印刷して設ける等することができるため、成形時に計量部の壁面に目盛等を凹設する従来と比較して、前記計量部に設けられた表示の視認性を高めることができる。
【0045】
また、このシュリンクフィルムを前記計量部に固定して、前記シュリンクフィルムの表示を前記計量部に設けるため、キャップ本体の周壁で覆われた前記計量部の部位にも前記表示を設けることができる。
【0046】
さらに、計量キャップを、外側部材と、目盛が印刷された内側部材の二部材で構成し、製造時に両構成部材を接着して固定する従来と比較して、両構成部材の組み付け作業や接着作業が不要となるとともに、キャップ本体を構成する二種類の構成部材の管理も不要となる。
【0047】
そして、目盛が印刷されたラベルを計量キャップにインサート成型する場合のように、ラベルを成型金型の正確な位置にセットするといった手間が不要となり、製造容易性を高めることができる。
【0048】
したがって、計量用の表示の視認性が良く、製造性に優れた計量キャップの製造方法となり得る。
【0049】
そして、前記シュリンクフィルムを前記計量部の外周部に配置した状態では、前記シュリンクフィルムの一端を、前記計量部と前記周壁とを連設する連設面に当接して位置決めすることによって、前記計量部に対する前記シュリンクフィルムの位置を定めることができる。
【0050】
このため、前記計量部に前記シュリンクフィルムをセットするだけで、前記計量部と前記シュリンクフィルムに設けられた表示との位置関係を一定に保つことができる。
【0051】
また、請求項5の計量キャップの製造方法においては、予め周方向に延伸され加熱時に周方向に縮小する素材によってシュリンクフィルムを構成したため、加熱時におけるシュリンクフィルムの縦方向への縮みを抑制することができる。
【0052】
このため、前記計量部に対する前記シュリンクフィルムに設けられた表示の高さ位置の変位を加熱前と加熱後で小さくすることができ、表示の高さ位置が大きく変化する場合と比較して、表示位置に起因した計量誤差を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる計量キャップ1の使用形態を示す図であり、該計量キャップ1が容器体2に取り付けられた状態が示されている。
【0054】
すなわち、粉末洗剤を収容した容器体2の上部には、内部に連通した円筒状の口部11が設けられており、該口部11の外周面には、本体雄ねじ部12が形成されている。この口部11には、内キャップ13が螺着されており、該内キャップ13の内側面には、前記口部11の本体雄ねじ部12に螺合する下部雌ねじ部14が形成されている。
【0055】
この内キャップ13の内側面には、前記容器体2に螺着した状態で前記口部11の内側へ向けて延出した後退部21が一体形成されており、該後退部21の底面からは、ノズル部22が上方へ向けて延出している。該ノズル部22は、前記容器体2内に連通するように構成されており、当該容器体2内の粉末洗剤を前記ノズル部22から取り出せるように構成されている。
【0056】
前記内キャップ13の上部外周面には、上部雄ねじ部31が形成されており、この上部雄ねじ部31には、前記計量キャップ1に形成された雌ねじ部32が螺合するように構成されている。これにより、この内キャップ13に前記計量キャップ1を螺着することによって、前記内キャップ13の上部を前記計量キャップ1で閉鎖できるように構成されている。
【0057】
図2及び図3は、前記計量キャップ1を逆さまに配置した状態を示す図であり、この計量キャップ1のキャップ本体41は、無色透明の樹脂によって容器状に形成されている。
【0058】
前記キャップ本体41は、前記中キャップ13に取り付けた状態で該中キャップ13の外周部を包囲する円筒状の周壁42と、前記中キャップ13の上部を閉鎖する天面43(図1参照)とが一体形成されている。前記周壁42の内側面には、前記中キャップ13の前記上部雄ねじ部31に螺合する前記雌ねじ部32が形成されており、当該周壁42の外周面には、周方向に並設された複数の縦条によって滑り止め44が形成されている(図2参照)。
【0059】
前記天面43の中央部には、前記周壁42より小径の円筒部51が起立しており、該円筒部51の内側に位置する前記天面43の中央部は、外側へ向けて膨出した膨出部52が形成されている。該膨出部52の周面53の内面と前記円筒部51の内面とは、連続するように構成されており、当該キャップ本体41の前記周壁42の内側には、前記膨出部52と前記円筒部51とによって構成された有底円筒状の計量部54が形成されている。
【0060】
これにより、前記周壁42と前記計量部54との間には、図3に示すように、両者を連設する円形リング状の連設面61が前記天面43によって構成されている。前記連設面61から前記膨出部52の底面62までの高さ寸法は、予め定められた値に設定されており、前記膨出部52の内径も予め定められた値に設定されている。これにより、前記膨出部52の底面62から前記連設面61の高さ位置までの容積が設計値となるように構成されている。
【0061】
前記連設面61には、前記周壁42と前記計量部54との間に円筒状のリング部71が立設されており、図1に示したように、当該キャップ本体41を前記中キャップ13に取り付けた状態で、前記中キャップ13の上縁部が前記リング部71の外周面に密着するように構成されている。
【0062】
この計量部54の先端は、図2及び図3に示したように、前記周壁42の先端より突出するように構成されており、当該計量部54の内径寸法は、図1に示したように、前記中キャップ13の前記ノズル部22の外形寸法より大径に設定されている。これにより、前記計量部54は、前記中キャップ13に螺着した状態で、前記ノズル部22を収容できるとともに、当該計量部54内の容積が予め定められた設計値となるように構成されている。
【0063】
前記計量部54は、図3に示したように、シュリンクフィルム81によって全周が包囲されており、当該計量部54の外周面には、前記シュリンクフィルム81が固定されている。
【0064】
このシュリンクフィルム81は、図4にも示すように、無色透明のフィルムによって円筒状に形成されており、その周面には、計量用の表示を構成する第一レベル線91と、第二レベル線92と、第三レベル線93とが、当該シュリンクフィルム81の下端94に平行して全周に亘って設けられている。各レベル線91〜93は、印刷によって形成されており、視認性の高い黒色のインクで形成されている。
【0065】
前記各レベル線91〜93は、シュリンクフィルム81装着時に前記連設面61に当接される当該シュリンクフィルム81の下端94を基準とした位置にそれぞれ設けられており、前記計量部54の底面62から各レベル線91〜93の高さ位置までの容量は、それぞれ設計値となるように設定されている。
【0066】
これにより、予め定めた分量の粉末洗剤を前記計量部54に収容した際に、その上面が対応するレベル線91〜93に達するように構成されており、粉末洗剤の上面がいずれかのレベル線91〜93に達するように粉末洗剤を計量部54に投入することで、当該レベル線91〜93に対応した分量の粉末洗剤を計量できるように構成されている。
【0067】
ここで、前記各レベル線91〜93を黒色で形成した場合に付いて説明するが、これに限定されるものでは無く、視認性が良ければ他の色で形成しても良い。
【0068】
また、この計量用の表示は、前記各レベル線91〜93に限らず、文字や数字や矢印で構成しても良い。
【0069】
図5及び図6は、前記計量キャップ1の製造方法を示す図であり、この計量キャップ1を製造する際には、予め前記シュリンクフィルム81を形成しておく。
【0070】
すなわち、図5に示したように、長尺状のフィルムを、加熱した際に幅方向に収縮するように予め幅方向102に延伸して、シュリンクフィルム81の基材101を形成し、この基材101に、印刷工程103において、幅方向102に平行に延在する前記各レベル線91〜93を黒色のインクで印刷する。
【0071】
そして、接合工程111において、当該基材101の両側縁を重ねて合わせて配置するとともに、この重合部112を接合して円筒状に形成する。
【0072】
この円筒状に形成された前記基材101を、切断工程121において、所定間隔で切断し、円筒フィルム状の前記シュリンクフィルム81を形成する。このとき、前記各レベル線91〜93が、当該シュリンクフィルム81の下縁94を基準とした所定の位置に配置されるように前記基材101を切断する。
【0073】
このとき、このシュリンクフィルム81を構成する前記基材101は、加熱時に前記幅方向102へ収縮する。このため、円筒フィルム状に形成された当該シュリンクフィルム81を、加熱時に周方向に縮小することができる。
【0074】
そして、図6に示したように、準備工程131において、インジェクション成型された前記キャップ本体41を裏返しにした状態でライン上に配置する。
【0075】
次に、セット工程141において、ライン上に設けられた前記キャップ本体41の計量部54に、収縮前のシュリンクフィルム81を遊嵌して、計量用の表示である前記各レベル線91〜93が設けられた前記シュリンクフィルム81で前記計量部54を包囲する。
【0076】
このとき、このシュリンクフィルム81と前記計量部54の外周面との間には、間隙が設けられており、前記シュリンクフィルム81は、その下縁94が前記計量部54とキャップ本体41の前記周壁42とを連設する前記連設面61に当接した状態で支持される。これにより、前記計量部54に対する前記シュリンクフィルム81の位置を定めることができる。
【0077】
このため、前記計量部54に前記シュリンクフィルム81をセットするだけで、前記計量部54と前記シュリンクフィルム81に設けられた前記各レベル線91〜93との位置関係を一定に保つことができる。
【0078】
そして、固定工程151において、前記計量部54の外周部に前記シュリンクフィルム81が設けられた前記キャップ本体41をシュリンクトンネルを通過させ、前記計量部54を包囲した前記シュリンクフィルム81を加熱して縮径し、前記計量部54の外周部に固定する。
【0079】
このとき、前記シュリンクフィルム81は、予め周方向に延伸され、加熱時に周方向に縮小する基材101,101によって構成されている。このため、前記シュリンクフィルム81を加熱した際に、当該シュリンクフィルム81を縮径して前記計量部54に固定することができる。
【0080】
一方、前記シュリンクフィルム81は、縦方向への縮みは抑制される。このため、前記計量部54に対する前記シュリンクフィルム81に設けられた前記各レベル線91〜93の高さ位置の変位を、加熱前と加熱後で小さくすることができ、各レベル線91〜93の高さ位置が大きく変化する場合と比較して、各レベル線91〜93の表示位置に起因した計量誤差を小さくすることができる。
【0081】
このように、計量用の表示である前記各レベル線91〜93が印刷された前記シュリンクフィルム81で前記計量部54を包囲し、該シュリンクフィルム81を加熱して縮径することによって、当該シュリンクフィルム81を前記計量部54に固定することができる。
【0082】
これにより、前記各レベル線91〜93を有する前記シュリンクフィルム81が前記計量部54に固定された前記計量キャップ1を形成され、前記計量部54には、前記各レベル線91〜93が全周に亘って設けられている。
【0083】
また、前記計量部54に前記シュリンクフィルム81を固定することで、当該計量部54に前記各レベル線91〜93を設けることができるため、異なる高さ位置に前記各レベル線91〜93が印刷されたシュリンクフィルム81を用いることによって、計量可能な容量を変更することができる。
【0084】
このため、前記セット工程141において、前記計量部54に装着するシュリンクフィルム81を変更することによって、異なる製品の計量キャップ1に対応することができる。
【0085】
以上の構成にかかる本実施の形態において、この計量キャップ1は、キャップ本体41の周壁42の内側に設けられた計量部54に、シュリンクフィルム81が固定されており、このシュリンクフィルム81に、計量用の表示としての第一〜第三レベル線91〜93が設けられている。
【0086】
このため、前記シュリンクフィルム81への前記各レベル線91〜93の形成に自由度があり、例えば本実施の形態のように視認性の高い黒色で前記各レベル線91〜93を印刷することができる。これにより、視認性の高い表示を前記計量部54に設けることができる。
【0087】
したがって、成形時に計量部54の壁面に目盛等を凹設する従来と比較して、前記計量部54に設けられた前記各レベル線91〜93の視認性を高めることができる。
【0088】
また、表示を構成する前記各レベル線91〜93は、前記シュリンクフィルム81に設けられており、前記キャップ本体41成型後に、前記シュリンクフィルム81を前記計量部54に固定して、当該シュリンクフィルム81の前記各レベル線91〜93を前記計量部54に設けることができる。このため、前記キャップ本体41の周壁42で覆われた前記計量部54の下側の部位にも表示を構成する第一レベル線91を設けることができる。
【0089】
さらに、計量キャップを外側部材と目盛が印刷された内側部材の二部材で構成し、製造時に両構成部材を接着して固定する従来と比較して、両構成部材の組み付け作業や接着作業が不要となるとともに、キャップ本体を構成する二種類の構成部材の管理も不要となる。
【0090】
そして、目盛が印刷されたラベルを計量キャップにインサート成型する場合のように、ラベルを成型金型の正確な位置にセットするといった手間が不要となり、製造容易性を高めることができる。
【0091】
したがって、計量用の表示である前記各レベル線91〜93の視認性が良く、製造性に優れた計量キャップ1を提供することができる。
【0092】
さらに、前記計量部54の全周に前記シュリンクフィルム81を設けることによって、計量用の表示である前記各レベル線91〜93を前記計量部54の全周に亘って設けることができる。
【0093】
このため、曲率の大きな計量部54に表示をインサート成型で設ける場合、皺の発生を防止する為に計量用の表示を前記計量部54の一部にしか設けることができなかった従来と比較して、曲率の大きな計量部54であっても前記各レベル線91〜93を当該計量部54の全周に亘って不具合無く設けることができる。
【0094】
なお、本実施の形態にあっては、前記計量部54を前記シュリンクフィルム81で包囲するとともに、該シュリンクフィルム81を縮径して前記計量部54に固定した場合に付いて説明したが、これに限定されるものではない。
【0095】
例えば、計量用の表示が設けられたフィルムで前記計量部54を包囲した状態で当該フィルムを接着するなどして前記計量部54に固定することで、該計量部54に前記各レベル線91〜93を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一実施の形態を示す一部断面図である。
【図2】同実施の形態の計量キャップを示す斜視図である。
【図3】同実施の形態の計量キャップを示す断面図である。
【図4】同実施の形態のシュリンクフィルムを示す斜視図である。
【図5】同実施の形態のシュリンクフィルムの製造工程を示す説明図である。
【図6】同実施の形態の計量キャップの製造工程を示す説明図である。
【符号の説明】
【0097】
1 計量キャップ
41 キャップ本体
42 周壁
54 計量部」
61 連設面
81 シュリンクフィルム
91 第一レベル線
92 第二レベル線
93 第三レベル線
131 準備工程
141 セット工程
151 固定工程
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量を行うことができる計量キャップ及び計量キャップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗剤等の容器には、計量キャップが設けられている。
【0003】
この計量キャップとしては、容器体の口部に外嵌するキャップ本体の周壁の内側に、有底円筒状の計量部が設けられたものが知られている。
【0004】
この計量キャップには、前記計量部の壁面に線状の段部と目盛が成型金型によって凹設されており、この目盛を目安にして前記計量部に洗剤を収容することで、適量の洗剤を使用できるように構成されている。
【0005】
このような計量キャップは、透明に形成されており、前記目盛が見にくいという問題があった。
【0006】
このため、前記計量部の外周面に目盛を印刷する方法が考案されたが、前記周壁の内側に位置する前記計量部の部位に目盛を印刷することができないとうい問題があった。
【0007】
そこで、計量キャップを、外側を構成する外側部材と、計量部を構成する内側部材との二部材で構成し、該内側部材に予め黒色の目盛を印刷しておく。そして、前記外側部材に前記内側部材を組み付けて接着することで、該内側部材が構成する計量部に黒色の目盛が形成された計量キャップを製造する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【0008】
この計量キャップでは、目盛の視認性は改善されるが、キャップを構成する為の二種類の構成部材の管理が必要となってしまう。
【0009】
これを解消する為に、目盛が印刷されたラベルを計量キャップにインサート成型する技術が知られている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2005−112370号公報
【特許文献2】特開2000−142741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来の計量キャップにあっては、目盛が印刷されたラベルを成型金型の正確な位置にセットしなければならず、苦労を要した。
【0011】
また、前記計量部は曲率が大きいため、インサート成型では、前記計量部の一部に設けることは可能であるが、計量部の全周に亘ってレベル線を設ける場合、しわになってしまい困難であった。
【0012】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、計量用の表示の視認性が良く、製造性に優れた計量キャップ及び計量キャップの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の計量キャップにあっては、キャップ本体の周壁の内側に有底筒状の計量部が設けられた計量キャップにおいて、計量用の表示が設けられたフィルムで前記計量部を包囲した状態で当該フィルムを前記計量部に固定した。
【0014】
すなわち、この計量キャップは、キャップ本体の周壁の内側に設けられた計量部にフィルムが固定されており、このフィルムに、計量用の表示が設けられている。
【0015】
このため、前記フィルムへの前記表示の形成に自由度があり、例えば視認性の高い黒色で計量用の表示を印刷することができる。これにより、視認性の高い表示が前記計量部に設けられる。
【0016】
また、前記表示は、前記フィルムに設けられており、キャップ本体成型後に前記計量部に設けられる。
【0017】
また、本発明の請求項2の計量キャップにおいては、キャップ本体の周壁の内側に有底筒状の計量部が設けられた計量キャップにおいて、計量用の表示が設けられたシュリンクフィルムで前記計量部を包囲した状態で当該シュリンクフィルムを縮径して前記計量部に固定した。
【0018】
すなわち、この計量キャップは、キャップ本体の周壁の内側に設けられた計量部に、シュリンクフィルムが固定されており、このシュリンクフィルムに、計量用の表示が設けられている。
【0019】
このため、前記シュリンクフィルムへの前記表示の形成に自由度があり、例えば視認性の高い黒色で計量用の表示を印刷することができる。これにより、視認性の高い表示が前記計量部に設けられる。
【0020】
また、前記表示は、前記シュリンクフィルムに設けられており、キャップ本体成型後に前記計量部に設けられる。
【0021】
さらに、請求項3の計量キャップでは、計量用の表示が前記計量部の全周に亘って設けられている。
【0022】
すなわち、前記計量部には、その全周に亘って前記フィルム又は前記シュリンクフィルムが設けられることによって、計量用の表示が前記計量部の全周に亘って設けられる。
【0023】
そして、本発明の請求項4の計量キャップの製造方法にあっては、キャップ本体の周壁の内側に有底筒状の計量部が設けられた計量キャップの製造方法において、計量用の表示が設けられたシュリンクフィルムで前記計量部を包囲するとともに、当該シュリンクフィルムの一端を前記計量部と前記周壁とを連設する連設面に当接して位置決めするセット工程と、前記計量部を包囲した前記シュリンクフィルムを加熱して縮径し前記計量部に固定する固定工程と、を備えている。
【0024】
すなわち、計量キャップを製造する際には、計量用の表示が設けられたシュリンクフィルムで計量部を包囲し、前記シュリンクフィルムを前記計量部の外周部に配置する。このとき、前記シュリンクフィルムの一端を、前記計量部と前記周壁とを連設する連設面に当接することで、当該シュリンクフィルムを位置決めする。
【0025】
これにより、前記計量部に対する前記シュリンクフィルムの位置が定められ、該シュリンクフィルムに設けられた計量用の表示と前記計量部との位置関係が一定に保たれる。
【0026】
そして、前記計量部を包囲した前記シュリンクフィルムを加熱して縮径することによって、当該シュリンクフィルムを前記計量部に固定することができる。
【0027】
また、請求項5の計量キャップの製造方法においては、前記シュリンクフィルムは、予め周方向に延伸され加熱時に周方向に縮小する素材からなる。
【0028】
すなわち、前記シュリンクフィルムは、予め周方向に延伸され、加熱時に周方向に縮小する素材で構成されている。
【0029】
このため、前記シュリンクフィルムを加熱した際に、当該シュリンクフィルムを縮径して前記計量部に固定することができる。
【0030】
一方、前記シュリンクフィルムは、縦方向への縮みは抑制される。このため、前記計量部に対する前記シュリンクフィルムの表示の高さ位置の変位を、加熱前と加熱後で小さくすることができる。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように本発明の請求項1の計量キャップにあっては、計量部に固定されるフィルムに、例えば視認性の高い黒色で計量用の表示を印刷して設ける等することができるため、成形時に計量部の壁面に目盛等を凹設する従来と比較して、前記計量部に設けられた表示の視認性を高めることができる。
【0032】
また、このフィルムを前記計量部に固定して、前記フィルムの表示を前記計量部に設けるため、キャップ本体の周壁で覆われた前記計量部の部位にも前記表示を設けることができる。
【0033】
さらに、計量キャップを、外側部材と、目盛が印刷された内側部材の二部材で構成し、製造時に両構成部材を接着して固定する従来と比較して、両構成部材の組み付け作業や接着作業が不要となるとともに、キャップ本体を構成する二種類の構成部材の管理も不要となる。
【0034】
そして、目盛が印刷されたラベルを計量キャップにインサート成型する場合のように、ラベルを成型金型の正確な位置にセットするといった手間が不要となり、製造容易性を高めることができる。
【0035】
したがって、計量用の表示の視認性が良く、製造性に優れた計量キャップを提供することができる。
【0036】
そして、本発明の請求項2の計量キャップにあっては、計量部に固定されるシュリンクフィルムに、例えば視認性の高い黒色で計量用の表示を印刷して設ける等することができるため、成形時に計量部の壁面に目盛等を凹設する従来と比較して、前記計量部に設けられた表示の視認性を高めることができる。
【0037】
また、このシュリンクフィルムを前記計量部に固定して、前記シュリンクフィルムの表示を前記計量部に設けるため、キャップ本体の周壁で覆われた前記計量部の部位にも前記表示を設けることができる。
【0038】
さらに、計量キャップを、外側部材と、目盛が印刷された内側部材の二部材で構成し、製造時に両構成部材を接着して固定する従来と比較して、両構成部材の組み付け作業や接着作業が不要となるとともに、キャップ本体を構成する二種類の構成部材の管理も不要となる。
【0039】
そして、目盛が印刷されたラベルを計量キャップにインサート成型する場合のように、ラベルを成型金型の正確な位置にセットするといった手間が不要となり、製造容易性を高めることができる。
【0040】
したがって、計量用の表示の視認性が良く、製造性に優れた計量キャップを提供することができる。
【0041】
さらに、請求項3の計量キャップでは、前記計量部の全周に前記フィルム又は前記シュリンクフィルムを設けることによって、計量用の表示を前記計量部の全周に亘って設けることができる。
【0042】
このため、曲率の大きな計量部に表示をインサート成型で設ける場合、皺の発生を防止する為に計量用の表示を前記計量部の一部にしか設けることができなかった従来と比較して、曲率の大きな計量部であっても前記表示を全周に亘って不具合無く設けることができる。
【0043】
そして、本発明の請求項4の計量キャップの製造方法にあっては、計量用の表示が設けられたシュリンクフィルムで計量部を包囲し、該シュリンクフィルムを加熱して縮径することによって、当該シュリンクフィルムを前記計量部に固定することができる。
【0044】
このため、前述と同様に、前記計量部に固定される前記シュリンクフィルムに、例えば視認性の高い黒色で計量用の表示を予め印刷して設ける等することができるため、成形時に計量部の壁面に目盛等を凹設する従来と比較して、前記計量部に設けられた表示の視認性を高めることができる。
【0045】
また、このシュリンクフィルムを前記計量部に固定して、前記シュリンクフィルムの表示を前記計量部に設けるため、キャップ本体の周壁で覆われた前記計量部の部位にも前記表示を設けることができる。
【0046】
さらに、計量キャップを、外側部材と、目盛が印刷された内側部材の二部材で構成し、製造時に両構成部材を接着して固定する従来と比較して、両構成部材の組み付け作業や接着作業が不要となるとともに、キャップ本体を構成する二種類の構成部材の管理も不要となる。
【0047】
そして、目盛が印刷されたラベルを計量キャップにインサート成型する場合のように、ラベルを成型金型の正確な位置にセットするといった手間が不要となり、製造容易性を高めることができる。
【0048】
したがって、計量用の表示の視認性が良く、製造性に優れた計量キャップの製造方法となり得る。
【0049】
そして、前記シュリンクフィルムを前記計量部の外周部に配置した状態では、前記シュリンクフィルムの一端を、前記計量部と前記周壁とを連設する連設面に当接して位置決めすることによって、前記計量部に対する前記シュリンクフィルムの位置を定めることができる。
【0050】
このため、前記計量部に前記シュリンクフィルムをセットするだけで、前記計量部と前記シュリンクフィルムに設けられた表示との位置関係を一定に保つことができる。
【0051】
また、請求項5の計量キャップの製造方法においては、予め周方向に延伸され加熱時に周方向に縮小する素材によってシュリンクフィルムを構成したため、加熱時におけるシュリンクフィルムの縦方向への縮みを抑制することができる。
【0052】
このため、前記計量部に対する前記シュリンクフィルムに設けられた表示の高さ位置の変位を加熱前と加熱後で小さくすることができ、表示の高さ位置が大きく変化する場合と比較して、表示位置に起因した計量誤差を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる計量キャップ1の使用形態を示す図であり、該計量キャップ1が容器体2に取り付けられた状態が示されている。
【0054】
すなわち、粉末洗剤を収容した容器体2の上部には、内部に連通した円筒状の口部11が設けられており、該口部11の外周面には、本体雄ねじ部12が形成されている。この口部11には、内キャップ13が螺着されており、該内キャップ13の内側面には、前記口部11の本体雄ねじ部12に螺合する下部雌ねじ部14が形成されている。
【0055】
この内キャップ13の内側面には、前記容器体2に螺着した状態で前記口部11の内側へ向けて延出した後退部21が一体形成されており、該後退部21の底面からは、ノズル部22が上方へ向けて延出している。該ノズル部22は、前記容器体2内に連通するように構成されており、当該容器体2内の粉末洗剤を前記ノズル部22から取り出せるように構成されている。
【0056】
前記内キャップ13の上部外周面には、上部雄ねじ部31が形成されており、この上部雄ねじ部31には、前記計量キャップ1に形成された雌ねじ部32が螺合するように構成されている。これにより、この内キャップ13に前記計量キャップ1を螺着することによって、前記内キャップ13の上部を前記計量キャップ1で閉鎖できるように構成されている。
【0057】
図2及び図3は、前記計量キャップ1を逆さまに配置した状態を示す図であり、この計量キャップ1のキャップ本体41は、無色透明の樹脂によって容器状に形成されている。
【0058】
前記キャップ本体41は、前記中キャップ13に取り付けた状態で該中キャップ13の外周部を包囲する円筒状の周壁42と、前記中キャップ13の上部を閉鎖する天面43(図1参照)とが一体形成されている。前記周壁42の内側面には、前記中キャップ13の前記上部雄ねじ部31に螺合する前記雌ねじ部32が形成されており、当該周壁42の外周面には、周方向に並設された複数の縦条によって滑り止め44が形成されている(図2参照)。
【0059】
前記天面43の中央部には、前記周壁42より小径の円筒部51が起立しており、該円筒部51の内側に位置する前記天面43の中央部は、外側へ向けて膨出した膨出部52が形成されている。該膨出部52の周面53の内面と前記円筒部51の内面とは、連続するように構成されており、当該キャップ本体41の前記周壁42の内側には、前記膨出部52と前記円筒部51とによって構成された有底円筒状の計量部54が形成されている。
【0060】
これにより、前記周壁42と前記計量部54との間には、図3に示すように、両者を連設する円形リング状の連設面61が前記天面43によって構成されている。前記連設面61から前記膨出部52の底面62までの高さ寸法は、予め定められた値に設定されており、前記膨出部52の内径も予め定められた値に設定されている。これにより、前記膨出部52の底面62から前記連設面61の高さ位置までの容積が設計値となるように構成されている。
【0061】
前記連設面61には、前記周壁42と前記計量部54との間に円筒状のリング部71が立設されており、図1に示したように、当該キャップ本体41を前記中キャップ13に取り付けた状態で、前記中キャップ13の上縁部が前記リング部71の外周面に密着するように構成されている。
【0062】
この計量部54の先端は、図2及び図3に示したように、前記周壁42の先端より突出するように構成されており、当該計量部54の内径寸法は、図1に示したように、前記中キャップ13の前記ノズル部22の外形寸法より大径に設定されている。これにより、前記計量部54は、前記中キャップ13に螺着した状態で、前記ノズル部22を収容できるとともに、当該計量部54内の容積が予め定められた設計値となるように構成されている。
【0063】
前記計量部54は、図3に示したように、シュリンクフィルム81によって全周が包囲されており、当該計量部54の外周面には、前記シュリンクフィルム81が固定されている。
【0064】
このシュリンクフィルム81は、図4にも示すように、無色透明のフィルムによって円筒状に形成されており、その周面には、計量用の表示を構成する第一レベル線91と、第二レベル線92と、第三レベル線93とが、当該シュリンクフィルム81の下端94に平行して全周に亘って設けられている。各レベル線91〜93は、印刷によって形成されており、視認性の高い黒色のインクで形成されている。
【0065】
前記各レベル線91〜93は、シュリンクフィルム81装着時に前記連設面61に当接される当該シュリンクフィルム81の下端94を基準とした位置にそれぞれ設けられており、前記計量部54の底面62から各レベル線91〜93の高さ位置までの容量は、それぞれ設計値となるように設定されている。
【0066】
これにより、予め定めた分量の粉末洗剤を前記計量部54に収容した際に、その上面が対応するレベル線91〜93に達するように構成されており、粉末洗剤の上面がいずれかのレベル線91〜93に達するように粉末洗剤を計量部54に投入することで、当該レベル線91〜93に対応した分量の粉末洗剤を計量できるように構成されている。
【0067】
ここで、前記各レベル線91〜93を黒色で形成した場合に付いて説明するが、これに限定されるものでは無く、視認性が良ければ他の色で形成しても良い。
【0068】
また、この計量用の表示は、前記各レベル線91〜93に限らず、文字や数字や矢印で構成しても良い。
【0069】
図5及び図6は、前記計量キャップ1の製造方法を示す図であり、この計量キャップ1を製造する際には、予め前記シュリンクフィルム81を形成しておく。
【0070】
すなわち、図5に示したように、長尺状のフィルムを、加熱した際に幅方向に収縮するように予め幅方向102に延伸して、シュリンクフィルム81の基材101を形成し、この基材101に、印刷工程103において、幅方向102に平行に延在する前記各レベル線91〜93を黒色のインクで印刷する。
【0071】
そして、接合工程111において、当該基材101の両側縁を重ねて合わせて配置するとともに、この重合部112を接合して円筒状に形成する。
【0072】
この円筒状に形成された前記基材101を、切断工程121において、所定間隔で切断し、円筒フィルム状の前記シュリンクフィルム81を形成する。このとき、前記各レベル線91〜93が、当該シュリンクフィルム81の下縁94を基準とした所定の位置に配置されるように前記基材101を切断する。
【0073】
このとき、このシュリンクフィルム81を構成する前記基材101は、加熱時に前記幅方向102へ収縮する。このため、円筒フィルム状に形成された当該シュリンクフィルム81を、加熱時に周方向に縮小することができる。
【0074】
そして、図6に示したように、準備工程131において、インジェクション成型された前記キャップ本体41を裏返しにした状態でライン上に配置する。
【0075】
次に、セット工程141において、ライン上に設けられた前記キャップ本体41の計量部54に、収縮前のシュリンクフィルム81を遊嵌して、計量用の表示である前記各レベル線91〜93が設けられた前記シュリンクフィルム81で前記計量部54を包囲する。
【0076】
このとき、このシュリンクフィルム81と前記計量部54の外周面との間には、間隙が設けられており、前記シュリンクフィルム81は、その下縁94が前記計量部54とキャップ本体41の前記周壁42とを連設する前記連設面61に当接した状態で支持される。これにより、前記計量部54に対する前記シュリンクフィルム81の位置を定めることができる。
【0077】
このため、前記計量部54に前記シュリンクフィルム81をセットするだけで、前記計量部54と前記シュリンクフィルム81に設けられた前記各レベル線91〜93との位置関係を一定に保つことができる。
【0078】
そして、固定工程151において、前記計量部54の外周部に前記シュリンクフィルム81が設けられた前記キャップ本体41をシュリンクトンネルを通過させ、前記計量部54を包囲した前記シュリンクフィルム81を加熱して縮径し、前記計量部54の外周部に固定する。
【0079】
このとき、前記シュリンクフィルム81は、予め周方向に延伸され、加熱時に周方向に縮小する基材101,101によって構成されている。このため、前記シュリンクフィルム81を加熱した際に、当該シュリンクフィルム81を縮径して前記計量部54に固定することができる。
【0080】
一方、前記シュリンクフィルム81は、縦方向への縮みは抑制される。このため、前記計量部54に対する前記シュリンクフィルム81に設けられた前記各レベル線91〜93の高さ位置の変位を、加熱前と加熱後で小さくすることができ、各レベル線91〜93の高さ位置が大きく変化する場合と比較して、各レベル線91〜93の表示位置に起因した計量誤差を小さくすることができる。
【0081】
このように、計量用の表示である前記各レベル線91〜93が印刷された前記シュリンクフィルム81で前記計量部54を包囲し、該シュリンクフィルム81を加熱して縮径することによって、当該シュリンクフィルム81を前記計量部54に固定することができる。
【0082】
これにより、前記各レベル線91〜93を有する前記シュリンクフィルム81が前記計量部54に固定された前記計量キャップ1を形成され、前記計量部54には、前記各レベル線91〜93が全周に亘って設けられている。
【0083】
また、前記計量部54に前記シュリンクフィルム81を固定することで、当該計量部54に前記各レベル線91〜93を設けることができるため、異なる高さ位置に前記各レベル線91〜93が印刷されたシュリンクフィルム81を用いることによって、計量可能な容量を変更することができる。
【0084】
このため、前記セット工程141において、前記計量部54に装着するシュリンクフィルム81を変更することによって、異なる製品の計量キャップ1に対応することができる。
【0085】
以上の構成にかかる本実施の形態において、この計量キャップ1は、キャップ本体41の周壁42の内側に設けられた計量部54に、シュリンクフィルム81が固定されており、このシュリンクフィルム81に、計量用の表示としての第一〜第三レベル線91〜93が設けられている。
【0086】
このため、前記シュリンクフィルム81への前記各レベル線91〜93の形成に自由度があり、例えば本実施の形態のように視認性の高い黒色で前記各レベル線91〜93を印刷することができる。これにより、視認性の高い表示を前記計量部54に設けることができる。
【0087】
したがって、成形時に計量部54の壁面に目盛等を凹設する従来と比較して、前記計量部54に設けられた前記各レベル線91〜93の視認性を高めることができる。
【0088】
また、表示を構成する前記各レベル線91〜93は、前記シュリンクフィルム81に設けられており、前記キャップ本体41成型後に、前記シュリンクフィルム81を前記計量部54に固定して、当該シュリンクフィルム81の前記各レベル線91〜93を前記計量部54に設けることができる。このため、前記キャップ本体41の周壁42で覆われた前記計量部54の下側の部位にも表示を構成する第一レベル線91を設けることができる。
【0089】
さらに、計量キャップを外側部材と目盛が印刷された内側部材の二部材で構成し、製造時に両構成部材を接着して固定する従来と比較して、両構成部材の組み付け作業や接着作業が不要となるとともに、キャップ本体を構成する二種類の構成部材の管理も不要となる。
【0090】
そして、目盛が印刷されたラベルを計量キャップにインサート成型する場合のように、ラベルを成型金型の正確な位置にセットするといった手間が不要となり、製造容易性を高めることができる。
【0091】
したがって、計量用の表示である前記各レベル線91〜93の視認性が良く、製造性に優れた計量キャップ1を提供することができる。
【0092】
さらに、前記計量部54の全周に前記シュリンクフィルム81を設けることによって、計量用の表示である前記各レベル線91〜93を前記計量部54の全周に亘って設けることができる。
【0093】
このため、曲率の大きな計量部54に表示をインサート成型で設ける場合、皺の発生を防止する為に計量用の表示を前記計量部54の一部にしか設けることができなかった従来と比較して、曲率の大きな計量部54であっても前記各レベル線91〜93を当該計量部54の全周に亘って不具合無く設けることができる。
【0094】
なお、本実施の形態にあっては、前記計量部54を前記シュリンクフィルム81で包囲するとともに、該シュリンクフィルム81を縮径して前記計量部54に固定した場合に付いて説明したが、これに限定されるものではない。
【0095】
例えば、計量用の表示が設けられたフィルムで前記計量部54を包囲した状態で当該フィルムを接着するなどして前記計量部54に固定することで、該計量部54に前記各レベル線91〜93を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一実施の形態を示す一部断面図である。
【図2】同実施の形態の計量キャップを示す斜視図である。
【図3】同実施の形態の計量キャップを示す断面図である。
【図4】同実施の形態のシュリンクフィルムを示す斜視図である。
【図5】同実施の形態のシュリンクフィルムの製造工程を示す説明図である。
【図6】同実施の形態の計量キャップの製造工程を示す説明図である。
【符号の説明】
【0097】
1 計量キャップ
41 キャップ本体
42 周壁
54 計量部」
61 連設面
81 シュリンクフィルム
91 第一レベル線
92 第二レベル線
93 第三レベル線
131 準備工程
141 セット工程
151 固定工程
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ本体の周壁の内側に有底筒状の計量部が設けられた計量キャップにおいて、
計量用の表示が設けられたフィルムで前記計量部を包囲した状態で当該フィルムを前記計量部に固定したことを特徴とする計量キャップ。
【請求項2】
キャップ本体の周壁の内側に有底筒状の計量部が設けられた計量キャップにおいて、
計量用の表示が設けられたシュリンクフィルムで前記計量部を包囲した状態で当該シュリンクフィルムを縮径して前記計量部に固定したことを特徴とする計量キャップ。
【請求項3】
計量用の表示が前記計量部の全周に亘って設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかの項記載の計量キャップ。
【請求項4】
キャップ本体の周壁の内側に有底筒状の計量部が設けられた計量キャップの製造方法において、
計量用の表示が設けられたシュリンクフィルムで前記計量部を包囲するとともに、当該シュリンクフィルムの一端を前記計量部と前記周壁とを連設する連設面に当接して位置決めするセット工程と、
前記計量部を包囲した前記シュリンクフィルムを加熱して縮径し前記計量部に固定する固定工程と、
を備えたことを特徴とする計量キャップの製造方法。
【請求項5】
前記シュリンクフィルムは、予め周方向に延伸され加熱時に周方向に縮小する素材からなることを特徴とした請求項4記載の計量キャップの製造方法。
【請求項1】
キャップ本体の周壁の内側に有底筒状の計量部が設けられた計量キャップにおいて、
計量用の表示が設けられたフィルムで前記計量部を包囲した状態で当該フィルムを前記計量部に固定したことを特徴とする計量キャップ。
【請求項2】
キャップ本体の周壁の内側に有底筒状の計量部が設けられた計量キャップにおいて、
計量用の表示が設けられたシュリンクフィルムで前記計量部を包囲した状態で当該シュリンクフィルムを縮径して前記計量部に固定したことを特徴とする計量キャップ。
【請求項3】
計量用の表示が前記計量部の全周に亘って設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかの項記載の計量キャップ。
【請求項4】
キャップ本体の周壁の内側に有底筒状の計量部が設けられた計量キャップの製造方法において、
計量用の表示が設けられたシュリンクフィルムで前記計量部を包囲するとともに、当該シュリンクフィルムの一端を前記計量部と前記周壁とを連設する連設面に当接して位置決めするセット工程と、
前記計量部を包囲した前記シュリンクフィルムを加熱して縮径し前記計量部に固定する固定工程と、
を備えたことを特徴とする計量キャップの製造方法。
【請求項5】
前記シュリンクフィルムは、予め周方向に延伸され加熱時に周方向に縮小する素材からなることを特徴とした請求項4記載の計量キャップの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2009−126544(P2009−126544A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−302701(P2007−302701)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(000102544)エステー株式会社 (127)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(000102544)エステー株式会社 (127)
【Fターム(参考)】
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