説明

記録装置

【課題】移動可能な被ガイド部の操作性および部品点数を考慮した記録装置を提供すること。
【解決手段】記録装置(2)は、移動可能な被ガイド部11と、鉛直方向下側の下降位置36と、該下降位置36より上側であり前記被ガイド部11が保持される被保持領域5との間で、前記被ガイド部11を案内するガイドレール4と、を備え、前記被保持領域5には、前記被ガイド部11の下端部11aを支持可能な支持部6と、前記被ガイド部11の前記下端部11aを前記支持部6へ案内可能な案内面(7)と、前記被ガイド部11の上方への移動に伴って前記被ガイド部11の前記下端部11aを前記案内面(7)の上部へ誘うように、前記被ガイド部11の姿勢を変化させる第1ガイド手段8と、が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動可能な被ガイド部と、該被ガイド部を案内するガイドレールと、を備えた記録装置に関する。
本願において、記録装置には、インクジェットプリンター、ワイヤドットプリンター、レーザープリンター、ラインプリンター、複写機、ファクシミリ等の種類が含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
従来では、特許文献1に示す如く、プリンターの後方には、引き出し可能なペーパーサポートが設けられていた。そして、ペーパーサポートを使用する際、先ず、収納部に収納されたペーパーサポートを案内溝の方向に沿って引き出していた。次に、引き出したときの角度より水平に近い角度に傾けていた。これにより、用紙をペーパーサポート上にセットすることができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−051358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザーが、収納された状態のペーパーサポートを使用可能な状態にするためには、引き出す操作と、所定の角度に倒す操作とが必要であり、操作性が十分ではなかった。
また、ペーパーサポートの位置、姿勢を保持するために案内溝に対して突起部とばね部品とを用いて付勢する構成であり、部品点数に問題があった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、移動可能な被ガイド部の操作性および部品点数を考慮した記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様の記録装置は、移動可能な被ガイド部と、鉛直方向下側の下降位置と、該下降位置より上側であり前記被ガイド部が保持される被保持領域との間で、前記被ガイド部を案内するガイドレールと、を備え、前記被保持領域には、前記被ガイド部の下端部を支持可能な支持部と、前記被ガイド部の前記下端部を前記支持部へ案内可能な案内面と、前記被ガイド部の上方への移動に伴って前記被ガイド部の前記下端部を前記案内面の上部へ誘うように、前記被ガイド部の姿勢を変化させる第1ガイド手段と、が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本態様によれば、前記下降位置に位置する被ガイド部を上方の前記被保持領域まで引っ張って移動させて手を離すだけのワンアクションで、前記被ガイド部を前記被保持領域で所定の姿勢にすることができる。つまり、操作性がよい。
例えば、前記被ガイド部が、媒体を支持する媒体サポート部材の一部であるとする。そして、前記媒体サポート部材が記録装置のケースから引き出され、媒体を支持可能な状態では、前記被ガイド部は、前記被保持領域における前記支持部に支持されているとする。また、前記媒体サポート部材が記録装置の前記ケースに収納された状態では、前記被ガイド部は、前記下降位置に位置する構成であるとする。
【0008】
係る場合、ユーザーが、前記媒体サポート部材を記録装置の前記ケースから引き出す。このとき、前記被ガイド部が前記被保持領域まで移動する。そして、ユーザーが前記媒体サポート部材から手を離す。すると、前記媒体サポート部材の自重によって、前記被ガイド部の前記下端部が前記案内面と接触し、前記下端部が前記案内面に案内されながら前記支持部まで移動する。
【0009】
これによって、前記媒体サポート部材の姿勢が前記ガイドレールの案内方向に対して傾き、前記ケースに対する前記媒体サポート部材の姿勢が所定の姿勢となる。つまり、ユーザーは、前記媒体サポート部材を引っ張り出して手を離すだけのワンアクションで、前記媒体サポート部材を所定の姿勢にすることができる。
また、前記媒体サポート部材を一部材で構成することができ、従来のペーパーサポートの構成と比較して部品点数を少なくすることができる。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記被ガイド部が、前記下降位置から前記被保持領域へ移動した際、前記第1ガイド手段が、前記被ガイド部の前記下端部を前記案内面の上部へ誘うように、前記被ガイド部の姿勢を変化させ、前記被ガイド部の自重によって、前記被ガイド部の前記下端部が前記案内面と接触し、前記下端部が前記案内面に案内されながら前記支持部まで移動し、前記支持部によって前記被ガイド部が支持される構成であることを特徴とする。
本態様によれば、第1の態様と同様の作用効果に加え、前記自重によって、前記被ガイド部の姿勢が所定の姿勢になる。特に、前記被ガイド部が、媒体を支持する媒体サポート部材の一部である場合に、本態様の構成は有効である。
【0011】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、前記被保持領域には、前記被ガイド部の上方への移動に伴って前記被ガイド部の上端部を前記第1ガイド手段へ案内する第2ガイド手段が設けられており、前記第1ガイド手段は、前記ガイドレールによって案内される前記被ガイド部が移動する軌跡である案内軌跡の延長線上からずれた位置に設けられており、前記支持部は、前記ガイドレールを基準とした前記第1ガイド手段が前記ずれた位置側に設けられている構成であることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、第1または第2の態様と同様の作用効果に加え、前記被ガイド部が、引き上げられる部材における下側の一部である場合に、該下側の位置を、前記ガイドレールの案内軌跡の延長線上からずれた位置側へ変位させることができる。係る場合、前記引き上げられる部材の上端を前記ガイドレールの案内方向へ沿って真っ直ぐ引き上げるだけで、前記引き上げられる部材の下側を上方へ移動させながら前記ずれた位置側へ変位させることができる。
【0013】
例えば、前記媒体サポート部材の上端を摘んで、前記ガイドレールの案内方向に沿って引き上げるだけで、前記媒体サポート部材の下端側の位置が側視前記ずれた位置側へ変位し、前記被ガイド部の前記下端部が前記案内面の上部へ変位する。つまり、前記媒体サポート部材の上端は、略真っ直ぐ上方へ移動し、前記媒体サポート部材の下側は、上方へ移動しながら前記ずれた位置側へ変位する。この際、前記媒体サポート部材の上端は、前記ずれた位置側へ殆ど変位しないので、前記媒体サポート部材を引き上げる際の操作性をよりよくすることができる。
また、前記被ガイド部の前記下端部を前記案内面の上部へ移動させやすい。
【0014】
本発明の第4の態様は、第1から第3のいずれか一の態様において、前記被ガイド部は、媒体を支持する媒体サポート部材の一部であり、前記媒体サポート部材が記録装置のケースから引き出され、媒体を支持可能な状態では、前記被ガイド部は、前記被保持領域における前記支持部に支持されており、前記媒体サポート部材が記録装置の前記ケースに収納された状態では、前記被ガイド部は、前記下降位置に位置する構成であり、前記媒体サポート部材が記録装置の前記ケースから引き出された際、前記媒体サポート部材の自重によって、前記被ガイド部の前記下端部が前記案内面と接触し、前記下端部が前記案内面に案内されながら前記支持部まで移動することによって、前記媒体サポート部材の姿勢が前記ガイドレールの案内方向に対して傾き、前記ケースに対する前記媒体サポート部材の姿勢が所定の姿勢となる構成であることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、第1から第3のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、前記被ガイド部は、媒体を支持する媒体サポート部材の一部である場合に、前記被保持領域を有する構成は特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施例のプリンター複合機を示す斜視図。
【図2】本実施例のプリンター複合機の内部の概略を示す側断面図。
【図3】本実施例の収納時の媒体サポート部材を示す側断面図。
【図4】本実施例の引き上げ途中の媒体サポート部材を示す側断面図。
【図5】本実施例の引き上げた際の媒体サポート部材を示す側断面図。
【図6】(A)〜(D)は引き上げた際の被ガイド部の動きを示す側断面図。
【図7】本実施例の使用時の媒体サポート部材を示す側断面図。
【図8】本実施例の収納する際の媒体サポート部材を示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すのは、本実施例のプリンター複合機1全体を示す前方斜視図である。また、図2に示すのは、本実施例のプリンター複合機1の内部の概略を示す側断面図である。
図1および図2に示す如く、本実施例のプリンター複合機1は、プリンター本体2と、媒体搬送装置33とを備えている。
【0018】
このうち、プリンター本体2は、スキャナー部12と、載置部13と、送り手段16と、送り経路23と、記録部25と、第1排出スタッカー31と、ケース3と、を備えている。
スキャナー部12は、プリンター本体2における媒体搬送装置33側である上方(Z軸の矢印方向)に配設されている。ここで、Z軸は、鉛直方向である。
そして、スキャナー部12は、媒体搬送装置33によって、送られた用紙Sの面に記録された写真や文書等の情報を読み取ることができるように構成されている。
【0019】
また、載置部13は、被記録媒体の一例である用紙Pを載置することができるように設けられている。本実施例では第1載置部14と、第2載置部15とがある。第1載置部14は、プリンター本体2の後方に設けられた媒体サポート部材14aおよびホッパー14bである。このうち、ホッパー14bは、上方(Z軸の矢印方向)を中心に下方が後述する第1ローラー17に対して接離移動することができるように構成されている。一方、第2載置部15は、プリンター本体2の下方に着脱可能に設けられたカセット部15aである。
【0020】
また、送り手段16は、載置部13に載置された用紙Pを記録部25へ送ることができるように設けられている。具体的に、本実施例の送り手段16は、第1ローラー17と、第2ローラー18と、第3ローラー19と、第1ローラー対21と、第2ローラー対22とを有している。このうち、第1ローラー17は、第1ローラー17に対してホッパー14bの下方が接近したとき、最上位の用紙Pと接触し、送り方向下流側の第2ローラー18へ送ることができるように設けられている。
【0021】
また、第3ローラー19は、カセット部15aに対して接離移動可能なアーム部20の自由端に設けられている。そして、カセット部15aにおける最上位に用紙Pと接触し、用紙Pを送り方向下流側の第2ローラー18へ送ることができるように設けられている。またさらに、第2ローラー18は、第1ローラー17および第3ローラー19によって送られてきた用紙Pをさらに下流側の第1ローラー対21へ送ることができるように設けられている。
【0022】
また、第1ローラー対21は、記録時の送り方向下流側(Y軸の矢印方向)の記録部25および第2ローラー対22へ用紙Pを送ることができるように設けられている。またさらに、第2ローラー対22は、記録部25より記録時の送り方向下流側に設けられており、記録部25によって記録された用紙Pを第1排出スタッカー31へ排出することができるように設けられている。
【0023】
またさらに、送り経路23は、用紙Pが送られる経路であり、案内部材によって構成されている。具体的には、用紙Pを載置部13から記録部25を介して第1排出スタッカー31まで案内することができるように構成されている。
また、記録部25は、送り手段16によって送られた用紙Pに対してインクを吐出して記録を実行することができるように構成されている。具体的には、記録部25は、キャリッジ26と、記録ヘッド27と、媒体支持部28とを有している。
【0024】
このうち、キャリッジ26は、一例として図示しないモーターの動力によって用紙Pの幅方向Xに延設された図示しないガイド部材にガイドされながら移動することができるように構成されている。また、記録ヘッド27は、キャリッジ26における用紙Pと対向する側に設けられている。さらに、記録ヘッド27における用紙Pと対向する面には、インクを吐出するノズル(図示せず)が形成されている。またさらに、媒体支持部28は、記録ヘッド27と対向する位置に設けられており、用紙Pと記録ヘッド27との間の距離を所定の長さに保つことができるように構成されている。
またさらに、第1排出スタッカー31は、記録された用紙Pを載置することができるように設けられている。また、第1排出スタッカー31は伸縮自在に設けられている。
【0025】
尚、送り経路23とは別に、用紙Pの裏表を反転させるための表裏反転用経路24が設けられている。両面記録モードの場合、用紙Pの表面に対しての記録後に、第1ローラー対21および第2ローラー対22によって用紙Pは、記録時の送り方向Yと逆方向へ逆送りされる。そして、表裏反転用経路24へ送られ、第2ローラー18の下側から上側へ回り込んで再び第1ローラー対21へ送られる。この際、既に記録された表面が媒体支持部28側となり、まだ記録されていない裏面が記録ヘッド27側となる。そして、第1ローラー対21によって記録時の送り方向下流側へ送られ、記録部25によって裏面に対して記録が実行されるように構成されている。
【0026】
また、ケース3は、プリンター本体2の筐体である。送り経路23等を覆うように構成されている。
一方、媒体搬送装置33は、プリンター本体2の上方(Z軸の矢印方向)に配設されている。詳しい図示は省略するが、プリンター本体2側のスキャナー部12と対向する所定位置に対して第3載置部34に載置された用紙Sを搬送経路(図示せず)によって送ることができるように設けられている。そして、スキャナー部12によって用紙Sの面に記録された情報が読み取られる。その後、媒体搬送装置33は、用紙Sを第2排出スタッカー35まで送って排出することができるように設けられている。
【0027】
続いて、本実施例の媒体サポート部材14aについて、特に引き出す際の動作を説明しながら詳しく説明する。
図3に示すのは、本実施例の収納時の媒体サポート部材14aを示す側断面図である。尚、媒体サポート部材14aの被ガイド部11の位置および姿勢の理解を容易にするために、媒体サポート部材14aを鎖線で示すこととする(以下同様)。
【0028】
図3に示す如く、媒体サポート部材14aにおける幅方向Xの両側には被ガイド部11が形成されている。
尚、本実施例では、媒体サポート部材14aにおける幅方向Xの両側の一方について説明することとし、他方については、一方と同様であるので、その説明は省略する(以下同様)。
【0029】
そして、ケース3に形成されたガイドレール4によって、媒体サポート部材14aの被ガイド部11が案内されるように構成されている。具体的には、媒体サポート部材14aがケース3に収納されたときに被ガイド部11が位置する下降位置36と、媒体サポート部材14aがケース3から引き出された際に被ガイド部11が位置する被保持領域5との間を、ガイドレール4が被ガイド部11を案内するように構成されている。
【0030】
下降位置36は、ガイドレール4の略鉛直方向下端である。そして、ガイドレール4は、下降位置36から略鉛直方向上方の被保持領域5へ延設されている。
また、被保持領域5には、支持部6と、案内面としての傾斜案内面7と、第1ガイド手段8と、第2ガイド手段10とが設けられている。
ここでは、簡単に説明するが、支持部6は、被ガイド部11の下端部11aを支持可能に設けられている。
【0031】
また、傾斜案内面7は、被ガイド部11の下端部11aを支持部6へ案内可能に水平方向に対して傾いている。またさらに、第1ガイド手段8は、被ガイド部11の上方への移動に伴って被ガイド部11の姿勢を変化させることができるように設けられている。また、第2ガイド手段10は、被ガイド部11の上方への移動に伴って被ガイド部11の上端部11bを第1ガイド手段8へ案内することができるように設けられている。
【0032】
図4に示すのは、本実施例の引き上げ途中の媒体サポート部材14aを示す側断面図である。
図4に示す如く、図3の状態から、ユーザーが媒体サポート部材14aの上部を摘んで、略鉛直方向上方へ媒体サポート部材14aを持ち上げるようにしてケース3から引き出す。この際、媒体サポート部材14aの被ガイド部11は、ガイドレール4に案内されながら、上方へ移動する。
【0033】
図5に示すのは、本実施例の引き上げた際の媒体サポート部材14aを示す側断面図である。
図5に示す如く、図4の状態から、ユーザーが媒体サポート部材14aをさらに上方へ持ち上げるようにしてケース3から引き出す。すると、被ガイド部11がガイドレール4に案内されて、被保持領域5へ入る。この際、被ガイド部11の上端部11bが第2ガイド手段10によって第1ガイド手段8へ案内される。そして、第1ガイド手段8によって、被ガイド部11の下端部11aを傾斜案内面7の上部へ誘うように、被ガイド部11の姿勢が変化する。この際の被ガイド部11の様子について、さらに詳しく説明する。
【0034】
図6(A)〜(D)に示すのは、引き上げた際の被ガイド部11の動きを示す側断面図である。
図6(A)に示す如く、ユーザーが媒体サポート部材14aを略鉛直方向上方へ引き上げると、被ガイド部11が被保持領域5に入る。そして、被ガイド部11が被保持領域5に入った際、被ガイド部11の姿勢によっては、被ガイド部11の上端部11bが第2ガイド手段10の傾斜面10aと当接する。ここで、傾斜面10aは、ガイドレール4の案内方向である鉛直方向Zに対して傾斜した面である。そして、被ガイド部11の上方へ移動に伴って、第2ガイド手段10が、被ガイド部11の上端部11bを第1ガイド手段8へ案内するように構成されている。
【0035】
ここで、第1ガイド手段8は、X軸方向から見て、ガイドレール4によって案内される被ガイド部11が移動する軌跡である案内軌跡Aの延長線A1上からずれた位置に設けられている。そして、被ガイド部11が被保持領域5に入った際の移動方向が略鉛直方向上方である場合に、被ガイド部11の上端部11bが第2ガイド手段10の傾斜面10aと当接し、第2ガイド手段10によって、被ガイド部11の上端部11bが第1ガイド手段8へ案内される構成である。
【0036】
尚、被ガイド部11が被保持領域5に入った際の移動方向が略鉛直方向上方ではなく、ガイドレール4の案内軌跡Aの延長線A1からずれた第1ガイド手段8に向かう方向であれば、被ガイド部11の上端部11bは、第2ガイド手段10の傾斜面10aと当接しない。つまり、常に第2ガイド手段10によって、被ガイド部11の上端部11bが第1ガイド手段8へ案内されるわけではなく、第2ガイド手段10を有しない構成でもよい。
【0037】
図6(B)に示す如く、図6(A)の状態からユーザーが媒体サポート部材14aをさらに上方へ引き上げると、被ガイド部11が上方へさらに移動する。すると、被ガイド部11の上端部11bが第1ガイド手段8と当接する。そして、被ガイド部11の上方への移動に伴って、第1ガイド手段8が、被ガイド部11の下端部11aを傾斜案内面7の上部へ誘うように、被ガイド部11の姿勢を変化させる。
【0038】
具体的には、被ガイド部11の下端部11aの位置が傾斜案内面7の上部となると共に、被ガイド部11は、下端部11aが支持部6側に接近するように鉛直方向Zに対して傾いた姿勢となる。このとき、媒体サポート部材14aの上方がプリンター複合機1の後方へ倒れる方向へ、媒体サポート部材14aの姿勢も鉛直方向Zに対して傾いた姿勢となる。媒体サポート部材14aの傾きの程度は、後述するように僅かでよい。
尚、第1ガイド手段8の作用を得るためには、第1ガイド手段8自体の形状および被ガイド部11自体の形状だけでなく、第1ガイド手段8の寸法および被ガイド部11の寸法をも決める必要があり、これらは画一的に決められるものではない。
【0039】
図6(C)に示す如く、図6(B)の状態から、ユーザーが媒体サポート部材14aから手を離すと、媒体サポート部材14aの自重によって被ガイド部11は、前記傾いた姿勢のまま鉛直方向下方へ移動する。ここで、前記手を離す直前において、被ガイド部11の下端部11aは、傾斜案内面7の上部に位置している。従って、前記手を離すと、被ガイド部11の下端部11aは、傾斜案内面7と当接する。
【0040】
図6(D)に示す如く、図6(C)の状態から、傾斜案内面7が、被ガイド部11の下端部11aを支持部6へ案内する。そして、支持部6によって、被ガイド部11の下端部11aが支持される。また、被ガイド部11の上端部11bが、第1ガイド手段8の当接部9と当接する。これらにより、被ガイド部11の姿勢が保持される。つまり、被ガイド部11の鉛直方向Zに対する傾きが図6(B)および図6(C)のときの傾きより大きくなった状態で、被ガイド部11の姿勢が保持される。これに伴い、媒体サポート部材14aの姿勢は、媒体サポート部材14aの上方がプリンター複合機1の後方へ倒れる方向へ、鉛直方向Zに対して所定の角度で傾いた状態となる。言い換えると、媒体サポート部材14aの姿勢は、ケース3に対して所定の角度で傾いた状態となる。
【0041】
ここで、被ガイド部11の下端部11aが傾斜案内面7に案内されて支持部6まで移動する原理は、媒体サポート部材14aの自重によって、水平方向に対して傾斜した傾斜案内面7を、被ガイド部11が滑り降りるようにして移動する構成でもよい。
また、既に鉛直方向Zに対して媒体サポート部材14aの上方がプリンター複合機1の後方へ倒れる方向へ、媒体サポート部材14aの姿勢が前述したように僅かに傾いている。そして、媒体サポート部材14aの自重によって、さらに傾こうとすることで、被ガイド部11の下端部11aが傾斜案内面7に案内されて支持部6まで移動する構成でもよい。係る場合、傾斜案内面7は水平方向に対して傾いていなくてもよい。
【0042】
図7に示すのは、本実施例の使用時の媒体サポート部材14aを示す側断面図である。
図7に示す如く、被ガイド部11の姿勢が図6(D)の状態になると、媒体サポート部材14aの姿勢は、前述したように、鉛直方向Zに対して所定の角度で傾いた状態となる。その結果、前述したように、用紙Pを第1載置部14のホッパー14bおよび媒体サポート部材14aに載置することができる。
【0043】
以上、説明したように、ユーザーは、媒体サポート部材14aの上部を摘んで、略鉛直方向上方へ持ち上げるようにしてケース3から媒体サポート部材14aを引っ張り出して、手を離すだけで、媒体サポート部材14aを鉛直方向Zに対して所定の角度で傾いた状態にすることができる。つまり、媒体サポート部材14aを引っ張り上げるだけのワンアクションだけでよく、所定の角度にわざわざ媒体サポート部材14aを傾ける必要がない。その結果、操作性が非常によい。
また、被ガイド部11を含む媒体サポート部材14aを一部材で成形することができるので、部品点数を従来の構成と比較して少なくすることができる。
【0044】
続いて、媒体サポート部材14aを収納する際の動作について説明する。
図8に示すのは、本実施例の収納する際の媒体サポート部材14aを示す側断面図である。
図8に示す如く、図7に示す状態から、ユーザーは、媒体サポート部材14aの上部をプリンター複合機1の前方へ傾けるように、媒体サポート部材14aの姿勢を変える。すると、被ガイド部11の上端部11bが第1ガイド手段8と当接することで、被ガイド部11の上端部11bまたはその近傍を中心として、媒体サポート部材14aが揺動する。
【0045】
この際、被ガイド部11の下端部11aが、支持部6から傾斜案内面7を上るように移動し、傾斜案内面7から外れる。つまり、被ガイド部11が被保持領域5において支持されていない状態となる。従って、媒体サポート部材14aの自重によって被ガイド部11は、ガイドレール4に沿って下降位置36まで移動可能な状態となる。そして、ユーザーが、媒体サポート部材14aから手を離すと、媒体サポート部材14aの自重によって被ガイド部11は、ガイドレール4に沿って下降位置36まで移動する。その結果、媒体サポート部材14aは、ケース3内に収納された状態となる。
【0046】
尚、媒体サポート部材14aを収納する際、ユーザーが手を添えて媒体サポート部材14aを収納してもよいのは勿論である。
また、上記実施例では、被ガイド部11を媒体サポート部材14aの一部として、媒体サポート部材14aの引き出しおよび収納について説明したが、被ガイド部11は、媒体サポート部材14aの一部に限らない。その他、ケース3から引き出される構成の部材の一部でもよい。
【0047】
またさらに、上記実施例では、媒体サポート部材14aを引き出した際、媒体サポート部材14aがプリンター複合機1の後方へ傾く構成としたが、傾く方向はこれに限らない。技術的思想としては、被ガイド部11を有する部材が上方へ引き出され、ユーザーが手を離した際、鉛直方向Zに対して傾いた所定の姿勢となればよい。例えば、被ガイド部11を有する部材が引き出され、ユーザーが手を離した際、プリンター複合機1の前方へ傾く構成でもよい。
【0048】
また、上記実施例では、媒体サポート部材14aを引き出した後、被ガイド部11が支持部6および当接部9と当接することにより、媒体サポート部材14aの姿勢が保持される構成としたが、これに限らない。支持部6を側視凹形状にして被ガイド部11の下端部11aが支持部6に嵌るようにして、媒体サポート部材14aの姿勢が保持される構成でもよい。つまり、当接部9を有しない構成でもよい。
【0049】
本実施例の記録装置としてのプリンター本体2は、移動可能な被ガイド部11と、鉛直方向下側の下降位置36と、下降位置36より上側であり被ガイド部11が保持される被保持領域5との間で、被ガイド部11を案内するガイドレール4と、を備え、被保持領域5には、被ガイド部11の下端部11aを支持可能な支持部6と、被ガイド部11の下端部11aを支持部6へ案内可能な案内面としての傾斜案内面7と、被ガイド部11の上方への移動に伴って被ガイド部11の下端部11aを傾斜案内面7の上部へ誘うように、被ガイド部11の姿勢を変化させる第1ガイド手段8と、が設けられていることを特徴とする。
【0050】
また、本実施例において、被ガイド部11が、下降位置36から被保持領域5へ移動した際、第1ガイド手段8が、被ガイド部11の下端部11aを傾斜案内面7の上部へ誘うように、被ガイド部11の姿勢を変化させ、被ガイド部11の自重によって、被ガイド部11の下端部11aが傾斜案内面7と接触し、下端部11aが傾斜案内面7に案内されながら支持部6まで移動し、支持部6によって被ガイド部11が支持される構成であることを特徴とする。
【0051】
またさらに、本実施例において、被保持領域5には、被ガイド部11の上方への移動に伴って被ガイド部11の上端部11bを第1ガイド手段8へ案内する第2ガイド手段10が設けられており、第1ガイド手段8は、ガイドレール4によって案内される被ガイド部11が移動する軌跡である案内軌跡Aの延長線A1上から側視ずれた位置に設けられており、支持部6は、ガイドレール4を基準とした第1ガイド手段8が前記ずれた位置側に設けられている構成であることを特徴とする。
【0052】
また、本実施例において、被ガイド部11は、媒体の一例である用紙Pを支持する媒体サポート部材14aの一部であり、媒体サポート部材14aがプリンター本体2のケース3から引き出され、用紙Pを支持可能な状態では、被ガイド部11は、被保持領域5における支持部6に支持されており、媒体サポート部材14aがプリンター本体2のケース3に収納された状態では、被ガイド部11は、下降位置36に位置する構成であり、媒体サポート部材14aがプリンター本体2のケース3から引き出された際、媒体サポート部材14aの自重によって、被ガイド部11の下端部11aが傾斜案内面7と接触し、下端部11aが傾斜案内面7に案内されながら支持部6まで移動することによって、媒体サポート部材14aの姿勢がガイドレール4の案内方向である鉛直方向Zに対して傾き、ケース3に対する媒体サポート部材14aの姿勢が所定の姿勢となる構成であることを特徴とする。
【0053】
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0054】
1 プリンター複合機、2 プリンター本体、3 ケース、4 ガイドレール、
5 被保持領域、6 支持部、7 傾斜案内面(案内面)、8 第1ガイド手段、
9 当接部、10 第2ガイド手段、10a 傾斜面、11 被ガイド部、
11a 下端部、11b 上端部、12 スキャナー部、13 載置部、
14 第1載置部、14a 媒体サポート部材、14b ホッパー、15 第2載置部、
15a カセット部、16 送り手段、17 第1ローラー、18 第2ローラー、
19 第3ローラー、20 アーム部、21 第1ローラー対、22 第2ローラー対、
23 送り経路、24 表裏反転用経路、25 記録部、26 キャリッジ、
27 記録ヘッド、28 媒体支持部、31 第1排出スタッカー、
33 媒体搬送装置、34 第3載置部、35 第2排出スタッカー、36 下降位置、
A 案内軌跡、A1 延長線、P プリンター本体で送られる用紙、
S 媒体搬送装置で送られる用紙、X 幅方向、Y 記録時の送り方向、Z 鉛直方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な被ガイド部と、
鉛直方向下側の下降位置と、該下降位置より上側であり前記被ガイド部が保持される被保持領域との間で、前記被ガイド部を案内するガイドレールと、を備え、
前記被保持領域には、
前記被ガイド部の下端部を支持可能な支持部と、
前記被ガイド部の前記下端部を前記支持部へ案内可能な案内面と、
前記被ガイド部の上方への移動に伴って前記被ガイド部の前記下端部を前記案内面の上部へ誘うように、前記被ガイド部の姿勢を変化させる第1ガイド手段と、が設けられていることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、前記被ガイド部が、前記下降位置から前記被保持領域へ移動した際、
前記第1ガイド手段が、前記被ガイド部の前記下端部を前記案内面の上部へ誘うように、前記被ガイド部の姿勢を変化させ、
前記被ガイド部の自重によって、前記被ガイド部の前記下端部が前記案内面と接触し、前記下端部が前記案内面に案内されながら前記支持部まで移動し、前記支持部によって前記被ガイド部が支持される構成である記録装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の記録装置において、前記被保持領域には、前記被ガイド部の上方への移動に伴って前記被ガイド部の上端部を前記第1ガイド手段へ案内する第2ガイド手段が設けられており、
前記第1ガイド手段は、前記ガイドレールによって案内される前記被ガイド部が移動する軌跡である案内軌跡の延長線上からずれた位置に設けられており、
前記支持部は、前記ガイドレールを基準とした前記第1ガイド手段が前記ずれた位置側に設けられている構成である記録装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の記録装置において、前記被ガイド部は、媒体を支持する媒体サポート部材の一部であり、
前記媒体サポート部材が記録装置のケースから引き出され、媒体を支持可能な状態では、前記被ガイド部は、前記被保持領域における前記支持部に支持されており、
前記媒体サポート部材が記録装置の前記ケースに収納された状態では、前記被ガイド部は、前記下降位置に位置する構成であり、
前記媒体サポート部材が記録装置の前記ケースから引き出された際、前記媒体サポート部材の自重によって、前記被ガイド部の前記下端部が前記案内面と接触し、前記下端部が前記案内面に案内されながら前記支持部まで移動することによって、前記媒体サポート部材の姿勢が前記ガイドレールの案内方向に対して傾き、前記ケースに対する前記媒体サポート部材の姿勢が所定の姿勢となる構成である記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−201459(P2012−201459A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67607(P2011−67607)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】