説明

記録用紙及びそれを用いる画像形成装置

【課題】顔料及び接着剤を含む塗工層が設けられていない記録用紙であり、高速でかつ高画質な画像形成を行った際において、紙粉を減らすことにより、紙粉による紙送りトラブルが発生せず、電子写真方式の画像形成においては、紙粉による転写工程などでの画質欠陥が発生しない記録用紙、該記録用紙を用いる電子写真方式及びインクジェット方式の画像形成装置を提供する。
【解決手段】 木材パルプを含有するカットシート状の記録用紙であって、Cross Directionの耐折強度が15回以上であり、内部結合強度が0.15N・m以上であり、灰分量が20質量%以下であり、かつ、IPC発光分析による灰分中のMg元素配合比率が5質量%以下であることを特徴とする記録用紙、該記録用紙を用いる電子写真方式及びインクジェット記録方式の画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾式電子写真方式の複写機あるいはプリンター等に用いる記録用紙、又はインクジェット方式の画像形成装置に用いる記録用紙、これらの記録用紙を用いる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式の画像形成装置の進歩により、デジタル信号をオンデマンドでカラープリントするいわゆるオンデマンドプリンティングを初めとするグラフィックアーツ領域やショートラン印刷領域における実用化が顕著となり始めている。ここでグラフィックアーツ領域とは、版画のようなもので印刷した部数の少ない創作印刷物や、筆跡・絵画などのオリジナルの模写、複写、そしてリプロダクションとよばれる大量生産方式による印刷物製造関連業務市場全般を指し、印刷物の製造に関わる業種・部門を対象とする領域であると定義される。
【0003】
また、特にショートラン市場では、電子写真方式の特質として、オフセット印刷などとは異なり、紙への画像形成材料であるトナーが印刷用インクほど浸透することが少ないことにより、いわゆる普通紙(塗工層を有していない転写紙)を多く使う傾向が顕著になってきている。
【0004】
また、電子写真法を用いたプリンターや複写機ではカラー化が進み、また装置の解像度の向上から静電潜像が細密化してきている。これに伴い、静電潜像に対し忠実に現像を行い、より高画質画像を得るために、近年、トナーの小径化が進んでいる。特にデジタル潜像を有彩色トナーにより現像・転写・定着するフルカラー複写機においては、体積平均粒径が6〜8μmの小粒径トナーを採用して、ある程度の高画質を達成している。
【0005】
しかし、より高画質化したカラー画像が得られるようになると、転写紙としていわゆる通常の普通紙を用いた場合には、転写紙から発生する紙粉成分による影響が顕著にみられるようになった。
すなわち、特に中間転写体を用いるような転写方式を用いる電子写真式の画像形成装置においては、中間転写体上に付着した紙粉により、中間転写体ベルトが汚染し、筋上の画像汚染を生じたり、中間転写体に対向して設置される転写ロールを紙粉が汚染することにより、同様に転写不良が発生しやすくなるという問題がある。
【0006】
さらに、ショートラン市場に用いるプリンター、複写機などは、高速化が進んでおり、大量の用紙が走行されることにより、いわゆる普通紙から発生する紙粉により、フィードロールや、テークアウェイロールなどのフィード部材を汚染し、ミスフィードや、重送などの紙送りトラブルを発生させることが問題となってきた。
【0007】
一方、インクジェット記録方式による画像形成はカラー化が容易であり、また、消費エネルギーが少なく、記録時の騒音も低く、さらにプリンタの製造コストを低く抑えることができるという特徴を有すること、さらに近年では高画質化、高速化、高信頼化が進み、普通紙に印刷する機会も多く、家庭用としてのみならず、オフィス向けにも注目されている。インクジェット記録方式の画像形成装置においても、電子写真式の画像形成装置と同様に、いわゆる普通紙から発生する紙粉により、フィードロールや、テークアウェイロールなどのフィード部材を汚染し、ミスフィードや、重送などの紙送りトラブルを発生させることが問題となってきた。
【0008】
これに対して、紙粉の発生量を減少させるため、転写紙中に含有する填料である炭酸カルシウムの含有量を低減させることにより、紙粉発生量を減少させる提案がある(例えば、特許文献1及び2参照)。
更に、炭酸カルシウムを含有する転写紙において、両性澱粉および水溶性アルミニウム塩を含有し、紙表面の炭酸カルシウム粒子径を大きくすることで、紙粉としての抜け落ちを防止しようとする提案もある(例えば、特許文献3参照)。
また更に、パルプのアルカリ加温保持や、フリーネスの調整などにより、繊維成分の欠落を防止するという提案もなされている(例えば、特許文献4及び5参照)
【0009】
しかしながら、これら提案のように填料成分を減少させたり、欠落防止のための処理を施しても繊維成分の紙粉としての発生を抑えることができず、またパルプのアルカリ加温処理や、フリーネス調整では、填料成分の欠落を防止することは困難であった。
【0010】
以上より、オフセット印刷を基準とするような高い生産性と高画質維持を含む信頼性を得るためには、使用する記録用紙に対し、紙粉による紙送りトラブルの頻度を大きく低下させ、更に電子写真方式においては画像欠陥のでない最適な画像を維持する必要があり、上述した問題を解決する必要がある。
【特許文献1】特開昭61−67038号公報
【特許文献2】特開平6−167018号公報
【特許文献3】特開平3−155542号公報
【特許文献4】特開平3−236061号公報
【特許文献5】特開平11−93282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、顔料及び接着剤を含む塗工層が設けられていない記録用紙であり、高速でかつ高画質な画像形成を行った際において、紙粉を減らすことにより、紙粉による紙送りトラブルが発生せず、電子写真方式の画像形成においては、紙粉による転写工程などでの画質欠陥が発生しない記録用紙、該記録用紙を用いる電子写真方式及びインクジェット方式の画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討を行った結果、顔料及び接着剤を含む塗工層をもたない記録用紙であっても、特定の折り曲げ強度と内部結合強度を持ち、特定の灰分量及び該灰分中のMg元素含有量を有する記録用紙であれば、上記課題を解決することを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明は、
<1> 木材パルプを含有するカットシート状の記録用紙であって、Cross Directionの耐折強度が15回以上であり、内部結合強度が0.15N・m以上であり、灰分量が20質量%以下であり、かつ、IPC発光分析による灰分中のMg元素配合比率が5質量%以下であることを特徴とする記録用紙である。
【0013】
<2> 更に、非木材パルプを含有することを特徴とする<1>に記載の記録用紙である。
<3> 全パルプ中での広葉樹パルプの配合量が、70質量%以上であることを特徴とする<1>に記載の記録用紙である。
<4> 全パルプ中での非木材パルプの配合量が、30質量%未満であることを特徴とする<2>に記載の記録用紙である。
【0014】
<5> 静電潜像担持体と、静電潜像担持体表面を均一に帯電する帯電手段と、該静電潜像担持体表面を露光し静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像担持体表面に形成された静電潜像を静電荷像現像剤を用いて現像し、トナー画像を形成する現像手段と、該トナー画像を直接或いは中間転写体を介して記録用紙表面に転写する転写手段と、該記録用紙表面のトナー画像を定着する定着手段と、を備える電子写真方式の画像形成装置であって、前記記録用紙が、<1>に記載の記録用紙であること特徴とする電子写真方式の画像形成装置である。
<6> インクを記録用紙上に吐出するための記録ヘッドを備える画像形成装置であって、前記記録用紙が、<1>に記載の記録用紙であること特徴とするインクジェット方式の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、顔料及び接着剤を含む塗工層が設けられていない記録用紙であり、高速でかつ高画質な画像形成を行った際において、紙粉を減らすことにより、紙粉による紙送りトラブルが発生せず、電子写真方式の画像形成においては、紙粉による転写工程などでの画質欠陥が発生しない記録用紙、該記録用紙を用いる電子写真方式及びインクジェット方式の画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の記録用紙を詳細に説明する。
本発明の記録用紙は、木材パルプを含有するカットシート状の記録用紙であって、Cross Directionの耐折強度が15回以上であり、内部結合強度が0.15N・m以上であり、灰分量が20質量%以下であり、かつ、IPC発光分析による灰分中のMg元素配合比率が5質量%以下であることを特徴とする。
【0017】
顔料及び接着剤を含有する塗工層(以下、単に「塗工層」という場合がある)が設けられていない記録用紙を用いて画像形成を行った場合、紙送りロールや、摺動部材との摩擦などにより転写紙の表面や、端部から紙粉が発生し、紙送りロール部材など汚染する。特に、電子写真方式の画像形成においては、転写工程で中間転写体として使用しているベルト状部材や、これに対向して転写電界を形成している転写ロール部材表面に転写紙の表面や、端部から発生する紙粉が移行する。これらは、中間転写ベルトや、転写ロールに設けられたクリーニング部材(ブレード、ブラシ部材)で通常は掻きとられるが、紙粉量が多い場合や、多枚数のプリントを実施するときには、クリーニング部材と転写部材(中間転写体や、転写ロール)との間に堆積し、筋状の欠陥や、画像むらを発生する。
【0018】
本発明者等が鋭意検討した結果、電子写真方式の画像形成において、紙送り時にミスフィードや、重送などのトラブルを起こしたフィード部材を観察すると、通常は、ロール表面のひだの凹部に転写紙の填料が堆積していることが多いのに対して、トラブル品では、ロール全面に細かい繊維が見られ、さらに填料成分も全面に存在することが確認された。このフィード部材と転写紙の摩擦係数を測定すると、通常の摩擦係数を大きく下回り約半分の値であった。すなわち0.8以下のものがほとんどであった。
さらに、転写工程で、画質欠陥を発生させた転写部材を観察すると、クリーニング部材との間で繊維物の引っかかりが観察され、また、填料成分とトナーとの凝集体が形成され硬い異物として固着していることが観察された。また、この現象は、転写ロール表面でも観察され、転写ロールの体積電気抵抗率を挙げてしまうことが判明した。
【0019】
ここで、本発明の記録用紙は、木材パルプおよび非木材パルプを含有する普通紙であり、顔料及び接着剤を含む塗工層を持たない記録用紙とする。顔料及び接着剤を含む塗工層とは、炭酸カルシウム、カオリンクレーなどの白色顔料を50質量%以上含み、スチレン−ブタジエン系やスチレン−アクリル系に代表されるラテックス類、及び/または、澱粉系に代表される水性ポリマーを接着剤として前記白色顔料に対して50質量%以上含む塗料を、固形分量(乾燥質量)で少なくとも記録用紙の片面あたり2g/m2以上塗布された塗工層のことを指し、白色顔料の含有量が50質量%を下回る塗料で表面層を形成した記録用紙や、上述した塗料を用い固形分量で少なくとも片面あたり2g/m2未満の塗工量で表面層が形成された記録用紙は本発明の記録用紙に含まれる。
【0020】
本発明の記録用紙は、Cross Directionの耐折強度が15回以上であることを必須とする。本発明者らは、上述した紙粉発生に伴うトラブル発生現象を綿密に分析し転写紙(記録用紙)を検討した。まず、繊維状の紙粉は、繊維そのものの強度が小さい場合に発生し、特に端部から多く発生することを実験から突き止めた。その際、本トラブルに関連する繊維状紙粉は、Cross Directionの耐折強度と関係することを突き止めた。Cross Directionの耐折強度が15回未満であると、紙粉の発生を抑制し、紙粉による紙送りトラブルを発生させず、電子写真方式の画像形成を行った際においては、紙粉による転写工程などでの画質欠陥を発生させないという本発明の効果が得られない。前記Cross Directionの耐折強度は、17以上であることが好ましい。一方、前記Cross Directionの耐折強度は、木材パルプ、草本類の非木材パルプを使用する際には、紙送り機構への影響や、実用強度の点で、70以下であることが好ましい。
尚、本発明におけるCross Directionの耐折強度は、JIS P 8115に規定された方法により測定されたものである。
【0021】
本発明の記録用紙は、JAPAN TAPPI No.18−2に規定された内部結合強度(以下、「本発明における内部結合強度」という場合がある。)が0.15N・m以上であることを必須とする。本発明者らは、填料を主体とした粉状の紙粉は、後述するように填料配合量(灰分量)が一定の範囲(20質量%以下)である場合には、本発明における内部結合強度に影響されることを突き止めた。前記本発明における内部結合強度は、0.20N・m以上であることが好ましい。一方、前記本発明における内部結合強度は、不透明性を低下させるなどの透明性を付与できる点で、0.60N・m以下であることが好ましい。
【0022】
本発明の記録用紙は、灰分量が20質量%以下であることを必須とする。該灰分量が20質量%を超えると、紙粉発生が増大してしまう。前記灰分量は、18質量%以下であることが好ましい。一方、前記灰分量は不透明性の付与や、柔軟性が確保できる点で、2質量%以上であることが好ましい。
尚、本発明における灰分量は、JIS P 8128(575℃で4時間灰化処理)で規定される方法で測定したものである。
【0023】
本発明の記録用紙は、IPC発光分析による灰分中のMg元素配合比率が5質量%以下であることを必須とする。本発明者らは、灰分中のMg元素配合比率が5質量%を超えると、灰分量とは関係なく、フィード部材表面の転写紙との摩擦係数を低下させることを突き止めた。その結果、紙粉発生が増大してしまう。この現象は、1000枚程度の多枚数を走行することにより顕著に現れてしまう。さらには、特に高湿環境で多枚数のプリントをするときに、画像むらや、画像抜けが発生してしまう。前記灰分中のMg元素配合比率は2質量%以下であることが好ましい。
【0024】
本発明の記録用紙は、木材パルプを含有するカットシート状の記録用紙である。また、本発明においては、前記Cross Direction耐折強度を15回以上とするためには、全パルプ中で広葉樹パルプの配合量を50質量%以上配合することが好ましい。
【0025】
一方、一般的にコストを下げる目的で、木材パルプと共に非木材パルプを用いることがあるが、本発明の記録用紙は、非木材パルプを含有する場合においても紙粉を減らすことにより紙送りトラブルを無くすという本発明の効果が得られる。つまり本発明の記録用紙は、更に非木材パルプを含有することがコスト削減につながり、更に紙粉も減らせるため好ましい。
この場合、非木材パルプは、耐折強度を低下させる場合があるため、全パルプ中での配合量を50質量%未満とすることが好ましい。本発明の記録用紙としては、全パルプ中での広葉樹パルプの配合量が70質量%以上であることがより好ましい。また、全パルプ中での非木材パルプの配合量が30質量%未満であることがより好ましい。
【0026】
カットシート状の記録用紙における短繊維強度は、前記Cross Direction耐折強度により判別でき、短繊維強度が低下するとシート端部からの紙粉発生量が増加する。そのため耐折強度を低下させないように非木材パルプを配合することが好ましい。
ここで、本発明の広葉樹パルプや、非木材パルプの配合量の測定方法は、JIS P 8120に規定されているC染色液を用いる方法で測定する。その際、少なくとも繊維総数が600本以上の測定を行う。
【0027】
本発明の記録用紙において使用される木材パルプは、特に限定されるものではないが、例えば、クラフトパルプ繊維、サルファイトパルプ繊維、セミケミカルパルプ繊維、ケミグラウンドパルプ繊維、砕木パルプ繊維、リファイナーグラウンドパルプ繊維、サーモメカニカルパルプ繊維等を使用することが好ましい。また、これらの繊維中のセルロースあるいはヘミセルロースを化学的に修飾した繊維も必要に応じて使用することができる。上述の通りこれらの木材パルプの中でも広葉樹パルプがより好ましい。
【0028】
一方、本発明の記録用紙において使用される非木材パルプは、特に限定されるものではないが、綿パルプ繊維、麻パルプ繊維、ワラ(稲ワラ、麦ワラ)パルプ繊維、竹パルプ繊維、葦パルプ繊維、ケナフパルプ繊維、バガスパルプ繊維等を使用することが好ましい。
【0029】
さらに、本発明の記録用紙は、ビスコースレーヨン繊維、再生セルロース繊維、銅アンモニアレーヨン繊維、セルロースアセテート繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール共重合体、フルオロカーボン系繊維、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、金属繊維、シリコンカーバイド繊維等の合成繊維や無機繊維を、さらに単独あるいは複数組み合わせて使用することができる。
【0030】
また、内部結合強度を向上させるため、前記パルプ繊維にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等の合成樹脂を含浸あるいは熱融着させて得られた繊維を使用することが好ましい。
【0031】
更に、本発明の記録用紙は、上質系及び中質系の古紙パルプを配合することもできる。該古紙パルプの配合量としては、用途や目的等に応じて決定されるが、耐折強度を低下させない範囲で配合することが好ましい。
【0032】
本発明の記録用紙における原紙は、填料を使用しても構わない。ここで使用できる填料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、焼成クレー、パイオロフェライト、セリサイト、タルク等の珪酸類や、二酸化チタン等の無機系填料、及び尿素樹脂、スチレン等の有機顔料、さらにはポリエステル系や、スチレンアクリル系などの熱可塑性樹脂微粒子が挙げられる。
【0033】
ここで前記無機系填料の配合量は、既述のように、本発明の記録用紙の灰分量が20質量%以下であるという規定を満たすために、用紙全体の0〜20質量%の範囲で配合することが好ましく、0〜17質量%の範囲で配合することがより好ましい。
【0034】
特に、前記填料の中でも炭酸カルシウム、カオリンクレー、タルク、ドロマイトなどの白色顔料からなる填料の配合量(灰分量)は用紙全体の20質量%以下で配合することが好ましい。これらの無機系の白色顔料を多く配合すると、繊維間で生成される水素結合を分断したり、繊維間距離が大きくなりやすく繊維間結合強度が低下することがある。
【0035】
また、本発明の記録用紙における原紙には、内添または外添により、サイズ剤等の各種薬品を使用することができる。サイズ剤の種類としては、ロジン系サイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、中性サイズ剤等のサイズ剤を挙げることができ、硫酸バンド、カチオン化澱粉等、適当なサイズ剤と繊維との定着剤を組み合わせても使用できる。
【0036】
これらサイズ剤の中では、電子写真方式の複写機やプリンター等におけるコピー後の用紙保存性の観点からは、中性サイズ剤、例えば、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニルケテンダイマー、中性ロジン、石油サイズ、オレフィン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂等が好ましい。また、表面サイズ剤として、酸化変性澱粉、酵素変性澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース変性体、スチレンアクリル系ラテックスを単独もしくは組み合わせて使用することができるがこれに限られるものではない。
【0037】
さらに、本発明の記録用紙における原紙には、用紙の電気抵抗値を調整する目的で、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機物や、アルキルリン酸エステル酸、アルキル硫酸エステル酸、スルホン酸ナトリウム塩、第4級アンモニウム塩等の有機系の材料を単独あるいは混合して使用することができる。
【0038】
また、本発明の記録用紙における原紙には、紙力増強剤を内添あるいは外添することが好ましい。紙力増強剤としては、でんぷん、変性でんぷん、植物ガム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、スチレン−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸エステル尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ジアルデヒドでんぷん、ポリエチレンイミン、エポキシ化ポリアミド、ポリアミド−エピクロルヒドリン系樹脂、メチロール化ポリアミド、キトサン誘導体等が挙げられ、これらの材料を単独あるいは混合して使用することができる。好ましい態様としては、両性乃至はカチオン性のポリアクリルアミドを配合することにより、内部結合強度の増加に有効に働く。
【0039】
また、前記種々の材料の他に、染料、pH調整剤等、通常の塗工紙用基紙に配合される各種助剤を適宜使用しても構わない。
【0040】
本発明の記録用紙の坪量(JIS P−8124)は、特に限定されないが、50〜105g/m2の範囲であることが好ましい。前記坪量が50g/m2を下回ると、電子写真方式の画像形成に用いた場合、用紙のこしが小さくなることより定着工程での巻き付きや、剥離不良にともなう画像欠陥が発生しやすくなる場合がある。一方、前記坪量が105g/m2を上回ると、トナーを定着させやすくさせるために、定着速度を低下させるなどの手段が必要となり、生産性を低下させる場合がある。
【0041】
また、本発明の記録用紙のJIS P 8118に規定されている見かけ密度は、0.65g/cm3を超え、0.95g/cm3以下の範囲にあることが好ましい。前記見かけ密度が0.65g/cm3以下になると、記録用紙の空隙が増加し、記録用紙から填料の抜け落ちが増加することにより紙粉量が増加する場合がある。
【0042】
本発明の記録用紙を仕上げる場合には、開封直後の製品水分率が適切な範囲内、具体的には3〜6.5質量%、より好ましくは4.5〜5.5質量%の範囲内に収まるように、抄紙機で含水量を調整することが好ましい。また、保管時に吸脱湿が発生しないように、ポリエチレンラミネート紙等の防湿包装紙やポリプロピレン等の材料を用いて包装することが好ましい。
【0043】
本発明の記録用紙を用いた本発明の電子写真方式の画像形成装置について説明する。
先ず、用いるトナー及び現像剤について説明する。
本発明の電子写真方式の画像形成装置に用いることができるトナー、現像剤としては、以下の如きものが好適に用いることができる。
本発明の電子写真方式の画像形成装置に用いるに好適なトナーの樹脂成分としては、一般に、非晶質ポリエステル系樹脂、結晶性ポリエステル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが挙げられるが特に制限されるものではない。また、好適なトナーの顔料成分としては、特に制限は無く、従来公知のものが問題なく使用可能である。
【0044】
前記好適なトナーの製造方法については、粉砕法、重合法等どのような製造方法を採用してもかまわないが、樹脂微粒子を分散した樹脂微粒子分散液と着色剤を分散した着色剤分散液とを混合し、樹脂微粒子及び着色剤をトナー粒径程度まで凝集させ、得られた凝集粒子を樹脂のガラス転移点以上の温度に加熱、融合させる乳化重合凝集法が好ましい。該乳化重合凝集法は、特開平6−250439号公報や特許第3141783号明細書などに記載される方法を用いることができるが、これに限られるものではない。
【0045】
前記トナーには離型剤を用いることができ、例えば、前記樹脂微粒子分散液等に混合して配合することができる。この場合、樹脂微粒子、着色剤粒子及び離型剤粒子を凝集した後に、さらに樹脂微粒子分散液を追加して凝集粒子表面に樹脂微粒子を付着することが帯電性、耐久性を確保する観点から好ましい。
【0046】
前記離型剤の具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を示すシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス;ミツロウのような動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系・石油系ワックス;及びそれらの変性物などを挙げることができる。本発明においては、オイルレス定着装置を用いた場合の離型性能確保の観点からポリエチレン系、パラフィン系、カルナバ系のワックスを使用することが好ましい。
【0047】
前記離型剤のうちワックス類は、室温付近では、トルエンなど溶剤にはほとんど溶解しないか、溶解しても極めて微量である。また、これらのワックス類は、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに、強い剪断付与能力を有するホモジナイザーや圧力吐出型分散機(ゴーリンホモジナイザー、ゴーリン社製)で微粒子状に分散させ、粒径が1μm以下の粒子の分散液を作製することができる。また必要に応じて、画像の耐候性などを向上させるために重合性紫外線安定性単量体などを含有させてもよい。
【0048】
前記重合性紫外線安定性単量体の例としては4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのピペリジン系化合物が効果的である。これらは、1種または2種以上を用いることができる。
【0049】
これらの離型剤は、トナー構成固体分総質量に対して5〜25質量%の範囲で添加することが、オイルレス定着システムに用いた場合の定着画像の剥離性を確保する上で好ましく、さらに好ましくは7〜20質量%の範囲で添加する。なお、得られた離形剤粒子分散液の粒子径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)で測定した。
【0050】
また、本発明に使用するトナーは、流動性付与やクリーニング性向上の目的で通常のトナーと同様に乾燥した後、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無機微粒子やビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの樹脂微粒子を、乾燥状態でせん断をかけながらトナー粒子表面に添加して使用することができる。水中にてトナー表面に付着せしめる場合の無機微粒子の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど通常トナー表面の外添剤として使うすべてのものをイオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基で分散することにより使用することができる。
【0051】
本発明において、前記トナーの体積平均粒径は3〜8μmの範囲であることが好ましい。また、体積平均粒径は3.5〜7.5μmの範囲であることが好ましい。
【0052】
本発明の電子写真方式の画像形成装置に用いることができる現像剤は、既述のトナーを含むものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。前記現像剤としては、例えばトナー単独からなる一成分系の現像剤と、トナー及びキャリアを組み合わせて用いる二成分系現像剤とがある。
【0053】
二成分系現像剤において用いられるキャリアとしては、特に制限はなく、例えば、特開昭62−39879号公報、特開昭56−11461号公報等に記載された樹脂被覆キャリア等の公知のキャリアを使用することができる。前記二成分系現像剤における、トナー及びキャリアの混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0054】
本発明の電子写真方式の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像担持体表面を均一に帯電する帯電手段と、該静電潜像担持体表面を露光し静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像担持体表面に形成された静電潜像を静電荷像現像剤を用いて現像し、トナー画像を形成する現像手段と、該トナー画像を直接或いは中間転写体を介して記録用紙表面に転写する転写手段と、該記録用紙表面のトナー画像を定着する定着手段と、を備える電子写真方式の画像形成装置であって、前記記録用紙が、既述の本発明の記録用紙であること特徴とする。
【0055】
本発明の電子写真方式の画像形成装置は、高速でかつ高画質な画像形成を行った際において、紙粉を減らすことにより、紙粉による紙送りトラブルが発生せず、紙粉による転写工程などでの画質欠陥が発生しない。
【0056】
本発明の電子写真方式の画像形成装置を用いた画像形成方法は、少なくとも、トナーを含む現像剤を用いた電子写真方式により、用紙表面に未定着のトナー画像を形成する画像形成工程と、該トナー画像を加熱及び圧着することにより定着画像を得る定着工程とを含み、用紙として前記本発明の電子写真用転写紙を使用することを条件として、トナー画像を形成する画像形成工程自体は、公知の画像形成工程をすべて適用することができる。例えば、潜像担持体表面に潜像を形成する潜像形成工程、前記潜像を電子写真用現像剤を用いて現像する現像工程、現像されたトナー画像を被転写体としての用紙に転写する転写工程などを含むものが挙げられる。
また、潜像担持体と被転写体との間に中間的にベルト等を用いてカラートナー画像を重ね合わせてから被転写体としての用紙にカラートナー画像を一括転写し、加熱溶融して定着する方法等を採用すれば、フルカラー画像を形成することもでき、本発明において当該を適用することが特に高速で高画質を達成するために好ましい。更に、定着工程において従来知られる各種の定着装置を使用しても構わない。
【0057】
以下、本発明の電子写真方式の画像形成装置の例を挙げる。
図1は、本発明の電子写真方式の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図1に示す画像形成装置は、矢印A方向に回転する感光体11を備え、感光体11の周りには、ロール型の帯電器12、露光装置13、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色の現像剤をそれぞれ収容する現像器14a、14b、14c及び14dを内蔵した現像装置14、ベルト状の中間転写体15、クリーナー16、及び光除電器17が、この順序で配置されている。中間転写体15は、支軸ロール18a,18b,18cにより張架されている。支軸ロール18aは、中間転写体15を介して、感光体11と圧接している。支軸ロール18cは、中間転写体15を介して、転写用ロール19で圧接されている。また、転写用ロール19により、中間転写体15の周面から被転写体(本発明の記録用紙)7にトナー画像が転写される。
【0058】
更に、所定の位置には給紙トレイが設けられている。トレイ内には前記記載の転写紙として被転写体7が入っており、給紙トレイ内の被転写体7は搬送手段(図示せず)により転写用ロール19と支軸ロール18cに圧接される転写点に送られる。
【0059】
図1に示す画像形成装置においては、以下のように画像が形成される。帯電器12により帯電させた感光体11を露光装置13により、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色の各画像情報に基づいて露光して、感光体11表面に各色の潜像を形成させる。この感光体11表面の潜像は、現像装置14に内蔵された現像器14a、14b、14c及び14dのうち前記各色に対応した現像器にて現像されトナー画像が形成される。現像されたトナー画像は、支軸ロール18aと対向する部位にて、ベルト状の中間転写体15の外周面に静電的に転写される。
【0060】
なお、感光体11表面のトナー画像を被転写体7に転写した後、感光体11表面に残存したトナーは、クリーナー16よって除去される。また、感光体11表面に残存した残留電荷は、光除電器17によって除電される。そして感光体11は、次の画像形成に備えられる。
この操作をシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色についてそれぞれ行い、中間転写体15の外周面に順次積層することで、中間転写体15の外周面には、未定着のフルカラーのトナー画像が形成される。
【0061】
中間転写体15の外周面に形成されたフルカラーのトナー画像は、中間転写体15の矢印P方向への進行に伴い、支軸ロール18cと転写用ロール19とが中間転写体15を介して圧接されている部位(ニップ部)まで移動する。中間転写体15外周面のトナー画像は、当該ニップ部を通過する際、ともに挿通され矢印B方向に進行する被転写体7表面に転写される。その後中間転写体上に残留したトナーや、紙粉は支軸ロール18bに対向して設置されたクリーナー20により掻き取られる。同様にして転写用ロール19に残留したトナーや、紙粉は、クリーナー21により掻きとられる。
【0062】
本発明において、前記のようにして感光体表面に現像され、その後用紙に転写されたトナー画像のトナー載り量(以下、「TMA」という場合がある)は、単色につき(100%の面積率を形成する場合)0.25〜0.70mg/cm2の範囲が好ましく、0.30〜0.60mg/cm2の範囲がより好ましい。
【0063】
なお、TMAの具体的な測定方法としては、4.0cm2の面積の未定着ベタトナー画像を転写紙上に形成し、これを秤量し、次いでエアブローにより転写紙上のトナーを除去した後、転写紙のみの質量を測定し、トナー除去前後の質量差からTMAを算出した。
【0064】
このようにして得られた被転写体7表面の未定着画像は、転写工程の下流に位置する定着装置により定着される。かかる定着装置としては、熱及び圧力を加えることにより定着する定着装置であれば、特に限定することなくいずれも使用することができる。
【0065】
本発明の電子写真方式の画像形成装置に用いる定着装置としては、接触型熱定着装置を挙げることができ、例えば芯金外周にゴム弾性層が形成され、必要に応じてさらに定着部材表面層を具備した加熱ロールと、芯金外周にゴム弾性層が形成され、必要に応じて定着部材表面層を具備した加圧ロールと、からなる熱ロール型の定着装置や、そのロールとロールとの組み合わせを、ロールとベルトとの組み合わせや、ベルトとベルトとの組み合わせに代えた定着装置等を挙げることができる。
なお、本発明において定着部材とは、前記用紙に形成された未定着トナー画像を加熱及び圧着する加熱ロール、加圧ロールやベルトをいう。
【0066】
定着部材の基材(コア)には、耐熱性に優れ、変形に対する強度が強く、熱伝導性の良い材質が選択され、ロール型の定着装置の場合には、例えばアルミ、鉄、銅等が選択され、ベルト型の定着装置の場合には、例えばポリイミドフィルム、ステンレス製ベルト等が選択される。ロール型の定着装置における基材の表面には、通常シリコーンゴム、フッ素ゴム等からなるゴム弾性層が設けられている。
【0067】
前記定着部材の基材やゴム弾性層には、目的に応じて各種の添加剤等が含有されていてもよく、例えば、磨耗性向上、抵抗値制御等の目的でカーボンブラックや金属酸化物、SiCなどのセラミックス粒子等が含有されていてもよい。
【0068】
本発明の電子写真方式の画像形成装置に用いる熱ロール型の定着装置の一例について詳記する。本例の定着装置は、図2に概略構成図で示されるものであり、図1に示される画像形成装置において採用されるものである。
【0069】
図2に示す定着装置は、主として、ロール形状を有する定着ロール1と、これに対向配置された圧着ロール2とからなる。定着ロール1は、その内部にこれを加熱するための加熱源3が配され、コア8の外周に、弾性層5が形成され、さらにその上に定着ロール1の表面を成す表面層4が形成されてなる。
そして、トナー画像6が形成された被転写体7が、矢印B方向への進行により、圧着ロール2と定着ロール1との間のニップ部に挿通されると、その通過の際に、加熱及び圧着されてトナー画像6の定着が行われる。
【0070】
図2に示す定着装置は、必要に応じてさらに、定着ロール1の表面に付着したトナーを除去するためのクリーニング部材(不図示)、圧着ロール2を加熱するための加熱源3A、被転写体7を定着ロール1から剥離させる爪(フィンガー、不図示)などを有していてもよい。なお、図2に示される定着装置における加熱源3は、温度制御装置(不図示)により、定着ロール1表面温度が一定となるように制御されている。
【0071】
定着ロール1及び/または圧着ロール2には、単層または積層構造の弾性層5,5Aが備えられていることが好ましい。弾性層5,5Aには、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性ゴムが用いられ、そのゴム硬度(JIS−A)は、60以下であることが好ましい。定着部材が弾性層5,5Aを有すると、被転写体7上のトナー画像6の凹凸に追従して前記定着部材が変形し、定着後における画像表面の平滑性を向上させることができる点で有利である。
【0072】
前記弾性層5,5Aの厚みとしては、0.1〜3mmの範囲であることが好ましく、0.5〜2mmの範囲であることがより好ましい。前記弾性層5,5Aの厚みが3mmを超えると、定着部材の熱容量が大きくなり、定着部材を所望の温度まで加熱するのに長い時間を要する上、消費エネルギーも増大してしまう場合がある。また、前記弾性層5,5Aの厚みが0.1mm未満であると、定着部材表面における変形がトナー画像の凹凸に追従できなくなり、溶融ムラが発生する場合があり、また、剥離に有効な弾性層の歪みが得られ難い場合がある。
【0073】
本発明の記録用紙を用いた本発明のインクジェット方式の画像形成装置について説明する。本発明のインクジェット方式の画像形成装置は、インクを記録用紙上に吐出するための記録ヘッドを備える画像形成装置であって、前記記録用紙が、既述の本発明の記録用紙であること特徴とする
本発明のインクジェット方式の画像形成装置は、紙粉を減らすことにより、紙粉による紙送りトラブルが発生しない。
【0074】
以下、図面を参照しながら本発明のインクジェット方式の画像形成装置(インクジェット記録装置)の好適な実施形態について詳細に説明する。
図3は本発明のインクジェット方式の画像形成装置の好適な一実施形態の外観構成を示す斜視図である。図4は、図3のインクジェット記録装置における内部の基本構成を示す斜視図である。インクジェット記録装置(本発明のインクジェット方式の画像形成装置)100は、主として、外部カバー36と、普通紙などの記録用紙31を所定量載置可能なトレイ37と、記録用紙31をインクジェット記録装置100内部に1枚毎に搬送するための搬送ローラ(搬送手段)32と、記録用紙31の面にインクを吐出して画像を形成する画像記録部38(画像記録手段)とから構成されている。
【0075】
搬送ローラ32はインクジェット記録装置100内に回転可能に配設された一対のローラであり、トレイ37にセットされた記録用紙31を挟持するとともに、所定量の記録用紙31を所定のタイミングで1枚毎に装置100内部に搬送する。
【0076】
画像記録部38は記録用紙31の面上にインクによる画像を形成する。画像記録部38は、主として記録ヘッド33と、インクタンク35と、給電信号ケーブル39と、キャリッジ40と、ガイドロッド41と、タイミングベルト42と、駆動プーリ43と、メンテナンスユニット44とから構成されている。
【0077】
インクタンク35はそれぞれ異なる色のインクが吐出可能に格納されたインクタンク52,54,56,58を有している。ここで、記録ヘッド33及びインクタンク35は、ブラックインクを吐出(噴射)するブラックインク用記録ヘッド及びブラックインク用インクタンクと、カラーインクを吐出(噴射)するカラーインク用記録ヘッド及びカラーインク用インクタンクとで構成されている。
【0078】
さらに、図4に示すように、記録ヘッド33には給電信号ケーブル39とインクタンク35が接続されており、給電信号ケーブル39から外部の画像記録情報が記録ヘッド33に入力されると、記録ヘッド33はこの画像記録情報に基づき各インクタンクから所定量のインクを吸引して記録用紙の面上に吐出する。なお、給電信号ケーブル39は画像記録情報の他に記録ヘッド33を駆動するために必要な電力を記録ヘッド33に供給する役割も担っている。
【0079】
また、この記録ヘッド33はキャリッジ40上に配置されて保持されており、キャリッジ40はガイドロッド41、駆動プーリ43に接続されたタイミングベルト42が接続されている。このような構成により、記録ヘッド33はガイドロッド41に沿うようにして、粉体の散布された記録用紙31の面と平行でありかつ記録用紙31の搬送方向X(副走査方向)に対して垂直な方向Y(主走査方向)にも移動可能となる。すなわち、駆動プーリ13が画像記録情報に基づく所定のタイミングで回転することにすることにより、タイミングベルト42を介して記録ヘッド33を搭載したキャリッジ40がガイドロッド41に沿って駆動し、即ち、キャリッジ40が記録用紙31の搬送方向X(副走査方向)に対して垂直な方向Y(主走査方向)に往復することで、記録用紙31の面の所定領域に画像を形成する。
【0080】
インクジェット記録装置100には、画像記録情報に基づいて記録ヘッド3の駆動タイミングとキャリッジ40の駆動タイミングとを調製する制御手段(図示せず)が備えられている。これにより、搬送方向Xにそって、所定の速度で搬送される記録用紙31の面の所定領域に画像記録情報に基づく画像を連続的に形成することができる。
【0081】
また、メンテナンスユニット44は、チューブ45を介して減圧装置(図示せず)に接続されている。更にこのメンテナンスユニット44は、記録ヘッド33のノズル部分に接続されており、記録ヘッド33のノズル内を減圧状態にすることにより記録ヘッド33のノズルからインクを吸引する機能を有している。このメンテナンスユニット44を設けておくことにより、必要に応じてインクジェット記録装置100が作動中にノズルに付着した余分なインクを除去したり、作動停止状態のときにノズルからのインクの蒸発を抑制することができる。
【実施例】
【0082】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。勿論、本発明は、以下に説明する実施例により限定されるものでない。なお、実施例中の「部」及び「%」は、特に断りのない限り、各々「質量部」及び「質量%」を示すものとする。
【0083】
<実施例1>
LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)、及び非木材パルプとしてわらパルプを表1に示す割合で配合し、更に軽質炭酸カルシウム、内添サイズ剤(カチオン化澱粉、アルケニル無水コハク酸)及び紙力剤として両性ポリアクリルアミドをパルプ100質量部に対して2.0質量部配合したパルプスラリーを、オントップ多筒式の抄紙機を用いて抄紙し、サイズプレス工程で、水100質量部に酸化澱粉(エースA,王子コーンスターチ)10質量部、ポリビニルアルコール(PVA−117、クラレ)1質量部、スチレンアクリル系樹脂(ポリマロン385、荒川化学工業)0.5質量部を混合し糊化させた溶液を、固形分量で両面に1.7g/m2となるように塗布した。ドライヤー工程を経た後にロータリーカット方式の断裁工程を経て、自動包装により、1冊500枚のカットシート状の記録用紙を作製した。
【0084】
得られたカットシート状の記録用紙のJIS P 8115に規定されたCross Directionの耐折強度、J.TAPPI No.18−2に規定された内部結合強度、JIS P 8128で規定された575℃4時間灰化処理後の灰分量、該灰分中のIPC発光分析法によるMg元素配合比率、JIS P 8120で規定された全パルプ中の広葉樹パルプ配合割合比率、広葉樹(木材)パルプと非木材パルプの配合割合を測定した。その結果を表1に示す。
【0085】
<実施例2>
実施例1において、表1に示すようにわらパルプ(非木材パルプ)の配合割合を減少させ、LBKP配合割合を増加させて、更に炭酸カルシウム配合量を減少させたこと以外実施例1と同様にして、1冊500枚のカットシート状の記録用紙を作製した。得られた記録用紙シートに対して、実施例1と同様にして耐折強度、内部結合強度、灰分量、Mg元素配合比率、広葉樹パルプとにわらパルプ(非木材パルプ)との配合割合を測定した。その結果を表1に示す。
【0086】
<実施例3>
実施例2において、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)を加え、わらパルプ(非木材パルプ)を減少、更に炭酸カルシウム配合量を減少させたこと以外実施例2と同様にして、1冊500枚のカットシート状の記録用紙を作製した。得られた記録用紙シートに対して、実施例1と同様にして耐折強度、内部結合強度、灰分量、Mg元素配合比率、広葉樹パルプとわらパルプ(非木材パルプ)との配合割合を測定した。その結果を表1に示す。
【0087】
<実施例4>
実施例1において、わらパルプ(非木材パルプ)の配合をなくし、炭酸カルシウムの配合量を減少させた以外実施例1と同様にして、1冊500枚のカットシート状の記録用紙を作製した。得られた記録用紙シートに対して、実施例1と同様にして耐折強度、内部結合強度、灰分量、Mg元素配合比率、広葉樹パルプと非木材パルプの配合割合を測定した。その結果を表1に示す。
【0088】
<比較例1>
実施例1において、表1に示すようにわらパルプ(非木材パルプ)の配合割合を増加させ、炭酸カルシウムにタルクを加え、さらに、内添の紙力増強剤としてのポリアクリルアミド量を減少させたこと以外実施例1と同様にして、1冊500枚のカットシート状の記録用紙を作製した。得られた記録用紙シートに対して、実施例1と同様にして耐折強度、内部結合強度、灰分量、Mg元素配合比率、広葉樹パルプと非木材パルプの配合割合を測定した。その結果を表1に示す。
【0089】
<比較例2>
実施例1において、LBKPの配合量を減少させ、NBKPを加え、更に、非木材パルプとしてわらパルプの代わりにバガスパルプを用い、タルクを加え、カチオン性のポリアクリルアミドを内添で加えたこと以外実施例1と同様にして、1冊500枚のカットシート状の記録用紙を作製した。得られた記録用紙シートに対して、実施例1と同様にして耐折強度、内部結合強度、灰分量、Mg元素配合比率、広葉樹パルプと非木材パルプの配合割合を測定した。その結果を表1に示す。
【0090】
<比較例3>
実施例3において、炭酸カルシウムの配合量を大幅に増加させ、ポリアクリルアミドの配合量を減少させたこと以外実施例3と同様にして、1冊500枚のカットシート状の記録用紙を作製した。得られた記録用紙シートに対して、実施例1と同様にして耐折強度、内部結合強度、灰分量、Mg元素配合比率、広葉樹パルプと非木材パルプの配合割合を測定した。その結果を表1に示す。
【0091】
<比較例4>
実施例1において、ポリアクリルアミドの配合量を減少させたこと以外実施例3と同様にして、1冊500枚のカットシート状の記録用紙を作製した。得られた記録用紙シートに対して、実施例1と同様にして耐折強度、内部結合強度、灰分量、Mg元素配合比率、広葉樹パルプと非木材パルプの配合割合を測定した。その結果を表1に示す。
【0092】
<電子写真方式の画像形成の評価>
得られた実施例1〜4、比較例1〜4の記録用紙に対して、富士ゼロックス製のVivace500を用いて、現像装置を取り外し、クリーナー部分を改造し、クリーナーで回収した紙粉が回収できる仕組みを作製し、白紙画像を原稿として、得られたカットシート状の記録用紙をA4サイズで1000枚連続走行し、感光体ドラムに付着し、クリーナーで回収された紙粉の質量を測定し、感光体ドラム付着紙粉量とした。その結果を表1に示す。
尚、富士ゼロックス製のVivace500は、静電潜像担持体と、静電潜像担持体表面を均一に帯電する帯電手段と、該静電潜像担持体表面を露光し静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像担持体表面に形成された静電潜像を静電荷像現像剤を用いて現像し、トナー画像を形成する現像手段と、該トナー画像を直接或いは中間転写体を介して記録用紙表面に転写する転写手段と、該記録用紙表面のトナー画像を定着する定着手段と、を備える電子写真方式の画像形成装置である。
【0093】
更に、得られた実施例1〜4、比較例1〜4の記録用紙に対して、図1及び2と同様の構成の画像形成装置を使用し、富士ゼロックス製DPC500の現像剤を用いて、画像面積率20%の自然画像を4色のトナーを用いてA4サイズで1000枚連続で下記の記録テストを行った。その結果を表1に示す。なお、この装置において、プロセススピードは220mm/sec、定着温度は170℃とした。
【0094】
(紙送りトラブル)
紙送りでのミスフィード及び重送、ジャムの回数を1000枚中の回数でカウントした。1回以下の紙送りトラブルについては許容範囲である。
【0095】
(画像欠陥)
得られた画像を目視により次の基準により画像欠陥を評価した。
◎:紙粉発生に伴うすじ、むらの画像欠陥がまったくない。
○:紙粉発生に伴うすじ、むらの画像欠陥がわずかに見られるが、気にならない。
×:紙粉発生に伴うすじ、むらの画像欠陥が認められ許容できない。
××:紙粉発生に伴うすじ、むらの画像欠陥が著しい。
【0096】
<インクジェツト方式の画像形成の評価>
得られた実施例1〜4、比較例1〜4の記録用紙に対して、図3、図4に示したインクジェットプリンタ装置を用いて走行テストを行った。紙送りでのミスフィード及び重送、ジャムの回数を1000枚中の回数でカウントした。1回以下の紙送りトラブルについては許容範囲である。
【0097】
【表1】

【0098】
表1より、本発明の記録用紙を用いた実施例1〜4は、電子写真方式、インクジェツト方式双方の画像形成において、紙送りトラブルが減少していることがわかる。また、本発明の記録用紙を用いた実施例1〜4は、電子写真方式の画像形成において、画像欠陥が減少していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の電子写真方式の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】図1の電子写真方式の画像形成装置に用いられる定着装置を示す概略構成図である。
【図3】本発明におけるインクジェット方式の画像形成装置の一実施形態の外観構成を示す斜視図である。
【図4】図3のインクジェット方式の画像形成装置における内部の基本構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0100】
1 定着ロール
2 圧着ロール
3,3A 加熱源
4 表面層
5,5A 弾性層
6 トナー画像
7 被転写体
8 コア
11 感光体
12 帯電器
13 露光装置
14 現像装置
15 中間転写体
16 クリーナー
17 光除電器
18a,18b,18c 支軸ロール
19 転写用ロール
20,21 クリーナー
31 記録用紙
32 搬送ローラ
33 記録ヘッド
35 インクタンク
36 外部カバー
37 トレイ
38 画像記録部
39 給電信号ケーブル
40 キャリッジ
41 ガイドロッド
42 タイミングベルト
43 駆動プーリ
44 メンテナンスユニット
45 チューブ
52,54,56,58 インクタンク
100 インクジェット方式の画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材パルプを含有するカットシート状の記録用紙であって、
Cross Directionの耐折強度が15回以上であり、内部結合強度が0.15N・m以上であり、灰分量が20質量%以下であり、かつ、IPC発光分析による灰分中のMg元素配合比率が5質量%以下であることを特徴とする記録用紙。
【請求項2】
更に、非木材パルプを含有することを特徴とする請求項1に記載の記録用紙。
【請求項3】
全パルプ中での広葉樹パルプの配合量が、70質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の記録用紙。
【請求項4】
全パルプ中での非木材パルプの配合量が、30質量%未満であることを特徴とする請求項2に記載の記録用紙。
【請求項5】
静電潜像担持体と、静電潜像担持体表面を均一に帯電する帯電手段と、該静電潜像担持体表面を露光し静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像担持体表面に形成された静電潜像を静電荷像現像剤を用いて現像し、トナー画像を形成する現像手段と、該トナー画像を直接或いは中間転写体を介して記録用紙表面に転写する転写手段と、該記録用紙表面のトナー画像を定着する定着手段と、を備える電子写真方式の画像形成装置であって、
前記記録用紙が、請求項1に記載の記録用紙であること特徴とする電子写真方式の画像形成装置。
【請求項6】
インクを記録用紙上に吐出するための記録ヘッドを備える画像形成装置であって、
前記記録用紙が、請求項1に記載の記録用紙であること特徴とするインクジェット方式の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−257574(P2006−257574A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−75754(P2005−75754)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】