説明

記録装置

【課題】 小型かつ安価な構成により、記録ヘッドのインクの吐出状態を正確に短時間に検出することができる記録装置を実現する。
【解決手段】 記録ヘッドの吐出口からのインクの吐出状態を検出可能な吐出検出手段を備え、この吐出検出手段は発光素子と受光素子とからなり、発光素子から受光素子へ向かう光ビームのうち直接光を遮蔽する遮蔽部材を発光素子と受光素子との間に設け、発光素子から受光素子へ向かう光ビームのうち記録ヘッドの吐出口形成面乃至はその近傍で反射し受光素子に向かう反射光のみを使用して、記録ヘッドの吐出口から吐出直後のインクの吐出状態を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク液滴を吐出して画像を記録する装置に用いられる記録ヘッドのインク液滴吐出状態検出手段を備えた記録装置に関するものである。
【0002】
なお、本発明は、一般的なプリント装置のほか、複写機、通信システムを有するファクシミリ,プリント部を有するワードプロセッサ等の装置、さらには、各種処理装置と複合的に組み合わされた産業用記録装置に適用することができる。
【背景技術】
【0003】
プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機能を有する記録装置、あるいはコンピュータやワードプロセッサ等を含む複合型電子機器およびワークステーションの出力機器として用いられる記録装置は、画像情報に基づいて、用紙やプラスチック薄板等の被記録媒体に画像を記録するように構成されている。このような記録装置は、記録方式により、インクジェット方式、ワイヤドット方式、サーマル方式、レーザービーム方式等に分けることができる。
【0004】
被記録媒体の搬送方向(副走査方向)と交差する方向に主走査するシリアルスキャン方式を採るシリアルタイプの記録装置においては、被記録媒体に沿って移動するキャリッジ上に搭載された記録手段を用いて、その被記録媒体に画像を記録する。すなわち、記録手段の主走査によって1行分の画像を記録した後に、被記録媒体を所定量だけピッチ搬送(紙送り)し、その後、再び記録手段の主走査によって次の1行分の画像を記録するように、記録手段の主走査動作と被記録媒体のピッチ搬送動作とを交互に繰り返すことによって、被記録媒体全体に対して画像を記録する。
【0005】
インクジェット方式の記録装置(インクジェット記録装置)は、記録手段(インクジェット記録ヘッド)からインクを吐出することによって、被記録媒体に画像を記録するものである。このようなインクジェット方式の記録装置の利点としては、記録手段のコンパクト化が容易であること、高精細な画像を高速記録できること、普通紙に特別の処理を必要とせずに記録できること、ランニングコストが低いこと、ノンインパクト方式であるため騒音が少ないこと、さらに、多色のインクを使用することによりカラー画像の記録が容易であることなどがある。
【0006】
インクジェット記録装置に用いられるインクジェット記録ヘッドとして、特に、熱エネルギーを利用してインクを吐出するものは、エッチング、蒸着、スパッタリング等の半導体製造プロセスを経て、基板上に、成膜された電気熱変換体、電極、液路壁、天板等を形成することができる。したがって、液路配置(吐出口配置)が高密度なインクジェット記録ヘッドを容易に製造することができ、一層のコンパクト化を図ることができる。
【0007】
一方、近年では、より高精細な画像を記録する為に被記録媒体の種類も多種多様になり、通常の被記録媒体である普通紙や樹脂薄板(OHP等)などの他に、紙等の表面に各種コーティングを施した被記録媒体等が使用されるようになってきている。また、記録装置においては、前記多種多様の被記録媒体に対して、各々の被記録媒体において最良の記録ができるように、被記録媒体の種類によって記録の方法(記録のパス数、インクの打ち込み量等)を変えて記録を行えるようになっている。ユーザーが被記録媒体にあった記録方法で記録を行うには、プリンタドライバー上で、使用する被記録媒体の種類を選択すれば良い。すなわち、ユーザーがプリンタドライバー上で、使用する被記録媒体の種類を選択すると、自動的に被記録媒体にあった記録方法が選択され、記録が行われるようになっている。
【0008】
ところで、例えば、シリアルスキャン方式のインクジェット記録装置に用いられるインクジェット記録ヘッドは、キャリッジに搭載されて、そのキャリッジと共に主走査方向に往復移動しながら、インク吐出口からインクを吐出することになる。このような記録ヘッドにおいて、インクの吐出性能を良好に維持するための方法としては、記録ヘッドの吐出口形成面(インク吐出口が形成される記録素子基板等の面)をワイパーブレードによってワイピングする方法がある。そのワイパーブレードは、例えば、厚さ0.5mmのシリコンゴム板などによって構成されている。記録ヘッドをワイピングするときは、記録ヘッドにおける吐出口形成面の位置と、ワイパーブレードの位置とを約1mmオーバーラップさせたまま、それらを相対移動させる。つまり、キャリッジ上に搭載された記録ヘッドが、定位置のワイパーブレードとの対向位置を通過、あるいはワイパーブレードが、停止中の記録ヘッドとの対向位置を通過することによって、吐出口形成面に付着した紙粉、塵、インクかす等の異物を拭き取る。
【0009】
しかし、上記ワイピングを行っても、インク滴のよれ、不吐出(塵や増粘インクによる詰まり、熱エネルギーの作用でインク液滴を吐出する方式の場合にはヒータの断線、インク滴によるノズル口を被覆等)が要因となり、記録ヘッドの走査方向に沿った筋ムラが発生する場合があった。
【0010】
これに対し、発光素子(LED)と受光素子(フォトダイオード)を用いて不吐出を検出する方法が用いられている。これは、発光素子からの光ビームの中にインク滴を打ち込み、その光を受ける受光素子の出力信号から不吐出を検出するもので光学的不吐検出法と呼ばれている。この光学的不吐検出法で不吐検出を行う際には、インク滴が光束に対して小さいので、受光素子の前に開口部(ピンホールやスリット等)を設けて不吐検出を行っている。ここで、発光素子と受光素子は、記録ヘッドのノズル列に対して、発光素子と受光素子を結ぶ光路が平行になる様に、記録装置本体に固定配備されている。
【0011】
上記において不吐出検出する際には、各ノズルを順番に駆動し光ビームの中に一滴ずつ吐出していき、これを検出することになる。一方、インク滴には主滴とサテライトがあり、1つの吐出信号に対して主滴とサテライトの2つの検出信号が得られる。その際、サテライトの方が吐出スピードが遅いので、主滴の検出信号の後にサテライトの検出信号が得られる。従って、サテライトの検出信号が次のインク滴の主滴の検出信号と重ならないようにする必要があり、そのためには、前記サテライトが前記光ビームの中を通過した後に次のノズルを駆動してインクを吐出する必要があった。
【0012】
これに対して、光を照射する発光素子と発光素子から照射された光を受光する受光素子とを備えるとともに、前記発光素子と前記受光素子との間の光軸が前記記録ヘッドのノズルの配列方向に対して所定の角度をもって交差するように配置することによって、サテライトの検出信号が次のインク滴の主滴の検出信号と重ならないようにする方法が提案されている。この場合、前記記録ヘッドを走査させながら、前記吐出検出手段が設けられた位置において、前記記録ヘッドからインク吐出を行うことで、不吐検出を行っている。
【特許文献1】特許第3368194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記のような記録ヘッドのインク液滴吐出状態検出手段を備えた記録装置においては、次のような問題が残されていた。
【0014】
すなわち、発光素子と受光素子が、記録ヘッドのノズル列に対して、発光素子と受光素子を結ぶ光路が平行になる様に、記録装置本体に固定配備されている場合には、サテライトの検出信号が次のインク滴の主滴の検出信号と重ならないようにするために、前記サテライトが前記光ビームの中を通過した後に次のノズルを駆動してインクを吐出する必要があった。そのために、インク液滴吐出状態検出に多大な時間を要するという問題があった。
【0015】
また、発光素子と受光素子との間の光軸が記録ヘッドのノズルの配列方向に対して所定の角度をもって交差するように配置した上で、記録ヘッドを走査させながら、吐出検出手段が設けられた位置において、記録ヘッドからインク吐出を行うことで、不吐検出を行う場合には、カラー記録ヘッドのようにシアン、マゼンタ、イエロ、ブラックの4色のインクを吐出するためにノズル列が夫々の色に対応して4列平行に並んでいる場合、隣接するノズル列夫々から得られるフォトセンサの出力信号が干渉しないようにする為には、各色のノズル列間距離(a)、ノズル列長(有効記録長)(b)、ビーム光軸とノズル列との角度(θ)との間には、次のような関係を満たす必要があった。
【0016】
b×tanθ<a
そのために、記録ヘッドの大きさに制約を受けるという問題があった。近年記録装置の高速記録を実現する方法のひとつとしてノズル列長を長くする方法が採られて来ているが、上記の式の関係を満足しようとすると、各色のノズル列間距離を広げなくてはならなくなり、記録ヘッドの横幅の拡大、すなわち記録装置の横幅を拡大しなければならないという問題があった。
【0017】
上記において、ノズル列長(有効記録長)(b)を長くしても、各色のノズル列間距離(a)を広げなくても良い方法として、ビーム光軸とノズル列との角度(θ)を小さくする方法が考えられなくもないが、ビーム光軸とノズル列との角度(θ)を小さくしていくと、インク滴の検出信号が次のインク滴の検出信号と重なってしまう問題があるので、ビーム光軸とノズル列との角度(θ)を小さくする方法は得策ではない。
【0018】
本発明は上記の問題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、小型かつ安価な構成により、記録ヘッドのインクの吐出状態を正確に短時間に検出することができる記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
吐出口からインクを吐出する記録ヘッドを用い、被記録媒体に記録を行う記録装置において、前記記録ヘッドにおける前記吐出口からのインクの吐出状態を検出可能な吐出検出手段を備え、前記吐出検出手段は光を照射する発光素子と前記発光素子から照射された光を受光する受光素子とからなり、前記発光素子から前記受光素子へ向かう光ビームのうち直接光を遮蔽する遮蔽部材を前記発光素子と前記受光素子との間に設け、前記発光素子から前記受光素子へ向かう光ビームのうち前記記録ヘッドの吐出口形成面乃至はその近傍で反射し前記受光素子に向かう反射光のみを使用して、前記記録ヘッドの吐出口から吐出直後のインクの吐出状態を検出することを特徴とする。
【0020】
さらに、前記吐出検出手段は、前記発光素子と前記受光素子とを結ぶ光路が前記記録ヘッドのノズル列の配列方向と平行になるように前記発光素子と前記受光素子とを配置し、さらに前記発光素子と前記受光素子の前面にはそれぞれ高さ2〜3mmのスリット穴を有する部材を設け、さらに前記スリット穴の上側の縁から上方に0.5〜1.5mm離れた位置に前記記録ヘッドの吐出口形成面が来るように前記吐出検出手段を配置し、さらに前記発光素子から前記受光素子へ向かう光ビームのうち直接光を遮蔽する遮蔽部材の上端が前記スリット穴の上側の縁とほぼ一致するように前記遮蔽部材を配置したことを特徴とする。
【0021】
さらに、前記発光素子から前記受光素子へ向かう光ビームのうち直接光を遮蔽する遮蔽部材が、前記記録ヘッドの性能回復乃至保護を行うキャップの一部で形成されていることを特徴とする。
【0022】
さらに、前記記録ヘッドの吐出口形成面乃至はその近傍に、前記発光素子からの光を効率的に反射させる部材を設けていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、記録ヘッドから吐出直後のインクの有無を検出できるようになった為、インクのヨレに関係なく、インク吐出検出が確実に行えるようになった。
【0024】
また、短い吐出周期(高周波数)で吐出されたインクの吐出検出が確実に行えるようになった。
【0025】
上記の結果、小型かつ安価な構成でありながら、記録ヘッドのインクの吐出状態を正確に短時間に検出することができる記録装置が実現できた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下に説明する実施形態では、インクジェット記録方式を用いた記録装置としてプリンタを例に挙げ説明する。
【0027】
『基本構成』まず、図1から図10に基づいて、そのプリンタの基本構成について説明する。
【0028】
[装置本体]図1及び図2にインクジェット記録方式を用いたプリンタの概略構成を示す。図1において、この実施形態におけるプリンタの外殻をなす装置本体M1000は、下ケースM1001、上ケースM1002、アクセスカバーM1003及び排出トレイM1004の外装部材と、その外装部材内に収納されたシャーシM3019(図2参照)とから構成される。
【0029】
前記シャーシM3019は、所定の剛性を有する複数の板状金属部材によって構成され、記録装置の骨格をなし、後述の各記録動作機構を保持するものとなっている。また、前記下ケースM1001は装置本体M1000の略下半部を、上ケースM1002は装置本体M1000の略上半部をそれぞれ形成しており、両ケースの組合せによって内部に後述の各機構を収納する収納空間を有する中空体構造をなし、その上面部及び前面部にはそれぞれ開口部が形成されている。
【0030】
さらに、前記排出トレイM1004はその一端部が下ケースM1001に回転自在に保持され、その回転によって下ケースM1001の前面部に形成される前記開口部を開閉させ得るようになっている。このため、記録動作を実行させる際には、排出トレイM1004を前面側へと回転させて開口部を開成させることにより、ここから記録シートが排出可能となると共に排出された記録シートPを順次積載し得るようになっている。また、排紙トレイM1004には、2枚の補助トレイM1004a,M1004bが収納されており、必要に応じて各トレイを手前に引き出すこととにより、用紙の支持面積を3段階に拡大、縮小させ得るようになっている。
【0031】
アクセスカバーM1003は、その一端部が上ケースM1002に回転自在に保持され、上面に形成される開口部を開閉し得るようになっており、このアクセスカバーM1003を開くことによって本体内部に収納されている記録ヘッドカートリッジH1000あるいはインクタンクH1900等の交換が可能となる。なお、ここでは特に図示しないが、アクセスカバーM1003を開閉させると、その裏面に形成された突起がカバー開閉レバーを回転させるようになっており、そのレバーの回転位置をマイクロスイッチなどで検出することにより、アクセスカバーの開閉状態を検出し得るようになっている。
【0032】
また、上ケースM1002の後部上面には、電源キーE0018及びレジュームキーE0019が押下可能に設けられると共に、LED E0020が設けられており、電源キーE0018を押下すると、LED E0020が点灯し記録可能であることをオペレータに知らせるものとなっている。また、LED E0020は点滅の仕方や色の変化によりプリンタのトラブル等をオペレータに知らせる等種々の表示機能を有する。なお、トラブル等が解決した場合には、レジュームキーE0019を押下することによって記録が再開されるようになっている。
【0033】
[記録動作機構]次に、上記プリンタの装置本体M1000に収納、保持される本実施形態における記録動作機構について説明する。
【0034】
本実施形態における記録動作機構としては、記録シートPを装置本体内へと自動的に給送する自動給送部M3022と、自動給送部から1枚ずつ送出される記録シートPを所望の記録位置へと導くと共に、記録位置から排出部M3030へと記録シートPを導く搬送部M3029と、搬送部M3029に搬送された記録シートPに所望の記録を行なう記録部M4000と、前記記録部M4000等に対する回復処理を行う回復部(M5000)とから構成されている。
【0035】
次に、各機構部の構成を説明する。
【0036】
(自動給送部)まず、図2及び図3に基づき自動給送部M3022を説明する。本実施形態における自動給送部M3022は、水平面に対して約30°〜60°の角度を持って積載された記録シートPを水平な状態で送り出し、不図示の給送口から略水平な状態を維持しつつ本体内へと記録シートを排出するものとなっている。
【0037】
すなわち、自動給送部M3022には、給送ローラM3026、可動サイドガイドM3024、圧板M3025、ASFベースM3023、分離シートM3027、不図示の分離爪等が備えられている。このうち前記ASFベースM3023は、自動給送部M3022の略外殻をなすものであり、前記装置本体の背面側に設けられている。また、ASFの前面側には、記録シートPを支持する圧板M3025が水平面に対し約30°〜60°の角度をなすよう取り付けられると共に、記録シートPの両端部を案内する一対のシートガイドM3024a及びM3024bが突設されており、一方のシートガイドM3024bは水平移動可能となっており、記録シートの水平方向のサイズ(幅)に対応し得るようになっている。
【0038】
また、ASFベースM3023の左右両側面には、不図示の伝達ギアを介してPGモータに連動する駆動軸M3026aが回動可能に支持されており、その駆動軸M3026aには異形の周面形状をなす給紙ローラが複数個固定されている。そして、前記圧板M3025上に積載された記録シートPは、PGモータE0003の駆動に連動して給送ローラM3026が回転することにより、前記分離シートM3027および前記分離爪の分離作用によって積載された記録シートPの中の最上位の記録シートを順次1枚ずつ分離して送り出し、搬送部M3029へと搬送するようになっている。なお、圧板M3025の下端部はASFベースM3023との間に介在させた圧板ばねM3028によって弾性的に支持されているため、給送ローラと記録シートとの圧接力を記録シートPの積載枚数に拘わりなく一定に保ち得るようになっている。
【0039】
また、自動給送部M3022から搬送部M3029に至る記録シートPの搬送経路内には、PEレバーばねM3021によって図3中時計方向へと付勢されたPEレバーM3020が、装置本体M1000に固定された所定の剛性を有する金属製の板状部材からなるシャーシM3019に軸着されており、自動給送部M3022から分離搬送された記録シートPが前記通路を通過し、その一端部が前記レバーをその一端部を押圧して回転させることにより、不図示のPEセンサが前記PEレバーM3020の回転を検知し、記録シートPが搬送経路内に侵入したことを検知するようになっている。そして、前記記録シートPの搬送経路内への進入が検知された後、記録シートPの予め決められた距離の下流側への搬送が、前記給送ローラM3026によって進められる。この前記給送ローラM3026による搬送動作は、後述の搬送部に設けられた停止状態にあるLFローラM3001とピンチローラM3014のニップ部とに前記記録シートPの先端部が当接した後、前記記録シートPが約3mmループした状態で停止する。
【0040】
(搬送部)搬送部M3029は、前記LFローラM3001、ピンチローラM3014、及びプラテンM2001等を備えており、前記LFローラM3001は、前記シャーシM3019等によって回動自在に支持された駆動軸に固定されており、その一端部には、図4に示すようにLFギアカバーM3002が装着され、これによって駆動軸M3001aに固定されるLFギアM3003と、このLFギアM3003に噛合するLF中間ギアM3012の小ギアM3012a(図2参照)とを同時に保護できる構成になっている。そして、前記LF中間ギアM3012は、後述のLFモータE0002の駆動軸に設けられた駆動ギアに連動しており、このモータの駆動力によって回転するようになっている。
【0041】
また、前記ピンチローラM3014は、シャーシM3019に回動自在に支持されるピンチローラホルダM3015の先端部に軸着されており、ピンチローラホルダM3015を付勢する巻きばね状のピンチローラばねM3016によって前記LFローラM3001に圧接しており、前記LFローラM3001の回転するとこれに従動して回転し、前述のようにループ状に停止している記録シートPをLFローラM3001との間で挟持しつつ前方へと搬送させるものとなっている。
【0042】
また、前記ピンチローラM3014の回転中心は、前記LFローラM3001の回転中心より約2mm搬送方向下流側にオフセットして設けられているため、前記LFローラM3001とピンチローラM3014とにより搬送される記録シートPは、図3中右斜め下方に向かって搬送されることになり、記録シートPは、前記プラテンM2001の記録シート支持面M2001a(図5)に沿って搬送される。
【0043】
このように構成された搬送部においては、自動給送部M3022の給紙ローラM3026による搬送動作が停止した後、一定時間が経過するとLFモータE0002の駆動が開始され、前記LFモータE0002の駆動がLF中間ギアM3012およびLFギアM3003を介してLFローラM3001に伝達され、LFローラM3001とピンチローラM3014のニップ部とに先端部が当接している前記記録シートPが、前記LFローラM3001の回転によって前記プラテンM2001上の記録開始位置まで搬送される。
【0044】
この時、前記給送ローラM3026は前記LFローラM3001と同時に再び回転を開始するため、前記記録シートPは、所定時間給送ローラM3026とLFローラM3001との協動により下流側へと搬送されることとなる。記録ヘッドカートリッジH1000は、シャーシM3019によってその両端部が固定されるキャリッジ軸M4012に沿って記録シートPの搬送方向と直交する方向(走査方向)へと往復移動するキャリッジM4001と共に移動し、記録開始位置に待機している前記記録シートPにインクを吐出して所定の画像情報に基づいたインク像を記録する。
【0045】
そして、前記インク像の記録の後、前記LFローラM3001の回転による所定量の搬送、例えば5.42mm搬送という行単位での前記記録シートPの搬送を行い、その搬送動作終了後に、前記キャリッジM4001がキャリッジ軸M4012に沿って主走査を行う、という動作が繰り返し実行され、プラテンM2001上に位置する記録シートPに対してインク像の記録が実施される。
【0046】
[排紙部]次に図3に基づき前記排紙部M3030を説明する。図3に示すように、排出部M3030は、排出ローラM2003、この排出ローラM2003に装着され前記LFモータE0002の駆動を前記LF中間ギアM3012を介して前記排出ローラM2003に伝達する排出ギアM3013、拍車ステイM2006に装着された第1の拍車ホルダM2007に取付けられた拍車ばね軸M2009の付勢力により前記排出ローラM2003に押圧され前記排出ローラM2003の回転に従動回転し記録シートPを排出ローラM2003との間で挟持しつつ搬送する第1の拍車M2004、及び記録シートPの排出を補助する排出トレイM1004等を備えている。
【0047】
そして、この排紙部M3030へと搬送されてきた記録シートPは、前記排出ローラM2003と前記第1の拍車M2004とによる搬送力を受けることとなるが、前記第1の拍車M2004の回転中心は、前記排出ローラM2003の回転中心より約2mm搬送方向上流側にオフセットして設定されているため、前記排出ローラM2003と前記第1の拍車M2004とにより搬送される記録シートPは、前記プラテンM2001の記録シート支持面M2001aとの間に隙間を生じることなく軽く接触するため、記録シートは適正かつスムーズに搬送される。
【0048】
さらに、前記排出ローラM2003と前記第1の拍車M2004による搬送速度と、前記LFローラM3001と前記ピンチローラM3014とによる搬送速度はほぼ同等の速度であるが、記録シートPが弛むことをさらに防止するため、前記排出ローラM2003と前記第1の拍車M2004とによる搬送速度の方が若干早くなるよう構成されている。
【0049】
さらに、前記拍車ステイM2006には、前記第1の拍車M2004の下流側の一部に第2の拍車ホルダM2008に装着された第2の拍車M2005が保持されており、記録シートPが前記拍車ステイM2006に摺擦してしまうことを防止している。
【0050】
前記記録シートPへのインク像の記録が終了し、前記LFローラM3001とピンチローラM3014の間から前記記録シートPの後端が抜脱すると、前記排出ローラM2003と前記第1の拍車M2004のみによる記録シートPの搬送が行われ、前記記録シートPの排出は完了する。
【0051】
(記録部)次に前記記録部M4000を説明する。前記記録部M4000は、前記キャリッジ軸M4021によって移動可能に支持されたキャリッジM4001と、このキャリッジM4001に着脱可能に搭載される記録ヘッドカートリッジH1000とからなる。
【0052】
(記録ヘッドカートリッジ)まず、前記記録ヘッドカートリッジについて図6及び図7に基づき説明する。この実施形態における記録ヘッドカートリッジH1000は、図6に示すようにインクを貯留するインクタンクH1900と、このインクタンクH1900から供給されるインクを記録情報に応じてノズルから吐出させる記録ヘッドH1001とを有し、前記記録ヘッドH1001は、後述するキャリッジM4001に対して着脱可能に搭載される、いわゆるカートリッジ方式を採るものとなっている。
【0053】
ここに示す記録ヘッドカートリッジH1000では、写真調の高画質なカラー記録を可能とするため、インクタンクとして、例えば、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタ、シアン、マゼンタ及びイエローの各色独立のインクタンクが用意されており、図7に示すように、それぞれが記録ヘッドH1001に対して着脱自在となっている。
【0054】
(キャリッジ)次に、図2及び図8に基づき前記キャリッジM4001を説明する。各図に示すように、キャリッジM4001には、キャリッジM4001と係合し記録ヘッドH1001をキャリッジM4001の装着位置に案内するためのキャリッジカバーM4002と、記録ヘッドH1001のタンクホルダーH1500と係合し記録ヘッドH1001を所定の装着位置にセットさせるよう押圧するヘッドセットレバーM4007とが設けられている。すなわち、ヘッドセットレバーM4007はキャリッジM4001の上部にヘッドセットレバー軸(不図示)に対して回動可能に設けられると共に、記録ヘッドH1001との係合部には不図示のヘッドセットプレートがばねを介して備えられ、このばね力によって記録ヘッド1001を押圧しながらキャリッジM4001に装着する構成となっている。
【0055】
またキャリッジM4001の記録ヘッドH1001との別の係合部にはコンタクトフレキシブルプリントケーブル(以下、コンタクトFPCと称す)E0011が設けられ、コンタクトFPC E0011上のコンタクト部E0011aと記録ヘッドH1001に設けられたコンタクト部(外部信号入力端子)(不図示)とが電気的に接触し、記録のための各種情報の授受や記録ヘッドH1001への電力の供給などを行い得るようになっている。
【0056】
ここでコンタクトFPC E0011のコンタクト部E0011aとキャリッジM4001との間には不図示のゴムなどの弾性部材が設けられ、この弾性部材の弾性力とヘッドセットレバーばねによる押圧力とによってコンタクト部E0011aとキャリッジM4001との確実な接触を可能とするようになっている。さらに前記コンタクトFPC E0011はキャリッジM4001の両側面部に引き出され、キャリッジM4001の背面に搭載されたキャリッジ基板(不図示)に接続されている。
【0057】
また、キャリッジ基板(不図示)はシャーシM3019に設けられているメイン基板(不図示)とキャリッジフレキシブルフラットケーブル(キャリッジFFC)により電気的に接続されている。
【0058】
またキャリッジ基板(不図示)にはエンコーダセンサ(不図示)が設けられ、シャーシM3019の両側面の間にキャリッジ軸M4012と平行に張架されたエンコーダスケール(不図示)上の情報を検出することにより、キャリッジM4001の位置や走査速度等を検出できるようになっている。この実施形態の場合、エンコーダセンサ(不図示)は光学式の透過型センサであり、エンコーダスケール(不図示)はポリエステル等の樹脂製のフィルム上に写真製版などの手法によって、エンコーダセンサ(不図示)からの検出光を遮断する遮光部と検出光が透過する透光部とを所定のピッチで交互に印刷したものとなっている。
【0059】
従って、キャリッジ軸M4012に沿って移動するキャリッジM4001の位置は、キャリッジM4001の走査軌道上の端部に設けられたシャーシM3019の一方の側板にキャリッジを突き当て、その突き当て位置を基準とし、その後キャリッジM4001の走査に伴いエンコーダセンサ(不図示)によるエンコーダスケール(不図示)に形成されたパターン数を計数することにより随時検出し得るようになっている。
【0060】
またキャリッジM4001はシャーシM3019の両側面の間に架設されたキャリッジ軸M4012とキャリッジレールM4013とに案内されて走査されるように構成され、キャリッジ軸M4012の軸受け部には焼結製の金属等にオイル等の潤滑剤を含浸させてなる一対のキャリッジ軸受け(不図示)がインサート成形等の方法により一体的に形成されている。さらにキャリッジM4001のキャリッジレールM4013との当接部には、摺動性や耐摩耗性に優れた樹脂等によって当接部材であるキャリッジスライダ(CRスライダ)M4014が設けられ、前述のCR軸受け(不図示)と共にキャリッジM4001の潤滑な走査を可能とするよう構成されている。
【0061】
また、キャリッジM4001は、アイドラプーリM4020(図2)とキャリッジモータプーリM4024(図2)との間にキャリッジ軸と略平行に張架されたキャリッジベルトM4018に固定されており、キャリッジモータE0001の駆動によってキャリッジモータプーリM4024を回転させ、キャリッジベルトM4018を往動方向または復動方向へと移動させることにより、キャリッジM4001をキャリッジ軸M4012に沿って走査させ得るようになっている。また、前記キャリッジモータプーリM4024は、シャーシによって定位置に保持されているが、アイドラプーリM4020は、プーリホルダM4021と共にシャーシM3019に対して移動可能に保持され、前記モータプーリM4024から離間する方向へとばねによって付勢されているため、両プーリM4020からM4024に亘って架け渡されたキャリッジベルトM4018には、常に適度な張力が付与され、弛みのない良好な架設状態が維持されるようになっている。なお、キャリッジベルトM4018とキャリッジM4001との取付部分には、キャリッジベルト止め(不図示)が設けられており、これによってキャリッジM4001との取り付けを確実に行い得るようになっている。
【0062】
また、拍車ステイM2006のキャリッジM4001の走査軌道上には、キャリッジM4001に装着された記録ヘッドカートリッジH1000のインクタンクH1900に貯留されているインクの残量を検出するため、インクタンクH1900に対向露出してインクエンドセンサE0006(図2)が備えられている。このインクエンドセンサE0006はインクエンドセンサホルダM4026によって保持されると共に、センサの誤動作などを防止するため金属板等を備えたインクエンドセンサカバーM4027内に収納され、外部からのノイズを遮断し得るようになっている。
【0063】
(回復部)次に図9及び図10を用いて、記録ヘッドカートリッジH1000に対しての回復処理を行う回復部の説明を行う。この実施形態における回復部は、装置本体M1000に対し、独立して着脱を可能とする回復系ユニットM5000によって構成されており、この回復系ユニットM5000は、記録ヘッドH1001の記録素子基板(不図示)に付着した異物を除去するためのクリーニング手段やインクタンクH1900から記録ヘッドH1001の記録素子基板(不図示)に至るインクの流路の正常化を図るための回復手段等を備える。
【0064】
図9及び図10において、E0003はPGモータであり、後述するキャップM5001、ポンプM5100、ワイパーブレードM5011、M5012−1、M5012−2及び自動給送部M3022を駆動するための駆動源として機能する。このPGモータE0003ではモータ軸の両側部から駆動力を取り出しており、一側部は後述する駆動切換手段を介してポンプM5100または前述の自動給送部M3022を駆動し、他側部はワンウェイクラッチM5041を介してPGモータE0003が特定の回転方向(以下、この回転方向を正転方向とし反対方向を逆転方向とする。)へと回転する時にのみ互いに連結されて連動するキャップM5001とワイパーブレードM5011、M5012−1、M5012−2を駆動する。従って、PGモータE0003が逆転方向に回転している時にはワンウェイクラッチM5041が空転し駆動力が伝達されないため、キャップM5001とワイパーブレードM5011、M5012−1、M5012−2は駆動されない。
【0065】
前記キャップM5001はゴム材からなり、軸中心に回動可能なキャップレバーM5004に取り付けられている。このキャップM5001は、ワンウェイクラッチM5041、キャップ駆動伝達ギア列M5110、キャップカム及びキャップレバーM5004を介して矢印A方向(図10)に移動し、記録ヘッドH1001の記録素子基板(不図示)に対して当接、離間可能に構成されている。キャップM5001には、キャップ吸収体M5002が設けられており、キャッピング時に所定の間隔をもって記録素子基板H1100と対向するように配置されている。
【0066】
このキャップ吸収体M5002を配置することにより、吸引動作時に記録ヘッドカートリッジH1000から出されたインクを受容することができ、さらに後述する空吸引によりキャップM5001内のインクを廃インク吸収体へと完全に排出させることが可能となる。そして、キャップM5001にはキャップチューブM5009とバルブチューブM5010の2本のチューブが接続されており、キャップチューブM5009は後述するポンプM5100のポンプチューブM5019に、バルブチューブM5010は後述するバルブゴムM5036にそれぞれ接続されている。
【0067】
また、M5011、M5012−1、M5012−2はゴム等の可撓性部材からなるワイパーブレードであり、その端縁部が上方へ向けて突出するようにブレードホルダM5013に立設されている。また、前記ブレードホルダM5013には、リードスクリューM5031が挿通されると共に、このリードスクリューM5031に形成された溝にブレードホルダM5013の不図示の突起部が移動可能に嵌合している。このため、前記ブレードホルダM5013がリードスクリューM5031の回転に従って回転することにより、リードスクリューM5031に沿って矢印B1、B2方向(図10)へと往復動し、これと共にワイパーブレードM5011、M5012−1、M5012−2が記録ヘッドカートリッジH1000の記録素子基板(不図示)を拭取りクリーニングする。リードスクリューM5031はワンウェイクラッチM5041及びワイパー駆動伝達ギア列M5120を介してPGモータE0003に接続されている。
【0068】
M5100はポンプチューブM5019をコロ(不図示)でしごいて圧力を発生させるポンプである。このポンプは、前記自動給送部M3022と本ポンプM5100とに駆動力の伝達経路を切り換える駆動切換手段とポンプ駆動伝達ギア列M5130とを介してPGモータE0003の他側部に連結されている。また、詳細は省略するが、このポンプM5100にはポンプチューブM5019をしごくコロ(不図示)のチューブへの圧接力を解除できる機構が設けられており、PGモータE0003が正転方向に回転する時にはコロの圧接力が解除されてチューブをしごかず、PGモータE0003が逆転方向に回転する時にはコロの圧接力が作用しチューブをしごくことができる構成となっている。また、ポンプチューブM5019の一端は前記キャップチューブM5009を介してキャップM5001に接続されている。
【0069】
前記駆動切換手段は、振り子アームM5026と切換レバーM5043とからなっている。振り子アームM5026はPGモータE0003の回転方向に従い矢印C1、C2方向(図9)に軸M5026aを中心に回動可能に構成されている。また切り換えレバーM5043は、キャリッジM4001の位置によって切り換わるものとなっている。すなわち、キャリッジが回復系ユニットM5000上方へと移動すると、切換レバーM5043の一部はキャリッジM4001の一部と当接し、キャリッジM4001の位置に従って切換レバーM5043が矢印D1、D2方向(図9)へと移動し、振り子アームM5026のロック穴M5026bと切換レバーM5043のロックピンM5043aとが嵌合し得るよう構成されている。
【0070】
一方、前記バルブゴムM5036には、一端部が前記キャップM5001に接続されたバルブチューブM5010の他端部が接続されている。また、このバルブゴムM5036は、バルブカムM5035、バルブクラッチM5048及びバルブ駆動伝達ギア列M5140を介して前記排紙ローラM2003(図5)に接続され、排紙ローラM2003の回転に従って、軸M5038aを中心に矢印E1、E2方向に回動可能なバルブレバーM5038が、バルブゴムM5036に対して当接、離間可能に配置されている。このバルブレバーM5038がバルブゴムM5036に当接している時がバルブ閉状態、離間している時がバルブ開状態となる。なお、E0010はPGセンサであり、キャップM5001の位置を検出するようになっている。
【0071】
次に、上記構成を有する回復系ユニットM5000の各動作を説明する。まず、自動給送部M3022の駆動について説明する。キャリッジM4001が切換レバーM5043に当接しない待避位置でPGモータE0003が逆転方向に回転すると、振り子駆動伝達ギア列M5150を介して振り子アームM5026が矢印C1方向(図9)に振られ、振り子アームM5026上に取り付けられている切換出力ギアM5027がASF駆動伝達ギア列M5160の一端にあるASFギア1M5064に噛合する。この状態でPGモータE0003が逆転方向に回転し続けると、ASF駆動伝達ギア列M5160を介して自動給送部M3022が駆動される。この時、キャップM5001とワイパーブレードM5011、M5012−1、M5012−2には、ワンウェイクラッチM5041の空転により駆動力が伝達されないため、ワイパーブレードは動作しない。
【0072】
次にポンプM5100の吸引動作について説明する。キャリッジM4001が切換レバーM5043に当接しない待避位置で、PGモータE0003が正転方向に回転すると、振り子駆動伝達ギア列M5150を介して振り子アームM5026が矢印C2方向に振られ、振り子アームM5026上に取り付けられている切換出力ギアM5027が、ポンプ駆動伝達ギア列M5130の一端に位置するポンプギア1M5053に噛合する。
【0073】
この後、キャリッジM4001がキャッピング位置(記録ヘッドカートリッジH1000の記録素子基板(不図示)がキャップM5001と対向するキャリッジの位置)に移動すると、キャリッジM4001の一部が切換レバーM5043の一部と当接し、切換レバーM5043をD1方向へと移動させ、切換レバーM5043のロックピンM5043aが振り子アームM5026のロック穴M5026bに嵌合するため、振り子アームM5026はポンプ側に接続された状態でロックされる。
【0074】
ここで、排出ローラM2003は逆転方向に駆動され、バルブレバーM5038は矢印E1方向に回転してバルブゴムM5036は開状態となる。この開状態において、PGモータE0003は正転方向に回転し、キャップM5001とワイパーブレードM5011、M5012−1、M5012−2とを駆動しキャッピング(キャップM5001が記録ヘッド1001の記録素子基板(不図示)に密着して当接し覆う動作)を行う。この時、ポンプM5100は動作するが、コロ(不図示)のポンプチューブM5019に対する圧接力は解除されているため、コロはポンプチューブM5019をしごかず、圧力は発生しない。
【0075】
また、排紙ローラM2003が正転方向に駆動され、バルブレバーM5038が矢印E2方向(図10)へと回動すると、バルブゴムM5036は閉状態となる。ここで、PGモータE0003が逆転方向に回転しコロの圧接力によってポンプチューブM5019をしごくことにより、キャップチューブM5009及びキャップM5001を介して記録ヘッドカートリッジH1000の記録素子基板(不図示)に負圧を作用させ、該記録素子基板(不図示)上の吐出口から記録に適さなくなったインクや泡等を強制的に吸引する。
【0076】
この後、PGモータE0003が逆転方向に回転しながら排紙ローラM2003を逆転方向に駆動し、バルブレバーM5038を矢印E1方向(図10参照)に回動するとバルブゴムM5036は開状態となる。その結果、ポンプチューブM5019、キャップチューブM5009及びキャップM5001内の圧力は大気圧となり、記録ヘッドカートリッジH1000の記録素子基板1100におけるインク吐出口からの強制吸引動作は停止し、同時にポンプチューブM5019、キャップチューブM5009及びキャップM5001内に満たされているインクが吸引され、ポンプチューブM5019の他端から廃インク吸収体(不図示)へと排出される(以下、この動作を空吸引という)。ここで、PGモータE0003が停止し、排紙ローラM2003が正転方向に駆動し、バルブレバーM5038が矢印E2方向(図10)に回動すると、バルブゴムM5306は閉状態となり、以上で吸引動作は終了する。
【0077】
次にワイピング動作について説明する。ワイピング動作において、PGモータE0003は、まず正転方向に回転し、ワイパーブレードM5011、M5012−1、M5012−2がワイピング開始位置(キャップM5001が記録ヘッドカートリッジH1000から離間した状態でワイパーブレードM5011、M5012−1、M5012−2が、記録ヘッドカートリッジH1000より記録動作において上流側にある位置)へと移動する。次いで、キャリッジM4001はワイピング位置(ワイパーブレードM5011、M5012−1、M5012−2が記録素子基板(不図示)と対向する位置)へと移動する。この時、キャリッジM4001と切換レバーM5043とは当接しておらず、振り子アームM5026はロックされていない状態にある。
【0078】
ここで、PGモータE0003が正転方向に回転し、ワイパーブレードM5011、M5012−1、M5012−2が矢印B1方向(図10)に移動しながら記録ヘッドカートリッジH1000の記録素子基板(不図示)を拭取りクリーニングし、さらに記録ヘッドカートリッジH1000の記録素子基板1100より記録動作方向において下流側に設けられた不図示のワイパーブレードクリーニング手段により、前記記録素子基板(不図示)の拭取りクリーニングを行い、ワイパーブレードに付着した汚れをクリーニングする。この時キャップM5001は離間した状態に維持される。
【0079】
ワイパーブレードがワイピング終了位置(記録動作において下流側の終端位置)に到達したところでPGモータが停止し、キャリッジM4001はワイピング待避位置(ワイパーブレードM5011、M5012−1、及びM5012−2の移動領域外)へと移動する。この後、PGモータE0003は正転方向に回転し、ワイパーブレードはワイピング終了位置へと移動する。なお、この時もキャップM5001は離間した状態に維持され、以上によりワイピングは終了する。
【0080】
次に予備吐出について説明する。複数色のインクを吐出する記録ヘッドを用いて前述の吸引動作やワイピング動作を行うと、インクが混ざり合う問題が発生することがある。
【0081】
例えば、吸引動作時には吸引によってインク吐出口から吸い出されたインクが他の色のインク吐出口へ侵入してしまったり、ワイピング動作時にはインク吐出口周辺に付着している様々な色のインクをワイパーにより異なる色のインク吐出口へ押し込んでしまったりすることが原因であり、このような場合、次に記録を開始したときに、最初の部分が変色(混色ともいう)となって画像が劣化してしまうおそれがある。
【0082】
この混色を防止するために、記録する直前に混色した分のインクを予め吐出しておくことを予備吐出といい、本実施形態においては図9に示す通りキャップM5001の近傍に予備吐出口M5045が配置されており、記録直前に前記記録ヘッドの記録素子基板H1100をその予備吐出口M5045に対向する位置へ移動させて実行する。
【0083】
なお、前記予備吐出口M5045は、予備吐出吸収体M5046及び予備吐出カバーM5047により形成されており、予備吐出吸収体M5046は不図示の廃インク吸収体につながっている。
【0084】
『特徴構成』次に、上記のような『基本構成』のプリンタにおける本発明の特徴構成の実施形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0085】
図11は、従来の記録装置における記録ヘッドとインク吐出検出手段の位置関係を説明した模式図であり、図12は図11の模式図を下面から見た図である。
【0086】
図11、図12において、H1001は、記録ヘッドであり、H1002は記録ヘッドの吐出口形成面、H1003はインク吐出方向、E1001は光を照射する発光素子、E1002は前記発光素子から発光された光を受光する受光素子、E1005は光ビームであり、前記発光素子E1001と前記受光素子E1002は、前記記録ヘッドH1001のノズル列に対して、前記発光素子E1001と前記受光素子E1002を結ぶ光路が平行になる様に、記録装置本体に固定配備されている。なお、前記発光素子E1001、前記受光素子E1002の前方には、光量調整、S/N比向上のためのアパーチャE1003、E1004を設置してある。前記アパーチャE1003,E1004の開口部サイズは2mm×2mmとしている。
【0087】
次にインク吐出検出を行う手順について説明していく。図11に示すように、前記記録ヘッドH1001から前記光ビームE1005に向けて、矢印H1003方向にインクを吐出する。インク液滴が前記光ビームE1005を遮蔽した時の光量の変化を前記受光素子E1002が読み取り電気信号に変換する。前記電気信号により、インクの吐出、不吐出を検出する。ここで図11に示すように、前記光ビームE1005は前記記録ヘッドの吐出口形成面H1002からある程度離れている為に、吐出されたインク液滴が前記光ビームを通過する時には、主滴H1004とサテライトH1005に分離している。そのために、サテライトの検出信号が次のインク滴の主滴の検出信号と重ならないようにするために、前記サテライトが前記光ビームの中を通過した後に次のノズルを駆動してインクを吐出する必要があった。
【0088】
本発明の第1の実施形態では、インク液滴が主滴とサテライトに分離する前にインク液滴を検出できるように、光ビームを極力記録ヘッドの吐出口形成面に近づけるように、発光素子、受光素子を配置した。図13は、その時の記録ヘッドとインク吐出検出手段の位置関係を説明した模式図である。図13の中で、図11の中で使った番号と同じものは、同一の構成部品を表しており、図13の模式図を下面から見た図は、図12と同じ位置関係にある。
【0089】
図13を用いて、本発明の第1の実施形態についてさらに詳しく説明して行く。発光素子E1001には広指向性の赤外LED、受光素子E1002にはフォトダイオードを用いている。アパーチャE1003、E1004には、従来例と同様に2mm×2mmの開口部が設けてある。前記アパーチャに設けられた開口部の上側の縁と前記記録ヘッドの吐出口形成面H1002が同一高さになるように、前記発光素子E1001、前記受光素子E1002、前記アパーチャE1003、E1004が配置されている。また、E1006は前記発光素子E1001から出て、真直ぐに前記受光素子E1002に向かう直接光であり、E1007は前記発光素子E1001から出た後、前記記録ヘッドの吐出口形成面H1002で反射し前記受光素子E1002に向かう反射光である。前記記録ヘッドH1001から吐出されたインク液滴は、前記反射光E1007、前記直接光E1006の順に各光束を遮蔽しながら矢印H1003の方向へ進んで行き、インク吸収体(不図示)に吸収される。
【0090】
次に前記受光素子E1002から得られる検出信号について、図14〜図17を用いて説明して行く。図14は吐出周波数1kHzで記録ヘッドを駆動した時のインク吐出状態検出時の検出信号を示した図であり、正常吐出時の吐出状態検出時の検出信号を示している。図14において、E1008は吐出を開始するための駆動信号である。前記駆動信号E1008は通常は3.3Vで固定されているが吐出命令があると3.3Vから電圧が下り、吐出が開始される。E1009は検出信号であり、前記受光素子E1002に入射する光量を電気信号で表したもので、前記光量が下がると電圧が下がる構成となっている。図14にあるように前記駆動信号E1008が下がり、吐出が開始されると前記検出信号E1009は約−10Vまで低下する。この第一の変化部分E1009aがインク吐出滴による前記反射光E1007の遮光を示している。前記検出信号E1009は0V付近まで戻り再び約−15Vまで低下する。この第二の変化部分E1009bがインク吐出滴による前記直接光E1006の遮光を示している。
【0091】
次に図15、図16、図17について説明して行く。図15は吐出周波数3kHzで記録ヘッドを駆動した時のインク吐出状態検出時の検出信号を示した図、図16は吐出周波数5kHzで記録ヘッドを駆動した時のインク吐出状態検出時の検出信号を示した図、図17は吐出周波数10kHzで記録ヘッドを駆動した時のインク吐出状態検出時の検出信号を示した図である。図15、図16、図17において、T1、T2、T3はインクの吐出間隔を表しており、T1=0.33msec、T2=0.2msec、T3=0.1msecとなっている。また各図中において、インクの吐出周波数が高くなるに従い、インク吐出滴による前記反射光E1007の遮光による検出信号E1009aがあまり変化しないのに対して、インク吐出滴による前記直接光E1006の遮光による検出信号E1009bが小さくなっていることがわかる。
【0092】
インク吐出滴による前記直接光E1006の遮光による検出信号E1009bが小さくなっているのは、吐出周波数が高くなっていくと検出時間(光の取り込み時間)が短くなり、光量の変化量を十分に読み込めない為である。具体的には、前記アパーチャE1003、E1004に設けられた開口部の高さは2mmであるから、インク液滴の速度を10m/secとした場合、前記アパーチャの開口部をインク液滴が通過するのに要する時間は、
2mm÷(10000mm/sec)
で0.2msecとなる。そのため、吐出周波数5kHz(T2=0.2msec)でインク吐出滴による前記直接光E1006の遮光による検出信号E1009bがある程度小さくなり、吐出周波数10kHz(T3=0.1msec)でインク吐出滴による前記直接光E1006の遮光による検出信号E1009bが極端に小さくなっていることが説明できる。一方インク吐出滴による前記反射光E1007の遮光による検出信号E1009aがあまり変化しないのは、前記反射光E1007は前記記録ヘッドの吐出口形成面H1002で反射された光である為、検出時間(光の取り込み時間)が短くなっても、吐出直後のインク液滴により、光が十分に遮蔽される為である。
【0093】
以上より、インク液滴の吐出周波数が高くなってくると、前記直接光E1006ではインク液滴の検出が難しいことがわかる。逆にインク液滴の吐出周波数が高くなってくると、前記反射光E1007を利用したインク液滴の検出が有効であることがわかる。
【0094】
また図17においては、前記直接光による検出信号E1009bは前記反射光による検出信号E1009aに比べると、ノイズのレベルに近い。その為に、本発明の第1の実施形態では、前記発光素子から前記受光素子へ向かう光ビームのうち直接光を遮蔽する遮蔽部材(不図示)を前記発光素子と前記受光素子との間に設け、前記発光素子から前記受光素子へ向かう光ビームのうち前記記録ヘッドの吐出口形成面乃至はその近傍で反射し前記受光素子に向かう反射光のみを使用して、前記記録ヘッドの吐出口から吐出直後のインクの吐出状態を検出するようにした。その結果、ノイズが少なく、ハイレベルの検出信号が得ることが可能になり、精度の良い検出が可能となった。
【0095】
上述したように、短い吐出周期(高周波数)で吐出されたインクの吐出検出が確実に行えるようになった。
【0096】
また、記録ヘッドから吐出直後のインクの有無を検出できるようになった為、インクのヨレに関係なく、インク吐出検出が確実に行えるようになった。
【0097】
上記の結果、小型かつ安価な構成でありながら、記録ヘッドのインクの吐出状態を正確に短時間に検出することができる記録装置が実現できた。
【実施例2】
【0098】
次に、図18、図19、図20を用いて、本発明の第2の実施形態について説明して行く。図18は、本発明の第2の実施形態における、記録ヘッドとインク吐出検出手段の位置関係を説明した模式図であり、図19は吐出周波数1kHzで記録ヘッドを駆動した時のインク吐出状態検出時の検出信号を示した図である。図18の中で、図13の中で使った番号と同じものは、同一の構成部品を表しており、図18の模式図を下面から見た図は、図12と同じ位置関係にある。図18において、第1の実施形態との違いは、アパーチャE1003、E1004に設けられた穴の上側の縁の上方に0.5〜1.5mm離れた位置に前記記録ヘッドの吐出口形成面が来るように前記吐出検出手段を配置したことである。
【0099】
上記構成により、反射光E1007の光量か増加し、図19でわかるように、反射光による検出信号E1009aのレベルがアップする。
【0100】
また、図20は同様に本発明の第2の実施形態における、記録ヘッドとインク吐出検出手段の位置関係を説明した模式図である。図20において、M6001は前記発光素子から前記受光素子へ向かう光ビームのうち直接光を遮蔽する遮蔽部材であり、上記直接光を遮蔽する遮蔽部材M6001の上端が、前記アパーチャE1003、E1004に設けられた穴の上側の縁とほぼ一致するように配置してある。
【0101】
上記構成により、前記反射光E1007の光量はさほど減少させずに、前記直接光E1006のみを遮蔽することが可能になっている。
【0102】
以上の結果より、より精度の良いインク液滴の吐出の検出が可能になった。
【実施例3】
【0103】
上記において、前記発光素子から前記受光素子へ向かう光ビームのうち直接光を遮蔽する遮蔽部材は単独で設けたが、前記記録ヘッドの性能回復乃至保護を行うキャップの一部で形成しても同様の効果がえられる。
【実施例4】
【0104】
また、前記記録ヘッドの吐出口形成面乃至はその近傍に、前記発光素子からの光を効率的に反射させる部材を設けていることにより、より精度の良いインク液滴の吐出の検出が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の実施形態におけるインクジェットプリンタの外観構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すものの外装部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【図3】図2に示したものの側面図である。
【図4】図2に示した給紙ローラ及びLFギアカバーなどを示す正面図である。
【図5】図2に示したピンチローラ等を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に用いる記録ヘッドカートリッジを示す斜視図である。
【図7】図6に示す記録ヘッドカートリッジを組立てた状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施形態に用いるキャリッジの正面側を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施形態における回復系ユニットの一側部を示す斜視図である。
【図10】図9に示した回復系ユニットの他側部を示す斜視図である。
【図11】従来の記録装置における記録ヘッドとインク吐出検出手段の位置関係を説明した模式図である。
【図12】図11の模式図を下面から見た図である。
【図13】本発明の第1の実施形態における、記録ヘッドとインク吐出検出手段の位置関係を説明した模式図である。
【図14】吐出周波数1kHzで記録ヘッドを駆動した時のインク吐出状態検出時の検出信号を示した図である。
【図15】吐出周波数3kHzで記録ヘッドを駆動した時のインク吐出状態検出時の検出信号を示した図である。
【図16】吐出周波数5kHzで記録ヘッドを駆動した時のインク吐出状態検出時の検出信号を示した図である。
【図17】吐出周波数10kHzで記録ヘッドを駆動した時のインク吐出状態検出時の検出信号を示した図である。
【図18】本発明の第2の実施形態における、記録ヘッドとインク吐出検出手段の位置関係を説明した模式図である。
【図19】吐出周波数1kHzで記録ヘッドを駆動した時のインク吐出状態検出時の検出信号を示した図である。
【図20】本発明の第2の実施形態における、記録ヘッドとインク吐出検出手段の位置関係を説明した模式図である。
【符号の説明】
【0106】
M1001 下ケース
M1002 上ケース
M1003 アクセスカバー
M1004 排出トレイ
M1005 カバー開閉レバー
M2001 プラテン
M2001a 記録シート支持面
M2002 排紙ローラ軸受
M2003 排紙ローラ
M2004 拍車1
M2005 拍車2
M2006 拍車ステイ
M2007 拍車ホルダ1
M2008 拍車ホルダ2
M2009 拍車バネ軸
M2010 フロントステイ
M2011 キャリッジ軸カム
M2012 紙間調整板L
M2014 キャリッジ軸バネ
M3001 LFローラ
M3002 LFギアカバー
M3003 LFギア
M3004 LFローラバネ
M3005 LFローラ軸受けL
M3006 LFローラ軸受けR
M3007 LFローラ座金
M3008 スプリングピン
M3009 CEリング
M3010 歯付座金付ビス
M3011 通紙ガイド
M3012 LF中間ギア
M3013 排紙ギア
M3014 ピンチローラ
M3015 ピンチローラホルダ
M3016 ピンチローラバネ
M3017 ピンチローラ軸
M3018 ピンチローラステイ
M3019 シャーシ
M3020 PEレバー
M3021 PEレバーバネ
M3022 自動給送部
M3023 ASFベース
M3024 可動サイドガイド
M3025 圧板
M3026 給紙ローラ
M3027 分離シート
M3028 圧板バネ
M3029 搬送部
M3030 排出部
M4000 記録部
M4001 キャリッジ
M4002 キャリッジカバー
M4003 FPC押さえ
M4007 ヘッドセットレバー
M4012 キャリッジ軸
M4013 キャリッジレール
M4014 キャリッジスライダ
M4018 キャリッジベルト
M4020 アイドラプーリ
M4021 プーリホルダ
M4024 キャリッジモータプーリ
M4026 インクエンドセンサホルダ
M4027 インクエンドセンサカバー
M4028 FFC押さえ1
M5000 回復系ユニット
M5001 キャップ
M5002 キャップ吸収体
M5004 キャップレバー
M5009 キャップチューブ
M5010 バルブチューブ
M5011 ワイパーブレード(W)
M5012 ワイパーブレード(N)
M5013 ブレードホルダ
M5019 ポンプチューブ
M5031 リードスクリュー
M5035 バルブカム
M5036 バルブゴム
M5038 バルブレバー
M5041 ワンウェイクラッチ
M5043 切換レバー1
M5045 予備吐出口
M5046 予備吐出吸収体
M5047 予備吐出カバー
M5048 バルブクラッチ
M5053 ポンプギア1
M5100 ポンプ
M5110 キャップ駆動伝達ギア列
M5120 ワイパー駆動伝達ギア列
M5130 ポンプ電動伝達ギア列
M5140 バルブ駆動伝達ギア列
M5150 振り子駆動伝達ギア列
M5160 ASF駆動伝達ギア列
M6001 直接光遮蔽部材
E0001 キャリッジモータ
E0002 LFモータ
E0003 PGモータ
E0006 インクエンドセンサ
E0007 PEセンサ
E0010 PGセンサ
E0011 コンタクトFPC(フレキシブルプリントケーブル)
E0018 電源キー
E0019 リジュームキー
E0020 LED
E1001 発光素子
E1002 受光素子
E1003 アパーチャ
E1004 アパーチャ
E1005 光ビーム
E1006 直接光
E1007 反射光
E1008 駆動信号
E1009 検出信号
E1009a 反射光による検出信号
E1009b 直接光による検出信号
H1000 記録ヘッドカートリッジ
H1001 記録ヘッド
H1002 記録ヘッドの吐出口形成面
H1003 インク吐出方向
H1004 インク液滴の主滴
H1005 インク液滴のサテライト
H1900 インクタンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出口からインクを吐出する記録ヘッドを用い、被記録媒体に記録を行う記録装置において、前記記録ヘッドにおける前記吐出口からのインクの吐出状態を検出可能な吐出検出手段を備え、前記吐出検出手段は光を照射する発光素子と前記発光素子から照射された光を受光する受光素子とからなり、前記発光素子から前記受光素子へ向かう光ビームのうち直接光を遮蔽する遮蔽部材を前記発光素子と前記受光素子との間に設け、前記発光素子から前記受光素子へ向かう光ビームのうち前記記録ヘッドの吐出口形成面乃至はその近傍で反射し前記受光素子に向かう反射光のみを使用して、前記記録ヘッドの吐出口から吐出直後のインクの吐出状態を検出することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記吐出検出手段は、前記発光素子と前記受光素子とを結ぶ光路が前記記録ヘッドのノズル列の配列方向と平行になるように前記発光素子と前記受光素子とを配置し、さらに前記発光素子と前記受光素子の前面にはそれぞれ高さ2〜3mmのスリット穴を有する部材を設け、さらに前記スリット穴の上側の縁から上方に0.5〜1.5mm離れた位置に前記記録ヘッドの吐出口形成面が来るように前記吐出検出手段を配置し、さらに前記発光素子から前記受光素子へ向かう光ビームのうち直接光を遮蔽する遮蔽部材の上端が前記スリット穴の上側の縁とほぼ一致するように前記遮蔽部材を配置したことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記発光素子から前記受光素子へ向かう光ビームのうち直接光を遮蔽する遮蔽部材が、前記記録ヘッドの性能回復乃至保護を行うキャップの一部で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
前記記録ヘッドの吐出口形成面乃至はその近傍に、前記発光素子からの光を効率的に反射させる部材を設けていることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2006−168040(P2006−168040A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−361412(P2004−361412)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】