説明

記録紙および記録装置

【課題】記録紙に記録される生体情報の視認性を向上すること。
【解決手段】記録紙100は、記録紙を搬送しつつ、感熱方式で生体情報を記録する記録装置に用いられる。紙基材110は、記録装置から与えられる熱に反応して発色することにより、記録装置からの生体情報を記録する。センサマーカ120は、記録装置の搬送方向における一定の間隔で、紙基材110上に、紙基材110の発色濃度よりも低い濃度を有する色、好ましくは不可視色で印刷される。これにより、生体情報がセンサマーカ120に重なって記録された場合であっても、生体情報の視認性の低下を抑制することができる。特に、センサマーカ120が不可視色で印刷された場合には、センサマーカ120が印刷されていないように見えるので、記録される生体情報の視認性の低下は全くない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の生体情報を記録する記録紙および記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、心電図波形などの被検者の生体情報を記録する記録紙として、感熱紙が使用されている。感熱紙は、生体情報記録装置、例えば心電図波形記録装置の熱ペンまたはサーマルヘッドから与えられる熱によって表面に情報を記録することができる紙である。感熱紙の種類としては、ロール紙および折り畳み紙があり、これらは用途に応じて使い分けられる。
【0003】
感熱紙には、記録装置の搬送方向における一定の間隔で、センサマーカと呼ばれる黒色の同一パターンがあらかじめ印刷されたタイプのものがある。生体情報の計測時において、この感熱紙は、記録装置内を搬送されつつ、その表面に生体情報が記録される。記録装置は、搬送中の感熱紙からセンサマーカを検出する検出手段を備えており、この検出手段により、記録開始時および記録終了時における頁送りおよび位置合わせを適切に行うことができる。このようにして、非記録時の搬送による感熱紙の無駄遣いが抑制される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−205090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の記録紙にあっては、黒色のセンサマーカが邪魔になって、記録された被検者の生体情報の視認性が低下してしまうという問題がある。例えば、被検者の心電図波形の跳ね上がり部分がセンサマーカに重なると、この跳ね上がり部分が見えなくなってしまう。この問題は、複数の生体情報を複数チャネルで同時に記録する場合に発生し易くなる。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、記録される生体情報の視認性を向上することができる記録紙および記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の記録紙は、記録紙を搬送しつつ、感熱方式で生体情報を記録する記録装置に用いられる記録紙であって、前記記録装置から与えられる熱に反応して発色することにより、前記記録装置からの生体情報を記録する紙基材と、前記記録装置の搬送方向における一定の間隔で、前記紙基材上に、前記紙基材の発色濃度よりも低い濃度を有する色で印刷される複数のセンサマーカと、を有する構成を採る。
【0007】
本発明の記録装置は、記録紙を搬送する搬送部と、搬送される記録紙に熱を与えて発色させることにより、前記記録紙に生体情報を記録する記録部と、前記記録紙上に、前記搬送部の搬送方向における一定の間隔で印刷される複数のセンサマーカを検出する検出部と、検出される複数のセンサマーカの色の濃度よりも、前記記録紙の発色濃度が高くなるように、前記記録部が前記記録紙に与える熱量を制御する制御部と、を有する構成を採る。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、記録紙に記録される生体情報の視認性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1(A)〜図1(C)は、本発明の一実施の形態に係る記録紙100を示す図である。
【0011】
図1(A)〜図1(C)に示すように、記録紙100は、ミシン目Pによって区分された複数の頁からなる。図1(A)、(B)は、記録紙100を、これら複数の頁の1つを中心にして拡大したものである。また、図1(C)に示すように、記録紙100は、ミシン目Pを折り目として折り畳むことができる。なお、各頁のサイズは、例えば、カルテに挟み込むことができるA4サイズ(縦210mm×横297mm)である。
【0012】
図1(A)〜(C)に示すように、記録紙100は、紙基材110と、紙基材110上に印刷されるセンサマーカ120とからなる。
【0013】
また、図1(A)に示すように、紙基材110は、紙層111と、紙層111上に形成された感熱層112と、感熱層112上に形成されたコーティング層113とからなる。紙層111は、例えば、白色度が90%以上の上質紙の層である。感熱層112は、電子供与性を有する発色剤と電子受容性を有する顕色剤とを結合剤中に分散させた層である。コーティング層113は、例えば、感熱層112を保護するための電子線硬化樹脂の層である。なお、紙基材110上には、グリッド線、ならびに記録紙100の製品名および製造者名などをあらかじめ印刷しておいてもよい。
【0014】
このように、紙基材110は、記録装置からの熱によって生体情報が記録される感熱紙である。すなわち、紙基材110のうちの熱が与えられた部分において、感熱層112の発色剤と顕色剤とが化学反応を起こして黒色に発色することにより生体情報が記録される。したがって、記録紙100に生体情報を記録する記録装置としては、例えば、記録紙100を搬送しつつ、熱されたペン先を接触させることにより波形を記録する熱ペン式記録装置、または記録紙100を搬送しつつ、直線状に配置された複数の微小発熱素子のいずれかを発熱させることにより波形を記録するサーマルヘッド式記録装置が使用されうる。使用可能な記録装置の一例については後述する。
【0015】
なお、紙基材110には、生体情報と同時に、生体情報に関連する付加情報が記録される。ここで、「生体情報」とは、例えば、心電図波形や血圧波形、脳波形、筋電図波形、眼振図波形、呼吸波形、脈波形などの各種の波形、特にこれらの波形の時間的変化を意味する。また、「付加情報」とは、被検者の個人情報や計測条件などの各種の情報を意味し、例えば、被検者の年齢や性別、身長、体重、および生体情報の計測日時や記録紙の搬送速度を含む。「付加情報」は、被検者の血圧や心拍数HR(Heart Rate)などの情報をも含む。
【0016】
センサマーカ120は、記録装置の搬送方向(図中の矢印X)における一定の間隔で、紙基材110上にあらかじめ印刷されている。すなわち、センサマーカ120は、ミシン目Pによって区分された各頁における同一の位置にそれぞれ印刷されている。
【0017】
センサマーカ120は、初期処理時、記録開始時および記録終了時における記録紙100の頁送りおよび位置合わせなどの搬送制御を適切に行うために用いられる。すなわち、センサマーカ120は、記録紙100の記録または走行制御の基準となる。センサマーカ120を用いた搬送制御については、後の動作説明で詳細に説明する。
【0018】
センサマーカ120は、記録紙100に記録される生体情報の色の濃度、つまり紙基材110の発色濃度よりも低い濃度を有する色で印刷されている。これにより、生体情報がセンサマーカ120に重なって記録された場合であっても、生体情報がセンサマーカ120に隠されることがなく、生体情報の視認性の低下を抑制することができる。
【0019】
好ましくは、センサマーカ120は、不可視色で印刷されている。例えば、センサマーカ120は、可視光線下において人間には不可視である不可視インクを用いて印刷されている。この不可視インクは、人間の肉眼では見えない波長域(例えば400nm以下の紫外線)で光エネルギを吸収し、UV(Ultra Violet)光を照射すると青紫色に蛍光発色する。なお、センサマーカ120は、例えば700nm以上の近赤外光の波長域で光エネルギを吸収するインクで印刷されていてもよい。
【0020】
このように、センサマーカ120が不可視色で印刷された場合、センサマーカ120は、説明の便宜上図示されてはいるものの、人間にとって透明、つまりあたかも何らの印刷もされていないように見える。したがって、生体情報の記録時において、生体情報がセンサマーカ120の上に重なって記録された場合であっても、生体情報の視認性の低下は全くない。また、印刷されるセンサマーカ120の形状、数および位置にかかわらず、生体情報の視認性の低下は全くない。このように、どのようなセンサマーカをどのように印刷しても、記録紙100の外観は損なわれない。
【0021】
なお、本実施の形態では、センサマーカ120は、基紙材110上に印刷されるものとして説明したが、センサマーカ120の印刷位置はこれに限定されない。例えば、センサマーカ120は、記録紙100の裏面、つまり紙層111の感熱層112およびコーティング層113が形成された面とは反対側の面に印刷されてもよい。
【0022】
次に、記録紙100に生体情報を記録する記録装置200について、図2を用いて説明する。
【0023】
図2は、本発明の一実施の形態に係る記録装置200の要部構成を示す断面図である。記録装置200は、サーマルヘッド式の記録装置である。
【0024】
図2において、記録装置200は、ペーパマガジン210と、ペーパマガジンスロット上面220と、軸230と、フォトリフレクタ240と、受け板250と、プラテンローラ260と、サーマルヘッド270と、制御部280とを有する。
【0025】
ペーパマガジン210は、図1(C)のように折り畳まれた状態の記録紙100を収容する。ペーパマガジン210が記録装置200に正しく装着されると、ペーパマガジン210は、マイクロスイッチ211を押下し、押下されたマイクロスイッチ211は、ペーパマガジン210が正しく装着された旨の信号を制御部280に出力する。
【0026】
ペーパマガジンスロット上面220および軸230は、ペーパマガジン210に収容された記録紙100の搬送路を形成する。生体情報の記録時において、ペーパマガジン210に収容された記録紙100は、この搬送路を通って、フォトリフレクタ240と受け板250との隙間に順次搬送される。
【0027】
検出部としてのフォトリフレクタ240は、記録紙100に印刷されたセンサマーカ120を検出する。より具体的には、フォトリフレクタ240は、発光LED(Light Emitting Diode)241およびフォトトランジスタ242を内蔵している。発光LED241は、記録紙100に印刷されたセンサマーカ120が搬送時に通過する領域にUV光または近赤外光を照射し、フォトトランジスタ242は、その反射光を検出する。フォトトランジスタ242は、センサマーカ120が印刷されていない部分からの反射光と、センサマーカ120が印刷された部分からの反射光との間の反射率の違いを利用して、センサマーカ120を検出する。フォトリフレクタ240は、センサマーカ120の検出結果を制御部280に出力する。
【0028】
受け板250は、フォトリフレクタ240の発光LED241から照射されたUV光または近赤外光を反射して、フォトリフレクタ240のフォトトランジスタ242に反射光を照射する。
【0029】
搬送部としてのプラテンローラ260は、回転することによって、記録紙100を搬送する。プラテンローラ260の回転により、初期処理時、記録開始時および記録終了時における頁送りおよび位置合わせが実行される。プラテンローラ260の回転または停止、および回転速度の切替えなどは、制御部280からの指示信号によって制御される。
【0030】
記録部としてのサーマルヘッド270は、搬送される記録紙100の紙基材110に熱を与えて発色させることにより、紙基材110に生体情報を記録する。より具体的には、サーマルヘッド270は、直線状に配置された複数の微小発熱素子からなり、これら複数の微小発熱素子のいずれかが発熱することにより、紙基材110に熱を与える。これにより、紙基材110のうち熱が与えられた部分が発色して、生体情報が記録される。サーマルヘッド270が紙基材110に与える熱量は、制御部280からの指示信号によって制御される。
【0031】
制御部280は、図示しないCPU(Central Processing Unit)により構成されており、記録装置200の各構成部を総合的に制御する。
【0032】
制御部280は、マイクロスイッチ211からペーパマガジン210が正しく装着された旨の信号が入力されると、初期処理時における記録紙100の頁送りおよび位置合わせを指示する旨の信号を、プラテンローラ260に出力する。また、制御部280は、記録開始スイッチ(図示せず)が押下されると、記録紙100を搬送する旨の指示信号を、プラテンローラ260に出力し、記録紙100の紙基材110に熱を与える旨の指示信号を、サーマルヘッド270に出力する。さらに、制御部280は、記録終了スイッチ(図示せず)が押下されると、記録終了時における記録紙100の頁送りおよび位置合わせを行う旨の指示信号を、プラテンローラ260に出力し、記録紙100の紙基材110に与える熱をゼロにする旨の指示信号を、サーマルヘッド270に出力する。
【0033】
制御部280は、フォトリフレクタ240で検出されたセンサマーカ120の色の濃度よりも、紙基材110の発色濃度が高くなるように、サーマルヘッド270が紙基材110に与える熱量を指示する信号を、サーマルヘッド270に出力する。より具体的には、制御部280は、センサマーカ120の色の濃度よりも、紙基材110の発色濃度が常に高くなるような一定の熱量を紙基材110に与える旨の指示信号を、サーマルヘッド270に出力する。
【0034】
以上、本実施の形態に係る記録紙100および記録装置200の構成について説明した。
【0035】
以下、記録紙100を用いた記録装置200の動作について、図3を用いて説明する。
【0036】
図3は、本発明の一実施の形態に係る記録紙100および記録装置200による生体情報の記録処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、記録紙100を記録装置200にセットした後の初期処理、生体情報の記録処理、および生体情報の記録終了後の処理について説明する。なお、ここで説明する生体情報の記録処理は一例であり、この手順に含まれる工程およびその順番などは、種々変更可能である。
【0037】
まず、記録紙100の先端がプラテンローラ260に噛み合うように、記録紙100をペーパマガジン210に収容する(S1)。次いで、プラテンローラ260は、制御部280からの指示信号に従って回転することにより、記録紙100の搬送を開始する(S2)。プラテンローラ260は、フォトリフレクタ240がセンサマーカ120を検出するまで(S3)、記録紙100を搬送する。そして、プラテンローラ260は、センサマーカ120が検出されると(S3:YES)、その検出地点から順方向または逆方向に所定距離だけ記録紙100を搬送した後に搬送を停止する(S4)。このようにして初期処理が実行され、記録紙100は、センサマーカ120を基準とした記録開始位置に合わせられる。
【0038】
次いで、生体情報の記録の開始が指示されると(S5:YES)、プラテンローラ260は、制御部280から指示された搬送速度で記録紙100の搬送を開始する一方、サーマルヘッド270は、搬送される記録紙100の紙基材110に熱を与えて発色させることにより、紙基材110への生体情報の記録を開始する(S6)。なお、生体情報の記録の開始は、例えば、記録開始スイッチ(図示せず)を押下することにより行われる。
【0039】
次いで、生体情報の記録の終了が指示されると(S7:YES)、サーマルヘッド270は、搬送される紙基材110に与える熱をゼロにして、紙基材110への生体情報の記録を終了する(S8)。なお、生体情報の記録の終了は、記録終了スイッチ(図示せず)を押下することにより行われる。
【0040】
そして、プラテンローラ260は、フォトリフレクタ240がセンサマーカ120を検出すると(S9:YES)、その検出地点から順方向または逆方向に所定距離だけ記録紙100を搬送した後に搬送を停止する(S10)。このようにして、生体情報の記録終了後の頁送りおよび位置合わせが実行され、記録紙100は、センサマーカ120を基準とした記録開始位置に合わせられる。このとき、非記録時において、センサマーカ120間をまたいだ記録紙100の搬送を防止することができ、記録紙100の無駄遣いが抑制される。
【0041】
ここで、ステップS6〜ステップS8にかけて生体情報が記録された記録紙100について、図4(A)〜(C)を用いて説明する。図4(A)〜(C)は、生体情報が記録された記録紙100の一例を示す図である。
【0042】
図4(A)において、記録紙100の紙基材110は、サーマルヘッド270から与えられた熱に反応して発色することにより、生体情報の時間変化を示す波形を記録している。また、同様の原理を用いて、紙基材110は、生体情報に関連する付加情報、ここでは
生体情報の計測日時と、被検者のID、年齢、性別および血圧と、記録紙の搬送速度とを記録している。
【0043】
紙基材110上に印刷されたセンサマーカ120の色の濃度よりも、生体情報を記録した紙基材110の発色濃度が高くなっている。したがって、従来の黒色で印刷されたセンサマーカと比較して、記録された生体情報の視認性の低下を抑制することができる。
【0044】
特に、図4(B)に示すように、生体情報の一部が跳ね上がってセンサマーカ120に重なって記録された場合であっても(領域Q)、生体情報がセンサマーカ120に隠されることがなく、生体情報の視認性の低下を抑制することができる。さらに、センサマーカ120が不可視色で印刷されている場合には、センサマーカ120が印刷されていないように見えるので、生体情報の視認性の低下は全くない。一方、センサマーカ120は、紙基材110上に実際に印刷されているので、従来同様に、フォトリフレクタ240によって検出することができる。
【0045】
この視認性の低下を抑制する効果は、生体情報のみならず、付加情報に対しても同様に発揮される。例えば、図4(C)に示すように、付加情報がセンサマーカ120に重なって記録された場合であっても(領域R)、付加情報がセンサマーカ120に隠されることがなく、付加情報の視認性の低下を抑制することができる。さらに、センサマーカ120が不可視色で印刷されている場合には、センサマーカ120が印刷されていないように見えるので、付加情報の視認性の低下は全くない。
【0046】
以上、記録紙100および記録装置200による生体情報の記録処理について説明した。
【0047】
ところで、紙基材110上に印刷されるセンサマーカ120の形状、数および位置は、上記のものに限定されず、種々変更可能である。以下では、センサマーカの形状、数または位置を変更した記録紙について、図5(A)〜(C)を用いて説明する。
【0048】
図5(A)〜(C)は、センサマーカの形状、数または位置を変更した記録紙の一例を示す図である。
【0049】
図5(A)において、センサマーカ120に代えて、センサマーカ130が印刷されている。このセンサマーカ130は搬送方向において延伸した形状を有するので、記録紙100の搬送速度が大きい場合であっても、フォトリフレクタ240による検出精度の低下を抑制することができる。また、記録紙上のごみや記録紙に空けられたパンチ孔などがセンサマーカとして検出されることによる記録装置の誤作動を防止することができる。
【0050】
図5(B)において、センサマーカ120に加えて、センサマーカ140が印刷されている。センサマーカ120がある記録装置で検出可能であり、センサマーカ140が他の記録装置で検出可能であるとすると、1つの記録紙100で2つの異なる記録装置に同時に対応することができる。このように、生体情報の視認性の低下を抑制するとともに、複数の記録装置に同時に対応可能な複数のセンサマーカを紙基材110上に散りばめて印刷することができる。
【0051】
図5(C)において、センサマーカ120に代えて、センサマーカ150が印刷されている。このセンサマーカ150は、生体情報が記録されるグリッド線内の領域に印刷されているので、記録紙に空けられたパンチ孔を避けてセンサマーカを印刷することができる。これにより、パンチ孔がセンサマーカとして検出されることによる記録装置の誤作動を防止することができる。
【0052】
このように、センサマーカの不可視性を利用すれば、従来の黒色のセンサマーカと比較して、センサマーカの形状、数および位置のバリエーションを飛躍的に広げることができる。
【0053】
ここで、記録装置をセンサマーカの形状、数および位置を変更した記録紙に適用する場合、記録装置は、変更されたセンサマーカを検出する必要がある。本実施の形態では、既存の記録装置にセンサマーカを検出するためのアタッチメントを設けるだけで、簡単に、記録装置を記録紙に対応させることができる。
【0054】
次に、本実施の形態に係る記録紙の変形例について、図6(A)、(B)を用いて説明する。
【0055】
図6(A)、(B)は、本発明の一実施の形態に係る記録紙300の変形例を示す図である。記録紙100と同じ構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
図6(A)、(B)に示すように、記録紙300の紙基材110上には、コード310が印刷されている。
【0057】
コード310は、記録装置の搬送方向(図中の矢印X)における一定の間隔で、紙基材110上にあらかじめ印刷されている。すなわち、コード310は、ミシン目Pによって区分された各頁における同一の位置にそれぞれ印刷されている。
【0058】
コード310は、センサマーカ120と同様に、紙基材110の発色濃度よりも低い濃度を有する色、好ましくは不可視色で印刷されている。これにより、生体情報がコード310に重なって記録された場合であっても、生体情報の視認性の低下を抑制することができる。
【0059】
コード310は、1次元バーコードや2次元バーコード、QRコード、データマトリクス(Data Matrix)、PDF417、Maxi Code、Veri Codeなどを含む。コード310は、生体情報の記録に関連する種々の情報を含んでおり、これらの情報は、記録装置に設けられた読取部(図示せず)によって読取りが可能である。
【0060】
例えば、コード310は、記録される生体情報に関連する付加情報、例えば記録紙100の各頁の識別情報を含みうる。これにより、読取部が読取った識別情報と被検者情報との対応付けを簡単に行うことができ、検査担当側における生体情報の管理の利便性を向上することができる。
【0061】
また、コード310は、記録可能な記録紙の残量を示す情報を含みうる。この情報を読取った記録装置の警告部(図示せず)は、記録紙の残量が少なくなったことを警告することができる。
【0062】
また、記録装置200のフォトリフレクタ240(検出部)の検出精度によっては、コード310自体をセンサマーカ120として利用することも可能である。この場合、紙基材110上への印刷量を低減することができる。
【0063】
なお、本実施の形態では、紙基材110は感熱紙であり、生体情報は感熱方式によって記録されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、紙基材110を一般的な上質紙として、生体情報をインク方式やレーザ方式などの他の記録方式によって記録するようにしてもよい。
【0064】
このように、本実施の形態によれば、記録紙を搬送しつつ、感熱方式で生体情報を記録する記録装置に用いられる記録紙において、与えられる熱に反応して発色することにより生体情報を記録する紙基材上に、記録装置の搬送方向における一定の間隔で、複数のセンサマーカを、紙基材の発色濃度よりも低い濃度を有する色、好ましくは不可視色で印刷した。これにより、生体情報がセンサマーカに重なって記録された場合であっても、生体情報がセンサマーカに隠されることがなく、生体情報の視認性の低下を抑制することができる。特に、センサマーカが不可視色で印刷された場合には、センサマーカが印刷されていないように見えるので、生体情報の視認性の低下は全くない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】(A)本発明の一実施の形態に係る記録紙を示す断面図、(B)本発明の一実施の形態に係る記録紙を示す上面図、(C)折り畳まれた状態の記録紙を示す斜視図
【図2】本発明の一実施の形態に係る記録装置の要部構成を示す断面図
【図3】本発明の一実施の形態に係る記録紙および記録装置による記録動作を示すフローチャート
【図4】(A)生体情報が記録された記録紙の一例を示す図、(B)生体情報が記録された記録紙の他の例を示す図、(C)生体情報が記録された記録紙のさらに他の例を示す図
【図5】(A)センサマーカの形状または位置を変更した記録紙の一例を示す図、(B)センサマーカの形状または位置を変更した記録紙の他の例を示す図、(C)センサマーカの形状または位置を変更した記録紙のさらに他の例を示す図
【図6】(A)本発明の一実施の形態に係る記録紙の変形例を示す断面図、(B)本発明の一実施の形態に係る記録紙の変形例を示す上面図
【符号の説明】
【0066】
100、300 記録紙
110 紙基材
111 紙層
112 感熱層
113 コーティング層
120、130、140、150 センサマーカ
200 記録装置
210 ペーパマガジン
220 ペーパマガジンスロット上面
230 軸
240 フォトリフレクタ
241 発光LED
242 フォトトランジスタ
250 受け板
260 プラテンローラ
270 サーマルヘッド
280 制御部
310 コード
P ミシン目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙を搬送しつつ、感熱方式で生体情報を記録する記録装置に用いられる記録紙であって、
前記記録装置から与えられる熱に反応して発色することにより、前記記録装置からの生体情報を記録する紙基材と、
前記記録装置の搬送方向における一定の間隔で、前記紙基材上に、前記紙基材の発色濃度よりも低い濃度を有する色で印刷される複数のセンサマーカと、
を有することを特徴とする記録紙。
【請求項2】
前記複数のセンサマーカは、不可視色で印刷される、
ことを特徴とする請求項1記載の記録紙。
【請求項3】
前記紙基材上に、前記紙基材の発色濃度よりも低い濃度を有する色で印刷されるコードをさらに有する、
ことを特徴とする請求項1記載の記録紙。
【請求項4】
前記コードは、不可視色で印刷される、
ことを特徴とする請求項3記載の記録紙。
【請求項5】
前記コードは、前記生体情報に関連する付加情報を含む、
ことを特徴とする請求項3記載の記録紙。
【請求項6】
前記コードは、記録可能な記録紙の残量を示す情報を含む、
ことを特徴とする請求項3記載の記録紙。
【請求項7】
前記複数のセンサマーカは、それぞれ延伸形状を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の記録紙。
【請求項8】
前記複数のセンサマーカは、それぞれ前記記録装置の搬送方向に延伸する、
ことを特徴とする請求項7記載の記録紙。
【請求項9】
記録紙を搬送する搬送部と、
搬送される記録紙に熱を与えて発色させることにより、前記記録紙に生体情報を記録する記録部と、
前記記録紙上に、前記搬送部の搬送方向における一定の間隔で印刷される複数のセンサマーカを検出する検出部と、
検出される複数のセンサマーカの色の濃度よりも、前記記録紙の発色濃度が高くなるように、前記記録部が前記記録紙に与える熱量を制御する制御部と、
を有することを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−109955(P2008−109955A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−293177(P2006−293177)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000112602)フクダ電子株式会社 (196)
【Fターム(参考)】