説明

記録媒体列およびその生成方法

【課題】 RF−IDタグが内蔵されたラベルが長手方向に連続して配された連続ラベル紙において、不良品のRF−IDタグが混在していた場合でも、電子情報の書き込み/読み出しにおいて、該不良品のRF−IDタグに起因するエラーの発生を回避できるようにする。
【解決手段】 アンテナ部とICチップ部とを備えるRF−IDタグを内蔵するラベルが、長手方向に連続して配された連続ラベル紙(210)であって、前記ラベルのうち、電子情報の読み出しまたは書き込みを行うことができないICチップ部を備えたRF−IDを内蔵するラベルは、該ICチップ部に接続されたアンテナ部が、電磁波を受信することができないように加工されている(701)ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RF−IDタグが内蔵された記録媒体が長手方向に連続して配された帯状の記録媒体列ならびにその生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体技術及び電子通信技術の発達により、非接触で電子情報の送受信が可能なRF−ID(Radio Frequency Identification)が実用化され、近年、これを用いた自動認識システム(以下、「RF−IDシステム」と称す)の開発が進められてきている。
【0003】
一般にRF−IDシステムは、電子回路を搭載し電子情報を保持するRF−IDタグとRF−IDタグをコントロールするRF−IDリーダ/ライタとで構成され、電子情報の新規書き込みや追記、複数のRF−IDタグとの同時通信等が可能であることや、障害物等の影響を受けにくいなどといった特徴を有している。これらはバーコードや二次元コードなどの自動認識システムには無い特徴である。このため、これまでバーコードや二次元コードでは自動認識が困難であった分野のみならず、従来のバーコードや二次元コードによる自動認識システムで自動化が行われていた、物流・流通等の分野においても、その利便性から、RF−IDシステムの適用が検討されはじめている。
【0004】
ここで、カードやラベル等の記録媒体にRF−IDタグを内蔵させ、RF−IDシステムで使用する場合には、記録媒体表面への印刷とRF−IDタグへの電子情報の書き込みとを予め行っておく必要があるが、最近では、これらの作業を別々の装置で分担して行うのではなく、印刷装置にRF−IDリーダ/ライタを搭載させ、記録媒体表面への印刷と、内蔵されたRF−IDタグへの電子情報の書き込みとを一括して行うRF−IDタグ書き込み機能付きの印刷装置が使用されるようになってきている。
【0005】
更に、このような印刷装置では、複数のフルライン記録ヘッドを記録媒体の搬送方向に複数並べて配置することで、カードやラベル等の記録媒体が長手方向に連続して配された帯状の記録媒体列が挿入された場合でも、複数のカードやレベル等の記録媒体を並行して印刷することで、これに対応し、スループットの向上に努めている。
【0006】
また、RF−IDタグへの電子情報の書き込みについても、カードやラベル等の記録媒体に内蔵されたRF−IDタグに対して、帯状の記録媒体列の搬送を停止させることなく書き込みを行うことができるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−2026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、RF−IDタグを内蔵したカードやラベル等の記録媒体を長手方向に連続して配して、帯状の記録媒体列を生成した場合、壊れたRF−IDタグが含まれてしまうことがある。このため、帯状の記録媒体列には、良品のRF−IDタグと不良品のRF−IDタグとが混在してしまうといった事態が生じえる。
【0008】
このような状況に対処すべく、RF−IDタグ書き込み機能付きの印刷装置では、不良品のRF−IDタグを検出するための検出機構が設けられている。しかし、RF−IDタグを構成する送受信アンテナ部とICチップ部のうち、ICチップ部のみが壊れていた場合、RF−IDリーダ/ライタより送信された電磁波は、該不良品のRF−IDタグの送受信アンテナ部を介して、隣接する良品のRF−IDタグの送受信アンテナ部に送信され、該良品のRF−IDタグとの間で通信を行ってしまうといった事態が生じえる(この結果、不良品のRF−IDタグを、良品のRF−IDタグと誤認識してしまうこととなる)。
【0009】
特に、RF−IDタグを内蔵する記録媒体が長手方向に連続して配された帯状の記録媒体列に対して、搬送を停止させることなく連続的に電子情報の書き込み/読み出しを行う場合、このように不良品のRF−IDタグに起因するエラーが発生しやすい。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、RF−IDタグを内蔵する記録媒体が長手方向に連続して配された帯状の記録媒体列に対して、搬送を停止させることなく電子情報の書き込みまたは読み出しを行う場合に、不良品のRF−IDタグに起因するエラーの発生を回避することが可能な記録媒体列ならびにその生成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために本発明に係る記録媒体列は以下のような構成を備える。即ち、
アンテナ部において受信された電磁波をエネルギー源として動作することで電子情報の読み出しまたは書き込みが行われるICチップ部を備えるRF−IDタグを内蔵する記録媒体が、連続して配された帯状の記録媒体列であって、
前記記録媒体のうち、電子情報の読み出しまたは書き込みを行うことができないICチップ部を備えたRF−IDタグを内蔵する記録媒体の前記アンテナ部は、電磁波の受信を行うことができないように加工されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、RF−IDタグを内蔵する記録媒体が長手方向に連続して配された帯状の記録媒体列に対して、搬送を停止させることなく電子情報の書き込みまたは読み出しを行う場合に、不良品のRF−IDタグに起因するエラーの発生を回避することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の各実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0014】
なお、以下に説明する各実施形態では、RF−IDタグ書き込み機能付きの印刷装置として、インクジェット方式に従うフルライン記録ヘッドを用いた印刷装置を例に挙げて説明するが、本発明は特にこのような印刷装置のみを対象に用いられるものではない。
【0015】
また、本明細書において、「印刷」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成することをいうものとする。
【0016】
また、「記録媒体」とは、一般的な印刷装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも含まれるものとする。また、以下の実施形態において、記録媒体列とはRF−IDタグを内蔵する記録媒体であるラベルが、長手方向に連続して配された連続ラベル紙を指すものとする。
【0017】
[第1の実施形態]
<全体システム構成>
図1は本発明の第1の実施形態にかかる記録媒体列が用いられる、RF−IDタグ書き込み機能付きインクジェット方式の印刷装置(以下、単に「印刷装置」と称す)とホストコンピュータとを接続したシステムの構成図である。
【0018】
印刷装置(100)とホストコンピュータ(101)とはプリンタケーブル(102)で接続され、ホストコンピュータ(101)は画像データやRF−IDタグに書き込む電子情報等を制御コマンドとしてプリンタケーブルを介して印刷装置(100)に出力する。
【0019】
<印刷装置の構成>
図2は、本発明の第1の実施形態にかかる記録媒体列が用いられる印刷装置(100)の概略構成図である。印刷装置(100)は、本実施形態にかかる記録媒体列である連続ラベル紙(210)に対して印刷可能な構成を有している。205はロールユニットであり、台紙の長手方向に複数のラベルが仮着された連続ラベル紙(210)が装着されると当該連続ラベル紙を搬送部に供給する。搬送部は主に搬送モータ(206)と搬送ベルト(207)とで構成され、印刷時は図中の矢印方向(連続ラベル紙搬送方向)に連続ラベル紙(210)を搬送する機能を有する。
【0020】
なお、本実施形態においては、搬送経路上のロールユニット(205)側を搬送入口、逆側を搬送出口とする。印刷装置(100)は印刷手段として、インクジェット記録ヘッドであるブラック(K)ヘッド(203K)、シアン(C)ヘッド(203C)、マゼンタ(M)ヘッド(203M)、イエロー(Y)ヘッド(203Y)を搭載しており、これらのヘッドはラベル幅分の長さのノズル列を持ったフルラインタイプのインクジェット記録ヘッドで構成されている。これら4本のヘッドからそれぞれK、C、M、Yのインクを吐出することで、フルカラー印刷を行う。吐出するインクは、ブラック(K)インクカートリッジ(204K)、シアン(C)インクカートリッジ(204C)、マゼンタ(M)インクカートリッジ(204M)、イエロー(Y)インクカートリッジ(204Y)から、図示しないポンプによってそれぞれのインクジェット記録ヘッドに供給される。
【0021】
ロールユニット(205)は、連続ラベル紙(210)を装着するロール駆動軸(208)、連続ラベル紙(210)のたるみにより位置が変化するロールセンサレバー(209)、ロール駆動軸(208)を駆動する図示しないロールモータとから構成され、ロールセンサレバー(209)の状態によりロールモータを駆動、停止することで連続ラベル紙(210)の給紙を行う。
【0022】
搬送出口にはRF−IDタグと通信を行うことでRF−IDタグとの間で電子情報の読み書きを行うRF−ID通信部(200)が有り、さらに当該RF−ID通信部(200)は、RF−ID通信用アンテナ(201)とRF−IDタグとの間の通信制御を行うRF−IDリーダ/ライタ(202)とを備える。
【0023】
図3は印刷装置(100)の電気的な簡易ブロック図である。ホストコンピュータ(101)は、印刷に使用する画像データとRF−IDタグのICチップ部(情報保持部)に書き込む電子情報とをデータコマンドとして印刷装置(100)に転送し、印刷処理の開始を指示する。また、印刷装置(100)で印刷するラベルの枚数や連続ラベル紙の種類、サイズ等を指示する用紙設定コマンドを印刷装置(100)に送信する。
【0024】
印刷装置(100)では、通信ドライバ(303)により通信を制御し、ホストコンピュータ(101)からのコマンド(データコマンド、用紙設定コマンド)を受信する。
【0025】
印刷装置(100)は、受信した画像データを各色成分のイメージデータとしてRAM(310K)〜(310Y)のそれぞれにビットマップ展開して描画する。また、RF−IDタグに書き込む電子情報であるデータコマンドとラベルの枚数及び連続ラベル紙の種類やサイズ等の用紙設定コマンドはRAM(310R)に格納される。こうしてイメージデータとデータコマンド、用紙設定コマンドとがRAM(310K)〜(310Y)、及びRAM(310R)のそれぞれに展開されると、インクジェット記録ヘッド(203K)〜(203Y)をヘッド駆動機構制御モータ(307)により印字可能位置へ移動させる。
【0026】
印刷は、各ラベルの先端位置を検出するTOFセンサ(不図示)の検出結果を用いて連続ラベル紙(210)の搬送に同期して、メインコントローラ(301)がRAM(310K)〜(310Y)のそれぞれから対応する色のイメージデータを順次読み出し、ヘッド駆動回路(304)を経由して、それぞれに対応する色のインクを吐出するインクジェット記録ヘッド(203K)〜(203Y)に出力する。
【0027】
こうしてインクジェット記録ヘッド(203K)〜(203Y)のそれぞれは、その描画されたイメージデータに従ってインクを吐出してカラー画像の印刷を行う。
【0028】
画像の印刷が終了した連続ラベル紙(210)は、そのままRF−ID通信部(200)に搬送され、RF−IDリーダ/ライタ(202)によりRF−ID通信用アンテナ(201)を介して、ラベルに内蔵されているRF−IDタグのICチップ部に所定の通信手順により電子情報の書き込みを行う。電子情報の書き込みは連続ラベル紙(210)の搬送に同期して行われ、それぞれにRF−IDタグを内蔵するラベルが、RF−ID通信用アンテナ201の真下を通過するタイミングで、電子情報の書き込みが行われる。書き込みが終了した連続ラベル紙(210)は、搬送出口より排出される。
【0029】
このように、連続ラベル紙(210)上の各ラベルへの印刷ならびに各RF−IDタグへの書き込みは、いずれも連続ラベル紙(210)の搬送に同期して制御されるため、連続ラベル紙(210)の搬送を停止させることなく、印刷ならびに書き込みを行うことができる。なお、上記の制御は、ROM(308)に記憶されている制御プログラムをメインコントローラ(301)が実行することにより行われる。
【0030】
<記録媒体列の構成>
図4は、本実施形態にかかる記録媒体列(連続ラベル紙)の一例を示す図であり、(a)は連続ラベル紙の外観構成を示しており、(b)は該連続ラベル紙の一部を示している。
【0031】
(a)に示すように長尺の連続ラベル紙(210)は、中空部を形成した円柱状の巻芯にロール状に巻かれた形態となっている。また、(b)に示すように、連続ラベル紙(210)は帯状の台紙(406)を備え、台紙(406)には、表面に印刷が可能であるラベル(401)が長手方向に等間隔で連続して仮着されている。
【0032】
ラベル(401)の内部には、電子情報を記憶するための不揮発性メモリを搭載したICチップ部(403)と、ICチップ部(403)に電気的に接続された送受信アンテナ部(402)とで構成されるRF−IDタグ(405)が内蔵されている(そこで、以下では、ラベル(401)を、「RF−IDタグ内蔵ラベル」と称す)。
【0033】
<RF−IDタグ内蔵ラベルの構成>
図5は、RF−IDタグ内蔵ラベルの構成を示す断面図である。図5において、501は、連続ラベル紙(210)の台紙(406)の表面を構成する離型であり、507は台紙(406)の裏面を構成する剥離紙である。
【0034】
RF−IDタグ内蔵ラベル(401)は、離型(501)上に配され、粘着層(502)、RF−IDタグ(405)、粘着層(503)、インク遮蔽層(504)、基材(505)及びインク受容層(506)が積層された積層体として形成されている。
【0035】
かかる構成により、インク受容層(506)に印刷されたRF−IDタグ内蔵ラベル(粘着層(502)、RF−IDタグ(405)、粘着層(503)、インク遮蔽層(504)、基材(505)およびインク受容層(506)の積層体)を剥離すると、該RF−IDタグ内蔵ラベル(210)の粘着層(502)によって、該RF−IDタグ内蔵ラベル(401)を任意のところに接着することができる。
【0036】
<RF−IDタグの詳細構成>
図6は、RF−IDタグ内蔵ラベル(401)を構成するRF−IDタグ(405)の構成を示す図である。図6において、402はループ状コイル等からなる送受信アンテナ部であり、RF−ID通信用アンテナ(201)より送信された電磁波を受信する。
【0037】
403はICチップ部であり、送受信アンテナ部(402)と電気的に接続されており、送受信アンテナ部(402)において受信された電磁波をエネルギー源として動作することで、RF−ID通信用アンテナ(201)より送信された電子情報を記憶する。
【0038】
<RF−IDタグの通信遮蔽構造>
図7は、本実施形態にかかる記録媒体列(連続ラベル紙)における、RF−IDタグの通信遮蔽構造について説明するための図である。
【0039】
RF−IDタグ内蔵ラベル(401)を長手方向に連続して配し、連続ラベル紙(210)を生成するにあたり、不良品のRF−IDタグ内蔵ラベルが含まれてしまった場合の処理について説明する(連続ラベル紙(210)の生成にあたっては、長手方向に連続して配されたRF−IDタグ内蔵ラベルが良品か不良品かを判別する工程が含まれている)。
【0040】
ここで、不良品のRF−IDタグ内蔵ラベルとは、内蔵されたRF−IDタグを構成するICチップ部が何らかの原因で電子情報の読み出しまたは書き込みができない状態にあるラベルをいう(反対に、電子情報の読み出しまたは書き込みが可能なICチップ部を備えるRF−IDタグが内蔵されたラベルを良品のRF−IDタグ内蔵ラベルと称す)。
【0041】
上述のように不良品のRF−IDタグ内蔵ラベルが連続ラベル紙に混在していると、これに起因してエラーが発生することがある。そこで、不良品のRF−IDタグ内蔵ラベルと良品のRF−IDタグ内蔵ラベルとが混在した連続ラベル紙のうち、不良品のRF−IDタグ内蔵ラベルは、通信遮蔽構造となるように加工される。
【0042】
通信遮蔽構造とは、RF−IDタグ内蔵ラベルにおいて、RF−IDタグの送受信アンテナ部を構成するループ状コイルが切断された状態をいう。
【0043】
図7(a)は、不良品のRF−IDタグ内蔵ラベルが通信遮蔽構造となるように加工された連続ラベル紙の一例を示す図であり、具体的には、不良品のRF−IDタグ内蔵ラベルの送受信アンテナ部にパンチ穴を開けることで通信遮蔽構造を実現している(701)。
【0044】
図7(b)は、不良品のRF−IDタグ内蔵ラベルが通信遮蔽構造となるように加工された連続ラベル紙の他の一例を示す図であり、具体的には、不良品のRF−IDタグ内蔵ラベルの送受信アンテナ部を切断することで通信遮蔽構造を実現している(702)。
【0045】
このように、不良品のRF−IDタグ内蔵ラベルを通信遮蔽構造に加工することにより、送受信アンテナ部の共振点が失われ、不良品のRF−IDタグ内蔵ラベルが有するアンテナ効果は失われ、該不良品のRF−IDタグの送受信アンテナ部を介して、隣接する良品のRF−IDタグの送受信アンテナ部に電磁波が送信されるといった事態を回避することができる。なお、送受信アンテナ部を構成するループ状コイルを切断する方法としては、図7(a)、(b)に例示した方法(パンチ穴による方法、直線的に切断する方法)に限定されるものではなく、従来公知な方法が適宜適用されるものとする。
【0046】
また、不良品のRF−IDタグ内蔵ラベルに対して、送受信アンテナを構成するループ状コイルを切断する場合の切断部位は、印刷装置において搬送不良の原因とならない範囲であれば、特に限定されるものではない。特にパンチ穴をあける場合にあっては、連続ラベル紙(210)が印刷装置(100)内を搬送された際に、TOFセンサによるセンシング位置をはずすことが望ましい。
【0047】
以上の説明から明らかなように、本実施形態にかかる連続ラベル紙では、RF−IDタグ内蔵ラベルの中に、電子情報の読み出しまたは書き込みを行うことができないICチップ部が含まれていた場合、該ICチップ部に接続された送受信アンテナ部に対してループ状コイルを切断する加工が施される。
【0048】
これにより、送受信アンテナ部の共振点が失われ、該RF−IDタグは、電磁波を受信することができない構造となる。この結果、不良品のRF−IDタグ内蔵ラベルと良品のRF−IDタグ内蔵ラベルとが混在する連続ラベル紙であっても、印刷装置にて電子情報を書き込む際に送信される電磁波が、該不良品のRF−IDタグ内蔵ラベルの送受信アンテナ部を介して、隣接する良品のRF−IDタグの送受信アンテナ部に送信されてしまうといった事態を回避することが可能となる。
【0049】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、不良品のRF−IDタグ内蔵ラベルの送受信アンテナ部のアンテナ効果をなくすために、該送受信アンテナ部を構成するループ状コイルを切断する加工を施すこととした。しかし、本発明は特にこれに限定されない。例えば、アンテナ効果をなくすために、不良品のRF−IDタグ内蔵ラベルのRF−IDタグを金属材料で遮蔽する加工を施してもよい。
【0050】
図8は、本実施形態にかかる連続ラベル紙における、RF−IDタグの通信遮蔽構造について説明するための図である。図8(a)は、不良品のRF−ID内蔵ラベルのRF−IDタグ全体を、金属箔(801)でシールするよう加工したものである。図8(b)は、不良品のRF−ID内蔵ラベルのRF−IDタグの一部を、金属箔(802)でシールするよう加工したものである。
【0051】
このように、送受信アンテナ部を金属箔で遮蔽することで、RF−IDタグの共振点は大幅にずれ、不良品のRF−IDタグ内蔵ラベルの送受信アンテナ部がもつアンテナ効果が失われ、RF−IDリーダ/ライタより送信された電磁波が、該不良品のRF−IDタグの送受信アンテナ部を介して、隣接する良品のRF−IDタグの送受信アンテナ部に送信されてしまうといった事態を回避することが可能となる。
【0052】
なお、使用する金属箔は、共振点を大幅にずらせるものであれば、特に限定されるものではないが、印刷装置における連続ラベル紙の搬送性、コストを考慮してアルミ、ステンレス等の薄膜を使用することが望ましい。
【0053】
なお、金属箔を貼る位置、大きさ、ならびに貼る層は特に限定されるものはないが、不良品のRF−IDタグ内蔵ラベルの送受信アンテナ部を視認できるという観点から、印刷側(インク受容層側)に貼ることが好ましい。また、連続ラベル紙が印刷装置内において搬送された際に、TOFセンサのセンシング位置に重なることがないように金属箔を貼ることが好ましい。
【0054】
[その他の実施形態]
上記第1および第2の実施形態における連続ラベル紙のように、ロール形態を有する場合、巻き癖がつき、印刷装置内を搬送された際に、搬送トラブルが生じることがある。そこで、これを回避する目的で、ロール形態の連続ラベル紙の生成に際しては、剥離紙(507)側にRF−IDタグ(405)を傷つけないように、ハーフスリット加工が施されてもよい(図9の901参照)。
【0055】
また、図10(a)に示すように、連続ラベル紙(210)が折り連続形態を有する場合にあっては、連続ラベル紙(210)の生成に際して、RF−IDタグ内蔵ラベル内のICチップ部が、互いに重ならないように配置されることが好ましい。図10(b)に示すように、折り曲げた状態で、ICチップ部(403)が互いに重なるように配置してしまうと、折数が増加した場合に、ICチップ部(403)が壊れてしまう可能性があるからである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】RF−IDタグ書き込み機能付きインクジェット方式の印刷装置とホストコンピュータとを接続したシステムの構成図である。
【図2】印刷装置の概略構成図である。
【図3】印刷装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかる記録媒体列(連続ラベル紙)の一例を示す図である。
【図5】RF−IDタグ内蔵ラベルの構成を示す断面図である。
【図6】RF−IDタグ内蔵ラベルを構成するRF−IDタグの構成を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態にかかる連続ラベル紙のRF−IDタグの通信遮蔽構造について説明するための図である。
【図8】本発明の第2の実施形態にかかる連続ラベル紙のRF−IDタグの通信遮蔽構造について説明するための図である。
【図9】その他の実施形態にかかる連続ラベル紙における加工内容を説明するための図である。
【図10】その他の実施形態にかかる連続ラベル紙における加工内容を説明するための図である。
【符号の説明】
【0057】
210:ラベル紙
401:ラベル
402:送受信アンテナ部
403:ICチップ部
405:RF−IDタグ
406:台紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ部において受信された電磁波をエネルギー源として動作することで電子情報の読み出しまたは書き込みが行われるICチップ部を備えるRF−IDタグを内蔵する記録媒体が、連続して配された帯状の記録媒体列であって、
前記記録媒体のうち、電子情報の読み出しまたは書き込みを行うことができないICチップ部を備えたRF−IDタグを内蔵する記録媒体の前記アンテナ部は、電磁波の受信を行うことができないように加工されていることを特徴とする記録媒体列。
【請求項2】
前記電子情報の読み出しまたは書き込みを行うことができないICチップ部を備えたRF−IDタグを内蔵する記録媒体は、該ICチップ部に接続された前記アンテナ部の一部が切断されていることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体列。
【請求項3】
前記電子情報の読み出しまたは書き込みを行うことができないICチップ部を備えたRF−IDタグを内蔵する記録媒体は、該ICチップ部に接続された前記アンテナ部の一部が金属シールで覆われていることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体列。
【請求項4】
アンテナ部において受信された電磁波をエネルギー源として動作することで電子情報の読み出しまたは書き込みが行われるICチップ部を備えるRF−IDタグを内蔵する記録媒体を、連続して配し、電子情報の読み出しまたは書き込みを連続して行うことができるように構成する帯状の記録媒体列の生成方法であって、
前記記録媒体の中から、電子情報の読み出しまたは書き込みを行うことができないICチップ部を備えたRF−IDタグを内蔵する記録媒体を判別する判別工程と
前記判別された記録媒体のアンテナ部を、電磁波の受信ができないように加工する加工工程と
を備えることを特徴とする記録媒体列の生成方法。
【請求項5】
前記加工工程では、前記アンテナ部の一部を切断することを特徴とする請求項4に記載の記録媒体列の生成方法。
【請求項6】
前記加工工程では、前記アンテナ部の一部を金属シールで覆うことを特徴とする請求項4に記載の記録媒体列の生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−52515(P2008−52515A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228290(P2006−228290)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】