説明

診断及び予後の化合物並びに方法

【課題】被験者から採取した生物サンプルでのTREM−1リガンド又はTREM−1リガンドの核酸のレベルを測定するステップを含む、被験者の細菌性又は菌類の敗血症の診断方法。
【解決手段】本方法は、生物サンプルにTREM−1リガンドを結合できる化合物を接触することと、化合物とTREM−1リガンドとの間における結合レベルを観察することによってサンプルに存在するTREM−1リガンドのレベルを検出することを含む。さらに、細菌性又は菌類の敗血症の診断で使用するための化合物、組成物及びキットが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、免疫分野に関する。より詳細には、本発明は、炎症に関し、骨髄細胞の活性状態の指標のような特定のマーカーの使用に関する。さらに詳細には、本発明は、伝染性(例えば、細菌または菌類)を原因とする敗血症の迅速な診断を可能にして、薬理学的処置において、敗血症患者を追跡するマーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
敗血症は、集中治療における著しい割合を占め、集中治療室で常に存在する課題となっている。米国と欧州において、毎年400,000から500,000の患者が感染していると予測される。病的状態および死亡率は、支えとなる抗菌性治療の改善にもかかわらず高いままである。死亡率は、単純な敗血症のための40%から、感染性ショックおよび複数の臓器の機能不全が原因による80%まで変化する。現在、症状の病因は、より理解されている。免疫性、炎症性、へモトロジカル(haemotological)な媒体の複合のネットワークの多大な理解は、合理的で新規な治療法の開発を促す。
【0003】
以前、敗血症の症状は、症状の複雑さおよび他の原因論に対して二次的な炎症性反応の類似性を反映する、多くの症状および命名法と関連している。敗血症の複合的な性質を例示するために、敗血症は、「経験豊かな医師が、患者は重い感染症にかかっているかもしれないと結論する臨床的および検査上の所見の一群」としてエドワードO.ウスマン医学博士によって定義された。文献の「敗血症」を定める試みは、多くの意見の相違および知識を混乱したので、彼の定義ははっきりしなくて、主観的で、同語反復の定義として故意になされた。
【0004】
1991年、診断およびこれらの病状の治療を明らかにする目的で、そして、この分野の研究解釈の援助に、the American College of Chest Physicians及びthe American Society of Critical Care Medicineは、全身性炎症反応症候群(SIRS)および敗血症における定義を公表した(表1参照)。
【0005】
生理的に変化するパターンは、外傷、熱傷、膵炎および感染を含む傷害の範囲に応答して、非常に重篤な患者に示される。これらは炎症反応、白血球増加症または高度の白血球減少症、高体温または低体温、心搏急速、頻呼吸を含み、全身性炎症反応症候群(SIRS)と集合的に呼ばれる。この定義は、感染の存在を問わず、これらの症状の炎症プロセスの重要性を強調する。用語、敗血症は、感染が疑われるかまたは証明されるSIRSにおいて存在される。
【0006】
器官低潅流(臓器機能不全(例えば、低酸素血症、乏尿、乳酸アシドーシスまたは変化した脳の機能)の徴候によって明白にされる)の証拠がある場合、敗血症は重度の敗血症に更に分類される。敗血症ショックは、十分なfluid resuscitationにもかかわらず90mmHg未満の収縮期の血圧として定義される低血圧による複雑な重篤な敗血症である。敗血症およびSIRSは、2つ以上の臓器不全(器官潅流および酸素化障害による、複数の臓器不全(MOF)と呼ばれる)によって複雑となるかもしれない。感染症の全身性の影響に加えて、全身炎症性の反応は、ひどい炎症性の状況(例えば膵炎および熱傷)で生じ得る。
【0007】
炎症反応の徴候の出現は、外傷性傷害後でより明確でない。集中治療室において、グラム陰性バクテリアは、敗血症ケースの更に35乃至40%を占めているグラム陽性バクテリアを有する50乃至60%の敗血症ケースに関係する。残りのケースは、菌類、ウィルスおよび原生動物のより一般的でない原因による。
【0008】
非常に重症な患者の敗血症および全身性炎症反応症候群(SIRS)の早めの認識は、増加した罹患率、死亡率および複数の臓器不全を伴う期間の長さを回避することができる。しかしながら、敗血症の診断に関連する重大な課題があり、伝染性の要因(敗血症)によりSIRSを検出し、モニターし、処理するために急速で、信頼性が高くて、感度が高い方法を明らかに必要とする。
【0009】
【表1】

【0010】
表1:全身性炎症反応症候群(SIRS)及び敗血症の定義
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、検出の正確で一貫した方法を提供するために、敗血症を診断することと関係している既存の問題を回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、TREM−1(本明細書において、「TREM−1レセプター」と称される)と呼ばれている脊髄細胞受容体のリガンド(本明細書において、「TREM−1リガンド」と称される)が細菌性で菌類の敗血症(全身性炎症反応症候群)の特定マーカーであるという本発明者の発見に基づく。換言すれば、SIRSは、細菌性であるか菌類の感染症によって引き起こされるかまたは悪化する。
【0013】
単球/マクロファージ系の細胞は、生来の免疫系に帰属して、抗原レセプターの非常に多様なレパートリを欠いている。それにもかかわらず、それらの活性は、種々の活性していて抑制の細胞表面レセプターによって調節される。研究は、骨髄細胞に限定して発現が現れる、TREM系統のレセプターの新規な系統を識別した(Bouchon et al. (2000) J. Immunol. 164, 4991-4995を参照)。TREMレセプターは、アダプター分子―DAP12と関連して、骨髄細胞を活性させる。
【0014】
最近の研究は、TREM−1レセプターが感染に対する炎症反応において重要な役割を果たすことを証明する。TREM−1レセプターの発現は、ヒトの細菌性で菌類の感染に応答して、骨髄細胞に増加する。同様に、マウスで、リポ多糖類(LPS)によるショックの誘導は、TREM−1レセプターの増加した発現と関係している。さらに、可溶なTREM−1レセプター/免疫グロブリンの融合タンパク質を有するマウスの治療は、『おとり』レセプターとして、マウスをLPSまたはE.coliによる死から保護する。可溶性のレセプターの投与における重要な生存の利点は、ショック誘導の最高4時間後に観察された。
【0015】
TREM−1レセプターのためのリガンドは、以前識別されなかった。
【0016】
本願明細書において記載されるように、本発明者は細菌性で菌のSIRS患者の末梢好中球から分離される好中球上のTREM−1リガンドを認めた。本願明細書において記載されているデータは、以下にそれを示し、TREM−1リガンドの発現は診断で予後の値を有する。これは、その表現は細菌性であるか菌類に由来し(敗血症)、細胞外病原体(例えば、バクテリアおよび菌類)での感染が証明されることができなかったSIRSの患者から循環好中球を検出される。したがって、その検出は敗血症の早めの認識ができるようにし、初期の介入を可能にする。加えて、患者が回復の臨床徴候を示すときに、敗血症患者からの循環好中球上のTREM−1リガンドの発現は、完全に刺激に対する反応を抑制される。したがって、TREM−1リガンドの発現はまた、疾患の薬理学的治療の間、敗血症の患者のモニタリングおよび追跡調査を可能にする。
【0017】
したがって、本発明は、細菌性又は菌類の敗血症の臨床スクリーニングおよび診断における方法並びに組成物を提供する。加えて、本発明は、効果的に細菌であるか菌類の敗血症治療をモニタリングし、細菌性又は菌類の敗血症に関する臨床試験の関係者を選別し、細菌性又は菌類の敗血症の特定の治療的な治療に最も反応そうな被験者を識別し、細菌性又は菌類の敗血症の治療のための薬剤のスクリーニングおよび開発のための方法および組成物を提供する。
【0018】
このように、本発明の第一態様で、本発明は被験者の細菌性又は菌類の敗血症を診断する方法を提供し、その方法はその被験者から得られた生物サンプルのTREM−1リガンドまたはTREM−1リガンドの核酸のレベルを測定するステップを含む。
【0019】
換言すれば、本発明は患者の細菌性又は菌類の敗血症を診断するかまたはモニターする方法を提供し、その方法は、患者からサンプル中のTREM−1リガンドまたはTREM−1リガンドの核酸のレベルを測定することを含み、そのレベルが、患者の細菌性又は菌類の敗血症の存在または範囲のインジケータである。
【0020】
さらにまた、本発明は、患者の細菌性又は菌類の敗血症を診断する方法を提供し、その方法は、例えば患者から採取される生物サンプルの好中球などの細胞サンプルにTREM−1レセプター由来のポリペプチドの結合を測定するステップを含む。あるいは、生物流体から得られる細胞が存在しないサンプル、例えば、タンパク質の構成要素にTREM−1レセプター由来のポリペプチドの結合の測定値は、細菌性又は菌類の敗血症を診断するために用いることができる。
【0021】
本発明の方法は、その結合を細菌性又は菌類の敗血症の有無に関連させる、さらなるステップを含むことができる。この相互関係は、患者の細菌性又は菌類の敗血症の存在または範囲を示すために、制御サンプルまたは参照基準の平均レベルで患者から採取される生物サンプルの測定されたレベルを比較することによってなすことができる。
【0022】
本明細書で定義される「細菌性又は菌類の敗血症」は、細菌感染のような細胞外病原体による感染に伴うSIRS(全身性炎症反応症候群)を意味し、例えば、臓器不全の有無にかかわらない菌血(血液中のバクテリアの存在)および非細菌性感染症、例えばTREM−1リガンドの増大した発現が検出されることができる真菌血症(例えば、カンジダ・アルビカンスによるイースト感染症)、原虫性感染症または血液寄生(例えば、フィラリア症およびトリパノソーマ症)である。理論によって制約されずに、本発明者は、TREM−1リガンド発現が通常、細胞内病原体(例えばウイルス)によって生じる感染症および敗血症の発病率において増加しないと疑う。
【0023】
「TREM−1リガンド」は本明細書で定義されるように、特定の循環好中球において、細菌性又は菌類の敗血症患者の血球で見つかるリガンドであり、それはTREM−1レセプターに制限される。「TREM−1リガンドの核酸」は、本明細書で定義されるように、核酸、すなわち「TREM−1リガンド」の増加したレベルをもたらすために細菌性又は菌類の敗血症患者においてアップレギュレート(upregulated)されたと推定されるmRNAまたはcDNAである。
【0024】
一つの実施態様において、TREM−1リガンドのレベルが測定される際に、TREM−1リガンドのレベルの測定値はTREM−1リガンドを結合することができる化合物と生物サンプルを接触するステップ(a)と、その合成物とTREM−1リガンドとの間で結合するレベルを観察することによってサンプルに存在するTREM−1リガンドのレベルを検出するステップ(b)を含む。
【0025】
サンプルに存在するTREM−1リガンドのレベルのためのサンプルのアッセイ又は測定は、公知技術の標準プロトコールを使用して行われることができる。例えば、TREM−1リガンドと、TREM−1リガンドを結合可能な化合物との間の結合の観察が生じる際に、この観察は周知の方法論を使用して行われることができる。例えば、結合は、競合免疫測定、ウェスタンブロットなどの技術を用いる非競合アッセイシステム、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素がリンクした免疫吸着剤分析)、「サンドイッチ」免疫測定、免疫沈降分析、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散分析、接着分析、コンプレメントフィキシエーション(complementfixation)分析、免疫放射性分析、蛍光免疫測定、タンパク質A免疫測定、免疫沈降分析、免疫組織化学分析、競合またはサンドイッチELISA、ラジオイムノアッセイ、ウェスタンブロット分析、免疫組織学的分析、免疫細胞化学分析、ドットブロット分析、蛍光分極化分析、シンチレーションプロキシミティ分析、均一時間で分解された蛍光分析、IAsys分析およびBIAcore分析を用いることによって検出されることができる。
【0026】
例えば、ELISA分析が実行される際に、TREM−1リガンド結合化合物は、生物サンプルからTREM−1リガンドを取得するためにプレートにおおわれている。異なる(例えば、標識される)か同じTREM−1リガンド結合化合物は、例えば、検出可能な薬品と接合されることによって、プレート上のTREM−1リガンドの存在を明らかにするために用いられる。TREM−1リガンド結合化合物が前述のイムノアッセイにおいて適用できる抗体である必要はなく、本明細書において記載されるように、TREM-1レセプターの可溶形態がこのようなアッセイで使用できることは当業者によって理解されるであろう。
【0027】
代替実施態様では、TREM−1リガンドの核酸のレベルが測定される際に、TREM−1リガンドの核酸のレベルを測定するステップは、TREM−1リガンドの核酸に特有のオリゴヌクレオチドプローブまたはオリゴヌクレオチドプライマーを生物サンプルと接触させるステップ(a)と、そのオリゴヌクレオチドプローブまたはオリゴヌクレオチドプライマーとTREM−1リガンドの核酸との間の相互作用のレベルを観察することによってサンプルに存在するTREM−1リガンドの核酸のレベルを検出するステップ(b)を含む。このようなプローブやプライマーは、主に、好ましくは特に、周知の方法によって検出を可能にするのに十分な手法でTREM−1リガンドの核酸と結合する。「相互作用のレベル」、例えば、プローブの結合レベルまたはプライマーによってもたらされる増幅のレベルは、サンプルに存在する核酸(例えばcDNAまたはRNA)のレベルまたは量の徴候を提供し、TREM−1リガンドのレベル又は量を提供する。そのような観察は、周知の方法論およびプロトコールを使用して行われることができる。例えば、オリゴヌクレオチドプローブがTREM−1リガンドの核酸、例えば、mRNAを検出するために使用される場合、ノーザンハイブリダイゼーション、ドットブロット、及びin situハイブリダイゼーションが使用できる。オリゴヌクレオチドプライマーがTREM−1リガンドの核酸を検出するために使用される場合、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などのプライマー伸長反応、例えば、定量PCRが、TREM−1リガンドの核酸のレベルを検出するためにcDNA又はRNAサンプルにて実行できる。
【0028】
敗血症の発病率の決定は、コントロールサンプルのデータ、一群のコントロールサンプル(例えば健常な個人からのサンプル)の平均レベル又は前の分析に由来するデータ(例えば、本発明の診断手段と関係しているコンピュータプログラムの範囲内で本発明またはデータの診断用キットで標準曲線または説明として提供される)と、サンプルに存在するTREM−1リガンドまたはTREM−1リガンドの核酸のレベルとを比較することによって行われることができる。敗血症の発生率の測定は、細菌性又は菌類の敗血症がないか、存在するか、又は緩解の患者のTREM−1リガンドまたはTREM−1リガンドの核酸のレベルの分析に由来する一組の参照データからの分配パラメータに基づく多変量解析を使用している可能性の比率を引き出すことを含む。
【0029】
したがって、本発明はさらに、TREM−1リガンドまたはTREM−1リガンドの核酸のレベルを測定することができ、及び/又はこのレベルを敗血症の疾患状態を表す周知のレベルと比較することができる診断のための手段を提供する。このような診断のための手段は、スティック試験の形をとることができ、例えば、本発明の方法を実行して、例えば、カラー図に対して比較されることができる比色結果をもたらすために必要な試薬を保持する。また、上述したように、サンプル測定手段を含む他の診断のための手段および/またはサンプルからデータと前述のようなデータと比較するための関連するプログラムを有する標準データを含んでいるデータ処理手段がさらに想定される。
【0030】
このように、前記した実施例のいずれにおいても、本発明の第一態様による方法は、TREM−1リガンドまたはTREM−1リガンドの核酸の検出レベルを細菌性又は菌類の敗血症の有無に関連させる更なるステップ(c)を含むことができる。例えば、相互関係は、患者の細菌性又は菌類の敗血症の存在または範囲を示すように、細菌性又は菌類の敗血症を有しない個体のコントロール集団から得られるサンプルの平均レベルと、サンプルのTREM−1リガンドまたはTREM−1リガンドの核酸の測定されたレベルを比較することによってなすことができる。
【0031】
さらなる態様において、本発明の第一態様による方法が、細菌性又は菌類の敗血症の進行または緩解をモニタリングする際に、換言すれば、細菌性又は菌類の敗血症の進行または緩解を示すために用いられることができる。このような方法は、被験者の細菌性又は菌類の敗血症治療の効果および/または進行をモニターするために用いることができる。本実施態様において、本方法は、患者からの第二または更なるサンプルのTREM−1リガンド若しくはTREM−1レセプター核酸のレベルを測定するステップをさらに含み、第一及び第二若しくは更なるサンプルが異なる時間に得られ、細菌性又は菌類の敗血症の進行または緩解を示すためにサンプルのレベルを比較する。
【0032】
本発明による診断法は、ex vivoで実行される。本発明の方法による分析のための生物サンプルは、従来技術において様々なソース、特に、全血、血清、血漿、尿、血液の細胞分画および末梢血から分離される好中球から公知の方法を使用して得られることができる。如何なるTREM−1リガンドも分析以前に取り除かれないか、または検知されなくなるように、サンプルは処理されるサンプルでなければならない。
【0033】
細胞を含有するサンプルに加えて、生物サンプルは、細胞を含まないサンプルとなることができ、例えば、生物流体から得られる上澄みである。この場合、サンプルの構成要素である、例えば、タンパク質は、プラスチック表面上にコーティングすることによって固体表面に固定される。次いで、TREM−1リガンドの存在は、例えば、抗体を介して検出されるか、又は検出剤のそれ自体を接合される、TREM−1リガンド結合化合物を使用することによって明らかにされる。
【0034】
本発明の方法は、哺乳類に適用可能で、例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ヤギ、イヌ、ネコ並びに、例えば、マウスおよびネズミなどの齧歯動物である。一般的に、本発明の方法によって検査された生物サンプルは、ヒトのサンプルである。一つの実施態様において、生物サンプルは、検査の被験体からのタンパク質分子を含む。代替として、生物サンプルは、検査の被験体からのmRNA分子や、検査の被験体からのcDNA分子を含むことができる。
【0035】
好ましくは、生物サンプルは、検査の被験体からのタンパク質分子を含む。好ましい生物サンプルは、被験者から従来の手法によって得られた末梢血から分離された白血球のサンプルである。特に好ましいサンプルは、好中球を含んでいるサンプルである。
【0036】
本明細書において、「TREM−1リガンドを結合可能な化合物」は、ポリペプチド、リガンド、抗体、又は、好ましくは、特にTREM−1リガンドと主に結合する識別存在物を意味する。そのような結合化合物、又は「TREM−1リガンドが結合するパートナー」は、TREM−1リガンド結合分子を自然に生じることができ、例えば、TREM-1-レセプターとその天然及び合成の変化したものである。さらに、結合化合物の例は、TREM−1リガンド結合分子の化学的修飾又は遺伝的修飾の派生物、人工的(例えば、化学的に合成された)TREM−1リガンド結合分子、あるいは組換えや遺伝子工学的に改変された可溶性TREM−1リガンド結合分子である。
【0037】
本発明の範囲内に含まれる使用は、TREM−1リガンドに対して、主に、好ましく特異的又は専有的に結合する抗体であり、下記に限定しないが、それらはモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体(例えば、TREM−1リガンドに対して生じる)、双特異的抗体、多重特異的抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、ファージディスプレイ技術から派生する抗体、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、ジスルフィド結合Fvs、及びVL又はVHドメインを含むフラグメント、あるいはTREM−1リガンドに対して特異的に結合する相補決定領域(CDR)である。そのような抗体は、当業者に周知の方法にしたがって得ることができる。(例えば、Chow, M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:910-914; and Bittle, F. J. et al., J. Gen. Virol. 66:2347-2354を参照。)TREM−1リガンドの免疫性エピトープは、動物系システム(ウサギやマウスなど)に対してアルブミンなどのキャリアタンパク質と共に現れるか、十分に長い場合(少なくとも約25のアミノ酸)、キャリアなしで現れる。しかしながら、わずか8乃至10のアミノ酸から成る免疫性エピトープは、少なくとも、変性したポリペプチドの線形エピトープと結合することができる抗体を生じることが十分なことを示した(例えば、ウェスタンブロット法で。)。
【0038】
本発明の範囲内に含まれるそれ以外の修飾された免疫グロブリンはまた、可溶性および/または安定性の、例えばヒトのIgGまたはIgM Fc断片を与えるために、例えば、一つ以上の免疫グロブリンから派生したタンパク質領域に対するTREM−1レセプターの融合を含む。
【0039】
加えて、TREM−1レセプターの三次元構造に擬態している物質または産物は、TREM−1リガンドに特有の結合パートナーとして用いられることができる。コンピュータ・モデリングを基にしてそのようなものを設計することが可能である。産物は、化学的手段を使用して、合成的に生成することができる。さらに、TREM−1レセプターのような構造の化学的修飾のように、要求される構造を設計する組換えDNA技術の活用法が可能である。
【0040】
さらにまた、単離されたTREM−1リガンド、又はTREM−1リガンドの構造を使用するコンピュータ・モデリングが、公知技術の方法を使用してTREM−1リガンドに特有の結合パートナーを生成するために用いてもよいと想定される。
【0041】
特定の実施態様において、TREM−1リガンドを結合できる化合物は、自然に生じるTREM−1リガンド結合分子の修飾された異型であり得え、例えば、TREM−1リガンドを結合できる化合物は、TREM−1レセプターに由来するポリペプチド(本明細書において、「TREM−1レセプターから派生したポリペプチド」と称される)であり得る。適切な「TREM−1レセプターから派生したポリペプチド」は、下記でさらに議論される。
【0042】
用語「TREM−1リガンドの核酸に特有のオリゴヌクレオチドプローブまたはオリゴヌクレオチドプライマー」は、周知のように、ハイブリダイゼーション反応、プライマー伸長反応またはバイオチップに基づく分析法でTREM−1リガンドの核酸を検出するのに十分な手法でTREM−1リガンドの核酸と特異的に結合できる、任意の核酸を含む。
【0043】
一般的に、TREM−1リガンドの核酸に特有のオリゴヌクレオチドプローブまたはオリゴヌクレオチドプライマーは、従来のDNA/RNA検出方法で使用されるストリンジェント又は穏やかなストリンジェントな条件下でサンプルのTREM−1リガンドの核酸と相互作用する。ノーザンまたはサザン分析などのハイブリダイゼーション方法に関し、用語「ストリンジェントな条件下」は、ヌクレオチドシークエンスが互いに対してハイブリダイゼーションを互いに維持するように、少なくとも60%、好ましくは65%、より好ましくは70%、最も好ましくは75%の相同性を有する条件下のハイブリダイゼーション及び洗浄条件を意味する。用語「穏やかなストリンジェント条件下」は、ヌクレオチドシークエンスが互いに対してハイブリダイゼーションを互いに維持するように、少なくとも40%、好ましくは45%、より好ましくは50%、最も好ましくは55%の相同性を有する条件下のハイブリダイゼーション及び洗浄条件を意味する。そのようなハイブリダイゼーション条件は、下記に限定しないが、Current Protocols in Molecular Biology, 1989, John Wiley & Sons, New York, 6.3.1-6.3.6., and Basic Methods in Molecular Biology, 1986, Elsevier Science Publishing Co., Inc., New York,1986, pp. 75-78, and 84-87に記載されており、当業者に周知である。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の好ましく、制限されない例は、約45℃の6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)でのハイブリダイゼーションの後に、約50乃至65℃で0.2X SSC、0.1%SDSの一回以上の洗浄が続く。穏やかなストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の好ましく、制限されない例は、約42℃の6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)でのハイブリダイゼーションの後に、約45乃至55℃で0.2X SSC、0.1%SDSの一回以上の洗浄が続く。
【0044】
プライマー伸長反応に関して、ストリンジェントな条件は使用するプライマーに依存するが、TREM−1リガンドの核酸テンプレートが検出を可能にするために優先して増幅されるようなものである。
【0045】
本発明の第二態様によると、細菌性又は菌類の敗血症の治療の診断、予後、処置またはモニタリングに用いられる化合物および薬学的な組成物が提供される。
【0046】
第二態様の一つの実施例において、本発明は、細菌性又は菌類の敗血症の治療の診断、予後、処置またはモニタリングに用いるためのTREM−1リガンドを結合できる化合物を提供する。さらに、細菌性又は菌類の敗血症の治療の診断、予後、処置またはモニタリングに用いるためのTREM−1リガンドに特異的なオリゴヌクレオチドプローブ又はオリゴヌクレオチドプライマーが提供される。
【0047】
別の実施態様において、本発明は、TREM−1リガンドに結合できる化合物の使用、又は細菌性又は菌類の敗血症の診断、予後、処置若しくはモニタリング方法におけるTREM−1リガンドの核酸に特異的なオリゴヌクレオチドプローブ若しくはオリゴヌクレオチドプライマーの使用を提供する。
【0048】
さらなる実施態様で、本発明は、細菌性又は菌類の敗血症の診断、予後、処置若しくはモニタリングにおける薬剤の製造でTREM−1リガンドに結合できる化合物の使用を提供する。
【0049】
本明細書に記載の方法はさらに、被験者が細菌性または菌類の敗血症を有するか、進展する危険を有するかを識別するために用いることができる。そのようなアッセイは、細菌性又は菌類の敗血症を治療するために、被験者が薬剤(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド擬態、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子または他の候補薬)を投与できるかどうかを決定するために使用できる。例えば、そのような方法は、被験者が特定の薬剤又は薬剤のクラス(例えば、抗生物質または抗菌剤)で効果的に治療できるかどうかを決定するために使用できる。このようにして、本発明は、検査サンプルが得られ、TREM−1リガンドまたはTREM−1リガンドの核酸が検出される、被験者が細菌性または菌類の敗血症に対する薬剤で効果的に治療できるかどうかを決定するための方法を提供する。
【0050】
本発明のさらなる実施態様は、細菌性若しくは菌類の敗血症の診断または治療で使用するための薬学的に許容可能な希釈剤、キャリアあるいは賦形剤と共にTREM−1リガンドを結合できる化合物を含む組成物(例えば、薬学的な組成物)を提供する。
【0051】
したがって、さらに、細菌性若しくは菌類の敗血症の診断または治療方法において、TREM−1リガンドを結合できる化合物の使用が提供される。換言すると、TREM−1リガンドを結合できる化合物の細菌性若しくは菌類の敗血症の診断または治療の使用である。本発明はまた、細菌性若しくは菌類の敗血症の診断または治療方法における使用で、または使用されるTREM−1リガンドを結合できる化合物を提供する。
【0052】
本明細書で使用されるように、「薬学的に許容可能な希釈剤、キャリアまたは賦形剤」は、全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌性で抗真菌性薬品、等張性および吸収を遅延させる薬剤、薬学的な投与と互換性を有する同等のものなど、いずれも含むことを意図する。薬学的な活性物質におけるそのような媒体及び薬剤の使用は周知である。いかなる従来の媒体または薬剤が活性化合物と適合しないこと以外は、組成物におけるそれの用途は考察される。補助活性化合物はまた、組成物に組み込まれることができる。薬学的な組成物は、投与のための指示と共に、容器、パックまたはディスペンサに含まれることができる。
【0053】
本発明の第三の態様は、TREM−1リガンドの発現および/または活性のモジュレーターを識別する方法を提供し、その方法は、試験される化合物の有無において、TREM−1リガンドとTREM−1リガンドを結合できる化合物を含有するサンプルで結合するレベルを比較することを含む。さらに、本発明のこの態様の方法により識別されるTREM−1リガンドのアゴニスト又はアンタゴニストが提供される。さらに、細菌性または菌類の敗血症の治療で使用するための化合物のスクリーニング方法が提供され、その方法は、この化合物と接触するサンプルに存在するTREM−1リガンドのレベルのその化合物の効果を決定することを含む。したがって、本発明はまた、被験者で細菌性または菌類の敗血症を処置する方法を提供し、当該方法は、TREM−1リガンドの発現または活性のモジュレーターのその有効量(例えば、阻害剤)を必要とする個体に対する投与を含む。
【0054】
発現及び/または活性のモジュレーターは、アンタゴニスト(例えば、阻害剤)及びアゴニストを含む。
【0055】
第四の態様において、本発明は、キット、関連する試薬及び接触手段を提供する。一つの実施例では、本発明は、TREM−1リガンドを結合できる少なくとも一つの化合物と、TREM−1リガンドに対するその化合物の結合を検出するための試薬を含むキットを提供する。
【0056】
別の実施例は、TREM−1リガンドの核酸に特異的な一つ以上のオリゴヌクレオチドプローブまたはオリゴヌクレオチドプライマーと、そのプローブとプライマーによってTREM−1リガンドの核酸を検出するための試薬を含むキットを提供する。
【0057】
さらなる実施例は、TREM−1リガンドを結合できる少なくとも一つの化合物又はTREM−1リガンドの核酸に特異的な一つ以上のヌクレオチドプローブ若しくはプライマーと、その化合物、プローブ、又はプライマーをそのリガンドもしくはTREM−1リガンドの核酸を含有するサンプルと、接触するための手段を含むキットを提供する。
【0058】
TREM−1リガンドを結合する化合物に基づくキットにおいて、キットは、例えば、(1)TREM−1リガンドに結合する結合化合物(例えば、固体の支持体に付加される)、(2)第二に、TREM−1リガンドまたは第一の結合化合物のいずれかに結合し、検出剤に対して接合する、例えば、抗体などの異なる結合化合物を含むことができる。
【0059】
オリゴヌクレオチドに基づくキットにおいて、キットは、(1)TREM−1リガンドの核酸シークエンスに対してハイブリダイズする、例えば、検出可能な標識オリゴヌクレオチドなどのオリゴヌクレオチドか、(2)TREM−1リガンドの核酸分子を増幅するために有用なプライマーのペアを含むことができる。また、キットは、例えば、緩衝剤、保存剤またはタンパク質安定剤を含むことができる。キットはさらに、検出剤を検出するために必要な組成物(例えば、酵素又は基質)を含むことができる。キットはまた、分析されることができ、含まれる試験サンプルと比較可能なコントロールサンプル又は一連のコントロールサンプルを含むことができる。キットの各組成物は、通常は、サンプルが細菌性若しくは菌類の敗血症であるか、または進展する危険にあるかの被験体を決定するための仕様書を伴って、個々の容器内に包含される。
【0060】
前述で記載したように、「TREM−1レセプターから派生したポリペプチド」はTREM−1リガンドを結合できる化合物として機能できる。本発明のこの好ましい実施態様において、TREM−1リガンドを結合できる化合物は、cDNAシークエンスが[SEQ ID NO:1]で与えられるヒトTREM−1レセプター(骨髄細胞に発現されるレセプターを生じる)の核酸又はアミノ酸シークエンスに由来する。TREM−1レセプターは、ヒトの骨髄細胞で発現され、免疫グロブリンスーパーファミリー(Ig-SF)の貫膜タンパク質である。TREM−1レセプターは、[SEQ ID NO:2]のアミノ酸配列を有する貫膜糖タンパク質であり、血液好中球および単球のサブセットに選択的に発現され、リンパ球および他の細胞のタイプには発現しない。
【0061】
したがって、本発明は、分離または組換え体として調製されたTREMタンパク質、ポリペプチド若しくは断片、相同物、派生物、または本明細書で定義されるように「TREM−1レセプターから派生したポリペプチド」としての異型を包含する。さらに、この発明は、本発明の「TREM−1レセプターから派生したポリペプチド」をコード化する核酸分子を包含し、cDNA、ゲノムDNA及びRNAを含む。
【0062】
下記のTREM−1レセプターから派生したポリペプチドの記載において、「TREM−1リガンドを結合することができる化合物」の定義に従って、このように本発明によって提供される「TREM−1レセプターから派生したポリペプチド」は、主に、好ましくは特にTREM−1リガンドを結合する。
【0063】
したがって、TREM−1レセプターから派生したポリペプチドは、[SEQ ID NO:1]のヌクレオチドシークエンスに対して約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%若しくは98%同一であるヌクレオチドシークエンスを含むか、当該ヌクレオチドシークエンスで構成される核酸分子か、その相補、[SEQ ID NO:1]のヌクレオチドシークエンスの約25、30、35、40、45、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850あるいはそれ以上の隣接するヌクレオチドを含むか、当該ヌクレオチドで構成される分離された核酸分子、または、その相補によってエンコードできる。
【0064】
TREM−1レセプターから派生したポリペプチドは、[SEQ ID NO:2]のアミノ酸配列に対して少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%若しくは98%同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質をエンコードするヌクレオチドシークエンス、断片、相同物、派生物、またはそのタンパク質の異型、あるいはその核酸分子の相補によってエンコードできる。
【0065】
TREM−1レセプターから派生したポリペプチドは、[SEQ ID NO:2]の少なくとも約10、15、20、25、30、50、75、100、125、150、175、200、225、230若しくはそれ以上の隣接するアミノ酸を含むか、当該アミノ酸で構成されるアミノ酸配列を有するタンパク質をエンコードするヌクレオチドシークエンス、断片、相同物、派生物、またはそのタンパク質の異型、あるいはその核酸分子の相補によってエンコードできる。
【0066】
さらに、TREM−1レセプターから派生したポリペプチドは、[SEQ ID NO:2]のアミノ酸配列に対して少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%若しくは98%同一であるアミノ酸配列、断片、相同物、派生物、若しくはその異型を含むポリペプチドまたはタンパク質となることができ、[SEQ ID NO:2]の少なくとも約10、15、20、25、30、50、75、100、125、150、175、200、225、230若しくはそれ以上の隣接するアミノ酸を含むか、当該アミノ酸で構成されるアミノ酸配列、断片、相同物、派生物、若しくはその異型を含むポリペプチドまたはタンパク質となり得る。上の記載に従って、TREM−1レセプターのそのような断片、相同物、派生物または異型は、TREM−1リガンドを結合する性能または能力を保持する。
【0067】
用語「相同物」、特に、ここで使用される「TREM−1レセプター相同物」は、TREM−1リガンドを結合する性能または能力を有し、ここで定義される充分なアミノ酸またはヌクレオチドシークエンスの同一性を有する、任意の一連のペプチドまたは核酸分子を意味する。TREM−1レセプター相同物は、同一種または異なる種の動物のいずれでもよい。
【0068】
ここで使用される用語「異型」は、与えられたペプチドの自然に生じるアレリックバリエーション又は与えられたペプチド若しくはタンパク質の組換え体として調製されたバリエーションのいずれかを意味し、それは、一つ以上のアミノ酸残基がアミノ酸の置換、付加、あるいは欠如によって修飾されている。
【0069】
本明細書で使用する用語「派生物」は、修飾、つまり、人工的に生じるアミノ酸を含むペプチド又はタンパク質に対して、好ましくは生物活性を有する任意のタイプの分子の共有結合により与えられたペプチド又はタンパク質の異型を意味する。
【0070】
ヒトのTREM−1レセプターのcDNAは、884塩基長(図11;[SEQ ID NO:1])であり、TREM−1レセプターのオープンリーディングフレームは、図12[SEQ ID NO:2]に示される234アミノ酸配列からなる貫膜タンパクをエンコードする[SEQ ID NO:1]の48から752までのヌクレオチドである。図12[SEQ ID NO:2]に示されるように、TREM−1の演繹されたアミノ酸配列は、単一のIg−SF領域から構成される細胞外領域によって続く[SEQ ID NO:2]のアミノ酸残基1から16([SEQ ID NO:3])の疎水性の信号ペプチドによって開始され、[SEQ ID NO:2]のアミノ酸残基17乃至200([SEQ ID NO:4])を包含し、これは、[SEQ ID NO:2]のアミノ酸残基146乃至149(Asn-Ser-Thr-Gln[SEQ ID NO:5])、[SEQ ID NO:2]の190乃至193(Asn−Ser−Thr−Gln;[SEQ ID NO:6])及び[SEQ ID NO:2]の193乃至196(Asn−Val−Thr−Asp;[SEQ ID NO:7])の3つの潜在的N-グリコシル化部位と、共通配列、Leu-Xaa-Val-Xaa-Cys-Xaa-Tyr([SEQ ID NO:2]の位置37-43、Xaaは任意のアミノ酸を示す)とIg-SF−V-タイプホールドの鎖間ジスルフィド架橋が特徴のAsp-Xaa-Gly-Xaa-Tyr-Xaa-Cys([SEQ ID NO:2]の位置107−113)を含む。推定の貫膜領域は、[SEQ ID NO:2]のアミノ酸残基201から229([SEQ ID NO:8])で開始し、217位置の荷電したリジン残基を含む。その細胞質の尾部は、5つのアミノ酸残基([SEQ ID NO:9])から構成され、シグナリングモティーフ(signaling motifs)を含まないように見える。
【0071】
本明細書で使用される「シグナルシークエンス」又は「シグナルペプチド」は、分泌性又は膜境界タンパク質のN末端で生じる、少なくとも約10乃至40のアミノ酸残基のペプチドを意味し、アラニン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、チロシン、トリプトファン又はバリンなどの少なくとも約50乃至75%の疎水性アミノ酸残基を含む。シグナルシークエンスは、脂質二分子層にこのようなシークエンスを含むタンパク質を導くのに役立つ。シグナルシークエンスは、通常、タンパク質の成熟過程において切断される。このように、本発明はまた、このようなシグナルペプチドの裂開から生じる領域と成熟したタンパク質の使用を含む。
【0072】
したがって、成熟したTREMは、一つ以上の下記の領域を含み、それらは、(1)少なくとも一つのIg−SF領域を含む細胞外領域、(2)貫膜領域及び(3)細胞質領域である。
【0073】
したがって、一つの実施態様では、本発明で用いるTREM−1レセプターから派生したポリペプチドは、[SEQ ID NO:2]のアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、本発明のTREM−1レセプターから派生したポリペプチドは、シグナルペプチドを含まず、[SEQ ID NO:2]のアミノ酸残基17から234([SEQ ID NO:10])を含む成熟したポリペプチドである。別の態様において、本発明のTREM−1レセプターから派生したポリペプチドは、[SEQ ID NO:2]のアミノ酸残基1から16が遺伝子工学的にヘテロなシグナルペプチドに置換されること以外は、[SEQ ID NO:2]のアミノ酸配列を含む。
【0074】
特定の好ましい実施態様において、本発明で用いるTREM−1レセプターから派生したポリペプチドは、[SEQ ID NO:2]のアミノ酸残基17から200([SEQ ID NO:4])を含む細胞外領域を含む。他の実施態様において、本発明のTREM−1レセプターから派生したポリペプチドは、[SEQ ID NO:2]のアミノ酸残基201から229([SEQ ID NO:8])を含む貫膜領域を含む。
【0075】
さらに、本発明で用いるTREM−1レセプターから派生したポリペプチドは、[SEQ ID NO:2]のアミノ酸残基230から234([SEQ ID NO:9])を含む細胞質領域を含む。
【0076】
好ましい実施態様において、本発明で用いるTREM−1レセプターから派生したポリペプチドは、TREM−1リガンドの結合を表す[SEQ ID NO:2]の断片を含む。そのような断片は、[SEQ ID NO:2]のアミノ酸残基17から200([SEQ ID NO:4])を含む細胞外領域から派生する。
【0077】
上記のTREM−1レセプターから派生した核酸分子及びポリペプチドに加えて、本発明の使用に最適な他のポリペプチド又は核酸分子は、TREM−1リガンド又はTREM−1リガンドの核酸を結合する(又は結合するポリペプチドを表す)能力を有するポリペプチド及び核酸分子である。例えば、それらは同一種又は異なる種の動物のいずれかの相同性のTREM−1レセプターとなり得る。それら動物は、好ましくは哺乳類であり、より好ましくはマウス[SEQ ID NO:11]及びラットなどのげっ歯類であり、最も好ましくはヒトである。
【0078】
相同性のTREM−1レセプターの核酸分子(つまり、[SEQ ID NO:1])は、ハイブリダイゼーションプローブとしてヒトのcDNAまたはそれの部分を使用して本明細書で定義されるように、ストリンジェントまたは適度なストリンジェント条件下で標準のハイブリダイゼーション技術によって、本明細書に開示されたヒトの核酸分子に相同して近似のヌクレオチドシークエンスに基づいて分離できる。
【0079】
別の態様において、TREM−1レセプターから派生したポリペプチドの異型は、本発明の方法で使用でき、その方法において、ポリペプチドの生物学的活性の増幅もしくは減少するか、またはTEM−1リガンドを結合する性能若しくは能力を維持するか保持する一方で、そのポリペプチドの局所的な構造を変化するために、アミノ酸配列が遺伝子工学的に改変される。そのような修飾は、アミノ酸の置換、欠損及び/又は挿入を含む。アミノ酸の修飾は任意の既知の方法によってなすことができ、様々な方法は当業者において利用可能である。
【0080】
例えば、突然変異は、下記に限定しないが、修飾される与えられたポリペプチドのシークエンス内に一つ以上の修飾を有するオリゴヌクレオチドの合成を含む任意の既知の技術にしたがって実行されてよい。シークエンスの異型を得るために使用される突然変異の例は、部位に特異的な突然変異、PCRが介在する突然変異、ヒドロキシルアミンなどの突然変異剤での処理を含む。
【0081】
好ましくは、修飾されるアミノ酸残基は、表面が露出した残基である。加えて、アミノ酸の置換において、好ましくは、置換されるアミノ酸残基は、保守的なアミノ酸の置換であり、例えば、極残基が極残基で置換され、親水性残基が親水性残基で置換され、疎水性残基が疎水性残基で置換され、正荷電残基が正荷電残基で置換され、または負荷電残基が負荷電残基で置換される。さらに、好ましくは、修飾されるアミノ酸残基は、種全体において、保存性が高いか完全ではなく、および/または、タンパク質の生物学的活性を維持するために重要である。
【0082】
したがって、活性にきわめて重大でないアミノ酸修飾を含むTREM−1レセプターから派生したポリペプチドをエンコードする核酸分子は、本発明で用いるのに適切である。このようにして、分離されたTREM−1レセプターから派生した核酸分子は、TREM−1リガンドを結合する性能を有する[SEQ ID NO:2または4]のアミノ酸配列に対して少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%若しくは98%相同する、アミノ酸配列を有するポリペプチドをエンコードするヌクレオチドシークエンスとなり得る。
【0083】
さらに、本発明はまた、本発明のTREM−1レセプターから派生したポリペプチドの派生物を含む。例えば、制限されないが、派生物は、例えば、糖鎖形成、アセチル化、ぺグリレーション(pegylation)、リン酸化、アミド化、周知の保護/ブロッキング・グループによる誘導体化、タンパク質分解裂開、細胞リガンドまたは他のタンパク質に対する結合などの修飾されるペプチドまたはタンパク質を含んでよい。多数の化学的な修飾は、下記に限定しないが、特定の化学的切断、アセチル化、ホルミル化などを含む周知の技術によって実行されてよい。加えて、派生物は一つ以上の古典的でないアミノ酸を含んでよい。
【0084】
TREM−1レセプターから派生したポリペプチドは、宿主細胞で核酸の発現に適した形態のTREM−1レセプターから派生したポリペプチドをエンコードする核酸を含む、周知な組換えの発現ベクターによってエンコードされ、発現できる。
【0085】
多様な宿主ベクターシステムは、タンパク質をコード化するシークエンスを発現するように、本発明で活用されてよい。それらは、下記に限定されないが、バクテリオファージと形質転換したバクテリア、DNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA;酵母ベクターを含む酵母などの微生物;ウィルス(例えば、バクロウィルス)に感染している昆虫細胞システム;又は、ウィルス(例えば、痘疹ウィルス、アデノウィルス、その他)に感染している哺乳類の細胞システムを含む。ベクターの発現要素は、それらベクターの強さと特性において異なる。活用される宿主のベクターシステムに依存して、多くの適切な転写および翻訳要素のいかなるものが、使用されてよい。あるいは、組換えの発現ベクターは、例えば、T7プロモーター調節シークエンスとT7酵素を使用して、in vitroで転写および翻訳できる。
【0086】
本発明の特定の実施態様において、TREM−1レセプターから派生したポリペプチドは、生物活性分子及びTREM−1レセプターの一つ以上の領域またはその断片を含む融合タンパク質となり得る。特に、本発明は、TREM−1レセプターの一つ以上の領域またはその断片に対して、組換え融合又は化学的に接合(共有接合及び非共有接合の両接合を含む)される生物活性分子(例えば、リポータ部位または付加的な結合部位として安定性、可溶性または作用を与える)を含む融合タンパク質を提供する。
【0087】
このようにして、さらに本発明は融合タンパク質を包含し、本発明のTREM−1レセプターから派生したポリペプチド又はその断片は、融合タンパク質を合成するために、ヘテロなポリペプチド(つまり、好ましくは、ポリペプチドの少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90あるいは少なくとも100のアミノ酸が関連しないポリペプチド若しくはその一部)に対して組換え融合されるか、又は化学的に接合(共有接合及び非共有接合の両接合を含む)される。融合は、必ずしも直接的に必要とされるわけではなく、リンカーシークエンスによって生じてよい。
【0088】
一つの実施態様において、融合タンパク質は、本発明のTREM−1レセプターから派生したポリペプチド又はその断片が、様々なタイプの免疫グロブリンから派生するシークエンスに対して融合できる。例えば、本発明のTREM−1レセプターから派生したポリペプチドは、in vitro及びin vivoで、融合したポリペプチドまたはその断片をより可溶性で安定するために、例えば、本明細書の実施例1及び2に記載のように、IgG1又はIgM分子(ヒト若しくはネズミ)の定常領域(例えば、ヒンジ、CH2及びCH3領域)に対して融合できる。
【0089】
特定のTREM−1レセプターから派生したポリペプチドが実施例3に記載され、この実施例3で、TREM−1レセプターの細胞外部分とヒトIgG1の定常領域との間の融合タンパク質(TREM−1レセプター−ヒトIgG1)は、TREM−1リガンドのレベルを検出するために使用される。
【0090】
一つの態様において、融合タンパク質は、N末端でヘテロなシグナルシークエンスと融合する本発明のTREM−1レセプターから派生したポリペプチドを含む。例えば、本発明のポリペプチドに自然に見られるシグナルシークエンスは、ヘテロなオリジンから由来するシグナルシークエンスによって置換できる。様々なシグナルシークエンスは、市販されており入手可能である。例えば、メリチンおよびヒトの胎盤アルカリホスファターゼの分泌シークエンス(米国カリフォルニア州、LaJolla、ストラタジーン社)は、真核生物のヘテロなシグナルシークエンスとして利用可能である。原核細胞のヘテロなシグナルシークエンスの実施例として、phoA分泌シグナル(Sambrook, et al., supra; and Current Protocols in Molecular Biology, 1992, Ausubel, et al., eds., John Wiley & Sons)及びプロテインA分泌シグナル(米国ニュージャージー州、ピスカタウェイ、ファルマシアバイオテク社)が列記できる。他の実施例は、のバクロウィルスエンベロープ・タンパク質のgp67分泌シークエンス(Current Protocols in Molecular Biology, 1992, Ausubel, et al., eds., John Wiley & Sons)である。
【0091】
別の実施態様において、本発明のTREM−1レセプターから派生したポリペプチドは、タグシークエンス、例えば、タグがpQEベクター(QIAGEN, Inc., 9259 Eton Avenue, Chatsworth, CA, 91311)に提供されたようなヘキサ−ヒスチジンペプチド、又はインフルエンザ血球凝集素タンパク質から派生するエピトープに対応する、血球凝集素“HA”タグ(Wilson, et al., 1984, Cell 37:767)及び“flag”タグ(Knappik, et al., 1994, Biotechniques 17(4):754-761)に融合できる。市販されており入手可能な多くのタグの中でも、これらのタグは、組換え生成されたTREM−1レセプターから派生したポリペプチドの精製において、特に有用である。
【0092】
融合タンパク質は、標準の組換えDNA技術によるか、又は、例えば、タンパク質合成機による、タンパク質合成技術によって生成できる。一旦、本発明の融合タンパク質が組換え発現によって生成されると、タンパク質精製のために、任意の周知の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特に、特定の抗体における親和性、サイズによるカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、異なる可溶性、または、タンパク質精製のための任意の他の標準的な技術によって精製されてよい。
【0093】
また、本発明の態様は、被験者の複数の診断のフレームワークにおいて適用されることができる。例えば、複数の疾病において患者からの組織サンプルで複数の診断検査を行なう、患者の疾病に対する有無をスクリーニングする方法において、本発明は改善を提供し、ここで一つの診断検査は、TREM−1リガンド又はTREM−1リガンドの核酸のレベルの測定を含む。
【0094】
上記した本発明の様々な態様及び実施例はさらに、下記に適用される。それらは、細菌性又は菌類の敗血症を検出するための診断手段;そのような診断手段を含む診断キット、細菌性又は菌類の敗血症において個体をスクリーニングするステップを含む感染の処置方法、この方法において、敗血症は、個体からのサンプルのTREM−1リガンドまたはTREM−1リガンドの核酸のレベルと相関しており、敗血症が同定された場合、感染症を予防するか、または抑制するために個体を治療する;敗血症を検出するための手段の製造において、TREM−1リガンドを結合できる化合物の使用である。
【0095】
本明細書で引用される特許文献、特許出願公開公報、文献を含む全ての刊行物は、限定しないが、各個々の刊行物が、すべて本明細書に記載されるように参照として組み込まれて特定して個々に示されるように、本明細書に参照によって組み込まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0096】
本発明の各々の態様の好適な特徴は、必要な変更を加えて、各々の他の態様に適用できる。
【0097】
本発明は、添付図に関して、以下の制限しない実施例に関して記載される。
【0098】
図1は腹膜炎誘発性敗血症(CLP)のモデルマウスの概略を示す。C57BL/6マウスは麻酔され、盲端は腹部正中線切開によって露出して、G23針の単一穴による端部から半分で50-80%のライゲーションを受けた。少量のスツールは、開通を確実にするために、穴から放出された。次いで、盲端は腹膜空腔にされ、開腹は層において閉じた。CLPの後の生存は、少なくとも7日間において、1日につき4-6回評価された。
【0099】
図2は、通常と敗血症のマウスのネズミTREM−1リガンドの図を示す。パネルA)は、全血染色である。全血細胞は、ネズミTREM−1レセプター/IgG蛍光四量体およびLy-6G(上部のプロット線)または人間のIgG蛍光四量体およびLy-6G(底のプロット線)によって二重染色された。1匹の代表的なコントロールマウスおよび1匹の敗血症(CLP)マウスの二倍の陽性群の頻度が示される。Panel B)は、腹膜細胞染色である。通常であるか敗血症の(CLP)マウスの腹膜空腔の細胞は、ネズミTREM−1レセプター/IgGまたはヒトTREM−1レセプター/IgMで染色された。代表的なコントロールマウスのLy-6G陽性、ネズミTREM−1レセプター/IgG陽性細胞の全体の頻度は、代表的な敗血症(CLP)マウスに由来する腹膜細胞において検出された35%と比較した8.8%である。棒グラフ図面は、細胞サブセットを表している低いLy-6G(コントロールマウスの40%および敗血症マウスの77%)と高いLy-6G(敗血症マウスの33%)の二倍の陽性群の頻度を示す。
【0100】
図3は敗血症マウスの腹膜顆粒白血球上のTREM−1リガンドの発現の時間の経過を示す。細胞は、CLP誘導の後、異なる時間(30分、3時間、6時間)に敗血症(CLP)マウスの腹膜洗浄及び全血から回復されて、次いで、Ly-6G-PE及びmTREM−1レセプター/IgG-四量体Alexa 488で染色された。パネルAは、敗血症マウスのゲートLy-6Gの陽性細胞群内でmTREM−1レセプター-IgG-四量体陽細胞のパーセンテージを示しているヒストグラムのプロットを示す。パネルBは、敗血症マウスの腹膜洗浄及び全血のTREM−1リガンドの発現の経過を示す。
【0101】
図4は、TREM−1リガンドが敗血症患者から末梢好中球に発現されることを示し、可溶なhuTREM-1/IgMで投与に依存して染色する。敗血症患者の末梢血から分離される好中球は、huTREM-1/IgMの異なる濃度:0.2、0.5、1μg/mlによって染色された。ヒストグラムプロットは、TREM−1リガンドの発現を急性及び回復時の1人の代表的な敗血症患者において表す。
【0102】
図5は、敗血症患者の末梢好中球でのTREM−1リガンドの発現を示す。ヒストグラムプロットは、試験に含まれる12人の個々の敗血症患者のTREM−1リガンドの発現を表す。本願明細書において記載される末梢血液から分離される好中球は、huTREM-1/IgMによって染色されて、急性疾患時及び回復後に、フローサイトメトリー(空のヒストグラム)によって分析された。患者が感染性ショックで死んだので、血液サンプルが利用できるようにされなかった2人の患者には第2の時間位置が欠けている。満たされたヒストグラムは、コントロールIgMでの染色を表す。
【0103】
図6は、敗血症(中心高体温)を伴わない全身性炎症反応症候群(SIRS)の代表的な患者のTREM−1リガンドの発現を示す。末梢血好中球は、図5までに説明したように、分析された。
【0104】
図7は、非感染性起源の敗血症およびSIRS患者の末梢血好中球でのTREM−1リガンド発現を示す。TREM−1リガンド発現の個々のデータが報告される。データは、huTREM−1レセプター/IgMで染色される細胞の幾何平均蛍光と、コントロールIgM染色される細胞の幾何平均蛍光との間の比率として報告される。統計学的に重要な差異は、急性の敗血症と回復の敗血症との間(p<0.0001)で、敗血症とSIRSとの間(p<0.0001)で観察された。敗血症グループも、健康な対照群(p<0.001)と著しく異なる。統計分析は、クラスカル-ウォリス試験によって実行された。
【0105】
図8は、敗血症患者の末梢血好中球でのTREM−1リガンドの発現の時間経過を示す。急性及び回復時の敗血症患者のTREM−1リガンドの幾何学的平均蛍光(Geometric Mean Fluorescence(GMF))が報告される。患者が死去して第2サンプルが利用できなかったそれらの2つのケース以外で、TREM−1リガンドのダウンレギュレーションは、分析される全ての敗血症の患者において観察される。
【0106】
図9は、TREM−1レセプターおよびTREM−1リガンドがヒト敗血症及びCLPマウスの好中球の異なるサブセットによって発現されることを示す。TREM−1リガンドのパネルA)の発現は、抗ヒトCD15 MAbおよびhuTREM-1/IgMでの二重染色によって、敗血症の患者(末梢のpmn、敗血症患者)の末梢好中球で評価された。ドットプロットは、CD15陽性細胞の2つの異なるサブセットが敗血症の患者において区別されることができることを示す:低いCD15および高いCD15の発現細胞。ヒストグラムプロットは、2つのサブセットのTREM−1リガンドの発現細胞のパーセンテージを示す。TREM−1リガンドの発現細胞の大多数は、CD15の低いサブセット(38%)で見られ、その一方で、かろうじて、細胞はCD15の高いサブセットに存在しない。TREM−1リガンドのパネルB)の発現は、抗マウスLy-6GおよびmTREM−1レセプター/IgGでの二重染色によって、CLPマウス(CLP腹膜洗浄)の末梢好中球にて評価された。ドットプロットは、Ly-6Gの陽性細胞の2つの異なるサブセットがCLPマウスにおいて区別されることができることを示す:低いLy-6Gおよび高いLy-6Gの発現細胞。ヒストグラムプロットは、2つのサブセットのTREM−1リガンドの発現細胞のパーセンテージを示す。TREM−1リガンドの発現細胞の大多数は、Ly-6Gの低いサブセット(33%)で見られ、その一方で、かろうじて、細胞はLy-6Gの高いサブセットに存在しない。
【0107】
図10は、TREM−1リガンド発現のin vitroの誘導を示す。敗血症の患者の血液培養からのグラム陽性でグラム陰性バクテリアの全天然抽出物での健常な提供者からの全血のin vitroの刺激。本願明細書において記載されるように、代表的な健常な提供者からの全血が16時間において刺激されて、細胞は、huTREM−1レセプター/IgMで染色されて、フローサイトメトリーによって分析された。細胞は、フィジカルパラメータ(physical parameters)(SSC、横の散乱およびFSC、前方散乱)に基づいてゲートされた。パネルAのヒストグラムプロットは、顆粒白血球(高SSC)の分析を表す。パネルBのヒストグラムプロットは、リンパ球(低SSC)の分析を表す。
【0108】
図11は、ヒトTREM−1レセプター cDNA[SEQ ID NO:1]を示す。
【0109】
図12は、ヒトTREM−1レセプターのアミノ酸配列[SEQ ID NO:2]を示す。
【0110】
図13は、ヒトTREM−1レセプター(シグナルペプチド)アミノ酸配列[SEQ ID NO:3]を示す。
【0111】
図14は、ヒトTREM−1レセプター(細胞外領域)アミノ酸配列[SEQ ID NO:4]を示す。
【0112】
図15は、ヒトTREM−1レセプター(N-グリコシル化部位)アミノ酸配列[SEQ ID NO:5]、ヒトTREM−1レセプター(N-グリコシル化部位)アミノ酸配列[SEQ ID NO:6、7及び8]並びにヒトTREM−1レセプター(細胞質の尾部)アミノ酸配列[SEQ ID NO:9]を示す。
【0113】
図16は、ヒトTREM−1レセプター(成熟タンパク質)アミノ酸配列[SEQ ID NO:10]を示す。
【0114】
図17は、ネズミTREM−1レセプター cDNA配列[SEQ ID NO:11](Genbank Accession No. NM_021406)を示す。
【0115】
図18は、TREM-1-四量体構造体で実行される免疫蛍光検査染色を示す。簡潔には、Fc尾部またはmTrem1/IgG(マウスTREM-1/IgG Fc定常部融合タンパク質)は、室温で30分間において4:1のモル比率で、Protein A FITCによってインキュベーションされる。反応は、室温で15分間においてヒトIgGによって妨げられる。複合体は、サンプルに転換されて、氷上で1時間インキュベーションされる。顆粒白血球は洗浄され、抗GR-1 PEで対比染色される。
【0116】
図19は、サブトラクションのためのcDNAの調製を示す。mRNAは、Microfast-Track(登録商標)(インビトロジェン)を使用して分離される。cDNAが、取扱説明書に従い、SMART(登録商標)PCR Synthesis kit (BD Bioscience Clontech)を使用して合成されて増幅される。次いで、増幅されたcDNAは、SMARTTM(登録商標) PCR cDNA Synthesis kit and the PCR-SelectTM(登録商標)cDNA Subtraction kitの両キットを使用して取扱説明書にしたがって、サブトラクションのために調製される。簡潔には、cDNAは、RsaIによって消化されて、精製される。異なるアダプターは、ターゲットcDNAの分離された群の端にライゲーションされる。レーン1 =分子量マーカー;レーン2 =テスター、レーン3 =サブトラクトされたもの;レーン4 =ドライバ。
【0117】
図20は、サブトラクトされたものとサブトラクトされない群の両者におけるマウスβアクチンのリアルタイムPCRを示す。
【0118】
図21はTREM−1リガンド陽性であり、図22はTREM−1リガンド陰性である。実施例4にて説明したように、サブトラクトされないかサブトラクトされたcDNAから32Pプローブを使用して実行されるライブラリーのスクリーニングを示す。実線の四角は、通常のマウス以外、CLPマウスにおいて発現された遺伝子を表し、点線の四角は、CLPマウス以外、通常のマウスにおいて発現された遺伝子である。
【実施例】
【0119】
実施例1:TREM−1リガンドは敗血症のマウスの好中球で発現される。
【0120】
方法
ネズミTREM−1レセプター/ヒトIgG融合タンパク質の合成
可溶性の融合タンパク質としてネズミTREM−1レセプター(mTREM−1レセプター)[SEQ ID NO:11]を合成するために、mTREM−1レセプター細胞外領域(GenBank登録番号NM_021406)およびヒトIgG定常部からなるキメラ遺伝子は、
[外1]

に記載のように調製できるプラスミドpHT4−Y1から派生するプラスミドpCD4(Traunecker et al., 1991, Trends Biotechnol., 9:109)を使用して構成された。mTREM−1レセプター細胞外領域をエンコードしているcDNA断片は、クローニングされたプラスミドDNAからPCRによって増幅された。フォワードプライマー(TAGTAGAAGCTTATACTTACCGTCAGCATCTGTCCCATTTAT)[SEQ ID NO:12]は、HindIII制限部位及びTREM−1開始コドンを含む。リバースプライマー(TAGTAGGAATTCAGGATGAGGAAGGCTGGG)[SEQ ID NO:13]は、EcoR1制限部位を設けた。640bpまでのPCR産物は、HindIIIとEcoRIで切断され、ヒンジ、CH2および人間のlgGのCH3領域のためのエキソン、mycophenolic酸に対する抵抗を与えているグアノシン・ホスホトランスフェラーゼ遺伝子およびマウス骨髄腫細胞系J558Lの表現のためのkプロモーターを含んでいる発現ベクターを含む発現ベクターにライゲーションされた。形質転換、培養上澄みのスクリーニング及びmTREM−1レセプター-IgGの精製が記載のように実行された(Bouchon et al., Nature 410: 1103, 2001)。
【0121】
mTREM−1レセプター/IgG融合タンパク質の定量
精製されたネズミIgG融合タンパク質は、streptavidin-HRPにしたがって、mTREM−1レセプター(50D1、ネズミIgG1、κ)に対して捕獲タンパク質および特定のビオチン化されたmAbとして抗ヒトIgGを使用するELISAによって、特に、滴定濃度および機能性において検定された。精製されたヒトIgG融合タンパク質のイムノブロット分析で、免疫反応性の1つのバンドだけが現れた。
【0122】
腹膜炎誘発性敗血症(CLP)
CLPは、既に記載のように実行された(図1)。要約すると、C57BL/6マウスは、0.2mlの発熱物質を含まない食塩水(B. Braun Melsungen AG, Melsungen, Germany)での75mg/kg Ketanest(登録)(Parke Davies & Company, Munich, Germany)及び16mg/kg Rompun(登録)(Bayer AG, Leverkusen, Germany)の腹膜投与によって麻酔された。盲端は、1.0-1.5cmの腹部正中線切開によって露出して、G23針の単一穴による端部から半分の50-80%のライゲーションを受けた。少量のスツールは、開通を確実にするために、穴から放出された。次いで、盲端は腹膜空腔にされ、開腹は5/0 Proleneスレッド(Ethicon, Norderstedt, Germany)で層に閉じた。1mgのmTREM−1レセプター-IgG1または1mgのhuIgG1、k(シグマ)を含んでいる無菌の500μlの食塩水が、CLP.の直後に腹膜内に注入された。CLPは、治療群の正体に対し盲目で実行された。CLPの後の生存は、少なくとも7日間において、1日につき4-6回評価された。
【0123】
血液および腹膜洗浄流体の分析
血液(250μl)は、CLPの誘導の後、異なる時間位置でSerum Separator Tube(べクトンディキンソン)に、マウスの尾部静脈から集められた。腹膜洗浄細胞は、CLP誘導の後、異なる時間位置で収集された。総細胞数はコールター・カウンタで決定され、異なるカウントはギムザ及びメイのGruenwald溶液(シグマ)で染色されるサイトスピン調製の標準の形態的な基準に従って実行された。腹膜洗浄のためのサンプルにつき3分野について、最低200の細胞が分野ごとに計数された。
【0124】
通常と敗血症のマウスのネズミTREM−1リガンドの視覚化
全血染色のために、通常のマウス(右側のプロット線)および敗血症のマウス(左のプロット線)から1:2に希釈された150μlの血液は、室温で20分間においてFc III/IIブロックMabとインキュベーションされた。さらに、血液細胞は、mTREM−1レセプター/IgG(上のプロット線)およびHuIgG(底のプロット線)蛍光四量体の8μg/サンプルで染色された。要約すると、ネズミTREM−1レセプター-IgGの32μgまたはコントロールとしてのヒトIgGは、Protein A Alexa 488(Molecular Probes)と共に4:1のモル比にて暗所においてPBS/BSA0.5%のバッファーで室温、30分間複合された。完全にタンパク質Aの非特異的な結合部位をブロックするために、サンプルにつき更なる2μgのhuIgGがある場合には、多量体染色は、氷上で1時間において150μlのPBS/BSAバッファーにて実行された。サンプルはPBS/BSAで2回洗浄され、さらに抗Ly−6G−PE抗体で染色された。細胞蛍光定量的な分析によってサンプルを分析する前に、赤血球は、BD溶解溶液を使用して結局のところ溶解された。通常またはCLP治療をうけているマウスの腹膜空腔から取り戻される細胞は、室温で、20分間の抗FcγIII/II MAb(10μg/ml)(Pharmingen)によってブロックされた。細胞は、mTREM−1レセプター/IgGまたはhuTREM−1レセプター/IgMの上澄み(融合タンパク質濃度>40μg/ml)でサンプルにつき1mlが氷上で20分間さらに染色された。洗浄後、サンプルは、標準の染色条件下で抗ヒトIgG−PE及び抗Ly−6G−FITC抗体でインキュベーションされ、次いで、細胞蛍光定量的な分析を受けた。
【0125】
結果
ネズミTREM−1のためのリガンドは、腹膜炎誘発性敗血症(CLP)(図1)の敗血症条件下でアップレギュレートされた。2つの異なる染色アプローチ、mTREM−1−レセプター/IgG四量体(パネルA)及びモノマー(パネルB)、を使用することによって、我々は、細胞の表面にリガンドの存在を示す、mTREM−1レセプター融合タンパク質と特異的に結合する、細胞を検出した(図2)。染色は、特に敗血症のマウスの腹膜空腔から得られる好中球に明らかである。また、敗血症のマウスと比較したより低い範囲以外、ほとんどTREM−1リガンドの陽性は、通常の非敗血症の状況で存在するように見えない。ヒトTREM−1融合タンパク質はネズミ細胞を染色せず、同じ染色条件下でネガティブコントロールとして使用される。図3に示されるように、TREM−1リガンド発現は、CLP誘導の後、3乃至6時間において敗血症のマウスから腹膜細胞でアップレギュレートされるように見える。敗血症のマウスの血液から分離される細胞のTREM−1リガンド発現の動力学はCLP誘導後、6時間からより遅く、2%のLy-6Gの陽性の細胞だけがTREM−1リガンドを表す。しかしながら、TREM−1リガンドは、CLP誘導の15時間後に敗血症のマウスの血液から分離される細胞において、良好に検出される。
【0126】
実施例2:TREM−1−リガンドは敗血症ショックの患者の循環好中球に発現される
方法
ヒトTREM−1レセプター/ヒトIgM融合タンパク質の合成
可溶性の融合タンパク質としてヒトTREM−1−レセプター(huTREM−1)を合成するために、huTREM−1(GenBank accession number AF196329)細胞外領域[SEQ ID NO:6]をエンコードするcDNA断片が、フォワードプライマー(TAGTAGGAGCTCACAGGAAGGATGAGGAAGACCAGGCTC)[SEQ ID NO:14]、ブラントのリバースプライマー(AAGCTTATACTTACCCCTGATGATATCTGTCACATTTGT)[SEQ ID NO:15]でPCRによって増幅され、ヒトIgMのヒンジ、CH2及びCH3領域のエクソンを含む発現ベクターにクローニングされた。このベクターは、Traunecker, Luke and Karjalainen in Nature 331, 84-86 (1988)及びEP0394827によってすでに記載されたように調製できるプラスミドpHT4−Y1から派生されるプラスミドpCD4(Traunecker et al., 1991, Trends Biotechnol., 9:109)から派生される。マウス骨髄腫細胞系J558Lへのキメラ遺伝子のトランスフェクション、培養上清のスクリーニング及びhuTREM-1/IgMの精製は、前述したように実行された(Traunecker et al., 1991, Trends Biotechnol., 9:109)。
【0127】
ヒトTREM-1/ヒトIgM融合タンパク質の定量
精製されたヒトIgM融合タンパク質は、streptavidin-HRPにしたがって、huTREM−1レセプター(21C7、ネズミIgG1、κ)に対して捕獲タンパク質および特定のビオチン化されたmAbとして抗ヒトIgG/IgM(ジャクソンラボラトリーズ)を使用するELISAによって、特に、滴定濃度および機能性において検定された。精製されたヒトIgM融合タンパク質のイムノブロット分析で、免疫反応性の1つのバンドだけが現れた。
【0128】
末梢血好中球の分離
26人の全身性炎症反応症候群(SIRS)患者からの末梢血が分析された。全身性細菌性/菌類の感染症(敗血症)に関する12人の患者、全身性細菌性で菌類の感染症のいかなる所見がなく、異なる臨床傷害からのSIRSを有する14人の患者である。抗生物質およびステロイド処理の開始前に、末梢血は、SIRSおよび敗血症の診断のすぐ後で、集められた。全ての患者は、体温が38°Cより高く、心拍数が90/minより高く、白血球が12x10/lより高かった。第二の末梢血サンプルは回復の後で採取され、上記の臨床パラメータの正常化として定義された。TREM−1リガンドの発現は、上記した時間と位置で評価された。
【0129】
末梢血好中球の染色
末梢顆粒白血球は、デキストラン硫酸および続くフィコール勾配によって血液から分離された。次いで、精製された細胞は、抗TREM-1MabおよびhuTREM-1/IgMで染色された。簡潔には、細胞は、フリーなFc結合部位をブロックするために、ヒトIgG(シグマ)によって、予めインキュベーションされた。可溶なTREM-1/IgMの上澄み(100μl=1g)が添加され、4℃で30分間インキュベーションされた。洗浄後、1μlのF(ab)のロバの抗ヒトIgG1-PE(ジャクソンイミュノリサーチ)が添加された。洗浄後、細胞は、再懸濁されて、フローサイトメトリー(FACS LSR、べクトンディキンソン)によって分析された。ネガティブコントロールは、顆粒白血球に精製したヒトIgMで染色して実行された。場合によっては、抗CD15(Pharmingen)での二重染色が実行された。
【0130】
統計分析
統計分析は、クラスカル-ウォリス試験によって実行された。
【0131】
結果
14人のSIRS(全身性炎症反応症候群)患者および12人の敗血症患者から得られる末梢血好中球は、TREM-1およびTREM−1リガンドの発現のために分析された。患者は、図4に示す基準に基づいて分類された。TREM-1は末梢好中球で構成的に発現され、その発現はSIRSまたは敗血症の間、最低限に調節されるだけである。SIRSおよび敗血症患者からの末梢好中球は、TREM−1リガンドの表面発現を検出するために、可溶なhuTREM-1/IgM融合タンパク質によってインキュベーションされた。huTREM-1/IgMでの染色は、具体的で、投与に依存する。図4に示すように、陽性の細胞数は、染色のために使用するhuTREM-1/IgMの量と比例していた。1μgのhuTREM-1/IgMについては、細胞の80%は陽性に染色した。その一方で、0.2μgについては、細胞の45%だけが陽性に染色した。
敗血症患者から分離される末梢好中球の高いパーセンテージは陽性にヒトTREM-1/IgMで染色し、それらが細胞表面(図5)上のTREM−1リガンドを発現したことを示した。しかしながら、同じ患者からの末梢好中球が回復時に分析されるときに、TREM−1リガンドを発現している細胞のパーセンテージは激減した。それぞれにそれらの血液培養(表2)から分離された細菌株で、TREM−1リガンド発現のこのパターンは、研究において分析された敗血症12人の患者全員において観察された。
【0132】
【表2】

【0133】
表2:敗血症患者の血液培養から分離された細菌株。敗血症患者の12人全員において、研究で分析された。それらのすべては、それらの血液培養から分離される識別可能な細菌株を有した。1つのケースにおいて、カンジダ・アルビカンスは、血液培養から分離された。
【0134】
これらのデータは、疾患の陽性結果と関連するTREM−1リガンドの発現のダウンレギュレーションを示す。面白いことに、TREM−1リガンドの発現は、外傷、髄膜炎、肺炎(表3および図6)を含む傷害の範囲から生じているSIRS患者からの末梢好中球に検出されなかった。従って、TREM−1リガンドの発現は、敗血症の特定のマーカーであった。
【0135】
【表3】

【0136】
表3:敗血症を伴わない全身性炎症反応症候群(SIRS)患者の臨床診断。合計14人のSIRS患者が、研究において分析された。患者は、ここで一覧を示す異なる診断で集中治療室に入るのを許可された。バクテリア/菌類は、それらの血液から分離されなかった。
【0137】
急性で回復後の敗血症患者及びSIRS患者のTREM−1リガンドの発現は図7にまとめられ、発現の個々のデータが報告される。データは、huTREM-1/IgMで染色される細胞の幾何平均蛍光と、コントロールIgMで染色される細胞の幾何平均蛍光との間の比率として報告される。統計的な需要な差異は、急性の敗血症と回復時の敗血症との(p<0.0001)間、及び敗血症とSIRSとの(p<0.0001)間で観察された。敗血症グループもまた、健康な対照群とは著しく異なる(p<0.001)。
【0138】
敗血症患者のTREM−1リガンドの発現の時間経過は、図8において報告される。TREM−1リガンドの発現が回復時に全ての敗血症患者において減少することは、明らかに明白である。患者が死去した理由で、第2のサンプルが利用できなかった2つのケース以外、TREM−1リガンド発現の減少は、分析される全ての敗血症の患者において観察される。
【0139】
特に、TREM−1リガンドの発現は、敗血症の間、好中球のサブセットに制限されるようである。図9(パネルA)に示すように、敗血症の患者から分離した38%のCD15の低い好中球がTREM−1リガンドを発現し、その一方で、わずか2%のCD15の高い好中球はTREM−1リガンドを発現した。TREM−1リガンド発現の同じパターンはまた、CLPマウス(図10、パネルB)からの好中球に検出される。ここで、大多数のTREM−1リガンドの陽性細胞は腹膜洗浄(77%)から分離される細胞のLy-6Gの低いサブセットに帰属する。その一方で、Ly-6Gの高い細胞の33%だけはTREM−1リガンドを発現する。
【0140】
結論として、ここで示されるデータは、TREM−1リガンドの発現が診断値を有することを証明する。これは、次のことの故である。その発現は、細菌起源(敗血症)のSIRS患者からの循環好中球では排他的に検出され、細菌感染が証明されることができなかったSIRS患者からの好中球では検出されない。したがって、TREM−1リガンド発現の検出は敗血症の早めの認識ができるようにして、症状の管理の重要な問題が早期の介入を許容する。
【0141】
加えて、TREM−1リガンドの発現は予後的価値を有し、その理由は、次のことにある。患者が回復の臨床徴候を示すときに、敗血症患者からの循環好中球における発現は完全に刺激に対する反応を抑制される。したがって、TREM−1リガンドの発現のモニタリングは、新規な治療法の評価と同様に、疾患の薬理学的治療間において、敗血症の患者の追跡調査を可能にする。
【0142】
実施例3:in vitroのTREM−1−リガンド発現の誘発
方法
天然細菌抽出物での全血のin vitroの刺激
敗血症の患者の血液培養または気管支の滲出液から分離される細菌は集菌され、天然抽出物は凍結融解を繰り返すことによって調製された。すべての天然抽出物が、全血のin vitro刺激のために用いられた。簡潔すると、全血は、完全なRPMI媒体で1:6に希釈された。天然細菌抽出物(1グラム/ミリリットル)は、直接全血に加えられて、37/40℃で、16時間インキュベーションされた。可溶なTREM-1/IgMでの染色が上記に載のように実行された。サンプルは、フローサイトメトリー(FACS LSRべクトンディキンソン)によって分析された。
【0143】
結果
TREM−1リガンドの発現の時間経過を分析するために、我々は、TREM−1リガンドの発現が定義された刺激によって誘発されることができるin vitroシステムを設定した。健常な提供者からの全血は、敗血症の患者の血液培養または気管支の滲出液に由来するグラム陽性バクテリア、グラム陰性バクテリアおよび菌類からのE.coli LPSまたはすべての天然細菌抽出物によってオーバーナイトで刺激された。TREM−1リガンド発現は、末梢血からの顆粒白血球およびリンパ球における細胞蛍光定量的な分析によって評価された。図10(パネルA)に示すように、TREM−1リガンドの発現は、Gram+、Gram-バクテリアおよび菌類によって顆粒白血球に誘発された。TREM−1リガンド発現は顆粒白血球に特に誘発される。これは、その発現は同じ実験的な状況(図10パネルB)下で刺激される末梢リンパ球に検出されなかったことが理由である。刺激の間の炎症誘発性サイトカイン(TNF、IL-1、IL6、IL-12)の追加は、部分的に顆粒白血球におけるTREM−1リガンドの発現を増やすだけだった(データは示されない)。TREM−1リガンドの発現は、細菌抽出物での全血の刺激の2時間後に早い時期に検出されて、最初の刺激(示されないデータ)の最高16時間後に検出可能だった(データは示されない)。これらのデータは、TREM−1リガンドの発現がin vitroで細菌抗原との遭遇に応じて好中球の細胞表面に迅速にアップレギュレートされることを示す。
【0144】
実施例4:TREM-1リガンド識別:CLP対通常の好中球の発現差のライブラリーの生成
ネズミ好中球上のTREM-1リガンド発現は、厳しく調節される:TREM-1リガンドは通常のマウスの末梢好中球に存在しないし、骨髄由来の成熟した顆粒白血球にも存在しない(図18)。
【0145】
TREM-1リガンドは、CLP治療されたマウスの腹膜空腔の好中球に検出されることができ、CLP誘導の5時間後に発現のピークがある。TREM-1リガンドは、差別的にこれらの2つの群間で発現されて、TREM-1の結合のための遺伝子をスクリーニングすることによって、遺伝子において識別されることができる。
【0146】
サブトラクションされたcDNAライブラリーの生成
サブトラクトされたハイブリダイゼーションおよびサプレッシブPCRは、メーカーの使用説明書(Clontech)に従って、the PCR-select cDNA subtraction kitを使用して実行される。差別的に発現された遺伝子においてエンリッチにするために、この手順はサブトラクトされたハイブリダイゼーションおよびサプレッシブPCRを組み合わせる。要約すると、CLP対通常のマウスからのcDNAは、RsaIによって断片化され、アダプターでライゲーションされる。次いで、ハイブリダイゼーションとPCR増幅を交互に行なうようにさせる。サブストラクションプロトコールは、PCRの次のサイクルにおいて指数的に増幅されるコントロール群の分子でハイブリダイズしなかった試験個体群の分子だけを可能にし、一般のバックグラウンドシークエンスの劇的な損失に帰着する。電気泳動ゲル分析(図19)によって例示されるように、サブトラクトされた個体群のバンドのパターンは、サブトラクトされないcDNAによって生じるスメアよりむしろ異なったバンドに結果としてなる。さらにまた、サブトラクション効率は、サブトラクションの前後でcDNAサンプルのハウスキーピング遺伝子のβアクチンの存在量を比較するために、PCRによって確認される(図20)。次いで、サブトラクトされた個体群は、プラスミドのライブラリーを生成するためにプラスミドベクターにクローニングされて、96ウェルプレート・フォーマットにプレートされる。
【0147】
サブトラクトされたcDNAクローンのディファレンシャルスクリーニング
例えば、400の無作為に選択されたクローンは、TREM−1リガンドの陽性の個体群で異なって発現されたクローンを検出するためにスクリーニングされる。ライブラリーのスクリーニングは、サブトラクトされないか、サブトラクトされたcDNAから32Pプローブを使用して実行される(図21)。
【0148】
デンシトメトリ分析は、シークエンス解析ができて、公共データベースの周知のシーケンスと比較されることができるクローンの選択を可能にする。サブトラクティブハイブリダイゼーション、サプレッシブPCR及びディファレンシャルスクリーニングを組み合わせたプロトコールは、共通に発現された遺伝子を除去する際に有効である。多くの遺伝子は、二回以上サブトラクトされたクローンの中に見受けられることができる。しかしながら、サブトラクション手順の性質のため、クローンが特定のデータベース入力にマッチした頻度は、ターゲットとなる個体群内の遺伝子における発現レベルの正確な反映ではない。
【0149】
観察されたディファレンシャルな遺伝子の発現は、リアルタイムPCRを使用して確証されることができる。次いで、候補遺伝子は、当業者に周知な形質転換された細胞でin vitroの転写/翻訳および細胞蛍光定量的な分析を行うことによって、TREM−1結合においてスクリーニングされる。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】腹膜炎誘発性敗血症(CLP)のモデルマウスの概略を示す図である。
【図2】通常及び敗血症マウスのネズミTREM−1リガンドの図を示す図である。
【図3】敗血症マウスの腹膜顆粒白血球上のTREM−1リガンドの発現の時間の経過を示す図である。
【図4】TREM−1リガンドが敗血症患者から末梢好中球に発現されることを示す図である。
【図5】敗血症患者の末梢好中球でのTREM−1リガンドの発現を示す図である。
【図6】敗血症(中心高体温)を伴わない全身性炎症反応症候群(SIRS)の代表的な患者のTREM−1リガンドの発現を示す図である。
【図7】非感染性起源の敗血症およびSIRS患者の末梢血好中球でのTREM−1リガンド発現を示す図である。
【図8】敗血症患者の末梢血好中球でのTREM−1リガンドの発現の時間経過を示す図である。
【図9】TREM−1レセプターおよびTREM−1リガンドがヒト敗血症及びCLPマウスの好中球の異なるサブセットによって発現されることを示す図である。
【図10】TREM−1リガンド発現のin vitroの誘導を示す図である。
【図11】ヒトTREM−1レセプター cDNA[SEQ ID NO:1]を示す配列である。
【図12】ヒトTREM−1レセプターのアミノ酸配列[SEQ ID NO:2]を示す配列である。
【図13】ヒトTREM−1レセプター(シグナルペプチド)アミノ酸配列[SEQ ID NO:3]を示す配列である。
【図14】ヒトTREM−1レセプター(細胞外領域)アミノ酸配列[SEQ ID NO:4]を示す配列である。
【図15】ヒトTREM−1レセプター(N-グリコシル化部位)アミノ酸配列[SEQ ID NO:5]、ヒトTREM−1レセプター(N-グリコシル化部位)アミノ酸配列[SEQ ID NO:6、7及び8]並びにヒトTREM−1レセプター(細胞質の尾部)アミノ酸配列[SEQ ID NO:9]を示す配列である。
【図16】ヒトTREM−1レセプター(成熟タンパク質)アミノ酸配列[SEQ ID NO:10]を示す配列である。
【図17】ネズミTREM−1レセプター cDNA配列[SEQ ID NO:11](Genbank Accession No. NM_021406)を示す配列である。
【図18】TREM-1-四量体構造体で実行される免疫蛍光検査染色を示す図である。
【図19】サブトラクションのためのcDNAの調製を示す図である。
【図20】サブトラクトされたものとサブトラクトされない群の両者におけるマウスβアクチンのリアルタイムPCRを示す図である。
【図21】TREM−1リガンド陽性を示す図である。
【図22】TREM−1リガンド陰性を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の細菌性又は菌類の敗血症の診断方法であって、該方法は該被験者から得られた生物サンプルのTREM−1リガンドのTREM−1リガンドの核酸のレベルを測定するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記TREM−1リガンドを測定するステップは、
(a)前記生物サンプルとTREM−1リガンドを結合可能な化合物と接触するステップと、
(b)前記化合物とTREM−1リガンドとの間の結合レベルを観察することによって前記サンプルに存在するTREM−1リガンドのレベルを検出するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
TREM−1リガンド又は核酸のレベルを測定するステップは、
(a)前記生物サンプルとTREM−1リガンドの核酸に特異的なオリゴヌクレオチドプローブ又はオリゴヌクレオチドプライマーと接触するステップと、
(b)前記オリゴヌクレオチドプローブ又はオリゴヌクレオチドプライマーとTREM−1リガンドの核酸との間の相互作用レベルを観察することによって前記サンプルに存在するTREM−1リガンドの核酸のレベルを検出するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、(c)TREM−1リガンド又はTREM−1リガンドの核酸の検出レベルを細菌性又は菌類の敗血症の有無に関連させるステップを含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記相互関係は、患者の細菌性又は菌類の敗血症の存在または範囲を示すために、サンプルのTREM−1リガンド又はTREM−1リガンドの核酸の測定レベルをコントロールサンプルまたは参照標準の平均レベルと比較することによってなされることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記患者からの第二又は別のサンプルでのTREM−1リガンド又はTREM−1リガンドの核酸のレベルを測定するステップをさらに含み、第一、第二又は別のサンプルは異なる時間に得られ、細菌性又は菌類の敗血症の進行または緩解を示すために前記サンプルでのレベルを比較することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、被験者の細菌性敗血症の診断方法であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記サンプルは、全血、血清、血漿、尿、血液の細胞分画および好中球からなる群から選択されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記サンプルは、生物流体から得られる細胞を含まないサンプルであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記サンプルはヒトのサンプルであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
細菌性又は菌類の敗血症の診断、治療の予後、処置またはモニタリングに用いられるTREM−1リガンドを結合できる合成物。
【請求項12】
細菌性又は菌類の敗血症の処置又は診断方法でTREM−1リガンドの核酸に特異的なTREM−1リガンド、オリゴヌクレチドプローブ又はオリゴヌクレチドプライマーを結合可能な化合物の使用。
【請求項13】
細菌性又は菌類の敗血症の診断、治療の予後、処置または治療のモニタリングのための薬剤の製造におけるTREM−1リガンドを結合できる合成物の使用。
【請求項14】
細菌性又は菌類の敗血症の診断または治療で使用するための薬学的に許容可能な希釈剤、キャリアまたは賦形剤と共にTREM−1リガンドを結合することができる合成物から成る組成物。
【請求項15】
TREM−1リガンドのアゴニスト又はアンタゴニストの識別方法であって、該方法は、試験される化合物の有無において、TREM−1リガンドを含有するサンプル及びTREM−1リガンドを結合可能な化合物での結合レベルの比較を含むことを特徴とする識別方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法により識別されたTREM−1リガンドのアゴニスト又はアンタゴニスト。
【請求項17】
TREM−1を結合可能な少なくとも一つの化合物と、TREM−1リガンドに対する前記化合物の結合を検出するための試薬とを含むキット。
【請求項18】
TREM−1リガンドの核酸に特異的な一つ以上のオリゴヌクレオチドプローブ又はオリゴヌクレオチドプライマーと、該プローブ又はプライマーの手段によってTREM−1リガンドの核酸を検出するための試薬とを含むキット。
【請求項19】
TREM−1リガンドを結合可能な少なくとも一つの化合物か、TREM−1リガンドの核酸に特異的な一つ以上のヌクレオチドプローブ若しくはプライマーと、該化合物、プローブ若しくはプライマーを該リガンド若しくはTREM−1リガンドの核酸を含むサンプルと接触する手段とを含むキット。
【請求項20】
前記化合物はTREM−1リガンドと特異的に結合することを特徴とする請求項2、4乃至19のいずれか一項に記載の方法、化合物、使用、薬学的組成物。
【請求項21】
前記TREM−1リガンドを結合可能な化合物は、自然に生じるTREM−1リガンド結合分子の修飾した異型であることを特徴とする請求項2、4乃至19のいずれか一項に記載の方法、化合物、使用、薬学的組成物。
【請求項22】
前記修飾された異型はTREM−1レセプターから派生するポリペプチドであることを特徴とする請求項21に記載の方法、化合物、使用、薬学的組成物。
【請求項23】
前記修飾された異型はTREM−1レセプター/免疫グロブリン融合タンパク質であることを特徴とする請求項22に記載の方法、化合物、使用、薬学的組成物。
【請求項24】
前記融合タンパク質は、図14[SEQ ID NO:4]のシークエンスを含むことを特徴とする請求項23に記載の方法、化合物、使用、薬学的組成物。
【請求項25】
前記TREM−1レセプターから派生するポリペプチドは、検出可能なポリペプチドを有するTREM−1レセプターの機能部分の融合タンパク質であることを特徴とする請求項22に記載の方法、化合物、使用、薬学的組成物。
【請求項26】
前記方法は、競合免疫測定、ウェスタンブロットのような技術を用いた非競合的分析システム、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素がリンクした免疫吸着剤分析)、「サンドイッチ」免疫測定、免疫沈降分析、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散分析、接着分析、コンプレメントフィキシエーション分析、免疫放射線分析、蛍光免疫測定、タンパク質A免疫測定、免疫沈降分析、免疫組織化学分析、競合またはサンドイッチELISAラジオイムノアッセイ、ウェスタンブロット分析、免疫組織分析、免疫細胞化学分析、ドットブロット分析、蛍光分極化分析、シンチレーションプロキシミティ分析、均一時間で分解された蛍光分析、IAsys分析およびBIAcore分析で構成される群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項27】
前記方法は、ノーザンハイブリダイゼーション、サザンハイブリダイゼーション、ドットブロット分析、in situハイブリダイゼーション、プライマー伸長反応、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及び定量PCRで構成される群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項28】
患者に対して疾患の存在または罹病性のスクリーニングを行う方法において、複数の疾患において患者からの組織サンプルで複数の診断試験を実行することから成り、改善は、診断検査の1つが、TREM−1リガンドまたはTREM−1リガンドの核酸のレベルを測定することから成ることであることを特徴とする方法。
【請求項29】
被験者で細菌性又は菌類の敗血症を診断する方法であって、該方法は、TREM−1レセプターから派生するポリペプチドと、患者から採取された生物サンプルの好中球サンプルとの結合を測定するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項30】
前記結合を細菌性又は菌類の敗血症の有無に関連させる更なるステップをさらに含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記相互関係は、患者の細菌性又は菌類の敗血症の存在または範囲を示すために、患者から採取された生物サンプルの測定レベルをコントロールサンプルまたは参照標準の平均レベルと比較することによってなされることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
添付図に関して当該明細書に実質的に記載された細菌性又は菌類の敗血症の治療の診断、予後、処置又はモニタリングのための方法、化合物、薬学的組成物またはキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2006−520593(P2006−520593A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505941(P2006−505941)
【出願日】平成16年3月10日(2004.3.10)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001020
【国際公開番号】WO2004/081233
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(505341349)ビオエクセル ソシエタ ペル アチオニ (2)
【Fターム(参考)】