記録装置および画像処理方法
【課題】記録に使用する複数ノズル列の使用率が異なる場合であっても濃度ムラを補正するキャリブレーション処理を実施することができる。
【解決手段】同一の色のインクを吐出する複数のノズル列を備えた記録ヘッドを用い、記録データに基づいて前記ノズル列に備えられたノズルからインクを吐出して記録を行う記録装置であって、各々の前記ノズル列の記録濃度特性を取得する記録濃度特性取得手段と、所定記録領域を記録する前記ノズル列の記録比率を設定するノズル列寄与率設定手段と、を有し、前記ノズル列の各々の前記記録濃度特性と前記ノズル列寄与率に基づいて前記記録データの色ずれ補正処理をする。
【解決手段】同一の色のインクを吐出する複数のノズル列を備えた記録ヘッドを用い、記録データに基づいて前記ノズル列に備えられたノズルからインクを吐出して記録を行う記録装置であって、各々の前記ノズル列の記録濃度特性を取得する記録濃度特性取得手段と、所定記録領域を記録する前記ノズル列の記録比率を設定するノズル列寄与率設定手段と、を有し、前記ノズル列の各々の前記記録濃度特性と前記ノズル列寄与率に基づいて前記記録データの色ずれ補正処理をする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置および画像処理方法に関し、特に、濃度ムラを補正する記録装置および画像処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、同色のインクを吐出するための、複数の記録ヘッドもしくは複数のノズル列を備えたものが知られている。複数の記録ヘッドや複数のノズル列を備えることにより、記録速度の向上を図ることができる。しかし、このような複数の記録ヘッドや複数の吐出口列を備えた記録装置では、記録画像において濃度ムラあるいは色ムラを生じることがある。これは、記録ヘッドごとあるいはノズル列ごとに吐出特性の違いが存在しあるいは生じることが1つの原因である。このような記録ヘッドごとあるいはノズル列ごとに吐出特性が異なる要因として、インクを吐出させるための発熱ヒータの発熱量のばらつきやインクを吐出するノズル(吐出口)の口径のばらつきなどが挙げられる。また、経年変化による発熱ヒータの発熱量の変動や、使用環境の違いによるインクの粘性の変動によっても、吐出特性に差が生じることがある。
【0003】
このような吐出特性の違いに起因した濃度ムラなどを抑制するために、キャリブレーション技術が知られている。このキャリブレーションは、例えば、記録ヘッドの吐出特性を補正するために画像処理の一環として行われるγ補正処理で用いるテーブルを変更することによって行われる。具体的には、記録媒体にパッチを記録し、そのパッチの記録結果からそのときの記録ヘッドもしくはノズル列ごとの吐出特性を検出し、γ補正処理で用いるテーブルを適切なものに設定し直すことにより行なわれる。記録したパッチに基づいて吐出特性を検出する方法としては、記録したパッチを目視によって検出(検査)する方法や、スキャナなどの入力機器を用いて検出する方法がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、記録装置におけるキャリッジにパッチを読み取るためのスキャナもしくは光センサを設け、このスキャナなどによって記録したパッチの濃度測定を行うことが記載されている。そして、測定結果に基づいて濃度ムラあるいは色ムラの補正(キャリブレーション)を自動で行う方法が記載されている。この方法では、各インク色の記録ヘッドについてそれぞれキャリブレーションを行い、対応する各インク色の階調ごとの濃度補正値を求めている。このように、従来知られるキャリブレーションの多くは、上記特許文献1に記載されるようにインク色ごとの1つの記録ヘッドに関して行うものである。
【0005】
これに対し、前述した記録装置のように、同じインク色について複数の記録ヘッドもしくは複数のノズル列を備える構成では、キャリブレーションは代表的な記録ヘッドもしくはノズル列に関して行う。そして、そこで求めた濃度補正値を他の記録ヘッドもしくはノズル列にも適用することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−167947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、記録ヘッドごとあるいはノズル列ごとに吐出特性の違いが存在する場合に、代表的な記ノズル列などについてのみキャリブレーションを行い、その結果求められる濃度補正値を他のノズル列などに適用する構成では、適切な濃度補正ができない。これに対して、記録ヘッドごとあるいはノズル列ごとに濃度補正値を求めたとしても、これら複数の記録ヘッドもしくはノズル列の使用比率が記録領域ごとに異なる場合には、不都合を生じる。すなわち、ノズル列ごとの異なる濃度補正量が記録領域ごとに使用比率に応じて現れることになり、記録領域間で濃度ムラを生じるという新たな問題を派生する。
【0008】
例えば、複数のノズル列がノズルの配列方向と交差する方向にオーバーラップするように配列された記録ヘッドを走査させて記録を行う記録装置では、ラスタごとに記録に使用される複数ノズル列の使用比率が異なる場合がある。この場合には、カラム方向に濃淡の変化が現れる濃度ムラが発生することがある。
【0009】
また、例えば、記録媒体に対する記録ヘッドの相対的な走査方向にノズル列が複数配列された、いわゆるフルライン方式の記録装置でも、カラムごとに記録に使用される複数ノズル列の使用比率が異なると、ラスタ方向に濃淡の濃度ムラが発生することがある。
【0010】
本発明の目的は、記録に使用する複数ノズル列の使用比率が異なる場合であっても適切な濃度ムラ補正を行うことができる記録装置および画像処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために本発明は、同一の色のインクを吐出する複数のノズル列を備えた記録ヘッドを用い、記録データに基づいて前記ノズル列のノズルからインクを吐出して記録を行う記録装置であって、複数の前記ノズル列それぞれの記録濃度特性を保持する記録濃度特性保持手段と、所定の記録領域を記録する前記ノズル列ごとの寄与率を設定するノズル列寄与率設定手段と、前記ノズル列それぞれの前記記録濃度特性と、前記ノズル列それぞれの寄与率に基づいて前記記録データの補正をする補正手段と、を具えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上の構成によれば、記録に使用するノズル列の使用比率に応じてそれぞれのノズル列の濃度補正を行うことができ、複数ノズル列の吐出特性が異なることによって生じる濃度ムラもしくは色ムラを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る記録装置およびホストシステムを含めた記録システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の記録システムに用いられている記録装置の斜視図である。
【図3】図2の記録装置に取り付けられている記録ヘッドを吐出口面から見た正面図である。
【図4】図1の記録システムに用いられている記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【図5】(a)は、図1の記録装置に取り付けられている多目的センサの平面図であり、(b)は、その断面図を模式的に示した図である。
【図6】図5の多目的センサにおけるそれぞれのセンサの入出力信号を処理する制御回路を説明するための説明図である。
【図7】図1の記録システムにおける画像データの処理の流れを説明するための説明図である。
【図8】本発明の第1の実施形態のパッチの記録開始から濃度測定までの記録装置の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施形態のノズル列とパッチとの対応関係を説明するための説明図である。
【図10】(a)および(b)は、本発明の第1の実施形態のラスタ毎の寄与率TBL設定を説明するための図である。
【図11】(a)および(b)は、同じく本発明の第1の実施形態のラスタ毎の寄与率TBL設定を説明するための図である。
【図12】画像処理動作の流れを説明するフローチャートである。
【図13】(a)および(b)は、本発明の第2の実施形態のラスタ毎の寄与率TBL設定を説明するための図である。
【図14】(a)〜(c)は、同じく本発明の第2の実施形態のラスタ毎の寄与率TBL設定を説明するための図である。
【図15】第3の実施形態に係る記録ヘッドのインク吐出口の配列を説明する図である。
【図16】(a)および(b)は、本発明の第3の実施形態のラスタ毎の寄与率TBL設定を説明するための図である。
【図17】(a)および(b)は、同じく本発明の第3の実施形態のラスタ毎の寄与率TBL設定を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下に図面を参照して本発明における実施形態を詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る記録システムの構成を示すブロック図である。ホスト装置100は、パーソナルコンピュータやデジタルカメラなど、記録装置200に接続される情報処理装置である。このホスト装置100は、CPU10と、メモリ11と、記憶部13と、キーボードやマウス等の入力部12と、記録装置200との間の通信のためのインターフェース14とを備えている。CPU10は、メモリ11に格納されたプログラムに従い、種々の処理を実行するものである。これらのプログラムは、記憶部13が記憶するためにCD−ROMなどの外部装置から供給されたり、予め記憶部13に記憶されている。
【0016】
ホスト装置100はインターフェース14を介して記録装置200と接続されており、後述する画像処理工程におけるR′、G′、B′で表される記録データと、その後の画像処理用のテーブルを記録装置200に送信する。記録装置200は、送信された画像処理情報を基に、特に後述の色処理、2値化処理等の画像処理や、本実施形態に関する記録特性の補正処理を実行する。また、画像処理を施した記録データの記録を行うことができる。
【0017】
図2は、記録装置200の機械的構成を示す概略斜視図である。記録用紙、プラスチックシート等の記録媒体1は、不図示のカセット等に複数枚が積層されることにより、記録時には不図示の給紙ローラによって1枚ずつ分離されて供給される。給紙された記録媒体は、一定間隔を隔てて配置される第1搬送ローラ3および第2搬送ローラ4により、記録ヘッドの走査に応じたタイミングで矢印A方向(以下、搬送方向、副走査方向とも称する。)に所定量ずつ搬送される。第1搬送ローラ3は、ステッピングモータ(不図示)によって駆動される駆動ローラと駆動ローラの回転にともなって回転する従動ローラの1対のローラからなる。同様に、第2搬送ローラも1対のローラからなる。なお、記録装置200は、カセットに積層された所定の大きさにカットされた記録媒体以外に、ロール状の記録媒体に記録することも可能である。
【0018】
キャリッジ6に搭載された記録ヘッド5は、YMCK各色のインクを吐出して記録を行うインクジェット方式の記録ヘッドである。本実施形態の記録ヘッド5は、分離した複数の記録ヘッドが集合して形成されている。集合体としての記録ヘッド5を形成するそれぞれの記録ヘッドはノズル列を有している。記録ヘッド5には、不図示のインクカートリッジからインクが供給される。そして、記録ヘッド5は、吐出信号に応じて駆動されることによりノズル列を形成するそれぞれのノズル(吐出口)から各色のインクを吐出する。すなわち、インクを吐出するそれぞれのノズル内には、電気熱変換素子(ヒータ)が設けられており、吐出信号に応じた電気熱変換素子の駆動により発生する熱エネルギを利用してインクに気泡を発生させ、この気泡の圧力によってインクを吐出する。
【0019】
キャリッジ6にはベルト7およびプーリ8a、8bを介してキャリッジモータ2の駆動力が伝達される。これにより、キャリッジ6はガイドシャフト9に沿って矢印B方向(以下、主走査方向とも称する。)に往復運動し、これにより、記録ヘッド5の走査を行うことができる。また、キャリッジ6の側面には後述する多目的センサが搭載されている。多目的センサは、記録媒体に吐出したインクの濃度検知や、記録媒体の幅検知、記録ヘッドから記録媒体までの距離検知などに使用される。
【0020】
以上の構成において、記録ヘッド5は、主走査方向に往復走査しながら吐出信号に応じて記録ヘッドからインクを吐出することで、記録媒体1上にインクのドットを形成して記録を行う(以下、記録走査とも称する。)ことができる。記録ヘッド5は、必要に応じてホームポジションに移動し、ホームポジション位置に設けられた吐出回復装置による回復動作を行うことにより、吐出口の目詰まり等による吐出不良の状態から回復する。記録ヘッド5による記録走査の後、搬送ローラ対3、4が駆動されて記録媒体1は矢印A方向に所定量搬送される。この記録ヘッド5の記録走査と記録媒体の搬送動作とを交互に繰り返すことにより、記録媒体1に画像等の記録を行うことができる。
【0021】
図3は、記録ヘッド5をインク吐出口(ノズル)を配設した面から見た正面図である。本実施形態の記録装置は、同一の色のインクを吐出する複数のノズル列を備えた記録ヘッドを有するものである。図3において、記録ヘッド5には記録媒体の排紙方向に向かって上部には4個のノズル列5a、5b、5cおよび5d(以下、単にノズル群または上ノズル群とも称する。)が配置されている。また、記録媒体の排紙方向に向かって下部には4個のノズル列5e、5f、5gおよび5h(以下、単にノズル群または下ノズル群とも称する。)が配置されている。ノズル群5a、5eからはシアン(C)インク、ノズル群5b、5fからはマゼンタ(M)インク、ノズル群5c、5gからはイエロー(Y)インク、ノズル群5d、5hからはブラック(K)インクがそれぞれ吐出される。なお、インク色の種類はこれらの種類のみに限られるものではない。また、集合体としての記録ヘッド5を形成する記録ヘッドのそれぞれに形成されるノズル群は、上ノズル群および下ノズル群の2群に限定されず、3群以上配列されたものであっても良い。
【0022】
このように、本実施形態では、記録ヘッド5は、複数の色のインクに対応した複数の記録ヘッドとして、各インク色のノズル列を走査方向に配列した形態のものである。そして、本実施形態では、複数のノズル列のうち、図中、上下方向に配列するそれぞれ、上ノズル群5aと下ノズル群5e、上ノズル群5bと下ノズル群5f、上ノズル群5cと下ノズル群5g、上ノズル群5dと下ノズル群5hは、それぞれ同じ色のインクを吐出するノズル群である。さらに、上ノズル群5aと下ノズル群5e、上ノズル群5bと下ノズル群5f、上ノズル群5cと下ノズル群5g、上ノズル群5dと下ノズル群5hは、走査方向に重複した部分(オーバーラップ部)を有するように配設されている。すなわち、複数のノズル列は、ノズルの配列方向と交差する方向に重複する重複部を有するように上記配列方向にずれて配列されている。
【0023】
図4は、記録装置200の制御構成を示すブロック図である。制御部20は、マイクロプロセッサ等のCPU20a、ROM20cおよびRAM20b等をメモリとして備えている。ROM20cは、CPU20aの制御プログラムや記録動作に必要なパラメータなどの各種データを格納している。RAM20bは、CPU20aのワークエリアとして使用されると共に、ホスト装置100から受信した画像データや生成した記録データなどの各種データの一時保管等を行う。また、ROM20cには図7を用いて後に説明するテーブルとしてのLUT(ルックアップテーブル)が、RAM20bにはパッチを記録するためのパッチデータがそれぞれ格納されている。なお、LUTはRAM20bに格納してもよく、パッチデータはROM20cに格納してもよい。
【0024】
制御部20は、インターフェース21を介してホスト装置100との間で画像データ等の記録に用いられるデータ、パラメータを入出力する処理や、操作パネル22から各種情報(例えば文字ピッチ、文字種類等)を入力する処理を行う。また、制御部20は、インターフェース21を介して各モータ23〜26を駆動させるためのON、OFF信号を出力する。さらに、吐出信号等をドライバ28に出力して記録ヘッドにおけるインク吐出のための駆動を制御する。
【0025】
また、この制御系は、インターフェース21、操作パネル22、多目的センサ102、ドライバ27および28を有している。ドライバ27は、CPU20aからの指示に従ってキャリッジ駆動用のモータ23、給紙ローラ駆動用のモータ24、第1搬送ローラ対駆動用のモータ25、第2搬送ローラ対駆動用のモータ26を駆動する。ドライバ28は記録ヘッド5それぞれを駆動する。
【0026】
図5(a)および(b)は、多目的センサ102を示す構成図である。図5(a)は多目的センサ102の平面図を、図5(b)は断面図を、それぞれ示している。
【0027】
多目的センサ102は、測定領域が記録ヘッド5の記録面に対し下流側に位置し、また、多目的センサ102の下面は、記録ヘッド5の下面と同位置もしくはそれよりも高くなるように配置されている。多目的センサ102は、光学素子として2つのフォトトランジスタ203および204と、3つの可視LED205、206および207と、1つの赤外LED201とを備えており、それぞれの素子の駆動は不図示の外部回路によって行われる。これらの素子は全て直径が最大部分で約4mmの砲弾型素子(一般的なφ3.0〜3.1mmサイズの量産型タイプ)である。
【0028】
なお、本実施形態では、発光素子から測定面に対して照射された照射光の照射範囲の中心点と発光素子の中心とを結ぶ直線を、発光素子の光軸、または照射軸と称する。この照射軸は、照射光の光束の中心でもある。
【0029】
赤外LED201は、XY平面と平行な記録媒体の表面(測定面)に対して45度の照射角を持つ。そして、その照射光中心である照射軸は、測定面の法線(Z軸)と平行なセンサ中心軸202と所定の位置で交差するように配置されている。この交差する位置(交点)のZ軸上における位置を基準位置とし、センサから基準位置までの距離を基準距離とする。赤外LED201の照射光は開口部によって照射光の幅が調整され、基準位置にある測定面に直径約4〜5mmの照射面(照射領域)を形成するように最適化されている。
【0030】
2つのフォトトランジスタ203および204は可視光から赤外光までの波長の光に対して感度を持っている。測定面が基準位置にあるとき、フォトトランジスタ203および204は、その受光軸が赤外LED201の反射軸と平行となるように設置されている。すなわち、反射軸に対しフォトトランジスタ203の受光軸はX方向に+2mm、Z方向に+2mm移動した位置となるように配置されている。また、フォトトランジスタ204の受光軸はX方向に−2mm、Z方向に−2mm移動した位置となるように配置されている。測定面が基準位置にあるとき、測定面と赤外LED201と可視LED205の照射軸の交点が一致し、また、この位置における2つのフォトトランジスタ203および204の受光領域がこの交点を挟むように形成される。2つの素子の間には厚さ約1mmのスペーサーがはさまれており、互いに受光した光が回り込まないような構造となっている。フォトトランジスタ側にも入光範囲を制限するために開口部が設けられており、その大きさは基準位置にある測定面の直径3〜4mmの範囲の反射光のみを受光可能となるように最適化される。なお、本実施形態においては、測定面(測定対象表面)において、受光素子が受光可能である領域(範囲)の中心点と受光素子の中心とを結ぶ線を、受光素子の光軸、または受光軸と称する。この受光軸は、測定面で反射し、受光素子に受光される反射光の光束の中心でもある。
【0031】
図5(a)および(b)において、LED205は、緑色の発光波長(約510〜530nm)を持つ単色可視LEDであり、センサ中心軸202と一致するように設置される。また、LED206は、青色の発光波長(約460〜480nm)を持つ単色可視LEDであり、図5(a)に示すように可視LED205に対しX方向に+2mm、Y方向に−2mm移動した位置に配置されている。そして、測定面が基準位置にあるとき、可視LED206の照射軸と測定面との交点位置においてフォトトランジスタ203の受光軸と交差するように配置される。さらに、LED207、は赤色の発光波長(約620〜640nm)を持つ単色可視LEDであって、図5(a)に示すように可視LED205に対しX方向に−2mm、Y方向に+2mm離れた位置にある。そして、測定面が基準位置にあるとき、可視LED207の照射軸と測定面との交点位置においてフォトトランジスタ204の受光軸と交差するように配置される。
【0032】
図6は、本実施形態に係る多目的センサ102のそれぞれのセンサの入出力信号を処理する制御回路の概略図を示している。CPU301は、赤外LED201および可視LED205〜207のオン/オフの制御信号の出力やフォトトランジスタ203、204の受光量に応じて得られる出力信号の演算などを行う。駆動回路302は、CPU301から送られるオン信号を受けてそれぞれの発光素子へ定電流を供給し発光させたり、受光素子の受光量が所定量となるようにそれぞれの発光素子の発光量を調整したりする。I/V変換回路303は、フォトトランジスタ203、204から電流値として送られてきた出力信号を電圧値に変換する。増幅回路304は、微小信号である電圧値に変換後の出力信号を、A/D変換において最適なレベルまで増幅する働きをする。A/D変換回路305は、増幅回路304で増幅された出力信号を10bitディジタル値に変換してCPU301に入力する。メモリ(不揮発性メモリなど)306は、CPU301の演算結果から所望の測定値を導き出すための参照テーブルの記録や出力値の一時的な記憶に用いられる。なお、このCPU301やメモリ306は、記録装置のCPU20aやRAM20bを用いてもよい。
【0033】
次に、記録装置200で用いる記録データを、ホスト装置100と記録装置200で生成するための画像処理方法について説明する。
【0034】
図7は、本実施形態の画像処理の構成を示すブロック図である。本実施形態の画像処理では、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)各色8ビット(それぞれ256階調)の画像データ(輝度データ)が入力される。最終的にノズル群5a〜5hにより記録される各ノズルについて1ビットのビットイメージデータ(記録データ)として出力する処理を行う。なお、色の種類や、色の階調はこの値に限るものではない。
【0035】
まず、ホスト装置100において、多次元のLUT401を用いてR、G、B多値の輝度信号で表現される画像データが、R′、G′、B′多値のデータに変換される。この色空間変換前処理(以下、前段色処理とも称する。)は、記録対象におけるR、G、Bの画像データが表わす入力画像の色空間と、記録装置200で再現可能な色空間との間の差を補正するために行なわれる。
【0036】
前段色処理を施されたR′、G′、B′各色のデータは、記録装置200に送信される。記録装置200は、まず、多次元LUT402を用いてホスト装置より受信した、前段色処理が施されたR′、G′、B′各色のデータをC、M、Y、Kの多値のデータに変換する。この色変換処理(以下、後段処理とも称する。)は、輝度信号で表現される入力系のRGB系画像データを、濃度信号で表現するための出力系のCMYK系の画像データに変換する処理である。
【0037】
次に、後段色処理が施されたC、M、Y、Kの多値のデータは、それぞれの色の1次元LUT403により出力γ補正が行なわれる。通常、記録媒体の単位面積当たりに記録されるドットの数と、記録された画像を測定して得られる反射濃度などの記録特性は、線形関係にならない。そのため、C、M、Y、K各10ビットの入力階調レベルとそれによって記録される画像の濃度レベルが線形関係となるように、C、M、Y、Kの多値の入力階調レベルを補正する出力γ補正処理が行なわれる。
【0038】
前述したように、出力γ補正テーブル(1次元LUT403)は、標準的な記録特性を示す記録ヘッド用に作成されたものが用いられることが多い。しかし、前述したように、記録ヘッドもしくはノズル群には吐出特性に関して個体差がある。このため、標準的な吐出特性を示す記録ヘッドもしくはノズル群の記録特性を補正する出力γ補正テーブルだけでは、全ての記録ヘッドもしくはノズル群に対して適切な濃度補正をすることができない。
【0039】
このため、本実施形態では、出力γ補正が施されたC、M、Y、Kの多値データについて、色ずれ補正処理を行う。この色ずれ補正処理は、各色について、上ノズル群の色ずれ補正用1次元LUT404、および下ノズル群の色ずれ補正用1次元LUT405によって行われる。
【0040】
ここで、それぞれの色の色ずれ補正用1次元LUTついて述べる。色ずれ補正出力γ補正は、キャリブレーション工程において取得される、ノズル群毎の濃度値情報より設定される。
【0041】
図12は、ホスト100とプリンタ200による画像処理動作の流れを説明するフローチャートである。
【0042】
まず、ホスト装置100において、多次元のLUT401を用いてR、G、B多値の輝度信号で表現される画像データが、R′、G′、B′多値のデータに変換される(S401)。次に、プリンタ200は、多次元LUT402を用いてホスト装置より受信した前段色処理を施されたR′、G′、B′各色のデータをC、M、Y、K多値のデータに変換する(S402)。そして、後段色処理が施されたC、M、Y、K多値のデータは、それぞれの色の1次元LUT403により出力γ補正が行なわれる(S403)。
【0043】
ここで、本実施形態では、C、M、Y、K多値データについて、上ノズル群の色ずれ補正用1次元LUT404により上ノズル群の色ずれ補正処理が行われ(S404)、下ノズル群の色ずれ補正用1次元LUT405によって下ノズル群の色ずれ補正処理が行われる(S405)。
【0044】
次に、画素毎に上ノズル群の色ずれ補正処理の結果と上ノズル群の使用率情報を示す上ノズル群寄与率TBL406との論理積演算し(S406)、下ノズル群の色ずれ補正処理の結果と下ノズル群の使用率情報を示す下ノズル群寄与率TBL407との論理積演算をする(S407)。そして、S406,S407の論理積演算の結果と論理和を算出し、画素毎に色ずれ補正処理を行う(S408)。
【0045】
そして、算出したC、M、Y、K毎の多値データをディザやEDなどによりハーフトーン処理およびIndex展開によって量子化処理409を行い、C、M、Y、K毎の2値データに変換する(S409)。その後、マスクパターンなどによってパス分配および上下ノズル群分配処理410を行い、上ノズル群データは上ノズル群で記録し、下ノズル群データは下ノズル群で記録するデータを生成する(S410)。
【0046】
図8は、キャリブレーション工程における記録装置200の動作の流れを示すフローチャートである。
【0047】
ホスト装置100の入力部12やCPU10、または記録装置200の操作パネル22等から、パッチを記録して濃度を測定するキャリブレーション開始命令が入力される(S801)。キャリブレーション動作の実行の指示が入力されると、記録装置200のCPU20aは、給紙モータ24を駆動して、給紙トレイから記録媒体の供給を開始する(S802)。記録ヘッドによる記録が可能な領域まで記録媒体を搬送すると、記録媒体の副走査方向への搬送動作と、キャリッジモータ23を駆動したキャリッジ6の主走査方向への記録走査とを交互に行う。そして、パッチ記録手段としての記録ヘッド5が、記録媒体上にキャリブレーションに必要な数のパッチ(テストパターン)を記録する(S804)。本実施形態では、このパッチ記録工程によりパッチA、B、C、D、E、F、G、Hが記録される。
【0048】
図9は、本実施形態のパッチを示す概略図である。パッチを構成する各インク色のカラーパッチに記載されているA〜Hまでの英字はそれぞれ、図3に示したノズル群5a〜5hから吐出されたインクによって記録されたパッチを示す符号である。また、1〜5までの数字は、記録するカラーパッチの濃度階調をランク付けした数字である。すなわち、例えばパッチA1はシアンインクを吐出する上ノズル群であるノズル列5aにより記録された濃度階調1のパッチである。なお、階調値は5値に限るものではなく、数字の大きさと階調の高さが関連するとは限らない。
【0049】
次に、記録されたパッチを乾燥させるために、所定時間待機するためのタイマーカウンタをスタートする(S804)。続いて、多目的センサ102を用いてパッチが記録されていない白レベル(記録媒体の地色)の反射光度測定を開始する(S805)。白レベルの測定結果はこの後に記録するパッチの濃度値算出を行う際の、基準白として利用される。このため、白レベルの値はLED毎にそれぞれ保持される。ここで、パッチが記録されていない記録媒体の空白部分の濃度は、記録媒体の地色が測定され、白い記録媒体であれば地色は白色である。本実施形態においては、白い地色の記録媒体を用いる例について説明する。
【0050】
乾燥タイマーのカウンタが所定時間経過したことが確認された後(S806)、パッチA、B、C、D、E、F、G、Hの反射光度測定を開始する(S807)。反射光度測定は、多目的センサ102に搭載されているLED205から207のうち、濃度測定するインク色に適したLEDを点灯し、パッチの濃度を測定する測定手段としてのフォトトランジスタ203および204により反射光を読み取ることにより行う。緑色LED205は、例えば、Mインクにより記録されたパッチ、およびパッチが記録されていない空白部分(白色)を測定する時に点灯する。また、青色LED206は、例えば、Yインク、Kインクにより記録されたパッチ、およびパッチが記録されていない空白部分(白色)を測定する時に点灯する。さらに、赤色LED207は、例えば、Cにより記録されたパッチ、およびパッチが記録されていない空白部分(白色)を測定する時に点灯する。
【0051】
パッチの読み取りが終了すると、それぞれのパッチと空白部分(白色)の双方からの出力値に基づいて、パッチの濃度値を算出し、それぞれのパッチの濃度値は、記録装置本体内のメモリ306またはRAM20bに保存される(S808)。その後、記録媒体の排出処理を行い(S809)、処理を終了する(S810)。
【0052】
そして、上述した濃度測定値に基づき、色ずれ補正処理の内容が更新される。本実施形態では、予め設定されている色ずれ補正処理に用いられる色ずれ補正用1次元LUTに対して補正処理が行われる。ここでは、濃度測定により得られた各パッチの濃度測定値と、ターゲット値と称する予め定められている所定の目標濃度とを比較し、記録したときのパッチの濃度がターゲット値に近づくように濃度補正値を較正する。ターゲット値は、予め精度の良好なインクジェット記録装置および記録ヘッドを用いてパッチを記録し、濃度測定した際に得られた値を採用することもできる。このように、ターゲット値は極めて理想値に近い値である。ここでは、例えば、ホスト100のCPU10あるいは記録装置200のCPU20a(テーブル設定手段)が、色ずれ補正用1次元LUTを作成する(テーブル設定工程)。色ずれ補正用1次元LUTは記録媒体の種類や解像度ごとに作成し、作成された色ずれ補正用1次元LUTは記録装置本体のメモリに保存される。
【0053】
このようにキャリブレーションが行われる際には、記録ヘッドの各ノズル群の吐出特性のバランスが、適正な吐出特性を示す記録ヘッドのバランスと比較して好ましくない場合には、適正な吐出特性に近づくように1次元LUTテーブルが選択される。
【0054】
例えば、シアンの色材を吐出するノズル群5aの吐出特性の出力値が大きくなっていると仮定する。このとき、それぞれ補正値が異なる複数の色ずれ補正用1次元LUT404のうち、シアン成分の出力値が入力値に対して低めの値となるような1次元LUTテーブルを選択して設定する。このようにキャリブレーションを行うことにより、シアンの色材が多めに付与される記録ヘッドを用いても、標準的な記録特性を示す記録ヘッドと同じ色味が再現されるようにシアンの色材を吐出するための出力値が小さめになる補正がなされる。
【0055】
さらに例えば、同じくシアンの色材を吐出する記録ノズル群5eの吐出特性の出力値が小さくなっていると仮定する。このとき、それぞれ補正値が異なる複数の色ずれ補正用1次元LUT405のうち、シアン成分の出力値が入力値に対して高めの値となるような1次元LUTテーブルを選択して設定する。このようにキャリブレーションを行うことにより、シアンの色材が少なめに付与される記録ノズル群5eを用いても、標準的な記録特性を示す記録ヘッドと同じ色味が再現されるようにCの色材を吐出するための出力値が大きめになる補正がなされる。
【0056】
なお、色ずれ補正用1次元LUTは、使用環境毎に別々の色ずれ補正用1次元LUTが作成されてもよい。また、色ずれ補正用1次元LUTは、キャリブレーション時に生成して保存せずに、画像の記録時の画像処理工程においてその都度生成してもよい。さらに、パッチ記録手段によって記録されたパッチに基づいて、予め作成されているテーブルが選択されてもよい。
【0057】
以上のように、本実施形態では、ノズル群ごとに記録されたパッチの濃度情報により、記録濃度特性を保持する記録濃度特性保持部としての色ずれ補正用1次元LUTが設定される。
【0058】
次に、記録比率を設定するノズル列寄与率設定手段であるノズル群寄与率テーブルの設定について、図10(a)、(b)および図11(a)、(b)を用いて説明する。
【0059】
図10(a)は、各領域の画像データを示しており、1走査目で401−11の領域の画像データが記録され、2走査目で401−12の領域の画像データ、3走査目で401−13の領域の画像データが記録さる。図10(a)は、また、シアンインクを吐出する10つのノズルからなるノズル群5aおよび同じくシアンインクを吐出する10つのノズルからなるノズル群5eを示している。ノズル群5aおよびノズル群5eは、互いに4つのノズルが走査方向に重複した構成となっている。図10(a)は、さらに、ノズル群5aおよびノズル群5eそれぞれの、マスク情報を有したマスクテーブル5a−M1および5e−M1をそれぞれ示している。詳しくは、ノズル群5aまたはノズル群5eのみで記録を行う領域に対しては、記録データがそのままノズル群5aまたはノズル群5eに割り振られる。一方、ノズル群5aとノズル群5eが重複したオーバーラップ部では、記録データが50%ずつ割り振られる。図10(b)は、ノズル群5aおよびノズル群5eの記録に対する寄与率を示す図である。詳しくは、寄与率5a−406−1がノズル群5aの寄与率を示し、寄与率5a−407−1がノズル群5eの寄与率を示している。本実施形態では、オーバーラップ部に相当するノズル列寄与率はノズル群5aおよび5eとも50%、それ以外のノズル列寄与率は一方のノズル群の寄与率が100%として設定される。
【0060】
図11(a)は、シアンの8ビット多値入力データが入力されたときの、上ノズル群5aの色ずれ補正結果と、下ノズル群5eの色ずれ補正結果を示す。ここでは、図11(b)の左側のようにシアンの8ビット多値入力データとして128が入力された場合に、上ノズル群5aでは出力値として130に補正され、下ノズル群5eでは出力値として120に補正された例を示している。
【0061】
なお、本実施形態では、上下寄与率TBLとマスクTBLの解像度がノズル列に対して同じであるが、異なる場合は、解像度変換計算を行うことにより、寄与率テーブルを設定する。例えば、ノズル列の各ノズル間隔が1200dpiで、マスクTBLの解像度が1200dpi単位であるが、色ずれ補正を行う際の解像度が600dpiで、上下寄与率TBLとノズル列が600dpi単位の場合がある。この場合には、マスクTBLの2ラスタ分の情報を基に、1ラスタ分の上下寄与率TBLを設定すればよい。
【0062】
次に、色ずれ補正用1次元LUTとノズル列寄与率テーブルとに基づく色ずれ補正処理について説明する。本実施形態の色ずれ補正処理は、色ずれ補正用1次元LUTに基づく値をラスタ毎の上下寄与率TBLを基に補正することにより、記録ヘッドの各ノズル群の吐出特性のバランスが適正なバランスに保たれる。
【0063】
本実施形態では、上下それぞれのノズル群用色ずれ補正出力γ補正の結果を、それぞれのノズル群寄与率により配分することにより、色ずれ補正を行う。すなわち、それぞれのノズル群の色ずれ補正の結果と、それぞれの記録領域におけるノズル群の使用率情報を示す寄与率との積を求め、それぞれの値の総和が出力値となる。図11(b)には、上下それぞれのノズル群用色ずれ補正LUTと上下寄与率TBLに基づいて計算された、各記録領域(ここでは、1ラスタ単位)の出力値を示す。本実施形態は、2群のノズル群が一部重複するように配列された記録装置である。したがって、上ノズル群用色ずれ補正の結果と、記録領域における上ノズル群の使用率情報を示す上ノズル群用寄与率の積を取る。また、下ノズル群用色ずれ補正の結果と、記録領域における下ノズル群の使用率情報を示す下ノズル群用寄与率の積を取る。そして、それぞれの結果を合計したものが、入力に対する色ずれ補正後の値となる。
【0064】
具体的には、図11(a)、(b)に示すように、1次元LUT403により出力されたシアンの多値のデータが128であった場合であって、上ノズル群用色ずれ補正の結果の値が130であり、下ノズル群用色ずれ補正の結果の値が120であるとする。そして、非オーバーラップ部のうち、上ノズル群のみで記録が行われる領域は、上ノズル群によるノズル使用率が100%であり、下ノズル群によるノズル使用率が0%である。この場合、130の100%と120の0%の合計である130が、シアンデータが128であった場合の色ずれ補正の結果となる。また、オーバーラップ部については、130の50%と120の50%の合計である125が、シアンデータが128であった場合の色ずれ補正の結果となる。このように、本実施形態によれば、複数のノズル群それぞれの使用比率が記録領域ごとに異なる場合に、それらの使用比率(寄与率)に応じて濃度補正を行うので、記録領域ごとに記録濃度が異なることを抑制でき、結果として濃度ムラを低減することができる。
【0065】
そして、算出したC、M、Y、K毎の多値データに、誤差拡散法(ED)を用いてハーフトーン処理を施し、また、Index展開によって量子化処理を施す(量子化処理408)ことにより、C、M、Y、K毎の2値データを得る。そして、図10(b)に示すマスクを用いて2回のパスに、上下ノズル列それぞれの記録データを分配する、ノズル列分配処理409を行う。記録動作では、以上のように求めた上ノズル列用データに基づき上ノズル列からインクを吐出し、下ノズル列用データに基づき下ノズル列からインクを吐出して記録を行う。
【0066】
以上により、記録に使用する複数ノズル列の使用率が異なる場合であっても、記録ヘッドごとに補正テーブルを設定、補正することなく、濃度ムラを補正するキャリブレーション処理を実施することができる。
【0067】
なお、本実施形態においてLUT402、403、404、405、406および407は記録装置200に保持されているが、予めROM20cに格納しておいても、RAM20bに格納しておいても良い。また、ROM20cに格納しておく場合には、ひとつの目的のために複数のLUTを予め用意しておき、そのうちから適当なLUTを選択して利用できるように構成されていることが望ましい。
【0068】
また、本実施形態では、オーバーラップ部において、上ノズル群5aの使用率と下ノズル群5eの使用率が一律に50%ずつであるが、各ノズル群の使用率はこれに限られない。例えば、オーバーラップ部では、上ノズル群5aと下ノズル群5eが互いに、ノズル群の端部に近いほど使用率が徐々に減少するように設定されていてもよい。
【0069】
(第2の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態の記録ヘッドを用いた2パス記録の場合の色ずれ補正処理に関するものである。
【0070】
図13(a)は、各領域の画像データおよび各走査での上ノズル群5aと下ノズル群5eの位置を示している。ここで、1走査目で401−21の領域に1パス目の画像データが記録され、2走査目では401−21の領域に2パス目の画像データが記録されて、401−21の領域に対する記録が完成する。また、2走査目では401−22の領域に1パス目の画像データも記録されており、この領域は、3走査目で2パス目の画像データが記録さて画像が完成する。同様にして、他の領域401−23,401−24,401−25も2パス記録により記録が行われる。
【0071】
図13(b)は、図13(a)に示したノズル群5aおよびノズル群5eそれぞれの、マスクテーブル5a−M2および5e−M2をそれぞれ示している。詳しくは、非オーバーラップ部については、記録データがノズル群5aとノズル群5eに50%ずつ割り振られる。一方、オーバーラップ部では、各パスに記録データが50%ずつ割り当てられ、さらに1回のパスでは50%の記録データがノズル群5aとノズル群5eに25%ずつ割り振られる。図14(a)は、ノズル群5aおよびノズル群5eの記録に対する寄与率を示す図である。詳しくは、寄与率5a−406−2がノズル群5aの寄与率を示し、寄与率5a−406−2がノズル群5eの寄与率を示している。
【0072】
図14(b)は、シアンの8ビット多値入力データが入力されたときの、上ノズル群5aの色ずれ補正結果と、下ノズル群5eの色ずれ補正結果を示す。第1の実施形態と同じように、シアンの8ビット多値入力データとして128が入力された場合に、上ノズル群5aでは出力値として130に補正され、下ノズル群5eでは出力値として120に補正された例を示している。さらに
本実施形態では、シアンの8ビット多値入力データとして128が入力された場合(図14(c)の左側)、その出力値は、図14(c)の右側のようになる。つまり、上下それぞれのノズル群用色ずれ補正の結果を、それぞれのノズル群寄与率により値を配分することにより、色ずれ補正を行う。すなわち、上ノズル群用色ずれ補正の結果と、上ノズル群の使用率情報を示す上ノズル群用寄与率の積を取る。また、下ノズル群用色ずれ補正の結果と、下ノズル群の使用率情報を示す下ノズル群用寄与率の積を取る。そして、それぞれの結果を合計したものが、入力に対する色ずれ補正後の値となる。このように、本実施形態によれば、複数のノズル群それぞれの使用比率が記録領域ごとに異なる場合に、それらの使用比率(寄与率)に応じて濃度補正を行うので、記録領域ごとに記録濃度が異なることを抑制でき、結果として濃度ムラを低減することができる。
【0073】
なお、以上の説明では、2パス記録の場合を例に説明したが、2パスに限らず、3パス以上のパス数であっても本発明が適用可能なことは勿論である。
【0074】
(第3の実施形態)
第1、第2の実施形態では、同色のインクを吐出するノズル群が走査方向に重複したオーバーラップ部を有する記録ヘッドを用いるものであるが、本実施形態は、同色のインクを吐出するノズル群が走査方向に並列された記録ヘッドを用いるものである。
【0075】
図15は、本実施形態の記録ヘッド5をインク吐出口(ノズル)を配設した面から見た正面図である。一の色のインクを吐出する複数のノズル列を備えた記録ヘッドを有するものである。図15において、記録ヘッド5には走査方向に沿って8個のノズル列5a〜5hが配設されている。ノズル列は各々10個のノズルから形成され、ノズル列5aと5eにはシアン(C)インク、5bと5fにはマゼンタ(M)インク、5cと5gにはイエロー(Y)インク、5dと5hにはブラック(K)インクが供給される。
【0076】
図16(a)、(b)および図17(a)、(b)は、本実施形態の色ずれ補正処理を説明する図である。図16(a)は、各領域の画像データ、および各走査でのノズル群5aとノズル群5eの位置を示している。ここで、1走査目で401−31の領域にノズル群5aとノズル群5eによって画像データが記録され、2走査目では401−32の領域にノズル群5aとノズル群5eによって画像データが記録される。同様にして、3走査目で401−33の領域にノズル群5aとノズル群5eによって画像データが記録される。このように、各走査において、記録データはノズル群5aとノズル群5eとに割り振られて、2つのノズル群によって記録が行われる。
【0077】
図16(a)は、さらに、同図に示すノズル群5aおよびノズル群5eそれぞれの、マスクテーブル5a−M3および5e−M3を示している。ノズル群5aについては、ノズル群の端部の記録比率が20%、中央部の記録比率が80%となっており、ノズル群の中央部ほど記録比率が高く設定されている。一方、ノズル群5eについては、ノズル群の端部の記録比率が80%、中央部の記録比率が20%となっており、ノズル群の端部ほど記録比率が高く設定されている。
【0078】
図16(b)は、ノズル群5aおよびノズル群5eの記録に対する寄与率を示す図である。詳しくは、寄与率5a−406−3がノズル群5aの寄与率を示し、寄与率5a−406−3がノズル群5eの寄与率を示している。
【0079】
図17(a)は、シアンの8ビット多値入力データが入力されたときの、ノズル群5aの色ずれ補正結果と、ノズル群5eの色ずれ補正結果を示す。第1,第2の実施形態と同じように、シアンの8ビット多値入力データとして128が入力された場合に、ノズル群5aでは出力値として130に補正され、ノズル群5eでは出力値として120に補正された例を示している。
【0080】
本実施形態では、シアンの8ビット多値入力データとして128が入力された場合(図17(b)の左側)、その出力値は、図17(b)右側のようになる。つまり、図17(a)、(b)に示すように、それぞれのノズル群用色ずれ補正の結果を、それぞれのノズル群寄与率により値を配分することにより、色ずれ補正を行う。すなわち、ノズル群5a用色ずれ補正の結果と、ノズル群5aの寄与率の積をとる。また、ノズル群5e用色ずれ補正の結果と、ノズル群5eの寄与率の積をとる。そして、それぞれの結果を合計したものが、入力に対する色ずれ補正後の値となる。このように、本実施形態によれば、複数のノズル群それぞれの使用比率が記録領域ごとに異なる場合に、それらの使用比率(寄与率)に応じて濃度補正を行うので、記録領域ごとに記録濃度が異なることを抑制でき、結果として濃度ムラを低減することができる。
【符号の説明】
【0081】
5 記録ヘッド
5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g、5h ノズル列
20a CPU
20c ROM
20b RAM
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置および画像処理方法に関し、特に、濃度ムラを補正する記録装置および画像処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、同色のインクを吐出するための、複数の記録ヘッドもしくは複数のノズル列を備えたものが知られている。複数の記録ヘッドや複数のノズル列を備えることにより、記録速度の向上を図ることができる。しかし、このような複数の記録ヘッドや複数の吐出口列を備えた記録装置では、記録画像において濃度ムラあるいは色ムラを生じることがある。これは、記録ヘッドごとあるいはノズル列ごとに吐出特性の違いが存在しあるいは生じることが1つの原因である。このような記録ヘッドごとあるいはノズル列ごとに吐出特性が異なる要因として、インクを吐出させるための発熱ヒータの発熱量のばらつきやインクを吐出するノズル(吐出口)の口径のばらつきなどが挙げられる。また、経年変化による発熱ヒータの発熱量の変動や、使用環境の違いによるインクの粘性の変動によっても、吐出特性に差が生じることがある。
【0003】
このような吐出特性の違いに起因した濃度ムラなどを抑制するために、キャリブレーション技術が知られている。このキャリブレーションは、例えば、記録ヘッドの吐出特性を補正するために画像処理の一環として行われるγ補正処理で用いるテーブルを変更することによって行われる。具体的には、記録媒体にパッチを記録し、そのパッチの記録結果からそのときの記録ヘッドもしくはノズル列ごとの吐出特性を検出し、γ補正処理で用いるテーブルを適切なものに設定し直すことにより行なわれる。記録したパッチに基づいて吐出特性を検出する方法としては、記録したパッチを目視によって検出(検査)する方法や、スキャナなどの入力機器を用いて検出する方法がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、記録装置におけるキャリッジにパッチを読み取るためのスキャナもしくは光センサを設け、このスキャナなどによって記録したパッチの濃度測定を行うことが記載されている。そして、測定結果に基づいて濃度ムラあるいは色ムラの補正(キャリブレーション)を自動で行う方法が記載されている。この方法では、各インク色の記録ヘッドについてそれぞれキャリブレーションを行い、対応する各インク色の階調ごとの濃度補正値を求めている。このように、従来知られるキャリブレーションの多くは、上記特許文献1に記載されるようにインク色ごとの1つの記録ヘッドに関して行うものである。
【0005】
これに対し、前述した記録装置のように、同じインク色について複数の記録ヘッドもしくは複数のノズル列を備える構成では、キャリブレーションは代表的な記録ヘッドもしくはノズル列に関して行う。そして、そこで求めた濃度補正値を他の記録ヘッドもしくはノズル列にも適用することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−167947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、記録ヘッドごとあるいはノズル列ごとに吐出特性の違いが存在する場合に、代表的な記ノズル列などについてのみキャリブレーションを行い、その結果求められる濃度補正値を他のノズル列などに適用する構成では、適切な濃度補正ができない。これに対して、記録ヘッドごとあるいはノズル列ごとに濃度補正値を求めたとしても、これら複数の記録ヘッドもしくはノズル列の使用比率が記録領域ごとに異なる場合には、不都合を生じる。すなわち、ノズル列ごとの異なる濃度補正量が記録領域ごとに使用比率に応じて現れることになり、記録領域間で濃度ムラを生じるという新たな問題を派生する。
【0008】
例えば、複数のノズル列がノズルの配列方向と交差する方向にオーバーラップするように配列された記録ヘッドを走査させて記録を行う記録装置では、ラスタごとに記録に使用される複数ノズル列の使用比率が異なる場合がある。この場合には、カラム方向に濃淡の変化が現れる濃度ムラが発生することがある。
【0009】
また、例えば、記録媒体に対する記録ヘッドの相対的な走査方向にノズル列が複数配列された、いわゆるフルライン方式の記録装置でも、カラムごとに記録に使用される複数ノズル列の使用比率が異なると、ラスタ方向に濃淡の濃度ムラが発生することがある。
【0010】
本発明の目的は、記録に使用する複数ノズル列の使用比率が異なる場合であっても適切な濃度ムラ補正を行うことができる記録装置および画像処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために本発明は、同一の色のインクを吐出する複数のノズル列を備えた記録ヘッドを用い、記録データに基づいて前記ノズル列のノズルからインクを吐出して記録を行う記録装置であって、複数の前記ノズル列それぞれの記録濃度特性を保持する記録濃度特性保持手段と、所定の記録領域を記録する前記ノズル列ごとの寄与率を設定するノズル列寄与率設定手段と、前記ノズル列それぞれの前記記録濃度特性と、前記ノズル列それぞれの寄与率に基づいて前記記録データの補正をする補正手段と、を具えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上の構成によれば、記録に使用するノズル列の使用比率に応じてそれぞれのノズル列の濃度補正を行うことができ、複数ノズル列の吐出特性が異なることによって生じる濃度ムラもしくは色ムラを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る記録装置およびホストシステムを含めた記録システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の記録システムに用いられている記録装置の斜視図である。
【図3】図2の記録装置に取り付けられている記録ヘッドを吐出口面から見た正面図である。
【図4】図1の記録システムに用いられている記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【図5】(a)は、図1の記録装置に取り付けられている多目的センサの平面図であり、(b)は、その断面図を模式的に示した図である。
【図6】図5の多目的センサにおけるそれぞれのセンサの入出力信号を処理する制御回路を説明するための説明図である。
【図7】図1の記録システムにおける画像データの処理の流れを説明するための説明図である。
【図8】本発明の第1の実施形態のパッチの記録開始から濃度測定までの記録装置の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施形態のノズル列とパッチとの対応関係を説明するための説明図である。
【図10】(a)および(b)は、本発明の第1の実施形態のラスタ毎の寄与率TBL設定を説明するための図である。
【図11】(a)および(b)は、同じく本発明の第1の実施形態のラスタ毎の寄与率TBL設定を説明するための図である。
【図12】画像処理動作の流れを説明するフローチャートである。
【図13】(a)および(b)は、本発明の第2の実施形態のラスタ毎の寄与率TBL設定を説明するための図である。
【図14】(a)〜(c)は、同じく本発明の第2の実施形態のラスタ毎の寄与率TBL設定を説明するための図である。
【図15】第3の実施形態に係る記録ヘッドのインク吐出口の配列を説明する図である。
【図16】(a)および(b)は、本発明の第3の実施形態のラスタ毎の寄与率TBL設定を説明するための図である。
【図17】(a)および(b)は、同じく本発明の第3の実施形態のラスタ毎の寄与率TBL設定を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下に図面を参照して本発明における実施形態を詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る記録システムの構成を示すブロック図である。ホスト装置100は、パーソナルコンピュータやデジタルカメラなど、記録装置200に接続される情報処理装置である。このホスト装置100は、CPU10と、メモリ11と、記憶部13と、キーボードやマウス等の入力部12と、記録装置200との間の通信のためのインターフェース14とを備えている。CPU10は、メモリ11に格納されたプログラムに従い、種々の処理を実行するものである。これらのプログラムは、記憶部13が記憶するためにCD−ROMなどの外部装置から供給されたり、予め記憶部13に記憶されている。
【0016】
ホスト装置100はインターフェース14を介して記録装置200と接続されており、後述する画像処理工程におけるR′、G′、B′で表される記録データと、その後の画像処理用のテーブルを記録装置200に送信する。記録装置200は、送信された画像処理情報を基に、特に後述の色処理、2値化処理等の画像処理や、本実施形態に関する記録特性の補正処理を実行する。また、画像処理を施した記録データの記録を行うことができる。
【0017】
図2は、記録装置200の機械的構成を示す概略斜視図である。記録用紙、プラスチックシート等の記録媒体1は、不図示のカセット等に複数枚が積層されることにより、記録時には不図示の給紙ローラによって1枚ずつ分離されて供給される。給紙された記録媒体は、一定間隔を隔てて配置される第1搬送ローラ3および第2搬送ローラ4により、記録ヘッドの走査に応じたタイミングで矢印A方向(以下、搬送方向、副走査方向とも称する。)に所定量ずつ搬送される。第1搬送ローラ3は、ステッピングモータ(不図示)によって駆動される駆動ローラと駆動ローラの回転にともなって回転する従動ローラの1対のローラからなる。同様に、第2搬送ローラも1対のローラからなる。なお、記録装置200は、カセットに積層された所定の大きさにカットされた記録媒体以外に、ロール状の記録媒体に記録することも可能である。
【0018】
キャリッジ6に搭載された記録ヘッド5は、YMCK各色のインクを吐出して記録を行うインクジェット方式の記録ヘッドである。本実施形態の記録ヘッド5は、分離した複数の記録ヘッドが集合して形成されている。集合体としての記録ヘッド5を形成するそれぞれの記録ヘッドはノズル列を有している。記録ヘッド5には、不図示のインクカートリッジからインクが供給される。そして、記録ヘッド5は、吐出信号に応じて駆動されることによりノズル列を形成するそれぞれのノズル(吐出口)から各色のインクを吐出する。すなわち、インクを吐出するそれぞれのノズル内には、電気熱変換素子(ヒータ)が設けられており、吐出信号に応じた電気熱変換素子の駆動により発生する熱エネルギを利用してインクに気泡を発生させ、この気泡の圧力によってインクを吐出する。
【0019】
キャリッジ6にはベルト7およびプーリ8a、8bを介してキャリッジモータ2の駆動力が伝達される。これにより、キャリッジ6はガイドシャフト9に沿って矢印B方向(以下、主走査方向とも称する。)に往復運動し、これにより、記録ヘッド5の走査を行うことができる。また、キャリッジ6の側面には後述する多目的センサが搭載されている。多目的センサは、記録媒体に吐出したインクの濃度検知や、記録媒体の幅検知、記録ヘッドから記録媒体までの距離検知などに使用される。
【0020】
以上の構成において、記録ヘッド5は、主走査方向に往復走査しながら吐出信号に応じて記録ヘッドからインクを吐出することで、記録媒体1上にインクのドットを形成して記録を行う(以下、記録走査とも称する。)ことができる。記録ヘッド5は、必要に応じてホームポジションに移動し、ホームポジション位置に設けられた吐出回復装置による回復動作を行うことにより、吐出口の目詰まり等による吐出不良の状態から回復する。記録ヘッド5による記録走査の後、搬送ローラ対3、4が駆動されて記録媒体1は矢印A方向に所定量搬送される。この記録ヘッド5の記録走査と記録媒体の搬送動作とを交互に繰り返すことにより、記録媒体1に画像等の記録を行うことができる。
【0021】
図3は、記録ヘッド5をインク吐出口(ノズル)を配設した面から見た正面図である。本実施形態の記録装置は、同一の色のインクを吐出する複数のノズル列を備えた記録ヘッドを有するものである。図3において、記録ヘッド5には記録媒体の排紙方向に向かって上部には4個のノズル列5a、5b、5cおよび5d(以下、単にノズル群または上ノズル群とも称する。)が配置されている。また、記録媒体の排紙方向に向かって下部には4個のノズル列5e、5f、5gおよび5h(以下、単にノズル群または下ノズル群とも称する。)が配置されている。ノズル群5a、5eからはシアン(C)インク、ノズル群5b、5fからはマゼンタ(M)インク、ノズル群5c、5gからはイエロー(Y)インク、ノズル群5d、5hからはブラック(K)インクがそれぞれ吐出される。なお、インク色の種類はこれらの種類のみに限られるものではない。また、集合体としての記録ヘッド5を形成する記録ヘッドのそれぞれに形成されるノズル群は、上ノズル群および下ノズル群の2群に限定されず、3群以上配列されたものであっても良い。
【0022】
このように、本実施形態では、記録ヘッド5は、複数の色のインクに対応した複数の記録ヘッドとして、各インク色のノズル列を走査方向に配列した形態のものである。そして、本実施形態では、複数のノズル列のうち、図中、上下方向に配列するそれぞれ、上ノズル群5aと下ノズル群5e、上ノズル群5bと下ノズル群5f、上ノズル群5cと下ノズル群5g、上ノズル群5dと下ノズル群5hは、それぞれ同じ色のインクを吐出するノズル群である。さらに、上ノズル群5aと下ノズル群5e、上ノズル群5bと下ノズル群5f、上ノズル群5cと下ノズル群5g、上ノズル群5dと下ノズル群5hは、走査方向に重複した部分(オーバーラップ部)を有するように配設されている。すなわち、複数のノズル列は、ノズルの配列方向と交差する方向に重複する重複部を有するように上記配列方向にずれて配列されている。
【0023】
図4は、記録装置200の制御構成を示すブロック図である。制御部20は、マイクロプロセッサ等のCPU20a、ROM20cおよびRAM20b等をメモリとして備えている。ROM20cは、CPU20aの制御プログラムや記録動作に必要なパラメータなどの各種データを格納している。RAM20bは、CPU20aのワークエリアとして使用されると共に、ホスト装置100から受信した画像データや生成した記録データなどの各種データの一時保管等を行う。また、ROM20cには図7を用いて後に説明するテーブルとしてのLUT(ルックアップテーブル)が、RAM20bにはパッチを記録するためのパッチデータがそれぞれ格納されている。なお、LUTはRAM20bに格納してもよく、パッチデータはROM20cに格納してもよい。
【0024】
制御部20は、インターフェース21を介してホスト装置100との間で画像データ等の記録に用いられるデータ、パラメータを入出力する処理や、操作パネル22から各種情報(例えば文字ピッチ、文字種類等)を入力する処理を行う。また、制御部20は、インターフェース21を介して各モータ23〜26を駆動させるためのON、OFF信号を出力する。さらに、吐出信号等をドライバ28に出力して記録ヘッドにおけるインク吐出のための駆動を制御する。
【0025】
また、この制御系は、インターフェース21、操作パネル22、多目的センサ102、ドライバ27および28を有している。ドライバ27は、CPU20aからの指示に従ってキャリッジ駆動用のモータ23、給紙ローラ駆動用のモータ24、第1搬送ローラ対駆動用のモータ25、第2搬送ローラ対駆動用のモータ26を駆動する。ドライバ28は記録ヘッド5それぞれを駆動する。
【0026】
図5(a)および(b)は、多目的センサ102を示す構成図である。図5(a)は多目的センサ102の平面図を、図5(b)は断面図を、それぞれ示している。
【0027】
多目的センサ102は、測定領域が記録ヘッド5の記録面に対し下流側に位置し、また、多目的センサ102の下面は、記録ヘッド5の下面と同位置もしくはそれよりも高くなるように配置されている。多目的センサ102は、光学素子として2つのフォトトランジスタ203および204と、3つの可視LED205、206および207と、1つの赤外LED201とを備えており、それぞれの素子の駆動は不図示の外部回路によって行われる。これらの素子は全て直径が最大部分で約4mmの砲弾型素子(一般的なφ3.0〜3.1mmサイズの量産型タイプ)である。
【0028】
なお、本実施形態では、発光素子から測定面に対して照射された照射光の照射範囲の中心点と発光素子の中心とを結ぶ直線を、発光素子の光軸、または照射軸と称する。この照射軸は、照射光の光束の中心でもある。
【0029】
赤外LED201は、XY平面と平行な記録媒体の表面(測定面)に対して45度の照射角を持つ。そして、その照射光中心である照射軸は、測定面の法線(Z軸)と平行なセンサ中心軸202と所定の位置で交差するように配置されている。この交差する位置(交点)のZ軸上における位置を基準位置とし、センサから基準位置までの距離を基準距離とする。赤外LED201の照射光は開口部によって照射光の幅が調整され、基準位置にある測定面に直径約4〜5mmの照射面(照射領域)を形成するように最適化されている。
【0030】
2つのフォトトランジスタ203および204は可視光から赤外光までの波長の光に対して感度を持っている。測定面が基準位置にあるとき、フォトトランジスタ203および204は、その受光軸が赤外LED201の反射軸と平行となるように設置されている。すなわち、反射軸に対しフォトトランジスタ203の受光軸はX方向に+2mm、Z方向に+2mm移動した位置となるように配置されている。また、フォトトランジスタ204の受光軸はX方向に−2mm、Z方向に−2mm移動した位置となるように配置されている。測定面が基準位置にあるとき、測定面と赤外LED201と可視LED205の照射軸の交点が一致し、また、この位置における2つのフォトトランジスタ203および204の受光領域がこの交点を挟むように形成される。2つの素子の間には厚さ約1mmのスペーサーがはさまれており、互いに受光した光が回り込まないような構造となっている。フォトトランジスタ側にも入光範囲を制限するために開口部が設けられており、その大きさは基準位置にある測定面の直径3〜4mmの範囲の反射光のみを受光可能となるように最適化される。なお、本実施形態においては、測定面(測定対象表面)において、受光素子が受光可能である領域(範囲)の中心点と受光素子の中心とを結ぶ線を、受光素子の光軸、または受光軸と称する。この受光軸は、測定面で反射し、受光素子に受光される反射光の光束の中心でもある。
【0031】
図5(a)および(b)において、LED205は、緑色の発光波長(約510〜530nm)を持つ単色可視LEDであり、センサ中心軸202と一致するように設置される。また、LED206は、青色の発光波長(約460〜480nm)を持つ単色可視LEDであり、図5(a)に示すように可視LED205に対しX方向に+2mm、Y方向に−2mm移動した位置に配置されている。そして、測定面が基準位置にあるとき、可視LED206の照射軸と測定面との交点位置においてフォトトランジスタ203の受光軸と交差するように配置される。さらに、LED207、は赤色の発光波長(約620〜640nm)を持つ単色可視LEDであって、図5(a)に示すように可視LED205に対しX方向に−2mm、Y方向に+2mm離れた位置にある。そして、測定面が基準位置にあるとき、可視LED207の照射軸と測定面との交点位置においてフォトトランジスタ204の受光軸と交差するように配置される。
【0032】
図6は、本実施形態に係る多目的センサ102のそれぞれのセンサの入出力信号を処理する制御回路の概略図を示している。CPU301は、赤外LED201および可視LED205〜207のオン/オフの制御信号の出力やフォトトランジスタ203、204の受光量に応じて得られる出力信号の演算などを行う。駆動回路302は、CPU301から送られるオン信号を受けてそれぞれの発光素子へ定電流を供給し発光させたり、受光素子の受光量が所定量となるようにそれぞれの発光素子の発光量を調整したりする。I/V変換回路303は、フォトトランジスタ203、204から電流値として送られてきた出力信号を電圧値に変換する。増幅回路304は、微小信号である電圧値に変換後の出力信号を、A/D変換において最適なレベルまで増幅する働きをする。A/D変換回路305は、増幅回路304で増幅された出力信号を10bitディジタル値に変換してCPU301に入力する。メモリ(不揮発性メモリなど)306は、CPU301の演算結果から所望の測定値を導き出すための参照テーブルの記録や出力値の一時的な記憶に用いられる。なお、このCPU301やメモリ306は、記録装置のCPU20aやRAM20bを用いてもよい。
【0033】
次に、記録装置200で用いる記録データを、ホスト装置100と記録装置200で生成するための画像処理方法について説明する。
【0034】
図7は、本実施形態の画像処理の構成を示すブロック図である。本実施形態の画像処理では、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)各色8ビット(それぞれ256階調)の画像データ(輝度データ)が入力される。最終的にノズル群5a〜5hにより記録される各ノズルについて1ビットのビットイメージデータ(記録データ)として出力する処理を行う。なお、色の種類や、色の階調はこの値に限るものではない。
【0035】
まず、ホスト装置100において、多次元のLUT401を用いてR、G、B多値の輝度信号で表現される画像データが、R′、G′、B′多値のデータに変換される。この色空間変換前処理(以下、前段色処理とも称する。)は、記録対象におけるR、G、Bの画像データが表わす入力画像の色空間と、記録装置200で再現可能な色空間との間の差を補正するために行なわれる。
【0036】
前段色処理を施されたR′、G′、B′各色のデータは、記録装置200に送信される。記録装置200は、まず、多次元LUT402を用いてホスト装置より受信した、前段色処理が施されたR′、G′、B′各色のデータをC、M、Y、Kの多値のデータに変換する。この色変換処理(以下、後段処理とも称する。)は、輝度信号で表現される入力系のRGB系画像データを、濃度信号で表現するための出力系のCMYK系の画像データに変換する処理である。
【0037】
次に、後段色処理が施されたC、M、Y、Kの多値のデータは、それぞれの色の1次元LUT403により出力γ補正が行なわれる。通常、記録媒体の単位面積当たりに記録されるドットの数と、記録された画像を測定して得られる反射濃度などの記録特性は、線形関係にならない。そのため、C、M、Y、K各10ビットの入力階調レベルとそれによって記録される画像の濃度レベルが線形関係となるように、C、M、Y、Kの多値の入力階調レベルを補正する出力γ補正処理が行なわれる。
【0038】
前述したように、出力γ補正テーブル(1次元LUT403)は、標準的な記録特性を示す記録ヘッド用に作成されたものが用いられることが多い。しかし、前述したように、記録ヘッドもしくはノズル群には吐出特性に関して個体差がある。このため、標準的な吐出特性を示す記録ヘッドもしくはノズル群の記録特性を補正する出力γ補正テーブルだけでは、全ての記録ヘッドもしくはノズル群に対して適切な濃度補正をすることができない。
【0039】
このため、本実施形態では、出力γ補正が施されたC、M、Y、Kの多値データについて、色ずれ補正処理を行う。この色ずれ補正処理は、各色について、上ノズル群の色ずれ補正用1次元LUT404、および下ノズル群の色ずれ補正用1次元LUT405によって行われる。
【0040】
ここで、それぞれの色の色ずれ補正用1次元LUTついて述べる。色ずれ補正出力γ補正は、キャリブレーション工程において取得される、ノズル群毎の濃度値情報より設定される。
【0041】
図12は、ホスト100とプリンタ200による画像処理動作の流れを説明するフローチャートである。
【0042】
まず、ホスト装置100において、多次元のLUT401を用いてR、G、B多値の輝度信号で表現される画像データが、R′、G′、B′多値のデータに変換される(S401)。次に、プリンタ200は、多次元LUT402を用いてホスト装置より受信した前段色処理を施されたR′、G′、B′各色のデータをC、M、Y、K多値のデータに変換する(S402)。そして、後段色処理が施されたC、M、Y、K多値のデータは、それぞれの色の1次元LUT403により出力γ補正が行なわれる(S403)。
【0043】
ここで、本実施形態では、C、M、Y、K多値データについて、上ノズル群の色ずれ補正用1次元LUT404により上ノズル群の色ずれ補正処理が行われ(S404)、下ノズル群の色ずれ補正用1次元LUT405によって下ノズル群の色ずれ補正処理が行われる(S405)。
【0044】
次に、画素毎に上ノズル群の色ずれ補正処理の結果と上ノズル群の使用率情報を示す上ノズル群寄与率TBL406との論理積演算し(S406)、下ノズル群の色ずれ補正処理の結果と下ノズル群の使用率情報を示す下ノズル群寄与率TBL407との論理積演算をする(S407)。そして、S406,S407の論理積演算の結果と論理和を算出し、画素毎に色ずれ補正処理を行う(S408)。
【0045】
そして、算出したC、M、Y、K毎の多値データをディザやEDなどによりハーフトーン処理およびIndex展開によって量子化処理409を行い、C、M、Y、K毎の2値データに変換する(S409)。その後、マスクパターンなどによってパス分配および上下ノズル群分配処理410を行い、上ノズル群データは上ノズル群で記録し、下ノズル群データは下ノズル群で記録するデータを生成する(S410)。
【0046】
図8は、キャリブレーション工程における記録装置200の動作の流れを示すフローチャートである。
【0047】
ホスト装置100の入力部12やCPU10、または記録装置200の操作パネル22等から、パッチを記録して濃度を測定するキャリブレーション開始命令が入力される(S801)。キャリブレーション動作の実行の指示が入力されると、記録装置200のCPU20aは、給紙モータ24を駆動して、給紙トレイから記録媒体の供給を開始する(S802)。記録ヘッドによる記録が可能な領域まで記録媒体を搬送すると、記録媒体の副走査方向への搬送動作と、キャリッジモータ23を駆動したキャリッジ6の主走査方向への記録走査とを交互に行う。そして、パッチ記録手段としての記録ヘッド5が、記録媒体上にキャリブレーションに必要な数のパッチ(テストパターン)を記録する(S804)。本実施形態では、このパッチ記録工程によりパッチA、B、C、D、E、F、G、Hが記録される。
【0048】
図9は、本実施形態のパッチを示す概略図である。パッチを構成する各インク色のカラーパッチに記載されているA〜Hまでの英字はそれぞれ、図3に示したノズル群5a〜5hから吐出されたインクによって記録されたパッチを示す符号である。また、1〜5までの数字は、記録するカラーパッチの濃度階調をランク付けした数字である。すなわち、例えばパッチA1はシアンインクを吐出する上ノズル群であるノズル列5aにより記録された濃度階調1のパッチである。なお、階調値は5値に限るものではなく、数字の大きさと階調の高さが関連するとは限らない。
【0049】
次に、記録されたパッチを乾燥させるために、所定時間待機するためのタイマーカウンタをスタートする(S804)。続いて、多目的センサ102を用いてパッチが記録されていない白レベル(記録媒体の地色)の反射光度測定を開始する(S805)。白レベルの測定結果はこの後に記録するパッチの濃度値算出を行う際の、基準白として利用される。このため、白レベルの値はLED毎にそれぞれ保持される。ここで、パッチが記録されていない記録媒体の空白部分の濃度は、記録媒体の地色が測定され、白い記録媒体であれば地色は白色である。本実施形態においては、白い地色の記録媒体を用いる例について説明する。
【0050】
乾燥タイマーのカウンタが所定時間経過したことが確認された後(S806)、パッチA、B、C、D、E、F、G、Hの反射光度測定を開始する(S807)。反射光度測定は、多目的センサ102に搭載されているLED205から207のうち、濃度測定するインク色に適したLEDを点灯し、パッチの濃度を測定する測定手段としてのフォトトランジスタ203および204により反射光を読み取ることにより行う。緑色LED205は、例えば、Mインクにより記録されたパッチ、およびパッチが記録されていない空白部分(白色)を測定する時に点灯する。また、青色LED206は、例えば、Yインク、Kインクにより記録されたパッチ、およびパッチが記録されていない空白部分(白色)を測定する時に点灯する。さらに、赤色LED207は、例えば、Cにより記録されたパッチ、およびパッチが記録されていない空白部分(白色)を測定する時に点灯する。
【0051】
パッチの読み取りが終了すると、それぞれのパッチと空白部分(白色)の双方からの出力値に基づいて、パッチの濃度値を算出し、それぞれのパッチの濃度値は、記録装置本体内のメモリ306またはRAM20bに保存される(S808)。その後、記録媒体の排出処理を行い(S809)、処理を終了する(S810)。
【0052】
そして、上述した濃度測定値に基づき、色ずれ補正処理の内容が更新される。本実施形態では、予め設定されている色ずれ補正処理に用いられる色ずれ補正用1次元LUTに対して補正処理が行われる。ここでは、濃度測定により得られた各パッチの濃度測定値と、ターゲット値と称する予め定められている所定の目標濃度とを比較し、記録したときのパッチの濃度がターゲット値に近づくように濃度補正値を較正する。ターゲット値は、予め精度の良好なインクジェット記録装置および記録ヘッドを用いてパッチを記録し、濃度測定した際に得られた値を採用することもできる。このように、ターゲット値は極めて理想値に近い値である。ここでは、例えば、ホスト100のCPU10あるいは記録装置200のCPU20a(テーブル設定手段)が、色ずれ補正用1次元LUTを作成する(テーブル設定工程)。色ずれ補正用1次元LUTは記録媒体の種類や解像度ごとに作成し、作成された色ずれ補正用1次元LUTは記録装置本体のメモリに保存される。
【0053】
このようにキャリブレーションが行われる際には、記録ヘッドの各ノズル群の吐出特性のバランスが、適正な吐出特性を示す記録ヘッドのバランスと比較して好ましくない場合には、適正な吐出特性に近づくように1次元LUTテーブルが選択される。
【0054】
例えば、シアンの色材を吐出するノズル群5aの吐出特性の出力値が大きくなっていると仮定する。このとき、それぞれ補正値が異なる複数の色ずれ補正用1次元LUT404のうち、シアン成分の出力値が入力値に対して低めの値となるような1次元LUTテーブルを選択して設定する。このようにキャリブレーションを行うことにより、シアンの色材が多めに付与される記録ヘッドを用いても、標準的な記録特性を示す記録ヘッドと同じ色味が再現されるようにシアンの色材を吐出するための出力値が小さめになる補正がなされる。
【0055】
さらに例えば、同じくシアンの色材を吐出する記録ノズル群5eの吐出特性の出力値が小さくなっていると仮定する。このとき、それぞれ補正値が異なる複数の色ずれ補正用1次元LUT405のうち、シアン成分の出力値が入力値に対して高めの値となるような1次元LUTテーブルを選択して設定する。このようにキャリブレーションを行うことにより、シアンの色材が少なめに付与される記録ノズル群5eを用いても、標準的な記録特性を示す記録ヘッドと同じ色味が再現されるようにCの色材を吐出するための出力値が大きめになる補正がなされる。
【0056】
なお、色ずれ補正用1次元LUTは、使用環境毎に別々の色ずれ補正用1次元LUTが作成されてもよい。また、色ずれ補正用1次元LUTは、キャリブレーション時に生成して保存せずに、画像の記録時の画像処理工程においてその都度生成してもよい。さらに、パッチ記録手段によって記録されたパッチに基づいて、予め作成されているテーブルが選択されてもよい。
【0057】
以上のように、本実施形態では、ノズル群ごとに記録されたパッチの濃度情報により、記録濃度特性を保持する記録濃度特性保持部としての色ずれ補正用1次元LUTが設定される。
【0058】
次に、記録比率を設定するノズル列寄与率設定手段であるノズル群寄与率テーブルの設定について、図10(a)、(b)および図11(a)、(b)を用いて説明する。
【0059】
図10(a)は、各領域の画像データを示しており、1走査目で401−11の領域の画像データが記録され、2走査目で401−12の領域の画像データ、3走査目で401−13の領域の画像データが記録さる。図10(a)は、また、シアンインクを吐出する10つのノズルからなるノズル群5aおよび同じくシアンインクを吐出する10つのノズルからなるノズル群5eを示している。ノズル群5aおよびノズル群5eは、互いに4つのノズルが走査方向に重複した構成となっている。図10(a)は、さらに、ノズル群5aおよびノズル群5eそれぞれの、マスク情報を有したマスクテーブル5a−M1および5e−M1をそれぞれ示している。詳しくは、ノズル群5aまたはノズル群5eのみで記録を行う領域に対しては、記録データがそのままノズル群5aまたはノズル群5eに割り振られる。一方、ノズル群5aとノズル群5eが重複したオーバーラップ部では、記録データが50%ずつ割り振られる。図10(b)は、ノズル群5aおよびノズル群5eの記録に対する寄与率を示す図である。詳しくは、寄与率5a−406−1がノズル群5aの寄与率を示し、寄与率5a−407−1がノズル群5eの寄与率を示している。本実施形態では、オーバーラップ部に相当するノズル列寄与率はノズル群5aおよび5eとも50%、それ以外のノズル列寄与率は一方のノズル群の寄与率が100%として設定される。
【0060】
図11(a)は、シアンの8ビット多値入力データが入力されたときの、上ノズル群5aの色ずれ補正結果と、下ノズル群5eの色ずれ補正結果を示す。ここでは、図11(b)の左側のようにシアンの8ビット多値入力データとして128が入力された場合に、上ノズル群5aでは出力値として130に補正され、下ノズル群5eでは出力値として120に補正された例を示している。
【0061】
なお、本実施形態では、上下寄与率TBLとマスクTBLの解像度がノズル列に対して同じであるが、異なる場合は、解像度変換計算を行うことにより、寄与率テーブルを設定する。例えば、ノズル列の各ノズル間隔が1200dpiで、マスクTBLの解像度が1200dpi単位であるが、色ずれ補正を行う際の解像度が600dpiで、上下寄与率TBLとノズル列が600dpi単位の場合がある。この場合には、マスクTBLの2ラスタ分の情報を基に、1ラスタ分の上下寄与率TBLを設定すればよい。
【0062】
次に、色ずれ補正用1次元LUTとノズル列寄与率テーブルとに基づく色ずれ補正処理について説明する。本実施形態の色ずれ補正処理は、色ずれ補正用1次元LUTに基づく値をラスタ毎の上下寄与率TBLを基に補正することにより、記録ヘッドの各ノズル群の吐出特性のバランスが適正なバランスに保たれる。
【0063】
本実施形態では、上下それぞれのノズル群用色ずれ補正出力γ補正の結果を、それぞれのノズル群寄与率により配分することにより、色ずれ補正を行う。すなわち、それぞれのノズル群の色ずれ補正の結果と、それぞれの記録領域におけるノズル群の使用率情報を示す寄与率との積を求め、それぞれの値の総和が出力値となる。図11(b)には、上下それぞれのノズル群用色ずれ補正LUTと上下寄与率TBLに基づいて計算された、各記録領域(ここでは、1ラスタ単位)の出力値を示す。本実施形態は、2群のノズル群が一部重複するように配列された記録装置である。したがって、上ノズル群用色ずれ補正の結果と、記録領域における上ノズル群の使用率情報を示す上ノズル群用寄与率の積を取る。また、下ノズル群用色ずれ補正の結果と、記録領域における下ノズル群の使用率情報を示す下ノズル群用寄与率の積を取る。そして、それぞれの結果を合計したものが、入力に対する色ずれ補正後の値となる。
【0064】
具体的には、図11(a)、(b)に示すように、1次元LUT403により出力されたシアンの多値のデータが128であった場合であって、上ノズル群用色ずれ補正の結果の値が130であり、下ノズル群用色ずれ補正の結果の値が120であるとする。そして、非オーバーラップ部のうち、上ノズル群のみで記録が行われる領域は、上ノズル群によるノズル使用率が100%であり、下ノズル群によるノズル使用率が0%である。この場合、130の100%と120の0%の合計である130が、シアンデータが128であった場合の色ずれ補正の結果となる。また、オーバーラップ部については、130の50%と120の50%の合計である125が、シアンデータが128であった場合の色ずれ補正の結果となる。このように、本実施形態によれば、複数のノズル群それぞれの使用比率が記録領域ごとに異なる場合に、それらの使用比率(寄与率)に応じて濃度補正を行うので、記録領域ごとに記録濃度が異なることを抑制でき、結果として濃度ムラを低減することができる。
【0065】
そして、算出したC、M、Y、K毎の多値データに、誤差拡散法(ED)を用いてハーフトーン処理を施し、また、Index展開によって量子化処理を施す(量子化処理408)ことにより、C、M、Y、K毎の2値データを得る。そして、図10(b)に示すマスクを用いて2回のパスに、上下ノズル列それぞれの記録データを分配する、ノズル列分配処理409を行う。記録動作では、以上のように求めた上ノズル列用データに基づき上ノズル列からインクを吐出し、下ノズル列用データに基づき下ノズル列からインクを吐出して記録を行う。
【0066】
以上により、記録に使用する複数ノズル列の使用率が異なる場合であっても、記録ヘッドごとに補正テーブルを設定、補正することなく、濃度ムラを補正するキャリブレーション処理を実施することができる。
【0067】
なお、本実施形態においてLUT402、403、404、405、406および407は記録装置200に保持されているが、予めROM20cに格納しておいても、RAM20bに格納しておいても良い。また、ROM20cに格納しておく場合には、ひとつの目的のために複数のLUTを予め用意しておき、そのうちから適当なLUTを選択して利用できるように構成されていることが望ましい。
【0068】
また、本実施形態では、オーバーラップ部において、上ノズル群5aの使用率と下ノズル群5eの使用率が一律に50%ずつであるが、各ノズル群の使用率はこれに限られない。例えば、オーバーラップ部では、上ノズル群5aと下ノズル群5eが互いに、ノズル群の端部に近いほど使用率が徐々に減少するように設定されていてもよい。
【0069】
(第2の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態の記録ヘッドを用いた2パス記録の場合の色ずれ補正処理に関するものである。
【0070】
図13(a)は、各領域の画像データおよび各走査での上ノズル群5aと下ノズル群5eの位置を示している。ここで、1走査目で401−21の領域に1パス目の画像データが記録され、2走査目では401−21の領域に2パス目の画像データが記録されて、401−21の領域に対する記録が完成する。また、2走査目では401−22の領域に1パス目の画像データも記録されており、この領域は、3走査目で2パス目の画像データが記録さて画像が完成する。同様にして、他の領域401−23,401−24,401−25も2パス記録により記録が行われる。
【0071】
図13(b)は、図13(a)に示したノズル群5aおよびノズル群5eそれぞれの、マスクテーブル5a−M2および5e−M2をそれぞれ示している。詳しくは、非オーバーラップ部については、記録データがノズル群5aとノズル群5eに50%ずつ割り振られる。一方、オーバーラップ部では、各パスに記録データが50%ずつ割り当てられ、さらに1回のパスでは50%の記録データがノズル群5aとノズル群5eに25%ずつ割り振られる。図14(a)は、ノズル群5aおよびノズル群5eの記録に対する寄与率を示す図である。詳しくは、寄与率5a−406−2がノズル群5aの寄与率を示し、寄与率5a−406−2がノズル群5eの寄与率を示している。
【0072】
図14(b)は、シアンの8ビット多値入力データが入力されたときの、上ノズル群5aの色ずれ補正結果と、下ノズル群5eの色ずれ補正結果を示す。第1の実施形態と同じように、シアンの8ビット多値入力データとして128が入力された場合に、上ノズル群5aでは出力値として130に補正され、下ノズル群5eでは出力値として120に補正された例を示している。さらに
本実施形態では、シアンの8ビット多値入力データとして128が入力された場合(図14(c)の左側)、その出力値は、図14(c)の右側のようになる。つまり、上下それぞれのノズル群用色ずれ補正の結果を、それぞれのノズル群寄与率により値を配分することにより、色ずれ補正を行う。すなわち、上ノズル群用色ずれ補正の結果と、上ノズル群の使用率情報を示す上ノズル群用寄与率の積を取る。また、下ノズル群用色ずれ補正の結果と、下ノズル群の使用率情報を示す下ノズル群用寄与率の積を取る。そして、それぞれの結果を合計したものが、入力に対する色ずれ補正後の値となる。このように、本実施形態によれば、複数のノズル群それぞれの使用比率が記録領域ごとに異なる場合に、それらの使用比率(寄与率)に応じて濃度補正を行うので、記録領域ごとに記録濃度が異なることを抑制でき、結果として濃度ムラを低減することができる。
【0073】
なお、以上の説明では、2パス記録の場合を例に説明したが、2パスに限らず、3パス以上のパス数であっても本発明が適用可能なことは勿論である。
【0074】
(第3の実施形態)
第1、第2の実施形態では、同色のインクを吐出するノズル群が走査方向に重複したオーバーラップ部を有する記録ヘッドを用いるものであるが、本実施形態は、同色のインクを吐出するノズル群が走査方向に並列された記録ヘッドを用いるものである。
【0075】
図15は、本実施形態の記録ヘッド5をインク吐出口(ノズル)を配設した面から見た正面図である。一の色のインクを吐出する複数のノズル列を備えた記録ヘッドを有するものである。図15において、記録ヘッド5には走査方向に沿って8個のノズル列5a〜5hが配設されている。ノズル列は各々10個のノズルから形成され、ノズル列5aと5eにはシアン(C)インク、5bと5fにはマゼンタ(M)インク、5cと5gにはイエロー(Y)インク、5dと5hにはブラック(K)インクが供給される。
【0076】
図16(a)、(b)および図17(a)、(b)は、本実施形態の色ずれ補正処理を説明する図である。図16(a)は、各領域の画像データ、および各走査でのノズル群5aとノズル群5eの位置を示している。ここで、1走査目で401−31の領域にノズル群5aとノズル群5eによって画像データが記録され、2走査目では401−32の領域にノズル群5aとノズル群5eによって画像データが記録される。同様にして、3走査目で401−33の領域にノズル群5aとノズル群5eによって画像データが記録される。このように、各走査において、記録データはノズル群5aとノズル群5eとに割り振られて、2つのノズル群によって記録が行われる。
【0077】
図16(a)は、さらに、同図に示すノズル群5aおよびノズル群5eそれぞれの、マスクテーブル5a−M3および5e−M3を示している。ノズル群5aについては、ノズル群の端部の記録比率が20%、中央部の記録比率が80%となっており、ノズル群の中央部ほど記録比率が高く設定されている。一方、ノズル群5eについては、ノズル群の端部の記録比率が80%、中央部の記録比率が20%となっており、ノズル群の端部ほど記録比率が高く設定されている。
【0078】
図16(b)は、ノズル群5aおよびノズル群5eの記録に対する寄与率を示す図である。詳しくは、寄与率5a−406−3がノズル群5aの寄与率を示し、寄与率5a−406−3がノズル群5eの寄与率を示している。
【0079】
図17(a)は、シアンの8ビット多値入力データが入力されたときの、ノズル群5aの色ずれ補正結果と、ノズル群5eの色ずれ補正結果を示す。第1,第2の実施形態と同じように、シアンの8ビット多値入力データとして128が入力された場合に、ノズル群5aでは出力値として130に補正され、ノズル群5eでは出力値として120に補正された例を示している。
【0080】
本実施形態では、シアンの8ビット多値入力データとして128が入力された場合(図17(b)の左側)、その出力値は、図17(b)右側のようになる。つまり、図17(a)、(b)に示すように、それぞれのノズル群用色ずれ補正の結果を、それぞれのノズル群寄与率により値を配分することにより、色ずれ補正を行う。すなわち、ノズル群5a用色ずれ補正の結果と、ノズル群5aの寄与率の積をとる。また、ノズル群5e用色ずれ補正の結果と、ノズル群5eの寄与率の積をとる。そして、それぞれの結果を合計したものが、入力に対する色ずれ補正後の値となる。このように、本実施形態によれば、複数のノズル群それぞれの使用比率が記録領域ごとに異なる場合に、それらの使用比率(寄与率)に応じて濃度補正を行うので、記録領域ごとに記録濃度が異なることを抑制でき、結果として濃度ムラを低減することができる。
【符号の説明】
【0081】
5 記録ヘッド
5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g、5h ノズル列
20a CPU
20c ROM
20b RAM
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の色のインクを吐出する複数のノズル列を備えた記録ヘッドを用い、記録データに基づいて前記ノズル列のノズルからインクを吐出して記録を行う記録装置であって、
複数の前記ノズル列それぞれの記録濃度特性を保持する記録濃度特性保持手段と、
所定の記録領域を記録する前記ノズル列ごとの寄与率を設定するノズル列寄与率設定手段と、
前記ノズル列それぞれの前記記録濃度特性と、前記ノズル列それぞれの寄与率に基づいて前記記録データの補正をする補正手段と、
を具えたことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記記録濃度特性保持手段は、前記同一の色のインクを吐出する複数のノズル列の各々からインクを吐出して同一の色のパッチをそれぞれ記録し、該記録された前記パッチに基づいて更新された前記記録濃度特性を保持することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記記録濃度特性の更新は、前記パッチの濃度を測定する測定の結果に基づいて行われることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記ノズル列それぞれの寄与率は、マスク情報に対応して設定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項5】
前記補正手段は、各ノズル列の記録濃度特性を該ノズル列の寄与率を乗じた値の総和を求めることにより補正することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
前記複数のノズル列がノズルの配列方向と交差する方向に重複する重複部を有するように前記配列方向にずれて配列されており、
前記補正手段は、前記重複部に相当する記録データを、前記ノズル列それぞれの前記記録濃度特性と、前記ノズル列それぞれの寄与率に基づいて補正することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項7】
同一の色のインクを吐出する複数のノズル列を備えた記録ヘッドを用い、記録データに基づいて前記ノズル列のノズルからインクを吐出して記録を行う画像データを生成するための画像処理方法であって、
複数の前記ノズル列それぞれの記録濃度特性を保持する記録濃度特性保持工程と、
所定の記録領域を記録する前記ノズル列ごとの寄与率を設定するノズル列寄与率設定工程と、
前記ノズル列それぞれの前記記録濃度特性と、前記ノズル列それぞれの寄与率に基づいて前記記録データの補正をする補正工程と、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項1】
同一の色のインクを吐出する複数のノズル列を備えた記録ヘッドを用い、記録データに基づいて前記ノズル列のノズルからインクを吐出して記録を行う記録装置であって、
複数の前記ノズル列それぞれの記録濃度特性を保持する記録濃度特性保持手段と、
所定の記録領域を記録する前記ノズル列ごとの寄与率を設定するノズル列寄与率設定手段と、
前記ノズル列それぞれの前記記録濃度特性と、前記ノズル列それぞれの寄与率に基づいて前記記録データの補正をする補正手段と、
を具えたことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記記録濃度特性保持手段は、前記同一の色のインクを吐出する複数のノズル列の各々からインクを吐出して同一の色のパッチをそれぞれ記録し、該記録された前記パッチに基づいて更新された前記記録濃度特性を保持することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記記録濃度特性の更新は、前記パッチの濃度を測定する測定の結果に基づいて行われることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記ノズル列それぞれの寄与率は、マスク情報に対応して設定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項5】
前記補正手段は、各ノズル列の記録濃度特性を該ノズル列の寄与率を乗じた値の総和を求めることにより補正することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
前記複数のノズル列がノズルの配列方向と交差する方向に重複する重複部を有するように前記配列方向にずれて配列されており、
前記補正手段は、前記重複部に相当する記録データを、前記ノズル列それぞれの前記記録濃度特性と、前記ノズル列それぞれの寄与率に基づいて補正することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項7】
同一の色のインクを吐出する複数のノズル列を備えた記録ヘッドを用い、記録データに基づいて前記ノズル列のノズルからインクを吐出して記録を行う画像データを生成するための画像処理方法であって、
複数の前記ノズル列それぞれの記録濃度特性を保持する記録濃度特性保持工程と、
所定の記録領域を記録する前記ノズル列ごとの寄与率を設定するノズル列寄与率設定工程と、
前記ノズル列それぞれの前記記録濃度特性と、前記ノズル列それぞれの寄与率に基づいて前記記録データの補正をする補正工程と、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−25685(P2011−25685A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142993(P2010−142993)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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