説明

計量注出器

【課題】操作性をさらに高めた計量注出器を提供すること。
【解決手段】口部3に装着される装着筒部11と、装着筒部11に設けられた内側部材12と、内側部材12に移動可能に外嵌され、内側部材12との間に充填空間32Aを形成する中空の外側部材13と、を備え、内側部材12が、装着筒部11内に連通する連通路26Aと、連通路26A及び充填空間32Aを連通する連通口26Bが形成された連通部21と、充填空間32Aの内容物を注出する外側部材13に形成された注出口13Aを開閉する栓体部22と、を有し、外側部材13が、連通口26Bが開放されかつ注出口13Aが閉塞される充填位置と、連通口26Bが閉塞されかつ注出口13Aが開放される注出位置と、の間を往復移動自在に内側部材に外嵌されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量注出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体が収容された容器から一定量の液体を計量する場合には、一般的に、容器とは別に用意された計量カップに定量の液体を注出して計量している。しかし、このような方法では、計量カップが紛失したり、計量カップを使用するたびに洗う必要があったりするため、不便である。
そこで、容器の口部に装着され、容器から液体が充填される中空のカプセル状部材を有する計量注出器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この計量注出器は、口部に装着されるカプセル状部材と、カプセル状部材に対して上下往復移動可能な栓体と、栓体に取り付けられてその重量によって栓体をカプセル状部材に対して往復移動させる錘と、を備えている。栓体には、栓体をカプセル状部材に対して上下移動させることによってカプセル状部材の内部に連通可能な流路が形成されている。
【0003】
そして、この計量注出器では、まず正立状態にある容器を倒立状態として錘の作用によって栓体をカプセル状部材に対して移動させ、栓体の流路を介して容器内とカプセル状部材内とを連通させる。これにより、容器内の液体は、カプセル状部材内に充填される。このとき、栓体は、カプセル状部材の注出口を閉塞している。そのため、カプセル状部材内に充填された液体は、外部に注出されない。その後、容器を倒立状態としたままで栓体を押し上げて注出口を開放することで、カプセル状部材内にある液体を抽出する。このようにして、容器内から一定量の液体を計量、注出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2568984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような計量注出器においても、以下の課題が残されている。すなわち、上記計量注出器では、注出口を開放するために栓体を押し上げる必要があるため、操作性をより高めることが求められている。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、操作性をさらに高めた計量注出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の計量注出器は、内容物を収容する容器の口部に装着される計量注出器であって、前記口部に装着される装着筒部と、前記装着筒部に設けられた内側部材と、前記内側部材に移動可能に外嵌され、該内側部材との間に充填空間を形成する中空の外側部材と、を備え、前記内側部材が、前記装着筒部内に連通する連通路と、該連通路及び前記充填空間を連通する連通口が形成された連通部と、前記充填空間の内容物を注出する前記外側部材に形成された注出口を開閉する栓体部と、を有し、前記外側部材が、前記連通口が開放されかつ前記注出口が閉塞される充填位置と、前記連通口が閉塞されかつ前記注出口が開放される注出位置と、の間を往復移動自在に前記内側部材に外嵌されていることを特徴とする。
【0008】
この発明では、内側部材に外嵌された外側部材を往復移動させて内容物の計量及び注出を行うため、内側部材を操作する場合と比較して計量及び注出操作の操作性が向上する。すなわち、外側部材を充填位置に位置付けると、容器内の内容物は、連通口が開放されているため、装着筒部、連通路及び連通口を通って充填空間に充填されるが、注出口が栓体部によって閉塞されるため、注出口から注出されない。これにより、充填空間に所定容量の内容物が充填される。そして、外側部材を注出位置に向けて移動させると、充填空間の内容物は、連通口が閉塞されると共に注出口が開放されるため、注出口を通って注出される。したがって、容器内の内容物は、注出口が開放される際に連通口を通って充填空間に充填されず、充填空間の容積に応じた一定量だけが注出口から注出される。
以上のように、外部に露出している外側部材を往復移動させるだけで一定量の内容物を計量及び注出できるため、計量注出器の操作性が向上する。
【0009】
また、本発明の計量注出器は、前記充填位置と前記注出位置との間に、前記連通口及び前記注出口が閉塞される中間位置が設定されていてもよい。
この発明では、充填位置から注出位置まで外側部材を移動させる際、中間位置において連通口及び注出口を閉塞した後に注出口が開放されるように構成することで、容器内の内容物は、注出口が開放される際に連通口を通って充填空間に充填されず、充填空間の容積に応じた一定量の注出がより確実に行われる。
【0010】
また、本発明の計量注出器は、前記外側部材が、前記内側部材の外周面に沿って摺動する摺動筒部を有することが好ましい。
この発明では、摺動筒部によって外側部材が案内されるため、外側部材の往復移動が安定して行える。したがって、計量注出器の操作性がさらに向上する。
【0011】
また、本発明の計量注出器は、前記外側部材を前記充填位置で停止させる第1停止部と、前記外側部材を前記注出位置で停止させる第2停止部と、を有することが好ましい。
この発明では、外側部材が充填位置及び注出位置で停止されることで、外側部材の内側部材に対する往復移動が安定して行われ、計量注出器の操作性がさらに高められる。
【0012】
また、本発明の計量注出器は、前記内側部材が、柱状または筒状をなし、前記栓体部の外周面に形成された第1ネジ部を有し、前記外側部材が、前記第1ネジ部と螺合する第2ネジ部を有し、前記内側部材の中心軸回りで回転することで該中心軸に沿って往復移動することが好ましい。
この発明では、外側部材を中心軸回りの回転によって往復移動させるので、内容物が充填された外側部材の自重によって外側部材が中心軸に沿って移動することを防止できる。これにより、計量注出器の操作性がさらに向上する。
【0013】
また、本発明の計量注出器は、前記外側部材の外周面には、該外側部材を前記内側部材に対して操作可能な操作部が設けられていることが好ましい。
この発明では、操作部によって外側部材を容易に操作できる。
【発明の効果】
【0014】
この発明にかかる計量注出器によれば、充填空間への内容物の充填後に外部に露出している外側部材を往復移動させるだけで一定量の内容物を計量及び注出できるため、計量注出器の操作性がより高められる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態における計量注出器を示す軸方向断面図である。
【図2】図1の計量注出器を装着した容器を示す断面図である。
【図3】図1の計量注出器による計量方法を説明する軸方向断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態における計量注出器を示す軸方向断面図である。
【図5】図4の計量注出器による計量方法を説明する軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明における計量注出器の第1の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0017】
本実施形態における計量注出器1は、図2に示すように、例えばゲーブルトップなどの容器2に設けられた口部3に着脱可能に螺着される。
計量注出器1は、例えばPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)などの樹脂材料で形成されており、一体的に形成された装着筒部11及び内側部材12と、内側部材12に係合された外側部材13と、を備えている。これら装着筒部11、内側部材12及び外側部材13は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置された状態で配設されている。以下、この共通軸を中心軸Oと称し、図1において中心軸Oに沿って口部3に近接する方向を上方、口部3から離間する方向を下方とする。
【0018】
装着筒部11は、中心軸Oに沿って延在するほぼ円筒状をなしており、口部3に着脱可能に螺着される。
内側部材12は、連通部21、栓体部22及び外筒部23を備えている。
連通部21は、装着筒部11から順に連設された円環状平面部(第1停止部)25及び円筒状部26を有する。
円環状平面部25は、装着筒部11の下端から径方向内方に向けて延びている。また、円環状平面部25の上面には、装着筒部11と共に口部3を挟み込む環状の嵌合突起25Aが装着筒部11よりも径方向内方において上方に向けて突出して形成されている。
円筒状部26は、装着筒部11内に連通する連通路26Aが内部に形成された円筒状をなしており、円環状平面部25の内縁から中心軸Oに沿って下方に向けて延びている。そして、円筒状部26の下端部には、連通路26Aと連通部21の外部とを連通する連通口26Bが周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0019】
栓体部22は、中心軸Oに沿って下方に向けて延びる有頂円筒状をなしており、円筒状部26の下端に連設されている。そして、栓体部22は、円筒状部26の下端に接続されたほぼ円板状の天板部27と、天板部27の径方向外縁から中心軸Oに沿って下方に向けて延びる筒体部28と、を有する。
筒体部28の下端部には、流通口28Aが周方向に間隔をあけて複数形成されている。なお、筒体部28は、円筒状をなしているが、円柱状など中実の構造であってもよい。
【0020】
外筒部23は、中心軸Oに沿うほぼ円筒状をなしており、円環状平面部25の下面における外縁部から中心軸Oに沿って下方に向けて延びている。また、外筒部23の下端には、径方向内方に向けて突出する第1停止凸部(第2停止部)23Aが全周にわたって形成されている。
なお、内側部材12は、装着筒部11と一体に形成されている。
【0021】
外側部材13は、円筒状部26及び筒体部28に外嵌されており、中心軸Oに沿って上側から順に連設された第1摺動筒部(摺動筒部)31、充填部32及び第2摺動筒部(摺動筒部)33を備えている。
第1摺動筒部31は、中心軸Oに沿って延在するほぼ円筒状をなしており、円筒状部26の外周面と外筒部23の内周面との間に配置されている。そして、第1摺動筒部31の内径は、円筒状部26の外径とほぼ同等となっている。このため、第1摺動筒部31は、円筒状部26と外筒部23との間において円筒状部26の外周面に摺接する。
【0022】
また、第1摺動筒部31の中心軸Oに沿う長さは、外筒部23の長さと同等となっており、連通口26Bよりも長い。すなわち、第1摺動筒部31は、中心軸Oに沿って移動して連通口26Bを覆うことにより、連通口26Bを閉塞する。
さらに、第1摺動筒部31の上端には、径方向外方に向けて突出する第2停止凸部31Aが全周にわたって形成されている。以上より、第1摺動筒部31は、第1摺動筒部31の上端が円環状平面部25の下面に突き当たる充填位置と第1摺動筒部31の第2停止凸部31Aが外筒部23の第1停止凸部23Aに係止する注出位置との間で中心軸Oに沿って上下往復移動可能となっている。
【0023】
充填部32は、中心軸Oに沿う中空のほぼ長円球状をなしており、中央部が上下両端よりも径方向外方に向けて膨出している。また、充填部32の内部には、連通口26Bを通って連通路26Aと連通可能な充填空間32Aが形成されている。そして、充填部32は、上端が第1摺動筒部31の下端に接続されると共に下端が第2摺動筒部33の上端に接続されている。また、充填部32の下端には、充填空間32Aと外側部材13の外部とを連通する注出口13Aが形成されている。さらに、充填部32の中央部の外周面には、径方向外方に向けて突出する操作部32Bが全周にわたって形成されている。
なお、充填部32は、中心軸Oに沿う中央部を中心として上下に二分割された上側及び下側部材34、35を嵌合させることによって形成されている。ここで、上側部材34は、第1摺動筒部31と一体に形成されており、下側部材35は、第2摺動筒部33と一体に形成されている。
【0024】
第2摺動筒部33は、中心軸Oに沿って延在するほぼ円筒状をなしており、筒体部28の外周面に配置されている。そして、第2摺動筒部33の内径は、筒体部28の外径と同等となっている。このため、第2摺動筒部33は、筒体部28の外周面に摺接する。
第1及び第2摺動筒部31、33は、中心軸Oに沿って移動していくと、いずれか一方が連通口26Bまたは流通口28Aを覆っており、連通口26B及び流通口28Aを同時に開放しない。さらに、第1及び第2摺動筒部31、33は、充填位置から注出位置に移動していくと、連通口26Bを覆うまで流通口28Aを開放しない。
【0025】
次に、以上のような構成の計量注出器1による内容物の注出方法について説明する。
最初に、消費者(使用者)は、計量注出器1を容器2の口部3に螺着し、図2に示すように、計量注出器1の中心軸Oが鉛直方向に沿うように容器2を傾けた状態で容器2を保持具40で保持する。
【0026】
そして、消費者は、外側部材13を内側部材12に対して押し込んで充填位置とする(図1参照)。充填位置において、第1摺動筒部31は、下端が円筒状部26の連通口26Bの上端よりも上方に位置しているため、連通口26Bを開放している。そのため、容器2内に収容されている内容物は、装着筒部11内及び連通路26Aを通って充填空間32Aに流入すると共に、充填空間32Aの空気は、連通口26Bを通って連通路26Aへ導入置換される。一方、第2摺動筒部33は、上端が流通口28Aの上端よりも上方に位置しており、流通口28Aを閉塞している。そのため、注出口13Aは、栓体部22によって閉塞されている。これにより、充填空間32Aに充填された内容物は、注出口13Aから計量注出器1の外部に注出されない。したがって、充填空間32Aには、容積に応じた一定量の内容物が充填される。
【0027】
続いて、消費者は、操作部32Bを保持して中心軸Oに沿って下方に引き下げていく。操作部32Bを引き下げると、第1及び第2摺動筒部31、33は、それぞれ円筒状部26及び筒体部28の外周面に沿って下方に摺動する。そして、第1摺動筒部31は、充填位置と注出位置との間の中間位置において、下端が連通部21の連通口26Bを越えて下方に位置し、連通口26Bを覆う。これにより、連通口26Bは、第1摺動筒部31によって閉塞される。一方、第2摺動筒部33は、この中間位置において、上端が流通口28Aの上端に達しておらず、流通口28Aを覆っている。このため、注出口13Aは、栓体部22によって閉塞されている。
【0028】
そして、消費者は、操作部32Bをさらに引き下げ、外側部材13を注出位置に位置付ける(図3参照)。このとき、第2摺動筒部33は、上端が流通口28Aの上端よりも下方に移動するため、流通口28Aを開放する。このため、注出口13Aは、開放され、流通口28Aを通って充填空間32Aと連通する。これにより、充填空間32Aに充填されている内容物は、筒体部28の流通口28Aを通って注出口13Aから計量注出器1の外部に注出される。一方、容器2内の内容物は、第1摺動筒部31が連通口26Bを覆っているため、充填空間32Aに充填されない。
【0029】
なお、注出位置において、第2停止凸部31Aは、第1停止凸部23Aによって係止される。そのため、外側部材13は、注出位置から中心軸Oに沿ってさらに下方に移動することが防止される。これにより、注出位置における外側部材13の位置決めが容易に行われる。
このように、充填空間32Aに内容物を充填した状態では、先に連通口26Bを閉塞した後に注出口13Aを開放することで、容器2内の内容物が充填空間32Aにさらに充填されることを防止しつつ充填空間32Aの内容物を計量注出器1の外部に注出している。これにより、一定量の内容物が注出される。
【0030】
その後、消費者は、操作部32Bを保持して中心軸Oに沿って押し上げる。操作部32Bを押し上げると、第2摺動筒部33は、上端が流通口28Aの上端よりも上方に移動するため、流通口28Aを覆う。このため、注出口13Aは、栓体部22によって閉塞される。このように、上述とは逆に、連通口26Bを開放するよりも前に注出口13Aを閉塞することで、容器2内の内容物が計量注出器1を通って外部に漏洩することを防止する。
【0031】
そして、消費者は、操作部32Bをさらに押し上げ、外側部材13を充填位置に位置付ける。充填位置では、上述のように連通口26Bが開放されるため、容器2内の内容物が充填空間32Aに再び充填される。このように、外側部材13の中心軸Oに沿う移動は、連通部21または栓体部22の外周面に沿って摺動する第1及び第2摺動筒部31、33によって案内されるため、安定して行われる。
なお、充填位置において、第1摺動筒部31の上端は、円環状平面部25の下面に突き当てられる。そのため、外側部材13は、充填位置から中心軸Oに沿ってさらに上方に移動することが防止される。これにより、充填位置における外側部材13の位置決めが容易に行われる。
以上のようにして、一定量の内容物を計量、注出する。
【0032】
以上のような構成の計量注出器1によれば、複雑な操作を行うことなく、外部に露出している外側部材13を中心軸Oに沿って往復移動させるだけで一定量の内容物を計量及び注出できる。また、第1及び第2摺動筒部31、33が連通部21または栓体部22の外周面に沿って摺動するため、外側部材13の往復移動が安定する。さらに、充填位置において第1摺動筒部31の上端が位置決めされ、注出位置において第2停止凸部31Aが係止されており、充填位置及び注出位置における外側部材13の位置決めが容易に行える。以上より、計量注出器1の操作性が向上する。
【0033】
次に、本発明による計量注出器の第2の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した第1の実施形態と同様であり、上述の第1の実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、図4及び図5においては、図1から図3と同一構成要素に同一符号を付し、この説明を省略する。
【0034】
第2の実施形態における計量注出器50は、図4に示すように、内側部材51及び外側部材52を備えている。内側部材51の栓体部55の筒体部56外周面には、雄ネジ部56Aが形成されている。外側部材52は、第1及び第2摺動筒部31、32と、内部に充填空間61Aが形成された充填部61と、ネジ筒部62と、フランジ部63とを備えている。
【0035】
充填部61の中央部の外周面には、充填部61を中心軸O回りで回転させる際の操作部64が設けられている。
ネジ筒部62は、中心軸Oに沿うほぼ円筒状をなしており、ネジ筒部62の内周面には、雄ネジ部56Aと螺合する雌ネジ部62Aが形成されている。
フランジ部63は、平面視ほぼ円板状をなしており、ネジ筒部62の外周面と充填部61の中央部の内周面とを接続している。また、フランジ部63には、周方向に間隔をあけて複数の流通口63Aが形成されている。そのため、充填空間61Aにおける内容物の流通は、フランジ部63によって阻害されない。
また、フランジ部63及びネジ筒部62は、一体的に形成されており、充填部61に対して相対回転不能に嵌着されている。
【0036】
次に、以上のような構成の計量注出器50による内容物の注出方法について説明する。
まず、消費者は、計量注出器50を容器2の口部3に螺着し、操作部64を保持して中心軸O回りで適宜回転させて外側部材52を上方に移動させることにより、外側部材52を充填位置に位置付ける(図4参照)。これにより、容器2内に収容されている内容物は、装着筒部11内及び連通路26Aを通って充填空間61Aに充填される。
【0037】
続いて、消費者は、操作部64を保持して中心軸O回りで回転させる。このとき、外側部材52は、栓体部55の雄ネジ部56Aと螺合しているネジ筒部62が中心軸O回りの回転によって下方に移動することにより、注出位置まで下方に移動する(図5参照)。これにより、充填空間61Aに充填されている内容物は、筒体部28の流通口28Aを通って注出口51Aから計量注出器50の外部に注出される。
以上のようにして、一定量の内容物を計量、注出する。
【0038】
以上のような構成の計量注出器50においても、上述と同様の効果を奏するが、内容物が充填された充填部61の自重によって外側部材52が中心軸Oに沿って移動することを防止できる。また、操作部64によって外側部材52を容易に回転させることができる。これにより、操作性がさらに向上する。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、装着筒部は、口部に螺着する構成となっているが、口部に嵌合して装着する構成など、他の構成であってもよい。
また、連通口は、円筒状をなす第1摺動筒部によって開閉されるが、開閉できれば他の形状をなす部材によって開閉されてもよい。
そして、連通路は、装着筒部内と連通口とを接続する流路であればよく、溝状など、他の形状であってもよい。
さらに、外側部材には、操作部が設けられていなくてもよく、充填部を直接操作して外側部材を中心軸に沿って上下移動または中心軸回りで回転させてもよい。
【0040】
また、充填位置では、第1摺動筒部の上端が内側部材の円環状平面部の下面に突き当たる構成となっているが、充填位置に外側部材を位置づけることができれば、突き当たる構成でなくてもよい。内側部材及び外側部材それぞれは、第1及び第2停止凸部を有しているが、注出位置に外側部材を位置付けることができれば、第1及び第2停止凸部を有していなくてもよい。ここで、例えば外側部材及び内側部材は、充填位置及び注出位置においてスナップ係合するような構成となっていてもよい。
【0041】
また、外側部材は、第1及び第2摺動筒部を有しているが、内側部材に対する外側部材の往復移動が安定して行えれば、第1及び第2摺動筒部の一方または双方を有していなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
この発明によれば、操作性をさらに高めた計量注出器に関して、産業上の利用可能性が認められる。
【符号の説明】
【0043】
1,50 計量注出器、2 容器、3 口部、11 装着筒部、12,51 内側部材、13,52 外側部材、13A,51A 注出口、21 連通部、22,55 栓体部、23A 第1停止凸部(第2停止部)、25 円環状平面部(第1停止部)、26A 連通路、26B 連通口、31 第1摺動筒部(摺動筒部)、32A,61A 充填空間、32B,64 操作部、33 第2摺動筒部(摺動筒部)、56A 雄ネジ部(第1ネジ部)、62A 雌ネジ部(第2ネジ部)、O 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する容器の口部に装着される計量注出器であって、
前記口部に装着される装着筒部と、
前記装着筒部に設けられた内側部材と、
前記内側部材に移動可能に外嵌され、該内側部材との間に充填空間を形成する中空の外側部材と、を備え、
前記内側部材が、前記装着筒部内に連通する連通路と、該連通路及び前記充填空間を連通する連通口が形成された連通部と、前記充填空間の内容物を注出する前記外側部材に形成された注出口を開閉する栓体部と、を有し、
前記外側部材が、前記連通口が開放されかつ前記注出口が閉塞される充填位置と、前記連通口が閉塞されかつ前記注出口が開放される注出位置と、の間を往復移動自在に前記内側部材に外嵌されていることを特徴とする計量注出器。
【請求項2】
前記充填位置と前記注出位置との間に、前記連通口及び前記注出口が閉塞される中間位置が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の計量注出器。
【請求項3】
前記外側部材が、前記内側部材の外周面に沿って摺動する摺動筒部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の計量注出器。
【請求項4】
前記外側部材を前記充填位置で停止させる第1停止部と、前記外側部材を前記注出位置で停止させる第2停止部と、を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の計量注出器。
【請求項5】
前記内側部材が、柱状または筒状をなし、前記栓体部の外周面に形成された第1ネジ部を有し、
前記外側部材が、前記第1ネジ部と螺合する第2ネジ部を有し、前記内側部材の中心軸回りで回転することで該中心軸に沿って往復移動することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の計量注出器。
【請求項6】
前記外側部材の外周面には、該外側部材を前記内側部材に対して操作可能な操作部が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の計量注出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−228761(P2010−228761A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75317(P2009−75317)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】