説明

試験システム及びモジュール間通信方法

【課題】モジュール同士が安全かつ信頼できる方法で通信するための仕組みを提供する。
【解決手段】被試験デバイスに試験信号を供給可能なモジュール108を複数組み込み可能な試験システム100は、所定の二つのモジュール間で通信を行う際のインタフェースとして機能する配送器150を備える。この配送器150は、所定の二つのモジュールのうち一のモジュールAから受信した信号を、他のモジュールBへ配送する機能を備える。また、この試験システム100は、モジュール108の接続関係を設定するためのモジュール設定ファイル130を備え、試験システム100は、モジュール設定ファイル130に規定された内容に基づいて、配送器150を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動試験装置の技術分野に関する。特に、本発明は、各モジュールが独立に制御されることを前提とする自動試験装置におけるモジュール間通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動試験装置(以下「ATE」という。)は、ATEメーカー各社各様の仕様で提供されていたため、ピン構成や測定ユニット等の構成の自由度が低く、また、試験プログラム資産の再利用が困難であった。このような背景から、デバイスの機能に応じて最適な構成にシステムを変更できるようなスケーラブルで柔軟なATEを実現すべく、標準化されたインタフェースを持つオープン・アーキテクチャATEが提案されている。
【0003】
例えば、OPENSTAR(登録商標)は、このようなオープン・アーキテクチャATEの規格の一つである(非特許文献1参照)。OPENSTARシステムは、スケーラブルでかつ柔軟なモジュラー構造のATEプラットフォームを提供することを目的とし、そのための標準規格を定めている。サード・ベンダ等が提供する計測機器(モジュール)は、OPENSTAR標準が定めるハードウェアとソフトウェアの要件を満たすことで、OPENSTARシステムに組み込むことが可能である。
【非特許文献1】「Semiconductor Test Consortium」、[online]、[平成20年3月24日検索]、インターネット<URL:http://www.semitest.org/jp/home>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、オープン・アーキテクチャの定める標準規格(仕様)では、ATEのプラットフォームやモジュールの実装に必要な全てを規定しているわけではなく、必要最小限の要件を定めている。しかし、実際にモジュールを設計してATEシステム内に組み込むには、モジュールの実装に依存した標準ではない機能が必要となる場合がある。とりわけ、異なるベンダのモジュール同士が専用のバスで接続されるような関係を持つ場合には、モジュール単位で区切り、独立に制御されることを前提とするOPENSTAR規格のようなオープン・アーキテクチャでは解決できない問題が発現する。
【0005】
例えば、デジタル・モジュール間の同期を実現するモジュール(以下「Syncモジュール」という。)は、デジタル・モジュールと専用のバスで接続される。しかし、Syncモジュールの実装手法はベンダにより異なり、その専用バスの制御のためにはハードウェアの実装に依存した機能が必要となる。例えば、システム全体のデジタル・ピンのタイミングの同期をとるために、異なるデジタル・モジュール間の伝播遅延量(Tpd)の差の吸収する機能を持つようなSyncモジュールでは、それを機能させるには各モジュールからTpd値を収集する必要がある。そのためには、Syncモジュールの制御ソフトウェアは、デジタル・モジュールの制御ソフトウェアと通信する必要がある。しかし、この機能はSyncモジュールの実装に依存するところであり、その制御のためのソフトウェアのインタフェースは、OPENSTAR規格のように各モジュールが独立に制御されることを前提とする仕様のATEでは扱えない。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係る幾つかの態様は、モジュール同士が安全かつ信頼できる方法で通信するための仕組みを提供することを目的とする。特に、各モジュールが独立に制御されることを前提とするATEの定める標準仕様では扱えないモジュールの実装依存の領域に対しても高い拡張性と柔軟性を備える試験システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明による試験システムは、被試験デバイスに試験信号を供給可能なモジュールを複数組み込み可能な試験システムであって、所定の二つのモジュール間で通信を行う際のインタフェースとして機能する配送器を備える。この配送器は、所定の二つのモジュールのうち一のモジュールから受信した信号を、所定の二つのモジュールのうち他のモジュールへ配送する機能を備える。
【0008】
また、好適には、試験システムは、モジュールの接続関係を設定するためのモジュール設定ファイルを備え、試験システムは、モジュール設定ファイルに規定された内容に基づいて、配送器を生成する。
【0009】
さらに好適には、モジュール設定ファイルは、所定の二つのモジュール間の通信方法及び依存関係を設定するモジュール間通信設定部を含み、試験システムは、モジュール間通信設定部に規定された通信方法及び依存関係に基づいて、所定の二つのモジュール間の通信インタフェースとして機能する配送器を生成する。
【0010】
また、好適には、モジュールは、通信可能な相手先モジュールの情報を備え試験システムは、モジュールが試験システムに組み込まれたときに、情報に基づいて、モジュール間通信設定部に規定される内容を書き換える。
【0011】
さらに好適には、試験システムは、二以上のモジュールの各々を独立に制御することを前提とするものである。また、試験システムは、オープン・アーキテクチャに基づくシステムであり、二以上のモジュールは、オープン・アーキテクチャの標準仕様に準拠するものであることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係るモジュール間通信方法は、被試験デバイスに試験信号を供給可能なモジュールを二以上組み込み可能な試験システムにおいて、所定の二つのモジュール間で通信を行う方法である。そして、モジュールの接続関係を設定するためのモジュール設定ファイルに規定された内容に基づいて、所定の二つのモジュール間で通信を行う際のインタフェースとして機能する配送器を生成するステップと、配送器を介して、所定の二つのモジュールのうち一のモジュールから受信した信号を、所定の二つのモジュールのうち他のモジュールへ配送することにより、モジュール間通信を行うステップと、を備える。
【0013】
本発明のプログラムは、本発明のモジュール間通信方法の各処理ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする。本発明のプログラムは、CD−ROM等の光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。
【0014】
なお、本明細書等において、「手段」又は「部」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段又は部が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの手段又は部が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の手段又は部の機能が1つの物理的手段により実現されてもよい。
【0015】
また、本明細書等において、ベンダ等が提供する計測機器のハードウェアを「モジュール」といい、そのハードウェアを対象とするベンダ等のソフトウェアを「モジュール・ソフトウェア」と呼ぶ。
【0016】
さらに、再構成可能なオープン・アーキテクチャATEは、試験システムに対する操作の統一だけでなく、目的の試験に最適なモジュールを、モジュール・ソフトウェアとともに、ユーザ自身が既存のシステムにプラグ・アンド・プレイ方式で導入可能なプラットフォームを提供する。また、モジュールのベンダに対しては、そのようなモジュール・ソフトウェアを開発するための開発環境を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の試験システムによれば、モジュール・ソフトウェア同士が安全かつ信頼できる方法で通信するための仕組みを提供することができる。特に、各モジュールが独立に制御されることを前提とするATEの定める標準仕様では扱えないモジュールの実装依存の領域に対しても高い拡張性と柔軟性を備える試験システムを提供することができる。
【0018】
例えば、本発明により、Syncモジュールがデジタル・モジュールに対して、必要な通信のインタフェースを規定することができる。本発明に係る試験システムでは、モジュールの実装依存の問題をベンダ自身で解決できる仕組みを提供することで、このような問題がある場合にも、システムOS(オペレーティング・システム)を変更することなくモジュールをシステムに組み込むことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。さらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形及び応用が可能である。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態による試験システム100のシステムアーキテクチャを示す。試験システム100は、試験信号を生成して被試験デバイス(Device under Test。以下「DUT」という。)112に供給し、DUT112が試験信号に基づいて動作した結果出力する結果信号が期待値と一致するか否かに基づいてDUT112の良否を判断する。なお、本実施形態に係る試験システム100は、オープン・アーキテクチャにより実現されるものとして説明するが、本発明は、オープン・アーキテクチャの試験システムに限定されるものではない。
【0021】
本実施形態では、システムコントローラ(SysC)102がネットワークを介して複数のサイトコントローラ(SiteC)104に接続される。システムコントローラ102は、エンド・ユーザが通常作業を行うホストコンピュータであり、試験システム100全体を管理する役割を果たす。また、システムコントローラ102は、サイトコントローラ104に対する処理の要求の発行や、サイトコントローラ104間の処理の調停を行う。ユーザのアプリケーションや標準のGUIツールは、システムコントローラ102上で動作し、サイトコントローラ104と通信を行って機能を実現する。
【0022】
また、システムコントローラ102は、サイトコントローラ104上でモジュール108の制御を行うモジュール・ソフトウェアや、ユーザの試験プログラムやパターン・プログラムなどを保管するストレージを備える。これらは、必要に応じてサイトコントローラ104に送られ、実行される。
【0023】
各サイトコントローラ104は、試験サイト110に配置される1つ又は複数のモジュール108を制御して試験を実行するために、モジュール接続イネーブラ106を通して、モジュール108に接続される。この試験は、ユーザの作成する試験プログラムに基づいて実行される。なお、サイトコントローラ104は、一つのDUT112を試験する試験サイト110を複数個、同時に制御するようにしてもよい。
【0024】
サイトコントローラ104の主な役割として、次の3つが挙げられる。まず、試験プログラムが指定する試験サイト110の構成に従い、モジュール接続イネーブラ106を構成し、サイトコントローラ104とモジュール108間のバス107の接続を確立する。また、試験サイト110内のモジュール108の制御を行うモジュールソフトウェアを実行する。さらに、試験プログラムを実行し、各試験サイト110のDUT112の試験を実行する。
【0025】
なお、動作環境によっては、システムコントローラ102は、サイトコントローラ104の動作とは別のCPU(中央演算装置)上に配置することができる。別法では、システムコントローラ102及びサイトコントローラ104は、共通のCPUを共有することができる。同様に、各サイトコントローラ104は、その専用のCPU上に配置することができるし、また、同じCPU内の別個のプロセス又はスレッドとして配置することもできる。
【0026】
モジュール接続イネーブラ106は、サイトコントローラ104とモジュール108とのバス107の接続を任意に構成することのできるスイッチである。モジュール接続イネーブラ106は、接続されるハードウェアモジュール108の構成を変更できるようにするとともに、データ転送用(パターンデータのロード用、応答データの収集用、制御用等)のバスとしての役割も果たす。実現可能なハードウェアの実装形態は、専用接続、交換接続、バス接続、リング接続及びスター接続を含む。モジュール接続イネーブラ106は、たとえばスイッチマトリクスとして実装することができる。
【0027】
モジュール108は、DUT112に試験信号を供給する計測機器のハードウェアである。本実施形態においては、モジュール108として、オープン・アーキテクチャに基づく各種のモジュールを用いることができる。また、モジュール・ハードウェア108を動作させるためのソフトウェアをモジュール・ソフトウェアという。モジュール・ソフトウェアは、デバイス測定時にモジュール108の制御をつかさどるモジュール・ドライバ、モジュール108の校正と診断を行う校正診断ソフトウェア、モジュール108の動作をソフトウェアでエミュレートするエミュレーション・ソフトウェア、モジュール108固有のパターン・コンパイラ、およびGUIツールなどを含む。
【0028】
各試験サイト110は、それぞれ一つのDUT112に関連付けられる。DUT112は、ロードボード114を通して、対応する試験サイト110のモジュール108に接続される。
【0029】
図2は、試験サイト110及びロードボード114のハードウェアの概略構成と各種設定用ファイルとの関係の一例を示す図である。図2に示すように、モジュール108は、試験システム100のテストヘッド132内のモジュール・スロットに差し込まれる。
【0030】
試験サイト110の構成は、テキスト形式で記述されるソケットファイル118で指定される。このソケットファイル118には、DUT112ごとに、DUTソケット120のDUTピン122とロードボード114上のコネクタピン124との接続が記述される。コネクタピン124は、ブロック番号とコネクタ番号が付けられており、例えば、「12.3」のように、「(ブロック番号).(コネクタ番号)」の形式で表記される。ロードボード114のコネクタピン124は、テスタ・インタフェース・ユニット(Tester Interface Unit。以下「TIU」という。)126を介してモジュール108のピン128と接続される。
【0031】
一方、ロードボード114は試験対象となるデバイスによって異なる場合が多い。そのため、モジュール・ソフトウェアが個々のロードボード114の実装に依存しないようにするためには、試験システム100において、モジュール108が実装するピン128そのものを定義できるようにし、それをもとにモジュール108の制御ができるようにしなければならない。本試験システム100では、これはモジュール設定ファイル(Module Configuration File。以下「MCF」という。)130によって達成される。
【0032】
MCF130には、モジュール108のリソースとロードボード114のコネクタピン124との接続関係が指定される。これにより、論理的なピンの表現であるリソースと、モジュール108の物理ピン128、さらにはそれが接続されているロードボード114のコネクタピン124との関係が定められる。MCF130は、システムだけが設定可能であることが望ましい。
【0033】
なお、本実施形態において、モジュール108の機能は、主にモジュール108の全体的な制御に関わる機能を提供するモジュール・オブジェクトと、モジュールのピン毎の機能を提供するリソース・オブジェクトによって表現される。本実施形態に係る試験システム100では、これらは全て、MCF130に記述される内容に従って、実際のハードウェアのエンティティと対称に結び付けられる。なお、これらのソフトウェアのオブジェクトを提供するモジュール・ソフトウェアを、ここではモジュール・ドライバと呼ぶ。
【0034】
また、本実施形態において、リソースとは、試験システム100のモジュール108が備える物理的なピン128とその機能とを、オブジェクトで抽象化して表現したものである。モジュール108の一つの物理ピン128は、一つのリソースとして表現されてもよいし、機能的に分割された複数のリソースとして表現されてもよい。
【0035】
リソースの機能的な分類はリソース・タイプと呼ばれ、その機能の定義はモジュール108のベンダが提供するリソース定義ファイルによって示される。論理的なピンを指すリソースは、リソース・タイプと、モジュール108内でピン128を特定する番号(リソースID)と、試験システム100内でモジュール108を特定するバス107のポート番号との3つ組で表現される。リソース・タイプとリソースIDの組と、それに対応するモジュール108内の物理ピン128の関係は固定的であるため、リソースが与えられたときに、それを物理的なピン128に対応付けることが可能となる。なお、リソースが物理ピン128と対応付けられることはアーキテクチャ上必須ではなく、モジュール108の持つ機能を仮想的なピンに見立てて表現し、制御することも可能である。
【0036】
図3は、試験システム100のソフトウェア・アーキテクチャ200の一例を示す。ソフトウェア・アーキテクチャ200は分散オペレーティングシステムを表しており、関連するハードウェアシステム要素102、104、108に対応する、システムコントローラ・ソフトウェア220(以下、単に「システムコントローラ220」ともいう。)、少なくとも1つのサイトコントローラ・ソフトウェア240(以下、単に「サイトコントローラ240」ともいう。)及び少なくとも1つのモジュールを含むテストヘッド・ソフトウェア260(以下、単に「テストヘッド260」ともいう。)のための構成要素を有する。
【0037】
一つの例示的な選択として、試験システム100は、ソフトウェアのプラットフォームとしてMicrosoft Windows(登録商標)を使用し、実装言語としてANSI/ISO標準C++を使用することができる。プラットフォームの全てのシステム・インタフェースもまた、C++のクラスまたはインタフェースとして提供され、ユーザの試験プログラムやモジュール・ソフトウェアはC++で実装することができる。
【0038】
システムコントローラ220は、ユーザのための一次的なインタラクションポイントであり、サイトコントローラ240へのゲートウェイと、マルチサイト/DUT環境におけるサイトコントローラ240の同期とを提供する。ユーザアプリケーション及びツールは、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)に基づくものでも、そうでないものでも、システムコントローラ220上で実行される。
【0039】
また、システムコントローラ220は、テストプラン、試験パターン及び試験パラメータファイルを含む、全てのテストプラン関連情報のためのリポジトリとしての役割も果たす。これらのファイルを記憶するメモリは、システムコントローラ220に対してローカルに存在することができるか、又は、ネットワークを介してシステムコントローラ220に接続されることができる。
【0040】
さらに、システムコントローラ220は、フレームワーククラス221と、システムツール222と、外部ツール223と、サイトコントローラへの標準インタフェース224と、通信ライブラリ230とを含む。
【0041】
システムコントローラ220に関連するフレームワーククラス221は、オブジェクトと対話するための仕組みを提供し、標準インタフェース224の参照インプリメンテーションを提供する。また、サイトコントローラ240へのゲートウェイを提供し、且つマルチサイト/DUT環境におけるサイトコントローラ240の同期を提供するソフトウェア構成要素を構成する。実効的には、フレームワーククラス221は、システムコントローラ220をサポートするOSとしての役割を果たすことができる。
【0042】
第三者の開発者は、標準システムツール222に加えて、又は、標準システムツール222に換えて、一以上のツール223を提供することができる。システムコントローラ220上の標準インタフェース224は、テスタ及び試験オブジェクトにアクセスするためにそれらのツールが用いるインタフェースを含む。ツール(アプリケーション)222、223によって、テスタ及び試験オブジェクトをインタラクティブに、且つバッチで制御できる。また、標準インタフェース224は、システムコントローラ220上で実行されるフレームワークオブジェクトへのオープンインタフェースや、サイトコントローラ240に基づくモジュール・ソフトウェアがパターンデータにアクセスし、それらを検索できるようにするインタフェース等を含む。
【0043】
システムコントローラ220上に存在する通信ライブラリ230は、ユーザアプリケーション及び試験プログラムに対してトランスペアレントであるように、サイトコントローラ240と通信するための仕組みを提供する。
【0044】
サイトコントローラ240は、試験機能の大部分が提供される。サイトコントローラ240は、テストプラン(試験プログラム)241と、試験クラス242と、サイトコントローラフレームワーククラス243と、特定モジュール拡張インタフェース244と、標準インタフェース245と、モジュール・ソフトウェア・インプリメンテーション246と、バックプレーン通信ライブラリ247と、バックプレーンドライバ248とを含む。
【0045】
テストプラン241はユーザによって記述される。テストプランプログラムは、C++のようなオブジェクト指向コンポーネントを用いて、標準的なコンピュータ言語において直に記述するか、又は、C++コードを生成するための、さらに高いレベルの試験プログラミング言語において記述することができ、後に実行可能な試験プログラムにコンパイルすることができる。
【0046】
テストプラン241は、標準的な又はユーザによって供給される試験クラス242及び/又はそのサイトコントローラ240に関連するフレームワーククラス243を用いることにより試験オブジェクトを作成し、標準インタフェース245を用いてハードウェアを構成し、テストプランフローを規定する。テストプランはいくつかの基本的なサービスをサポートし、デバッグサービス(たとえば、ブレークポイント生成)のような、下層のオブジェクトのサービスへのインタフェースを提供し、下層のフレームワーク及び標準クラスにアクセスできるようにする。
【0047】
試験クラス242は、標準試験インタフェースの1つのインプリメンテーションであり、テストプランプログラムにおいて指定される。各試験クラスは通常、特定のタイプのデバイス試験、又はデバイス試験のための設定を実装する。
【0048】
フレームワーククラス243は、共通の試験関連動作を実装する1組のクラス及びメソッドである。フレームワーククラス243は、実効的には、各サイトコントローラ240をサポートするローカルOSとしての役割を果たすことができる。
【0049】
モジュール・ソフトウェアは、テストの実行時に必要に応じて動的に試験システム100のプロセスにロードできるように、DLL(Dynamic Link Library)形式であることが望ましい。これは、テストプラン241が指定する試験サイト110の構成に応じて、試験システム100が実行時に動的に制御対象のモジュール261を決定するからである。また、全てのモジュール・ソフトウェアは、モジュール261の機能に応じて、システムOSが規定するモジュール・ソフトウェアの標準インタフェース245を実装することが求められる。
【0050】
特定モジュール拡張インタフェース244は、必要に応じてモジュール固有のより複雑で専門的な機能を持つインタフェース階層をモジュール・ソフトウェアに付加して実装する。例えば、C++では、標準インタフェース245を継承するインタフェースクラスをモジュール・ソフトウェアで定義することによって、インタフェースを拡張することができる。
【0051】
標準インタフェース245は、システムフレームワークが規定する必要最小限の、一般的で普遍的に適用可能なインタフェースである。標準インタフェース245を用いて、全てのオブジェクトを画一的に扱うことができる。これにより、システムOSを変更することなく、新しいモジュールのソフトウェアをシームレスに、プラグ・アンド・プレイ方式でシステムに導入することが可能となる。
【0052】
一例として、標準インタフェース245は、C++の純粋仮想インタフェースクラスとして定義される。このとき、ユーザ向けの機能を定義するサブクラスと、システムだけが使用する機能を定義するサブクラスと、リソースの機能を定義するサブクラスとによって構成されることが好ましい。また、標準インタフェース245の階層は、モジュールの最も基本的な機能を定義する階層、パターン・プログラムを実行する機能を持つモジュールを表現する階層、複数のピン間で共有されるテスト周期という概念を導入する階層、デジタル・モジュール特有の機能を加える階層、の4階層により構成されることが好ましい。このとき、各モジュール・ドライバは、モジュールの機能に応じて、4階層のインタフェースのいずれかを実装する。しかし、標準インタフェース245の構成は、これらの構成に限定されるものではない。
【0053】
バックプレーン通信ライブラリ247は、バックプレーンにわたる標準的な通信のためのインタフェースを提供し、それによりテストヘッド260内のモジュール108と通信するために必要な機能を提供する。これにより、ベンダ固有のモジュール・ソフトウェアが、バックプレーンドライバ248を用いて、対応するモジュール108と通信できる。バックプレーン通信プロトコルはパケットに基づくフォーマットを用いることができる。
【0054】
テストヘッド260は、デバイスに対する測定機能が提供される。テストヘッド260は、モジュール261と、TIU262と、ロードボード263と、DUT264とを含む。
【0055】
また、ソフトウェア・アーキテクチャ200は、ソフトウェアの名目的な供給元に基づいて、システムフレームワーク290、ユーザコンポーネント292、テスタオペレーティングシステム294、モジュール・ハードウェア・ベンダコンポーネント296、及び、ツール・ソフトウェア・ベンダコンポーネント298に分類することができる。
【0056】
システムフレームワーク290は、試験システム100の開発ベンダにより供給され、フレームワーククラス221と、標準インタフェース224と、フレームワーククラス243と、標準インタフェース245と、バックプレーン通信ライブラリ247とを含む。
【0057】
ユーザコンポーネント292は、試験を実施するユーザによって供給され、テストプラン241と、テストクラス242と、ロードボード263と、DUT264とを含む。
【0058】
テスタオペレーティングシステム294は、基本的な接続性及び通信のためのソフトウェアインフラストラクチャとして供給され、システムツール222と、通信ライブラリ230と、バックプレーンドライバ248とを含む。
【0059】
モジュール・ハードウェア・ベンダコンポーネント296は、モジュール108の開発元によって供給され、特定モジュール拡張インタフェース244と、モジュール・ソフトウェア・インプリメンテーション246と、モジュール261と、TIU262を含む。
【0060】
ツール・ソフトウェア・ベンダコンポーネント298は、外部ツールの開発元によって供給され、外部ツール223を含む。
【0061】
次に、図2に示すハードウェアの概略構成に基づいて、各種設定ファイルについて具体的に説明する。
【0062】
図4は、MCF130の一例を示す図である。図4に示すMCF130は、図2に示すハードウェア概略構成を記述した場合の例である。「Resource」キーワードの後に続く「OAI.Digital.dpin」はリソース・タイプの名前である。また、バス107のポート番号とリソースIDの組は、「P(ポート番号).(リソースID)」という形式(例えば、「P8.1」)で表記される。
【0063】
図5は、ソケットファイル118の一例を示す図である。図5に示すように、本実施形態における試験システム100では、ソケットファイル118によって各サイトコントローラ104に接続するモジュール108と各試験サイト110の構成が決定され、それに従ってモジュール接続イネーブラ106を再構成することで、サイトコントローラ104とモジュール108間のバス107の接続とモジュール108の制御が確立される。このようなモジュール構成の表現方式とバス構成の自由度の高さは、システムのモジュラリティとスケーラビリティの確保に大きく貢献し、モジュール108のプラグ・アンド・プレイの実現を支える。
【0064】
図6は、リソース定義ファイルの一例として、図2に示すリソース・タイプ「OAI.Digital.dpin」の定義の一部を示す図である。図6に示すように、リソースの属性は、型と属性名の対で指定される。例えば、図6において、「VIH」という属性は、「Voltage」という型を持つ。リソースの属性に対する設定値は、例えば、「属性名=値」という形で指定される。このように、モジュール108のハードウェアに強く依存するリソースの機能を、名前と型という極めて一般性のある表現形式で扱うことにより、ベンダは自由にリソースの機能を表現することができ、また、システムフレームワークは、モジュール108の機能に依存せずにリソースを画一的に扱うことが可能になる。これにより、システムの高い適用性と柔軟性が実現される。
【0065】
次に、以上のように構成される試験システム100を用いたモジュール間通信について説明する。
【0066】
本試験システム100は、各モジュール108が独立に制御されることを前提に仕様が構成されていて、モジュール間の横のつながりには対応していない。しかし、他のモジュールが存在して初めて機能するモジュールもある。このようなモジュールは他のモジュールに依存しているということができる。例えば、あるモジュールAが他のモジュールと同期して機能する必要があり、この同期が特定のモジュールBが提供する機能によって実現されるとき、このモジュールXの同期は、モジュールYに依存しているといえる。また、新たに開発したモジュールZが、既存のモジュールWの提供するコマンドやライブラリを利用するとき、このモジュールZは、モジュールWに依存しているといえる。
【0067】
このように、あるモジュール(依存モジュール)が別のモジュール(被依存モジュール)に依存している場合に対応するためには、試験システム100において、モジュール間でコマンド等を通信できるような仕組みが必要となる。このとき、モジュール間で任意に通信を認める仕様も考えられるが、あるモジュールが別のモジュールに悪影響を与える可能性もあるため、無限定にモジュール間通信を行うと、システムの安全性を担保できない。これに対して、本試験システム100では、モジュール間通信にシステムを介在させることにより、安全性を担保している。すなわち、本試験システム100では、システムとして許されたモジュール間でのみ通信できるように制限することによって、システム全体としての動きを保証している。
【0068】
図7は、本実施形態に係るモジュール間通信処理を行う際の概略構成を示すブロック図である。同図は、ベンダAが提供するモジュールA 108aと、ベンダBが提供するモジュールB 108bとの間で、モジュール間通信を行う場合を例示する。
【0069】
図7に示すように、本試験システム100においてモジュール間通信を行う場合には、MCF130内に、モジュール間通信設定部140を加える。このモジュール間通信設定部140で定義された内容に基づいて、モジュール間の通信方法とモジュール間の依存関係とが設定される。図7に示す例では、モジュール間通信設定部140にて、モジュールAとモジュールBとの間で通信が行われ、かつ、モジュールAがモジュールBに依存することが定義されている。
【0070】
一方、サイトコントローラ104は、MCF130内にモジュール間通信設定部140が含まれるとき、MCF解釈部が、モジュール間通信設定部140で定義された内容に基づいて、配送器150を生成する。この配送器150は、モジュール間通信用のインタフェース152を提供するものであり、例えば、モジュール間通信専用のオブジェクトとして構成される。そして、配送器150を利用することにより、モジュール間でダイレクトなピア・トゥ・ピアによる通信が、ソフトウェア的に実現される。図7に示す例では、モジュールA 108aから配送器150にコマンド等を送信すると、配送器150からモジュールB 108bに当該コマンド等が配送される。こうして、モジュールA 108aとモジュールB 108bとの間で、高速な通信インタフェース152が提供される。
【0071】
なお、各モジュール108は、通信可能な相手先モジュールの情報(以下「通信可能相手情報」という。)を保有している。例えば、モジュールA 108aは、ベンダBのモジュールB 108bと通信可能である、といった通信可能相手情報を保有している。モジュール108を試験システム100に組み込む(インテグレーション)と、モジュール108が有する通信可能相手情報に基づいて、MCF130に、モジュール間の通信方法及び依存関係等が書き加えられる。また、依存関係は一方向であることが好ましい。双方向にすると、システムの動作が保証されない。
【0072】
図8は、本実施形態に係るモジュール間通信処理の流れを示すフローチャートである。まず、試験システム100に新たにモジュール108が組み込まれると(S301)、モジュール108の通信可能相手情報に基づいて、試験システム100は、MCF130内のモジュール間通信設定部140に、新たに追加されたモジュールに関する通信方法及び依存関係を書き加える(S302)。さらに、試験システム100は、MCF130が変更された後、MCF130内のモジュール間通信設定部140に定義された内容に基づいて、モジュール間通信を行うための配送器150を生成する(S303)。
【0073】
この配送器150がモジュール間通信を行う際のインタフェースを提供する。これにより、配送器150が生成された後、モジュール108は、配送器150を介して他のモジュールとの間で通信を行うことにより、ソフトウェア的にダイレクトに通信をおこなうことができる(S304)。
【0074】
次に、モジュール間通信処理を実装するための具体的な実施例を示す。
【0075】
試験システム100は、モジュール間通信のために、IMC(IModuleCommunication)とIMCD(IModuleCommunicationDispatcher)の二つのインタフェースを提供する。IMCは、モジュール108が他のモジュールに対して所定の機能を提供する必要のあるときに、モジュール108が実装する必要のあるインタフェースクラスである。IMCDは、モジュール間通信を実現するために、システム実装をモジュールに公表するためのインタフェースクラスである。
【0076】
図9は、IMC及びIMCDインタフェースクラスの関係を示す図である。同図において、「コマンド」は、モジュール・ソフトウェアX(以下、単に「モジュールX」という。)からモジュール・ソフトウェアY(以下、単に「モジュールY」という。)への要求を表す。モジュールYはコマンドを提供し、このコマンドはモジュールYによって提供される特定の機能を表す。モジュールXがモジュールYの機能を実行しようとする場合、モジュールXは、IMCDを通して、この機能に対応するコマンドをモジュールYに送る。モジュールYは要求されたコマンドを受信し、サービスとしてこのコマンドに対応する機能を実行し、この機能の結果を返す。
【0077】
なお、IMCに関して、モジュールは、一つのインスタンスだけを実装可能であり、複数のインスタンスを実装できない。また、他のモジュールからコマンドを受け取らないモジュールはIMCを実装しなくてよい。フレームワークは、所定のヘッダファイル内でIMCインタフェースの定義を提供する。このインタフェースの実装は、クライアントモジュールに過度の依存関係を強制することになるので、具体的なクラスや構造が定義された如何なる実装にも依存しないことが好ましい。例えば、モジュールが内部データの表現の定義を変更した場合、当該モジュールに依存する全てのモジュールは、リコンパイルして新しくリリースする必要がある。
【0078】
また、IMCDは、所定のモジュールからコマンドを受信し、適切なモジュールにそのコマンドを送るという配送器150としての機能を提供するものであり、通信の方向が認められるか否かを認証する。フレームワークは、所定のヘッダファイルの中で、IMCDインタフェースの定義を提供する。
【0079】
図10は、IMC及びIMCDインタフェースクラスを利用したモジュール間通信処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、二つのモジュールXとモジュールYを想定する。図9に示すように、モジュールXはモジュールYとの通信を要する。このとき、モジュールX用のドライバは、フレームワークによって生成されたモジュールXと通信するための所定のオブジェクトとデータを取得する。ここで、フレームワークは、モジュール間通信を確立するために、次のようにモジュール間を仲介する。
【0080】
まず、全てのモジュール・ドライバのDLLがサイトコントローラ104にロードされた後、フレームワークはモジュール・ドライバによって生成された全てのモジュールからIMCオブジェクトを検索する(S311)。
【0081】
その後、全てのIMCオブジェクトは、フレームワークによって生成されたモジュール間通信管理部に登録され、全てのIMCオブジェクトに対して、各IMCオブジェクトを一意に識別可能な識別番号が付与される(S312)。
【0082】
それから、フレームワークは、MCF130に記述されたモジュール間通信方法及び依存関係に従って、IMCDポインタと各モジュールを一意に識別可能な識別子とを割り当てる(S313)。IMCDは、フレームワークによって生成されるものであり、モジュールがフレームワークを介して他のモジュールと通信できるようにするためのインタフェースである。そして、IMCDは、所定のモジュールが他のモジュールと通信する際に、フレームワークによって所定のモジュールに配送される(S314)。
【0083】
図11は、割り当てるメソッドの一例を示す図である。同図において、「sender」は、コマンドを送ったモジュールを区別するためにフレームワークによって決定されるIDである。「receivers」は、他のモジュールと通信するためのIDである。
【0084】
また、所定のモジュール(例えば、モジュールX)において、当該モジュールXと通信できるよう設定されている他の全てのモジュールとの通信を認めるためのキーワードを備えることが好ましい。すなわち、モジュールは、他のモジュールによって提供されるモジュール特有の通信オブジェクトを利用可能である。
【0085】
以上のように、本試験システム100では、MCF130内のモジュール間通信設定部140にモジュール間の通信方法及び依存関係を規定し、当該モジュール間通信設定部140に規定された内容に基づいて、モジュール間通信を行うための配送器150を生成することにより、依存関係のあるモジュール間通信を実現している。
【0086】
また、本試験システム100では、任意モジュール間での通信を認めず、システムにより認められたモジュール間でのみ通信できることに特徴を有する。これにより、システム全体の安全性を担保している。さらに、本試験システム100では、モジュール間通信の設定情報をMCF130内で定義している。このように、モジュール間通信の設定情報をシステムOSの外部に持たせることにより、モジュール間通信の設定のためのリコンパイル等が不要になり、柔軟にシステムを運用できる。加えて、他のベンダのモジュールに依存しなくても、開発やシステムへの組み込みができる環境を提供することにより、開発環境でも独立性を維持できる。さらに、ソフトウェア的にダイレクトなモジュール間通信を行うことにより、高速な通信を実現している。これらの特徴は、特に、オープン・アーキテクチャATEの場合に有効である。
【0087】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述の各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一実施形態による試験システム100のシステムアーキテクチャを示す。
【図2】試験サイト110及びロードボード114のハードウェアの概略構成と各種設定用ファイルとの関係の一例を示す図である。
【図3】試験システム100のソフトウェア・アーキテクチャ200の一例を示す。
【図4】モジュール設定ファイル(MCF)130の一例を示す図である。
【図5】ソケットファイル118の一例を示す図である。
【図6】リソース定義ファイルの一例として、図2に示すリソース・タイプ「OAI.Digital.dpin」の定義の一部を示す図である。
【図7】モジュール間通信処理を行う際の概略構成を示すブロック図である。
【図8】本実施形態に係るモジュール間通信処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】IMC及びIMCDインタフェースクラスの関係を示す図である。
【図10】IMC及びIMCDインタフェースクラスを利用したモジュール間通信処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】割り当てるメソッドの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
100 試験システム
102 システムコントローラ
104 サイトコントローラ
106 モジュール接続イネーブラ
107 バス
108 モジュール
110 試験サイト
112 被試験デバイス(DUT)
114 ロードボード
118 ソケットファイル
120 ソケット
122 ピン
124 コネクタピン
126 テスタ・インタフェース・ユニット(TIU)
128 ピン
130 モジュール設定ファイル(MCF)
132 テストヘッド
140 モジュール間通信設定部
150 配送器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験デバイスに試験信号を供給可能なモジュールを複数組み込み可能な試験システムであって、
前記試験システムは、
所定の二つのモジュール間で通信を行う際のインタフェースとして機能する配送器を備え、当該配送器は、前記所定の二つのモジュールのうち一のモジュールから受信した信号を、前記所定の二つのモジュールのうち他のモジュールへ配送する機能を備える、
ことを特徴とする試験システム。
【請求項2】
前記試験システムは、
モジュールの接続関係を設定するためのモジュール設定ファイルを備え、
前記試験システムは、前記モジュール設定ファイルに規定された内容に基づいて、前記配送器を生成する、
ことを特徴とする請求項1記載の試験システム。
【請求項3】
前記モジュール設定ファイルは、所定の二つのモジュール間の通信方法及び依存関係を設定するモジュール間通信設定部を含み、
前記試験システムは、前記モジュール間通信設定部に規定された前記通信方法及び依存関係に基づいて、前記所定の二つのモジュール間の通信インタフェースとして機能する配送器を生成する、
ことを特徴とする請求項2記載の試験システム。
【請求項4】
前記モジュールは、通信可能な相手先モジュールの情報を備え
前記試験システムは、前記モジュールが前記試験システムに組み込まれたときに、前記情報に基づいて、前記モジュール間通信設定部に規定される内容を書き換える、
ことを特徴とする請求項3記載の試験システム。
【請求項5】
前記試験システムは、前記二以上のモジュールの各々を独立に制御することを前提とするものである、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の試験システム。
【請求項6】
前記試験システムは、オープン・アーキテクチャに基づくシステムであり、
前記二以上のモジュールは、前記オープン・アーキテクチャの標準仕様に準拠するものである、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の試験システム。
【請求項7】
被試験デバイスに試験信号を供給可能なモジュールを二以上組み込み可能な試験システムにおいて、所定の二つのモジュール間で通信を行う方法であって、
モジュールの接続関係を設定するためのモジュール設定ファイルに規定された内容に基づいて、前記所定の二つのモジュール間で通信を行う際のインタフェースとして機能する配送器を生成するステップと、
前記配送器を介して、前記所定の二つのモジュールのうち一のモジュールから受信した信号を、前記所定の二つのモジュールのうち他のモジュールへ配送することにより、モジュール間通信を行うステップと、
を備えるモジュール間通信方法。
【請求項8】
請求項7に記載のモジュール間通信方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−229305(P2009−229305A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76537(P2008−76537)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】