説明

記録再生システム

【課題】 ノイズリデューサから出力された2−3変換後の60P映像信号を、2−3逆変換により元の24P映像信号に再度変換してから記録媒体に記録するシステムでは、その記録媒体から再生した24P映像信号の画像品位が劣化する。
【解決手段】 2−3変換メモリ14は、信号処理部13から出力された24P映像信号を60P映像信号に変換して出力する。NR部18は、入力される60P映像信号と内部のメモリからの映像信号とのフレーム間差信号を生成し、そのフレーム間差信号に係数を乗算して得た信号を入力60P映像信号と減算して出力すると共に、60P映像信号の所定のタイミングに同期した更新パルスに基づき、雑音除去した60P映像信号を間欠的に入力する。NR部18からの60P映像信号は、2−3逆変換メモリ19により更新パルスに基づき、所定フレームの60P映像信号を用いて24P映像信号に変換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録再生システムに係り、特にフレーム周波数が変換され、かつ、ノイズ除去処理された後の映像信号を、モニタ装置に再生表示すると共に、元のフレーム周波数に再度変換してから記録媒体に記録する記録再生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
フレーム周波数が変換され、かつ、ノイズ除去処理された後の映像信号を、モニタ装置に再生表示すると共に、元のフレーム周波数に再度変換してから記録媒体に記録する記録再生システムとして、例えばビデオカメラで撮像して得られた映像信号を、その撮像映像信号とは異なるフレーム周波数の映像信号表示用モニタ装置で表示させるために、モニタ装置に適したフレーム周波数に変換し、その後ノイズ除去を行うシステムがある(例えば、特開平9−307894号公報)。
【0003】
上記のシステムが、例えば映画フィルムと同じ毎秒24駒の映像信号、すなわち、フレーム周波数24Hzのプログレッシブ映像信号(24P映像信号)を、フレーム周波数60Hzのプログレッシブ映像信号(60P映像信号)を表示するためのモニタ装置で表示させるシステムの場合には、24P映像信号に対して周知の2−3変換(プルダウン変換)を行い、更にノイズ除去を行ってからモニタ装置に出力する。
【0004】
上記の2−3変換により、24P映像信号の2フレーム分(=1/12秒)が、60P映像信号の5フレーム分(=1/12秒)に変換される。この2−3変換は、60P映像信号に対して、例えば図7(A)に示すように、24P映像信号の1フレーム目をフレーム周波数60Hzで2回繰り返して出力した後、24P映像信号の2フレーム目をフレーム周波数60Hzで3回繰り返して出力することを繰り返すことにより、同図(B)に示す60P映像信号を得る変換方法である。
【0005】
上記の変換が行われた60P映像信号に対してノイズ除去を行う場合、上記の特許文献1ではフレーム毎にノイズを除去するノイズフィルタを用いているが、その構成は3つの乗算器を必要とする非巡回型フィルタ構成であり、構成が複雑で高価である。そこで、上記のノイズフィルタの替わりに、従来から知られている図8に示す巡回型のノイズリデューサを用いることが考えられる。
【0006】
同図において、入力映像信号は、減算器1を介してメモリ2に供給されて1フレーム遅延される一方、減算器3に供給される。減算器3は入力映像信号からメモリ2の読み出し1フレーム遅延映像信号を差し引く減算処理を行ってフレーム間差信号を生成し、そのフレーム間差信号を係数回路4に供給する。
【0007】
係数回路4は、入力フレーム間差信号の値に応じた係数を、入力フレーム間差信号に乗算した信号を出力する回路で、例えば、入力フレーム間差信号の値と出力乗算信号の値とを対応させたテーブルを予め記憶しているリード・オンリ・メモリ(ROM)から構成されている。
【0008】
この係数回路4は、入力フレーム間差信号の値が小さければ、フレーム間の動きが小さい映像信号であり、その値は殆どノイズであるとして、ノイズ除去のための係数を大きくしてノイズを除去効果を大とし、他方、入力フレーム間差信号の値が大きければ、フレーム間の動きが大きい動画であると判断して、大きくノイズ除去を行うと動画の部分にぼけが生じるので、それを抑えて視覚の残像の範囲に抑えるため、ノイズ除去のための係数を小さくしてノイズ除去効果を抑える。
【0009】
減算器1は、入力映像信号と係数回路4からの乗算信号との減算を行い、入力映像信号からノイズ成分の除去された映像信号を出力すると共に、メモリ2に供給して記憶させる。このようにして、この巡回型のノイズリデューサによれば、乗算器が不要であり、前記ノイズフィルタよりも簡単な構成により、ノイズを除去することができる。
【0010】
【特許文献1】特開2003-000100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかるに、上記のノイズリデューサから出力された2−3変換後の60P映像信号を、60P映像信号表示用のモニタ装置で表示させる一方、上記の2−3変換とは逆の変換動作を行う所謂2−3逆変換により元の24P映像信号に再度変換してから記録媒体に記録するシステムでは、モニタ装置では正常に画像が表示されるが、図8のノイズリデューサにおける減算器3で得られるフレーム間差信号が、60P映像信号の同じフレーム間の差信号の場合と、異なるフレーム間の差信号の場合とがあり、その結果ノイズ除去効果が一様に効かないで2−3逆変換して得られた24P映像信号が記録媒体に記録されるため、その記録媒体から再生した映像信号の画像品位が劣化してしまう。
【0012】
また、24P撮像映像信号に対して2−3変換を行って60P映像信号を出力するカメラ系と、24P映像信号を変換することなく記録した記録媒体から、その24P映像信号を再生して2−3変換を行う再生系とのうち、どちらか一方の系から出力された60P映像信号を選択して上記のモニタ装置に供給するシステムでは、カメラ系及び再生系のそれぞれにおいて、2−3変換処理の前段に24P映像信号用のノイズリデューサが必要となり、構成が複雑になってしまう。
【0013】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、フレーム周波数変換処理した映像信号が記録された記録媒体から再生した映像信号の画像品位を向上し得る記録再生システムを提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明の他の目的は、簡単な構成によりフレーム周波数変換処理と記録媒体への記録処理及び画像表示処理を行い得る記録再生システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記の目的を達成するため、第1のフレーム周波数の第1の映像信号を第1のフレーム周波数よりも高い第2のフレーム周波数の第2の映像信号に変換し、その第2の映像信号をノイズ除去してモニタ装置で再生表示すると共に、ノイズ除去後の第2の映像信号を第1のフレーム周波数の第3の映像信号に逆変換して第1の記録媒体に記録する記録再生システムであって、第1の映像信号を供給する供給手段と、第1の映像信号を第2の映像信号に変換する第1の変換手段と、第1の変換手段から出力された第2の映像信号に対してフレーム間差信号を生成し、そのフレーム間差信号に基づいてノイズ除去処理を行うノイズ除去手段と、ノイズ除去手段から出力されたノイズ除去後の第2の映像信号に対して、第1の変換手段の逆変換を行って、第3の映像信号を出力する第2の変換手段と、第2の変換手段から出力された第3の映像信号を第1の記録媒体に記録する記録手段と、ノイズ除去手段及び第2の変換手段の動作を制御する更新パルスを発生する更新パルス発生手段とを有することを特徴とする。
【0016】
この発明では、第1の変換手段が、第1の映像信号の各フレームを複数回ずつ繰り返して第2のフレーム周波数で出力する変換動作を行い、ノイズ除去手段が、ノイズ除去後の第2の映像信号を蓄積するメモリから読み出した信号と、第1の変換手段から出力された第2の映像信号との差分であるフレーム間差信号を生成して、そのフレーム間差信号に係数を乗算した信号を第2の映像信号から差し引くことによりノイズ除去後の第2の映像信号を出力すると共に、第1の変換手段から出力された第2の映像信号中の第1の映像信号のフレームが切り替わった直後のフレームのみを更新パルスに基づきメモリに書き込むスイッチ手段を有する構成であるため、フレーム間差信号が第2の映像信号中の第1の映像信号の異なるフレーム間の差信号となり、よりノイズに対応した情報を得ることができる。
【0017】
また、この発明では、第2の変換手段は、更新パルスに基づき第2の映像信号中の第1の映像信号のフレームが切り替わった直後のフレームのみを用いて第1のフレーム周波数の第3の映像信号を出力する変換動作を行うため、ノイズが除去された第2の映像信号に基づいて正しい変換動作ができる。
【0018】
また、本発明は上記の目的を達成するため、供給手段を、撮像素子により被写体を撮像して第1のフレーム周波数の撮像信号を第1の映像信号として出力する撮像手段、及び第2の記録媒体から再生した第1のフレーム周波数の映像信号を第1の映像信号として出力する再生手段の少なくともどちらか一方により構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ノイズ除去後の第2の映像信号を蓄積するメモリから読み出した信号と、第1の変換手段から出力された第2の映像信号との差分であるフレーム間差信号を生成して、そのフレーム間差信号に係数を乗算した信号を第2の映像信号から差し引くことによりノイズ除去後の第2の映像信号を出力するノイズ除去手段が、第2の映像信号中の第1の映像信号のフレームが切り替わった直後のフレームのみを更新パルスに基づきメモリに書き込むスイッチ手段を有する構成であり、フレーム間差信号が第2の映像信号中の第1の映像信号の異なるフレーム間の差信号となり、よりノイズに対応した情報を得ることができるため、フレーム周波数変換後の第2の映像信号に対して正しいノイズ除去を行うことができる。
【0020】
また、本発明によれば、正しいノイズ除去後の第2の映像信号に対して、更新パルスに基づき第2の映像信号中の第1の映像信号のフレームが切り替わった直後のフレームのみを用いて第1のフレーム周波数の第3の映像信号を出力する変換動作を行うことにより、ノイズが除去された第2の映像信号に基づいて正しい変換動作ができるため、変換後の第3の映像信号を記録媒体に記録して再生した場合、その再生画像の品位を従来に比し向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明を実施するための最良の形態について、図面と共に説明する。図1は本発明になる記録再生システムの一実施の形態のブロック図を示す。本実施の形態は、24P映像信号を出力するビデオカメラの出力映像信号を、60P映像信号に変換してモニタ装置22に画像表示させると共に、元の24P映像信号に変換してから記録媒体に記録する記録再生システムであり、CCD11から記録装置20までをビデオカメラが有するビデオ一体型VTRであってもよい。また、モニタ装置22もビデオカメラが液晶表示素子(LCD)によるビューアとして備えていてもよい。
【0022】
また、ビデオカメラはNR部18を有する。このNR部18は、例えば図2に示すブロック図の構成とされたノイズリデューサ回路である。図2に示すように、NR部18は、入力映像信号が供給される減算器31及び32と、ROMにより構成されている係数回路33と、減算器31から出力された映像信号を、端子36よりの更新パルスに応じて通過又は遮断するスイッチ34と、スイッチ34からの映像信号を一旦書き込んだ後、減算器32へ出力するNR用メモリ35とより構成されている。このNR部18は、図8に示した従来のノイズリデューサと比較してスイッチ34が設けられている点に特徴がある。
【0023】
次に、図1及び図2に示した本実施の形態の動作を、図3のタイミングチャートと共に説明する。図1において、撮像素子であるCCD(電荷結合素子)11により被写体からの光を光電変換して得られた撮像信号は、タイミング発生部17からの図3(B)に示す基準信号に同期して24P映像信号として出力された後、A/D変換器12によりディジタル信号に変換され、信号処理部13により輝度信号及び色信号に変換されて2−3変換メモリ14に供給され、タイミング発生部17からの制御信号に基づき書き込まれ、2−3変換されて読み出される。
【0024】
一方、水晶発振器15から出力された一定周波数のクロック信号は、リセットパルス発生部16に供給されて図3(A)に示す如き繰り返し周波数12Hzのリセットパルスとされた後、タイミング発生部17に供給されて図3(B)に示すように繰り返し周波数24Hzの基準信号と、2−3変換メモリ14への制御信号(書き込みパルス及び読み出しパルス)と、図3(F)に示す更新パルスとを互いに同期して発生させる。
【0025】
2−3変換メモリ14は、信号処理部13から出力された24P映像信号(輝度信号及び色信号)を、タイミング発生部17からの制御信号により図3(C)に模式的に示すように、基準信号出力時点から1/60秒(図3(E)に示す60Hzの垂直同期信号の一周期期間)以内に書き込み、以後、その書き込んだ映像信号を1/60秒期間毎に、同図(D)に模式的に示すように3回連続して読み出す。すなわち、24P映像信号のある1フレームが、1/60秒毎に3回繰り返して読み出される。
【0026】
2−3変換メモリ14に書き込まれた24P映像信号の1フレームの次の1フレームも、同様に書き込まれ、以後、その書き込まれた次の1フレームの映像信号が1/60秒期間毎に、同図(D)に模式的に示すように2回連続して読み出す。すなわち、24P映像信号の次の1フレームが、1/60秒毎に2回繰り返して読み出される。以下同様の動作が繰り返され、2−3変換メモリ14からは、図7と共に説明したように、2−3変換が行われ、これにより60P映像信号が読み出される。
【0027】
NR部18は2−3変換メモリ14から出力された60P映像信号が、図2の減算器31を介してスイッチ34に供給されると共に、減算器32に供給される。スイッチ34は、端子36を介して入力される更新パルスによりオン/オフ制御されるが、その更新パルスは図3(F)に示すように、2−3変換メモリ14から映像信号が3回又は2回連続して読み出される読み出し期間の各1回目の読み出し期間の1/60秒でのみハイレベルでスイッチ34をオンとし、それ以外の期間ではローレベルでスイッチ34をオフとする。また、更新パルスがオンとされる期間で図2に示すNR用メモリ35の書き込みと読み出しが行われる。
【0028】
従って、2−3変換メモリ14から映像信号が3回連続して読み出される読み出し期間の1回目の読み出し期間(1/60秒)で、スイッチ34がオンされると共に、そのとき図3(H)に示すように、NR用メモリ35に記憶されていたNR部18の出力映像信号g0が読み出されて減算器32に供給され、ここで2−3変換メモリ14からの1回目の読み出し映像信号との差分がとられ、その差分信号が係数回路33に供給される。
【0029】
係数回路33は図8に示した係数回路4と同様の構成であり、差分信号の値が小さい時には差分信号は雑音が主であると判断して大なる値の係数と差分信号とを乗算した信号を出力し、差分信号の値が大きい時には、差分信号は動画信号成分が主であると判断して小なる値の係数と差分信号とを乗算した信号を出力する。
【0030】
減算器31は2−3変換メモリ14からの1回目の読み出し映像信号から係数回路33の出力信号を減算して、雑音の除去された映像信号を出力する。この減算器31の出力映像信号は、このときオン状態にあるスイッチ34を通して図3(G)にg1で示すようにNR用メモリ35に書き込まれると共に、図3(I)にg1で示すようにNR部14の出力60P映像信号として出力される。
【0031】
続く2−3変換メモリ14からの3回連続読み出し期間の2回目と3回目の各期間(1/60秒)では、NR用メモリ35からはNR用メモリ35に書き込まれた上記の映像信号g1が図3(H)に示すように2回繰り返して読み出されて、その時もNR部14から雑音除去された映像信号が出力されるが(図3では図示せず)、これらの各期間ではスイッチ34はオフであるため、図3(G)に示すようにNR用メモリ35への書き込み更新は行われない。
【0032】
続く2−3変換メモリ14からの2回連続読み出し期間の1回目の読み出し期間では、図3(F)に示すように、スイッチ34がオンとされ、また図3(H)に示すように、上記の映像信号g1の3回目の読み出しが行われ、この読み出し映像信号g1が減算器32に供給され、ここで2−3変換メモリ14からの1回目の読み出し映像信号との差分がとられ、その差分信号が係数回路33により係数と乗算されて減算器31に供給される。
【0033】
減算器31は2−3変換メモリ14からの1回目の読み出し映像信号から係数回路33の出力信号を減算して、雑音の除去された映像信号を出力する。この減算器31の出力映像信号は、このときオン状態にあるスイッチ34を通して図3(G)にg2で示すようにNR用メモリ35に書き込まれて記憶内容を更新すると共に、図3(I)にg2で示すようにNR部14の出力60P映像信号として出力される。
【0034】
続く2−3変換メモリ14からの2回連続読み出し期間の2回目の期間(1/60秒)では、NR用メモリ35からはNR用メモリ35に書き込まれた上記の映像信号g2が図3(H)に示すように読み出されて、その時もNR部14から雑音除去された映像信号が出力されるが(図3では図示せず)、この期間ではスイッチ34はオフであるため、図3(G)に示すようにNR用メモリ35への書き込み更新は行われない。以下、上記と同様の動作が繰り返される。
【0035】
従って、このときの2−3変換メモリ14に供給される24P映像信号とNR部18に供給される60P映像信号と、NR部18内の更新パルスとの関係は、図4に示すようになる。図4(C)に示す更新パルスは、同図(B)に示す60P映像信号の各1回目の読み出し期間に対応してハイレベルとされる。
【0036】
再び図1に戻って説明するに、NR部18から上記のようにして雑音除去された60P映像信号が出力されて2分岐され、一方はD/A変換器21に供給されて60Pアナログ映像信号に変換された後、60P映像信号表示用モニタ装置22に供給されて画像表示され、他方は2−3逆変換メモリ19に供給される。
【0037】
2−3逆変換メモリ19は、前述した2−3変換とは逆変換を行うメモリである。すなわち、2−3逆変換は、60P映像信号の5フレーム分(=1/12秒)を、24P映像信号の2フレーム分(=1/12秒)に変換する方法で、例えば60P映像信号の5フレームのうちの最初の1フレーム目をフレーム周波数24Hzで出力した後、4フレーム目をフレーム周波数24Hzで出力することを、60P映像信号の5フレーム単位で繰り返すことにより、24P映像信号を得る変換方法である。
【0038】
ここで、2−3逆変換メモリ19に供給される60P映像信号の連続する5フレームのうち最初の1フレーム目を図3(I)に示すg1とし、4フレーム目をg2とするように、図3(F)に示す更新パルスに同期して5フレーム単位で書き込んだ後、24Hzで読み出すことにより、60P映像信号のうちNR効果の付与されたフレーム(図3では更新パルスがハイレベル期間に対応したフレーム)のみを2−3逆変換することができる。60P映像信号の連続する5フレームのうち、更新パルスがローレベルである期間に対応した2、3、5フレーム目の映像信号は、2−3逆変換に用いず破棄するため、図1のNR部18で正しくNR効果が付与されていなくてもよい。
【0039】
2−3逆変換メモリ19から出力された24P映像信号は、記録装置20に供給され、ここで磁気テープ等の記録媒体に公知の手段で記録される。従って、この記録媒体に記録された2−3逆変換による24P映像信号を再生した場合は、元の24P映像信号の各フレームの情報に対して正常に雑音除去処理された映像信号が再生されるため、この再生映像信号をモニタ表示装置で表示した場合、従来に比べて再生画像品位を向上できる。
【0040】
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。図5は本発明になる記録再生システムの他の実施の形態の概略ブロック図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図5に示す実施の形態は、図1のCCD11〜2−3変換メモリ14を有するカメラ系41と、再生系42の一方から出力された24P映像信号を共通のNR部18に供給してNR効果を付与した後、図1に示した2−3逆変換メモリ19及び記録装置20を有する記録系43と、D/A変換器(図示せず)とモニタ装置22を有する表示系44の一方又は両方に供給するシステムであり、再生系42が図1のシステムに付加されている。
【0041】
ここで、再生系42は、記録媒体に記録されている24P映像信号を再生する再生装置45と、その再生24P映像信号を2−3変換メモリ14と同様の方法で2−3変換するために用いる2−3変換メモリ46を少なくとも含む構成とされている。この再生系42から変換出力された再生60P映像信号はNR部18に供給される。なお、図5では図示を省略したが、前述した更新パルスは、2−3変換メモリ14、46、2−3逆変換メモリ19へ出力されている。
【0042】
本実施の形態は、再生系42が図1のシステムに付加されたものであり、基本的には図1の実施の形態と同様の動作が行われる。このシステムでは、カメラ系41と再生系42の両方共に60P映像信号が出力されるので、NR部18を共用でき、構成を簡略化できる。
【0043】
なお、本発明は以上の実施の形態に限定されるものではなく、例えば、2−3変換を行う替わりに、記録媒体から再生した図6(A)に模式的にフレーム単位で示す映像信号の各フレームを同図(B)に示すように3回ずつ繰り返して出力するスロー再生を行い、そのスロー再生映像信号に対して図2の構成のNR部への更新パルスを図6(C)に示すように供給することで、スロー再生映像信号に対して正しく雑音除去を行うことも可能である。
【0044】
また、本発明は、図5のカメラ系41を省略し、再生系42とNR部18と記録系43と表示系44とからなる記録再生システムにも適用可能である。この場合、再生系42により記録媒体から再生された24P映像信号が2−3変換メモリ46により60P映像信号に変換された後、NR部18に供給されて、上記の実施の形態と同様にして雑音除去処理が行われる。NR部18から出力された60P映像信号は、表示系44で表示される一方、記録系43では2−3逆変換メモリ19により再度元の24P映像信号に変換された後、記録媒体に記録される。更に、24P映像信号から60P映像信号に変換する方法は、2−3変換に限定されるものではない。
【0045】
また更に、図1において、CCD11から2−3変換メモリ14までの回路部だけをビデオカメラが有し、NR部18以降は外部に設けられていてもよく、他方、図5においては、全ての構成をビデオカメラが有する構成としてもよい(この場合、再生系42と記録系43は一つの記録再生系を構成する。)。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施の形態のブロック図である。
【図2】図1中のNR部の一実施の形態のブロック図である。
【図3】図1及び図2の動作説明用タイミングチャートである。
【図4】図1の24P映像信号と60P映像信号と更新パルスとの関係を示す図である。
【図5】本発明の他の実施の形態の概略ブロック図である。
【図6】本発明の更に他の実施の形態の動作説明用模式図である。
【図7】2−3変換の一例の説明図である。
【図8】従来システムで用いるノイズリデューサの一例のブロック図である。
【符号の説明】
【0047】
11 CCD(電荷結合素子)
14、46 2−3変換メモリ
15 水晶発振器
16 リセットパルス発生器
17 タイミング発生部
18 NR(ノイズリデューサ)部
19 2−3逆変換メモリ
20 記録装置
22 モニタ装置
31、32 減算器
33 係数回路
34 スイッチ
35 NR用メモリ
36 更新パルス入力端子
41 カメラ系
42 再生系
43 記録系
44 表示系
45 再生装置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフレーム周波数の第1の映像信号を前記第1のフレーム周波数よりも高い第2のフレーム周波数の第2の映像信号に変換し、その第2の映像信号をノイズ除去してモニタ装置で再生表示すると共に、ノイズ除去後の前記第2の映像信号を前記第1のフレーム周波数の第3の映像信号に逆変換して第1の記録媒体に記録する記録再生システムであって、
前記第1の映像信号を供給する供給手段と、
前記第1の映像信号を前記第2の映像信号に変換する第1の変換手段と、
前記第1の変換手段から出力された前記第2の映像信号に対してフレーム間差信号を生成し、そのフレーム間差信号に基づいてノイズ除去処理を行うノイズ除去手段と、
前記ノイズ除去手段から出力された前記ノイズ除去後の第2の映像信号に対して、前記第1の変換手段の逆変換を行って、前記第3の映像信号を出力する第2の変換手段と、
前記第2の変換手段から出力された前記第3の映像信号を前記第1の記録媒体に記録する記録手段と、
前記ノイズ除去手段及び前記第2の変換手段の動作を制御する更新パルスを発生する更新パルス発生手段と
を有し、前記第1の変換手段は、前記第1の映像信号の各フレームを複数回ずつ繰り返して前記第2のフレーム周波数で出力する変換動作を行い、
前記ノイズ除去手段は、前記ノイズ除去後の第2の映像信号を蓄積するメモリから読み出した信号と、前記第1の変換手段から出力された前記第2の映像信号との差分である前記フレーム間差信号を生成して、そのフレーム間差信号に係数を乗算した信号を前記第2の映像信号から差し引くことにより前記ノイズ除去後の第2の映像信号を出力すると共に、前記第1の変換手段から出力された前記第2の映像信号中の前記第1の映像信号のフレームが切り替わった直後のフレームのみを前記更新パルスに基づき前記メモリに書き込むスイッチ手段を有する構成であり、
前記第2の変換手段は、前記更新パルスに基づき前記第2の映像信号中の前記第1の映像信号のフレームが切り替わった直後のフレームのみを用いて前記第1のフレーム周波数の前記第3の映像信号を出力する変換動作を行うことを特徴とする記録再生システム。
【請求項2】
前記供給手段は、撮像素子により被写体を撮像して前記第1のフレーム周波数の撮像信号を前記第1の映像信号として出力する撮像手段、及び第2の記録媒体から再生した前記第1のフレーム周波数の映像信号を前記第1の映像信号として出力する再生手段の少なくともどちらか一方により構成されていることを特徴とする請求項1記載の記録再生システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−86915(P2006−86915A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−270796(P2004−270796)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】