説明

診断支援システム

【課題】小規模な医療機関において記録媒体から読み出したデータと患者情報との対応付けを正確にかつ簡便に行う。
【解決手段】制御装置3では、操作部を介して患者が指定された後、可搬型の記録媒体Mに記憶されている画像データ又は医療データを読出書込部により読み出す。制御部は、前記読み出された画像データ又は医療データに付帯されている付帯情報と、前記指定された指定患者の患者情報とを照合し、一致する場合に当該画像データ又は医療データを、前記指定患者の患者情報に対応付けてデータメモリに記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小規模な医療機関において診察のワークフローに応じて動作する診断支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院等の大規模な医療機関では、患者を受け付けて検査、診察を終了するまでの一連のワークフローを支援する大規模な診断支援システムが用いられている(例えば、特許文献1参照)。このような大規模な診断支援システムでは、分業化された各作業に応じて処理機能を複数端末に分散させ、オーダ情報と呼ばれる制御情報を各端末間でやりとりすることにより、各端末の連携をとっている。このオーダ情報に基づいて撮影画像の画像データに付帯情報を付帯させることにより、付帯情報を元に各撮影画像を識別して一元管理することが可能である。
【0003】
上記画像管理に関してはDICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)と呼ばれる規格が定められており、当該DICOMに準拠することにより異種の装置間でも画像のやりとりが可能となる。すなわち、DICOMに従って、撮影画像データにオーダ情報を付帯させると、DICOMに対応する装置であれば、撮影画像データの付帯情報を参照することができ、付帯情報によりどのオーダ情報に基づいて撮影された撮影画像データなのか、特定が可能となる。
【0004】
しかしながら、小規模な医療機関では検査、撮影、診察と一連の処理を医師一人或いは医師と看護士等、少人数でこなすことがほとんどであり、オーダ情報を用いるとかえってその入力作業等が煩雑となる。また、分業化に応じて処理機能が分散された大規模用の診断支援システムは、小規模な医療機関における医師等のワークフローに適さない。よって、大規模な医療機関で用いられている診断支援システムをそのまま小規模な医療機関に適用することはできない。
【0005】
一方、検査で得られた撮影画像データやその他生理検査等の検査結果のデータをDVD(Digital Versatile Disk)等の記録媒体に保存し、診察に用いることが増えている。これによれば、検査を実施した医療機関とは異なる医療機関で診察を受ける際に、このDVDを診察先の医療機関に提出することにより、それまでの検査履歴を診察先の医療機関でも活かすことができる。
【特許文献1】特開2003−224703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この場合、DVDから読み出したデータについては、その提出先の医療機関において患者の患者情報と正確に対応付けて保存する必要がある。この場合、小規模な医療機関では対応付けのための操作を医師が行うこととなるので、簡便な操作が望まれる。
【0007】
本発明の課題は、小規模な医療機関において記録媒体から読み出したデータと患者情報との対応付けを正確にかつ簡便に行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、
患者を撮影した撮影画像の画像データを生成する画像生成装置又は患者の医療データを入力する入力装置のうち少なくとも一つと、前記撮影画像の画像データ及び/又は前記入力された医療データを患者情報と対応付けて記憶する制御装置と、を備えた診断支援システムにおいて、
前記制御装置は、
前記生成された画像データ又は前記入力された医療データを記憶する記憶手段と、
患者を指定するための操作手段と、
前記操作手段を介して患者が指定された後、可搬型の記録媒体に記憶されている画像データ又は医療データを読み出す読出手段と、
前記読み出された画像データ又は医療データに付帯されている付帯情報と、前記指定された指定患者の患者情報とを照合し、一致する場合に当該画像データ又は医療データを、前記指定患者の患者情報に対応付けて前記記憶手段に記憶させる制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の診断支援システムにおいて、
前記制御手段は、前記画像データ又は医療データの付帯情報がない場合、或いは前記付帯情報と前記指定患者の患者情報が一致しない場合、前記画像データ又は医療データの前記記憶手段への記憶を禁止するか、或いは前記記憶手段において未確定フォルダを作成し、当該未確定フォルダに保存することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の診断支援システムにおいて、
前記画像データ又は医療データの付帯情報がない場合、或いは前記付帯情報と前記指定患者の患者情報が一致しない場合、前記操作手段を介して、前記画像データ又は医療データに前記指定患者の患者情報を対応付ける旨の指示操作が可能であり、
前記制御手段は、前記操作手段を介して前記対応付けの旨の指示操作がなされると、前記画像データ又は医療データに前記指定患者の患者情報を対応付けて前記記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、指定患者の患者情報と記録媒体から読み出した画像データ又は医療データの付帯情報とを照合し、一致するもののみ指定患者の患者情報に対応付けて記憶するので、同一患者の画像データ又は医療データかどうかを確認したうえで、読み出したデータと患者情報との対応付けを簡便にかつ正確に行うことができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、記憶手段への記憶を禁止する場合、対象患者(患者情報)が不明な画像データ等を保有することを防ぐことができる。一方、未確定フォルダ内に保存する場合、後にこの未確定フォルダに保存された画像データ等について患者情報の対応付けの操作を行うことができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、付帯情報がない場合、照合の結果が不一致であった場合にも、指定患者の患者情報と対応付けて読み出した画像データ等を記憶することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
まず、構成を説明する。
図1に、本実施形態における診断支援システム1のシステム構成を示す。診断支援システム1は、開業医やクリニック等の比較的小規模の医療機関に適用され、患者の受付から検査撮影、医師の診察、会計までの一連の作業を支援するためのシステムである。
【0015】
診断支援システム1は、図1に示すように超音波撮影装置2a、内視鏡撮影装置2b、CR(Computed Radiography)撮影装置2c、制御装置3、検査装置4、受付装置5を備えて構成されている。各構成装置はLAN等のネットワーク6を介して互いに通信可能に接続されている。制御装置3は、医師の常駐場所である診察室に設けられたWS(ワークステーション)であることが好ましい。
【0016】
医用関連の通信方式としては、一般的に、DICOM規格が用いられており、LAN接続された各装置間の通信では、DICOM MWM(Modality Worklist Management)やDICOM MPPS(Modality Performed Procedure Step)が用いられる。
【0017】
図2に、診断支援システム1の各構成装置が医療機関に配置された例を示す。
図2に示す医療機関は、受付11、待合室12、診察室13、X線撮影室15、検査室16の複数エリアに分割されている。受付11には受付装置5、診察室13には制御装置3、超音波撮影装置2a、検査室16には内視鏡撮影装置2b、検査装置4、X線撮影室にはCR撮影装置2cと、各エリアに分散して配置されている。
【0018】
患者は受付において受付手続を行った後、診察室に移動し、医師による問診を受ける。そして、検査撮影の必要があると判断されれば、撮影室や検査室に移動し、撮影、検査を受けて再度、診察室に戻る。検査や撮影の結果を受けて医師の診察を受けると、再度受付で会計や投薬の受け取りをする。診断支援システム1は、このような一連の動作を同一フロア等、比較的短い移動で行うことができる小規模な医療機関に適用されるのである。
【0019】
以下、各構成装置について説明する。
超音波撮影装置2a、内視鏡撮影装置2b、CR撮影装置2cは、撮影によって患者の撮影画像データを生成するものである。以下、これらを総称して画像生成装置2ということがある。これら画像生成装置2で生成された撮影画像データは撮影が行われる毎に制御装置3に送信される。また、各画像生成装置2には識別情報としてモダリティIDが付与されている。
【0020】
超音波撮影装置2aは、超音波を出力する超音波プローブを備えている。超音波撮影装置2aは、超音波プローブから体内に超音波を送り、体内組織に反射した音波(エコー信号)を再び超音波プローブで受信し、当該エコー信号に基づいて撮影画像を生成する。
【0021】
超音波撮影装置2aは、アナログ信号からデジタル信号への信号変換等を行う変換装置21を介してネットワーク6に接続されている。変換装置21は、前記信号変換の他、データ形式の変換を行う。例えば、外部から入力されたデータが超音波撮影装置2aで適用されているデータ形式と外部で適用されているデータ形式とを相互に変換する。
【0022】
変換装置21は、DICOM規格に非対応の装置に設けられ、DICOM規格に準じて生成されていない画像データや医療データを、DICOM規格に対応する画像データ、医療データとするものである。変換装置21は、DICOM規格に準じた形式で診断支援システム1内の画像データを特定するための識別情報としてUID(ユニークID)を画像データに付帯する機能を備えている。UIDは、画像生成装置2のモダリティID、撮影日時を示す数字等から構成される。なお、本実施形態において、モダリティIDは画像生成装置2の種類を示す情報を含んで構成されているものとする。
【0023】
内視鏡撮影装置2bは、管の先端に小型のカメラが設けられた撮影部を備えて構成されている。撮影部は、照明用のLED(Light Emitting diode)、光学レンズ、CCD(Charge Coupled Device)等の光学素子からなり、光学レンズで集光した光学像をCCDにより撮像する。撮像により得られた画像信号は信号処理部によりデジタル変換された後、制御装置3へ送信される。
【0024】
CR撮影装置2cは、カセッテを用いて放射線撮影を行うものであり、撮影装置22、読取装置23から構成されている。カセッテは筐体内に放射線を検出する蛍光体プレートを収容したものである。なお、X線量に応じた画像データを直接生成するFPD(Flat Panel Detector)を適用することとしてもよい。FPDは筐体内に光電変換素子がマトリクス状に配置されたものである。この場合、読取装置23は設けられず、撮影装置22においてFPDからデータが抽出されて制御装置3へ送信される。
【0025】
撮影装置22は、放射線源、カセッテを装着する撮影台等から構成されている。放射線源から患者に対して放射線を照射し、当該患者を透過した透過放射線をカセッテ内の蛍光体プレートで検出する。
【0026】
読取装置23は、カセッテの装填が可能に構成され、当該カセッテの蛍光体プレートにより検出された放射線の放射線量に応じた画像データを生成するものである。読取装置23の内部には、演算、制御を行う制御部、記憶部の他、蛍光体プレートに励起光を照射し、その励起光を光電変換することにより放射線量に応じた画像信号(アナログ信号)を生成する画像生成部、当該アナログ信号に信号処理を施した後、デジタル化する信号処理部等が設けられている。
【0027】
なお、内視鏡撮影装置2b、CR撮影装置2cの読取装置23は、DICOM規格に対応可能な装置であり、生成された画像データに上述のUIDを付帯する機能を備えている。
【0028】
検査装置4は、心電波形を検出して波形データを取得する心電波検出装置、体温、血圧、身長、体重等のバイタルデータを取得するバイタルセンサ、肺音、心音、声等の生体音データを取得する集音器等である。検査装置4は、取得した検査結果のデータ(上述の波形データ、バイタルデータ、生体音データ等)を制御装置3に送信する。すなわち、検査装置4は検査結果の医療データを制御装置3に入力する入力装置である。
なお、検査装置4には、その種類を示すIDが付与されている。
検査装置4はDICOMに非対応の装置であり、上記超音波撮影装置2aと同様に変換装置21において検査結果のデータに検査装置4のID、検査の実施日時の情報等から構成されるUIDが付帯され、DICOM対応のデータとして制御装置3に送信されることとなる。このとき、検査装置4において患者氏名等の患者情報をキーボード等により入力可能な構成としておき、この入力された患者情報を検査結果のデータに付帯して送信することとしてもよい。
【0029】
受付装置5は、受け付けた患者の氏名、性別等の検査対象情報の入力を受け付けて処理するレセプトコンピュータである。受付装置5は、検査対象情報が入力された受付患者について受け付けた順に連番で受付番号を付与し、この受付番号順に受付患者の患者情報をリスト化する(これを患者情報リストという)。作成された患者情報リストのデータが制御装置3に送信される。患者情報リストは、診察対象となる患者の氏名、受付番号等の患者情報一覧を示すリストである。なお、性別や生年月日等の他の項目を患者情報リストに設けることとしてもよい。
【0030】
受付装置5では、患者を受け付ける毎に受け付けた新規の患者をこの患者情報リストに加え、会計処理が終了する毎に患者情報リストから会計処理が終了した患者を削除して、患者情報リストを更新する。
また、受付装置5は会計処理を行う。受付装置5はプリンタに接続され、検査撮影及び診察終了後、オペレータにより入力された検査結果情報、診察結果情報又は処方箋情報等に基づいて、患者毎の診察費用を算出し、請求書をプリンタにより出力する。また、処方箋情報に基づいて処方箋のプリント出力も行う。
【0031】
制御装置3は、医師が制御操作を行うためのコンソールであり、医師の指示操作に従って、画像生成装置2における撮影画像のデジタル化に係る画像生成条件や、撮影画像の画像処理条件、撮影画像の画像データ、検査結果等の医療データとその撮影対象となった患者の患者情報との対応付けを行う等、画像制御を行う。患者情報との対応付けは、直接データのヘッダ等に患者情報を書き込む等して患者情報をデータに付帯させる場合の他、患者毎に設けられたフォルダ内に患者情報及び画像データ等を保存する等してもよい。
また、制御装置3は、撮影画像を表示するビューアとしても機能する。
なお、この制御装置3において診察時の所見、シェーマの入力、レポート作成等が可能な電子カルテ機能を実現することとしてもよい。
【0032】
図3に、制御装置3の内部構成を示す。
図3に示すように、制御装置3は、制御部31、操作部32、表示部33、通信部34、記憶部35、データメモリ36、読出書込部37を備えて構成されている。
【0033】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を備え、記憶部35に記憶されている各種制御プログラムを読み出し、当該制御プログラムとの協働により、各種演算を行うとともに各部32〜36の動作を集中制御する。
【0034】
操作部32は、キーボードやマウス等を備え、これらの操作に応じた操作信号を生成して制御部31に出力する。この操作部32を介して検査結果や薬歴等の医療データの入力操作が可能であり、この場合、操作部32は医療データの入力装置として機能する。
表示部33は、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイを備え、制御部31の制御に従ってこのディスプレイ上に操作画面や撮影画像等の各種表示を行う。
【0035】
通信部34は、通信用のインターフェイスを備え、ネットワーク6上の外部装置と通信を行う。例えば、通信部34は画像生成装置2から撮影画像データを受信したり、検査装置4から検査結果の医療データを受信したりする。この場合、通信部34は医療データの入力装置として機能する。
記憶部35は、制御部31で実行可能な制御プログラムや画像処理プログラム等の他、各プログラムの実行に必要なパラメータやデータ等を記憶している。
【0036】
データメモリ36は、画像データ、医療データを記憶するためのメモリである。ここで、画像データには撮影画像データやその処理画像データ等が含まれる。また、医療データとは患者の診療に関するデータをいい、例えば検査装置4による検査結果のデータや、検体検査の検査結果、薬歴等のデータが含まれる。なお、医療データは検査装置4からネットワーク6を介して入力される場合の他、操作部32を介して医師等の操作入力、記録媒体Mからの読出等によって得られる場合もある。例えば、外部の検査機関に検査を依頼し、その結果が印刷物等、データ以外のもので得られた場合にはその検査結果を操作入力する。なお、検査結果が印刷された用紙等からその画像データを読み取るスキャナ等を医療データの入力装置として用いてもよい。
【0037】
データメモリ36では、画像データ及び医療データを記憶する。画像データ、医療データはフォルダによって管理されている。
図4は、データメモリ36におけるフォルダ構成例を示す図である。なお、以下の説明において、フォルダにデータを保存するとは、実際にはデータメモリ36におけるデータの保存場所を示す情報がフォルダに対応付けて記憶されることをいう。フォルダ内のデータの読出時には、まず所望のフォルダを検索し、検索されたフォルダに対応するデータの保存場所を読み出して当該保存場所からデータを読み出すこととなる。
【0038】
図4に示すように、データメモリ36では患者情報を保存するフォルダF1が患者毎に設けられており、このフォルダF1に対応付けて、CR撮影装置2c、超音波撮影装置2a、内視鏡撮影装置2bによる画像データをそれぞれ保存するフォルダF2が設けられている。また、検査装置4による検査結果である、心電図、検体検査、薬歴の医療データをそれぞれ保存するフォルダF3が設けられている。
【0039】
各フォルダF2、F3においては、画像データ又は医療データをその種類に応じてさらに分類したフォルダF4、F5が設けられる場合がある。例えば、検体検査では血液検査、生理検査の2種類があるため、検体検査のフォルダF3内にはさらに血液検査、生理検査のフォルダF5が設けられている。
また、データメモリ36には未確定フォルダF6が設けられている。未確定フォルダF6は、何れの患者にも対応付けられていない画像データ又は医療データを保存するためのフォルダである。
各画像データ及び医療データには、そのデータが制御装置3において取得された日付の情報が付帯されている。
【0040】
なお、フォルダの作成、編集、フォルダへの画像データ及び医療データの振り分け等は、制御部31において行う。また、取得日の日付情報の付帯についても、制御部31が行う。
例えば、画像データの場合、通信部34を介して画像データを受信すると、制御部31においてその受信した日付を取得日の日付情報として生成し、画像データのヘッダに書き込み、付帯させる。そして、画像データに付与されているUIDを参照してその画像生成装置2の種類を判別し、その種類に応じた指定患者のフォルダF2、F4へ画像データを保存する。検査装置4から医療データが受信された場合も同様である。一方、操作部32を介して入力された医療データの場合、制御部31は操作部32を介して医師により指定された患者の指定されたフォルダF3、F5へ当該医療データを保存する。その際に制御部31は医療データが入力された日付の情報を医療データのヘッダに書き込み、付帯させる。
【0041】
読出書込部37は、DVDやCD等の可搬型の記録媒体Mに対しデータの読み出し又は書き込みを行うディスクドライブ等である。なお、可搬型の記録媒体MはUSBメモリやカード型、スティック型等の小型メモリであってもよく、この場合はUSB接続部等が読出手段として機能する。
記録媒体Mに記憶されている画像データ又は医療データがDICOM規格に準拠している場合、患者の氏名、性別、生年月日等の患者情報、撮影部位や撮影方法等の撮影情報等が付帯情報として画像データ又は医療データに付帯されている。
【0042】
次に、上記診断支援システム1の動作について説明する。
最初に、患者の診察の流れについて説明する。
患者が来院すると、受付11において患者に対し受付番号札が付与される。受付装置5では受付患者の受付番号及び患者氏名等の患者情報が入力(受付入力)されると、患者情報のリスト(患者情報リスト)を生成(更新)し、記憶する。患者情報リストは、例えば本日の最初の患者が受付入力されると新たに生成し、次の患者が受付入力される毎に新しい患者情報リストに更新する。
【0043】
受付番号が付与された患者が診察室13に移動すると、医師により問診が行われ、行うべき撮影、検査が決定される。
問診により患部の撮影が必要であると決定された場合には、撮影技師又は医師等の撮影を行う撮影実施者は、患者を画像生成装置2(超音波撮影装置2a、内視鏡撮影装置2b、又はCR撮影装置2c)の前に連れて行き、撮影作業を行う。例えば、画像生成装置2がCR撮影装置2cの場合、撮影装置22において撮影操作を行い、撮影装置22において撮影済みのカセッテを読取装置23にセットし、カセッテに記録された放射線画像の読み取り操作を行う。
画像生成装置2では、撮影実施者の操作に応じて撮影及び画像データの生成を行い、生成された画像データに上述のUIDを付帯して制御装置3へ送信する。
【0044】
問診により、例えば、血圧、体温、心電図等の検査が必要であると決定された場合には、医師又は看護士は、患者に対し、検査装置4で検査のための操作を行う。検査装置4にでは、検査のための処理を実行し、その検査結果のデータを生成して制御装置3に送信する。撮影や検査が終了すると、医師は制御装置3において、画像生成装置2から受信された撮影画像データや検査装置4から受信された検査結果の医療データの表示操作を行い、表示された画像データや医療データを参照して患者の診察を行う。
【0045】
次に、制御装置3において実行される検査結果の表示処理について、図5を参照して説明する。この表示処理は、記憶部35に保存されているプログラムと制御部31との協働により実現される処理である。
図5に示すように、制御装置3では通信部34を介して受付装置5から患者情報リストのデータを取得すると、制御部31の制御により当該患者情報リストを表示部33上に表示する(ステップS1)。
【0046】
医師は、表示された患者情報リストにおいて診察対象の患者を選択し、操作部32を介して当該患者の指定操作を行う。
制御装置3では、操作部32を介して患者が指定されると(ステップS2)、制御部31において指定された患者の患者情報(氏名等)を患者情報リストから取得し、当該患者情報に対応する画像データ及び医療データをデータメモリ36から読み出す。具体的には、データメモリ36内のフォルダを参照し、指定された患者のフォルダを検索する。指定患者のフォルダが検索されると、当該フォルダ内の画像データ及び医療データをデータメモリ36から読み出す。
【0047】
次いで、制御部31は取得日の日付情報に基づいて、読み出した画像データ及び医療データを時系列に一覧表示するサマリ画面を作成し、表示部33上に表示させる(ステップS3)。このとき、制御部31は表示する画像データ及び医療データのそれぞれについてその取得日の日付情報を表示させる。
【0048】
図6に、サマリ画面の例を示す。
図6(a)に示すサマリ画面d1は画像データ表示用の画面であり、図6(b)に示すサマリ画面d2は医療データ表示用の画面である。何れも画像データ又は医療データに係る患者の氏名の他、スクロールキー等の操作用のキー群k3が表示されている。
また、サマリ画面d1、d2にはオンラインキーk1が設けられている。オンラインキーk1については後述する。
【0049】
図6(a)に示すサマリ画面d1には、CR、超音波、内視鏡と、画像生成装置2の種類毎に領域が設けられている。画像データのサムネイル画像d11はその画像データが生成された画像生成装置2に応じた領域に分類されて一覧表示されている。サムネイル画像d11は画像データの表示指示をするためのアイコンとしても機能するものである。
サムネイル画像d11は時間軸においてその画像データの取得日に対応する位置に配置されている。これにより、サムネイル画像d11は時系列に表示されることとなる。また、各サムネイル画像d11には、その取得日の日付情報に基づいて取得日の日付が表示されている。
【0050】
一方、図6(b)に示すサマリ画面d2には、心電図、血液検査、生理検査、薬歴等の医療データの種類ごとに、その医療データを示す検査アイコンd21が表示されている。検査アイコンd21はその操作により、検査アイコンd21に対応する医療データを表示することを指示することができる。
検査アイコンd21は、サムネイル画像d11と同様に、時間軸においてその取得日に応じた位置に表示され、時系列に配置されている。
【0051】
医師は、サマリ画面d1、d2で一覧表示された画像データ及び医療データについて読影を行いたい場合には該当するサムネイル画像d11又は検査アイコンd21を操作する。
また、患者から記録媒体Mを受け取っている場合には、当該記録媒体Mを読出書込部37にセットする。
【0052】
制御装置3では、セットされた記録媒体Mに記憶されているデータの読出を読出書込部37により行う(ステップS4)。一方、制御部31では読み出されたデータがある旨を知らしめるため、サマリ画面d1又はd2において記録媒体用に設けられた、「メディア」のオンラインキーk1を点滅表示させる。ここで、オンラインキーk1とは画像データ又は医療データを患者情報と対応付ける際のモードを選択するための操作キーであり、点滅した状態で1回押下するとオンラインモード、点滅状態で長押しするとオフラインモードを選択することができる。
【0053】
オンラインキーk1は画像データ又は医療データの種類毎、或いは記録媒体用に設けられ、制御部31は取得されたデータが何かによって対応するオンラインキーk1を点滅させる。オンラインモードとは、現在表示中のサマリ画面d1、d2で指定されている患者の患者情報と取得された画像データ及び医療データを対応付けるモードであり、オフラインモードは取得した時点ではすぐには対応付けずに、後に対応付けることができるよう未確定フォルダF6に保存しておくモードである。
【0054】
操作部32を介してオンラインキーk1が長押し操作された場合、制御部31はオフラインモードが選択されたと判断し(ステップS5;オフライン)、読み出されたデータ(以下、読出データという)をデータメモリ36内の未確定フォルダF6に記憶させる(ステップS6)。
【0055】
一方、操作部32を介してオンラインキーk1が1回操作された場合、制御部31はオンラインモードが選択されたと判断する(ステップS5;オンライン)。そして、制御部31は読出データについて付帯情報の有無を判別する(ステップS7)。例えば、読出データがJPEG等の画像データである場合、情報の付帯ができないため、読出データには付帯情報が付帯されていないこととなる。或いは、読出データがDICOM規格に準拠して生成されたものではなかった場合、DICOM規格にのっとって付帯情報が作成されていないため、付帯情報があった場合でも読み出せない。このような場合には付帯情報がないと判断することとする。
【0056】
付帯情報がない場合(ステップS8;Y)、制御部31は読出データの付帯情報に含まれる患者情報と、サマリ画面d1、d2における指定患者の患者情報とを照合する(ステップS8)。読出データがDICOM対応の画像データである場合には、患者の患者氏名、性別、生年月日等の患者情報が付帯されている。よって、サマリ画面d1、d2で表示している指定患者と、記録媒体Mを持ち主である患者が同一人物であれば、その患者情報は全て一致するはずである。
【0057】
患者情報の全てが一致した場合(ステップS8;一致)、サマリ画面d1、d2における指定患者と記録媒体Mの持ち主とが同一人物であるとして、制御部31は読出データをデータメモリ36の指定患者のフォルダF1内に記憶させる(ステップS9)。一方、患者情報が一部又は全部異なる等、不一致となった場合(ステップS8;不一致)、制御部31は読出データをデータメモリ36の未確定フォルダF6に記憶させる(ステップS6)。
【0058】
次に、ステップS7において読出データに付帯情報がないと判断した場合(ステップS7;N)について説明する。この場合、制御部31は図7に示す設定画面d3を表示部33上に表示させる。設定画面d3では、読出データがDICOM対応ではないか、或いは読出データに付帯情報が付帯されていない旨のメッセージが表示されている。また、サマリ画面d1、d2における指定患者の患者氏名等の患者情報が表示され、この指定患者のものとして読出データを保存するか否かを問うメッセージが表示されている。
【0059】
医師はこの設定画面d3において患者情報を確認し、この患者と記録媒体Mの持ち主である患者とが同一人物であると確認できた場合には、OKキーk4を押下することにより、読出データを指定患者の患者情報に対応付けることを指示できる。また、ここでは対応付けを行わない場合には、後に確認のキーk5を押下することにより、一旦読出データを未確定フォルダF6に保存することを指示することができる。
【0060】
設定画面d3においてOKキーk4が操作されると(ステップS10;OK)、制御部31は読出データのヘッダ領域にサマリ画面d1、d2における指定患者の患者情報を書き込む等して、読出データに指定患者の患者情報を付帯させる(ステップS11)。次いで、制御部31は当該読出データをデータメモリ36内の前記指定患者のフォルダF1〜F5内に保存させると(ステップS9)、本処理を終了する。
【0061】
また、設定画面d3において後に確認のキーk5が操作されると(ステップS10;後に確認)、制御部31は読出データをデータメモリ36の未確定フォルダF6内に保存させ(ステップS6)、本処理を終了する。
【0062】
未確定フォルダF6に保存された読出データについては、サマリ画面d1、d2に設けられている未確定キーk2を操作することにより、随時対応付けの指示操作を行うことが可能である。具体的には、未確定キーk2の操作に応じてその対応付けを行うための操作画面を表示する。この操作画面上には、患者情報リストと未確定フォルダF6に保存された読出データの一覧リストが表示される。医師がこの患者情報リストと未確定フォルダF6のデータ一覧リストの中から対応付けるものをそれぞれ選択操作すると、制御部31では選択された患者情報と読出データを対応付けて、データメモリ36内のその患者のフォルダF1〜F6へ保存することとなる。
【0063】
以上のように、本実施形態によれば、指定患者のサマリ画面d1、d2を表示した後、記録媒体Mからの読出データの付帯情報と指定患者の患者情報を照合する。一致すれば読出データに指定患者の患者情報を対応付けて指定患者のフォルダF1へ保存する。これにより、記録媒体Mから読み出した画像データや医療データをデータメモリ36に保存する際に、同一患者のものか否かを確認したうえで保存することができる。照合は読影のために予め指定していた指定患者の患者情報を用いて行うので、読出データと患者情報との対応付けを簡便にかつ正確に行うことが可能である。
【0064】
一方、照合の結果、不一致であれば未確定フォルダF6へ読出データを記憶させる。不一致と判断された場合においても、読出データに指定患者の患者情報を対応付けるよう指示操作が可能であり、この指示操作に応じて読出データに指定患者の患者情報を対応付けてデータメモリ36に記憶させる。例えば、記録媒体Mに記憶された画像データがJPEG等であった場合でも指定患者のフォルダF1〜F6へ保存することにより、指定患者の患者情報に対応付けて保存することが可能である。よって、医師は簡便な操作で対応付けを行うことが可能である。複数の患者についての撮影画像の読影、診察を一人の医師でこなすような小規模な医療機関では、対応付けの操作をも医師が行うこととなるので、操作を簡便とすることにより多忙な医師の作業の効率化を図ることができる。
【0065】
また、不一致と判断された場合、すぐに対応付けせずとも、後に未確定キーk2の操作により対応付けを行うための設定画面を呼び出すことが可能である。よって、簡便な操作で、かつ医師の都合に合わせて対応付けを行うことができる。
【0066】
なお、上記説明は本発明を適用した好適な一例であり、これに限定されない。
例えば、上記説明では読出データの付帯情報と指定患者の患者情報とが不一致の場合、指定患者の患者情報との対応付けの指示操作がない限り、読出データを未確定フォルダF6に保存することとしたが、これに限らず、読出データのデータメモリ36への記憶自体を禁止するよう制御部31において制御することとしてもよい。記憶自体を禁止することにより、患者が不明な読出データをデータメモリ36に保有するのを防ぐことができる。もっとも、未確定フォルダF6へ保存するか、記憶自体を禁止するかは操作部32を介して選択可能としてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、患者を指定し、その指定患者のサマリ画面d1、d2を表示した後に、読出書込部37にセットされた記録媒体Mからデータを読み出す場合を例に説明した。これに対し、患者を指定する前に記録媒体Mがセットされた場合には、患者が指定されるまで記録媒体Mからのデータの読出を待機するよう、制御部31において読出書込部37の処理を制御することとしてもよい。すなわち、必ず指定患者が指定された後に読出データを取得するようにすることにより、付帯情報の照合を行う患者の指定操作を1回省略することができ、簡便な操作とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施形態における診断支援システムのシステム構成を示す図である。
【図2】図1の診断支援システムを小規模な医療機関に適用した一例を示す図である。
【図3】図1の制御装置の内部構成を示す図である。
【図4】図3のデータメモリ内のフォルダ構成を示す図である。
【図5】制御装置により実行されるサマリ画面の表示処理を説明するフローチャートである。
【図6】(a)画像データの一覧表示を行うサマリ画面例を示す図である。(b)医療データの一覧表示を行うサマリ画面例を示す図である。
【図7】付帯情報が付帯されていない場合の対応を設定するための設定画面の例を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1 診断支援システム
2 画像生成装置
2a 超音波撮影装置
2b 内視鏡撮影装置
2c CR撮影装置
3 制御装置
31 制御部
32 操作部
33 表示部
34 通信部
35 記憶部
36 データメモリ
37 読出書込部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を撮影した撮影画像の画像データを生成する画像生成装置又は患者の医療データを入力する入力装置のうち少なくとも一つと、前記撮影画像の画像データ及び/又は前記入力された医療データを患者情報と対応付けて記憶する制御装置と、を備えた診断支援システムにおいて、
前記制御装置は、
前記生成された画像データ又は前記入力された医療データを記憶する記憶手段と、
患者を指定するための操作手段と、
前記操作手段を介して患者が指定された後、可搬型の記録媒体に記憶されている画像データ又は医療データを読み出す読出手段と、
前記読み出された画像データ又は医療データに付帯されている付帯情報と、前記指定された指定患者の患者情報とを照合し、一致する場合に当該画像データ又は医療データを、前記指定患者の患者情報に対応付けて前記記憶手段に記憶させる制御手段と、
を備えることを特徴とする診断支援システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記画像データ又は医療データの付帯情報がない場合、或いは前記付帯情報と前記指定患者の患者情報が一致しない場合、前記画像データ又は医療データの前記記憶手段への記憶を禁止するか、或いは前記記憶手段において未確定フォルダを作成し、当該未確定フォルダに保存することを特徴とする請求項1に記載の診断支援システム。
【請求項3】
前記画像データ又は医療データの付帯情報がない場合、或いは前記付帯情報と前記指定患者の患者情報が一致しない場合、前記操作手段を介して、前記画像データ又は医療データに前記指定患者の患者情報を対応付ける旨の指示操作が可能であり、
前記制御手段は、前記操作手段を介して前記対応付けの旨の指示操作がなされると、前記画像データ又は医療データに前記指定患者の患者情報を対応付けて前記記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項1に記載の診断支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−188329(P2008−188329A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27813(P2007−27813)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】