説明

記録装置、再生装置、記録方法、再生方法及びプログラム

【課題】様々な撮影時の撮影モードに対応してRAW画像データを容易に画像処理することが可能な記録装置、再生装置、記録方法、再生方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】撮像素子からフレーム単位で順次出力されるRAW画像データを再生可能な画像データに画像処理してフレーム単位の処理済画像データを生成する画像処理部120、122、124と、撮像素子からの各画素データの読み出しに必要な、前記処理済画像データを記録する際に設定された撮影条件をフレーム毎に取得する撮影条件取得部136と、フレーム単位の前記RAW画像データと、フレーム単位の前記処理済画像データと、フレーム単位の撮影条件とをフレーム毎に順次記録媒体に記録する媒体記録部150とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置、再生装置、記録方法、再生方法及びプログラムに関する。
【0002】
動画を記録可能なビデオカメラ、カムコーダなどの撮像装置は、一般にCCD等の撮像素子の各画素から出力された信号に所定の画像処理(現像処理)を行った後、MPEG−2、Motion JPEG等の圧縮処理を施し、フラッシュメモリやHDD、DVD等の記録媒体に画像データの記録を行っている。
【0003】
ここで、上記の画像処理とは、例えばホワイトバランス制御、露出制御などである。また、圧縮処理を行う際、撮像素子からの読出しパターン(読出し条件)に応じて、撮像素子における画素の画素混合処理計算、画素間引き処理計算を行なっている。なお、読出しパターンは、撮像素子の構成、撮像装置の撮影条件などの撮影モードに依存している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、撮像装置内で圧縮処理を行う場合、内部に設けられた撮像素子に対応した読出しパターンを備えていれば、上記の画素混合処理や画素間引き処理を行うことができるため、圧縮処理は限られたデータベースがあれば可能となる。一方、RAW画像データを外部に出力して、その後ソフトウェアなどを使用して現像処理を行う場合は、撮像素子の構成などの条件に依存した読出しパターンが必要であるため、それぞれの条件に応じた読出しパターンを予め用意しておく必要があった。
【0005】
しかし、予め撮像素子に応じた多数の読出しパターンを用意しておくことは困難であり、また、新たな撮像素子が採用されるとそれに応じて、新たな読み出しパターンに対応する必要があるという問題があった。また、読出しパターンは、撮像装置の撮影条件によっても異なるため、RAW画像データを現像処理するには多大なデータベースが必要となるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、様々な撮影時の撮影モードに対応してRAW画像データを容易に画像処理することが可能な、新規かつ改良された記録装置、再生装置、記録方法、再生方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、撮像素子からフレーム単位で順次出力されるRAW画像データを再生可能な画像データに画像処理してフレーム単位の処理済画像データを生成する画像処理部と、撮像素子からの各画素データの読み出しに必要な、前記処理済画像データを記録する際に設定された撮影条件をフレーム毎に取得する撮影条件取得部と、フレーム単位の前記RAW画像データと、フレーム単位の前記処理済画像データと、フレーム単位の撮影条件とをフレーム毎に順次記録媒体に記録する媒体記録部とを備えることを特徴とする記録装置が提供される。
【0008】
上記撮影条件は、撮像素子から各画素データを読出し処理するときの各画素の画素混合処理又は画素間引き処理に関する条件であってもよい。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、フレーム単位のRAW画像データと、RAW画像データを再生可能な画像データに画像処理したフレーム単位の処理済画像データと、処理済画像データを記録する際に設定された撮影モードに応じたフレーム単位の撮影条件とが記録された記録媒体から、各RAW画像データ、各処理済画像データ及び各撮影条件のうち少なくともいずれかを読み出すデータ読出部と、RAW画像データをフレーム毎に順次再生する際、読み出した撮影条件に基づいて、撮像素子からの各画素データを読み出して画像処理をする画像処理部とを備えることを特徴とする再生装置が提供される。
【0010】
上記読み出し条件は、撮像素子から各画素データを読出し処理するときの各画素の画素混合処理又は画素間引き処理に関する条件であってもよい。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、撮像素子からフレーム単位で順次出力されるRAW画像データを再生可能に画像処理してフレーム単位の処理済画像データを生成するステップと、撮像素子からの各画素データの読み出しに必要な、処理済画像データを記録する際に設定された撮影条件をフレーム毎に取得するステップと、フレーム単位のRAW画像データと、フレーム単位の処理済画像データと、フレーム単位の撮影条件とをフレーム毎に順次記録媒体に記録するステップとを備えることを特徴とする記録方法が提供される。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、フレーム単位のRAW画像データと、RAW画像データを再生可能な画像データに画像処理したフレーム単位の処理済画像データと、処理済画像データを記録する際に設定された撮影モードに応じたフレーム単位の撮影条件とが記録された記録媒体から、各RAW画像データ、各処理済画像データ及び各撮影条件のうち少なくともいずれかを読み出すステップと、RAW画像データをフレーム毎に順次再生する際、読み出した撮影条件に基づいて、撮像素子からの各画素データを読み出して画像処理をするステップとを備えることを特徴とする再生方法が提供される。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、撮像素子からフレーム単位で順次出力されるRAW画像データを再生可能な画像データに画像処理してフレーム単位の処理済画像データを生成する手段、撮像素子からの各画素データの読み出しに必要な、処理済画像データを記録する際に設定された撮影条件をフレーム毎に取得する手段、フレーム単位のRAW画像データと、フレーム単位の処理済画像データと、フレーム単位の撮影条件とをフレーム毎に順次記録媒体に記録する手段をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、フレーム単位のRAW画像データと、RAW画像データを再生可能な画像データに画像処理したフレーム単位の処理済画像データと、処理済画像データを記録する際に設定された撮影モードに応じたフレーム単位の撮影条件とが記録された記録媒体から、各RAW画像データ、各処理済画像データ及び各撮影条件のうち少なくともいずれかを読み出す手段、RAW画像データをフレーム毎に順次再生する際、読み出した撮影条件に基づいて、撮像素子からの各画素データを読み出して画像処理をする手段をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、様々な撮影時の撮影モードに対応してRAW画像データを容易に画像処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る動画像記録装置100について説明する。図1は、本実施形態に係る動画像記録装置100の構成を示すブロック図である。
【0018】
動画像記録装置100は、図1に示すように、カメラ102、カメラ信号処理部104、フォーマット処理部110、現像処理部120、サイズ処理部122、JPEGエンコーダ124、撮影条件制御部130、フォーマット処理部136、ファイル化処理部140、メディア記録部150、マイクロフォン160、音声信号処理部162、フォーマット処理部164を有して構成されている。
【0019】
カメラ信号処理部104は、カメラ102の撮像素子(CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のセンサー)から出力された1フレーム毎の動画像データが入力される。カメラ信号処理部104は、入力された信号をAD変換するADコンバータを含んでいる。カメラ信号処理部104から出力されたデジタル映像信号は、フォーマット処理部110と現像処理部120との双方へ送られる。
【0020】
フォーマット処理部110では、撮像素子の画素配列(例えばベイヤー配列、3板CCDなど)に応じて、デジタル変換されたR,G,Bの各信号を並び換える処理をする。また、フォーマット処理部110では、フレーム内で可逆的な圧縮処理を動画像データに対して施す。可逆な圧縮方式による圧縮処理によって、画質などを低下させずに画像データを記録、再生することができる。可逆な圧縮方式には、例えば、ハフマン符号を用いたエントロピー符号化等がある。なお、可逆な圧縮方式は、厳密な「可逆」に限定されない。このように、フォーマット処理部110によるフォーマット処理では、RAW画像データとしての画質を維持するため、画質を損なうような圧縮処理は施されない。一方、RAW画像データは非常に大きなファイルサイズとなるため、冗長度の少ないデータに処理する。フォーマット処理部110でフォーマット処理された動画像データは、そのままRAW画像データとしてファイル化処理部140へ入力される。
【0021】
現像処理部120では、入力された映像データに対して、ホワイトバランス処理、ベイヤー配列からの補間処理、ノイズ除去、輝度及び色補正等の一連の現像処理が行われる。現像処理部120で現像処理が行われたデータは、サイズ処理部122へ送られる。現像処理部120では、撮影条件制御部130で制御された撮影条件に応じて、解像度、フレームレート、画像品質を変更して現像処理をする。
【0022】
サイズ処理部122は、動画像データのサイズを縮小又は拡大する処理を行う。サイズ処理部122から出力されたデータは、JPEGエンコーダ124へ送られる。また、サイズ処理部122では、必要に応じて、EVF(Electronic View Finder)(図示せず。)、LCD(Liquid Crystal Display)(図示せず。)などの表示装置の画面サイズに合わせて、動画像データのサイズを縮小する処理を行う。サイズ処理部122から出力されたデータは、EVF、LCDに送られて、画面上に表示される。これにより、ユーザは、カメラ102で撮影された映像をリアルタイムで認識することができる。
【0023】
JPEGエンコーダ124は、入力されたデータに対してJPEGの圧縮符号化処理を施し、ファイル化処理部140へ圧縮画像データ(処理済画像データ)を送る。
【0024】
撮影条件制御部130は、動画像記録装置100がどのような撮影条件で撮影するかを制御する。例えば、撮影条件とは、撮像素子の画素数、画素ピッチなどの撮像素子に関する条件、解像度、フレームレートや画像品質などの条件である。これらの撮影条件の相違に応じて、撮像素子からの各画素データの読出し条件が変更される。撮影条件制御部130は、カメラ102、カメラ信号処理部104、フォーマット処理部110、現像処理部120、サイズ処理部122、JPEGエンコーダ124、フォーマット処理部164に撮影条件を指示する。これらの各機能ブロックは、指示に応じて撮影条件を設定する。
【0025】
そして、撮影条件制御部130は、撮影条件データをフォーマット処理部136に送る。フォーマット処理部136は、撮影条件データをフォーマット処理し、データをファイル化処理部140に送る。フォーマット処理部136は、撮影条件取得部の一例であり、像素子からの各画素データの読み出しに必要な、処理済画像データを記録する際に設定された撮影条件をフレーム毎に取得する。処理済画像データを記録する際に設定された撮影条件は、例えば、撮像素子から各画素データを読出し処理するときの各画素の画素混合処理又は画素間引き処理に関する条件等である。
【0026】
ファイル化処理部140は、フォーマット処理部110から送られたRAW画像データや、JPEGエンコーダ124で圧縮処理された圧縮画像データや、フォーマット処理部136から送られた撮影条件データを一時的に蓄積する。ファイル化処理部140に蓄積された圧縮画像データ、RAW画像データ及び撮影条件データは、メディア記録部150へ送られ、記録メディアの記録フォーマットに従い記録メディアに記録される。記録メディアとしては、例えば、光学式記録媒体(CD、DVD等)、光磁気ディスク、磁気ディスク、半導体記憶媒体などが挙げられる。
【0027】
また、マイクロフォン160は、カメラ102による動画撮影と同時に被写体の音声を取得し、音声信号処理部162へ送る。音声信号処理部162は、入力された音声のアナログ信号をAD変換するADコンバータを含んでいる。音声信号処理部162から出力されたデジタル音声信号は、フォーマット処理部164へ送られる。フォーマット処理部164では、非圧縮のPCM方式、またはADPCM方式、AAC方式、AC3方式、MP3方式などの圧縮処理により、音声データをフォーマットする。フォーマット処理部164でフォーマットされた音声データは、ファイル化処理部140へ入力される。ファイル化処理部140は、音声データを一時的に蓄積する。
【0028】
なお、図示しないが、動画像記録装置100は、ホストCPUが設けられる。ホストCPUは、ファイル化処理部140からメディア記録部150へのデータ送信、及びメディア記録部150による記録メディアへのデータの記録を制御する。ホストCPUは、ファイル化処理部140に蓄積されている圧縮画像データ、RAW画像データ及び撮影条件データを所定量毎(例えば、1フレームのデータ量毎)にメディア記録部150へ送り、記録メディアに順次に記録するように、ファイル化処理部140、音声データ及びメディア記録部150を制御する。ホストCPUは、圧縮画像データ、RAW画像データ、音声データ及び撮影条件データを所定の順番で記録メディアに記録する。
【0029】
なお、動画像記録装置100における一連の処理は、ハードウェアで処理してもよいし、コンピュータ上のプログラムによるソフトウェア処理で実現してもよい。
【0030】
以上のように構成された本実施形態の動画像記録装置100では、カメラ102の撮像素子から出力されてAD変換された映像デジタルデータが、フォーマット処理部110に送られ、RAW画像データのまま記録メディアに記録される。従って、記録メディアには、高画質のRAW画像データが記録され、RAW画像データを読み出して表示することで、圧縮された映像データに比べて、高画質の映像を再生することが可能となる。
【0031】
一方、RAW画像データはデータ量が多いため、RAW画像データのままではEVF、LCDへのリアルタイム画面表示を行うことはできず、またJPEG等の圧縮処理を直接行うことができない。本実施形態の動画像記録装置100では、RAW画像データの記録とともに、動画像データの現像処理、縮小処理、圧縮処理を行うため、撮影と同時にEVF、LCDへのリアルタイム表示を行うことができ、表示画面をモニタしながら撮影を行うことができる。また、記録メディアにはRAW画像データとともに圧縮処理された圧縮画像データが記録されるため、再生時には、圧縮画像データにより映像の検索、サムネイル表示等を行うことが可能である。これにより、映像中の重要な部分についてはRAW画像データによる高画質再生が可能となり、映像中で比較的重要度の低い部分については、圧縮画像データを高速に読み出すことで簡易的な再生が可能となる。
【0032】
また、本実施形態の動画像記録装置100は、RAW画像データはそのまま保存し、撮像素子から各画素データを読み出すときの読出し条件を変更するための撮影条件と一緒にファイル化する。記録メディアにはRAW画像データとともに撮影条件データが記録されるため、再生時、RAW画像データを現像処理する際、撮影条件データを読み出して現像処理することができる。その結果、撮影条件が異なり撮像素子からの各画素の読み出し条件が異なる場合でも、RAW画像データに基づいて適切な画像処理を行うことができる。
【0033】
次に、記録メディアにおける記録フォーマットについて説明する。図2は、動画像記録装置100による、記録メディアへの記録のフォーマットを示す模式図である。撮像素子が例えばベイヤー配列の単板の場合には、出力されるデータはR:G:B=1:2:1のベイヤー配列された画素の順番で出力される。動画像記録装置100は、このベイヤー配列データについて画質を損なうことなく記録するため、フォーマット処理部110によりRGBの順に並び替え、画質を損なうような圧縮処理を施すことなく記録する。
【0034】
図2(A)は、映像の記録開始(録画スタート)から記録停止(録画停止)までの間の1つの動画ファイルを示している。また、図2(B)は、図2(A)の記録データのうち、1フレーム分のデータを示している。
【0035】
ベイヤー配列のRGBデータは、フォーマット処理部110により並べ替えられ、記録メディアのデータ領域に記録される。また、JPEGエンコーダ124によりエンコードされた圧縮画像データ、及びフォーマット処理部164でフォーマットされた音声データも記録メディアのデータ領域に記録される。図2(A)に示すように、記録フォーマットの先頭には、ヘッダー(Header)が記録される。ヘッダーには、撮影日時、カメラ102の撮像素子の情報、動画像記録装置100のセット名称、オーディオのチャンネル数、ビット数、記録メディアの記録フォーマット情報、カメラ102のレンズの仕様データ等の全体的な情報が記録される。ヘッダーに続いて、映像の1フレーム毎にデータが記録される。
【0036】
1フレーム毎のデータは、フレームヘッダー(Frame Header 0,1,・・・,n)とフレーム毎のデータ(F0, F1,・・・,Fn)から構成される。図2(B)に示すように、フレーム毎のデータは、音声データ(Audio)、圧縮画像データ(Compressed Image)、RAW画像データ(G,B,R)の順で、フレーム単位で繰り返し記録される。そして、最後のフレームFnのデータに続いて、フッター(Footer)が記録される。
【0037】
各フレームのフレームヘッダーには、例えば、各フレームの音声データ、圧縮画像データ、RAW画像データのデータサイズが記録される。また、各フレームのフレームヘッダーには、フレーム毎の撮影条件データが記録される。
【0038】
次に、図3を参照して、撮像素子から各画素を読み出して画素混合処理をする例について説明する。図3は、本実施形態に係る撮像素子の撮像面を示す模式図である。
【0039】
フレームヘッダーに記録されたフレーム毎の撮影条件が読み出されると、撮像素子の構成や動画像記録装置100の撮影モードなどが分かるため、RAW画像データに基づいて撮像素子から各画素の読出し処理をすることができる。読出し処理は、例えば、画素混合処理や画素間引き処理などである。
【0040】
例えば、図3(A)に示すようなベイヤー配列を有する撮像素子の撮像面の例で、画素混合処理をする場合について説明する。垂直2画素、水平2画素による画素混合をする場合、図3(A)の上図に示すように、斜め十字方向の4画素からデータを混合する。その結果、図3(B)に示すように、出力されるデータは、垂直方向、水平方向ともに半分ずつになったベイヤー配列のように見えることになる。しかし、実際に加算した結果の画素の位相は図3(C)のようになるため、画素混合によって空間周波数が垂直方向、水平方向に1/2になったとは限らない。
【0041】
しかし、この情報がなければ、得られるデータは図3(B)のパターンにしか見えないため、このパターンだと仮定して現像処理される。このような間引きデータは、空間周波数としてはf/2近傍にピークが存在し、もとの解像度も残っているため、折り返し歪みが発生する。一方、画素混合処理に関する条件を読込んで現像処理することで、適切な現像をすることができる。なお、画素混合処理に関する条件とは、撮像素子からの各画素データのどの部分が混合されているかという条件である。また読み出し処理は、画素混合処理に限定されず画素間引き処理でもよい。このとき画素間引き処理に関する条件とは、撮像素子からの各画素データのどの部分が間引かれているかなどの条件である。
【0042】
次に、図4を参照して、図1の動画像記録装置100で記録された動画像データを再生する動画像再生装置200について説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る動画像再生装置200の構成を示すブロック図である。図4に示すように、動画像再生装置200は、ホストCPU202、メディア読出部210、De-Multiplex212、撮影条件抽出部220、音声信号処理部230、オーディオ出力部232、JPEGデコード部240、現像処理部252、サイズ処理部254、MUX260、ビデオ出力部262を有して構成されている。
【0043】
メディア読出部210は、ホストCPU202からの指令により、記録メディアからデータを読み出す。De-Multiplex212は、メディア読出部210から読み出したデータを一時的に溜め、音声信号処理部230、JPEGデコード部240、現像処理部252のそれぞれに送る。
【0044】
撮影条件抽出部220は、フレームヘッダーに記録された撮影条件データを抽出し、ホストCPU202に送る。
【0045】
ホストCPU202は、撮影条件抽出部220から送られた撮影条件データに基づいて、現像処理部252又はサイズ処理部254における画像処理を制御する。これにより、記録メディアから撮影条件データが読み出された場合、そのデータに従って、撮影条件に応じた撮像素子からの各画素データの読み出しをするための読出し条件が設定され、読出し条件に基づいて現像処理、サイズ処理が行われる。その結果、撮影条件が異なり撮像素子からの各画素の読み出し条件が異なる場合でも、RAW画像データに基づいて適切な画像処理を行うことができる。
【0046】
音声信号処理部230は、音声データをデフォーマットし、デフォーマットされた信号をDA変換し、オーディオ出力部232に送る。オーディオ出力部232は、アナログ変換されたオーディオ信号を外部に出力する。
【0047】
また、JPEGデコード部240は、圧縮画像データをデコードし、デコードされた映像データを縮小または拡大し、MUX260へ送る。
【0048】
現像処理部252は、RAW画像データをベイヤーデフォーマットし、ベイヤー配列に並べ替えてサイズ処理部254へ送る。現像処理部252は、デフォーマットされたRAW画像データに対して、ホワイトバランス処理、ベイヤー配列からの補間処理、ノイズ除去、輝度及び色補正等の一連の現像処理を行う。サイズ処理部254は、現像処理が行われたRAW画像データのサイズを縮小する処理を行い、処理されたデータをMUX260へ送る。
【0049】
MUX260は、JPEGデコード部240又はサイズ処理部254から送られた映像データを、ビデオ出力部262へ送る。ビデオ出力部262では、送られたデータをDA変換し、アナログ信号データを外部に出力する。
【0050】
なお、動画像再生装置200における一連の処理は、ハードウェアで処理してもよいし、コンピュータ上のプログラムによるソフトウェア処理で実現してもよい。
【0051】
以上のように構成された本実施形態の動画像再生装置200では、メディア読出部210から読み出したファイルの中の各フレームヘッダーに記録された撮影条件データを用いて現像処理、サイズ処理を行う。そして、通常、撮像素子の構成や動画像記録装置100の撮影モードなどの撮影条件によって、撮像素子からの各画素データの読み出し条件が異なるが、動画像再生装置200によれば、撮影条件をもとに読み出し処理をするときの各画素の画素混合処理計算、画素間引き処理計算をすることができるため、RAW画像データに基づいて、解像度、フレームレート、画像品質などに応じた適切な画像処理をすることができる。
【0052】
RAW画像データの再生時には、記録メディアからG、B、Rの各RAW画像データを読み出し、そのデータを現像処理することによって、RAW画像データが映像信号化される。この信号は、所定の画像サイズに縮小処理されて、ビデオ出力部262にビデオ出力される。これにより、動画像再生装置200によって、高画質な再生が可能となる。
【0053】
圧縮画像データを再生する場合は、記録メディアからフレーム単位に圧縮画像データを順次に読み出すことで、圧縮画像データを再生することができる。この場合、読み出されるデータサイズはRAW画像データに比べて極めて小さい。JPEGデコードされた映像信号を所定の画像サイズに縮小処理、または拡大処理して出力することで、RAW画像データの再生に比べて軽い処理で再生を行うことが可能となる。このように、圧縮画像データによる簡易再生モードを活用することにより、動画像再生装置200のハードウェア構成を大幅に削減できるとともに、消費電力を大幅に低減できる。
【0054】
また、特殊再生モードとして、高速再生モードについても、JPEGデータを用いることで、負荷の少ない処理が可能となる。この場合、再生の倍速率に合わせてフレームヘッダーのみをサーチしながら、音声データ、圧縮画像データ、RAW画像データのデータサイズ情報から必要なフレームだけを飛び越し走査して圧縮画像データを読み出し、JPEGデコードして読み出せばよい。逆転方向の再生も同様の方法を用いることで容易に実現可能である。
【0055】
また、圧縮画像データを用いて、ファイルの中の撮影画像の一覧をサムネイル表示することも可能である。この場合、例えば複数の動画ファイルのそれぞれについて、1フレームの画像をサムネイル表示してもよいし、各動画ファイルを動画としてサムネイル表示してもよい。
【0056】
以上説明したように本実施形態によれば、RAW画像データと圧縮画像データの双方を関連付けて記録することができるため、高画質再生を行う場合はRAW画像データを使用し、リアルタイム表示、画像検索等では、データ量の少ない圧縮画像データを用いることができる。これにより、高画質かつ操作性の優れた動画像記録装置100、および動画像再生装置200を提供することが可能となる。
【0057】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態に係る動画像記録装置の構成を示すブロック図である。
【図2】動画像記録装置による、記録メディアへの記録のフォーマットを示す模式図である。
【図3】同実施形態に係る撮像素子の撮像面を示す模式図である。
【図4】同実施形態に係る動画像再生装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0059】
100 動画像記録装置
102 カメラ
104 カメラ信号処理部
110、136、164 フォーマット処理部
120 現像処理部
122 サイズ処理部
124 JPEGエンコーダ
130 撮影条件制御部
140 ファイル化処理部
150 メディア記録部
160 マイクロフォン
162 音声信号処理部
200 動画像再生装置
202 ホストCPU
210 メディア読出部
212 De-Multiplex
220 撮影条件抽出部
230 音声信号処理部
232 オーディオ出力部
240 JPEGデコード部
252 現像処理部
254 サイズ処理部
260 MUX
262 ビデオ出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子からフレーム単位で順次出力されるRAW画像データを再生可能な画像データに画像処理してフレーム単位の処理済画像データを生成する画像処理部と、
前記撮像素子からの各画素データの読み出しに必要な、前記処理済画像データを記録する際に設定された撮影条件をフレーム毎に取得する撮影条件取得部と、
フレーム単位の前記RAW画像データと、フレーム単位の前記処理済画像データと、フレーム単位の前記撮影条件とをフレーム毎に順次記録媒体に記録する媒体記録部と
を備えることを特徴とする、記録装置。
【請求項2】
前記撮影条件は、撮像素子から各画素データを読出し処理するときの各画素の画素混合処理又は画素間引き処理に関する条件であることを特徴とする、請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
フレーム単位のRAW画像データと、前記RAW画像データを再生可能な画像データに画像処理したフレーム単位の処理済画像データと、前記処理済画像データを記録する際に設定された撮影モードに応じたフレーム単位の撮影条件とが記録された記録媒体から、各前記RAW画像データ、各処理済画像データ及び各前記撮影条件のうち少なくともいずれかを読み出すデータ読出部と、
前記RAW画像データをフレーム毎に順次再生する際、前記読み出した撮影条件に基づいて、撮像素子からの各画素データを読み出して画像処理をする画像処理部と
を備えることを特徴とする、再生装置。
【請求項4】
前記読み出し条件は、撮像素子から各画素データを読出し処理するときの各画素の画素混合処理又は画素間引き処理に関する条件であることを特徴とする、請求項3に記載の再生装置。
【請求項5】
撮像素子からフレーム単位で順次出力されるRAW画像データを再生可能な画像データに画像処理してフレーム単位の処理済画像データを生成するステップと、
前記撮像素子からの各画素データの読み出しに必要な、前記処理済画像データを記録する際に設定された撮影条件をフレーム毎に取得するステップと、
フレーム単位の前記RAW画像データと、フレーム単位の前記処理済画像データと、フレーム単位の前記撮影条件とをフレーム毎に順次記録媒体に記録するステップと
を備えることを特徴とする、記録方法。
【請求項6】
フレーム単位のRAW画像データと、前記RAW画像データを再生可能な画像データに画像処理したフレーム単位の処理済画像データと、前記処理済画像データを記録する際に設定された撮影モードに応じたフレーム単位の撮影条件とが記録された記録媒体から、各前記RAW画像データ、各処理済画像データ及び各前記撮影条件のうち少なくともいずれかを読み出すステップと、
前記RAW画像データをフレーム毎に順次再生する際、前記読み出した撮影条件に基づいて、撮像素子からの各画素データを読み出して画像処理をするステップと
を備えることを特徴とする、再生方法。
【請求項7】
撮像素子からフレーム単位で順次出力されるRAW画像データを再生可能な画像データに画像処理してフレーム単位の処理済画像データを生成する手段、
前記撮像素子からの各画素データの読み出しに必要な、前記処理済画像データを記録する際に設定された撮影条件をフレーム毎に取得する手段、
フレーム単位の前記RAW画像データと、フレーム単位の前記処理済画像データと、フレーム単位の前記撮影条件とをフレーム毎に順次記録媒体に記録する手段
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
フレーム単位のRAW画像データと、前記RAW画像データを再生可能な画像データに画像処理したフレーム単位の処理済画像データと、前記処理済画像データを記録する際に設定された撮影モードに応じたフレーム単位の撮影条件とが記録された記録媒体から、各前記RAW画像データ、各処理済画像データ及び各前記撮影条件のうち少なくともいずれかを読み出す手段、
前記RAW画像データをフレーム毎に順次再生する際、前記読み出した撮影条件に基づいて、撮像素子からの各画素データを読み出して画像処理をする手段
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−147746(P2009−147746A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323932(P2007−323932)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(500548884)三星テクウィン株式会社 (156)
【Fターム(参考)】