説明

記憶装置及び記憶装置の制御方法

【課題】データの不揮発性メモリ書き込みが中断されてしまっても、次回立上げでは不揮発性メモリのフォーマット不正を発生させずに立ち上げることができる記憶装置及び記憶装置の制御方法を提供すること。
【解決手段】本発明の記憶装置は、不揮発性メモリ管理サービス1(制御機構)と、外部記憶装置2と、不揮発性メモリ3と、を備える。外部記憶装置2は、不揮発性メモリ使用サイズを格納する不揮発性メモリ使用サイズ21と、チェックサムを格納するChecksum値22と、を備える。不揮発性メモリ3は、複数のEntry 31(エントリ)を備える。複数のEntry 31の各々は、当該Entry が有効か否かを示すSignature 311と、Status312と、データ長313と、データ部314と、の各項目を備える。中断からの再開時には、チェックサムの再検証により、不揮発性メモリ3の障害か否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記憶装置及び記憶装置の制御方法に係り、特に、電源断が生じた際にも、記憶媒体の信頼性チェックが可能な記憶装置及び記憶装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理装置等のサーバ・プラットフォームでは、BIOS(Basic Input/Output System)やOS(オペレーティング・システム)の設定情報を保存する目的で、標準インターフェースが規定されており、また、BIOSが不揮発性メモリへのデータ追加、削除を行うサービスを提供している。
不揮発性メモリには、BIOSやOSを立ち上げるために必要な情報や障害ログが格納されており、その他、システム運用する上で必要な重要情報が格納されている。
なお、不揮発性メモリは、長期間使用による劣化などが原因で、故障する場合が有るため、従来は、不揮発性メモリを二重化するなどの技術が提案されている。
しかしながら、書き込み中の電源断が発生した場合には、データの整合がとれず、チェックサムチェックが不一致になってしまうという問題点が残っており、本発明でも、この問題点の解決を課題としている。
【0003】
本発明に先行する公知技術としては、例えば、特許文献1には、不揮発性記憶装置にデータを記録する際、データの書き込み処理が中断された場合であっても、どこまでが信用できるデータなのかを容易に判別できるデータ書き込み方法及び装置が開示されている。具体的には、不揮発性記憶手段へのデータの書き込み開始前及び書き込み処理中に、データ書き込みが中断される要因の発生の有無を検出し、予め設けたマーカビットを記録する領域に検出結果に応じたデータを付加して書き込むものとし。再立ち上げ後にマーカビットの変化点を検出することにより信用できるデータの範囲が確定できるものとしている。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、データ更新時の電源断などで書込みエラーが発生しても、正常な格納データを読み出せ、エラーを復旧させ継続使用可能な不揮発性メモリの管理方法が開示されている。具体的には、ユーザデータ領域にユーザデータを書込み、書き込み成功で、ユーザデータ配列参照情報が示すユーザデータ配列を読出し、妥当性確認情報演算書込み処理を実行して書込みデータと読出しデータを照合し、一致の場合、ユーザデータ配列参照情報の数だけユーザデータ配列に書込み完了か判定し、ノーでiに1を加えてユーザデータ領域書込み処理から再度実行する。データの妥当性判定で一致しないと新しいユーザデータ配列に変更してエラー復旧を行い、ユーザデータ領域への書込みから再度実行し継続使用するものとしている。
【0005】
また、例えば、特許文献3には、ヘッダ変換の際に行われるチェックサムの再計算に要する時間を削減するヘッダ変換装置が開示されている。具体的には、チェックサムフィールドを含む複数のフィールドが設けられた少なくとも一つのヘッダを持つパケットが入力された場合に、このヘッダのチェックサムフィールドを除く所定フィールドの値を変換する変換手段と、前記変換手段によって変換される前記所定フィールドの変換の前後の値を用いて算出されるチェックサムの差分値を記憶する差分値記憶手段と、前記変換手段によって所定フィールドの値が変換されたパケットのヘッダのチェックサムフィールドの値を前記差分値記憶手段に記憶される差分値を用いて新たな値に書き換える書換手段とを備えるものとしている。
【0006】
さらに、例えば、特許文献4には、書き込みが頻繁に行なわれる不揮発性メモリの信頼性を保ちつつ、不揮発性メモリの破壊を防止して寿命を延ばすことができ、また外観から寿命の時期の目安をつけられる技術が開示されている。具体的には、データを収納するためのデータ収納用不揮発性メモリと、データ収納用不揮発性メモリのチェックサムを収納するためのチェックサム収納用不揮発性メモリと、各々の不揮発性メモリ内のデータの読み込み/書き込みを制御する機能、及びデータ収納用不揮発性メモリからチェックサムを算出する機能を有する中央処理手段と、チェックサムのエラー、書き込み回数、メモリの寿命を表示する表示手段とを備え、中央処理手段により算出されたチェックサムの下所定桁をチェックサム収納用不揮発性メモリのチェックサム収納番地として、当該チェックサム収納番地に書き込みマークまたは書き込み回数を収納するものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−132464号公報
【特許文献2】特開2001−331382号公報
【特許文献3】特開2003−124977号公報
【特許文献4】特開平7−141899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、不揮発性メモリには、前述のとおり、BIOSやOSを立ち上げるために必要な情報や、その他の情報(例えば障害ログ)が格納されており、即ち、システムを運用する上での重要な情報が格納されている。
しかしながら、上記背景技術で述べた従来の記憶装置の制御方法にあっては、突然の電源断や、FATAL障害発生により、不揮発性メモリへの書き込みが中断してしまった場合、不揮発性メモリに期待外のフォーマットの状態で格納されることがあり、不揮発性メモリの全消去を行わなければシステムの立ち上げ不可になるケースが存在するという問題点が有る。
【0009】
例えば、不揮発性メモリへ書き込むデータは長さが可変長であるため、データの中にデータ長を格納しなければならない。けれども、突然の電源断や、FATAL障害発生により、このデータ長未格納の状態で書き込みが中断されると、次のブートではフォーマットが守られていない状態になるため、BIOSは不揮発性メモリの内容が不正と判断してシステムの立上げを停止させてしまうことになる。
【0010】
さらに、BIOSは、不揮発性メモリの診断を行うために、チェックサムを保有しているが、チェックサムの更新処理を行わずに電源断になった場合、次回立上げ時には、チェックサムが不一致となり、不揮発性メモリが不正と判断されてしまうという問題点が有った。このような事態が生じる理由を述べると、通常はデータ更新直後にチェックサムの更新を行うが、突然電源された場合には、チェックサム更新が行われないためである。この問題点を解決するための対策としては、不揮発性メモリを分割してチェックサムをとる手法も有るが、電源断によってチェックサム更新が行われていないブロックに関しては、不揮発性メモリが不正と見なされることまでは改善できないことになる。
【0011】
なお、特許文献1〜4に記載の公知技術は、ユーザが管理する一般的なデータがチェックサムによる診断対象となっており、また、リカバリ対象になっているが、不揮発性メモリに格納されているBIOSやOSを中断から立ち上げるために必要な情報や、その他の情報(例えば障害ログ)に対する根本的な診断やリカバリ処理としては、不十分であった。
【0012】
これに対し、本発明に係る記憶装置では、データを格納すると共に、格納データのチェックサム値を用いてデータ検証する第1の記憶媒体と、前記格納データのブロックサイズとチェックサム値とを格納する第2の記憶媒体と、該第1と第3の記憶媒体を制御する手段と、を備え、突然の電源断やFATAL障害の発生により、第1の記憶媒体への書き込みが中断してしまった場合であっても、第2の記憶媒体に記憶した情報を参照することで、本装置の次回立上げ時にはフォーマットエラーとすることなく、本装置を正常に再使用できるようにすることを骨子としている。
【0013】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、データの不揮発性メモリ書き込みが中断されてしまっても、次回立上げでは不揮発性メモリのフォーマット不正を発生させずに立ち上げることができる記憶装置及び記憶装置の制御方法を提供することを目的としている。
また、本発明の他の目的は、不揮発性メモリの格納データの正常性チェックに際しては、有効な部位のみを有効値として扱ってチェックサム検証を行うことを可能にして、電源断が起きても、不揮発性メモリの信頼性チェックを行うことができる記憶装置及び記憶装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明に係る記憶装置は、1記憶単位を構成するエントリ内に、所与のデータと、該データの属性情報と、該エントリの属性情報とを記憶する第1の記憶媒体と、前記第1の記憶媒体の現在までの使用量と、該使用量で示される前記第1の記憶媒体内の記憶データについてのチェックサム値とを記憶する第2の記憶媒体と、所与の指令に基づいて、前記第1と第2の記憶媒体の記憶内容を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る記憶装置の制御方法は、第1の記憶媒体の1記憶単位を構成するエントリ内に、所与のデータと、該データの属性情報と、該エントリの属性情報とを記憶するステップと、第2の記憶媒体に、前記第1の記憶媒体の現在までの使用量と、該使用量で示される前記第1の記憶媒体内の記憶データについてのチェックサム値とを記憶するステップと、所与の指令に基づいて、前記第1と第2の記憶媒体の記憶内容を制御する制御ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の記憶装置によれば、ハードウェアとして、第1と第2の記憶媒体とを備え、前記第2の記憶媒体には、前記第1の記憶媒体(例えば不揮発性メモリ)の現在までの使用量と、該使用量で示される前記第1の記憶媒体内の記憶データについてのチェックサム値とを記憶するように構成したので、突然の電源断やFATAL障害の発生により、第1の記憶媒体への書き込みが中断してしまった場合であっても、第2の記憶媒体に記憶した情報を参照することで、本装置の次回立上げ時にはフォーマットエラーとはしないで、本装置を正常に再使用できる効果が有る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る記憶装置の全体構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る記憶装置の変数新規作成処理時の処理手順を示すフローチャート図である。
【図3】本発明の実施形態に係る記憶装置の変数削除処理時の処理手順を示すフローチャート図である。
【図4】本発明の実施形態に係る記憶装置の変数更新処理時の処理手順を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の実施形態に係る記憶装置のアクセス要求処理時の処理手順を示すフローチャート図である。
【図6】本発明の実施形態に係る記憶装置の立ち上げ時の処理における処理手順を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、不揮発性メモリが記憶するデータの保全を図るものであり、具体的には、不揮発性メモリに値を格納している際に、電源切断されても、次回ブートではフォーマットエラーを起こさずにシステムが立ち上がることができるようにする。
また、データの正常性のチェックにおいても、有効な部位のみを有効値として扱えるようにすることで、電源断が起きても、不揮発性メモリの信頼性チェックを可能とする。
このため、本発明では、不揮発性メモリの格納形式を定義し、不揮発性メモリとは別個に設置した外部記憶装置に、不揮発性メモリの使用サイズとチェックサム値とを格納するようにし、その上で、不揮発性メモリの格納フォーマット、不揮発性メモリへの所定のアクセス手順を実行する。
【0019】
以下、本発明の記憶装置及び記憶装置の制御方法の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る記憶装置の全体構成を示す構成図である。
同図に示す本実施形態に係る記憶装置は、不揮発性メモリ管理サービス1(制御手段)と、外部記憶装置2(第2の記憶媒体)と、不揮発性メモリ3(第1の記憶媒体)と、を備える。
外部記憶装置2は、不揮発性メモリ使用サイズを格納する不揮発性メモリ使用サイズ21と、チェックサムを格納するChecksum値22と、を備える。
不揮発性メモリ3は、複数のEntry 31(エントリ)を備える。
本発明では、一般に、不揮発性メモリ3として、読み書き可能な任意の種類の記憶媒体を使用することができる。
【0020】
複数のEntry31の各々は、当該Entryが有効か否かを示すSignature311(Signature格納項目)と、Status312(Status格納項目)と、データ長313(データの長さを格納する項目)と、データ部314(データを格納する項目)と、を備える。
【0021】
この実施形態では、不揮発性メモリ管理サービス1が、図示しない上位の管理システムからの要求を受けて、外部記憶装置2及び不揮発性メモリ3を制御するものとしたが、本発明では、一般に、不揮発性メモリ管理サービス1の下位に図示しない制御システムを設置して、該制御システムが、不揮発性メモリ管理サービス1の要求を受けて外部記憶装置2及び不揮発性メモリ3を制御する構成とすることも可能である。
また、外部記憶装置2は、ここでは本発明に係る記憶装置の1構成要素としたが、遠隔地を含む任意の地点に設置された外部の記憶装置とすることも可能である。
【0022】
以下、本実施形態の記憶装置の動作を説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る記憶装置の変数新規作成処理時の処理手順を示すフローチャート図である。
以下、図1を参照しながら、図2に示すフローチャートを使用して、本実施形態に係る記憶装置の変数新規作成処理時の処理手順を説明する。
ここでは、不揮発性メモリ管理サービス1が、外部の上位システムからデータ新規作成指示を受けた場合について説明する。
まず、ステップA1では、不揮発性メモリ管理サービス1は、Signature を無効とした新規エントリを不揮発性メモリ3の最後尾に作成する。
【0023】
次に、ステップA2では、不揮発性メモリ管理サービス1は、作成したエントリに新規作成データ及びそのデータ長を格納する(より具体的には、データ長313に新規作成データのデータ長を、エントリ項目のデータ部314に該データを、それぞれ格納する)。
次に、ステップA3では、不揮発性メモリ管理サービス1は、作成したエントリのステータスを文字列の「ADDED 」とする(より具体的には、エントリ項目のStatus312に「ADDED 」を格納する)。
次に、ステップA4では、不揮発性メモリ管理サービス1は、作成したエントリのSignatureを有効とする(より具体的には、エントリ項目のSignature311に、例えば、有効を示すフラグを立てる)。
【0024】
最後に、ステップA5では、不揮発性メモリ管理サービス1は、不揮発性メモリ使用サイズと、チェックサム値とを外部記憶装置2に保存する(より具体的には、不揮発性メモリ使用サイズ21に不揮発性メモリ使用サイズを、Checksum値22には不揮発性メモリ3の記憶領域の、前記メモリ使用サイズの範囲で算出されるチェックサム値を、それぞれ格納する)。
【0025】
図3は、本発明の実施形態に係る記憶装置の変数削除処理時の処理手順を示すフローチャート図である。
以下、図1を参照しながら、図3に示すフローチャートを使用して、本実施形態に係る記憶装置の変数削除処理時の処理手順を説明する。
不揮発性メモリ管理サービス1が、外部の上位システムからデータ削除指示を受けた場合は、以下に示す処理を開始する。
【0026】
先ず、ステップB1では、不揮発性メモリ管理サービス1は、不揮発性メモリ3において、当該削除対象のデータを保持するエントリのエントリ項目であるStatus312に無効(かつ空き領域)を示す文字列の「DELETED」を格納する。
次に、ステップB2では、不揮発性メモリ管理サービス1は、当該削除対象データの不揮発性メモリ使用サイズを外部記憶装置2の不揮発性メモリ使用サイズ21に保存し、また、前述のチェックサム値を外部記憶装置2のChecksum値22に保存する。
【0027】
図4は、本発明の実施形態に係る記憶装置の変数更新処理時の処理手順を示すフローチャート図である。
以下、図1を参照しながら、図4に示すフローチャートを使用して、本実施形態に係る記憶装置の変数更新処理時の処理手順を説明する。
不揮発性メモリ管理サービス1が、外部の上位システムからデータ更新指示を受けた場合は、以下に示す処理を開始する。
先ず、ステップC1では、不揮発性メモリ管理サービス1は、当該更新対象のデータを保持するエントリを対象に、図3に示す手順でのデータの削除を行う。
次に、ステップC2では、不揮発性メモリ管理サービス1は、当該エントリへの当該更新データの書き込みを行う。
【0028】
図5は、本発明の実施形態に係る記憶装置のアクセス要求処理時の処理手順を示すフローチャート図である。
以下、図1を参照しながら、図5に示すフローチャートを使用して、本実施形態に係る記憶装置のアクセス要求処理時の処理手順を説明する。
ここでは、不揮発性メモリ管理サービス1 が、データリード要求を受けた場合の処理を説明する。
先ず、ステップD1では、不揮発性メモリ管理サービス1は、探査位置を不揮発性メモリ3の先頭領域(図示は省略)にセットする。
【0029】
次に、ステップD2では、不揮発性メモリ管理サービス1は、上記探査位置から順に、エントリを検索する。まず、現在のエントリのSignature311が無効であるか否かを検証し、現在のエントリのSignature311が無効である場合は目的のデータ変数無しと判断し、Not Foundの場合として処理を終了する。また、現在のエントリのSignature311が無効でない場合は、ステップD3に進む。
ステップD3では、不揮発性メモリ管理サービス1は、現在のエントリのSignature311が目的のデータであるか否かを検証し、現在のエントリのSignature311が目的のデータであった場合、当該現在のエントリに目的のデータが格納されていると判断し、Foundの場合として処理を終了する。また、現在のエントリのSignature311が目的のデータではなかった場合には、ステップD2に戻って次のエントリから検索を繰り返す。
【0030】
図6は、本発明の実施形態に係る記憶装置の立ち上げ時の処理における処理手順を示すフローチャート図である。
以下、図1を参照しながら、図6に示すフローチャートを使用して、本実施形態に係る記憶装置の立ち上げ時の処理における処理手順を説明する。
この立ち上げ時の処理手順は、システム障害等により中断していた処理を再開する場合に実行するものとする。
先ず、ステップE1では、不揮発性メモリ管理サービス1は、外部記憶装置2から、不揮発性メモリ使用サイズ21の内容(不揮発性メモリ使用サイズ)と、チェックサム値22の内容(チェックサム)とを取得する。
【0031】
次に、ステップE2では、不揮発性メモリ管理サービス1は、取得した不揮発性メモリ使用サイズの範囲で、不揮発性メモリ3の記憶領域に格納されているデータについてのチェックサムを算出する。
次に、ステップE3では、不揮発性メモリ管理サービス1は、ステップE2で算出したチェックサムと、ステップE1で取得したチェックサム値22の内容(チェックサム)とが一致するか否かを検証し、上記チェックサムの一致がとれなかった場合はステップE4に進み、上記チェックサムの一致がとれた場合はステップE6に移る。
ステップE4では、不揮発性メモリ管理サービス1は、前回データ削除中に電源断になった可能性を疑い(つまり、或るエントリのエントリ項目であるStatus312を、文字列の「ADDED」から文字列の「DELETED」に書き換えた状態で電源断になった可能性がある)ので、文字列の「ADDED」が示す数値データ(部分的なチェックサム)と、文字列の「DELETED」が示す数値データ(部分的なチェックサム)との差分値を、上記算出済のチェックサムに加算する。
【0032】
ステップE5では、不揮発性メモリ管理サービス1は、上記加算されたチェックサムでもってすれば、ステップE1で取得したチェックサム値22の内容(チェックサム)との一致がとれるか否かを再度検証する(このような検証を行う理由については後述する)。ここで、上記チェックサムの一致がとれない場合はステップE7に移り、また、上記チェックサムの一致がとれる場合はステップE6に進む。
ステップE6では、不揮発性メモリ管理サービス1は、不揮発性メモリ3を正常と判断し、未使用領域の初期化を行う。その後、処理を終了する(正常終了)。
ステップE7では、不揮発性メモリ管理サービス1は、不揮発性メモリ3に障害発生と判断し、処理を終了する(異常終了)。
【0033】
なお、図6のフローチャートに示す手順では、不揮発性メモリを前詰めに順番に使用することを前提としている。このようにすることで、不揮発性メモリ3を一様に使用することが可能となり、一部の領域に書き換えが集中することで、不揮発性メモリの書き換え可能上限に到達してしまうことを防ぐことができる。
エントリ更新中に電源断になった場合、エントリ更新中のエントリは必ず最後尾にあり(ステップA1参照)、外部記憶に保存された不揮発性メモリ使用領域長は、更新中の一つ前のエントリの末尾を指している。よって、次回立上げ時に、ステップE6にて、この更新中のエントリ部分を初期化することで、不揮発性メモリの整合を保つことができる。
同様に、データ追加時において、不揮発性メモリ使用サイズとチェックサム値とを更新する前に電源断になった場合は、追加中の変数(より具体的にはエントリ)は無効とすることができる。
【0034】
データ削除時に、不揮発性メモリ使用サイズとチェックサム値とを更新する前に電源断になった場合、チェックサム不一致となるが、この原因は、Status311の内容が、文字列の「ADDED」なるデータから、文字列の「DELETED」なるデータへと更新されたことにより、チェックサムの値が、その差分値だけ変化したことにある。よって、このような場合、「不揮発性メモリ3に障害発生」と、単純に判断してしまうことを避けるために、ステップE4にて算出したチェックサムに該差分値を加算した上で、チェックサムのチェックを再度行うことで、チェックサム不一致が、削除中の電源断によるものなのか、不揮発性メモリ3の障害発生によるものなのか否かを識別することができる。つまり、再度のチェックサム検証で一致がとれれば削除中の電源断によるものと判断され、また、再度のチェックサム検証でも一致がとれなければ不揮発性メモリ3の障害によるものと判断される。
【0035】
この実施の形態によれば、突然の電源断やFATAL障害の発生により、不揮発性メモリ3への書き込みが中断してしまった場合でも、次回立上げ時にフォーマットエラーとせず、中断されてしまったデータを前述のとおり無効化することで、不揮発性メモリ3のデータについての整合性が取れる効果が有る。
【0036】
また、突然の電源断やFATAL障害の発生により、外部記憶装置2に保存している不揮発性メモリ3内の現在までの格納データのチェックサム値の更新ができなかった場合でも、前述のとおり、本来チェックサムへ反映されるべき値差分をエントリのStatus312の内容変化のみに限定させ、その差分を加算して再度チェックサムの検証を行うことで、電源断によるチェックサム不一致と、不揮発性メモリ3の障害による不一致とを区別し、確実に不揮発性メモリ3のデータの有効性を診断できる効果が有る。
【0037】
なお、本発明に係る記憶装置の各構成要素の処理の少なくとも一部をコンピュータ制御により実行するものとし、かつ、上記処理を、図2〜6の各フローチャートで示した手順によりコンピュータに実行せしめるプログラムは、半導体メモリを始め、CD−ROMや磁気テープなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配付してもよい。そして、少なくともマイクロコンピュータ、パーソナルコンピュータ、汎用コンピュータを範疇に含むコンピュータが、上記の記録媒体から上記プログラムを読み出して、実行するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 不揮発性メモリ管理サービス(制御機構)
2 外部記憶装置(第2の記憶媒体)
3 不揮発性メモリ(第1の記憶媒体)
21 不揮発性メモリ使用サイズ
22 Checksum値(チェックサム値)
31 Entry(エントリ)。
311 Signature(有効/無効・フラグ)格納項目
312 Status(ステータス)格納項目
313 データ長格納項目
314 データ部(データ格納項目)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1記憶単位を構成するエントリ内に、所与のデータと、該データの属性情報と、該エントリの属性情報とを記憶する第1の記憶媒体と、
前記第1の記憶媒体の現在までの使用量と、該使用量で示される前記第1の記憶媒体内の記憶データについてのチェックサム値とを記憶する第2の記憶媒体と、
所与の指令に基づいて、前記第1と第2の記憶媒体の記憶内容を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする記憶装置。
【請求項2】
前記データは可変長データであり、前記制御手段は、前記属性情報には当該データの長さを示す情報を含めることを特徴とする請求項1記載の記憶装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記エントリの属性情報として、該エントリが有効か無効かを示すSignature情報と、該エントリのステータスを示すStatus情報との、2種類の情報を示すことを特徴とする請求項1または請求項2記載の記憶装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記Status情報として、エントリが新規に生成された時には文字列の「ADDED」を示し、当該エントリが削除された時には文字列の「DELETED」を示すことを特徴とする請求項3記載の記憶装置。
【請求項5】
前記制御手段は、中断からの再起動時には、前記第2の記憶媒体が記憶する前記現在までの使用量の範囲で、前記第1の記憶媒体の現在までの記憶データのチェックサム値を算出すると共に、該算出したチェックサム値と、前記第2の記憶媒体が記憶する前記チェックサム値とを比較することにより、前記第1の記憶媒体の現在までの記憶データを検証することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の記憶装置。
【請求項6】
前記制御手段は、中断からの再起動時には、前記第2の記憶媒体が記憶する前記現在までの使用量の範囲で、前記第1の記憶媒体の現在までの記憶データのチェックサム値を算出すると共に、該算出したチェックサム値と、前記第2の記憶媒体が記憶する前記チェックサム値とを比較し、該比較が不一致となる場合は、前記第2の記憶媒体が記憶する前記チェックサム値に対して前記文字列の「ADDED」と「DELETED」とのデータの相違によるチェックサム値の相違分を補正した上で、前記算出したチェックサム値との再比較を行うと共に、該再比較でも不一致となる場合は、前記第1の記憶媒体に障害が生じたと判断することを特徴とする請求項4記載の記憶装置。
【請求項7】
前記第1の記憶媒体は不揮発性メモリであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の記憶装置。
【請求項8】
第1の記憶媒体の1記憶単位を構成するエントリ内に、所与のデータと、該データの属性情報と、該エントリの属性情報とを記憶するステップと、
第2の記憶媒体に、前記第1の記憶媒体の現在までの使用量と、該使用量で示される前記第1の記憶媒体内の記憶データについてのチェックサム値とを記憶するステップと、
所与の指令に基づいて、前記第1と第2の記憶媒体の記憶内容を制御する制御ステップと、を有することを特徴とする記憶装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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