説明

記録方式、記憶媒体及び記憶装置

【課題】複数のデータの高密度記録かつ効率の良い再生を実現する。
【解決手段】連続記録領域60Bに対して、複数のデータを多重化して連続的に記録することにより、高密度記録が可能な連続記録領域への複数のデータの同時記録が可能であり、また、ランダム記録領域60Aに対して多重化の管理情報を記録することにより、当該多重化されたデータの管理情報に基づいて、多重化されたデータへのアクセス(データ再生)を簡易に行うことができる。これにより、複数のデータの高密度記録かつ効率の良い再生を実現することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録方式、記憶媒体及び記憶装置に関し、特にランダム記録領域と連続記録領域とを備える記憶媒体への記録方式、当該記録方式でのデータ記録に好適な記憶媒体及びこの記憶媒体を備える記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置は、コンピュータシステムや各種電子装置の記憶装置として用いられる。このため、磁気ディスク装置に対しては記憶容量の増大という要求が常に存在している。
【0003】
磁気ディスク装置の記憶容量を増加するには、磁気ディスク上の記録密度を増加させる必要がある。磁気ディスク上の記録密度を増加させるには、磁気ディスクの半径方向に関するトラック密度(TPI:Track Per Inch)を増加させる方法と、トラック方向(ビット方向)の密度(BPI:Bit Per Inch)を増加させる方法とがある。
【0004】
このうち、トラック密度(TPI)を増加させる方法としては、磁気ディスクに対してデータを常に一方向に(例えば外側から内側に)書き込む方法が提案されている。このように一方向からデータを書き込むことにより、トラックの両側にサイドイレーズ(書き広がり)のマージンをとっておく必要が無くなる(片側にのみマージンをとっておけば良い)ので、トラック密度を増加させることが可能となる。
【0005】
また、最近では、大容量記録を実現するために、書き換え保証回数に基づいて記録媒体の記録密度を設定し、設定された記録密度で記録媒体に対して情報を記録する技術についても提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2007−250054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した1方向からデータを書き込む磁気ディスク装置を、複数チューナを有するハードディスクレコーダに用いる場合、磁気ディスクに対する複数番組の同時記録(録画)が必要となる。
【0008】
この場合、従来は、図8に示すように、磁気ディスク140上に2つのチューナA、Bに対応した記憶領域150A,150Bをそれぞれ確保しておき、各記憶領域150A,150Bにデータを記録していた。この記録において、チューナAとチューナBの番組が同時に放送されている状態では、一方の番組を磁気ディスクに記録するとともに、他方の番組をバッファに一時的に格納しておき、一方の番組の録画終了後に他方の番組を磁気ディスクに記録することとしていた。また、チューナA側の番組の録画時間が長時間となる場合を考慮して、磁気ディスク上の記憶領域150A,150B間には、確保領域160を設けておく必要があった。
【0009】
しかしながら、確保領域160は、実際に使用しない可能性があり、そのような確保領域160を予め用意しておくことは、磁気ディスクの記憶容量の低下を引き起こすおそれがある。また、記憶領域150A又は150Bの全てを使用した場合には、新たな記憶領域を設定する必要があるが、新たな記憶領域の設定とともに新たな確保領域を用意する必要があり、これにより記憶容量の更なる低下が引き起こされるおそれがある。
【0010】
そこで、本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、複数のデータの高密度記録かつ効率の良い再生が可能な記録方式、記憶媒体及び記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書記載の記録方式は、ランダム記録領域と連続記録領域とを備える記憶媒体への記録方式であって、複数のデータを多重化して前記連続記録領域に連続的に記録し、前記多重化の管理情報を前記ランダム記録領域に記録するものである。
【0012】
これによれば、連続記録領域に対して、複数のデータを多重化して連続的に記録することにより、高密度記録が可能な連続記録領域に複数のデータを同時記録することが可能であり、また、ランダム記録領域に対して多重化の管理情報を記録することにより、多重化されたデータの管理情報に基づいて、多重化されたデータへのアクセス(データ再生)を簡易に行うことができる。これにより、複数のデータの高密度記録かつ効率の良い再生が可能となる。
【0013】
本明細書記載の記憶媒体は、複数のデータが多重化されて連続的に記録される連続記録領域と、前記多重化の情報が記録されるランダム記録領域と、を備えている。
【0014】
これによれば、連続記録領域に対して、複数のデータを多重化して連続的に記録することにより、高密度記録が可能な連続記録領域に複数のデータを同時記録することが可能であり、また、ランダム記録領域に対して多重化の管理情報を記録することにより、多重化されたデータの管理情報に基づいて、データへのアクセス(データ再生)を簡易に行うことができる。これにより、複数のデータの高密度記録かつ効率の良い再生が可能となる。
【0015】
本明細書記載の記憶装置は、複数のデータが多重化されて連続的に記録される連続記録領域と、前記多重化の情報が記録されるランダム記録領域と、を有する記憶媒体と、前記記憶媒体に対する記録と再生を行う記録再生素子と、前記記録再生素子からの信号を処理する信号処理基板と、を備えている。
【0016】
これによれば、連続記録領域に対して、記録再生素子により複数のデータを多重化して連続的に記録することで、高密度記録が可能な連続記録領域に複数のデータを同時記録することが可能であり、また、ランダム記録領域に対して記録再生素子により多重化の管理情報を記録することで、多重化されたデータの管理情報に基づいて、データへのアクセス及び信号処理基板によるデータ処理(データ再生)を簡易に行うことができる。これにより、複数のデータの高密度記録かつ効率の良い再生を実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本明細書に記載の記録方式、記憶媒体及び記憶装置は、複数のデータの高密度記録かつ効率の良い再生ができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の記録方式、記憶媒体及び記憶装置の一実施形態について図1〜図7に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1には、記憶装置としてのハードディスクレコーダ100がブロック図にて示されている。この図1に示すように、ハードディスクレコーダ100は、第1チューナ10A及び第2チューナ10Bと、第1受信バッファ12A及び第2受信バッファ12Bと、マルチプレクサ14と、ライトバッファ16と、テーブルバッファ(TBLバッファ)18と、信号処理基板としてのハードディスク記録再生制御部30と、ディスクエンクロージャ32と、これら各部を統括制御する制御装置20と、を備えている。
【0020】
第1チューナ10A及び第2チューナ10Bとしては、例えば、地上デジタルチューナ、地上アナログチューナ、BSデジタルチューナ、110°CSデジタルチューナのうちのいずれか、あるいは任意の組み合わせを採用することができる。この第1チューナ10A及び第2チューナ10Bは、制御装置20の指示の下、ユーザ等が指定した番組(title)を受信する。
【0021】
第1受信バッファ12A及び第2受信バッファ12Bは、第1チューナ10A及び第2チューナ10Bに対応しており、各チューナから送信される番組データをバッファリング(一時的に格納)する機能を有している。これら第1受信バッファ12A及び第2受信バッファ12Bのバッファサイズは、書き込み単位に依存する。例えば書き込み単位が24Mbpsで1秒ごと、というのであれば、バッファサイズは3MB/sとなる。
【0022】
マルチプレクサ14は、第1、第2受信バッファ12A,12Bからの入力信号を受信して、制御装置20の指示の下、入力信号を直列化する。本実施形態では、2つのチューナからの番組を多重するので、マルチプレクサ14は、入力の2倍の速さで動作する必要がある。
【0023】
ライトバッファ16は、制御装置20の指示の下、マルチプレクサ14から入力された信号をバッファリング(一時的に格納)する機能を有している。本実施形態では、上記マルチプレクサ14と同様、入力の2倍の速さで動作する必要がある。
【0024】
TBLバッファ18は、制御装置20で生成された番組データの管理情報(テーブル)をバッファリング(一時的に格納)する機能を有している。このTBLバッファ18に格納されるデータの記録情報(テーブル)の詳細な内容については後述する。
【0025】
ハードディスク記録再生制御部30は、不図示ではあるが、ハードディスクコントローラ(HDC)、リードチャネル(RDC)、モータドライバ等を有している。
【0026】
ディスクエンクロージャ32は、ヘッドIC34、記録再生素子(ヘッド)36、記憶媒体としての磁気ディスク40(図2参照)等を含んでいる。このディスクエンクロージャ32では、ライトバッファ16又はTBLバッファ18からの信号(データ)を、ハードディスク記録再生制御部30を介してヘッドIC34にて受信する。そして、ヘッドIC34は、受信した信号(データ)をヘッド36を介して磁気ディスク40の所定位置に記録する。
【0027】
一方、データの読み出し(再生)の際には、制御装置20からの指示に応じて、ヘッドIC34が記録再生素子(ヘッド)36を介して磁気ディスク40の所定位置から信号を読み出す。そして、ヘッドIC34は、ハードディスク記録再生制御部30に読み出した信号を送信し、ハードディスク記録再生制御部30では、当該信号を処理し、不図示のモニタ等に画像(映像)を出力する。
【0028】
次に、本実施形態における、磁気ディスク40に対するデータの記録方法について図2に基づいて説明する。
【0029】
本実施形態の磁気ディスク40は、図2に示すように、最外周の領域60Aと、中心部を含む領域60Bとに分割されている。このうち、最外周の領域60Aは、ランダムかつ複数回記録可能なランダム記録領域とされている。以下においては、当該領域を「ランダム記録領域60A」と呼ぶものとする。また、中心部を含む領域60Bは、一方向からの連続記録が可能な連続記録領域とされている。以下においては、当該領域を「連続記録領域60B」と呼ぶものとする。また、本実施形態の磁気ディスク40では、連続記録領域60Bにおいて、従来のようにチューナごとに記録領域を分割して(別々に)設定しないこととし、第1チューナ10Aの番組(title)と第2チューナ10Bの番組(title)とを同時記録(録画)する場合には、2番組を一方向書きで多重記録(交互に記録)することとしている。すなわち、2番組を、磁気ディスク40の連続記録領域60Bに形成される分割セクタに、分割して割り当てることとする。
【0030】
次に、図2の上図に示すようなタイミングで番組(title)を記録する場合の処理の概要について、図3、図4に基づいて説明する。
【0031】
なお、本例では、図2に示すように、第1チューナ10A側で、title1、title2を続けて記録(録画)するのに対し、第2チューナ10B側では、第1チューナ10A側のtitle2の記録と並行して、title3の全部及びtitle4の一部を記録することとしている。また、上記記録順序等については、ユーザによる録画予約作業により予め設定されているものとする。
【0032】
ここで、図3は、制御装置20からの指示と、当該指示の内容、及び各チューナ10A,10B、各バッファ12A,12B、16の処理内容を、時刻ごとに示す表である。この図3に含まれる項目のうち、「時刻」は、単位時間を表している。この単位時間は、例えば、最大2セクタ(2LBA)分の受信/書き込みを1単位とした時間である。また、各時刻における上段部分(白枠部分)は、第1チューナ10Aに関連した指示・処理内容を示し、下段部分(ハッチングを付した枠部分)は、第2チューナ10Bに関連した指示・処理内容を示す。また、「指示」は、制御装置20から出される指示の種別(記録開始指示sと記録終了指示w)、「TBL ADS」は指示(s、w)の組み合わせごとに割り振られるテーブルアドレス、「TITL」は記録される番組のタイトル、「Start LBA」は、記録を開始するLBA(セクタ)、「End LBA」は、記録を終了するLBA(セクタ)を示す。更に、「MPX」は、多重化しているか否か、及び多重化しているならば何重になっているかを示し、「LINK」は、あるテーブルアドレスの処理が終了した後、続けて行われる処理があるか、及びある場合にはそのテーブルアドレスの数字を示す。
【0033】
(時刻0〜時刻4について)
本時刻では、第1チューナ10Aを用いて番組title1を受信して、当該title1を記録(録画)するための処理を実行する。
【0034】
この場合、図3に示すように、第1受信バッファ12A及びライトバッファ16には、title1が書き込み単位ごとにバッファリングされ(1−0,1−1,1−2,1−3,1−4)、ハードディスク記録再生制御部30、ディスクエンクロージャ32を介して、磁気ディスク40の連続記録領域60Bに一方向書きでtitle1が連続的に記録される。この場合、記録終了指示(w0)におけるStart LBAが「0」で、END LBAが「4」であるので、title1は、LBA「0」〜LBA「4」までの範囲に連続的に記録されるようになっている(LBAと記録されたtitle名との関係を示す図4の区間A参照)。
【0035】
(時刻5〜時刻6について)
本時刻では、第1チューナ10Aを用いたtitle2(2LBA分)の記録と第2チューナ10Bを用いたtitle3(2LBA分)の記録とが、多重化されて行われる。
【0036】
この場合、2つの番組title2とtitle3とが、磁気ディスク40の連続記録領域60BのLBA「5」〜LBA「8」に対して、LBA1つ分ずつ交互に1方向書きで記録(多重記録)される(図3のライトバッファ(2−0,3−0,2−1,3−1)及び図4の区間B参照)。なお、マルチプレクサ14及びライトバッファ16は、上述したように入力の2倍の速さで動作可能であるので、このような多重記録が実現可能である。
【0037】
(時刻7〜時刻8について)
本時刻では、第1チューナ10Aを用いたtitle2(2LBA分)のみの記録を行う。この場合、上記と異なり多重記録ではないので、磁気ディスク40の連続記録領域60BのLBA「9」、「10」に対してtitle2が一方向書きで連続的に記録される(図4の区間C参照)。
【0038】
(時刻9〜時刻10について)
本時刻では、第1チューナ10Aを用いたtitle2(2LBA分)の記録と第2チューナ10Bを用いたtitle4(2LBA分)の記録とが、多重化されて行われる。
【0039】
この場合、2つの番組title2とtitle4とが、磁気ディスク40の連続記録領域60BのLBA「11」〜「14」に対して、LBA1つ分ごとに交互に1方向書きで記録される(図3のライトバッファ(2−4,4−0,2−5,4−1)及び図4の区間D参照)。
【0040】
(時刻11〜時刻12について)
本時刻では、第2チューナ10Bを用いたtitle4(2LBA分)のみの記録を行う。この場合、多重記録ではないので、title4が、磁気ディスク40の連続記録領域60BのLBA「14」、「15」に対して、一方向書きで連続的に記録される(図4の区間E参照)。
【0041】
次に、上記図3、図4の処理を行っている間に生成される管理情報(テーブル)について図5に基づいて説明する。
【0042】
この図5に示す管理情報(テーブル)は、磁気ディスク40の連続記録領域60Bに形成される分割セクタに割り当てられた複数の番組(データ)の管理情報である。具体的には、図5の管理情報(テーブル)は、上述した図3、図4の処理において記録終了指示w0〜w6が出力された際の「TBL ADS」、「TITL」、「Start LBA」、「End LBA」、「MPX」、「LINK」の項目を抽出して纏めたものである。
【0043】
この図5のテーブルの内容は、制御装置20の指示の下、TBLバッファ18を介して、磁気ディスク40のランダム記録領域60Aにテーブルアドレスごとに書き込まれる(更新される)。
【0044】
次に、制御装置20による、図3、図4の処理及び図5の管理情報(テーブル)を磁気ディスク40に書き込む処理、の具体的な流れについて、図6のフローチャートに沿って説明する。なお、以下の処理は、基本的には、制御装置20が行うものであるので、特に必要な場合を除いて、処理の主体に関する記載を省略するものとする。
【0045】
図6のフローチャートは、制御装置20が録画予約状況を確認して、時刻0において、各部(10A、12A,14,16,30)に記録開始指示を出した時点から開始される。
【0046】
まず、ステップS10では、記録状況に変更があったか否かを判断する。ここで、記録状況の変更とは、記録開始指示及び記録終了指示が出された場合を意味する。
【0047】
この場合、時刻0においてtitle1の記録開始指示(s0)が出されているので、ステップS10の判断は肯定されて、ステップS12に移行する。
【0048】
ステップS12では、チューナを設定するとともに、受信バッファの設定及びTBL情報の更新を行う。時刻0の段階では、第1チューナ10Aを番組title1に設定するとともに、これに応じた受信バッファの設定を行う。なお、TBL情報(管理情報)は、上述したように記録終了指示(w)に対応しているので、TBL情報の更新は、記録開始指示(s)のときには行われない。
【0049】
上記のようにしてステップS12が終了すると、ステップS14に移行して、多重があるか否かを判断する。この時刻0の段階では多重は無いので、判断は否定され、ステップS18に移行する。
【0050】
ステップS18では、テーブル書き込みが必要か否かを判断する。この場合において、テーブル書き込みが必要な場合とは、記録終了指示(w0〜w6のいずれか)が出された場合である。この段階では記録終了指示は出されていないので、ステップS18の判断が否定され、ステップS22に移行する。
【0051】
そして、ステップS22では、ライトバッファ16にバッファリングされているデータをハードディスク記録再生制御部30及びディスクエンクロージャ32を介して磁気ディスク40に書き込むよう指示を出す。
【0052】
その後、磁気ディスク40に対してデータが書き込まれた段階で、ステップS24に移行し、ステップS24において全工程終了か否かを判断する。この場合、録画予約状況を参照すれば、処理を続行する必要があると判断されるので、ステップS24の判断は否定され、ステップS10に戻る。
【0053】
次いで、時刻1の段階で、上記と同様の処理・判断を実行する。この場合、記録状況の変更がなく、多重もなく、テーブル書き込みの必要も無いので、ステップS22におけるデータの書き込み指示のみを実行して、ステップS10に戻る。その後、時刻3までは、上記処理を繰り返す。
【0054】
これに対し、時刻4の段階では、制御装置20から記録終了指示(w0)が出されることから、ステップS10の判断が肯定される。この場合、ステップS12において、第1チューナ10A、第1受信バッファ12Aの設定を行うとともに、TBL情報(管理情報)の、TBL ADS「0」(図5参照)を更新する。また、時刻4では、ステップS18の判断も肯定される。この場合、制御装置20は、ステップS20において、TBL情報(管理情報)の書き込み指示をTBLバッファ18、ハードディスク記録再生制御部30に出力する。これにより、TBL情報(TBL ADS「0」の情報)が磁気ディスク40のランダム記録領域60Aに記録される。その後、ステップS22において、title1が記録された後、ステップS10に戻る。
【0055】
次いで、時刻5では、title2とtitle3の記録開始指示s1、s2が出され、記録状況が変更されるので、ステップS10の判断が肯定される。この場合、ステップS12(各チューナ10A,10B、各受信バッファ12A,12Bの設定)を経て、ステップS14に移行する。
【0056】
このステップS14では、多重があるか否かを判断する。ここでは番組title2とtitle3の2番組を録画しようとしていることから、判断は肯定されて、ステップS16に移行する。このステップS16では、title2とtitle3とがLBA1つ分ごとに交互に書き込まれるように、マルチプレクサ14の設定を行う。そして、ステップS18の判断(ここでは否定される)を経て、ステップS22において、磁気ディスク40の連続記録領域60Bにtitle2、title4を1方向書きで多重記録するよう指示を出す。
【0057】
その後、ステップS24の判断が否定されると、ステップS10に戻る。
【0058】
次いで、時刻6では、title2とtitle3の記録終了指示w1、w2が出され、記録状況が変更されているので、ステップS10の判断が肯定される。この場合、ステップS12(各チューナ10A,10B、各受信バッファ12A,12Bの設定)を経て、ステップS14に移行する。
【0059】
ステップS14では、多重があるか否かを判断するが、ここでもまだ番組title2とtitle3の2番組を記録(録画)しようとしていることから、判断は肯定されて、ステップS16に移行する。そして、ステップS16では、title2とtitle3とがLBA1つ分ごとに交互に書き込まれるようにマルチプレクサ14を設定する。その後、ステップS18の判断が肯定されると、ステップS20では、TBL情報(管理情報)の書き込み指示をTBLバッファ18、ハードディスク記録再生制御部30に対して出力する。これにより、新たなTBL情報(TBL ADSが「1」及び「2」の情報)が磁気ディスク40のランダム記録領域60Aに記録される。
【0060】
そして、ステップS22では、時刻5の場合と同様、磁気ディスク40にtitle2、title4を1方向書きで多重記録するよう指示を出し、次のステップS24の判断が否定されると、ステップS10に戻る。
【0061】
以上のような処理が繰り返され、録画予約が入っている時刻12までの処理が完了すると、ステップS24の判断が肯定されて、図6の全処理が終了する。
【0062】
このように図6の処理を経ることにより、図2の連続記録領域60Bの各LBAには、図4に示すようなデータが連続的に多重化されて書き込まれるとともに、図2のランダム記録領域60Aには、図5のような管理情報(テーブル)が書き込まれるようになっている。
【0063】
なお、磁気ディスク40の連続記録領域60Bに記録された番組データを再度連続的に書き換える場合には、図6の処理が再度実行される。したがって、当該書き換えの際には、書き換えるデータに対応する管理情報(テーブル)も更新されて、ランダム記録領域60Aに再度書き込まれることになる。
【0064】
次に、上記のようにして磁気ディスク40に記録された番組(title)を読み出す(再生する)場合の処理について、図7のフローチャートに沿って説明する。なお、この図7の処理も、図6の処理と同様、制御装置20により実行されるものである。したがって、以下においては、処理の主体についての記載は、特に必要な場合を除いて省略するものとする。
【0065】
ユーザ等から、titleが指定されて再生指示が出されると、ステップS50において、磁気ディスク40のランダム記録領域60Aに書き込まれているテーブルを読み出すとともに、指定されたtitleに基づいて「Start LBA」の設定を行う。例えば、ユーザからtitle2の再生指示が出されていた場合には、制御装置20は、図5のテーブルの中からtitle2の部分のみを抽出して、再生を行う「Start LBA」を設定する。ここでは、図5に含まれるtitle2のStart LBAのうち最小のもの(TBL ADSが「1」の場合におけるStart LBA「5」)が設定される。
【0066】
次のステップS52では、図5のテーブルの「MPX」の項目に基づいてtitle2に多重があるか否かを判断する。ここでは、TBL ADS「1」のMPXが「2」となっており、多重が存在することから、ここでの判断は肯定されて、ステップS54に移行する。
【0067】
次いで、ステップS54では、読み飛ばしセクタ数を設定する。ここでは、TBL ADS「1」のStart LBA「5」〜End LBA「7」を1つ飛ばしで(LBA「6」を飛ばして)読むように設定する。
【0068】
次いで、ステップS56では、セクタ読み出し(LBA「5」に対応するセクタからのデータの読み出し)を行うよう指示を出し、次のステップS58に移行する。ステップS58では、End LBAであるか否かを判断するが、ここでは、まだEnd LBA「7」に達していないので、判断は否定され、ステップS56に戻る。そして、ステップS56では、LBAを1つ飛ばして、LBA「7」に対応するセクタからのデータの読み出しを行うよう、指示を出す。
【0069】
次のステップS58では、End LBAであるか否かを判断するが、ここでは、読み出したLBAが7であり、End LBA「7」と一致するので、判断は肯定され、次のステップS60に移行する。
【0070】
次のステップS60では、LINKがあるか否か判断する。この場合、図5のテーブルのTBL ADS「1」のLINKは「3」となっているので、判断は肯定されて、ステップS50に戻る。
【0071】
次いで、ステップS50では、TBL ADS「3」の内容で、上記と同様にしてデータの読み出しを実行する。ただし、図5のテーブのTBL ADS「3」では、MPXが「0」となっているので、このような場合には、読み飛ばしセクタを設定せずに、Start LBA「9」からEnd LBA「10」までの全LBAのデータを読み出すように指示を出す(ステップS56)。
【0072】
そして、ステップS60では、LINKがあるか否か判断するが、この場合も、図5のテーブルのTBL ADS「3」のLINKは「4」となっているので、判断は肯定されて、ステップS50に戻る。
【0073】
次いで、ステップS50では、TBL ADS「4」の内容で、上記と同様にしてデータの読み出しを実行する。この場合、図5のテーブルのTBL ADS「4」では、MPXが「2」となっているので、読み飛ばしセクタを設定して、Start LBA「11」からEnd LBA「13」までのLBAを1つ飛ばしで読み出すように指示を出す。上記のように1つ飛ばしでの読み出しが完了すると、ステップS60では、LINKがあるか否か判断するが、この場合、図5のテーブルのTBL ADS「4」のLINKが「0」となっており、LINKは無いことから、判断は否定され、図7の全処理を終了する。
【0074】
以上のような読み出し処理を実行することにより、上述したように磁気ディスク40の連続記録領域60Bに1方向書きで多重記録したデータに対して簡易にアクセスすることが可能である。
【0075】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によると、連続記録領域60Bに対して、複数のデータを多重化して連続的に記録することにより、高密度記録が可能な連続記録領域60Bへの複数のデータの同時記録が可能であり、また、ランダム記録領域60Aに対して多重化の管理情報(図5参照)を記録することにより、当該多重化されたデータの管理情報に基づいて、多重化されたデータへのアクセス(データ再生)を簡易に行うことができる。これにより、複数のデータの高密度記録かつ効率の良い再生が可能である。
【0076】
また、本実施形態では、多重化を、連続記録領域60Bに形成される分割セクタに、複数のデータを分割して割り当てることにより実現するので、従来のように、チューナごとに記録領域を設け、かつ各記録領域間に確保領域を設けるような場合と比較して、記憶容量の増加が期待できる。
【0077】
また、本実施形態では、図5の管理情報(テーブル)が、連続記録領域60Bに形成される分割セクタに割り当てられた複数の番組の管理情報であるので、当該管理情報を参照することにより、読み出す番組が割り当てられた分割セクタを簡易に特定する(追跡する)ことが可能である。
【0078】
また、本実施形態では、連続記録領域60Bを1方向書きとしていることから、トラックの片側についてのサイドイレーズのみを考慮してトラックピッチを決定することができる。これにより、連続記録領域60Bのトラックピッチをランダム記録領域60Aのトラックピッチよりも狭く設定することができるので、番組を記録する部分の記録密度を高く設定することが可能である。
【0079】
また、本実施形態では、磁気ディスク40の連続記録領域60Bに記録された番組データを再度連続的に書き換える場合には、書き換えるデータに対応する管理情報(テーブル)も更新されてランダム記録領域60Aに書き込まれる。このように、番組の書き換えごとに管理情報が更新されるので、書き換えによって番組の読み出しができなくなるおそれもない。
【0080】
また、本実施形態では、図2及び図5から分かるように、多重化されるtitle数が変化するタイミングで、管理情報(テーブル)が更新されるので、更新を必要以上に頻繁に行うことがない。これにより、管理情報の管理負担を低減することが可能である。
【0081】
なお、上記実施形態では、磁気ディスク40の連続記録領域60Bを、単発記録領域(すなわち、一度データを書き込んだ後は読み出しのためにだけ用いるリードオンリー領域)としても良い。
【0082】
また、上記実施形態では、ハードディスクレコーダ100に2つのチューナ10A,10Bを設ける場合について説明したが、これに限らず、ハードディスクレコーダ100に3つ以上のチューナを設けることとしても良い。このような場合であっても、上記実施形態と同様の手法により、3以上の番組を多重記録することが可能である。
【0083】
なお、上記実施形態では、本発明の記録装置をハードディスクレコーダに採用した場合について説明したが、これに限られるものではなく、ハードディスクドライブに採用することとしても良い。この場合、例えば、複数のアプリケーションを同時に動作させた場合における情報記録に、本発明の記録方式を採用することが可能である。
【0084】
また、上記実施形態では、ランダム記録領域60Aを磁気ディスク40の外周部、連続記録領域60Bを磁気ディスク40の内周部に設けた場合について説明したが、これに限られるものではなく、各領域は、磁気ディスク40の任意の位置に設けることが可能である。
【0085】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】一実施形態に係るハードディスクレコーダの構成を示すブロック図である。
【図2】一実施形態における磁気ディスクの記録領域、及び番組の記録タイミングの一例を示す図である。
【図3】番組の多重記録について示す図である。
【図4】LBAと記録されたtitle名との関係を示す図である。
【図5】管理情報(テーブル)について示す図である。
【図6】番組の多重記録処理及び管理情報(テーブル)の書き込み処理について示すフローチャートである。
【図7】多重記録された番組データの読み出し(再生)処理について示すフローチャートである。
【図8】従来における磁気ディスクの記録領域、及び番組の記録タイミングの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
30 ハードディスク記録再生制御部(信号処理基板)
36 記録再生素子
40 磁気ディスク(記憶媒体)
60A ランダム記録領域
60B 連続記録領域
100 ハードディスクレコーダ(記憶装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランダム記録領域と連続記録領域とを備える記憶媒体への記録方式であって、
複数のデータを多重化して前記連続記録領域に連続的に記録し、
前記多重化の管理情報を前記ランダム記録領域に記録することを特徴とする記録方式。
【請求項2】
前記多重化は、前記連続記録領域に形成される分割セクタに、複数のデータを分割して割り当てることを特徴とする請求項1に記載の記録方式。
【請求項3】
前記管理情報は、前記連続記録領域に形成される分割セクタに、複数のデータが分割されて割り当てられた管理情報であることを特徴とする請求項1又は2に記載の記録方式。
【請求項4】
前記連続記録領域のトラックピッチは、前記ランダム記録領域のトラックピッチよりも狭いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の記録方式。
【請求項5】
前記連続記録領域に記録された前記複数のデータを再度連続的に書き換える場合、当該書き換えるデータに対応する前記管理情報も更新して、前記ランダム記録領域に記録することを特徴とする請求項3に記載の記録方式。
【請求項6】
複数のデータが多重化されて連続的に記録される連続記録領域と、
前記多重化の情報が記録されるランダム記録領域と、を備える記憶媒体。
【請求項7】
複数のデータが多重化されて連続的に記録される連続記録領域と、前記多重化の情報が記録されるランダム記録領域と、を有する記憶媒体と、
前記記憶媒体に対する記録と再生を行う記録再生素子と、
前記記録再生素子からの信号を処理する信号処理基板と、を備える記憶装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−49732(P2010−49732A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212255(P2008−212255)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(309033264)東芝ストレージデバイス株式会社 (255)
【Fターム(参考)】