説明

試料送液ポンプおよび送液ポンプを用いたICP発光分析装置

【課題】ICP発光分析装置における、送液力のより強い、安定性の高い試料送液能力を備えた送液ポンプを提供する。
【解決手段】試料13を保持した試料容器12は、気密な試料室14の内部に設置されており、キャピラリ10から繋がる導入経路の細管は、試料室14の壁を気密性を損なわずに貫通して、試料13の中に挿入される。試料室14はバルブ15を介してアルゴンガスボンベに接続しバルブ15を介して外部大気と連通可能である。本実施例では、試料室14内の圧力と大気圧との圧力差を検出する差圧検出器17の出力に応じ、バルブ15およびバルブ16を開閉する制御器18が備えられる。あらかじめ制御器に目標とする圧力差を設定して制御回路と圧力検出器を動作させ、試料室内部の圧力が、目的の圧力差だけ大気圧より高く保持されるようバルブ15とバルブ16が制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分析装置に関する
【背景技術】
【0002】
ICP発光分析装置や原子吸光分析装置などの分析装置における液体試料導入手段として、試料をエアロゾル状態にするためのネブライザーが広く使用されている。
【0003】
ICP発光分析装置において、液体試料はネブライザーで霧化され試料エアロゾルとなり、アルゴンガスと共にプラズマトーチに導入される。プラズマトーチの先端部外周を誘導コイルが囲繞しており、この誘導コイルに供給される高周波電流によってプラズマトーチ先端にアルゴンプラズマ炎が生成される。試料エアロゾル中の試料原子は、このプラズマ炎を通過する時に加熱・励起されて、その原子種固有の波長の発光を呈する。この発光を分光分析することにより、試料中の元素の定性・定量分析が行われる。
【0004】
従来用いられているプラズマトーチおよびスプレーチェンバーとネブライザーの一構成例を図4に示す。図4において、プラズマトーチAは同軸円筒状の三重構造になっており、内芯には試料エアロゾルを含むキャリアガス(アルゴンガス)を通すキャリアガス管7が位置し、その周囲をプラズマ用のアルゴンガスを流すためのプラズマガス管5が、さらに最外周を冷却用のアルゴンガスを流すためのクーラントガス管3が取り囲む構造になっている。プラズマガスとクーラントガスは、それぞれプラズマガス入口6とクーラントガス入口4から供給される。そして、クーラントガス管3の端部外側に高周波誘導電流を流すコイル2が2〜3ターン巻きつけられている(特許文献1参照)。
【0005】
キャリアガス管7に試料エアロゾルを供給するためのスプレーチェンバー11には、図4のようにネブライザー8が嵌着されている。ネブライザー8の中心にはキャピラリ10が貫設され、キャピラリ10の一端は細管によって試料容器12に入れられた試料13に繋がっている。キャリアガス入口9を通して供給されるキャリアガスは、キャピラリ10の周囲からネブライザー8先端のノズルよりスプレーチェンバー11内部に噴出する。
【0006】
この際にネブライザー8先端に局所的に生じる負圧によって、霧吹きの原理で試料13が試料容器12より吸い上げられ、キャピラリ10の先端より微細な霧となってスプレーチェンバー11内に噴出する。霧化された試料の内、粗い霧滴はスプレーチェンバー11の内壁に凝集し、廃液として下部のU字管から図示されていない廃液槽に排出される。U字管の中に滞留する廃液がキャリアガスのU字管部からの流出を封止し、さらに、廃液の液面のレベルを一定に保持することにより、液面の変動に起因する測定信号の揺らぎを防止する。
【0007】
測定時には、コイル2に高周波電流が供給されて、プラズマトーチAの先端部に高温のプラズマ炎1が形成される。試料13は、スプレーチェンバー11内で霧化し、キャリアガスと混合されてプラズマトーチAのキャリアガス管7を通過し、最後にプラズマ炎1の中心に送り込まれる。エアロゾル霧中の試料原子は、プラズマ炎1内で加熱・励起され、発光する。この発光は、プラズマ炎1の側方におかれた分光器(図4には示されていない)に、レンズあるいはミラーを用いた集光光学系によって導入され、測定対象元素に対応する波長の発光強度が測定され、試料13中の元素の定性・定量分析が行われる。
【0008】
高感度で高精度の測定を行うためには、プラズマ炎1に供給される霧の量が変動しないことが重要であり、これを実現するために種々の工夫が行われている(たとえば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−272349公報
【特許文献2】特開2003−215042公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ICP発光分析装置と、それに用いられている液体試料の導入方法は、一般に上述のような構造と特徴を持っており、この従来のICP発光分析装置おける送液力は、ネブライザー先端から噴出するキャリアガスによってキャピラリ先端部に惹起される負圧による吸引力のみである。このため、充分な吸引力が得られず、試料容器からネブライザーまでの導入経路が長い場合や、試料液の粘性が大きい場合には、試料の吸引が不可能となることがある。
【0010】
このような場合に、導入経路の途中にペリスタルティックポンプを介在させ、液体試料に強制的に圧力を加え、ネブライザーの吸引力を補足する方法が採用される。しかし、この方法では、補助的に使用するペリスタルティックポンプのローラーの間歇的な加圧動作のために、しごきチューブ中を流動する液体に脈流が生じ、これが測定信号の安定性を阻害する原因となる。また、しごきチューブの時間的な弾力低下による送液力の低下も測定信号を不安定にする一因となるため、頻繁なチューブの交換作業が要求される。
【0011】
本発明は、上記の従来法の問題点を解決して、導入経路の長い場合や粘性の高い試料に対しても充分で安定した送液力を持ち、液の脈流や送液力の変動によって測定信号の安定性が阻害されることのないICP発光分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために本発明が提供する第一の送液ポンプは、容器に収容された試料液を内方に収納した試料室からプラズマトーチ室に流路を介して送液するポンプであって、試料室とガスボンベとの接続路に介設されたガス流量調節用バルブと、試料室の大気への開放流量を調節する大気開放バルブと、大気圧と試料室内の圧力との差を検出する差圧検出器と、その差圧検出器の出力により両バルブを開閉する制御器によって構成されたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明が提供する第二の送液ポンプは、容器に収容された試料液を内方に収納した試料室からプラズマトーチ室に流路を介して送液するポンプであって、プラズマトーチ室から外部への排気路に配設された排気ポンプと、前記排気路に配設された流量調節バルブと、プラズマトーチ室への大気流入量を調節する流量調節バルブと、大気圧と前記プラズマトーチ室内の圧力差を検知する差圧検出器と、前記差圧検出器の出力を一定値に保持するべく前記二個の流量調節バルブを開閉する制御器によって構成されたことを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明が提供する第一のICP発光分析装置は、ネブライザーによって霧化した液体試料をプラズマトーチによって加熱発光させて分析を行うICP発光分析装置であって、前記ネブライザーへ液体試料の搬送を、試料室とガスボンベとの接続路に介設されたガス流量調節用バルブと、試料室の大気への開放流量を調節する大気開放バルブと、大気圧と前記試料室の内圧との差を検出する差圧検出器と、前記差圧検出器の出力を一定に保持するべく両バルブを開閉する制御器によって構成された送液ポンプによって行わせることを特徴とする。
【0015】
また、本発明が提供する第二のICP発光分析装置は、ネブライザーによって霧化した液体試料をプラズマトーチによって加熱発光させて分析を行うICP発光分析装置において、前記ネブライザーへ液体試料の搬送を、プラズマトーチ室から外部への排気路に配設された排気ポンプと、前記排気路に配設された流量調節バルブと、プラズマトーチ室への大気流入量を調節する流量調節バルブと、大気圧と前記プラズマトーチ室内の圧力差を検知する差圧検出器と、前記差圧検出器の出力を一定値に保持するべく前記二個の流量調節バルブを開閉する制御器によって構成された送液ポンプによって行わせることを特徴とする。
【0016】
さらに本発明は、上記の第一および第二のICP発光分析装置における変形実施例として、送液ポンプと試料室がそれぞれ複数個備えられ、複数の試料を交互にあるいは同時に送液できることを特徴とするICP発光分析装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によって、送液力が充分大きく、導入経路が長い場合や試料の粘性が高い場合においても安定した流量の試料を分析装置に供給され、信頼性の高い分析が可能となる。送液のパワーをネブライザーで生ずる負圧に依存しなくても安定な送液が確保されるため、ネブライザーの役目を微細な霧粒を発生させることに限定でき、ネブライザー先端部の形状や寸法精度を従来のものより単純で加工性の良いものにすることができる。また、ペリスタルティックポンプを使用する場合に必要なチューブの交換などのメンテナンス作業が不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、液体試料の試料容器周囲の気圧を、装置内の試料導入経路出口の気圧より高くして、その圧力差をネブライザー本来の吸引力に重畳させることを特徴とするもので、第一の実施例は、試料容器を配置する気密な試料室と、その内部の気圧を外部より一定値だけ高く保持する圧力制御機構を主な構成要素とすることを特徴とする送液ポンプである。また、第二の実施例は、ネブライザー、スプレーチェンバーおよびプラズマトーチを収納するプラズマトーチ室の内部の圧力を外部(大気圧)より低い一定値に保持する圧力制御機構を主な構成要素とすることを特徴とする送液ポンプである。本発明の第三の実施例は、第一の実施例の送液ポンプを用いて試料をプラズマトーチに導入する構成としたことを特徴とするICP発光分析装置である。また、第四の実施例は、第二の実施例の送液ポンプを用いて試料をプラズマトーチに導入する構成としたことを特徴とするICP発光分析装置である。本発明はこれらの諸特徴をすべて備えた装置が最良の形態である。
【実施例1】
【0019】
本発明にかかる第一の送液ポンプの実施例を図1に従って説明する。
【0020】
本実施例における送液ポンプPは、試料13を保持する試料容器12を収納する気密な試料室14と、試料室14とアルゴンガスボンベを接続する配管に介設されたバルブ15と、試料室14と外気を接続する配管に介設されたバルブ16と、試料室14内の圧力と大気圧との圧力差を検出する差圧検出器17と、差圧検出器17の出力に応じて、バルブ15およびバルブ16を開閉する制御器18によって構成されている。導入経路としての細管23が試料室14の壁を気密性を損なわずに貫通して、試料13の中に挿入されている。
【0021】
試料室14はアルゴンガスによって満たされるが、その圧力を大気圧より高く保持すれば、その差圧によって試料13は細管23を通って外部に押し出される。本実施例では、あらかじめ制御器18に必要な圧力差(0〜1気圧)を設定して制御器18と差圧検出器17を動作させると、試料室14内部のアルゴンガスの圧力が、目的の圧力差だけ大気圧より高く保持されるように、バルブ15とバルブ16の開口量が制御される。これによって常に充分の大きさでしかも安定した圧力が試料13の液面にかかり、試料13が一定の安定した速度で外部へ搬送される。
【実施例2】
【0022】
上記の第一の送液ポンプを用いたICP発光分析装置の一実施例を図2に示す。
【0023】
プラズマトーチAがスプレーチェンバー11上に設置され、プラズマガス入口6とクーラントガス入口4にはアルゴンガスが供給される。プラズマトーチA端部外側に高周波誘導電流を流すコイル2が2〜3ターン巻きつけられている。スプレーチェンバー11にはネブライザー8が嵌着されており、ネブライザー8の中心のキャピラリ10の一端は細管23によって送液ポンプPと連結している。送液ポンプPは図1において説明したものと同一である。キャリアガス入口9を通して供給されるキャリアガスは、キャピラリ10の周囲からネブライザー8先端のノズルよりスプレーチェンバー11内部に噴出する。
【0024】
試料室14内部のアルゴンガスの圧力が、目的の圧力差だけ大気圧より高く保持されるように、バルブ15とバルブ16の開口量が制御される。測定時には、コイル2に高周波電流が供給されて、プラズマトーチAの先端部に高温のプラズマ炎1が形成される。スプレーチェンバー11内の空間はキャリアガス管7を介して大気と連結しているため、スプレーチェンバー11内の圧力はほぼ大気圧に等しい。このため試料13は、ネブライザー8の先端部で生ずる局所的負圧によって吸引されるだけではなく、試料室14の内圧と大気圧との差圧によって試料13の液面に加わる圧力によってさらに強くしかも安定した力でネブライザー8に押し出される。こうして試料容器12からネブライザー8へ搬送された試料13は、キャリアガスによって微細な霧としてスプレーチェンバー11内に噴霧される。
【0025】
霧はキャリアガスの流れに乗ってプラズマトーチAのキャリアガス管7を通過し、最後にプラズマ炎1の中心に送り込まれる。霧中の試料原子は、プラズマ炎1内で加熱・励起され、発光する。この発光は、プラズマ炎1の側方におかれた分光器(図2には示されていない)に、レンズあるいはミラーを用いた集光光学系によって導入され、測定対象元素に対応する波長の発光強度が測定され、試料13中の元素の定性・定量分析が行われる。
【0026】
差圧検出器17と制御器18によって保持される差圧の最適値は、上記に例示した範囲に限定されるものではなく、最も効率よく試料が送液され、しかも充分微細な霧が発生するようにあらかじめ実験的に決定することができる。また、試料の粘性や表面張力によって、差圧の設定値を試料の特性にマッチした値に選択することも可能である。
【0027】
試料室14に圧力源として供給されるガスとしては、空気、窒素などがより低コストのものとして考えられる。しかし、本実施例でアルゴンガスを使用している理由は、試料容器12中に試料13がなくなった場合や、細管23の下端を試料13の液面より上に持ち上げた場合にも、キャリアガスと同じアルゴンガスが細管23からネブライザー8を通ってプラズマ炎1に送られ、プラズマを乱すような異種のガスが混入しないためである。
【実施例3】
【0028】
本発明の第三の実施例を図3に示す。
【0029】
プラズマトーチA、スプレーチェンバー11およびネブライザー8はプラズマトーチ室19に収納されており、プラズマトーチ室19はバルブ20と排気ポンプ21を介して大気と連通している。プラズマトーチ室19内の圧力と大気圧との圧力差を検出する差圧検出器17と、差圧検出器17の出力に応じて、バルブ20の開閉度を制御する制御器18が備えられている。あらかじめ目的とする圧力差を制御回路に設定して系を動作させると、プラズマトーチ室19内の気圧が設定した圧力差だけ大気圧より低く保持されるように、排気ポンプ21による外部への排気流量が制御される。
【0030】
設定された差圧をより安定に保持するために、プラズマトーチ19室と外気を別個のバルブ22を介して連結し、必要に応じて、制御器18によってバルブ22より外気をプラズマトーチ室に流入させることもできる。また、必要に応じて制御器18は排気ポンプ21のON/OFFを行うことも可能である。
【0031】
本実施例におけるプラズマトーチAおよびスプレーチェンバー11は、図1に示した第1の実施例におけるものと同様のものが使用され、プラズマガス入口6とクーラントガス入口4にはアルゴンガスが供給される。プラズマトーチ端部外側に高周波誘導電流を流すコイル2が2〜3ターン巻きつけられている。スプレーチェンバー11にはネブライザー8が嵌着されており、キャリアガス入口9にはアルゴンガスが供給される。ネブライザー8の中心にはキャピラリ10が貫設されている。キャピラリ10の一端は導入経路の細管23によって試料容器12の中の試料13に挿入されている。
【0032】
測定時には、コイル2に高周波電流が供給されて、プラズマトーチAの先端部に高温のプラズマ炎1が形成される。スプレーチェンバー11内の圧力は、その周囲のプラズマトーチ室19内の圧力にほぼ等しい。このため試料13は、ネブライザー8の先端部で生ずる負圧による吸引力のみならず、大気圧とプラズマトーチ室19の内圧との差圧によって試料13の液面に加わる圧力によってより強くしかも安定した力でネブライザー8に送液され、スプレーチェンバー11内に霧として噴出される。
【0033】
霧はキャリアガスと混合されてプラズマトーチAのキャリアガス管7を通過し、最後にプラズマ炎1の中心に送り込まれる。霧中の試料原子は、プラズマ炎1内で加熱・励起され、発光する。この発光は、プラズマ炎1の側方におかれた分光器(図3には示されていない)に、レンズあるいはミラーを用いた集光光学系によって導入され、測定対象元素に対応する波長の発光強度が測定され、試料13中の元素の定性・定量分析が行われる。
【0034】
第一の実施例の場合と同様に制御器18に設定される差圧の最適値は、最も効率よく試料が送液され、しかも充分微細な霧が発生するようにあらかじめ実験的に決定することができる。また、試料の粘性や表面張力によって、差圧の設定値を試料の特性にマッチした値に選択することも可能である。
【0035】
本発明の特徴は上述の通りであるが、その適用例は上述の実施例に限定されるものではない。特に図1に示す送液ポンプは原子吸光分析装置にも適用可能である。
【0036】
また、図2に示す実施例においては、1個の送液ポンプPと1個のネブライザー8が使用されているが、変形例として複数個の送液ポンプPと試料室14を備え、各送液ポンプPに対応する独立のネブライザー8をスプレーチェンバー11に取り付けたシステムを構成することができる。これによって複数の異なる試料を交互に、または同時にスプレーチェンバー内に噴霧することが可能となり、たとえば標準添加法による測定が容易になる。図3に示す実施例においても、上記と同様にネブライザー8と試料容器12のセットを複数個用いるシステムを構成することができる。ただしこの場合、試料噴霧は同時にしか行えない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分析装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第一の実施例の構成を示す図である。
【図2】本発明の第二の実施例の構成を示す図である。
【図3】本発明の第三の実施例の構成を示す図である。
【図4】従来の分析装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 プラズマ炎
2 コイル
3 クーラントガス管
4 クーラントガス入口
5 プラズマガス管
6 プラズマガス入口
7 キャリアガス管
8 ネブライザー
9 キャリアガス入口
10 キャピラリ
11 スプレーチェンバー
12 試料容器
13 試料
14 試料室
15、16 バルブ
17 差圧検出器
18 制御器
19 プラズマトーチ室
20、22 バルブ
21 排気ポンプ
23 細管
A プラズマトーチ
P 送液ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に収容された試料液を内方に収納した試料室からプラズマトーチ室に流路を介して送液するポンプであって、試料室とガスボンベとの接続路に介設されたガス流量調節用バルブと、試料室の大気への開放流量を調節する大気開放バルブと、大気圧と前記試料室内の圧力との差を検出する差圧検出器と、前記差圧検出器の出力を一定に保持するべく両バルブを開閉する制御器によって構成されたことを特徴とする送液ポンプ。
【請求項2】
容器に収容された試料液を内方に収納した試料室からプラズマトーチ室に流路を介して送液するポンプであって、プラズマトーチ室から外部への排気路に配設された排気ポンプと、前記排気路に配設された流量調節バルブと、プラズマトーチ室への大気流入量を調節する流量調節バルブと、大気圧と前記プラズマトーチ室内の圧力差を検知する差圧検出器と、前記差圧検出器の出力を一定値に保持するべく前記二個の流量調節バルブを開閉する制御器によって構成されたことを特徴とする送液ポンプ。
【請求項3】
ネブライザーによって霧化した液体試料をプラズマトーチによって加熱発光させて分析を行うICP発光分析装置において、前記ネブライザーへ液体試料の搬送を、試料室とガスボンベとの接続路に介設されたガス流量調節用バルブと、試料室の大気への開放流量を調節する大気開放バルブと、大気圧と前記試料室の内圧との差を検出する差圧検出器と、前記差圧検出器の出力を一定に保持するべく両バルブを開閉する制御器によって構成された送液ポンプによって行わせることを特徴とするICP発光分析装置。
【請求項4】
ネブライザーによって霧化した液体試料をプラズマトーチによって加熱発光させて分析を行うICP発光分析装置において、前記ネブライザーへ液体試料の搬送を、プラズマトーチ室から外部への排気路に配設された排気ポンプと、前記排気路に配設された流量調節バルブと、プラズマトーチ室への大気流入量を調節する流量調節バルブと、大気圧と前記プラズマトーチ室内の圧力差を検知する差圧検出器と、前記差圧検出器の出力を一定値に保持するべく前記二個の流量調節バルブを開閉する制御器によって構成された送液ポンプによって行わせることを特徴とするICP発光分析装置。
【請求項5】
送液ポンプと試料室がそれぞれ複数個備えられ、複数の試料を交互にあるいは同時に送液できることを特徴とする請求項3記載のICP発光分析装置。
【請求項6】
送液ポンプと試料室がそれぞれ複数個備えられ、複数の試料を同時に送液できることを特徴とする請求項4記載のICP発光分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−121846(P2009−121846A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−293504(P2007−293504)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】