説明

訪問者情報確認システム

【課題】 被訪問者側の安全性を確保しながら、訪問者のプライバシーも尊重できる訪問者情報確認システムを提供すること。
【解決手段】 訪問者情報を特定のルールに基づいて符号化して符号化訪問者情報を生成するとともにこの符号化訪問者情報に対応付けた復元キーを生成する訪問者情報符号化手段2と、上記復元キーを、読み取り可能に記録し、訪問者が携帯する復元キー記録媒体Cと、復元キー記録媒体Cから復元キーを読み取るとともに、訪問先である建物の入り口の付近に設けた復元キー読み取り手段7と、上記訪問者情報符号化手段2から取得した符号化訪問者情報を記憶した符号化訪問者情報記憶手段5と、データ処理手段6と、被訪問者用データ表現手段9とを備え、データ処理手段6は、読み取り手段から入力された復元キーで符号化訪問者情報を復元できたとき、復元した訪問者情報を被訪問者用データ表現手段9に表現させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、宅配便業者などの訪問者の情報を、被訪問者側が確認できるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、宅配業者を装ってドアを開けさせ、住居内に侵入する犯罪を防止するため、訪問者を確認するためのシステムが知られている。
例えば、特許文献1の宅配物配達人確認システムは、予め配達員の情報を記憶部に記憶させておくとともに、配達員が訪問したとき、上記記憶部に記憶された訪問者情報と、配達員が携帯した電子タグの情報とを対比して正規の配達員か否かを確認できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−292921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、予め登録された情報を参照するシステムでは、登録された訪問者情報を受取人が引き出して参照できるようにしている。このような従来のシステムは、もともと受取人である被訪問者側の安全性を確保するためのもので、配達員である訪問者の個人情報の保護を考慮したものではなく、訪問者のプライバシー保護に欠ける面があった。
この発明の目的は、被訪問者側の安全性を確保しながら、訪問者のプライバシーも尊重できる訪問者情報確認システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、訪問者情報を予め設定された特定のルールに基づいて符号化して符号化訪問者情報を生成するとともに、この符号化訪問者情報に対応付けた復元キーを生成する訪問者情報符号化手段と、上記訪問者情報符号化手段から取得した復元キーを、読み取り可能に記録し、訪問者が携帯する復元キー記録媒体と、この復元キー記録媒体から復元キーを読み取るとともに、訪問先である建物の入り口の付近に設けた復元キー読み取り手段と、上記訪問者情報符号化手段から取得した符号化訪問者情報を記憶した符号化訪問者情報記憶手段と、上記復元キー読み取り手段及び上記符号化訪問者情報記憶手段に接続したデータ処理手段と、被訪問者の管理可能範囲内にあって、訪問者情報を表現する被訪問者用データ表現手段とを備えている。
【0006】
そして、上記データ処理手段は、復元キー読み取り手段から入力された復元キーに基づいて、上記符号化訪問者情報記憶手段から上記入力された復元キーに対応する符号化訪問者情報を抽出する抽出機能と、抽出した符号化訪問者情報を上記復元キーによって復元する復元機能と、上記復元キーに対応する符号化訪問者情報を抽出できないか、あるいは上記復元キーで訪問者情報を復元できないとき、抽出あるいは復元できなかったことを上記被訪問者用データ表現手段に表現させる出力機能と、訪問者情報を復元できたとき、復元した訪問者情報を上記被訪問者用データ表現手段に表現させる出力機能とを有する点に特徴を有する。
上記データ処理部の出力機能には、復元した訪問者情報の全てを出力する機能と、復元した訪問者情報のうち、予め決められた一部の情報のみを出力する機能とが含まれる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明を前提とし、上記データ処理手段は、符号化訪問者情報記憶手段が記憶している符号化訪問者情報を、設定時間経過後に消去する点に特徴を有する。
なお、上記設定時間は、符号化訪問者情報が符号化訪問者情報記憶手段に記憶されている時間を決めるもので、その起点はいつでもかまわない。例えば、毎朝、その日の訪問予定者の符号化訪問者情報をまとめて符号化訪問者情報記憶手段に記憶させ、そのときを起点として24時間後に消去するというようにしてもよいし、特定の符号化訪問者情報が記憶されてから一定時間後に符号化訪問者情報記憶手段が記憶している全ての情報を消去するようにしてもよい。
【0008】
第3の発明は、上記データ処理手段が、訪問者情報符号化手段の指示に応じて、符号化訪問者情報記憶手段が記憶している符号化訪問者情報を消去する点に特徴を有する。
【0009】
第4の発明は、訪問先である建物の入り口付近に設けるとともに、上記データ処理手段に接続され、かつ、上記復元された訪問者情報と対比する対比用データを訪問者から取得する対比用データ入力手段を備え、データ処理手段は、訪問者情報を復元でき、かつ、対比用データ入力手段を介して取得した対比用データと上記訪問者情報とを対比し、その対比結果が予め設定された条件を満たした場合に、上記訪問者情報を上記被訪問者用データ表現手段に表現する点に特徴を有する。
【0010】
第5の発明は、上記復元キー記録媒体が、上記訪問者情報符号化手段と通信可能な携帯端末機であり、この携帯端末機は上記訪問者情報符号化手段から上記復元キーを、通信を介して取得する機能を有する点を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明によれば、訪問者情報が符号化されているので、そのままでは内容がわからない。従って、符号化訪問者情報が出力されたとしても、訪問者のプライバシーが保護される。
また、処理手段が復元キーと符号化訪問者情報との対応関係を確認することによって、被訪問者には、登録されていない不正訪問者が来たことを知らせることができる。そのため、被訪問者に安心感を与えることができる。
【0012】
第2、第3の発明によれば、符号化訪問者情報が必要以上に長時間、記憶部に記憶されたままになることがない。そのため、訪問者情報の流出をより確実に防止でき、訪問者のプライバシーを守ることができる。
第4の発明によれば、処理手段が復元された訪問者情報と対比情報とを対比することによって、被訪問者側に表現される訪問者情報の信頼性を高めることができる。
第5の発明によれば、訪問者が通信によって復元キーを随時取得できるようになる。復元キーの取得のためだけに特定の場所へ行く手間が省ける。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施形態のシステム構成図である。
【図2】データ処理部の処理手順の例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1、図2に示すこの発明の実施形態は、この発明の訪問者である宅配業者の配達員が、マンションの住人である被訪問者宅を訪問する際に、訪問者情報が被訪問者側に表示される訪問者情報確認システムである。
図1に示すこのシステムは、配達員の情報を記憶した訪問者情報サーバー1と、この訪問者情報を符号化する訪問者情報符号化手段である符号化サーバー2とを備えている。なお、訪問者情報の符号化については後で説明する。
【0015】
上記訪問者情報サーバー1は、例えば、宅配業者のサーバーで、その業者の配達員の情報を訪問者情報として管理している。訪問者情報には、配達員の社員番号や氏名、顔画像、携帯電話番号のほか、担当地域などの情報を含むことができる。
また、符号化サーバー2は、この配達員サーバー1が記憶している訪問者情報のうち、特定のマンション3へ訪問予定の配達員の訪問者情報を符号化する機能を備えたサーバーであり、上記訪問者情報サーバー1を管理する宅配業者が管理してもよいが、宅配業者とは別のこの発明の訪問者情報確認システムの管理者が管理し、訪問者情報サーバー1に通信手段を介して接続するようにしてもよい。
【0016】
一方、マンション3には、上記符号化サーバー2に接続したマンションサーバー4を設け、このマンションサーバー4には、この発明の符号化訪問者情報記憶手段である記憶部5とデータ処理手段であるデータ処理部6とを備えている。
そして、このマンション3の出入り口付近には、訪問者が持参するICカードCからデータを読み取るこの発明の復元キー読み取り手段となるICカードリーダー7と、部屋番号や、この発明の対比情報などを入力するための入力装置8とを設置し、これらを上記データ処理部6に接続している。
【0017】
また、データ処理部6には、被訪問者宅となる各室内に設けた被訪問者用データ表現手段であるディスプレイ9を接続している。図1で、ディスプレイ9はひとつしか示していないが、ディスプレイ9はマンション3の各室に設置され、それぞれ上記データ処理部6に接続されているものとする。
なお、ICカードCは、配達員が符号化サーバー2から取得した復元キーを記憶したこの発明の復元キー記憶手段である。
【0018】
次に、上記符号化サーバー2の機能について説明する。
この符号化サーバー2では、マンション3の住人宅に荷物を配達したり、住人宅から配達物を集荷したりするためにマンション3を訪問予定の配達員の訪問者情報を符号化する機能を備えている。訪問者情報の符号化とは、個々の訪問者情報を、そのままでは内容がわからないような形のデータにすることであり、具体的方法には、暗号化法と秘密分散法とがある。
【0019】
訪問者情報を暗号化法で符号化する場合、符号化サーバー2は特定の配達員の訪問者情報を、特定の暗号化キーを用いて暗号化し、それを符号化訪問者情報として、上記マンションサーバー4へ送信する。マンションサーバー4では、データ処理部5が符号化サーバー2から、暗号化された符号化訪問者情報を受信して、それを記憶部5に記憶させる。なお、符号化すべき訪問者情報が複数ある場合には、それぞれの訪問者情報ごとに異なる暗号化キーを用いて符号化する。
この暗号化キーは、訪問者情報ごとに決められたものを利用するようにしてもよいし、同一訪問者の訪問者情報であっても、符号化ごとに異なる暗号化キーを利用するようにしてもよい。
符号化ごとに異なる暗号化キーを利用する場合には、暗号化キーは符号化サーバー2が、予め設定されたルールに基づいてその都度生成するようにしてもよいし、外部コンピュータが生成した暗号化キーを利用するようにしてもよい。
【0020】
なお、符号化サーバー2は上記符号化訪問者情報に、社員番号など、配達員に対応した配達員IDを対応付けてマンションサーバー4へ送るようにし、マンションサーバー4では個々の符号化訪問者情報に上記配達員IDを対応付けて記憶する。
さらに、符号化サーバー2は、訪問者情報の符号化に使用した暗号化キーに対応する復号キーをこの発明の復元キーとして図示していないICカード書き込み装置に出力し、この書き込み装置によって訪問者のICカードCに記憶させるようにする。
また、符号化サーバー2は、上記復元キーにも上記配達員IDを対応付け、この配達員IDを復元キーに対応付けてICカードCに書き込むようにしている。
【0021】
上記配達員IDは、マンションサーバー4が記憶する符号化訪問者情報とICカードCが記憶する復元キーとを対応付けるための情報である。ただし、符号化訪問者情報と復元キーとを対応付ける情報は配達員IDに限らず、例えば、ICカードに予め設定されているカードIDでもよい。その場合には、カードIDを訪問者情報に対応付けて訪問者情報サーバー1などに記憶させておく必要があるが、ICカードCには復元キーだけを書き込めば足りる。要するに、上記符号化訪問者情報とそれを復元するための復元キーとの対応関係が特定できるように両者に同様のIDを対応付けるようにしている。
【0022】
また、訪問者情報の符号化を秘密分散法によって行なう場合には、符号化サーバー2が秘密分散法によって複数の分散データを生成し、そのうちの一部を符号化訪問者情報としてマンションサーバー4の記憶部5に記憶させ、他の分散データを復元キーとして訪問者のICカードCに記憶させるようにする。
そして、この秘密分散法を用いた場合にも、マンションサーバー4の記憶部5が記憶する符号化訪問者情報とICカードCが記憶する復元キーとには、それぞれ同じIDを対応付けるようにする。
【0023】
なお、秘密分散法による複数の分散データのうち、いずれを符号化訪問情報とし、いずれを復元キーとするかは符号化サーバー2に予め設定したルールに従うものであるが、符号化訪問者情報に比べて復元キーの方のデータ量を小さくすれば、それを記憶するICカードCの負担を小さくすることができる。
そして、上記符号化処理において上記暗号化法及び秘密分散法のいずれの方法を用いた場合でも、符号化訪問者情報と、それに対応する復元キーとの両者がそろったときにのみ、訪問者情報が復元できるという関係になっている。
【0024】
なお、特定の訪問者が被訪問者宅を訪問する際には、その訪問者の訪問者情報を符号化した符号化訪問者情報がマンションサーバー4の記憶部5に記憶されるとともに、訪問者が携帯するICカードCに復元キーが記憶されているものとする。具体的には、訪問者の訪問予定が決まったら、符号化サーバー2は、その訪問者の訪問者情報を符号化し、訪問予定日より前、例えば予定日前日の夜に、上記符号化訪問者情報をマンションサーバー4に送信する。また、訪問者は、訪問予定が決まったら、訪問予定より前の任意のタイミングで、カード書き込み装置によって復元キーを自分のICカードCに書き込ませるようにする。このカード書き込み装置は、宅配物の配送所などに設置しておくことができる。
ただし、上記ICカードCに、復元キーを書き込ませる際には、訪問者あるいは持参したICカードの認証を行なって、認証された場合にのみ復元キーを書き込むようにする。この認証はどのような方法を用いてもかまわないが、パスワードやカードIDなどを利用することができる。
【0025】
以下に、この実施形態のシステムによって、被訪問者が訪問者情報を確認する手順を図2のフローチャートに従って説明する。このフローチャートは、訪問者がマンション3を訪れてから、被訪問者宅のディスプレイ9に訪問者情報が表示されるまでのデータ処理部6の処理手順を示したものである。
【0026】
まず、マンションを訪れた訪問者が、マンションの入り口に設置された入力装置8を用いて訪問先の部屋番号を入力するとともに自分のICカードCをリーダー7に接触させて情報を読み取らせる。すると、ステップS1で、データ処理部6には、入力装置8から部屋番号が入力され、リーダー7からは上記配達員IDとともに復元キーが入力される。
ステップS2で、データ処理部6は入力された復元キーに付加された配達員IDを特定し、ステップS3で、上記記憶部5が記憶しているデータ中からこの配達員IDに対応する符号化訪問者情報を検索する。
【0027】
ステップS4では、上記検索によって上記配達員IDに対応する符号化訪問者情報が抽出できた否かを判断し、符号化訪問者情報が抽出できなかった場合にはステップS8へ進み、ディスプレイ9に「未登録者訪問」と表示させ、処理を終了する(ステップS9)。なお、この情報を表示させるディスプレイ9は、入力装置8から入力された部屋番号に対応するディスプレイ9である。
一方、上記ステップS4でデータ処理部6が符号化訪問者情報を抽出できた場合には、ステップS5へ進み、上記復元キーを用いて訪問者情報の復元を試みる。訪問者情報の復元とは、上記リーダー7を介して入力された復号キーで暗号を復号したり、リーダー7を介して入力された分散データを使用して元データを生成したりすることである。
ステップS6で、データ処理部6が訪問者情報の復元ができなかった場合には、ステップS7へ進み、ディスプレイ9に「未登録訪問者」と表示させてから処理を終了する(ステップS9)。
【0028】
また、ステップS5で訪問者情報の復元を試し、ステップS6で復元ができた場合にはステップS7に進む。ステップS7で、データ処理部6は、上記ディスプレイ9に復元した訪問者情報を表示させてからステップS9に進み処理を終了する。ここでディスプレイ9に表示させる訪問者情報は、復元できた情報全部であってもよいし、その一部でもよい。例えば、訪問者情報に、氏名、顔画像、社員番号などが含まれていたとしても、ディスプレイ9には顔画像のみを表示させるようにしてもよい。
【0029】
上記のように、ディスプレイ9に「未登録訪問者」と表示されれば、被訪問者は、予定の訪問ではないことがわかり、警戒心を持って応対することができる。
また、訪問者情報が表示された場合、それを利用して訪問者が正規の訪問者であるか否かを判定することができる。ディスプレイ9に訪問者情報である顔画像が表示されれば、この顔画像と、部屋の玄関まで来た訪問者の顔とを対比して、予定の訪問者かどうかを確認することができる。
あるいは、マンションの入り口に、上記データ処理部5に接続した図示しないモニタカメラを設置して、そのモニタ画像を各部屋のディスプレイ9に表示させるようにすれば、被訪問者はディスプレイ9上で上記訪問者情報である顔画像とモニタ画像とを対比することができる。
【0030】
このように、この実施形態の訪問者情報確認システムでは、予定された訪問者の訪問者情報を室内のディスプレイ9に表示させることができるとともに、予定外の訪問者を「未登録訪問者」として明らかにすることができ、不正な訪問者を排除することもでき、被訪問者の安全性を確保できる。
一方で、訪問者の個人情報を含んだ訪問者情報は、符号化されて被訪問者側の記憶部5に記憶されているので、そのままでは内容がわからないし、訪問者が携帯する復元キーがなければ復元できないため、訪問者のプライバシーも保たれる。
【0031】
また、上記データ処理部6が、符号化サーバー2から受信して記憶部5に記憶させた符号化訪問者情報を所定のタイミングで消去する機能を備えれば、符号化訪問者情報が流出する危険性を少なくでき、訪問者情報をより確実に保護できるようになる。符号化訪問者情報は、訪問者情報の内容を直接表わすものではないが、符号化訪問者情報が外部に流出すれば、被訪問者などによって訪問者情報の復元を試みる機会を与えてしまうことになる。しかし、データ処理部6が所定のタイミングで符号化訪問者情報を消去するようにすれば、訪問者情報サーバー1外に、長時間符号化訪問者情報を放置することを防ぐことができる。
【0032】
なお、上記データ処理部6が符号化訪問者情報を消去するタイミングは、予めデータ処理部6に設定しておくこともできるし、符号化サーバー2からの指示に応じて消去するようにしてもよい。
例えば、符号化サーバー2は訪問予定の決まった訪問者の訪問者情報を符号化して符号化訪問者情報とし、これを訪問予定日の0時にマンションサーバー4へ送信するようにする。データ処理部6は、符号化サーバー2から受信して記憶させた符号化訪問者情報を、毎晩23時に消去するようにする。このようにすれば、符号化訪問者情報は、23時間しかマンションサーバー4には保存されず、ここから外部に漏洩する危険性を低くできる。
仮に、配達員の訪問予定日に被訪問者が不在の場合には、宅配物の配達が完了する前に符号化訪問者情報が消去されてしまうことになるが、再訪問予定が決まったときに、再度、符号化サーバー2が符号化処理を行なってマンションサーバー4へ符号化訪問者情報を送信するようにすれば、新たな符号化訪問情報が記憶部5に記憶されることになるので問題はない。
【0033】
また、符号化サーバー2からの情報消去の指示も、どのようなタイミングで発信されるようにしてもよい。例えば、新たな符号化訪問者情報を送信する際に、記憶部5がすでに記憶している符号化訪問者情報を消去させる指示信号を同時に送信するようにしてもよいし、符号化訪問者情報の送信とは全く別のタイミングで、例えば、定期的に消去指示を送信するようにしてもよい。いずれにしても、符号化訪問者情報が、必要以上に長く上記記憶部5に保存されたままにならないようにすることで、訪問者情報の流出の危険性を低くすることができる。
【0034】
上記したように訪問者のプライバシーを守るためには、訪問者情報や符号化訪問者情報が、訪問者情報サーバー1の外に保存されている時間を短くすることが好ましく、符号化サーバー2も、長時間訪問者情報を保存しないようにした方がより安全である。そのためには、符号化サーバー2は、訪問予定が決定した訪問者の訪問者情報を、訪問予定の直前に訪問者情報サーバー1から受信して符号化するようにした方がよい。
【0035】
また、上記実施形態では、被訪問者宅のディスプレイ9に訪問者情報として顔画像を表示させ、ディスプレイ9に表示された顔画像を、目視した訪問者の顔と対比したり、モニタカメラから入力された画像と対比したりして、被訪問者が、訪問者を判定したが、データ処理部6が、復元した顔画像と上記モニタカメラから入力された画像データとを対比して、その対比結果をディスプレイ9や、図示しないランプなどで表示してもよいし、スピーカーから音で知らせてもよい。
【0036】
また、データ処理部6が、上記両データの対比結果が、予め設定した条件を満足していると判断してから、上記復元した訪問者情報である顔画像をディスプレイ9に表示させるようにしてもよい。このとき、上記モニタカメラがこの発明の対比用データ入力手段となる。上記予め設定した条件には、対比する両データの類似度を判定する基準などである。
なお、この場合、データ処理部6が、復元した訪問者情報と対比する対比用データはモニタ画像であるが、訪問者情報に顔画像のほか配達員の名前など、他の情報が含まれていた場合には、ディスプレイ9には、顔画像とともに他の情報を表示してもよいし、顔画像の代わりに他の情報を表示させるようにしてもよい。いずれにしても、ディスプレイ9には、予定された訪問者の訪問者情報が表示されることになる。
【0037】
また、訪問者が訪問時に入力される対比用データも、モニタカメラから入力される画像データに限らない。例えば、図1の入力装置8から訪問者によって手入力されたパスワードを対比用データとすることもできる。この場合には、上記訪問者情報にパスワードを含み、データ処理部6は、復元した訪問者情報に含まれるパスワードを、入力装置8から入力されたパスワードと対比してそれらが一致したとき、顔画像などの訪問者情報をディスプレイ9に表示させる。
その他対比用データとしては、訪問者の指紋や虹彩画像などの人体情報が利用できる。その場合には、対比用データ入力手段として、指紋読み取り装置等を設置し、訪問者情報に対応する指紋や虹彩データを含むようにする。
要するに、上記対比用データとしては、訪問者が、訪問先に来たときに、初めて対比用データ入力手段から入力できるものならば、どのようなものでもよい。
このように、データ処理部6が、訪問者の訪問時に入力される対比用データを、復元した訪問者情報と対比するようにした場合には、被訪問者宅のディスプレイ9に訪問者情報が表示されるための条件がより厳しくなるため、ディスプレイ9に表示された訪問者情報の信頼性が高くなる。
【0038】
また、上記実施形態では被訪問者用データ表現手段としてディスプレイ9を用いているが、被訪問者用データ表現手段は、ディスプレイに限らない。情報表示手段としては、プリンタでもよいし、訪問者情報が音声の場合にはスピーカーでもよい。
さらに、上記実施形態では復元キーを記憶する復元キー記憶媒体としてICカードCを用いているが、復元キー記憶媒体としては、復元キーを読み取り可能に記憶できるものならどのような媒体でもかまわない。例えば、磁気カード、RFタグ、赤外線通信機なども復元キー記憶媒体として利用できる。その場合、図1のリーダー7は磁気情報読み取り装置や、RFタグ・リーダー、赤外線受信機などになる。
【0039】
さらに、ICチップを内蔵した携帯電話機などの通信端末機を、復元キー記憶媒体として用いれば、復元キー記憶媒体が符号化サーバー2に通信で接続して復元キーを取得でき、取得した復元キーをICチップに記憶させることができる。
復元キー記憶媒体として通信携帯端末を用いた場合も、上記リーダー7がICチップから復元キーを読み取って訪問者情報を復元する手順は、上記実施形態と同じである。
ただし、通信端末機を用いた場合には、ICカードCを用いる場合のようにカード書き込み装置のところへ行かなくても、復元キーをどこでも取得可能になるため、例えば、配送途中に集荷の依頼があったときに、通信によって符号化サーバー2にアクセスして復元キーを取得し、すぐに集荷先を訪問することもできる。
【0040】
なお、上記のように、通信によって復元キーを取得するために符号化サーバー2にアクセスする際には、正規の訪問者であることを認証し、正規の訪問者に対してのみ復元キーを配信する必要がある。
また、復元キー記憶媒体として用いる携帯端末機は、単に復元キーを記憶するのではなく、訪問者の操作によってこの発明の対比用データをその場で作成する機能を備えることもできる。例えば、対比用データとしてのパスワードをICチップに書き込み、予め記憶している復元キーとともに上記リーダー7に読み取らせることもできる。この場合、リーダー7がこの発明の対比用データ入力装置を兼ねることになる。
【0041】
さらに、リーダー7を光学的なコードリーダーとするとともに、携帯端末機のディスプレイに、ICチップが記憶している復元データをバーコード化して表示させるようにしてもよい。さらにまた、パスワードなどの対比用データを訪問先で入力し、この対比用データを復元キーに含ませたバーコードを生成し、復元キーと対比用データとを同時にリーダー7に読み取らせるようにしてもよい。
【0042】
なお、携帯端末機を復元キー記憶媒体として用いる場合、内蔵したICチップ以外のメモリに復元キーを記憶させるようにしてもよい。つまり、携帯端末機がICチップを備えていなくても復元キー記憶媒体として用いることができる。ただし、その場合には、携帯端末機が、記憶している復元キーをバーコード化するなど、リーダー7が読み取り可能な形態に変換する必要がある。
【0043】
また、図1では、データ処理部6をマンションサーバー4に設け、このデータ処理部6が訪問者情報の確認処理を実行するようにしているが、各被訪問者宅に、それぞれデータ処理部を備え、上記確認処理を実行するようにしてもよい。その場合、符号化サーバー2から符号化訪問者情報を受信し、それを記憶部5に記憶させたり、消去したりする処理は、マンションサーバー4で実行するようにしてもよいし、各被訪問者宅に設けたデータ処理部が実行するようにしてもよい。
【0044】
さらに、上記記憶部5も被訪問者宅に設け、個々の記憶部に、被訪問者宅ごとの訪問予定者の符号化訪問者情報を記憶させるようにしてもよい。
つまり、上記実施形態のデータ処理部6の機能は、マンションサーバー4と各被訪問者宅のデータ処理部とのどちらに担わせてもよいし、両者に分担させてもよい。上記記憶部5の機能についても同様である。
そして、全ての機能を、個々の被訪問者宅側に設定すれば、マンションサーバー4は不要になる。
【符号の説明】
【0045】
C ICカード
2 符号化サーバー
4 マンションサーバー
5 記憶部
6 データ処理部
7 リーダー
8 入力装置
9 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
訪問者情報を予め設定された特定のルールに基づいて符号化して符号化訪問者情報を生成するとともに、この符号化訪問者情報に対応付けた復元キーを生成する訪問者情報符号化手段と、上記訪問者情報符号化手段から取得した復元キーを、読み取り可能に記録し、訪問者が携帯する復元キー記録媒体と、この復元キー記録媒体から復元キーを読み取るとともに、訪問先である建物の入り口の付近に設けた復元キー読み取り手段と、上記訪問者情報符号化手段から取得した符号化訪問者情報を記憶した符号化訪問者情報記憶手段と、
上記復元キー読み取り手段及び上記符号化訪問者情報記憶手段に接続したデータ処理手段と、被訪問者の管理可能範囲内にあって、訪問者情報を表現する被訪問者用データ表現手段とを備え、上記データ処理手段は、復元キー読み取り手段から入力された復元キーに基づいて、上記符号化訪問者情報記憶手段から上記入力された復元キーに対応する符号化訪問者情報を抽出する抽出機能と、抽出した符号化訪問者情報を上記復元キーによって復元する復元機能と、上記復元キーに対応する符号化訪問者情報を抽出できないか、あるいは上記復元キーで訪問者情報を復元できないとき、抽出あるいは復元できなかったことを上記被訪問者用データ表現手段に表現させる出力機能と、訪問者情報を復元できたとき、復元した訪問者情報を上記被訪問者用データ表現手段に表現させる出力機能とを有する訪問者確認システム。
【請求項2】
データ処理手段は、符号化訪問者情報記憶手段が記憶している符号化訪問者情報を、設定時間経過後に消去する請求項1に記載の訪問者確認システム。
【請求項3】
上記データ処理手段は、訪問者情報符号化手段の指示に応じて、符号化訪問者情報記憶手段が記憶している符号化訪問者情報を消去する請求項1または2に記載の訪問者確認システム。
【請求項4】
訪問先である建物の入り口付近に設けるとともに、上記データ処理手段に接続され、かつ、上記復元された訪問者情報と対比する対比用データを訪問者から取得する対比用データ入力手段を備え、データ処理手段は、訪問者情報を復元でき、かつ、対比用データ入力手段を介して取得した対比用データと上記訪問者情報とを対比し、その対比結果が予め設定された条件を満たした場合に、上記訪問者情報を上記被訪問者用データ表現手段に表現する請求項1〜3のいずれかに記載の訪問者確認システム。
【請求項5】
上記復元キー記録媒体は、上記訪問者情報符号化手段と通信可能な携帯端末機であり、この携帯端末機は上記訪問者情報符号化手段から上記復元キーを、通信を介して取得する機能を有する請求項1〜4のいずれかに記載の訪問者情報確認システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−43897(P2011−43897A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190190(P2009−190190)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(500567265)株式会社コネクトテクノロジーズ (25)
【Fターム(参考)】