説明

記録ヘッド及び記録装置

【課題】小さな光スポットで高密度の情報記録が可能な小型の記録ヘッド及びそれを用いた記録装置を提供する。
【解決手段】記録媒体に対する情報記録に光を利用する記録装置であって、記録媒体に対して非接触状態で移動するスライダと、光源と、光源からの光を前記記録媒体上に照射するために、スライダにおいて記録媒体に対向する位置に配置された光導波路と、を有する。光導波路が、クラッドと該クラッド内に配置されたコアとからなり、コアが、入射側から出射側にかけて光進行方向に対し垂直な断面が光進行方向に連続的に狭くなるようにクラッドとの界面が直線的に構成されている光スポットサイズ変換器を有する。光導波路の光出力側のモードフィールド径をdとし、光導波路の光入力側のモードフィールド径をDとしたとき、D>dを満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録ヘッド及び記録装置に関するものであり、例えば、情報記録に光を利用する微小光記録ヘッド及びそれを用いた微小光記録装置、並びに情報記録に磁界と光を利用する光アシスト式磁気記録ヘッド及びそれを用いた光アシスト式磁気記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気記録方式では、記録密度が高くなると磁気ビットが外部温度等の影響を顕著に受けるようになる。このため高い保磁力を有する記録媒体が必要になるが、そのような記録媒体を使用すると記録時に必要な磁界も大きくなる。記録ヘッドによって発生する磁界は飽和磁束密度によって上限が決まるが、この値は材料限界に近づいており飛躍的な増大は望めない。そこで、記録時に局所的に加熱して磁気軟化を生じさせ、保磁力が小さくなった状態で記録し、その後に加熱を止めて自然冷却することにより、記録した磁気ビットの安定性を保証する方式が提案されている。この方式は熱アシスト磁気記録方式と呼ばれている。
【0003】
熱アシスト磁気記録方式では、記録媒体の加熱を瞬間的に行うことが望ましい。また、加熱する機構と記録媒体とが接触することは許されない。このため、加熱は光の吸収を利用して行われるのが一般的であり、加熱に光を用いる方式は光アシスト式と呼ばれている。光アシスト式で超高密度記録を行う場合、必要なスポット径は20nm程度になるが、通常の光学系では回折限界があるため、光をそこまで集光することはできない。そこで、非伝搬光である近接場光を用いて加熱する方式がいくつか提案されている(特許文献1等参照。)。この方式では適当な波長のレーザ光を光学系よって集光し、数十nmの大きさの金属(プラズモンプローブと呼ばれる。)に照射して近接場光を発生させ、その近接場光を加熱手段として用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−116155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的な磁気記録装置(例えばハードディスク装置)では、狭いスペースに記録用のディスクが複数枚積層され、その隙間は1mm以下に設定される。このため、磁気記録ヘッドの厚みは制限される。特許文献1記載の光アシスト式磁気記録ヘッドや通常の光磁気記録ヘッド(MO)では、ヘッド背面に大きな光学系が配置されるため、上記のように磁気記録ヘッドが厚みの制限を受ける磁気記録装置に対応することはできない。この点から、光アシスト式磁気記録ヘッドには非常に薄い導光手段及び集光手段が求められている。
【0006】
また、通常のレンズやSIL(solid immersion lens)でディスク上に光スポットを形成する場合、スポットサイズを小さくするためにNA(numerical aperture)を大きくとらなければならない。これは集光点に向かう光線の角度が大きいことを意味する。光アシスト式磁気記録ヘッドにおける光アシスト部は、通常のハードディスク装置に用いられている磁気記録部や磁気再生部と共存する必要があるので、上記のようにNAが大きいと、光が磁気記録部や磁気再生部と干渉してしまうことになる。また、ビーム径や磁気記録ヘッドの大型化を招くことにもなる。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、小さな光スポットで高密度の情報記録が可能な小型の記録ヘッド及びそれを用いた記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明の記録装置は、記録媒体に対する情報記録に光を利用する記録装置であって、前記記録媒体に対して非接触状態で移動するスライダと、光源と、前記光源からの光を前記記録媒体上に照射するために、前記スライダにおいて記録媒体に対向する位置に配置された光導波路と、を有し、前記光導波路が、クラッドと該クラッド内に配置されたコアとからなり、該コアが、入射側から出射側にかけて光進行方向に対し垂直な断面が光進行方向に連続的に狭くなるように前記クラッドとの界面が直線的に構成されている光スポットサイズ変換器を有し、前記光導波路の光出力側のモードフィールド径をdとし、前記光導波路の光入力側のモードフィールド径をDとしたとき、D>dを満たすことを特徴とする。
【0009】
第2の発明の記録装置は、上記第1の発明において、前記モードフィールド径が40d>D>dを満たすことを特徴とする。
【0010】
第3の発明の記録装置は、上記第1又は第2の発明において、前記光導波路の光出射位置又はその近傍に近接場光発生用のプラズモンプローブをさらに有することを特徴とする。
【0011】
第4の発明の記録装置は、上記第3の発明において、前記プラズモンプローブが曲率半径20nm以下の頂点を有するアンテナ又はアパーチャから成ることを特徴とする。
【0012】
第5の発明の記録装置は、上記第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記光源部が近赤外波長の光を出射するものであり、前記光導波路のコア材料がシリコンであることを特徴とする。
【0013】
第6の発明の記録装置は、上記第3の発明において、磁気による情報の書き込みを行う磁気記録素子、又は磁気による情報の読み取りを行う磁気再生素子を、さらに有することを特徴とする。
【0014】
第7の発明の記録装置は、上記第6の発明において、前記記録媒体に対する記録動作が、プラズモンプローブからの光により発生する熱と、前記磁気記録素子からの磁気と、によって行われることを特徴とする。
【0015】
第8の発明の記録ヘッドは、記録媒体に対する情報記録に光を利用する記録ヘッドであって、前記記録媒体に対して非接触状態で移動するスライダと、光源と、前記光源からの光を前記記録媒体上に照射するために、前記スライダにおいて記録媒体に対向する位置に配置された光導波路と、を有し、前記光導波路が、クラッドと該クラッド内に配置されたコアとからなり、該コアが、入射側から出射側にかけて光進行方向に対し垂直な断面が光進行方向に連続的に狭くなるように前記クラッドとの界面が直線的に構成されている光スポットサイズ変換器を有し、前記光導波路の光出力側のモードフィールド径をdとし、前記光導波路の光入力側のモードフィールド径をDとしたとき、D>dを満たすことを特徴とする。
【0016】
第9の発明の記録ヘッドは、上記第8の発明において、前記モードフィールド径が40d>D>dを満たすことを特徴とする。
【0017】
第10の発明の記録ヘッドは、上記第8又は第9の発明において、前記光導波路の光出射位置又はその近傍に近接場光発生用のプラズモンプローブをさらに有することを特徴とする。
【0018】
第11の発明の記録ヘッドは、上記第10の発明において、前記プラズモンプローブが曲率半径20nm以下の頂点を有するアンテナ又はアパーチャから成ることを特徴とする。
【0019】
第12の発明の記録ヘッドは、上記第8〜第11のいずれか1つの発明において、磁気による情報の書き込みを行う磁気記録素子、又は磁気による情報の読み取りを行う磁気再生素子を、さらに有することを特徴とする。
【0020】
第13の発明の記録ヘッドは、上記第12の発明において、前記記録媒体に対する記録動作が、プラズモンプローブからの光により発生する熱と、前記磁気記録素子からの磁気と、によって行われることを特徴とする。
【0021】
第14の発明の記録ヘッドは、記録媒体に対する情報記録に光を利用する記録ヘッドであって、前記記録媒体に対して非接触状態で移動するスライダと、光源からの光を前記記録媒体上に照射するために、前記スライダにおいて記録媒体に対向する位置に配置された光導波路と、を有し、前記光導波路が、クラッドと該クラッド内に配置されたコアとからなり、該コアが、入射側から出射側にかけて光進行方向に対し垂直な断面が光進行方向に連続的に狭くなるように前記クラッドとの界面が直線的に構成されている光スポットサイズ変換器を有し、前記光導波路の光出力側のモードフィールド径をdとし、前記光導波路の光入力側のモードフィールド径をDとしたとき、D>dを満たすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、光導波路径を滑らかに変化させることによりモードフィールド径を変換して、光導波路の光入力側のモードフィールド径よりも光導波路の光出力側のモードフィールド径が小さくなるようにする構成になっているため、小さな光スポットを得ることが可能になる。そして、光スポットサイズが小さくなることにより、磁気記録の高密度化が可能になる。
【0023】
光導波路のコア材料としてシリコンを用いることにより、コアとクラッドとの屈折率差を大きくすることができるため、単純な構成で微小スポット(つまり高エネルギー密度)を得ることが可能になり、光導波路の製造が容易になる。また、曲率半径20nm以下の頂点を有するアンテナ又はアパーチャから成るプラズモンプローブを用いることにより、光スポットサイズを更に小さくすることができるため、高密度記録に有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】光アシスト式磁気記録装置の概略構成例を示す斜視図。
【図2】光アシスト式磁気記録ヘッドの実施例1を示す断面図。
【図3】光アシスト式磁気記録ヘッドの実施例2を示す断面図。
【図4】光アシスト式磁気記録ヘッドの実施例3を示す断面図。
【図5】光アシスト式磁気記録ヘッドの実施例4を示す断面図。
【図6】光アシスト部の具体例1を示す斜視図。
【図7】光アシスト部の具体例1を流出端側から見た状態で示す断面図。
【図8】光アシスト部の具体例1を横から見た状態で示す断面図。
【図9】光アシスト部の具体例2を流出端側から見た状態で示す断面図。
【図10】光アシスト部の具体例2を横から見た状態で示す断面図。
【図11】光アシスト部の具体例3を流出端側から見た状態で示す断面図。
【図12】光アシスト部の具体例3を横から見た状態で示す断面図。
【図13】プラズモンプローブの具体例を示す平面図。
【図14】光アシスト部の具体例1を有するスライダの作製工程を示す断面図。
【図15】光アシスト部の具体例2におけるコアの形成工程を示す断面図。
【図16】コアの屈折率とΔnとの関係を示すグラフ。
【図17】光アシスト式磁気記録ヘッド以外の微小光記録ヘッドの一実施例を示す断面図。
【図18】シリコンベンチとスライダとの組み立てを説明するための断面図。
【図19】シリコンベンチとスライダとの水平方向の位置調整を説明するための平面図。
【図20】シリコンベンチとスライダとの傾き調整1を説明するための図。
【図21】シリコンベンチとスライダとの傾き調整2を説明するための図。
【図22】光アシスト式磁気記録ヘッド以外の微小光記録ヘッドの一実施例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る光アシスト式の磁気記録ヘッドとそれを備えた磁気記録装置等を、図面を参照しつつ説明する。なお、各実施の形態等の相互で同一の部分や相当する部分には同一の符号を付して重複説明を適宜省略する。
【0026】
図1に、光アシスト式の磁気記録ヘッドを搭載した磁気記録装置(例えばハードディスク装置)の概略構成例を示す。この磁気記録装置10は、記録用のディスク(磁気記録媒体)2と、支軸5を支点として矢印A方向(トラッキング方向)に回転可能に設けられたサスペンション4と、サスペンション4に取り付けられたトラッキング用のアクチュエータ6と、サスペンション4の先端部に取り付けられた光アシスト式の磁気記録ヘッド3と、ディスク2を矢印B方向に回転させるモータ(不図示)と、を筐体1内に備えており、磁気記録ヘッド3がディスク2上で浮上しながら相対的に移動しうるように構成されている。
【0027】
磁気記録ヘッド3は、ディスク2に対する情報記録に光を利用する微小光記録ヘッドであって、半導体レーザ,光ファイバー等から成る光源部と、ディスク2の被記録部分を近赤外レーザー光でスポット加熱するための光アシスト部と、光源部からの近赤外レーザー光を光アシスト部に導く光学系と、ディスク2の被記録部分に対して磁気情報の書き込み行う磁気記録部と、ディスク2に記録されている磁気情報の読み取りを行う磁気再生部と、を備えている。光源部を構成している半導体レーザは近赤外光源であり、その半導体レーザから出射した近赤外波長(1550nm,1310nm等)のレーザー光は光ファイバーで所定位置まで導光される。光源部から出射した近赤外レーザー光は、光学系により光アシスト部に導光され、光アシスト部の光導波路を通って磁気記録ヘッド3から出射する。光アシスト部から出射した近赤外レーザー光が微小な光スポットとしてディスク2に照射されると、ディスク2の照射部分の温度が一時的に上昇してディスク2の保磁力が低下する。その保磁力の低下した状態の照射部分に対して、磁気記録部により磁気情報が書き込まれる。この磁気記録ヘッド3の詳細を以下に説明する。
【0028】
図2〜図5に、磁気記録ヘッド3の具体的な光学構成(光学面形状,光路等)を実施例1〜4として光学断面で示し、また、実施例1〜4のコンストラクションデータを以下に挙げる。各実施例のコンストラクションデータにおいて、ri(i=0,1,2,3,...)は光源部側から数えてi番目の面Si(i=0,1,2,3,...)の曲率半径(mm)、di(i=0,1,2,3,...)は光源部側から数えてi番目の軸上面間隔(mm)をそれぞれ示しており、Ni(i=1,2,...)は光源部側から数えてi番目の媒質の使用波長に対する屈折率を示しており、x軸傾きai(i=0,1,2,3,...)とy軸偏心bi(i=0,1,2,3,...)は互いに直交するxy座標系における面Siの傾き角度(°)と偏心量(mm)をそれぞれ示している。なお、光源位置は光ファイバー14の出射端面に相当する。また、光源のNA(numerical aperture)及び使用波長をあわせて示す。
【0029】
《実施例1》
光源のNA=0.083333
使用波長:1.31(μm)
[面] [曲率半径][軸上面間隔][屈折率] [x軸傾き] [y軸偏心]
S0 r0= ∞ d0= 0.244 - a0= 0 b0= 0(光源)
S1 r1= 0.125 d1= 0.25 N1=1.50358291 a1= 0 b1= 0
S2 r2=-0.125 d2= 0.03 - a2= 0 b2= 0
S3 r3= - d3= 0 - a3= 35.26 b3= 0
S4 r4= ∞ d4= 0.6 N2=3.51136585 a4= 0 b4= 0
S5 r5= - d5= 0 - a5=-70.528 b5= 0
S6 r6= - d6= 0 - a6= 0 b6= 0.20388742
S7 r7= ∞ d7= 0 - a7= 0 b7= 0(全反射面)
S8 r8= ∞ d8=-0.8 N3=3.51136585 a8= 0 b8= 0
S9 r9= - d9= 0 - a9=-61.03 b9= 0
S10 r10= - d10=0 - a10= 0 b10=-0.70013749
S11 r11=∞ d11=0 N4=3.51136585 a11= 0 b11= 0
S12 r12=∞ a12= 0 b12= 0
【0030】
《実施例2》
光源のNA=0.083333
使用波長:1.31(μm)
[面] [曲率半径][軸上面間隔][屈折率] [x軸傾き] [y軸偏心]
S0 r0= ∞ d0= 0.1 - a0= 0 b0= 0(光源)
S1 r1= 0.075 d1= 0.15 N1=1.75030841 a1= 0 b1= 0
S2 r2=-0.075 d2= 0.02 - a2= 0 b2= 0
S3 r3= - d3= 0 - a3= 35.26 b3= 0
S4 r4= ∞ d4= 0.2 N2=3.51136585 a4= 0 b4= 0
S5 r5= - d5= 0 - a5=-70.528 b5= 0
S6 r6= - d6= 0 - a6= 0 b6= 0.067962472
S7 r7= ∞ d7= 0 - a7= 0 b7= 0(全反射面)
S8 r8= ∞ d8=-0.4 N3=3.51136585 a8= 0 b8= 0
S9 r9= - d9= 0 - a9=-61.03 b9= 0
S10 r10= - d10=0 - a10= 0 b10=-0.35006874
S11 r11=∞ d11=0 N4=3.51136585 a11= 0 b11= 0
S12 r12=∞ a12= 0 b12= 0
【0031】
《実施例3》
光源のNA=0.083333
使用波長:1.31(μm)
[面] [曲率半径] [軸上面間隔] [屈折率] [x軸傾き] [y軸偏心]
S0 r0= ∞ d0= 0.0402565 - a0= 0 b0= 0(光源)
S1 r1= 0.075 d1= 0.15 N1=1.50358291 a1= 0 b1= 0
S2 r2=-0.075 d2= 0.005 - a2= 0 b2= 0
S3 r3= - d3= 0 - a3= 42.4 b3= 0
S4 r4= - d4= 0 - a4= 0 b4= 0.04259
S5 r5= 0.0466425 d5= 0.0466425 N2=1.50358291 a5= 0 b5= 0
S6 r6= ∞ d6= 0 N3=1.50358291 a6= 0 b6= 0
S7 r7= ∞ d7= 0.3 N4=3.51136585 a7= 0 b7= 0
S8 r8= - d8= 0 - a8= -70.528779 b8= 0
S9 r9= - d9= 0 - a9= 0 b9= 0.14647875
S10 r10=∞ d10= 0 - a10= 0 b10= 0(全反射面)
S11 r11=∞ d11=-0.25 N5=3.51136585 a11= 0 b11= 0
S12 r12= - d12= 0 - a12=-54.738842 b12= 0
S13 r13= - d13= 0 - a13= 0 b13=-0.20163192
S14 r14=∞ d14= 0 N6=3.51136585 a14= 0 b14= 0
S15 r15=∞ a15= 0 b15= 0
【0032】
《実施例4》
光源のNA=0.083333
使用波長:1.31(μm)
[面] [曲率半径][軸上面間隔] [屈折率] [x軸傾き] [y軸偏心]
S0 r0= ∞ d0= 0.293245 - a0= 0 b0= 0(光源)
S1 r1= 0.15 d1= 0.3 N1=1.50358291 a1= 0 b1= 0
S2 r2=-0.15 d2= 0.05 - a2= 0 b2= 0
S3 r3= - d3= 0.035 - a3=-54.73561 b3= 0
S4 r4= - d4= 0 - a4= 0 b4=-0.049497475
S5 r5= ∞ d5= 0 - a5= 0 b5= 0(反射面)
S6 r6= ∞ d6= 0 - a6= 0 b6= 0
S7 r7= - d7=-0.15 - a7=-54.73561 b7= 0
S8 r8= - d8= 0 - a8= 0 b8= 0
S9 r9= ∞ d9= 0 - a9= 0 b9= 0
S10 r10=∞ a10= 0 b10=0
【0033】
実施例1〜3(図2〜図4)は光路中に全反射のあるタイプの磁気記録ヘッド、実施例4(図5)は光路中に全反射のないタイプの磁気記録ヘッドであり、いずれも図1中の磁気記録ヘッド3に相当するものである。図2〜図5において、11はスライダ、12Aは光導波路を有する光アシスト部、12Bは磁気記録部、12Cは磁気再生部、13はシリコンベンチ、14は光ファイバー、15は球レンズ、19は基板であり、図2〜図4において17はマイクロプリズムであり、図4において16は半球レンズであり、図5において18はマイクロミラーである。
【0034】
実施例1〜4において、磁気記録部12Bはディスク2に対して磁気情報の書き込みを行う磁気記録素子であり、磁気再生部12Cはディスク2に記録されている磁気情報の読み取りを行う磁気再生素子であり、光アシスト部12Aはディスク2の被記録部分を近赤外レーザー光でスポット加熱するための光アシスト素子である。なお、各実施例ではディスク2の記録領域の流入側から流出側にかけて、磁気再生部12C,光アシスト部12A,磁気記録部12Bの順に配置されているが、配置順はこれに限らない。光アシスト部12Aの流出側直後に磁気記録部12Bが位置すればよいので、例えば、光アシスト部12A,磁気記録部12B,磁気再生部12Cの順に配置してもよい。
【0035】
実施例1,2の磁気記録ヘッド3は、光ファイバー14を含む光源部と、その光ファイバー14からの近赤外レーザー光を光アシスト部12Aに導くための球レンズ15及びマイクロプリズム17から成る光学系と、光源部及び光学系が取り付けられるシリコンベンチ13と、シリコンベンチ13が取り付けられた状態でディスク2(図1)上で浮上しながら相対的に移動するスライダ11と、で構成されている。実施例3の磁気記録ヘッド3は、光ファイバー14を含む光源部と、その光ファイバー14からの近赤外レーザー光を光アシスト部12Aに導くための球レンズ15,半球レンズ16及びマイクロプリズム17から成る光学系と、光源部及び光学系が取り付けられるシリコンベンチ13と、シリコンベンチ13が取り付けられた状態でディスク2(図1)上で浮上しながら相対的に移動するスライダ11と、で構成されている。実施例4の磁気記録ヘッド3は、光ファイバー14を含む光源部と、その光ファイバー14からの近赤外レーザー光を光アシスト部12Aに導くための球レンズ15及びマイクロミラー18から成る光学系と、光源部及び光学系が取り付けられるシリコンベンチ13と、シリコンベンチ13が取り付けられた状態でディスク2(図1)上で浮上しながら相対的に移動するスライダ11と、で構成されている。実施例1〜4におけるスライダ11内には、光アシスト部12A,磁気記録部12B及び磁気再生部12Cがスライダ11と一体化された状態で設けられている。また、実施例1〜3においてマイクロプリズム17はシリコンベンチ13と一体的に構成されており、実施例4においてマイクロミラー18はシリコンベンチ13と一体的に構成されている。
【0036】
実施例1(図2)の光学構成を説明する。シリコンベンチ13には異方性エッチングでV溝(不図示)が設けられており、そのV溝に直径125μmの光ファイバー14が設置されている。光ファイバー14の光出射側端面は斜めにカットされているため、光束は光ファイバー14から右下方に出射した後、球レンズ15に入射する。球レンズ15は、直径0.25mmのガラス球(BK7)から成る等倍光学系であり、球レンズ15を通過した光束は、シリコンベンチ13と一体化されたシリコンマイクロプリズム17での全反射により偏向される。シリコンマイクロプリズム17は頂角が約70°であり、異方性エッチングにより形成されている。シリコンマイクロプリズム17で偏向された光束は、直下の光アシスト部12A内の光導波路に対して集光され、光導波路との結合が完了する。光ファイバー14のモードフィールド径は約9μmであり、光アシスト部12A内の光導波路のモードフィールド径も約9μmであるため、この光学系の倍率は1:1である。光アシスト部12Aから出射した光束が微小な光スポットとしてディスク2(図1)に照射されると、ディスク2の照射部分の温度が一時的に上昇してディスク2の保磁力が低下する。その保磁力の低下した状態の照射部分に対して、磁気記録部12Bにより磁気情報の書き込みが行われる。
【0037】
実施例2(図3)の光学構成を説明する。シリコンベンチ13には異方性エッチングでV溝(不図示)が設けられており、そのV溝に直径125μmの光ファイバー14が設置されている。光ファイバー14の光出射側端面は斜めにカットされているため、光束は光ファイバー14から右下方に出射した後、球レンズ15に入射する。球レンズ15は、直径0.15mmのサファイアガラス球から成る等倍光学系であり、球レンズ15を通過した光束は、シリコンベンチ13と一体化されたシリコンマイクロプリズム17での全反射により偏向される。シリコンマイクロプリズム17は頂角が約70°であり、異方性エッチングにより形成されている。シリコンマイクロプリズム17で偏向された光束は、直下の光アシスト部12A内の光導波路に対して集光され、光導波路との結合が完了する。光ファイバー14のモードフィールド径は約9μmであり、光アシスト部12A内の光導波路のモードフィールド径も約9μmであるため、この光学系の倍率は1:1である。光アシスト部12Aから出射した光束が微小な光スポットとしてディスク2(図1)に照射されると、ディスク2の照射部分の温度が一時的に上昇してディスク2の保磁力が低下する。その保磁力の低下した状態の照射部分に対して、磁気記録部12Bにより磁気情報の書き込みが行われる。
【0038】
実施例3(図4)の光学構成を説明する。シリコンベンチ13には異方性エッチングでV溝(不図示)が設けられており、そのV溝に直径125μmの光ファイバー14が設置されている。光ファイバー14の光出射側端面は斜めにカットされているため、光束は光ファイバー14から右上方に出射した後、球レンズ15に入射する。球レンズ15は直径0.15mmのガラス球(BK7)から成り、光束は球レンズ15で略コリメートされる。球レンズ15を通過した光束は、半球レンズ16に入射する。半球レンズ16は直径0.093285mmのガラス半球(BK7)から成り、シリコンベンチ13と一体化されたシリコンマイクロプリズム17に接着されている。球レンズ15から出射した略コリメート光束は、半球レンズ16で集光された後、シリコンマイクロプリズム17での全反射により偏向される。シリコンマイクロプリズム17は頂角が約70°であり、異方性エッチングにより形成されている。シリコンマイクロプリズム17で偏向された光束は、直下の光アシスト部12A内の光導波路に対して集光され、光導波路との結合が完了する。光ファイバー14のモードフィールド径は約9μmであり、光アシスト部12A内の光導波路のモードフィールド径も約9μmであるため、この光学系の倍率は1:1である。光アシスト部12Aから出射した光束が微小な光スポットとしてディスク2(図1)に照射されると、ディスク2の照射部分の温度が一時的に上昇してディスク2の保磁力が低下する。その保磁力の低下した状態の照射部分に対して、磁気記録部12Bにより磁気情報の書き込みが行われる。
【0039】
実施例4(図5)の光学構成を説明する。シリコンベンチ13には異方性エッチングでV溝(不図示)が設けられており、そのV溝に直径125μmの光ファイバー14が設置されている。光ファイバー14の光出射側端面は斜めにカットされているため、光束は光ファイバー14から右下方に出射した後、球レンズ15に入射する。球レンズ15は、直径0.3mmのガラス球(BK7)から成る等倍光学系であり、球レンズ15を通過した光束は、シリコンベンチ13と一体化されたシリコンマイクロミラー18での反射により偏向される。シリコンマイクロミラー18はスライダ11との成す角度が約54°であり、異方性エッチングにより形成されている。また、シリコンマイクロミラー18の表面はアルミコートされている。シリコンマイクロミラー18で偏向された光束は、直下の光アシスト部12A内の光導波路に対して集光され、光導波路との結合が完了する。光ファイバー14のモードフィールド径は約9μmであり、光アシスト部12A内の光導波路のモードフィールド径も約9μmであるため、この光学系の倍率は1:1である。光アシスト部12Aから出射した光束が微小な光スポットとしてディスク2(図1)に照射されると、ディスク2の照射部分の温度が一時的に上昇してディスク2の保磁力が低下する。その保磁力の低下した状態の照射部分に対して、磁気記録部12Bにより磁気情報の書き込みが行われる。
【0040】
次に、実施例1〜4(図2〜図5)の磁気記録ヘッド3がスライダ11内に有する光アシスト部12Aを、具体例1〜3を挙げて説明する。図6〜図8に光アシスト部12Aの具体例1を示し、図9及び図10に光アシスト部12Aの具体例2を示し、図11及び図12に光アシスト部12Aの具体例3を示す。図6は具体例1を斜視図で示しており、図7,図9及び図11は具体例1〜3を流出端側(つまり、ディスク2(図1)の記録領域の流出側)から見た断面図でそれぞれ示しており、図8,図10及び図12は具体例1〜3を横から見た断面図(図2〜図5の断面と対応する。)でそれぞれ示している。
【0041】
具体例1,2の光アシスト部12Aは、コア21a(例えばSi),サブコア23a(例えばSiON)及びクラッド24a(例えばSiO2)から成る光導波路を有しており、具体例3の光アシスト部12Aは、コア21a及びクラッド24aから成る光導波路を有している。その光導波路の光出射位置又はその近傍には、図8,図10及び図12にそれぞれ示すように、近接場光発生用のプラズモンプローブ30が配置されている。そのプラズモンプローブ30の具体例を図13に示す。
【0042】
図13において、(A)は三角形の平板状金属薄膜(材料例:アルミニウム,金,銀等)から成るプラズモンプローブ30、(B)はボウタイ型の平板状金属薄膜(材料例:アルミニウム,金,銀等)から成るプラズモンプローブ30であり、いずれも曲率半径20nm以下の頂点Pを有するアンテナから成っている。また、(C)は開口を有する平板状金属薄膜(材料例:アルミニウム,金,銀等)から成るプラズモンプローブ30であり、曲率半径20nm以下の頂点Pを有するアパーチャから成っている。これらのプラズモンプローブ30に光が作用すると、その頂点P近辺に近接場光が発生して、非常に小さいスポットサイズの光を用いた記録又は再生を行うことが可能となる。つまり、光導波路の光出射位置又はその近傍にプラズモンプローブを設けることにより局在プラズモンを発生させれば、光導波路で形成された光スポットのサイズを更に小さくすることができ、高密度記録に有利となる。また、コア材料としてシリコンを用いれば、シリコンは屈折率が高いので、近接場発生効率が良くなる。なお、コア21aの中央にプラズモンプローブ30の頂点Pが位置することが好ましく、また、近赤外波長(1550nm)では金属薄膜の材料として金を用いることが好ましい。
【0043】
光アシスト式で超高密度記録を行う場合に必要なスポット径が20nm程度であり、光の利用効率を考えると、プラズモンプローブ30におけるモードフィールド径(MFD)は0.3μm程度が望ましい。そのままの大きさでは光入射が困難であるため、スポット径を5μm程度から数100nmまで小さくするスポットサイズ変換を行う必要がある。光アシスト部12Aの具体例1〜3では、光導波路の少なくとも一部でスポットサイズ変換器を構成することにより、光入射を容易にするためのスポットサイズ変換を行う構成としている。
【0044】
具体例1でのコア21aの幅は、図8に示す断面では光入力側から光出力側にかけて一定になっているが、図7(A)に示す断面ではサブコア23a内において光入力側から光出力側にかけて徐々に広くなるように変化している。この光導波路径の滑らかな変化により、モードフィールド径が変換される。つまり、具体例1における光導波路のコア21aの幅は、図7(A)に示すように、光入力側で0.1μm以下、光出力側で0.3μmとなっているが、図7(B)に示すように、光入力側ではサブコア23aによりMFD:5μm程度の光導波路が構成され、その後徐々にコア21aに光結合してモードフィールド径が小さくなる。具体例2では、具体例1とは逆に、図10に示す断面でのコア21aの膜厚を光出力側(プラズモンプローブ3側)に向けて厚くし、図9に示す断面では膜厚を変えずにモードフィールド径を調節する構成になっている。このように、光導波路の光出力側のモードフィールド径をdとし、光導波路の光入力側のモードフィールド径をDとしたとき(図7(B)参照。)、光導波路径を滑らかに変化させることによりモードフィールド径を変換して、D>dを満たすようにすることが好ましい。
【0045】
光導波路の先端を徐々に細く(又は薄く)なるようにしておくと、光導波路のコアを伝搬してきた光がスポットサイズ変換用光導波路のコア部分にさしかかると、光がクラッドへ漏れだす量が多くなり、光の電界分布が広がることになる。その結果、スポットサイズが大きくなる。しかしながら、変換用光導波路のコアの幅を極端に細く又は厚みを薄くすると、光導波路として伝搬モードが存在できない状態、すなわちカットオフ状態となる。このとき、光はサブコア(SiON)及びクラッド(SiO2)で構成された光導波路と結合し、大きな光スポットを形成することができる。これは小さいスポットを拡大する方向での説明であるが、光の逆進性により上記のように拡大された光スポットと同じ形状の光を入射させれば、光スポットを縮小することができる。なお、細く又は薄くする方向が一方向であっても、光スポットを2次元的に拡大することができる。
【0046】
具体例3でのコア21aの幅は、図11,図12に示すように、両方向の断面において光入力側から光出力側にかけて徐々に細くなるように変化している。つまり、具体例3における光導波路のコア21aの幅は、図11に示すように、光入力側で5μm、光出力側で0.3μmとなっている。この光導波路径の滑らかな変化により、モードフィールド径が変換される。このように、光導波路のコアを徐々に太く(又は厚く)なるようにすると、その形状に依存して光スポットは拡大する。光の逆進性により上記のように拡大された光スポットと同じ形状の光を入射させれば、光スポットを縮小することができる。
【0047】
前述したように、通常のレンズやSILでディスク上に光スポットを形成する場合、スポットサイズを小さくするためにNAを大きくとらなければならない。これは集光点に向かう光線の角度が大きいことを意味するので、光が磁気記録部や磁気再生部と干渉してしまうことになり、また、ビーム径や磁気記録ヘッドの大型化を招くことにもなる。それに対し前述した磁気記録ヘッド3では、スライダ11に光導波路を有する構成になっているため、磁気記録部や磁気再生部との配置的干渉は問題とならない。また、光導波路の少なくとも一部で構成されるスポットサイズ変換器により、スライダ11の上部におけるモードフィールド径を大きくしておけば、上部レンズのNAを小さくすることができ、ビーム径も小さくとることができるため、光学系の小型化に寄与することができる。
【0048】
通常、光導波路部の長さはスライダ厚さと一致させるが、特殊な構成ではその前後としてもよい。例えば、位置合わせ用としてスライダに凹形状(又は凸形状)を設け、逆にシリコンベンチに凸形状(又は凹形状)を設けた場合では、光導波路部の長さがスライダ厚さと一致していなくてもよい。また、スポットサイズ変換器の長さは、0.2mm以上であることが好ましい。スポットサイズ変換を急激に行うと漏れ光が発生し、この過剰損失を低減するには0.2mm以上の長さが必要となるからである。なお、具体例1〜3におけるスポットサイズ変換器の長さは、コア21aの幅が光入力側から光出力側にかけて徐々に変化している部分の長さに相当し、具体例1,2ではサブコア23aの長さに相当する。
【0049】
次に、具体例1の光アシスト部12Aを有するスライダ11の作製方法を、図14の工程図を用いて説明する。(A)に示すように、基板19(材料:AlTiC等)に磁気再生部12Cを作製した後、平坦化する。(B)に示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition)を用いてSiO2層20を3μm成膜し、続いてSi層21を300nm成膜する。その上にレジストを塗布し、(C)に示すように、電子ビームリソグラフィー(あるいはステッパーを用いたリソグラフィー)によりコア形状をパターニングして、レジストパターン22を形成する。このとき、コア形状が所望のテーパ形状となるようにレジストパターンを形成する。RIE(Reactive Ion Etching)を用いてSi層21を加工し、(D)に示すようにコア21aを形成する。(E)に示すように、CVDを用いてSiON層23を3μm積層する。フォトリソ工程でSiON層23を3μm幅に加工し、(F)に示すようにサブコア23aを形成する。(G)に示すように、CVDを用いてSiO2層24を5μm成膜した後に平坦化し、磁気記録部12Bを作製する。(H)に示すように、ダイシング,ミリング等の加工方法により、スライダ形状に切断加工する。クラッド24aはSiO2層20とSiO2層24とで構成される。なお、基板19はAlTiCから成っているが、シリコンから成るものを用いてもよい。
【0050】
具体例2の光アシスト部12Aを有するスライダ11を作製する場合には、図14(D)でのコア21aの形成後(図15(A))、図15(B)に示すようにドライエッチング装置で斜めエッチングを行うことによりテーパ形状を形成し、図14(F)でのサブコア23aの形成後、図15(C)に示すようにSiO2層24を成膜してクラッド24aを構成する(図15(C)中のサブコア23aは省略する。)。具体例3の光アシスト部12Aを有するスライダ11を作製する場合には、具体例2における斜めエッチングとは逆方向からの斜めエッチングを行えばよい。
【0051】
上記のように光導波路のコア材料がシリコンであり、光導波路の使用波長が近赤外波長であることが好ましい。いろいろな高屈折率材料が一般的に知られており、その高屈折率材料を使用することにより、紫外光から可視光,近赤外光まで様々な波長に対応することができ、レーザや光学系の部材の選択肢は広がる。しかし、一般に高屈折率材料はドライエッチング装置で加工してもエッチング速度が遅く、レジストとの選択比も取り難く、性能の良い微細構造を形成するためには困難が伴う。例えば、GaAs,GaN等の材料では可視光を用いることができるが、加工は困難である。シリコンは半導体プロセスの一般的材料であり、その加工方法が確立されているため、比較的簡単に加工を行うことができる。したがって、シリコンを光導波路のコア材料として用いることが好ましい。ただし、シリコンを光導波路のコア材料として用いると、可視光を使用することができないので、光導波路に使用する光として近赤外光を用いることが好ましい。つまり、近赤外波長(1550nm,1310nm等)の光源を用いれば、実績のあるシリコンをコア材料として用いることができるため、加工性が向上して有利になる。
【0052】
シリコンは屈折率が石英に比べてはるかに高いので、シリコンを光導波路のコア材料として用いることにより、コアとクラッドとの屈折率差Δnを大きくすることができ、単純な構成で微小スポット(つまり高エネルギー密度)を得ることが可能となる。例えば、上記のようにコアをシリコンで構成しクラッドをSiO2で構成することにより、屈折率差Δnを大きくすることができ、スポット径を1μm以下、0.5μm程度にまで小さくすることができる。なお、コア材料が石英の光導波路で得られるスポット径は10μm程度である。
【0053】
コアとクラッドとの屈折率差Δnは、コアの屈折率(ここではシリコン等)をn1とし、クラッドの屈折率(ここではSiO2等)をn2とすると、式:Δn(%)=(n12−n22)/(2・n12)×100≒(n1−n2)/n1×100で定義される。図16に、コアの屈折率と屈折率差Δnとの関係(クラッドの屈折率:1.465の場合)をグラフで示す。なお、SiO2の屈折率は1.465、SiONの屈折率は1.5、Siの屈折率は3.5である。
【0054】
光導波路においてコアとクラッドとの屈折率差Δnは20%以上であることが望ましい。Δnが20%以上となる高屈折率差の光導波路を用いることにより、単純な構成で微小なスポットを得ることが可能となる。基本モードのビーム径が1μm以下になるので、屈折率差Δnは20%以上必要である。その1μmはプラズモンを高効率に励起するために必要なビーム径である。また、屈折率差Δnは50%以下である。なぜならば、コアの屈折率をいくら高くしてもΔnの式は50%に漸近するだけだからである。
【0055】
ここで、20%以上の屈折率差Δnが望ましいことの根拠となる実験結果について述べる。屈折率差の望ましい値を決めるために、相変化媒体に書き込みを行いその検討を行った。媒体として相変化媒体(GeSbTe)を用い、光源として10mWのLD(laser diode)光源(波長1.31μm)を用いた。導波路材料としてシリコンを用い、コア径を5μm,4μm,3μm,2μm,1μm,0.5μmと変化させて、光導波路を作製した。光導波路の先端には金のプラズモンプローブを設けた。実験時には、ピエゾアクチュエータを用いて媒体とプラズモンプローブとを近接させ、20nm以下の空隙が得られるようにした。光は光学系を用いて集光させて光導波路に入射させ、各導波路固有のMFDに対応する径を入射させることにより、基本モードが伝搬するようにした。その結果、コア径1μm以下で書き込むことができた。また、0.5μmのときにはより良好に書き込むことができた。以上のことから、屈折率差は20%以上が望ましく、40%以上が更に望ましいことが分かった。
【0056】
前述したようにシリコンは近赤外波長用として有効なコア材料であるが、加工上のメリットを要しない場合には、コア材料として他の高屈折率材料を用いることにより、紫外光から可視光,近赤外光まで幅広い波長域で微小スポットの効果を得ることができる。シリコン以外の高屈折率材料(波長域)の例としては、ダイヤモンド(可視全域);III−V族半導体:AlGaAs(近赤外,赤),GaN(緑,青)GaAsP(赤,橙,青),GaP(赤,黄,緑),InGaN(青緑,青),AlGaInP(橙,黄橙,黄,緑);II−VI族半導体:ZnSe(青)が挙げられる。また、シリコン以外の高屈折率材料の加工方法の例としては、ダイヤモンドではO2ガスによるドライエッチングが挙げられ、GaAs系,GaP系,ZnSe,GaN系では、Cl2系ガス又はメタン水素を用いたICPエッチング装置でのドライエッチング加工が挙げられる。
【0057】
前述したように、高屈折率材料であるシリコン等でコアが構成された光導波路を用いることが好ましく、コアの高い屈折率により光スポットを小さくすることが可能となる。しかし、その小さいスポットサイズのままでスライダ上部に光導波路をつないだ場合(スポットサイズ変換器を用いない場合)、その光導波路に光を入射させるためにはNAの大きな光学系を用いる必要がある。したがって、光学系として非球面レンズ等の高精度のレンズを用いる必要がある。一般に、非球面レンズ等の高精度レンズの作製には加熱成形が用いられるが、加熱成形には金型作製に伴う問題があり、成形時にレンズ面の精度等を維持する必要性もある。このため、レンズはある程度の大きさを持つ必要があり、現状ではφ1.5mm程度が下限である。
【0058】
また前述したように、ハードディスク装置等のディスク装置では、高容量化の要請から複数枚の記録用ディスクを用いることが一般的である。その場合、磁気記録ヘッドはその隙間に入って動けるような薄さが必須要件となっている。複数枚使用しない場合でも、小型のハードディス装置等では筐体の壁とディスクとの間が薄くなっており、同様に磁気記録ヘッドは薄くなる必要がある。その空間はおよそ1mm程度である。しかし、前述したような光導波路を用いると、高いNAの光学系が必要となり、非球面レンズ等の高精度のレンズ、すなわちある程度の大きさのレンズを用いる必要となり、この要請を満たすことができない。また、スライダと光学系に必要とされる配置精度は、光入力側での光導波路の光スポットサイズに依存しており、その観点からも光出力側(記録部側)の光スポットと比較して、光入力側の光スポットは大きくなることが必要とされる。
【0059】
前述した磁気記録ヘッド3では、スポットサイズ変換器を用いることにより、光出力側の光スポットと比較して、光入力側の光スポットを大きくしている。これにより、NAの小さな光学系を用いることができるため、構成が単純で小型化が容易なレンズ(例えば、ボールレンズや回折レンズ等)を用いることが可能となり、光学系を薄型にすることが初めて可能となる。また、スライダと光学系とに必要とされる配置精度も緩くなり、組み立て時にも有利になる。
【0060】
以上の要件から、光導波路の光出力側のモードフィールド径をdとし、光導波路の光入力側のモードフィールド径をDとしたとき、光導波路径を滑らかに変化させることによりモードフィールド径を変換して、D>dを満たすことが望ましい。例えば前記具体例1の場合、D=5μm,d=0.3μmである(図7(B))。光導波路径を滑らかに変化させることによりモードフィールド径を変換して、光導波路の光入力側のモードフィールド径よりも光導波路の光出力側のモードフィールド径が小さくなるようにする構成により、小さな光スポットを得ることが可能になる。そして、光スポットサイズが小さくなることにより、記録の高密度化が可能になる。倍率の上限に関しては、作製時の原理的な問題(広げることのできる最大光スポットサイズの限界と、作ることのできる最も小さな光スポットサイズの限界)と、倍率の実用上必要とされる値(光出力側サイズ:0.25μm,光入力側サイズ:10μm)と、から40倍程度と規定することができる。したがって、モードフィールド径が40d>D>dを満たすことが更に望ましい。
【0061】
また、光学系とスライダとを合わせた磁気記録ヘッドの最大高さが、ディスクと部材(例えば、ディスク及びスライダを収容する筐体、記録用の第2のディスクである。)との間の距離より小さいことが望ましい。図1に示す磁気記録装置10では、ディスク2に情報を書き込むために光導波路を有し、かつ、ディスク2上で浮上しながら相対的に移動するスライダ11(図2等)と、光導波路に光を入射させる光学系と、を合わせた磁気記録ヘッド3の最大高さが、スライダ11の移動経路を覆うように配された筐体1とディスク2との間の距離より小さく、さらに隣り合って位置するディスク2間の距離より小さい構成になっている。そしてこの構成により、磁気記録装置10の小型化を達成している。
【0062】
前述した磁気記録ヘッド3は、ディスク2に対する情報記録に光を利用する光アシスト式磁気記録ヘッドであるが、記録媒体に対する情報記録に光を利用する微小光記録ヘッドであって、記録媒体上で浮上しながら相対的に移動するスライダを有し、そのスライダにコアとクラッドとの屈折率差が20%以上の光導波路を有するものであれば、光アシスト式磁気記録ヘッドに限らない。例えば、近接場光記録,相変化記録等の記録を行う記録ヘッドにおいても、前記特徴のある光導波路を用いることにより同様の効果を得ることが可能である。図17に、そのような光導波路12aを有する微小光記録ヘッド3aを示す。この微小光記録ヘッド3aは、磁気を利用しない光記録を行う構成になっており、磁気再生部12Cと磁気記録部12Bを有しない他は、実施例3(図4)の磁気記録ヘッド3と同様の構成になっている。なお、前述したプラズモンプローブ30を光導波路12aの光出射位置又はその近傍に配置してもよい。
【0063】
図22に、本発明の構成を用いた他の形態としての微小光記録ヘッド3bを示す。光ファイバー14を伝搬してきた光は、レンズ15,16等で集光されつつ、反射面17で反射されてシリコン光導波路12s(スポットサイズ変換構成の詳細は図示していない。)に入射する。シリコン光導波路12sは、スライダ11上に固定されている(図示していないが、スライダ11の光の通り道以外はAlTiC,ジルコニア等のセラミックスを使用するのが一般的である。)。スライダ11の下面には、空気の流れによりスライダ11の記録ディスク面に対する浮上量を制御するABS(Air Bearing Surface)面が加工してある。スライダ11はサスペンション4sに固定されており、このサスペンション4sにより記録ディスク面に押し付けられる。このとき、記録(又は再生)に用いる微小光スポットを発生させるプラズモンプローブ30は光導波路下面(媒体と近接する面)に作製されている。なお、媒体は図示していないが、スライダ11の下側に配置されている。媒体が高速回転することによりスライダ11が約20nmの間隔で安定して浮上し、光を入射させることにより微小スポットで記録(又は再生)することが可能となる。
【0064】
次に、実施例3(図4)の磁気記録ヘッド3を例に挙げて、シリコンベンチ13とスライダ11との位置調整,接着等を説明する。シリコンベンチ13への光源部(光ファイバー14等)及び光学系(球レンズ15等)の取り付けは、メカ精度での組付けにより行われる。一方、スライダ11内への光アシスト部12A,磁気記録部12B及び磁気再生部12Cの形成は、図14等に示す工程により作製され、浮上構造(不図示)やプラズモンプローブ30を設けることにより得られる。つまり、シリコンベンチ13とスライダ11とは、図18中の矢印で示すように作製方向が異なる。したがって、別々に作製して組付けることが好ましく、それが個々の作製精度の向上及び作製時間の短縮を図る上で効果的である。
【0065】
シリコンベンチ13とスライダ11との水平方向の位置決めは、それらの上部からカメラ等で観察しながら、図19に示すように位置決めマーク(+)等を基準に行うことが可能である。カメラでの観察は赤外光で行うことができる。シリコンは赤外波長に対して透明であるため、赤外光を用いることによりマーク(+)を基準とする位置決めが可能である。位置決めマーク(+)が2点あれば光軸(Z軸)に対して互いに直交する2方向(X軸,Y軸)と光軸回りの角度θZを調整することが可能である。なお、シリコンベンチ13の上部には光ファイバー14等の構造物があるので、シリコンベンチ13の裏面に位置決めマーク(+)を設けることが好ましい。
【0066】
シリコンベンチ13とスライダ11との傾き調整は、赤外光を用いた相互の干渉を利用して行うことができる(傾き調整1)。例えば、図20(A)中の実線矢印で示すようにシリコンベンチ13上から赤外光を照射し、シリコンベンチ13の底面での反射光とスライダ11の上面での反射光との干渉により得られる干渉縞(図20(B))を見ながら、傾き調整を行うことができる。また、傾き調整は赤外光を用いたオートコリメータを利用して行うこともできる(傾き調整2)。図21(A)にオートコリメータ25でスライダ11の傾きを計測しながら調整する様子を示し、図21(B)にそのときのオートコリメータ画像を示す。図21(C)にオートコリメータ25でシリコンベンチ13の傾きを計測しながら調整する様子を示し、図21(D)にそのときのオートコリメータ画像を示す。
【0067】
シリコンベンチ13とスライダ11との接着は、接着剤を用いて行うのが好ましい。接着剤の例としては、熱硬化性接着剤(液状,シート状),二液混合型接着剤(液状),嫌気性接着剤(液状)が挙げられる。熱硬化性接着剤(液状,シート状)の例としては、使用波長を透過する(透明な)アクリル樹脂,エポキシ樹脂,シリコーン樹脂,熱硬化性ポリイミドが挙げられ、二液混合型接着剤(液状)の例としては、使用波長を透過する(透明な)アクリル樹脂,エポキシ樹脂,ウレタン樹脂が挙げられ、嫌気性接着剤(液状)の例としては空気に触れている間は硬化せず、空気を遮断することで硬化するもの、使用波長を透過する(透明な)アクリル樹脂(ロックタイト(商品名)等)が挙げられる。
【0068】
一般的に光学部品の接着に用いられるUV硬化性樹脂は、UVがシリコンやスライダ材料を透過しないので好ましくない。横からUV照射しようとしても、接着層が薄いと届かないので好ましくない。溶剤の揮発により基材同士が結びつき接着するタイプは、接着層が薄いため溶剤が揮発できず好ましくない。空気中又は物体表面の水分と反応して固化するシアノアクリレート接着剤(瞬間接着剤)は、接着面に水分が入り込めないので好ましくない。また、シリコンベンチ13とスライダ11との接着に基板直接接合法を用いてもよい。この方法は、一般に材質の異なる2種の基板を面と面とで直接圧接し、加熱等を行うことにより、原子オーダーで接合させる方法である。この方法には、ハンダや接着剤等の中間物質を必要としないというメリットがある。
【0069】
以上の説明から分かるように、上述した各実施の形態等には以下の記録ヘッド,記録装置等の構成が含まれている。その構成によると、記録ヘッド及びそれを備えた記録装置の小型化とともに、小さな光スポットを得ることが可能になる。そして、光スポットサイズが小さくなることにより、記録の高密度化を達成することができる。
【0070】
(A1) 記録用のディスクと、そのディスクに情報を書き込むために光導波路を有し、かつ、ディスク上で浮上しながら(つまり非接触状態で)相対的に移動するスライダ(例えば、スライダにおいて記録媒体に対向する位置に光導波路が配置されている。)と、前記光導波路に光を入射させる光学系と、前記スライダの移動経路を覆うように配された部材と、を有する光アシスト式磁気記録装置であって、前記光学系と前記スライダとを合わせた磁気記録ヘッドの最大高さが、前記ディスクと前記部材との間の距離より小さく、前記光導波路の光出力側のモードフィールド径をdとし、前記光導波路の光入力側のモードフィールド径をDとしたとき、光導波路径を滑らかに変化させることによりモードフィールド径を変換して、D>dを満たすことを特徴とする光アシスト式磁気記録装置。
【0071】
(A2) 前記部材が前記ディスク及びスライダを収容する筐体であることを特徴とする上記(A1)記載の光アシスト式磁気記録装置。
【0072】
(A3) 前記ディスクの他に記録用の第2のディスクを更に有し、その第2のディスクが前記部材であることを特徴とする上記(A1)又は(A2)記載の光アシスト式磁気記録装置。
【0073】
(A4) 前記モードフィールド径が40d>D>dを満たすことを特徴とする上記(A1)〜(A3)のいずれか1項に記載の光アシスト式磁気記録装置。
【0074】
(A5) 前記光導波路の光出射位置又はその近傍に近接場光発生用のプラズモンプローブをさらに有し、そのプラズモンプローブが曲率半径20nm以下の頂点を有するアンテナ又はアパーチャから成ることを特徴とする上記(A1)〜(A4)のいずれか1項に記載の光アシスト式磁気記録装置。
【0075】
(A6) 近赤外波長の光を出射する光源部をさらに有し、前記光導波路のコア材料がシリコンであることを特徴とする上記(A1)〜(A5)のいずれか1項に記載の光アシスト式磁気記録装置。
【0076】
(A7) 前記光導波路が、クラッドと該クラッド内に配置されたコア及びサブコアとから成り、前記コアの光進行方向に対し垂直な断面が光進行方向に広くなるように構成されていることを特徴とする上記(A1)〜(A6)のいずれか1項に記載の光アシスト式磁気記録装置。
【0077】
(A8) 前記光導波路が、クラッドと該クラッド内に配置されたコアとから成り、前記コアの光進行方向に対し垂直な断面が光進行方向に狭くなるように構成されていることを特徴とする上記(A1)〜(A6)のいずれか1項に記載の光アシスト式磁気記録装置。
【0078】
(B1) 情報記録用の記録媒体と、光源と、該光源からの光が入射する光学系と、前記記録媒体に対して非接触状態で移動するスライダと、前記光学系から入射した光を前記記録媒体上に照射するために、前記スライダにおいて記録媒体に対向する位置に配置された光導波路と、を有する記録装置であって、前記光導波路の光出力側のモードフィールド径をdとし、前記光導波路の光入力側のモードフィールド径をDとしたとき、光導波路径を滑らかに変化させることによりモードフィールド径を変換して、D>dを満たすことを特徴とする記録装置。
【0079】
(B2) 前記スライダの移動経路を覆うように配された部材をさらに有し、前記光学系と前記スライダとが前記記録媒体と前記部材との間に配置されていることを特徴とする上記(B1)記載の記録装置。
【0080】
(B3) 前記部材が前記スライダを収容する筐体であることを特徴とする上記(B2)記載の記録装置。
【0081】
(B4) 前記部材が第2の記録媒体であることを特徴とする上記(B2)記載の記録装置。
【0082】
(B5) 前記モードフィールド径が40d>D>dを満たすことを特徴とする上記(B1)記載の記録装置。
【0083】
(B6) 前記光導波路の光出射位置又はその近傍に近接場光発生用のプラズモンプローブをさらに有することを特徴とする上記(B1)記載の記録装置。
【0084】
(B7) 前記プラズモンプローブが曲率半径20nm以下の頂点を有するアンテナ又はアパーチャから成ることを特徴とする上記(B6)記載の記録装置。
【0085】
(B8) 前記光源部が近赤外波長の光を出射するものであり、前記光導波路のコア材料がシリコンであることを特徴とする上記(B1)記載の記録装置。
【0086】
(B9) 前記光導波路が、クラッドと該クラッド内に配置されたコア及びサブコアとから成り、前記コアの光進行方向に対し垂直な断面が光進行方向に広くなるように構成されていることを特徴とする上記(B1)記載の記録装置。
【0087】
(B10) 前記光導波路が、クラッドと該クラッド内に配置されたコアとから成り、前記コアの光進行方向に対し垂直な断面が光進行方向に狭くなるように構成されていることを特徴とする上記(B1)記載の記録装置。
【0088】
(B11) 磁気による情報の書き込みを行う磁気記録素子、又は磁気による情報の読み取りを行う磁気再生素子を、さらに有することを特徴とする上記(B6)記載の記録装置。
【0089】
(B12) 前記記録媒体に対する記録動作が、プラズモンプローブからの光により発生する熱と、前記磁気記録素子からの磁気と、によって行われることを特徴とする上記(B11)記載の記録装置。
【0090】
(B13) 光源と、該光源からの光が入射する光学系と、情報記録用の記録媒体に対して非接触状態で移動するスライダと、前記光学系から入射した光を前記記録媒体上に照射するために、前記スライダにおいて記録媒体に対向する位置に配置された光導波路と、を有する記録ヘッドであって、前記光導波路の光出力側のモードフィールド径をdとし、前記光導波路の光入力側のモードフィールド径をDとしたとき、光導波路径を滑らかに変化させることによりモードフィールド径を変換して、D>dを満たすことを特徴とする記録ヘッド。
【0091】
(B14) 前記モードフィールド径が40d>D>dを満たすことを特徴とする上記(B13)記載の記録ヘッド。
【0092】
(B15) 前記光導波路の光出射位置又はその近傍に近接場光発生用のプラズモンプローブをさらに有することを特徴とする上記(B13)記載の記録ヘッド。
【0093】
(B16) 前記プラズモンプローブが曲率半径20nm以下の頂点を有するアンテナ又はアパーチャから成ることを特徴とする上記(B15)記載の記録ヘッド。
【0094】
(B17) 前記光導波路が、クラッドと該クラッド内に配置されたコア及びサブコアとから成り、前記コアの光進行方向に対し垂直な断面が光進行方向に広くなるように構成されていることを特徴とする上記(B13)記載の記録ヘッド。
【0095】
(B18) 前記光導波路が、クラッドと該クラッド内に配置されたコアとから成り、前記コアの光進行方向に対し垂直な断面が光進行方向に狭くなるように構成されていることを特徴とする上記(B13)記載の記録ヘッド。
【0096】
(B19) 磁気による情報の書き込みを行う磁気記録素子、又は磁気による情報の読み取りを行う磁気再生素子を、さらに有することを特徴とする上記(B15)記載の記録ヘッド。
【0097】
(B20) 前記記録媒体に対する記録動作が、プラズモンプローブからの光により発生する熱と、前記磁気記録素子からの磁気と、によって行われることを特徴とする上記(B19)記載の記録ヘッド。
【0098】
(B21) 情報記録用の光が入射する光学系と、情報記録用の記録媒体に対して非接触状態で移動するスライダと、前記光学系から入射した光を前記記録媒体上に照射するために、前記スライダにおいて記録媒体に対向する位置に配置された光導波路と、を有する記録ヘッドであって、前記光導波路の光出力側のモードフィールド径をdとし、前記光導波路の光入力側のモードフィールド径をDとしたとき、光導波路径を滑らかに変化させることによりモードフィールド径を変換して、D>dを満たすことを特徴とする記録ヘッド。
【符号の説明】
【0099】
1 筐体(部材)
2 記録用のディスク(記録媒体,部材)
3 磁気記録ヘッド(記録ヘッド)
3a,3b 微小光記録ヘッド(記録ヘッド)
10 磁気記録装置(ハードディスク装置)
11 スライダ
12A 光アシスト部(光アシスト素子,光導波路)
12B 磁気記録部(磁気記録素子)
12C 磁気再生部(磁気再生素子)
12a,12s 光導波路
13 シリコンベンチ
14 光ファイバー(光源部)
15 球レンズ(光学系)
16 半球レンズ(光学系)
17 マイクロプリズム(光学系)
18 マイクロミラー(光学系)
19 基板
20 SiO2
21 Si層
21a コア
22 レジストパターン
23 SiON層
23a サブコア
24 SiO2
24a クラッド
30 プラズモンプローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対する情報記録に光を利用する記録装置であって、
前記記録媒体に対して非接触状態で移動するスライダと、
光源と、
前記光源からの光を前記記録媒体上に照射するために、前記スライダにおいて記録媒体に対向する位置に配置された光導波路と、を有し、
前記光導波路が、クラッドと該クラッド内に配置されたコアとからなり、
該コアが、入射側から出射側にかけて光進行方向に対し垂直な断面が光進行方向に連続的に狭くなるように前記クラッドとの界面が直線的に構成されている光スポットサイズ変換器を有し、
前記光導波路の光出力側のモードフィールド径をdとし、前記光導波路の光入力側のモードフィールド径をDとしたとき、D>dを満たすことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記モードフィールド径が40d>D>dを満たすことを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項3】
前記光導波路の光出射位置又はその近傍に近接場光発生用のプラズモンプローブをさらに有することを特徴とする請求項1又は2記載の記録装置。
【請求項4】
前記プラズモンプローブが曲率半径20nm以下の頂点を有するアンテナ又はアパーチャから成ることを特徴とする請求項3記載の記録装置。
【請求項5】
前記光源部が近赤外波長の光を出射するものであり、前記光導波路のコア材料がシリコンであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の記録装置。
【請求項6】
磁気による情報の書き込みを行う磁気記録素子、又は磁気による情報の読み取りを行う磁気再生素子を、さらに有することを特徴とする請求項3記載の記録装置。
【請求項7】
前記記録媒体に対する記録動作が、プラズモンプローブからの光により発生する熱と、前記磁気記録素子からの磁気と、によって行われることを特徴とする請求項6記載の記録装置。
【請求項8】
記録媒体に対する情報記録に光を利用する記録ヘッドであって、
前記記録媒体に対して非接触状態で移動するスライダと、
光源と、
前記光源からの光を前記記録媒体上に照射するために、前記スライダにおいて記録媒体に対向する位置に配置された光導波路と、を有し、
前記光導波路が、クラッドと該クラッド内に配置されたコアとからなり、
該コアが、入射側から出射側にかけて光進行方向に対し垂直な断面が光進行方向に連続的に狭くなるように前記クラッドとの界面が直線的に構成されている光スポットサイズ変換器を有し、
前記光導波路の光出力側のモードフィールド径をdとし、前記光導波路の光入力側のモードフィールド径をDとしたとき、D>dを満たすことを特徴とする記録ヘッド。
【請求項9】
前記モードフィールド径が40d>D>dを満たすことを特徴とする請求項8記載の記録ヘッド。
【請求項10】
前記光導波路の光出射位置又はその近傍に近接場光発生用のプラズモンプローブをさらに有することを特徴とする請求項8又は9記載の記録ヘッド。
【請求項11】
前記プラズモンプローブが曲率半径20nm以下の頂点を有するアンテナ又はアパーチャから成ることを特徴とする請求項10記載の記録ヘッド。
【請求項12】
磁気による情報の書き込みを行う磁気記録素子、又は磁気による情報の読み取りを行う磁気再生素子を、さらに有することを特徴とする請求項8〜11の何れか1項記載の記録ヘッド。
【請求項13】
前記記録媒体に対する記録動作が、プラズモンプローブからの光により発生する熱と、前記磁気記録素子からの磁気と、によって行われることを特徴とする請求項12記載の記録ヘッド。
【請求項14】
記録媒体に対する情報記録に光を利用する記録ヘッドであって、
前記記録媒体に対して非接触状態で移動するスライダと、
光源からの光を前記記録媒体上に照射するために、前記スライダにおいて記録媒体に対向する位置に配置された光導波路と、を有し、
前記光導波路が、クラッドと該クラッド内に配置されたコアとからなり、
該コアが、入射側から出射側にかけて光進行方向に対し垂直な断面が光進行方向に連続的に狭くなるように前記クラッドとの界面が直線的に構成されている光スポットサイズ変換器を有し、
前記光導波路の光出力側のモードフィールド径をdとし、前記光導波路の光入力側のモードフィールド径をDとしたとき、D>dを満たすことを特徴とする記録ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−38416(P2012−38416A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232009(P2011−232009)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【分割の表示】特願2008−505001(P2008−505001)の分割
【原出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】