説明

記憶装置

【課題】BPMやDTMにおいて、サーボパターン部の磁化状態を安定に保つことが可能な磁気ディスク装置を提供する。
【解決手段】孤立した磁性ドット45によるデータ部と、サーボパターン部Sとが形成された磁気ディスク4を備える磁気ディスク装置1において、磁気ディスク4のサーボパターン部Sの半径方向に対して重なり、且つヘッドから離れた位置に、サーボパターン部Sの磁化の向きと同じ向きに磁化された永久磁石20を、磁気ディスク4の両面に配置した磁気ディスクである。永久磁石20は単独でも、気流整流板に取り付けた状態でも良い。永久磁石20の磁界によって、サーボパターン部Sの磁化の向きが一方向に維持され、磁化の安定度が高まる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は記憶装置に関し、特に、磁気により情報を記録・再生する磁気ディスク装置であって、データの記録面に溝または非磁性領域を設けて記録トラック間を分断した構造をもつ磁気記憶媒体、あるいは孤立した磁性ドットをユーザデータ部に形成した磁気記憶媒体を用いる磁気ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスクなどの磁気記憶媒体の面記録密度を向上させて記録容量を増大させるための技術として、記憶媒体の深さ方向に磁化を行う垂直磁気記録技術と、垂直磁気記憶媒体において所定の凹凸パターンを形成し、凸パターンにデータ信号とサーボ信号(ヘッドがトラック上をトレースするために使用される信号)を記録する媒体技術がある。この媒体技術に使用される垂直磁気記憶媒体は、ディスクリートトラック媒体(DTM)と呼ばれている。
【0003】
DTMは、記録トラックの間に非磁性部の領域を形成し、トラック間の干渉低減を図るものである。更に、DTMにおけるトラックを非磁性部で分断し、トラック方向のディスク媒体上に孤立した磁性ドットを形成し、この磁性ドットを情報単位(ビット)とするビットパターンド媒体(BPM)と呼ばれる媒体を用いる記録技術が期待されている。
【0004】
こうしたパターン加工したBPMを用いる磁気ディスク装置のサーボ信号は、磁気記録層(磁性領域)を加工し、磁性領域の有無によって形成することが考えられている。この場合、サーボ信号を与える磁性領域(サーボパターン部)の磁化状態は、通常、磁化の向きが媒体の表面側に向かう上向き、またはその反対の下向きのどちらか一方である。そして、サーボパターン部では、信頼性を確保するためにデータの長さが長いので、データ部において情報単位となるドットの面積(体積)に比べて、サーボパターン部の磁性体パターンの面積(体積)はかなり大きい。
【0005】
このため、サーボパターン部は静磁気相互作用の影響が大きくなり、熱揺らぎによる信号の劣化がユーザデータ部よりも生じやすくなる。そして、サーボパターン部の磁性体パターンに記録されるサーボ信号は、一旦記録されると再記録されることがない。この結果、サーボパターン部の磁性体パターンの磁化状態は熱に対して不安定となり、磁気ヘッドのトラック位置決め精度が悪化するという問題があった。この問題に対して、サーボ信号の再生出力の低下を検出して、サーボパターンの再着磁をすることが、特許文献1に提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2006−66006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、再生出力の検出においてサーボ信号の低下が生じている状態は、トラックへのヘッドの位置決め精度が劣化している状態であり、再着磁をおこなう領域へのヘッドの位置決め精度が劣化していることである。これを改善するためにサーボ信号低下の判定を厳しくすれば、特許文献1に開示の技術では頻繁に再着磁をおこなうことになる。すると、ユーザのディスク装置の使用中に再着磁が必要になったり、再着磁処理が長くなって消費電力が増大したりするなどの問題が生じ得る。
【0008】
そこでこの出願は、BPMやDTMにおいて、サーボパターン部に再着磁等の新たな処理を施す必要がなく、サーボパターン部の磁性体の上向き、あるいは下向きの磁化状態を安定に保つことを可能とすることができる、使い勝手の良い磁気ディスク装置(記憶装置)を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成する記憶装置は、孤立した磁性ドットによるデータ部と、サーボパターン部とが形成された磁気記憶媒体、及びこの記憶媒体の駆動機構と、記憶媒体に対してデータを読み書きするヘッドを備えたヘッドアクチュエータと、記憶媒体の回転時に、サーボパターン部の半径方向の全域に対向可能な部位に設けられた永久磁石とを少なくとも備えることを特徴とする記憶装置である。
【0010】
永久磁石は記憶装置の筐体に固定すれば良く、永久磁石の磁化の向きをサーボパターン部の磁化の向きと同じにする。また、記憶媒体の面上を流れる気流を安定させる気流安定板が記憶媒体に対向して設けられている場合には、永久磁石をこの気流安定板の一部に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0011】
この出願の記憶装置によれば、サーボ信号安定用の永久磁石がディスク媒体に対向して設けられており、サーボパターン部の磁性体パターンはディスク媒体の回転に伴って、この永久磁石による磁界を通過することにより磁化状態が強化されるので、サーボパターン部の磁性体パターンの磁化状態を安定に保つことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を用いてこの出願の記憶装置の実施の形態を、具体的な実施例に基づいて詳細に説明するが、その前に、図1から図3を用いて、孤立した磁性ドットによるデータ部と、サーボパターン部とが形成された垂直磁気記録ディスクの構成について説明する。
【0013】
図1は溝または非磁性領域によって記録トラック間が分断された構造を持つ、垂直記録用の磁気記憶媒体である垂直磁気記録ディスク4(以後単に磁気ディスク、あるいはディスクということもある)を示すものである。磁気ディスク4には、データを記録するデータ部Dと、トラックデータやセクタデータを含むサーボデータが記録されたサーボパターン部Sがある。図1はこのデータ部Dとサーボパターン部Sの磁気ディスク4の上の位置を示すものである。
【0014】
図2は、サーボパターン部Sと、記録トラック42の間に非磁性部の領域(溝)43が形成されたデータ部Dを備えるディスククリートトラック媒体(DTM)4Aを示すものである。サーボ信号用磁性体パターン41は、予め、上向き(DTM4Aの表面に向かう向き)あるいはその反対の向きのどちらか一方に磁化されている。そして、トラック42には図示しない磁気ヘッドによって垂直方向にデータが記録される。
【0015】
図3は、DTM4Aを更に発展させたビットパターンド媒体(BPM)4Bを示すものである。BPM4BにはDTM4Aと同様に、サーボパターン部Sとデータ部Dとが設けられている。BPM4Bのサーボパターン部Sの構成はDTM4Aと同様であり、サーボ信号用磁性体パターン41がある。BPM4Bのデータ部Dの構成はDTM4Aと異なり、記録トラック42の間に溝43が形成された上に、記録トラック42が非磁性部44で分断されてトラック方向のディスク媒体上に孤立した磁性ドット45が形成されている。そして、この磁性ドット45を情報単位(ビット)として、図示しない磁気ヘッドによって垂直方向にデータが記録される。
【0016】
図4は、図2または図3のようにデータ部Dとサーボパターン部Sが形成された磁気ディスク4を使用する記憶装置である、ロード/アンロード方式のハードディスク装置1の一例の構成を示すものである。磁気ディスク4は複数枚設けられることもあり、磁気ディスク4はハードディスク装置1のベース2の上の一方の側に設けられたスピンドルモータ3によって回転する。
【0017】
ハードディスク装置1のベース2の上の他方の側には、ディスク4のトラックにアクセスしてデータの読み書きを行うヘッドを備えるヘッドスライダが取り付けられたスイングアーム5がある。ヘッドスライダはスイングアーム5の先端部に取り付けられている。スイングアーム5は回転軸6を中心にして、破線で示す位置との間でスイングするように構成されている。回転軸6に対してスイングアーム5と反対側には、スイングアーム5を駆動するボイスコイルモータ7がある。29はヘッドの駆動回路である。
【0018】
また、ロード/アンロード方式のハードディスク装置1では、アンロード時にはヘッドをディスク4の外側に退避させる。このため、ロード/アンロード方式のハードディスク装置1には、ディスク4の外周部近傍のベース2の上に、スイングアーム5の先端部を保持するランプ機構10がある。ランプ機構10には、スイングアーム5の先端部に設けられたリフトタブ9を保持するためのランプ11がある。ランプ機構10はディスク4の外側に設けられるが、ランプ11はその一部が磁気ディスク4とオーバラップしている。
【0019】
例えば、パターン加工したBPM4Bの場合、サーボ信号を与えるサーボパターン部Sの各磁性体パターン41の面積(体積)は、データ部Dに配置される情報単位となる磁性ドット45の面積(体積)よりも大きい。このため、形状異方性や周囲からの静磁気的な相互作用によって、サーボパターン部Sの磁性体パターン41の保磁力はデータ部Dの磁性ドット45の保磁力よりも小さくなる。このことはサーボパターン部Sの磁性体パターン41の磁化がデータ部Dの磁性ドットの磁化45より不安定であることを示す。
【0020】
そこで、この出願では、サーボパターン部Sの磁性体パターン41の磁化状態を安定に保つことができるサーボ信号安定用板を、磁気ディスク4に対向させて設ける。図4には、第1の形態のサーボ信号安定用板S1と第2の形態のサーボ信号安定用板S2を示す。第1の形態のサーボ信号安定用板S1と第2の形態のサーボ信号安定用板S2は、共に板厚が1mm程度のドーナツ盤の一部のような形状である。
【0021】
第1の形態のサーボ信号安定用板S1は、板状の永久磁石20から構成される。サーボ信号安定用板S1は、磁気ディスク4の領域Mに対向する位置に、例えば、図5(a)に示すようなアーム状のブラケット21によって取り付けることができる。永久磁石20の磁気ディスク4の半径方向の長さは、磁気ディスク4のサーボパターン部Sが存在する内周部から外周部を全て覆うような長さである。永久磁石20の円周方向の長さは得に規定されるものではない。そして、永久磁石20は磁気ディスク4の面に垂直な方向に、上向き、あるいは下向きに磁化されている。永久磁石20の磁化の向きは、サーボパターン部Sの磁性体パターン41の磁化の向きと同じにする。また、永久磁石20を取り付ける磁気ディスク4の領域Mは、回動するスイングアーム5の先端部に搭載されたヘッド8の動作に影響を与えないように、ヘッド8が磁気ディスク4の最内周部に来たときの位置から最も遠い領域である。
【0022】
また、図6(a)、(b)に示すように、第1の形態のサーボ信号安定用板S1には、永久磁石20の両側に整流部材22,23を取り付けて、磁気ディスク4の上を流れる気流を乱さないようにした実施例が可能である。整流部材22は上下方向の両面がテーパ状になっており、整流部材23は、底面が永久磁石20の底面と面一であり、上面がテーパ面となっている。
【0023】
第2の形態のサーボ信号安定用板S2は、気流安定板24の一部に板状の永久磁石20が取り付けられて構成される。サーボ信号安定用板S2は、ドーナツ盤形状から、ヘッド8を搭載したスイングアーム5の回動する領域を取り除いた形状である。そして、サーボ信号安定用板S2は、磁気ディスク4の領域Nに対向する位置に、例えば、図5(b)に示すような複数個の取付具25によって取り付けることができる。永久磁石20のサイズは、第1の形態のサーボ信号安定用板S1における永久磁石20のサイズと同じで良い。また、永久磁石20の磁化の向きは、サーボパターン部Sの磁性体パターン41の磁化の向きと同じにし、磁気ディスク4の面に垂直な方向に上向き、あるいは下向きに磁化されている。そして、第2の形態のサーボ信号安定用板S2がハードディスク装置1に取り付けられた状態では、永久磁石20が磁気ディスク4の領域Mに対向するようになっている。
【0024】
また、図4に示した第2の形態のサーボ信号安定用板S2は、図7(a)に示すように、永久磁石20の円周方向の両側にそれぞれ気流安定板24を接合したものであり、永久磁石20と気流安定板24の板厚は同じである。この実施例では、接着性を良くするために、永久磁石20の円周方向の両側がテーパ状となっており、気流安定板24の接合面にはV字溝が形成されている。
【0025】
図7(b)は、第2の形態のサーボ信号安定用板S2の別の実施例を示すものである。この実施例のサーボ信号安定用板S2は、板厚の薄い1枚板の気流安定板24の両面に永久磁石20が貼り付けられて構成されている。第2の形態のサーボ信号安定用板S2としては、以上の実施例の構成以外にも、図7(c)に示すように、1枚板の気流安定板24の両面に凹部26を設け、永久磁石20をこの凹部26に嵌めこむ構成、及び図7(d)に示すように、永久磁石20をインサート成型によって気流安定板24の中に埋め込む構成が可能である。
【0026】
図8(a)は、以上のように構成されたハードディスク装置1の要部の断面を示すものであり、この例のハードディスク装置1には、スピンドルモータ3に磁気ディスク4が2枚取り付けられている。この構成の場合、永久磁石20は2枚の磁気ディスク4をそれぞれ両側から挟むように、取付具25によってベース2の内壁に固着されている。前述のように、永久磁石20の磁気ディスク4の半径方向の長さは、磁気ディスク4のサーボパターン部Sが存在する内周部から外周部を全て覆うような長さである。そして、永久磁石20は磁気ディスク4の面に垂直な方向に、上向き、あるいは下向きに磁化されている。永久磁石20の磁化の向きは、サーボパターン部Sの磁性体パターン41の磁化の向きと同じにして、サーボパターン部Sにある磁性体パターン41の磁化の維持を行う。これを図8(b)を用いて説明する。
【0027】
図8(b)は図8(a)の一部分を模式的に拡大して示すものである。サーボパターン部Sの磁性体パターン41の磁化の向きは、磁気ディスク4の上側の面にある磁性体パターン41が、磁気ディスク面に対して上向き(磁性体パターン41のディスク側がS極)であるとする。また、磁気ディスク4の下側の面にある磁性体パターン41が、磁気ディスク面に対して下向き(磁性体パターン41のディスク側がN極であってハードディスク装置から見れば上向き)であるとする。
【0028】
この場合、磁気ディスク4を挟む2つの永久磁石の磁化の向きは、磁気ディスク4にある磁性体パターン41の磁化の向きと同じであり、上向き(ハードディスク装置から見れば磁化の向きが上向き)である。即ち、磁気ディスク4を挟む下側の永久磁石20から上側の磁石20までの磁化の向きが同じ方向である。
【0029】
前述のように、パターン加工した記憶媒体の場合、サーボ信号を与えるサーボパターン部Sの磁性体パターン41の面積(体積)は、データ部Dの磁性ドット45の面積(体積)よりも大きい。このため、形状異方性や周囲からの静磁気的な相互作用によって、サーボパターン部Sの磁性体パターン41の保磁力は、データ部Dの磁性ドット45の保磁力よりも小さい。
【0030】
そこで、この保磁力の違いを利用し、サーボ信号安定用の永久磁石20の発生する磁界強度を、データ部Dの磁性ドット45の磁化の向きを反転させるといった影響を与えない程度にする。こうすることで、サーボ信号安定用の永久磁石20の発生する磁界が、サーボパターン部Sの磁性体パターン41の磁化の向きを一方向に維持するのを助長する。この結果、サーボパターン部Sの磁性体パターン41が回転して、永久磁石20の発生する磁界の中を通る毎に、磁化の安定度を高めることができる。
【0031】
更に詳しく説明すると、データ部Dの磁性ドット45は、例えば、保磁力5000[Oe]および磁化反転開始磁界3000[Oe]といった値を持つ。サーボ信号安定用の永久磁石20の強度を、データ部Dの磁性ドット45の位置においてドット45の磁化反転開始磁界よりも小さい値となるように、永久磁石20の配置と形状とを定める。永久磁石20の大きさを小さくしたり、データ部Dの磁性ドット45と永久磁石20との距離を長くしたりすることにより、データ部Dの磁性ドット45の位置における磁界強度は小さくなる。永久磁石20の種類としては、ネオジム磁石、またはサマコバ磁石を用いる。
【0032】
以上、本発明を特にその好ましい実施の形態を参照して詳細に説明した。本発明の容易な理解のために、本発明の具体的な形態を以下に付記する。
【0033】
(付記1) 孤立した磁性ドットによるデータ部と、サーボパターン部とが形成された磁気記憶媒体、及びこの記憶媒体の駆動機構と、
前記記憶媒体に対してデータを読み書きするヘッドを備えたヘッドアクチュエータと、
前記記憶媒体の回転時に、前記サーボパターン部の半径方向の全域に対向可能な部位に設けられた永久磁石とを少なくとも備えることを特徴とする記憶装置。(1)
(付記2) 前記永久磁石は、前記ヘッドアクチュエータの動作範囲の外側の領域において前記記憶装置の筐体に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。(2)
(付記3) 前記記憶媒体の面上を流れる気流を安定させる気流安定板が、前記ヘッドアクチュエータの動作範囲の外側の領域において前記記憶装置の筐体に固定され、且つ前記記憶媒体に対向して設けられており、
前記永久磁石は、この気流安定板の一部に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。(3)
(付記4) 前記永久磁石は、前記ヘッドからの距離が最も大きい位置の近傍に設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の記憶装置。(4)
(付記5) 前記永久磁石は前記記憶媒体の両面に設けられており、前記永久磁石の磁化の向きが、前記サーボパターン部の磁化の向きと同じであることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の記憶装置。(5)
【0034】
(付記6) 前記気流安定板は、前記永久磁石の両側に一体的に取り付けられていることを特徴とする付記3に記載の記憶装置。
(付記7) 前記永久磁石は、前記気流安定板の表面に貼り付けられて設けられていることを特徴とする付記3に記載の記憶装置。
(付記8) 前記永久磁石は、前記気流安定板の中に埋め込まれて設けられていることを特徴とする付記3に記載の記憶装置。
(付記9) 前記永久磁石は、前記気流安定板の表面に設けられた凹部に嵌め込まれて設けられていることを特徴とする付記3に記載の記憶装置。
(付記10) 前記永久磁石は、その端部が前記記憶媒体の面上を流れる気流の流れを乱さないように先細形状に形成されていることを特徴とする付記1に記載の記憶装置。
【0035】
(付記11) 前記永久磁石は、前記気流安定板の両面に貼り付けられて設けられていることを特徴とする付記7または9に記載の記憶装置。
(付記12) 前記気流安定板は、前記筐体の底面に突設された壁部材にその端部が固定されて設けられていることを特徴とする付記3に記載の記憶装置。
(付記13) 前記記憶媒体が、前記データ部において記録トラックの間に非磁性部の領域が形成され、且つ前記記録トラックが非磁性部で分断されてトラック方向のディスク媒体上に孤立した磁性ドットが形成されたビットパターンド媒体(BPM)であることを特徴とする付記1から12の何れかに記載の記憶装置。
(付記14) 前記記憶媒体が、前記データ部において記録トラックの間に非磁性部の領域が形成されたディスククリートトラック媒体(DTM)であることを特徴とする付記1から12の何れかに記載の記憶装置。
(付記15) 前記永久磁石の強度が、データ部の磁性ドットの位置においてドットの磁化反転開始磁界よりも小さい値であることを特徴とする付記5から11の何れかに記載の記憶装置。
【0036】
(付記16) 前記永久磁石の保磁力が、3000[Oe]未満であることを特徴とする付記15に記載の記憶装置。
(付記17) 前記永久磁石がネオジム磁石、またはサマコバ磁石であることを特徴とする付記1に記載の記憶装置。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】溝または非磁性領域によって記録トラック間が分断された構造を持つ、垂直記録用の磁気記憶媒体(磁気ディスク)の平面図である。
【図2】サーボパターン部と、記録トラックの間に非磁性部の領域が形成されたデータ部を備えるディスククリートトラック媒体(DTM)の部分拡大斜視図である。
【図3】サーボパターン部と、記録トラックの間に非磁性部の領域が形成され且つ記録トラックが非磁性部で分断されてトラック方向のディスク媒体上に孤立した磁性ドットが形成されたデータ部を備えるビットパターンド媒体(BPM)の部分拡大斜視図である。
【図4】この出願における磁気ディスク装置の2つの実施例の形態を同時に示す磁気ディスク装置の斜視図である。
【図5】(a)は第1の形態のサーボ信号安定用板を磁気ディスクの所定領域に対向する位置に取り付けた状態を示す平面図、(b)は第2の形態のサーボ信号安定用板を磁気ディスクの所定領域に対向する位置に取り付けた状態を示す平面図である。
【図6】(a)は図4に示した永久磁石の別の実施例の構成を示す斜視図、(b)は図4に示した永久磁石の更に別の実施例の構成を示す斜視図である。
【図7】(a)は図4に示した第2の形態のサーボ信号安定用板の構成を示す組立斜視図、(b)は図4に示した第2の形態のサーボ信号安定用板の別の構成を示す斜視図、(c)は第2の形態のサーボ信号安定用板の更に別の構成を示す部分拡大断面図、(d)は第2の形態のサーボ信号安定用板の更に別の構成を示す部分拡大断面図である。
【図8】(a)はこの出願の記憶装置の要部を拡大して示す断面図、(b)は(a)の永久磁石の作用を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1 ハードディスク装置
2 ベース
4 垂直磁気記録ディスク(磁気ディスク)
20 永久磁石
21 ブラケット
24 気流安定板
25 取付具
41 磁性体パターン
45 孤立した磁性ドット
43 非磁性部の領域(溝)
44 非磁性部
D データ部
S サーボ部
S1 第1の形態の信号安定用板
S2 第2の形態の信号安定用板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
孤立した磁性ドットによるデータ部と、サーボパターン部とが形成された磁気記憶媒体、及びこの記憶媒体の駆動機構と、
前記記憶媒体に対してデータを読み書きするヘッドを備えたヘッドアクチュエータと、
前記記憶媒体の回転時に、前記サーボパターン部の半径方向の全域に対向可能な部位に設けられた永久磁石とを少なくとも備えることを特徴とする記憶装置。
【請求項2】
前記永久磁石は、前記ヘッドアクチュエータの動作範囲の外側の領域において前記記憶装置の筐体に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項3】
前記記憶媒体の面上を流れる気流を安定させる気流安定板が、前記ヘッドアクチュエータの動作範囲の外側の領域において前記記憶装置の筐体に固定され、且つ前記記憶媒体に対向して設けられており、
前記永久磁石は、この気流安定板の一部に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項4】
前記永久磁石は、前記ヘッドからの距離が最も大きい位置の近傍に設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の記憶装置。
【請求項5】
前記永久磁石は前記記憶媒体の両面に設けられており、前記永久磁石の磁化の向きが、前記サーボパターン部の磁化の向きと同じであることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−230838(P2009−230838A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78643(P2008−78643)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】