説明

記憶媒体装着装置及び再生装置

【課題】記憶媒体を装着していない装着搬送体の移動を規制することができ、装着搬送体の誤動作を防止することができる記憶媒体装着装置及び再生装置を提供する。
【解決手段】記憶媒体が挿入される挿入口を有する筐体と、筐体内に移動可能に支持されており、挿入口に挿入された記憶媒体を着脱可能に装着する装着搬送体とを備え、装着搬送体は装着した記憶媒体を所定位置に搬送するようにしてある記憶媒体装着装置に、筐体に一端側が回動可能に支持されており、装着搬送体に係合する係合部を他端側に有する規制アーム21,22と、装着搬送体が記憶媒体を装着していない場合、装着搬送体及び規制手段が係合する係合位置へ規制アーム21,22を回動させ、装着搬送体が記憶媒体を装着した場合、非係合位置へ規制アーム21,22を回動させる可撓性舌片とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入口を有する筐体内に移動可能に支持されており、挿入口に挿入された記憶媒体を装着して、所定位置に搬送する装着体を備えた記憶媒体装着装置及び再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
iVDR(information Versatile Disk for Removable usage)と称される記憶媒体を着脱自在に装着し、データを再生する再生装置が提案されている(例えば、非特許文献1)。
【0003】
iVDRは、扁平略直方体のカートリッジ内部にハードディスク装置を収容し、背面凹部に接続端子を突設してなる持ち運び可能な記憶媒体である。
【0004】
また、iVDRの取り出しを容易にすべくエジェクト釦を設けた再生装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
更に、筐体の挿入口に挿入された記憶媒体を装着する装着体が筐体内部に移動可能に支持されており、挿入された記憶媒体によって装着体が背面側の所定位置へ移動した場合、装着体を筐体の背面側へ電動で搬送し、記憶媒体の接続端子と筐体内部に設けられた接続部とを接続する搬送機構を備えた記憶媒体装着装置が提案されている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2003−228447号公報
【特許文献2】特開2004−165071号公報
【非特許文献1】”iVDR規格 USB2.0/1.1対応アダプター”、[online]、平成16年、株式会社アイ・オー・データ機器、[平成17年9月10日検索]、インターネット<URL:http://www.iodata.jp/prod/storage/hdd/2004/usb2-ivdr>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の記憶媒体装着装置においては、挿入口に異物が挿入されて装着体が挿入方向へ移動した場合、記憶媒体を装着しないまま装着体が搬送される誤差動が生ずる虞があった。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、装着体に係脱可能に係合することで装着体の移動を規制する規制手段、及び装着体が記憶媒体を装着した場合、装着体及び規制手段の係合を解除する解除位置へ規制手段を移動させる規制解除手段を備えることにより、記憶媒体を装着していない装着体の移動を規制することができ、装着体の誤動作を防止することができる記憶媒体装着装置及び該記憶媒体装着装置を備えた再生装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的は、筐体に一端側が回動可能に支持されており、装着体に係合する係合部を他端側に有する規制アームと、装着体に設けられており、記憶媒体の挿入に応動して規制アームに当接し、係合部を装着体から脱離させる方向へ変位する弾性体とで、規制手段及び規制解除手段を夫々構成することにより、簡単な構成で装着体の移動を規制することができ、装着体の誤動作を防止することができる記憶媒体装着装置及び該記憶媒体装着装置を備えた再生装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、筐体に一端側が固定されており、装着体に係合する係合部を他端側に有する可撓性の規制アームと、装着体に設けられており、記憶媒体の挿入に応動して規制アームに当接し、係合部を装着体から脱離させる方向へ変位する弾性体とで、規制手段及び規制解除手段を夫々構成することにより、規制アームを支持する回動機構を備える場合に比べて、より低コストで規制手段を構成することができ、また記憶媒体装着装置の寸法をより小さく構成することができる記憶媒体装着装置及び該記憶媒体装着装置を備えた再生装置を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、弾性体を、筐体と一体形成された板ばねで構成することにより、規制解除手段をより低コストで構成することができる記憶媒体装着装置及び該記憶媒体装着装置を備えた再生装置を提供することを目的とする。
【0011】
本発明の他の目的は、規制アーム及び弾性体の組を複数備え、各組を記憶媒体の挿入方向に対して非平行な方向に並設することにより、単一の規制手段及び規制解除手段を備える場合に比べ、より効果的に装着体の誤動作を防止することができる記憶媒体装着装置及び該記憶媒体装着装置を備えた再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る記憶媒体装着装置は、記憶媒体が挿入される挿入口を有する筐体と、該筐体内に移動可能に支持されており、前記挿入口に挿入された記憶媒体を着脱可能に装着する装着体とを備え、該装着体は装着した記憶媒体を所定位置に搬送するようにしてある記憶媒体装着装置において、前記装着体に係脱可能に係合することで、前記装着体の移動を規制する規制手段と、前記装着体が記憶媒体を装着していない場合、前記装着体及び前記規制手段が係合する係合位置へ前記規制手段を移動させ、前記装着体が記憶媒体を装着した場合、非係合位置へ前記規制手段を移動させる規制解除手段とを備えることを特徴とする記憶媒体装着装置。
【0013】
本発明に係る記憶媒体装着装置は、前記規制手段は、前記筐体に一端側が回動可能に支持されており、前記装着体に係合する係合部を他端側に有する規制アームを備え、前記規制解除手段は、前記装着体に設けられており、記憶媒体の挿入に応動して前記規制アームに当接し、前記係合部を前記装着体から脱離させる方向へ変位する弾性体を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る記憶媒体装着装置は、前記規制手段は、前記筐体に一端側が固定されており、前記装着体に係合する係合部を他端側に有する可撓性の規制アームを備え、前記規制解除手段は、前記装着体に設けられており、記憶媒体の挿入に応動して前記規制アームに当接し、前記係合部を前記装着体から脱離させる方向へ変位する弾性体を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る記憶媒体装着装置は、前記弾性体は、前記装着体に一体形成された板ばねであることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る記憶媒体装着装置は、前記規制アーム及び前記弾性体の組は複数であり、記憶媒体の挿入方向に対して非平行な方向に並設されていることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る再生装置は、上述のいずれか一つの記憶媒体装着装置を備え、該記憶媒体装着装置が装着した記憶媒体のデータを再生するようにしてあることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、装着体が記憶媒体を装着していない場合、規制解除手段は、係合位置へ規制手段を移動させるため、装着体の移動は規制手段によって規制される。筐体の挿入口に挿入された記憶媒体を装着体が装着した場合、規制解除手段は、非係合位置へ規制手段を移動させるため、装着体は移動可能になる。
【0019】
本発明にあっては、規制手段は、一端側が筐体に回動可能に支持されている規制アームを備えており、装着体が記憶媒体を装着していない場合、規制アームが他端側に有する係合部と装着体とが係合する。係合部と装着体とが係合した場合、装着体の移動は規制される。
規制解除手段は装着体に設けられた弾性体を備えており、弾性体は、挿入口に挿入された記憶媒体の挿入に応動して、規制アームに当接し、係合部が装着体から脱離する方向へ規制アームを回動させる。規制アームが回動し、係合部が装着体から脱離した場合、装着体は移動可能になる。
従って、記憶媒体を装着していない装着体の移動を規制することができる。
【0020】
本発明にあっては、規制手段は、一端側が筐体に固定されている可撓性の規制アームを備えており、装着体が記憶媒体を装着していない場合、規制アームが他端側に有する係合部と装着体とが係合する。係合部と装着体とが係合した場合、装着体の移動は規制される。
規制解除手段は装着体に設けられた弾性体を備えており、弾性体は、挿入口に挿入された記憶媒体の挿入に応動して、規制アームに当接し、係合部が装着体から脱離する方向へ規制アームを変位させる。規制アームが弾性力に逆らって変位し、係合部が装着体から脱離した場合、装着体は移動可能になる。
従って、記憶媒体を装着していない装着体の移動を規制することができる。
また、係合部を装着体から脱離させるためには、規制アームを弾性力に逆らって変位させる必要があるため、記憶媒体装着装置の姿勢を変化させても規制アームが重力によって変位し、係合部が弾性体から脱離することはない。
従って、記憶媒体装着装置の姿勢に関わらず、装着体の移動は規制される。
更に、規制アームの一端側は、筐体に固定された可撓性部材で構成されている。従って、規制アームの一端側に回動機構を備える場合に比べて、より低コストで規制アームを構成することができる。また、回動機構を備える場合に比べて、記憶媒体装着装置の寸法をより小さく構成することができる。
【0021】
本発明にあっては、弾性体は板ばねであり、弾性体及び装着体は一体形成されている。従って、弾性体を別体で構成する場合に比べて、規制解除手段をより低コストで構成することができる。
なお、装着体が装着した記憶媒体を押圧保持する板ばねと規制解除手段とを兼用するように構成した場合、より低コストで規制解除手段を構成することができる。
【0022】
本発明にあっては、記憶媒体の挿入方向に対して非平行な方向に規制アーム及び弾性体の組が複数並設されている。従って、すべての規制アームを回動又は変位させて、係合部を装着体から脱離させない限り装着体の移動は規制される。
従って、所定形状の記憶媒体が所定方向から挿入された場合、すべての規制アームが回動して、係合部が装着体から脱離し、装着体が移動可能になる。ところが、非所定方向から挿入された場合、一部の係合部は装着体から脱離せず、装着体の移動は規制される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、記憶媒体を装着していない装着体の移動を規制することができ、装着体の誤動作を防止することができる。
【0024】
本発明によれば、規制アーム及び弾性体を備えた簡単な構成で、記憶媒体を装着していない装着体の移動を規制することができ、装着体の誤動作を防止することができる。
【0025】
本発明によれば、回動機構を備える場合に比べて、より低コストで規制アームを構成することができる。
また、回動機構を備える場合に比べて、記憶媒体装着装置の寸法をより小さく構成することができる。
更に、記憶媒体装着装置の姿勢に関わらず、装着体の移動を規制することができる。
【0026】
本発明によれば、装着体と弾性体とを一体形成することにより、規制解除手段を低コストで構成することができる。
【0027】
本発明によれば、単一の規制手段及び規制解除手段を備える場合に比べ、より効果的に装着体の誤動作を防止することができる。例えば、記憶媒体が挿入されても、挿入方向が誤っているような場合、装着体の規制状態は解除されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る再生装置1の略示斜視図である。図中10は、再生装置1を構成する略直方体の収容体であり、収容体10は、カートリッジ式の記憶媒体3を装着する記憶媒体装着装置2を収容している。
【0029】
記憶媒体3は、例えばiVDRであり、ハードディスクを収容した扁平略直方体のカートリッジを備えている。カートリッジの背面には、凹部が形成されており、該凹部の内部から背面側へ接続端子が突出している。
【0030】
図2は、記憶媒体装着装置2の要部を示す略示斜視図、図3及び図4は、記憶媒体装着装置2の要部を示す略示分解斜視図、図5は、記憶媒体装着装置2の略示分解平面図である。
【0031】
記憶媒体装着装置2は、略直方体の筐体20を備えている。筐体20は、図5に示すように、略矩形の底板20aを有しており、側壁20b、20cが曲成されている。底板20aの正面側には、図1に示すように記憶媒体3が挿入される矩形の挿入口20dを形成した正面壁20eが設けられ、背面側には、図5に示すように記憶媒体3の接続端子と接続する接続部24が配設されている。
再生装置1の収容体10は、図1に示すように、記憶媒体装着装置2の正面壁20eに倣う矩形の開口を正面側に形成しており、正面壁20eが開口から外側を臨むように記憶媒体装着装置2を保持している。
また、収容体10は、記憶媒体装着装置2が装着した記憶媒体3からデータを読み出し、再生する図示しない再生部、データ処理部、出力部等を備えており、記憶媒体3のデータを再生するように構成されている。
【0032】
筐体20は、挿入口20dから挿入された記憶媒体3を装着し、装着した記憶媒体3を接続部24側へ搬送する装着搬送体23及び搬送機構25を収容している。筐体20の側壁20b、20cには、装着搬送体23を前後方向へ移動可能に支持する案内レール25a、25bが設けられている。
【0033】
搬送機構25は、図5に示すように、底板20aに設けられていて、正面側移動端よりも所定長背面側に装着搬送体23が移動した場合、装着搬送体23を挿入口20d側から接続部24側へ搬送し、また背面側から正面側へ搬送するモータ、歯車、カム等で構成されている。
【0034】
また、両側壁20b、20cの上端には、図2乃至図4に示すように、平面視で底板20aと同形の筐体天板20fが配されている。筐体天板20fの正面側における横方向両端側には、装着搬送体23の移動を規制する規制アーム21、22が設けられている。
以下、図2中、筐体天板20fの右側に設けられた一の規制アーム21について説明する。
【0035】
図6は、記憶媒体装着装置2の外側上方から見た一の規制アーム21の略示斜視図、図7は、規制アーム21の略示斜視図である。
【0036】
規制アーム21は、略円柱形の基部21aを有している。基部21aの各端面の中心部には、回動軸21bが横方向に突設されている。筐体天板20fには、回動軸21bを支持するための支持孔を有する2枚の支持片20gが、基部21aを横方向から挟むように上方へ突設されており、支持アームの回動軸21bは、基部21aの中心線が横方向を向くように支持片20gによって回動可能に支持されている。
【0037】
基部21aから背面側に延設された規制アーム21の途中部分21cは、四角柱状に形成され、規制アーム21の先端部には、横方向内側及び下方へ適宜長延設されており、装着搬送体23に係合して装着搬送体23の移動を規制する係合突起21dが形成されている。係合突起21dは、側面視において、長方形の背面側下端の頂点を切り欠いた台形状をなしている。
【0038】
また、規制アーム21の先端部には、係合突起21dの下面21eより更に下方へ延設されており、記憶媒体3の装着を感知するための感知爪21fが形成されている。感知爪21fは、側面視において、下方に頂点を有する三角形状であり、背面側には、係合突起21dに連続形成されており、装着搬送体23の移動方向に対して傾斜する傾斜面21gを有し、正面側には規制アーム21の途中部分21cに対して略垂直な面を有している。
【0039】
筐体天板20fには、平面視で規制アーム21の基部21a、途中部分21c及び係合突起21dに倣う逆L字状の開口部20hが形成されており、係合突起21d及び感知爪21fが筐体天板20fより下方内側に進入している。開口部20hの側壁20b側には、鉤状規制部20iが突設されていて、鉤状規制部20iは、規制アーム21の上方への回動を規制している。
【0040】
また、規制アーム21の先端部には、筐体天板20fの外面に当接して、規制アーム21の下方への回動を規制するための規制片21hが背面側へ延設されている。規制片21hの上面は、途中部分21cの上面に連続しており、厚みは係合突起21dよりも薄く形成されている。
【0041】
図8は、筐体20内部の上方から見た規制アーム21の略示斜視図、図9は、筐体20内部の背面側から見た規制アーム21の略示斜視図、図10は、装着搬送体23を構成する搬送体天板23aの略示平面図である。
【0042】
装着搬送体23は、記憶媒体3を装着可能な四角筒状をなし、上部を構成する搬送体天板23aを備えている。搬送体天板23aは、装着搬送体23が正面側移動端に位置している場合に規制アーム21と上下一致する箇所に、背面側が凸になるようにU字状に切り込みを入れ、下方へ折り曲げてなる可撓性舌片23bが曲成されている。可撓性舌片23bの先端下部には、図9に示すように、装着搬送体23に装着された記憶媒体3を、可撓性舌片23bの付勢力にて押圧保持する押圧保持部26が設けられている。
【0043】
また、搬送体天板23aは、可撓性舌片23bを曲成することで形成された孔部の先端側から横方向内側へ連続形成されており、係合突起21dが係脱する矩形の係合孔23cを有している。装着搬送体23が正面側移動端に位置している場合、規制アーム21の係合突起21dが係合孔23cに係合して装着搬送体23の移動を規制し、規制アーム21の感知爪21fが可撓性舌片23bの先端部に当接する。
【0044】
図11は、記憶媒体装着装置2の外側上方から見た他の規制アーム22の略示斜視図、図12は、筐体20内部の上方から見た規制アーム22の略示斜視図、図13は、規制アーム22の略示斜視図である。
【0045】
正面視で筐体天板20fの左側に設けられた他の規制アーム22は、右側に設けられた規制アーム21と左右対称形であり、規制アーム21と同様の基部22a、回動軸22b、途中部分22c、係合突起22d、下面22e、感知爪22f、傾斜面22g、規制片22hを有し、規制アーム21と同様の機構で装着搬送体23の移動を規制するように構成されている。
【0046】
筐体天板20fには、支持片20gと同様、基部22aの回動軸22bを回動可能に支持する2枚の支持片20jが突設されている。また、筐体天板20fは、平面視で規制アーム22の基部22a、途中部分22c及び係合突起22dに倣う逆L字状の開口部20kが形成されており、開口部20kの側壁20c側には、鉤状規制部20lが突設されていて、鉤状規制部20lは、規制アーム22の上方への回動を規制している。
【0047】
搬送体天板23aは、装着搬送体23が正面側移動端に位置している場合に規制アーム22と上下一致する箇所に、可撓性舌片23dが曲成されおり、可撓性舌片23dの先端の下方には、押圧保持部が設けられている。
【0048】
また、搬送体天板23aは、可撓性舌片23dを曲成することで形成された孔部の先端側から横方向内側へ連続していて、係合突起22dが係脱する矩形の係合孔23eが形成されている。装着搬送体23が正面側移動端に位置している場合、規制アーム22の係合突起22dが係合孔23eに係合して装着搬送体23の移動を規制し、規制アーム22の感知爪22fが可撓性舌片23dの先端部に当接する。
【0049】
このように構成された記憶媒体装着装置2の動作を説明する。
図14乃至図16は、記憶媒体装着装置2による記憶媒体3の装着動作の説明図である。以下、規制アーム21の動作を説明するが、規制アーム22の動作も同様である。
【0050】
図14に示すように、装着搬送体23が正面側移動端に位置していて、記憶媒体3を装着していない場合、可撓性舌片23bは背面側下方へ傾斜した非変形状態にある。規制アーム21の係合突起21dは、搬送体天板23aの係合孔23cに係合し、装着搬送体23の前後方向の移動は規制される。
従って、挿入口20dから異物が挿入されて装着搬送体23が背面側へ押圧された場合であっても、装着搬送体23は背面側へ移動しない。
【0051】
次に、記憶媒体3が挿入口20dから挿入され、図15に示すように、装着搬送体23に進入した場合、押圧保持部26が、可撓性舌片23bの付勢力に逆らって記憶媒体3の挿入に応動し、上方へ持ち上げられる。押圧保持部26と共に可撓性舌片23bが上方へ変位した場合、可撓性舌片23bに当接している感知爪21fも上方へ持ち上げられ、規制アーム21が上方へ回動する。規制アーム21が上方へ回動した場合、係合突起21dが搬送体天板23aの係合孔23cから脱離し、装着搬送体23の移動規制が解除される。つまり、装着搬送体23は、前後方向へ移動可能な状態になる。
【0052】
押圧されて装着搬送体23が背面側の所定位置まで移動した場合、搬送機構25が動作して装着搬送体23は、背面側へ搬送される。装着搬送体23が背面側へ移動した場合、感知爪21fは、可撓性舌片23b及び搬送体天板23a上を摺動する。図16に示すように、感知爪21fの先端が搬送体天板23aの正面端部を通過した場合、規制アーム21は、感知爪21f及び係合突起21dの傾斜面21gを搬送体天板23aの正面端部に当接させながら下方へ回動する。更に装着搬送体23が背面側へ移動し、傾斜面21gが搬送体天板23aから離れた場合、規制アーム21の途中部分21cが筐体天板20fに対して略平行になった状態で規制片21hが筐体天板20fに当接し、規制アーム21の下方への回動が規制される。
【0053】
次に、装着搬送体23が背面側から正面側へ移動する場合を説明する。
装着搬送体23が背面側から正面側へ移動した場合、感知爪21f及び係合突起21dの傾斜面21gに搬送体天板23aの正面端部が当接し、係合突起21dは搬送体天板23a上へ持ち上げられる。更に、装着搬送体23が正面側移動端まで移動し、記憶媒体3が取り出された場合、可撓性舌片23bは付勢力によって下方へ移動し、規制アーム21も下方へ回動する。そして、係合突起21dが搬送体天板23aの係合孔23cに係合し、装着搬送体23の前後方向の移動が再び規制される。
【0054】
このように構成された再生装置1及び記憶媒体装着装置2にあっては、記憶媒体3を装着していない装着搬送体23の移動を規制することができ、装着搬送体23の誤動作を防止することができる。
【0055】
また、記憶媒体3の挿入に応動して規制アーム21、22による移動規制を解除する可撓性舌片23b、23dを、搬送体天板23aと一体形成し、更に可撓性舌片23b、23dを記憶媒体3の押圧保持に兼用しているため、低コストで移動規制を解除する手段を構成することができる。
【0056】
更に、規制アーム21、22及び可撓性舌片23b、23dを横方向両側に2組設けているため、1組の規制アーム及び可撓性舌片を備えた記憶媒体装着装置2に比べて、異物の挿入に対する装着搬送体23の誤作動をより効果的に防止することができる。
【0057】
実施の形態1にあっては、2組の規制アーム及び可撓性舌片を備えているが、3組以上の規制アーム及び可撓性舌片を備えても良い。
【0058】
また、iVDRを着脱する記憶媒体装着装置を説明したが、筐体を備えた他の記憶媒体を着脱するように構成しても良い。
【0059】
更に、規制アームの形状は、図7及び図13に示した形状に限定されず、一端側が回動可能に構成されており、装着搬送体に係合する係合部を他端側に備えていれば、他の形状出会っても良い。
【0060】
更にまた、記憶媒体の挿入に応動して変位する可撓性舌片を備えているが、記憶媒体が挿入された場合に変位し、規制アームを回動させることができれば、他の構成であっても良い。
【0061】
(実施の形態2)
図17は、実施の形態2に係る装着搬送体23の略示平面図、図18は、記憶媒体3の略示斜視図である。実施の形態2に係る再生装置1及び記憶媒体装着装置2は、規制アーム21、22及び可撓性舌片23b,23dの配置のみが実施の形態1に係る記憶媒体装着装置2と異なるため、以下では主に上記相違点を説明する。
【0062】
実施の形態2に係る記憶媒体装着装置2が装着する記憶媒体3は、iVDRであり、図18に示すようにカートリッジの寸法が規格化されている。カートリッジの横幅Wは、80.00mm、縦幅Dは67.00mm、厚みHは10.00mmである。
【0063】
搬送体天板23aの横方向における可撓性舌片23b、23d間の距離(D+α)は、記憶媒体3の横幅Wより短く、縦幅Dよりも長くなるように設定されている。また、規制アーム21、22間も同様の距離を隔てており、感知爪21f、22fが可撓性舌片23b、23dに当接している。
【0064】
このように構成された記憶媒体装着装置2にあっては、記憶媒体3が縦横逆に挿入された場合、可撓性舌片23b、23dの両方が記憶媒体3によって押し上げられることがないため、係合突起21d、22dの少なくとも一つが係合孔23c、23eに係合し、装着搬送体23の移動が規制される。
【0065】
従って、挿入方向を誤って記憶媒体3が挿入された場合であっても、装着搬送体23の誤作動を防止することができる。
【0066】
実施の形態2に係る記憶媒体装着装置2の他の構成、作用及び効果は、実施の形態1に係る記憶媒体装着装置2と同様であるため、対応する箇所には同様の符号を符して詳細な説明を省略する。
【0067】
(実施の形態3)
図19は、実施の形態3に係る記憶媒体装着装置2の要部を示す略示斜視図、図20は、記憶媒体装着装置2の要部を示す略示分解斜視図、図21は、筐体天板320fの底面図である。実施の形態3に係る記憶媒体装着装置2は、規制アーム321,322の構成が実施の形態1に係る記憶媒体装着装置2と異なるため、以下では主に上記相違点を説明する。
【0068】
実施の形態3に係る記憶媒体装着装置2を構成する筐体天板320fの正面側における横方向両端側には、装着搬送体23の移動を規制する規制アーム321、322が設けられている。
以下、図19中、筐体天板320fの右側に設けられた一の規制アーム321について説明する。
【0069】
図22は、記憶媒体装着装置の内側下方から見た一の規制アーム321の略示斜視図である。
規制アーム321は、基部321aが筐体天板320fに一体形成されており、可撓性を有する板状の途中部分321cが背面側へ延設されている。
【0070】
規制アーム321の先端部には、横方向内側及び下方へ適宜長延設されており、装着搬送体23に係合して装着搬送体23の移動を規制する板状の係合突起321dが形成されている。
【0071】
また、規制アーム321の先端部には、係合突起321dの下面より更に下方へ延設されており、記憶媒体3の装着を感知するための感知爪321fが形成されている。感知爪321fは、側面視において、下方に湾曲した頂点を有する三角形状である。
【0072】
筐体天板320fには、平面視で規制アーム321の基部321a、途中部分321c及び係合突起321dに倣う逆L字状の開口部320hが形成されており、係合突起321d及び感知爪321fが筐体天板320fより下方内側に進入している。
【0073】
図23は、記憶媒体装着装置の内側下方から見た他の規制アーム322の略示斜視図である。
規制アーム322は、規制アーム321と左右対称であり、規制アーム321と同様の基部322a、途中部分322c、係合突起322d、感知爪322fを有している。
【0074】
また、筐体天板320fには、開口部320hと左右対称形の開口部320kが形成されている。
【0075】
このように構成された再生装置1及び記憶媒体装着装置2にあっては、規制アーム321、322の一端側に回動軸及び支持片からなる回動機構を備える場合に比べて、低コストでしかも寸法を小さく構成することができる。
【0076】
また、記憶媒体装着装置2の姿勢に関わらす、装着搬送体23の移動を規制することができる。更に、耐振動性を備えることができる。
【0077】
実施の形態3に係る記憶媒体装着装置2の他の構成、作用及び効果は、実施の形態1に係る記憶媒体装着装置2と同様であるため、対応する箇所には同様の符号を符して詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態1に係る再生装置の略示斜視図である。
【図2】記憶媒体装着装置の要部を示す略示斜視図である。
【図3】記憶媒体装着装置の要部を示す略示分解斜視図である。
【図4】記憶媒体装着装置の要部を示す略示分解斜視図である。
【図5】記憶媒体装着装置の略示分解平面図である。
【図6】記憶媒体装着装置の外側上方から見た一の規制アームの略示斜視図である。
【図7】規制アームの略示斜視図である。
【図8】筐体内部の上方から見た規制アームの略示斜視図である。
【図9】筐体内部の背面側から見た規制アームの略示斜視図である。
【図10】装着搬送体を構成する搬送体天板の略示平面図である。
【図11】記憶媒体装着装置の外側上方から見た他の規制アームの略示斜視図である。
【図12】筐体内部の上方から見た規制アームの略示斜視図である。
【図13】規制アームの略示斜視図である。
【図14】記憶媒体装着装置による記憶媒体の装着動作の説明図である。
【図15】記憶媒体装着装置による記憶媒体の装着動作の説明図である。
【図16】記憶媒体装着装置による記憶媒体の装着動作の説明図である。
【図17】実施の形態2に係る装着搬送体の略示平面図である。
【図18】記憶媒体の略示斜視図である。
【図19】実施の形態3に係る記憶媒体装着装置の要部を示す略示斜視図である。
【図20】記憶媒体装着装置の要部を示す略示分解斜視図である。
【図21】筐体天板の底面図である。
【図22】記憶媒体装着装置の内側下方から見た一の規制アームの略示斜視図である。
【図23】記憶媒体装着装置の内側下方から見た他の規制アームの略示斜視図である。
【符号の説明】
【0079】
1 再生装置
2 記憶媒体装着装置
3 記憶媒体
10 収容体
20 筐体
20d 挿入口
20e 正面壁
20f 筐体天板
20g,20j 支持片
20h,20k 開口部
20i,20l 鉤状規制部
21,22 規制アーム
21d,21d 係合突起
21f,21f 感知爪
23 装着搬送体
23a 搬送体天板
23b,23d 可撓性舌片
23c,23e 係合孔
24 接続部
25 搬送機構
25a、25b 案内レール
26 押圧保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体が挿入される挿入口を有する筐体と、該筐体内に移動可能に支持されており、前記挿入口に挿入された記憶媒体を着脱可能に装着する装着体とを備え、該装着体は装着した記憶媒体を所定位置に搬送するようにしてある記憶媒体装着装置において、
前記装着体に係脱可能に係合することで、前記装着体の移動を規制する規制手段と、
前記装着体が記憶媒体を装着していない場合、前記装着体及び前記規制手段が係合する係合位置へ前記規制手段を移動させ、前記装着体が記憶媒体を装着した場合、非係合位置へ前記規制手段を移動させる規制解除手段と
を備えることを特徴とする記憶媒体装着装置。
【請求項2】
前記規制手段は、
前記筐体に一端側が回動可能に支持されており、前記装着体に係合する係合部を他端側に有する規制アームを備え、
前記規制解除手段は、
前記装着体に設けられており、記憶媒体の挿入に応動して前記規制アームに当接し、前記係合部を前記装着体から脱離させる方向へ変位する弾性体を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶媒体装着装置。
【請求項3】
前記規制手段は、
前記筐体に一端側が固定されており、前記装着体に係合する係合部を他端側に有する可撓性の規制アームを備え、
前記規制解除手段は、
前記装着体に設けられており、記憶媒体の挿入に応動して前記規制アームに当接し、前記係合部を前記装着体から脱離させる方向へ変位する弾性体を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶媒体装着装置。
【請求項4】
前記弾性体は、
前記装着体に一体形成された板ばねである
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の記憶媒体装着装置。
【請求項5】
前記規制アーム及び前記弾性体の組は複数であり、記憶媒体の挿入方向に対して非平行な方向に並設されている
ことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか一つに記載の記憶媒体装着装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の記憶媒体装着装置を備え、
該記憶媒体装着装置が装着した記憶媒体のデータを再生するようにしてある
ことを特徴とする再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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