説明

記録装置

【課題】被記録媒体先端のカールを押さえる帯状部材に曲がり癖が形成されることに伴う、被記録媒体記録面へのダメージ付与を防止する。
【解決手段】記録装置はキャリッジ21の移動方向両側に延び、用紙Pを支持する支持部材23を囲う様に取り回しされる帯状部材3Aを備え、この帯状部材3Aによって用紙先端が意図しない領域に入り込み、ジャムとなる不具合を防止できる。帯状部材3Aは、複数のプレート片4が回転軸5を介して連結されて成るベルト状部材であり、これにより帯状部材3Aは湾曲部分を形成する様に取り回しされた状態で長期間放置されても、湾曲部分は複数のプレート片4の間で回転することによって形成されるので、プレート片4それ自身には曲がり癖が形成されず、用紙へのダメージ付与を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録媒体に記録を行う記録装置に関し、特に記録ヘッドが被記録媒体の搬送方向と交差する方向に移動しながら記録を行う記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリやプリンター等に代表される、被記録媒体に記録を行う記録装置には、記録ヘッドが被記録媒体の搬送方向と交差する方向に移動しながら記録を行う、所謂シリアル型のプリンターがある。
【0003】
このプリンターは、例えば記録ヘッドと対向する位置に被記録媒体を支持する支持部材を備え、記録ヘッドの上流側に設けられた搬送手段によって記録ヘッドと支持部材との間に被記録媒体が搬送され、記録が行われる様になっている。そして、記録の行われた被記録媒体は、記録ヘッドの下流側に設けられた排出手段によって、装置外部へと排出される。
【0004】
しかしながら、例えば記録ヘッドの下流側に設けられた排出手段が、記録面側に設けられる従動ローラーと、その反対側に設けられる駆動ローラーとで構成された場合において、被記録媒体の先端が記録ヘッド側にカールしていると、この被記録媒体先端が、従動ローラーを支持するフレーム部材の下側を通過せずに、上側に乗り上がり、紙ジャムが発生する虞がある。
【0005】
この様な被記録媒体先端のカールは、給紙前から生じている場合もあり、或いは被記録媒体がインクを吸収して撓むことによって生じる場合もあり、或いは両面記録の為に反転経路を搬送された際の曲がり癖によって生じる場合もあり、種々の原因が考えられる。
【0006】
そこで上記の様な被記録媒体先端のカールに伴う紙ジャムを防止する為に、従来、特許文献1−3に示されるように記録ヘッドを搭載するキャリッジに帯状体(フィルム或いはベルト)を取り付け、この帯状体によって被記録媒体先端のカールを押さえ、上記の様な紙ジャムを防止する構成が採用されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−6603号公報
【特許文献2】特開2002−240380号公報
【特許文献3】実開平5−41816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1−3記載の従来構成においては、キャリッジに取り付けられる帯状体は被記録媒体の搬送領域より上側で取り回される為、長期に渡って装置が使用されない場合、帯状体に、被記録媒体の記録面側に向かって凸となる曲がり癖が形成される場合がある。そしてこの様な曲がり癖が形成された帯状体の下側を被記録媒体が通過する際、被記録媒体の記録面が、帯状体における曲がり癖の形成部分に強く接し、記録面にダメージを与える虞がある。この様な技術的課題については、上記特許文献1−3記載の装置においては何ら考慮されていなかった。
【0009】
そこで本発明はこの様な状況に鑑み成されたものであり、その目的は、被記録媒体先端のカールを押さえる帯状体に曲がり癖が形成されることに伴う、被記録媒体記録面へのダメージ付与を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する為の、本発明の第1の態様は、被記録媒体に記録を行う記録ヘッドを備え、被記録媒体の搬送方向と交差する方向に往復動可能に設けられたキャリッジと、前記キャリッジ又は前記記録ヘッドから前記キャリッジの移動方向両側に延び、前記キャリッジとともに移動し且つ変形可能な帯状体と、を備え、前記帯状体は、複数のプレート片が回転軸を介して連結されて成るベルト構造体であることを特徴とする記録装置である。
【0011】
本態様によれば、キャリッジとともに移動し且つ変形可能な帯状体は、複数のプレート片が回転軸を介して連結されて成るベルト構造体であるので、帯状体に湾曲部分を形成しても、複数のプレート片の間で回転することによって、プレート片それ自身には曲がり癖が形成されない。従って、帯状体に曲がり癖が形成され、その曲がり癖部分に被記録媒体の記録面が強く接するということがなく、被記録媒体記録面へのダメージ付与を防止することができる。
【0012】
本発明の第2の態様は、被記録媒体に記録を行う記録ヘッドを備え、被記録媒体の搬送方向と交差する方向に往復動可能に設けられたキャリッジと、前記キャリッジ又は前記記録ヘッドから前記キャリッジの移動方向両側に延び、前記キャリッジとともに移動し且つ変形可能な帯状体と、を備え、前記帯状体は、前記キャリッジ又は前記記録ヘッドから前記キャリッジの移動方向両側に延び、被記録媒体の記録面を前記キャリッジの移動方向に延長した面を横切る方向に湾曲し、更に前記帯状体の移動に際して被記録媒体と対向することとなる範囲に湾曲部分が形成される場合には、前記延長した面を横切る方向への湾曲と同じ方向の湾曲が形成される形態に取り回しされる、ことを特徴とする記録装置である。
【0013】
本態様によれば、キャリッジとともに移動し且つ変形可能な帯状体は、キャリッジの移動方向両側に延び、被記録媒体の記録面を前記キャリッジの移動方向に延長した面を横切る方向に湾曲し、更に湾曲部分が形成される場合には前記湾曲の方向と同じ方向の湾曲が形成される形態に取り回しされるので、仮に装置が長期に渡って使用されず、帯状体に曲がり癖が形成されても、その曲がり癖は被記録媒体の記録面側ではなくその反対側に対して凸となる形状を成すことになる。従って、帯状体に曲がり癖が形成されても、その曲がり癖部分に被記録媒体の記録面が強く接することを防止でき、即ち被記録媒体記録面へのダメージ付与を防止することが可能となる。
【0014】
本発明の第3の態様は、第1のまたは第2の態様において、前記帯状体は、被記録媒体の搬送領域を内側に含むように、ループ状に引き回されることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、前記帯状体は、被記録媒体の搬送領域を内側に含むように、ループ状に引き回されるので、キャリッジ上部に帯状体の取り回し領域を確保する必要がなく、装置の大型化を防止することができる。
【0016】
本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記帯状体は、前記キャリッジ又は前記記録ヘッドから両側に延出した2つの端部が付勢部材を介して接続され、前記付勢部材によって引っ張り方向のテンションが付与された状態に設けられることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、帯状体は、付勢部材によって引っ張り方向のテンションが付与された状態に設けられるので、帯状体の弛みが防止されるとともに、帯状体がキャリッジとともに移動する際に当該帯状体が暴れることを防止することができる。
【0018】
本発明の第5の態様は、第1から第4の態様のいずれかにおいて、前記帯状体において被記録媒体と対向する側をクリーニングするクリーニング手段を備えていることを特徴とする。
【0019】
記録ヘッドが、被記録媒体に対してインクを吐出するインクジェット記録ヘッドの場合、帯状体に浮遊インクが付着し、これが被記録媒体の記録面に転着する虞がある。しかしながら本態様によれば、帯状体において被記録媒体と対向する側をクリーニングするクリーニング手段を備えているので、帯状体に付着したインクが被記録媒体の記録面に転着することを防止することができる。
【0020】
本発明の第6の態様は、第1から第5の態様のいずれかにおいて、前記キャリッジの移動動作を制御する制御部は、前記キャリッジの移動速度について、第1の速度をとる第1速度モードと、前記第1の速度より低速である第2の速度をとる第2速度モードと、を切り換え可能に構成されるとともに、少なくとも被記録媒体の先端が前記帯状体と対向する領域を通過する間は、前記第2速度モードを選択することを特徴とする。
【0021】
被記録媒体の先端が帯状体に接触した状態で当該帯状体がキャリッジとともに移動すると、被記録媒体の記録面を帯状体が擦る様な状態となり、記録面を傷める虞がある。しかしながら本態様によれば、被記録媒体の先端が前記帯状体と対向する領域を通過する間は、キャリッジの移動速度、即ち帯状体の移動速度が低めに設定されるので、被記録媒体の記録面を帯状体が擦ることに伴う、記録面へのダメージ付与を、極力抑えることが可能となる。
【0022】
本発明の第7の態様は、第1から第6の態様のいずれかにおいて、被記録媒体の搬送経路には、前記記録ヘッドより下流側に、被記録媒体を排出する排出手段が設けられ、前記排出手段は、前記搬送経路を挟んで前記記録ヘッドとは反対側に設けられる第1ローラーと、前記搬送経路を挟んで前記記録ヘッド側に設けられ、前記第1ローラーとの間で被記録媒体をニップする第2ローラーと、を備え、前記第2ローラーは、フレーム材により支持されており、前記帯状体は、被記録媒体搬送方向において前記フレーム材と重なる位置まで延設され、前記フレーム材によって支持されていることを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、前記帯状体は、被記録媒体搬送方向において前記第2ローラーを支持するフレーム材と重なる位置まで延設され、前記フレーム材によって支持されているので、被記録媒体の先端がフレーム材に乗り上がり、紙ジャムとなることを確実に防止できる。また、帯状体がフレーム材に支持されることで、帯状体の姿勢も安定させることができる。
【0024】
本発明の第8の態様は、第1から第6の態様のいずれかにおいて、前記キャリッジ又は前記記録ヘッドに前記帯状体が接続された接続状態と、前記キャリッジ又は前記記録ヘッドから前記帯状体が切り離された切り離し状態と、を切り換え可能に構成されていることを特徴とする。
【0025】
本態様によれば、前記キャリッジ又は前記記録ヘッドに前記帯状体が接続される接続状態と、前記キャリッジ又は前記記録ヘッドから前記帯状体が切り離される切り離し状態と、を切り換え可能に構成されているので、前記切り離し状態では、キャリッジは帯状体から外力を受けることなく、精度良く移動動作を行うことができる。
【0026】
本発明の第9の態様は、第8の態様において、前記キャリッジ又は前記記録ヘッド側に設けられる電磁石と、前記帯状体の端部に設けられた金属部材と、を備え、前記帯状体は、前記キャリッジ又は前記記録ヘッドから離間する方向に付勢された状態に設けられ、前記電磁石へ通電した状態では、前記金属部材の前記電磁石への付着により前記接続状態が形成され、前記電磁石へ通電しない状態では、前記金属部材が前記電磁石から離れて前記キャリッジの往復動領域の端部に待機することにより、前記切り離し状態が形成されることを特徴とする。
本態様によれば、前記帯状体の前記キャリッジ又は前記記録ヘッドへの接続/切り離しの切り換え構成を、構造簡単にして低コストに得ることができる。
【0027】
本発明の第10の態様は、第8のまたは第9の態様において、被記録媒体の搬送経路には、前記記録ヘッドより下流側に、被記録媒体を排出する排出手段が設けられ、前記排出手段は、前記搬送経路を挟んで前記記録ヘッドとは反対側に設けられる第1ローラーと、前記搬送経路を挟んで前記記録ヘッド側に設けられ、前記第1ローラーとの間で被記録媒体をニップする第2ローラーと、を備え、前記第2ローラーは、フレーム材により支持されており、前記キャリッジの移動動作及び前記帯状体の前記接続状態と前記切り離し状態との切り換えを制御する制御部は、少なくとも被記録媒体の先端が、搬送方向において前記記録ヘッドの下流側端部位置と前記フレーム材の上流側端部位置との間に位置する間は、前記接続状態を形成し、少なくとも被記録媒体の先端が搬送方向において前記フレーム材の上流側端部位置を通過した後は、前記切り離し状態を形成することを特徴とする。
【0028】
本態様によれば、被記録媒体の先端が記録ヘッドの下流側端部位置とフレーム材の上流側端部位置との間に位置する間は、前記接続状態が形成されるので、被記録媒体の先端がフレーム材に乗り上がり、ジャムとなることを確実に防止できる。そして、少なくとも被記録媒体の先端が前記フレーム材の上流側端部位置を通過した後は、前記切り離し状態を形成するので、帯状体がキャリッジ又は記録ヘッドから切り離されることで、キャリッジは精度良く移動動作を行うことができる。
【0029】
本発明の第11の態様は、第8から第10の態様のいずれかにおいて、前記帯状体の前記接続状態と前記切り離し状態との切り換えを制御する制御部は、被記録媒体の種類に応じて、前記接続状態を利用して記録を行う記録モードと、前記接続状態を利用しないで記録を行う記録モードと、を切り換えることを特徴とする。
【0030】
被記録媒体には、コシの強い媒体など、その先端にカールが形成され難い種類がある。そこでこの性質を利用し、被記録媒体の種類に応じて前記接続状態を利用して記録を行う記録モードと、前記接続状態を利用しないで記録を行う記録モードと、が切り換えられるので、前記接続状態を利用して記録を行う記録モードでは被記録媒体先端のカールに起因する紙ジャムが防止され、また前記接続状態を利用しないで記録を行う記録モードではキャリッジが常に帯状体から独立してフリーに移動できることで、精度良く移動動作を行うことができる。
【0031】
本発明の第12の態様は、第8から第11の態様のいずれかにおいて、前記帯状体の前記接続状態と前記切り離し状態との切り換えを制御する制御部は、被記録媒体に記録を行う際の記録品質に応じて、前記接続状態を利用して記録を行う記録モードと、前記接続状態を利用しないで記録を行う記録モードと、を切り換えることを特徴とする。
【0032】
記録品質には、例えばスループットを重視し、被記録媒体に対するインク吐出量が少なく、被記録媒体先端のカールが形成され難いモードがある。そこでこの性質を利用し、被記録媒体に記録を行う際の記録品質に応じて、前記接続状態を利用して記録を行う記録モードと、前記接続状態を利用しないで記録を行う記録モードと、を切り換えるので、前記接続状態を利用して記録を行う記録モードでは紙ジャムが防止され、また前記接続状態を利用しないで記録を行う記録モードではキャリッジは常に帯状体から独立してフリーに移動できることで、精度良く移動動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係るプリンターの要部(記録実行領域)の側断面図。
【図2】本発明に係るプリンターの制御系統のブロック図。
【図3】本発明に係るプリンターの要部(記録実行領域)の横断面図。
【図4】帯状部材の平面図。
【図5】本発明の他の実施形態に係るプリンターの要部(記録実行領域)の横断面図。
【図6】本発明の他の実施形態に係るプリンターの要部(記録実行領域)の横断面図。
【図7】本発明の他の実施形態に係るプリンターの要部(記録実行領域)の横断面図。
【図8】本発明の他の実施形態に係るプリンターの要部(記録実行領域)の横断面図。
【図9】本発明の他の実施形態に係るプリンターの要部(記録実行領域)の横断面図。
【図10】本発明の他の実施形態に係るプリンターの記録実行時の処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は、以下説明する実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることを前提として、以下本発明の一実施形態を説明するものとする。
【0035】
図1は本発明に係る記録装置の一実施形態としてのインクジェットプリンター(以下「プリンター」と略称する)1の要部(記録実行領域)の側断面図、図2は制御系統のブロック図、図3はプリンター1の要部(記録実行領域)の横断面図、図4は帯状部材の平面図である。また、図5乃至図9は他の実施形態に係るプリンターの横断面図、図10は同記録実行時の処理の流れを示すフローチャートである。
【0036】
尚、各図において示すx−y−z座標系において、y方向は媒体搬送方向を示しており、x方向は媒体搬送方向と直交する方向を示しており、z方向は装置高さ方向(重力方向)を示している。以下、場合によりy方向を適宜「媒体搬送方向」と言い、x方向を「媒体幅方向」或いは「主走査方向」と言うこととする。また、図1の左方向を媒体搬送経路の下流側と言い、同右方向を媒体搬送経路の上流側と言うこととする。
【0037】
以下、図1を参照しながらプリンター1の用紙搬送経路上の構成について概説する。図1において、最も上流側に位置する搬送手段15の更に上流側には、図示を省略する用紙給送装置が設けられており、この用紙給送装置から、被記録媒体の一例としての用紙Pが搬送手段15へと送られて来る。
【0038】
この搬送手段15は、搬送駆動ローラー16と、搬送従動ローラー17とを備えて構成されている。搬送駆動ローラー16は、PFモーター51(図2)により回転駆動されるローラーであり、搬送従動ローラー17は、搬送駆動ローラー15との間で媒体をニップして従動回転するローラーである。
【0039】
本実施形態において搬送駆動ローラー16は、媒体幅方向に長い金属軸の表面に摩擦係数を高める為の高摩擦材が付着されて成り、搬送従動ローラー17は、成形後のローラー表面の摩擦係数が低い樹脂材料により形成され、搬送駆動ローラー16の長さ方向に渡って適宜の間隔で複数配置される。
【0040】
搬送手段15の下流側近傍には補助ローラー18が設けられており、この補助ローラー18により、媒体の浮き上がりが規制されるようになっている。ここで搬送従動ローラー17と補助ローラー18は、上部案内部材19に回転自在に支持されており、例えば1つの上部案内部材19に対して、搬送従動ローラー17と補助ローラー18とがそれぞれ2つ軸支されている。
【0041】
上部案内部材19は、揺動軸19aを中心に揺動可能に設けられているとともに、図示を省略する付勢手段(例えば、コイルばね)によって、搬送従動ローラー17が搬送駆動ローラー16に圧接する方向に付勢された状態となっている。
【0042】
搬送手段15の下流側には、インクジェット式の記録ヘッド22と、媒体支持部材23とが対向配置されている。記録ヘッド22は、キャリッジ21の底部に設けられ、このキャリッジ21はCRモーター50(図2)の動力により主走査方向に往復移動する。また、媒体支持部材23は、媒体を下方から支持することにより、用紙Pの記録面と記録ヘッド22のヘッド面との間の距離(ギャップ)を規定する。
【0043】
尚、キャリッジ21は図示しないギャップ調整手段により上下方向、即ち上記ギャップが変化する方向に変位可能となっている。これにより、媒体の厚みに拘わらず、媒体の記録面と記録ヘッド22のヘッド面との間の距離(ギャップ)を一定に保つことが可能となっている。尚、本実施形態において上記ギャップは、例えばプリンタドライバー上で指定された媒体の情報に基づき、自動で調整される様になっている。
【0044】
次いで記録ヘッド22の下流側には、用紙Pを排出する排出手段として第1媒体排出手段25と、第2媒体排出手段28と、が設けられている。第1媒体排出手段25は、PFモーター51(図2)により回転駆動される、「第1ローラー」としての排出駆動ローラー26と、当該排出駆動ローラー26との間で媒体をニップすることで従動回転する、「第2ローラー」としての排出従動ローラー27と、を備えて構成されている。
【0045】
また同様に、第2媒体排出手段28は、PFモーター51(図2)により回転駆動される、「第1ローラー」としての排出駆動ローラー29と、当該排出駆動ローラー29との間で媒体をニップすることで従動回転する、「第2ローラー」としての排出従動ローラー30と、を備えて構成されている。そして第1媒体排出手段25と第2媒体排出手段28とにより、記録の行われた用紙Pが、図示を省略するスタッカーに向けて排出される。
【0046】
尚、排出駆動ローラー26、29は、本実施形態ではゴムローラーであり、排出従動ローラー27、30は、本実施形態では外周に沿って突起(歯)を複数有するギザローラーである。また符号31は、排出従動ローラー27、30を支持するフレームを示している。
【0047】
続いて図2を参照しながらプリンター1の制御系統について説明する。制御手段としての制御部40はプリンター1の各構成を制御する制御部であり、この制御部40のシステムバスには、制御ASIC41、RAM42、ROM43、EEPROM44、CPU45、タイマーIC46が接続されている。
【0048】
CPU45には、制御ASIC41を介してCRリニアエンコーダー53、PFロータリーエンコーダー54、媒体検出センサー56、PWセンサー55、などの各センサー類やエンコーダーからの信号が入力される。
【0049】
また、プリンター1の電源をON/OFFするための電源ボタン、各種設定/実行ボタン、などの操作部および各種情報を表示する表示部などを備えた操作部5からの信号も入力される。
【0050】
CPU45は、プリンター1の各センサー類やエンコーダー等からの出力信号等に基づいて、プリンター1の各種制御を実行するための演算処理やその他必要な演算処理を行う。ROM43には、CPU45によるインクジェットプリンター1の制御に必要な記録制御プログラム(ファームウェア)等が格納されており、記録制御プログラムの処理に必要な各種データ等はEEPROM44に記憶されている。RAM42は、CPU45の作業領域や記録データ等の一時格納領域として使用される。
【0051】
制御部40は、DCモーターであるCRモーター50、PFモーター51、の回転制御並びにインクジェット記録ヘッド12の駆動制御を行うための制御回路、即ちCRモータードライバー48、PFモータードライバー49、ヘッドドライバー47、のこれらを有している。尚、CRモーター50はキャリッジ21の駆動源であり、PFモーター51は搬送駆動ローラー16などの媒体搬送ローラーの駆動源である。
【0052】
制御ASIC41は、CPU45から送られてくる制御命令、PFロータリーエンコーダー54の出力信号、CRリニアエンコーダー53の出力信号、に基づいて、上記各モーターの回転制御を行うための各種演算を行い、その演算結果に基づくモーター制御信号をCRモータードライバー48やPFモータードライバー49へ送出する。
【0053】
また、制御ASIC41は、CPU45から送出される記録データ等に基づいて、インクジェット記録ヘッド12の制御信号を演算生成してヘッドドライバー47へ送出し、インクジェット記録ヘッド12を駆動制御する。
【0054】
尚、CRリニアエンコーダー53は、キャリッジ21の位置を検出する手段であり、PFロータリーエンコーダー54は、搬送駆動ローラー16などの媒体搬送ローラーの回転量を検出する手段である。
【0055】
また、媒体検出センサー56は、搬送駆動ローラー16の上流側近傍に設けられた、媒体の通過を検出する手段であり(図1参照)、PWセンサー55は、キャリッジ21の底面に設けられた、媒体の有無を検出(ひいては、媒体幅を検出可能)する非接触式の光学センサーである。尚、図1において符号S1は用紙搬送方向において媒体検出センサー56が用紙Pを検出する位置であり、符号S2は用紙搬送方向において後述する帯状体3Aの上流側端部位置を、符号S3は用紙搬送方向においてフレーム材31の上流側端部位置を、それぞれ示している。
【0056】
以上がインクジェットプリンター1の制御系統であり、以下、図3及び図4を参照しながら帯状体3Aについて詳述する。
帯状体3Aは、図4に示すように複数のプレート片4が回転軸5を介して連結されて成るベルト構造体である。
【0057】
プレート片4は、例えば樹脂材料或いは金属材料により形成され、一方側端部に凹部4aが、他方側端部に凸部4bが、それぞれ形成されおり、隣接するプレート片4の凹部4aに凸部4bが入り込んだ状態で回転軸5により連結され、隣接するプレート片4が互いに回転することで、プレート片4それ自身が変形することなく、図3に示すようにベルト構造体として湾曲できる様になっている。
【0058】
帯状体3Aは、記録ヘッド22の側面に設けられたベルト接続部33、33に接続され、そしてキャリッジ21の移動方向両側に延び、用紙Pの記録面をキャリッジ移動方向に延長した面Sを横切る方向に湾曲した後、媒体支持部材23を囲む様に、換言すれば用紙搬送領域を内側に含むように、ループ状に引き回しされる。そして、2つの端部が付勢部材としての接続ばね9により接続され、これによって帯状体3Aは所定のテンションが付与された状態に設けられる。尚、符号32は、帯状体3Aの内側に配置された、帯状体3Aをガイドするガイド部を示している。
【0059】
帯状体3Aは、用紙搬送方向においては図1に示すように補助ローラー18付近の位置S2から、フレーム材31の上流側端部位置S3より更に僅かに下流側位置まで延設されており、そしてフレーム材31の上流側端部31aによって支持される様になっている。
【0060】
帯状体3Aは、以上の様に取り回しされたことにより、用紙Pとの間に一定の距離を保ちつつ、用紙搬送経路の上方を覆い、そしてキャリッジ21の移動動作に追従して移動し、且つ変形可能となっている。これにより、仮に用紙先端が上方向にカールしていても、この用紙先端が図1において符号P’で示すようにフレーム材31の上方に乗り上がり、そして紙ジャムとなることを、確実に防止することができる。
【0061】
そしてこの帯状体3Aは、複数のプレート片4が回転軸5を介して連結されて成るベルト構造体であることから、湾曲部分を形成する様に取り回しされた状態で長期間放置されても、湾曲部分は複数のプレート片4の間で回転することによって形成されるので、プレート片4それ自身には曲がり癖が形成されない。従って、帯状体3Aに曲がり癖が形成され、その曲がり癖部分に用紙記録面が強く接するということがなく、帯状体3Aの下を用紙が通過する際の用紙記録面へのダメージ付与を防止することができる。
【0062】
また、上記の通り帯状体3Aは、用紙搬送領域を内側に含むように、ループ状に引き回されるので、キャリッジ上部に帯状体3Aの取り回し領域を確保する必要がなく、装置の大型化を防止することができる。但し、帯状体3Aの取り回しはこれに限られず、キャリッジ21を内側に含むように、キャリッジ上部で取り回しても構わない。
【0063】
また、帯状体3Aは、接続ばね9によって引っ張り方向のテンションが付与された状態に設けられるので、弛みが防止されるとともに、帯状体3Aがキャリッジ21とともに移動する際に当該帯状体3Aが暴れることを防止することができる。但し、この接続ばね9を設けない構成であっても、上述した他の構成による作用効果を得ることは可能である。例えば、帯状体3Aの端部同士を直接接続しても良い。
【0064】
加えて、帯状体3Aは、用紙搬送方向においてフレーム材31と重なる位置まで延設され、フレーム材31によって支持されているので、用紙先端がフレーム材31に乗り上がり、紙ジャムとなることを確実に防止できる。但し、このように構成しない場合であっても、上述した他の構成による作用効果を得ることは可能である。
【0065】
尚、帯状体3Aにおいて用紙Pと対向する面と接する面には、インクミストが付着する場合がある。従って例えば、ガイド部32において帯状体3Aと接する面にクリーニング手段としてクリーニング部材10を設けることで、帯状体3Aに付着したインクを除去することができ、これにより帯状体3Aに付着したインクが用紙Pに転着することを防止することができる。但し、このクリーニング部材32を設けない構成であっても、上述した他の構成による作用効果を得ることは可能である。
【0066】
ところで、用紙先端が帯状体3Aに接触した状態でキャリッジ21が移動し、即ち帯状体3Aが移動すると、用紙Pの記録面を帯状体3Aが擦る様な状態となり、記録面を傷める虞がある。
【0067】
そこで、制御部40を、キャリッジ21(帯状体3A)の移動速度について第1の速度をとる第1速度モードと、前記第1の速度より低速である第2の速度をとる第2速度モードと、を切り換え可能に構成した上で、少なくとも用紙先端が帯状体3Aと対向する領域を通過する間は、上記第2速度モードを選択する様に構成すれば、記録面へのダメージ付与を極力抑えることができる。但し、この様に構成しない場合であっても、上述した他の構成による作用効果を得ることは可能である。
尚、キャリッジ21は、その移動領域において加速区間、定速区間、減速区間を形成する。従って上記第1の速度、第2の速度は、本実施例では定速区間における速度を意味するものである。
【0068】
続いて、本発明の他の実施形態について図5乃至図10を参照しつつ説明する。尚、図5乃至図9において既に説明した構成要素と同一の構成要素については同一符号を付してあり、以下ではその説明は省略するものとする。
【0069】
先ず、図5乃至図7において既に説明した実施形態と異なるのは、主に帯状体がフィルムにより構成されている点である。帯状体3Bはフィルムにより構成されており、上側に位置する2つの従動プーリー35aと、下側に位置する2つの従動プーリー35bと、のこれらに巻回されている。尚、帯状体3Bを構成するフィルムは種々の材料により形成することができ、本実施形態では樹脂製のフィルムで構成しているが、これに限られず、例えば金属をシート状にしたもので構成することもできる。
【0070】
ここで、装置が長期に渡って使用されないと、各プーリーの部分で帯状体3Bが長期に渡って湾曲したままとなるので、その後帯状体3Bを移動させた際に、当該帯状体3Bには符号qで示すような曲がり癖が形成される場合がある。この曲がり癖qが、仮に用紙Pに向かって凸となる様に形成されると、この凸部分に用紙Pの記録面が強く接し、記録面にダメージが付与される虞がある。
【0071】
しかしながら本実施形態では、帯状体3Bは、キャリッジ21の移動方向両側に延び、用紙Pの記録面をキャリッジ移動方向に延長した面Sを横切る方向に湾曲した後、当該湾曲方向と同じ方向の湾曲が形成される様に取り回されている。即ち、帯状体3Bに曲がり癖が付いても、その曲がり癖は必ず用紙Pの記録面側ではなくその反対側に対して凸となる形状を成すことになる。従って、帯状体3Bに曲がり癖が形成されても、その曲がり癖部分に用紙Pの記録面が強く接することを防止でき、即ち用紙Pの記録面へのダメージ付与を防止することが可能となる。
【0072】
尚、本実施形態では、帯状体3Bには従動プーリー35aの部分と、従動プーリー35bの部分とで湾曲部分が形成されるが、従動プーリー35aでの湾曲部分(キャリッジ21から延出して最初の湾曲部分:以下「第1の湾曲部」と言う)と同じ方向の湾曲は、少なくとも、帯状体3Bの移動に際して用紙Pと対向することとなる範囲に形成されていれば良い。例えば、図6はキャリッジ21がその移動領域の一方側端部に位置する状態を示しているが、この状態で範囲L1が用紙Pと対向する可能性がある為、この範囲L1に、第1の湾曲部と同じ方向の湾曲が形成されれば良い。
【0073】
同様に、図7はキャリッジ21がその移動領域の他方側端部に位置する状態を示しているが、この状態で範囲L2が用紙Pと対向する可能性がある為、この範囲L2に、第1の湾曲部と同じ方向の湾曲が形成されれば良い。換言すれば、範囲L1、L2を除く範囲では、帯状体3Bにはどの様な方向の湾曲が付与されても構わない。
【0074】
続いて、図8乃至図10を参照しながら、更に他の実施形態について説明する。図8及び図9において、符号3Cは帯状体3Bと同様にフィルムで構成された帯状体を示している。この帯状体3Cは、巻き取り部36によって常に巻き取られる作用が働いている。即ち、巻き取り部36には、図示しないコイルばねなどにより符号Mで示す回転方向の付勢力が付与されており、帯状体3Cには常に符号bで示す方向のテンションが付与された状態となっている。
【0075】
帯状体3Cの他端には金属部材6が取り付けられており、この金属部材6がストッパー7によって、キャリッジ21の移動領域の端部に図8に示す様に待機することが可能な状態に構成されている。
【0076】
記録ヘッド22において金属部材6と対向する位置には、制御部40の指令により通電状態と非通電状態とを切り換え可能な電磁石34が設けられている。そしてキャリッジ21が移動領域の端部に位置するとき、電磁石34を通電状態とすることで、当該電磁石34の作用によって図9に示す様に金属部材6を電磁石に付着させ、これによって帯状体3Cを記録ヘッド22に接続できる様になっている。
【0077】
即ち本実施形態では、帯状体3Cが記録ヘッド22に接続される接続状態と(図9)、帯状体3Cが記録ヘッド22から切り離される切り離し状態と(図8)、を切り換え可能となっている。従って図8の切り離し状態では、キャリッジ21は帯状体3Cから外力を受けることなく、精度良く移動動作を行うことができる。
【0078】
この様な構成を利用し、用紙Pへの記録時には、図10に示すような制御を実行することもできる。図10において記録が開始されると、用紙種別を判定し(ステップS101)、厚紙であれば、図8の切り離し状態のままで記録を開始し(ステップS102)、以降記録ジョブが終了するまで図8の切り離し状態を維持する。この様に構成するのは、用紙が厚紙などのコシの強いものであれば、用紙先端のカールが殆ど生じないからである。尚、用紙種別の判定は、例えばプリンタドライバ上で指定された用紙種別から判定することができる。
【0079】
用紙がコシの弱い普通紙であれば、先ず図8の切り離し状態のままで記録を開始する(ステップS103)。その後、用紙先端が図1の位置S2を通過した時点で、記録モードの判定を行う(ステップS105)。記録モードが「はやい」であれば、用紙へのインク吐出量は少なめであり、インク吐出に伴う用紙先端のカールが生じ難いので、以降記録ジョブが終了するまで図8の切り離し状態を維持する。尚、用紙先端の位置は、位置S1に設けられた媒体検出センサー56が用紙先端の通過を検出した後の、用紙送り量によって把握することができる。
【0080】
次に、記録ジョブが「きれい」であれば、インク吐出に伴う用紙先端のカールが生じ易いので、印字途中でキャリッジ21を移動領域の両端部まで移動させ、電磁石34に通電し、帯状体3Cを図9に示す接続状態とする(ステップS106)。これにより、用紙先端がカールしても、用紙先端がフレーム材31の上部に乗り上がることを防止できる。
【0081】
次いで、キャリッジ21を低速モードに切り換える(ステップS107)。これにより、用紙先端が帯状体3Cに接触した状態で当該帯状体3Cが移動することに伴う、記録面へのダメージ付与を極力防止することができる。尚、この低速モードとは、上述したキャリッジ定速区間における第1の速度と第2の速度のうち、第2の速度を意味する。
【0082】
そして用紙先端が図1の位置S3を通過する、即ち用紙先端がフレーム材31の上流側端部位置を通過した後に(ステップS108においてYes)、電磁石34への通電を止め、帯状体3Cの切り離しを行う(ステップS109)。そしてまた、キャリッジ21の低速駆動モードを解除する(ステップS110)。そして以上の制御を、記録ジョブが終了するまで繰り返す(ステップS111)。
【0083】
以上のように、必要な時のみ帯状体3Cを記録ヘッド22に接続することで、それ以外の動作時にはキャリッジ21は帯状体3Cから外力を受けることなく、精度良く動作することが可能となる。
【0084】
尚、帯状体3Cの接続/切り離しの切り換えは、上記実施形態では電磁石を利用して行ったが、これに限られず、例えばフック状の部材により帯状体3Cを引っ掛ける様な、物理的な接続/切り離し構成であっても構わない(帯状体3Cを切り離す際は、フック状の部材を変位させて、引っ掛け状態を解除する)。即ち帯状体3Cの接続/切り離しの切り換えを行う構成は、種々の形態を採用することができる。
【0085】
また、上記実施例では、用紙先端が位置S2と位置S3との間に位置する時に、帯状体3Cを記録ヘッド22に接続したが、これに限られず、紙ジャムを防止できるその他の区間に設定しても良い。本実施形態に係るプリンター1では、用紙先端が記録ヘッドの下流側端部位置とフレーム材31の上流側端部位置(S3)との間に位置するときに紙ジャムが発生し易いので、少なくともこの区間に用紙先端が位置するときに、帯状体3Cを記録ヘッド22に接続する様に構成している。
【0086】
また、上記実施例においては用紙種別について厚紙と普通紙の2条件のみで条件分岐しているが、これに限られないことは言うまでもない。又、記録モードについても「きれい」と「はやい」の2条件のみで条件分岐しているが、これに限られないことも言うまでもない。
【0087】
また、以上説明した実施例では、各帯状体を記録ヘッド22の両側面に接続しているが、キャリッジ21の両側面に接続しても良い。
【符号の説明】
【0088】
1 インクジェットプリンター、3A、3B、3C 帯状体、4 プレート材、4a 凹部、4b 凸部、5 回転軸、6 金属部材、7 ストッパー、9 接続ばね、10 クリーニング部材、15 搬送手段、16 駆動ローラー、17 従動ローラー、18 補助ローラー、19 上部支持部材、21 キャリッジ、22 インクジェット記録ヘッド、23 媒体案内部材、25 第1媒体排出手段、26 排出駆動ローラー、27 排出従動ローラー、28 第2媒体排出手段、29 排出駆動ローラー、30 排出従動ローラー、31 フレーム材、32 ガイド部、33 ベルト接続部、34 電磁石、35a、35b 従動プーリー、36 巻き取り部、40 制御部、41 制御ASIC、42 RAM、43 ROM、44 EEPROM、47 ヘッドドライバー、45 CPU、46 タイマーIC、48 CRモータードライバー、49 PFモータードライバー、50 CRモーター、51 PFモーター、53 CRリニアエンコーダー、54 PFロータリーエンコーダー、55 媒体検出センサー、56 PWセンサー、P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体に記録を行う記録ヘッドを備え、被記録媒体の搬送方向と交差する方向に往復動可能に設けられたキャリッジと、
前記キャリッジ又は前記記録ヘッドから前記キャリッジの移動方向両側に延び、前記キャリッジとともに移動し且つ変形可能な帯状体と、を備え、
前記帯状体は、複数のプレート片が回転軸を介して連結されて成るベルト構造体である、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
被記録媒体に記録を行う記録ヘッドを備え、被記録媒体の搬送方向と交差する方向に往復動可能に設けられたキャリッジと、
前記キャリッジ又は前記記録ヘッドから前記キャリッジの移動方向両側に延び、前記キャリッジとともに移動し且つ変形可能な帯状体と、を備え、
前記帯状体は、前記キャリッジ又は前記記録ヘッドから前記キャリッジの移動方向両側に延び、被記録媒体の記録面を前記キャリッジの移動方向に延長した面を横切る方向に湾曲し、更に前記帯状体の移動に際して被記録媒体と対向することとなる範囲に湾曲部分が形成される場合には、前記延長した面を横切る方向への湾曲と同じ方向の湾曲が形成される形態に取り回しされる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の記録装置において、前記帯状体は、被記録媒体の搬送領域を内側に含むように、ループ状に引き回される、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項3に記載の記録装置において、前記帯状体は、前記キャリッジ又は前記記録ヘッドから両側に延出した2つの端部が付勢部材を介して接続され、前記付勢部材によって引っ張り方向のテンションが付与された状態に設けられる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の記録装置において、前記帯状体において被記録媒体と対向する側をクリーニングするクリーニング手段を備えている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の記録装置において、前記キャリッジの移動動作を制御する制御部は、前記キャリッジの移動速度について、第1の速度をとる第1速度モードと、前記第1の速度より低速である第2の速度をとる第2速度モードと、を切り換え可能に構成されるとともに、少なくとも被記録媒体の先端が前記帯状体と対向する領域を通過する間は、前記第2速度モードを選択する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の記録装置において、被記録媒体の搬送経路には、前記記録ヘッドより下流側に、被記録媒体を排出する排出手段が設けられ、
前記排出手段は、前記搬送経路を挟んで前記記録ヘッドとは反対側に設けられる第1ローラーと、
前記搬送経路を挟んで前記記録ヘッド側に設けられ、前記第1ローラーとの間で被記録媒体をニップする第2ローラーと、を備え、
前記第2ローラーは、フレーム材により支持されており、
前記帯状体は、被記録媒体搬送方向において前記フレーム材と重なる位置まで延設され、前記フレーム材によって支持されている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載の記録装置において、前記キャリッジ又は前記記録ヘッドに前記帯状体が接続された接続状態と、前記キャリッジ又は前記記録ヘッドから前記帯状体が切り離された切り離し状態と、を切り換え可能に構成されている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項9】
請求項8に記載の記録装置において、前記キャリッジ又は前記記録ヘッド側に設けられる電磁石と、
前記帯状体の端部に設けられた金属部材と、を備え、
前記帯状体は、前記キャリッジ又は前記記録ヘッドから離間する方向に付勢された状態に設けられ、
前記電磁石へ通電した状態では、前記金属部材の前記電磁石への付着により前記接続状態が形成され、
前記電磁石へ通電しない状態では、前記金属部材が前記電磁石から離れて前記キャリッジの往復動領域の端部に待機することにより、前記切り離し状態が形成される、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の記録装置において、被記録媒体の搬送経路には、前記記録ヘッドより下流側に、被記録媒体を排出する排出手段が設けられ、
前記排出手段は、前記搬送経路を挟んで前記記録ヘッドとは反対側に設けられる第1ローラーと、
前記搬送経路を挟んで前記記録ヘッド側に設けられ、前記第1ローラーとの間で被記録媒体をニップする第2ローラーと、を備え、
前記第2ローラーは、フレーム材により支持されており、
前記キャリッジの移動動作及び前記帯状体の前記接続状態と前記切り離し状態との切り換えを制御する制御部は、少なくとも被記録媒体の先端が、被記録媒体搬送方向において前記記録ヘッドの下流側端部位置と前記フレーム材の上流側端部位置との間に位置する間は、前記接続状態を形成し、
少なくとも被記録媒体の先端が被記録媒体搬送方向において前記フレーム材の上流側端部位置を通過した後は、前記切り離し状態を形成する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項11】
請求項8から10のいずれか1項に記載の記録装置において、前記帯状体の前記接続状態と前記切り離し状態との切り換えを制御する制御部は、被記録媒体の種類に応じて、前記接続状態を利用して記録を行う記録モードと、前記接続状態を利用しないで記録を行う記録モードと、を切り換える、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項12】
請求項8から11のいずれか1項に記載の記録装置において、前記帯状体の前記接続状態と前記切り離し状態との切り換えを制御する制御部は、被記録媒体に記録を行う際の記録品質に応じて、前記接続状態を利用して記録を行う記録モードと、前記接続状態を利用しないで記録を行う記録モードと、を切り換える、
ことを特徴とする記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−148504(P2012−148504A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9485(P2011−9485)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】