説明

設定画面、射出成形機及び設定画面の表示方法

【課題】適正な成形条件を設定するための作業を簡素化することができるようにする。
【解決手段】操作者による操作部32の操作に基づいて表示部31に設定画面が形成されるようになっている。成形が開始される前にあらかじめ設定され、成形シミュレーションを行うことによって分析された成形条件の分析結果を表示するための表示領域を有する。設定画面に、成形が開始される前にあらかじめ設定され、成形シミュレーションを行うことによって分析された成形条件の分析結果が表示されるので、操作者は、分析結果に基づいて、適正な成形条件を入力し、設定することができる。実際に成形を行わなくても、成形品の良否を判断することができるので、適正な成形条件を設定するための作業を簡素化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定画面、射出成形機及び設定画面の表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、成形機、例えば、射出成形機においては、加熱シリンダ内において加熱され、溶融させられた樹脂が金型装置内のキャビティ空間に充填され、該キャビティ空間内において冷却され、固化させられて成形品が成形されるようになっている。
【0003】
前記射出成形機は、前記金型装置、型締装置及び射出装置を有し、該射出装置は、前記加熱シリンダ、該加熱シリンダの前端に取り付けられ、溶融させられた樹脂を射出する射出ノズル、前記加熱シリンダ内において回転自在に、かつ、進退自在に配設されたスクリュー等を備える。そして、前記金型装置は固定金型及び可動金型を備え、前記型締装置によって可動金型を進退させることにより、金型装置の型閉じ、型締め及び型開きが行われ、型締めに伴って、前記固定金型と可動金型との間にキャビティ空間が形成される。
【0004】
計量工程時に、前記スクリューが回転させられると、前記溶融させられた樹脂がスクリューの前方に溜められ、それに伴ってスクリューが後退させられ、この間に、金型装置の型閉じ及び型締めが行われる。続いて、充填工程(射出工程)時に、前記スクリューが前進させられ、該スクリューの前方に溜められた樹脂が射出ノズルから射出され、キャビティ空間に充填される。そして、冷却工程時に、前記キャビティ空間内の樹脂が冷却され固化させられて、成形品が成形される。続いて、型開きが行われ、前記成形品が取り出される。
【0005】
ところで、所定の成形品を成形するに当たり、成形条件を設定する必要があるが、例えば、成形条件の設定において設定値を入力し、成形品を目視することによって成形品の良否を判断し、成形品が良好である場合に、入力された設定値を確定するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−129862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の射出成形機においては、成形品を成形し、成形品の良否を判断する必要があるので、適正な成形条件を設定するための作業が煩わしい。
【0007】
本発明は、前記従来の射出成形機の問題点を解決して、適正な成形条件を設定するための作業を簡素化することができる設定画面、射出成形機及び設定画面の表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の設定画面においては、操作者による操作部の操作に基づいて表示部に形成されるようになっている。
【0009】
そして、成形が開始される前にあらかじめ設定され、成形シミュレーションを行うことによって分析された成形条件の分析結果を表示するための表示領域を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、設定画面においては、操作者による操作部の操作に基づいて表示部に形成されるようになっている。
【0011】
そして、成形が開始される前にあらかじめ設定され、成形シミュレーションを行うことによって分析された成形条件の分析結果を表示するための表示領域を有する。
【0012】
この場合、設定画面に、成形が開始される前にあらかじめ設定され、成形シミュレーションを行うことによって分析された成形条件の分析結果が表示されるので、操作者は、分析結果に基づいて、適正な成形条件を入力し、設定することができる。したがって、実際に成形を行わなくても、成形品の良否を判断することができるので、適正な成形条件を設定するための作業を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、成形機としての射出成形機について説明する。
【0014】
図1は本発明の実施の形態における射出成形機の制御ブロック図、図2は本発明の実施の形態における射出成形機の斜視図、図3は本発明の実施の形態における制御パネルの例を示す図である。
【0015】
図において、11は射出成形機、12は射出装置、21は型開閉装置、27は制御部、30は射出成形機11を支持するフレームであり、前記型開閉装置21は図示されない金型装置及び型締装置22を備え、前記制御部27は演算装置としてのCPU53、及び記録部としての、かつ、記憶装置としてのメモリ54を備える。また、28は前記射出装置12と型開閉装置21との間に配設された制御パネル、31は表示部、32は操作部、41は計量用の駆動部としての計量用モータ、43は射出用の駆動部としての射出用モータ、45は型締用の駆動部としての型締用モータ、52は各種のセンサによって構成される検出部である。
【0016】
前記射出装置12は、シリンダ部材としての加熱シリンダ13、該加熱シリンダ13の前端に取り付けられたノズル部材としての図示されない射出ノズル、前記加熱シリンダ13内において回転自在に、かつ、進退自在に配設された射出部材としての図示されないスクリュー、前記加熱シリンダ13の後端部に配設され、加熱シリンダ13内に成形材料としての樹脂を供給するホッパ17、前記スクリューを回転させたり、前進させたりするための駆動装置14等を備える。該駆動装置14は、前記スクリューを回転させるための前記計量用モータ41、前記スクリューを前進させるための前記射出用モータ43等を備える。
【0017】
まず、計量工程時に、制御部27の図示されない計量処理手段(計量処理部)は、計量処理を行い、前記計量用モータ41を駆動して、スクリューを正回転させると、ホッパ17から加熱シリンダ13内に供給された樹脂が加熱され、溶融させられて図示されないスクリューヘッドの前方に溜められ、充填工程時に、制御部27の図示されない充填処理手段(充填処理部)は、充填処理を行い、前記射出用モータ43を駆動して、スクリューを前進させると、スクリューヘッドの前方に溜められた樹脂が射出ノズルから射出され、金型装置内のキャビティ空間に充填される。
【0018】
また、前記型開閉装置21は前記金型装置及び型締装置22を備え、前記金型装置は第1の金型としての固定金型及び第2の金型としての可動金型を備える。そして、前記型締装置22は、固定支持部材としての固定プラテン23、可動支持部材としての可動プラテン24、該可動プラテン24を進退させる型開閉機構としてのトグル機構25、前記型締用モータ45等を備え、固定プラテン23に前記固定金型が、可動プラテン24に前記可動金型が取り付けられる。
【0019】
前記構成の型締装置22において、制御部27の図示されない型締処理手段(型締処理部)は、型締処理を行い、型締用モータ45を駆動すると、トグル機構25が伸展させられ、可動プラテン24が前進させられて型閉じが行われ、固定金型に可動金型が当接させられる。続いて、前記型締処理手段が型締用モータ45を更に駆動すると、トグル機構25において型締力が発生させられ、該型締力で固定金型に可動金型が押し付けられて型締めが行われ、固定金型と可動金型との間に前記キャビティ空間が形成される。また、型締用モータ45を逆方向に駆動すると、トグル機構25が屈曲させられ、可動プラテン24が後退させられ、型開きが行われる。
【0020】
そして、前記型締めが行われた状態で、前記射出ノズルから樹脂が射出され、前記キャビティ空間に充填され、冷却され、固化させられると、成形品が成形される。
【0021】
ところで、所定の成形品を成形するに当たり、成形条件を設定する必要があり、例えば、全自動成形を開始する前に、半自動成形が行われ、各種の設定項目についてあらかじめ設定された基本的な成形条件を変更することによって成形条件出しが行われたり、全自動成形が開始された後に、成形条件が変更されたりする。
【0022】
そのために、前記制御パネル28は、表示部31及び操作部32を備え、操作者が操作部32を操作することによって前記表示部31に各種の設定画面を形成し、設定値を入力し、各種の設定を行うことができるようになっている。なお、本実施の形態においては、表示部31はタッチパネルによって形成され、操作部としても機能する。
【0023】
本実施の形態においては、図3に示されるように、操作部32の領域AR1に、機能を選択し、所定の設定画面を形成するための操作要素としての機能キー「F1」、「F2」、「F3」、「F4」、「F5」、「F6」、「F7」、「F8」、「CTRL」及び「SHIFT」が、領域AR2に、設定画面を遷移させるための操作要素としてのアップキー「UP」及びダウンキー「DOWN」が、領域AR3に、カーソルを移動させるための操作要素としてのカーソル移動キーが、領域AR4に、射出成形機11を動作させるための動作キーが、領域AR5に、設定内容を数値で入力するための操作要素としての入力キーが配設される。なお、該入力キーには、数字キー「0」〜「9」のほかに、小数点キー、クリアキー「AC」、「C」、入力用の確定操作要素としての実行キーk11及びヘルプキー(HELP)k12が配設される。また、領域AR6には、アラーム表示部が配設されるとともに、アラームに応答するための操作要素としての応答キーが配設される。
【0024】
したがって、操作者が領域AR1における所定の機能キーを押下し、必要に応じて、領域AR2におけるアップキー「UP」又はダウンキー「DOWN」を押下すると、CPU53の図示されない画面形成処理手段(画面形成処理部)は、画面形成処理を行い、表示部31に段取、型開閉、可塑化、温度、一覧設定、波形表示、品質管理、生産管理等の設定を行うための所定の設定画面を形成し、CPU53の図示されない表示処理手段(表示処理部)は、表示処理を行い、前記設定画面の領域AR11に設定画面についての説明を、領域AR12に各設定項目の欄を、領域AR13に、形成されている設定画面を特定する名称を表示するとともに、前記各設定項目の欄に成形条件の設定内容を表示する。
【0025】
なお、前記領域AR13は、操作者がタッチすることによって所定の設定画面を形成するための操作要素としても機能する。
【0026】
続いて、操作者が、領域AR3において所定のカーソル移動キーを押下してカーソルを所定の設定項目に移動させ、領域AR5において所定の入力キーを押下して、設定項目について設定内容を入力し、実行キーk11を押下すると、前記CPU53の図示されない成形条件設定処理手段(成形条件設定処理部)は、成形条件設定処理を行い、成形条件出しにおいて入力された設定内容で成形条件を設定したり、あらかじめ設定された成形条件を変更したりする。
【0027】
なお、一つの設定項目について設定内容を入力するたびに、実行キーk11を押下すると、一つずつ成形条件を設定したり、変更したりすることができ、複数の設定項目について設定内容を入力した後に、実行キーk11を押下すると、複数の設定項目について一括して成形条件を設定したり、変更したりすることができる。
【0028】
そして、前記表示処理手段は、形成された設定画面において、各設定項目について設定されたり、変更されたりした成形条件の設定内容を表示する。また、前記CPU53の図示されない記録処理手段(記録処理部)は、記録処理を行い、各設定項目について設定されたり、変更されたりした成形条件の設定内容を記録する。
【0029】
ところで、前記成形条件を設定する場合に、設定値を入力し、成形された成形品を目視することによって成形品の良否を判断し、成形品が良好である場合に入力された設定値を確定するようにすると、適正な成形条件を設定するための作業が煩わしい。
【0030】
また、前記成形条件出しは、全自動成形と異なる状態で行われるので、必ずしも適正な成形条件出しを行うことができず、そのまま全自動成形を開始すると、不良品が成形されることがある。その場合、操作者が成形条件を変更しなければならず、適正な成形条件を設定するための作業が煩わしい。
【0031】
そこで、本実施の形態においては、成形条件の設定値が入力された後に、操作者による操作部32の操作に基づいて、CPU53の図示されない設定分析処理手段(設定分析処理部)によって、設定分析処理が行われ、成形条件出しによって設定された成形条件に基づいて成形シミュレーションが行われ、成形条件が分析されるようになっている。
【0032】
次に、成形シミュレーションを行う際の制御部27の動作について説明する。
【0033】
図4は本発明の実施の形態における成形シミュレーションの工程図、図5は本発明の実施の形態における設定画面を示す図である。
【0034】
まず、領域AR13において操作者が所定の機能キーを押下し、アップキー「UP」又はダウンキー「DOWN」を押下すると、前記画面形成処理手段は、表示部31に成形支援画面を形成し、該成形支援画面に成形品情報の入力を指示するメッセージを表示する。前記成形品情報には、射出される樹脂の質量を表す「射出質量」、樹脂の名称を表す「樹脂種類」、成形品の肉厚としての最大の厚さを表す「最大肉厚」、成形品の「投影面積」、射出装置12の型名を表す「可塑化装置」、スクリューの直径を表す「スクリュ径」等のほかに、成形品の質量等が含まれる。
【0035】
そして、操作者が前記メッセージに従って、数字キーを操作して成形品情報を入力し、実行キーk11を押下すると、前記設定分析処理手段は、成形条件出しによって設定された成形条件に従って前記成形シミュレーションを行う。そのために、前記メモリ54には、成形シミュレーションを行うのに必要なデータ、すなわち、特性データがあらかじめ設定され、記録されている。なお、該特性データは、射出成形機11の内部パラメータ、及び実際に射出成形機11によって成形を行ったときの各工程における実績値から成り、成形条件の設定値と対応させて、項目ごとに記録される。
【0036】
そして、前記成形シュミレーションにおいては、成形条件の設定において入力された設定値と、前記特性データとが比較される。
【0037】
前記成形条件の設定値及び実績値には、計量工程において、スクリューの計量の終了位置を表す計量位置、スクリューの回転速度、サックバック量、背圧、計量時間等が、充填工程において、スクリューの各位置、及び各位置においてスクリューが前進する速度、射出時間、充填圧力、射出時間等が、保圧工程において、各時間、及び各時間における圧力、保圧時のスクリューが前進する速度が含まれるほかに、冷却時間、休止時間、型締力等も含まれる。
【0038】
また、前記メモリ54には、成形品を射出成形機11から取り出すための図示されない取出機等の周辺機の情報、例えば、取出機が取出しを行う周期、タイミング等、トグル機構25のトグル曲線のデータ、使用される樹脂ごとの比重、射出装置12の単位時間当たりの可塑化樹脂の重量を表す可塑化能力等が記録される。
【0039】
そして、前記設定分析処理手段は、メモリ54から特性データを読み出し、成形サイクルの開始タイミングを表すサイクルスタートtsから終了タイミングを表すサイクルエンドteまでの各工程について模擬的な成形処理を行うとともに、成形条件の設定を分析する。
【0040】
すなわち、前記設定分析処理手段は、サイクルスタートtsで表されるタイミングからタイミングt1まで型閉工程の模擬的な成形処理を行い、タイミングt1からタイミングt2まで昇圧工程の模擬的な成形処理を行い、前記タイミングt1からタイミングt2より遅いタイミングt3までノズルタッチ工程の模擬的な成形処理を行い、タイミングt3からタイミングt4まで充填遅延工程の模擬的な成形処理を行い、タイミングt4からタイミングt5まで充填工程の模擬的な成形処理を行い、タイミングt5からタイミングt6まで保圧工程の模擬的な成形処理を行い、タイミングt6からタイミングt7まで計量遅延工程の模擬的な成形処理を行い、タイミングt6からタイミングt8まで冷却工程の模擬的な成形処理を行い、前記タイミングt7からタイミングt8より遅いタイミングt9まで計量工程の模擬的な成形処理を行い、タイミングt9からタイミングt10まで型開工程の模擬的な成形処理を行い、タイミングt10からタイミングt11まで突出(EJ)工程の模擬的な成形処理を行い、前記タイミングt9からタイミングt11より遅いサイクルエンドteで表されるタイミングまで休止工程の模擬的な成形処理を行う。
【0041】
そして、前記設定分析処理手段は、その間、各工程について、前記特性データに基づいて、実際の処理を行うのに必要な時間を算出する。本実施の形態においては、サイクルスタートtsからタイミングt1までの型閉工程を行うのに必要な型閉時間が可動プラテンの移動距離によって算出され、タイミングt4からタイミングt6までの充填工程及び保圧工程を行うのに必要な充填・保圧時間がスクリューの移動距離によって算出され、タイミングt9からタイミングt10までの型開工程を行うのに必要な型開時間が可動プラテンの移動距離によって算出され、タイミングt10からタイミングt11までの突出工程を行うのに必要な総突出(EJ)時間がエジェクタピンの移動距離によって算出される。なお、充填・保圧時間のうちの保圧時間は成形条件で設定される。
【0042】
そして、前記設定分析処理手段は、算出された各時間に基づいて成形条件の設定を分析する。さらに、前記設定分析処理手段は、算出された各時間を合計することによって、想定される成形サイクルの時間、すなわち、想定サイクル時間を算出する。
【0043】
続いて、前記画面形成処理手段は、表示部31に設定画面g1を形成し、前記表示処理手段は、成形条件の設定の分析結果を読み込み、分析結果を設定画面g1に表示する。
【0044】
該設定画面g1の領域AR21には、設定画面g1が形成されていることを表す説明が表示され、領域AR22には、第1の分析結果として、成形シミュレーションにおける各工程の内容、及び各工程を行うのに必要な時間が、算出値、理論値及び設定値で表示される。また、領域AR23には、成形シミュレーションを行うために入力された前記成形品情報が表示され、領域AR24には第2の分析結果として、成形条件の問題点、勧告等がメッセージで表示される。そして、領域AR13には、設定画面を特定するための名称が表示される。
【0045】
そして、前記領域AR22においては、各工程を表すブロック、及び各ブロックを接続する矢印によって各工程がシーケンシャルに表示される。
【0046】
前記領域AR22において、表示部位b1の上段には型閉時間が算出値で、下段にはタイミングt1の時刻が、表示部位b2の上段には昇圧時間が射出成形機11の理論値で、下段にはタイミングt2の時刻が、表示部位b3の上段にはノズルタッチ時間が理論値で、下段にはタイミングt3の時刻が、表示部位b4の上段には充填遅延時間が成形条件による設定値で、下段にはタイミングt4の時刻が、表示部位b5の上段には充填・保圧時間が算出値で、下段にはタイミングt6の時刻が、表示部位b6の上段には計量遅延時間が設定値で、下段にはタイミングt7の時刻が、表示部位b7の上段には冷却時間が設定値で、下段にはタイミングt8の時刻が、表示部位b8の上段には計量時間が算出値で、下段にはタイミングt9の時刻が、表示部位b9の上段には型開時間が算出値で、下段にはタイミングt10の時刻が、表示部位b10の上段には総突出(EJ)時間が算出値で、下段にはタイミングt11の時刻が、表示部位b11の上段には休止時間が設定値で、下段にはサイクルエンドteで表されるタイミングの時刻が、それぞれ表示される。
【0047】
また、表示部位m1には、サイクルスタートtsからサイクルエンドteまでの想定サイクル時間が表示される。
【0048】
そして、前記領域AR23には、成形品情報として、「射出質量」、「樹脂種類」、「最大肉厚」、「投影面積」、「可塑化装置」、「スクリュ径」が表示される。
【0049】
さらに、領域AR24には、成形条件の問題点、勧告等がメッセージで表示される。本実施の形態においては、冷却工程が完了するタイミングt8が、計量工程が完了するタイミングt9より早い。そこで、領域AR24には、例えば、「冷却時間内に計量が終了しない恐れがあります。」等のメッセージが表示される。
【0050】
このように、本実施の形態においては、成形条件出しで設定された成形条件に基づいて成形シミュレーションが行われ、成形条件の設定が分析され、分析結果が設定画面g1に表示されるので、操作者は、分析結果に基づいて、適正な成形条件を入力し、設定することができる。したがって、成形を行わなくても、成形品の良否を判断することができるので、適正な成形条件を設定するための作業を簡素化することができる。
【0051】
例えば、冷却工程が完了したときに計量工程が完了していない場合、加熱シリンダ13内が脱圧状態になり、射出ノズルから樹脂が漏れ出す等の問題が発生するが、本実施の形態においては、前述されたように、「冷却時間内に計量が終了しない恐れがあります。」等のメッセージが表示されるので、射出ノズルから樹脂が漏れ出す等の問題が発生するのを防止することができる。
【0052】
また、成形サイクルの時間を把握することができるので、成形条件出しの評価を十分に行うことができる。
【0053】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態における射出成形機の制御ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における射出成形機の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態における制御パネルの例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態における成形シミュレーションの工程図である。
【図5】本発明の実施の形態における設定画面を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
28 制御パネル
31 表示部
32 操作部
AR22、AR24 領域
g1 設定画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者による操作部の操作に基づいて表示部に形成される設定画面において、
成形が開始される前にあらかじめ設定され、成形シミュレーションを行うことによって分析された成形条件の分析結果を表示するための表示領域を有することを特徴とする設定画面。
【請求項2】
前記表示領域において、想定される成形サイクルの時間が表示される請求項1に記載の設定画面。
【請求項3】
前記表示領域において、成形条件の問題点がメッセージで表示される請求項1に記載の設定画面。
【請求項4】
(a)操作者による操作部の操作に基づいて、表示部に所定の設定画面を形成する画面形成処理手段と、
(b)特性データを記録するための記録部と、
(c)該記録部から特性データを読み出し、該特性データに基づいて模擬的な成形処理を行うとともに、成形条件の設定を分析する設定分析処理手段と、
(d)前記成形条件の設定の分析結果を表示する表示処理手段とを有することを特徴とする射出成形機。
【請求項5】
前記特性データは射出成形機の内部パラメータである請求項4に記載の射出成形機。
【請求項6】
前記特性データは成形が行われたときの実績値である請求項4に記載の射出成形機。
【請求項7】
前記設定分析処理手段は、成形品情報に基づいて模擬的な成形処理を行う請求項4に記載の射出成形機。
【請求項8】
前記設定分析処理手段は、各工程における所要時間に基づいて成形サイクルの時間を算出する請求項4に記載の射出成形機。
【請求項9】
前記設定分析処理手段は、周辺機の情報に基づいて成形サイクルの時間を算出する請求項4に記載の射出成形機。
【請求項10】
前記表示処理手段は、前記設定画面の所定の表示領域に成形サイクルの時間を表示する請求項8又は9に記載の射出成形機。
【請求項11】
前記表示処理手段は、前記設定画面の所定の表示領域に成形条件の問題点をメッセージで表示する請求項4に記載の射出成形機。
【請求項12】
(a)操作者による操作部の操作に基づいて、表示部に所定の設定画面を形成し、
(b)特性データを記録部に記録し、
(c)該記録部から特性データを読み出し、該特性データに基づいて模擬的な成形処理を行うとともに、成形条件の設定を分析し、
(d)前記成形条件の設定の分析結果を表示することを特徴とする設定画面の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−99859(P2010−99859A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271231(P2008−271231)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】