説明

評価指標算出装置、評価指標算出プログラム、記憶媒体

【課題】欠陥面積の合計値のみから画像の欠陥の度合いを評価する場合に比べて、それぞれの欠陥の特徴による人間の視覚への影響を考慮した評価の指標となる評価指標を提供する。
【解決手段】画像中の検査領域の面積を検査領域面積算出部11で算出し、また検査領域に存在する欠陥の面積を欠陥面積算出部12で算出する。さらに、第1重み係数設定部13は欠陥に対する人間の検出感度特性に対応する第1重み係数を欠陥ごとに設定する。例えば欠陥の大きさに対応する第1重み係数を欠陥ごとに設定する。評価指標算出部14は、欠陥面積算出部12で算出した欠陥の面積と検査領域面積算出部11で算出した検査領域の面積を用いた評価指標に、第1重み係数設定手段で設定した第1重み係数を用いて重み付けを行い、検査領域の欠陥の度合いを示す評価指標を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価指標算出装置、評価指標算出プログラム、記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野で画像を用いた欠陥の検出及び評価が行われている。例えば、画像を媒体上に形成する装置や印刷機で形成された画像の画質を検査する場合には、トナーやインクなどの色材が使用されるべき領域で色材が存在しない部分、あるいは色材が使用されない領域で色材が存在する部分が欠陥として抽出され、欠陥の度合いに応じた評価値を算出している。
【0003】
欠陥の度合いを評価する方法として、例えば、公知の国際標準ISO/IEC13660に定義されている方法がある。この方法によれば、画像から線や文字などの画像部を検出し、画像部上の相対的な反射率が75%以上の面積を欠陥とし、「欠陥面積/画像面積」を評価値として定義している。
【0004】
また特許文献1に記載されている方法では、標準とする2値のパターン(標準パターン)と検査の対象とする2値のパターン(検査対象パターン)とをパターンマッチングにより一致度を算出しており、その際に、標準パターンの位置に応じた重み係数によって重み付けを行っている。さらに、特許文献2に記載されている方法では、予め作成しておいた画像と撮像した画像との差をとり、各画素の輝度値を統計的に処理し、欠陥を抽出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−235359号公報
【特許文献2】特開2004−294202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、欠陥面積の合計値のみから画像の欠陥の度合いを評価する場合に比べて、それぞれの欠陥の特徴による人間の視覚への影響を考慮した評価の指標となる評価指標を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1に記載の発明は、画像中の検査の対象となる検査領域の面積を算出する検査領域面積算出手段と、前記検査領域に存在する欠陥の面積を算出する欠陥面積算出手段と、前記欠陥に対する人間の検出感度特性に対応する第1重み係数を前記欠陥ごとに設定する第1重み係数設定手段と、前記第1重み係数設定手段で設定した第1重み係数と前記欠陥面積算出手段で算出した欠陥の面積及び前記検査領域面積算出手段で算出した検査領域の面積を用いて前記検査領域の欠陥の度合いを示す評価の指標である評価指標を算出する評価指標算出手段を有することを特徴とする評価指標算出装置である。
【0008】
本願請求項2に記載の発明は、本願請求項1に記載の発明における前記第1重み係数設定手段が、前記欠陥の大きさを用いて前記第1重み係数を設定することを特徴とする評価指標算出装置である。
【0009】
本願請求項3に記載の発明は、本願請求項1または請求項2に記載の発明における前記第1重み係数設定手段が、前記欠陥の明度を用いて前記第1重み係数を設定することを特徴とする評価指標算出装置である。
【0010】
本願請求項4に記載の発明は、本願請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明の構成に、さらに、前記画像における明度に関する特徴に対応する第2重み係数を設定する第2重み係数設定手段を有し、前記評価指標算出手段は、さらに前記第2重み係数設定手段で設定した第2重み係数による重み付けを行って前記評価指標を算出することを特徴とする評価指標算出装置である。
【0011】
本願請求項5に記載の発明は、本願請求項4に記載の発明における前記第2重み係数設定手段が、前記検査領域とそれ以外の領域とのコントラストを用いて前記第2重み係数を設定することを特徴とする評価指標算出装置である。
【0012】
本願請求項6に記載の発明は、画像中の検査の対象となる検査領域の面積を算出する検査領域面積算出手段と、前記検査領域に存在する欠陥の面積を算出する欠陥面積算出手段と、前記画像における明度に関する特徴に対応する第2重み係数を設定する第2重み係数設定手段と、前記第2重み係数設定手段で設定した第2重み係数と前記欠陥面積算出手段で算出した欠陥の面積及び前記検査領域面積算出手段で算出した検査領域の面積を用いて前記検査領域の欠陥の度合いを示す評価の指標である評価指標を算出する評価指標算出手段を有することを特徴とする評価指標算出装置である。
【0013】
本願請求項7に記載の発明は、コンピュータに、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の評価指標算出装置の機能をコンピュータに実行させるものであることを特徴とする評価指標算出プログラムである。
【0014】
本願請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の評価指標算出装置の機能をコンピュータに実行させる評価指標算出プログラムを格納したことを特徴とするコンピュータが読取可能な記憶媒体である。
【発明の効果】
【0015】
本願請求項1に記載の発明によれば、欠陥面積の合計値のみから画像の欠陥の度合いを評価する場合に比べて、それぞれの欠陥の特徴による人間の視覚への影響を考慮した評価指標を算出することができる。
【0016】
本願請求項2に記載の発明によれば、それぞれの欠陥の大きさによる視覚への影響を考慮した評価指標を算出することができる。
【0017】
本願請求項3に記載の発明によれば、それぞれの欠陥の明るさによる視覚への影響を考慮した評価指標を算出することができる。
【0018】
本願請求項4に記載の発明によれば、さらに欠陥の全体的な傾向を考慮した評価指標を算出することができる。
【0019】
本願請求項5に記載の発明によれば、欠陥の領域が欠陥以外の領域と比べてどの程度の明るさであるのかを考慮した評価指標を算出することができる。
【0020】
本願請求項6に記載の発明によれば、欠陥の全体的な明度に関する特徴による人間の視覚への影響を考慮した評価指標を算出することができる。
【0021】
本願請求項7に記載の発明によれば、コンピュータを制御させて、それぞれの欠陥の特徴による人間の視覚への影響を考慮した評価指標を算出させるためのプログラムを提供することができる。
【0022】
本願請求項8に記載の発明によれば、コンピュータを制御させて、それぞれの欠陥の特徴による人間の視覚への影響を考慮した評価指標を算出させるためのプログラムが記録された記憶媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す構成図である。
【図2】検査対象を含む画像の第1の具体例の説明図である。
【図3】第1重み係数設定部で用いる重み関数の一例の説明図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す構成図である。
【図5】検査対象を含む画像の第2の具体例の説明図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態を示す構成図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態を示す構成図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態における動作の具体例の説明図である。
【図9】本発明の各実施の形態で説明した機能をコンピュータプログラムで実現した場合におけるコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体とコンピュータの一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の第1の実施の形態を示す構成図である。図中、11は検査領域面積算出部、12は欠陥面積算出部、13は第1重み係数設定部、14は評価指標算出部である。この第1の実施の形態では、検査の対象である検査対象を含む画像中の検査の対象とする領域である検査領域が予め与えられ、また、その検査領域中の欠陥が抽出されているものとする。検査領域の抽出及び検査領域中の欠陥の抽出は、ここでは周知の手法を用いて行えばよいものとし、一例については後述する。
【0025】
検査領域面積算出部11は、画像中の検査の対象となる検査領域の面積を算出する。具体的な手法としては周知の手法を適用すればよく、例えば検査領域の画素数などにより面積としてもよい。
【0026】
欠陥面積算出部12は、検査領域中に存在する欠陥の面積を算出する。この場合も具体的手法としては周知の手法を適用すればよく、欠陥の画素数などにより面積としてもよい。
【0027】
第1重み係数設定部13は、欠陥に対する人間の検出感度特性に対応する第1重み係数を欠陥ごとに設定する。例えば欠陥の大きさや欠陥の明度などに対する人間の検出感度特性を用いて第1重み係数を欠陥ごとに設定するとよい。また、このような第1重み係数の設定には、ロジスティック式やゴンペルツ関数などで回帰したものなどの重み関数を用いるとよい。第1重み係数の設定は、その都度計算するほか、人間の検出感度特性に依存する欠陥の特徴と第1重み係数とを対応付けた表を予め作成しておき、その表から各欠陥に対応する第1重み係数を設定してもよい。なお、人間の検出感度特性については具体例を用いて後述する。
【0028】
評価指標算出部14は、第1重み係数設定部13で設定した第1重み係数と、欠陥面積算出部12で算出した欠陥の面積と、検査領域面積算出部11で算出した検査領域の面積を用いて、検査領域の欠陥の度合いを示す評価の指標である評価指標を算出する。このようにして求められた評価指標は、第1重み係数設定部13で人間の検出感度特性に対応する第1重み係数を用いて算出されており、人間の検出感度特性を考慮した評価指標が得られることになる。
【0029】
具体例を用いながら、上述の第1の実施の形態における動作の一例を説明する。ここでは、画像が形成される媒体である記録媒体上に検査対象を含む画像が形成されており、その記録媒体上に形成された画像の検査対象における欠陥の検査を行う場合を取り上げる。図2は、検査対象を含む画像の第1の具体例の説明図である。図2に示した例では、記録媒体上に「子」の文字が形成された場合を示している。黒く示している文字「子」の部分が検査対象となる。
【0030】
図2(A)では、文字「子」の内部に白抜け(欠陥の一種、トナーやインクなどの色材が使用されるべき領域で色材が存在しない部分を指す)が存在しており、これがそれぞれ欠陥である。図2(B)においても文字「子」の内部の白抜けが存在しているが、その面積は図2(A)に示した例における白抜けの1つよりも広いものとしている。検査領域面積算出部11は、文字「子」の部分全体の面積を検査領域の面積として算出する。また欠陥面積算出部12は、検査領域中に存在する白抜けしている欠陥の面積を算出する。
【0031】
第1重み係数設定部13では、この例では白抜けしている面積に対応する第1重み係数を欠陥ごとに設定する。人間の感覚では、図2(B)に示した例は図2(A)に示した例に比べて欠陥として目立っており、欠陥として認識されやすいという傾向にある。また、図2(A)に示した例では、図2(B)に示した例における欠陥に比べて小さい欠陥が散在しているが、このように散在しているよりも図2(B)に示した例のように集中した方が欠陥として認識される傾向にある。一般に、画像の種類や視認環境(観察の際の照明や画像までの距離等)などの条件が変わるために定量的には言えないが、人間の感覚では見えない、あるいは見えても気にならない欠陥の大きさが存在し、その大きさよりも大きくなると欠陥の存在を欠陥として認識する確率が高くなってゆく。そして、ある程度の大きさを超えると欠陥を疑わなくなる。この具体例で言えば、白抜けの大きさによって、その白抜けを人間が欠陥として感じるか否かが変化することになる。ここでは欠陥の大きさについての人間の感覚により欠陥として認識される傾向を示したが、このほかにも、後述する明るさ(明度)についての傾向や、その他の要因についての傾向が存在する。これら種々の要因に対して人間が欠陥を欠陥として感覚的に検出する特性を人間の検出感度特性としている。第1重み係数設定部13では、欠陥に対する人間の検出感度特性に対応する第1重み係数を欠陥ごとに設定するものであって、ここでは、白抜けした欠陥の大きさに対する人間の感覚的な特性に評価指標が対応するように、第1重み係数を設定する。
【0032】
図3は、第1重み係数設定部で用いる重み関数の一例の説明図である。白抜けした欠陥の大きさに対する人間の感覚的な特性を評価指標に反映させるため、例えば図3に示す重み関数を用いて第1重み係数を設定するとよい。図3では、欠陥の大きさ(面積)に対して重み関数から得られる第1重み係数の関係の一例を示している。上述した人間の感覚に合わせて、欠陥の面積が0からある程度の大きさまでは第1重み係数はほとんど0であり、欠陥として感じないことを示している。その後次第に第1重み係数は大きくなって行き、次第に欠陥として認識する確率が高くなってゆくことを示している。ある程度の大きさ以上では第1重み係数は予め決められた値として、欠陥を認識することを示している。もちろん、図3に示した重み関数に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0033】
評価指標算出部14は、第1重み係数設定部13で設定した第1重み係数により欠陥面積算出部12で算出した欠陥の面積を重み付けした値と、検査領域面積算出部11で算出した検査領域の面積を用いて、検査領域の欠陥の度合いを示す評価指標を算出する。具体例としては、第1重み係数設定部13で設定された第1重み係数をWi(i=1…n)、欠陥の面積をSDi(i=1…n)、検査領域の面積をSSとすると、
総重み係数=Σt=1mWt
評価指標=((ΣSDi)/SS)×(総重み係数+1)
により評価指標を求めるとよい。ここで、総重み係数を算出する際のmは、m=nでもよいし、いくつかの欠陥に限って第1重み係数を加算することとして1≦m<nの範囲で決定してもよい。例えば大きさの順に欠陥を選択するとよい。別の具体例としては、
評価指標=(ΣSDi・Wi)/SS
で評価指標を求めてもよい。
【0034】
算出された評価指標は、第1重み係数設定部13で白抜けに対する人間の検出感度特性に対応した第1重み係数を用いて算出している。そのため、人間の感覚として目立つ白抜けに対しては目立たない白抜けよりも重い第1重み係数により重み付けされ、目立つ白抜けが多いほど評価指標は大きな値となる。従って、人間の検出感度特性が反映された評価指標が得られることになる。
【0035】
この例では、文字内の白抜けを欠陥とし、その大きさ(面積)を特徴としてその特徴に対する人間の感覚的な特性を考慮した評価指標を得る例を示した。もちろん、欠陥の特徴として欠陥の大きさ(面積)以外の特徴を用いてもよい。例えばそれぞれの欠陥の濃度や画素値などの明度の情報を用いてもよく、その場合には使用する特徴に対する人間の感覚的な特性を考慮して第1重み係数を設定すればよい。また、具体例として説明した記録媒体上に形成された画像の欠陥の検査だけでなく、他の欠陥の検査に応用してもよいことは言うまでもない。
【0036】
図4は、本発明の第2の実施の形態を示す構成図である。図中、15は第2重み係数設定部である。この第2の実施の形態では、第1の実施の形態の構成に、さらに第2重み係数設定部15を設けた例を示している。
【0037】
第2重み係数設定部15は、検査対象を含む画像における明度に関する特徴に対応する第2重み係数を設定する。例えば、検査領域と検査領域以外の領域とのコントラストを用いて第2重み係数を設定するとよい。コントラストは、例えば検査対象を含む画像の明度ヒストグラムなどから算出すればよい。もちろんこれに限らず、検査領域とそれ以外の領域の画素値の平均や濃度の平均などの明度の情報から第2重み係数を設定してもよい。また、コントラストでなく、単純に検査領域以外の領域あるいは欠陥の領域の濃度の平均などの明度の情報を用いて第2重み係数を設定してもよい。第2重み係数は、関数などによって算出するほか、例えば明度の情報と第2重み係数とを対応付けた表を予め用意しておき、この表から明度の情報に対応する第2重み係数を設定してもよい。
【0038】
この第2の実施の形態では、評価指標算出部14は、さらに第2重み係数設定部15で設定した第2重み係数による重み付けを行って欠陥の度合いを示す評価指標を算出することになる。
【0039】
具体例を用いながら、上述の第2の実施の形態における動作の一例を説明する。この例においても、記録媒体上に形成された画像の欠陥の検査を行う場合を取り上げる。図5は、検査対象を含む画像の第2の具体例の説明図である。図5に示した例では、記録媒体上に文字「子」が形成された場合を示している。黒く示している文字「子」の部分が検査の対象となる。
【0040】
図5(B)に示す例では、図5(A)に示す例よりも検査対象の文字「子」以外の背景となる領域における明度が低いものとしている。図示の都合上、斜線を施して明度が異なることを示している。人間の視覚的には、背景と文字「子」の領域との明度の違い(コントラスト)が大きい方が区別されやすく、小さいと区別されにくくなる。白抜けした欠陥においても、明度の違いが大きいと欠陥として認識されやすく、小さいと欠陥として認識されにくくなる。このような人間の視覚的な傾向を、第2重み係数設定部15では第2重み係数として設定している。第2重み係数は、コントラストの値をそのまま用いるほか、予め決めておいた関数によりコントラストの値から導出してもよい。もちろんコントラスト以外の明度の情報から第2重み係数を設定してもよい。
【0041】
検査領域面積算出部11は、文字「子」の部分の面積を検査領域の面積として算出する。また欠陥面積算出部12は、検査領域中に存在する白抜けしている欠陥の面積を算出する。さらに、第1重み係数設定部13では、この例では白抜けしている面積に対応する第1重み係数を欠陥ごとに設定する。これらについては、第1の実施の形態における動作例で説明した通りである。
【0042】
評価指標算出部14は、第1重み係数設定部13で設定した第1重み係数により欠陥面積算出部12で算出した欠陥の面積を重み付けした値と、検査領域面積算出部11で算出した検査領域の面積を用いるとともに、さらに、第2重み係数設定部15で設定した第2重み係数を用いて、検査領域の欠陥の度合いを示す評価指標を算出する。具体例としては、第1重み係数設定部13で設定された第1重み係数をWi(i=1…n)、欠陥の面積をSDi(i=1…n)、検査領域の面積をSS、第2重み係数をwとすると、
総重み係数=Σt=1mWt
評価指標=((ΣSDi)/SS)×(総重み係数+1)×w
により評価指標を求めるとよい。ここで、総重み係数を算出する際のmについては第1の実施の形態における動作例で説明した通りである。別の具体例としては、
評価指標=(ΣSDi・Wi)・w/SS
で評価指標を求めてもよい。
【0043】
算出された評価指標には、第1重み係数設定部13で白抜けの大きさに対する人間の検出感度特性を反映されているとともに、第2重み係数設定部15で画像全体のコントラストなどの明度に対する人間の感度特性が反映されていることになる。
【0044】
この例では、第1重み係数として文字内の白抜けの大きさ(面積)を用いたが、その他の欠陥の特徴を用いてもよい。また、第2重み係数についても、コントラスト以外の明度の情報を用いてもよい。さらに、具体例として説明した記録媒体上に形成された画像の欠陥の検査だけでなく、他の欠陥の検査に応用してもよいことは言うまでもない。
【0045】
図6は、本発明の第3の実施の形態を示す構成図である。この第3の実施の形態では、第2の実施の形態の構成から第1重み係数設定部13を除いたものである。各部の構成については第1,第2の実施の形態で既に述べた通りである。なお、評価指標算出部14における評価指標の求め方の具体例としては、第2の実施の形態の動作例で第1重み係数を1と見なして算出すればよい。
【0046】
図7は、本発明の第4の実施の形態を示す構成図である。図中、21はぼかし処理部、22は2値化部、23は欠陥領域抽出部である。この第4の実施の形態では、第1の実施の形態で示した構成に、画像の前処理を行うぼかし処理部21、2値化部22、欠陥領域抽出部23を設けた構成を示している。もちろん、第2の実施の形態、第3の実施の形態に、これらの構成を設けてもよい。
【0047】
ぼかし処理部21は、検査対象の画像に対して画像をぼかすぼかし処理を行う。このぼかし処理によってノイズを除去するとともに、検査領域内の欠陥の領域を埋める。ぼかし処理としては、ノイズを除去する処理などで一般的に用いられるガウシアンフィルタを用いるとよい。もちろんこれに限らず、DOGフィルタや予め設定されている方位についてフィルタリングを行う方位選択性DOGフィルタなど、ノイズを除去し、かつ欠陥の領域を埋めるものであればどのような処理でもよい。
【0048】
2値化部22は、ぼかし処理部21で処理した画像を2値化する2値化処理を行う。この2値化処理によって、検査領域が2値の一方の値、検査領域以外が2値の他方の値となるようにする。2値化処理の際には、検査領域の大きさが変化しないように、閾値のパラメータを決定しておくとよい。
【0049】
欠陥領域抽出部23は、2値化部22により2値化された画像における一方の値の領域を検査領域とし、検査対象の画像における検査領域から欠陥の領域を抽出する。欠陥の領域を抽出する方法としては、検査対象の画像のうち、2値化された画像から特定した検査領域の画素の値と予め設定した閾値とを比較して行えばよい。もちろん、他の方法により欠陥の領域を抽出してもよい。なお、抽出した欠陥のそれぞれについて、例えばラベリングの処理などを行って、それぞれの欠陥を識別するようにしておくとよい。
【0050】
具体例を用いながら、本発明の第4の実施の形態における動作の一例を説明する。ここでは、記録媒体上に形成された画像の欠陥検査を行う場合を取り上げる。検査対象の画像は、例えば記録媒体上に形成された画像を、スキャナやカメラなどの画像を読み取る装置によって読み取って用意すればよい。もちろん、このほかの画像であってもよい。
【0051】
図8は、本発明の第4の実施の形態における動作の具体例の説明図である。図8(A)には検査対象の画像の具体例を示している。黒く示している文字「子」の部分が検査対象であり、内部に白抜けした欠陥が存在している。
【0052】
まず、ぼかし処理部21によって図8(A)に示す検査対象の画像に対してぼかし処理を施す。得られた画像の一例を図8(B)に示している。図示の都合上、ぼけによる濃淡については斜線を施すことで示している。このぼかし処理によってノイズが除去され、また白抜けした欠陥がつぶされる。
【0053】
ぼかし処理部21でぼかし処理が施された図8(B)に示す画像について、2値化部22で2値化処理を行う。二値化された画像を図8(C)に示している。図8(C)では黒と白により二値を示しており、文字「子」の領域が2値の一方の値(黒)になっている。図8(C)で黒く示された領域を検査領域とすればよい。
【0054】
欠陥領域抽出部23は、図8(A)に示した検査対象の画像のうち、図8(C)において黒く示されている検査領域の画素を参照し、例えば予め設定しておいた閾値で2値化すると、図8(D)において黒く示した欠陥の部分が抽出される。なお、図8(D)では検査領域を破線で示している。
【0055】
検査領域面積算出部11は、2値化部22で2値化処理された画像から、2値の一方の値となっている検査領域について、面積を算出すればよい。また、欠陥面積算出部12は、欠陥領域抽出部23で抽出したそれぞれの欠陥の面積を算出すればよい。さらに、第1重み係数設定部13で、それぞれの欠陥の大きさ、欠陥の明度などをもとに第1重み係数を設定する。そして、評価指標算出部14は第1重み係数設定部13で設定した第1重み係数と欠陥面積算出部12で算出した欠陥の面積と検査領域面積算出部11で算出した検査領域の面積を用いて、検査領域の欠陥の度合いを示す評価指標を算出すればよい。検査領域面積算出部11、欠陥面積算出部12、第1重み係数設定部13、評価指標算出部14の動作については第1の実施の形態で述べたとおりである。
【0056】
上述の各実施の形態における具体例では、記録媒体上に形成された画像の欠陥検査を行う場合を例にして説明しているが、検査対象はこの例に限られるものでないことは言うまでもない。検査対象を含む画像が与えられ、検査対象に存在する欠陥に対する人間の視覚による影響を反映した評価指標を得る用途であれば、どのような検査に用いてもよい。
【0057】
図9は、本発明の各実施の形態で説明した機能をコンピュータプログラムで実現した場合におけるコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体とコンピュータの一例の説明図である。図中、31はプログラム、32はコンピュータ、41は光磁気ディスク、42は光ディスク、43は磁気ディスク、44はメモリ、51はCPU、52は内部メモリ、53は読取部、54はハードディスク、55はインタフェース、56は通信部である。
【0058】
上述の本発明の各実施の形態で説明した各部の機能を全部あるいは部分的に、コンピュータにより実行するプログラム31によって実現してもよい。その場合、そのプログラム31およびそのプログラムが用いるデータなどは、コンピュータが読み取る記憶媒体に記憶させておけばよい。記憶媒体とは、コンピュータのハードウェア資源に備えられている読取部53に対して、プログラムとして記述されている内容に応じて、磁気、光、電気等のエネルギーの変化を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読取部53にプログラムとして記述されている内容を伝達するものである。例えば、光磁気ディスク41,光ディスク42(CDやDVDなどを含む)、磁気ディスク43,メモリ44(ICカード、メモリカード、フラッシュメモリなどを含む)等である。もちろんこれらの記憶媒体は、可搬型に限られるものではない。
【0059】
これらの記憶媒体にプログラム31を格納しておき、例えばコンピュータ32の読取部53あるいはインタフェース55にこれらの記憶媒体を装着することによって、コンピュータからプログラム31を読み出し、内部メモリ52またはハードディスク54(磁気ディスクやシリコンディスクなどを含む)に記憶し、CPU51によってプログラム31を実行することによって、上述の本発明の各実施の形態で説明した機能が全部あるいは部分的に実現される。あるいは、通信路を介してプログラム31をコンピュータ32に転送し、コンピュータ32では通信部56でプログラム31を受信して内部メモリ52またはハードディスク54に記憶し、CPU51によりプログラム31を実行することによって実現してもよい。
【0060】
コンピュータ32には、このほかインタフェース55を介して様々な装置と接続してもよい。例えば画像を読み取る画像読取装置が、このインタフェース55を介して接続され、検査対象を含む画像を画像読取装置から取得してもよい。また、情報を表示する表示手段や利用者からの情報を受け付ける受付手段等も接続されていてもよい。例えば評価指標を表示手段から利用者へ提示してもよい。また評価指標は通信部56から通信路を介して他の装置へ転送してもよいし、他のプログラムに渡してもよい。
【0061】
もちろん、部分的にハードウェアによって構成してもよいし、全部をハードウェアで構成してもよい。あるいは、他の構成とともに本発明の実施の一形態で説明した機能の全部あるいは部分的に含めたプログラムとして構成してもよい。他の用途に適用する場合には、その用途におけるプログラムと一体化してもよい。
【符号の説明】
【0062】
11…検査領域面積算出部、12…欠陥面積算出部、13…第1重み係数設定部、14…評価指標算出部、15…第2重み係数設定部、21…ぼかし処理部、22…2値化部、23…欠陥領域抽出部、31…プログラム、32…コンピュータ、41…光磁気ディスク、42…光ディスク、43…磁気ディスク、44…メモリ、51…CPU、52…内部メモリ、53…読取部、54…ハードディスク、55…インタフェース、56…通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像中の検査の対象となる検査領域の面積を算出する検査領域面積算出手段と、前記検査領域に存在する欠陥の面積を算出する欠陥面積算出手段と、前記欠陥に対する人間の検出感度特性に対応する第1重み係数を前記欠陥ごとに設定する第1重み係数設定手段と、前記第1重み係数設定手段で設定した第1重み係数と前記欠陥面積算出手段で算出した欠陥の面積及び前記検査領域面積算出手段で算出した検査領域の面積を用いて前記検査領域の欠陥の度合いを示す評価の指標である評価指標を算出する評価指標算出手段を有することを特徴とする評価指標算出装置。
【請求項2】
前記第1重み係数設定手段は、前記欠陥の大きさを用いて前記第1重み係数を設定することを特徴とする請求項1に記載の評価指標算出装置。
【請求項3】
前記第1重み係数設定手段は、前記欠陥の明度を用いて前記第1重み係数を設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の評価指標算出装置。
【請求項4】
さらに、前記画像における明度に関する特徴に対応する第2重み係数を設定する第2重み係数設定手段を有し、前記評価指標算出手段は、さらに前記第2重み係数設定手段で設定した第2重み係数による重み付けを行って前記評価指標を算出することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の評価指標算出装置。
【請求項5】
前記第2重み係数設定手段は、前記検査領域とそれ以外の領域とのコントラストを用いて前記第2重み係数を設定することを特徴とする請求項4に記載の評価指標算出装置。
【請求項6】
画像中の検査の対象となる検査領域の面積を算出する検査領域面積算出手段と、前記検査領域に存在する欠陥の面積を算出する欠陥面積算出手段と、前記画像における明度に関する特徴に対応する第2重み係数を設定する第2重み係数設定手段と、前記第2重み係数設定手段で設定した第2重み係数と前記欠陥面積算出手段で算出した欠陥の面積及び前記検査領域面積算出手段で算出した検査領域の面積を用いて前記検査領域の欠陥の度合いを示す評価の指標である評価指標を算出する評価指標算出手段を有することを特徴とする評価指標算出装置。
【請求項7】
コンピュータに、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の評価指標算出装置の機能をコンピュータに実行させるものであることを特徴とする評価指標算出プログラム。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の評価指標算出装置の機能をコンピュータに実行させる評価指標算出プログラムを格納したことを特徴とするコンピュータが読取可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−68822(P2012−68822A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212271(P2010−212271)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】