説明

設備情報表示装置及びそのプログラム並びに設備情報表示システム

【課題】多種多様な設備機器と容易に接続でき、設備情報の取得及び表示が容易に行える設備情報表示装置を提供する。
【解決手段】共通設備情報取得部111は、接続された設備機器から、機種毎に共通する情報である共通設備情報を取得し、固有設備情報取得部112は、動作状態を示す情報等である固有設備情報を取得する。共通設備情報取得部111及び固有設備情報取得部112が取得したそれぞれの情報は、表示情報格納テーブル150に格納される。表示処理部113は、表示情報格納テーブル150に格納されている情報を所定の態様で表示する。また、共通設備情報取得部111は、取得した共通設備情報に基づいて当該設備機器の機種IDを特定する。固有設備情報取得部112は、機種IDが特定された後、固有設備情報を取得する処理を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備機器から設備情報を取得して表示する設備情報表示装置及びそのプログラム並びに設備情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビル内の各所に設置された空調機器や照明機器等の各設備機器は、中央監視室等の特定の場所に設置された監視装置にネットワークを介して接続され、集中管理されているケースが多い。設備機器のかかる集中管理について、従来より種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1等)。
【0003】
ところで、設備機器のメンテナンス作業では、作業者は、当該設備機器から監視装置に収集される設備情報(機器種別や運転状態等)を確認しつつ、実際にその動作音や振動の大きさ等をチェックする必要がある。その際、作業者が一人であると、当該現場と中央監視室等を行き来して作業を行わなければならない。そうなると、効率性がよくないばかりか、設備情報の確認と、至近での実際の動作確認との間にタイミングのずれが生じ、メンテナンスの信頼性も損なうおそれがある。
【0004】
一方、作業現場と中央監視室等のそれぞれに人員を配置し、双方が得た情報を携帯端末等でやり取りすることで作業を行う場合には、上記の問題点はある程度解消できる。しかし、当然のことながら、その分の人件費が増し、メンテナンスのコストが嵩むことになる。
【0005】
この点に関し、例えば、異常内容等の自己の設備情報を表示させるための表示装置を備えた設備機器が提案されている(例えば、特許文献2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−98778号公報
【特許文献2】特開平7−35394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、設備機器自体に設備情報を表示させるための専用の機能を組み入れるようにすると、設備機器の製造コストの上昇を招くことになる。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、設備機器の構成を複雑にしたり、あるいは複雑なシステムを構築することなく、多種多様な設備機器と容易に接続でき、設備情報の取得及び表示が容易に行える設備情報表示装置及びそのプログラム並びに設備情報表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る設備情報表示装置は、
接続対象となる設備機器の識別情報の入力を受け付ける識別情報入力受付手段と、
所定の通信方式に従って前記設備機器とデータ通信を行う通信手段と、
該通信手段を介して、前記設備機器から該設備機器の機種毎に共通した第1の設備情報を取得する第1の設備情報取得手段と、
前記通信手段を介して、前記設備機器から前記第1の設備情報とは異なる第2の設備情報を取得する第2の設備情報取得手段と、
入力された前記識別情報と、前記第1の設備情報取得手段により取得された前記第1の設備情報と、前記第2の設備情報取得手段により取得された前記第2の設備情報と、が格納される記憶手段と、
該記憶手段に格納されている前記識別情報と、前記第1の設備情報と、前記第2の設備情報と、に基づいた情報を所定の態様で表示する表示手段と、を備え、
前記第1の設備情報取得手段は、取得した前記第1の設備情報に基づいて当該設備機器の機種を判定し、判定した機種についての情報を機種情報として前記記憶手段に格納し、
前記第2の設備情報取得手段は、前記機種情報が前記記憶手段に格納された後、当該機種情報に基づいて、前記設備機器から前記第2の設備情報を取得する処理を開始する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、設備機器の機種によらず、接続した設備機器からの設備情報の取得及び表示を容易に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る設備情報表示システムの構成を示す図である。
【図2】図1の設備情報表示装置の構成をより詳細に示した図である。
【図3】表示情報格納テーブルの一例を示す図である。
【図4】共通設備情報取得処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】要求コマンドの構成を示す図である。
【図6】共通設備用テーブルの一例を示す図である。
【図7】コマンド対応テーブルの一例を示す図である。
【図8】応答コマンドの構成を示す図である。
【図9】コマンド解析用テーブルの一例を示す図である。
【図10】情報格納位置について説明するための図である。
【図11】パターン番号と変換内容との関係を示す表である。
【図12】固有設備情報取得処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】固有設備用テーブルの一例を示す図である。
【図14】設備情報表示装置に複数の設備機器が接続される例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る設備情報表示システムについて図面を参照して説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る設備情報表示システム1は、設備情報表示装置10と、設備機器20とから構成される。設備情報表示装置10と設備機器20とはシリアルケーブル30を介して接続されている。
【0014】
設備情報表示装置10は、例えば、商業ビルや公共ビル内に設置される空調機器や照明機器等の設備機器20から設備情報を取得させ、これを表示させる目的で使用される。この設備情報は、大別すると、共通設備情報と、固有設備情報とに分類できる。共通設備情報(第1の設備情報)とは、当該設備機器20の機種毎に共通する情報であり、その設備機器20の機種を特定できる情報が含まれる。固有設備情報(第2の設備情報)とは、共通設備情報以外の情報であり、例えば、当該設備機器20の動作状態(例えば、運転中/停止中、正常/異常など)や当該設備機器20が備える各種センサの検出値に関する情報等が含まれる。
【0015】
図1に示すように、設備情報表示装置10は、インタフェース部100(通信手段)と、記憶部101(記憶手段)と、表示部102(表示手段)と、入力部103(識別情報入力受付手段)と、制御部104(第1の設備情報取得手段、第2の設備情報取得手段、表示手段)と、を備える。インタフェース部100は、RS485規格のインタフェース等から構成され、制御部104からの指令に従って、シリアルケーブル30を介して、設備機器20とシリアル通信を行う。記憶部101は、フラッシュメモリ等の不揮発性の半導体メモリから構成される。記憶部101には、詳細は後述するが、設備情報の取得・表示処理で使用される各種テーブル等が記憶される。
【0016】
表示部102は、例えば、LED表示器や液晶表示器等で構成され、制御部104からの指令に従って、記憶部101に記憶されている設備機器20の設備情報(より詳細には、表示用に変換した情報)を表示する。
【0017】
入力部103は、例えば、ディップスイッチから構成される。作業者等のユーザは、所定の情報(本実施形態では、設備機器20を一意に識別するための情報(機器ID))を入力部103を介して入力することができる。なお、入力部103は、ボタンやダイヤル等から構成されていてもよい。あるいは、表示部102がタッチパネルで構成されている場合には、ユーザは、表示部102を介して機器IDを入力することもできる。
【0018】
制御部104は、設備情報の取得及び設備情報の表示に係るプログラムを含む各種プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)、CPUが実行する各種プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、プログラム実行時のワークエリア等として使用されるRAM(Random Access Memory)等(何れも図示せず)から構成される。
【0019】
なお、設備情報表示装置10への給電方法に限定はない。例えば、設備情報表示装置10は、電池等を備える構成であってもよいし、外部電源端子あるいは非接触給電部を備え、設備機器20から有線あるいは非接触で給電されるようにしてもよい。
【0020】
設備機器20は、設備情報表示装置対応部200と、本体部201とから構成される。設備情報表示装置対応部200は、設備情報表示装置10との間でコマンドの送受を行うための処理ユニットである。本体部201は、当該設備機器20(例えば、空調機器等)の本来的な機能(例えば、空気温度の調節等)を実現するための処理ユニットである。本体部201の機能については、一般的なものであるため、その説明は省略する。
【0021】
なお、図示はしないが、設備機器20は、同一ビル内に設置された他の設備機器と共に、所定のネットワークを介して監視装置(ビル内の特定の場所に設置される)と接続し、この監視装置により集中管理されるようになっていても構わない。
【0022】
設備情報表示装置対応部200は、インタフェース部210と、記憶部211と、制御部212と、を備える。インタフェース部210は、RS485規格のインタフェース等から構成され、制御部212からの指令に従って、シリアルケーブル30を介して、設備情報表示装置10とシリアル通信を行う。
【0023】
記憶部211は、フラッシュメモリ等の不揮発性の半導体メモリから構成される。記憶部211には、機器ID2001、設備情報2002、コマンド対応テーブル2003等が記憶される。機器ID2001は、当該設備機器20を一意に識別するための情報であり、例えば、英数字の羅列で示される。設備情報2002は、上述したように、当該設備機器20の機種を特定できる情報等が含まれる共通設備情報と、当該設備機器20の現在の動作状態を示す情報等が含まれる固有設備情報とに分類される。
【0024】
共通設備情報及び固有設備情報は、それぞれ、その内容に応じてさらに複数種類に分けられ、それらの各々が設備情報2002として、記憶部211に個別に記憶されている。
【0025】
また、共通設備情報に分類される設備情報2002は、いったん記憶部211に格納されると、通常、その内容が更新されることはない。一方、固有設備情報に分類される設備情報2002の中には、制御部212により随時更新されるものもある。より詳細には、制御部212は、所定のタイミング(例えば、一定時間毎)で本体部201から当該設備機器20の現在の動作状態を取得し、取得した動作状態に基づいて、対応する設備情報2002の内容を更新する。
【0026】
コマンド対応テーブル2003は、詳細は後述するが、設備情報表示装置10が発行した要求コマンドの解析及び設備情報表示装置10への応答コマンドの送信の際に参照されるデータテーブルである。
【0027】
続いて、設備情報表示装置10の処理機能について詳細に説明する。図2に示すように、設備情報表示装置10の制御部104は、機能的には、機器ID設定部110と、共通設備情報取得部111(第1の設備情報取得手段)と、固有設備情報取得部112(第2の設備情報取得手段)と、表示処理部113(表示手段)と、を備える。機器ID設定部110は、ユーザにより入力部103を介して入力された情報を機器IDとして、記憶部101の表示情報格納テーブル150に格納(新規登録)する。
【0028】
表示情報格納テーブル150は、図3に示すように、機器ID項目と、機種ID項目と、表示情報項目1〜nと、を有する。機器ID項目には、上記の機器ID設定部110により機器IDが格納される。機種ID項目には、詳細は後述するが、共通設備情報取得部111により機種IDが格納される。表示情報項目には、詳細は後述するが、共通設備情報取得部111及び固有設備情報取得部112のそれぞれにより、設備情報IDと、表示値とが格納される。
【0029】
共通設備情報取得部111は、設備機器20から共通設備情報を取得する処理(共通設備情報取得処理)を行う。図4は、共通設備情報取得処理の手順を示すフローチャートである。共通設備情報取得部111は、表示情報格納テーブル150に格納されている機器IDが示す設備機器20に対して、一定時間毎に共通設備情報を要求するための要求コマンド300を複数発行する(ステップS101)。
【0030】
ここで要求コマンド300について説明する。要求コマンド300は、図5に示すように、機器ID格納フィールド3001と、要求コマンド種別格納フィールド3002とから構成される。機器ID格納フィールド3001には、送信先となる設備機器20の機器IDが設定され、要求コマンド種別格納フィールド3002には、この場合、共通設備情報の要求を示すコマンド種別が格納される。共通設備情報取得部111は、このコマンド種別をコマンド発行用テーブル151の共通設備用テーブル1500から取得する。共通設備用テーブル1500は、図6に示すように、要求コマンド種別群項目と、応答コマンド種別群項目とを有する。要求コマンド種別群項目には、予め、共通設備情報の要求を示す全てのコマンド種別が登録されている。応答コマンド種別群項目には、共通設備情報の要求に対する応答を示すコマンド種別が、要求コマンド種別群項目に格納された各コマンド種別に対応する分、予め登録されている。
【0031】
共通設備情報取得部111は、要求コマンド種別群項目に登録されいる全コマンド種別(a001,a002,a003,・・・)について、それぞれを要求コマンド種別格納フィールド3002に格納した複数の要求コマンド300を作成し、設備機器20に対して発行する。共通設備情報取得部111が、予め登録された全コマンド種別についての要求コマンド300を発行する理由は、次の通りである。先ず第1の理由は、共通設備情報の要求を示すコマンド種別が、設備機器20の機種に応じて異なっているからである。また、第2の理由は、上述したように、共通設備情報は、その内容に応じて複数種類に分けることができ、設備情報表示装置10が、その種類を特定して要求できるように、コマンド種別も分類されているからである。
【0032】
図1に戻り、設備機器20の設備情報表示装置対応部200は、設備情報表示装置10から発行された共通設備情報の要求を示す要求コマンド300を受信すると、以下に説明するコマンド応答処理を実行する。先ず、制御部212は、受信した要求コマンド300の機器ID格納フィールド3001から機器IDを抽出し、記憶部211に記憶されている自己の機器ID2001と一致しているか否かを判定する。抽出した機器IDと機器ID2001が一致しない場合、制御部212は、当該要求コマンド300を破棄する。
【0033】
一方、抽出した機器IDと機器ID2001が一致する場合、制御部212は、さらに、当該要求コマンド300の要求コマンド種別格納フィールド3002からコマンド種別を抽出する。そして、コマンド対応テーブル2003を参照して、抽出したコマンド種別に対応する設備情報2002が記憶されているか否かを判定する。コマンド対応テーブル2003は、図7に示すように、要求コマンド種別項目と、応答コマンド種別項目と、設備情報No.項目と、を有する。制御部212は、コマンド対応テーブル2003の先頭レコードから順次、要求コマンド種別項目に設定されているコマンド種別と、抽出したコマンド種別とを比較する。その結果、両者が一致するレコードが存在しない場合、制御部212は、当該要求コマンド300を破棄する。
【0034】
一方、要求コマンド種別項目に設定されているコマンド種別と、要求コマンド300から抽出したコマンド種別とが一致するレコードが存在する場合、制御部212は、当該レコードの応答コマンド種別項目に設定されているコマンド種別を応答コマンド種別として取得する。また、制御部212は、当該レコードの設備情報No.項目に設定されている番号に対応する設備情報2002を記憶部211から取得する。ここで、記憶部211に記憶される各設備情報2002には、予めシリアル番号が割り振られており、かかるシリアル番号が、コマンド対応テーブル2003の設備情報No.項目に設定されているものとする。
【0035】
制御部212は、自己の機器ID2001と、取得した応答コマンド種別及び設備情報2002と、に基づいて、応答コマンド400を生成する。応答コマンド400は、図8に示すように、機器ID格納フィールド4001と、応答コマンド種別格納フィールド4002と、設備情報格納フィールド4003と、から構成される。制御部212は、自己の機器ID2001を機器ID格納フィールド4001に格納し、取得した応答コマンド種別及び設備情報2002をそれぞれ応答コマンド種別格納フィールド4002及び設備情報格納フィールド4003に格納して、応答コマンド400を生成する。そして、生成した応答コマンド400をインタフェース部210を介して設備情報表示装置10に送信する。
【0036】
図4のフローチャートに戻り、共通設備情報取得部111は、設備機器20から送信された応答コマンド400を受信すると(ステップS102でYES)、当該応答コマンド400から応答コマンド種別を抽出する。そして、当該応答コマンド種別が、先に送信した要求コマンド300に格納した要求コマンド種別に対応するものであるか否かを判定する(ステップS103)。具体的には、共通設備情報取得部111は、共通設備用テーブル1500の応答コマンド種別群項目に登録されたコマンド種別の中から当該応答コマンド種別と一致するものを検索する。
【0037】
上記の検索により、一致するコマンド種別を検出した場合(ステップS103でYES)、共通設備情報取得部111は、抽出した応答コマンド種別と、当該応答コマンド400に格納されている設備情報と、コマンド解析用テーブル152と、に基づいて、表示情報格納テーブル150に格納するための情報(機種ID、設備情報ID、表示値)を取得する(ステップS104)。コマンド解析用テーブル152は、図9に示すように、応答コマンド種別と、機種IDと、設備情報IDと、情報格納位置と、表示値変換No.とが対応付けられて登録されたデータテーブルである。
【0038】
設備情報IDとは、表示する設備情報の種類を示す識別情報であり、例えば、英数字の羅列で示される。情報格納位置とは、当該設備情報IDに対応する設備情報の表示において、応答コマンド400に格納された設備情報から実際に使用する部分のみを特定して取得するための情報である。本実施形態では、設備情報格納フィールド4003の先頭からのバイト数を設定することで、表示に使用する領域の範囲が示される。例えば、図10に示すように、設備情報格納フィールド4003のフィールド長が5バイトであり、情報格納位置として、2,3が設定されている場合、当該設備情報IDに対応する設備情報の表示においては、先頭から2バイト目及び3バイト目が使用されることになる。
【0039】
表示値変換No.とは、上記のようにして取得した表示すべき設備情報から表示値を生成するための変換パターンを示す番号(パターン番号)である(図11参照)。このように、様々な変換パターンを予め設定することで、設備情報格納フィールド4003のフィールド長を大きくすることなく、格納された設備情報が示す内容の幅を広げることが可能になる。
【0040】
共通設備情報取得部111は、上記のパターン番号が示す変換内容に従って、取得した表示すべき設備情報を変換することで、表示値(第1の表示情報)を取得する。そして、取得した機種ID、設備情報ID及び表示値を表示情報格納テーブル150に格納する(ステップS105)。この際、表示情報格納テーブル150に、設備情報IDが同一の表示値が既に登録されている場合、新たに取得した表示値に内容が更新される。
【0041】
以降、共通設備情報取得部111は、ステップS102〜S105の処理を繰り返し行い、要求コマンド300を発行してから所定時間が経過すると(ステップS106でYES)、本処理を終了する。
【0042】
続いて、固有設備情報取得部112による固有設備情報取得処理について説明する。
図12は、固有設備情報取得処理の手順を示すフローチャートである。固有設備情報取得部112は、一定時間毎に表示情報格納テーブル150を参照して、機器IDと機種IDが登録されているか否かを判定する(ステップS201)。両者が登録されている場合(ステップS201でYES)、固有設備情報取得部112は、設備機器20に対して、固有設備情報を要求するための要求コマンド300を複数発行する(ステップS202)。
【0043】
ここで発行する要求コマンド300のフォーマットは、上述した共通設備情報を要求するための要求コマンド300のフォーマットと同一である(図5参照)。固有設備情報取得部112は、表示情報格納テーブル150から取得した機器IDを機器ID格納フィールド3001に格納し、固有設備情報の要求を示すコマンド種別を要求コマンド種別格納フィールド3002に格納する。固有設備情報取得部112は、このコマンド種別をコマンド発行用テーブル151の固有設備用テーブル1501から取得する。
【0044】
固有設備用テーブル1501には、図13に示すように、予め、機種グループ(1つの機種で構成される場合もある)毎に、固有設備情報の要求を示す全てのコマンド種別と、固有設備情報の要求に対する応答を示す全てのコマンド種別とが対応付けて登録されている。固有設備情報取得部112は、当該設備機器20の機種に対応する要求コマンド種別群について、それぞれを要求コマンド種別格納フィールド3002に格納した複数の要求コマンド300を作成し、当該設備機器20に対して発行する。
【0045】
一の設備機器20から固有設備情報を取得するために、複数の要求コマンド300を発行するのは、上述したように、固有設備情報も、共通設備情報と同様、その内容に応じて複数種類に分けることができ、設備情報表示装置10が、その種類を特定して要求できるように、コマンド種別が分類されているからである。
【0046】
設備機器20の設備情報表示装置対応部200は、設備情報表示装置10から発行された固有設備情報の要求を示す要求コマンド300を受信すると、上述した共通設備情報の要求コマンド受信時と同様にして、コマンド応答処理を実行する。
【0047】
図12のフローチャートに戻り、固有設備情報取得部112は、設備機器20から送信された応答コマンド400を受信すると(ステップS203でYES)、当該応答コマンド400から応答コマンド種別を抽出する。そして、当該応答コマンド種別が、先に送信した要求コマンド300に格納した要求コマンド種別に対応するものであるか否かを判定する(ステップS204)。具体的には、固有設備情報取得部112は、固有設備用テーブル1501の対応する応答コマンド種別群項目に登録されたコマンド種別の中から当該応答コマンド種別と一致するものを検索する。
【0048】
上記の検索により、一致するコマンド種別を検出した場合(ステップS204でYES)、固有設備情報取得部112は、抽出した応答コマンド種別と、当該応答コマンド400に格納されている設備情報と、コマンド解析用テーブル152と、に基づいて、表示情報格納テーブル150に登録するための情報(設備情報ID、表示値(第2の表示情報))を取得する(ステップS205)。
【0049】
そして、固有設備情報取得部112は、取得した設備情報ID及び表示値を表示情報格納テーブル150に格納する(ステップS206)。この際、表示情報格納テーブル150に、設備情報IDが同一の表示値が既に登録されている場合は、新たに取得した表示値に更新されることになる。
【0050】
以降、固有設備情報取得部112は、ステップS203〜S206の処理を繰り返し行い、要求コマンド300を発行してから所定時間が経過すると(ステップS207でYES)、本処理を終了する。
【0051】
なお、共通設備情報取得処理と固有設備情報取得処理とは、並行して実行されてもよいし、あるいは、互い違いに実行されてもよい。
【0052】
続いて、表示処理部113による表示処理について説明する。表示処理部113は、表示情報格納テーブル150を繰り返し参照し、格納されている各情報を表示部102を介して表示する。具体的には、先ず、機器ID及び機種IDを一定時間表示し(但し、機種IDが格納されていない場合は、機器IDのみを表示する)、それから、格納されている設備情報ID及び表示値の組を一定時間ずつ格納順に(即ち、表示情報1から順番に)表示する。以後、同様の順番で表示を繰り返す。
【0053】
以上説明したように、本実施形態の設備情報表示システム1によれば、設備情報表示装置10は、設備機器20の至近で当該設備機器20の設備情報をリアルタイムで表示することができるため、人員を増やすことなく、設備機器20のメンテナンス作業等の効率化及び信頼性の向上が図れる。例えば、設備機器20が周辺環境の状態を検出するセンサ(例えば、冷媒温度センサや照度センサ等)を備え、その検出結果を利用して機器制御を行っている場合、作業者は、センサの検出結果(例えば、冷媒温度や照度等)を固有設備情報として、現場にてリアルタイムに確認することができる。したがって、当該設備機器20の運転状態が異常を示している場合、その要因がセンサの故障にあるか否かを精度よく判断することが可能になる。
【0054】
また、本実施形態の設備情報表示装置10は、設備機器20と容易に接続でき、しかも、多種多様な設備機器20から設備情報を取得できるため、汎用性に優れる。そして、設備機器20が備える設備情報表示装置対応部200は、高度な機能を必要とせず、簡易な構成で実現できるため、安価で提供することができ、設備機器20への組み入れが容易である。
【0055】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更は勿論可能である。
【0056】
例えば、上記実施形態では、設備情報表示装置10は、ユーザにより入力部103を介して入力された情報を機器IDとして表示情報格納テーブル150に格納したが、機器IDの設備情報表示装置10への入力方法に限定はない。例えば、リモコンを使用して機器IDを入力できるようにしてもよいし、設備機器20と接続した際、当該設備機器20から自動的に通知される仕様にしてもよい。
【0057】
また、設備情報表示装置10において、表示情報格納テーブル150に格納された情報は、上記実施形態で説明した方法以外でも、様々な態様で表示させることができる。例えば、格納されている設備情報IDの昇順あるいは降順で、設備情報ID及び表示値の組を一定時間ずつ表示させてもよい。また、表示の切換が、一定時間毎ではなく、ユーザ(作業者等)による入力部103を介した操作やリモコンを介した操作によって行われてもよい。また、表示情報格納テーブル150に格納された情報を一斉表示させてもよい。
【0058】
また、設備情報表示装置10と設備機器20との間の通信方式に限定はなく、例えば、所定の無線通信によりコマンドの送受を行ってもよい。
【0059】
また、設備情報表示装置10に複数の設備機器20を接続させてもよい。図14は、設備情報表示装置10に、設備機器20A〜20Dをデイジーチェーン(数珠繋ぎ)接続させた例を示す。
【0060】
また、共通設備情報取得処理及び固有設備情報取得処理において使用するコマンド解析用テーブル152の情報格納位置は、設備情報格納フィールド4003の先頭からのバイト位置を示すことに限定されない。例えば、設備情報格納フィールド4003に格納された設備情報に含まれる特定のバイナリコードを基準とした位置を示してもよい。あるいは、設備情報がテキストデータである場合には、設備情報に含まれる特定の文字(デリミタ)を基準とした位置を示すようにしてもよい。
【0061】
また、プログラムの適用により、既存の携帯情報端末等を本発明に係る設備情報表示装置として機能させることも可能である。即ち、上述した制御部104が実行したようなプログラムを、既存の携帯情報端末等に適用し、当該携帯情報端末等を制御するコンピュータ(CPUなど)がそのプログラムを実行することで、上述した各機能構成や処理が実現され得る。
【0062】
このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、メモリカードなどの記録媒体に格納して配布可能である他、例えば、インターネットなどの通信ネットワークを介して配布することもできる。そして、このようにして配布されたプログラムを携帯情報端末等にインストールして適用することで、上述した設備情報表示装置20と同様な機能を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の設備情報表示装置は、多種多様な設備機器と容易に接続でき、設備情報の取得及び表示が容易に行えるため、例えば、ビル内の各所に設置された設備機器のメンテナンス作業での利用に適する。
【符号の説明】
【0064】
1 設備情報表示システム
10 設備情報表示装置
20 設備機器
100、210 インタフェース部
101、211 記憶部
102 表示部
103 入力部
104、212 制御部
110 機器ID設定部
111 共通設備情報取得部
112 固有設備情報取得部
113 表示処理部
150 表示情報格納テーブル
151 コマンド発行用テーブル
152 コマンド解析用テーブル
200 設備情報表示装置対応部
201 本体部
300 要求コマンド
400 応答コマンド
1500 共通設備用テーブル
1501 固有設備用テーブル
3001、4001 機器ID格納フィールド
3002 要求コマンド種別格納フィールド
4002 応答コマンド種別格納フィールド
4003 設備情報格納フィールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象となる設備機器の識別情報の入力を受け付ける識別情報入力受付手段と、
所定の通信方式に従って前記設備機器とデータ通信を行う通信手段と、
該通信手段を介して、前記設備機器から該設備機器の機種毎に共通した第1の設備情報を取得する第1の設備情報取得手段と、
前記通信手段を介して、前記設備機器から前記第1の設備情報とは異なる第2の設備情報を取得する第2の設備情報取得手段と、
入力された前記識別情報と、前記第1の設備情報取得手段により取得された前記第1の設備情報と、前記第2の設備情報取得手段により取得された前記第2の設備情報と、が格納される記憶手段と、
該記憶手段に格納されている前記識別情報と、前記第1の設備情報と、前記第2の設備情報と、に基づいた情報を所定の態様で表示する表示手段と、を備え、
前記第1の設備情報取得手段は、取得した前記第1の設備情報に基づいて当該設備機器の機種を判定し、判定した機種についての情報を機種情報として前記記憶手段に格納し、
前記第2の設備情報取得手段は、前記機種情報が前記記憶手段に格納された後、当該機種情報に基づいて、前記設備機器から前記第2の設備情報を取得する処理を開始する、
ことを特徴とする設備情報表示装置。
【請求項2】
前記第2の設備情報には、前記設備機器の動作状態に関する情報が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の設備情報表示装置。
【請求項3】
前記第1の設備情報取得手段は、前記設備機器から送信されたデータから、その一部を所定の抽出規定に従って抽出し、これを前記第1の設備情報として取得する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の設備情報表示装置。
【請求項4】
前記第2の設備情報取得手段は、前記設備機器から送信されたデータから、その一部を所定の抽出規定に従って抽出し、これを前記第2の設備情報として取得する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の設備情報表示装置。
【請求項5】
前記第1の設備情報取得手段は、取得した前記第1の設備情報の内容を所定の変換規定に従って変換した第1の表示情報を生成し、生成した前記第1の表示情報を前記記憶手段に格納し、
前記表示手段は、前記記憶手段に格納されている前記第1の表示情報を所定の態様で表示する、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の設備情報表示装置。
【請求項6】
前記第2の設備情報取得手段は、取得した前記第2の設備情報の内容を所定の変換規定に従って変換した第2の表示情報を生成し、生成した前記第2の表示情報を前記記憶手段に格納し、
前記表示手段は、前記記憶手段に格納されている前記第2の表示情報を所定の態様で表示する、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の設備情報表示装置。
【請求項7】
コンピュータに、
入力装置を介して入力された情報を、接続対象となる設備機器の識別情報として記憶装置に格納する手段、
通信装置を制御して、前記設備機器とデータ通信を行う通信手段、
該通信手段を介して、前記設備機器から該設備機器の機種毎に共通した第1の設備情報を取得し、前記記憶装置に格納する第1の設備情報取得手段、
前記通信手段を介して、前記設備機器から前記第1の設備情報とは異なる第2の設備情報を取得し、前記記憶装置に格納する第2の設備情報取得手段、
前記記憶装置に格納されている前記識別情報と、前記第1の設備情報と、前記第2の設備情報と、に基づいた情報を所定の態様で表示装置に表示させる表示手段、として機能させ、
前記第1の設備情報取得手段は、取得した前記第1の設備情報に基づいて当該設備機器の機種を判定し、判定した機種についての情報を機種情報として前記記憶装置に格納し、
前記第2の設備情報取得手段は、前記機種情報が前記記憶装置に格納された後、当該機種情報に基づいて、前記設備機器から前記第2の設備情報を取得する処理を開始する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の設備情報表示装置と、
1又は複数の設備機器と、を備える、
ことを特徴とする設備情報表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−250679(P2010−250679A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101010(P2009−101010)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】