記録装置およびその制御方法
【課題】 ＲＦ−ＩＤタグが内蔵された記録媒体への電子情報の書き込みを確実に行うとともに、スループットの向上を図る。
【解決手段】 供給ローラ３０９と巻き取りローラ３０８とを制御することで、連続ラベル紙を搬送する手段と、供給ローラ３０９と巻き取りローラ３０８との間において連続ラベル紙が張架された状態で、順に搬送されたＲＦ−ＩＤタグの識別子を読み取る手段（３０３）と、ラベルに印刷を行う手段（３０５）と、読み取られた各識別子と、ＲＦ−ＩＤタグに書き込まれるべき各電子情報とを関連付けて格納する手段と、巻き取りローラ３０８に巻き取られたＲＦ−ＩＤタグに対して、前記格納された各識別子に対応付けられた電子情報を、識別子ごとに書き込む手段（３０７）とを備える。
【解決手段】 供給ローラ３０９と巻き取りローラ３０８とを制御することで、連続ラベル紙を搬送する手段と、供給ローラ３０９と巻き取りローラ３０８との間において連続ラベル紙が張架された状態で、順に搬送されたＲＦ−ＩＤタグの識別子を読み取る手段（３０３）と、ラベルに印刷を行う手段（３０５）と、読み取られた各識別子と、ＲＦ−ＩＤタグに書き込まれるべき各電子情報とを関連付けて格納する手段と、巻き取りローラ３０８に巻き取られたＲＦ−ＩＤタグに対して、前記格納された各識別子に対応付けられた電子情報を、識別子ごとに書き込む手段（３０７）とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、記録装置における制御技術に関するものであり、特にＲＦ−ＩＤタグを内蔵する記録媒体に対する電子情報の書き込み機能を備える記録装置における制御技術に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年、非接触で電子情報の送受信が可能なＲＦ−ＩＤ（Ｒａｄｉｏ Ｆｒｅｑｕｅｎｃｙ Ｉｄｅｎｔｉｆｉｃａｔｉｏｎ）を用いたシステムが普及しつつある。ＲＦ−ＩＤシステムは、主に、電子情報を記憶するための不揮発性メモリを搭載したＩＣチップとＩＣチップに電気的に接続されたアンテナとを備えるＲＦ−ＩＤタグと、該ＲＦ−ＩＤタグをコントロールするＲＦ−ＩＤリーダ／ライタとから構成されている。
【０００３】
当該システムの特徴は、電子情報の新規書き込みや記憶が可能であることに加え、複数のＲＦ−ＩＤタグと同時に通信を行うことができ、かつ障害物等の影響を受けにくい点にある。このため、例えば、ＲＦ−ＩＤタグを商品等に搭載させることで、当該商品の流通管理システム等を構築することができる。
【０００４】
ここで、ＲＦ−ＩＤタグを商品等に搭載するための搭載方法としては様々な方法がある。その中でも、ＲＦ−ＩＤタグを商品情報等が印刷されるラベル（記録媒体）に内蔵させ、該ラベルを商品等に貼り付けることで、ＲＦ−ＩＤタグを商品に搭載する方法が一般的に知られている。
【０００５】
通常、このようなラベルを用いて商品管理システム等を構築するにあたっては、該ラベル表面への印刷処理とＲＦ−ＩＤタグへの電子情報の書き込み処理とを予め行っておく必要がある。しかし、これらの処理を別々の装置を用いて分担して行ったのでは手間がかかることから、最近では、記録装置にＲＦ−ＩＤリーダ／ライタを搭載させ、ラベル表面への印刷処理と、ＲＦ−ＩＤタグへの電子情報の書き込み処理とを一括して行うことが可能なＲＦ−ＩＤタグ書き込み機能付きの記録装置が普及しつつある。
【０００６】
そして、これまで、このようなＲＦ−ＩＤタグ書き込み機能付きの記録装置では、ＲＦ−ＩＤリーダ／ライタが備えるＲＦ−ＩＤ用通信アンテナの下に、ＲＦ−ＩＤタグが内蔵されたラベルを移動させた後、該ラベルの搬送を一旦停止させたうえで（つまり搬送停止状態にて）、電子情報の書き込みを行うのが一般的であった。
【０００７】
これは、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナのサイズの違いや、使用されているＩＣチップの違いなどによりＲＦ−ＩＤタグごとに、書き込み可能な最大容量や通信時間が異なってくるため、電子情報を確実に書き込むことができるようにするための措置である。
【０００８】
しかしながら、上記ＲＦ−ＩＤタグ書き込み機能付きの記録装置の場合、ラベル表面への印刷処理用として複数のフルラインヘッドをラベルの搬送方向に並べて配置する構成を採っており、印刷処理に関しては搬送を停止させることなく連続して行うことができるようになっている。このため、上述のようにＲＦ−ＩＤタグへの電子情報の書き込み処理のためだけに、搬送を停止させるのは、全体のスループットを向上させるうえで望ましくない。
【０００９】
このような背景のもと、ラベルの搬送を停止させることなく、搬送状態でＲＦ−ＩＤタグへの電子情報の書き込みが可能な記録装置の提案がなされている。
【００１０】
例えば、下記特許文献１では、ＲＦ−ＩＤタグが内蔵されたラベルが複数配された連続ラベル紙の搬送を停止させることなく、ＲＦ−ＩＤタグに対して確実に電子情報を書き込むことができるように、印刷条件や通信条件に基づいて連続ラベル紙の搬送速度を制御することとしている。
【特許文献１】特開２００５−１６１５７４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
しかしながら、上記特許文献１のように、印刷条件や通信条件に応じて搬送速度を制御することとすると、一部のＲＦ−ＩＤタグの印刷条件や通信条件が原因で、連続ラベル紙全体のスループットが著しく抑えられてしまうことが考えられる。特に、通信時間のかかる大容量の電子情報が含まれる場合には、これが顕著である。
【００１２】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ＲＦ−ＩＤタグが内蔵された記録媒体への電子情報の書き込みを確実に行うとともに、スループットの向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１３】
上記の目的を達成するために本発明に係る記録装置は以下のような構成を備える。即ち、
ＲＦ−ＩＤタグを内蔵する複数の記録媒体が長手方向に仮着された帯状の台紙を巻き回す第１のローラと、該第１のローラより供給された該台紙を巻き取る第２のローラとを制御することで、該台紙の搬送を行う搬送手段と、
前記搬送手段により前記台紙が搬送されることにより順に搬送されるＲＦ−ＩＤタグの識別子を、前記第１のローラと前記第２のローラとの間において読み取る読取手段と、
前記順に搬送されるＲＦ−ＩＤタグが内蔵された前記記録媒体表面に、印刷を行う印刷手段と、
前記読取手段により読み取られた各識別子と、対応する前記ＲＦ−ＩＤタグに書き込まれるべき各電子情報とを関連付けて格納する格納手段と、
前記搬送手段により前記第２のローラに前記台紙が巻き取られた状態にある前記ＲＦ−ＩＤタグに対して、前記格納手段に格納された各識別子に関連付けられた前記電子情報を書き込む書込手段とを備える。
【発明の効果】
【００１４】
本発明によれば、ＲＦ−ＩＤタグが内蔵された記録媒体への電子情報の書き込みを確実に行うとともに、スループットの向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について、具体的かつ詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態では、インクジェット方式に従うフルライン記録ヘッドを用いた記録装置を備える記録システムを例に挙げて説明する。
【００１６】
なお、この明細書において、「印刷」（「プリント」という場合もある）とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体表面に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【００１７】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【００１８】
さらに、「インク」（「液体」と言う場合もある）とは、上記「印刷（プリント）」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理（例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化）に供され得る液体を表すものとする。
【００１９】
［第１の実施形態］
＜記録システムの構成＞
図１は本発明の第１の実施形態にかかるインクジェット方式に従うフルライン記録ヘッドを用いたカラー記録装置１０１（以下、記録装置という）と、ホストコンピュータ１００（以下、ホストという）とを使用した記録システムの構成図である。図１に示すように、記録装置１０１とホスト１００とは、プリンタケーブル１０７で接続され、ホスト１００で処理された各種データは記録装置１０１にて記録されるように構成されている。
【００２０】
記録装置１０１は、後述のフルライン記録ヘッド（以下、記録ヘッドという）やＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ、及び搬送部を覆うための上部カバー１０３と、記録ヘッドに供給される記録剤としての液体インクを貯蓄するタンク部を覆うための前カバー１０４と、記録媒体（ＲＦ−ＩＤタグが内蔵されたラベル）が帯状の台紙の長手方向に複数仮着された連続ラベル紙（後述）を記録部１０８に給送する給紙部１０２と、記録部１０８から搬送される連続ラベル紙を巻き取る巻き取り部１０９とによりその外郭が構成されている。
【００２１】
さらに、図１において、１０５は記録装置１０１の電源スイッチ、１０６は記録装置１０１に操作環境の設定を行うための入力手段や記録装置のエラー発生状況をユーザに知らせるための表示手段等を備えた操作パネルである。操作パネルは、ＬＥＤ１１０、ＬＣＤ１１１、ボタン１１２から構成される。
【００２２】
＜連続ラベル紙の構成＞
図２は記録装置１０１が処理対象とする記録媒体（ＲＦ−ＩＤタグが内蔵されたラベル）が台紙の長手方向に複数仮着された連続ラベル紙２００の模式図である。
【００２３】
図２に示す連続ラベル紙２００は、裏面が粘着加工されたラベル２０１とそのラベルを連続紙として固定するための台紙２０６とからなり、ラベル２０１には、ＲＦ−ＩＤタグ２０５が内蔵されている。ＲＦ−ＩＤタグ２０５は書き込まれる電子情報を記憶するための不揮発性メモリを搭載したＩＣチップ２０３とループアンテナ２０２とから構成されている。
【００２４】
ＲＦ−ＩＤタグ２０５は電源を持たず、記録装置１０１に配設される後述のＲＦ−ＩＤ用通信アンテナが発生する電波を利用して電力を創成する。これを内部電源としてＲＦ−ＩＤタグ２０５では、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナから送信される電子情報をＩＣチップに書き込む。
【００２５】
＜記録装置のハードウェア構成＞
次に記録装置１０１のハードウェア構成について、図３〜図５を用いて説明する。図３は、図１に示した記録装置１０１のハードウェア構成を示す断面図であり、図４は図１に示した記録装置１０１の記録部１０８における記録ヘッド及びＲＦ−ＩＤ用通信アンテナの配置を説明するための斜視図である。また、図５は、図１に示した記録装置１０１の巻き取り部１０９に取り付けられたＲＦ−ＩＤ用通信アンテナの配置を説明するための斜視図である。
【００２６】
記録装置１０１には最大６色の異なるインクを用いて記録することができるように６つの記録ヘッドが備えられている。具体的には、図３及び図４に示されているように、連続ラベル紙２００の搬送方向の上流方向から順に、ブラックインクを吐出する記録ヘッド３０６Ｂｋ、シアンインクを吐出する記録ヘッド３０６Ｃ、淡シアンインクを吐出する記録ヘッド３０６ＬＣ、マゼンタインクを吐出する記録ヘッド３０６Ｍ、淡マゼンタインクを吐出する記録ヘッド３０６ＬＭ、及びイエロインクを吐出する記録ヘッド３０６Ｙが備えられている。なお、以下、これら６つの記録ヘッドを総称して言及するときには参照番号３０５を用いることとする。
【００２７】
記録装置１０１には、さらに、図３及び図４に示すように連続ラベル紙２００が張架された状態において（供給ローラ３０９と巻き取りローラ３０８との間において）、ＲＦ−ＩＤタグの固有情報（識別子）を読み取るＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０３が、記録ヘッド３０５の上流側に設けられている。
【００２８】
また、図３及び図５に示すように、記録ヘッド３０５の下流側には、連続ラベル紙２００が巻き取りローラ３０８に巻き回された状態にあるＲＦ−ＩＤタグに電子情報を書き込むＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０７が設けられている。
【００２９】
また、図３に示すように、記録ヘッド３０５の下側には搬送部３０２が配されており、該搬送部３０２により、給紙部１０２にセットされた連続ラベル紙２００が記録部１０８に搬送される。連続ラベル紙２００が搬送されると、ＴＯＦセンサ３０４が動作し、連続ラベル紙２００上のラベル２０１の位置が管理される。
【００３０】
更に、ラベル２０１がＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０３の通信位置まで順に搬送されると、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０３がラベル内に内蔵されたＲＦ−ＩＤタグ２０５と通信を行い、ＲＦ−ＩＤタグの固有情報（識別子）の読み取りを行う（図４参照）。
【００３１】
さらに、ラベル２０１が印刷位置まで順に搬送されると、６つの記録ヘッド３０６Ｂｋ、３０６Ｃ、３０６ＬＣ、３０６Ｍ、３０６ＬＭ、３０６Ｙによってインクが吐出され、ラベル２０１上に画像が印刷される（図４参照）。
【００３２】
印刷が完了したラベル２０１は、巻き取りローラ３０８により巻き取りが行われるとともに、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０７によりＲＦ−ＩＤタグ２０５への電子情報の書き込みが行われる（図５参照）。
【００３３】
この際、書き込む電子情報と書き込み先のＲＦ−ＩＤタグとの整合性をとるために、記録装置１０１ではＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０３により読み取られた固有情報を利用する。これにより書き込む際のＲＦ−ＩＤタグの識別が確実に行われる。
【００３４】
図３に戻る。搬送部３０２の下には、各記録ヘッド３０６Ｂｋ、３０６Ｃ、３０６ＬＣ、３０６Ｍ、３０６ＬＭ、３０６Ｙに供給される専用のインクを貯蓄するタンク部３０１が着脱自在に固定されている。
【００３５】
＜記録装置の機能構成＞
次に記録装置１０１の機能構成について説明する。図６は記録装置１０１の制御構成を示すブロック図である。
【００３６】
図６において、６０１は記録装置１０１全体を制御するメインコントローラであり、ＣＰＵ６０１ａを内蔵し、後述する制御コマンドを記憶するための記憶制御機能、データ制御機能、及び、印刷ならびに書き込み動作に必要な種々の設定のための設定制御機能などを有する。メインコントローラ６０１はインタフェース（不図示）を介してホスト１００に接続され、互いに信号の授受を行うことができる。
【００３７】
また、６０２はメインコントローラ６０１に接続され、制御プログラムなどを格納するＲＯＭであり、それらのプログラムに従いメインコントローラ６０１はＲＡＭ６１２を作業領域として使用する。
【００３８】
また、ＲＡＭ６１２にはホスト１００から転送されＲＦ−ＩＤタグ２０５に書き込む電子情報と、メインコントローラ６０１に接続されたＲＦ−ＩＤ通信回路６０９がＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０３を介して読み取ったＲＦ−ＩＤタグの固有情報とを関連付けた関連付けテーブル（後述）が格納される。
【００３９】
また、メインコントローラ６０１に接続されたＲＦ−ＩＤ通信回路６１３は、ＲＡＭ６１２に格納された電子情報と関連付けられたＲＦ−ＩＤタグの固有情報に基づいてＲＦ−ＩＤタグを識別し、該識別したＲＦ−ＩＤタグに対してＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０７を通して電子情報の書き込みを行う。
【００４０】
６０６はホスト１００から送信されてきた印刷データを格納するイメージバッファメモリであり、６０６Ｂｋはブラック成分の印刷データを一時的に格納するブラックイメージバッファメモリ、同様に６０６Ｃ、６０６ＬＣ、６０６Ｍ、６０６ＬＭ、６０６Ｙはシアン成分、マゼンタ成分、淡マゼンタ成分、シアン成分、淡シアン成分、イエロ成分の印刷データを一時的に格納するイメージバッファメモリである。
【００４１】
６０３は記録ヘッド３０６Ｂｋ、３０６Ｃ、３０６ＬＣ、３０６Ｍ、３０６ＬＭ、３０６Ｙに内蔵される発熱体（不図示）を駆動させるヘッド駆動回路である。メインコントローラ６０１に接続されたドライバコントローラ６０７が、イメージバッファメモリ６０６に格納された各色成分の印刷データに従って、ヘッド駆動回路６０３を制御することで印刷データが印刷される。
【００４２】
６０４Ｄは搬送部３０２に設けられたフィードモータ６０４を駆動するモータドライバ、６００は給紙部１０２の連続ラベル紙を記録部１０８に供給する供給ローラ３０９を駆動するモータ６０５を制御する給紙機構駆動回路、６１４は印刷された連続ラベル紙２００を巻き取る巻き取りローラ３０８を駆動するモータ６０８を制御する巻き取り機構駆動回路であり、いずれもメインコントローラ６０１によって制御される。
【００４３】
また、６１１は前述したＴＯＦセンサ３０４を含む種々のセンサを総称したセンサ回路である。
【００４４】
＜制御コマンドの構造＞
図７はホスト１００から送信される種々の制御コマンドの構造を示した図である。図７に示すように、全てのコマンドは、そのコマンドの先頭にコマンドの種類を識別する識別コードが配置され、その識別コードに続いて、そのコマンドに関する付帯的な指示を設定するオペランドが配置されている。なお、コマンドの種類によっては、オペランドがなく、識別コードのみで構成される場合もある。
【００４５】
制御コマンドとしては、連続ラベル紙２００のサイズ等を設定する用紙設定コマンド７０１、印刷データの印刷位置の基準となる位置を設定をするフォーマットコマンド７０２、記録装置１０１本体の動作設定をする記録装置動作設定コマンド７１２、文字、イメージ、ＲＦ−ＩＤタグ夫々の詳細情報を設定するデータコマンド７０３、７０４、７０５、印刷データの終了を示しジョブの開始を指示するジョブ開始コマンド７１０などがある。
【００４６】
それらのコマンドは記録コマンド転送例７１１に示されるようなコマンド列としてホスト１００から記録装置１０１に出力される。
【００４７】
なお、ＲＦ−ＩＤタグ２０５のＩＣチップ２０３の種類は、用紙設定コマンド７０１のＩＣチップタイプオペランド７０６に、ＲＦ−ＩＤタグサイズは、ＲＦ−ＩＤタグ取付位置オペランド７０７に設定される。
【００４８】
また、記録装置１０１の給紙モードは記録装置動作設定コマンド７１２の給紙モードオペランド７１３に、記録装置１０１の搬送速度は搬送速度オペランド７１４に、記録装置１０１のＲＦ−ＩＤタグ通信開始位置の設定はＲＦ−ＩＤタグ通信開始位置オペランド７１５に設定される。ＲＦ−ＩＤタグ通信開始位置オペランドは、ラベル２０１の先端を検出してから、ＲＦ−ＩＤタグ２０５との通信を開始するまでの搬送距離を設定するオペランドとなる。
【００４９】
ＩＣチップ２０３への書き込みデータ量はＲＦ−ＩＤデータコマンド７０５のデータ長オペランド７０８に設定され、書き込みデータはデータオペランド７０９に設定される。
【００５０】
＜印刷処理および書き込み処理の概要＞
次に、記録装置１０１におけるラベル２０１表面への印刷処理及びＲＦ−ＩＤタグ２０５への電子情報の書き込み処理について、図８〜図９を参照して説明する。
【００５１】
図８の右側は、それぞれ供給ローラ３０９と巻き取りローラ３０８との間に張架された連続ラベル紙２００上の所定のラベル２０１が所定の位置まで搬送された様子を示しており、８０１及び８０２は、それぞれＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０３、３０７の通信範囲を示している。また、図８の左側は、それぞれ、対応する関連付けテーブル８０３の記載内容を示している。
【００５２】
このうち、図８（ａ）は、ホスト１００から受信した各ラベル２０１表面に印刷する印刷データ８０４−１及びＲＦ−ＩＤタグ２０５に書き込む電子情報８０４−２に対して、１番目のＲＦ−ＩＤタグから読み取った固有情報８０５の関連付けを行った様子を示す図である。
【００５３】
具体的には、印刷データ＝Ａ、電子情報＝Ａに対して、固有情報＝００１０が関連付けられた様子を示している。
【００５４】
また、図８（ｂ）は、ラベル２０１への印刷を開始した様子を示す図である。ラベル２０１が記録ヘッド３０５の下を搬送されることにより、ラベル２０１の表面に印刷データ＝Ａが印刷された様子を示している。また、２番目のＲＦ−ＩＤタグから読み取った固有情報（固有情報＝０２０１）が印刷データ＝Ｂ、電子情報＝Ｂに関連付けられた様子を示している。
【００５５】
更に、図８（ｃ）は、ＲＦ−ＩＤタグへの電子情報の書き込みを行った様子を示す図である。この時点で、１番目から５番目までのラベルの表面への印刷データの印刷は完了している（印刷データ＝Ａ〜印刷データ＝Ｅ）。また、１番目から６番目までのラベルに内蔵されたそれぞれのＲＦ−ＩＤタグから読み取った固有情報が、印刷データ８０４−１及び電子情報８０４−２に関連付けられている。そして、１番目と２番目のラベルに内蔵されたＲＦ−ＩＤタグについては、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０７の通信範囲８０２に到達しているため、電子情報の書き込みが行われている。
【００５６】
更に、図８（ｄ）はＲＦ−ＩＤタグへの書き込みが終了した電子情報及び印刷データを消去した様子を示す図である。この時点で、１番目から７番目までのラベルの表面への印刷データの印刷が完了している（印刷データ＝Ａ〜印刷データ＝Ｆ）。また、１番目から７番目までのラベルにそれぞれ内蔵されたＲＦ−ＩＤタグから読み取られた固有情報が、印刷データ８０４−１及び電子情報８０４−２に関連付けられている。そして、ＲＦ−ＩＤタグへの電子情報の書き込みが完了した１番目と２番目のラベルについての印刷データ８０４−１及び電子情報８０４−２が、関連付けテーブル８０３から消去されている。更に、３番目のラベルに内蔵されたＲＦ−ＩＤタグは、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０７の通信範囲８０２に到達しているため、該ＲＦ−ＩＤタグに対して電子情報の書き込みが行われている。
【００５７】
＜印刷処理及び書き込み処理の流れ＞
次に、印刷処理及び書き込み処理の流れについて、図９のフローチャートを用いて詳細に説明する。尚、この処理は記録装置１０１のＣＰＵ６０１ａが、例えば、ＲＯＭ６０２に格納された制御プログラムを実行することにより実現される。
【００５８】
記録枚数や用紙サイズ、ＲＦ−ＩＤタグ通信開始位置、ＩＣチップ２０３の種類などの各種パラメータと印刷データ、及びＩＣチップ２０３に書き込む電子情報は、処理を指示するコマンドと共にホスト１００から記録装置１０１に送信される。
【００５９】
ここで、ＲＯＭ６０２に格納された制御プログラムが起動されると、ステップＳ９０１では、ホスト１００から送信される各種情報を受信する。このうち、印刷データについてはイメージバッファメモリ６０６Ｂｋ〜６０６Ｙに、電子情報についてはＲＡＭ６１２にそれぞれ記憶される。
【００６０】
ステップＳ９０１での受信処理を終了すると、ステップＳ９０２では、連続ラベル紙の搬送を開始する。
【００６１】
搬送された連続ラベル紙が図８（ａ）のようにＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０３の通信範囲８０１に移動したと判定された場合には、ステップＳ９０３に進む。
【００６２】
ステップＳ９０３では、連続ラベル紙２００に仮着されているそれぞれのラベル２０１に内蔵されたＲＦ−ＩＤタグから、ＲＦ−ＩＤタグの固有情報を読み取る。ステップ９０４では、ステップＳ９０３において読み取られた固有情報を、印刷データならびに電子データと関連付けて関連付けテーブル８０３に登録する。
【００６３】
続いて連続ラベル紙が印刷位置に到達すると、ステップＳ９０５に進み、連続ラベル紙２００の各ラベル表面に、関連付けテーブル８０３に登録されている印刷データを印刷する。印刷が終了すると、ステップＳ９０６では、連続ラベル紙２００を巻き取り部１０９の巻き取りローラ３０８により巻き取る。
【００６４】
巻き取りローラ３０８により巻き取られた連続ラベル紙は、図８（ｃ）に示すようにＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０７の通信範囲８０２に入る。このため、ステップＳ９０７では、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０７が通信範囲８０２にあるラベルに内蔵されたＲＦ−ＩＤタグの固有情報を読み取り、当該読み取った固有情報に基づいて関連付けテーブル８０３を参照することで、当該ラベルに内蔵されているＲＦ−ＩＤタグに書き込むべき電子情報を取得する。そして、固有情報を指定して対応するＲＦ−ＩＤタグに、取得した電子情報を書き込む。
【００６５】
ＲＦ−ＩＤタグへの電子情報の書き込みが終了すると、ステップＳ９０８では、図８（ｄ）のように書き込みが終了したページ情報に関連付けられた印刷データ、電子情報、固有情報を関連付けテーブル８０３から消去する。以降、連続ラベル紙２００上に仮着されたすべてのラベルに対して同様の処理が実行される。
【００６６】
以上の説明から明らかなように、本実施形態にかかる記録装置では、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナとして、固有情報の読み取り用と電子情報の書き込み用の２つのＲＦ−ＩＤ用通信アンテナを配することとした。
【００６７】
このうち、固有情報の読み取り用のＲＦ−ＩＤ用通信アンテナについては、供給ローラと巻き取りローラとの間において、該連続ラベル紙のラベルに内蔵されたＲＦ−ＩＤタグの固有情報を読み取ることができるように配置した。また、電子情報の書き込み用のＲＦ−ＩＤ用通信アンテナについては、巻き取りローラにより連続ラベル紙が巻き取られた状態で、該連続ラベル紙のラベルに内蔵されたＲＦ−ＩＤタグに電子情報の書き込みを行うことができるように配置した。更に、巻き取りローラにより巻き取られた連続ラベル紙のラベルに内蔵されたＲＦ−ＩＤタグをすべて網羅するように通信範囲を規定した。
【００６８】
これにより、固有情報の読み取り用のＲＦ−ＩＤ用通信アンテナでは、書き込まれる電子情報のデータ量とは無関係に通信を行うことが可能となり、データ量に応じて搬送速度を変える必要がなくなり、スループットの向上を図ることが可能となった。
【００６９】
また、電子情報の書き込み用のＲＦ−ＩＤ用通信アンテナでは、連続ラベル紙の搬送速度と無関係に通信時間を確保することができるため、従来のように、搬送速度が速いために電子情報の書き込みが追いつかず、書き込みミスが生じるといった事態や電子情報のデータ量に応じて搬送速度を下げるといった事態を回避させることが可能となった。
【００７０】
更に、固有情報の読み取り用のＲＦ−ＩＤ用通信アンテナにより読み取られた固有情報と印刷データならびに電子情報とが関連付けられた関連付けテーブルに基づいて、固有情報を指定しながら、電子情報の書き込みを行うため、誤ったＲＦ−ＩＤタグに電子情報の書き込みを行ってしまうといった事態を回避することも可能となる。
【００７１】
つまり、本実施形態によりＲＦ−ＩＤタグが内蔵されたラベルへの電子情報の書き込みを確実に行うとともに、スループットの向上を図ることが可能となった。
【００７２】
［第２の実施形態］
上記第１の実施形態では各記録媒体（ラベル）が繋がっている連続ラベル紙を処理対象とする記録装置について説明したが、本発明は各記録媒体が分離されているカード紙を使用する場合にも同様に適用可能である。
【００７３】
図１０は、本実施形態にかかる記録装置が処理対象とする記録媒体としてのＲＦ−ＩＤタグ内蔵カード１００１の模式図である。ＲＦ−ＩＤタグ１００５は書き込まれる電子情報を記憶するための不揮発性メモリを搭載したＩＣチップ１００３とループアンテナ１００２とから構成され、表面は、紙、もしくはＰＥＴ樹脂のフィルム１００４により覆われている。
【００７４】
ＲＦ−ＩＤタグ内蔵カード１００１は電源を持たず、記録装置に配設されたＲＦ−ＩＤ用通信アンテナが発生する電波を利用して電力を創成する。これを内部電源としてＲＦ−ＩＤタグ内蔵カード１００１では、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナから送信される電子情報をＲＦ−ＩＤタグ１００５に書き込む。
【００７５】
図１１は、本実施形態にかかる記録装置１１００の概略構成を示す断面図である。なお、ここでは説明の簡略化のため、上記第１の実施形態にかかる記録装置１０１と異なる部分について説明する。
【００７６】
ラインヘッド１１０５の下側に位置する搬送部１１０２では、給紙トレイユニット１１０７に積載されたＲＦ−ＩＤタグ内蔵カード１００１を、記録部１１１１に搬送する。ＲＦ−ＩＤタグ内蔵カード１００１が搬送されると、ＴＯＦセンサ１１０４によりその位置が管理される。
【００７７】
そして、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ１１０３の通信位置に搬送されると、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ１１０３を介して、内蔵されたＲＦ−ＩＤタグ１００５からＲＦ−ＩＤタグの固有情報が読み取られる。
【００７８】
さらに、ＲＦ−ＩＤタグ内蔵カード１００１が印刷位置まで搬送されると、６つの記録ヘッド１１０６Ｂｋ、１１０６Ｃ、１１０６ＬＣ、１１０６Ｍ、１１０６ＬＭ、１１０６Ｙによってインクが吐出され、ＲＦ−ＩＤタグ内蔵カード１００１上に画像が印刷される。
【００７９】
印刷が完了し、ＲＦ−ＩＤタグ通信機能付スタッカーユニット１１０８に排出されたＲＦ−ＩＤタグ内蔵カード１００１は、スタッカー１１０９に積載されると同時に、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ１１１０を介してＲＦ−ＩＤタグへの電子情報の書き込みが行われる。
【００８０】
この際、書き込む電子情報と書き込み先のＲＦ−ＩＤタグとの整合性をとるために、本実施形態にかかる記録装置１１００では、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ１１０３により読み取られた固有情報を利用する。これにより書き込む際のＲＦ−ＩＤタグの識別が確実に行われる。
【００８１】
以上の説明から明らかなように、ＲＦ−ＩＤタグ内蔵カードを処理対象とする記録装置についても同様に本発明を適用することが可能である。
【００８２】
［第３の実施形態］
上記第１及び第２の実施形態では、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０７または１１１０
の通信範囲内に、記録媒体が搬送されたことを契機として、電子情報の書き込みを開始することとしたが、本発明はこれに限られない。例えば、指定された数の記録媒体に対して印刷を終えたことを契機として、電子情報の書き込みを開始するようにしてもよい。
【００８３】
［その他の実施形態］
本発明ではフルラインタイプのインクジェット方式の印刷装置に関する説明をしたが、インクジェット方式位階の記録ヘッドを持つプリンタ、すなわち感熱式、熱転写式、電子写真式等の他の記録方式、或いはモノクロの印刷装置にも適用することが可能である。
【００８４】
尚、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、１つの機器からなる装置に適用してもよい。上述した実施形態の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記憶した記憶媒体等の媒体をシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ（またはＣＰＵやＭＰＵ）が記憶媒体等の媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、本発明が達成されることは言うまでもない。
【００８５】
この場合、記憶媒体等の媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体等の媒体は本発明を構成することになる。プログラムコードを供給するための記憶媒体等の媒体としては、例えば、フロッピー（登録商標）ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、ＣＤ−ＲＯＭ、ＣＤ−Ｒ、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ＲＯＭ、或いはネットワークを介したダウンロードなどを用いることができる。
【００８６】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているＯＳなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も、本発明に含まれることは言うまでもない。
【００８７】
更に、記憶媒体等の媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるＣＰＵなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も、本発明に含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【００８８】
【図１】本発明の第１の実施形態にかかる記録装置とホストとを使用した記録システムの構成図である。
【図２】記録装置が記録媒体として使用するＲＦ−ＩＤタグが内蔵されたラベルが長手方向に複数仮着された連続ラベル紙の模式図である。
【図３】記録装置のハードウェア構成を示す図である。
【図４】記録装置が備える記録ヘッド及びＲＦ−ＩＤ用通信アンテナの配置を示した図である。
【図５】記録装置の制御機能を示すブロック図である。
【図６】ホストから記録装置に送信される制御コマンドの構造を示した図である。
【図７】ホスト１００から送信される種々の制御コマンドの構造を示した図である。
【図８】印刷処理および書き込み処理の概要を説明するための図である。
【図９】印刷処理および書き込み処理の流れを示すフローチャートである。
【図１０】本発明の第２の実施形態にかかる記録装置が処理対象とする記録媒体としてのＲＦ−ＩＤタグ内蔵カードの模式図である。
【図１１】本発明の第２の実施形態にかかる記録装置の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【００８９】
１００ ホストコンピュータ
１０１ 記録装置
１０２ 給紙部
１０３ 上部カバー
１０４ 前カバー
１０５ 電源スイッチ
１０６ 操作パネル
１０７ プリンタケーブル
１０８ 記録部
１０９ 巻き取り部
１１０ ＬＥＤ
１１１ ＬＣＤ
１１２ ボタン
２００ 連続ラベル紙
２０１ ラベル
２０２ ループアンテナ
２０３ ＩＣチップ
２０４ フィルム
２０５ ＲＦ−ＩＤタグ
【技術分野】
【０００１】
本発明は、記録装置における制御技術に関するものであり、特にＲＦ−ＩＤタグを内蔵する記録媒体に対する電子情報の書き込み機能を備える記録装置における制御技術に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年、非接触で電子情報の送受信が可能なＲＦ−ＩＤ（Ｒａｄｉｏ Ｆｒｅｑｕｅｎｃｙ Ｉｄｅｎｔｉｆｉｃａｔｉｏｎ）を用いたシステムが普及しつつある。ＲＦ−ＩＤシステムは、主に、電子情報を記憶するための不揮発性メモリを搭載したＩＣチップとＩＣチップに電気的に接続されたアンテナとを備えるＲＦ−ＩＤタグと、該ＲＦ−ＩＤタグをコントロールするＲＦ−ＩＤリーダ／ライタとから構成されている。
【０００３】
当該システムの特徴は、電子情報の新規書き込みや記憶が可能であることに加え、複数のＲＦ−ＩＤタグと同時に通信を行うことができ、かつ障害物等の影響を受けにくい点にある。このため、例えば、ＲＦ−ＩＤタグを商品等に搭載させることで、当該商品の流通管理システム等を構築することができる。
【０００４】
ここで、ＲＦ−ＩＤタグを商品等に搭載するための搭載方法としては様々な方法がある。その中でも、ＲＦ−ＩＤタグを商品情報等が印刷されるラベル（記録媒体）に内蔵させ、該ラベルを商品等に貼り付けることで、ＲＦ−ＩＤタグを商品に搭載する方法が一般的に知られている。
【０００５】
通常、このようなラベルを用いて商品管理システム等を構築するにあたっては、該ラベル表面への印刷処理とＲＦ−ＩＤタグへの電子情報の書き込み処理とを予め行っておく必要がある。しかし、これらの処理を別々の装置を用いて分担して行ったのでは手間がかかることから、最近では、記録装置にＲＦ−ＩＤリーダ／ライタを搭載させ、ラベル表面への印刷処理と、ＲＦ−ＩＤタグへの電子情報の書き込み処理とを一括して行うことが可能なＲＦ−ＩＤタグ書き込み機能付きの記録装置が普及しつつある。
【０００６】
そして、これまで、このようなＲＦ−ＩＤタグ書き込み機能付きの記録装置では、ＲＦ−ＩＤリーダ／ライタが備えるＲＦ−ＩＤ用通信アンテナの下に、ＲＦ−ＩＤタグが内蔵されたラベルを移動させた後、該ラベルの搬送を一旦停止させたうえで（つまり搬送停止状態にて）、電子情報の書き込みを行うのが一般的であった。
【０００７】
これは、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナのサイズの違いや、使用されているＩＣチップの違いなどによりＲＦ−ＩＤタグごとに、書き込み可能な最大容量や通信時間が異なってくるため、電子情報を確実に書き込むことができるようにするための措置である。
【０００８】
しかしながら、上記ＲＦ−ＩＤタグ書き込み機能付きの記録装置の場合、ラベル表面への印刷処理用として複数のフルラインヘッドをラベルの搬送方向に並べて配置する構成を採っており、印刷処理に関しては搬送を停止させることなく連続して行うことができるようになっている。このため、上述のようにＲＦ−ＩＤタグへの電子情報の書き込み処理のためだけに、搬送を停止させるのは、全体のスループットを向上させるうえで望ましくない。
【０００９】
このような背景のもと、ラベルの搬送を停止させることなく、搬送状態でＲＦ−ＩＤタグへの電子情報の書き込みが可能な記録装置の提案がなされている。
【００１０】
例えば、下記特許文献１では、ＲＦ−ＩＤタグが内蔵されたラベルが複数配された連続ラベル紙の搬送を停止させることなく、ＲＦ−ＩＤタグに対して確実に電子情報を書き込むことができるように、印刷条件や通信条件に基づいて連続ラベル紙の搬送速度を制御することとしている。
【特許文献１】特開２００５−１６１５７４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
しかしながら、上記特許文献１のように、印刷条件や通信条件に応じて搬送速度を制御することとすると、一部のＲＦ−ＩＤタグの印刷条件や通信条件が原因で、連続ラベル紙全体のスループットが著しく抑えられてしまうことが考えられる。特に、通信時間のかかる大容量の電子情報が含まれる場合には、これが顕著である。
【００１２】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ＲＦ−ＩＤタグが内蔵された記録媒体への電子情報の書き込みを確実に行うとともに、スループットの向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１３】
上記の目的を達成するために本発明に係る記録装置は以下のような構成を備える。即ち、
ＲＦ−ＩＤタグを内蔵する複数の記録媒体が長手方向に仮着された帯状の台紙を巻き回す第１のローラと、該第１のローラより供給された該台紙を巻き取る第２のローラとを制御することで、該台紙の搬送を行う搬送手段と、
前記搬送手段により前記台紙が搬送されることにより順に搬送されるＲＦ−ＩＤタグの識別子を、前記第１のローラと前記第２のローラとの間において読み取る読取手段と、
前記順に搬送されるＲＦ−ＩＤタグが内蔵された前記記録媒体表面に、印刷を行う印刷手段と、
前記読取手段により読み取られた各識別子と、対応する前記ＲＦ−ＩＤタグに書き込まれるべき各電子情報とを関連付けて格納する格納手段と、
前記搬送手段により前記第２のローラに前記台紙が巻き取られた状態にある前記ＲＦ−ＩＤタグに対して、前記格納手段に格納された各識別子に関連付けられた前記電子情報を書き込む書込手段とを備える。
【発明の効果】
【００１４】
本発明によれば、ＲＦ−ＩＤタグが内蔵された記録媒体への電子情報の書き込みを確実に行うとともに、スループットの向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について、具体的かつ詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態では、インクジェット方式に従うフルライン記録ヘッドを用いた記録装置を備える記録システムを例に挙げて説明する。
【００１６】
なお、この明細書において、「印刷」（「プリント」という場合もある）とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体表面に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【００１７】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【００１８】
さらに、「インク」（「液体」と言う場合もある）とは、上記「印刷（プリント）」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理（例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化）に供され得る液体を表すものとする。
【００１９】
［第１の実施形態］
＜記録システムの構成＞
図１は本発明の第１の実施形態にかかるインクジェット方式に従うフルライン記録ヘッドを用いたカラー記録装置１０１（以下、記録装置という）と、ホストコンピュータ１００（以下、ホストという）とを使用した記録システムの構成図である。図１に示すように、記録装置１０１とホスト１００とは、プリンタケーブル１０７で接続され、ホスト１００で処理された各種データは記録装置１０１にて記録されるように構成されている。
【００２０】
記録装置１０１は、後述のフルライン記録ヘッド（以下、記録ヘッドという）やＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ、及び搬送部を覆うための上部カバー１０３と、記録ヘッドに供給される記録剤としての液体インクを貯蓄するタンク部を覆うための前カバー１０４と、記録媒体（ＲＦ−ＩＤタグが内蔵されたラベル）が帯状の台紙の長手方向に複数仮着された連続ラベル紙（後述）を記録部１０８に給送する給紙部１０２と、記録部１０８から搬送される連続ラベル紙を巻き取る巻き取り部１０９とによりその外郭が構成されている。
【００２１】
さらに、図１において、１０５は記録装置１０１の電源スイッチ、１０６は記録装置１０１に操作環境の設定を行うための入力手段や記録装置のエラー発生状況をユーザに知らせるための表示手段等を備えた操作パネルである。操作パネルは、ＬＥＤ１１０、ＬＣＤ１１１、ボタン１１２から構成される。
【００２２】
＜連続ラベル紙の構成＞
図２は記録装置１０１が処理対象とする記録媒体（ＲＦ−ＩＤタグが内蔵されたラベル）が台紙の長手方向に複数仮着された連続ラベル紙２００の模式図である。
【００２３】
図２に示す連続ラベル紙２００は、裏面が粘着加工されたラベル２０１とそのラベルを連続紙として固定するための台紙２０６とからなり、ラベル２０１には、ＲＦ−ＩＤタグ２０５が内蔵されている。ＲＦ−ＩＤタグ２０５は書き込まれる電子情報を記憶するための不揮発性メモリを搭載したＩＣチップ２０３とループアンテナ２０２とから構成されている。
【００２４】
ＲＦ−ＩＤタグ２０５は電源を持たず、記録装置１０１に配設される後述のＲＦ−ＩＤ用通信アンテナが発生する電波を利用して電力を創成する。これを内部電源としてＲＦ−ＩＤタグ２０５では、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナから送信される電子情報をＩＣチップに書き込む。
【００２５】
＜記録装置のハードウェア構成＞
次に記録装置１０１のハードウェア構成について、図３〜図５を用いて説明する。図３は、図１に示した記録装置１０１のハードウェア構成を示す断面図であり、図４は図１に示した記録装置１０１の記録部１０８における記録ヘッド及びＲＦ−ＩＤ用通信アンテナの配置を説明するための斜視図である。また、図５は、図１に示した記録装置１０１の巻き取り部１０９に取り付けられたＲＦ−ＩＤ用通信アンテナの配置を説明するための斜視図である。
【００２６】
記録装置１０１には最大６色の異なるインクを用いて記録することができるように６つの記録ヘッドが備えられている。具体的には、図３及び図４に示されているように、連続ラベル紙２００の搬送方向の上流方向から順に、ブラックインクを吐出する記録ヘッド３０６Ｂｋ、シアンインクを吐出する記録ヘッド３０６Ｃ、淡シアンインクを吐出する記録ヘッド３０６ＬＣ、マゼンタインクを吐出する記録ヘッド３０６Ｍ、淡マゼンタインクを吐出する記録ヘッド３０６ＬＭ、及びイエロインクを吐出する記録ヘッド３０６Ｙが備えられている。なお、以下、これら６つの記録ヘッドを総称して言及するときには参照番号３０５を用いることとする。
【００２７】
記録装置１０１には、さらに、図３及び図４に示すように連続ラベル紙２００が張架された状態において（供給ローラ３０９と巻き取りローラ３０８との間において）、ＲＦ−ＩＤタグの固有情報（識別子）を読み取るＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０３が、記録ヘッド３０５の上流側に設けられている。
【００２８】
また、図３及び図５に示すように、記録ヘッド３０５の下流側には、連続ラベル紙２００が巻き取りローラ３０８に巻き回された状態にあるＲＦ−ＩＤタグに電子情報を書き込むＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０７が設けられている。
【００２９】
また、図３に示すように、記録ヘッド３０５の下側には搬送部３０２が配されており、該搬送部３０２により、給紙部１０２にセットされた連続ラベル紙２００が記録部１０８に搬送される。連続ラベル紙２００が搬送されると、ＴＯＦセンサ３０４が動作し、連続ラベル紙２００上のラベル２０１の位置が管理される。
【００３０】
更に、ラベル２０１がＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０３の通信位置まで順に搬送されると、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０３がラベル内に内蔵されたＲＦ−ＩＤタグ２０５と通信を行い、ＲＦ−ＩＤタグの固有情報（識別子）の読み取りを行う（図４参照）。
【００３１】
さらに、ラベル２０１が印刷位置まで順に搬送されると、６つの記録ヘッド３０６Ｂｋ、３０６Ｃ、３０６ＬＣ、３０６Ｍ、３０６ＬＭ、３０６Ｙによってインクが吐出され、ラベル２０１上に画像が印刷される（図４参照）。
【００３２】
印刷が完了したラベル２０１は、巻き取りローラ３０８により巻き取りが行われるとともに、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０７によりＲＦ−ＩＤタグ２０５への電子情報の書き込みが行われる（図５参照）。
【００３３】
この際、書き込む電子情報と書き込み先のＲＦ−ＩＤタグとの整合性をとるために、記録装置１０１ではＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０３により読み取られた固有情報を利用する。これにより書き込む際のＲＦ−ＩＤタグの識別が確実に行われる。
【００３４】
図３に戻る。搬送部３０２の下には、各記録ヘッド３０６Ｂｋ、３０６Ｃ、３０６ＬＣ、３０６Ｍ、３０６ＬＭ、３０６Ｙに供給される専用のインクを貯蓄するタンク部３０１が着脱自在に固定されている。
【００３５】
＜記録装置の機能構成＞
次に記録装置１０１の機能構成について説明する。図６は記録装置１０１の制御構成を示すブロック図である。
【００３６】
図６において、６０１は記録装置１０１全体を制御するメインコントローラであり、ＣＰＵ６０１ａを内蔵し、後述する制御コマンドを記憶するための記憶制御機能、データ制御機能、及び、印刷ならびに書き込み動作に必要な種々の設定のための設定制御機能などを有する。メインコントローラ６０１はインタフェース（不図示）を介してホスト１００に接続され、互いに信号の授受を行うことができる。
【００３７】
また、６０２はメインコントローラ６０１に接続され、制御プログラムなどを格納するＲＯＭであり、それらのプログラムに従いメインコントローラ６０１はＲＡＭ６１２を作業領域として使用する。
【００３８】
また、ＲＡＭ６１２にはホスト１００から転送されＲＦ−ＩＤタグ２０５に書き込む電子情報と、メインコントローラ６０１に接続されたＲＦ−ＩＤ通信回路６０９がＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０３を介して読み取ったＲＦ−ＩＤタグの固有情報とを関連付けた関連付けテーブル（後述）が格納される。
【００３９】
また、メインコントローラ６０１に接続されたＲＦ−ＩＤ通信回路６１３は、ＲＡＭ６１２に格納された電子情報と関連付けられたＲＦ−ＩＤタグの固有情報に基づいてＲＦ−ＩＤタグを識別し、該識別したＲＦ−ＩＤタグに対してＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０７を通して電子情報の書き込みを行う。
【００４０】
６０６はホスト１００から送信されてきた印刷データを格納するイメージバッファメモリであり、６０６Ｂｋはブラック成分の印刷データを一時的に格納するブラックイメージバッファメモリ、同様に６０６Ｃ、６０６ＬＣ、６０６Ｍ、６０６ＬＭ、６０６Ｙはシアン成分、マゼンタ成分、淡マゼンタ成分、シアン成分、淡シアン成分、イエロ成分の印刷データを一時的に格納するイメージバッファメモリである。
【００４１】
６０３は記録ヘッド３０６Ｂｋ、３０６Ｃ、３０６ＬＣ、３０６Ｍ、３０６ＬＭ、３０６Ｙに内蔵される発熱体（不図示）を駆動させるヘッド駆動回路である。メインコントローラ６０１に接続されたドライバコントローラ６０７が、イメージバッファメモリ６０６に格納された各色成分の印刷データに従って、ヘッド駆動回路６０３を制御することで印刷データが印刷される。
【００４２】
６０４Ｄは搬送部３０２に設けられたフィードモータ６０４を駆動するモータドライバ、６００は給紙部１０２の連続ラベル紙を記録部１０８に供給する供給ローラ３０９を駆動するモータ６０５を制御する給紙機構駆動回路、６１４は印刷された連続ラベル紙２００を巻き取る巻き取りローラ３０８を駆動するモータ６０８を制御する巻き取り機構駆動回路であり、いずれもメインコントローラ６０１によって制御される。
【００４３】
また、６１１は前述したＴＯＦセンサ３０４を含む種々のセンサを総称したセンサ回路である。
【００４４】
＜制御コマンドの構造＞
図７はホスト１００から送信される種々の制御コマンドの構造を示した図である。図７に示すように、全てのコマンドは、そのコマンドの先頭にコマンドの種類を識別する識別コードが配置され、その識別コードに続いて、そのコマンドに関する付帯的な指示を設定するオペランドが配置されている。なお、コマンドの種類によっては、オペランドがなく、識別コードのみで構成される場合もある。
【００４５】
制御コマンドとしては、連続ラベル紙２００のサイズ等を設定する用紙設定コマンド７０１、印刷データの印刷位置の基準となる位置を設定をするフォーマットコマンド７０２、記録装置１０１本体の動作設定をする記録装置動作設定コマンド７１２、文字、イメージ、ＲＦ−ＩＤタグ夫々の詳細情報を設定するデータコマンド７０３、７０４、７０５、印刷データの終了を示しジョブの開始を指示するジョブ開始コマンド７１０などがある。
【００４６】
それらのコマンドは記録コマンド転送例７１１に示されるようなコマンド列としてホスト１００から記録装置１０１に出力される。
【００４７】
なお、ＲＦ−ＩＤタグ２０５のＩＣチップ２０３の種類は、用紙設定コマンド７０１のＩＣチップタイプオペランド７０６に、ＲＦ−ＩＤタグサイズは、ＲＦ−ＩＤタグ取付位置オペランド７０７に設定される。
【００４８】
また、記録装置１０１の給紙モードは記録装置動作設定コマンド７１２の給紙モードオペランド７１３に、記録装置１０１の搬送速度は搬送速度オペランド７１４に、記録装置１０１のＲＦ−ＩＤタグ通信開始位置の設定はＲＦ−ＩＤタグ通信開始位置オペランド７１５に設定される。ＲＦ−ＩＤタグ通信開始位置オペランドは、ラベル２０１の先端を検出してから、ＲＦ−ＩＤタグ２０５との通信を開始するまでの搬送距離を設定するオペランドとなる。
【００４９】
ＩＣチップ２０３への書き込みデータ量はＲＦ−ＩＤデータコマンド７０５のデータ長オペランド７０８に設定され、書き込みデータはデータオペランド７０９に設定される。
【００５０】
＜印刷処理および書き込み処理の概要＞
次に、記録装置１０１におけるラベル２０１表面への印刷処理及びＲＦ−ＩＤタグ２０５への電子情報の書き込み処理について、図８〜図９を参照して説明する。
【００５１】
図８の右側は、それぞれ供給ローラ３０９と巻き取りローラ３０８との間に張架された連続ラベル紙２００上の所定のラベル２０１が所定の位置まで搬送された様子を示しており、８０１及び８０２は、それぞれＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０３、３０７の通信範囲を示している。また、図８の左側は、それぞれ、対応する関連付けテーブル８０３の記載内容を示している。
【００５２】
このうち、図８（ａ）は、ホスト１００から受信した各ラベル２０１表面に印刷する印刷データ８０４−１及びＲＦ−ＩＤタグ２０５に書き込む電子情報８０４−２に対して、１番目のＲＦ−ＩＤタグから読み取った固有情報８０５の関連付けを行った様子を示す図である。
【００５３】
具体的には、印刷データ＝Ａ、電子情報＝Ａに対して、固有情報＝００１０が関連付けられた様子を示している。
【００５４】
また、図８（ｂ）は、ラベル２０１への印刷を開始した様子を示す図である。ラベル２０１が記録ヘッド３０５の下を搬送されることにより、ラベル２０１の表面に印刷データ＝Ａが印刷された様子を示している。また、２番目のＲＦ−ＩＤタグから読み取った固有情報（固有情報＝０２０１）が印刷データ＝Ｂ、電子情報＝Ｂに関連付けられた様子を示している。
【００５５】
更に、図８（ｃ）は、ＲＦ−ＩＤタグへの電子情報の書き込みを行った様子を示す図である。この時点で、１番目から５番目までのラベルの表面への印刷データの印刷は完了している（印刷データ＝Ａ〜印刷データ＝Ｅ）。また、１番目から６番目までのラベルに内蔵されたそれぞれのＲＦ−ＩＤタグから読み取った固有情報が、印刷データ８０４−１及び電子情報８０４−２に関連付けられている。そして、１番目と２番目のラベルに内蔵されたＲＦ−ＩＤタグについては、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０７の通信範囲８０２に到達しているため、電子情報の書き込みが行われている。
【００５６】
更に、図８（ｄ）はＲＦ−ＩＤタグへの書き込みが終了した電子情報及び印刷データを消去した様子を示す図である。この時点で、１番目から７番目までのラベルの表面への印刷データの印刷が完了している（印刷データ＝Ａ〜印刷データ＝Ｆ）。また、１番目から７番目までのラベルにそれぞれ内蔵されたＲＦ−ＩＤタグから読み取られた固有情報が、印刷データ８０４−１及び電子情報８０４−２に関連付けられている。そして、ＲＦ−ＩＤタグへの電子情報の書き込みが完了した１番目と２番目のラベルについての印刷データ８０４−１及び電子情報８０４−２が、関連付けテーブル８０３から消去されている。更に、３番目のラベルに内蔵されたＲＦ−ＩＤタグは、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０７の通信範囲８０２に到達しているため、該ＲＦ−ＩＤタグに対して電子情報の書き込みが行われている。
【００５７】
＜印刷処理及び書き込み処理の流れ＞
次に、印刷処理及び書き込み処理の流れについて、図９のフローチャートを用いて詳細に説明する。尚、この処理は記録装置１０１のＣＰＵ６０１ａが、例えば、ＲＯＭ６０２に格納された制御プログラムを実行することにより実現される。
【００５８】
記録枚数や用紙サイズ、ＲＦ−ＩＤタグ通信開始位置、ＩＣチップ２０３の種類などの各種パラメータと印刷データ、及びＩＣチップ２０３に書き込む電子情報は、処理を指示するコマンドと共にホスト１００から記録装置１０１に送信される。
【００５９】
ここで、ＲＯＭ６０２に格納された制御プログラムが起動されると、ステップＳ９０１では、ホスト１００から送信される各種情報を受信する。このうち、印刷データについてはイメージバッファメモリ６０６Ｂｋ〜６０６Ｙに、電子情報についてはＲＡＭ６１２にそれぞれ記憶される。
【００６０】
ステップＳ９０１での受信処理を終了すると、ステップＳ９０２では、連続ラベル紙の搬送を開始する。
【００６１】
搬送された連続ラベル紙が図８（ａ）のようにＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０３の通信範囲８０１に移動したと判定された場合には、ステップＳ９０３に進む。
【００６２】
ステップＳ９０３では、連続ラベル紙２００に仮着されているそれぞれのラベル２０１に内蔵されたＲＦ−ＩＤタグから、ＲＦ−ＩＤタグの固有情報を読み取る。ステップ９０４では、ステップＳ９０３において読み取られた固有情報を、印刷データならびに電子データと関連付けて関連付けテーブル８０３に登録する。
【００６３】
続いて連続ラベル紙が印刷位置に到達すると、ステップＳ９０５に進み、連続ラベル紙２００の各ラベル表面に、関連付けテーブル８０３に登録されている印刷データを印刷する。印刷が終了すると、ステップＳ９０６では、連続ラベル紙２００を巻き取り部１０９の巻き取りローラ３０８により巻き取る。
【００６４】
巻き取りローラ３０８により巻き取られた連続ラベル紙は、図８（ｃ）に示すようにＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０７の通信範囲８０２に入る。このため、ステップＳ９０７では、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０７が通信範囲８０２にあるラベルに内蔵されたＲＦ−ＩＤタグの固有情報を読み取り、当該読み取った固有情報に基づいて関連付けテーブル８０３を参照することで、当該ラベルに内蔵されているＲＦ−ＩＤタグに書き込むべき電子情報を取得する。そして、固有情報を指定して対応するＲＦ−ＩＤタグに、取得した電子情報を書き込む。
【００６５】
ＲＦ−ＩＤタグへの電子情報の書き込みが終了すると、ステップＳ９０８では、図８（ｄ）のように書き込みが終了したページ情報に関連付けられた印刷データ、電子情報、固有情報を関連付けテーブル８０３から消去する。以降、連続ラベル紙２００上に仮着されたすべてのラベルに対して同様の処理が実行される。
【００６６】
以上の説明から明らかなように、本実施形態にかかる記録装置では、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナとして、固有情報の読み取り用と電子情報の書き込み用の２つのＲＦ−ＩＤ用通信アンテナを配することとした。
【００６７】
このうち、固有情報の読み取り用のＲＦ−ＩＤ用通信アンテナについては、供給ローラと巻き取りローラとの間において、該連続ラベル紙のラベルに内蔵されたＲＦ−ＩＤタグの固有情報を読み取ることができるように配置した。また、電子情報の書き込み用のＲＦ−ＩＤ用通信アンテナについては、巻き取りローラにより連続ラベル紙が巻き取られた状態で、該連続ラベル紙のラベルに内蔵されたＲＦ−ＩＤタグに電子情報の書き込みを行うことができるように配置した。更に、巻き取りローラにより巻き取られた連続ラベル紙のラベルに内蔵されたＲＦ−ＩＤタグをすべて網羅するように通信範囲を規定した。
【００６８】
これにより、固有情報の読み取り用のＲＦ−ＩＤ用通信アンテナでは、書き込まれる電子情報のデータ量とは無関係に通信を行うことが可能となり、データ量に応じて搬送速度を変える必要がなくなり、スループットの向上を図ることが可能となった。
【００６９】
また、電子情報の書き込み用のＲＦ−ＩＤ用通信アンテナでは、連続ラベル紙の搬送速度と無関係に通信時間を確保することができるため、従来のように、搬送速度が速いために電子情報の書き込みが追いつかず、書き込みミスが生じるといった事態や電子情報のデータ量に応じて搬送速度を下げるといった事態を回避させることが可能となった。
【００７０】
更に、固有情報の読み取り用のＲＦ−ＩＤ用通信アンテナにより読み取られた固有情報と印刷データならびに電子情報とが関連付けられた関連付けテーブルに基づいて、固有情報を指定しながら、電子情報の書き込みを行うため、誤ったＲＦ−ＩＤタグに電子情報の書き込みを行ってしまうといった事態を回避することも可能となる。
【００７１】
つまり、本実施形態によりＲＦ−ＩＤタグが内蔵されたラベルへの電子情報の書き込みを確実に行うとともに、スループットの向上を図ることが可能となった。
【００７２】
［第２の実施形態］
上記第１の実施形態では各記録媒体（ラベル）が繋がっている連続ラベル紙を処理対象とする記録装置について説明したが、本発明は各記録媒体が分離されているカード紙を使用する場合にも同様に適用可能である。
【００７３】
図１０は、本実施形態にかかる記録装置が処理対象とする記録媒体としてのＲＦ−ＩＤタグ内蔵カード１００１の模式図である。ＲＦ−ＩＤタグ１００５は書き込まれる電子情報を記憶するための不揮発性メモリを搭載したＩＣチップ１００３とループアンテナ１００２とから構成され、表面は、紙、もしくはＰＥＴ樹脂のフィルム１００４により覆われている。
【００７４】
ＲＦ−ＩＤタグ内蔵カード１００１は電源を持たず、記録装置に配設されたＲＦ−ＩＤ用通信アンテナが発生する電波を利用して電力を創成する。これを内部電源としてＲＦ−ＩＤタグ内蔵カード１００１では、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナから送信される電子情報をＲＦ−ＩＤタグ１００５に書き込む。
【００７５】
図１１は、本実施形態にかかる記録装置１１００の概略構成を示す断面図である。なお、ここでは説明の簡略化のため、上記第１の実施形態にかかる記録装置１０１と異なる部分について説明する。
【００７６】
ラインヘッド１１０５の下側に位置する搬送部１１０２では、給紙トレイユニット１１０７に積載されたＲＦ−ＩＤタグ内蔵カード１００１を、記録部１１１１に搬送する。ＲＦ−ＩＤタグ内蔵カード１００１が搬送されると、ＴＯＦセンサ１１０４によりその位置が管理される。
【００７７】
そして、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ１１０３の通信位置に搬送されると、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ１１０３を介して、内蔵されたＲＦ−ＩＤタグ１００５からＲＦ−ＩＤタグの固有情報が読み取られる。
【００７８】
さらに、ＲＦ−ＩＤタグ内蔵カード１００１が印刷位置まで搬送されると、６つの記録ヘッド１１０６Ｂｋ、１１０６Ｃ、１１０６ＬＣ、１１０６Ｍ、１１０６ＬＭ、１１０６Ｙによってインクが吐出され、ＲＦ−ＩＤタグ内蔵カード１００１上に画像が印刷される。
【００７９】
印刷が完了し、ＲＦ−ＩＤタグ通信機能付スタッカーユニット１１０８に排出されたＲＦ−ＩＤタグ内蔵カード１００１は、スタッカー１１０９に積載されると同時に、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ１１１０を介してＲＦ−ＩＤタグへの電子情報の書き込みが行われる。
【００８０】
この際、書き込む電子情報と書き込み先のＲＦ−ＩＤタグとの整合性をとるために、本実施形態にかかる記録装置１１００では、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ１１０３により読み取られた固有情報を利用する。これにより書き込む際のＲＦ−ＩＤタグの識別が確実に行われる。
【００８１】
以上の説明から明らかなように、ＲＦ−ＩＤタグ内蔵カードを処理対象とする記録装置についても同様に本発明を適用することが可能である。
【００８２】
［第３の実施形態］
上記第１及び第２の実施形態では、ＲＦ−ＩＤ用通信アンテナ３０７または１１１０
の通信範囲内に、記録媒体が搬送されたことを契機として、電子情報の書き込みを開始することとしたが、本発明はこれに限られない。例えば、指定された数の記録媒体に対して印刷を終えたことを契機として、電子情報の書き込みを開始するようにしてもよい。
【００８３】
［その他の実施形態］
本発明ではフルラインタイプのインクジェット方式の印刷装置に関する説明をしたが、インクジェット方式位階の記録ヘッドを持つプリンタ、すなわち感熱式、熱転写式、電子写真式等の他の記録方式、或いはモノクロの印刷装置にも適用することが可能である。
【００８４】
尚、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、１つの機器からなる装置に適用してもよい。上述した実施形態の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記憶した記憶媒体等の媒体をシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ（またはＣＰＵやＭＰＵ）が記憶媒体等の媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、本発明が達成されることは言うまでもない。
【００８５】
この場合、記憶媒体等の媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体等の媒体は本発明を構成することになる。プログラムコードを供給するための記憶媒体等の媒体としては、例えば、フロッピー（登録商標）ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、ＣＤ−ＲＯＭ、ＣＤ−Ｒ、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ＲＯＭ、或いはネットワークを介したダウンロードなどを用いることができる。
【００８６】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているＯＳなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も、本発明に含まれることは言うまでもない。
【００８７】
更に、記憶媒体等の媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるＣＰＵなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も、本発明に含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【００８８】
【図１】本発明の第１の実施形態にかかる記録装置とホストとを使用した記録システムの構成図である。
【図２】記録装置が記録媒体として使用するＲＦ−ＩＤタグが内蔵されたラベルが長手方向に複数仮着された連続ラベル紙の模式図である。
【図３】記録装置のハードウェア構成を示す図である。
【図４】記録装置が備える記録ヘッド及びＲＦ−ＩＤ用通信アンテナの配置を示した図である。
【図５】記録装置の制御機能を示すブロック図である。
【図６】ホストから記録装置に送信される制御コマンドの構造を示した図である。
【図７】ホスト１００から送信される種々の制御コマンドの構造を示した図である。
【図８】印刷処理および書き込み処理の概要を説明するための図である。
【図９】印刷処理および書き込み処理の流れを示すフローチャートである。
【図１０】本発明の第２の実施形態にかかる記録装置が処理対象とする記録媒体としてのＲＦ−ＩＤタグ内蔵カードの模式図である。
【図１１】本発明の第２の実施形態にかかる記録装置の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【００８９】
１００ ホストコンピュータ
１０１ 記録装置
１０２ 給紙部
１０３ 上部カバー
１０４ 前カバー
１０５ 電源スイッチ
１０６ 操作パネル
１０７ プリンタケーブル
１０８ 記録部
１０９ 巻き取り部
１１０ ＬＥＤ
１１１ ＬＣＤ
１１２ ボタン
２００ 連続ラベル紙
２０１ ラベル
２０２ ループアンテナ
２０３ ＩＣチップ
２０４ フィルム
２０５ ＲＦ−ＩＤタグ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ＲＦ−ＩＤタグを内蔵する複数の記録媒体が長手方向に仮着された帯状の台紙を巻き回す第１のローラと、該第１のローラより供給された該台紙を巻き取る第２のローラとを制御することで、該台紙の搬送を行う搬送手段と、
前記搬送手段により前記台紙が搬送されることにより順に搬送されるＲＦ−ＩＤタグの識別子を、前記第１のローラと前記第２のローラとの間において読み取る読取手段と、
前記順に搬送されるＲＦ−ＩＤタグが内蔵された前記記録媒体表面に、印刷を行う印刷手段と、
前記読取手段により読み取られた各識別子と、対応する前記ＲＦ−ＩＤタグに書き込まれるべき各電子情報とを関連付けて格納する格納手段と、
前記搬送手段により前記第２のローラに前記台紙が巻き取られた状態にある前記ＲＦ−ＩＤタグに対して、前記格納手段に格納された各識別子に関連付けられた前記電子情報を書き込む書込手段と
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項２】
ＲＦ−ＩＤタグを内蔵する記録媒体を供給する供給部と、該供給部より供給された該記録媒体を収容する収容部との間において、該記録媒体の搬送を行う搬送手段と、
前記搬送手段により順に搬送された前記ＲＦ−ＩＤタグの識別子を、前記供給部と収容部との間において読み取る読取手段と、
前記搬送手段により順に搬送された前記ＲＦ−ＩＤタグが内蔵された前記記録媒体表面に、印刷を行う印刷手段と、
前記読取手段により読み取られた各識別子と、対応する前記ＲＦ−ＩＤタグに書き込まれるべき各電子情報とを関連付けて格納する格納手段と、
前記収容部に収容された状態の記録媒体に内蔵されたＲＦ−ＩＤタグに対して、該ＲＦ−ＩＤタグの識別子に関連付けて前記格納手段に格納された前記電子情報を書き込む書込手段と
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項３】
前記書込手段は、前記第２のローラに前記台紙が巻き取られた状態にある前記ＲＦ−ＩＤタグすべてと通信することができるように、通信範囲が規定されていることを特徴とする請求項１に記載の記録装置。
【請求項４】
前記書込手段は、前記収容部に収容された状態の記録媒体に内蔵されたすべてのＲＦ−ＩＤタグと通信することができるように、通信範囲が規定されていることを特徴とする請求項２に記載の記録装置。
【請求項５】
前記書込手段は、前記印刷手段が、指定された数の記録媒体への印刷を終えた場合に、前記電子情報の書き込みを行うことを特徴とする請求項１または２に記載の記録装置。
【請求項６】
前記書込手段は、前記印刷手段による印刷が既に完了している記録媒体に内蔵された前記ＲＦ−ＩＤタグが、前記搬送手段により、前記書込手段に規定されている通信範囲内に搬送された場合に、該電子情報の書き込みを行うことを特徴とする請求項１または２に記載の記録装置。
【請求項７】
ＲＦ−ＩＤタグを内蔵する複数の記録媒体が長手方向に仮着された帯状の台紙を巻き回す第１のローラと、該第１のローラより供給された該台紙を巻き取る第２のローラとを制御することで、該台紙の搬送を行う搬送工程と、
前記搬送工程において前記台紙が搬送されることにより順に搬送されるＲＦ−ＩＤタグの識別子を、前記第１のローラと前記第２のローラとの間において読み取る読取工程と、
前記順に搬送されるＲＦ−ＩＤタグが内蔵された前記記録媒体表面に、印刷を行う印刷工程と、
前記読取工程において読み取られた各識別子と、対応する前記ＲＦ−ＩＤタグに書き込まれるべき各電子情報とを関連付けて格納する格納工程と、
前記搬送工程が実行されることにより前記第２のローラに前記台紙が巻き取られた状態にある前記ＲＦ−ＩＤタグに対して、前記格納工程において格納された各識別子に関連付けられた前記電子情報を書き込む書込工程と
を備えることを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項８】
請求項７に記載の制御方法をコンピュータによって実現させるための制御プログラムを格納した記憶媒体。
【請求項９】
請求項４に記載の制御方法をコンピュータによって実現させるための制御プログラム。
【請求項１】
ＲＦ−ＩＤタグを内蔵する複数の記録媒体が長手方向に仮着された帯状の台紙を巻き回す第１のローラと、該第１のローラより供給された該台紙を巻き取る第２のローラとを制御することで、該台紙の搬送を行う搬送手段と、
前記搬送手段により前記台紙が搬送されることにより順に搬送されるＲＦ−ＩＤタグの識別子を、前記第１のローラと前記第２のローラとの間において読み取る読取手段と、
前記順に搬送されるＲＦ−ＩＤタグが内蔵された前記記録媒体表面に、印刷を行う印刷手段と、
前記読取手段により読み取られた各識別子と、対応する前記ＲＦ−ＩＤタグに書き込まれるべき各電子情報とを関連付けて格納する格納手段と、
前記搬送手段により前記第２のローラに前記台紙が巻き取られた状態にある前記ＲＦ−ＩＤタグに対して、前記格納手段に格納された各識別子に関連付けられた前記電子情報を書き込む書込手段と
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項２】
ＲＦ−ＩＤタグを内蔵する記録媒体を供給する供給部と、該供給部より供給された該記録媒体を収容する収容部との間において、該記録媒体の搬送を行う搬送手段と、
前記搬送手段により順に搬送された前記ＲＦ−ＩＤタグの識別子を、前記供給部と収容部との間において読み取る読取手段と、
前記搬送手段により順に搬送された前記ＲＦ−ＩＤタグが内蔵された前記記録媒体表面に、印刷を行う印刷手段と、
前記読取手段により読み取られた各識別子と、対応する前記ＲＦ−ＩＤタグに書き込まれるべき各電子情報とを関連付けて格納する格納手段と、
前記収容部に収容された状態の記録媒体に内蔵されたＲＦ−ＩＤタグに対して、該ＲＦ−ＩＤタグの識別子に関連付けて前記格納手段に格納された前記電子情報を書き込む書込手段と
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項３】
前記書込手段は、前記第２のローラに前記台紙が巻き取られた状態にある前記ＲＦ−ＩＤタグすべてと通信することができるように、通信範囲が規定されていることを特徴とする請求項１に記載の記録装置。
【請求項４】
前記書込手段は、前記収容部に収容された状態の記録媒体に内蔵されたすべてのＲＦ−ＩＤタグと通信することができるように、通信範囲が規定されていることを特徴とする請求項２に記載の記録装置。
【請求項５】
前記書込手段は、前記印刷手段が、指定された数の記録媒体への印刷を終えた場合に、前記電子情報の書き込みを行うことを特徴とする請求項１または２に記載の記録装置。
【請求項６】
前記書込手段は、前記印刷手段による印刷が既に完了している記録媒体に内蔵された前記ＲＦ−ＩＤタグが、前記搬送手段により、前記書込手段に規定されている通信範囲内に搬送された場合に、該電子情報の書き込みを行うことを特徴とする請求項１または２に記載の記録装置。
【請求項７】
ＲＦ−ＩＤタグを内蔵する複数の記録媒体が長手方向に仮着された帯状の台紙を巻き回す第１のローラと、該第１のローラより供給された該台紙を巻き取る第２のローラとを制御することで、該台紙の搬送を行う搬送工程と、
前記搬送工程において前記台紙が搬送されることにより順に搬送されるＲＦ−ＩＤタグの識別子を、前記第１のローラと前記第２のローラとの間において読み取る読取工程と、
前記順に搬送されるＲＦ−ＩＤタグが内蔵された前記記録媒体表面に、印刷を行う印刷工程と、
前記読取工程において読み取られた各識別子と、対応する前記ＲＦ−ＩＤタグに書き込まれるべき各電子情報とを関連付けて格納する格納工程と、
前記搬送工程が実行されることにより前記第２のローラに前記台紙が巻き取られた状態にある前記ＲＦ−ＩＤタグに対して、前記格納工程において格納された各識別子に関連付けられた前記電子情報を書き込む書込工程と
を備えることを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項８】
請求項７に記載の制御方法をコンピュータによって実現させるための制御プログラムを格納した記憶媒体。
【請求項９】
請求項４に記載の制御方法をコンピュータによって実現させるための制御プログラム。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【公開番号】特開２００９−３７５５２（Ｐ２００９−３７５５２Ａ）
【公開日】平成２１年２月１９日（２００９．２．１９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−２０３３３７（Ｐ２００７−２０３３３７）
【出願日】平成１９年８月３日（２００７．８．３）
【出願人】（０００２０８７４３）キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年２月１９日（２００９．２．１９）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年８月３日（２００７．８．３）
【出願人】（０００２０８７４３）キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Ｆターム（参考）】
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