説明

記憶領域管理方法及び管理計算機

【課題】シン・プロビジョニング・ボリューム又はLUのいずれで運用すべきかの判断材料を表示する。
【解決手段】ホスト計算機と、ストレージサブシステムと、管理計算機と、を備える計算機システムにおける記憶領域管理方法であって、前記ストレージサブシステムは、物理ディスクと、ディスクコントローラと、を備え、前記ディスクコントローラは、シン・プロビジョニング・ボリュームを前記ホスト計算機に提供し、前記管理計算機は、割当済容量を、前記ディスクコントローラから取得し、ホスト認識容量を、前記ホスト計算機から取得し、前記取得されたホスト認識容量から、前記取得された割当済容量を減算することによって、改善容量を算出し、前記算出された改善容量を、前記取得されたホスト認識容量で割ることによって、改善率を算出し、前記算出された改善率を表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シン・プロビジョニング・ボリュームを提供するストレージサブシステムを備える計算機システムにおける記憶領域管理方法に関し、特に、シン・プロビジョニング・ボリュームに関する情報を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ストレージサブシステムは、物理ディスクの記憶領域を静的に割り当てることによって、論理ボリューム(LU)をホスト計算機に提供する。しかし、LUには、問題点が存在する。
【0003】
例えば、ホスト計算機に割り当てられる物理ディスクの記憶容量が、ホスト計算機に実際に使用される記憶容量より多くなってしまうという問題があった。なぜなら、ホスト計算機上のアプリケーションによって使用される記憶容量が正確に把握できないからである。他には、LUの容量を変更するための運用コストが高いという問題があった。
【0004】
これらの問題を解決する技術として、シン・プロビジョニングが知られている。ストレージサブシステムは、シン・プロビジョニングによって実現されたボリューム(シン・プロビジョニング・ボリューム)をホスト計算機に提供する。
【0005】
これによって、ストレージサブシステムは、実際に割り当てられた物理ディスクの記憶容量よりも大きい記憶容量を持つボリュームとして認識されるシン・プロビジョニング・ボリュームを提供できる。なお、ストレージサブシステムは、ホスト計算機からシン・プロビジョニング・ボリュームへの書き込み要求を受けると、当該書き込みを要求されたシン・プロビジョニング・ボリュームに物理ディスクの記憶領域を動的に割り当てる。
【0006】
しかし、シン・プロビジョニング・ボリュームにおいても、物理ディスクの記憶領域が無駄に割り当てられることがある。例えば、ホスト計算機上のアプリケーションが、シン・プロビジョニング・ボリュームに書き込まれたファイルを削除した場合である。この場合、シン・プロビジョニング・ボリュームに割り当てられた物理ディスクの記憶容量と、ホスト計算機に使用される記憶容量との間に差が生じる。つまり、シン・プロビジョニング・ボリュームに物理ディスクの記憶領域が無駄に割り当てられたことになってしまう。
【0007】
また、シン・プロビジョニング・ボリュームには、シーケンシャルアクセスの性能に問題がある。シン・プロビジョニング・ボリュームは、シーケンシャルアクセスに対する性能がLUより劣る。なぜなら、シン・プロビジョニング・ボリューム内の連続したアドレスは、物理ディスク内の連続したアドレスに対応付けられるとは限らないからである。そのため、シン・プロビジョニング・ボリュームに対するシーケンシャルアクセスは、物理ディスクに対してはランダムアクセスとなり得る。従って、シーケンシャルアクセスの頻度が高いほど、シン・プロビジョニング・ボリュームは、LUよりアクセス性能が劣る。
【0008】
管理者は、シン・プロビジョニング・ボリュームの利点及び欠点を考慮して、シン・プロビジョニング・ボリューム又はLUのいずれで運用すべきかを判断する必要がある。
【0009】
なお、LUに割り当てられている物理ディスクの有効活用を支援する技術が、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2005−92308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に開示されている技術では、シン・プロビジョニング・ボリュームに割り当てられている物理ディスクの有効活用を支援することはできない。そのため、管理者は、シン・プロビジョニング・ボリューム又はLUのいずれで運用すべきかを判断できない。
【0011】
本発明は前述した問題点に鑑みてなされたものであって、シン・プロビジョニング・ボリューム又はLUのいずれで運用すべきかの判断材料を表示する容量監視サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
プロセッサ、メモリ及びインタフェースを備える一つ以上のホスト計算機と、前記ホスト計算機に接続される一つ以上のストレージサブシステムと、前記ホスト計算機及び前記ストレージサブシステムに接続される管理計算機と、を備える計算機システムにおける記憶領域管理方法であって、前記ストレージサブシステムは、前記ホスト計算機に書き込み要求されるデータを記憶する物理ディスクと、前記物理ディスクへのデータの入出力を制御するディスクコントローラと、を備え、前記ディスクコントローラは、前記ホスト計算機からの書き込み要求に応じて前記物理ディスクの記憶領域が割り当てられるシン・プロビジョニング・ボリュームを、前記ホスト計算機に提供し、前記ホスト計算機は、前記提供されたシン・プロビジョニング・ボリュームを、当該シン・プロビジョニング・ボリュームに既に割り当てられた物理ディスクの記憶領域の容量である割当済容量以上の容量を持つボリュームとして認識し、前記管理計算機は、前記シン・プロビジョニング・ボリュームの割当済容量を、前記ディスクコントローラから取得し、前記ホスト計算機によって認識されるシン・プロビジョニング・ボリュームの容量であるホスト認識容量を、当該ホスト計算機から取得し、前記取得されたホスト認識容量から、前記取得された割当済容量を減算することによって、当該シン・プロビジョニング・ボリュームの導入によって節約される物理ディスクの記憶領域の容量である改善容量を算出し、前記算出された改善容量を、前記取得されたホスト認識容量で割ることによって、前記ホスト認識容量に対する前記改善容量の割合である改善率を算出し、前記算出された改善率を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の代表的な形態によれば、シン・プロビジョニング・ボリューム又はLUのいずれで運用すべきかの判断材料を表示できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態の計算機システムの構成のブロック図である。
【0016】
計算機システムは、複数のストレージサブシステム110、複数のホスト計算機120、容量監視サーバ130、操作端末140、SAN(Storage Area Network)101及びLAN(Local Area Network)102を含む。
【0017】
SAN101は、ストレージサブシステム110とホスト計算機120とを接続するネットワークである。LAN102は、ストレージサブシステム110、ホスト計算機120及び容量監視サーバ130を相互に接続するネットワークである。
【0018】
ストレージサブシステム110は、ディスクコントローラ(DKC)413及び物理ディスク412を備える。
【0019】
ディスクコントローラ413は、物理ディスク412に対してデータを読み書きする。また、ディスクコントローラ413は、物理ディスクの記憶領域を、論理ボリューム(LU)としてホスト計算機120に提供する。
【0020】
更に、ディスクコントローラ413は、シン・プロビジョニング・ボリューム411を、ホスト計算機120に提供する。ディスクコントローラ413は、シン・プロビジョニング・ボリューム411への書き込み要求を受けると、当該書き込みを要求されたシン・プロビジョニング・ボリューム411に物理ディスク412の記憶領域を割り当てる。
【0021】
また、ディスクコントローラ413は、シン・プロビジョニング・ボリューム411及びLUの性能に関する諸元値を測定し、測定した性能に関する諸元値を容量監視サーバ130等に送信する。性能に関する諸元値は、平均レスポンスタイム又はアクセスされたブロックのアドレス等である。
【0022】
ホスト計算機120は、CPU422、物理メモリ421及びインタフェース(図示省略)を備える。
【0023】
インタフェースは、SAN101を介してストレージサブシステム110に接続される。また、インタフェースは、LAN102を介して容量監視サーバ130等に接続される。
【0024】
CPU422は、物理メモリ421に記憶されるプログラムを実行することによって、各種処理を行う。
【0025】
物理メモリ421は、CPU422によって実行されるプログラム及びCPU422によって必要とされる情報等を記憶する。具体的には、物理メモリ421は、ファイルシステム221、常駐エージェント222及びボリューム管理モジュール223を記憶する。
【0026】
ファイルシステム221は、ストレージサブシステム110に記憶されるファイルを管理する。
【0027】
常駐エージェント222は、容量監視サーバ130と各種情報を送受信する。例えば、常駐エージェント222は、シン・プロビジョニング・ボリューム411のホスト使用容量を算出する。なお、ホスト使用容量は、ストレージサブシステム112によって提供されるシン・プロビジョニング・ボリューム411の記憶容量のうち、ファイルシステム221によって使用されている記憶容量である。そして、常駐エージェント222は、算出したホスト使用容量を容量監視サーバ130に送信する。
【0028】
ボリューム管理モジュール223は、ストレージサブシステム110によって提供されるシン・プロビジョニング・ボリューム411及びLUを管理する。
【0029】
容量監視サーバ130は、ストレージサブシステム110によって提供されるシン・プロビジョニング・ボリューム411に関する情報を管理する。なお、容量監視サーバ130については、図2で詳細を説明する。
【0030】
操作端末140は、容量監視サーバ130に接続されている。また、操作端末140は、表示装置、入力装置、記憶装置、CPU及び物理メモリ等を有する。操作端末140は、管理者から情報の入力を受け付け、受け付けた情報を容量監視サーバ130に送信する。また、操作端末140は、容量監視サーバ130から情報を受信し、受信した情報を表示する。
【0031】
図2は、本発明の実施の形態の計算機システムに備わる容量監視サーバ130の構成のブロック図である。
【0032】
容量監視サーバ130は、CPU433、物理メモリ432、記憶領域431及びインタフェース(図示省略)を備える。
【0033】
インタフェースは、LAN102を介してホスト計算機120及びストレージサブシステム110に接続される。
【0034】
CPU433は、物理メモリ432に記憶されるプログラムを実行することによって各種処理を行う。
【0035】
物理メモリ432は、CPU433によって実行されるプログラム及びCPU433によって必要とされる情報等を記憶する。具体的には、物理メモリ432は、物理ディスク割当量通知モジュール211、連続アクセス頻度算出モジュール212、レスポンスタイム監視モジュール213、過割当容量計算モジュール214、容量監視モジュール231、容量出力モジュール232、性能出力モジュール233、警告モジュール234、入力モジュール241、画面表示情報生成モジュール242及び情報表示モジュール243を記憶する。
【0036】
物理ディスク割当量通知モジュール211は、監視対象となるシン・プロビジョニング・ボリューム411の割当済容量及び最大容量を取得する。なお、最大容量は、ホスト計算機120によって認識される記憶容量である。割当済容量は、シン・プロビジョニング・ボリューム411の記憶領域のうち、物理ディスク412の記憶領域が既に割り当てられた記憶領域の容量である。
【0037】
そして、物理ディスク割当量通知モジュール211は、取得したシン・プロビジョニング・ボリューム411の割当済容量及び最大容量を容量監視モジュール231に受け渡す。
【0038】
連続アクセス頻度算出モジュール212は、アクセスされたブロックのアドレスが順番に並べられた配列を、ストレージサブシステム110から受信する。なお、当該ブロックは、シン・プロビジョニング・ボリューム411に含まれる記憶領域である。そして、連続アクセス頻度算出モジュール212は、取得した配列から、シーケンシャルアクセスの相関係数を算出する。
【0039】
レスポンスタイム監視モジュール213は、シン・プロビジョニング・ボリューム411に対するアクセスの平均レスポンスタイムを、ストレージサブシステム110から受信する。
【0040】
過割当容量計算モジュール214は、シン・プロビジョニング・ボリューム411の過割当率、過割当容量、改善率及び改善容量を算出する。なお、過割当率、過割当容量、改善率及び改善容量については、図8で詳細を説明する。
【0041】
容量監視モジュール231は、シン・プロビジョニング・ボリューム411の割当済容量及び最大容量等を、物理ディスク割当量通知モジュール211から受け取る。そして、容量監視モジュール231は、受け取ったシン・プロビジョニング・ボリューム411の割当済容量及び最大容量を、ボリューム容量記録テーブル532に格納する。
【0042】
更に、容量監視モジュール231は、ホスト計算機120の常駐エージェント222から、シン・プロビジョニング・ボリューム411のホスト使用容量を受信する。そして、容量監視モジュール231は、受信したシン・プロビジョニング・ボリューム411のホスト使用容量をボリューム容量記録テーブル532に格納する。
【0043】
容量出力モジュール232は、ボリューム容量記録テーブル532から、管理者に指定されたシン・プロビジョニング・ボリューム411に関する情報を抽出する。
【0044】
性能出力モジュール233は、連続アクセス頻度算出モジュール212によって算出されたシーケンシャルアクセスの相関係数及びレスポンスタイム監視モジュール213が受信した平均レスポンスタイムから、管理者に指定されたシン・プロビジョニング・ボリューム411に関する相関係数及び平均レスポンスタイムを抽出する。
【0045】
警告モジュール234は、管理者に指定されたシン・プロビジョニング・ボリューム411が所定の条件を満たすと、容量監視サーバ130及び操作端末140のうち少なくとも一方に警告を出力する。
【0046】
入力モジュール241は、管理者から各種情報の入力を受け付ける。なお、管理者は、各種情報を操作端末140又は容量監視サーバ130のいずれに入力してもよい。
【0047】
画面表示情報生成モジュール242は、容量監視サーバ130及び操作端末140のうち少なくとも一方に表示される画面を作成する。例えば、画面表示情報生成モジュール242は、容量出力モジュール232によって抽出されたシン・プロビジョニング・ボリューム411に関する情報を含む画面を作成する。また、画面表示情報生成モジュール242は、過割当容量計算モジュール214によって算出された過割当率、過割当容量、改善率及び改善容量を含む画面を作成する。また、画面表示情報生成モジュール242は、性能出力モジュール233によって抽出された相関係数及び平均レスポンスタイムを含む画面を作成する。
【0048】
情報表示モジュール243は、画面表示情報生成モジュール242によって作成された画面を、容量監視サーバ130及び操作端末140のうちの少なくとも一方に表示する。
【0049】
記憶領域431は、各種情報を記憶する。具体的には、記憶領域431は、監視対象ボリューム使用ホスト一覧テーブル531、ボリューム容量記録テーブル532及びレスポンスタイム記録テーブル511を記憶する。
【0050】
監視対象ボリューム使用ホスト一覧テーブル531は、監視対象となるシン・プロビジョニング・ボリューム411と当該シン・プロビジョニング・ボリューム411にアクセス可能なホスト計算機120との対応等を記憶する。なお、監視対象ボリューム使用ホスト一覧テーブル531については、図3で詳細を説明する。
【0051】
ボリューム容量記録テーブル532は、監視対象となるシン・プロビジョニング・ボリューム411のディスク割当済容量、ホスト使用容量及び最大容量等を記憶する。なお、ボリューム容量記録テーブル532については、図4で詳細を説明する。
【0052】
レスポンスタイム記録テーブル511は、レスポンスタイム監視モジュール213が受信した平均レスポンスタイムを記憶する。
【0053】
図3は、本発明の実施の形態の容量監視サーバ130に記憶される監視対象ボリューム使用ホスト一覧テーブル531の構成図である。
【0054】
監視対象ボリューム使用ホスト一覧テーブル531は、ストレージ用シン・プロビジョニング・ボリュームID(ストレージ用TPVolID)5311、ホストID5312、ホスト用シン・プロビジョニング・ボリュームID(ホスト用TPVolID)5313、監視間隔5314及び監視期限5315を含む。
【0055】
ストレージ用TPVolID5311は、ストレージサブシステム110がシン・プロビジョニング・ボリューム411を一意に識別するための識別子である。ホストID5312は、当該レコードのストレージ用TPVolID5311によって識別されるシン・プロビジョニング・ボリューム411にアクセスするホスト計算機120の一意な識別子である。
【0056】
ホスト用TPVolID5323は、当該レコードのストレージ用TPVolID5311によって識別されるシン・プロビジョニング・ボリューム411をホスト計算機120が一意に識別するための識別子である。
【0057】
監視間隔5314は、当該レコードのストレージ用TPVolID5311によって識別されるシン・プロビジョニング・ボリューム411に関する情報が取得される間隔である。監視期限5315は、当該レコードのストレージ用TPVolID5311によって識別されるシン・プロビジョニング・ボリューム411に関する情報の取得が継続される期限である。
【0058】
図4は、本発明の実施の形態の容量監視サーバ130に記憶されるボリューム容量記録テーブル532の構成図である。
【0059】
ボリューム容量記録テーブル532は、ストレージ用シン・プロビジョニング・ボリュームID(ストレージ用TPVolID)5321、ディスク割当済容量5322、ホスト使用容量5323、最大容量5324及び監視時刻5325を含む。
【0060】
ストレージ用TPVolID5321は、ストレージサブシステム110がシン・プロビジョニング・ボリューム411を一意に識別するための識別子である。
【0061】
ディスク割当済容量5322は、当該レコードのストレージ用TPVolID5321によって識別されるシン・プロビジョニング・ボリューム411に既に割り当てられた物理ディスク412の記憶領域の容量である。ホスト使用容量5323は、当該レコードのストレージ用TPVolID5321によって識別されるシン・プロビジョニング・ボリューム411の記憶容量のうち、ホスト計算機120によって使用されている記憶容量である。
【0062】
最大容量5324は、当該レコードのストレージ用TPVolID5321によって識別されるシン・プロビジョニング・ボリューム411の記憶容量である。つまり、ホスト計算機120は、シン・プロビジョニング・ボリューム411を、最大容量5324の記憶領域を有するボリュームとして認識する。
【0063】
監視時刻5325は、当該レコードに格納されている情報が取得された日付け及び時刻である。
【0064】
図5は、本発明の実施の形態の容量監視サーバ130によって実行される容量観点の得失判断情報出力処理のフローチャートである。
【0065】
まず、容量監視サーバ130は、容量監視処理を行う(312)。これによって、容量監視サーバ130は、監視対象ボリューム使用ホストテーブル531及びボリューム容量記録テーブル532を更新する。なお、容量監視処理については、図6で詳細を説明する。
【0066】
次に、容量監視サーバ130は、容量取得処理を行う(313)。これによって、容量監視サーバ130は、表示対象となるシン・プロビジョニング・ボリューム411に関する情報を、ボリューム容量記録テーブル532から抽出する。なお、容量取得処理については、図7で詳細を説明する。
【0067】
次に、容量監視サーバ130は、容量表示処理を行う(314)。これによって、容量監視サーバ130は、表示対象となるシン・プロビジョニング・ボリューム411に関する情報を表示する。なお、容量表示処理については、図8で詳細を説明する。
【0068】
なお、容量監視サーバ130は、容量表示処理の代わりに、警告出力処理を行ってもよい。警告出力処理については、図14で詳細を説明する。
【0069】
そして、容量監視サーバ130は、容量観点の得失判断情報出力処理を終了する。
【0070】
図6は、本発明の実施の形態の容量監視サーバ130によって実行される容量監視処理のフローチャートである。
【0071】
容量監視処理は、容量観点の得失判断情報出力処理(図5)のステップ312において実行される。
【0072】
管理者は、監視対象となるシン・プロビジョニング・ボリューム411に関する情報を、操作端末140に入力する。監視対象となるシン・プロビジョニング・ボリューム411に関する情報は、ストレージ用TPVolID、ホストID、ホスト用TPVolID、監視間隔及び監視期限を含む。すると、操作端末140は、入力されたシン・プロビジョニング・ボリューム411に関する情報を容量監視サーバ130に送信する。
【0073】
なお、管理者は、監視対象となるシン・プロビジョニング・ボリューム411のストレージ用TPVolID、監視間隔及び監視期限だけを操作端末140に入力してもよい。この場合、操作端末140は、ストレージ用TPVolIDとホストID及びホスト用TPVolIDとの対応を記憶する。そして、操作端末140は、入力されたストレージ用TPVolIDに対応するホストID及びホスト用TPVolIDを特定する。そして、操作端末140は、入力されたストレージ用TPVolID、特定したホストID、特定したホスト用TPVolID、入力された監視間隔及び入力された監視期限を容量監視サーバ130に送信する。
【0074】
容量監視サーバ130の入力モジュール241は、シン・プロビジョニング・ボリューム411に関する情報を、操作端末140から受信する(3121)。
【0075】
すると、容量監視サーバ130の容量監視モジュール231は、入力モジュール241が受信した情報に基づいて、監視対象ボリューム使用ホスト一覧テーブル531を作成又は更新する(3122)。
【0076】
具体的には、容量監視モジュール231は、監視対象ボリューム使用ホスト一覧テーブル531に新たなレコードを作成する。次に、容量監視モジュール231は、入力モジュール241が受信した情報に含まれるストレージ用TPVolIDを、新たなレコードのストレージ用TPVolID5311に格納する。次に、容量監視モジュール231は、入力モジュール241が受信した情報に含まれるホストIDを、新たなレコードのホストID5312に格納する。
【0077】
次に、容量監視モジュール231は、入力モジュール241が受信した情報に含まれるホスト用TPVolIDを、新たなレコードのホスト用TPVolID5313に格納する。次に、容量監視モジュール231は、入力モジュール241が受信した情報に含まれる監視間隔を、新たなレコードの監視間隔5314に格納する。更に、容量監視モジュール231は、入力モジュール241が受信した情報に含まれる監視期限を、新たなレコードの監視期限5315に格納する。
【0078】
次に、容量監視サーバ130は、ディスク割当済容量及びホスト使用容量を取得する(3123)。なお、容量監視サーバ130は、ディスク割当済容量、ホスト使用容量及び最大容量を同時に取得してもよいし、順番に取得してもよい。
【0079】
具体的には、容量監視サーバ130の容量監視モジュール231は、監視対象ボリューム使用ホスト一覧テーブル531から、ストレージ用TPVolID5311を抽出する。次に、容量監視モジュール231は、抽出したストレージ用TPVolID5311を、容量監視サーバ130の物理ディスク割当量通知モジュール211に受け渡す。
【0080】
すると、物理ディスク割当量通知モジュール211は、受け取ったストレージ用TPVolID5311によって識別されるシン・プロビジョニング・ボリューム411のディスク割当済容量及び最大容量を、ストレージサブシステム110から取得する。そして、物理ディスク割当量通知モジュール211は、取得したディスク割当済容量及び最大容量を、容量監視モジュール231に受け渡す。
【0081】
また、容量監視サーバ130の容量監視モジュール231は、監視対象ボリューム使用ホスト一覧テーブル531から、ホストID5312及びホスト用TPVolID5313を抽出する。次に、容量監視モジュール231は、抽出したホストID5312によって識別されるホスト計算機120の常駐エージェント222に、抽出したホスト用TPVolID5313を送信する。
【0082】
すると、常駐エージェント222は、受信したホスト用TPVolID5313によって識別されるシン・プロビジョニング・ボリューム411のホスト使用容量を算出する。次に、常駐エージェント222は、算出したホスト使用容量を、容量監視サーバ130の容量監視モジュール231に送信する。
【0083】
次に、容量監視サーバ130は、ボリューム容量記録テーブル532を更新する(3124)。
【0084】
具体的には、容量監視サーバ130の容量監視モジュール231は、ボリューム容量記録テーブル532に新たなレコードを作成する。次に、容量監視モジュール231は、抽出したストレージ用TPVolID5311を、新たなレコードのストレージ用TPVolID5321に格納する。
【0085】
次に、容量監視モジュール231は、物理ディスク割当量通知モジュール211から受け取ったディスク割当済容量を、新たなレコードのディスク割当済容量5322に格納する。次に、容量監視モジュール231は、常駐エージェント222から受信したホスト使用容量を、新たなレコードのホスト使用容量5323に格納する。次に、容量監視モジュール231は、物理ディスク割当量通知モジュール211から受け取った最大容量を、新たなレコードの最大容量5324に格納する。更に、容量監視モジュール231は、現在の時刻を、新たなレコードの監視時刻5325に格納する。
【0086】
このようにして、容量監視サーバ130は、ボリューム容量記録テーブル532を更新する。
【0087】
次に、容量監視サーバ130の容量監視モジュール231は、ボリューム容量記録テーブル532に追加された新たなレコードから、ストレージ用TPVolID5321及び監視時刻5325を抽出する。次に、容量監視モジュール231は、抽出したストレージ用TPVolID5321と監視対象ボリューム使用ホスト一覧テーブル531のストレージ用TPVolID5311とが一致するレコードを、監視対象ボリューム使用ホスト一覧テーブル531から選択する。
【0088】
次に、容量監視モジュール231は、選択したレコードから、監視間隔5314及び監視期限5315を抽出する。次に、容量監視モジュール231は、抽出した監視時刻5325に、抽出した監視間隔5314を加算することによって、次回の監視時刻を算出する。次に、容量監視モジュール231は、算出した次回の監視時刻が、抽出した監視期限5315を過ぎているか否かを判定する(3125)。
【0089】
次回の監視時刻が監視期限5315を過ぎていない場合、容量監視モジュール231は、算出した次回の監視時刻まで待機する(3126)。その後、容量監視モジュール231は、ステップ3123に戻る。そして、容量監視モジュール231は、シン・プロビジョニング・ボリューム411の容量を再度監視して、ボリューム容量記録テーブル532を更新する。
【0090】
一方、次回の監視時刻が監視期限5315を過ぎている場合、容量監視モジュール231は、シン・プロビジョニング・ボリューム411の容量を再度監視する必要がない。よって、容量監視モジュール231は、容量監視処理を終了する。
【0091】
図7は、本発明の実施の形態の容量監視サーバ130によって実行される容量取得処理のフローチャートである。
【0092】
容量取得処理は、容量観点の得失判断情報出力処理(図5)のステップ313において実行される。
【0093】
管理者は、表示対象となるシン・プロビジョニング・ボリューム411のストレージ用TPVolID及び表示対象となる時刻(表示対象時刻)を、操作端末140に入力する。すると、操作端末140は、入力されたストレージ用TPVolID及び入力された表示対象時刻を、容量監視サーバ130に送信する。
【0094】
容量監視サーバ130の入力モジュール241は、ストレージ用TPVolID及び表示対象時刻を、操作端末140から受信する(3131)。
【0095】
次に、容量監視サーバ130の容量出力モジュール232は、入力モジュール241が受信したストレージ用TPVolIDとボリューム容量記録テーブル532のストレージ用TPVolID5321とが一致するレコード(ボリューム対応レコード)のすべてを、ボリューム容量記録テーブル532から選択する(3132)。
【0096】
次に、容量監視サーバ130の容量出力モジュール232は、選択したボリューム対応レコードのいずれかの監視時刻5325に、入力モジュール241が受信した表示対象時刻以前の時刻が格納されているか否かを判定する。これによって、容量出力モジュール232は、表示対象時刻が、当該シン・プロビジョニング・ボリューム411が最初に監視された時刻以後であるか否かを判定する(3133)。
【0097】
表示対象時刻が最初の監視時刻より前であると、容量出力モジュール232は、当該表示対象時刻に対応する情報を表示できない。よって、容量出力モジュール232は、エラーを操作端末140に通知するエラー処理を行う(3136)。そして、容量監視サーバ130は、容量取得処理を終了する。
【0098】
一方、表示対象時刻が最初の監視時刻以後であると、容量出力モジュール232は、選択したボリューム対応レコードのいずれかの監視時刻5325に、入力モジュール241が受信した表示対象時刻以後の時刻が格納されているか否かを判定する。これによって、容量出力モジュール232は、表示対象時刻が、当該シン・プロビジョニング・ボリューム411が最後に監視された時刻以前であるか否かを判定する(3134)。
【0099】
表示対象時刻が最後の監視時刻より後であると、容量出力モジュール232は、当該表示対象時刻に対応する情報を表示できない。よって、容量出力モジュール232は、エラーを操作端末140に通知するエラー処理を行う(3136)。そして、容量監視サーバ130は、容量取得処理を終了する。
【0100】
一方、表示対象時刻が最後の監視時刻以前であると、容量出力モジュール232は、入力モジュール241が受信した表示対象時刻に最も近い監視時刻5325を含むレコード(表示対象レコード)を、選択したボリューム対応レコードの中から選択する(3135)。次に、容量出力モジュール232は、選択した表示対象レコードを、過割当容量計算モジュール214及び画面表示情報生成モジュール242に受け渡す。そして、容量監視サーバ130は、容量取得処理を終了する。
【0101】
図8は、本発明の実施の形態の容量監視サーバ130によって実行される容量表示処理のフローチャートである。
【0102】
容量表示処理は、容量観点の得失判断情報出力処理(図5)のステップ314において実行される。
【0103】
容量監視サーバ130の過割当容量計算モジュール214及び画面表示情報生成モジュール242は、容量取得処理(図7)のステップ3135において選択された表示対象レコードを、容量出力モジュール232から受け取る(3141)。
【0104】
次に、過割当容量計算モジュール214は、受け取った表示対象レコードに基いて、シン・プロビジョニング・ボリューム411の改善率、改善容量、過割当率及び過割当容量を算出する(3142)。
【0105】
具体的には、過割当容量計算モジュール214は、以下の数式1を用いて、改善容量Iaを求める。
【0106】
【数1】

【0107】
なお、Tは、表示対象レコードの最大容量5324である。また、Aは、表示対象レコードのディスク割当済容量5322である。
【0108】
このように、改善容量Iaは、シン・プロビジョニング・ボリューム411の最大容量とシン・プロビジョニング・ボリューム411のディスク割当済容量との差分である。つまり、改善容量Iaは、シン・プロビジョニング・ボリューム411と同じ容量のLUをホスト計算機120に提供した場合と比べて、シン・プロビジョニング・ボリューム411によって節約される物理ディスク412の記憶領域の容量である。なお、シン・プロビジョニング・ボリューム411と同じ容量を持つLUは、当該シン・プロビジョニング・ボリューム411の最大容量と同じ容量の物理ディスク412を必要とする。
【0109】
また、過割当容量計算モジュール214は、以下の数式2を用いて、改善率Irを求める。
【0110】
【数2】

【0111】
このように、改善率Irは、シン・プロビジョニング・ボリューム411の最大容量に対する、改善容量Iaの割合である。つまり、改善率Irは、シン・プロビジョニング・ボリュームをLUに変更した場合に必要となる物理ディスク412の容量に対する、シン・プロビジョニング・ボリューム411によって節約される物理ディスク412の容量の割合である。
【0112】
改善率Irが大きい場合、シン・プロビジョニング・ボリューム411の一部分にしか物理ディスク412の記憶領域が割り当てられていない。つまり、シン・プロビジョニング・ボリューム411の導入によって、物理ディスク412の記憶領域が沢山節約されている。
【0113】
逆に、改善率Irが小さい場合、シン・プロビジョニング・ボリューム411の大部分に物理ディスク412の記憶領域が割り当てられている。つまり、シン・プロビジョニング・ボリューム411の導入による利点が生かされておらず、物理ディスク412の記憶領域が殆ど節約できていない。
【0114】
また、過割当容量計算モジュール214は、以下の数式3を用いて、過割当容量Oaを求める。
【0115】
【数3】

【0116】
なお、Uは、表示対象レコードのホスト使用容量5323である。
【0117】
このように、過割当容量Oaは、シン・プロビジョニング・ボリューム411のディスク割当済容量とシン・プロビジョニング・ボリューム411のホスト使用容量との差分である。つまり、過割当容量Oaは、シン・プロビジョニング・ボリューム411に割り当てた物理ディスク412の容量のうち、ホスト計算機120によって使用されていない容量である。
【0118】
また、過割当容量計算モジュール214は、以下の数式4を用いて、過割当率Orを求める。
【0119】
【数4】

【0120】
このように、過割当率Orは、シン・プロビジョニング・ボリューム411のディスク割当済容量に対する、過割当容量Oaの割合である。
【0121】
過割当率Orが大きい場合、シン・プロビジョニング・ボリューム411に割り当てられた物理ディスク412の記憶領域の多くが、ホスト計算機120に使用されていない。つまり、当該シン・プロビジョニング・ボリューム411に割り当てられている物理ディスク412の記憶領域の多くが無駄になっている。
【0122】
一方、過割当率Orが小さい場合、シン・プロビジョニング・ボリューム411に割り当てられた物理ディスク412の大部分が、ホスト計算機120に使用されている。つまり、シン・プロビジョニング・ボリューム411に割り当てられている物理ディスク412の記憶領域が、殆ど無駄になっていない。
【0123】
このようにして、過割当容量計算モジュール214は、シン・プロビジョニング・ボリューム411の改善率、改善容量、過割当率及び過割当容量を算出する。
【0124】
次に、容量監視サーバ130の画面表示情報生成モジュール242は、容量出力画面(図9)を生成する(3143)。
【0125】
図9は、本発明の実施の形態の画面表示情報生成モジュール242によって生成される容量出力画面711の説明図である。
【0126】
容量出力画面711は、管理者によって表示対象として指定されたシン・プロビジョニング・ボリューム411に関する情報を含む。具体的には、容量出力画面711は、監視時刻7111、最大容量7112、ディスク割当済容量7113、ホスト使用容量7114、改善率7115、改善容量7116、過割当率7117及び過割当容量7118を含む。
【0127】
ここで、図8に戻る。画面表示情報生成モジュール242は、受け取った表示対象レコード及び過割当容量計算モジュール214によって算出された値に基づいて、容量出力画面711を生成する。
【0128】
具体的には、画面表示情報生成モジュール242は、表示対象レコードの監視時刻5325を、容量出力画面711の監視時刻7111に格納する。次に、画面表示情報生成モジュール242は、表示対象レコードの最大容量5324を、容量出力画面711の最大容量7112に格納する。次に、画面表示情報生成モジュール242は、表示対象レコードのディスク割当済容量5322を、容量出力画面711のディスク割当済容量7113に格納する。次に、画面表示情報生成モジュール242は、表示対象レコードのホスト使用容量5323を、容量出力画面711のホスト使用容量7114に格納する。
【0129】
次に、画面表示情報生成モジュール242は、過割当容量計算モジュール214によって算出された改善率を、容量出力画面711の改善率7115に格納する。次に、画面表示情報生成モジュール242は、過割当容量計算モジュール214によって算出された改善容量を、容量出力画面711の改善容量7116に格納する。
【0130】
次に、画面表示情報生成モジュール242は、過割当容量計算モジュール214によって算出された過割当率を、容量出力画面711の過割当率7117に格納する。次に、画面表示情報生成モジュール242は、過割当容量計算モジュール214によって算出された過割当容量を、容量出力画面711の過割当容量7118に格納する。
【0131】
このようにして、画面表示情報生成モジュール242は、容量出力画面711を生成する。
【0132】
次に、容量監視サーバ130の情報表示モジュール243は、画面表示情報生成モジュール242によって生成された容量出力画面711を操作端末140に送信する。すると、操作端末140は、受信した容量出力画面711を表示する。なお、容量監視サーバ130の情報表示モジュール243は、画面表示情報生成モジュール242によって生成された容量出力画面711を当該容量監視サーバ130の表示装置に表示してもよい。そして、容量監視サーバ130は、容量表示処理を終了する。
【0133】
なお、管理者は、容量出力画面711を参照して、シン・プロビジョニング・ボリューム411での運用を継続すべきか否かを判断する。具体的には、管理者は、シン・プロビジョニング・ボリューム411の改善率及び過割当率等に基づいて、シン・プロビジョニング・ボリューム411での運用を継続すべきか否かを判断する。
【0134】
管理者は、シン・プロビジョニング・ボリューム411の改善率が所定の値以上であることを期待する。そのため、シン・プロビジョニング・ボリューム411の改善率が所定の値より小さい場合、管理者は、当該シン・プロビジョニング・ボリューム411をLUへ移行すべきと判断する。
【0135】
改善率は、シン・プロビジョニング・ボリュームをLUに変更した場合に必要となる物理ディスク412の記憶領域の容量に対する、シン・プロビジョニング・ボリュームの導入によって節約される物理ディスク412の記憶領域の容量の割合である。
【0136】
改善率が所定の値以上の場合、シン・プロビジョニング・ボリューム411の一部分にしか物理ディスク412の記憶領域が割り当てられていない。つまり、シン・プロビジョニング・ボリューム411の導入によって、物理ディスク412の記憶領域が沢山節約されている。そこで、管理者は、当該シン・プロビジョニング・ボリューム411をそのまま運用すべきと判断する。
【0137】
一方、改善率が所定の値より小さい場合、シン・プロビジョニング・ボリューム411の大部分に物理ディスク412の記憶領域が割り当てられている。つまり、シン・プロビジョニング・ボリューム411の導入による利点が生かされておらず、物理ディスク412の記憶領域が殆ど節約できていない。そこで、管理者は、当該シン・プロビジョニング・ボリューム411をLUへ移行すべきと判断する。
【0138】
また、管理者は、シン・プロビジョニング・ボリューム411の過割当率が所定の値以下であることを管理者は期待する。そのため、シン・プロビジョニング・ボリューム411の過割当率が所定の値より大きい場合、管理者は、当該シン・プロビジョニング・ボリューム411をLUへ移行すべきと判断する。
【0139】
過割当率は、シン・プロビジョニング・ボリューム411のディスク割当済容量に対する、過割当容量の割合である。なお、過割当容量は、シン・プロビジョニング・ボリューム411に割り当てた物理ディスク412のうち、ホスト計算機120によって使用されていない物理ディスク412の容量である。
【0140】
過割当率が所定の値以下の場合、シン・プロビジョニング・ボリューム411に割り当てられた物理ディスク412の記憶領域の大部分が、ホスト計算機120に使用されている。つまり、シン・プロビジョニング・ボリューム411に割り当てられている物理ディスク412の記憶領域が、殆ど無駄になっていない。よって、物理ディスク412の記憶領域の無駄な割り当てを防ぐという、シン・プロビジョニング・ボリューム411の利点が生かされている。そのため、管理者は、当該シン・プロビジョニング・ボリューム411をそのまま運用すべきと判断する。
【0141】
一方、過割当率が所定の値より大きい場合、シン・プロビジョニング・ボリューム411に割り当てられた物理ディスク412の記憶領域の多くが、ホスト計算機120に使用されていない。つまり、シン・プロビジョニング・ボリューム411に割り当てられた物理ディスク412の記憶領域の多くが無駄になっている。よって、物理ディスク412の記憶領域の無駄な割り当てを防ぐという、シン・プロビジョニング・ボリューム411の利点が生かされていない。そのため、管理者は、当該シン・プロビジョニング・ボリューム411をLUへ移行すべきと判断する。
【0142】
以下、管理者は、シン・プロビジョニング・ボリューム411の改善率が20%以上であることを期待する。更に、管理者は、シン・プロビジョニング・ボリューム411の過割当率が30%以下であることを期待する。
【0143】
まずは、図9で説明した容量表示画面711が表示された場合を説明する。
【0144】
図9の容量表示画面711では、改善率7115が40%である。つまり、改善率7115は、20%以上なので、管理者の期待を満たしている。また、図9の容量表示画面711では、過割当率7117が20%である。つまり、過割当率7117は、30%以下なので、管理者の期待を満たしている。
【0145】
このように、図9の容量表示画面711では、改善率7115及び過割当率7117の両方が、管理者の期待を満たしている。よって、管理者は、当該シン・プロビジョニング・ボリューム411をそのまま運用すべきと判断する。
【0146】
次に、図10で示す容量表示画面711が表示された場合を説明する。
【0147】
図10は、本発明の実施の形態の画面表示情報生成モジュール242によって生成される容量出力画面711の説明図である。
【0148】
図10の容量出力画面711は、監視時刻7111、最大容量7112、ディスク割当済容量7113、ホスト使用容量7114、改善率7115、改善容量7116、過割当率7117及び過割当容量7118を含む。これらは、図9で説明した容量出力画面に含まれるものと同一なので説明を省略する。
【0149】
図10の容量表示画面711では、改善率7115が5%である。つまり、改善率7115は、20%より小さいので、管理者の期待を満たしていない。また、図10の容量表示画面711では、過割当率7117が46%である。つまり、過割当率7117は、30%より大きいので、管理者の期待を満たしていない。
【0150】
このように、図10の容量表示画面711では、改善率7115及び過割当率7117の両方が、管理者の期待を満たしていない。よって、管理者は、当該シン・プロビジョニング・ボリューム411をLUへ移行すべきと判断する。
【0151】
次に、図11で示す容量表示画面711が表示された場合を説明する。
【0152】
図11は、本発明の実施の形態の画面表示情報生成モジュール242によって生成される容量出力画面711の説明図である。
【0153】
図11の容量出力画面711は、監視時刻7111、最大容量7112、ディスク割当済容量7113、ホスト使用容量7114、改善率7115、改善容量7116、過割当率7117及び過割当容量7118を含む。これらは、図9で説明した容量出力画面に含まれるものと同一なので説明を省略する。
【0154】
図11の容量表示画面711では、改善率7115が5%である。つまり、改善率7115は、20%より小さいので、管理者の期待を満たしていない。また、図11の容量表示画面711では、過割当率7117が6%である。つまり、過割当率7117は、30%以下なので、管理者の期待を満たしている。
【0155】
このように、図11の容量表示画面711では、過割当率7117のみが、管理者の期待を満たしている。この場合、シン・プロビジョニング・ボリューム411の導入によって、物理ディスク412の過割り当てを防いでいる。そのため、管理者は、LUに移行せずに、当該シン・プロビジョニング・ボリューム411のままで運用すべきと判断する。
【0156】
しかし、シン・プロビジョニング・ボリューム411の容量の多くに、物理ディスク412が既に割り当て済みである。つまり、このまま運用を続けると、シン・プロビジョニング・ボリューム411の容量のすべてをホスト計算機120が使い切ってしまう。そこで、管理者は、シン・プロビジョニング・ボリューム411の最大容量を拡張して運用し続けるべきと判断する。
【0157】
次に、図12で示す容量表示画面711が表示された場合を説明する。
【0158】
図12は、本発明の実施の形態の画面表示情報生成モジュール242によって生成される容量出力画面711の説明図である。
【0159】
図12の容量出力画面711は、監視時刻7111、最大容量7112、ディスク割当済容量7113、ホスト使用容量7114、改善率7115、改善容量7116、過割当率7117及び過割当容量7118を含む。これらは、図9で説明した容量出力画面に含まれるものと同一なので説明を省略する。
【0160】
図12の容量表示画面711では、改善率7115が40%である。つまり、改善率7115は、20%以上なので、管理者の期待を満たしている。また、図11の容量表示画面711では、過割当率7117が50%である。つまり、過割当率7117は、30%より大きいので、管理者の期待を満たしていない。
【0161】
このように、図11の容量表示画面711では、改善率7115のみが、管理者の期待を満たしている。この場合、管理者は、シン・プロビジョニング・ボリューム411での運用を継続すべきか否かを即座に判断できない。そこで、管理者は、シン・プロビジョニング・ボリューム411へデータを書き込む頻度又はシン・プロビジョニング・ボリューム411からデータを削除する頻度等を参照して、シン・プロビジョニング・ボリューム411での運用を継続すべきか否かを判断する。つまり、管理者は、容量表示画面711を定期的に参照して、シン・プロビジョニング・ボリューム411での運用を継続すべきか否かを判断する。
【0162】
なお、容量監視サーバ130は、容量出力画面711と併せて、性能表示画面を操作端末140に表示させてもよい。
【0163】
図13は、本発明の実施の形態の画面表示情報生成モジュール242によって生成される性能表示画面712の説明図である。
【0164】
性能表示画面712は、シーケンシャルアクセスの相関関数7121及びレスポンスタイム7122を含む。
【0165】
シーケンシャルアクセスの相関関数7121は、シン・プロビジョニング・ボリューム411に対するシーケンシャルアクセスの頻度を示す。
【0166】
容量監視サーバ130は、以下のようにして、シーケンシャルアクセスの相関関数Rを求める。
【0167】
まず、容量監視サーバ130の連続アクセス頻度算出モジュール212は、アクセスされたブロックのアドレスが順番に並べられた配列を、ストレージサブシステム110から受信する。そして、連続アクセス頻度算出モジュール212は、受信した配列に基づいて、シーケンシャルアクセスの相関関数Rを算出する。具体的には、連続アクセス頻度算出モジュール212は、以下の数式5を用いて、シーケンシャルアクセスの相関関数Rを算出する。
【0168】
【数5】

【0169】
【数6】

【0170】
【数7】

【0171】
なお、xiは、i番目にアクセスされたブロックのアドレスである。また、yiは、i+1番目にアクセスされたブロックのアドレスである。nは、連続アクセス頻度算出モジュール212がストレージサブシステム110から取得したアドレスの個数である。
【0172】
そして、容量監視サーバ130の画面表示情報生成モジュール242は、連続アクセス頻度算出モジュール212によって算出された相関関数Rを、性能表示画面712のシーケンシャルアクセスの相関関数7121として表示する。
【0173】
シーケンシャルアクセスの相関関数7121の絶対値が0に近いほど、シン・プロビジョニング・ボリューム411に対するシーケンシャルアクセスの頻度が低い。そのため、管理者は、シン・プロビジョニング・ボリューム411からLUへの移行を検討する必要がない。
【0174】
一方、シーケンシャルアクセスの相関関数7121の絶対値が1に近いほど、シン・プロビジョニング・ボリューム411に対するシーケンシャルアクセスの頻度が高い。そのため、管理者は、シン・プロビジョニング・ボリューム411からLUへの移行を検討する必要がある。
【0175】
これは、シン・プロビジョニング・ボリューム411には、シーケンシャルアクセスに対する性能に問題があるからである。シン・プロビジョニング・ボリューム411は、シーケンシャルアクセスに対する性能がLUより劣る。なぜなら、シン・プロビジョニング・ボリューム411内の連続したアドレスは、物理ディスク412内の連続したアドレスに対応付けられるとは限らないからである。そのため、シン・プロビジョニング・ボリューム411に対するシーケンシャルアクセスは、物理ディスク412に対してはランダムアクセスとなり得る。一般に、シーケンシャルアクセスは、ランダムアクセスよりも高速に処理される。従って、シーケンシャルアクセスの頻度が高いほど、シン・プロビジョニング・ボリューム411は、LUよりアクセス性能が劣る。
【0176】
つまり、管理者は、シーケンシャルアクセスの相関関数7121の絶対値が所定の値以上であるか否かを判定する。シーケンシャルアクセスの相関関数7121の絶対値が所定の値以上の場合、管理者は、シン・プロビジョニング・ボリューム411からLUへの移行を検討する必要がある。
【0177】
レスポンスタイム7122は、シン・プロビジョニング・ボリューム411に対するアクセスの応答時間である。
【0178】
容量監視サーバ130のレスポンスタイム監視モジュール213は、シン・プロビジョニング・ボリューム411に対するアクセスのレスポンスタイムを、ストレージサブシステム110から取得する。そして、容量監視サーバ130の画面表示情報生成モジュール242は、レスポンスタイム監視モジュール213によって取得されたレスポンスタイムを、性能表示画面712のレスポンスタイム7122として表示する。
【0179】
管理者は、レスポンスタイム7122が所定の値以上であるか否かを判定する。レスポンスタイム7122が所定の値より小さい場合、シン・プロビジョニング・ボリューム411が、管理者によって期待されるアクセス性能を満たしている。よって、管理者は、シン・プロビジョニング・ボリューム411からLUへの移行を検討する必要がない。
【0180】
一方、レスポンスタイム7122が所定の値以上の場合、シン・プロビジョニング・ボリューム411が、管理者によって期待されるアクセス性能を満たしてない。そこで、管理者は、シン・プロビジョニング・ボリューム411からLUへの移行を検討する必要がある。
【0181】
以上のように、管理者は、容量出力画面711に加えて、性能表示画面712を参照することによって、シン・プロビジョニング・ボリューム411での運用を継続すべきか否かを適切に判断できる。
【0182】
なお、本実施の形態では、容量出力画面711と性能表示画面712とは、別の画面で説明した。しかし、容量出力画面711に含まれる情報と性能表示画面712に含まれる情報とが、一つの画面に含まれていてもよい。
【0183】
図14は、本発明の実施の形態の容量監視サーバ130によって実行される警告出力処理のフローチャートである。
【0184】
警告出力処理は、容量観点の得失判断情報出力処理(図5)のステップ314において、容量表示処理の代わりに実行される。
【0185】
管理者は、警告出力対象となるシン・プロビジョニング・ボリューム411のストレージ用TPVolID及び過割当率に関する閾値を、操作端末140に入力する。すると、操作端末140は、入力されたストレージ用TPVolID及び過割当率に関する閾値を、容量監視サーバ130に送信する。
【0186】
容量監視サーバ130の入力モジュール241は、ストレージ用TPVolID及び過割当率に関する閾値を、操作端末140から受信する(3151)。
【0187】
すると、容量監視サーバ130の警告モジュール234は、入力モジュール241が受信したストレージ用TPVolIDとボリューム容量記録テーブル532のストレージ用TPVolID5321とが一致するすべてのレコードを、ボリューム容量記録テーブル532から選択する。次に、警告モジュール234は、監視時刻5325が最も新しいレコードを、選択したレコードの中から選択する(3152)。
【0188】
次に、容量監視サーバ130の過割当容量計算モジュール214は、警告モジュール234によって選択されたレコードから、ディスク割当済容量5322、ホスト使用容量5323、最大容量5324及び監視時刻5325を抽出する。
【0189】
次に、容量監視サーバ130の過割当容量計算モジュール214は、抽出したディスク割当済容量5322、ホスト使用容量5323及び最大容量5324に基づいて、シン・プロビジョニング・ボリューム411の改善率、改善容量、過割当率及び過割当容量を算出する(3153)。なお、シン・プロビジョニング・ボリューム411の改善率、改善容量、過割当率及び過割当容量は、容量表示処理(図8)のステップ3142と同一の方法で算出される。
【0190】
次に、容量監視サーバ130の警告モジュール234は、過割当容量計算モジュール214によって算出された過割当率が、入力モジュール241が受信した過割当率に関する閾値より大きいか否かを判定する(3154)。
【0191】
算出された過割当率が過割当率に関する閾値以下の場合、警告モジュール234は、警告を表示する必要がない。そこで、警告モジュール234は、そのままステップ3156に進む。
【0192】
一方、算出された過割当率が過割当率に関する閾値より大きい場合、容量監視サーバ130の画面表示情報生成モジュール242は、容量出力画面(図15)を生成する。
【0193】
図15は、本発明の実施の形態の画面表示情報生成モジュール242によって生成される容量出力画面711の説明図である。
【0194】
容量出力画面711は、管理者によって警告出力対象として指定されたシン・プロビジョニング・ボリューム411に関する情報を含む。具体的には、容量出力画面711は、監視時刻7111、最大容量7112、ディスク割当済容量7113、ホスト使用容量7114、改善率7115、改善容量7116、過割当率7117、過割当容量7118及び警告文7119を含む。
【0195】
監視時刻7111、最大容量7112、ディスク割当済容量7113、ホスト使用容量7114、改善率7115、改善容量7116、過割当率7117及び過割当容量7118は、図9で説明した容量出力画面に含まれるものと同一なので説明を省略する。
【0196】
警告文7119は、入力されたストレージ用TPVolIDによって識別されるシン・プロビジョニング・ボリューム411の過割当率が、入力された閾値を上回ることを警告する。
【0197】
ここで、図14に戻る。画面表示情報生成モジュール242は、受け取った表示対象レコード及び過割当容量計算モジュール214によって算出された値に基づいて、警告文7119を含む容量出力画面711を生成する。
【0198】
次に、容量監視サーバ130の情報表示モジュール243は、画面表示情報生成モジュール242によって生成された容量出力画面711を操作端末140に送信する。すると、操作端末140は、受信した容量出力画面711を表示する(3155)。
【0199】
次に、容量監視サーバ130の容量監視モジュール231は、入力モジュール241が受信したストレージ用TPVolIDと監視対象ボリューム使用ホスト一覧テーブル531のストレージ用TPVolID5311とが一致するレコードを、監視対象ボリューム使用ホスト一覧テーブル531から選択する。
【0200】
次に、容量監視モジュール231は、選択したレコードから、監視間隔5314及び監視期限5315を抽出する。次に、容量監視モジュール231は、抽出した監視時刻5325に、抽出した監視間隔5314を加算することによって、次回の監視時刻を算出する。次に、容量監視サーバ130は、算出した次回の監視時刻が、抽出した監視期限5315を過ぎているか否かを判定する(3156)。
【0201】
次回の監視時刻が監視期限5315を過ぎていない場合、容量監視モジュール231は、算出した次回の監視時刻まで待機する(3157)。その後、容量監視モジュール231は、ステップ3152に戻る。そして、容量監視モジュール231は、シン・プロビジョニング・ボリューム411に対する警告出力処理を繰り返す。
【0202】
一方、次回の監視時刻が監視期限5315を過ぎている場合、容量監視モジュール231は、シン・プロビジョニング・ボリューム411を再度監視する必要がない。よって、容量監視サーバ130は、警告出力処理を終了する。
【0203】
以上のように、容量監視サーバ130は、警告出力処理を実行することによって、過割当率の上昇を自動的に管理者に通知できる。これによって、管理者は、シン・プロビジョニング・ボリューム411の容量を監視する負担を軽減できる。
【0204】
なお、容量監視サーバ130は、警告文を含む性能表示画面712(図16)を操作端末140に表示させてもよい。
【0205】
また、容量監視サーバ130は、同様の方法で、改善率に関する警告を出力してもよい。この場合、管理者は、過割当率に関する閾値の代わりに、改善率に関する閾値を入力する。そして、容量監視サーバ130は、算出された改善率が、入力された改善率に関する閾値より小さいか否かを判定する。算出された過割当率が過割当率に関する閾値より小さい場合、容量監視サーバ130は、警告文を含む容量出力画面を生成し、表示する。
【0206】
以上のように、容量監視サーバ130は、改善率の低下を自動的に管理者に通知できる。これによって、管理者は、シン・プロビジョニング・ボリューム411の容量を監視する負担を軽減できる。
【0207】
図16は、本発明の実施の形態の画面表示情報生成モジュール242によって生成される性能表示画面712の説明図である。
【0208】
性能表示画面712は、シーケンシャルアクセスの相関関数7121、レスポンスタイム7122及び警告文7123を含む。シーケンシャルアクセスの相関関数7121及びレスポンスタイム7122は、性能表示画面(図13)に含まれるものと同一なので説明を省略する。
【0209】
警告文7123は、当該シン・プロビジョニング・ボリューム411に対するレスポンスタイムが閾値を上回ることを警告する。
【0210】
なお、容量監視サーバ130は、警告出力処理(図14)と同様の処理によって、警告文7123を含む性能表示画面712を操作端末140に表示させる。
【0211】
まず、管理者は、シーケンシャルアクセスの相関関数に関する閾値及びレスポンスタイムに関する閾値を操作端末140に入力する。
【0212】
容量監視サーバ130の警告モジュール234は、連続アクセス頻度算出モジュール212によって算出されたシーケンシャルアクセスの相関関数の絶対値が、管理者に入力された閾値以上であるか否かを判定する。算出されたシーケンシャルアクセスの相関関数の絶対値が閾値以上であると、容量監視サーバ130の画面表示情報生成モジュール242は、警告文7123を含む性能表示画面712を作成する。そして、画面表示情報生成モジュール242は、作成した性能表示画面712を操作端末140に表示させる。
【0213】
同様に、容量監視サーバ130の警告モジュール234は、レスポンスタイム監視モジュール213によって取得されたレスポンスタイムが、管理者に入力された閾値以上であるか否かを判定する。取得されたレスポンスタイムが閾値以上であると、容量監視サーバ130の画面表示情報生成モジュール242は、警告文7123を含む性能表示画面712を作成する。そして、画面表示情報生成モジュール242は、作成した性能表示画面712を操作端末140に表示させる。
【0214】
以上のように、シン・プロビジョニング・ボリューム411が管理者によって期待される性能を満たさなくなると、容量監視サーバ130は、警告文を含む性能表示画面712を表示させる。これによって、管理者は、シン・プロビジョニング・ボリューム411の性能を監視する負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0215】
【図1】本発明の実施の形態の計算機システムの構成のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の計算機システムに備わる容量監視サーバの構成のブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態の容量監視サーバに記憶される監視対象ボリューム使用ホスト一覧テーブルの構成図である。
【図4】本発明の実施の形態の容量監視サーバに記憶されるボリューム容量記録テーブルの構成図である。
【図5】本発明の実施の形態の容量監視サーバによって実行される容量観点の得失判断情報出力処理のフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態の容量監視サーバによって実行される容量監視処理のフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態の容量監視サーバによって実行される容量取得処理のフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態の容量監視サーバによって実行される容量表示処理のフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態の画面表示情報生成モジュールによって生成される容量出力画面の説明図である。
【図10】本発明の実施の形態の画面表示情報生成モジュールによって生成される容量出力画面の説明図である。
【図11】本発明の実施の形態の画面表示情報生成モジュールによって生成される容量出力画面の説明図である。
【図12】本発明の実施の形態の画面表示情報生成モジュールによって生成される容量出力画面の説明図である。
【図13】本発明の実施の形態の画面表示情報生成モジュールによって生成される性能表示画面の説明図である。
【図14】本発明の実施の形態の容量監視サーバによって実行される警告出力処理のフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態の画面表示情報生成モジュールによって生成される容量出力画面の説明図である。
【図16】本発明の実施の形態の画面表示情報生成モジュールによって生成される性能表示画面の説明図である。
【符号の説明】
【0216】
101 SAN
102 LAN
110 ストレージサブシステム
120 ホスト計算機
130 容量監視サーバ
140 操作端末
211 物理ディスク割当量通知モジュール
212 連続アクセス頻度算出モジュール
213 レスポンスタイム監視モジュール
214 過割当容量計算モジュール
221 ファイルシステム
222 常駐エージェント
223 ボリューム管理モジュール
231 容量監視モジュール
232 容量出力モジュール
233 性能出力モジュール
234 警告モジュール
241 入力モジュール
242 画面表示情報生成モジュール
243 情報表示モジュール
411 シン・プロビジョニング・ボリューム
412 物理ディスク
511 レスポンスタイム記録テーブル
531 監視対象ボリューム使用ホスト一覧テーブル
532 ボリューム容量記録テーブル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ、メモリ及びインタフェースを備える一つ以上のホスト計算機と、前記ホスト計算機に接続される一つ以上のストレージサブシステムと、前記ホスト計算機及び前記ストレージサブシステムに接続される管理計算機と、を備える計算機システムにおける記憶領域管理方法であって、
前記ストレージサブシステムは、前記ホスト計算機に書き込み要求されるデータを記憶する物理ディスクと、前記物理ディスクへのデータの入出力を制御するディスクコントローラと、を備え、
前記ディスクコントローラは、前記ホスト計算機からの書き込み要求に応じて前記物理ディスクの記憶領域が割り当てられるシン・プロビジョニング・ボリュームを、前記ホスト計算機に提供し、
前記ホスト計算機は、前記提供されたシン・プロビジョニング・ボリュームを、当該シン・プロビジョニング・ボリュームに既に割り当てられた物理ディスクの記憶領域の容量である割当済容量以上の容量を持つボリュームとして認識し、
前記管理計算機は、
前記シン・プロビジョニング・ボリュームの割当済容量を、前記ディスクコントローラから取得し、
前記ホスト計算機によって認識されるシン・プロビジョニング・ボリュームの容量であるホスト認識容量を、当該ホスト計算機から取得し、
前記取得されたホスト認識容量から、前記取得された割当済容量を減算することによって、当該シン・プロビジョニング・ボリュームの導入によって節約される物理ディスクの記憶領域の容量である改善容量を算出し、
前記算出された改善容量を、前記取得されたホスト認識容量で割ることによって、前記ホスト認識容量に対する前記改善容量の割合である改善率を算出し、
前記算出された改善率を表示することを特徴とする記憶領域管理方法。
【請求項2】
前記管理計算機は、
改善率に関する閾値を記憶し、
前記算出された改善率が前記改善率に関する閾値を下回ると、警告を表示することを特徴とする請求項1に記載の記憶領域管理方法。
【請求項3】
前記管理計算機は、
前記シン・プロビジョニング・ボリュームに割り当てられた物理ディスクの記憶領域のうち、前記ホスト計算機によって使用されている記憶領域の容量であるホスト使用容量を、前記ホスト計算機から取得し、
前記取得された割当済容量から、前記取得されたホスト使用容量を減算することによって、当該シン・プロビジョニング・ボリュームに割り当てられた物理ディスクの記憶領域のうち、前記ホスト計算機によって使用されていない記憶領域の容量である過割当容量を算出し、
前記算出された過割当容量を、前記取得された割当済容量で割ることによって、前記割当済容量に対する前記過割当容量の割合である過割当率を算出し、
前記算出された過割当率を、前記算出された改善率と併せて表示することを特徴とする請求項1に記載の記憶領域管理方法。
【請求項4】
前記管理計算機は、
過割当率に関する閾値を記憶し、
前記算出された過割当率が前記過割当率に関する閾値を上回ると、警告を表示することを特徴とする請求項3に記載の記憶領域管理方法。
【請求項5】
前記管理計算機は、
前記シン・プロビジョニング・ボリュームに対するアクセスの応答時間及び前記シン・プロビジョニング・ボリュームに対するアクセスの履歴を、前記ディスクコントローラから取得し、
前記取得されたシン・プロビジョニング・ボリュームに対するアクセスの履歴に基づいて、前記シン・プロビジョニング・ボリュームに対するシーケンシャルアクセスの頻度を算出し、
前記取得されたシン・プロビジョニング・ボリュームに対するアクセスの応答時間及び前記算出されたシン・プロビジョニング・ボリュームに対するシーケンシャルアクセスの頻度を、前記算出された改善率と併せて表示することを特徴とする請求項1に記載の記憶領域管理方法。
【請求項6】
前記管理計算機は、
前記シン・プロビジョニング・ボリュームに対するアクセスの応答時間に関する閾値及び前記シン・プロビジョニング・ボリュームに対するシーケンシャルアクセスの頻度に関する閾値を記憶し、
前記取得されたシン・プロビジョニング・ボリュームに対するアクセスの応答時間が前記応答時間に関する閾値を上回ると、警告を表示し、
前記算出されたシン・プロビジョニング・ボリュームに対するシーケンシャルアクセスの頻度が前記頻度に関する閾値を上回ると、警告を表示することを特徴とする請求項5に記載の記憶領域管理方法。
【請求項7】
一つ以上のホスト計算機と、前記ホスト計算機に接続される一つ以上のストレージサブシステムと、に接続され、プロセッサ、メモリ及びインターフェースを備える管理計算機であって、
前記ストレージサブシステムは、前記ホスト計算機に書き込み要求されるデータを記憶する物理ディスクと、前記物理ディスクへのデータの入出力を制御するディスクコントローラと、を備え、
前記ディスクコントローラは、前記ホスト計算機からの書き込み要求に応じて前記物理ディスクの記憶領域が割り当てられるシン・プロビジョニング・ボリュームを、前記ホスト計算機に提供し、
前記ホスト計算機は、前記提供されたシン・プロビジョニング・ボリュームを、当該シン・プロビジョニング・ボリュームに既に割り当てられた物理ディスクの記憶領域の容量である割当済容量以上の容量を持つボリュームとして認識し、
前記プロセッサは、
前記シン・プロビジョニング・ボリュームの割当済容量を、前記ディスクコントローラから取得し、
前記ホスト計算機によって認識されるシン・プロビジョニング・ボリュームの容量であるホスト認識容量を、当該ホスト計算機から取得し、
前記取得されたホスト認識容量から、前記取得された割当済容量を減算することによって、当該シン・プロビジョニング・ボリュームの導入によって節約される物理ディスクの記憶領域の容量である改善容量を算出し、
前記算出された改善容量を、前記取得されたホスト認識容量で割ることによって、前記ホスト認識容量に対する前記改善容量の割合である改善率を算出し、
前記算出された改善率を表示することを特徴とする管理計算機。
【請求項8】
前記プロセッサは、
改善率に関する閾値を記憶し、
前記算出された改善率が前記改善率に関する閾値を下回ると、警告を表示することを特徴とする請求項7に記載の管理計算機。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記シン・プロビジョニング・ボリュームに割り当てられた物理ディスクの記憶領域のうち、前記ホスト計算機によって使用されている記憶領域の容量であるホスト使用容量を、前記ホスト計算機から取得し、
前記取得された割当済容量から、前記取得されたホスト使用容量を減算することによって、当該シン・プロビジョニング・ボリュームに割り当てられた物理ディスクの記憶領域のうち、前記ホスト計算機によって使用されていない記憶領域の容量である過割当容量を算出し、
前記算出された過割当容量を、前記取得された割当済容量で割ることによって、前記割当済容量に対する前記過割当容量の割合である過割当率を算出し、
前記算出された過割当率を、前記算出された改善率と併せて表示することを特徴とする請求項7に記載の管理計算機。
【請求項10】
前記プロセッサは、
過割当率に関する閾値を記憶し、
前記算出された過割当率が前記過割当率に関する閾値を上回ると、警告を表示することを特徴とする請求項9に記載の管理計算機。
【請求項11】
前記プロセッサは、
前記シン・プロビジョニング・ボリュームに対するアクセスの応答時間及び前記シン・プロビジョニング・ボリュームに対するアクセスの履歴を、前記ディスクコントローラから取得し、
前記取得されたシン・プロビジョニング・ボリュームに対するアクセスの履歴に基づいて、前記シン・プロビジョニング・ボリュームに対するシーケンシャルアクセスの頻度を算出し、
前記取得されたシン・プロビジョニング・ボリュームに対するアクセスの応答時間及び前記算出されたシン・プロビジョニング・ボリュームに対するシーケンシャルアクセスの頻度を、前記算出された改善率と併せて表示することを特徴とする請求項7に記載の管理計算機。
【請求項12】
前記プロセッサは、
前記シン・プロビジョニング・ボリュームに対するアクセスの応答時間に関する閾値及び前記シン・プロビジョニング・ボリュームに対するシーケンシャルアクセスの頻度に関する閾値を記憶し、
前記取得されたシン・プロビジョニング・ボリュームに対するアクセスの応答時間が前記応答時間に関する閾値を上回ると、警告を表示し、
前記算出されたシン・プロビジョニング・ボリュームに対するシーケンシャルアクセスの頻度が前記頻度に関する閾値を上回ると、警告を表示することを特徴とする請求項11に記載の管理計算機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−316725(P2007−316725A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−142754(P2006−142754)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】