説明

記憶装置

【課題】データページの読み込み時間の短縮を可能にするメモリシステムを提供する。
【解決手段】記憶装置は、所定の数のビットからなるデータページ102を複数有する不揮発性メモリ100と、ビットの状態出力を要求するコントローラ110とを有し、不揮発性メモリ100は、ビットの状態出力の要求を受けた際に、ビットの論理値を検査する論理回路103を有し、ビットが全て書き込み可または書き込み不可を示す論理値をコントローラに出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性メモリの一つであるNAND型フラッシュメモリは、音楽データや画像データ、
映像データ等を扱う携帯機器等の記憶装置として広く使用されている。例えば、携帯機器
としては携帯電話やデジタルカメラ、スマートフォンを主に含むPDA(Persona
l Digital Assistant)等が挙げられる。また、パーソナルコンピュ
ータ等に接続されるUSB(Universal Serial Bus)メモリ等にも
NAND型フラッシュメモリ等の不揮発性メモリが使用されている。
【0003】
NAND型フラッシュメモリは微細化が進むにつれ、書き込み及び読み込み速度が遅くな
り、かつ書き換え回数の上限や読み出しディスターブ(Read Disturb:RD
)、ストレス誘起リーク電流(Stress Induced Leakage Cur
rent:SILC)等のデータ信頼性が厳しくなっている。また、大容量化が進みメモ
リセルトランジスタあたりに2ビット、3ビットを記憶させる多値化技術によりコントロ
ーラの制御はますます複雑化している。そのため、コントローラの制御負担を軽減させ、
少しでもデータページの読み込み時間を短くする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−158922
【特許文献2】特開2005−317751
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
データページの読み込み時間の短縮を可能にする記憶装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の記憶装置は、所定の数のビットからなるデータページを複数有する不揮発性メ
モリと、前記ビットの状態出力を要求するコントローラとを有し、前記不揮発性メモリは
、前記ビットの状態出力の要求を受けた際に、前記ビットの論理値を検査する論理回路を
有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係るメモリカード1の構成を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ100の構成を示す概念図。
【図3】第1の実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ100のデータページ102の構造例を示す概念図。
【図4】第1の実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ100の構成を示す回路図。
【図5】第1の実施形態におけるNAND型フラッシュメモリ100からコントローラ110への読み出し動作時の出力用制御信号波形図。
【図6】第1の実施形態の比較例のNAND型フラッシュメモリ100の構成を示す概念図。
【図7】第1の実施形態の比較例におけるNAND型フラッシュメモリ100からコントローラ110への読み出し動作時の出力用制御信号波形図。
【図8】第2の実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ100の構成を示す概念図。
【図9】第2の実施形態に係るレスポンスデータの概念図。
【図10】第2の実施形態におけるNAND型フラッシュメモリ100からコントローラ110への読み出し動作時の出力用制御信号波形図。
【図11】第2の実施形態の変形例に係るレスポンスデータの概念図。
【図12】第2の実施形態の変形例におけるNAND型フラッシュメモリ100からコントローラ110への読み出し動作時の出力用制御信号波形図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明の記憶装
置の一例として、メモリカード1を挙げて説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係るメモリカード1の構成を示すブロック図を示している。メ
モリカード1は、例えばデジタルカメラ本体等のホスト装置2に接続された時に動作し、
ホスト装置2からの要求に応じたアクセス処理を行う。また、メモリカード1とホスト装
置2は、バスインターフェース30を介して接続される。ホスト装置2はメモリカード1
に対してアクセスを行うためのハードウェア及びソフトウェア、及びメモリカード1に電
源を供給するための電源回路を備えている。
【0010】
メモリカード1は、ホスト装置2との間でバスインターフェース30を介してデータの
授受を行う。メモリカード1は、不揮発性メモリの一種であるNAND型フラッシュメモ
リ100、及びNAND型フラッシュメモリ100を制御するコントローラ110が設け
られている。なお、不揮発性メモリとしては、NAND型フラッシュメモリ100に限定
されず、様々な種類の不揮発性メモリを使用することが可能である。
【0011】
コントローラ110は、例えば、NAND型フラッシュメモリ100内のどこの物理ブロ
ックアドレスに何番目の論理セクタアドレスのデータが含まれているか、あるいはどこの
ブロックが消去状態であるか等の、NAND型フラッシュメモリ100内部の物理状態を
管理する。
【0012】
コントローラ110の内部には、ホストインターフェース(ホストI/F)111、MP
U(Micro Processing Unit)112、ROM(Read Onl
y Memory)113、RAM(Random Access Memory)11
4、バッファ115、メモリインターフェース(メモリI/F)116、ECC(Err
or Check and Correct)回路117等が設けられている。
【0013】
ホストインターフェース111は、所定のプロトコルに従ってコントローラ110とホス
ト装置2との間のインターフェース処理を行う。メモリインターフェース116は、所定
のプロトコルに従ってコントローラ110とNAND型フラッシュメモリ100との間の
インターフェース処理を行う。
【0014】
MPU112は、メモリカード1全体の動作を制御する。MPU112は、例えばメモリ
カード1が動作する時に、ROM113に格納されているファームウェア(制御プログラ
ム)をRAM114上に読み出して所定の処理を実行することにより、各種のテーブルを
RAM114上に作成する。また、MPU112は、ホスト装置2から書き込みコマンド
、読み出しコマンド、消去コマンド等を受け取り、NAND型フラッシュメモリ100に
対して所定の処理を実行し、バッファ115を通じたデータ転送処理を制御する。
【0015】
ROM113は、MPU112により制御される制御プログラム等を格納する。RAM1
14は、MPU112の作業エリアとして使用され、ROM113からロードされた制御
プログラムや各種のテーブルを記憶する。メモリインターフェース116は、コントロー
ラ110とNAND型フラッシュメモリ100との間のインターフェース処理を行う。
【0016】
バッファ115は、ホスト装置2から送られてくるデータをNAND型フラッシュメモリ
100に書き込む際に、ホストインターフェースに基づく一定量のデータを一時的に記憶
し、また、NAND型フラッシュメモリ100から読み出されるデータをホスト装置2へ
送り出す際に、一定量のデータを一時的に記憶する。
【0017】
ECC回路117は、ホスト装置2から送られる書き込みデータに対しては、所定のビッ
ト数からなるデータ部分ごとにエラー訂正符号を生成する。各エラー訂正符号は、これに
対応するデータ部分とともにNAND型フラッシュメモリ100に格納される。また、E
CC回路117は、NAND型フラッシュメモリ100から送られる読み出しデータに対
しては、エラー訂正符号を用いて、データ部分ごとにエラーの検出及び訂正を行う。エラ
ーの訂正を行った後、ECC回路117は、エラー訂正符号を取り除いた状態でデータを
バッファ115に送る。従って、ホスト装置2には、エラー訂正符号を含まない読み出し
データがメモリカード1から送られる。
【0018】
図2は第1の実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ100の構成を示す概念図、図
3は第1の実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ100のページ102の構造例を
示す概念図、及び図4は第1の実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ100の構成
を示す回路図を示している。NAND型フラッシュメモリ100は、データ消去単位であ
る複数のデータブロック101を備えている。各データブロック101は、データ書き込
み単位あるいはデータ読み出し単位である複数のデータページ102から構成される。
【0019】
図2に示すように、第1の実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ100はAND回
路103が設けられており、AND回路103はデータページバッファ104の各ビット
に接続している。ここで、AND回路103とは、論理回路の1つであり、論理積の演算
を行う回路である。2個以上の入力端子と、1個の出力端子を持ち、全ての入力端子に特
定の信号が加えられた時のみ、出力端子から出力信号が出力される。例えば、全ての入力
が“1”の場合は“1”を出力するが、1つでも“0”を入力した場合は“0”を出力す
る。
【0020】
図3に示すように、本実施形態のNAND型フラッシュメモリ100内の各データページ
102は、データ部と冗長部で構成されている。一般に、データ部には通常のデータを格
納し、冗長部にはECCデータ等の管理情報が格納される。本実施形態では、一例として
、512バイト分のデータ領域を4つと、10バイト分のECC領域を4つ、24バイト
分のSpace領域での計2112バイトで構成されている。従って、上述したAND回
路103は2112バイト分に接続している。
【0021】
ここで、NAND型フラッシュメモリ100は、一度書き込まれたデータページ102に
再度書き込みをするといった書き換え動作はできない。よって、書き込みを実施するデー
タページ102は必ず消去状態(OxFF)でなければならない。すなわち、消去状態(
OxFF)であるデータページ102は書き込み可能と判断される。
【0022】
図4に示すように、コントローラ110がNAND型フラッシュメモリ100へ指示をし
た際、例えば既定のコマンドを発行した際に、NAND型フラッシュメモリ100は指定
されたデータページ102の全ビットのANDをAND回路103で取り、最終的に出力
結果“0”または“1”のみをコントローラ110へ返す。ここで、指定されたデータペ
ージ102の全ビットのANDをAND回路103が取るのは、コントローラ110から
指示を受けた瞬間だけでなく、しばらく後であっても構わない。
【0023】
コントローラ110は、NAND型フラッシュメモリ100から入力した結果が“1”な
らば、指定されたデータページ102が消去済み(OxFF)と判断して、そのデータペ
ージ102は書き込み可能状態であると認識する。一方、コントローラ110は、NAN
D型フラッシュメモリ100から入力した結果が“0”ならば、指定されたページ102
は既に使用されていると判断して、そのデータページ102は書き込み不可状態であると
認識する。
【0024】
図5は第1の実施形態におけるNAND型フラッシュメモリ100からコントローラ11
0への読み出し動作時の信号波形を示している。NAND型フラッシュメモリ100へ読
み出し指示をするためには決められた信号形態があり、入出力バス(Input−Out
put Bus:I/Oバス)を介してCMD(00h)+Address+CMD(3
0h)をNAND型フラッシュメモリ100へ送る必要がある。コントローラ110から
NAND型フラッシュメモリ100への入力信号バス(CLE,ALE,/RE)を通る
信号により、NAND型フラッシュメモリ100はI/Oバスを通る信号の識別を行って
いる。ここで、“/RE”はREの反転信号を示している。
【0025】
まず、CLE(Command Latch Enable)が“H”レベルを示した場
合、I/Oバスを通る信号が制御コマンドであると識別する。次に、ALE(Addre
ss Latch Enable)が“H”レベルを示した場合、I/Oバスを通る信号
が記憶領域にアクセスするためのアドレス情報であると識別する。ここで、CLEとAL
Eの信号レベルは、排他的関係にある。
【0026】
/RE(Read Enable)が“L”レベルを示した場合、I/Oバスを通る信号
がNAND型フラッシュメモリ100からコントローラ110へ読み出されたデータ情報
であると識別する。/RE信号をToggleさせることにより、1データページ分のデ
ータを読み出す。また、I/Oバスは8ビットあるため、1回のToggleで8ビット
転送することが可能である。
【0027】
図5に示すように、第1の実施形態のメモリシステムの場合、/RE信号を1回トグル
させるのみで、コントローラ110から指定されたデータページ102の全てのビットが
“1”(OxFF)であるか、“0”であるかを知ることができる。
【0028】
ここで、従来のNAND型フラッシュメモリ100を比較例として挙げる。図6は第1
の実施形態の比較例のNAND型フラッシュメモリ100の構成を示す概念図、図7は第
1の実施形態の比較例におけるNAND型フラッシュメモリ100からコントローラ11
0への読み出し動作時の信号波形を示している。この比較例について、図2に示す第1の
実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ100の構成と同一部分は同一符号で示す。
【0029】
第1の実施形態と比較例の異なる点は、NAND型フラッシュメモリ100内にAND
回路103が設けられていない点である。この比較例においては、コントローラ110か
ら確認指示されたデータページ102が書き込み可能であるかを判別するために、対象デ
ータページ102のデータをNAND型フラッシュメモリ100からコントローラ110
へ読み込む必要がある。
【0030】
よって、対象データページ102のデータは、まずNAND型フラッシュメモリ100
内のデータページバッファ104に読み出され、その後、コントローラ110内のバッフ
ァ115へと読み込まれる。そして、MPU112がバッファ115に読み出された対象
データページ102のデータの全ビットを検査する。
【0031】
その際、第1の実施形態の場合と同様に、対象データページ102のデータの全ビットが
“1”であるならば、対象データページ102は消去済み(OxFF)、すなわち、書き
込み可能ページとして判定される。一方、対象データページ102のデータの内1つでも
“0”のビットがあるならば、対象データページ102は既に使用されている、すなわち
、書き込み不可ページとして判定される。
【0032】
比較例ではこのような動作によって、NAND型フラッシュメモリ100内のデータペ
ージ102の書き込み可否が判定される。従って、図7に示すように、コントローラ11
0へ1データページ分の2112バイトのデータを読み出すためには、/REの信号を2
112回トグルさせる必要がある。
【0033】
/RE信号が40MHzでトグルすると仮定した場合、2112バイト分のデータを読
み出すための使用時間は、約52.8μsとなる。
【0034】
上述したように、第1の実施形態のメモリシステムの場合、NAND型フラッシュメモ
リ100の周辺回路領域10にAND回路103を設けることにより、/RE信号をトグ
ルさせる回数が1回のみで済む。
【0035】
従って、従来の読み込み形態である比較例のメモリシステムと比べて、データの読み込み
時間を大幅に短縮することが可能となり、微細化・大容量化が進むNAND型フラッシュ
メモリ100におけるコントローラ110の制御負担を軽減させることができる。
【0036】
(第2の実施形態)
図8は第2の実施形態に係るメモリカード1の構成を示すブロック図を示している。第
2の実施形態について、図2に示す第1の実施形態に係るNAND型フラッシュメモリ1
00の構成と同一部分は同一符号で示す。
【0037】
第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、NAND型フラッシュメモリ100の周
辺回路領域10に設けられていたAND回路103をサーチ回路105にした点である。
ここで、サーチ回路105はカウント機能を有するように構成した回路のことである。第
2の本実施形態において、サーチ回路105は、データページバッファ104の全ビット
の中からデータが“0”であるビットの個数をカウントする機能を有する回路である。
【0038】
図8に示すように、サーチ回路105がデータページバッファ104の全てのビットに
接続されている。コントローラ110がNAND型フラッシュメモリ100へ指示をした
場合、例えば既定のコマンドを発行した場合に、NAND型フラッシュメモリ100は指
定されたデータページ102の全ビットの中からデータ“0”であるビットの個数情報を
コントローラ110へ返す。
【0039】
そして、コントローラ110は、この“0”の個数が一定の数を超えていた場合、その
対象のデータページ102は既に使用されていると判定する。一方、“0”の個数が一定
の数以下である場合、コントローラ110はその対象のデータページ102が書き込み可
能と判定する。
【0040】
ここで、書き込み可否の判断基準となるデータ“0”の個数は、使用するメモリシステ
ムのECC回路117のエラー訂正許容ビット数や、NAND型フラッシュメモリ100
の書き込み/読み出し(Write/Read:W/R)回数の上限またはデータ保持(
Data Retention:D/R)時間の寿命等によって各々定められる。
【0041】
ここで、NAND型フラッシュメモリ100からコントローラ110へのレスポンスは
データ“0”の個数情報である。よって、レスポンスのデータ長は、使用するメモリシス
テムにより定めることができる。
【0042】
図9は第2の実施形態に係るレスポンスのデータ長の概念図、図10は第2の実施形態
におけるNAND型フラッシュメモリ100からコントローラ110への読み出し動作時
の信号波形を示している。
【0043】
データ長は、書き込み可否Flagを1ビットと、使用するメモリシステムにより任意に
ビット長を定めることができるCountビットで構成される。データ“0”の個数がC
ountビットで表現できる上限を超えた場合に、Flagビットは“0”となる。一方
、データ“0”の個数がCountビットで表現できる場合は、Flagビットは“1”
となる。
【0044】
コントローラ110は、レスポンスデータのFlagビットが“0”、またはカウント
したデータ“0”の個数が判断基準を超える場合、対象のデータページ102は既に使用
されていると判定する。一方、カウントしたデータ“0”の個数が判断基準以内の場合、
対象のデータページ102は書き込み可能と判定される。
【0045】
ここで、一例として512バイト分のデータ領域を4つと、10バイト分のECC領域
を4つ、24バイト分のSpace領域での計2112バイトで考える。メモリコントロ
ーラ110から指定された、NAND型フラッシュメモリ100のデータページ102の
書き込み可否の判断基準となるデータ“0”の個数が24個までと定めたと仮定する。一
般に、nビットでは2のn乗個までの選択肢からなる情報を表現することができる。よっ
て、Countビットは最大で31個を表現できる5ビット以上確保すべきである。さら
に、Flagビット用に1ビット確保する必要があるので、ビット長は6ビット以上確保
する必要がある。
【0046】
よって、データ“0”の個数が32個以上である場合、Flagビットが“0”に設定
されるため、コントローラ110は対象のデータページ102が既に使用されていると判
定する。また、データ“0”の個数が25〜31個の間である場合、Flagビットは“
1”を示すが、Countビットの個数が24個以上であるため、コントローラ110は
対象のデータページ102が既に使用されていると判定する。
【0047】
一方、Flagビットが“1”であり、且つCountビットの個数が24個以下である
場合、コントローラ110は対象のデータページ102が書き込み可能であると判定する

【0048】
ここで、上述したように、I/Oバスは8ビットあるため、1回のトグルで8ビット転
送することが可能である。従って、第2の実施形態において、レスポンスデータ長が6ビ
ットである場合、図10に示すように、コントローラ110がNAND型フラッシュメモ
リ100からレスポンスデータを受け取るためには、/RE信号を1回トグルさせるだけ
で読み出すことができる。
【0049】
以上のように、NAND型フラッシュメモリ100の周辺回路領域10にサーチ回路1
05を設けることにより、/RE信号をトグルさせる回数は、任意に定めるレスポンスデ
ータ長により変化させることができる。従って、第1の実施形態の場合と同様に、第2の
実施形態においても、従来のメモリシステムよりも、データの読み込み時間を短縮するこ
とが可能となり、微細化・大容量化が進むNAND型フラッシュメモリ100におけるコ
ントローラ110の制御負担を軽減させることができる。
【0050】
第2の実施形態において更に期待できる効果として、コントローラ110から確認要求
を受けたデータページ102内のメモリセルトランジスタのデータ化けに対応できること
が挙げられる。
【0051】
NAND型フラッシュメモリ100の微細化が進むにつれて、D/Rが厳しくなってい
るだけではなく、メモリセルトランジスタ個々の電圧レベルを均一に制御することが困難
になってきている。
【0052】
その結果、NAND型フラッシュメモリ100を消去(Erase)し、消去済み状態(
OxFF)にしたとしても、読み出し(Read)をした際に、一部のメモリセルトラン
ジスタのデータ化けが生じてしまうことがある。すなわち、対象のデータページ102の
ビットが全て“1”であるはずにも拘わらず、一部が“0”となってしまうことがある。
よって、上述したように、従来のNAND型フラッシュメモリ100は、そのようなデー
タ化けを許容して使用するために、コントローラ110内にECC回路117が設けられ
る。
【0053】
第1の実施形態の場合では、NAND型フラッシュメモリ100の周辺回路領域10にA
ND回路103を設け、対象のデータページ102の全ビットが“1”である場合に、出
力結果“1”のみをコントローラ110へ出力している。そして、コントローラ110が
対象のデータページ102が消去済み状態(OxFF)と判定し、書き込み可能状態であ
ると認識していた。よって、対象のデータページ102内のメモリセルトランジスタが1
つでもデータ化けしていた場合も、書き込み不可と判定されてしまう。
【0054】
第2の実施形態の場合では、対象データページ102の全ビットの“0”の個数をメモリ
コントローラ110へ出力するため、製品ごとに定める書き込み可否判断の“0”の個数
以下であればビット化けをしたメモリセルトランジスタが存在しても、コントローラ11
0は対象のデータページ102が書き込み可能と判定する。すなわち、一部のメモリセル
トランジスタのデータ化けを許容することが可能である。
【0055】
ここで、第2の実施形態の変形例として、レスポンスデータ長をCountビットのみ
で構成した例を挙げる。第2の実施形態では、対象データページ102の全ビットの“0
”の個数をコントローラ110へ出力していたが、第2の実施形態の変形例では、単純に
対象データページ102の全ビットの“0”または“1”の個数をコントローラ110へ
出力している。
【0056】
図11は第2の実施形態の変形例に係るレスポンスのデータ長の概念図、図12は第2の
実施形態の変形例におけるNAND型フラッシュメモリ100からコントローラ110へ
の読み出し動作時の信号波形を示している。
【0057】
Countビットのレスポンスデータ長は、使用するNAND型フラッシュメモリ10
0の最大1ページ分のビット数を表現できるように定める必要がある。
【0058】
本実施形態の場合、NAND型フラッシュメモリ100の各データページ102のビット
数は2112バイトである。1バイトは8ビットであることから、2112バイトが表現
できる情報数は16896個である。また、一般に、nビットでは2のn乗個までの選択
肢からなる情報を表現することができる。よって、Countビットのレスポンスデータ
長は、図11に示すように、32768個の情報を表現することができる15ビット確保
する必要がある。
【0059】
よって、第2の実施形態の変形例においては、図12に示すように、コントローラ110
がNAND型フラッシュメモリ100からレスポンスデータを受け取るためには、/RE
信号を2回トグルさせることで読み出すことができる。
【0060】
第2の実施形態の変形例の場合も、第2の実施形態の場合と同様に、NAND型フラッ
シュメモリ100の周辺回路領域10にサーチ回路105を設けることにより、/RE信
号をトグルさせる回数は、任意に定めるレスポンスデータ長により変化させることができ
る。
【0061】
従って、第1の実施形態と第2の実施形態の場合と同様に、第2の実施形態の変形例にお
いても、従来のメモリシステムよりも、データの読み込み時間を短縮することが可能とな
り、微細化・大容量化が進むNAND型フラッシュメモリ100におけるコントローラ1
10の制御負担を軽減させることができる。
【0062】
上記各実施形態ではNAND型の不揮発性メモリを例に挙げて説明したが、これ以外に
も、NOR型、AND型、DINOR(Divided bit−line NOR)型
の不揮発性メモリにも適用可能である。
【0063】
また、本実施形態では不揮発性メモリ内の周辺回路領域10に、AND回路103また
はサーチ回路105を設けてデータページ102の読み込み可否を判断したが、これ以外
にもOR回路等の論理回路を組み合わせることでも実施可能である。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したも
のであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様
々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、
置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に
含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるもので
ある。
【符号の説明】
【0065】
1…メモリカード、2…ホスト装置、10…周辺回路領域、11…メモリセル領域、30
…バスインターフェース、100…NAND型フラッシュメモリ、101…データブロッ
ク、102…データページ、103…AND回路、104…データページバッファ、10
5…サーチ回路、110…コントローラ、111…ホストインターフェース(ホストI/
F)、112…MPU、113…ROM、114…RAM、115…バッファ、116…
メモリインターフェース(メモリI/F)、117…ECC回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の数のビットからなるデータページを複数有する不揮発性メモリと、
前記ビットの状態出力を要求するコントローラと、
を有し、前記不揮発性メモリは、前記ビットの状態出力の要求を受けた際に、前記ビッ
トの論理値を検査する論理回路を有する記憶装置。
【請求項2】
前記論理回路は、AND回路で構成されており、前記ビットが全て書き込み可を示す前記
論理値であれば書き込み可を示す前記論理値を前記コントローラに出力し、前記ビットが
全て書き込み不可を示す前記論理値であれば書き込み不可を示す前記論理値を前記コント
ローラに出力する請求項1に記載の記憶装置。
【請求項3】
前記論理回路は、前記データページ内の書き込み可または書き込み不可を示す前記ビット
の個数をカウントする回路で構成されており、前記カウントの結果を前記コントローラへ
出力する請求項1に記載の記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−77094(P2013−77094A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215729(P2011−215729)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】